説明

樹脂製筐体

【課題】本発明は反りが発生した筐体の姿勢を容易に補整することができる、樹脂成形部材を得る。
【解決手段】本発明の樹脂製筐体は、第1の壁部19と、該第1の壁部19の向かい合うそれぞれの縁部20に沿って立設される一対の第2の壁部21,21と、を有する第1の筐体構成要素15と、一対の第2の壁部21,21のそれぞれ先端側に跨って取り付けられる第2の筐体構成要素16と、一対の第2の壁部21,21間に挿入されて第2の壁部21,21のそれぞれ内面に摺接する2以上の突起部31,…を有する補整部材17と、を備え、突起部31,…が一対の第2の壁部21,21間に挿入されるのに伴って、一対の第2の壁部21,21間を拡張する方向Cに作用させる傾斜面35が形成される構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形時に発生した反りを補整可能な樹脂製筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂製筐体は、電気・電子機器などの部品を収納する筐体に利用されている。例えば、樹脂製筐体は、特許文献1に記載されているように、ワイヤーハーネスを収納するプロテクタとして利用されている。このプロテクタは、断面形状が凹状であるプロテクタ本体と、該プロテクタ本体の開放部を塞ぐ蓋体と、を備えている。このプロテクタ本体は、底部と該底部の両側の端部から同方向に一対に設けられた側壁とを有する。この底部と側壁とは、合成樹脂で一体に成形されている。蓋体は、側壁の縁に設けられる係止枠を係止可能なロックアームを備える。プロテクタは、プロテクタ本体の係止枠にロックアームを係止することにより、プロテクタ本体と蓋体とを組み付けて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−246623号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】プラスチック成形加工用語辞典編集委員会、「図解 プラスチック成形加工用語辞典」、株式会社工業調査会、1999年1月10日、p.55−56
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、樹脂成形品は、各部位の収縮率の違いによって、いわゆる、「反り(そり)」なる現象を起こしやすい(非特許文献1参照)。樹脂成形品は、射出成形された樹脂成形品の部分に厚さの異なる部分があるとき、その部分の結晶化が異なるため、その部分にひずみを起こす。樹脂成形品がこのひずみに耐える強度を有しないとき、反りは起こる。
【0006】
特に、特許文献1に記載されているプロテクタ本体のような樹脂製筐体は、反りを起こしやすい。樹脂製筐体は、向かい合う両側壁が互いに接近する方向に弓なりに反るため、プロテクタ本体の係止枠の位置はずれる。当然に、蓋体のロックアームは、側壁が反っていない状態にある係止枠の位置に合わせて設計されている。プロテクタ本体の側壁が反っているとき、プロテクタ本体の係止枠の位置は、蓋体のロックアームの位置に合っていない。よって、プロテクタ本体は、この係止枠の位置を所望の位置に変形させて蓋体を装着するために、そのプロテクタ本体の姿勢を補整しなければならなかった。
【0007】
そこで、特許文献1に記載の樹脂製筐体は、側壁の外側に倒れこみ防止リブを一体成型し、成型後の冷却時に倒れこみ防止リブが側壁を外側へ引っ張ることで反りを低減している。
【0008】
しかしながら、例えば樹脂成型品が比較的大きい場合、各部位のひずみは少なくても樹脂成型品全体としてはひずみが大きくなるため、特許文献1に記載の倒れこみ防止リブ等では側壁の反りの低減方法として不十分、あるいは逆に外側へ反ってしまうおそれがある。また、樹脂製筐体の外観デザイン上、樹脂製筐体の外側に倒れこみ防止リブのような補整部材を設けることが好ましくない場合もある。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑み、反りが発生した筐体の姿勢を容易に補整することができる樹脂製筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の樹脂製筐体は、少なくとも第1の壁部と、該第1の壁部の向かい合うそれぞれの縁部に沿って立設される一対の第2の壁部と、を有する第1の筐体構成要素と、一対の第2の壁部のそれぞれ先端側に跨って取り付けられる第2の筐体構成要素と、を備える樹脂製筐体であって、一対の第2の壁部が接近する方向に変形する第1の筐体構成要素の反りを補整すべく、一対の第2の壁部間に挿入されて第2の壁部のそれぞれ内面に摺接する少なくとも一対以上の突起部を有する補整部材を備え、該突起部の先端側及び突起部が摺接する第2の壁部の内面のいずれか一方又はその両方に、突起部が一対の第2の壁部間に挿入されるのに伴って、一対の第2の壁部間を拡張する方向に作用させる傾斜面が形成されるという構成を有している。
