説明

樹脂組成物及びそれらを用いて成形された成形体、レンズ鏡筒

【課題】少量のカーボンナノチューブで優れた導電性と成形性を得ることが可能となる樹脂組成物及びそれらを用いて成形された成形体、レンズ鏡筒を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂中に、少なくともカーボンナノチューブとエチレン共重合体を含有し導電性を有する樹脂組成物であって、前記エチレン共重合体が前記熱可塑性樹脂と海島構造をとることなく相溶し、その相溶した樹脂が前記熱可塑性樹脂と前記カーボンナノチューブの間隙を埋め、これら熱可塑性樹脂とカーボンナノチューブの密着性を向上させる構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物及びそれらを用いて成形された成形体、レンズ鏡筒に関し、特に少量のカーボンナノチューブで優れた導電性と成形性を得ることができる樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂にカーボンナノチューブを配合することによって、所望の導電性を有する樹脂組成物が知られている。例えば、特許文献1ではカーボンナノチューブを樹脂に配合する技術が開示されている。また、樹脂組成物中におけるカーボンナノチューブの形態としては、特許文献2、特許文献3、特許文献4等に挙げられるように、樹脂中にカーボンナノチューブが凝集体を形成、または絡み合った状態であるものが知られている。
【0003】
一方、特許文献5では、樹脂中に配合するカーボンナノチューブの配合量を低減させた際に生じる、導電性付与能力や導電性の均一性が阻害される等の問題を、カーボンナノチューブと合わせて炭素繊維等の他の導電性繊維を混合することにより解決する提案がなされている。
【特許文献1】特許2641712
【特許文献2】特開平7−102112号公報
【特許文献3】特許2862578号公報
【特許文献4】特許3034027号公報
【特許文献5】特開2003−12939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カーボンナノチューブは、非常に高価な材料であり、その配合量の低減が望まれるところ、上記特許文献1〜4の樹脂組成物において、単に樹脂中におけるカーボンナノチューブの配合量を低減させるだけでは、「所望の導電性が得られない」、「樹脂導電性の不均一性」、「成形条件により導電性・分布が大きく変化する」、等の問題が発生する。
これに対して、上記特許文献5に示されるものでは、導電性に関する問題は改善されるものの、成形性の点で必ずしも満足のできるものではなく、カーボンナノチューブを使用する利点を、最大限に生かすことができないものであった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、少量のカーボンナノチューブで優れた導電性と成形性を得ることが可能となる樹脂組成物及びそれらを用いて成形された成形体、レンズ鏡筒を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のように構成した樹脂組成物及びそれらを用いて成形された成形体、レンズ鏡筒を提供するものである。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、導電性を有する樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂中に、少なくともカーボンナノチューブとエチレン共重合体を含むことを特徴としている。その際、前記エチレン共重合体を、前記熱可塑性樹脂と海島構造をとることなく相溶させ、その相溶した樹脂が前記熱可塑性樹脂と前記カーボンナノチューブの間隙を埋めることにより、これら熱可塑性樹脂とカーボンナノチューブの密着性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、少量のカーボンナノチューブで優れた導電性と成形性を得ることが可能となる樹脂組成物及びそれらを用いて成形された成形体、レンズ鏡筒を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、上記構成により、少量のカーボンナノチューブで優れた導電性と成形性を得ることが可能となる樹脂組成物を実現することができるものであるが、それは本発明者が鋭意研究を進めた結果によるつぎのような知見に基づくものである。
すなわち、カーボンナノチューブを含有する熱可塑性樹脂中に、エチレン共重合体を混合することにより、カーボンナノチューブの分散性を向上させ、樹脂成形時の剪断力により生ずるカーボンナノチューブの配向を緩和させ、ベース樹脂の成形性を損なうことなく、それよりなる成形品の導電性を向上させると共に、導電性分布の安定を図ることができることを見出した。
【0009】
ここで、図1に、本発明の実施の形態における熱可塑性樹脂中にカーボンナノチューブとエチレン共重合体を含む樹脂組成物により成形された平板成形品断面のSEM写真を示す。
