説明

機器操作支援装置、機器操作支援方法および機器操作支援用プログラム

【課題】機器利用者に、自身の目的に合致するまたは自身の使い方に即した機器の操作方法を短時間で、かつ確実に把握させる。
【解決手段】操作支援対象となる機器の状態遷移図情報であって機器操作によって状態が遷移する状態遷移図情報を保持する状態遷移図情報保持手段501と、状態遷移図情報から導出される状態遷移列の情報と該状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを保持する操作列詳細情報保持手段502と、ユーザ操作または機器への入出力内容または機器の現在の動作状態に基づいて表示状態遷移列を特定する表示状態遷移列特定手段503と、状態遷移図情報と表示状態遷移列の情報と該表示状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを用い、表示状態遷移列を含む状態遷移図と該表示状態遷移列に含まれる少なくとも1つの状態の詳細情報とを合わせて表示する操作支援情報表示手段504とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器利用者に機器の操作方法の支援を行う機器操作支援装置、機器操作支援方法および機器操作支援用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の携帯電話やハードディスクレコーダーなどの情報機器は、毎年のように新たな機能が追加されるため、機器を操作するためのメニューや設定方法はより複雑になっている。したがって、機器を初めて使用するユーザはもちろん、使用経験があるユーザであっても、それほど頻繁に使用しない機能では操作方法が分からなかったり、思い出せなかったりして思い通りに操作できないことがある。
【0003】
機器利用者に機器の操作方法の支援を行う機器操作支援装置の一例が、特許文献1,2に記載されている。特許文献1に記載されている電子機器は、機器の状態を判別し、その状態にて次にこの機器が受付可能な操作に関する表示を行うヘルプモードを有する。ヘルプモードにおける表示により、ユーザは機器の動作状態や次にすべき操作やその選択肢に関する情報を素早く取得しながら必要な操作を進めることができるようになる。次に可能な操作やその選択肢が提示されると、操作中の機器の動作状態において無効な操作を行わないで操作を進められるからである。
【0004】
また、特許文献2に記載されている操作支援システムは、操作情報を抽出し、動作情報の中から操作情報と合致する動作情報を取得し、検査業務単位の操作シーケンスとして登録する。そして、抽出された操作シーケンスと登録されている操作シーケンスとを比較し、その差が所定の値である場合に新たな操作シーケンスとして操作者に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−343956号公報
【特許文献2】特開2008−26939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1の問題は、機器利用者が利用したい機能を実行するまでのステップと、各ステップで必要なパラメータや選択肢とを同時に確認しながら操作を進めることができないことである。
【0007】
機器の動作仕様を視覚的に表現するためにソフトウェア設計などで使用される状態遷移図では、利用したい機能を実行するまでのステップと、必要なパラメータや選択肢を同時に確認することは難しい。なぜなら、近年の情報機器は、状態数も選択肢も多いので、必要なパラメータや細かい操作手順などの情報をすべて盛り込もうとすると状態遷移図は必然的に複雑になり、状態を1つずつ辿り利用したい機能を実行するまでに選択すべき選択肢を事前に確認することは困難だからである。
【0008】
一方、特許文献1に記載されている制御方法のように、各ステップで必要なパラメータ等を確認できるように提示しようとすると、各ステップにおいて表示された選択肢だけとなり、利用したい機能を実行するまでのステップと必要なパラメータや選択肢とを同時に把握することは難しい。なぜなら、1つ先の選択肢だけでは、必要なパラメータや選択肢は確認できても、その選択肢が利用したい機能に必要な選択肢かどうかを判断できないことがあるためである。特に、機能実行までに多くのステップが必要で、選択肢が多い機器では1つ先の選択肢だけではその選択肢で利用したい機能に辿りつけるかどうかの判断は難しい。
【0009】
第2の問題は、既存の説明書や特許文献1に記載されている制御方法で説明される操作手順は、説明内容を自分の目的に合致するように理解し直さなければならず、理解に時間がかかることである。なぜなら、既存の説明書や特許文献1に記載されている制御方法で説明される操作手順は、各機能の代表的な操作例が示されているだけで、個々の機器利用者の操作内容と完全には一致せず、実際の使い方に即した例ではないからである。また、手順は似ているが、パラメータや状況の違いにより目的が異なる操作を多く行っていた場合、特許文献2に記載されている操作支援システムのように利用者ごとに記録した過去の操作内容を示しても、提示された例が現在の目的と一致するかを判断するのには時間がかかる。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、機器利用者に、自身の目的に合致するまたは自身の使い方に即した機器の操作方法を短時間で、かつ確実に把握させることができる機器操作支援装置、機器操作支援方法および機器操作支援用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による機器操作支援装置は、操作支援対象となる機器の状態遷移図を描画するための情報であって機器操作によって状態が遷移する状態遷移を示す情報である状態遷移図情報を保持する状態遷移図情報保持手段と、状態遷移図情報から導出される状態遷移列の情報と、少なくとも該状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを保持する操作列詳細情報保持手段と、ユーザ操作または機器への入出力内容または機器の現在の動作状態に基づいて、表示対象とする状態遷移列を特定する表示状態遷移列特定手段と、操作支援情報として、状態遷移図情報保持手段に保持されている状態遷移図情報と、操作列詳細情報保持手段に保持されている情報のうちの表示状態遷移列特定手段によって特定された状態遷移列である表示状態遷移列の情報と該表示状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを用いて、表示状態遷移列を含む状態遷移図と、該表示状態遷移列に含まれる少なくとも1つの状態の詳細情報とを合わせて表示する操作支援情報表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明による機器操作支援方法は、ユーザ操作または機器への入出力内容または機器の現在の動作状態に基づいて、表示対象とする状態遷移列を特定する表示状態遷移列特定ステップと、特定された状態遷移列である表示状態遷移列の情報と該表示状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを、所定の記憶装置から取得する操作列詳細情報取得ステップと、操作支援情報として、所定の記憶装置から取得される、操作支援対象となる機器の状態遷移図を描画するための状態遷移図情報と、表示状態遷移列特定ステップで特定された状態遷移列である表示状態遷移列の情報と該表示状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを用いて、表示状態遷移列を含む状態遷移図と、該表示状態遷移列に含まれる少なくとも1つの状態の詳細情報とを合わせて表示する操作支援情報表示ステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明による