【0011】
かかる構成によれば、補整部材の突起部が第2の壁部間に挿入されることにより、一対の第2の壁部間を拡張する方向に傾斜面が作用し、第1の筐体構成要素の反りを補整することができる。
【0012】
また、請求項2記載の発明において、前記補整部材は、第1の筐体構成要素の反りが補整されているときの第2の壁部の内面の位置に対応する位置に各突起部を支持する支持部を備えることが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、補整部材の突起部が第2の壁部間に挿入されることにより、支持部が第1の筐体構成要素の反りが補整されているときの第2の壁部の内面の位置に対応する位置に各突起部を位置させ、第1の筐体構成要素の反りを補整することができる。
【0014】
また、請求項3記載の発明において、前記一対の第2の壁部のそれぞれ内面は、突起部が摺接する摺接部を備え、該摺接部は、突起部が第2の壁部間に挿入される方向に沿って設けられることが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、補整部材の突起部を第2の壁部間のそれぞれの内面に摺接させて、各第2の壁部に沿って挿入させることができる。
【0016】
また、請求項4記載の発明において、前記摺接部は、第2の壁部が立設する方向に沿って設けられることが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、補整部材の突起部を第2の壁部が立設する方向から挿入することができ、より効果的に第1の筐体構成要素の反りを補整することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の樹脂製筐体によれば、反りが発生した筐体の姿勢を容易に補整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る光照射治療・予防装置の制御回路図
【図2】同実施形態に係る光照射治療・予防装置の全体斜視図
【図3】同実施形態に係る光照射治療・予防装置の装置本体の分解図
【図4】同実施形態に係る光照射治療・予防装置の装置本体の組み付け部分の要部拡大図
【図5】同実施形態に係る光照射治療・予防装置の装置本体の組み付け部分の断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る光照射治療・予防装置について、図1〜図5を参酌しつつ、説明する。同実施形態に係る光照射治療・予防装置1は、主に、炎症性疾患の罹患を予防し又は罹患時の当該疾患の症状を軽減する予防治療を受ける被治療者や、炎症性疾患を抑制することにより炎症性疾患の治療を受ける被治療者(患者)などの治療を受けるために当該装置を使用する使用者に光を照射する光照射装置の一例である。
【0021】
同実施形態に係る光照射治療・予防装置1は、図1で図示する光照射治療・予防装置の制御回路図に示されているように、被写体に対して光を放射する光源2と、該光源2から放射される放射光を被写体に向けて反射する反射部材3と、該反射部材3から反射された光を透過させて被写体に照射する照射部材4と、光源2から放射される放射光のうち波長が特定の範囲内の放射光を透過させる波長透過手段5と、光源2の発光を制御する発光制御手段6と、光源2及び発光制御手段6に電気を供給する電源供給手段7と、光源2、反射部材3、照射部材4、波長透過手段5、発光制御手段6及び電源供給手段7を収納するとともに、波長透過手段5から透過された透過光を使用者の予防したい部位又は罹患した部位(特定部位)に照射可能な構造を有する装置本体8(図2参照)と、を備える。
【0022】
光源2は、炎症性サイトカインの産生を抑制するために使用者の生体の予防したい部位又は罹患した部位に照射する光源となる。光源2は、例えば、キセノン放電管やハロゲン放電管などの(閃光)放電管である。特に、本実施形態に係る光源2は、キセノン放電管である例を説明する。
【0023】
反射部材3は、波長透過手段5を透過した透過光が使用者の予防したい部位又は罹患した部位に照射されるように、光源2から略全方位に放射される放射光の照射範囲を制御する。
【0024】
照射部材4は、本実施形態では、使用者の手の甲(手首から指先までの手の外側の面)に対向して配置される第1の照射面と、使用者の手の平(手首から指先までの手の内側の面)に対向して配置される第2の照射面と、を備える。
【0025】
