説明

機械式自転車駐輪設備及び方法

【課題】保管棚の列間の通路に複数の搬送装置を走行させても、自転車の収納スペースが少なくなるのを防止できる機械式自転車駐輪設備を提供する。
【解決手段】自転車を保管する保管棚2の列間に複数の搬送装置3−1,3−2を並行に走行させる。各搬送装置3−1,3−2は、保管棚2に自転車を受け渡すための移載装置5−1,5−2と、移載装置5−1,5−2を水平面内で旋回させる旋回機構3eと、を備える。隣り合う一対の搬送装置3−1,3−2は、互いの移載装置5−1,5−2を走行方向と直交する方向に向けたと仮定したとき、すれ違いできないように接近しており、互いの移載装置5−1,5−2を直交する方向を向く状態から走行方向と平行な状態に近づくように旋回させることによって、すれ違い可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車を保管する保管棚の列間を搬送装置が走行する機械式自転車駐輪設備及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車は年齢・性別に関わらずにあらゆる人々に利用されている。日本の市街地の土地は狭くかつ高いので、市街地に自転車を駐輪するための充分なスペースを確保することが困難である。これが原因で、市街地のどこへいっても自転車が迷惑駐輪されている。この問題を解決するために、地下スペースを有効に活用する機械式自転車駐輪設備が開発されている。
【0003】
機械式自転車駐輪設備は、地下に穴を掘り、地下に躯体を構築し、その地下躯体の収容スペースに自転車を効率的に収容したものである。地上部には自転車を搬入するための入出庫口が建設される。地下部には多数の自転車収納部を持つ保管棚が配置される。利用者が地上部の入出庫口に自転車をセットすると、機械が自動的に地下部の保管棚に自転車を搬送する。
【0004】
一般的な機械式自転車駐輪設備として、円筒形の地下部の中心部に自転車を昇降させるエレベータを配置し、エレベータの周囲に放射状にかつ上下方向に多段に多数の自転車収納部を配列した所謂ツリー型の機械式自転車駐輪設備が知られている。
【0005】
近年、駐輪台数をさらに増加させるために、地下部を直方体形状に構築し、地下部に複数段、複数列に自転車収納部を積み重ねた複数の保管棚を配列し、保管棚の列間に立体自動倉庫のスタッカークレーン(搬送装置)を走らせた機械式自転車駐輪設備も開発されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−263472号公報
【特許文献2】特開2001−317226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで近年、地下通路や道路下空間等、細長い地下空間に駐輪設備を設置することも要請されている。細長い地下空間に保管棚を配置する場合、保管棚の列方向の長さも長くなる。細長い地下空間の場合だけでなく、駐輪設備が大型化すると保管棚の列方向の長さが長くなる。
【0008】
しかし、保管棚の列方向の長さが長くなっても、自転車の入庫及び出庫に伴うサイクルタイムを許容された時間以内にしなければならない。サイクルタイムが長ければ利用者に不便な感じを与えてしまうからである。
【0009】
保管棚の列方向の長さが長くなってもサイクルタイムを低減する手段の一つとして、保管棚の列間の一つの通路に複数のスタッカークレーン(搬送装置)を走行させることが考えられる。しかし、一つの通路に複数のスタッカークレーン(搬送装置)を走行させると、通路の幅が広くなり、その分自転車の収容スペースが小さくなる。
【0010】
