説明

機械式駐車場

【課題】乗降室でパレットを旋回させるための従来の方式では、乗降室の構造は大がかりとなりうる。
【解決手段】機械式駐車場10は、乗降室12のパレット32に乗った車両20を、パレット32ごと連通孔26を経由して格納棚へ移送し、保管する。機械式駐車場10は、パレット32が乗降室12にあるとき、連通孔26のうちパレット32によって覆われない部分の少なくとも一部を覆う形で乗員の落下防止を図る安全部材が設けられるとともに、パレット32が乗降室12で旋回する際、この安全部材がパレット32と係合して一体に旋回するよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット式の機械式駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
人口密度の高い都心部や複合商業施設や集合住宅などでは、複数層の格納棚を有することで駐車効率を高め、車両の搬送にパレットを使用するパレット式の機械式駐車場が多く使用されている。機械式駐車場は一般に、ドライバが車両に乗車または車両から降車するための乗降室と、地上または地下に設けられた格納棚と、を備える。機械式駐車場はエレベータなどの昇降装置によって乗降室と格納棚との間でパレットを移動させる。
【0003】
近年、地上または地下の建造物が増えるにつれて駐車場として利用できる地上または地下の空間は次第に狭くなってきている。それに伴い機械式駐車場のレイアウトに対する制約も増える傾向にある。例えば地上に乗降室、地下に格納棚を設ける地下式の機械式駐車場については、地上の制約と地下の制約との相違により、地下の格納棚の車両の向きと乗降室に進入するときの車両の向きとを異ならせる必要がある場合もある。
【0004】
そのような場合、通常、車両が搭載されたパレットを乗降室で旋回させてから昇降路に進入させる。また、パレットだけでは昇降路を覆いきれないことも多いので、昇降路への乗員の落下防止を図るため、従来では例えば乗降室に旋回テーブル等を設けたり、特許文献1に記載されるような3枚折りの可動デッキを設けたりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−270555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの方式ではパレットを旋回させるための旋回機構とは別に旋回テーブルや可動デッキを駆動するための駆動機構が必要となるので、乗降室の構造は大がかりとなりうる。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、乗降室でパレットを旋回させる場合に、より簡易な構成で乗員等の落下防止を図ることができる機械式駐車場の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は機械式駐車場に関する。この機械式駐車場は、乗降室のパレットに乗った車両を、パレットごと連通孔を経由して格納棚へ移送し、保管する機械式駐車場であって、パレットが乗降室にあるとき、連通孔のうちパレットによって覆われない部分の少なくとも一部を覆う形で乗員等の落下防止を図る安全部材を設けるとともに、パレットが乗降室で旋回する際、この安全部材がパレットと係合して一体に旋回するよう構成した。
【0009】
この態様によると、乗員の落下防止を図る安全部材はパレットと係合してパレットと一体に旋回する。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、乗降室でパレットを旋回させる場合に、より簡易な構成で乗員の落下防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係る機械式駐車場の断面図である。
【図2】図1のB1F格納棚の平面図である。
【図3】図3(a)、(b)、(c)は、耳付きパレット枠を説明するための模式図である。
【図4】図4(a)、(b)、(c)、(d)は、連通孔周辺の模式図である。
【図5】図5(a)、(b)は、車両が乗降室に進入するときの様子を示す模式図である。
【図6】図6(a)、(b)は、車両を搭載したパレットが乗降室内で旋回するときの様子を示す模式図である。
【図7】図7(a)、(b)は、車両を搭載したパレットが連通孔を通過するときの様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0014】
