説明

機器管理装置及びプログラム

【課題】ネットワーク上で移動された機器との通信を適切に制御する。
【解決手段】通信設定に基づいてネットワークを介して機器と通信し、機器を管理する機器管理装置400であって、外部から指定されたネットワーク上の位置に機器が存在するか否かを確認する確認部452と、機器の存在が確認された場合、機器のネットワーク上の位置が変化しているか否かを判定する判定部453と、機器のネットワーク上の位置が変化している場合、通信設定の値を、機器の変化後のネットワーク上の位置に基づく値に決定する決定部454と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タイムアウト時間などの通信設定に基づいてネットワークを介して機器と通信し、当該機器を管理する機器管理装置が知られている。このような通信設定は、機器管理装置の性能や信頼性に影響するため、適切な値に設定されていることが望まれる。
【0003】
例えば特許文献1には、機器管理装置と機器との物理的な距離やネットワークの混雑度などを考慮して、タイムアウト時間を設定する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来技術では、機器管理装置は、ネットワーク上で機器が移動されても、移動前に設定された通信設定で当該機器と通信してしまうので、通信を適切に制御できない場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ネットワーク上で移動された機器との通信を適切に制御することができる機器管理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる機器管理装置は、通信設定に基づいてネットワークを介して機器と通信し、当該機器を管理する機器管理装置であって、外部から指定された前記ネットワーク上の位置に前記機器が存在するか否かを確認する確認部と、前記機器の存在が確認された場合、前記機器の前記ネットワーク上の位置が変化しているか否かを判定する判定部と、前記機器の前記ネットワーク上の位置が変化している場合、前記通信設定の値を、前記機器の変化後の前記ネットワーク上の位置に基づく値に決定する決定部と、を備える。
【0007】
また、本発明の別の態様にかかるプログラムは、通信設定に基づいてネットワークを介して機器と通信し、当該機器を管理するコンピュータで実行されるプログラムであって、外部から指定された前記ネットワーク上の位置に前記機器が存在するか否かを確認する確認ステップと、前記機器の存在が確認された場合、前記機器の前記ネットワーク上の位置が変化しているか否かを判定する判定ステップと、前記機器の前記ネットワーク上の位置が変化している場合、前記通信設定の値を、前記機器の変化後の前記ネットワーク上の位置に基づく値に決定する決定ステップと、を前記コンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ネットワーク上で移動された機器との通信を適切に制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施形態の機器管理システムの構成の一例を示す模式図である。
【図2】図2は、本実施形態のルータの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施形態のルータの記憶部に記憶されているルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図4】図4は、本実施形態の機器の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】図5は、本実施形態の機器管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】図6は、本実施形態の機器情報記憶部に記憶されている情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、本実施形態のリトライ情報記憶部に記憶されている情報の一例を示す図である。
【図8】図8は、本実施形態の機器管理システムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本実施形態の機器管理システムで実行される処理の具体例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる機器管理装置及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。
【0011】
まず、本実施形態の機器管理装置を含む機器管理システムの構成について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の機器管理システム100の構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、機器管理システム100は、ルータ200−1〜200−3と、機器300−1〜300−5と、機器管理装置400とを、備える。
【0013】