また図2に、図1と比較するための熱可塑性樹脂中にエチレン共重合体を含まず、カーボンナノチューブのみを含む樹脂組成物により成形された平板成形品断面のSEM写真を示す。
図1に見られるように、本実施の形態によれば、エチレン共重合体が熱可塑性樹脂と海島構造をとることなく相溶し、この相溶した樹脂が熱可塑性樹脂とカーボンナノチューブの間隙を埋め、これにより熱可塑性樹脂とカーボンナノチューブの密着性を向上させている。これにより、カーボンナノチューブ同士が実質的に凝集体を形成せず、熱可塑性樹脂中に分散されることができ、導電性を向上することができる。さらに、密着性が向上され、樹脂成形時の剪断力で生ずるカーボンナノチューブの配向を緩和できることで、成形条件に対する依存性を少なくし、成形条件による導電性変化及び分布をある程度緩和することができる。その結果、ベースとなる熱可塑性樹脂の成形性を損なうことなく、カーボンナノチューブを極力少量の含有量としても、所望の導電性を得ることができ、コストダウンを図ることが可能となる。また、成形性の改善により従来に比し、薄肉であるレンズ鏡筒部品等の作成が可能となる。
【0010】
また、本実施の形態においては、上記本発明の構成を適用するに際して、カーボンナノチューブとして、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カップスタック型カーボンナノチューブ、アモルファスカーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維の中から選ばれる少なくとも1種類のものを用いることができる。そのうち1種類、もしくは2種類以上を用いることで、使用するベース樹脂(熱可塑性樹脂)とより相性の良いものの選択が可能となり、より高い導電性を得ることが可能となる。
また、本発明の実施の形態においては、上記本発明の構成を適用するに際して、カーボンナノチューブを、その平均直径が1〜150nm、平均アスペクト比が5以上とすることで、指定範囲外のものと比し、より効率的に樹脂内での導電ネットワークを形成することが可能となり、より高い導電性を得ることができる。また、本発明の実施の形態においては、上記本発明の構成を適用するに際して、カーボンナノチューブの含有量が複合材料全体に対して1〜10重量%、より望ましくは1〜5重量%とすることで、ベース樹脂である熱可塑性樹脂の成形性を損なうことなく、高い導電性を得ることが可能となる。
また、本実施の形態においては、上記本発明の構成を適用するに際して、エチレン共重合体を、エチレンに酢酸ビニルを重合した2元共重合体、またはエチレンに酢酸ビニル及び一酸化炭素を重合した3元共重合体とすることで、熱可塑性樹脂とカーボンナノチューブの密着性をより高めることが可能となり、より高い導電性を得ることができる。
また、本実施の形態においては、上記本発明の構成を適用するに際して、前記エチレン共重合体を、その含有量が複合材料全体に対して1〜10重量%、または1〜5重量%とすることで、ベース樹脂(熱可塑性樹脂)の成形性を損なうことなく、高い導電性を得ることが可能となる。
また、本実施の形態においては、上記本発明の構成を適用するに際して、
熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリロニトリルブダジエンスチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、液晶性樹脂、ポリオレフィン樹脂、PC/ABSやPC/PS等の樹脂の組み合わせによりなるアロイ樹脂の中から選ばれる少なくとも1種類の樹脂を用いることで、使用するカーボンナノチューブ及びエチレン共重合体とのより相性の良いものの選択が可能となり、より高い導電性を得ることができる。また、ポリカーボネート樹脂を選択することで、カーボンナノチューブとエチレン共重合体との密着性がより高くなり、より高い導電性を得ることができる。
また、本実施の形態においては、上記本発明の構成を適用するに際して、上記いずれかの樹脂組成物を用いて樹脂成形体を成形することで、用途に合った所望の形状である樹脂成形体を作成することが可能となる。
また、上記いずれかの樹脂組成物を用いて射出成形により、レンズを保持するレンズ保持部材と、該レンズ保持部材を支持する支持部材とを備えるレンズ鏡筒部品を成形することで、従来に比してより薄肉で寸法精度の高い、小型で軽量のレンズ鏡筒部品を実現することができる。その平均肉厚が1.5mm以下、または1.0mm以下のレンズ鏡筒部品を成形することができる。
【0011】
本実施の形態においては、樹脂組成物の作成する方法としては特に限定されず、ラボプラストミル・バンバリーミキサー・ロール・ブレンダー・単軸押出機・2軸押出機・ニーダー等の適切な混練条件により、熱可塑性樹脂・カーボンナノチューブ・エチレン共重合体を直接混練する方法が考えられる。また、樹脂組成物からなる成形体及びレンズ鏡筒は、各種の溶融成形法で成形することにより製造することができる。成形法としては、例えば、プレス成形法・トランスファー成形法・押出成形法・真空成形法・ブロー成形法・射出成形法等が挙げられる。これらの方法の中でも、特に射出成形法が好ましい。射出成形法としては、一般的な射出成形法の他に、インサート射出成形法による金属部品、その他の部品との一体成形法、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法、インジェクションプレス成形法等の各種成形法が挙げられる。
