説明

横置き治具、放射性物質格納容器、横倒し治具、放射性物質格納容器の横倒しシステムおよび横倒し方法

【課題】耐震性を確保しつつ、構成を簡易にでき、製造コストの増大を抑制することができる横置き治具等を提供する。
【解決手段】円柱状となるキャスク5の軸方向が水平方向となる横置き状態で、キャスク5を載置面上に支持するための横置き治具8であって、横置きされるキャスク5の周面と載置面との間に設けられる第1ピボット13および第2ピボット14を備え、第2ピボット14は、キャスク5の軸方向が鉛直方向となる垂直状態から横置き状態となる横倒し時において、横倒しされるキャスク5の支点となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横置き治具、放射性物質格納容器、横倒し治具、放射性物質格納容器の横倒しシステムおよび横倒し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、円柱状の輸送用キャスクの軸方向が鉛直方向から水平方向となるように輸送用キャスクを横倒しして、輸送用トレーラの荷受台に輸送用キャスクを横置きすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1において、輸送用キャスクを荷受台に横置きする場合、輸送用キャスクは、輸送用キャスクの他方の端部を回動中心として横倒しされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−269095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、他方の端部を回動中心として横倒しされた輸送用キャスクは、回動中心における高さが規制された状態で固定(固縛)されることで、横置き状態となる。この場合、横置きされた輸送用キャスクは、荷受台との間に大きな隙間が形成されることから、輸送用キャスクの重心が高くなってしまう。
【0005】
ここで、横置きされる輸送用キャスクの耐震性を確保する場合、輸送用キャスクの重心が高いため、輸送用キャスクを固定するための構造を強固なものにする必要がある。この場合、輸送用キャスクを固定するための構造の剛性を高めたりする必要がある分、製造コストの抑制を図ることが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、耐震性を確保しつつ、構成を簡易にでき、製造コストの増大を抑制することができる横置き治具、放射性物質格納容器、横倒し治具、放射性物質格納容器の横倒しシステムおよび横倒し方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の横置き治具は、円柱状となる放射性物質格納容器の軸方向が水平方向となる横置き状態で、放射性物質格納容器を載置面上に支持するための横置き治具であって、横置きされる放射性物質格納容器の周面と載置面との間に設けられる支持体を備え、支持体は、放射性物質格納容器の軸方向が鉛直方向となる垂直状態から横置き状態となる横倒し時において、横倒しされる放射性物質格納容器の支点となることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、支持体を支点に放射性物質格納容器を横倒しすることができるため、放射性物質格納容器と載置面との間に形成される隙間は、支持体の厚さによって規定されることになる。これにより、支持体の厚さを、放射性物質格納容器を支持可能に薄くすることで、放射性物質格納容器の重心を低くすることができ、耐震性を確保することができる。
【0009】
また、支持体は、放射性物質格納容器の周面に一体に設けられていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、放射性物質格納容器を横倒しすることで、放射性物質格納容器と載置面との間に支持体を容易に位置させることができる。
【0011】
また、支持体は、その内部に中性子遮蔽材を有していることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、中性子遮蔽材は、放射性物質格納容器に格納される放射性物質から、放射性物質格納容器の周面に一体に設けられた支持体を介して、外部に出射する中性子を遮蔽することができる。
【0013】
また、床面に設置され、載置面を有する搬送架台を更に備え、搬送架台は、放射性物質格納容器を搬送するための搬送パレットが挿入される隙間を有していることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、支持体と床面との間に搬送架台を設け、搬送架台に搬送パレットを挿入する隙間を設けることができる。このため、搬送架台の隙間に搬送パレットを挿入して、放射性物質格納容器を搬送することができる。
【0015】
また、載置面は、床面であり、支持体は、放射性物質格納容器を搬送するための搬送パレットが挿入される隙間を有していることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、支持体の隙間に搬送パレットを挿入して、放射性物質格納容器を搬送することができる。このため、支持体と床面との間に、搬送架台を設ける必要がない分、放射性物質格納容器の重心を更に低くすることができる。
【0017】
また、支持体に横置きされる放射性物質格納容器の周面に当接し、放射性物質格納容器の転動を規制する転動規制部材を更に備え、転動規制部材は、載置面上に固定されることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、転動規制部材により放射性物質格納容器の転動を規制することができるため、耐震性を更に高めることができる。
