説明

機械的メタ材料

【課題】能動的に制御可能な機械的特性を備えた、変形可能構造と、一組の活性化要素とを含む。活性化要素は、複数の状態間で制御できるメタ材料を提供する。
【解決手段】メタ材料200は、一つ以上の活性化要素206が第一の活性化状態にあるとき、ある機械的特性について第一の値を有し、活性化要素206が第二の活性化状態へ活性化されたとき、前記機械的特性について第二の値を有する。一態様において、メタ材料200は、メタ材料200の機械的特性に影響を与えるために成分材料間の接続性または成分材料の形状および配置を動的に制御可能である複合材料に類似する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[米国政府の権利]
本願は、米国空軍研究所および国防高等研究計画局に与えられた契約番号第FA8650−04C−7140号の下で、部分的に政府の支援により行われたものである。政府は、本発明において一定の権利を有する。
[関連出願の相互参照]
本願は、出典を明示することによりその開示内容全体を実際上本願明細書の一部とする同時係属米国仮特許出願第60/552,456号に基づき、米国特許法第119条(e)項に拠る優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、制御可能な機械的特性を有する複合材料に関する。本発明は、特に、製造後および使用中に変更し得る特性を備えた複合メタ材料に関する。
【背景技術】
【0003】
歴史的に、人類の材料の選択は、当初、周囲で利用可能なもの、即ち、木、石、および骨に限定されていた。その後、鉄、青銅といった天然材料を精錬し、こうした材料を鋳造および成形する能力を身につけた。数千年後、人類は、製造中に機械的特性を特定用途向けに調整可能な、プラスチックおよび強化スチールといったカスタム材料および合成物を発明した。
【0004】
材料における革命は、用途の革命につながった。鉄および青銅時代には、成形した武器、農具、宝飾品、および食器が作られた。20世紀の変わり目の複合材料により、新たな用途が幅広く可能となった。航空では、軽量で高強度の新たな材料が活用され、スチール補強コンクリートにより、更に大きなビルおよび橋が建設され、プラスチックは、玩具その他の業界に革命をもたらした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした材料により、設計者または建築者は、一定の用途のために広範な機械的特性から選択することが可能となった。しかしながら、一度材料が選択され、デバイスまたは構造に組み込まれると、その機械的特性は固定される。使用中に材料の機械的特性を能動的に制御する能力は、多くの用途において有用であり、新たな多くの用途を可能にする。機械的特性を変化できる既存の材料は、依然として非常に限定されており、活性材料と内在的適応材料との二つのカテゴリに分類し得る。
【0006】
内在的適応材料は、外部刺激に応答して分子または微視的構造の変化を起こし、その結果、機械的特性が変化する。内在的適応材料の例には、剛性および減衰が温度に基づいて変化するゴムおよび形状記憶ポリマ等の熱感応材料と、外部の磁場または電場に応答して材料が微構造変化を起こす磁気レオロジおよび電気レオロジ流体と、ポリママトリクスにおける流体の量に応じて剛性が変化するポリマゲルとが含まれる。こうした材料は、望ましくない温度感応性を示す可能性がある。更に、こうした材料は、その制御が限定される。例えば、こうした材料の弾性と減衰とを独立して変化させることは不可能であり、電気レオロジ流体を液体/固体の極値の間で制御することは不可能である。
【0007】
活性材料は、電気(または熱)エネルギと変形の機械エネルギとの間で変化するエネルギ変換器の役割を果たす。活性材料の例には、圧電セラミック、磁歪材料(強磁性形状記憶合金を含む)、および電気活性ポリマが含まれる。こうした材料では、特定のエネルギ変換機構により、得られる機械的特性の範囲が限定される場合が多い。加えて、活性材料の機械的特性の制御は、活性材料の最大エネルギ出力および反応速度といった物理的限界に影響される。
【0008】
上述したことに基づくと、材料選択は依然として限定されており、一つ以上の制御可能な機械的特性を備えた材料は、大部分が必要性を満たしていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、能動的に制御可能な機械的特性を備えたメタ材料を提供する。メタ材料は、変形可能または再構成可能な構造と、一組の活性化要素とを含む。活性化要素は、複数の状態間で制御できる。メタ材料は、一つ以上の活性化要素が第一の活性化状態にあるとき、ある機械的特性について第一の値を有し、活性化要素が第二の活性化状態へ活性化されたとき、前記機械的特性について第二の値を有する。一態様において、メタ材料は、メタ材料の機械的特性に影響を与えるために構造または接続性を制御可能である複合材料に類似する。
【0010】
例示的な一メタ材料は、変形可能構造としての柔軟層と、柔軟層に結合された一組の剛体活性化要素とを含む。各剛体活性化要素は、別の剛体活性化要素に対して、あるいは柔軟層に対して、別の剛体活性化要素との結合を高めるために静電クランプし得る。これにより、メタ金属の接続性が変化する。複数の活性化要素を共にクランプ(活性化)すると、メタ金属では、剛性、減衰、または他の機械的特性が向上する。クランプをオフにすると(非活性化)、メタ材料は、機械的に柔軟層に類似する。これに応じて、このメタ材料の剛性または他の機械的特性は、柔軟層に近いものから、全ての活性化要素を静電クランプした時の剛体材料のものまでの範囲で制御し得る。
【0011】
こうした制御可能なメタ材料には、幅広い用途がある。例えば、メタ材料は、インピーダンスを調整可能なデバイスに装備し得る。合成物は、多機能材料にすることも可能であり、制御可能な機械的構成要素と支持構造との両方の役割を果たすことで、サイズおよび質量を最小化できる。こうした多機能の用途の一つは、保護的、適応的、および機能的(例えば、エネルギ吸収性)である、ロボットまたは車両の外皮である。
【0012】
一態様において、本発明は、メタ材料に関する。メタ材料は、変形可能または再構成可能な構造(以降、簡潔に「変形可能構造」と呼ぶ)と、一組の活性化要素とを含む。各活性化要素は、a)変形可能構造と結合し、b)活性化機構に関与する構成を含み、c)第一の活性化状態と第二の活性化状態との間で変化するように構成される。メタ材料は、活性化要素の少なくとも一つが第一の活性化状態にあるとき、ある機械的特性について第一の値を有し、少なくとも一つの活性化要素が第二の活性化状態へ活性化されたとき、前記機械的特性について第二の値を有する。
【0013】
別の態様において、本発明は、剛性制御を提供するメタ材料に関する。メタ材料は、変形可能構造と、一組の活性化要素とを含む。各活性化要素は、a)変形可能構造と結合し、b)相対的な剛構成を含み、c)第一の活性化状態と第二の活性化状態との間で変化するように構成される。メタ材料は、活性化要素の少なくとも一つが第一の活性化状態にあるとき、第一の剛性を有し、メタ材料は、少なくとも一つの活性化要素が第二の活性化状態へ活性化されたとき、第二の剛性を有する。
【0014】
更に別の態様において、本発明は、減衰制御を提供するメタ材料に関する。メタ材料は、活性化要素の少なくとも一つが第一の活性化状態にあるとき、第一の減衰係数を有し、メタ材料は、少なくとも一つの活性化要素が第二の活性化状態へ活性化されたとき、第二の減衰係数を有する。
【0015】
更に別の態様において、本発明は、静電クランプメタ材料に関する。メタ材料は、変形可能構造と、一組の活性化要素とを含む。各活性化成分は、変形可能構造に結合された剛構成を含む。メタ材料は、活性化要素の少なくとも一つが別の活性化要素に対して静電クランプされないとき、ある機械的特性について第一の値を有し、メタ材料は、少なくとも一つの活性化要素が別の活性化要素に対して静電クランプされたとき、前記機械的特性について第二の値を有する。
【0016】
別の態様において、本発明は、メタ材料の機械的特性を制御する方法に関する。方法は、少なくとも一つの活性化要素を、第一の活性化状態から第二の活性化状態へ活性化するステップを備える。メタ材料は、少なくとも一つの活性化要素が第一の活性化状態にあるとき、ある機械的特性について第一の値を有し、少なくとも一つの活性化要素が第二の活性化状態へ活性化されたとき、前記機械的特性について第二の値を有する。
【0017】
更に別の態様において、本発明は、メタ材料を使用して剛性を変化させる方法に関する。方法は、少なくとも一つの活性化要素を、第一の活性化状態から第二の活性化状態へ活性化するステップを備える。少なくとも一つの活性化要素は、変形可能構造よりも大きな弾性係数を含む。メタ材料は、少なくとも一つの活性化要素が第一の活性化状態にあるとき、第一の剛性を有し、メタ材料は、少なくとも一つの活性化要素が第二の活性化状態へ活性化されたとき、第二の剛性を有する。
【0018】
更に別の態様において、本発明は、メタ材料の形状を変化させる方法に関する。方法は、一つ以上の活性化要素を、少なくとも部分的に非活性化するステップを備える。方法は、更に、メタ材料が新形状となるように、変形可能構造に力を加えるステップを備える。方法は、更に、メタ材料が新形状となるとき、一つ以上の活性化要素を活性化するステップを備える。
【0019】
別の態様において、本発明は、メタ材料を使用してエネルギを吸収する方法に関する。方法は、少なくとも一つの活性化要素を、第一の活性化状態から第二の活性化状態へ活性化するステップを備える。メタ材料は、少なくとも一つの活性化要素が第一の活性化状態にあるとき、ある機械的特性について第一の値を有し、少なくとも一つの活性化要素が第二の活性化状態へ活性化されたとき、前記機械的特性について第二の値を有する。方法は、更に、変形可能構造が変形するように、メタ材料に力を加えるステップを備える。
【0020】
本発明の上記その他の特徴および利点について、以下の本発明の説明および関連する図において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】本発明の一実施形態によるメタ材料の一部を示す図である。
【図1B】メタ材料に含まれる活性化要素が活性化されたとき、横方向に伸張した後の図1Aのメタ材料を示す図である。
【図1C】本発明の別の実施形態による、柔軟層の両側に剛体活性化要素を備えるメタ材料の一部を示す図である。
【図2A】本発明の特定の実施形態によるメタ材料を示す図である。
【図2B】本発明の別の特定の実施形態によるメタ材料を示す図である。
【図2C】面外変形を有する図2Aまたは図2Bのメタ材料を示す図である。
【図2D】本発明の別の実施形態による、柔軟電極と、屈曲可能だが伸長不可能な活性化要素とを含むメタ材料を示す図である。
【図2E】本発明の別の実施形態による、柔軟電極と、屈曲可能だが伸長不可能な活性化要素とを含むメタ材料を示す図である。
【図2F】本発明の一実施形態による、二重制御可能なメタ材料を示す図である。
【図2G】本発明の別の実施形態による、共通電極を有するメタ材料を示す図である。
【図2H】本発明の別の実施形態による、共通電極を有するメタ材料を示す図である。
【図2I】本発明の別の実施形態による、柔軟電極の反対側に二枚の柔軟層を含むメタ材料を示す図である。
【図2J】本発明の別の実施形態による、柔軟電極の反対側に二枚の柔軟層を含むメタ材料を示す図である。
【図2K】本発明の一実施形態による、円筒型トポロジに配置されたメタ材料を示す図である。
【図2L】本発明の一実施形態による、円筒型トポロジに配置されたメタ材料を示す図である。
【図3A】本発明の特定の実施形態による、曲げ剛性と平面剛性とを制御する能力を提供するメタ材料の断面を示す図である。
【図3B】機械的クランプを可能にする図3Aのメタ材料の拡張部分を示す図である。
【図4A】本発明の別の実施形態による、磁気活性化要素を含むメタ材料を示す図である。
【図4B】メタ材料の全要素活性化後の図4Aのメタ材料を示す図である。
【図5A】本発明の別の実施形態による、メタ材料を示す図である。
【図5B】図5Aのメタ材料において使用される活性化要素を含む多層メタ材料を示す図である。
【図5C】全要素活性化後の図5Bのメタ材料を示す図である。
【図6A】本発明の特定の実施形態による、曲げ剛性を制御するのに有用なモジュール式メタ材料を示す図である。
【図6B】本発明の特定の実施形態による、曲げ剛性を制御するのに有用なモジュール式メタ材料を示す図である。
【図6C】本発明の特定の実施形態による、曲げ剛性を制御するのに有用なモジュール式メタ材料を示す図である。
【図7A】本発明の特定の実施形態による、剛性を高めるために形状変化を使用してロックするメタ材料の活性化要素を示す図である。
【図7B】活性化後の図7Aの活性化要素を示す図である。
【図7C】本発明の一実施形態による、「スナップスルー」双安定メタ材料を示す図である。
【図7D】活性化後の図7Cの双安定メタ材料を示す図である。
【図7E】単純なレイアップ処理を使用して製造可能な図7Cの双安定メタ材料を示す図である。
【図7F】本発明の一実施形態による、積み重ねた平面「弓」アクチュエータを含むメタ材料を示す図である。
【図7G】ハニカム構造としてグループ化し、平行に積み重ねた図7Fの多数の弓アクチュエータを示す図である。
【図8A】本発明の別の実施形態による、任意の平面方向に応答して、剛性および減衰制御が可能となるように、表面上に配置された活性化要素を備えるメタ材料を示す図である。
【図8B】本発明の別の実施形態による、任意の平面方向に応答して、剛性および減衰制御が可能となるように、表面上に配置された活性化要素を備えるメタ材料を示す図である。
【図8C】本発明の別の実施形態による、任意の方向において、より大きな厚さと、力およびモーメントの制御とが可能になるように、成分メタ材料の数枚の積層を含むメタ材料を示す図である。
【図9】円筒型メタ材料を含み、例示的な空間用途において使用される触手ロボットを示す図である。
【図10A】三種類の例示的なコイル状メタ材料設計を示す図である。
【図10B】三種類の例示的なコイル状メタ材料設計を示す図である。
【図10C】三種類の例示的なコイル状メタ材料設計を示す図である。
【図11A】本発明の一実施形態による、メタ材料織物の簡略図である。
【図11B】本発明の別の実施形態による、更なる二枚の剛体層の間でクランプすることにより剛体化可能なメタ材料織物の簡略図である。
【図12】本発明の一実施形態による、メタ材料の機械的特性を変更するための処理フローである。
【図13】本発明の別の実施形態による、メタ材料の形状を変化させるための処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明について、添付図面に例示した、幾つかの好適な実施形態を参照して、詳細に説明する。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細について述べる。しかしながら、こうした具体的な詳細の一部または全部を含まずに本発明を実施し得ることは、当業者には明白であろう。別の事例において、周知の処理ステップおよび/または構造については、本発明を不必要に曖昧にしないため、詳細に説明していない。
【0023】
概略
メタ材料は、制御可能な機械的特性を含む。機械的特性は、使用中に、すなわち生産または製造の後、動的に変更し得る。メタ材料は、二種類以上の材料成分を含む点において、従来の合成物と同様である。しかしながら、本発明のメタ材料には、動的に活性化し得る制御可能な要素を組み込んでいる。
【0024】
メタ材料は、変形可能または再構成可能な構造と、一組の活性化要素とを含む。変形可能構造は、単一の材料、あるいは、多数の成分を含んだ、より複雑な構造を含んでよい。単純な変形可能構造の一つは、追従シートである。この場合、全活性化要素の非活性化により、メタ材料は、実質的に追従シートの機械的特性に類似するものとなる。複雑な構造においては、単一の動作可能な機構を形成するために、多数の成分を含んでよい(例えば、図11の繊維織物または図4および図5の構造)。形状が変化する実施形態において、変形可能構造は、形状変化に関与する外力に応答するのに十分な柔軟性を含む。一部の変形可能構造は、構造の形状がメタ材料の機械的特性に影響を与える設計を含む(図7Aおよび図7B)。
