樹脂製バンパステー
【課題】圧潰時のバンパステーの亀裂箇所をコントロールすることにより、圧潰後にバンパステーが取付けフランジ部における締着具上に位置しないように構成した。
【解決手段】自動車10の車体骨格メンバー11とバンパレインフォース2との間に配置される樹脂製のバンパステー1が、バンパレインフォース2側に対向して延在し記バンパレインフォース2側からの衝撃力を吸収する筒状部1−1aを有する本体部1−1と筒状部1−1aにおける車体骨格メンバー11側に対向する一端部側に形成され車体骨格メンバー11に装着される取付けフランジ部1−2とで一体構成としており、取付けフランジ部1−2に車体骨格メンバー11に装着するための取付け孔1−1aを形成すると共に、筒状部1−1aにおける取付け孔1−2aに対向する位置に薄肉部1−1eを筒状部1−1aの軸線上に延在するように形成した。
【解決手段】自動車10の車体骨格メンバー11とバンパレインフォース2との間に配置される樹脂製のバンパステー1が、バンパレインフォース2側に対向して延在し記バンパレインフォース2側からの衝撃力を吸収する筒状部1−1aを有する本体部1−1と筒状部1−1aにおける車体骨格メンバー11側に対向する一端部側に形成され車体骨格メンバー11に装着される取付けフランジ部1−2とで一体構成としており、取付けフランジ部1−2に車体骨格メンバー11に装着するための取付け孔1−1aを形成すると共に、筒状部1−1aにおける取付け孔1−2aに対向する位置に薄肉部1−1eを筒状部1−1aの軸線上に延在するように形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車における車体骨格メンバーとバンパレインフォースとの間に配置される樹脂製バンパステーに関する。
【0002】
この種バンパステー1は、例えば、図1に示すように、自動車10の車体10aの前方側において、バンパレインフォース2の前方側に配設されたバンパーフェイシア3が自動車10の衝突時に相手物体から衝撃を加えられた場合に、変形することにより当該衝撃を吸収して車体10aが変形しないように構成したものであり、バンパステー1を交換するだけで、自動車10の衝突事故後における車体10a側の修理を行わないようにして、修理コストの低減延いては省エネルギー化を意図している。
【0003】
そして、パンパステー1は、通常、バンパレインフォース2側に対向して延在しバンパレインフォース2側からの衝撃力を吸収して車体10aの変形を抑える本体部1−1と、本体部1−1における車体10aの車体骨格メンバー11側に対向する一端部側に形成され車体骨格メンバー11に装着される取付けフランジ部1−2とを一体に形成して構成されている。
【背景技術】
【0004】
従来のこの種のバンパステーは、通常、金属製の成形品および樹脂製成形品が採用されている(特許文献1および2参照)。
【特許文献1】特開2003−306096号公報。
【特許文献2】特表2005−308133号公報。
【0005】
例えば、図12および図14に示す樹脂の成形品であるバンパステー1によれば、本体部1−1は、取付けフランジ部1−2側を太径とする円錐台形状の筒状部1−1aとその先細り先端側に形成された底板部1−1bとで構成している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この結果、図2に示す通常状態から、自動車が衝突事故等に遭遇してバンパレインフォース2側から衝撃力を受けると、バンパステー1の本体部1−1における筒状部1−1cに衝撃力が伝達され、筒状部先端は拡開変形し、底板部11−bは筒状部1−1cから切り離されることになる(図3の状態)。そして、更に、衝撃力が加わると、図4に示すように、筒状部1−1aが拡開変形し、バンパレインフォース2側からの衝撃力を吸収するようになっている。
【0007】
このようなパンパインレインフォース2側からの衝撃力を筒状部1−1aが拡開変形することによって吸収する場合、図15に示すように筒状部1−1aは比較的弱剛性の部位が筒状部1−1aの軸線上に亀裂を生じさせながら圧潰することになる。
【0008】
そして、筒状部1−1aの弱剛性の部位から軸線上に亀裂が生じたとき、亀裂箇所はランダムに発生することから、往々にして、圧潰後の筒状部1−1aが取付けフランジ部1−2を車体骨格メンバー11に取付けるためのナット等の締着具12を覆ってしまうことがある。
【0009】