機器管理装置400、機器300−1〜300−4、及びルータ200−1は、ネットワーク111を介して接続されている。ルータ200−1は、ルータ200−2と接続されている。ルータ200−2〜200−3及び機器300−5は、ネットワーク112を介して接続されている。ネットワーク111、112は、例えば、LAN(Local Area Network)やインターネットなどにより実現できる。ルータ200−1〜200−3、機器300−1〜300−5、及び機器管理装置400に設定されているIP(Internet Protocol)アドレスは、図1に示すとおりである。
【0014】
本実施形態では、ルータ200−1〜200−3、機器300−1〜300−5、及び機器管理装置400は、機器管理サービスを提供するサービス提供会社のサービス拠点に設けられている。サービス拠点は、例えば、機器管理サービスを受ける会社の事業所などが該当する。但し、機器管理装置400の設置場所は、サービス拠点に限定されず、サービスセンタなどであってもよい。
【0015】
機器管理装置400は、機器300−1〜300−5を管理するものであり、機器管理プログラムがインストールされたPC(Personal Computer)などにより実現できる。機器300−1〜300−5は、ネットワーク111、112に接続可能な機器であればよく、例えば、印刷装置、複写機、複合機、スキャナ装置、及びファクシミリ装置等の画像形成装置、プロジェクタ、カメラ、エアコン、冷蔵庫、蛍光灯、自販機、及びハンドヘルド型端末等の各種電子機器、並びにPC等の情報処理装置などが該当する。複合機は、複写機能、印刷機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有するものである。ルータ200−1〜200−3は、通信を中継するものである。
【0016】
図1では、機器管理装置400の管理対象の機器として、印刷装置である機器300−1及び300−5、スキャナ装置である機器300−2、プロジェクタである機器300−3、PCである機器300−4を例示しているが、機器管理装置400の管理対象の機器はこれらに限定されるものではない。
【0017】
以下では、ネットワーク111に接続されている機器300−1を移動して(図1の網掛部分に移動して)ネットワーク112に接続したことにより、機器300−1のIPアドレスが、“192.168.10.10”から“192.168.1.123”に変更された場合について、説明する。
【0018】
なお、以下の説明では、ルータ200−1〜200−3を各々区別する必要がない場合は、単にルータ200と称する場合があり、機器300−1〜300−5を各々区別する必要がない場合は、単に機器300と称する場合があり、ネットワーク111、112を各々区別する必要がない場合は、単にネットワーク110と称する場合がある。
【0019】
図2は、本実施形態のルータ200の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、ルータ200は、通信部210と、記憶部220と、制御部230とを、備える。
【0020】
通信部210は、ネットワーク110を介して他の装置と通信するものであり、通信インタフェースなどの通信装置により実現できる。
【0021】
記憶部220は、ルータ200で実行される各種プログラムや、例えばルーティングテーブルなどルータ200で行われる各種処理に使用されるデータを記憶する。記憶部220は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、光ディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの磁気的、光学的、又は電気的に記憶可能な記憶装置の少なくともいずれかにより実現できる。
【0022】
図3は、本実施形態のルータ200−1の記憶部220に記憶されているルーティングテーブルの一例を示す図である。図3に示す例では、ルーティングテーブルは、宛先IPアドレスと、ネットマスクと、ネクストホップと、ホップ数と、を対応付けたテーブルとなっている。
【0023】
宛先IPアドレス及びネットマスクは、対象IPアドレス(ネットワーク)の範囲を示す。例えば、宛先IPアドレスが“192.168.1.0”、ネットマスクが“255.255.255.0”の場合、対象IPアドレスは、“192.168.1.1”〜“192.168.1.254”となる。また例えば、宛先IPアドレスが“192.168.20.0”、ネットマスクが“255.255.255.0”の場合、対象IPアドレスは、“192.168.20.1”〜“192.168.20.254”となる。
【0024】
ネクストホップは、対象IPアドレスの機器と通信する場合に通信データを直接転送するルータのIPアドレスを示す。例えば、対象IPアドレスが、“192.168.1.1”〜“192.168.1.254”の場合、ネクストホップは、“192.168.1.2”であり、図1に示す例では、ルータ200−2のIPアドレスを示す。また例えば、対象IPアドレスが、“192.168.20.1”〜“192.168.20.254”の場合も、ネクストホップは、“192.168.1.2”であり、図1に示す例では、ルータ200−2のIPアドレスを示す。なお、詳細な説明は省略するが、ルータ200−2の記憶部220に記憶されているルーティングテーブルでは、宛先IPアドレスが“192.168.20.0”、ネットマスクが“255.255.255.0”の場合、ネクストホップは、“192.168.20.2”となり、図1に示す例では、ルータ200−3のIPアドレスを示す。
