説明

機械的に敏感なウェブ製品を切断する方法

【課題】ウェブ製品の連続的な搬送を可能にし、特に、連続的なロールからロール(Rolle−zu−Rolle)へのプロセス内に組み込むことができる、ウェブ製品を短くする方法を提供し、当該方法によって、ウェブ製品、特に電池セパレータ製品を今日一般的に、製造し且つ扱う。
【解決手段】担体と研磨粒子とを有するウェブ製品を短くする方法において、研磨粒子は、担体内部及び/又は担体の表面の少なくとも一部分に設けられており、
(a)ウェブ製品の準備するステップ、
(b)前記ウェブ製品を必要な幅に切断するステップ、
(c)ステップ(b)によりもたらされたウェブ製品を芯又は巻芯に巻成するステップ、及び
(d)ウェブ製品を芯又は巻芯上で、芯又は巻芯の軸線に沿って短くするステップ、
を有しているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担体と研磨粒子とを有するウェブ製品を短くする方法において、研磨粒子は、担体内部及び/又は担体の表面の少なくとも一部に設けられている、担体と研磨粒子とを有するウェブ製品を短くする方法に関する。特に本発明は、例えばリチウムイオン電池に使用される、セラミックス製のセパレータもしくはセラミックス製又は酸化性の成分を含むセパレータを切断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池において使用するために、とりわけ例えばセラミックス製の成分でコーティングされた担体基材、又はセラミックス製の成分を含有する担体基材から成るセパレータが使用される。いわゆるセラミックス製のセパレータのセラミックス製の成分は、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、及び例えばBaTiO、ZrO又はTiOといった他の酸化金属から成っていてよい。担体基材は、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミドといったポリマから成っていてよい。セラミックス製の成分をポリマに供給することも、含浸、印刷又は浸漬の形式で多孔性のポリマ担体に被着させることもできる。この場合、ポリマはマトリックスとして、酸化物はフィラーとして働く。
【0003】
セラミックス製又は半セラミックス製(ハイブリッド)のセパレータ、又はセパレータとして使用可能なセラミックス製のダイヤフラムは、例えばWO99/15262号明細書において十分に公知になっている。前記明細書からはセパレータの製造、又はセパレータとして適切なダイヤフラムも見て取ることができる。有利には、当然、前記セパレータのための多孔性の担体として、例えば金属織物といった導電性の担体は使用されない。なぜならば、この種の担体の使用時には、セラミックス製のコーティングが完全でない場合、内部の短絡に繋がる場合があるからである。従って前記セパレータは、有利には、非導電性の材料からなる担体を有している。
【0004】
昨今では、セラミックスとポリマとを有するハイブリッドセパレータが開発されてきた。DE10208277号明細書では、例えばポリマ不織布といったポリマの基材材料に基にセパレータが製造された。ポリマ不織布は多孔性で、電気絶縁性で、セラミックス製のコーティングを有している。
【0005】
この種のセラミックス製のセパレータは、従来の又は焼入れされた刃物用鋼から成る刃を持った、一般的に、丸刃、はさみ、レバーシヤ等の慣用の市販の切断器具によって、所望の形に切断される。この場合、切断時に部分的に破片により多くの材料損失が観察される。また破片はよく破壊的な、少なくとも邪魔となる屑の形式で発生する。
【0006】
例えばロール製品としてのセラミックス製のセパレータは、リチウムイオン電池内での使用のために、セパレータに必要な寸法に合わせて切断される。そのための自動的且つ半自動的な切断テーブルは先行技術である。切断したい材料は安定していなければならず、クランプ装置により把持され、切断装置内に搬送され、圧力下で切断され、次いで更に搬送される。
【0007】
しかしセパレータは脆弱で、少なくとも極めて肉薄である場合がある。これにより前記過程においては、材料を破壊しないということは不可能である。更に搬送方向に対して横方向での切断により、セパレータの場合にはウェブ製品の形式をしている材料の連続的な搬送は可能でない。搬送方向に対して横方向の切断は、ここから以下、「短くする」と記述する。「切断」とは、以下、搬送方向、同様にウェブ製品が巻かれる方向でのウェブ製品の切断と理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO99/15262号明細書
【特許文献2】DE10208277号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
積層された、ひいては多層のウェブ製品を短くすることは、上方の層を、微視的なスケールで、楔形のナイフにより側方に移動させる且つ/又は圧潰することに繋がる。
【0010】
従って、本発明の課題は、ウェブ製品の連続的な搬送を可能にし、特に、連続的なロールからロール(Rolle−zu−Rolle)へのプロセス内に組み込むことができる、ウェブ製品を短くする方法を提供し、この方法によって、ウェブ製品、特に電池セパレータ製品を今日一般的に、製造し且つ扱うことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明に係るウェブ製品を短くする方法は、研磨粒子が、担体内部及び/又は担体の表面の少なくとも一部分に設けられており、