この発明は上記のような問題を解決するためになされたもので、保管棚の列間の通路に複数の搬送装置を走行させても、自転車の収納スペースが少なくなるのを防止できる機械式自転車駐輪設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、自転車を保管する保管棚の列間を複数の搬送装置が並行に走行する機械式自転車駐輪設備であって、各搬送装置は、保管棚に自転車を受け渡すための移載装置と、前記移載装置を水平面内で旋回させる旋回機構と、を備え、隣り合う一対の搬送装置は、互いの移載装置を走行方向と直交する方向に向けたと仮定したとき、すれ違いできないように接近しており、互いの前記移載装置を前記直交する方向を向く状態から走行方向と平行な状態に近づくように旋回させることによって、すれ違い可能となる機械式自転車駐輪設備である。
【0012】
本発明の他の態様は、自転車を保管する保管棚の列間を複数の搬送装置が並行に走行する機械式自転車駐輪方法であって、隣り合う一対の搬送装置がすれ違う工程と、移載装置を用いて各搬送装置と保管棚の自転車収納部との間で自転車を受け渡す工程と、を備え、隣り合う前記一対の搬送装置は、互いの移載装置を走行方向と直交する方向に向けたと仮定したとき、すれ違いできないように接近しており、互いの前記移載装置を前記直交する方向を向く状態から走行方向と平行な状態に近づくように旋回させることによって、すれ違い可能となる機械式自転車駐輪方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保管棚の列間に複数の搬送装置を配置するので、入庫及び出庫に伴うサイクルタイムを低減することができる。また、荷物たる自転車が一方向に細長いことに着目し、隣り合う一対の搬送装置がすれ違うとき、移載装置を走行方向と平行な状態に近づくように旋回させるので、搬送装置の通路の横幅が搬送装置の台数に比例して広くなるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態の機械式自転車駐輪設備の概略平面図
【図2】通路に配置されたスタッカークレーンの平面図
【図3】スタッカークレーン及び保管棚の正面図
【図4】スタッカークレーンの側面図
【図5】すれ違うときのスタッカークレーンを示す正面図
【図6】機械式自転車駐輪設備の他の例の概略平面図
【図7】機械式自転車駐輪設備のさらに他の例の、すれ違うときのスタッカークレーンを示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下添付図面に基づいて、本発明の一実施形態の機械式自転車駐輪設備を詳細に説明する。図1は機械式自転車駐輪設備の概略平面図を示し、図2は搬送装置としてのスタッカークレーンの詳細な平面図を示し、図3はスタッカークレーン及び保管棚の側面図を示す。これらの図面において同一の構成要素には同一の符号を附す。
【0016】
図1に示すように、この実施形態の機械式自転車駐輪設備の地下部の平面形状は、細長い矩形状に形成される。地下部9の中央には、スタッカークレーンの通路Pが設けられる。通路Pには二台のスタッカークレーン3−1,3−2が水平方向(図中左右方向)に並行して走行可能に配置される。スタッカークレーン3−1,3−2は通路のセンターラインCLから偏心した位置に配置される(図2参照)。スタッカークレーン3−1,3−2は通路Pの一端部から他端部まで走行可能であり、自転車の有無に係わらず互いにすれ違える構造となっている。
【0017】
スタッカークレーン3−1,3−2それぞれには、自転車を保管棚2に受け渡しするための移載装置5−1又は5−2が水平面内で旋回可能に設けられる。移載装置5−1,5−2は自転車が載せられる一方向に細長いガイド部材5aを有する。移載装置5−1,5−2の旋回中心C1,C2は通路PのセンターラインCL上に位置する。詳しくは後述するが、二台のスタッカークレーン3−1,3−2がすれ違う際には、まず移載装置5−1,5−2を走行方向と平行な方向に旋回させる。これと同時に片方の移載装置5−1を上昇、片方の移載装置5−2を下降させ、上下に除けた状態ですれ違いを可能とする。スタッカークレーンの通路Pを挟んで左右(図1では上下)には、一対の保管棚2が配列される。一対の保管棚2の列間を二台のスタッカークレーンが走行する。
【0018】
