説明

樹木頂点認識方法及び樹木頂点認識のプログラム並びに樹木頂点認識装置

【課題】自動的に単木の頂点を認識する樹木認識装置を得る。
【解決手段】樹木高算出部14がDSMとDEMデータの差分Zci(Zci、Zci・・)をとることによって樹木高のグリッドデータDi(D1、D2、・・・)を算出し、画像フィルタ16が3×3範囲で順次平均化し、尾根谷度算出部17が「尾根谷度」データを作成することによって樹冠の立体形状の特徴を判別する。さらに、尾根谷度のデータDeiに局所最大値フィルタ20を順次適用し、樹木頂点候補抽出部21が頂点候補を抽出し、樹冠上部抽出部23が尾根谷度データDeiに森林の状態に応じた閾値を設けることによって樹冠の上部のデータを抽出して、樹木頂点決定部25がこれらの中から最高樹木高のものを求め、その点を樹木頂点と決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ計測で得た多数の樹木データ(DSM、DEM)から単木の頂点を認識する樹木頂点認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
京都議定書が2005年2月に発効され、森林の炭素吸収量で−3.9%のCO2削減を目標としている。また、森林のCO2吸収量の算出に当たっては、樹木本数、樹冠面積、樹高等の林分パラメータが必要である。
【0003】
例えば、山地の特定エリアの唐松の本数を特定する場合には、写真画像等のそのエリア内の唐松の樹木の頂点を目視で特定し、これらの総数を求めていた。
【0004】
また、レーザ測距儀(以下、航空レーザ)を活用して樹木本数を推定する場合もある。
【0005】
具体的には、航空レーザ計測により取得されたデータを用いて表層のグリッドデータ(以下、DSM:Digital Surface Model)と地盤のグリッドデータ(以下、DEM:Digital Elevation Model)を作成する。さらに、DSMとDEMデータの差分をとることによって樹木高のグリッドデータを算出し、樹木高や樹木高の極大値を判別指標として単木抽出を行っていた。
【0006】
一方、樹木の二酸化炭素の算出にあたっては以下に説明する特許文献が開示されている。
【0007】
特開2005−52045号公報(特許文献1)は、土壌−植物−大気循環系における放射、エネルギー、水及び二酸化炭素の交換プロセスに基づいて植生の影響を評価するものである。
【0008】
また、特開2004−33149号公報(特許文献2)は、施業林分における立木の直径、本数及び配置の調査を自動的に行うものである。
【特許文献1】特開2005−52045号公報
【特許文献2】特開2004−33149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、写真画像から目視によって樹木本数を求めた場合は、非常に時間がかかる。特に、エリアが広くなるとそれだけ時間がかかる。また、写真画像から樹木を1本毎に目視で正しく特定していくには、経験が必要である。
【0010】
また、従来のDEM、DSMによって単木抽出を行う手法は、樹冠形状は複雑であることから、一つの樹冠内には複数の極大値が存在しやすく、従来の手法で単木抽出処理を行うと実本数に比べ過剰に抽出されるデメリットがある。
【0011】
本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、自動的に単木の頂点を正しく認識する樹木認識装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の樹木頂点認識方法は、上空から地上にレーザを発射して得た地盤のX、Y、Z座標値の、一定間隔のグリッドデータで構成したDEM及び樹木の表層のDSMとの差を樹木高グリッドデータとして求めると共に、この樹木高グリッドデータに基づいて単木の頂点を認識する樹木頂点認識方法である。
【0013】
前記樹木高グリッドデータに単木の樹木高を割り付けた単木樹高グリッドデータを第1の記憶手段に記憶するステップと、前記第1の記憶手段の前記単木樹高グリッドデータ毎に、一定範囲内の単木樹高グリッドデータに基づいて尾根谷度を順次求め、これを前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データとして第2の記憶手段に記憶するステップと、前記第2の記憶手段の前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データと所定範囲内の前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データのピーク値とを比較して、同一のときにその点を単木の頂点候補として抽出するステップと、前記樹冠上部が抽出される毎に、この樹冠上部内のX、Y値を有する前記単木の頂点候補のX、Y値を有する前記樹木高グリッドデータを前記第1の記憶手段から抽出し、これらの樹木高グリッドデータの内で最も樹木高が高い樹木高グリッドデータのXY座標値に対応する前記頂点候補を前記単木の頂点と認識するステップと、前記認識した単木の頂点を所定の形状にして前記表示部に表示又は前記頂点の座標値を出力するステップとを行うことを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、レーザ計測で得たDEM、DSMから自動的に単木の頂点を認識できる。
【0015】
このため、広い森林等を人手によって樹木一本毎に検索しなくともよいので、森林の財産管理等に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本実施の形態は、樹冠を際立たせて再現し、単木の頂点を認識するものである。この単木の頂点の認識のために、新たに「尾根谷度」データを作成することによって樹冠形状を判別する。
【0017】