(a)ウェブ製品を準備するステップ、
(b)前記ウェブ製品を必要とされる幅に切断するステップ、
(c)ステップ(b)後にもたらされたウェブ製品を芯又は巻芯に巻成するステップ、及び
(d)ウェブ製品を芯又は巻芯上で、芯又は巻芯の軸線に沿って短くするステップ、
を有しているようになっている。
【0012】
好ましくは、ステップ(c)において、ウェブ製品の厚さの100から10倍の直径を有する芯又は巻芯を使用する。
【0013】
好ましくは、ステップ(c)において、5から100μmの厚さを有するウェブ製品を使用する。
【0014】
好ましくは、ステップ(c)において、2から1000層のウェブ製品を芯又は巻芯に巻成し、層の数を、前記ステップ(c)により得られた物体の軸線に対して垂直な最大直径と、芯又は巻芯の直径との差を、ウェブ製品の厚さの2倍で割って、端数を切り捨てた商から得る。
【0015】
好ましくは、ステップ(d)において、少なくとも1つの固定のナイフ又は回転するナイフを使用する。
【0016】
好ましくは、ステップ(d)において、ウェブ製品を一回のカットで前記軸線に沿って外側から、前記ステップ(c)によって得られた物体の回転軸線の方向で短くする。
【0017】
本発明に係る方法により、大量生産される製品が得られる。
【0018】
ウェブ製品をセパレータとして電池において使用する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る方法は、特にセパレータの形式のウェブ製品のための連続的な製造プロセスに組込み可能である、という利点を有している。本発明に係る方法の利点は、ウェブ製品を固定するという、短くするために必要な別個のステップが不必要であるということでもある。なぜならばウェブ製品は巻成により自動的に固定されるからである。
【0020】
本発明の別の対象は、本発明に係る方法により得られる大量生産される製品、及び電池におけるセパレータとしての本発明に係る製品の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を実施するための形態を図面を参照にして詳細に説明する。
【0022】
本発明に係る方法のステップ(c)では、有利には、ウェブ製品の厚さの100〜10倍の直径を有する芯又は巻芯を使用することができる。
【0023】
更に有利には、本発明に係る方法のステップ(c)では、5〜100μmの厚さを備えたウェブ製品を使用することは有利であってよい。
【0024】
ステップ(c)において2〜1000層のウェブ製品を芯又は巻芯に巻成することができる。層の数を、前記ステップ(c)により得られた物体の軸線に対して垂直な最大直径と、芯又は巻芯の直径との差を、ウェブ製品の厚さを2倍した数で割り、端数を切り捨てた商から得る。
【0025】
本発明に係る方法のステップ(d)では、少なくとも1つの固定された又は回転するナイフを使用することができる。
【0026】
有利には、ステップ(d)では、ウェブ製品を一回のカットで軸線に沿って、ステップ(c)によって得られた物体の回転軸線の方向で外側から短くすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体と研磨粒子とを有するウェブ製品を短くする方法において、研磨粒子は、担体内部及び/又は担体の表面の少なくとも一部分に設けられており、
(a)ウェブ製品を準備するステップ、
(b)前記ウェブ製品を必要な幅に切断するステップ、
(c)ステップ(b)によりもたらされたウェブ製品を芯又は巻芯に巻成するステップ、及び
(d)ウェブ製品を芯又は巻芯上で、芯又は巻芯の軸線に沿って短くするステップ、
を有していることを特徴とする、ウェブ製品を短くする方法。
【請求項2】
前記ステップ(c)において、ウェブ製品の厚さの100から10倍の直径を有する芯又は巻芯を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(c)において、5から100μmの厚さを有するウェブ製品を使用する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(c)において、2から1000層のウェブ製品を芯又は巻芯に巻成し、層の数を、前記ステップ(c)により得られた物体の軸線に対して垂直な最大直径と、芯又は巻芯の直径との差を、ウェブ製品の厚さ2倍で割って、端数を切り捨てた商から得る、請求項1から3までのいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(d)において、少なくとも1つの固定のナイフ又は回転するナイフを使用する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(d)において、ウェブ製品を一回の切断で前記軸線に沿って外側から、前記ステップ(c)によって得られた物体の回転軸線の方向で短くする、請求項1から5までのいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項により獲得される大量生産される製品。
【請求項8】
請求項7記載のウェブ製品の、電池におけるセパレータとしての使用。

【公開番号】特開2010−36335(P2010−36335A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179047(P2009−179047)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】