説明

機器収納キャビネットのカバー体開閉構造

【課題】簡単な構造で機器の取り付け作業が容易にできる機器収納キャビネットを提供することを目的としている。
【解決手段】機器収納キャビネットは、背板と天板、底板とから構成される本体に、前面板7と左右側板8とで構成されるカバー体6をバー9を介して取り付け、本体の接続部を支軸としたバー9の回動動作に伴ってカバー体6が上下に開閉可能であるように構成すると共に、カバー体6の内側に、バー9の動作速度を規制するテーパー金具10を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機器を収納する機器収納キャビネットであって、該機器収納キャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の機器収納キャビネットは、図5に示すように、壁への設置面31を囲う四辺には左右側面32、天板33、底面34が設けられ、前面の開口35は扉体36で施蓋されていた。扉体36は開口35の左右側面32近傍に蝶番37により開閉可能に取り付けられていた。機器の収納方法は、機器収納キャビネットに設けられたアングル38に機器を固定するものである。
【0003】
箱体本体の前面をカバー体で施蓋する構造のとき、従来は、扉体が箱体本体に係止する機構を有するか、またはねじ止めにより扉体を箱体本体に固定していた。機器の取り付けや配線のための作業の際には、扉体を箱体から取り外すものであった。
【0004】
また、壁への設置面を囲う四辺のうち三方に側板を設け、前面開口と側板を設けなかった部分の開口を扉体で施蓋する機器収納キャビネットがあった。扉体はスライド動作により開閉可能であった。
【特許文献1】実開平5−82085号公報
【特許文献2】実開平6−44764号公報
【特許文献3】特開2000−307259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前面開口を扉体で施蓋する機器収納キャビネットに、電子機器を搭載する時、機器収納キャビネットの背板から前面の扉体に向かって複数のアングルを設け、このアングルに電子機器を固定していた。電子機器を設置する作業の際に、左右側板、天板、底板が作業の邪魔になる虞があった。また、扉体は前面側に開くため、機器収納キャビネットが高所に取り付けられている場合、作業がしにくいという欠点があった。扉体を開けるために機器収納キャビネットの前にもスペースが必要であった。
【0006】
扉体が脱着式である機器収納キャビネットでは、扉体を誤って落下させて破損させてしまう虞があった。
【0007】
扉体がスライド式に開閉する機器収納キャビネットでは、扉体の開閉速度が調整できず、開けにくかったり閉めにくかったりする欠点があった。また、扉体が勢いよく下降するため開閉に危険が伴うため、注意が必要であった。扉体の下降を緩やかにするためにダンパー等を設けようとすると、機器収納キャビネットの製造コストを引き上げることになっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明は、簡単な構造で電子機器の取り付け作業が容易にできる機器収納キャビネットを提供することを目的とし、その構造は、機器収納キャビネットは、背板と天板、底板とから構成される本体に、前面板と左右側板とで構成されるカバー体をバーを介して取り付け、バーの回動動作に伴ってカバー体が上下に開閉可能であるように構成すると共に、カバー体の内側に、バーの動作速度を規制するテーパー金具を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、テーパー金具は、カバー体を開閉させるバーの軌跡上に配置し、カバー体の開閉動作時に、バーがテーパー金具の端部に摺動移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る機器収納キャビネットは、機器収納キャビネットのカバー体開閉構造は、背板と天板、底板とから構成される本体に、前面板と左右側板とで構成されるカバー体をバーを介して取り付け、バーの回動動作に伴ってカバー体が上下に開閉可能であるように構成すると共に、カバー体の内側に、バーの動作速度を規制するテーパー金具を設けたため、カバー体の開放動作のときに、簡単な形状のテーパー金具を用いるだけで、ダンパーやばね、減速器等の複雑な形状のものや高価な特殊部品を用いずに、開放速度を抑え、勢いよく落下するようなことがないようにし、安全に開閉できるようにした。
【0011】