尾根谷度は次の様に算出する。
【0018】
本実施の形態では、DEMとDSMの差のデータである樹木高のグリッドデータ(0.5m)を用いて、8方向(=全方位)に探索して地上開度(φ1)と地下開度(φ2)を求める。検索範囲は1m・2m・5m・10mの4通り試算し、樹冠形状を適切に表現できた2mに決定した。そして、検索範囲2mにおける大まかな地形を表す、地上開度と地下開度とに挟まれる角度の2等分線とを尾根谷度(φ3)と定義する。
【0019】
以下に図面を用いて樹木認識の実施の形態を説明する。
【0020】
図1は本実施の形態の樹木頂点認識装置の概略構成図である。図1に示すように、特定地域の地盤のグリッドデータ(DEM:Digital Elevation Model)を記憶したデータベース10と、特定地域の表層(森林)のグリッドデータ(DSM:Digital Surface Model)を記憶したデータベース11と、特定地域のデジタル写真を記憶したデータベース12と、表示部13と、樹木高算出部14と、樹木高データが記憶されるファイル(メモリ)15と、平滑フィルタ部16と(3ピクセル×3ピクセル)、尾根谷度算出部17と、尾根谷度が記憶されるファイル18と、表示処理部19と、局所最大フィルタ部20と、樹木頂点候補抽出部21と、樹木頂点候補データが記憶されるファイル22と、樹冠上部抽出部23と、樹冠上部データが記憶されるファイル24と、樹木頂点決定部25と、樹木頂点データが記憶されるファイル26と出力部30等を備えている。
【0021】
データベース10は、特定地域の地盤のグリッドデータ(DEM:Digital Elevation Model:本実施の形態では0.5m間隔の格子状のデータ)を記憶している。このグリッドデータは、地盤のX、Y、Z(地盤高Za)とを対応させて記憶させられている。つまり、レーザデータを読み込み、それぞれの同じ標高値を結んだ等高線図に対してTINを発生させて地面を復元する。
【0022】
データベース11は、特定地域の表層(森林)のグリッドデータ(DSM:Digital Surface Model:本実施の形態では0.5m間隔)を記憶している。このグリッドデータ(本実施の形態では0.5m間隔の格子状のデータ)は、樹木表面のX、Y、Z(Zb:樹木表面高)とを対応させて記憶している。つまり、レーザデータを読み込み、それぞれの同じ標高値を結んだ等高線図に対してTINを発生させて表層を復元する。
【0023】
すなわち、これらのグリッドデータは、格子間隔0.5mのX−Y平面直角座標系に、緯度経度に対応するX値、Y値とレーザ計測によって得られたZ値を割り当てている。
【0024】
樹木高算出部14は、データベース10のDSMとデータベース11のDEMとの差を求め、これをファイル15(メモリ)のX,Y座標に割付ける。
【0025】
平滑フィルタ部16は、Average filterとも呼ばれるものであり、ファイル15の樹木高グリッドデータDiに対して、各々のデータを中心とするX−Y座標面3×3範囲(本実施の形態では1.5m×1.5m)で平均を求め、これをファイル26に保存する。
【0026】
尾根谷度算出部17は、ファイル26に平均化された樹木高グリッドデータDdi(Dd1、Dd2・・)が保存されると、樹木高グリッドデータDdiが付加されている任意の平均化された樹木高グリッドデータDdi(以下樹木高グリッドデータDdiという)から各々のデータを中心としたX−Y座標面の任意半径の検索範囲(検索範囲は樹冠の立体形状の特徴を適切に表現できた2mに決定している。以下2m範囲毎)で尾根谷度を求め、これをファイル18に保存する。
【0027】
局所最大値フィルタ20は、ファイル18の尾根谷度のデータDeiに3×3範囲のフィルタを順次適用し、この結果をファイル27に保存する。
【0028】
樹木頂点候補抽出部21は、ファイル27の樹冠立体形状の特徴データDfi(XY、尾根谷度)とファイル18のDei(Xpi、Ypi、尾根谷度)とを比較し、同じものを頂点候補Dgiとしてファイル22に保存する。
【0029】
樹冠上部抽出部23は、ファイル18の尾根谷度データ(樹冠立体形状の特徴データDei)に森林の状態に応じた閾値を設けることによって樹冠の上部のデータDeiを抽出し、これを樹冠上部のデータDhi(Dh1、Dh2・・・)としてファイル24に保存する。
【0030】
樹木頂点決定部25は、ファイル24の樹冠の上部のデータDhi(Dh1、Dh2・・)とファイル22の頂点候補Dgi(Dg1、Dg2・・)とを重ね合わせ一致したものを仮の頂点と決定し、これをファイル28に保存する。そして、樹冠上部に複数の仮の頂点が存在するときは、この樹冠上部で最も樹木高が高いものを単木の頂点として決定し、これをファイル29に保存する(Pi)。
【0031】
表示処理部19は決定した頂点を例えば○印(△印、×印、番号等の識別)にして画面に表示する。このとき、写真画像と重ねて表示してもよい。
【0032】
出力部30は、ファイル29の頂点Piの座標(XY)に樹木番号を付けてプリンタ(図示せず)又は画面に表示する。このとき、樹木高も表示してもよい。
【0033】
(動作説明)
上記のように構成された樹木頂点特定装置について以下に動作を説明する。本実施の形態では表示部13にデータベース10のDSM及びデータベース11のDEM並びにデジタル写真を重ね表示している。
【0034】
図2は本実施の形態の樹木頂点認識装置の概略動作を説明するフローチャートである。
【0035】
本実施の形態では、樹木高算出部14が航空レーザ計測により取得されたデータ(DSM:Digital Surface Model)を読み込む(S1)。また、地盤のグリッドデータ(以下、DEM:Digital Elevation Model)を読み込む(S2)。
【0036】
そして、樹木高算出部14がDSMとDEMデータの差分Zci(Zci、Zci・・)をとり樹木高グリッドデータDiとして、ファイル15に保存する(S3)。