【0025】
ホップ数は、ネットワーク上の距離を示し、具体的には、ルータ200−1と対象IPアドレスの機器との通信を中継するルータ数を示す。例えば、対象IPアドレスが“192.168.1.1”〜“192.168.1.254”である場合、対象IPアドレスの機器とルータ200−1との通信を中継するルータは、ルータ200−2であるため、ホップ数は、1となる。
【0026】
制御部230は、ルータ200の各部を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)などの制御装置により実現できる。制御部230は、記憶部220に記憶されているルーティングテーブルに従って、機器管理装置400と機器300との通信などを中継する。
【0027】
また制御部230は、機器管理装置400からIPアドレスとともに当該IPアドレスの機器までのホップ数の問い合わせを受け付ける。この場合、制御部230は、ルーティングテーブルを参照して、問い合わせを受けたIPアドレスが対象IPアドレスとして特定される宛先IPアドレス及びネットマスクのペアを検索し、検索したペアに対応付けられたホップ数を機器管理装置400に返却する。
【0028】
図4は、本実施形態の機器300の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、機器300は、通信部310と、操作部320と、表示部330と、記憶部340と、制御部350とを、備える。
【0029】
通信部310は、ネットワーク110を介して他の装置と通信するものであり、通信インタフェースなどの通信装置により実現できる。
【0030】
操作部320は、各種操作の入力を行うものであり、キーボード、マウス、タッチパッド、及びタッチパネルなどの入力装置の少なくともいずれかにより実現できる。
【0031】
表示部330は、各種画面を表示するものであり、液晶ディスプレイやタッチパネル式ディスプレイなどの表示装置により実現できる。
【0032】
記憶部340は、機器300で実行される各種プログラムやシリアルナンバーなど機器300で行われる各種処理に使用されるデータなどを記憶する。記憶部340は、例えば、HDD、SSD、メモリカード、光ディスク、ROM、RAMなどの磁気的、光学的、又は電気的に記憶可能な記憶装置の少なくともいずれかにより実現できる。
【0033】
制御部350は、機器300の各部を制御するものであり、CPUなどの制御装置により実現できる。制御部350は、機器管理装置400から応答を要求された場合、応答する。また制御部350は、機器管理装置400からシリアルナンバーを要求された場合、記憶部340からシリアルナンバーを取得して機器管理装置400に返却する。
【0034】
なお、機器300は、上述した各部の全てを必須の構成とする必要はなく、その一部を省略した構成としてもよい。
【0035】
図5は、本実施形態の機器管理装置400の構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、機器管理装置400は、通信部410と、操作部420と、表示部430と、記憶部440と、制御部450とを、備える。
【0036】
通信部410は、ネットワーク110を介して他の装置と通信するものであり、通信インタフェースなどの通信装置により実現できる。
【0037】
操作部420は、各種操作の入力を行うものであり、キーボード、マウス、タッチパッド、及びタッチパネルなどの入力装置の少なくともいずれかにより実現できる。
【0038】
表示部430は、各種画面を表示するものであり、液晶ディスプレイやタッチパネル式ディスプレイなどの表示装置により実現できる。
【0039】
記憶部440は、機器管理装置400で実行される機器管理プログラムなどの各種プログラムや機器管理装置400で行われる各種処理に使用されるデータなどを記憶する。記憶部440は、例えば、HDD、SSD、メモリカード、光ディスク、ROM、RAMなどの磁気的、光学的、又は電気的に記憶可能な記憶装置の少なくともいずれかにより実現できる。
【0040】
記憶部440は、機器情報記憶部441と、リトライ情報記憶部442とを、含む。ここでは、機器情報記憶部441についてのみ説明し、リトライ情報記憶部442については、後述する。
【0041】
機器情報記憶部441は、機器管理装置400の管理対象の機器を識別する機器識別情報と、当該機器のネットワーク110上の位置を示す位置識別情報とを、対応付けて記憶する。
【0042】