本実施の形態に係る機械式駐車場は、乗降室に進入するときの自動車などの車両の向きと格納棚に保管されているときの車両の向きとが異なるよう構成される。特に進入時の車両の向きと保管時の車両の向きとのなす角度は約90度である。車両が乗降室に進入しパレットの上に乗ると、その車両は旋回装置により乗降室でパレットごと約90度または約270度旋回する。その後、その車両は昇降装置によりパレットごと連通孔を経由して格納棚に移送され、そこで保管される。
【0015】
通常車両は前後方向のほうが左右方向よりも長い形状をしており、それに合わせてパレットも平面視で長方形などの1つの方向により長い形状を有する。そしてパレットが通過する連通孔もまたパレットの形状に合わせて平面視で略長方形に形成される。したがって、乗降室でパレットが回転する前は、パレットの短手方向の両側にパレットによって覆われない連通孔の部分が存在する。この部分は、パレット上で停止した車両から乗員が降り立つ場所に相当するかまたはその場所に近い。そこで実施の形態に係る機械式駐車場では、その部分の少なくとも一部を覆う形で乗員の落下防止を図る安全部材を設ける。
【0016】
また、この安全部材は、パレットから旋回のためのトルクを受けてパレットと共に旋回する。特に安全部材はパレットと旋回装置を共用する。これにより、安全部材を旋回させるための別途の駆動機構を設ける必要はなく、乗員の落下防止を図るためのより簡易で低コストな構成が実現される。
【0017】
図1は、実施の形態に係る機械式駐車場10の断面図である。図2は、B1F格納棚14の平面図である。機械式駐車場10は、地上に設けられた建物24の地下に地下3階まで設けられた、いわゆる地下式の機械式駐車場である。機械式駐車場10は、地下1階、地下2階、地下3階のそれぞれに設けられたB1F格納棚14、B2F格納棚16、B3F格納棚18を備える。各格納棚は車両20を保管する。
【0018】
機械式駐車場10は複数のパレット32を備えるパレット式の駐車場である。パレット32は平面視で略長方形の平板状の部材である。パレット式の機械式駐車場10は、リフトを用いて車両20が搭載された状態のパレット32を昇降させたり、あるいは第1移載装置56や第2移載装置58を使用してパレット32を水平面内で移動させたりすることにより、格納棚に車両20を駐車させる構成とされている。
【0019】
B1F格納棚14、B2F格納棚16、B3F格納棚18はそれぞれ10の駐車スペースを含む。それら10の駐車スペースは、平面視した場合に移載方向(x方向)に5行、移載方向と実質的に直交する交差方向(y方向)に2列のマトリクス状に配列される。各駐車スペースはパレット32を収容可能に構成される。駐車スペースはパレットと共に車両20が駐車されうる駐車室内の1駐車領域(駐車の1単位)である。
【0020】
乗降室12は建物24内に設けられている。昇降路96は鉛直方向(図のz方向)に沿って設けられている。昇降路96は、B1F格納棚14、B2F格納棚16、B3F格納棚18のそれぞれと連通し、その上端に乗降室12が設けられている。昇降路96の下端には昇降装置94が設置されている。乗降室12と昇降路96とは、平面視でパレット32より大きな略長方形の連通孔26を介して連結されている。
【0021】
リフトは、リフトフレーム88と、旋回装置92と、第1移載装置56と、2本のマスト90と、昇降装置94と、を含み、乗降室12と各格納棚との間でパレット32を移動させる。2本のマスト90は、機械式駐車場10の底部の昇降装置94が収まる凹部22から昇降路96を通って乗降室12の下方に至るまで鉛直方向に沿って立設される支柱である。リフトフレーム88は2本のマスト90に昇降自在に取り付けられる。昇降装置94はリフトフレーム88を昇降させる。
【0022】
旋回装置92はリフトフレーム88の上側に取り付けられ、乗降室内で第1移載装置56、パレット32、後述の耳付きパレット枠100、および場合によっては車両20を一体として、鉛直方向に沿った旋回軸Rの周りで旋回させる。第1移載装置56は、旋回装置92の上側に取り付けられる。パレット32は第1移載装置56の上部に搭載される。第1移載装置56は、搭載されたパレット32の短手方向にパレット32を移動可能に構成される。
【0023】
第2移載装置58は各駐車スペースに設けられており、駐車スペースをまたいでパレット32を移動させる。駐車スペースと駐車スペースとの間には、駐車スペースをまたいでパレット32が移動する際にそれを支持する転倒防止ローラ38が設置される。なお、第2移載装置58には、例えば本出願人が先に出願した特公平7−29681号公報に記載の搬送装置を適用することができる。