波長透過手段5は、光源2から放射された放射光の、1以上の特定の波長、又は、1以上の特定範囲の波長の放射光のみを透過する光学フィルタである。本実施形態に係る光学フィルタは、特定範囲の波長(帯)の放射光のみを選択的に透過するバンドパスフィルタ(干渉フィルタ)を例に説明する。
【0026】
発光制御手段6は、光源2を1回又は複数回に分けて閃光発光させたり、所定の発光間隔で発光制御させたり、複数回に分けて閃光発光させる場合は、更に、光源2が放射する放射エネルギーを所定の放射エネルギー以下に抑えて閃光発光させるなどの様々な発光パターンで光源2を発光制御する。
【0027】
電源供給手段7は、図1に示すように、光源2の発光エネルギーを蓄える蓄電手段9と、該蓄電手段9を充電する充電回路10と、蓄電手段9に電気を供給する電源部11と、該電源部11のオン・オフを切り替える電源スイッチ12と、を備える。電源供給手段7は、光源2以外にも、発光制御手段6の電源としても用いられる。
【0028】
装置本体8は、図2に示すように、少なくとも一つの開口を有する略直方体形状に形成されており、光源2、反射部材3、照射部材4、波長透過手段5、発光制御手段6、電源供給手段7などを内蔵させるケーシングである。この装置本体8は、一方の面(以下、「前面」と称する)に形成される開口部から使用者の手を挿入して、手の甲に特定範囲の波長の光を照射するための台である載置部13と、持ち運ぶために使用者が把持する把持部14と、を備える。
【0029】
装置本体8は、プラスチックなどの合成樹脂を射出成形した樹脂製筐体である。装置本体8は、図3に示すように、少なくとも一方が開口している凹状の第1の筐体構成要素15と、該第1の筐体構成要素15の開口を塞ぐ第2の筐体構成要素16と、第1の筐体構成要素15の反りを補整する補整部材17と、を備える。
【0030】
第1の筐体構成要素15は、少なくとも一方が開放される開放部18を有する。本実施形態に係る第1の筐体構成要素15は、上面(図3の上側の面)と前面(図3の左側の面)とに開放部18が設けられている。第1の筐体構成要素15は、第1の壁部19と、該第1の壁部19の向かい合うそれぞれの縁部(辺)20,20に沿って第1の壁部19に直交する方向Aに立設される一対の第2の壁部21,21と、第1の壁部19の残りの縁部(辺)20に沿って第1の壁部19に直交する方向Aに立設される第3の壁部22と、を備える。
【0031】
第1の壁部19は、第1の筐体構成要素15の底に対応しており、第2の筐体構成要素16と対向する位置関係にある。第1の壁部19の形状は、略長方形である。第1の壁部19は、向かう合う2つの長辺に沿って第2の壁部21,21が設けられ、短辺に沿って第3の壁部22が設けられる。
【0032】
第2の壁部21は、第1の筐体構成要素15の側面に対応している。第2の壁部21は、装置本体8の側面形状に合わせて形成された壁部本体23と、補整部材17を第1の筐体構成要素15に嵌め込むときに摺接する摺接部24,…と、第1の筐体構成要素15に第2の筐体構成要素16を係止する係止部25,…と、壁部本体23の上端部に沿って形成される溝(図4も参照)26と、を備える。なお、第2の壁部21,21には成型時に互いに近接する方向Bに反りが生じたものとして以下を説明する。
【0033】
壁部本体23は、外形のデザインに合わせて曲線形状に成形されている。
【0034】
摺接部24は、第1の壁部19に一体に成形されており、その内側の面が第1の壁部19に対して直角となるように壁部本体23に固定されている。摺接部24は、補整部材17を第1の筐体構成要素15に動作させる方向Aに沿って設けられる。つまり、摺接部24は、第1の壁部19の上端から下端に向かって連続して設けられる。摺接部24の上端には、その摺接部24の内側の面を更に上方に延長する延長部27を備えている。
【0035】
摺接部24は、第2の壁部21に複数設けられている。向かい合う第2の壁部21,21のそれぞれに設けられる摺接部24は、対称となるように配置される。また、摺接部24は、同じく第2の壁部21に設けられる係止部25の少なくとも一方側に配置され、好ましくは、係止部25の両側に配置される。
【0036】
係止部25は、第2の壁部21に複数設けられている。係止部25は、第1の筐体構成要素15に嵌め込まれた第2の筐体構成要素16を抜け止め可能に連結する。
【0037】
溝26は、第2の筐体構成要素16との間を隙間なく塞ぐために補整部材17の縁を凹凸係合するために設けられる。
【0038】
第3の壁部22は、第1の筐体構成要素15の背面に対応している。第3の壁部22は、第2の壁部21と同様に、壁部本体28と、摺接部29,…と、溝30と、を備える。
【0039】