【0019】
本発明の放射性物質格納容器は、軸方向が水平方向となる横置き状態で、載置面上に支持される円柱状の容器本体と、容器本体の軸方向の一方側の周面から突出する一対の第1トラニオンと、容器本体の軸方向の他方側の周面から突出する一対の第2トラニオンと、容器本体の周面に設けられ、載置面に接して容器本体を横置き状態で支持する支持体と、を備え、支持体は、容器本体の軸方向が鉛直方向となる垂直状態から横置き状態となる横倒し時において、横倒しされる容器本体の支点となることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、容器本体の周面に設けられた支持体を支点に容器本体を横倒しすることができるため、容器本体と載置面との間に形成される隙間は、支持体の厚さによって規定されることになる。これにより、支持体の厚さを、容器本体を支持可能に薄くすることで、容器本体の重心を低くすることができ、耐震性を確保することができる。
【0021】
本発明の横倒し治具は、円柱状の放射性物質格納容器の軸方向の一方側の周面から突出する一対の第1トラニオンと回動可能に係合するクレーンにより、軸方向が鉛直方向となる垂直状態となった放射性物質格納容器の軸方向の他方側の周面から突出する一対の第2トラニオンと回動可能に係合する横倒し治具であって、クレーンにより垂直状態から軸方向が水平方向となる横置き状態となるように載置面上に横倒しされる放射性物質格納容器の周面と載置面との間には、放射性物質格納容器を載置面上に横置き状態で支持するための支持体が設けられており、係合する一対の第2トラニオンを回動中心として、放射性物質格納容器が横倒しされ、放射性物質格納容器の軸方向の他方側が支持体を介して載置面に接地し、支持体を支点として、放射性物質格納容器が横倒しされると、一対の第2トラニオンとの係合を解除することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、一対の第2トラニオンとの係合によって、支持体を支点とする放射性物質格納容器の横倒しを妨げることなく、放射性物質格納容器を好適に横倒しすることができる。
【0023】
本発明の放射性物質格納容器の横倒しシステムは、軸方向の一方側の周面から突出する一対の第1トラニオンと、軸方向の他方側の周面から突出する一対の第2トラニオンとを有する円柱状の放射性物質格納容器と、一対の第1トラニオンに回動可能に係合して、放射性物質格納容器の軸方向が鉛直方向となる垂直状態で、放射性物質格納容器を移載するクレーンと、垂直状態となる放射性物質格納容器の一対の第2トラニオンと回動可能に係合する横倒し治具と、クレーンにより垂直状態から軸方向が水平方向となる横置き状態となるように載置面上に横倒しされる放射性物質格納容器の周面と、載置面との間に設けられる支持体を有し、放射性物質格納容器を載置面上に横置き状態で支持するための横置き治具と、を備え、支持体は、横倒しされる放射性物質格納容器の支点となることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の放射性物質格納容器の横倒し方法は、軸方向の一方側の周面から突出する一対の第1トラニオンと、軸方向の他方側の周面から突出する一対の第2トラニオンとを有する円柱状の放射性物質格納容器と、一対の第1トラニオンに回動可能に係合して、放射性物質格納容器の軸方向が鉛直方向となる垂直状態で、放射性物質格納容器を移載するクレーンと、垂直状態となる放射性物質格納容器の一対の第2トラニオンと回動可能に係合する横倒し治具と、クレーンにより垂直状態から軸方向が水平方向となる横置き状態となるように載置面上に横倒しされる放射性物質格納容器の周面と、載置面との間に設けられる支持体を有し、放射性物質格納容器を載置面上に横置き状態で支持するための横置き治具と、を用いて放射性物質格納容器を横倒しする放射性物質格納容器の横倒し方法であって、クレーンにより垂直状態となる放射性物質格納容器を横倒し治具へ向けて移載する容器移載工程と、垂直状態となる放射性物質格納容器の一対の第2トラニオンを横倒し治具に回動可能に係合させる横倒し治具係合工程と、クレーンによって垂直状態から横置き状態となるように放射性物質格納容器を横倒しする容器横倒し工程と、横倒しされる放射性物質格納容器の周面と載置面との間に支持体を位置させて、横置き治具により放射性物質格納容器を横置き状態で支持する容器横置き工程と、を備え、容器横倒し工程では、横倒し治具と係合する一対の第2トラニオンを回動中心として、放射性物質格納容器が横倒しされ、放射性物質格納容器の軸方向の他方側が支持体を介して載置面に接地すると、支持体を支点として、放射性物質格納容器が横倒しされることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、一対の第2トラニオンを回動中心に放射性物質格納容器を横倒しすることで、支持体を放射性物質格納容器の周面と載置面との間に位置させることができる。この後、支持体を支点に放射性物質格納容器をさらに横倒しすることで、放射性物質格納容器を横置き状態にすることができる。このとき、放射性物質格納容器の横倒し時における中心が第2トラニオンから支持体に変わるため、放射性物質格納容器と載置面との間に形成される隙間は、支持体の厚さによって規定されることになる。これにより、支持体の厚さは、放射性物質格納容器を支持可能に薄くすることができるため、載置面に対する放射性物質格納容器の高さを低くすることができ、放射性物質格納容器の重心を低くすることができる。よって、放射性物質格納容器の重心を低くできることから、耐震性を確保することができ、構成を簡易なものにしつつ、製造コストの増大を抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の横置き治具、放射性物質格納容器、横倒し治具、放射性物質格納容器の横倒しシステムおよび横倒し方法によれば、耐震性を確保しつつ、構成を簡易にでき、製造コストの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、実施例1に係るキャスクの横倒しシステムの概略構成図である。