【0012】
本実施の形態に使用される熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂であれば、特に制限無く使用することができる。具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリルニトリルブダジエンスチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、液晶性樹脂、ポリオレフィン樹脂、PC/ABSやPC/PS等の樹脂の組み合わせによりなるアロイ樹脂の中から選ばれ少なくとも1種類の樹脂であり、特に好ましいのは、ポリカーボネート樹脂である。
【0013】
本実施の形態に使用されるカーボンナノチューブとは、平均直径が1〜150nm、平均アスペクト比が5以上であるカーボンナノチューブである。より好ましい平均直径としては、1〜80nm、さらに好ましくは1〜50nmの範囲内であるのが好ましい。平均直径が1nm未満では、繊維として製造することが困難になる場合があるため好ましくない。一方平均直径が200nmを超えると、所望の導電性を得ることができない場合があるため好ましくない。また、より好ましい平均アスペクト比は50以上、さらに好ましくは100以上であると、その導電性付与効果が高いため好ましい。
【0014】
本実施の形態に使用されるカーボンナノチューブの製造方法は、平均直径と平均アスペクト比が上記範囲内であれば特に限定されず、気相成長法・アーク放電法・レーザー蒸発法等任意の方法により製造される。例えば、特開平08−198611号公報や特開2002−348741号公報などに開示されている方法が挙げられる。また、製造されたカーボンナノチューブは針状、コイル状、チューブ状、カップスタック状等任意の形態をとることができ、これらを2種類以上ブレンドしたものでもよい。
【0015】
本実施の形態に使用されるカーボンナノチューブは、粉末またはマスターバッチいずれの形態で使用されても良い。ここで述べるマスターバッチとは、熱可塑性樹脂とカーボンナノチューブを事前に混合したものであり、カーボンナノチューブの配合量が最終濃度より高濃度で作成されたものである。
本実施の形態に使用されるカーボンナノチューブの含有量は、導電性樹脂組成物全体の1〜15重量%が好ましい。含有量が、1重量%未満になると樹脂内の導電性ネットワーク形成が困難になるため、所望の導電性が得られなくなる場合がある。一方15重量%を超えると、樹脂成形性や成形品の耐衝撃性といった機械的特性が損なわれる場合がある。カーボンナノチューブの含有量は、より好ましくは1〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。
【0016】
本実施の形態に使用されるエチレン共重合体は、重合される物質によらず、特に制限無く使用することができる。エチレンとの重合物質とは、例えば、酢酸ビニル・アクリル酸メチル・メタクリル酸グリシジル・アクリル酸エチル・無水マレイン酸・一酸化炭素・メタクリル酸・メタクリル酸メチル・α−オレフィン等が挙げられ、エチレンといずれかの組み合わせによる2元共重合体か3元共重合体をエチレン共重合体として用いることができる。特に好ましいのはエチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素の組み合わせよりなる3元共重合体である。
【0017】
本実施の形態に使用されるエチレン共重合体の含有量は、導電性樹脂組成物全体の1〜10重量%が好ましい。含有量が1重量%未満になると熱可塑性樹脂・カーボンナノチューブの密着性向上を図るに要する十分な量に足らず、効果が得られない場合がある。また、10重量%を超えると、本樹脂組成物のベースとなる熱可塑性樹脂の本来の物性を損なう恐れがある。エチレン共重合体の含有量は、より好ましくは1〜7重量%、さらに好ましくは2〜5重量%である。
【0018】
本実施の形態における樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、またその目的に応じて、各種の添加剤を含有することができる。具体例としては、その他導電性付与剤・難燃剤・難燃助剤・顔料・染料・相溶化剤・分散剤・可塑剤・着色防止剤・発泡剤・抗菌剤・制振剤・帯電防止剤・熱安定剤・酸化防止剤・紫外線吸収剤・光安定剤・離型剤・滑剤・摺動剤・着色剤・高分子架橋剤・高耐熱剤・蛍光増白剤・蓄光顔料・流動改質剤・結晶核剤・無機および有機の抗菌剤・光触媒系防汚剤・赤外線吸収剤・フォトクロミック剤などを挙げることができる。
【実施例】
【0019】
以下に、本発明の実施例について説明する。
本発明に関する評価を行うために、80mm×50mm×1.5mmの平板及び径30mm×長さ20mm×平均肉厚0.7mmのレンズ鏡筒を本発明の構成要素を用い、射出成形により作成した。