地上部には、自転車を入出庫するための入出庫口としての二つの入出庫ブース1が設けられる。二つの入出庫ブース1は地下部の両端部に設けられる。二台のスタッカークレーン3−1,3−2は通路Pの一端から他端まで移動でき、二つの入出庫ブース1のいずれにもアクセス可能である。この実施形態の入出庫ブース1は自転車の入庫と出庫を兼用しているが、入出庫ブース1のいずれか一方を入庫専用ブースとし、他方を出庫専用ブースとしてもよい。
【0019】
機械式自転車駐輪設備の全体の動作の概略は以下のとおりである。利用者が入出庫ブース1に自転車をセットし、駐輪開始のボタンを押すと(又はカードを挿入すると)、入出庫ブース1の扉が開き、扉の中から図示しない移載装置が出てきて自転車を入出庫ブース1内に引き込む。次に、図示しない昇降体が自転車を地下部まで降下させ、自転車をスタッカークレーン3−1,3−2に渡す。自転車を受け取ったスタッカークレーン3−1,3−2は、目的の自転車収納部2aまで自転車を搬送し、移載装置5−1,5−2を用いて自転車を受け渡す。以上により自転車の入庫が終了する。自転車を出庫するときは上記と逆の動作が行われる。昇降装置、スタッカークレーン3−1,3−2は、図示しない監視室等に設けられる制御装置によって制御される。
【0020】
機械式自転車駐輪設備の各部の構造は以下のとおりである。入出庫ブース1は箱形状の建築物であり、自転車を引き込む移載装置が出没可能な扉を有する。
【0021】
地下には、一方方向に細長い直方体形状のコンクリート製躯体からなる地下部9が構築される。地下部9は、通常の建築物のように現場打ちのコンクリートから構築されてもよいし、プレキャストコンクリートを組み立てることによって構築されてもよい。
【0022】
地下部9には、上下方向に複数段、水平方向に複数列の自転車収納部2aを有する保管棚2が配列される。図3に示すように、保管棚2は、垂直方向に伸びる柱11、及び柱11間に渡される梁12からなる構造物を備える。多数の自転車収納部2aは、上下方向かつ水平方向(図3の紙面に直交する方向)に一定のピッチを空けて構造物に固定される。保管棚2の自転車収納部2aはスタッカークレーンの走行方向に直交する方向を向いている。
【0023】
各自転車収納部2aは、自転車の車輪が嵌まるV字形のガイド部材2a1と、自転車の後輪の下部を挟む一対の板ばねを含む後輪保持部2a2と、自転車のスタンドを案内するスタンドガイド2a3と、を備える。ガイド部材2a1は自転車の後輪側が下になるように僅かに傾斜している。自転車は自転車収納部2aに後輪側から収納される。自転車収納部2aに収納された自転車は後輪保持部2a2によって自立する。
【0024】
図2に示すように、スタッカークレーンの通路Pには、センターラインCLを挟んで一対の下部レール14b1,14b2が配置される。下部レール14b1,14b2は地下部の床面に取り付けられる。地下部の天井面には、下部レール14b1,14b2対応して上部レール14a1,14a2が配置される(図3参照)。スタッカークレーン3−1は上下一対のレール14a1と14b1の間を走行し、スタッカークレーン3−2は上下一対のレール14a2と14b2の間を走行する。スタッカークレーン3−1,3−2には、自転車を保管棚に受け渡すための移載装置5−1,5−2が設けられる。
【0025】
移載装置5−1,5−2は水平面内で旋回可能であり、通路Pに沿って自転車を搬送するときは走行方向を向く。自転車を保管棚2の自転車収納部2aに受け渡すときは水平面内で90度回転し、自転車収納部2aの方向を向く。図中一点鎖線の円は移載装置5−1,5−2の旋回円を示す。スタッカークレーン3−1,3−2の左右方向の位置に係わらず、移載装置5−1,5−2の旋回中心C1,C2はセンターラインCL上に位置する。移載装置5−1,5−2の長さは自転車の長さよりも僅かに長い。移載装置5−1,5−2の旋回中心C1,C2は自転車の中心と一致する訳ではなくオフセットしている。
【0026】