【0025】
一つ以上の活性化要素の活性化は、対象となる機械的特性を変化させる。一実施形態において、活性化要素は、たとえば、追従シート上に設けられた高剛性で互いに重なる「鱗」のように、変更構造に結合された個別の分離構造である(図2Aないし図2L)。別の実施形態において、活性化要素は、電気活性ポリマにおいて分離して制御可能な活性領域等、変形可能構造と組み合わせた共通材料の一部である。
【0026】
変形可能構造は、既存の構造を含んでよく、メタ材料に特有の別個の要素にする必要はない。以下に記載の例では、鱗が触手の表面に配置される。この場合、変形可能構造は、触手自体である。変形可能構造は、受動的な材料または構造にする必要はない。代替として、例えば、電気刺激により、形状変化を引き起こす、あるいは力を発生させる、活性材料を含むことができる。例えば、変形可能構造は、適切な電圧の印加に応答して拡張する電気活性ポリマのシートにすることができる。別の例において、変形可能構造は、電気刺激に応答して、二枚の相対的に硬質のシートが互いを越えて摺動する静電モータにすることができる。
【0027】
メタ材料の活性化要素は、活性化機構を利用する。一般に、活性化機構は、メタ材料の機械的特性を制御可能に変更するために、任意の適切な方法またはシステムを利用してよい。一実施形態において、活性化機構は、印加した電場により形成した静電気力で、二つの導電面を互いにクランプする静電クランプである。別の実施形態において、活性化機構は、外部負荷とは別の方向で作用する、層、バネ、またはその他の手段により生じた機械力で、二つの成分または表面が互いにクランプして、所定の位置でロックする機械的クランプを含んでよい。磁気入力に応答してメタ材料の機械的特性を変化させる活性化要素についても説明する。活性化機構は、その他の手法を含んでよい。一部の例は、電磁石(例えば、ソレノイドまたはモータ)と、圧電物質と、電気活性ポリマと、形状記憶合金と、温度によりサイズまたは形状を変化させる金属およびその他の材料と、電気刺激または化学勾配に応答してサイズを変化させるポリマゲルと、チャンバに追加または除去される流体に応じて形状を変化させる袋、円筒、またはその他のチャンバと、二つの硬質要素間または変形可能セル内に位置する電気レオロジまたは磁気レオロジ流体と、またはクランプ機構を移動可能な他の任意のアクチュエータとを含む。制御可能要素は、活性材料または内在的可変材料と、それぞれの活性化機構とを含んでもよい、メタ材料は、静電的または電磁的に発生させたクランプまたは運動のように、独立した材料ではない他の活性化機構を含んでもよい。一部の例において、活性化要素は、こうした機構を二つ以上組み合わせてよい。例えば、機械的ロックを、静電的または電磁的作動と組み合わせてもよい。
【0028】
活性化要素は、活性化状態間で変化するように構成される。メタ材料の機械的特性は、一つ以上の活性化要素の様々な活性化状態により変化する。静電クランプにおいて、活性化状態は、非クランプ状態と、完全クランプ状態と、部分的クランプ状態とを含み得る。機械的クランプにおいて、活性化状態は、機械的ロック状態と、自由状態と、摩擦接触状態とを含み得る。磁気活性化は、静電クランプまたは機械的クランプに類似する磁気状態を含んでよい。加えて、永久磁石が発生させるような永久磁力を含んでよい。活性化要素の様々な位置も、様々な状態をもたらし得る。一般に、活性化状態は、当業者が理解するように、特定の活性化機構により変化する。
【0029】
一実施形態において、活性化要素は、活性化とき、メタ材料の接続性を変化させる。これは、活性化要素間の接続性を変化させること、および/または、活性化要素と変形可能構造との間の接続性を変化させることを含んでよい。この接続性の変化は、構造の大きな変形を伴う必要がないため、「構造は変形できる」と言い表す代わりに、「構造は再構成し得る」と言い表す。活性化要素間の接続性の変化の例は、以下において、ハニカム構造を説明する箇所で提示する(例えば、図4)。ハニカムは、相対的に硬質である複数の側面の柔軟な結合部を備えた、相互接続された運動学的機構の配列を含む。活性化状態ではない時、機構は、自由に移動する。しかしながら、一実施形態において、静電クランプは、外部負荷に応じた変形が不可能な二つのトラス状構造へと機構を分割する新たな硬質側面要素を、形成する。これは、構造の全要素が存在するものの、活性化により要素を接続し、構造の機械的応答を大きく変更できることから、接続性の変化と呼ばれる。
【0030】
活性化要素と変形可能構造との間の接続性の変化の例については、以下に提示する(例えば、図1および図2)。この場合、活性化は、変形可能構造と硬質要素との間の接続を変化させる。一状態において、変形可能構造は、外部負荷に関連し、材料が低剛性であるように見せる。別の状態において、今度は、剛体要素が変形可能構造に接続され、変形可能構造は交互に外部負荷に関連するため、材料は堅固であるようにふるまう。
【0031】
メタ材料は、本明細書において、合成物とみなされ、容易に分離可能なサブシステムの集合ではなく、材料とする上で十分に均質である。ある意味において、一組の活性化要素は、集合的に、合成物内の一つの材料を形成しており、メタ材料は、合成物内の一材料を外的に制御可能な複合材料と考えられる。一部の合成物は、機械的特性を調整するために能動的に変更可能な「メソスケール」構造を含む。「メソスケール」は、本明細書において、分子スケールより大きいが、用途において対象となる巨視的スケールより小さなものと定義される。一部の例において、メソスケールの特徴は、非常に小さく、微細加工手法により製造可能である。別の例では、大きくなる可能性がある(インチ等)。メソスケールのメタ材料は、メタ材料全体の重要な特徴サイズ(全体の厚さ、長さ、または変形の量等)と比較して活性化要素が小さくなるようにサイズを定める。
【0032】
本発明の一利点は、スケール不変となることである。例えば、硬質活性化要素が追従構造に結合される平面的態様は、広範なサイズで実施し得る。一実施形態において、活性化要素は、大きく、数インチの範囲となる。別の実施形態において、活性化要素は、微細であり、人間の目では容易に見えない。そのため、本明細書で説明する幾つかの実施形態の原理および構成要素は、活性化要素および変形可能構造のサイズに関係なく機能する。本明細書で説明する多くのメタ材料は、ミクロ(1mm未満)レベルおよびマクロ(1mm超)レベルの両方で実施し得る。
【0033】
本発明のメタ材料で動的に変更し得る機械的特性は、剛性、減衰、硬質性、靭性、復元力、および弾性係数を含む。その他の機械的特性および全体的形状を制御してもよく、幾つかについては以下で説明する。
【0034】
個々の材料(コンクリートおよびスチール)が個々の望ましい特性(圧縮強さおよび引っ張り強さ)のために選択される既存の合成物(例えば、補強コンクリート)と同様に、メタ材料の機械的特性も、設計および製造中に調整および選択してよい。しかしながら、本発明は、材料選択に別の自由度を提供するものであり、メタ材料に使用される原料は、使用中に機械的特性の変化を動的に発生させる能力に応じて、設計および製造中に選択してもよい。したがって、メタ材料により、設計者は、静的および/または動的性能に基づいて、材料成分を選択できる。設計者は、更に、動的構造に基づいて、メタ材料を調整し得る。これにより、適切な能動的または内在的材料と、低エネルギで作動するもの等、適切な活性化機構とを自由に選択できる。次に、メソスケール構造の設計では、材料の選択と、活性化要素の選択および設計と、変形可能構造(例えば、形状および接続性)の設計とを、静的および動的性能の両方を評価して行う。この設計の柔軟性により、剛性等、対象となる制御可能な機械的特性について、メタ材料を広範囲に渡って変化させることができる。
【0035】
一部の設計において、メタ材料の機械的特性は、a)一つ以上の活性化要素の活性化、およびその機械的特性への個別の影響あるいは組み合わせによる影響と、b)新たな形状および結果的な剛性といった、機械的特性を変化させる変形可能構造の異なる状態の獲得と、c)aおよびbの組み合わせと、により変化し得る。
【0036】
本明細書で説明するメタ材料は、任意の数の個別活性化要素を含んでよい。約1ないし約1000個の活性化要素は、多くの設計において適切なものとなる。1000個を超える活性化要素を使用してもよい。実際に、一部のメタ材料は、数千個の個別にパターン化された活性化要素を追従物質上に含み得る。一部のメタ材料は、約10ないし約100個の活性化要素を含み得る。
【0037】
活性化要素は、変形可能構造に機械的に結合される。一般に、結合は、直接的または間接的な結合、取り付け等を指す。間接的な結合は、変形可能構造に取り付けた、あるいはその他の形で結合した、中間物または構造に対する活性化要素の取り付けを含んでよい。取り付けは、接着剤等の化学結合、機械的な締結、あるいは取り付ける二物体間での相対的な移動を防止する、その他の任意の適切な手法を含んでよい。当業者は、二物体を機械的に結合する様々な手法と、特定の材料に適した手法とを認知する。例えば、適切な接着剤は、当業者が理解するように、接合される二材料に応じて変化する。
【0038】
外的制御は、柔軟に達成し得る。一部の実施形態では、電気制御、磁気制御、あるいは、各活性化要素の活性化機構および動作可能性に従ったその他の手法を利用する。以下、多数の例を更に詳細に説明する。一実施形態において、変形可能構造および活性化要素の機械的接続性は、剛性メタ材料全体の機械的特性を変化させるために、外的に制御される。外的制御は、少量のエネルギを使用して、構造の特性に大きな変化を起こし得る。したがって、本発明では、成分材料の形状、接続性、または構造における低エネルギの小さな変化により、メタ材料の機械的特性における大きな変化を生成できる。本発明の一部の実施形態では、剛性等の幾何的特性の方向制御が可能である。多くの場合、一個以上の共通柔軟電極(図2Gないし図2J)により例示されるように、外的制御によって、質量または複雑性をほとんど追加されない。
【0039】
例示的なメタ材料
図1Aは、本発明の一実施形態による、メタ材料10の一部を例示している。メタ材料10は、変形可能構造12と、一組の活性化要素14とを含む。この場合、変形可能構造12は、柔軟基材を含む。図1Bは、活性化要素14を非活性化したとき、横方向16に伸張された柔軟基材12およびメタ材料10を例示している。メタ材料は、物体、システム、および成分として説明されるが、こうした物体、システム、および成分に関連する活動を実施する方法を本発明が含むことは、当業者には理解されよう。
【0040】
メタ材料10は、柔軟基材12に結合された一組の硬質活性化要素14を含む。各活性化要素14は、硬質成分19と、電極18とを含む。硬質成分19の取り付け部19aは、変形可能構造12と機械的に結合する。この例において、部分19aは、例えば、適切な接着剤を使用して、柔軟基材12に直接取り付ける。その他の直接および間接結合の形態を使用してもよい。各硬質成分の非結合または「自由」部19bは、柔軟基材12に直接取り付けておらず、電極18が配置されている。特定の実施形態において、電極18は、硬質成分19の表面に薄層として配置される。例えば、電極18は、薄いポリイミドシート19上に配置された金属スパッタリング層を含んでよい。簡潔性および理解のため、活性化要素14を二個のみ図示しているが、メタ材料10は、変形可能構造12の上面において、任意の平面方向で追加の活性化要素14を含んでよい。
【0041】
活性化要素14は、二つの状態、即ち、a)自由部19bが別の活性要素14に結合しない非活性状態と、b)自由部分19bが別の活性化要素14に対して静電気により(あるいは、電磁クランプ等の他の活性化手段により)クランプされる活性状態とを含む。静電気の場合、クランプを発生させるために、各隣接要素14の各電極18の電圧は、異なる必要がある。図1Aのメタ材料は、任意の方向に延ばしてよく、三個以上の活性化要素14を含んでよい。この場合、任意の二個の隣接する活性化要素の電圧が異なる必要がある。この差は、通常、一要素を印加電圧とし、他方を相対的な接地電位または反対極性の電圧にすることで達成される。
【0042】
メタ材料10は、このように、活性化機構として静電クランプを利用する。静電クランプは、絶縁体または誘電体全体で電場を使用して、ある材料を別の材料に付着させる。この場合、絶縁体は、各活性化要素14の硬質成分19を含む。静電クランプ電圧は、電極18と、電極18に電気的に連絡する外部制御電子機器(図示なし)とを介して印加される。静電クランプ電圧は、活性化要素14aの自由部19bを、自由部19bに重複する別の活性化要素14bの取り付け部19aに対して一時的に固定する。
【0043】
したがって、活性化要素14に静電クランプ電圧が存在しない場合、活性化要素14の自由部19bは、お互いと柔軟基材12とに対して自由に平行移動できる。この状態では、柔軟基材12と、メタ材料10とは、柔軟基材12の機械的特性に従って屈曲または伸張できる。
【0044】
しかしながら、静電クランプ電圧が印加されると、活性化要素14は、互いにクランプされる。この活性化は、二個の活性化要素14間の相対的移動を妨げ、メタ材料10の機械的特性を変化させる。例えば、図1Aに示した位置で二個の活性化要素14が共に静電クランプされる間、メタ材料10の剛性は、各硬質成分19の剛性に従って増加する。以下で更に詳細に説明するように、靭性、復元力、剪断強度等、剛性以外の機械的特性も同様に変化し得る。二個の硬質成分19および活性化要素14の接合は、静電クランプ電圧が印加される限り、静電気引力が伸張力を保持できなくなる点まで継続する。適切な設計により、この平面方向のクランプ力(主として表面に垂直に及ぼされる静電力による摩擦力)は、スケール材料の降伏強度と同様の大きさにすることができる。
【0045】
方向16に沿ったメタ材料10の剛性は、これにより、活性化要素14が全く活性化されず、メタ材料10が実質的に柔軟基材12の機械的特性となる時の最小剛性から、隣接する相手とのクランプにより全ての活性化要素14が活性化された時の最大剛性まで変化する。したがって、活性化要素14が全く活性化されない時、メタ材料は、図1Bに示したように、基材12の柔軟性に従って横方向16に伸張し得る。しかしながら、活性化要素14の係合は、メタ材料10の剛性を高め、メタ材料に加わる任意の外力に応じて、現在の位置でロックし得る。メタ材料10の最大剛性は、引張力16が重複活性化要素14間の静電クランプ力に打ち勝つのに十分な大きさではない場合、各硬質成分19において使用された材料の剛性に等しくなる。
【0046】
一部のメタ材料および活性化機構では、機械化特性の調整式制御が可能となる。減衰について考える。この場合、メタ材料10の減衰は、最小および最大の極値間で変化し得る。一般に、各活性化要素14は、a)付与された静電クランプの強度と、b)静電クランプの表面積の量と、に従って、外部の偏差に対する制御可能な量の摩擦抵抗(減衰)を提供する。こうした両方の影響は、クランプした二要素間の摩擦を変化させる。こうした要素は、材料を平面において伸張させた時、互いに対して摺動する。この摩擦は、減衰を引き起こす。静電クランプ電圧を変化させることで、二個の活性化要素14間の静電結合の強度が変化する。このように、制御電子機器を使用して、一個以上の活性化要素14に提供される静電クランプ電圧を増減することで、メタ材料10が提供する減衰を(例えば、閉ループ制御に応じて使用中に)動的に変化させ得る。例えば、印加電圧は、各活性化要素14が提供する減衰が半分になるように低減し得る。その他の電圧の割合および結果的な強度レベルを、必要に応じて使用してよい。加えて、表面積の量を動的に変化させて、メタ材料10の減衰の変化に影響を与えてもよい。
【0047】