このために、圧潰したバンパステー1を交換するために締着具12を取外そうとしても、圧潰したバンパステー11が邪魔となって、不図示のスパナー等の工具を締着具12にセットすることができないことになり、このために、バンパステー1の取り外し作業が困難を極めることになってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、かかる点に鑑み、圧潰時のバンパステーの亀裂箇所をコントロールすることにより、圧潰後にバンパステーが取付けフランジ部における締着具上に位置しないように構成した樹脂製バンパステーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の樹脂製バンパステーは、自動車の車体骨格メンバーとバンパレインフォースとの間に配置される樹脂製のバンパステーであって、該バンパステーは、前記バンパレインフォース又は前記車体骨格メンバーの何れか一方側に対向して延在し前記バンパレインフォース側からの衝撃力を吸収する筒状部を有する本体部と前記筒状部における前記バンパレインフォース又は前記車体骨格メンバーの何れか他方側に対向する一端部側に形成され前記車体骨格メンバーに装着される取付けフランジ部とで一体構成としており、前記取付けフランジ部に前記バンパレインフォース又は前記車体骨格メンバーの何れか他方に装着するための取付け孔を形成すると共に、前記筒状部における前記取付け孔に対向する位置に薄肉部を前記筒状部の軸線上に延在するように形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成する本発明における樹脂製バンパステーは、筒状部における取付け孔に対向する位置に薄肉部を筒状部の軸線上に延在するように形成したことにより、自動車が衝突事故等に遭遇してバンパレインフォース側から衝撃力を受けると、筒状部の亀裂箇所は、薄肉部に発生するようにコントロールすることができ、その結果、筒状部が取付けフランジ部における締着具を避けて圧潰するように構成することができ、締着具を表出させてスパナー等の工具をあてがい、バンパステーの取り外しを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図を用いて、本発明を実施するための最良の実施の形態について、説明する。
【0014】
図1は樹脂製バンパステーを採用した一般的な自動車用バンパー構造を概略的に描画した分解斜視図、図2は図1におけるパンパステーとレインフォースとの通常時の状態を描画した説明図、図3は図1におけるバンパステーが衝撃を吸収する初期時における状態の説明図、図4は図1におけるバンパステーによる衝撃吸収が進行した状態の説明図、図5は本発明に係る第1の実施の形態を採用したバンパステーの斜視図、図6は図5のA−A断面図、図7は図6のB−B断面図、図8は本発明に係る第1の実施の形態における図4のC矢視図である。
【0015】
先ず、図1において、自動車10の前方には、バンパーフェイシア3が配設されており、バンパーフェイシア3の後方には、バンパレインフォース2が配設されている。
【0016】
バンパレインフォース2と車体10aを構成するフロントサイドメンバー等の車体骨格メンバー11との間には、一対のバンパステー1が互いに離間した状態で配設されている。
【0017】
バンパステー1は、図5ないし図7に示すように、樹脂製一体ものとして構成されており、バンパレインフォース3側に対向して延在しバンパレインフォース3側からの衝撃を吸収する本体部1−1と、本体部1−1における車体骨格メンバー11側に対向する一端部側に形成される取付けフランジ部1−2とで構成している。
【0018】
取付けフランジ部1−2には、ボルト等の締着具12をそれぞれ挿設する複数個の取付け用孔1−2aが穿設されている。
【0019】
詳細に説明するならば、取付けフランジ部1−2は、平面視略三角形状に形成されており、3つの角部に対向位置するように取付け用孔部1−2aが3個穿設されている。
【0020】
そして、取付け孔1−2aに挿設した締着具12を車体骨格メンバー11側に螺合することによって、バンパステー1は、車体骨格メンバー2に装着されるようになっている。
【0021】
バンパレインフォース2は、バンパステー1にボルト等を用いて取付けられており、取付けられた状態で車体側に取着されたバンパーフェイシア3内に覆われ収容された状態となって表出しないようになっている。
【0022】
バンパステー1の筒状部1aは、取付けフランジ部1−2側が太径となった略円錐台形状を呈する筒状部1−1aと、筒状部1−1aの車体骨格メンバー11側における先細り先端部1−1c側に段差を設けて内方に引っ込んだ状態で形成された底板部1−1bとで構成されている。先細り先端部1−1c側は、バンパレインフォース2に当接した状態となっている(図2参照)。なお、底板部1−1bは先細り先端部1−1cに対して段差なく面一に形成してもよい。