【図2】図2は、実施例1に係るキャスクの外観斜視図である。
【図3】図3は、実施例1に係るキャスクの断面図である。
【図4】図4は、実施例1に係るキャスクの横倒し方法の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、実施例1に係るキャスクの搬送方法および貯蔵方法の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、実施例2に係るキャスクの横倒しシステムの概略構成図である。
【図7】図7は、実施例2に係るキャスクの外観斜視図である。
【図8】図8は、実施例2に係るキャスクの横倒し方法の一例を示す説明図である。
【図9】図9は、実施例2に係るキャスクの搬送方法および貯蔵方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して、本発明の横置き治具、放射性物質格納容器、横倒し治具、放射性物質格納容器の横倒しシステムおよび横倒し方法について説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0029】
実施例1に係る放射性物質格納容器の横倒しシステムは、円柱状の放射性物質格納容器を、軸方向が鉛直方向となる垂直状態から軸方向が水平方向となる横置き状態になるように横倒しするためのものである。ここで、放射性物質格納容器は、例えば、内部に使用済核燃料を収容可能な円柱状のキャスクである。以下、図1を参照して、キャスクの横倒しシステムについて説明する。
【0030】
図1は、実施例1に係るキャスクの横倒しシステムの概略構成図である。横倒しシステム1は、キャスク5と、キャスク5を上方から吊り下げるクレーン6と、横倒しされるキャスク5を下方から支持する横倒し治具7と、キャスク5を横置き状態で支持する横置き治具8とを備えている。先ず、横倒しの対象となるキャスク5について説明する。
【0031】
図2は、実施例1に係るキャスクの外観斜視図であり、図3は、実施例1に係るキャスクの断面図である。図2に示すように、キャスク5は、円柱状のキャスク本体(容器本体)10と、一対の第1トラニオン11と、一対の第2トラニオン12と、第1ピボット13と、第2ピボット14とを有している。
【0032】
キャスク本体10は、内外を連通する開口部を有する有底円筒形状の胴本体16と、胴本体16の開口部に装着される蓋体17とを有している。また、図3に示すように、キャスク本体10は、内側端部を胴本体16の外周に放射状に取り付けた複数の伝熱板18と、複数の伝熱板18の外側端部に取り付けられた外筒19と、胴本体16の内部に配置したバスケット20とを備え、胴本体16、複数の伝熱板18および外筒19で区画された複数の区画空間には、中性子遮蔽材21が配設されている。
【0033】
図1を参照して、一対の第1トラニオン11は、キャスク本体10の軸方向の一方側(図示上側)に設けられている。一対の第1トラニオン11は、キャスク本体10の軸心を挟んで対向して設けられ、キャスク本体10の外周から径方向外側に突出して設けられている。この一対の第1トラニオン11には、クレーン6が回動可能に係合し、一対の第1トラニオン11を結ぶ軸線が回動軸L1となっている。
【0034】
一対の第2トラニオン12は、キャスク本体10の軸方向の他方側(図示下側)に設けられている。一対の第2トラニオン12も、一対の第1トラニオン11と同様に、キャスク本体10の軸心を挟んで対向して設けられ、キャスク本体10の外周から径方向外側に突出して設けられている。この一対の第2トラニオン12には、横倒し治具7が回動可能に係合し、一対の第2トラニオン12を結ぶ軸線が回動軸L2となっている。
【0035】
第1ピボット13および第2ピボット14は、キャスク本体10を横置き状態で支持する支持体として機能しており、横置き治具8の一部を構成している。第1ピボット13は、キャスク本体10の軸方向の一方側(図示上側)に設けられ、一対の第1トラニオン11に対し、キャスク本体10の軸方向中央側に位置している。また、第1ピボット13は、キャスク本体10の周方向において、一対の第1トラニオン11の間に位置している。
【0036】
図3に示すように、第1ピボット13は、キャスク本体10の胴本体16に一体に取り付けられ、キャスク本体10の胴本体16の周面から、キャスク本体10の径方向外側に突出して設けられている。このため、胴本体16と外筒19との間に設けられた中性子遮蔽材21は、第1ピボット13が設けられる部分において欠損している。また、第1ピボット13は、突出方向における先端部が円弧形状に形成され、回動軸L1の軸方向に延在して設けられている。そして、第1ピボット13は、キャスク5の横置き時において、キャスク本体10とキャスク5を載置する載置面との間に位置する。このとき、第1ピボット13の先端部は、円弧形状に形成されているため、載置面に対して線接触する。
【0037】
また、第1ピボット13は、その内部に中性子遮蔽材23を有している。つまり、第1ピボット13は、内部空間が形成された箱状となっており、内部空間に中性子遮蔽材23を充填して構成される。
【0038】