【0037】
この樹木高のグリッドデータDiに対して、平滑フィルタ部16(Average filter16ともいう)が3×3範囲で順次平均化し、ファイル26に保存(樹木高のグリッドデータDdi(Dd1、Dd2、・・・))する(S4)。
【0038】
次に、尾根谷度算出部17が2m範囲毎(Ddi)に地上開度及び地下開度を算出する(S5)。次に、地下開度及び地上開度を用いて尾根谷度算出部17が「尾根谷度」データを作成することによって樹冠の立体形状の特徴を判別できるようにした尾根谷画像を得てファイル18に保存する(S6)。
【0039】
尾根谷度は次の様に算出する。樹木高のグリッドデータDdiを用いて、8方向(=全方位)に探索して地上開度(φ1)と地下開度(φ2)を求める。
【0040】
検索範囲は1m・2m・5m・10mの4通り試算し、樹冠形状を適切に表現できた2mに決定した。
【0041】
そして、検索範囲2mにおける大まかな地形を表す、地上開度と地下開度に挟まれる角度の2等分線を尾根谷度(φ3)と定義していく(図9参照)。この尾根谷度のデータDeiは表示処理部19によって表示(尾根谷度画像)される。
【0042】
さらに、尾根谷度のデータDeiに局所最大値フィルタ20を順次適用し(S7)、これをファイル27に保存する。
【0043】
このとき、樹冠の大きさに限らず最小のエリアサイズである3×3範囲に固定して、樹頂点ではなく「樹頂点の候補点」を抽出し、ファイル22に樹木頂点候補Dgh(dg1、・・)として保存する(S8)。この3×3範囲に固定したのは、例えば5×5にすると、樹木頂点候補が存在しない樹冠上部が多くなるという実験結果を得たので、3×3範囲とした。
【0044】
一方で、「尾根谷度>0」は尾根地形を表現し、「尾根谷度<0」は谷地形を表現するといった性質を利用して、樹木頂点候補抽出部21が尾根谷度データに森林の状態に応じた閾値を設けることによって樹冠の上部を抽出して(S9)、冠上部抽出部24をラベリング化する(S10)。
【0045】
さらに、樹木頂点決定部25が樹頂候補点と樹冠上部エリア毎に、樹木頂点候補点の中から最高樹木高を求め、その点を樹木頂点と決定(S11)し、これを樹木頂点として抽出する(S12)。この樹木頂点の決定については後述する。
【0046】
図3は本実施の形態の樹木頂点認識装置の尾根谷度を求める処理を説明するフローチャートである。
【0047】
本実施の形態では、表示部13にオルソフォト画像を表示している(S30)。
【0048】
樹木高算出部14は、DSM(X、Y、Z)及びDEM(X、Y、Z)とを読み込み(S31)、差Zciを求め(S32)、これらを樹木高のグリッドデータDi(D1、D2、・・・)としてファイル15に保存する。
【0049】
この樹木高データDiは、図4に示すように、座標(X,Y:平面直角座標)と樹木高Zciとが対応させられたデータとなる。
【0050】
次に、平滑フィルタ部16がファイル15の多数の樹木高のグリッドデータDiに対してフィルタ16で順次平均化(3×3範囲)し(S33)、この樹木高のグリッドデータDdiをファイル26に保存する。
【0051】
次に、尾根谷度算出部17は、個々のDdiにおいて2m範囲で順次、尾根谷度を求めることによって樹冠の立体形状の特徴を判別する(S34)。
【0052】
尾根谷度は、8方向に探索(木の種類によって1m、5m、10mで行う場合もある)して地上開度と地下開度とを求め、地上開度と地下開度との差を2で割ることで求める(S34)。つまり、樹木の冠部(葉、枝)の立体形状の特徴が求められる。
【0053】
ファイル26の樹木高のグリッドデータDdiを用いて、図5に示すように8方向(=全方位)に探索して地上開度(φ1)と地下開度(φ2)を求める。検索範囲は樹冠の立体形状の特徴を適切に表現できた2mに決定している。
【0054】
図6は任意の検索範囲における樹木高のグリッドデータDdiを距離と高さからなる軸にプロットしたものである。また、図6の黒点は0.5m間隔のグリッドデータDdiを示す(2m範囲は図示せず)。
【0055】
つまり、図6は着目する標本地点から任意半径の範囲で一方向を見た場合の大まかな樹冠形状を表している。そして、この図6において、φ1が地上開度(地上角)であり、φ2が地下開度(地下角)である。そして、図7(a)(b)では地上開度と地下開度に挟まれる角度の2等分線と距離軸(水平軸)とで挟まれた角度を尾根谷度(φ3)と定義している。また、図7の黒点は0.5m間隔のグリッドデータDdiを示す(2m範囲は図示せず)
本形態では索範囲を2mとして、尾根谷度(φ3)を求め、尾根谷度のデータ(以下樹冠立体形状の特徴データDei(Dei:De1、De2・・・)としてファイル18に保存する(S36)。
【0056】

図8が樹木高をY軸とし距離をX軸として軌跡Aiの樹冠形状を表現した説明図である。図9が尾根谷度をY軸にし距離をX軸として軌跡Aiの樹冠の立体形状の特徴を表現した説明図である。
【0057】
つまり、図9に示すように尾根谷度で軌跡Aiの樹冠の立体形状の特徴を表現すると、図8より顕著に樹冠間の境界が現れる。図8及び図9の番号(1)〜(6)は写真から肉眼で読み取った樹冠エリアを示すものである。
【0058】
単木としての認識しやすさを向上するには、樹頂点とエッジ部分の値の差が大きいこと、樹頂点において値が同傾向を示すこと、エッジにおいて値が同傾向を示すこと等が挙げられる。図9に示すように、従来までの「高さ」データより本手法の「尾根谷度」データの方が先にあげた条件を満たしていることがわかる。これにより、樹冠ポリゴンを自動作成する際の精度向上に寄与することができる。
【0059】
図9においては、尾根谷度がマイナスの値となる点から急激に+方向にあがり、そして急激にマイナスの値となる点までの範囲が単木の樹冠部であることが分かる。
【0060】