機器操作支援用プログラムは、コンピュータに、ユーザ操作または機器への入出力内容または機器の現在の動作状態に基づいて、表示対象とする状態遷移列を特定する表示状態遷移列特定処理と、操作支援情報として、所定の記憶装置から取得される、操作支援対象となる機器の状態遷移図を描画するための状態遷移図情報と、表示状態遷移列特定処理で特定された状態遷移列である表示状態遷移列の情報と該表示状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを用いて、表示状態遷移列を含む状態遷移図と、該表示状態遷移列に含まれる少なくとも1つの状態の詳細情報とを合わせて表示する操作支援情報表示処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、機器利用者に、自身の目的に合致するまたは自身の使い方に即した機器の操作方法を短時間で、かつ確実に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態の機器操作支援システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】機器操作状態取得手段103のより詳細な構成例を示すブロック図である。
【図3】状態遷移図保持手段102が保持する状態遷移図情報の例を示す説明図である。
【図4】状態遷移図の一例を示す説明図である。
【図5】操作履歴保持手段106が保持する情報の一例を示す説明図である。
【図6】操作列の選択方法の一例を示す説明図である。
【図7】操作履歴保持手段106が保持する情報のより具体的なデータ構造の一例を示す説明図である。
【図8】状態遷移図表示手段105が表示する操作支援情報の一例を示す説明図である。
【図9】状態遷移図表示手段105が表示する操作支援情報の一例を示す説明図である。
【図10】状態遷移図表示手段105が表示する操作支援情報の一例を示す説明図である。
【図11】状態遷移図表示手段105が表示する操作支援情報の一例を示す説明図である。
【図12】第1の実施形態の機器操作支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【図13】操作列の選択方法の他の例を示す説明図である。
【図14】操作列の選択方法の他の例を示す説明図である。
【図15】第2の実施形態の機器操作支援システムの構成例を示すブロック図である。
【図16】機器操作状態取得手段203のより詳細な構成例を示すブロック図である。
【図17】第2の実施形態の機器操作支援システムの動作の例を示すフローチャートである。
【図18】第3の実施形態の機器操作支援システムの構成例を示すブロック図である。
【図19】機器操作状態取得手段303のより詳細な構成例を示すブロック図である。
【図20】操作列詳細情報取得手段304のより詳細な構成例を示すブロック図である。
【図21】類似度計算の結果の一例を示す説明図である。
【図22】第3の実施形態の機器操作支援システムの動作の例を示すフローチャートである。
【図23】本発明の概要を示すブロック図である。
【図24】本発明による機器操作支援装置の他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態1.
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の機器操作支援システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の機器操作支援システムは、機器101と、状態遷移図保持手段102と、機器操作状態取得手段103と、操作履歴保持手段106と、操作列詳細情報取得手段104と、状態遷移図表示手段105とを備える。
【0017】
また、図2は、機器操作状態取得手段103のより詳細な構成例を示すブロック図である。図2に示すように、機器操作状態取得手段103は、機器状態取得手段1031と、状態遷移列名取得手段1032とを含む。
【0018】
機器101は、当該機器操作支援システムにおいて操作支援の対象とされる機器である。また、機器101は、現在当該機器101が後述する状態遷移図保持手段102が保持している状態遷移図のどの状態にあるかを機器操作状態取得手段103に出力する機能を有する。また、操作履歴保持手段106が保持している状態遷移列の一覧をユーザに選択可能に表示し、ユーザによって選択された1つまたは複数の状態遷移列の識別子(本例では、状態遷移列名)を機器操作状態取得手段103に出力する機能を有する。なお、一覧表示は、状態遷移列名取得手段1032からの制御によって行ってもよい。
【0019】
状態遷移図保持手段102は、機器101の状態遷移図情報を保持する。本実施形態において、状態遷移図情報とは、機器101の状態遷移図を描画するための情報であって、機器101の機器操作に関わる状態遷移を示す情報として、遷移元状態と、その状態から別の状態に遷移するための入力(状態遷移イベント。ここでは機器101に対する操作内容)と、その時の遷移先状態とを対応付けた情報である。状態遷移図保持手段102が保持している状態遷移図情報は、状態遷移図表示手段105が状態遷移図を表示するために利用される。図3は、状態遷移図保持手段102が記憶している状態遷移図情報の一例を示す説明図である。図3に示す例では、例えば、機器状態が「スタート画面」の時、[設定]が入力されると機器状態は「設定画面」に遷移することが示されている。この例における「入力」には、例えば、メニュー画面内のボタンやリンクなどの機器101に対する入力内容のIDを登録すればよい。また、1つの状態からの遷移先は入力に応じて複数可能である。例えば、図3に示す例では、「スタート画面」から「設定画面」への状態遷移の他に、機器状態が「スタート画面」の時に[データ登録]が入力された場合に、機器状態が「登録データ選択画面」に遷移する例が示されている。また、図4は、図3に示した状態遷移図情報から作成される状態遷移図の一例である。
【0020】
機器操作状態取得手段103は、機器101の現在の状態と、ユーザが指定する状態遷移列名を取得する手段であって、上述したように、機器状態取得手段1031と、状態遷移列名取得手段1032とを含む(図2参照。)。
【0021】
機器状態取得手段1031は、機器101から現在の状態を取得し、状態遷移図表示手段105に出力する。また、機器状態取得手段1031は、操作履歴保持手段106に保持させる情報として、実際に操作した時に生成される操作履歴の情報を機器101から吸い上げる機能を有していてもよい。
【0022】
状態遷移列名取得手段1032は、機器101を介してユーザに状態遷移列名を指定させ、その指定された状態遷移列名を取得し、操作列詳細情報取得手段104へ出力する。なお、本実施形態では、操作履歴保持手段106に保持されている状態遷移列群を取得して機器101に一覧表示させ、その一覧表示した状態遷移列群の中からユーザに1つまたは複数の状態遷移列を指定させることによって、目的とする機能またはその機能に関係する作業(操作列)を指定させている。この目的とする機能またはその機能に関係する操作列を指定させる動作は、機器101を用いて行う場合に限られない。例えば、当該機器操作支援システムが別途表示装置を有している場合には、その表示装置を介して、操作履歴保持手段106が保持している状態遷移列の一覧をユーザに選択可能に表示し、ユーザに1つまたは複数の状態遷移列を選択させてもよい。ここで、状態遷移列とは、機器101に対する操作によって遷移しうる一連の状態遷移のパターンであって、具体的には、状態遷移図情報から導出される状態遷移の経路により表わされる情報である。
【0023】