図2に示すように、第2ピボット14は、キャスク本体10の軸方向の他方側(図示下側)に設けられ、一対の第2トラニオン12に対し、キャスク本体10の軸方向中央側に位置している。また、第2ピボット14は、第1ピボット13と同様に、キャスク本体10の周方向において、一対の第2トラニオン12の間に位置している。このため、第1ピボット13と第2ピボット14とは、キャスク5の軸方向において対向して設けられている。なお、第2ピボット14は、第1ピボット13と同様の構成であるため説明を省略する。
【0039】
図1を参照して、クレーン6について説明する。クレーン6は、キャスク5を吊り上げて、キャスク5を水平面内における所定の方向(図示左右方向)に移動させると共に、キャスク5を鉛直方向に移動させる。このクレーン6は、その先端部に、キャスク5の一対の第1トラニオン11と回動可能に係合する吊り下げ治具25を有している。
【0040】
吊り下げ治具25は、回動軸L1の軸方向に延びる基部27と、基部27の両端側から突出して設けられた一対の保持アーム28とで凹状に形成されている。一対の保持アーム28の先端部には、一対の第1トラニオン11を回動可能に保持するための回動孔29がそれぞれ形成されている。そして、吊り下げ治具25は、一対の回動孔29に一対の第1トラニオン11が遊挿されることで、キャスク5の一対の第1トラニオン11と回動可能に係合する。
【0041】
クレーン6は、吊り下げ治具25と一対の第1トラニオン11とが回動可能に係合した状態で、キャスク5を吊り上げると、キャスク5は、軸方向が鉛直方向となる垂直状態となる。そして、クレーン6は、垂直状態のキャスク5を所定の位置へ向けて移載する。
【0042】
横倒し治具7は、クレーン6によって垂直状態となったキャスク5の一対の第2トラニオン12に係合する。この横倒し治具7は、一対の第2トラニオン12と回動可能に係合する一対の軸受31で構成されている。一対の軸受31は、床面30上に配置されている。各軸受31は、床面30の上方に位置する基台33と、基台33の上方に位置する下側軸受34と、下側軸受34の上方に位置する上側軸受35とを有しており、上側軸受35は、下側軸受34に対して着脱自在となっている。また、各軸受31は、各第2トラニオン12を回動可能に保持するための回動孔36を有し、回動孔36は、下側軸受34と上側軸受35とにより形成される。つまり、下側軸受34の上端部には、回動孔36の下方側の一部が形成され、上側軸受35の下端部には、回動孔36の上方側の一部が形成され、下側軸受34に上側軸受35が装着されることで、回動孔36が形成される。
【0043】
そして、横倒し治具7は、一対の回動孔36に一対の第2トラニオン12が遊挿されることで、キャスク5の一対の第2トラニオン12と回動可能に係合する。また、横倒し治具7は、一対の第2トラニオン12と回動可能に係合した状態から、下側軸受34から上側軸受35を取り外すことで、一対の第2トラニオン12との係合を解除可能となっている。
【0044】
横置き治具8は、支持体として機能する上記の第1ピボット13および第2ピボット14と、載置面43を有する搬送架台41と、転動規制部材42とを備えている。搬送架台41は、キャスク5を搬送するために用いられ、床面30上に設置される。なお、転動規制部材42は、後述するキャスク5の横倒し方法において説明する。
【0045】
搬送架台41は、キャスク5の第1ピボット13が載置される第1架台45と、キャスク5の第2ピボット14が載置される第2架台46と、第1架台45と第2架台46とを連結する連結部材47とを有している。第1架台45および第2架台46は、天板51と、天板51の両端から突出して床面に接地する脚部52とを有し、天板51と脚部52は一体になっている。そして、第1架台45の天板51の上面(載置面43a)に第1ピボット13が載置され、第2架台46の天板51の上面(載置面43b)に第2ピボット14が載置される。また、第1架台45および第2架台46は、天板51と床面30との間に隙間55が形成される。隙間55は、搬送架台41を介してキャスク5を搬送するためのエアパレット(搬送パレット)が挿入可能な高さとなっている。
【0046】
次に、図4を参照して、上記のように構成されたキャスク5の横倒しシステム1を用いたキャスク5の横倒し方法について説明する。図4は、実施例1に係るキャスクの横倒し方法の一例を示す説明図である。キャスク5の横倒し方法は、クレーン6により垂直状態となったキャスク5を横置き状態となるように横倒しして、横置き治具8によりキャスク5を横置き状態で支持するものである。
【0047】
キャスク5の横倒し方法は、キャスク移載工程(容器移載工程)と、横倒し治具係合工程と、キャスク横倒し工程(容器横倒し工程)と、キャスク横置き工程(容器横置き工程)とが順に行われている。
【0048】
図4のS101に示すように、キャスク移載工程では、クレーン6の吊り下げ治具25により、キャスク5の第1トラニオン11が回動自在に係合した状態で、キャスク5を吊り上げる。すると、キャスク5は、軸方向が鉛直方向となる垂直状態となり、第1トラニオン11側の端部が上方側となり、第2トラニオン12側の端部が下方側となる。そして、クレーン6は、垂直状態のキャスク5を横倒し治具7へ向けて移動させる。
【0049】
クレーン6によりキャスク5が横倒し治具7へ向けて移動させられると、図4のS102に示すように、横倒し治具係合工程が行われる。横倒し治具係合工程を行う際、横倒し治具7は床面30上に設置されており、上側軸受35は取り外された状態となっている。また、床面30上には、横倒し治具7の他、横置き治具8の搬送架台41が設置されている。横倒し治具係合工程では、上側軸受35が取り外された各軸受31に、すなわち各下側軸受34の先端部に、キャスク5の各第2トラニオン12が位置するように、クレーン6により垂直状態のキャスク5を下降させる。下側軸受34の先端部に、第2トラニオン12が設置されると、下側軸受34に上側軸受35が装着されることで、横倒し治具7の回動孔36に一対の第2トラニオン12を回動自在に係合させる。