また、テーパー金具は、カバー体を開閉させるバーの軌跡上に配置し、カバー体の開閉動作時に、バーがテーパー金具の端部に摺動移動するため、カバー体の開放動作のときに、簡単な形状のテーパー金具を用いるだけで、ダンパーやばね、減速器等の複雑な形状のものや高価な特殊部品を用いずに、バーがテーパー金具をこすりながら回転し、開放速度を抑え、勢いよく落下するようなことがないようにし、安全に開閉できるようにした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る機器収納キャビネットの実施例を図1〜図4の添付図面に基づいて説明する。
【0013】
通信機器等を設置する機器収納キャビネット1の本体2は背板3に天板4と底板5とを設け、左右側板は設けず構成する。カバー体6は前面板7に左右側板8,8を設けて構成され、本体2をカバー体6で施蓋して用いる。
【0014】
本体2の左右端部に、カバー体6の裏面に沿うように折曲したバー9を回動可能に取り付け、バー9にカバー体6を取り付けることで、カバー体6はバー9の回動動作により上下し開閉する。カバー体6を引き下げることで本体2の前面が開放される。バー9は弾性を有する素材で形成される。
【0015】
カバー体6の内側側面の、本体2に接続されたバー9の回動動作の軌跡上にテーパー金具10を設ける。テーパー金具10は、バー9に当接される辺11をテーパー状に形成している。カバー体6は上方から下方へ移動することで開放され、扉体が下方へ移動する際には、バー9がテーパー金具10の下側から上側へ摺動するので、テーパー金具10は下側が狭く、上側が広くなるようにテーパー状の辺11を設ける。
【0016】
カバー体6を閉じた状態では、バー9がテーパー金具10の下側の狭い部分に当接されている。機器収納キャビネット1の前面を開放するとき、カバー体6を引き下げると、バー9は、回転しながら、テーパー金具10の下側から上側に向かって摺動する。テーパー金具10が上側に向かって広くなるため、カバー体6が下がるほど、バー9がテーパー金具10に密接するので、カバー体6は遅い速度で動作することになる。
【0017】
本体2とカバー体6とはバー9で接続されており、開閉の際には取り付け取り外しの必要はなく、作業性が向上する。また、開閉もテーパー金具10にバー9が擦れながら行われるため、摩擦抵抗によりカバー体9の降下が緩やかになされ、安全に開閉することができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明に係るキャビネットのカバー体開閉構造は、簡単な構造でダンパーや減速機等の特殊な機器を使用せず、カバー体を安全な速度で引き下げることができるので、カバー体に限定せず、ドアの回転機構部やシステムキッチンの食器棚の下降機能にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】機器収納キャビネットのカバー体を閉じた状態を示す説明図である。
【図2】機器収納キャビネットのカバー体を開いた上体を示す説明図である。
【図3】機器収納キャビネットのカバー体の動作を示す説明図である。
【図4】図2におけるカバー体を内側から見た説明図である。
【図5】従来の機器収納キャビネットを示す説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1 機器収納キャビネット
2 本体
3 背板
4 天板
5 底板
6 カバー体
7 前面板
8 左右側板
9 バー
10 テーパー金具
11 辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種機器を収納する機器収納キャビネットであって、該機器収納キャビネットは、背板と天板、底板とから構成される本体に、前面板と左右側板とで構成されるカバー体をバーを介して取り付け、前記本体の接続部を支軸とした前記バーの回動動作に伴って前記カバー体が上下に開閉可能であるように構成すると共に、前記カバー体の内側に、前記バーの動作速度を規制するテーパー金具を設けたことを特徴とする機器収納キャビネットのカバー体開閉構造。
【請求項2】
前記機器収納キャビネットであって、前記テーパー金具は、前記カバー体を開閉させる前記バーの軌跡上に配置し、前記カバー体の開閉動作時に、前記バーが前記テーパー金具の端部に摺動移動することを特徴とする請求項1に記載の機器収納キャビネットのカバー体開閉構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−296959(P2008−296959A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144575(P2007−144575)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】