一実施形態において、メタ材料10は、活性化要素14のサブセットに対して分離可能な制御を含む。特定の実施形態において、メタ材料10は、メタ材料10内の各活性化要素14に対する独立したアドレッシングおよび制御を含む。メタ材料10が数十、数百、または数千の個別の活性化要素14である実施形態において、メタ材料の総剛性は、所望の剛性を達成するのに適した数の活性化要素14を活性化することで、調整可能に制御し得る。例えば、クランプした要素の全長が柔軟基材12の全長の半分となるように一定数の要素を活性化した場合、材料は、この測定長に沿った方向で基材単独の二倍の剛性を有する。調整可能な制御の精度は、活性化要素14の数と、電気的アドレッシングの粒度とに応じて変化する。
【0048】
メタ材料10が提供する最小および最大剛性は、従来の複合材料の設計と同様に、使用前、設計および製造中に調整し得る。例えば、各硬質成分19の弾性特性は、設計中に選択し得るものであり、メタ材料10が提供する最大剛性に影響する。活性化要素14間で重複する表面積も、剛性を制御し得る所望の最大強度を提供するために、一定の用途に向けて事前に決定し得る。加えて、柔軟基材12は、所望の最小剛性を提供するように設計および選択し得る。
【0049】
メタ材料10および20は、簡略化した設計を例示している。その他の設計が可能である。例えば、静電クランプは、非平面トポロジにできる。この例は、管の内側に取り付けた繊維またはリボンである。繊維またはリボンと管とは、それぞれ誘電絶縁層により絶縁された電極を有する。活性化されていない時、繊維またはリボンは、管の内側を摺動できる。活性化された時、繊維またはリボンと管との間の静電クランプは、摺動を防止するか、あるいは(必要に応じて)減衰を付加して摺動させる。代替として、各繊維またはリボンは、絶縁体に完全に覆われた単一の導体電極を含むことができる。この場合、活性化は、互いにクランプするように、隣接繊維を反対極性で帯電させることで発生させる。こうした管状構造は、表面上、変形可能または再構成可能な構造の体積全体に配列してよい。単一の方向に並べ、その方向でのみ剛性または減衰を制御してよく、あるいは、幾つかの方向に並べてもよい。繊維は、材料の長さ全体に延びてよく、あるいは、材料の途中までであってもよい。メタ材料は、組み合わせて単一の構造にした、本明細書記載の多数の実施形態を含み得る。例えば、図1Aのメタ材料を幾つか積み重ねることで、より厚いメタ材料を形成できる。この場合には、スペーサを層間に配置して、硬質成分14が柔軟基材12との接触を強制されない状態を確保し得る。スペーサは、活性化要素の運動に干渉しないように、活性化要素の取り付け点に配置できる。こうした積層からなるメタ材料の例は、図8Cにおいて以下に提示する。
【0050】
メタ材料が積層を含む場合には、結果的な機械的特性が各層の剛性または減衰の組み合わせとなるように、層を異なる形で活性化できる。例えば、一部の層では減衰の制御に重点を置き、他の層では、剛性の制御に重点を置いてよい。別の例では、結果的に生じる剛性が各層の剛性の組み合わせとなるように、一部の層を他の層よりも高い剛性にしてよい。各層を同一の形状にする必要はなく、あるいは同一の材料を使用する必要もないことに留意されたい。例えば、減衰制御を提供するために一部の層を設計し、他の層は、(活性化要素を多数重複させる等して)剛性制御のために、あるいはクランプ状態でより高い強度を提供するのに優れた設計にしてもよい。別の例において、層の一部は、ある範囲の剛性を提供するのに最適な設計とし、他の層は、(基材となる変形可能層、または活性化要素のサイズおよび空間密度を選択する等して)別の範囲の剛性を提供するのに最適な設計としてもよい。指定の剛性範囲で最善に機能するように設計された層の組み合わせを活性化することで、剛性を広範囲に渡って、しかも非常に細かい度合いで制御できる。
【0051】
図1Cは、本発明20の別の実施形態による、メタ材料20の一部を例示している。メタ材料20は、変形可能構造22と、一組の活性化要素24とを含む。この場合、変形可能構造22は、活性化要素24が全く活性化されないとき、メタ材料20の機械的特性を提供するように選択された厚さおよび弾性特性を有する柔軟層を含む。活性化要素24aおよび24bは、柔軟層22の上面に配置され、活性化要素24cは、柔軟層22の反対側の表面に配置される。
【0052】
メタ材料10と同様に、メタ材料20は、活性化機構として静電クランプに依存し、一組の硬質活性化要素24を含む。表面の静電クランプ活性化要素は、ここでは「スケール」とも呼ばれる。スケールは、変形可能構造の表面上で被覆を形成する(対象の変形および用途に比較して)小さな硬質要素を含む。スケールは、制御可能な外皮のような大きな構造を集合的に形成する、類似した部品を含んでよい。一実施形態において、スケール24は、金属であり、硬質成分および電極の両方の役割を果たす。メタ材料20は、これにより、追従的な非活性状態と硬質な活性化状態との間で、外部から電気的に制御し得る。非活性化状態において、メタ材料20は、実質的には、柔軟層22の特性となる。活性化状態において、メタ材料は、実質的に、クランプ強度により限定された、硬質活性化要素14の特性となる。
【0053】
メタ材料20は、主に、硬質活性化要素24が変形可能構造22の反対側表面にある点でメタ材料10と異なる。この場合、電場は、誘電層および変形可能構造の二つの役割を果たす柔軟層22に渡って確立される。活性化要素14は柔軟層22の反対側にあるが、クランプ電圧を印加した時、活性化要素14は、硬質材料の連続した連なりを形成する(垂直に重複して、静電クランプを可能にする)。
【0054】
特定の実施形態において、静電制御可能なメタ材料20は、エラストマ柔軟層22上での金属硬質要素の静電クランプを利用する。この場合、各金属要素は、硬質要素および電極の両方の役割を果たす。金属スケール電極がエラストマを静電クランプする時、メタ材料20は、金属に類似する剛性および強度を有する。金属スケールを非活性化した時、メタ材料は、伸張可能なエラストマに類似する剛性を有する。中間の強度および剛性は、印加するクランプ電圧を変化させること、あるいは静電クランプさせる金属スケールの数を変更することで、それぞれ達成できる。
【0055】
別の特定の実施形態において、各活性化要素24は、クランプ強度を高める粗さまたははさみ部を含んでよい。図3Aは、本明細書記載の多数の実施形態での使用に適した、こうした活性化要素の例を示している。軽度のクランプは、以前の実施形態のメタ材料10について上述したように、摩擦のある活性化要素24の摺動を可能にする。これにより、以下で更に詳細に説明するように、メタ材料20を使用した減衰制御が可能となる。
【0056】
図2Aは、本発明の特定の実施形態によるメタ材料40を例示している。図2Bは、本発明の別の特定の実施形態によるメタ材料50を例示している。
【0057】
各活性化要素44は、取り付け点45において、柔軟層42に取り付けられる。静電クランプ電圧を各活性化要素44に印加することで、更に、各要素の硬質部分は、隣接する活性化要素44に付着する。集合的には、クランプ電圧をメタ材料の全ての活性化要素44に印加した時、活性化要素44は、メタ材料40の機械的特性を規制する連続的な硬質層を形成する。
【0058】
次に図2Bを参照すると、メタ材料50の各活性化要素54は、絶縁層56を含む。絶縁層56は、a)ある活性化要素54の電極と、b)柔軟層52の同面上の別の重複する活性化要素54と、の間に存在するように、硬質成分上に配置される。絶縁層56
は、二個の重複する活性化要素54間での静電クランプを可能にする。この設計において、柔軟層52は、機械的な基材のみとして機能し、絶縁層56は、活性化要素54間の静電クランプのために使用される。図2Aの柔軟層42の設計は、使用される材料の数の観点からすれば単純だが、柔軟層42は、電気的役割および機械的役割の両方を果たすため、柔軟層42の材料の要件は、より厳しくなる。
【0059】
図2Aのメタ材料40は、活性化要素44に静電クランプを提供するために柔軟層42に渡って電場が確立される点において、上述のメタ材料20と同様である。例えば、上面の各活性化要素42に正の電圧を印加し、下面の各活性化要素に負の電圧を印加してよい。しかしながら、図2Bのメタ材料50では、柔軟層52の一方の表面で隣接する活性化要素54で印加電圧の極性を交互に変えて、その表面上で各絶縁層56について重複する活性化要素54間の電位差を形成する。
【0060】
図2Aのものに類似する別の実施形態において、活性化要素は、絶縁層としても機能する硬質層で構成され、この絶縁層の上に、電極として機能する導体層を含む。このメタ材料の特定の実施形態において、柔軟層は、厚さ0.01ないし0.05インチのDow Corning HS IV(ミシガン州ミッドランドのDow Corning Corp.)等のシリコンポリマである。絶縁硬質層は、厚さ0.00025ないし0.002インチのKapton(DuPont Corporation, Route 23 South and DuPont Road Circleville, OH 43113)等のポリイミドである。導体層は、スパッタリングまたは他の手段によりポリイミドの上に堆積させる、金の金属コーティングである。500Vないし4000VのAC電圧をスケールに印加する。別の特定の実施形態において、導体層は、厚さ約0.005インチのStockwell Rubber Co.(ペンシルバニア州フィラデルフィア)のRTV 60−CON等の炭素含浸シリコンであり、絶縁層は、Deerfield Polyurethane Inc.(P.O.Box 186, South Deerfield, MA 01373)のPT6100S等の厚さ0.001インチのポリウレタンである。この実施形態において、硬質層は、厚さ0.002インチのKaptonポリイミドである。硬質層は、絶縁層の表面の反対側にある電極の表面に、炭素含浸シリコン電極を接着剤として使用して取り付けられる。
【0061】
メタ材料40および50は、それぞれ、平面的な、および/または面外変形が可能である。平面変形は、例えば、直線的または平面的な弾性または可塑性の伸張を含んでよい。面外変形は、屈曲、捻れ、剪断、湾入、その他を含んでよい。変形は、更に、平面および面外変形の組み合わせを含んでもよい。図2Cは、面外変形したメタ材料10、20、40、50のいずれかの斜視図を例示している。こうした位置を達成した時(例えば、電気活性ポリマを使用、図2F参照)、活性化要素を活性化して、メタ材料を現在の位置でロックし得る。以下で更に詳細に説明するように、追従的である間にメタ材料を位置決めして新形状とし、その後、所望の位置でメタ材料をロックする能力は、モーフィングおよびその他の可変剛性または形状制御用途でのメタ材料の使用に役立つ。
【0062】
本発明では、その他の静電クランプ設計も考えられる。図2Dおよび図2Eは、本発明の別の実施形態によるメタ材料60を例示する。メタ材料60は、変形可能構造64の単一の側面に配置された活性化要素62を含む。この場合、変形可能構造64は、柔軟電極68が配置された柔軟層を含む。
【0063】
各活性化要素62は、非伸張成分65と、絶縁層66とを含む。非伸張成分65は、平面剛性を提供し、各活性化要素にとってのアドレス可能な電極としての役割も果たす。絶縁層66は、その厚さに渡る静電クランプを可能にする。代替実施形態において、絶縁層66は、同じく非伸張成分65にしてよく、電極は、この要素の底面に(柔軟層から離して)付与したメッキにできる。取り付け点63は、各活性化要素62と柔軟基材64との間の接続を形成する。
【0064】
柔軟電極68は、活性化要素62と同じ柔軟基材64の側面に配置される。一実施形態において、柔軟電極68は、基材64の表面に埋め込まれる。別の実施形態において、柔軟電極68は、基材64の表面に選択的な領域パターンで付与されたメッキを含む(図2F)。例えば、柔軟電極は、ステンシルによりパターン形成した炭素含浸ポリマを含んでよい。柔軟電極68は、メタ材料60に剛性をほとんど増加させず、柔軟層64の非活性時の拡張および収縮に実質的な影響を与えない。加えて、炭素含浸ポリマは、メタ材料60の厚さをほとんど増加させない。
【0065】
各活性化要素62は、屈曲可能だが伸張不可能である(非拡張性または非伸長性)。例えば、薄く屈曲可能な剛構成65は、アルミニウムの薄層(例えば、厚さがアルミ箔と同様)を含んでよく、一方、絶縁層66は、ポリイミドの薄い屈曲可能な層を含んでよい。集合的に、活性化要素62は、金属電極成分65と電極68との間の静電クランプ力および電圧差に応答して屈曲し得る(低い曲げ係数)。活性化後、各屈曲可能要素62は、加わった静電クランプ力に対応する表面トポロジを形成する。
【0066】
集合的に、全活性化要素がクランプされた時、メタ材料60は、活性化要素62の非伸張性の剛性により、平面剛性を有する。ここでも、各活性化要素62と柔軟電極68との間での個別のアドレッシングにより、メタ材料60の減衰の粒状および可変制御が可能となる。したがって、一個以上の活性化要素62に、低い静電クランプ電圧を加えてよい。剛性は、活性化要素62の特定の隣接ペアのみに選択的にアドレッシングすることで制御し得る。図示していないが、メタ材料60が柔軟基材64の両側に活性化要素62を含んでもよいことは理解されよう。一実施形態では、二層以上の活性化要素を使用して、面外変形を効果的に制御してよい。多層は、変形可能基材の両側に活性化要素を有すること、あるいは、(上記のように)活性化要素の単一の層をそれぞれ備えた変形可能構造の多数の層を積み重ねることで達成できる。
【0067】
これまで、実施形態では、単一の方向の規則的パターンにおいて、活性化要素の重複を示してきた。即ち、スケールは、列を成して配置される。こうした配置は、(材料の端部を引っ張る等)外部負荷が一方向で加わる材料に適切である。メタ材料は、こうした単純な配置に限定されず、その他の配置が考えられる。図8Aおよび図8Bは、実質的に平坦な面154で重複する活性化要素152を有し、全ての平面方向で要素152が重複するようになるメタ材料150の側面図および斜視図を示している。こうしたスケール152の配置により、材料150は、必要に応じて、材料150に加わる全平面方向の負荷と、曲げモーメントとに応答することが可能となる。こうした重複活性化要素152は、平面154の片側または両側に配置できる。
【0068】
こうしたメタ材料150は、当業者に公知の多数の手段で製造し得る。変形可能構造154の変形を利用して、重複スケール152を作成することが可能である。例えば、変形可能構造154を、最初に両方の平面方向で引き延ばすことができる。柔軟な非伸長層を、この変形可能層の上に配置し、取り付け点156において接着する。次に、レーザ切断またはフォトリソグラフィ手段を使用して、この層を切断またはエッチングし、(正方形または別の適切な形状等の)個別のスケール152とする。変形可能層154を緩め、伸長の少ない状態として、スケール152を全方向で重複させる。
【0069】
メタ材料150の幾つかの層を積み重ねて、多層メタ材料を形成できる。図8Cは、こうした層をどのように積み重ね得るかの一例を示す。上記のように、隣接するメタ材料層は、個別の活性化要素152の少なくとも一つ以上の取り付け点に位置するスペーサ158により相互接続してよい。
【0070】
図2Gおよび図2Hは、本発明の別の実施形態によるメタ材料110を例示している。メタ材料110は、活性化要素112と、柔軟基材114と、電極116と、硬質要素118とを含む。
【0071】
活性化要素112は、屈曲可能だが、実質的に伸長可能ではない。例えば、要素112は、金属(例えば、スズ箔の厚さ、あるいは、層が静電クランプ力に応答して屈曲する限りは、別の厚さと同様)、または別の非導体材料(例えば、ポリイミド)の屈曲可能な薄層を含んでよい。要素112は、活性化により、柔軟基材114の上面に接触する。この時点で、材料の平面剛性により、各活性化要素の平面の撓みが制御される。全ての剛体または硬質材料と同様に、十分に大きな力は小さな弾性撓みをもたらすが、本明細書において、非伸長性とは、メタ材料110が経験すると予測される力による撓みに抵抗する上で十分な剛性を有すという概念を示す。
【0072】