第2の筐体構成要素16は、第1の筐体構成要素15の開放部18を塞ぐ蓋体である。第2の筐体構成要素16は、一対の第2の壁部21,21のそれぞれ先端側に跨って取り付けられる。第2の筐体構成要素16は、装置本体8の正面に対応する面と装置本体8の天面(上面)に対応する面とを備え、断面形状が略L字状の形状とされている。
【0040】
補整部材17は、一方に突出する2以上の突起部31,…と、各突起部31,…を支持する支持部32と、第1の筐体構成要素15の係止部25,…に係止される係止爪33,…と、を備える。
【0041】
突起部31は、支持部32に対して直交する方向に突出して形成されている。突起部31は、一対の第2の壁部21,21間に挿入されて第2の壁部21,21のそれぞれ内面に摺接する。突起部31は、支持部32に複数設けられている。突起部31は、外側に向いて平面状の面を有する突起本体34と、該突起本体34の先端部に外側に向いて傾斜した傾斜面35と、を備える。
【0042】
突起本体34は、中空の四角柱状であり、第1の筐体構成要素15の第2の壁部21が反る方向Bに側面が面するように支持部32に配置されている。突起本体34は、支持部32に対して直角に突出する。突起本体34の突出方向(長手方向)の長さは、補整部材17を摺接させる方向Aに沿う摺接部24の長さより短い。
【0043】
傾斜面35は、突起部31が一対の第2の壁部21,21間に挿入されるのに伴って、一対の第2の壁部21,21間を拡張する方向Cに作用させる。つまり、傾斜面35は、補整部材17を摺接させる方向Aに動作する補整部材17の各突起部31,…に対して、向かい合う第2の壁部21をそれぞれ離間する方向Cに作用させる。
【0044】
支持部32は、第1の筐体構成要素15の反りが補整されているときの第2の壁部21及び第3の壁部22の摺接部24,…,29,…の内面の位置に対応可能な位置関係に突起部31,…を支持している。このとき、突起部31,…の外側に面する面は、摺接部24,…,29,…の側面に対向するように配置される。また、支持部32は、係止部25,…の位置に対応するように係止爪33,…を支持している。
【0045】
係止爪33は、支持部32に複数設けられている。係止爪33は、第1の筐体構成要素15の係止部25,…に係止可能に設けられる。
【0046】
次に、同実施形態に係る光照射治療・予防装置1の装置本体8の組み立てについて、図1〜図5を参照しつつ説明する。装置本体8は、第1の筐体構成要素15の内部に光源2、反射部材3、照射部材4、波長透過手段5、発光制御手段6及び電源供給手段7などの格納部品を装置内に組み込んで、第2の筐体構成要素16を第1の筐体構成要素15の開放部18に嵌め込むことにより組み立てられる。
【0047】
第2の筐体構成要素16は、第1の筐体構成要素15に対して第1の壁部19と直交する方向(上面)A側から嵌め込まれる。このとき、補整部材17の各突起部31,…の先端部の位置は、摺接部24,…,29,…の上端(延長部27)の位置に対応している。各突起部31,…は、摺接部24,…,29,…の上端に各傾斜面35,…を当接させた状態にある。突起部31は、傾斜面35を摺接部24,…,29,…に沿わせて摺接させることにより、第2の壁部21,21を互いに離間する方向Cに押圧する。つまり、第1の筐体構成要素15の開放端部は、互いに離間する方向Cに押し広げられる。よって、第2の壁部21,21の反りは、解消する。
【0048】
第1の筐体構成要素15の開放端部が押し広げられることにより、各突起部31,…は、当該突起部31,…の(装置本体8の)外側に面した内面を、摺接部24,…,29,…の内側(装置本体8の中心に面した面)の内面に面した位置関係になる。よって、各突起部31,…は、外側の内面を摺接部24,…,29,…の内側の内面に摺接させつつ、第1の壁部19と直交する方向(上面)A側に移動することが許容される。
【0049】
補整部材17は、支持部32の縁が第1の筐体構成要素15の開放端部の溝26,30に凹凸係合されるまで第1の壁部19と直交する方向(上面)A側に移動させる。そして、補整部材17の係止爪33,…が第1の筐体構成要素15の係止部25,…に係止されることにより、第2の筐体構成要素16は、第1の筐体構成要素15に嵌め込まれる。そして、装置本体8の組み立ては、完了する。
【0050】
このように、反りが第2の壁部21,21に発生して、向かい合う第2の壁部21,21が互いに近接する方向Bに曲がるときであっても、補整部材17の突起部31,…が第2の壁部21,21間に挿入されることにより、一対の第2の壁部21.21間を拡張する方向Cに傾斜面35が作用し、第1の筐体構成要素15の反りを補整することができる。つまり、第2の筐体構成要素16は、第1の筐体構成要素15の開放端沿いの端部に突起部31の先端部を合わせて第1の筐体構成要素15に嵌め込まれる。第2の壁部21,21の内面に沿う方向Aに向かう各突起部31,…の動作は、傾斜面35の働きにより、向かい合う第2の壁部21,21をそれぞれ離間する方向Cに動作させる。このようにして、補整部材17は、傾斜面35により、容易に第1の筐体構成要素15に嵌め込むことができるとともに、第2の壁部21,21の反りを解消する。