また、図11は頂点候補と樹頂点の選定法を説明する図であり、各樹冠上部で樹木高が最も高い候補を選定することし示している。この樹木頂点の決定については詳細に後述する。
【0061】
次に、尾根谷度算出部17は、求めた尾根谷度を樹冠立体形状の特徴データDeiとしてファイル18(XYが対応させられている)に保存(図10参照)する(S36)。
【0062】
前述の地上開度は、各要素(Ddi)に対し、その要素から8方向に探索し、考慮距離内で最大傾斜角を求める。8方向それぞれの最大傾斜角の平均を、天頂からの角度で表す。なお、地上開度の値は考慮範囲に依存し、判読を行いたい対象のスケールに合わせて設定する必要がある。
【0063】
また、地下開度は各要素に対し、その要素から8方向に探索し、考慮距離内で最小傾斜角を求める。8方向それぞれの最小傾斜角の平均を、天頂からの角度で表す。地上開度と同様に、値は考慮範囲に依存し、判読を行いたい対象のスケールに合わせて設定する必要がある。
【0064】
尾根谷度は、算出された地上開度から地下開度を引き、2で割ることによって計算する。尾根地形は値がプラスになり、谷地形は値がマイナスで表現される。
【0065】
そして、図2の樹木頂点抽出処理に進む。樹木頂点抽出処理のステップS7でファイル18の樹冠立体形状の特徴データDei(De1、De2・・)に対して3×3の局所最大値フィルタ20(3×3範囲のウインドウを用いる)を適用して、これをファイル27に保存(Dfi)する。
【0066】
ステップS8で、樹木頂点候補抽出部21が樹冠エリア((1)、(2)・・)に存在するピーク点の樹冠立体形状の特徴データDfi(図11参照)を頂点候補(以下Dgi)として抽出し、ファイル22に保存する(図12参照)。具体的にはファイル18のデータの値とファイル27の同じ座標値のデータの値が同値の場合を「1」と、他を「0」としてファイル22に定義する(図12参照)。
【0067】
ここで、局所最大フィルタ部20及び樹木頂点候補抽出部21の処理について説明を補充する。
【0068】
つまり、局所最大フィルタ部20(Local max filter20ともいう)は、ファイル18の樹冠立体形状の特徴データDei(De1、De2・・)に3×3範囲のウインドウをかけ、このウインドウ内で最大となる値をウィンドウの中央値に置き換える処理を順次行う。これらを樹冠立体形状の特徴データDfiとしてファイル27に保存する。
【0069】
そして、樹木頂点候補算出部21が樹冠立体形状の特徴データDfi(XY、尾根谷度)とファイル18のDei(XY、尾根谷度)とを比較し、同じものを頂点候補Dgiとしてファイル22に保存している。
【0070】
一方、ステップS9で樹冠上部抽出部23が「尾根谷度>0」は尾根地形を表現し、「尾根谷度<0」は谷地形を表現するといった性質を利用して、ファイル18の尾根谷度データ(樹冠立体形状の特徴データDei)に森林の状態に応じた閾値を設けることによって樹冠の上部のデータDeiを抽出し、これを樹冠上部のデータDhi(Dh1、Dh2・・・)としてファイル24に保存する(図13参照)。
【0071】
図13(a)の樹冠の上部のデータDhiは、閾値を超えるDeiを抽出したものであり、例えば番号1のエリアのデータDeiは、(Xh5、Yh5)を「1」、(Xh6、Yh6)を「1」・・(Xh10、Yh10)を「1」として示している。
【0072】
図13の(b)は図13(a)を具体的に示すものであり、閾値を超えた頂点は「1」とする。「1」が連続している範囲が樹冠上部である。
【0073】
そして、ステップS10でファイル24の中の頂点候補DhiのXhi、Yhiをポリゴン化(座標Xhi、Yhiと色情報)して表示処理部19によってラベルリング(纏まったエリアを(上部)にラベルを振る)させる(図14参照)。
【0074】
次に、ステップS11で樹木頂点決定部25は、ファイル24の樹冠の上部のデータDhi(Dh1、Dh2・・)とファイル22の頂点候補Dgi(Dg1、Dg2・・)とを重ね合わせ一致したものを仮の頂点と決定する。そして、樹冠上部のエリア内に複数の仮の頂点が存在するときは、この樹冠上部のエリア(図8、図9においては、番号1、2・・のエリア)で最も樹木高が高いものを単木の頂点として決定し、これをファイル29に保存する(Pi)。表示処理部19は決定した頂点を画面に表示する(図15参照)。すなわち、例えば、頂点候補Dgiは図16に示すように表示されるが、頂点決定された画像は図17に示すようになる。
【0075】
前述の頂点の決定について説明を補充する。例えば、図18の(a)に示すように、ファイル24に第1列目が「00110011100」、第2列目が「01111011110」、第3列目が「00110001000」、第4列目が「00000100011」という具合に頂点上部域が得られた場合に、図18(b)に示すように、「1」が隣接するまとまり(「0」が区切り)を1つの樹冠上部としてまとまり毎に通し番号を割り振っていく。
【0076】
そして、例えば、同一高の頂点が樹冠内に複数の頂点が存在することになると、一度、ファイル28のデータDQiを表示させて、オペレータによって指定させ、指定されたものを頂点Piと決定してファイル29に保存する。
【0077】
次に、尾根谷度について説明を補充する。尾根谷度の特徴としては、図19に示すようなsinカーブの地形を考えると、尾根地形は「尾根谷度>0」、谷地形は「尾根谷度<0」で表現されるとともに、中腹のところで「尾根谷度=0」となることが挙げられる。
【0078】
ここで、わかりやすくするために、理想の樹木が図19に示すような形状をしているとすると、樹頂点では「尾根谷度>0」となっており、必ず「尾根谷度=0」となる点を通過して樹冠のエッジに到達し、そこでは「尾根谷度<0」となっていると考えられる。したがって、樹冠の上部は「尾根谷度>0」で定義できると言える。
【0079】