操作履歴保持手段106は、状態遷移図保持手段102が保持する状態遷移図情報から導出される機器101の状態遷移のパターン(経路)である状態遷移列と対応づけて、当該状態遷移列の各状態における操作内容の詳細を示す詳細情報を保持する。図5は、操作履歴保持手段106が保持する情報の一例である。図5に示す例では、状態遷移列名と、その状態遷移列名で識別される状態遷移列に対応する操作列詳細情報ファイル名とを対応づけて保持している。この操作列詳細情報ファイルは、操作履歴保持手段106が別途保持しているファイルであって、少なくとも対応する状態遷移列の内容と詳細情報の内容とが記録されている。例えば、「(14:40:49)時刻データ登録」の状態遷移列と詳細情報は、“20090309144049.dat”に記録されている。
【0024】
また、図6は、ユーザに提示する状態遷移列の一覧の一例を示す説明図である。図6に示すように、「(14:40:49)時刻データ登録」や「(15:01:23)場所データ登録」が状態遷移列名を表し、ユーザはこの中から表示したい状態遷移列名を選択する。ここで、時刻を併せて表示することで、いつの操作内容かをユーザに知らせることができ、この操作内容がユーザの現在の目的に合致しているかどうかをより容易に判断できるようにしている。なお、時刻の他に、遷移先状態で確定したパラメータなどを表示してもよい。
【0025】
また、図7は、操作列詳細情報ファイルに記録される情報の例を示す説明図である。なお、操作履歴保持手段106が保持する状態遷移列と詳細情報は、過去に利用者が実際に機器101を操作した時に生成された操作履歴であることが望ましい。図7に示す例では、機器で起きた状態遷移とその時刻、またその時の機器への入力、その時の機器の画面画像が、時刻の順に記録されている。例えば、時刻「14:50:49」に「スタート画面」にて[データ登録]が入力され、「登録データ選択画面」に遷移している。また、その状態遷移時の機器の画面画像や操作時刻、入力内容が操作内容を示す詳細情報として記録されている。なお、関連情報として、操作時刻や状態遷移列の識別子を併せて保持してもよい。以下、状態遷移列の各状態の詳細情報と関連情報とを併せて操作列詳細情報と表現する場合がある。
【0026】
なお、操作履歴保持手段106が保持する操作列詳細情報は、当該状態における機器操作内容をあとから閲覧して思い出したり、提示された操作例がいつ行われたものか、何を目的として行われたものかを思い出す手掛かりとすることを意図して保持する。したがって、操作列詳細情報は、上述の機器の画面画像に限らず、当該状態における操作内容やパラメータを記述したテキストや音声、操作の様子を撮影した動画などでもよい。
【0027】
操作列詳細情報取得手段104は、機器操作状態取得手段103が出力する状態遷移列名に対応する状態遷移列とその状態遷移列の操作列詳細情報を操作履歴保持手段106から取得し、状態遷移図表示手段105に出力する。これは、ユーザから目的とする機能またはその機能に関係する操作列を指定されたことにより特定される、その目的とする機能にたどり着くための状態遷移列に応じて、その状態遷移列の情報と、その状態遷移列の操作列詳細情報を操作履歴保持手段106から取得し、状態遷移図表示手段105に出力することを意味している。
【0028】
状態遷移図表示手段105は、機器操作状態取得手段103から得た機器状態と操作列詳細情報取得手段104から得た状態遷移列の情報と操作列詳細情報とを関連付けて状態遷移図を表示する。
【0029】
次に、図8および図9を参照して状態遷移図表示手段105の表示動作の一例を説明する。図8および図9は、状態遷移図表示手段105が表示する操作支援情報の一例を示す説明図である。状態遷移図表示手段105は、機器操作状態取得手段103から得た機器状態(本例では、「登録データ選択画面」)と、状態遷移図保持手段102から得た状態遷移図情報(図3参照。)と、操作列詳細情報取得手段104から得た操作列詳細情報(図7参照。)とを用いて、ユーザの現在の目的に合致させた操作支援を行うための操作支援情報を表示する。
【0030】
本実施形態では、操作支援情報として、少なくとも現在の状態からユーザが目的とする機能に到達したときの状態までの状態遷移列(以下、所望状態遷移列という。)を一望できる状態遷移図と、その状態遷移図と合わせてその状態遷移列における各状態(少なくとも現在または指定された1状態)での操作内容を提示(音声の場合は出力)可能な画面を表示する。
【0031】
状態遷移図表示手段105は、状態遷移図保持手段102から取得する状態遷移図情報で示される機器101の状態遷移の構造に対応させて状態遷移図を表示する。図8および図9に示す例では、状態遷移図における状態を四角形で、状態遷移を矢印で表現している。例えば、状態a2は「登録データ選択画面」を、矢印b1は状態a1である「スタート画面」から状態a2である「登録データ選択画面」への遷移を表している。
【0032】
状態遷移図表示手段105は、機器操作状態取得手段103から取得した現在の状態が、状態遷移図のどの状態に対応するかを状態遷移図上で他の状態と識別できるように色や形を変えて目立たせて表示する。図8および図9に示す例では、機器操作状態取得手段103が取得した機器状態「登録データ選択画面」(状態a2)は他の状態と違う色で表示することで他の状態と識別できるようにしている。
【0033】
また、状態遷移図表示手段105は、操作列詳細情報取得手段104から取得する状態遷移列(すなわち、所望状態遷移列。本例では、「時刻データ登録画面」までの状態遷移列とする。)を状態や遷移を表す図形の色や形を変えたりして、状態遷移図上で識別できるように目立たせて表示する。図8に示す例では、遷移列における各状態の操作内容を示す詳細情報(図8のc1〜c3)を表示することで、「スタート画面」→「登録データ選択画面」→「時刻データ登録画面」と遷移した状態遷移系列を識別できる。また、図9に示す例では、所望状態遷移列に現れない状態や状態遷移を表す図形の色を薄くすることで、当該状態遷移系列を状態遷移図上で識別できるようにしている。例えば、状態s5である「設定画面」や状態s4である「場所データ登録画面」、それらの間の遷移(図9のb3〜b6)は所望状態遷移列には現れないので色を薄くして描画している。
【0034】
また、状態遷移図表示手段105は、操作列詳細情報取得手段104から取得する詳細情報が、状態遷移図内のどの状態の詳細情報を表しているか識別できるように、状態遷移図上の状態や遷移を表す図形と対応付けて表示する。図8に示す例では、各状態の詳細情報としての画面画像を、当該状態の表示(四角形)の付近に表示させている(図8のc1〜c3)。また、図9に示す例では、現在状態である「登録データ選択画面」(状態c2)の詳細情報として、画面画像c2を状態c2の表示(四角形)の近傍に表示させている。
【0035】
なお、各状態の選択肢が多い等により状態遷移図全体を表示するスペースや、詳細情報を関連状態全てに付与して表示させるスペースがないなどの場合には、関係のない状態を隠したり、少なくとも現在または指定された1つの状態の詳細情報を表示させることでステップ(道のり)の見通しをよくすることが重要である。ステップの見せ方の例としては、この他にも、状態遷移図上、詳細情報を見たい状態をカーソルで指定すると、別途設けた操作画面表示用領域に重畳表示させたり、吹きだしで表示させたりしてもよい。
【0036】
図10および図11は、状態遷移図表示手段105が表示する操作支援情報の他の例を示す説明図である。図10および図11に示す例では、詳細情報として1つの操作画面を表示する領域Aと、所望状態遷移列を一望できる状態遷移図を表示する領域Bとを含む画面を表示している。図10に示す例でも、状態遷移図において、現状態を目立たせて表示させたり、支援対象となる状態遷移列と関係のない状態は目立たなくするか隠して表示させている。また、各状態の表示にプレビュー画面を用い、その付近に状態名(画面名)を表示させている。また、図11に示す例は、ユーザによって選択された状態(本例では、「毎週予約設定画面」)に対応する詳細情報として、操作画面を拡大表示してチェックできるようになっている。その際、どこを操作するかを強調して表示させてもよい(図11の破線楕円)。