【0024】
図3(a)、(b)、(c)は、耳付きパレット枠100を説明するための模式図である。図3(a)は耳付きパレット枠100の平面図、図3(b)は耳付きパレット枠100の側面図、図3(c)はパレット32の平面図である。耳付きパレット枠100は、安全部材すなわち左耳部102および右耳部104と、枠体106と、を含む。
【0025】
枠体106は、パレット32と着脱可能に構成される。枠体106は、パレット32が装着された場合にそのパレット32の4辺に沿う4つの棒状部材106a、106b、106c、106dと、パレット32の4隅でパレット32と係合する4つの係合部116と、を有する。図3(c)と図3(a)とは、パレット32の大きさと枠体106の大きさとの関係を示す。
【0026】
左耳部102は、枠体106の2つの長辺のうちの一方(以下、左辺と称す)の側に設けられる。左耳部102は、車両20が乗降室12に進入するとき、連通孔26のうち呼び出されているパレット32によって覆われない部分の一部を覆う形で乗員の落下防止を図る。パレット32が乗降室12で旋回する際、左耳部102は枠体106を介してパレット32と係合し、パレット32と一体に旋回する。
【0027】
左耳部102は、左蓋板112と、左補強リブ108と、を有する。左補強リブ108は、枠体106の左辺に対応する棒状部材106dに取り付けられる。左蓋板112は平板状の部材であり、左補強リブ108の上部に取り付けられる。左蓋板112は平面視で左補強リブ108の最外周よりも大きく構成されており、左補強リブ108の最外周からさらに外側に延伸する左延伸部118を有する。図3(a)、図5(a)、図7(a)において左右の延伸部に対応する部分を斜線のハッチングで示す。
【0028】
右耳部104は、枠体106の2つの長辺のうちの他方(以下、右辺と称す)の側に設けられることを除いては左耳部102と同様に構成される。右耳部104の右蓋板114、右補強リブ110、右延伸部120はそれぞれ、左耳部102の左蓋板112、左補強リブ108、左延伸部118に対応する。
【0029】
図4(a)、(b)、(c)、(d)は、連通孔26周辺の模式図である。図4(a)は乗降室12の連通孔26周辺の平面図、図4(b)は図4(a)のA−A線断面図、図4(c)は図4(a)のB−B線断面図、図4(d)は図4(a)のC−C線断面図である。矢印38は車両20が進入してくる向きを示す。したがって、乗降室12の車両進入口24a(図1で図示)は図4(a)の右方に存在する。連通孔26の長手方向は格納棚の駐車スペースの長手方向と略平行であり、車両20の乗降室12への進入方向と略直交する。連通孔26のうちマスト90の上方に対応する部分は、乗降室12の床に支持された縞鋼板40により覆われている。
【0030】
乗降室12の床には、連通孔26の車両進入口24a側およびその反対側に連通孔26に隣接して入り口側床ピット34および奥側床ピット36がそれぞれ設けられる。入り口側床ピット34および奥側床ピット36は、車両進入時には枠体106が収まり、車両20が搭載されたパレット32が連通孔26を通過する際には左耳部102の左補強リブ108および右耳部104の右補強リブ110が収まるような平面形状および深さに形成される。
【0031】
以上の構成による機械式駐車場10の動作を説明する。
車両20を機械式駐車場10に入庫する場合を考える。図5(a)、(b)は、車両20が乗降室12に進入するときの様子を示す模式図である。図5(a)は、乗降室12の連通孔26周辺の平面図、図5(b)は図5(a)に対応する断面図である。乗降室12に呼び出されたパレット32は枠体106と係合して入り口側床ピット34および奥側床ピット36に収まる。パレット32は、その上面が乗降室12の床面と揃うようにリフトによって鉛直方向に支持される。
【0032】
左耳部102および右耳部104は連通孔26のうちパレット32によって覆われない部分を覆う。特に左耳部102の左補強リブ108は連通孔26に収まり、左延伸部118は乗降室12の床面にはみ出す。右耳部104についても同様である。これにより、例えば乗員が左耳部102または右耳部104のいずれか一方に乗るなどしてバランスが崩れたとしても、乗員が乗った方の耳部の延伸部が乗降室12の床面に当接して係止部として機能し、耳付きパレット枠100の傾きが抑制される。