このことを利用して、本業務では、図20に示すように樹頂点を絞り込むこととした。つまり、尾根谷度の値を利用することによって樹冠上部を抽出し、この抽出した中に存在する樹頂候補点のうち、最も樹高(DSM-DEM)が高い候補点を樹頂点として選定することとした。
【0080】
尾根谷度の閾値について説明を補充する。
【0081】
尾根谷度に閾値を設定して樹冠上部を抽出する際、図21に示すように閾値αの場合には樹木5が抽出できなくなってしまうことがわかる。一方で、閾値βの場合には樹木5と樹木6が一本として認識されてしまう。このように、閾値によって抽出される樹頂点が左右されしまう問題を抱えている。
【0082】
したがって、ここでは、樹冠上部を抽出するための最適な閾値について検討することとした。具体的には、尾根谷度の閾値を「10,15,20,25,30」の5種類に設定して、樹頂点の抽出結果が最も良いものを採用することとした。絞込み後の樹頂点の集計結果を表1に示す。
【表1】

【0083】
表1を見ると、「尾根谷度>20」での結果が最もよかったことがわかる。これと比較して「尾根谷度>10」での抽出本数が少ない理由は隣接する樹冠が一つとして認識されたためである。また、「尾根谷度>30」での抽出本数が少ない理由は、閾値を高く設定したために抽出できなかった樹冠があったためである。
【0084】
従って、樹冠上部を抽出するための尾根谷度の閾値は「20」が最適であることがわかった。樹冠上部の抽出画像は図14、絞込み後の樹頂点抽出画像は図15に示している。
【0085】
上記のようにある山林の樹冠の頂点を算出することによって、単木を特定できるので山林の資産の管理等に適用できる。例えば、出力部30がファイル29の頂点のデータPi(X、Y、Z)を出力して印刷させると、本数と高さが分かるので山林の価値等が自動的に把握できる。
【0086】
図22においては、樹木頂点を算出した後で樹冠ポリゴンを作成している。樹冠ポリゴン作成は、ステップS12で抽出された樹木頂点とファイル18の尾根谷度を用いてWetershedアリゴリズムにより、樹冠ポリゴン(図23参照)を生成する(S13、S15)。
【0087】
また、ステップS13の閾値の決定方法は下記の通りである。
【0088】
例えばオルソフォト画像において任意の線(軌跡Ai)を引き、尾根谷度算出部が尾根谷度の横断図を作成し、これを表示する(図9に該当)。
【0089】
次に、この横断線のスタートからの追加距離(図9のX軸に相当)を追い、表示部のオルソ画像の樹冠と樹冠の境界を探す。
【0090】
そして、境界位置の追加距離を見て、その追加距離の尾根谷度(尾根谷度算出部が算出して表示させる)を図9から作業者が読み取る。
【0091】
この行程を繰り返し、樹冠上部が形成される尾根谷度を読み取る。
【0092】
図9の(1)では0と-50、(2)では-50と-20、(3)では-20と0、(4)では0と0、(5)では0と10、(6)では10と-10となった。
【0093】
この結果から、(1)〜(6)が分かれる尾根谷度10を閾値とする。
【0094】
閾値を0とすると(5)と(6)が一つの樹冠上部になるため、0は不採用とする。
【0095】
閾値を30とすると(2)では樹冠上部が2つ形成され、(5)が樹冠上部にならないので、これも不採用とする。よって、図9では尾根谷度10程度が閾値としてふさわしいことになる。このようにして決定した閾値を用いている。
【0096】
なお、上記実施の形態では航空写真を用いて説明したが、樹木高のグリッドデータ又はDEM、DSMにグレイスケールを割り当ててもよい。
【0097】
例えば、地上開度と地下開度の差分画像をグレイに、傾斜を赤のチャンネルにいれて、擬似カラー画像を作成することにより、尾根や山頂部分を白っぽく、また谷や窪地を黒っぽく表現し、傾斜が急な部分ほど赤く表現する。このような表現の組み合わせにより、1枚でも立体感のある画像(立体赤色化マップともいう)を用いてもよい。
【0098】
例えば、地上開度の値が40度から120度程度の範囲に収まる場合は、50度から110度をグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。つまり、尾根の部分(凸部)の部分ほど地上開度の値が大きいので、色が白くなる。
【0099】
また、本実施の形態は、図24に示すようなコンピュータシステムVPSによって実現するのが好ましい。VPS1は、ワークステーション、プロセッサ、マイクロコンピュータ、ロジック、レジスタ等の適宜な組み合わせからなる中央情報処理装置(CPU)と、この中央情報処理装置に必要な制御・操作情報を入力するキーボード(KB)、マウス、対話型ソフトスイッチ、外部通信チャネル等を含む情報入力部と、中央情報処理装置から出力された情報を広義な意味で表示・伝送するディスプレイ、プリンタ、外部通信チャネル等を含む情報出力部と、中央情報処理装置に読み込まれるオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等の情報が格納されたロム(ROM)と、中央情報処理装置で随時処理すべき情報及び中央情報処理装置から随時書き込まれる情報を格納するラム(RAM)等とを備える。ROM、RAMを適宜統合、細分化することは差し支えない。
【0100】
前述のアプリケーションプログラムは、本実施の形態の、樹木高算出部14と、尾根谷度算出部17と、表示処理部19と、局所最大フィルタ20(Local max filterともいう)と、樹木頂点候補抽出部21と、樹冠上部抽出部23と、樹木頂点決定部25と、出力部30等である。
【0101】
本実施形態では、開度という概念を用いている。開度は当該地点が周囲に比べて地上に突き出ている程度及び地下に食い込んでいる程度を数量化したものである。つまり、地上開度は、着目する標本地点から距離Lの範囲内で見える空の広さを表しており、また地下開度は逆立ちをして地中を見渡す時、距離Lの範囲における地下の広さを表している。