柔軟電極116は、各活性化要素112に静電クランプを提供する。例えば、共通電極116を介して電圧を印加し、各活性化要素112を同時に開始させ得る。代替として、活性化要素112に含まれる電極(例えば、導体活性化要素、あるいは非導体活性化材料上にパターン形成された電極)を介して、活性化要素112に個別にアドレスし、静電クランプ電圧を印加する場合、柔軟電極116を接地として使用してもよい。いずれの場合でも、柔軟基材114は、電極116と各活性化要素112との間の絶縁層として機能する。
【0073】
柔軟基材114に渡る静電クランプは、各屈曲可能活性化要素112を柔軟基材114の上面に引き付け、重複する(非伸長性)活性化要素112と硬質要素118とを接続する。累積的には、メタ材料110は活性化して、これまでに提示したメタ材料設計よりも少ない活性化要素112により、剛体平面材料を形成する。これは、メタ材料110の複雑性を低減すると共に、必ずしも他の活性化要素112と重複する必要のない活性化要素112を提供する。
【0074】
図2Iおよび図2Jは、本発明の別の実施形態によるメタ材料130を例示する。メタ材料130は、屈曲可能だが伸長不可能な活性化要素131と、階層変形可能構造132とを含む。
【0075】
変形可能構造132は、二枚の柔軟層136間に配置された埋設柔軟電極134を含む。この場合、電極134は、それぞれの柔軟層136を介して、下層および上層両方の活性化要素131のために機能する。
【0076】
各活性化要素の絶対的および相対的サイズは、設計パラメータであり、変更してよい。一実施形態において、静電クランプ活性化要素は、要素間の間隔と相対的にサイズを定め、柔軟層が最大の変形を受けた場合でも静電クランプが可能となるように、活性化要素間に表面積の十分な重複が存在する状態を確保する。絶対的なサイズの小さな活性化要素では、メタ材料の変形において、より複雑なバリエーションが可能となる。一実施形態において、活性化要素が短い場合には、各活性化要素の厚さを減らし、クランプおよび非クランプ中の屈曲を可能にする。
【0077】
平坦な柔軟層上のスケール活性化要素は、幅および配向性も変化させてよい。両平面方向での拡張、および剪断歪みに対応する一実施形態において、活性化要素は、比較的低い縦横比(長さ対幅)で実施される。約1ないし約5の縦横比は、多くの実施形態に適している。機械的特性の多次元平面制御を維持するために、活性化要素は、両平面方向で重複してよい。その他の縦横比も利用してよい。別の実施形態では、狭小な活性化要素(高縦横比)を利用する。約5を上回る縦横比は、多くの実施形態に適している。スケールの厚さは、通常、長さまたは幅より遙かに小さい。一実施形態において、厚さは、10マイクロメートルないし1000マイクロメートルである。
【0078】
静電クランプが個別の活性化要素間の摺動を十分に防止するとき、摺動を防止するのに十分な重複、あるいは電圧が引き起こす静電クランプが、クランプ領域に存在するならば、メタ材料の剛性および強度は、実質的に要素の配向性に依存しない。しかしながら、本発明は、変形可能構造上の活性化要素の任意の特定の配向性、レイアウト、または分布には限定されない。一実施形態において、活性化要素は、垂直または平行な横列および縦列に整合される。活性化要素の分布は、それほど規則的にする必要はない。別の実施形態において、活性化要素は、放射状、扇状、またはその他の非対称表面配置を形成する。魚の鱗と鳥の羽とは、変形可能構造上の活性化要素の完全に規則的な編成を含まない、二種類の天然の類似物である。
【0079】
一部の例において、大きな伸張と直交する方向での比較的薄い柔軟層のポアソン収縮は、柔軟層の表面に配置された活性化層に影響を与え得る。こうした直交収縮の問題を防ぐために、柔軟層を含むメタ材料は、収縮方向での活性化要素の屈曲、座屈、または潰れを防止する機構を含んでもよい。例えば、柔軟層は、表面上に一つ以上のスリットまたは凹部を伸張方向で含んでよい。材料を変形させると、スリットは大きく開く。局所的には、ポアソン収縮は変化していないが、横方向での変形の合計量は、層の縁部において低減される。この横運動の低減は、座屈の防止を助け、活性化要素において重複の最大量が維持された状態を確保する。
【0080】
ポアソン収縮の影響が本質的に少ない、別の変形可能構造および柔軟層を使用できる。これには、いわゆるゼロポアソンまたはオーセチック発泡体を含む柔軟発泡体が含まれる
【0081】
ここまで本発明を比較的単純なメタ材料設計について説明してきたが、本発明は、一つ以上の機械的特性の動的制御を可能にする広範な設計、形状、および構造を包含する。実際、多くのメタ材料設計の相対的な平易さにより、他の更に複雑な無数の設計代替案への拡張が可能となる。例えば、これまで説明した実施形態は、平坦な外皮に焦点を当てていた。本発明は、こうした平坦なトポロジに限定されない。
【0082】
図2Kおよび図2Lは、本発明の一実施形態による、管202の剛性を変化させる円筒型トポロジに配置されたメタ材料200を例示している。管202は、繊維、ロッド、またはその他の円筒面または物体を表し得る。一実施形態において、メタ材料200は、ロッドの外側円筒面の周囲の「外皮」として構成される。別の実施形態において、変形可能構造は、ロッドの主材料を形成し、活性化要素が外皮として機能する。
【0083】
メタ材料200は、薄く、屈曲可能だが、非伸長性である活性化要素206を含む。活性化要素206のクランプは、寸法を半径方向で収縮させ、メタ材料200の機械的特性を変化させる。これにより、メタ材料200には可変剛性および減衰特性が与えられる。
【0084】
メタ材料200は、本発明をどのような形状(円筒形)にし得るかの一例を示している。本明細書で説明するメタ材料は、活性化要素のサイズが表面の特徴のサイズより小さい(通常、大幅に小さい)限り、任意の複雑な表面形状に一致させ得る。
【0085】
メタ材料200は、比較的単純な変形可能構造(管または実質的に直線のロッド)を提示している。更に複雑な変形可能構造が可能である。一実施形態において、メタ材料200は、コイルバネを形成する。この場合、本発明により、バネの機械的特性の動的制御が可能となる。
【0086】
別の実施形態において、管202は、繊維性材料として機能し、織物または類似するマクロ構造として組み立てられる。図11Aないし図11Bは、本発明の二実施形態によるメタ材料織物210の簡略図を例示している。メタ材料織物210は、編まれた変形可能構造211と、繊維(200等)またはリボン212とを含む。この織物210は、円筒形に形成してよく(例えば、円筒体に配置する)、あるいは、平面の形態、または以前に説明した平坦な実施形態によく似た任意の表面形状において使用してもよい。この場合、各リボン212は、平面の活性化要素を形成する。
【0087】
織物の各繊維212またはリボン212は、独立して制御し、織物210の全体的性能に影響を与え得る。一実施形態において、繊維212は、活性化した時、活性化要素を含めた繊維212の移動を防止し、繊維212間の移動を低減する、静電クランプ活性化要素を含む。これは、事実上、織物210を硬化させる。このクランプは、幾つかの方法で達成し得る。各繊維またはリボン212は、絶縁層間に挟まれた導体層(電極)を含んでよい。各方向の繊維またはリボン212内の電極を異なる電圧に帯電させた場合、互いに交差する点において、こうした繊維またはリボン間の静電クランプが発生する。使用中には、ある程度の繊維212間の摺動を可能にして、減衰を提供してもよい。こうした動的に可変な機械的特性を有する織物210は、例えば、弾道学およびその他の高エネルギ衝撃用途で利用される。こうした用途において、破壊歪みおよび弾性係数を動的に調整する能力は、以下で更に詳細に説明するように、織物により吸収し得るエネルギ量を劇的に増加させる。
【0088】
図11Bのメタ材料215は、リボン対リボンのクランプに依存せず、織物層210の各側面に位置する、柔軟だが非伸長性である二つの層214および216を使用する。こうした軟質層214および216のそれぞれは、外面に電極を含む。二つの電極に渡って電圧を印加すると、二層214および216は共に静電的にクランプし、織物層210は、二つの軟質層214および216間に挟まれ、これにより変形を防止される。別のバリエーションにおいて、織物層210のリボン212は、活性化時に電極化外層のいずれかに取り付けられる電極を含み、これにより織物層の運動を制限する。
【0089】
これまで、変形可能構造は相対的に受動的だったが、上記の通り、変形可能構造は、活性材料にもできる。図2Fは、本発明の別の実施形態による、二重制御可能なメタ材料70を例示している。メタ材料70は、二つの活性成分、即ち、静電クランプ活性化要素62と、変形可能構造の役割を果たす電気活性ポリマアクチュエータ74とを含む。
【0090】
活性化要素62は、絶縁層66と、薄く屈曲可能な剛構成65とを含む。活性化要素は、一方の端部で電気活性ポリマ75の表面に取り付けられる。各活性化要素62は、電気活性ポリマアクチュエータ74に結合され、メタ材料60について上述したものと同様に動作する。電極68は、電気活性ポリマアクチュエータ74の上面に配置され、活性化要素62との静電クランプを提供する。
【0091】
電気活性ポリマアクチュエータ74は、誘電エラストマ等の追従電気活性ポリマ75を含む。多数の柔軟電極77は、電気活性ポリマ75の第一の表面に配置され、一方、単一の共通柔軟電極78は、電気活性ポリマ75の反対側表面に配置される。絶縁層79は、電気活性ポリマアクチュエータ74のための柔軟電極77と電極68との間に配置される。
【0092】
電極77および電極78の一つ以上を使用した作動により、電気活性ポリマ75の平面的または直線的な拡大(および厚さの僅かな減少)が発生する。電気活性ポリマトランスデューサは、電気入力に応答した結果的な機械的変形に影響を与える、広範な形状および設計において構成し得る。例えば、電気活性ポリマアクチュエータは、所望の撓みを達成するために、シート、ロール、およびカスタマイズした形状で構成してよい。剛体化部材とアクチュエータフレームとは、機械的出力のカスタマイズに使用してよい。個別のシートを積み重ねて多数の層を形成してもよい。更に複雑な形状変化を可能にするために、単一のシートの表面に、幾つかの異なる電極パターンを作成してもよい。電気活性ポリマアクチュエータおよびデバイスの作動についての更なる説明は、同一発明者の特許第6,781,284号において説明されており、これは参照により全体を本明細書にあらゆる目的で組み込むものとする。多重電極モノリシックポリマの更なる説明は、同一発明者の特許第6,664,718号において説明されており、これも参照により全体を本明細書にあらゆる目的で組み込むものとする。
【0093】
集合的に、電気活性ポリマトランスデューサにより、メタ材料70の形状、変形、およびサイズの外的制御が可能となる。電気活性ポリマアクチュエータ74を使用して特定の形状または位置が取得された後、活性化要素72を作動させて、メタ材料70の現在の位置でロックしてよい。
【0094】
図3Aは、外部からの活性化をほとんどまたは全く加えずに、ロック状態または最大剛性状態を維持する能力を提供するメタ材料80の断面を例示している。メタ材料80は、変形可能構造84と、活性化要素86と、スペーサ88と、連結特徴部90(図3B)とを含む。
【0095】
変形可能構造84は、二つの柔軟層84aおよび84bと、二つの対向面85、即ち、第一の柔軟層84aの下面85aおよび第二の柔軟層84bの上層85bとを含む。活性化要素86aの第一にサブセットは、下層85aに配置され、活性化要素86bの第二のサブセットは、上層85bに配置される。
【0096】
スペーサ88は、(柔軟層と比較して)高剛性の材料を含み、層84aの下層85aと結合し、層84bの上層85bと結合する。スペーサ88は、例えば、接着剤を使用して、各面に取り付けてよい。機能的には、スペーサ88は、二層85を分離し、活性化要素86を変形可能構造の内面に配置可能とする空洞を提供する。スペーサ88は、完全な剛体にする必要はなく、軟質発泡体を含んでもよい。各層84の活性化要素のサブセットがクランプされる時、上層および下層84と、接続された活性化要素86とは、それぞれ高い平面剛性を形成し、スペーサ88は、高剛性層を分離する。この分離は、メタ材料80の曲げ剛性を増加させる。スペーサ88の形状および長さを調整することで、平面剛性から実質的に独立して最大曲げ剛性を調整できる。活性化要素の各組の剛性を制御することで、屈曲剛性を制御できる。
【0097】
メタ材料80では、更に、特定の位置を維持する活性化機構として機械的ロックを利用する。図3Bは、本発明によるメタ材料80の拡張部82を例示している。
【0098】
各活性化要素は、重複する活性化要素86の連結特徴部90と相互作用する連結特徴部90を含む。相互作用は、二個の隣接または重複する活性化要素86間の横方向の相対運動がメタ材料80の現在の剛性を乗り越える必要が生じるようなものとなる。この場合、活性化要素86aおよび86b間の横運動が生じる前に、各活性化要素86の係合特徴部90間の連結深度94を垂直方向で乗り越える必要がある。
【0099】
この場合、連結特徴部90は、活性化要素86の移動に直交する平面方向に整合された、平行な隆起部92を含む。本発明では、機械的なロックを達成するために他の形状を使用してもよい。例えば、隆起部は、遠端部を正方形にしてもよく、他の形状を含んでもよい。加えて、個々の特徴部は、(ページ奥へ向かって)平行および直線的でなくてもよく、波形、あるいは二つの平面方向で力を提供する他の平面構成を含んでもよい。これにより、機械的特徴部90がロックされた時、メタ材料80の多数の方向で平面剛性が提供される。
【0100】
このように、メタ材料80は、連結特徴部90を使用して、特定の位置でのロックを強化する。特定の実施形態において、この設計は、電気入力または静電クランプ無しで、メタ材料80が所望の位置でロックされるように、十分に剛体である層84を含む。この電圧オフのロックは、電力消費量を減少させ、より望ましいフェイルセーフ方式をメタ材料80に与えることができる。
【0101】
代替として、小さな電圧差(+/−V)を電極96に加え、メタ材料80を更に確実にロックするのを助ける。メタ材料80のロックを解除するには、Vをオフにして、第二の電圧V2を中央のエラストマ層97に印加してよい。この電圧V2は、Vよりも大きく、結果としてスケールの遊離端部を引き付ける。この引き付けにより、重複スケール間の接触が断たれ、外側の弾性基材は自由に変形可能となる。V2は、重複スケール間の接触を断つために振動させてもよい。
【0102】
静電クランプを利用する他の実施形態において、図2Aないし図2Jの軟質スケール等、電極および絶縁体活性化要素のクランプ可能な各ペアの誘電絶縁体の一つを、恒久的な静電帯電を維持する材料の薄いシートに置き換える。こうした材料は、ビニールその他のポリマを含み、市販されており、一時的な再使用できる看板等の様々な用途で使用される。この場合、シートは、相補的な電極および絶縁体要素に電圧が印加されないとき、クランプする。恒久帯電シートの電場を相殺する電場を形成する二つの電極に渡って電圧が印加されるとき、要素は、クランプを解除または低減する。恒久帯電を有する材料は周知である。この実施形態により、実質的に電気エネルギの入力無しで、最大剛性状態または固定位置を維持できる。
【0103】
メタ材料80は、基本的な柔軟層のメタ材料設計に、様々な特徴をどのように組み込めるかを示している。他の多くの設計強化が可能となる。例えば、追加のクランプ層により、一定の電圧に対するメタ材料の強度を更に増加させてよい。80の基本構造を積み重ね、平面および曲げ剛性を変更可能な更に厚い材料を製造できる。メタ材料の剛性の均一性を更に確保するために、それぞれの層の活性化要素を異なる角度で配置するのが望ましい場合もある。
【0104】
その他の連結またはラッチ手法を使用して、メタ材料の位置を維持してもよい。一実施形態では、機械的ラッチを使用して、活性化要素の分離を機械的に防止する。例えば、一方の硬質活性化要素は、第二の硬質活性化要素の雌ラッチと係合する雄ラッチを含んでよい。結合した機械的ラッチは、活性化要素を互いに相対的に移動させようとする任意の外力に抵抗する。活性化は、それぞれの活性化要素の係合ラッチをラッチ状態からラッチ解除状態へ移動させる任意の適切な活性化機構を含んでよい。