本実施例を説明するに当たり、必要となる平板及びレンズ鏡筒に関する評価項目及びその方法を下記に示す。
1.表面抵抗率
ここで、表面抵抗率とは、試料表面の単位面積あたりの抵抗を示すものであり、成形品の導電性比較の指標となるものである。これはJIS−K7149準処の4端子4探針法及びJIS−K6911準処の2重リングプローブ法を用い測定することができるが、本報で用いた測定器は前記JIS準処の低抵抗率計ロレスタGP MCP−T600(三菱化学製、測定レンジ:10-3〜107Ω)・高抵抗率計ハイレスタUP MCP−T450(三菱化学製、測定レンジ:106〜1013Ω)である。本測定では10サンプル測定し、それらの平均値を用いた。なお、表1〜2に示される平板成形品抵抗率測定値は、図3に示されるように、ゲート側3ヶ所・中央3ヶ所・反ゲート側3ヶ所をそれぞれ平均したものを用いている。
2.射出成形最高充填圧力(充填ピーク圧)
80mm×50mm×1.5mmの平板及び径30mm×長さ20mm×平均肉厚0.7mmのレンズ鏡筒を射出成形機(SG50:住友重機械工業、スクリュ径φ22)によって、射出成形を行った際の最高充填圧力である。この値が小さいほど、充填に要する圧力が低く、流動性(成形性)が良好であることを示す。
3.真円度
寸法精度を比較する指標として、本項目を採用する。径30mm×長さ20mm×平均肉厚0.7mmのレンズ鏡筒に関し、真円度測定器により真円度を測定した。最大半径と最小半径の差で評価し、この値が小さいほど真円性が良好であることを示す。すなわち、寸法精度が良好であることを示すものである。真円度測定位置は図4に示されるとおりである。
【0020】
本実施例で用いた各構成要素の種類および表記について以下に示す。
[熱可塑性樹脂]
PC:ポリカーボネート樹脂(パンライトL1225Y:帝人化成)
ABS:アクリルニトリルブダジエンスチレン樹脂(TECHNO ABS 330:テクノポリマー)
[カーボンナノチューブ]
MB:多層カーボンナノチューブMWNT(丸数字1)マスターバッチ(ハイペリオン・キャタリシス・イオンターナショナル・インク、MWNT(丸数字1)含有量:15wt%、ベース樹脂:日本GEプラスチックス LEXAN HF1110、平均単繊維直径=約10nm)
MWNT(丸数字2):多層カーボンナノチューブ(中国シンセン・ナノテクポート、平均単繊維直径=約20nm)
SWNT:単層カーボンナノチューブ(中国シンセン・ナノテクポート、平均単繊維直径=1nm)
VGCF:超多層カーボンナノチューブ(昭和電工、平均単繊維直径=150nm)
[エチレン共重合体]
E−VA−CO:エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素3元共重合体(エルバロイPT、三井・デュポンポリケミカル)
E−VA:エチレン−酢酸ビニル2元共重合体(エバフレックスP1207、三井デュポンポリケミカル)
E−GMA:エチレン−グリシジルメタクリレート2元共重合体(ボンドファースト2C、住友化学)
E−EA:エチレン−エチルアクリレート2元共重合体(エバフレックス−EEA A703、三井デュポンポリケミカル)
その他
CF:PAN系カーボンファイバ(チョップドファイバHTA−C6−US、東邦テナックス)
[実施例1]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてMB、エチレン共重合体としてE−VA−COを2軸押出機(ZE40A−40D:ベルストルフ社製、スクリュ径:φ43、L/D:37.1、*以下の2軸押出機は同様)にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。その際の成形条件は、樹脂温度315℃・射出速度80mm/s・金型温度120℃・保圧70MPaである(以下実施例1〜14、比較例1〜8・10〜16の成形条件は同様)。
最終的な配合はPC90wt%、MWNT(丸数字1)5wt%、E−VA−CO5wt%である。
なお、混練前予備混合は熱可塑性樹脂、カーボンナノチューブ、エチレン共重合体のドライブレンドで行い、押出機のメインホッパよりこれを投入する(以下も同様)。
【0021】
[実施例2]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてMB、エチレン共重合体としてE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC92wt%、MWNT(丸数字1)3wt%、E−VA−CO5wt%である。
【0022】
[実施例3]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてMB、エチレン共重合体としてE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC94wt%、MWNT(丸数字1)1wt%、E−VA−CO5wt%である。
【0023】