この実施形態では、スタッカークレーンの通路Pの幅は移載装置5−1,5−2の一台分の旋回円の直径にほぼ等しい。すなわち、スタッカークレーンの通路Pには二台のスタッカークレーン3−1,3−2が配置されているものの、その通路Pの幅は一台分の幅に等しい。そして、移載装置5−1,5−2は左側及び右側(図中上側及び下側)のいずれの保管棚2にも自転車を受け渡すことができる。左側及び右側のいずれの保管棚に自転車を受け渡すときも、移載装置5−1,5−2のストロークは同じである。
【0027】
隣り合う一対のスタッカークレーン3−1,3−2は、互いの移載装置5−1,5−2を走行方向と直交する方向に向けたと仮定したとき(図2の左側のスタッカークレーン3−2の移載装置5−2の状態に回転したとき)、移載装置5−1,5−2同士が当接し、すれ違いできなくなる程度に接近していればよい。言い換えれば、互いの旋回円の少なくとも一部が重なっていればよい。
【0028】
図3はスタッカークレーンの正面図を示し、図4はスタッカークレーンの側面図を示す。各スタッカークレーン3−1,3−2の構成は同一であるからスタッカークレーン3−1の構成のみを説明し、残りのスタッカークレーン3−2の説明は同一の符号を附してその説明を省略する。スタッカークレーン3−1は、下部レール14b1上を走行する台車3aと、台車3aに固定される門形のフレーム3bと、フレーム3bの二本のマスト3b1に沿って昇降可能な昇降体3cと、昇降体3cに旋回可能に設けられる移載装置5−1と、移載装置5−1を水平面内で旋回させる旋回機構3eと、を備える。台車3aは前後に下部レール14b1上を走行可能な一対の車輪3a1を有する。車輪3a1はサーボモータによって回転駆動される。二本のマスト3b1の上端部には上部レール14a1を挟むローラ3b2が設けられる。二本のマスト3b1の上端部は上部レール14a1に案内される。二本のマスト3b1それぞれには、上下方向に伸びるレール13が取り付けられる。昇降体3cはこのレール13に沿って昇降する。昇降体3cはワイヤーロープ14の一端に吊り下げられる。ワイヤーロープ14の他端は滑車を介してワイヤーロープ巻取り手段駆としてのウィンチ15に接続される。ウィンチ15によってワイヤーロープ14を巻き上げると、昇降体3cがマスト3b1に沿って昇降する。なお、昇降体3cを昇降させる構造には上記にもさまざまな構造を採用することができる。例えば、カウンターウェイトを設けてもよいし、歯付きベルトとプーリによって昇降体3cを昇降させてもよいし、リニアモータや送りねじ機構によって昇降体3cを昇降させてもよい。
【0029】
昇降体3cには、旋回機構3eを介して移載装置5−1が水平面内で旋回可能取り付けられる。移載装置5−1は、昇降体3c上にベアリングを介して回転可能に取り付けられる。移載装置5−1は、自転車を案内するV字形のガイド部材5aと、自転車の前輪の車軸を左右方向に挟むプレート状の一対のホルダ5bと、一対のホルダ5bをガイド部材5aに沿ってスライドさせる駆動機構5cと、を備える。一対のホルダ5bはホルダ駆動機構によって互いの間隔が狭まったり開いたりする。駆動機構5cは、例えばプーリ間に掛け渡された無端状のベルトを周回させることによって、ベルトに連結された一対のホルダ5bをガイド部材5aに沿ってスライドさせる。なお、ホルダ5bは自転車の前輪の車軸ではなく、自転車の前輪自体を掴んでもよい。
【0030】
移載装置5−1を旋回させる旋回機構3eは、平歯車、ウォーム歯車等の歯車と、歯車を回転駆動させるサーボモータと、を含む。サーボモータを駆動させると、移載装置5−1が水平面内を旋回する。
【0031】