図6は、本実施形態の機器情報記憶部441に記憶されている情報の一例を示す図である。図6に示す例では、機器情報記憶部441は、機器300のシリアルナンバー(機器識別情報の一例)とIPアドレス(位置識別情報の一例)とを対応付けて記憶している。なお図6に示す例では、機器管理装置400の管理対象の機器のうち機器300−1の機器情報を示しており、シリアルナンバーは“S12345”、IPアドレスは“192.168.10.10”となっている。但し、機器300−1のIPアドレスは、ネットワーク112への移動前のIPアドレス(ネットワーク111に接続されているときのIPアドレス)である。
【0043】
制御部450は、機器管理装置400の各部を制御するものであり、CPUなどの制御装置により実現できる。制御部450は、管理部451と、確認部452と、判定部453と、決定部454と、含む。
【0044】
管理部451は、管理対象の機器毎に設定されているタイムアウト時間やリトライ回数などの通信設定に基づいて、当該管理対象の機器と通信し、管理する。タイムアウト時間は、通信失敗と判断されるまでの待ち時間であり、リトライ回数は、通信に失敗した場合に通信をやり直す回数である。なお本実施形態では、通信設定は、タイムアウト時間及びリトライ回数であるものとするが、これに限定されず、タイムアウト時間及びリトライ回数の少なくともいずれかであればよい。
【0045】
また管理部451は、ネットワーク110上の位置を示す位置識別情報を確認部452に通知して、当該位置に機器が存在するか否かの確認を依頼する。例えば、管理部451は、IPアドレス“192.168.1.123”を確認部452に通知して、ネットワーク110上にIPアドレス“192.168.1.123”が設定された機器が存在するか否かの確認を依頼する。なお管理部451は、操作部420からのユーザの指示に従って位置識別情報を確認部452に通知してもよいし、機器管理プログラムに従って自動的に(例えば、1日毎など定期的に)位置識別情報を確認部452に通知してもよい。
【0046】
また管理部451は、決定部454から、確認部452に通知した位置識別情報が示す位置に存在する機器の通信設定の値を受け付け、当該機器の通信設定の値を更新する。なお管理部451は、決定部から通知された通信設定の値を表示部430に表示し、操作部420からのユーザによる更新指示に従って、当該機器の通信設定の値を更新するようにしてもよい。
【0047】
確認部452は、外部から指定されたネットワーク110上の位置に機器が存在するか否かを確認する。具体的には、確認部452は、管理部451から入力された位置識別情報が示す位置に機器が存在するか否かを確認する。
【0048】
例えば、確認部452は、管理部451からIPアドレス“192.168.1.123”の入力を受け付けると、受け付けたIPアドレス“192.168.1.123”にPING(Packet Internet Groper)又はSNMP(Simple Network Management Protocol)などのリクエストを送信し、応答を要求する。そして確認部452は、応答があれば、ネットワーク110上にIPアドレス“192.168.1.123”が設定された機器が存在すると確認し、応答がなければ、ネットワーク110上にIPアドレス“192.168.1.123”が設定された機器が存在しないと確認する。
【0049】
ここでは、前述したとおり、機器300−1がネットワーク111からネットワーク112に移動された結果、機器300−1にIPアドレス“192.168.1.123”が設定されているため、確認部452は、ネットワーク110上にIPアドレス“192.168.1.123”が設定された機器が存在すると確認するものとする。
【0050】
判定部453は、確認部452により機器の存在が確認された場合、当該機器のネットワーク110上の位置が変化しているか否かを判定する。具体的には、判定部453は、確認部452により存在が確認された機器から機器識別情報を取得する。そして判定部453は、取得した機器識別情報の値が機器情報記憶部441に記憶されている機器識別情報の値と一致し、かつ管理部451から入力された(確認部452により受け付けられた)位置識別情報の値が、存在が確認された機器の機器識別情報に対応付けられて機器情報記憶部441に記憶されている位置識別情報の値と一致しない場合に、存在が確認された機器のネットワーク110上の位置が変化していると判定する。
【0051】
例えば、判定部453は、IPアドレス“192.168.1.123”が設定された機器の存在が確認部452により確認された場合、当該機器にシリアルナンバーを要求する。ここで、IPアドレス“192.168.1.123”が設定された機器は機器300−1であるため、判定部453は、機器300−1のシリアルナンバー“S12345”を取得する。そして判定部453は、機器情報記憶部441に機器300−1の機器情報としてシリアルナンバー“S12345”が記憶されているため(図6参照)、両シリアルナンバーの値が一致すると判定する。
【0052】
更に判定部453は、機器300−1のシリアルナンバーに対応付けられて機器情報記憶部441に記憶されているIPアドレスが“192.168.10.10”であり(図6参照)、確認部452により受け付けられたIPアドレスが“192.168.1.123”であるため、両IPアドレスの値が一致しないと判定する。