[実施例4]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてMB、エチレン共重合体としてE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC85wt%、MWNT(丸数字1)10wt%、E−VA−CO5wt%である。
【0024】
[実施例5]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてMB、エチレン共重合体としてE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC92wt%、MWNT(丸数字1)5wt%、E−VA−CO3wt%である。
【0025】
[実施例6]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてMB、エチレン共重合体としてE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC94wt%、MWNT(丸数字1)5wt%、E−VA−CO1wt%である。
【0026】
[実施例7]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてMB、エチレン共重合体としてE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC85wt%、MWNT(丸数字1)5wt%、E−VA−CO10wt%である。
【0027】
[実施例8]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてMB、エチレン共重合体としてE−VAを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC90wt%、MWNT(丸数字1)5wt%、E−VA5wt%である。
【0028】
[実施例9]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてMB、エチレン共重合体としてE−GMA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC90wt%、MWNT(丸数字1)5wt%、E−GMA5wt%である。
【0029】
[実施例10]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてMB、エチレン共重合体としてE−EAを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC90wt%、MWNT(丸数字1)5wt%、E−EA5wt%である。
【0030】
[実施例11]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてMWNT(丸数字2)、エチレン共重合体としてE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC90wt%、MWNT(丸数字2)5wt%、E−EVA−CO5wt%である。
【0031】
[実施例12]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてSWNT、エチレン共重合体としてE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC90wt%、SWNT5wt%、E−EVA−CO5wt%である。
【0032】
[実施例13]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてVGCF、エチレン共重合体としてE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC90wt%、VGCF5wt%、E−EVA−CO5wt%である。
【0033】
[実施例14]
熱可塑性樹脂としてPC、カーボンナノチューブとしてMB、エチレン共重合体としてE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、径30mm×長さ20mm×平均肉厚0.7mmのレンズ鏡筒を射出成形する。
最終的な配合はPC90wt%、MWNT(丸数字1)5wt%、E−VA−CO5wt%である。
【0034】
[実施例15]
熱可塑性樹脂としてABS、カーボンナノチューブとしてMWNT(丸数字2)、エチレン共重合体としてE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度210℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。その際の成形条件は、樹脂温度230℃・射出速度80mm/s・金型温度60℃・保圧70MPaである。
最終的な配合はABS90wt%、MWNT(丸数字2)5wt%、E−VA−CO5wt%である。
【0035】
(比較例1)
PCとMBとを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC95wt%、MWNT(丸数字1)5wt%である。