図3に示すように、二台のスタッカークレーン3−1,3−2の台車3a及びフレーム3bは、センターラインCLを挟んで左右に離れて配置されている。二台のスタッカークレーンがすれ違うとき、台車3a及びフレーム3bは互いに干渉することなくすれ違う。ただし、走行方向から見たとき、昇降体3cはL字形に形成されていて、台車3aからセンターラインCLに向かって片持ち状に張り出している。そして、昇降体3cの張り出した部分に移載装置5−1,5−2が配置される。このため、移載装置5−1,5−2が同じ高さにあると、二台のスタッカークレーン3−1,3−2はすれ違うことができない。なお、昇降体3cの移載装置5−1,5−2が載せられる部分は台車3aの上面よりも下方に下がっている。昇降体3cが最下端まで降下したとき、移載装置5−1,5−2が台車3aの上面よりも下方に位置するので、自転車を床面近くまで下降させることができる。
【0032】
図5は二台のスタッカークレーン3−1,3−2がすれ違うときの状態を示す。二台のスタッカークレーン3−1,3−2の移載装置5−1,5−2は共にセンターラインCL上に配置されるので、互いの移載装置5−1,5−2を同じ高さに配置すると、二台のスタッカークレーン3−1,3−2はすれ違うことができない。このため、片方の移載装置5−2を上昇させ、片方の移載装置5−1を下降させ、互いの移載装置5−1,5−2を上下に除けた状態ですれ違う。移載装置5−1,5−2は走行方向を平行な方向を向いている。
【0033】
図2に示すように、すれ違い後、二台のスタッカークレーン3−1,3−2それぞれは目的の自転車収納部2aまで自転車を水平方向に搬送し、目的の自転車収納部2aの高さまで自転車を昇降させる。その後、移載装置5−1,5−2を走行方向と直交する方向を向くように90度旋回させる。移載装置5−1,5−2のガイド部材5aと自転車収納部2aのガイド部材2a1とが一直線になったら、移載装置5−1,5−2は自転車を自転車収納部に渡す。
【0034】
本実施形態によれば、一つのスタッカークレーンの通路Pに二台のスタッカークレーン3−1,3−2を配置するので、二台目以降の入庫待ち時間を1/2に低減することができる。自転車収納部2aの個数は、「円滑性」と呼ばれる全車入庫時間、及び全車出庫時間から求められる。従来の駐輪設備では、円滑性の問題より、一つの入出庫ブース1当たり200〜250台が最大の収容数であり、設備長も30〜40mが限界と考えられていた。本実施形態によれば、400台の自転車を収納することができ、設備長も100m程度まで延ばすことができる。
【0035】
隣り合う一対のスタッカークレーン3−1,3−2がすれ違うとき、移載装置5−1,5−2が走行方向と平行な方向を向くように旋回するので、スタッカークレーンの通路Pの幅がスタッカークレーン3−1,3−2の台数に比例して二倍に広くなるのを防止できる。
【0036】
さらに、移載装置5−1,5−2を上下に除けた状態で摺れ違うようにしたり、上下に除けた移載装置5−1,5−2の旋回中心をスタッカークレーンの通路PのセンターラインCL上に配置することで、スタッカークレーンの通路Pの幅を最小にすることができる。これと同時に、スタッカークレーンの通路Pを挟んだ左右一対の保管棚2のいずれにも同じストロークで自転車を受け渡すことが可能になる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々に変更可能である。
【0038】
例えば、図6の機械式自転車駐輪設備の平面図に示すように、入出庫ブース1は地下部9の両端部以外に中央部等に設けてもよい。スタッカークレーン3は入出庫ブースの数に対応して3台等設けられてもよい。
【0039】
上記実施形態では、地上部に入出庫口を設け、地下部に保管棚を設けているが、これに限定されるものではない。例えば、ビルの屋上を自転車収納スペースとして利用してもよく、この場合、1階に入出庫口を設け、1階から屋上まで昇降装置で自転車を上昇させ、スタッカークレーンを経由した後、屋上の保管棚に自転車を収納する。
【0040】
上記実施形態では、隣り合う一対のスタッカークレーンがすれ違うとき、移載装置を走行方向に平行な方向に向けているが、平行な方向から傾けてもよい。
【0041】