【0023】
更に、筒状部1aの内壁には、取付けフランジ部1−2の各取付け孔1−2aに対向する位置において軸線に延在するように、3本のスリット1−1dが刻設されており、スリット1−1dによって、筒状部1aに薄肉部1−1eを形成している。
【0024】
上記のように構成する本発明に係る第1の実施の形態において、バンパステー1は、図2に示す通常状態から自動車が衝突事故等に遭遇して、バンパレインフォース2側から衝撃力を受けると、バンパステー1の本体部1−1における筒状部1−1cに衝撃力が伝達され、先細り先端部1−1cは拡開変形し、底板部1−1bは筒状部1−1aから切離されることになる(図3の状態)。更に、衝撃力が加わると、図4に示すように、筒状部1−1aが拡開変形し、バンパレインフォース2側からの衝撃力を吸収するようになっている。
【0025】
このような筒状部1−1aの圧潰過程において、筒状部1−1aの内壁には、薄肉部1−1eが取付けフランジ部―2の取付け孔1−2aに対向して形成されている結果、薄肉部1−1eが他の部位に比して脆弱であることから筒状部1−1aの軸線上に沿って亀裂を生じさせながら、筒状部1−1aが圧潰していくことになる。
【0026】
この結果、図8に示すように、圧潰後の筒状部1−1aは、取付けフランジ部1−2の取付け孔1−2に挿設された締着具12を覆うことなく取付けフランジ部1−2の他の部位上に圧潰することになり、締着具12は、圧潰した筒状部1−1aに覆われることなく表出していることになり、締着具12にスパナー等の工具をあてがい、バンパステー1の取り外しを容易に行うことができる。
【0027】
次に、図9ないし図11を用いて、本発明に係る他の実施の形態を説明する。
【0028】
図9に示す本発明に係る第2の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態におけるスリット部1−1dが筒状部1−1aの全長に亘って形成したのに対し、筒状部1−1aの先細り先端部1−1c寄りに寄せた状態で分断し取付けフランジ部1−2寄りには形成していない場合であり、従って、薄肉部1−1eは筒状部1−1aの全長に形成されていないことになる。
【0029】
このように構成する本発明に係る第2の実施の形態によれば、薄肉状部1−1eは、筒状部1−1aの圧潰初期時付近における亀裂のきっかけを作ろうと意図したものであり、この亀裂のきっかけを作るだけでも、筒状部1−1aの亀裂箇所をコントロールできるものである。
【0030】
図10に示す本発明に係る第3の実施の形態によれば、スリット1−1dについて、第1の実施の形態における取付けフランジ部1−2の取付け孔1−2aに対向するように筒状部1−1aの内壁に形成した構成に加えて、その間に位置するスリット1−1fを設け、新たに、筒状部1−1aに薄肉部1−1eとは別の薄肉部1−1gを形成した点相違している。
【0031】
従って、衝撃吸収後の筒状部1−1aの圧潰形状は、図11に示すように、分断個数が増加していることになり、第1の実施の形態に比して、圧潰変形しやすくしているものであるといえる。
【0032】
ただ、第2の実施の形態においても、取付けフランジ部1−2の取付け孔1−2aに対向するように筒状部1−1aに薄肉部1−1eを設けた点、上記第1の実施の形態と同様であるので、圧潰後の筒状部1−1aが締着具12を覆うことなく表出させることができる点同様である。
【0033】
なお、上記実施の形態においては、筒状部1−1aをバンパレインフォース2側に対向して延在するようにして、取付けフランジ部1−2を車体骨格メンバー2に装着するように構成したが、これに限定されるものではなく、筒状部1−1aを車体骨格メンバー2側に対向するように延在させ、取付けフランジ部1−2をバンパレインフォース2側に装着するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上説明したように、本発明における樹脂製バンパステーは、筒状部における取付け孔に対向する位置に薄肉部を筒状部の軸線上に延在するように形成したことにより、自動車が衝突事故等に遭遇してバンパレインフォース側から衝撃力を受けると、筒状部の亀裂箇所は、薄肉部に発生するようにコントロールすることができ、その結果、筒状部が取付けフランジ部における締着具を避けて圧潰するように構成することができ、締着具を表出させてスパなー等の工具をあてがうことが可能となって、バンパステーの取り外しを容易に行うことができるために、自動車における車体骨格メンバーとバンパレインフォースとの間に配置される樹脂製バンパステー等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】樹脂製バンパステーを採用した一般的な自動車用バンパー構造を概略的に描画した分解斜視図である。