【0036】
(比較例2)
PCとMBとを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC99wt%、MWNT(丸数字1)1wt%である。
【0037】
(比較例3)
PCとMBとを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC90wt%、MWNT(丸数字1)10wt%である。
【0038】
(比較例4)
PCとMBとを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC99.5wt%、MWNT(丸数字1)0.5wt%である。
【0039】
(比較例5)
PCとMBとを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC85wt%、MWNT(丸数字1)15wt%である。
【0040】
(比較例6)
PCとMWNT(丸数字2)とを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC95wt%、MWNT(丸数字2)5wt%である。
【0041】
(比較例7)
PCとSWNTとを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC95wt%、SWNT5wt%である。
【0042】
(比較例8)
PCとVGCFとを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC95wt%、VGCF5wt%である。
【0043】
(比較例9)
ABSとMWNT(丸数字2)とを2軸押出機にてシリンダ温度210℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。その際の成形条件は、樹脂温度230℃・射出速度80mm/s・金型温度60℃・保圧70MPaである。
最終的な配合はABS95wt%、MWNT(丸数字2)5wt%である。
【0044】
(比較例10)
PCとMBとを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、径30mm×長さ20mm×平均肉厚0.7mmのレンズ鏡筒を射出成形する。
最終的な配合はPC95wt%、MWNT(丸数字1)5wt%である。
【0045】
(比較例11)
PCとMBとCFとを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC85wt%、MWNT(丸数字1)5wt%、CF10wt%である。
【0046】
(比較例12)
PCとMBとCFとを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、径30mm×長さ20mm×平均肉厚0.7mmのレンズ鏡筒を射出成形する。
最終的な配合はPC85wt%、MWNT(丸数字1)5wt%、CF10wt%である。
【0047】
(比較例13)
PCとMBとE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC94.5wt%、MWNT(丸数字1)0.5wt%、E−VA−CO5wt%である。
【0048】
(比較例14)
PCとMBとE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC80wt%、MWNT(丸数字1)15wt%、E−VA−CO5wt%である。
【0049】
(比較例15)
PCとMBとE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC94.5wt%、MWNT(丸数字1)5wt%、E−VA−CO0.5wt%である。
【0050】
(比較例16)
PCとMBとE−VA−COを2軸押出機にてシリンダ温度290℃で溶融混練し、押出されたストランドを冷却後、ペレタイザを用いてペレット化し、80mm×50mm×1.5mmの平板を射出成形する。
最終的な配合はPC80wt%、MWNT(丸数字1)5wt%、E−VA−CO15wt%である。
以上、作成した成形品において前記のような評価を行い、その評価結果をまとめて表1〜4に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】


【0055】
表1〜4の結果から明らかなように、エチレン共重合体を含有させた実施例に記載の樹脂組成物は、エチレン共重合体を含有してない比較例に記載のものより優れた導電性を示し、成形品内での導電性分布も良好である。また、成形性・寸法精度に関しても優れている。
平板成形品に関して述べると、比較例1〜9、13〜16では表面・裏面やゲート側・反ゲート側において導電性分布が顕著に見られるが、実施例1〜13、15ではこれらの分布が緩和され、均一性が増していると共に、各測定点で全体的に導電性の向上がみられる。また、実施例に用いられる何種類かのエチレン共重合体のうちエチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素3元共重合体を用いた場合に最も大きな効果が見られることがわかる。さらに、従来技術として挙げられるカーボンナノチューブとカーボンファイバを併用した比較例11(特許文献5参考)では、導電性に関しては本発明と同等であるが、成形性が非常に悪い。これに関しても、本発明は格段に改善されていると言える。