【0102】
開度は距離Lと周辺地形に依存している。一般に地上開度は周囲から高く突き出ている地点ほど大きくなり、山頂や尾根では大きな値をとり窪地や谷底では小さい。逆に地下開度は地下に低く食い込んでいる地点ほど大きくなり、窪地や谷底では大きな値をとり山頂や尾根では小さい。
【0103】
また、開度図は計算距離の指定によって、地形規模に適合した情報抽出が可能であり、方向性及び局所ノイズに依存しない表示が可能である。
【0104】
つまり、尾根線及び谷線の抽出に優れており、豊富な地形・地質情報が判読できるものであり、一定範囲のDEMデータ上において、設定した当該地点Aから8方向のいずれか一方を見たときに最大頂点となる点Bを結ぶ直線L1と、水平線とがなす角度ベクトルθiを求める。この角度ベクトルの求め方を8方向に渡って実施し、これらを平均化したものを地上開度と称し、一定範囲のDEMデータ上(地表面:立体)に空気層を押し当てた立体を裏返した反転DEMデータの当該地点Aから8方向のいずれか一方を見たときに最大頂点となる点C(一番深い所に相当する)を結ぶ直線L2と、水平線とがなす角度を求める。この角度を8方向に渡って求めて平均化したのを地下開度ψiと称している。
【0105】
すなわち、地上開度は、着目点から一定距離までの範囲に含まれるDEMデータ上において、8方向毎に地形断面を生成し、それぞれの地点と着目点を結ぶ線L1の傾斜の最大値(鉛直方向から見たとき)を求める。このような処理を8方向に対して行う。傾斜の角度は天頂からの角度(平坦なら90度、尾根や山頂では90度以上、谷底や窪地では90度以下)である。
【0106】
また、地下開度は、反転DEMデータの着目点から一定距離までの範囲において、8方向毎に地形断面を生成し、それぞれの地点と着目点を結ぶ線の傾斜の最大値(地表面の立体図において鉛直方向からL2を見たときには最小値)を求める。このような処理を8方向に対して行う。
【0107】
地表面の立体図において鉛直方向からL2を見たときの角度ψiは、平坦なら90度、尾根や山頂では90度以下、谷底や窪地では90度以上である。
【0108】
つまり、地上開度と地下開度は、2つの基本地点A(iA,jA,HA)とB(iB,jB,HB)を考える。
【0109】
AとBの距離は
P = {(iA − iB)2 + (jA − jB)2}1/2 …(1)
となる。
【0110】
標高0mを基準として、標本地点のAとBの関係を示したものである。標本地点Aから標本地点Bを見た仰角θは
θ=tan-1{(HB−HA)/P}
で与えられる。θの符号は(1)HA<HB の場合には正となり、(2)HA>HB の場合には負となる。
【0111】
着目する標本地点から方位D距離Lの範囲内にある標本地点の集合を DSL と記述して、これを「着目する標本地点のD−L集合」を呼ぶことにする。ここで、
DβL :着目する標本地点の DSL の各要素に対する仰角のうちの最大値
DδL :着目する標本地点の DSL の各要素に対する仰角のうちの最小値
として、次の定義をおこなう。
【0112】
定義1:着目する標本地点のD−L集合の地上角及び地下角とは、各々
DφL =90− DβL
及び
DψL =90+ DδL
を意味するものとする。
【0113】
DφL は着目する標本地点から距離L以内で方位Dの空を見ることができる天頂角の最大値を意味している。一般に言われる地平線角とはLを無限大にした場合の地上角に相当している。また、DψL は着目する標本地点から距離L以内で方位Dの地中を見ることができる天底角の最大値を意味している。Lを増大させると、 DSL に属する標本地点の数は増加することから、 DβL に対して非減少特性を持ち、逆に DδL は非増加特性を持つ。したがって DφL 及びDψLは共にLに対して非増加特性を持つことになる。
【0114】
測量学における高角度とは、着目する標本地点を通過する水平面を基準にして定義される概念であり、θとは厳密には一致しない。また地上角及び地下角を厳密に議論しようとすれば、地球の曲率も考慮しなければならず、定義1は必ずしも正確な記述ではない。定義1はあくまでもDEMを用いて地形解析をおこなうことを前提として定義された概念である。
【0115】
地上角及び地下角は指定された方位Dについての概念であったが、これを拡張したものとして、次の定義を導入する。
【0116】
定義II:着目する標本地点の距離Lの地上開度及び地下開度とは、各々 ΦL=(0φL +45φL +90φL +135φL +180φL +225φL +270φL +315φL )/8
及び
ΨL=(0ψL +45ψL +90ψL +135ψL +180ψL +225ψL +270ψL +315ψL )/8
を意味するものとする。
【0117】
地上開度は着目する標本地点から距離Lの範囲内で見える空の広さを表しており、また地下開度は逆立ちをして地中を見渡す時、距離Lの範囲における地下の広さを表している。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本実施の形態の樹木頂点認識装置の概略構成図である。
【図2】本実施の形態の樹木頂点認識装置の概略動作を説明するフローチャートである。
【図3】本実施の形態の樹木頂点認識装置の尾根谷度を求める処理を説明するフローチャートである。
【図4】樹木高データDiの説明図である。
【図5】尾根谷度の算出を説明する説明図である。
【図6】尾根谷度の算出を説明する説明図である。
【図7】尾根谷度の算出を説明する説明図である。
【図8】樹木高をY軸とし距離をX軸として軌跡Aiの樹冠形状を表現した説明図である。
【図9】尾根谷度をY軸にし距離をX軸として軌跡Aiの樹冠の立体形状の特徴を表現した説明図である。
【図10】樹木高グリッドデータの説明図である。
【図11】尾根谷度による頂点候補の算出を説明する説明図である。