【0051】
また、補整部材17の突起部31,…が、第2の壁部21,21間に挿入されることにより、支持部32が第1の筐体構成要素15の反りが補整されているときの第2の壁部21,21の内面の位置に対応する位置に各突起部31,…を位置させ、第1の筐体構成要素15の反りを補整することができる。つまり、各突起部31,…は、第1の筐体構成要素15の反りが補整されたときの第2の壁部21,21の内面の位置に対応して、支持部32,…に支持されている。そして、各突起部31,…が各第2の壁部21,21の内面に接した状態は、反りが解消された状態にある第2の壁部21,21の姿勢となる。よって、第1の筐体構成要素15は、補整部材17を嵌め込むことで、第2の壁部21,21の姿勢を補整した状態に維持させることができる。
【0052】
また、摺接部24,…が第2の壁部21,21に設けられることにより、補整部材17の突起部31,…を第2の壁部21,21間のそれぞれの内面に摺接させて、各第2の壁部21,21に沿って挿入させることができる。
【0053】
また、補整部材17の突起部31,…を第2の壁部21,21が立設する方向Aから挿入することができ、より効果的に第1の筐体構成要素15の反りを補整することができる。つまり、第1の筐体構成要素15に反りが発生すると、向かい合う第2の壁部21,21が第1の壁部19に直交する方向に曲がるため、第2の壁部21,21の先端部の位置が(反っていない第2の壁部21,21の位置から)最も変位する。よって、第2の壁部21,21の先端部は、その位置を補整するために最も力を必要とする。そこで、補整部材17を第2の壁部21,21が立設する方向Aから挿入することにより、第2の壁部21,21の先端部が最も抗力が期待できる突起部31の基端側で保持されるため、第2の壁部21,21の姿勢は、補整された状態に容易に維持することができる。
【0054】
なお、本発明に係る樹脂製筐体は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0055】
例えば、上記実施形態に係る光照射治療・予防装置1は、略長方形状をしている第1の筐体構成要素15が6面あるうちの隣り合う2面、すなわち、上面と正面とを開放させる開放部を有する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、筐体は、第1の壁部と向かい合う第2の壁部とのみからなる凹状に形成されていてもよい。このとき、第1の壁部の形状は、方形であることに限定されず、円形、楕円形であってもよい。また、第1の壁部は、平面であることに限定されず、曲面を有していてもよい。このように構成される筐体であっても、向かい合う第2の壁部は、反りが発生するため、本発明を適用する効果を有する。
【0056】
また、上記実施形態に係る光照射治療・予防装置1は、摺接部24,…が向かい合う2つの第2の壁部21,21に対して複数(実施形態では10箇所)設けられ、突起部31,…が摺接部24,…に対応して、補整部材17の支持部32に複数設けられる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、摺接部24,…は、2箇所以上に設けられておればよく、向かい合うそれぞれの第2の壁部21,21に少なくとも1箇所づつ設けられていることが好ましい。突起部31,…も各摺接部24,…に対応して同様に設けられていることが好ましい。なお、摺接部24,…は、そのかわりに第2の壁部21,21の内面を用いてもよい。このときの第2の壁部21,21の内面は、第1の壁部19に対して直角であることが好ましい。
【0057】
また、上記実施形態に係る光照射治療・予防装置1は、傾斜面35が突起部31の先端部に設けられる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、傾斜面は、摺接部の先端側の端部に設けられていてもよいし、当該端部及び突起部の先端部の両方に設けられていてもよい。また、傾斜面は、摺接部の先端側の端部のかわりに、当該摺接部の位置に対応する第2の壁部の開放端沿いの端部に設けられていてもよい。なお、摺接部の先端側の端部又は当該摺接部の位置に対応する第2の壁部の開放端沿いの端部に設けられる傾斜面は、第2の壁部が互いに接近する方向(第2の壁部が反る方向)に傾斜するように設けられる。
【0058】