【0050】
横倒し治具7にキャスク5の一対の第2トラニオン12が回動自在に係合すると、図4のS103からS105に示すように、キャスク横倒し工程が行われる。キャスク横倒し工程では、先ず、第1ピボット13および第2ピボット14が設けられた側へ、クレーン6によりキャスク5を傾斜させることで、キャスク5の横倒しを行う。このとき、キャスク5は、一対の第1トラニオン11を回動軸L1の中心としてクレーン6との間で回動すると共に、一対の第2トラニオン12を回動軸L2の中心として横倒し治具7との間で回動する。なお、搬送架台41は、第1ピボット13が第1架台45に載置されるように、第2ピボット14が第2架台46に載置されるように設置される。そして、図4のS103に示すように、キャスク5が横倒しされると、搬送架台41の第2架台46に、キャスク5の第2ピボット14が接地する。
【0051】
第2架台46に第2ピボット14が接地すると、横倒し治具7の上側軸受35が取り外されることで、横倒し治具7の係合が解除される。この後、クレーン6によりキャスク5がさらに横倒しされると、キャスク5は、一対の第1トラニオン11を回動軸L1の中心としてクレーン6との間で回動すると共に、第2ピボット14の先端部を支点として回動する。第2ピボット14を支点としてキャスク5が回動すると、キャスク5の第2トラニオン12は、下側軸受34から上方側に移動し、横倒し治具7から離れる(S104)。そして、第2ピボット14を支点としてキャスク5をさらに横倒しすることで、キャスク5の第1ピボット13が、搬送架台41の第1架台45に接地する(S105)。
【0052】
キャスク横置き工程では、横倒しされたキャスク5からクレーン6を取り外すことで、横置き治具8の第1ピボット13、第2ピボット14および搬送架台41によりキャスク5を床面30上に横置き状態で支持する(S106)。
【0053】
続いて、図5を参照し、横倒しされたキャスク5を搬送する搬送方法、およびキャスク5を貯蔵する貯蔵方法について説明する。図5は、実施例1に係るキャスクの搬送方法および貯蔵方法の一例を示す説明図である。
【0054】
図5のS107に示すように、キャスク5は、横置き治具8の第1ピボット13、第2ピボット14および搬送架台41を介して床面30上に横置き状態で支持されている。キャスク5を搬送する場合、空気により搬送架台41ごとキャスク5を浮上させるエアパレット60を用いてキャスク5を移動させる。エアパレット60は、搬送架台41の第1架台45および第2架台46のそれぞれの隙間55に、キャスク5の軸方向外側からそれぞれ挿入される(S108)。
【0055】
図5のS109に示すように、第1架台45および第2架台46の隙間55にそれぞれ挿入されたエアパレット60は、空気が供給されることで搬送架台41ごとキャスク5を浮上させる。そして、浮上したキャスク5は所定の位置へ向けて移動させられる。キャスク5が所定の位置に到達すると、エアパレット60の空気の供給が停止されることで、キャスク5は所定の位置に設置される。そして、エアパレット60は、搬送架台41の第1架台45および第2架台46のそれぞれの隙間55から、キャスク5の軸方向外側へ向けて取り出される(S110)。
【0056】
所定の位置に設置されたキャスク5には、その周面に転動規制部材42が当接する。転動規制部材42は、キャスク5の周面に当接して、キャスク5の転動を規制する。転動規制部材42は、キャスク5の軸心を挟んで両側にそれぞれ設けられ、床面30上に固定可能となっている。転動規制部材42は、キャスク5と対向する側面の反対側の側面を開口する箱状に形成されており、転動規制部材42の内部には、鉛直方向にリブ63が設けられている。また、転動規制部材42は、キャスク5と対向する側面と、天面との間に、傾斜する規制面65を有しており、規制面65は、キャスク5の周面に当接して、キャスク5の転動を規制する。
【0057】
図5のS111に示すように、所定の位置に設置されたキャスク5には、一対の転動規制部材42が、キャスク5の軸心を挟んで両側にそれぞれ設けられる。このとき、各転動規制部材42の規制面65が、キャスク5の周面に当接するように配置される。キャスク5の周面に規制面65を当接させた転動規制部材42は、ボルトにより床面30に締結されることで固定される(S112)。そして、キャスク5は、S112に示す状態で貯蔵される。
【0058】
以上のように、実施例1の構成によれば、一対の第2トラニオン12を回動中心にキャスク5を横倒しすることで、キャスク5の周面と第2架台46の載置面43bとの間に第2ピボット14を位置させることができる。この後、第2ピボット14を支点にキャスク5をさらに横倒しすることで、キャスク5の周面と第1架台45の載置面43aとの間に第1ピボット13を位置させることができる。これにより、キャスク5は、横置き治具8の第1ピボット13、第2ピボット14および搬送架台41により横置き状態で床面30上に支持することができる。このとき、キャスク5の横倒し時における中心が第2トラニオン12から第2ピボット14に変わるため、キャスク5と載置面43との間に形成される隙間は、第2ピボット14の厚さによって規定されることになる。このため、第2ピボット14の厚さは、キャスク5を支持可能に薄くすることができるため、載置面43に対するキャスク5の高さを低くすることができ、これにより、キャスク5の重心を低くすることができる。よって、キャスク5の重心を低くできることから、耐震性を確保することができ、構成を簡易なものにしつつ、製造コストの増大を抑制することができる。