【0053】
この結果、判定部453は、確認部452により存在が確認された機器300−1のネットワーク110上の位置が変化していると判定する。そして判定部453は、機器300−1のシリアルナンバーに対応付けられて機器情報記憶部441に記憶されているIPアドレスを“192.168.10.10”から“192.168.1.123”に更新する。
【0054】
また判定部453は、機器管理装置400のネットワーク110上の位置と確認部452により存在が確認された機器のネットワーク110上の変化後の位置とのネットワーク距離を取得する。具体的には、判定部453は、確認部452により存在が確認された機器のIPアドレスをルータ200−1に通知し、当該機器までのホップ数を問い合わせ、取得する。例えば、判定部453は、RIP(Routing Information Protocol)のようなルーティングプロトコルを用いて、確認部452により存在が確認された機器までのホップ数をルータ200−1に問い合わせる。なお、機器管理装置400は、ルータ200−1と同一のネットワーク111に接続されているため、機器管理装置400のネットワーク110上の位置は、ルータ200−1のネットワーク110上の位置とみなしている。
【0055】
例えば、確認部452により存在が確認された機器が機器300−1の場合、判定部453は、機器300−1のIPアドレス“192.168.1.123”をルータ200−1に通知してホップ数を問い合わせ、ホップ数“1”を取得する。
【0056】
決定部454は、確認部452により存在が確認された機器のネットワーク110上の位置が変化していると判定部453により判定された場合、当該機器の通信設定の値を当該機器のネットワーク110上の変化後の位置に基づく値に決定し、管理部451に通知する。
【0057】
具体的には、決定部454は、確認部452により存在が確認された機器の通信設定の値を、機器管理装置400のネットワーク110上の位置と当該機器のネットワーク110上の変化後の位置とのネットワーク距離に応じて定まる値に決定する。
【0058】
決定部454は、タイムアウト時間については、数式(1)を用いて決定する。なお、数式(1)は例示であり、タイムアウト時間の算出式は、タイムアウト時間を適切に算出できればどのような式であってもよい。
【0059】
タイムアウト時間=500(ms)+300(ms)×ホップ数 …(1)
【0060】
例えば、確認部452により存在が確認された機器が機器300−1であり、判定部453により取得された機器300−1までのホップ数が“1”である場合、決定部454は、数式(1)を用いて、タイムアウト時間を800msに決定する。
【0061】
また決定部454は、リトライ回数については、リトライ情報記憶部442に記憶されている情報を用いて決定する。ここで、リトライ情報記憶部442について説明する。リトライ情報記憶部442は、ホップ数とリトライ回数とを対応付けて記憶する。本実施形態のリトライ情報記憶部442に記憶されている情報の一例を図7に示す。
【0062】
例えば、リトライ情報記憶部442には、ホップ数“1〜2”に対応付けられてリトライ回数“1”が記憶されているため(図7参照)、確認部452により存在が確認された機器が機器300−1であり、判定部453により取得された機器300−1までのホップ数が“1”である場合、決定部454は、リトライ回数を1回に決定する。
【0063】
なお、機器管理装置400は、上述した各部の全てを必須の構成とする必要はなく、その一部を省略した構成としてもよい。
【0064】
次に、本実施形態の機器管理システムの動作について説明する。
【0065】
図8は、本実施形態の機器管理システム100で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0066】
まず、確認部452は、管理部451からIPアドレスの入力を受け付け、受け付けたIPアドレスの機器がネットワーク110上に存在するか否かを確認する(ステップS100)。
【0067】
確認部452により機器の存在が確認された場合(ステップS100でYes)、判定部453は、当該機器までのホップ数をルータ200−1に問い合わせ、当該ホップ数を取得する(ステップS102)。
【0068】
続いて、判定部453は、確認部452により存在が確認された機器からシリアルナンバーを取得し、取得したシリアルナンバーの値が機器情報記憶部441に記憶されているシリアルナンバーの値と一致するか否かを判定する(ステップS104)。
【0069】
両シリアルナンバーの値が一致する場合(ステップS104でYes)、判定部453は、確認部452により受け付けられたIPアドレスの値が、確認部452により存在が確認された機器のシリアルナンバーに対応付けられて機器情報記憶部441に記憶されているIPアドレスの値と一致するか否かを判定する(ステップS106)。
【0070】
両IPアドレスの値が一致しない場合(ステップS106でNo)、決定部454は、確認部452により存在が確認された機器のタイムアウト時間及びリトライ回数を、判定部453により取得されたホップ数に応じた値に決定する(ステップS108)。