【0033】
なお、耳付きパレット枠100はパレット32との係合によって支持されていてもよいし、左延伸部118、右延伸部120と乗降室12の床面との接触によって支持されていてもよいし、その両方によって支持されていてもよい。
【0034】
図6(a)、(b)は、車両20を搭載したパレット32が乗降室12内で旋回するときの様子を示す模式図である。図6(a)は、乗降室12の連通孔26周辺の平面図、図6(b)はパレット32の旋回時の高さを示す断面図である。パレット32上で停車した車両20から降車した乗員は、左耳部102または右耳部104を渡って乗降室12から退出する。乗員が不図示の操作盤等に入庫の指示を入力すると、リフトは上昇し第1移載装置56、パレット32、耳付きパレット枠100、車両20は一体として乗降室12の床面に対して持ち上げられる。このときの上昇量ΔHは、パレット32の旋回時にパレット32、耳付きパレット枠100、第1移載装置56のいずれも乗降室12の床と干渉しないように設定される。耳付きパレット枠100は、係合部116がパレット32と係合することによりパレット32と一体で持ち上げられる。
【0035】
次に、旋回装置92は第1移載装置56、パレット32、耳付きパレット枠100、車両20を一体として旋回軸Rの周りで約90度または約270度旋回させる。この際、耳付きパレット枠100は、係合部116がパレット32と係合することによりパレット32と一体に旋回する。すなわち、耳付きパレット枠100を旋回させるためのトルクはパレット32から枠体106に与えられ、旋回中は左耳部102および右耳部104のいずれも枠体106以外の部材とは接触しない。
【0036】
図7(a)、(b)は、車両20を搭載したパレット32が連通孔26を通過するときの様子を示す模式図である。図7(a)は、乗降室12の連通孔26周辺の平面図、図7(b)は図7(a)に対応する断面図である。パレット32および耳付きパレット枠100の旋回後、リフトは下降を始める。するとまず左耳部102の左延伸部118または右耳部104の右延伸部120もしくはその両方が乗降室12の床に当接する。さらにリフトが下降するとパレット32と係合部116との係合が解除され、パレット32と耳付きパレット枠100とが分離される。耳付きパレット枠100は乗降室12に係止され、パレット32は下降を続ける。この意味で、左耳部102の左延伸部118または右耳部104の右延伸部120もしくはその両方は、パレット32が連通孔26に進入する際、耳付きパレット枠100を乗降室12に係止する係止部であると言える。
【0037】
パレット32が耳付きパレット枠100に対して相対的に下降することにより、パレット32に搭載された車両20は枠体106の内側を通過して連通孔26に進入する。枠体106は、そのように車両20が内側を通過できるよう構成される。例えば、乗降室12においてはみ出しセンサによってはみ出しと検知されない車両であれば、枠体106の最内周が規定する図形からはみ出さないように枠体106が構成される。
【0038】
左耳部102の左補強リブ108は入り口側床ピット34に収まり、右耳部104の右補強リブ110は奥側床ピット36に収まる。入り口側床ピット34および奥側床ピット36は、旋回前にパレット32が収まっていた乗降室12内の部分である。
車両20が搭載されたパレット32は昇降路96を下降し、リフトから所定の格納棚に移載され、その格納棚の所定の駐車スペースに保管される。
【0039】
続けて別の車両を入庫する場合は空のパレット32が格納棚からリフトに移載される。リフトの上昇により空のパレット32は上昇して連通孔26を通過する。空のパレット32は枠体106と係合して乗降室12内の旋回高さまで持ち上げられる。旋回装置92は空のパレット32と耳付きパレット枠100とを一体に約90度または約270度旋回させる。旋回後、リフトは空のパレット32および耳付きパレット枠100を床面の高さまで降ろす。
機械式駐車場10から車両20を出庫する場合は空のパレット32を出庫対象の車両が搭載されたパレットと読み替えることにより上記と同様の動作が行われる。
【0040】
本実施の形態に係る機械式駐車場10では、乗降室12でパレット32を旋回させてから連通孔26を通過させる場合に、パレット32と係合して一体に旋回するよう構成された耳部を備える耳付きパレット枠100が設けられる。この耳部は旋回前は連通孔26のうちパレット32によって覆われていない部分の一部を覆う。したがって、パレット32の旋回装置とは別の旋回装置を必要とする部材、例えば旋回テーブルを設けることなく乗員の落下防止を図ることができる。その結果、落下防止のための構造をより簡単にすることができ、設置コストや設置の手間を低減できる。