【0037】
なお、本実施形態において、状態遷移図保持手段102と操作履歴保持手段106は、例えば、記憶装置により実現される。また、機器操作状態取得手段103と操作列詳細情報取得手段104は、例えばプログラムに従って動作するCPUと、機器101とのインタフェース・ユニットとによって実現される。また、状態遷移図表示手段105は、例えばプログラムに従って動作するCPUと、表示装置または表示装置とのインタフェース・ユニットとによって実現される。なお、上記記憶装置やCPUはそれぞれ別々のユニットとして実現されていてもよい。また、機器101を除く各手段を1つの装置(機器操作支援装置)として実現させることも可能であるし、機器101に組み込んだ形で実現させることも可能である。なお、機器101に組み込んだ形で実現させる場合には、機器101が機器操作支援装置を兼用することになる。
【0038】
次に、本実施形態の動作について説明する。図12は、本実施形態の機器操作支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。図12に示すように、まず、状態遷移図表示手段105は、状態遷移図保持手段102から状態遷移図情報を取得する(ステップS101)。次に、機器操作状態取得手段103は、状態遷移列名取得手段1032がユーザから指定される状態遷移列名(表示対象とする状態遷移列名)を取得するまで待つ(ステップS102)。
【0039】
状態遷移列名取得手段1032が表示対象とする状態遷移列名を取得すると、状態遷移図表示手段105は、機器状態取得手段1031を介して機器状態を取得する(ステップS103)。機器状態取得手段1031は、例えば、機器101との間で予め定めておいたインタフェースおよびプロトコルを用いて、現在の機器状態を問い合わせるコマンドを発行し、その応答として現在の機器状態を受信することによって取得してもよい。なお、機器101とのインタフェースは特に限定されない。例えば、直接接続されるコネクタケーブルであってもよいし、ネットワーク経由であってもよい。また、無線であっても有線であってもよい。
【0040】
例えば、機器101がDVDレコーダや遠隔に設置されているカメラ、ロボットである場合に、その状態を機器操作支援システムの他の手段が組み込まれた携帯端末やパーソナルコンピュータや専用の表示装置によって読み込ませてもよい。なお、当該機器操作支援システムの各手段が支援対象とされる機器101に組み込まれて実施される場合には、当該機器101内で保持されている状態値などを参照することによって取得することも可能である。
【0041】
次に、操作列詳細情報取得手段104は、状態遷移列名取得手段1032が取得した状態遷移列名に対応する状態遷移列と詳細情報を操作履歴保持手段106から取得する(ステップS104)。
【0042】
その後、状態遷移図表示手段105は、操作列詳細情報取得手段104から取得した状態遷移列と詳細情報とを上述の方法で状態遷移図と関連付けて表示する(ステップS105)。状態遷移図表示手段105は、状態遷移図(ここでは、操作支援情報としての状態遷移図であって操作列詳細情報が関連づけられた状態遷移図をいう。)の表示後、機器操作状態取得手段103が一定時間ごとに機器状態と表示する状態遷移列名の取得動作を行うなどして、どちらかに変更があるまで待つ(ステップS106)。
【0043】
どちらかに変更があった場合、ステップS103まで戻り、機器状態と詳細情報を更新して(ステップS103、S104)、状態遷移図を再び表示する(ステップS105)。ユーザから支援機能の終了が指示されるまで、以上の動作を繰り返す。
【0044】
以上のように、本実施の形態では、状態遷移図上で、所望状態遷移列と当該所望状態遷移列の少なくとも1つの状態における操作内容の詳細を示す詳細情報を合わせて表示する。状態遷移図上で所望状態遷移列を表示することにより、目的とする機能に到達するまでの状態遷移がどのように進むかの見通しがよくなり、操作の概要を確認できる。また、詳細情報を状態の付近に表示するなどして、どの状態の詳細情報か識別できるようにすることにより、どの状態でどのような操作が必要かを直観的に確認できる。
【0045】
なお、所望状態遷移列を含む状態遷移図と詳細情報の表示タイミングは、厳密に同時でなくてもよい。例えば、状態遷移図を表示した後に詳細表示を表示してもよい。また、当該システムが2つの画面を備える場合には、状態遷移図と詳細情報の表示は同じ画面上でなくてもよい。例えば、詳細情報を機器が備える画面に表示しつつ、状態遷移図を携帯端末やパーソナルコンピュータの表示装置に表示してもよい。いずれにしても、ユーザが状態遷移図と詳細情報とを同時に確認できるような画面構成で表示されていればよい。
【0046】
さらに、詳細情報として、各状態における操作内容やパラメータを記述したテキストや音声、操作の様子を撮影した動画、画像を利用することで、パラメータやGUIオブジェクトの配置などの詳細を確認でき、当該状態における機器操作内容を思い出しやすくなる。
【0047】
すなわち、本実施の形態では、設定された操作の目的または過去の使い方に基づいて決定された操作の目的までの機器の状態遷移図を、その目的までの道のりを強調して表示するとともに、その道のりに必要な詳細情報とともに提示することによって、操作の見通しと、各状態での詳細とを同時に確認できる。従って、機器利用者に、自身の目的に合致するまたは自身の使い方に即した機器の操作方法を短時間で、かつ確実に把握させることができる。特に、操作履歴保持手段が保持する状態遷移列と詳細情報が、過去に利用者が実際に機器を操作した時に生成された操作履歴であると、その効果が大きい。
【0048】
なお、上記説明では、ユーザに一覧表示する状態遷移列の対象を、操作履歴保持手段106が保持している状態遷移列(すなわち過去にその機器101において操作された内容を示す状態遷移列)としているが、この限りではない。例えば、操作履歴保持手段106に保持されていない状態遷移列であっても、対応する詳細情報(操作履歴保持手段106が保持する詳細情報と同等の内容の詳細情報であって、例えば、他のユーザが操作した内容を示す詳細情報など)を収集可能であれば、状態遷移図情報から導出される状態遷移のパターンそれぞれを状態遷移列として提示してもよい。
【0049】
対応する詳細情報は、例えば、ホームサーバやインターネット上のWebサーバなどに保存されていればよい。なお、操作履歴保持手段106をそのホームサーバやインターネット上のWebサーバに見立てることも可能である。そのような場合、操作履歴保持手段106はネットワークを介して接続される構成となる。
【0050】
また、上記説明では、目的に合致している状態遷移列をユーザに指定させる方法として、最終状態名と時刻とを表示する例を示しているが、例えば、状態遷移の最終状態の詳細情報(プレビュー画面など)を見せるようにしてもよい。この他、状態遷移図を表示し、状態遷移図上で各状態の詳細情報を確認させながら、目的に近いまたは合致する最終状態を選択させてもよい。なお、1つの状態に複数の詳細情報が対応づけられている場合には、その状態を含む状態遷移列と詳細情報を表示し、目的と合致する詳細情報を表示している状態遷移列を選択させればよい。
【0051】
図13および図14は、操作列の選択方法の他の例を示す説明図である。図13に示す例では、最終状態である時刻データ設定画面を探す様子として、最終状態6での詳細情報とその状態へ遷移する状態5(遷移元状態)での詳細情報を表示している様子を示している。また、図14に示す例では、状態5に複数の詳細情報が対応づけられている場合の例として、その状態の詳細情報を状態遷移列と対応づけて表示する例を示している。なお、遷移元状態と遷移先状態が同じであっても状態遷移図情報において異なる入力として定義されている場合には、別の状態遷移列として扱うこととする。これにより、設定パラメータによって異なる機能となる場合も区別して取り扱うことができる。
【0052】
実施形態2.