【0071】
続いて、決定部454は、決定したタイムアウト時間及びリトライ回数を、管理部451に通知する(ステップS110)。
【0072】
なお、確認部452により受け付けられたIPアドレスの機器がネットワーク110上に存在しない場合(ステップS100でNo)、両シリアルナンバーの値が一致しない場合(ステップS104でNo)、又は両IPアドレスの値が一致しない場合(ステップS106でYes)、決定部454は、タイムアウト時間及びリトライ回数を決定しなかったことを管理部451に通知する(ステップS112)。
【0073】
図9は、本実施形態の機器管理システム100で実行される処理の具体例を示すシーケンス図である。図9に示す例では、機器300−1がネットワーク111からネットワーク112に移動された結果、機器300−1にIPアドレス“192.168.1.123”が設定されているものとする。
【0074】
まず、管理部451は、IPアドレス“192.168.1.123”を確認部452に通知し、ネットワーク110上にIPアドレス“192.168.1.123”が設定された機器が存在するか否かの確認を確認部452に依頼する(ステップS201)。
【0075】
続いて、確認部452は、管理部451からIPアドレス“192.168.1.123”の通知を受け付けると、受け付けたIPアドレス“192.168.1.123”にPING又はSNMPなどのリクエストを送信し、応答を要求する(ステップS202)。
【0076】
続いて、機器300−1は、確認部452にリクエストに対する応答を行う(ステップS203)。
【0077】
続いて、確認部452は、機器300−1からの応答によりネットワーク110上にIPアドレス“192.168.1.123”が設定された機器が存在することを確認し、IPアドレス“192.168.1.123”の機器のネットワーク110上の位置が変化しているか否かの判定を判定部453に依頼する(ステップS204)。
【0078】
続いて、判定部453は、IPアドレス“192.168.1.123”の機器までのホップ数をルータ200−1に要求する(ステップS205)。
【0079】
続いて、ルータ200−1は、ルーティングテーブルを参照して、IPアドレス“192.168.1.123”が対象IPアドレスとして特定される宛先IPアドレス“192.168.1.0”及びネットマスク“255.255.255.0”のペアを特定し、特定したペアに対応付けられたホップ数“1”を判定部453に返却する(ステップS206)。
【0080】
続いて、判定部453は、IPアドレス“192.168.1.123”の機器にシリアルナンバーを要求する(ステップS207)。
【0081】
続いて、機器300−1は、自身のシリアルナンバー“S12345”を取得して判定部453に返却する(ステップS208)。
【0082】
続いて、判定部453は、機器情報記憶部441に機器300−1の機器情報としてシリアルナンバー“S12345”が記憶されているため(図6参照)、両シリアルナンバーの値が一致すると判定する(ステップS209)。
【0083】
続いて、判定部453は、機器300−1のシリアルナンバーに対応付けられて機器情報記憶部441に記憶されているIPアドレスが“192.168.10.10”であり(図6参照)、確認部452により受け付けられたIPアドレスが“192.168.1.123”であるため、両IPアドレスの値が一致しないと判定する(ステップS210)。
【0084】
この結果、判定部453は、確認部452により存在が確認された機器300−1のネットワーク110上の位置が変化していると判定し、ホップ数“1”を決定部454に通知し、機器300−1のタイムアウト時間及びリトライ回数の決定を決定部454に依頼する(ステップS211)。
【0085】
続いて、決定部454は、数式(1)及び通知されたホップ数“1”を用いて、機器300−1のタイムアウト時間を800msに決定するとともに、リトライ情報記憶部442に記憶されている情報(図7参照)及びホップ数“1”を用いて、機器300−1のリトライ回数を1回に決定する(ステップS212)。
【0086】
続いて、決定部454は、決定した機器300−1のタイムアウト時間及びリトライ回数の値を管理部451に通知する(ステップS213)。
【0087】
以上のように本実施形態では、ネットワーク上で機器が移動され、機器管理装置と機器とのネットワーク距離が変化した場合、機器管理装置は、変化後のネットワーク距離に応じた通信設定の値を決定する。従って本実施形態によれば、機器管理装置は、ネットワーク上で移動された機器との通信を適切に制御することができ、機器管理装置の性能や信頼性を向上させることができる。これにより、通信設定の値が小さすぎて管理対象の機器と通信できなくなったり、通信設定の値が大きすぎて管理対象の機器と通信に必要以上の時間を要してしまったりなどの事態の発生を防止できる。
【0088】