【0056】
レンズ鏡筒に関して述べると、比較例10ではウエルド部・非ウエルド部において導電性の分布が見られるが、実施例14では分布が緩和されていると共に、全体的に導電性の向上が見られる。また、従来技術である比較例12(特許文献5参考)は導電性に関して実施例14と同等であるが、成形性・真円度(寸法精度)において劣っていることがわかる。これは、カーボンナノチューブ自体が非常に微細かつ柔軟性に富む物質であるため、樹脂流動性・樹脂収縮への影響が少なくなることが原因であると考えられる。特に、樹脂成形性の改善により、従来のレンズ鏡筒よりも薄肉であるレンズ鏡筒の成形が可能となる。
【0057】
次に、図5に本発明の上記実施例において作成されたズーム機能を備えたカメラのレンズ鏡筒の一部の構成要素を示す分解斜視図を示す。また、図6に鏡筒のその他の構成要素を示す分解斜視図を示す。
これらの図を用いて、以下にその構成について説明する。
図5において、ズームレンズ鏡筒ユニット全体を収納している固定筒1の内周には、メスヘリコイド1aと2本の直線溝1bが形成され、不図示のカメラ本体に取り付けられている。駆動筒2は前記固定筒1の内側に配置されており、外周の結像面側にはオスヘリコイドと平歯車が一体的に形成された平歯ヘリコイド2aが形成され、前記固定筒のメスヘリコイド1aとヘリコイド結合しており、内周結像面側及び被写体側(図5中左側)には周方向に回転ガイド溝2bと2cが、光軸方向には2本の駆動溝2dが、それぞれ形成されている。前記駆動筒2の内側には第1直進ガイド筒3が配置されており、その内面には2本の直線溝3dが、外面結像面側と被写体側(図5中左側)にはそれぞれ突起3a及び3bが、それぞれ植設されると共に2本の貫通カム穴3cが形成されており、前記複数個の突起3a、3bが前記回転ガイド溝2b、2cに挿嵌することで、直進ガイド筒3に対し駆動筒2は自由に回転可能で、光軸方向には一体的に動くように保持されることとなる。また、結像面側外周に設けられた凸部3eが固定筒1の直線溝1bと嵌合し、光軸方向にはシフト移動自由であるが回転規制された状態で結合している。
【0058】
図6において、前記第1直進ガイド筒3の内側にはカム筒4が配置されており、内面には後述の一、二群レンズを駆動するカム溝4bと4cがそれぞれ3本形成されると共に2個の貫通穴4aが設けられている。一群筒5は前記カム筒4の内側に配置され、内部には一群レンズを保持すると共に内周部には2本の直線リブ5aが形成され、外周部には3本のカムピン10が植設されている。該カムピン10は前記カム溝4bと嵌合して一群レンズをカム軌跡に沿って駆動する。
6はナットリングであり、曲げ部6aに設けられた穴部と前記貫通穴4aが一致した状態で駆動ピン9が螺合して、前記カム筒4とナットリング6及び駆動ピン9は一体となる。前記駆動ピン9は、前記貫通カム穴3cを貫通して駆動溝2dと嵌合している。前記一群筒5の内側には更に第2直進ガイド筒7が配置されており、外周には3本の貫通直線穴7fと直線溝7eが形成され、直線溝7eは前記直線リブ5aと嵌合し一群筒5と回転方向は一体的に光軸方向は自由に移動できるように結合されている。また、結像面側にはフランジ7dと複数の突起7aが形成され、前記ナットリング6はこの間に回転自由で、光軸方向には規制された状態で結合されている。即ち、カム筒4と第2直進ガイド筒7は回転は自由で、光軸方向は一体的に動くように結合されている。更にフランジ7dに形成された2本の凸部7dが第1直進ガイド筒3の直線溝3dと嵌合し、光軸方向には移動自由であるが、回転規制された状態で結合している。
8は二群レンズを保持する二群保持枠であり、外周には二群ピン8aが植設されており、前記直線溝7fにより回転規制されつつ前記カム溝4cと嵌合して二群レンズをカム軌跡に沿って駆動する。
【0059】
以上の構成において、不図示の駆動ギアにより平歯へリコイド2aに回転動力が与えられると、駆動筒2は固定筒1内部のヘリコイド1aに沿って回転しながら図5中左方向へ移動する。この回転は駆動ピン9を介してカム筒4へ伝えられ、該カム筒4も貫通カム穴3cのカムに沿って回転しながら図5中左方向へ移動する。前記カム筒4が回転を行うと一群レンズを保持する一群筒5及び二群レンズを保持する二群保持枠8はカム溝4b及び4cに沿ってそれぞれ図5中左方向へ直進移動する。これは、一、二群レンズが光軸方向に移動されることで撮影レンズの変倍動作が行われ、いわゆるズーミング動作が達せられるのであり、本発明の導電性樹脂組成物により成形されるレンズ鏡筒においては、前述のように薄肉の鏡筒を実現でき、光軸と垂直な平面内を平行にシフトする際にスムーズな動作を維持しつつ、かつ小型にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態における熱可塑性樹脂中にカーボンナノチューブとエチレン共重合体を含む樹脂組成物により成形された平板成形品断面を示すSEM写真である。