【図12】頂点候補Dgiの説明図である。
【図13】樹冠の上部のデータDhiの説明図である。
【図14】樹冠上部のラベリングを説明する説明図である。
【図15】決定した頂点を画面の説明図である。
【図16】頂点決定までの説明図である。
【図17】頂点決定までの説明図である。
【図18】頂点決定までの説明図である。
【図19】尾根谷度の説明図である。
【図20】尾根谷度の説明図である。
【図21】閾値と樹冠部の関係を説明する説明図である。
【図22】他の実施の形態を説明するフローチャートである。
【図23】他の実施の形態によって得られた樹冠のポリゴンを説明する説明図である。
【図24】本実施の形態の具体的なハードウエア構成図である。
【符号の説明】
【0119】
10 データベース
11 データベース
13 表示部
14 樹木高算出部
17 尾根谷度算出部
21 樹木頂点候補抽出部
23 樹冠上部抽出部
25 樹木頂点決定部
30 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上空から地上にレーザを発射して得た地盤のX、Y、Z座標値の、一定間隔のグリッドデータで構成したDEM及び樹木の表層のDSMとの差を樹木高グリッドデータとして求めると共に、この樹木高グリッドデータに基づいて単木の頂点を認識する樹木頂点認識方法であって、
前記樹木高グリッドデータに単木の樹木高を割り付けた単木樹高グリッドデータを第1の記憶手段に記憶するステップと、
前記第1の記憶手段の前記単木樹高グリッドデータ毎に、一定範囲内の単木樹高グリッドデータに基づいて尾根谷度を順次求め、これを前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データとして第2の記憶手段に記憶するステップと、
前記第2の記憶手段の前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データと所定範囲内の前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データのピーク値とを比較して、同一のときにその点を単木の頂点候補として抽出するステップと、
前記樹冠上部が抽出される毎に、この樹冠上部内のX、Y値を有する前記単木の頂点候補のX、Y値を有する前記樹木高グリッドデータを前記第1の記憶手段から抽出し、これらの樹木高グリッドデータの内で最も樹木高が高い樹木高グリッドデータのXY座標値に対応する前記頂点候補を前記単木の頂点と認識するステップと、
前記認識した単木の頂点を所定の形状にして前記表示部に表示又は前記頂点の座標値を出力するステップと
を行うことを特徴とする樹木頂点認識方法。
【請求項2】
第3の記憶手段を有し、
前記頂点候補の算出は、
前記第2の記憶手段の前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データに対して所定範囲のウインドウをかけ、このウインドウ内で最大となる尾根谷度の値を前記ウインドウの中央値に置き換え、これを前記第3の記憶手段に記憶するステップと、
前記第3の記憶手段に記憶された中央値(X、Y、尾根谷度)と前記第2の記憶手段の前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データ(X、Y、尾根谷度)とを比較し、X、Y、尾根谷度が同じ樹木の立体的形状の特徴データを前記頂点候補として抽出するステップと
を行うことによって算出することを特徴とする請求項1記載の樹木頂点認識方法。
【請求項3】
前記尾根谷度の算出は、
前記第1の記憶手段の所定範囲の前記樹木高グリッドデータを平滑するステップと、
該平滑化した樹木高グリッドデータに対して一定範囲の地上開度及び地下開度を求めるステップと、
求めた前記地上開度及び前記地下開度に対して、前記地上開度と前記地下開度に挟まれる角度のニ等分線と水平線とに挟まれた角度を前記尾根谷度として求めるステップと、
これを第2の記憶手段に記憶するステップと、
を行うことによって算出することを特徴とする請求項1又は2記載の樹木頂点認識方法。
【請求項4】
前記表示部に表示された画像は、X、Y座標値が割付けられた写真画像であり、
前記写真画像に描かれた軌跡の始点から終点までのX,Y座標値を読み込むステップと
該読み込んだX,Y座標値を有する前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データを前記第2の記憶手段から抽出するステップと、
該抽出した単木の樹冠の立体的形状の特徴データの尾根谷度とX、Y座標値を、尾根谷度とX,Y軸とからなる座標系に定義して、前記表示部に表示するステップと
を行うことを特徴とする請求項1、2又は3のいずれかに記載の樹木頂点認識方法。
【請求項5】
前記表示部に前記DEM、DSM又は前記写真画像を表示させるステップを有し、
前記表示部に描かれた軌跡のXY座標値を読み込むステップと、
前記軌跡の前記樹木高グリッドデータを前記第1の記憶手段から抽出し、該抽出した樹木高グリッドデータを、X、Y軸と樹木高とからなる座標系に定義して前記表示部に表示するステップと
を行うことを特徴とする請求項1、2、3又は4のいずれかに記載の樹木頂点認識方法。
【請求項6】
上空から地上にレーザを発射して得た地盤のX、Y、Z座標値の、一定間隔のグリッドデータで構成したDEM及び樹木の表層のDSMとの差を樹木高グリッドデータとして求めると共に、この樹木高グリッドデータに基づいて単木の頂点を認識する樹木頂点認識のプログラムであって、
コンピュータに、
前記樹木高グリッドデータに単木の樹木高を割り付けた単木樹高グリッドデータを第1の記憶手段に記憶する手段、
前記第1の記憶手段の前記単木樹高グリッドデータ毎に、一定範囲内の単木樹高グリッドデータに基づいて尾根谷度を順次求め、これを前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データとして第2の記憶手段に記憶する手段、