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図15は、本発明の第2の実施形態の機器操作支援システムの構成例を示すブロック図である。図15に示す機器操作支援システムは、機器201と、機器操作状態取得手段203と、操作列詳細情報取得手段204と、操作履歴保持手段205とが第1の実施形態と異なる。また、図16は、機器操作状態取得手段203のより詳細な構成例を示すブロック図である。図16に示すように、機器操作状態取得手段203では、状態遷移列名取得手段2032が第1の実施形態と異なる。また、さらに利用者識別子取得手段2033を含む。なお、その他の構成については第1の実施形態と同様である。第1の実施の形態と同様の構成要素については、図1および図2と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0053】
機器201は、機器101と同様に、現在機器が当該状態遷移図のどの状態にあるかを機器操作状態取得手段203に出力する。本実施形態では、さらに、センサや入力装置を利用して利用者の識別子を一意に特定する機能を有する。例えば、入出力装置を備える機器において、名前の一覧から利用者の名前を選択させ、対応する識別子を特定する。他の例として、ICカードや電子タグ、顔認識システムなどで利用者を特定し、対応する識別子を特定する。
【0054】
さらに機器201は、取得した識別子の利用者に対応する状態遷移列の一覧を表示し、機器101と同様にユーザにひとつまた複数の状態遷移列を選択させ、選択された状態遷移列名と取得した識別子を機器操作状態取得手段203へ出力する機能を有する。なお、一覧表示は、状態遷移列名取得手段2032からの制御によって行ってもよい。
【0055】
操作履歴保持手段206は、利用者を識別できる識別子と当該利用者の操作列詳細情報を対応付けて保持する。つまり、利用者の識別子ごとに操作履歴保持手段106と同様に一連の操作結果としての状態遷移列における各状態の詳細情報および関連情報を保持する。例えば、利用者の識別子には、利用者の名前やID番号など利用者を一意に特定できる情報を割り当てる。
【0056】
利用者識別子取得手段2033は、機器201から現在の利用者の識別子を取得し状態遷移列名取得手段2032および操作列詳細情報取得手段204へ出力する。
【0057】
状態遷移列名取得手段2032は、第1の実施形態と同様に、機器201を介してユーザに状態遷移列名を指定させ、その指定された状態遷移列名を取得し、操作列詳細情報取得手段204へ出力する。本実施形態では、利用者識別子取得手段2033が取得した識別子の利用者に対応する状態遷移列群を操作履歴保持手段206から取得して、機器201に一覧表示させることによって、現在の利用者に対応づけられている状態遷移列の中から選択させる。
【0058】
操作列詳細情報取得手段204は、操作履歴保持手段206から、機器操作状態取得手段203が出力する状態遷移列名によって識別される状態遷移列(すなわち、現在の利用者に対応づけられている状態遷移列の一覧の中から選択された所望状態遷移列)とその操作列詳細情報とを取得し、状態遷移図表示手段105に出力する。
【0059】
次に、本実施形態の動作について説明する。図17は、第2の実施形態の機器操作支援システムの動作の例を示すフローチャートである。なお、第1の実施形態と同様の動作については、図12と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0060】
図17に示すように、本実施形態では、状態遷移図表示手段105が、状態遷移図保持手段102から状態遷移図情報を取得した後(ステップS101)、機器201が利用者の識別子を取得するまで待つ(ステップS207)。なお、機器201が利用者の識別子を取得するのを待ちながら、状態遷移図表示手段105が状態遷移図保持手段102から状態遷移図情報を取得してもよい。これらの動作の順序は特に問わない。
【0061】
機器201が利用者の識別子を取得すると、機器操作状態取得手段203は、状態遷移列名取得手段2032がユーザから指定される状態遷移列名(表示対象とする状態遷移列名)を取得するまで待ち(ステップS202)、機器状態を取得する(ステップS103)。その後の動作(ステップS104〜S105)は、第1の実施形態と同様である。なお、状態遷移図を表示した後、ステップS206において、機器状態か表示する状態遷移列名か利用者の識別子が変更されるまで待つ点は第1の実施の形態と異なる。
【0062】
以上のように、本実施の形態では、機器201で特定した利用者識別子に応じた状態遷移列と詳細情報を状態遷移図上で表示する。利用者ごとに履歴を保持することで、同じ装置を複数利用者で利用することが可能になる。また、各利用者の個々の使い方に即した操作支援情報が表示されるので、利用者を特定しない場合よりも操作内容の理解が促進される。
【0063】
実施形態3.