【0105】
メタ材料の活性化要素および変形可能構造のための材料選択は、メタ材料の全体的な機械的特性を強く決定する。一般に、変形可能構造、活性化要素、およびその成分のための材料選択は、メタ材料の設計により変化する。こうした材料は、当業者に理解されるように、用途における適合性の設計中に選択してよい。材料の選択に影響を与える性能関連要因には、機械的特性である強度、最大伸長、剛性、クリープ、引き裂き抵抗、トライボロジ(摩擦および摩耗)および疲労、表面粗度と、電気的特性である絶縁耐力および抵抗とが含まれる。一部の用途では、互いに接触する平滑な表面が、より密な表面間の接触を可能にすることで、より高いクランプ力を可能にし得る。別の用途では、上記のような機械的連結を可能にするために、粗い表面が望ましい場合がある。その他の性能関連要因が特定の用途に関係し、成分材料の選択に使用される場合もある。材料の選択に影響する追加的な要因には、動作温度範囲、吸湿性、熱伝達、電磁シグニチャが含まれる。例えば、材料は、所望の環境耐性、所望の熱伝導、および/または電磁シグニチャを提供するように選択してよい。弱導電性コーティングを有する合成またはプラスチック硬質活性化要素は、熱伝導および電磁シグニチャを変化させるために、金属の代わりに使用できる。材料は、特定の剛性または密度を提供するように選択してもよい。代替として、材料は、製造の複雑性またはコストのために選択してよい。
【0106】
上記の「スケール」タイプのメタ材料設計において、各活性化要素の硬質成分は、変形可能構造の剛性より大きな剛性を有する任意の材料を含んでよい。材料の例は、硬質ポリマと、導電性ゴムをスプレした硬質プラスチック板と、セラミック板および紙(フェルト)またはセラミック繊維で作成したその他の層と、セラミック発泡体と、金属発泡体と、炭素繊維複合材と、アルミニウム等の金属および剛体金属板と、薄い積層金属コーティングを有する硬質プラスチック電極と、様々な種類の導電繊維を含む軟質電極と、炭素積層板(例えば、飛行機の外皮として使用される)と含む。他の材料を使用してもよい。硬質成分は、導電コーティングで覆われた非伝導高剛性材料を含んでもよい。
【0107】
導電コーティングおよび層は、炭素含浸ポリマ、金属スプレ、またはスパッタリングコーティング、あるいは当業者に利用可能な他の任意の適切な導体等、任意の適切な電気担体を含んでよい。静電力は、通常、高電圧低電流で動作するため、導電層に非常に高い導電性は必要ない。実際、炭素繊維または他の炭素粒子の天然の導電性は、たとえ非伝導ポリママトリクスに混合されて減少したとしても、多くの場合において十分すぎるものとなる。
【0108】
変形可能構造に使用される材料は、特定の設計に応じて決まる。電気的性能に依存しない薄い柔軟層は、適切な柔軟性を有する任意の材料を含んでよい。材料の例は、ゴムと、柔軟性ポリマと、シリコンゴムと、天然ラテックスゴム等の多くのゴムと、ニトリルゴムと、ポリマ発泡体(上記のゼロポアソンおよびオーセチック発泡体を含む)と、局部領域を伸張する代わりに曲げることが可能となるようなパターン形成された軟質だが非伸長性のポリマと、金属またはポリマスプリングの配列と、金属メッシュと、弾性繊維を含めて形成されたもの等の伸張可能繊維とを含む。例えば、柔軟性の方向に対して横方向で、ポリマに無数のスリットを作成する。スリットは、スリットが追従方向で揃わないように、横方向に隣接するスリットの列をずらした「煉瓦状」のパターンで配列してよい。別の例は、頂点での屈曲によりポリマを曲げることが可能な図4Aの構造102のように、ポリマをハニカム構造にすることである。別の例は、蛇腹にすることが可能な横断褶曲を有するシート、(ポリマのように機能する)パターン化金属シートのように、ポリマシートを面外方向で変形する構造にすることである。電気的および機械的性能を共に提供するエラストマ基材は、様々な材料から選択できる。材料の例は、例えば、アクリル弾性体、シリコンゴム、ニトリルゴム、ポリビニレンジフルオライド(PVDF)、およびポリウレタン弾性体を含む。シリコンゴムは、良好な環境耐性、大きな歪み能力、および(絶縁式の柔軟層にとって)良好な絶縁性を提供する。
【0109】
スケール絶縁実施形態では、シリコンゴムまたはポリイミド等、良好な絶縁特性および環境耐性を有するポリマコーティングを使用し得る。金属スケールまたはコーティングを使用する場合、絶縁層は、金属に対して直接形成された非導電金属酸化物(例えば、陽極酸化アルミニウム)を含んでもよい。
【0110】
導電変形可能構造と、変形可能構造の表面の電極に引き付けられたスケールにより生じるクランプとを使用する実施形態では、変形可能構造上の分離電極は必要ない。
【0111】
特定の実施形態において、約6平方インチのメタ材料は、硬質活性化要素として薄いスチールスケールを有するシリコンゴム柔軟層を含む。エラストマの一方の側の電極は、シリコンバインダ中の炭素粒子のコーティングを含む。この特定の実施形態では、電極が柔軟性となる。
【0112】
これまでのメタ材料は比較的単純な平面変形可能構造について説明してきたが、変形可能構造が、薄層の複雑な形状、複雑な表面の主部、および多数の成分を有する構造を含んでもよいことは理解されよう。上記のように、例えば、個別の層を積み重ねてもよく、円筒を形成してもよい。加えて、これまでのメタ材料は、活性化機構として主に静電クランプおよび電気活性ポリマについて説明してきた。メタ材料は、他の活性化メカニズムを使用してもよい。
【0113】
図4Aは、本発明の別の実施形態による磁気活性化機構を使用したメタ材料100を例示している。メタ材料100は、ハニカム変形可能構造102と、磁気活性化要素104とを含む。図4Bは、磁気要素104の活性化後のメタ材料100を例示している。メタ材料100は、多数の剛体要素と、伸張ではなく形状の再構成を行う変形可能構造とを含む点において、先の実施形態と異なる。
【0114】
変形可能構造102は、相対的な硬質な部材105と、柔軟な結合部106とによるハニカム格子を含む。各結合部106は、二個または三個の硬質部材105を回転可能に結合する。図4Aに示した活性化状態において、変形可能構造102は、例えば、アコーディオンのように圧縮および拡張し得る。こうした構造は、例えば、ポリマ、金属、またはポリマ繊維合成物の押し出しを含む様々な公知の手法により形成できる。
【0115】
活性化要素104は、二つの状態、即ち、a)各活性化要素104がハニカム格子102の変形に実質的に干渉しない、あるいは他の形でメタ材料100の剛性(または他の機械的特性)に寄与しない第一の位置または配向性(図4A)と、b)各活性化要素104がメタ材料100の剛性(または他の機械的特性)を高める第二の位置または配向性(図4B)とになるように制御し得る。第二の位置において、各活性化要素106の剛構成は、変形可能構造102の各ハニカムの硬質ブロック108に干渉する。これにより、活性化要素106の上下において垂直方向で隣接する硬質ブロック108間の垂直移動または相対的移動が防止される。多数の活性化要素106が活性化された時、これは累積的に、活性化された要素106に隣接するハニカム格子の硬質部材105と結合部106との移動を防止する。メタ材料100の全活性化要素106を活性化することで、変形可能構造102全体が図4Bに示した位置で不動化される。
【0116】
一実施形態において、活性化要素104は、磁気入力に応答し、図4Aのページ奥に向かう軸線を中心に回転できる(例えば、いずれかの端部でピボットにより支持されるか、あるいは中心で回転結合部により支持される)。磁場の配向性は(メタ材料100外部、あるいは合成物の特定の層に埋め込まれた、電気制御可能なコイルによる)、磁気活性化要素104の方向を決定し、したがって、メタ材料100の剛性を決定する。その他の設計でも、いずれかの位置状態への活性化を制御するために、磁場を個別の要素104に送給し得る。永久磁石または磁石の配列は、特性を制御するためにメタ材料の外部で再配置し得る。
【0117】
メタ材料100は、変形可能構造102と磁気活性化要素104との間の相互作用により、活性化要素104の状態を変更するために付与されるエネルギの小さな変化で、メタ材料100の全体的特性の大きな変化に影響を与えることが可能な別の例を提供する。少なくとも、活性化要素104の状態の変化は、メタ材料100の全体的な剛性を変化させる。
【0118】
磁気入力は、各活性化要素104を二つの状態の中間位置にさせてもよい。これは、例えば、二つの極値間のより小さな剛性等、メタ材料100で中間の総体的影響を取得する上で有利となり得る。中間剛性状態は、一部のみの個別セルの活性化要素を回転させることでも達成し得る。例えば、一つおきの列のみを剛体とした場合、合計の剛性は、最大剛性のために全ての要素を整合させた場合に比べ、遙かに小さい。永久磁石を使用して、構造を逆に機能させてもよい。この場合、活性化は、永久磁石の磁気結合を相殺する、永久磁石に近接して位置する電磁石を含み、通常は磁力でクランプされた要素のクランプを解除し、接続性と結果的な剛性との変化を発生させる。
【0119】
特定の実施形態において、変形可能構造102は、プラスチックまたは金属材料を含む。その他の材料も使用し得る。軟質結合部106は、ライブヒンジ、プラスチックの薄化隅部、(製紙業において一般的な)スリット付きの連結部品、あるいは、変形可能構造102の形状変化を可能にする他の任意の機構を含んでよい。活性化要素104は、例えば、強磁性材料、コイル、または永久磁石を含んでよい。構造強度を提供するプラスチック部品等、強磁性材料を収容するための構成要素を含んでもよい。要素104は、常磁性材料、あるいは、好ましくは磁場勾配において自分で整合するその他の材料を含んでもよい。
【0120】
主に活性化要素104の磁気的操作に関して、変形可能構成100の説明を行ったが、その他の手法を使用して活性化要素を制御してもよい。別の実施形態において、活性化要素104は、電気入力に応答して位置を変化させる。この場合、アクチュエータは、電気信号に応答し、各活性化要素104の位置または配向性を機械的に制御する。活性化要素は、電荷を使用して静電的に整合させてもよい。この場合、各要素は、エレクトレット、永久荷電を有する機構、あるいは電場に応答する他の任意の極材料を含む。エレクトレットは、以前の実施形態が磁場に応答したのと同様に、回転等により電場に応答し得る。
【0121】
図5Aは、本発明の別の実施形態によるメタ材料120を例示している。メタ材料は、変形可能構造122と活性化要素124とを含む。
【0122】
変形可能構造122は、二つの追従または変形可能層123を含む。各柔軟層123は、活性化要素124が活性化されない時、平面拡張と、面外屈曲とを可能にする剛性を有する。
【0123】
各活性化要素124は、四本の硬質支柱125と二個の剛構成126とを含む。各硬質支柱125の一方の端部は、上方または下方の柔軟層123に結合される。結合部128は、隣接する活性化要素124を接続し、隣接する活性化要素124缶の旋回運動を可能にする。結合部128は、二本の硬質支柱125と、各活性化要素124に含まれる剛構成126との間での旋回も可能にする。
【0124】
剛構成126は、二つの状態、即ち、a)左右の剛構成126が結合せず、互いに自由に摺動する自由状態と、b)左右の剛構成126が共に結合される活性化状態と、を達成するように制御し得る。
【0125】
累積的には、メタ材料120は、剛構成126を共にクランプすること等により、選択的に係合または係合解除可能なトラス状構造を提供する。全剛構成126が自由であるときには、横力により、剛構成126を互いに左右へ移動し得る。これにより、各活性化要素124は、横に圧迫または拡張される。結合部128での硬質支柱125の機械的な連結は、各活性要素124において横運動を垂直運動に変換する。変形可能構造122も、この自由状態において、限定された範囲で屈曲し得る。
【0126】
活性化要素124は、各活性化要素124が現在位置でロックされる、あるいは剛性を増加させるのを可能にする機構を含む。一実施形態において、左右の硬質成分126は、静電クランプを使用して活性化させる。クランプ設計の一つにおいて、成分126の一方は、電極と、その上に配置された絶縁層とを含む。他方の部材は、接地の役割を果たす。別のクランプ設計において、各追従部126は、絶縁体の層を含み、静電クランプは絶縁層全体で発生する。静電クランプ電圧を電極に印加することで、剛構成126は単一の活性化要素124内で共に固定される。これにより、活性化要素124の横運動が防止され、結合部128の機械的な連結のため、垂直運動が防止される。これは、変形可能構造122の屈曲も防止する。
【0127】
別の実施形態において、剛構成126は、連結の剛性を変化させることでメタ材料120の剛性を変化させることが可能な内在的適応または活性材料を含む。例えば、剛構成126は、電気刺激に応答して、その剛性とメタ材料120の剛性とを変化させる電気活性ポリマを含んでよい。活性化要素124に使用し得る他の内在的適応または活性材料は、例えば、活性化時に連結されたペアを形成可能な図3Bと同様の表面特徴を備えた圧電ベンダと、熱制御または形状記憶合金ベンダと、少なくとも一つが電磁石である硬質要素とを含む。
【0128】
特定の実施形態において、変形可能構造122は、ゴムまたはエラストマ、あるいはパターン形成されたポリマまたは金属といった、任意の柔軟層材料を含む。硬質支柱125は、金属、プラスチック、または他の任意の硬質材料を含んでよい。剛構成126は、非導電コーティング(例えば、非導電陽極酸化コーティング)を有する金属、片側にスパッタリングされた金属を有するポリマ、ポリイミド絶縁体を有するバインダ中のカーボン粒子、または絶縁体を有する任意の導電材料等、スケール実施形態に関して上記で使用された任意の材料を含んでよい。
【0129】
これまでに説明した多くの設計と同様に、トラスメタ材料120は、3Dまたは2.5Dにできる。2.5Dとは、三次元において重要な差別化の特徴を有していない構造を意味し、第三の直交方向に図の2Dパターンを押し出すことで形成されたような、均一のサイズのものにしてよい。図5Aの基本構造は、積み重ねて、更に厚い材料を形成できることにも留意されたい。
【0130】
図5Bは、本発明の特定の実施形態による、メタ材料140のための異なる変形可能構造142に含まれる図5Aの活性化要素124を例示している。
【0131】
この場合、変形可能構造142は、単一の一体構造内に、全ての活性化要素124の配列を含む。更に具体的には、変形可能構造142は、活性化要素124の多数の列144を含み、ある列の要素124の最上部は、下の列の要素124の底部に付着する。加えて、剛性成分146aは、二要素124の付着点において、列の間に含まれる。任意の活性化要素124の移動は、活性化要素124が自由状態である時、隣接するものに影響を与える。
【0132】
図5Cは、変形可能構造142およびメタ材料140を現在位置に静的に固定する、全要素124の活性化後のメタ材料140を示している。メタ材料140は、平面的に、あるいはページの外に押し出すことができる。
【0133】
メタ材料は、更に、調整可能な屈曲剛性制御を提供し得る。一実施形態において、メタ材料は、柔軟層の上面および下面の両方等、多数の表面でクランプする能力を提供することで、屈曲剛性制御を提供する。
【0134】
上記のように、メタ材料は、形状変化を制御し得る。形状変化のエネルギを提供するために、変形可能または再構成構造に活性材料を組み込んでもよい。
【0135】
一実施形態において、こうした自己作動形状変化が可能なメタ材料は、一形状から別の形状へ(いずれかの方向で)変化するために、スナップスルーまたは双安定機構を使用可能である。図7Cは、本発明の一実施形態による、「スナップスルー」双安定メタ材料340を例示している。メタ材料340は、作動要素342と六角形構造要素344とを含む。
【0136】
作動要素342は、電気刺激の印加時に横方向へ拡張する。好適な実施形態において、作動要素342は、誘電エラストマ等の平面電気活性ポリマアクチュエータを含む。電気活性ポリマアクチュエータおよびデバイスの作動についての更なる説明は、同一発明者の特許第6,781,284号において説明されており、これは参照により全体を本明細書にあらゆる目的で組み込むものとする。