【図2】図1におけるパンパステーとレインフォースとの通常時の状態を描画した説明図である。
【図3】図1におけるバンパステーが衝撃を吸収する初期時における状態の説明図である。
【図4】図1におけるバンパステーによる衝撃吸収が進行した状態の説明図である。
【図5】本発明に係る第1の実施の形態を採用したバンパステーの斜視図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】図6のB−B断面図である。
【図8】本発明に係る第1の一実施の形態における図4のC矢視図である。
【図9】本発明に係る第2の実施の形態を採用したバンパステーの図6と同様の断面図である。
【図10】本発明に係る第3の実施の形態を採用したバンパステーの図7と同様な断面図である。
【図11】本発明に係る第3の一実施の形態における図4のC矢視図である。
【図12】従来におけるバンパステーの斜視図である。
【図13】図12のD−D断面図である。
【図14】図13のE−E断面図である。
【図15】従来におけるバンパステーによる図4のC矢視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 バンパステー
1−1 本体部
1−1a 筒状部
1―2 取付けフランジ部
1―2a 取付け孔
1−1e 薄肉部
2 バンパレインフォース
10 自動車
11 車体骨格メンバー
12 締着具
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車における車体骨格メンバーとバンパレインフォースとの間に配置される樹脂製バンパステーに関する。
【0002】
この種バンパステー1は、例えば、図1に示すように、自動車10の車体10aの前方側において、バンパレインフォース2の前方側に配設されたバンパーフェイシア3が自動車10の衝突時に相手物体から衝撃を加えられた場合に、変形することにより当該衝撃を吸収して車体10aが変形しないように構成したものであり、バンパステー1を交換するだけで、自動車10の衝突事故後における車体10a側の修理を行わないようにして、修理コストの低減延いては省エネルギー化を意図している。
【0003】
そして、パンパステー1は、通常、バンパレインフォース2側に対向して延在しバンパレインフォース2側からの衝撃力を吸収して車体10aの変形を抑える本体部1−1と、本体部1−1における車体10aの車体骨格メンバー11側に対向する一端部側に形成され車体骨格メンバー11に装着される取付けフランジ部1−2とを一体に形成して構成されている。
【背景技術】
【0004】
従来のこの種のバンパステーは、通常、金属製の成形品および樹脂製成形品が採用されている(特許文献1および2参照)。
【特許文献1】特開2003−306096号公報。
【特許文献2】特表2005−308133号公報。
【0005】
例えば、図12および図14に示す樹脂の成形品であるバンパステー1によれば、本体部1−1は、取付けフランジ部1−2側を太径とする円錐台形状の筒状部1−1aとその先細り先端側に形成された底板部1−1bとで構成している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この結果、図2に示す通常状態から、自動車が衝突事故等に遭遇してバンパレインフォース2側から衝撃力を受けると、バンパステー1の本体部1−1における筒状部1−1cに衝撃力が伝達され、筒状部先端は拡開変形し、底板部11−bは筒状部1−1cから切り離されることになる(図3の状態)。そして、更に、衝撃力が加わると、図4に示すように、筒状部1−1aが拡開変形し、バンパレインフォース2側からの衝撃力を吸収するようになっている。
【0007】
このようなパンパインレインフォース2側からの衝撃力を筒状部1−1aが拡開変形することによって吸収する場合、図15に示すように筒状部1−1aは比較的弱剛性の部位が筒状部1−1aの軸線上に亀裂を生じさせながら圧潰することになる。
【0008】
そして、筒状部1−1aの弱剛性の部位から軸線上に亀裂が生じたとき、亀裂箇所はランダムに発生することから、往々にして、圧潰後の筒状部1−1aが取付けフランジ部1−2を車体骨格メンバー11に取付けるためのナット等の締着具12を覆ってしまうことがある。