前記第2の記憶手段の前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データと所定範囲内の前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データのピーク値とを比較して、同一のときにその点を単木の頂点候補として抽出する手段、
前記樹冠上部が抽出される毎に、この樹冠上部内のX、Y値を有する前記単木の頂点候補のX、Y値を有する前記樹木高グリッドデータを前記第1の記憶手段から抽出し、これらの樹木高グリッドデータの内で最も樹木高が高い樹木高グリッドデータのXY座標値に対応する前記頂点候補を前記単木の頂点と認識する手段、
前記認識した単木の頂点を所定の形状にして前記表示部に表示又は前記頂点の座標値を出力する手段
としての機能を実行させるための樹木頂点認識のプログラム。
【請求項7】
コンピュータに、
前記第2の記憶手段の前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データに対して所定範囲のウインドウをかけ、このウインドウ内で最大となる尾根谷度の値を前記ウインドウの中央値に置き換える手段、
これを前記第3の記憶手段に記憶する手段、
前記第3の記憶手段に記憶された中央値(X、Y、尾根谷度)と前記第2の記憶手段の前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データ(X、Y、尾根谷度)とを比較し、X、Y、尾根谷度が同じ樹木の立体的形状の特徴データを前記頂点候補として抽出する手段
としての機能を実行させるための請求項6記載の樹木頂点認識のプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
前記尾根谷度の算出として、
前記第1の記憶手段の所定範囲の前記樹木高グリッドデータを平滑する手段、
該平滑化した樹木高グリッドデータに対して一定範囲の地上開度及び地下開度を求める手段、求めた前記地上開度及び前記地下開度に対して、前記地上開度と前記地下開度に挟まれる角度のニ等分線と水平線とに挟まれた角度を前記尾根谷度として求める手段、
これを第2の記憶手段に記憶する手段、
としての機能を実行させるための請求項6又は7記載の樹木頂点認識のプログラム。
【請求項9】
前記表示部に表示された画像は、X、Y座標値が割付けられた写真画像であり、
コンピュータに、
前記写真画像に描かれた軌跡の始点から終点までのX,Y座標値を読み込む手段、
該読み込んだX,Y座標値を有する前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データを前記第2の記憶手段から抽出する手段、
該抽出した単木の樹冠の立体的形状の特徴データの尾根谷度とX、Y座標値を、尾根谷度とX,Y軸とからなる座標系に定義して、前記表示部に表示する手段、
としての機能を実行させるための請求項6、7又は8のいずれかに記載の樹木頂点認識のプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
前記表示部に前記DEM、DSM又は前記写真画像を表示させる手段、
前記表示部に描かれた軌跡のXY座標値を読み込む手段、
前記軌跡の前記樹木高グリッドデータを前記第1の記憶手段から抽出し、該抽出した樹木高グリッドデータを、X、Y軸と樹木高とからなる座標系に定義して前記表示部に表示する手段、
としての機能を実行させるための請求項6、7、8又は9のいずれかに記載の樹木頂点認識のプログラム。
【請求項11】
上空から地上にレーザを発射して得た地盤のX、Y、Z座標値の、一定間隔のグリッドデータで構成したDEM及び樹木の表層のDSMとの差を樹木高グリッドデータとして求めると共に、この樹木高グリッドデータに基づいて単木の頂点を認識する樹木頂点認識装置であって、
前記樹木高グリッドデータに単木の樹木高を割り付けた単木樹高グリッドデータを第1の記憶手段に記憶する手段と、
前記第1の記憶手段の前記単木樹高グリッドデータ毎に、一定範囲内の単木樹高グリッドデータに基づいて尾根谷度を順次求め、これを前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データとして第2の記憶手段に記憶する手段と、
前記第2の記憶手段の前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データと所定範囲内の前記単木の樹冠の立体的形状の特徴データのピーク値とを比較して、同一のときにその点を単木の頂点候補として抽出する手段と、
前記樹冠上部が抽出される毎に、この樹冠上部内のX、Y値を有する前記単木の頂点候補のX、Y値を有する前記樹木高グリッドデータを前記第1の記憶手段から抽出し、これらの樹木高グリッドデータの内で最も樹木高が高い樹木高グリッドデータのXY座標値に対応する前記頂点候補を前記単木の頂点と認識する手段と、
前記認識した単木の頂点を所定の形状にして前記表示部に表示又は前記頂点の座標値を出力する手段と
を有することを特徴とする樹木頂点認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図24】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−111724(P2008−111724A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−294808(P2006−294808)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(591074161)アジア航測株式会社 (48)