【0137】
作動要素342は、個別の六角形構造要素344または「セル」に埋め込まれ、図7Cに示すように、各セルの幅に渡る。電気活性ポリマアクチュエータが作動されると、各六角形セル344の幅における結果的な変化は、セルを「砂時計」形に切り替えるため、図7dに示したように、全体的構造340において大きな全体的形状を発生させる。中間的な変形も可能である。
【0138】
図7Eは、こうしたメタ材料を単純なレイアップ処理を使用してどのように製造できるかを示している。作動要素342は、図示したように、シート構造350の形態で製造できる。こうしたシートは、モノリシック基板上の個別にアドレス可能な作動要素の領域を含む。多重電極モノリシック電気活性ポリマアクチュエータの更なる説明は、同一発明者の特許第6,664,718号において説明されており、これも参照により全体を本明細書にあらゆる目的で組み込むものとする。こうした活性層は、積み重ねて取り付けたとき、図7Cに図示したような断面を形成するように、半六角形構造352と交互に階層化される。
【0139】
双安定メタ材料340のための第二の構成は、それぞれが軟質フレーム364の内部に広がって付着する(ポリマ362の周囲で付着する)電気活性ポリマ362を含む平面「弓」アクチュエータ360(図7F)の積み重ねを含む。軟質フレーム364は、各角に結合部を備えた六角形リンケージとして機能する。弓アクチュエータの更なる説明は、同一発明者の特許第6,781,284号公報において説明されており、これも参照により全体を本明細書にあらゆる目的で組み込むものとする。弓アクチュエータ360を作動させると、全体的な面積の変化が、セルの幅の変化に結合される。六角形リンケージ構造と平面アクチュエータとを交互に配置することで、幾つかの弓アクチュエータ構造を含む積層ハニカム構造を製造し得る。こうした弓アクチュエータ360の積み重ねは、図7Cに図示している
【0140】
多数の弓アクチュエータ360は、図7Gに図示したように、ハニカム構造としてグループ化し、平行に積み重ねることができる。図7Eに図示した例と同様に、ハニカム電極と活性化要素374とは、電気活性ポリマのシート370上の電極のように、交互に階層化される。電気活性ポリマシート370は、モノリシック基板上に個別にアドレス可能な活性化要素374を含む。
【0141】
こうしたいずれかの実施形態の各個別セルは、個別にアドレスできる。これにより、セルのサブセットを作動するだけで、迅速な形状変化が可能となる。一部の設計では、材料の断面または材料全体の形状を制御する能力を達成するために、メタ材料全体を別個のブロックに分割し、ブロック間に機械的な相互作用が存在しないようにする。例えば、上記設計のハニカム構造は、変形するハニカム構造が全て一斉に相互作用しないように分割してよい。メタ材料構造全体の個別セルの形状を制御することで、構造全体で任意の望ましい形状を達成できる。
【0142】
各セルの形状は、特定の方向でのセルの剛性および減衰特性に影響する。例えば、一方向にほぼ整列した壁を有するセルは、その方向に大きな角度を成す壁を有するセルに比べ、その方向で剛性が高くなる。
【0143】
図6Aないし図6Cは、本発明の特定の実施形態による、積層剛性メタ材料180を例示している。メタ材料180は、屈曲剛性制御と、平面の形状の制御とを可能にする。
【0144】
メタ材料180は、多数の軟質層182と活性化層184とを含む。各活性化層184は、二つの軟質層182に挟まれる。一般に、各軟質層182は、屈曲し得るが、ほぼ非伸長性の層となるように、合計厚さおよび弾性係数を含む。活性化層184は、二つの状態、即ち、a)活性化層184が二つの隣接軟質層182と機械的に結合する第一の状態と、b)活性化層184が二つの隣接軟質層182と機械的に結合せず、こうした二つの軟質層間の剪断が可能な分離状態と、を含む。活性化層184は、各活性化層184の二つの隣接軟質層182に対して結合および結合解除するための外的制御を可能にする任意の材料を含んでよい。
【0145】
特定の実施形態において、軟質層182は、薄い導電シート(銅、アルミニウム、その他の金属等)を含み、活性化層184は、軟質誘電体(ニトリルゴム等)を含む。この場合、メタ材料180は、二つの隣接軟質層182を電極として使用して、その間に配置された誘電活性化層184に静電クランプ電圧を印加する。これにより、活性化層184を二つの隣接軟質層182に結合する。メタ材料180の各層184は、同様に活性化し得る。層の積み重ね全体も、同時に活性化し得る。
【0146】
活性化層184を係合する前、軟質層182は、図6Cに例示したように、外部垂直力186に応答して、メタ材料180の屈曲を可能にする。軟質層182の(断面内の)単一のシートは、層182において使用される材料の弾性係数であるEと相対的なメタ材料180の屈曲剛性を提供する。階層化された多数の非活性化層182は、N×Eと相対的なメタ材料180の屈曲剛性を共に発生させ、ここでNは、軟質層182の数となる。図6Cに示したように、これにより、依然として、相対的に軟質な屈曲ビームが提供される。力186は、代わりに、ビームの長さに渡って分散した力、またはトルクと組み合わせた力にしてよい。幾つかの力により、ビームに複合屈曲を導入できる。
【0147】
静電クランプ電圧を全ての活性化層184に印加する時、層182および184は共にクランプし、メタ材料180の屈曲剛性を増加させる。更に具体的には、活性化後、各活性化層184は、隣接する上下の軟質層182の両方と結合する。これにより、メタ材料180の屈曲には各接続層182および184の剪断が必要となるため、メタ材料180の総体的な屈曲剛性は増加する。特定の実施形態において、メタ材料180の屈曲剛性は、約N3倍で増加する。これにより、メタ材料180は、非活性化時に柔軟になるが、活性化時に堅固となる。一部の例において、活性化から非活性化への屈曲剛性比の変化は、N3:NまたはN2:1にしてよい。任意の数の層182および184を使用してよい。
【0148】
メタ材料180の成分材料は、所望の動的結果を発生させる材料特性に基づいて選択してよい。例えば、屈曲剛性を増加させるために軟質層182にスチールを使用してよい。他の適切な材料には、例えば、表面に電極をパターン形成した軟質ポリマと、炭素繊維複合材料とが含まれる。
【0149】
一実施形態において、軟質層182は、メタ材料180のための単一の構造を形成するように結合させるか、その他の形で取り付ける。例えば、層182は、それぞれ一方(または両方)の端部でプレートに取り付けてよい。別の実施形態において、メタ材料180は、図示したように、自由形態の構造である。これにより、メタ材料180は、必要に応じて、屈曲および捻転が可能となる。例えば、メタ材料180は、アクチュエータを使用して、あるいは手動で、外部から操作(屈曲、捻転等)してよい。任意の特定の形状において、静電クランプ電圧を使用した活性化により、メタ材料180の現在の形状がロックされる。
【0150】
図6Aないし図6Cに図示した設計の特定の実施形態において、活性化層184は、厚さ0.004インチのニトリルゴムである(例えば、Roswell,GA 30076 USAのKimberly−Clark Corporationが製造するSafedkinブランドにおいて使用されるニトリルゴム)。軟質層は、厚さ0.002インチの真鍮シートを含む。更に10センチストークのシリコンオイルを使用して層の分離防止を支援できるが、用途および外部負荷に応じて、必要がない場合もある。クランプ電圧は、約1000ないし約1500VDCの範囲にしてよい。
【0151】
他の活性化機構およびシステムをメタ材料180に使用してもよい。一実施形態において、各軟質層184は、柔軟性ポリマまたはエラストマを含む。活性化層184は、クランプ、粘弾性材料の形状変化(例えば、電気活性ポリマ等の活性材料を使用)、または層184の圧迫により、付着の変化を達成してもよい。こうした全ての事例において、複合メタ材料が屈曲するときは、活性化層184における剪断力の増加が存在する。別の実施形態において、活性化層は、膨張する層を含み、活性化前、活性化層184は一方の軟質層182のみと結合するようになる。この場合、各活性化層184は、活性化前に大量の剪断変形を受けない。活性化後、活性化層184は、両方の隣接軟質層182と結合し、複合メタ材料が屈曲するとき、活性化層184において剪断応力を発生させるようになる。この機能性を提供するために、ポリマゲル、熱膨張材料等の材料を、活性化層184に組み込むことができる。活性化層184は、大きな面外変形を可能にする機構に取り付ける電気活性ポリマまたは圧電セラミック等の活性材料を組み込んでもよい。例えば、電気活性ポリマシートの拡張は、隣接層182に結合され、これを押し付ける軟質ポリマの薄層を圧迫できる。活性化層は、磁気レオロジまたは電気レオロジ流体を含むこともできる。こうした流体は、それぞれ磁場および電場を与えることにより、低剪断応力状態から、遙かに高い剪断応力状態へ変化する。
【0152】
メタ材料140および180は、本明細書で説明した多数の設計と同様に、モジュール式である。これにより、基本パターンを平面方向または面外方向(積み重ね)の両方で反復させ、任意の適切なサイズ、長さ、または形状のメタ材料を製造できる。
【0153】
一部のメタ材料は、更に、形状変化を利用して、機械的特性の変化に影響を与える。図7Aは、本発明の特定の実施形態による、形状を変化させるビーム160を例示している。ビーム160は、柔軟層162と、柔軟層162の底面に配置された、柔軟だが非伸長性の材料164とを含む。
【0154】
特定の実施形態において、柔軟層162は、電気活性ポリマを含む。電極166は、電気活性ポリマの上面および底面に配置される。電極166を使用した電気活性化ポリマの作動により、追従電気活性ポリマは、図7Bに示したようにアーチ状となる。代替として、メタ材料160は、電気活性ポリマを含まず、外力(近くの平面への静電気引力等)に依存して、所望の形状変化を発生させてもよい。
【0155】
ビーム160の活性化を(電気活性ポリマに電圧を印加するか、あるいはビームを平面に一致させる静電気引力を除去して)始動することで、図7Bに図示した位置のような、剛性の高い位置が達成される。これにより、ビームの屈曲軸線に沿った負荷と垂直な負荷との両方に対応して、ビーム160の剛性が増加する。例えば、ビーム160では、遠端部に加わった下向きの力に対応した撓みが少なくなる。
【0156】
図7のビームは、特性の変化において有効だが、低エネルギの形状変化が一つ以上の機械的特性の大きな変化をどのように引き起こせるかについての単純な例である。メタ材料を形成するために、この基本的なビーム構造は、他の構造の基礎構成要素として組み込んでよい。例えば、こうした要素を直立させた列を、二枚の剛体プレートの間に挟み込んでよい。結果的な積層構造は、図7Bに図示した状態へ要素を活性化させた時、剛性が大きく高まる。別の実施形態において、ビームは、一方の縁部に沿って軟質面に取り付けてよい。この面は、ビームが図7Aのロック解除状態にあるときは屈曲可能だが、ビームが図7Bのロック状態にある時は屈曲不可能となる。
【0157】
したがって、ビーム160から形成されたメタ材料は、本発明の別の態様、即ち、機械的特性を変化させるために形状変化を使用すること、およびメタ材料を新たな形状でロックすることを実証している。この場合、形状の変化は、曲げビームの垂直剛性を高める。
【0158】
ビーム160から形成されたメタ材料は例示の目的に適した単純な構造と単純な形状変化とを利用しているが、本発明は、こうした単純な設計および形状変化に限定されず、活性化前後で更に複雑な変形構造を含み得る。
【0159】
形状変化は(メタ材料の形状における所望の変化であろうと、メタ材料内の要素の形状の変化であろうと)、メタ材料内部で形成された力または作用のみから生じる必要はない。例えば、以下の一応用では、航空機の形状変化翼向けのメタ材料の使用について説明している。この場合、メタ材料は、非活性化され(低剛性状態にされ)、適切なアクチュエータ(または風)を使用して移動され、何らかの所望の形状、位置、または構成で活性化される。一部の例において、風が乱れている時、結果的に生じる風圧が所望の方向で作用した時のみ材料を非活性化することで、外見的には自己作動式のシステムが形成される。
【0160】
任意の適切なアクチュエータを使用して、物体を移動させ、メタ材料を変形または新形態にしてよい。モータ、空気圧シリンダ、およびソレノイドは、多数のシステムでの使用に適している。一実施形態では、電気活性ポリマトランスデューサを使用して、メタ材料が非活性状態であるとき、メタ材料を変形させる。電気活性ポリマは、変形により電気状態が変化する柔軟性ポリマの一種である。電気活性ポリマを含むアクチュエータは、様々な形状およびサイズにしてよく、特定の用途または設計に合わせて調整してよい。電気活性ポリマの例には、電歪ポリマ、誘電エラストマ(別名エレクトロエラストマ)、導電ポリマ、IPMC、ゲル等を含めてよい。本発明での使用に適した電気活性ポリマの更なる説明は、同一発明者の特許第6,628,040号において説明されており、これは参照により全体を本明細書にあらゆる目的で組み込むものとする。他の適切なアクチュエータは、上記の活性または内在的可変材料を含んでよい。クランプに使用し得るものに類似する静電または電磁力を使用して、形状制御を作動させてもよい。例えば、電極または電磁領域の帯を備えた二つの重複層は、帯の電圧を連続して交代させることで、リニアモータがステータに対してスライダを移動させるのとほとんど同じように、互いに対して摺動させることが可能である。こうした互いに摺動する平坦なシートに基づくリニアモータは、当業者には公知である。こうしたモータ化層は、メタ材料の変形可能構造に取り付けること、あるいは完全に置き換えることが可能である。
【0161】
特性および性能
メタ材料は、一つ以上の機械的特性の動的制御を可能にする。制御可能な機械的特性には、剛性と、減衰と、弾性または塑性強度と、降伏強度と、引張または圧縮強度と、剪断強度と、弾性係数と、靭性と、引き裂き抵抗と、最大伸長と、破壊歪みと、破壊までのエネルギ吸収と、ポアソン比と、クリープと、疲労と、トライボロジと、剪断係数と、復元力と、音響伝達率と、減衰と、機械的損失係数と、硬度と、耐衝撃性と、形状とが含まれる。
【0162】
これまで説明したように、本明細書で説明したメタ材料は、剛性制御に最適である。宣伝クランプを利用する活性化要素では、活性化要素間の静電クランプおよび摩擦力が引き離そうとする外力より大きい限り、クランプが有効となる(即ち、滑りは生じない)。このクランプにより、メタ材料の剛性は、硬質成分材料の剛性とほぼ等しくなる。(柔軟層が含まれる場合には)柔軟層の剪断変形により、ある程度の追従が持ち込まれ得るが、薄いエラストマ層が使用される時、この追従は小さなものとなる。スケール絶縁設計では、この追従問題が存在しない。一部の例において、この種の設計の絶縁は、実際には、核となるスケール材料より高剛性である。
【0163】
追従平面構造の硬質活性化要素と、二次元の活性化制御を有することとにより、制御可能な剛性が、両方の面内方向において可能となる。これにより、平面剛性の動的な方向制御が可能となり、即ち、一方向で剛体、別の方向で柔軟性とし、その後、各方向で逆の剛性に変化させることが可能である。例えば、柔軟層の反対側での相対的な剛性を制御することで、一部のメタ材料設計において、屈曲および平面剛性も独立して変化させ得る。
【0164】
本発明は、使用中に、最小および最大極値間において、メタ材料の剛性の可変動的制御を可能にする。一実施形態において、可調整(動的可変)剛性は、可変剛性を効果的に提供するために、全てではなく一部の活性化要素を選択的に活性化することで達成される。代替として、活性化要素が負荷を受けて摺動可能だが、加わった力に対して制御された量で抵抗するように、より低い電圧を静電クランプ実施形態に使用する時、構造の減衰制御を達成し得る。磁気レオロジまたは電気レオロジ流体を使用するもの等、一部の実施形態では、電圧を変えて活性化の度合いを変化させることで、剛性の変化に直接的に影響を与えることができる。