【0009】
このために、圧潰したバンパステー1を交換するために締着具12を取外そうとしても、圧潰したバンパステー11が邪魔となって、不図示のスパナー等の工具を締着具12にセットすることができないことになり、このために、バンパステー1の取り外し作業が困難を極めることになってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、かかる点に鑑み、圧潰時のバンパステーの亀裂箇所をコントロールすることにより、圧潰後にバンパステーが取付けフランジ部における締着具上に位置しないように構成した樹脂製バンパステーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の樹脂製バンパステーは、自動車の車体骨格メンバーとバンパレインフォースとの間に配置される樹脂製のバンパステーであって、該バンパステーは、前記バンパレインフォース又は前記車体骨格メンバーの何れか一方側に対向して延在し前記バンパレインフォース側からの衝撃力を吸収する筒状部を有する本体部と前記筒状部における前記バンパレインフォース又は前記車体骨格メンバーの何れか他方側に対向する一端部側に形成され前記車体骨格メンバーに装着される取付けフランジ部とで一体構成としており、前記取付けフランジ部に前記バンパレインフォース又は前記車体骨格メンバーの何れか他方に装着するための取付け孔を形成すると共に、前記筒状部における前記取付け孔に対向する位置に薄肉部を前記筒状部の軸線上に延在するように形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成する本発明における樹脂製バンパステーは、筒状部における取付け孔に対向する位置に薄肉部を筒状部の軸線上に延在するように形成したことにより、自動車が衝突事故等に遭遇してバンパレインフォース側から衝撃力を受けると、筒状部の亀裂箇所は、薄肉部に発生するようにコントロールすることができ、その結果、筒状部が取付けフランジ部における締着具を避けて圧潰するように構成することができ、締着具を表出させてスパナー等の工具をあてがい、バンパステーの取り外しを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図を用いて、本発明を実施するための最良の実施の形態について、説明する。
【0014】
図1は樹脂製バンパステーを採用した一般的な自動車用バンパー構造を概略的に描画した分解斜視図、図2は図1におけるパンパステーとレインフォースとの通常時の状態を描画した説明図、図3は図1におけるバンパステーが衝撃を吸収する初期時における状態の説明図、図4は図1におけるバンパステーによる衝撃吸収が進行した状態の説明図、図5は本発明に係る第1の実施の形態を採用したバンパステーの斜視図、図6は図5のA−A断面図、図7は図6のB−B断面図、図8は本発明に係る第1の実施の形態における図4のC矢視図である。
【0015】
先ず、図1において、自動車10の前方には、バンパーフェイシア3が配設されており、バンパーフェイシア3の後方には、バンパレインフォース2が配設されている。
【0016】
バンパレインフォース2と車体10aを構成するフロントサイドメンバー等の車体骨格メンバー11との間には、一対のバンパステー1が互いに離間した状態で配設されている。
【0017】
バンパステー1は、図5ないし図7に示すように、樹脂製一体ものとして構成されており、バンパレインフォース3側に対向して延在しバンパレインフォース3側からの衝撃を吸収する本体部1−1と、本体部1−1における車体骨格メンバー11側に対向する一端部側に形成される取付けフランジ部1−2とで構成している。
【0018】
取付けフランジ部1−2には、ボルト等の締着具12をそれぞれ挿設する複数個の取付け用孔1−2aが穿設されている。
【0019】
詳細に説明するならば、取付けフランジ部1−2は、平面視略三角形状に形成されており、3つの角部に対向位置するように取付け用孔部1−2aが3個穿設されている。
【0020】
そして、取付け孔1−2aに挿設した締着具12を車体骨格メンバー11側に螺合することによって、バンパステー1は、車体骨格メンバー2に装着されるようになっている。
【0021】
バンパレインフォース2は、バンパステー1にボルト等を用いて取付けられており、取付けられた状態で車体側に取着されたバンパーフェイシア3内に覆われ収容された状態となって表出しないようになっている。
【0022】