また、上記実施形態に係る光照射治療・予防装置1は、摺接部29,…が第1の壁部19に直交する方向Aに設けられる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、摺接部は、第1の壁部に沿う方向(第1の壁部と平行又は略平行)に設けられていてもよい。摺接部が第1の壁部に沿って設けられる場合であっても、筐体に補整部材を嵌め込む際、突起部は、傾斜面の働きにより互いに接近する方向に曲がった状態にある向かい合う第2の壁部(又は摺接部)の間に容易に差し込むことができる。
【0059】
また、上記実施形態に係る光照射治療・予防装置1は、各突起部31,…が中空状の柱である例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、突起部は、断面形状がCの字形状やLの字形状であってもよいし、単に方形状や角錐形状(さい頭錐体形状を含む)の柱であってもよい。この場合、各突起部は、平面状の面を外側に向けて支持部上に配置されることが好ましい。
【0060】
また、上記実施形態に係る光照射治療・予防装置1は、治療・予防目的に炎症性サイトカインの産生の抑制を予防したい生体の部位又は罹患した生体の部位に照射する用途に用いられる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、光照射治療・予防装置は、治療・予防目的以外に用いられる、電気・電子機器その他の部材を格納するための筐体であって、当該筐体を合成樹脂で成形された樹脂製筐体に適用されることを妨げるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る樹脂製筐体は、少なくとも第1の壁部と、該第1の壁部の向かい合うそれぞれの縁部に沿って立設される一対の第2の壁部と、を有する第1の筐体構成要素と、一対の第2の壁部のそれぞれ先端側に跨って取り付けられる第2の筐体構成要素と、を備える樹脂製筐体であって、一対の第2の壁部が接近する方向に変形する第1の筐体構成要素の反りを補整すべく、一対の第2の壁部間に挿入されて第2の壁部のそれぞれ内面に摺接する少なくとも一対以上の突起部を有する補整部材を備え、該突起部の先端側及び突起部が摺接する第2の壁部の内面のいずれか一方又はその両方に、突起部が一対の第2の壁部間に挿入されるのに伴って、一対の第2の壁部間を拡張する方向に作用させる傾斜面が形成される構成を有することによって、反りが発生した筐体の姿勢を容易に補整することが必要な用途にも適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
15 第1の筐体構成要素
16 第2の筐体構成要素
17 補整部材
18 開放部
19 第1の壁部
21 第2の壁部
23 壁部本体
24 摺接部
31 突起部
32 支持部
35 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の壁部と、該第1の壁部の向かい合うそれぞれの縁部に沿って立設される一対の第2の壁部と、を有する第1の筐体構成要素と、一対の第2の壁部のそれぞれ先端側に跨って取り付けられる第2の筐体構成要素と、を備える樹脂製筐体であって、一対の第2の壁部が接近する方向に変形する第1の筐体構成要素の反りを補整すべく、一対の第2の壁部間に挿入されて第2の壁部のそれぞれ内面に摺接する少なくとも一対以上の突起部を有する補整部材を備え、該突起部の先端側及び突起部が摺接する第2の壁部の内面のいずれか一方又はその両方に、突起部が一対の第2の壁部間に挿入されるのに伴って、一対の第2の壁部間を拡張する方向に作用させる傾斜面が形成されることを特徴とする樹脂製筐体。
【請求項2】
前記補整部材は、第1の筐体構成要素の反りが補整されているときの第2の壁部の内面の位置に対応する位置に各突起部を支持する支持部を備えることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製筐体。
【請求項3】
前記一対の第2の壁部のそれぞれ内面は、突起部が摺接する摺接部を備え、該摺接部は、突起部が第2の壁部間に挿入される方向に沿って設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂製筐体。
【請求項4】
前記摺接部は、第2の壁部が立設する方向に沿って設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の樹脂製筐体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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