【0165】
本発明のメタ材料がもたらす剛性の変化は、非常に劇的となる場合がある。例えば、シリコン(弾性係数約1MP)および6061−T6アルミニウム(弾性係数70GP)のようなエラストマ基材を備えた柔軟層は、理論的には、70,000倍の剛性の変化が生じ得る。一実施形態において、メタ材料は、元の剛性の100倍を上回る剛性の変化が可能である。これは、10倍の周波数変化の共鳴を一致させる(または回避する)のに100倍の剛性変化が必要となる振動または雑音制御において有用である。モーフィング構造用の材料は、剛体から柔軟性となり、更に剛体へ戻る大きな変化から恩恵を受ける。特定の実施形態において、メタ材料は、元の剛性の1000倍を上回る剛性の変化が可能である。任意の剛性を、(例えば、静電クランプしたメタ材料表面で活性化する要素数を制御することで)二極値間において選択できる。別の実施形態では、前後の剛性を使用して、メタ材料を特徴付けする。約1MP未満の活性化前剛性と、約1000MPを上回る活性化後剛性とを含むメタ材料は、多くの用途に適している。特定の実施形態において、メタ材料は、約10MP未満の活性化前剛性と、約100MPを上回る活性化後剛性とを含む。一部の例では、メタ材料は、当初約100MPであり、活性化後、約10GPに転換し得る。
【0166】
本発明について、これまで主にメタ材料において動的に変化する剛性に関して説明してきたが、本発明は、こうした特定の機械的特性の制御に限定されない。
【0167】
メタ材料は、更に、能動的かつ動的な減衰制御を提供する。活性化要素の滑動を故意に認めることで、静電クランプを含むメタ材料が提供する減衰を能動的に制御できることについては、上述した。したがって、静電クランプ電圧は、活性化要素の摺動が可能になる量まで減少させ得る。言い換えると、減衰中の外力に十分に耐えられない強さの静電クランプを加える。この部分的クランプのアプローチにより、メタ材料を含む構造の効果的な減衰の制御が可能となる。制御された減衰は、上記の任意の静電クランプメタ材料を使用して達成し得る。例えば、メタ材料120(図5A)の剛構成126の部分的クランプは、クランプの度合いに関連した減衰量を発生させる摺動を可能にする。
【0168】
減衰制御は、メタ材料の一つ以上の粘弾性層の剪断変形の量を制御することによっても可能となる。曲げビームの減衰を増加させるには、メタ材料180(図6Aないし図6B)の軟質層182間の粘弾性材料の層を捕捉して、この層の剪断力が大幅に増加され、結果的に、この層が全体構造に大量の減衰を追加するようにすればよい。
【0169】
メタ材料は、独立して制御可能な剛性および減衰を提供し得る。例えば、合成物は、剛性を制御する層と減衰を制御する層とを別々に含んでよい。上記のように、活性化により剛性または減衰の二元的変化が生じる場合、全活性化要素数のサブセットを活性化することで、部分的制御を提供し得る。
【0170】
メタ材料は、可変の靭性(破壊前に吸収されたエネルギ)または復元力(塑性変形前に吸収されたエネルギ)を可能にするように設計し得る。アルミニウムを含む本発明の一部の実施形態は、アルミニウム自体より大きな靭性または復元力を提供し得る。例えば、メタ材料が引張負荷において破綻した場合(静電クランプを解放した場合)、破綻は、壊滅的なものにはならない。メタ材料は、僅かに伸長された長さで再クランプし、クランプの剛性で機能を続けるように構成し得る。材料による解放と再クランプを繰り返し可能にすることで、メタ材料は、大きなエネルギ量を発散する。したがって、メタ材料は、デバイスの剛性だけでなく、復元力も向上させ得る。材料が繰り返し破綻しても、負荷が除去され、材料が再活性化されると、材料は、損傷なく元の形状に弾性的に復帰する。
【0171】
一実施形態において、メタ材料は、構造負荷を支持する物体において構成される。これにより、構造負荷を支持するのに使用される他の構造の質量を低減することで、物体の全体的質量を低減し得る。物体および設計に応じて、メタ材料は、引張および圧縮面内応力およびトルクを提供すること、閉じたトルクボックスの一部として剪断流動を伝達すること等により、屈曲負荷を支持できる。
【0172】
外的制御
メタ材料の実施には、何らかの種類の外的制御を利用してよい。これは、活性化要素との通信に必要な任意のハードウェアと、制御を実施するための任意の回路またはロジックを含んでよい。
【0173】
静電クランプ実施形態では、少なくとも、活性化要素での静電クランプ電圧の提供および除去のために、最低限の量の制御ハードウェア(線等)および回路が必要となる。一実施形態において、メタ材料は、各活性化要素用に別個の制御を含む。別の実施形態では、活性化要素のサブセットが、共通してアドレスおよび制御される(例えば、共通電極を使用)。目標および複雑性を変化させるロジックを使用して、活性化要素を制御し、対象となる機械的特性を調整してもよい。
【0174】
一般に、一組の活性化要素によってメタ材料および機械的特性を変化させるために必要なエネルギ(「活性化のエネルギ」)は、結果的に生じるメタ材料のエネルギ性能と比べて小さいものにできる。多くの場合、弾性および減衰エネルギは、メタ材料全体により生まれる。例えば、活性化機構が硬質活性化要素に適用された時、機械的特性を決定するのは、メタ材料または構造の変形のエネルギであって、活性化のエネルギではない。したがって、制御は、僅かなエネルギ消費、例えば、入力電気エネルギにより実行および維持できる。活性化では、小さな運動または力の少ない運動を起こすこと、あるいは、多くの場合、エネルギをほとんど必要とせずに劇的な機械的特性を発生させるクランプを提供することのみが求められるため、本発明は、更に、機械的特性の大きな変化に影響を与える、エネルギ効率に優れた機構を提供する。
【0175】
静電クランプ実施形態を保持するのに必要な電力は、効果が電場に基づいており、大量の電流を流す必要がないことから、相対的にごく小さなものとなる。静電クランプの電力消費量は、絶縁体の厚さ、クランプ圧、および絶縁抵抗率に依存する。例えば、10%の重複によりクランプする1m2の面で、絶縁体の厚さ10μm、抵抗率1013オームm(例えば、シリコン、二酸化珪素、その他の絶縁体)、300V/μmの電場(誘電定数2.7での1MPaのクランプ圧にとって十分)を有する場合、全ての負荷を保持するのに必要な電力は、僅か4mWである。この例は、単なる例示であり、より薄いコーティングを備えた他の優れた絶縁体は、電力消費量を低減し得る。更に、機械的連結を使用する代替設計では、クランプ状態で電圧をほとんどまたは全く使用しない(図3B参照)。基本的な観点から言うと、静電クランプ活性化要素は、キャパシタとして機能するため、クランプ電圧を印加するために、何らかの有限の量のエネルギが必要となり得る。一実施形態において、メタ材料に付与されるエネルギは、材料が非活性化されるとき、回収される。静電クランプを使用する実施形態は、反応性(容量性)の高い電気負荷である。容量性負荷からエネルギを回収できる電気回路は、当業者には公知である。一実施形態において、静電クランプは、高電圧に依存する。特定の実施形態において、クランプ電圧は、約1kVである。他の電圧を必要に応じて使用してよい。使用する材料に応じて、静電クランプ実施形態では、電源、電線、およびコネクタの質量を最小化する、(多くの場合、漏洩電流の少ない)低電流高電圧動作を利用する。これにより、多数のエネルギ効率に優れたメタ材料が提供される。
【0176】
利用可能な静電クランプ力および必要な電力には、幾つかの要因が影響する。こうしたパラメータは、a)絶縁または誘電材料およびその厚さと、b)活性化要素の材料、柔軟性、および形状と、c)駆動回路(ACまたはDC励起)とを含む。幾つかの適切な絶縁および誘電材料には、ポリイミドと、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)とが含まれる。加えて、ニトリルゴムおよび熱可塑性ポリウレタン等、より導電性の高い材料も、一部の用途に適している。表面の粗度およびスケールの柔軟性も、利用可能な静電クランプ力を高める。
【0177】
本発明では、ACまたはDC励起を使用してよい。使用している材料と電気エネルギの供給とに応じて、DC信号(または他の任意の非反転電圧)により駆動される静電クランプの力は、周囲の寄生電荷と誘電体内の電荷移動とにより、経時的に減少し得る。二極性(即ち、正および負になる)AC信号をDC信号の代わりに使用することで、こうした事例での誘電電荷を除去し得る。AC信号により、クランプ力は、電圧の極性が変化するたびに、一時的にゼロになる。一実施形態において、メタ材料は、一組の機械的に冗長な活性化要素を含む。機械的に冗長な活性化要素を使用することで、メタ材料は、AC信号が活性化要素の何らかのサブセットのゼロ電圧点を通過する時、滑動を除去し得る。別の特定の実施形態において、メタ材料は、平行に配置された冗長クランプ活性化要素を含む。冗長活性化要素の一部が他のAC信号から90度位相のずれた信号により駆動される場合、少なくとも一部の活性化要素は、常にクランプされる。別の実施形態では、極性を切り替える電子速度が非常に速いため、機械的システムには滑動する時間がない(即ち、電場が極性を変えて再クランプする前に、慣性により、何らかの大きな運動が防止される)。特定の実施形態において、約1Hzより大きな励起周波数が使用される。他のAC周波数も使用し得る。
【0178】
加えて、本発明は、最小および最大極値間での機械的特性の可変制御を可能にする。例えば、多くの静電クランプ実施形態では、(例えば、減衰を可能にするため)最小および最大極値間のクランプ電圧が可能である。制御電子機器は、こうした制御およびロジックを容易にして可変制御を実施するために、調整電子機器を含んでよい。可変または二元制御は、開ループ制御、能動感知を備えた閉ループ制御、その他を含んでよい。
【0179】
一態様において、本発明は、メタ材料の機械的特性を変化させる方法に関する。図12
は、本発明の一実施形態による、メタ材料の機械的特性を変更するための処理フロー300を例示している。メタ材料は、変形可能構造と、変形可能構造に結合された一組の活性化要素とを含む。
【0180】
処理フロー300は、一個以上の活性化要素を第一の状態から第二の状態へ活性化することで開始される(302)。活性化は、静電クランプ電圧を静電クランプ活性化要素に印加することを含んでよい。磁場を変化させて、一個以上の磁気に基づく活性化要素を活性化してよい。一般に、活性化では、メタ材料において使用される活性化機構により決定される任意の適切なステップを利用する。
【0181】
第一または第二の状態は、完全な「オン」または「オフ」状態を含んでよく、あるいは、その間にある他の何らかの部分的な状態を含んでよい。多くのメタ材料は、変化する入力に基づいて、調整可能な機械的特性の変化を提供する。例えば、活性化要素に印加される電圧は、所望の減衰または靭性のレベルを達成するために、フィードバック制御ループにより、段階的な入力レベルで調整してよい。代替として、活性化要素の位置は、剛性または減衰に影響する二つの位置の極値間で多数の位置を可能とするために、磁場により制御してよい。
【0182】
機械的特性は、一個以上の活性化要素による第二の状態の獲得にともなって変化する(304)。機械的変化が剛性の変化である一実施形態において、活性化要素は、変形可能構造のものより大きな剛性または弾性係数を含む。この場合、多数の硬質活性化要素は、共に連結して、メタ材料の総体的な剛性を増加させ得る。一実施形態において、活性化要素は、係合して、メソスケール形状または変形可能構造の接続性を変化させ、これによりメタ材料合成物の粘弾性を変化させる。剛性の変化は、雑音、信号、および衝撃の抑制および制御に最適である。例えば、活性化要素は、メタ材料を含む物体が剛性変化無しの物体で生じる共振周波数を回避するように作動してよい。代替として、メタ材料は、物体において振動吸収剤として使用してよく、剛性の変化により、メタ材料を物体で生じる共振周波数と一致させ、共振周波数でのエネルギを吸収させる。
【0183】
次に、処理フロー300は、さらなる変更が望ましいかを判断する(306)。例えば、機械的特性が調整可能である静電クランプ用途において、活性化要素は、許容される最小および最大電圧間の第一の電圧を使用して、部分的に活性化し得る。そのため、電圧と、機械的特性(例えば、減衰、剛性)とは、必要に応じて増減し得る。
【0184】
本発明について、主にメタ材料の機械的特性の変更に関して説明したが、メタ材料を含むデバイス、物体、または構造の機械的特性を制御するために本発明を使用し得ることは理解されよう。したがって、処理フロー300は、メタ材料内の一個以上の活性要素を制御することで、デバイス、物体、または構造の機械的特性を制御するために応用してよい。
【0185】
別の実施形態において、本発明は、メタ材料または物体の形状を変化させる方法に関する。図13は、本発明の別の実施形態によるメタ材料の形状を変化させるための処理フロー320を例示している。
【0186】
処理フロー320は、一個以上の活性化要素を少なくとも部分的に非活性化することで開始される。この意味において、非活性化は、完全な非活性化、あるいは活性化要素のオン/オフ極値間の何らかの中間状態までの部分的な非活性化を含み得る。要素は、メタ材料または物体の剛性、減衰、または他の何らかの機械的特性を低減するか、あるいはメタ材料の接続性または形状を他の形で変化させるために非活性化してよい。最後に、活性化要素は、メタ材料が変形可能構造を移動させる外力に応答および追従するように非活性化される。
【0187】
次に、メタ材料または物体の形状を変化させる(324)。これは、メタ材料の形状を変化させるために変形可能構造に力を加えることを含んでよい。一実施形態では、環境的影響力を使用して、デバイスの形状を変化させる。例えば、メタ材料を含む内視鏡またはカテーテルは、進む通路により受動的に誘導され得る。内視鏡を特定の方向に操縦することが望ましいときは、デバイスがその方向にのみ屈曲するように、メタ材料の特定の領域を活性化する。これにより、所望の時期にメタ材料をロック解除(柔軟性となるポイントまでメタ材料を非活性化)およびロック(入力した力に対して剛体となるポイントまでメタ材料を活性化)し、剛性を制御して、環境に仕事をさせることができる。これにより、更に、乱気流を使用して、気流の中でフィンを移動できる。別の実施形態では、手の力を使用して、上記のようにメタ材料の形状を変化させる。
【0188】
次に、一個以上の活性化要素を活性化させる(326)。活性化は、剛性を増加させるか、あるいはメタ材料の接続性または形状を他の形で変化させてよい。加えて、活性化は、メタ材料で可能となる最大の機械的特性より小さな機械的特性のために、何らかの中間位置で停止してよい。
【0189】
本発明の別の実施形態は、エネルギを吸収する方法に関する。方法は、用途におけるエネルギ吸収の必要性に従って、メタ材料の一つ以上の機械的特性を変化することを含む。機械的特性の設定後、変形可能構造が変形するようにメタ材料に力を加える。弾道学およびその他の衝撃用途において、活性化要素の高い剛性と、柔軟基材の高い延性とを組み合わせることで、メタ材料の靭性を増加させ得る。したがって、メタ材料の剛性を活性化により引き上げてよい。次に、より高い剛性で、変形可能構造を伸張させる。代替として、メタ材料を使用して剛性および/または減衰を変化させ、振動用途において同調質量ダンパまたはエネルギ吸収材として使用される物体を意図的に励起させてよい。本発明では、更に、外乱入力の周波数スペクトルが変化するとき、振動またはノイズの分離のために、メタ材料または構造の機械的特性を調整できる。振動運動(バイブレーション)の単一サイクルでの剛性の変化も、こうした振動を減衰させるために使用できる。
【0190】
用途
材料または構造の弾力および粘弾特性等の機械的特性を能動的に制御または調整する能力は、多くの用途で有用となる。実際、メタ材料は、製造後、固定された一組の機械的特性を有する材料のパラダイムを根本的に変化させることから、本発明は、画期的技術を意味するものとなる。ほとんどの工学分野において、材料技術の進歩は、新たな用途を可能としてきた。