バンパステー1の筒状部1aは、取付けフランジ部1−2側が太径となった略円錐台形状を呈する筒状部1−1aと、筒状部1−1aの車体骨格メンバー11側における先細り先端部1−1c側に段差を設けて内方に引っ込んだ状態で形成された底板部1−1bとで構成されている。先細り先端部1−1c側は、バンパレインフォース2に当接した状態となっている(図2参照)。なお、底板部1−1bは先細り先端部1−1cに対して段差なく面一に形成してもよい。
【0023】
更に、筒状部1aの内壁には、取付けフランジ部1−2の各取付け孔1−2aに対向する位置において軸線に延在するように、3本のスリット1−1dが刻設されており、スリット1−1dによって、筒状部1aに薄肉部1−1eを形成している。
【0024】
上記のように構成する本発明に係る第1の実施の形態において、バンパステー1は、図2に示す通常状態から自動車が衝突事故等に遭遇して、バンパレインフォース2側から衝撃力を受けると、バンパステー1の本体部1−1における筒状部1−1cに衝撃力が伝達され、先細り先端部1−1cは拡開変形し、底板部1−1bは筒状部1−1aから切離されることになる(図3の状態)。更に、衝撃力が加わると、図4に示すように、筒状部1−1aが拡開変形し、バンパレインフォース2側からの衝撃力を吸収するようになっている。
【0025】
このような筒状部1−1aの圧潰過程において、筒状部1−1aの内壁には、薄肉部1−1eが取付けフランジ部―2の取付け孔1−2aに対向して形成されている結果、薄肉部1−1eが他の部位に比して脆弱であることから筒状部1−1aの軸線上に沿って亀裂を生じさせながら、筒状部1−1aが圧潰していくことになる。
【0026】
この結果、図8に示すように、圧潰後の筒状部1−1aは、取付けフランジ部1−2の取付け孔1−2に挿設された締着具12を覆うことなく取付けフランジ部1−2の他の部位上に圧潰することになり、締着具12は、圧潰した筒状部1−1aに覆われることなく表出していることになり、締着具12にスパナー等の工具をあてがい、バンパステー1の取り外しを容易に行うことができる。
【0027】
次に、図9ないし図11を用いて、本発明に係る他の実施の形態を説明する。
【0028】
図9に示す本発明に係る第2の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態におけるスリット部1−1dが筒状部1−1aの全長に亘って形成したのに対し、筒状部1−1aの先細り先端部1−1c寄りに寄せた状態で分断し取付けフランジ部1−2寄りには形成していない場合であり、従って、薄肉部1−1eは筒状部1−1aの全長に形成されていないことになる。
【0029】
このように構成する本発明に係る第2の実施の形態によれば、薄肉状部1−1eは、筒状部1−1aの圧潰初期時付近における亀裂のきっかけを作ろうと意図したものであり、この亀裂のきっかけを作るだけでも、筒状部1−1aの亀裂箇所をコントロールできるものである。
【0030】
図10に示す本発明に係る第3の実施の形態によれば、スリット1−1dについて、第1の実施の形態における取付けフランジ部1−2の取付け孔1−2aに対向するように筒状部1−1aの内壁に形成した構成に加えて、その間に位置するスリット1−1fを設け、新たに、筒状部1−1aに薄肉部1−1eとは別の薄肉部1−1gを形成した点相違している。
【0031】
従って、衝撃吸収後の筒状部1−1aの圧潰形状は、図11に示すように、分断個数が増加していることになり、第1の実施の形態に比して、圧潰変形しやすくしているものであるといえる。
【0032】
ただ、第2の実施の形態においても、取付けフランジ部1−2の取付け孔1−2aに対向するように筒状部1−1aに薄肉部1−1eを設けた点、上記第1の実施の形態と同様であるので、圧潰後の筒状部1−1aが締着具12を覆うことなく表出させることができる点同様である。
【0033】
なお、上記実施の形態においては、筒状部1−1aをバンパレインフォース2側に対向して延在するようにして、取付けフランジ部1−2を車体骨格メンバー2に装着するように構成したが、これに限定されるものではなく、筒状部1−1aを車体骨格メンバー2側に対向するように延在させ、取付けフランジ部1−2をバンパレインフォース2側に装着するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上説明したように、本発明における樹脂製バンパステーは、筒状部における取付け孔に対向する位置に薄肉部を筒状部の軸線上に延在するように形成したことにより、自動車が衝突事故等に遭遇してバンパレインフォース側から衝撃力を受けると、筒状部の亀裂箇所は、薄肉部に発生するようにコントロールすることができ、その結果、筒状部が取付けフランジ部における締着具を避けて圧潰するように構成することができ、締着具を表出させてスパなー等の工具をあてがうことが可能となって、バンパステーの取り外しを容易に行うことができるために、自動車における車体骨格メンバーとバンパレインフォースとの間に配置される樹脂製バンパステー等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】樹脂製バンパステーを採用した一般的な自動車用バンパー構造を概略的に描画した分解斜視図である。