【0059】
また、実施例1の構成によれば、支持体として機能する第1ピボット13および第2ピボット14をキャスク本体10の周面に設けることができるため、キャスク5を横倒しすることで、キャスク本体10と載置面43との間に、第1ピボット13および第2ピボット14を容易に位置させることができる。
【0060】
また、実施例1の構成によれば、第1ピボット13および第2ピボット14の内部に中性子遮蔽材23を設けることができるため、第1ピボット13および第2ピボット14を介して外部に出射する中性子を好適に遮蔽することができる。
【0061】
また、実施例1の構成によれば、第1ピボット13および第2ピボット14と、床面30との間に搬送架台41を設け、搬送架台41にエアパレット60を挿入可能な隙間55を形成することができる。このため、搬送架台41の隙間55にエアパレット60を挿入して、キャスク5を搬送することができる。
【0062】
また、実施例1の構成によれば、横置き治具8の転動規制部材42により、キャスク5の転動を規制することができるため、横置き状態のキャスク5の耐震性を更に高めることができる。
【0063】
また、実施例1の構成によれば、第2ピボット14を支点としてキャスク5を横倒しする際、横倒し治具7の係合を解除することにより、横倒し治具7によってキャスク5の横倒しを妨げることなく、キャスク5を好適に横倒しすることができる。
【実施例2】
【0064】
次に、図6から図9を参照して、実施例2に係るキャスク5の横倒しシステム70について説明する。なお、実施例2では、実施例1と重複した記載を避けるべく、実施例1と異なる部分についてのみ説明すると共に、実施例1と重複する部分については同じ符号を用いて説明する。実施例1に係るキャスク5の横倒しシステム1では、横置き治具8として搬送架台41を有する構成であったが、実施例2に係るキャスク5の横倒しシステム70では、横置き治具8の搬送架台41を排した構成となっている。
【0065】
図6は、実施例2に係るキャスクの横倒しシステムの概略構成図である。横倒しシステム70は、キャスク5と、クレーン6と、横倒し治具7と、横置き治具8とを備えている。なお、クレーン6および横倒し治具7は、実施例1と同様の構成であるため、説明を省略する。この横倒しシステム70では、床面74がキャスク5を載置する載置面となっており、床面74には、段部73が形成されている。つまり、床面74は、段部73を挟んで上方側となる上方側床面74aと、下方側となる下方側床面74bとを有している。
【0066】
図7は、実施例2に係るキャスクの外観斜視図である。キャスク5は、キャスク本体10と、一対の第1トラニオン11と、一対の第2トラニオン12と、第1ピボット75と、第2ピボット76とを有している。なお、キャスク本体10、一対の第1トラニオン11および一対の第2トラニオン12は、実施例1と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0067】
第1ピボット75および第2ピボット76は、キャスク本体10を横置き状態で支持する支持体として機能しており、横置き治具8の一部を構成している。図7に示すように、第1ピボット75は、キャスク本体10の胴本体16に一体に取り付けられ、キャスク本体10の胴本体16の周面から、キャスク本体10の径方向外側に突出して設けられている。このため、胴本体16と外筒19との間に設けられた中性子遮蔽材21は、第1ピボット75が設けられる部分において欠損している。また、第1ピボット75は、突出方向における先端部が円弧形状に形成され、回動軸L1の軸方向に延在して設けられている。この第1ピボット75の先端部には、キャスク5を搬送するエアパレット60が挿入される隙間79が形成されている。隙間79は、第1ピボット75の先端部の延在方向(回動軸L1の軸方向)における中央部を、凹ませて形成されている。なお、隙間79は、第1ピボット75を切り欠いて形成されるが、形成方法については限定されない。そして、第1ピボット75は、キャスク5の横置き時において、キャスク本体10と床面74との間に位置する。このとき、第1ピボット75の先端部は、円弧形状に形成されているため、床面74に対して線接触する。また、第1ピボット75は、実施例1と同様に、その内部に中性子遮蔽材23を有している。なお、第2ピボット76も、第1ピボット75と同様の構成であるため説明を省略する。
【0068】
次に、図8を参照して、上記のように構成されたキャスク5の横倒しシステム70を用いたキャスク5の横倒し方法について説明する。図8は、実施例2に係るキャスクの横倒し方法の一例を示す説明図である。なお、キャスク5の横倒し方法についても、実施例1と異なる部分についてのみ説明する。
【0069】
キャスク5の横倒し方法は、実施例1と同様に、キャスク移載工程(容器移載工程)と、横倒し治具係合工程と、キャスク横倒し工程(容器横倒し工程)と、キャスク横置き工程(容器横置き工程)とが順に行われている。
【0070】
図8のS201に示すように、キャスク移載工程では、クレーン6によりキャスク5を吊り上げることで、キャスク5を垂直状態とし、垂直状態のキャスク5を横倒し治具7へ向けて移動させる。
【0071】
クレーン6によりキャスク5が横倒し治具7へ向けて移動させられると、図8のS202に示すように、横倒し治具係合工程が行われる。横倒し治具係合工程を行う際、横倒し治具7は下方側床面74b上に設置されており、上側軸受35は取り外された状態となっている。横倒し治具係合工程では、上側軸受35が取り外された各軸受31に、キャスク5の各第2トラニオン12を設置させ、下側軸受34に上側軸受35が装着されることで、横倒し治具7に一対の第2トラニオン12を回動自在に係合させる。
【0072】