特に本実施形態によれば、ネットワーク上で機器が移動され、機器管理装置と機器とのネットワーク距離が変化した場合であっても、当該機器の通信設定の値を自動、又は移動後の機器のIPアドレスを入力するだけで決定することができる。従って本実施形態によれば、ネットワーク上で移動された機器に適した通信設定の値を迅速に決定することができる。また近年では、機器の最適配置による業務の生産性向上が求められており、様々な種類の機器がネットワーク上に配置されることが多くなるという傾向にあるため、これにより、人手によるメンテナンスコストを大幅に削減することもできる。また、これらの機器の数も、数百から数千台という規模にまで及ぶこともあるため、規模が大きくなほど、機器管理装置の性能や信頼性を向上させることができる。
【0089】
(変形例)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0090】
決定部454は、確認部452により存在が確認されたネットワーク110上の位置が変化している機器と通信し、通信設定の値を、通信結果に応じた値に決定するようにしてもよい。具体的には、決定部454は、確認部452により存在が確認されたネットワーク110上の機器と1回以上通信し、要求から応答までの時間である通信時間の平均値に余裕値を加算した値をタイムアウト時間に決定し、決定したタイムアウト時間に応じてリトライ回数を決定するようにしてもよい。例えば、決定部454は、通信時間の平均値が400msであり、余裕値が500msであれば、タイムアウト時間を900msに決定する。なお、この場合、判定部453は、ルータ200−1からホップ数を取得する必要はない。
【0091】
上記実施形態の管理部451は、管理対象の機器と通信し、当該機器を管理するが、この通信に使用されるプロトコルは、複数存在し、例えば、SNMP、HTTP(HyperText Transfer Protocol)、FTP(File Transfer Protocol)などが挙げられる。このため、決定部454は、管理対象の機器との通信に用いられるプロトコル毎に、通信設定の値を決定するようにしてもよい。この場合、タイムアウト時間を算出する数式やリトライ回数を決定する情報をプロトコル毎に用意したり、プロトコル毎に通信を行うようにしたりすれば、プロトコル毎にタイムアウト時間及びリトライ回数を決定できる。プロトコル毎に通信設定の最適値は異なるため、このようにすれば、機器管理装置400の性能や信頼性をより向上させることができる。
【0092】
上記実施形態では、ルータ200がルーティングテーブル上にホップ数を有している例について説明したが、ルータ200は、ルーティングテーブル上にホップ数を有していなくてもよい。この場合、判定部453は、例えば、SNMPのipRouteNextHopを用いることにより、ルータ200からネクストホップを取得できるため、目的の機器と通信データを直接転送しあうルータ200に到達するまで、順番にルータ200に問い合わせることによりホップ数を取得できる。また判定部453は、IPパケットのTTL(Time To Live)オプションを1から増加させていき、目的の機器に到達するまでIPパケットの送信を繰り返していくことでホップ数を得ることもできる。
【0093】
また上記実施形態では、管理対象の機器がネットワーク上で移動した場合に、当該機器の通信設定の値を決定する例について説明したが、これに限定されず、新規登録される管理対象の機器の通信設定の値を決定する場合にも適用できる。
【0094】
(ハードウェア構成)
上記実施形態及び変形例のルータ200、機器300、及び機器管理装置400のハードウェア構成の一例について説明する。上記実施形態及び変形例のルータ200、機器300、及び機器管理装置400は、CPUなどの制御装置と、ROMやRAMなどの記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置と、通信インタフェースなどの通信装置と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0095】
上記実施形態及び変形例の機器管理装置400で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供される。
【0096】
また、上記実施形態及び変形例の機器管理装置400で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施形態及び変形例の機器管理装置400で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。また、上記実施形態及び変形例の機器管理装置400で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するようにしてもよい。
【0097】
なお、上記実施形態及び変形例の機器管理装置400で実行されるプログラムは、上記実施形態及び変形例の機器管理装置400で実行される機器管理プログラムとしてもよいし、上記実施形態及び変形例の機器管理装置400で実行される機器管理プログラムと異なるプログラムとしてもよい。
【0098】