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図18は、本発明の第3の実施形態の機器操作支援システムの構成例を示すブロック図である。図18に示すように、第3の実施形態の機器操作支援システムは、機器301と、機器操作状態取得手段303と、操作列詳細情報取得手段304とが第1の実施形態と異なる。また、図19は、機器操作状態取得手段303のより詳細な構成例を示すブロック図である。図19に示すように、機器操作状態取得手段303では、状態遷移列名取得手段1032に代わり、機器状態遷移履歴保持手段3034を含む点で、第1の実施形態と異なる。
【0064】
また、図20は、操作列詳細情報取得手段304のより詳細な構成例を示すブロック図である。図20に示すように、操作列詳細情報取得手段304は、操作列詳細情報取得手段3041と、状態遷移列類似度計算手段3042とを含む点が第1の実施形態と異なる。なお、その他の構成については第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0065】
機器301は、機器101と同様に、現在機器が状態遷移図のどの状態にあるかを機器操作状態取得手段203に出力する。なお、本実施形態では、状態遷移列の一覧表示機能は不要である。
【0066】
機器状態遷移履歴保持手段3034は、機器301から出力される状態を取得し、状態遷移図における状態遷移の履歴、すなわち機器操作開始から現在までどのように状態を遷移させたかの履歴(以下、状態遷移履歴という。)を保持する。なお、機器状態遷移履歴保持手段3034が保持する状態遷移履歴は、機器操作開始から現在までの状態遷移列を得るための状態遷移履歴である。
【0067】
操作列詳細情報取得手段304は、図14に示すように操作列詳細情報取得手段3041と状態遷移列類似度計算手段3042から構成される。
【0068】
状態遷移列類似度計算手段3042は、機器状態遷移履歴保持手段3034から機器操作開始から現在までの状態遷移履歴を取得し、操作履歴保持手段106に保持されている状態遷移列のうち状態遷移履歴との間で類似度が最も高い状態遷移列名を特定し、操作列詳細情報取得手段3041に出力する。
【0069】
状態遷移列類似度計算手段3042が行う状態遷移履歴と操作履歴保持手段106に保持されている状態遷移列の類似度計算としては、例えば、編集距離を用いてもよい。編集距離は、二つの文字列がどれだけ異っているかを示す指標で、ある文字列を別の文字列に変換するのに必要な手順(削除、置換、挿入)の最小回数で表わされる。図21は、類似度計算の結果の一例を示す説明図である。図21に示す例では、1つの状態を1文字として表現することによって、状態遷移列を文字列として扱っている。例えば、「状態遷移列1」は、”BCDE”と表記されていることから、状態B→状態C→状態D→状態Eと遷移したことを意味する。また、例えば、「状態遷移列2」は”BDDEC”と表記されていることから、状態B→状態D→状態D→状態E→状態Cと遷移したことを意味する。
【0070】
この状態遷移列2の表記文字列である”BDDEC”と”ABCDE”(これは、状態A→状態B→状態C→状態D→状態Eと遷移した状態遷移を意味する)との類似度を算出する場合、”BDDEC”を”ABCDE”に変換するために必要な操作(「削除」「置換」「挿入」等)の回数を計上すればよい。本例の場合、”BDDEC”を“ABCDE”に変換するのには、“BDDEC”→“C”を削除→”BDDE”→“D(1個目)”を”C”に置換→”BCDE”→先頭に”A”を挿入→”ABCDE”と3回の操作が必要なので、状態遷移列2(”BDDEC”)と“ABCDE”との編集距離は3となる。状態遷移列間の類似度を、編集距離×(−1)と定義すれば、類似した操作列ほど高い類似度が得られる。このようにして、図21に示す例では、この他状態遷移列1(”BCDE”)と”ABCDE”との類似度が−1、状態遷移列3(”ABDCE”)と”ABCDE”との類似度が−2と求める。結果、本例では、最も類似度の高い状態遷移列名として、状態遷移列1が特定されることになる。
【0071】
操作列詳細情報取得手段3041は、機器状態遷移履歴保持手段3034から取得した状態遷移列名に対応する状態遷移列と操作列詳細情報とを操作履歴保持手段106から取得し、状態遷移図表示手段105に出力する。
【0072】
次に、本実施形態の動作について説明する。図22は、第3の実施形態の機器操作支援システムの動作の例を示すフローチャートである。なお、第1の実施形態と同様の動作については、図12と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0073】
図22に示すように、本実施形態では、状態遷移図表示手段105が、状態遷移図保持手段102から状態遷移図情報を取得した後(ステップS101)、ユーザに状態遷移列名の指定動作を行わせずに、機器状態遷移履歴保持手段3034が、機器状態の取得により機器操作開始から現在までの状態遷移履歴の保存動作を行う(ステップS303)。なお、機器状態遷移履歴保持手段3034が、機器状態の取得によって状態遷移履歴の保存動作を行っている間に、状態遷移図表示手段105が状態遷移図保持手段102から状態遷移図情報を取得してもよい。これらの動作の順序は特に問わない。例えば、状態遷移履歴の記録開始と、状態遷移図表示の開始とが別々に指示されるような場合には、独立してこれらの動作を行うことも可能である。
【0074】
状態遷移図表示の開始指示がされ、かつ少なくとも1つ以上の状態遷移の履歴が保持されると、状態遷移列類似度計算手段3042が機器操作状態取得手段303から取得した状態遷移履歴を用いて遷移列の類似度を計算し表示する状態遷移列名を特定する(ステップS308)。なお、状態遷移図表示の開始や状態遷移履歴の記録開始の指示は明示的に行われなくてもよく、機器301に対して操作を行ったら自動的に状態遷移図表示が行われるように動作してもよい。また、機器状態遷移履歴保持手段3034が操作履歴保持手段106の内容も併せて更新するような場合には、現在比較対象としている状態遷移履歴よりも以前に登録された履歴を類似度判定の対象にすればよい。
【0075】
表示する状態遷移列名が特定されると、その後の動作(ステップS104〜S105)は、第1の実施形態と同様である。なお、本実施形態では、操作列詳細情報取得手段3041が、操作履歴保持手段106から、特定された状態遷移列名によって識別される状態遷移列(すなわち、過去に操作した内容の状態遷移列のうち機器操作開始から現在までの状態遷移に最も近い状態遷移列)とその操作列詳細情報とを取得して、状態遷移図表示手段105に出力する(ステップS104)。なお、状態遷移図を表示した後、ステップS306において、機器状態が変更されるまで待つ点は第1の実施の形態と異なる。機器状態が変更されると、ステップS303に戻り、新たな機器状態までを現在の状態遷移列として記録し、再度、記録した現在の状態遷移列と、操作履歴保持手段106に保持されている状態遷移列との類似度計算を行う処理を行えばよい。
【0076】
以上のように、本実施の形態では、現在までの状態遷移列と類似した状態遷移列を履歴保持手段から自動的に選択して状態遷移列と詳細情報を状態遷移図上で表示する。ユーザが表示すべき状態遷移列を明示的に指定しなくてもよいので、履歴保持手段に多くの状態遷移列が保存されている場合に指定の手間を省くことができる。また、現在までの遷移列と類似した状態遷移列を自動的に選択できるので、途中までの操作は分かっている場合などには、ユーザが自分で表示する遷移列を指定するよりも適切な状態遷移列を指定することも可能である。
【0077】