【図2】図1と比較するための、熱可塑性樹脂中にカーボンナノチューブのみを含み、エチレン共重合体を含まない樹脂組成物により成形された平板成形品断面を示すSEM写真である。
【図3】本発明の実施例における平板成形品の表面抵抗率測定位置を示す図である。
【図4】本発明の実施例におけるレンズ鏡筒模式図及び表面抵抗率測定位置を示す図である。
【図5】本発明の実施例において作成されたズーム機能を備えたカメラのレンズ鏡筒の一部の構成要素を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の実施例において作成されたズーム機能を備えたカメラのレンズ鏡筒のその他の構成要素を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1:固定筒
2:駆動筒
2a:平歯へリコイド
2b、2c:回転ガイド溝
3:第1直進ガイド筒
3a、3b:突起
3c:貫通カム穴
4:カム筒
5:一群筒
7:第2直進ガイド筒
8:二群保持枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂中に、少なくともカーボンナノチューブとエチレン共重合体を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記エチレン共重合体が、前記熱可塑性樹脂と海島構造をとることなく相溶し、その相溶した樹脂が前記熱可塑性樹脂と前記カーボンナノチューブの間隙を埋め、これら熱可塑性樹脂とカーボンナノチューブの密着性を向上させていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カップスタック型カーボンナノチューブ、アモルファスカーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維の中から選ばれる少なくとも1種類のものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブは、その平均直径が1〜150nm、平均アスペクト比が5以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブは、その含有量が複合材料全体に対して1〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブは、その含有量が複合材料全体に対して1〜5重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記エチレン共重合体が、エチレンに酢酸ビニルを重合した2元共重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記エチレン共重合体が、エチレンに酢酸ビニル及び一酸化炭素を重合した3元共重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記エチレン共重合体は、その含有量が複合材料全体に対して1〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記エチレン共重合体は、その含有量が複合材料全体に対して1〜5重量%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
前記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリロニトリルブダジエンスチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、液晶性樹脂、ポリオレフィン樹脂、PC/ABSやPC/PS等の樹脂の組み合わせによりなるアロイ樹脂の中から選ばれる少なくとも1種類の樹脂であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて成形されたことを特徴とする樹脂成形体。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて成形されたことを特徴とするレンズ鏡筒部品。
【請求項14】
前記レンズ鏡筒部品は、射出成形によるレンズ鏡筒部品であって、その平均肉厚が1.5mm以下であることを特徴とする請求項13に記載のレンズ鏡筒部品。
【請求項15】
前記レンズ鏡筒部品は、射出成形によるレンズ鏡筒部品であって、その平均肉厚が1.0mm以下であることを特徴とする請求項13に記載のレンズ鏡筒部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−16553(P2006−16553A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197452(P2004−197452)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】