上記実施形態では、移載装置の旋回中心をスタッカークレーンの通路のセンターライン上に配置しているが、スタッカークレーンの左右の棚に自転車を受け渡しできれば、移載装置の旋回中心をセンターラインから偏心させてもよい。さらに図7に示すように、隣り合う一対のスタッカークレーン3−1,3−2を互いの昇降体3cがたとえ同じ高さにあっても干渉しないよう離間させてもよい。隣り合う一対のスタッカークレーン3−1,3−2は、互いの移載装置5−1,5−2を走行方向と直交する方向に向けたとき、すれ違いできないように接近していればよく、また互いの移載装置5−1,5−2を走行方向と平行な状態に向けることによって、すれ違い可能となればよい。
【0042】
上記実施形態では、保管棚の自転車収納部をスタッカークレーンの走行方向と直交するように配列しているが、地下部の横幅を狭めるために走行方向に対して斜めに傾けて配列してもよい。
【0043】
移載装置の旋回範囲が限られているときでも、隣り合う一対のスタッカークレーンは、互いの移載装置を走行方向と直交する方向に向けたと仮定したとき、すれ違いできないように接近していればよい。
【0044】
入出庫口や、入出庫口に配置される昇降装置は、利用者から自転車を受け取り、スタッカークレーンに自転車を渡すことができるものであれば、その構造は限定されるものではない。昇降装置とスタッカークレーンとの間に自転車の受け渡しを行う中継装置を設けてもよい。
【符号の説明】
【0045】
2…保管棚
2a…自転車収納部
3−1,3−2…スタッカークレーン(搬送装置)
3e…旋回機構
5−1,5−2…移載装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車を保管する保管棚の列間を複数の搬送装置が並行に走行する機械式自転車駐輪設備であって、
各搬送装置は、
保管棚に自転車を受け渡すための移載装置と、
前記移載装置を水平面内で旋回させる旋回機構と、を備え、
隣り合う一対の搬送装置は、互いの移載装置を走行方向と直交する方向に向けたと仮定したとき、すれ違いできないように接近しており、互いの前記移載装置を前記直交する方向を向く状態から走行方向と平行な状態に近づくように旋回させることによって、すれ違い可能となる機械式自転車駐輪設備。
【請求項2】
前記各搬送装置はさらに、
前記移載装置を昇降させる昇降体を備え、
隣り合う前記一対の搬送装置は、互いの前記前記移載装置を上下に除けた状態ですれ違うことを特徴とする請求項1に記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項3】
隣り合う前記一対の搬送装置がすれ違うとき、上下に除けた一対の移載装置の旋回中心が実質的に同一の直線上に配置されることを特徴とする請求項2に記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項4】
隣り合う前記一対の搬送装置がすれ違うとき、互いの前記移載装置の向く方向が前記走行方向に対して実質的に平行になることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項5】
自転車を保管する保管棚の列間を複数の搬送装置が並行に走行する機械式自転車駐輪方法であって、
隣り合う一対の搬送装置がすれ違う工程と、
移載装置を用いて各搬送装置と保管棚の自転車収納部との間で自転車を受け渡す工程と、を備え、
隣り合う前記一対の搬送装置は、互いの移載装置を走行方向と直交する方向に向けたと仮定したとき、すれ違いできないように接近しており、互いの前記移載装置を前記直交する方向を向く状態から走行方向と平行な状態に近づくように旋回させることによって、すれ違い可能となる機械式自転車駐輪方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−184611(P2012−184611A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49202(P2011−49202)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)