次に、本発明の概要について説明する。図23は、本発明の概要を示すブロック図である。図23に示す機器操作支援装置は、状態遷移図情報保持手段501と、操作列詳細情報保持手段502と、表示状態遷移列特定手段503と、操作支援情報表示手段504とを備える。
【0078】
状態遷移図情報保持手段501(例えば、状態遷移図保持手段102)は、操作支援対象となる機器の状態遷移図を描画するための情報であって機器操作によって状態が遷移する状態遷移を示す情報である状態遷移図情報を保持する。
【0079】
操作列詳細情報保持手段502(例えば、操作履歴保持手段106,206)は、状態遷移図情報保持手段501が保持する状態遷移図情報から導出される状態遷移列の情報と、少なくとも該状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを保持する。
【0080】
表示状態遷移列特定手段503(例えば、状態遷移列名取得手段1032、状態遷移列類似度計算手段3041)は、ユーザ操作または機器への入出力内容または機器の現在の動作状態に基づいて、表示対象とする状態遷移列を特定する。
【0081】
操作支援情報表示手段504(例えば、状態遷移図表示手段105)は、操作支援情報として、状態遷移図情報保持手段501に保持されている状態遷移図情報と、操作列詳細情報保持手段502に保持されている情報のうちの表示状態遷移列特定手段503によって特定された状態遷移列である表示状態遷移列の情報と該表示状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを用いて、表示状態遷移列を含む状態遷移図と、該表示状態遷移列に含まれる少なくとも1つの状態の詳細情報とを合わせて表示する。
【0082】
このような構成を有することによって、機器利用者に、自身の目的に合致するまたは自身の使い方に即した機器の操作方法を短時間で、かつ確実に把握させることができる。
【0083】
また、操作列詳細情報保持手段502は、例えば、実際に機器を操作することで生成された履歴情報としての状態遷移列と詳細情報とを保持してもよい。また、例えば、利用者の識別子ごとに、利用者が実際に機器を操作することで生成された履歴情報としての状態遷移列と詳細情報とを保持してもよい。そのような場合には、表示状態遷移列特定手段503は、現在の利用者が実際に機器を操作することで生成され、操作列詳細情報保持手段に履歴情報として保持されている状態遷移列を候補にして、表示対象とする状態遷移列を特定してもよい。
【0084】
実際に機器を操作した時の操作履歴を用いることによって、自身の目的に合致するまたは自身の使い方に即した機器の操作方法の支援をより効果的に行うことができる。例えば、把握が容易になるだけでなく、基本的でない流れを無視して操作する場合などのユーザ独特の操作であっても支援することができる。なお、これは自らの操作履歴を用いずに、その機器の扱いに慣れたユーザの操作履歴を用いてもよく、その場合は所望の操作を短時間で終わらせることができるなどの利点がある。
【0085】
また、操作支援情報表示手段504は、例えば、状態遷移図内において、表示状態遷移列に含まれる各状態およびその遷移経路を識別できるように目立たせて表示するか、またはそれ以外の状態および遷移経路を隠して表示してもよい。また、例えば、詳細情報が状態遷移図内のどの状態の詳細情報かを識別できるように該詳細情報を表示してもよい。
【0086】
また、例えば、操作列詳細情報保持手段502は、さらに関連情報として、状態遷移列と対応づけて、該状態遷移列がいつの操作内容かを示す情報または最終遷移先状態で確定したパラメータの情報のうち少なくとも1つを保持してもよい。そのような場合に、例えば、表示状態遷移列特定手段503は、操作列詳細情報保持手段に保持されている状態遷移列のうち特定候補となる状態遷移列の一覧を関連情報とともにユーザに提示して、ユーザから指定された状態遷移列を、表示対象とする状態遷移列に特定してもよい。
【0087】
また、例えば、操作支援情報表示手段504は、機器の現在の動作状態が状態遷移図内のどの状態かを識別できるように目立たせて表示してもよい。また、表示状態遷移列特定手段503は、例えば、操作列詳細情報保持手段502に保持されている状態遷移列のうち、機器の操作開始から現時点までの状態遷移を表す状態遷移列に類似する状態遷移列を、表示対象とする状態遷移列に特定してもよい。
【0088】
機器の現在の動作状態や機器の操作開始から現時点までの状態遷移を表す状態遷移列は、例えば、機器操作情報取得手段505によって取得するようにしてもよい。
【0089】
図24は、本発明による機器操作支援装置の他の構成例を示すブロック図である。図24に示すように、本発明の機器操作支援装置は、さらに、機器操作情報取得手段505や操作列詳細情報取得手段506を備える構成であってもよい。
【0090】
機器操作情報取得手段505(例えば、機器状態取得手段1031)は、機器から、機器への入出力内容または現在の動作状態のうちの少なくとも1つを取得する。
【0091】
操作列詳細情報取得手段506(例えば、操作列詳細情報取得手段104,204,304)は、表示状態遷移列特定手段503によって特定された状態遷移列である表示状態遷移列の情報と該表示状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを操作列詳細情報保持手段502から取得する。
【0092】
このような構成によれば、例えば、ネットワークを介して、機器の操作情報や、操作列詳細情報とを取得するシステムとして利用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、新たな機能が追加されやすい機器や、複雑な機能や特殊な機能、多種多様な機能を有する機器の操作方法を支援する用途に、特に好適に適用可能である。例えば、携帯電話機やパーソナルコンピュータ、ハードディスクレコーダなどに特に適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
101,201,301 機器
102 状態遷移図保持手段
103,203,303 機器操作状態取得手段
1031 機器状態取得手段
1032 状態遷移列名取得手段
2033 利用者識別子取得手段
3034 機器状態遷移履歴保持手段
104,204,304 操作列詳細情報取得手段
3041 操作列詳細情報取得手段
3042 状態遷移列類似度計算手段
105 状態遷移図表示手段
106,206 操作履歴保持手段
501 状態遷移図情報保持手段
502 操作列詳細情報保持手段
503 表示状態遷移列特定手段
504 操作支援情報表示手段
505 機器操作情報取得手段
506 操作列詳細情報取得手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作支援対象となる機器の状態遷移図を描画するための情報であって機器操作によって状態が遷移する状態遷移を示す情報である状態遷移図情報を保持する状態遷移図情報保持手段と、
前記状態遷移図情報から導出される状態遷移列の情報と、少なくとも該状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを保持する操作列詳細情報保持手段と、
ユーザ操作または機器への入出力内容または機器の現在の動作状態に基づいて、表示対象とする状態遷移列を特定する表示状態遷移列特定手段と、
操作支援情報として、前記状態遷移図情報保持手段に保持されている状態遷移図情報と、前記操作列詳細情報保持手段に保持されている情報のうちの前記表示状態遷移列特定手段によって特定された状態遷移列である表示状態遷移列の情報と該表示状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを用いて、前記表示状態遷移列を含む状態遷移図と、該表示状態遷移列に含まれる少なくとも1つの状態の詳細情報とを合わせて表示する操作支援情報表示手段とを備えた