横倒し治具7にキャスク5の一対の第2トラニオン12が回動自在に係合すると、図8のS203からS205に示すように、キャスク横倒し工程が行われる。キャスク横倒し工程では、先ず、一対の第2トラニオン12を回動軸L2の中心として、クレーン6によりキャスク5を横倒しする。そして、図8のS203に示すように、キャスク5が横倒しされると、上方側床面74aに、キャスク5の第2ピボット76が接地する。
【0073】
上方側床面74aに第2ピボット76が接地すると、横倒し治具7の上側軸受35が取り外されることで、横倒し治具7の係合が解除される。この後、クレーン6によりキャスク5がさらに横倒しされると、キャスク5は、第2ピボット76の先端部を支点として回動する。第2ピボット76を支点としてキャスク5が回動すると、キャスク5の第2トラニオン12は、下側軸受34から上方側に移動し、横倒し治具7から離れる(S204)。そして、第2ピボット76を支点としてキャスク5をさらに横倒しすることで、キャスク5の第1ピボット75が、上方側床面74aに接地する(S205)。
【0074】
キャスク横置き工程では、横倒しされたキャスク5からクレーン6を取り外すことで、横置き治具8の第1ピボット75および第2ピボット76によりキャスク5を床面74上に横置き状態で支持する(S206)。
【0075】
続いて、図9を参照し、横倒しされたキャスク5を搬送する搬送方法、およびキャスク5を貯蔵する貯蔵方法について説明する。図9は、実施例2に係るキャスクの搬送方法および貯蔵方法の一例を示す説明図である。なお、キャスク5を搬送する搬送方法、およびキャスク5を貯蔵する貯蔵方法についても、実施例1と異なる部分についてのみ説明する。
【0076】
図9のS207に示すように、キャスク5は、横置き治具8の第1ピボット75および第2ピボット76を介して床面74上に横置き状態で支持されている。キャスク5を搬送する場合、エアパレット60を用いてキャスク5を移動させる。エアパレット60は、第1ピボット75および第2ピボット76のそれぞれの隙間79に、キャスク5の軸方向外側から挿入される(S208)。
【0077】
図9のS209に示すように、第1ピボット75および第2ピボット76の隙間79にそれぞれ挿入されたエアパレット60は、空気が供給されることでキャスク5を浮上させる。そして、浮上したキャスク5は所定の位置へ向けて移動させられる。キャスク5が所定の位置に到達すると、エアパレット60の空気の供給が停止されることで、キャスク5は所定の位置に設置される。そして、エアパレット60は、第1ピボット75および第2ピボット76のそれぞれの隙間79から、キャスク5の軸方向外側へ向けて取り出される(S210)。
【0078】
図9のS211に示すように、所定の位置に設置されたキャスク5には、一対の転動規制部材42が、キャスク5の軸心を挟んで両側にそれぞれ設けられる。なお、転動規制部材42は、実施例1と比較して、鉛直方向における高さが低くなっているだけで、実施例1とほぼ同様の構成であるため、説明を省略する。各転動規制部材42は、その規制面65が、キャスク5の周面に当接するように配置される。キャスク5の周面に規制面65を当接させた転動規制部材42は、ボルトにより床面74に締結されることで固定される(S212)。そして、キャスク5は、S212に示す状態で貯蔵される。
【0079】
以上のように、実施例2の構成によれば、第1ピボット75および第2ピボット76の隙間79にエアパレット60を挿入して、キャスク5を搬送することができる。このため、第1ピボット75および第2ピボット76と、床面74との間に、実施例1の搬送架台41を設ける必要がない分、キャスク5の重心を更に低くすることができる。よって、キャスク5の重心を低くできることから、耐震性をより向上させることができ、構成を簡易なものにしつつ、製造コストの増大を抑制することができる。
【0080】
なお、実施例1および実施例2では、支持体として機能する第1ピボット13,75および第2ピボット14,76をキャスク本体10の周面に設けたが、この構成に限定されない。つまり、支持体を載置面(床面)上に設け、載置面上に設けた支持体を支点として、キャスク5を横倒ししてもよい。
【0081】
また、実施例1および実施例2では、エアパレット60を用いてキャスク5を搬送したが、この構成に限定されず、油圧または空気圧によってキャスク5を持ち上げ可能な搬送パレットを用いてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 横倒しシステム
5 キャスク
6 クレーン
7 横倒し治具
8 横置き治具
10 キャスク本体
11 第1トラニオン
12 第2トラニオン
13 第1ピボット
14 第2ピボット
23 第1ピボットおよびの第2ピボット中性子遮蔽材
25 吊り下げ治具
30 床面
31 軸受
33 基台
34 下側軸受
35 上側軸受
41 搬送架台
42 転動規制部材
43 載置面
45 第1架台
46 第2架台
55 隙間
60 エアパレット
65 規制面
70 横倒しシステム(実施例2)
74 床面
75 第1ピボット(実施例2)
76 第2ピボット(実施例2)
79 隙間(実施例2)
L1 回動軸
L2 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状となる放射性物質格納容器の軸方向が水平方向となる横置き状態で、前記放射性物質格納容器を載置面上に支持するための横置き治具であって、
横置きされる前記放射性物質格納容器の周面と前記載置面との間に設けられる支持体を備え、
前記支持体は、前記放射性物質格納容器の軸方向が鉛直方向となる垂直状態から横置き状態となる横倒し時において、横倒しされる前記放射性物質格納容器の支点となることを特徴とする横置き治具。