【図2】図1におけるパンパステーとレインフォースとの通常時の状態を描画した説明図である。
【図3】図1におけるバンパステーが衝撃を吸収する初期時における状態の説明図である。
【図4】図1におけるバンパステーによる衝撃吸収が進行した状態の説明図である。
【図5】本発明に係る第1の実施の形態を採用したバンパステーの斜視図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】図6のB−B断面図である。
【図8】本発明に係る第1の一実施の形態における図4のC矢視図である。
【図9】本発明に係る第2の実施の形態を採用したバンパステーの図6と同様の断面図である。
【図10】本発明に係る第3の実施の形態を採用したバンパステーの図7と同様な断面図である。
【図11】本発明に係る第3の一実施の形態における図4のC矢視図である。
【図12】従来におけるバンパステーの斜視図である。
【図13】図12のD−D断面図である。
【図14】図13のE−E断面図である。
【図15】従来におけるバンパステーによる図4のC矢視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 バンパステー
1−1 本体部
1−1a 筒状部
1―2 取付けフランジ部
1―2a 取付け孔
1−1e 薄肉部
2 バンパレインフォース
10 自動車
11 車体骨格メンバー
12 締着具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体骨格メンバーとバンパレインフォースとの間に配置される樹脂製のバンパステーであって、該バンパステーは、前記バンパレインフォース又は前記車体骨格メンバーの何れか一方側に対向して延在し前記バンパレインフォース側からの衝撃力を吸収する筒状部を有する本体部と前記筒状部における前記バンパレインフォース又は前記車体骨格メンバーの何れか他方側に対向する一端部側に形成され前記車体骨格メンバーに装着される取付けフランジ部とで一体構成としており、前記取付けフランジ部に前記バンパレインフォース又は前記車体骨格メンバーの何れか他方に装着するための取付け孔を形成すると共に、前記筒状部における前記取付け孔に対向する位置に薄肉部を前記筒状部の軸線上に延在するように形成したことを特徴とする樹脂製バンパステー。
【請求項1】
自動車の車体骨格メンバーとバンパレインフォースとの間に配置される樹脂製のバンパステーであって、該バンパステーは、前記バンパレインフォース又は前記車体骨格メンバーの何れか一方側に対向して延在し前記バンパレインフォース側からの衝撃力を吸収する筒状部を有する本体部と前記筒状部における前記バンパレインフォース又は前記車体骨格メンバーの何れか他方側に対向する一端部側に形成され前記車体骨格メンバーに装着される取付けフランジ部とで一体構成としており、前記取付けフランジ部に前記バンパレインフォース又は前記車体骨格メンバーの何れか他方に装着するための取付け孔を形成すると共に、前記筒状部における前記取付け孔に対向する位置に薄肉部を前記筒状部の軸線上に延在するように形成したことを特徴とする樹脂製バンパステー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−51247(P2009−51247A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217147(P2007−217147)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000178804)ユニプレス株式会社 (83)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000178804)ユニプレス株式会社 (83)
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