【0041】
また、耳部とパレット32とは旋回のための駆動源を共用しているので、それぞれに別個の駆動源を提供する場合と比較して必要な駆動源の数を低減でき、またそれぞれの旋回を同期させるための制御系を設ける必要もない。したがってコスト的に有利となりうる。
【0042】
また、通常旋回テーブルは中央にパレットのための矩形開口を有する略円形の鋼板により構成され、その鋼板は連通孔以外の部分も常時覆っている。これに対して本実施の形態に係る機械式駐車場10では耳付きパレット枠100は必要なときに必要な個所を覆う構成とされている。すなわち耳付きパレット枠100は車両進入時にパレット32で覆われない連通孔26の部分を覆う構成とされている。したがって、耳付きパレット枠100は旋回テーブルよりも小型、軽量でありながら確実に落下防止を図ることができる。
【0043】
以上、実施の形態に係る機械式駐車場10の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0044】
実施の形態では、進入時の車両の向きと保管時の車両の向きとのなす角度は約90度である場合について説明したが、これに限られず、この角度は任意であってよい。なお、この角度が約90度である場合、車両20が乗降室12に進入するときにパレット32が収まるピットを、パレット32が連通孔26を通過するときに耳付きパレット枠100の耳部が収まるピットとしても使用できるので、必要なピットの数を低減できる点で好ましい。
【0045】
実施の形態では、平板状のパレットを使用する場合について説明したが、これに限られない。例えば、轍状の溝を形成したパレットや、櫛歯型のパレットなど、車両を積載して格納することができる形状を有するパレットであればいかなる形状のパレットでも採用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 機械式駐車場、 12 乗降室、 20 車両、 26 連通孔、 32 パレット、 100 耳付きパレット枠、 102 左耳部、 104 右耳部、 106 枠体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降室のパレットに乗った車両を、パレットごと連通孔を経由して格納棚へ移送し、保管する機械式駐車場であって、
パレットが乗降室にあるとき、連通孔のうちパレットによって覆われない部分の少なくとも一部を覆う安全部材を設けるとともに、パレットが乗降室で旋回する際、この安全部材がパレットと係合して一体に旋回するよう構成したことを特徴とする機械式駐車場。
【請求項2】
安全部材はパレットと着脱可能に構成された枠体を介してパレットと係合し、
枠体は、パレットが乗降室で旋回した後、そのパレットに搭載された車両が当該枠体の内側を通過して連通孔に進入するよう構成したことを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車場。
【請求項3】
安全部材は、パレットが連通孔に進入する際、当該安全部材を乗降室に係止する係止部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の機械式駐車場。
【請求項4】
安全部材は、パレットが乗降室で旋回した後、旋回前にそのパレットが収まっていた乗降室内の部分に収まるよう構成したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の機械式駐車場。
【請求項5】
乗降室に進入するときの車両の向きと格納棚に保管されているときの車両の向きとが異なるよう構成したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の機械式駐車場。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−32629(P2013−32629A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168513(P2011−168513)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)