上記実施形態及び変形例の機器管理装置400で実行されるプログラムは、上述した各部をコンピュータ上で実現させるためのモジュール構成となっている。上記実施形態及び変形例の機器管理装置400で実行されるプログラムが機器管理プログラムである場合、当該プログラムは、上述した管理部451、確認部452、判定部453、及び決定部454をコンピュータ上で実現させるためのモジュール構成となっている。また上記実施形態及び変形例の機器管理装置400で実行されるプログラムが機器管理プログラムと異なるプログラムである場合、当該プログラムは、上述した確認部452、判定部453、及び決定部454をコンピュータ上で実現させるためのモジュール構成となっており、機器管理プログラムは、上述した管理部451をコンピュータ上で実現させるためのモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしては、CPUがHDDからプログラムをRAM上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現されるようになっている。
【符号の説明】
【0099】
100 機器管理システム
111、112(110) ネットワーク
200−1〜200−3(200) ルータ
210 通信部
220 記憶部
230 制御部
300−1〜300−5(300) 機器
310 通信部
320 操作部
330 表示部
340 記憶部
350 制御部
400 機器管理装置
410 通信部
420 操作部
430 表示部
440 記憶部
441 機器情報記憶部
442 リトライ情報記憶部
450 制御部
451 管理部
452 確認部
453 判定部
454 決定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】
【特許文献1】特開平11−53141号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信設定に基づいてネットワークを介して機器と通信し、当該機器を管理する機器管理装置であって、
外部から指定された前記ネットワーク上の位置に前記機器が存在するか否かを確認する確認部と、
前記機器の存在が確認された場合、前記機器の前記ネットワーク上の位置が変化しているか否かを判定する判定部と、
前記機器の前記ネットワーク上の位置が変化している場合、前記通信設定の値を、前記機器の変化後の前記ネットワーク上の位置に基づく値に決定する決定部と、
を備える機器管理装置。
【請求項2】
機器を識別する機器識別情報と当該機器の前記ネットワーク上の位置を示す位置識別情報とを対応付けて記憶する機器情報記憶部を更に備え、
前記確認部は、外部から入力された位置識別情報が示す位置である前記外部から指定された前記ネットワーク上の位置に前記機器が存在するか否かを確認し、
前記判定部は、前記機器の存在が確認された場合、前記機器から機器識別情報を取得し、取得した前記機器識別情報の値が前記機器情報記憶部に記憶されている機器識別情報の値と一致し、かつ前記外部から入力された位置識別情報の値が、存在が確認された前記機器の前記機器識別情報に対応付けられて前記機器情報記憶部に記憶されている位置識別情報の値と一致しない場合に、前記機器の前記ネットワーク上の位置が変化していると判定する請求項1に記載の機器管理装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記通信設定の値を、前記機器管理装置の前記ネットワーク上の位置と前記機器の変化後の前記ネットワーク上の位置とのネットワーク距離に応じて定まる値に決定する請求項1又は2に記載の機器管理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記ネットワーク上の位置が変化している前記機器と通信し、前記通信設定の値を、通信結果に応じた値に決定する請求項1又は2に記載の機器管理装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記通信設定の値を、前記機器と通信に用いられるプロトコル毎に決定する請求項1〜4のいずれか1つに記載の機器管理装置。
【請求項6】
前記通信設定は、タイムアウト時間及びリトライ回数の少なくともいずれかである請求項1〜5のいずれか1つに記載の機器管理装置。
【請求項7】
通信設定に基づいてネットワークを介して機器と通信し、当該機器を管理するコンピュータで実行されるプログラムであって、
外部から指定された前記ネットワーク上の位置に前記機器が存在するか否かを確認する確認ステップと、
前記機器の存在が確認された場合、前記機器の前記ネットワーク上の位置が変化しているか否かを判定する判定ステップと、
前記機器の前記ネットワーク上の位置が変化している場合、前記通信設定の値を、前記機器の変化後の前記ネットワーク上の位置に基づく値に決定する決定ステップと、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−115719(P2013−115719A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262047(P2011−262047)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】