【請求項2】
前記支持体は、前記放射性物質格納容器の周面に一体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の横置き治具。
【請求項3】
前記支持体は、その内部に中性子遮蔽材を有していることを特徴とする請求項2に記載の横置き治具。
【請求項4】
床面に設置され、前記載置面を有する搬送架台を更に備え、
前記搬送架台は、前記放射性物質格納容器を搬送するための搬送パレットが挿入される隙間を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の横置き治具。
【請求項5】
前記載置面は、床面であり、
前記支持体は、前記放射性物質格納容器を搬送するための搬送パレットが挿入される隙間を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の横置き治具。
【請求項6】
前記支持体に横置きされる前記放射性物質格納容器の周面に当接し、前記放射性物質格納容器の転動を規制する転動規制部材を更に備え、
前記転動規制部材は、前記載置面上に固定されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の横置き治具。
【請求項7】
軸方向が水平方向となる横置き状態で、載置面上に支持される円柱状の容器本体と、
前記容器本体の軸方向の一方側の周面から突出する一対の第1トラニオンと、
前記容器本体の軸方向の他方側の周面から突出する一対の第2トラニオンと、
前記容器本体の周面に設けられ、前記載置面に接して前記容器本体を横置き状態で支持する支持体と、を備え、
前記支持体は、前記容器本体の軸方向が鉛直方向となる垂直状態から横置き状態となる横倒し時において、横倒しされる前記容器本体の支点となることを特徴とする放射性物質格納容器。
【請求項8】
円柱状の放射性物質格納容器の軸方向の一方側の周面から突出する一対の第1トラニオンと回動可能に係合するクレーンにより、軸方向が鉛直方向となる垂直状態となった前記放射性物質格納容器の軸方向の他方側の周面から突出する一対の第2トラニオンと回動可能に係合する横倒し治具であって、
前記クレーンにより垂直状態から軸方向が水平方向となる横置き状態となるように載置面上に横倒しされる前記放射性物質格納容器の周面と前記載置面との間には、前記放射性物質格納容器を前記載置面上に横置き状態で支持するための支持体が設けられており、
係合する前記一対の第2トラニオンを回動中心として、前記放射性物質格納容器が横倒しされ、前記放射性物質格納容器の軸方向の他方側が前記支持体を介して前記載置面に接地し、前記支持体を支点として、前記放射性物質格納容器が横倒しされると、前記一対の第2トラニオンとの係合を解除することを特徴とする横倒し治具。
【請求項9】
軸方向の一方側の周面から突出する一対の第1トラニオンと、軸方向の他方側の周面から突出する一対の第2トラニオンとを有する円柱状の放射性物質格納容器と、
前記一対の第1トラニオンに回動可能に係合して、前記放射性物質格納容器の軸方向が鉛直方向となる垂直状態で、前記放射性物質格納容器を移載するクレーンと、
垂直状態となる前記放射性物質格納容器の前記一対の第2トラニオンと回動可能に係合する横倒し治具と、
前記クレーンにより垂直状態から軸方向が水平方向となる横置き状態となるように載置面上に横倒しされる前記放射性物質格納容器の周面と、前記載置面との間に設けられる支持体を有し、前記放射性物質格納容器を前記載置面上に横置き状態で支持するための横置き治具と、を備え、
前記支持体は、横倒しされる前記放射性物質格納容器の支点となることを特徴とする放射性物質格納容器の横倒しシステム。
【請求項10】
軸方向の一方側の周面から突出する一対の第1トラニオンと、軸方向の他方側の周面から突出する一対の第2トラニオンとを有する円柱状の放射性物質格納容器と、
前記一対の第1トラニオンに回動可能に係合して、前記放射性物質格納容器の軸方向が鉛直方向となる垂直状態で、前記放射性物質格納容器を移載するクレーンと、
垂直状態となる前記放射性物質格納容器の前記一対の第2トラニオンと回動可能に係合する横倒し治具と、
前記クレーンにより垂直状態から軸方向が水平方向となる横置き状態となるように載置面上に横倒しされる前記放射性物質格納容器の周面と、前記載置面との間に設けられる支持体を有し、前記放射性物質格納容器を前記載置面上に横置き状態で支持するための横置き治具と、を用いて前記放射性物質格納容器を横倒しする放射性物質格納容器の横倒し方法であって、
前記クレーンにより垂直状態となる前記放射性物質格納容器を前記横倒し治具へ向けて移載する容器移載工程と、
垂直状態となる前記放射性物質格納容器の前記一対の第2トラニオンを前記横倒し治具に回動可能に係合させる横倒し治具係合工程と、
前記クレーンによって垂直状態から横置き状態となるように前記放射性物質格納容器を横倒しする容器横倒し工程と、
横倒しされる前記放射性物質格納容器の周面と前記載置面との間に前記支持体を位置させて、前記横置き治具により前記放射性物質格納容器を横置き状態で支持する容器横置き工程と、を備え、
前記容器横倒し工程では、前記横倒し治具と係合する前記一対の第2トラニオンを回動中心として、前記放射性物質格納容器が横倒しされ、前記放射性物質格納容器の軸方向の他方側が前記支持体を介して前記載置面に接地すると、前記支持体を支点として、前記放射性物質格納容器が横倒しされることを特徴とする放射性物質格納容器の横倒し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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