ことを特徴とする機器操作支援装置。
【請求項2】
操作列詳細情報保持手段は、実際に機器を操作することで生成された履歴情報としての状態遷移列と詳細情報とを保持する
請求項1に記載の機器操作支援装置。
【請求項3】
操作列詳細情報保持手段は、利用者の識別子ごとに、前記利用者が実際に機器を操作することで生成された履歴情報としての状態遷移列と詳細情報とを保持し、
表示状態遷移列特定手段は、現在の利用者が実際に機器を操作することで生成され、前記操作列詳細情報保持手段に履歴情報として保持されている状態遷移列を候補にして、表示対象とする状態遷移列を特定する
請求項1または請求項2に記載の機器操作支援装置。
【請求項4】
機器から、機器への入出力内容または現在の動作状態のうちの少なくとも1つを取得する機器操作情報取得手段と、
表示状態遷移列特定手段によって特定された状態遷移列である表示状態遷移列の情報と該表示状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを操作列詳細情報保持手段から取得する操作列詳細情報取得手段とを備える
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の機器操作支援装置。
【請求項5】
操作支援情報表示手段は、状態遷移図内において、表示状態遷移列に含まれる各状態およびその遷移経路を識別できるように目立たせて表示するか、またはそれ以外の状態および遷移経路を隠して表示する
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の機器操作支援装置。
【請求項6】
操作支援情報表示手段は、詳細情報が状態遷移図内のどの状態の詳細情報かを識別できるように該詳細情報を表示する
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の機器操作支援装置。
【請求項7】
操作支援情報表示手段は、機器の現在の動作状態が状態遷移図内のどの状態かを識別できるように目立たせて表示する
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の機器操作支援装置。
【請求項8】
表示状態遷移列特定手段は、操作列詳細情報保持手段に保持されている状態遷移列のうち、機器の操作開始から現時点までの状態遷移を表す状態遷移列に類似する状態遷移列を、表示対象とする状態遷移列に特定する
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の機器操作支援装置。
【請求項9】
操作列詳細情報保持手段は、さらに関連情報として、状態遷移列と対応づけて、該状態遷移列がいつの操作内容かを示す情報または最終遷移先状態で確定したパラメータの情報のうち少なくとも1つを保持し、
表示状態遷移列特定手段は、操作列詳細情報保持手段に保持されている状態遷移列のうち特定候補となる状態遷移列の一覧を前記関連情報とともにユーザに提示して、ユーザから指定された状態遷移列を、表示対象とする状態遷移列に特定する
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の機器操作支援装置。
【請求項10】
ユーザ操作または機器への入出力内容または機器の現在の動作状態に基づいて、表示対象とする状態遷移列を特定する表示状態遷移列特定ステップと、
特定された状態遷移列である表示状態遷移列の情報と該表示状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを、所定の記憶装置から取得する操作列詳細情報取得ステップと、
操作支援情報として、所定の記憶装置から取得される、操作支援対象となる機器の状態遷移図を描画するための状態遷移図情報と、前記表示状態遷移列特定ステップで特定された状態遷移列である表示状態遷移列の情報と該表示状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを用いて、前記表示状態遷移列を含む状態遷移図と、該表示状態遷移列に含まれる少なくとも1つの状態の詳細情報とを合わせて表示する操作支援情報表示ステップとを含む
ことを特徴とする機器操作支援方法。
【請求項11】
表示状態遷移列特定ステップで、実際に機器を操作することで生成され履歴情報として保持されている状態遷移列を候補に、表示対象とする状態遷移列を特定する
請求項10に記載の機器操作支援方法。
【請求項12】
表示状態遷移列特定ステップで、現在の利用者が実際に機器を操作することで生成され履歴情報として保持されている状態遷移列を候補に、表示対象とする状態遷移列を特定する
請求項10または請求項11に記載の機器操作支援方法。
【請求項13】
操作支援情報表示ステップで、状態遷移図内において、表示状態遷移列に含まれる各状態およびその遷移経路を識別できるように目立たせて表示するか、またはそれ以外の状態および遷移経路を隠して表示する
請求項10から請求項12のうちのいずれか1項に記載の機器操作支援方法。
【請求項14】
表示状態遷移列特定ステップで、機器の操作開始から現時点までの状態遷移を表す状態遷移列に類似する状態遷移列を、表示対象とする状態遷移列に特定する
請求項10から請求項13のうちのいずれか1項に記載の機器操作支援方法。
【請求項15】
コンピュータに、
ユーザ操作または機器への入出力内容または機器の現在の動作状態に基づいて、表示対象とする状態遷移列を特定する表示状態遷移列特定処理と、
特定された状態遷移列である表示状態遷移列の情報と該表示状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを、所定の記憶装置から取得する操作列詳細情報取得処理と、
操作支援情報として、所定の記憶装置から取得される、操作支援対象となる機器の状態遷移図を描画するための状態遷移図情報と、前記表示状態遷移列特定処理で特定された状態遷移列である表示状態遷移列の情報と該表示状態遷移列に含まれる各状態の詳細情報とを用いて、前記表示状態遷移列を含む状態遷移図と、該表示状態遷移列に含まれる少なくとも1つの状態の詳細情報とを合わせて表示する操作支援情報表示処理と
を実行させるための機器操作支援用プログラム。
【請求項16】
コンピュータに、
表示状態遷移列特定処理で、実際に機器を操作することで生成され履歴情報として保持されている状態遷移列を候補に、表示対象とする状態遷移列を特定させる
請求項15に記載の機器操作支援用プログラム。
【請求項17】
コンピュータに、
表示状態遷移列特定処理で、現在の利用者が実際に機器を操作することで生成され履歴情報として保持されている状態遷移列を候補に、表示対象とする状態遷移列を特定させる
請求項15または請求項16に記載の機器操作支援用プログラム。
【請求項18】
コンピュータに、
操作支援情報表示処理で、状態遷移図内において、表示状態遷移列に含まれる各状態およびその遷移経路を識別できるように目立たせて表示させるか、またはそれ以外の状態および遷移経路を隠して表示させる
請求項15から請求項17のうちのいずれか1項に記載の機器操作支援用プログラム。
【請求項19】
コンピュータに、
表示状態遷移列特定処理で、機器の操作開始から現時点までの状態遷移を表す状態遷移列に類似する状態遷移列を、表示対象とする状態遷移列に特定させる
請求項15から請求項18のうちのいずれか1項に記載の機器操作支援用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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