【0191】
一例は、柔軟から堅固へ切り替え可能な運動用または医療用の固定具である。別の例は、バネ性対吸収性の制御が可能な履物である。柔軟または伸張可能な状態から、相対的に剛体の状態へ変化する能力は、適合性を調整可能な衣類または履物に使用される繊維に組み込んでもよい。繊維は、外皮の適合性または柔軟性を制御することが望ましい、テント、リフレクタ、航空機、または船舶の外皮に組み込むこともできる。こうした制御可能な機械的特性を備えた外皮は、モーフィングする航空機の翼等のモーフィング構造に使用してよい。加えて、弾力および粘弾特性を調整する能力は、様々な運転条件に基づいて応答を変化させる自動車等の有効な振動制御システムとなる。
【0192】
航空機および宇宙船の開発は、材料の開発と結び付いてきた。最初の木材および繊維材料から、高速で高強度の合金、更には、現在の合成物まで、新材料の開発は、軍用および商用航空機の性能の改善を可能にしてきた。二十世紀の合成物は、方向性のある剛性および強度特性を有し、これまでの一世紀に渡って、航空機設計者に自由度、具体的には調整する能力をもたらした。合成物を使用することで、設計者は、方向が均一ではない荷重を効率的に受けるために、方向的に可変の特性を備えた航空機構造を設計できる。こうした特性は、航空機構造において10ないし20%の重量軽減につながり、前進翼のX−29等の航空機の設計を可能としてきた。
【0193】
本発明は、別の自由度として、動的な材料性能を提供する。機械的(例えば、剛性および減衰)特性を設計により選択可能な複合材料が空力構造における革命を可能にしたのと同様に、機械的特性を能動的に制御可能な新世代の材料は、新世代の航空宇宙構造を可能にする。
【0194】
無人航空機(UAV)のような航空機は、航空宇宙用途において果たす役割が更に増加している。現在、航空機は、一種類の特定の飛行形態での最適な飛行のために設計されている。燃料消費量を最小化するために、低速の偵察機は、スイープのない長く狭い翼を有する。対照的に、高速の攻撃機(および機動性の高い軍用機)は、抵抗を減らし、空理機構率を高めるために大量のスイープを有する、短スパンでコードの長い翼を含む。現在の航空機の一部では、翼のスイープの角度を制御する等、形状の小さな変化が可能だが、二つの大きく異なるプラットフォームおよび翼形状間で変更または「モーフィング」する能力は、達成されていない。
【0195】
本発明は、形状変化が可能な、空力効率に優れた航空機を可能にする。一実施形態において、メタ材料成分を備えたモーフィング翼を含む航空機は、空力および構造負荷を支持しつつ、大幅な形状変化のために使用される大きな変形を受けることが可能である。例えば、一メタ材料成分は、柔軟基材上に静電クランプされた硬質スケールを含む航空機の外皮にしてよい。航空機の外皮は、望ましい時期に、硬質(活性化要素をクランプする)から柔軟性(一個以上の活性化要素を解放する)へ変化できる。成分またはメタ材料外皮が(航空力学的負荷要件を満たすために)常に剛体である場合、形状変化には過度のエネルギが使用され、モーフィングアクチュエータは大きく重くなる。反対に、外皮が常に柔軟性である場合には、機械的負荷に耐えられない。こうした相反する要件は、剛性を制御可能に変更可能なメタ材料成分または外皮により達成される。
【0196】
負荷に耐えるのに有効であるときは、部分的にクランプしたモードで構造をモーフィングするのが望ましい場合もある。この部分的クランプのアプローチでは、構造の効果的な剛性および減衰を制御できる。減衰を制御することで、空力環境においてフラッタその他の望ましくない運動を(特にモーフィング中に)抑制できる。航空機の用途において、メタ材料成分または外皮は、(特に、小型の無人航空機での使用について)適切な頑丈さおよび軽量さを有する。一実施形態において、外皮は、活性化要素をロックした時、予想される飛行運動に必要な剪断剛性および屈曲剛性を提供し、水平飛行等の飛行中にモーフィングを可能にする。
【0197】
メタ材料外皮は、航空機の様々な部分に柔軟に使用してよい。例えば、メタ材料外皮は、翼の空力特性および性能を変化させるために、航空機の翼表面に付与してよい。代替として、垂直尾翼は、空力プロフィールおよび/またはサイズを変更し得るメタ材料を含んでよい。一実施形態において、本発明で提供されるモーフィング翼は、良好な空力効率を達成するために平滑な表面を含む。したがって、外皮は、空力的負荷を支持しつつ、極端な形状変化のための大きな変形を受け、平滑な表面を維持し得る。多くの設計において、メタ材料外皮は、更に構造負荷を支持し、これにより、航空機の質量を低減する。
【0198】
モーフィングにより恩恵を受ける他の用途には、配置可能または再構成可能な宇宙基盤のミラーおよびアレイが含まれる。メタ材料は、形状を変更可能な自動車のボディに使用してもよい。例えば、自動車パネルを、より空力的形状に変化させ得る。
【0199】
本発明は、雑音、振動、および衝撃の抑制および制御における用途にも最適である。多くの用途では、本発明で提供可能な、雑音および振動を減衰する軽量でコンパクトな手段を必要とする。一部の例では、構造における減衰を最大化することが望まれる。更に複雑な構造では、(同調質量ダンパ等において)特定の共振モードの励起を回避するために、あるいは他のものを意図的に励起するために、剛性および減衰の両方を変化させることが望ましい場合がある。外乱入力の周波数スペクトルが変化する場合には、メタ材料または構造自体の特性を調整することで、振動またはノイズの分離を達成できる。
【0200】
こうしたメタ材料は、例えば、ヘリコプタ、戦車、他の陸上車の表面パネルとしての用途が見いだせる。ヘリコプタにおけるブレード速度、あるいは戦車における地形により決定される特定の周波数では、従来のパネルは、過度に振動し、(砂利道を走行する車のダッシュボード上の振動と同様に)多大な雑音を発する可能性がある。こうした構造に統合されたメタ材料のパネル材料は、振動を減らすため、車両を雑音の少ない、乗り手に優しいものにする。別の例においては、航空機または車両構造の振動を消去するために、メタ材料パネルを反共振で励起されることが望ましい。入力周波数の範囲に適応するために、剛性は、広範囲に渡って変化する場合がある(共振周波数は外乱周波数の平方根に比例する)。こうした用途では、重量および空間が極めて重要であるため、本発明は、多機能パネル、即ち、構造的かつ能動的な振動制御材料を提供する。
【0201】
こうした重量および空間を節約する振動消去構造は、宇宙用途において有用である。モーフィングする宇宙用構造において使用される構造的外皮または支持トラス構造は、本明細書で説明した適応的メタ材料を含んでよい。既存の宇宙用構造は、例えば、配置中、あるいはアンテナまたはソーラアレイの照準中に振動を最小化する適応的合成物の恩恵を受ける場合がある。Canadarmも、本明細書で説明したメタ材料外皮が提供する振動および減衰の改善を使用できる。このアームは比較的大きな加重を保持するため、広範囲の動的調整が必要となる。振動および雑音消去構造は、打ち上げおよびエンジン燃焼中に、敏感な積載物への衝撃および音響損傷を最小化するために、スペースシャトルの貨物室その他の部分に統合してもよい。
【0202】
一般に、適応的メタ材料は、任意の変形可能構造の平面的な伸張または屈曲に応答して減衰を制御するために使用し得る。したがって、メタ材料は、全体的な振動制御システムの一部として含めてよい。結果として生じる構造は、剛性および減衰を能動的に制御可能な固体材料と考えてよい。例えば、本発明は、内在的振動制御を備えたビームを可能にする。こうしたビームは、多様な用途において非常に有用となる。本明細書で請求するメタ材料は、現在、制御が難しく、漏れやすく、環境に敏感な磁気レオロジおよび電気レオロジ流体を利用している可変インピーダンス自動車サスペンションに置き換えてもよい。
【0203】
本明細書で説明したメタ材料は、適応的な人工装具、矯正器具、およびロボットといった生物模倣および人間との相互作用の用途で使用してもよい。特定の実施形態において、メタ材料は、人工装具および矯正器具における関節の剛性および減衰を調整し、広範な地形および条件に渡って、更に効率的で安定した歩行または器用さを使用者に提供する。剛性および減衰特性の効率的制御を可能にするメタ材料は、既存の人工装具および矯正器具の欠点に対処し得る。例えば、メタ材料は、従来の電磁および磁気レオロジデバイスのようにコイルを必要としない。完全に固体であるため、漏れることはなく、相対的に温度変化に鈍感である。加えて、静電クランプメタ材料は、制御が電場に基づくことから、相対的に軽く、エネルギ効率に優れている。材料は、体に合った矯正器具および人工装具にできるように、薄いシートとして形成できる。こうした薄い構造は、更に、サイズおよび形状をユーザが好みに応じて調整可能な適応的ソケットの基盤を形成し得る。人工装具および矯正器具に加えて、こうした剛性制御材料は、他の医療用のニーズに応用し得る。例えば、休憩時、あるいは治癒過程中の所望の支持または関節位置の変化時に、再調整または緩めることにより、より快適にできる、適応的なギプス、固定具、または副木を作成するのに使用し得る。したがって、この機械的に調整可能な固定具および副木は、運動に加えて、順応性のある保護を提供する。
【0204】
本発明は、高エネルギ吸収用途における使用にも最適である。こうした用途は、高い靭性、大きな延性破壊歪み、および高い弾性係数から恩恵を受ける。この場合、メタ材料は、金属(または他の硬質成分)の強度と、柔軟層の延性とを組み合わせる。弾道学、衝突保護、および高速度衝撃用途は、本発明のメタ材料を動的な高速エネルギ吸収材として使用する用途の例を表す。
【0205】
エネルギ吸収用途において、メタ材料は、一時的に高弾性係数に設定してよい。弾性係数による剛性が克服されたときは、メタ材料は、一個以上の活性化要素を滑動させ(あるいは他の形で柔軟層を撓ませ)、活性過電圧を再び印加し、新たな高弾性係数でエネルギを弾性的に吸収し得る。この継続的な滑動と高弾性係数の再活性化とにより、拡張した破壊歪みが可能となり、段階的な一時的高弾性期間に渡って、大きなエネルギが吸収される。
【0206】
メタ材料のエネルギ吸収特性を選択する能力により、車両および乗員に対する更に大きな衝突保護が可能となる。例えば、メタ材料を含み、衝突に巻き込まれた車において、衝撃の位置を示すセンサは、メタ材料が変形およびエネルギの吸収あるいは剛性の維持を行う最善のペースを決定するコンピュータと通信できる。同様に、無人車両が衝突した場合、メタ材料は、特定の位置でエネルギを吸収し、衝突後に形状を弾性的に回復できる。
【0207】
静電クランプ活性化要素の電圧を制御する能力は、防護具に応用可能なエネルギ吸収の最大化にも有用である。特定の実施形態において、エネルギ吸収の増大は、静電クランプの破綻点を僅かに下で滑動を可能にすることで達成される。事実上、メタ材料は、硬質材料の強度を弾性物質の伸長と組み合わせる。このような方法で、より大きな復元力または靭性を有する材料を製造できる。この能力により、防護具だけでなく装着者も、第二または第三の衝撃から保護される。
【0208】
固い防護具の弾道特性へ容易に切り替え可能な柔軟な衣服は、保護における飛躍を意味する。防護服は、発射物の貫通を防止し、衝撃による外傷が生じないように、十分に広い面積で、その運動エネルギを消散させることを目指している。同時に、装着者は、軽量で快適な防護具を好む。残念なことに、快適さと保護とは、競合する要件である。したがって、本発明は、使用者の制御に従って両極端を提供し得る。KevlarおよびZylon等の材料は、編むことで薄く柔軟な材料にでき、結果として生じた材料は貫通を防止できる。しかしながら、衝撃エネルギの分散については、硬質弾道挿入物に関連する屈曲剛性から恩恵を受けている。本発明は、ライフルの弾丸等の大型の高速度発射物を破壊するだけでなく、運動エネルギの伝達に関連する鈍的外傷から装着者を保護する、硬質弾道挿入物に置き換えてよい。
【0209】
したがって、要求に応じて軟質から硬質へ変化可能な材料は、快適に装着可能だが、高度な保護を提供できる。剛性による追加的な衝撃消散保護は、(例えば、危険区域に入るとき、)手動で、あるいは特定の刺激に応答して自動的に有効化できる。適切な刺激には、光学またはIR動き検出(「フライアイ」)、レーザ反射、音響的または音波的シグネチャ、および脅威の性質に応じた磁気または容量性近接感知が含まれる。
【0210】
剛性および減衰を調整することで、メタ材料は、破壊からも保護できる。この調整を大きな変形に渡って行った場合、大量のエネルギを消散できる。したがって、防護具の剛性を切り替えることが可能であるのに加え、制御可能な特性を備えた材料は、同じ質量の特性固定材料より大きなエネルギを消散させることで保護の向上を提供できる。活性化要素の材料は、Small Arms Protective Insert等の既存の防護服において使用されるものと同じ材料を含んでよい。この場合、本発明は、衝撃消散に加え、貫通保護(材料を多機能性にする別の方法)を提供する。
【0211】
剛性、減衰、または他の機械的特性の能動的制御が有用である他の用途には、内視鏡、手術道具、MRI対応ステント等の血管介入機器、および動脈掻爬機器等の医療機器と、スキー、ラケット、クラブ、運動着および靴、セールボートの帆、および可変抵抗を備えた運動器具等のスポーツ器具と、快適性のための剛性制御を備えた家具と、静電ドアロック等の家屋および建築構成材と、キーボードおよび点字器具等の能動フィードバックを備えたデバイスと、サスペンション、衝撃吸収材/クランプルゾーン、静電ブレーキ、およびシートベルト等の自動車における多くの用途とが含まれる。
【0212】
本発明は、触手タイプのロボット、またはその他の長細い再構成可能な構造での使用にも適している。メタ材料は、触手を所望の位置または構造にロックできる。クランプ時、メタ材料は、触手の剛性を増加させる。触手ロボットは、一個以上の電気モータ等、任意の適切なアクチュエータを使用してよい。一実施形態において、触手は、一個以上の電気活性ポリマアクチュエータとメタ材料とを利用する。電気活性ポリマは、単純で軽量だが、高度な関節式蛇状構造を提供する。
【0213】
触手ロボットは、管状メタ材料に配置された、ロール型電気活性ポリマアクチュエータを含んでよい(図2Kないし図2L参照)。ロール型電気活性ポリマは、電気エネルギと機械エネルギとの間で転換し、ロール型電気活性ポリマと、少なくとも二つの電極とを含み、機械/電気エネルギの転換を提供する。ロール型電気活性ポリマデバイスは、直線的な軸方向での伸長/収縮と、屈曲と、伸長および屈曲の両方を組み合わせる多重自由度アクチュエータとを含め、多数の形で作動するように構成できるコンパクトな電気活性ポリマデバイス設計を可能にする。ロール型電気活性ポリマは、更に、多層電気活性ポリマデバイスを取得するための単純な代替方法を提供する。一実施形態において、ロール型電気活性ポリマデバイスは、ポリマを歪ませる力を提供するバネ等の機構を利用する。ロール型電気活性ポリマデバイスの更なる説明は、同一発明者の係属特許第10/793,401号に含まれており、これは参照により全体をあらゆる目的で組み込むものとする。
【0214】
こうした触手ロボットは、様々なサイズおよび用途への拡張が可能である。触手のサイズは、例えば、数ミリメートルから数メートルの長さに変化させてよい。ロボットは、基盤となる作動体系により決定される任意の数の自由度(DOF)を含んでもよい。長い触手ロボットは、例えば、宇宙用途および宇宙船の軌道上診断および修理に有用である(図9のシステム400)。メタ材料を利用する短い触手ロボットは、エンドエフェクタ、指、蛇状ロボット等、他のロボット用途に最適となる。
【0215】
一実施形態において、触手ロボットは、一つ以上の螺旋エレクトロラミネートメタ材料設計を含む。図10Aないし図10Cは、三種類の例示的な螺旋メタ材料設計を示している。最初に図10Aを参照すると、第一の螺旋および管状メタ材料250の断面図が図示されている。
【0216】
メタ材料250は、上方電極254と下方電極256とが同じ側に配置された内部誘電リボン252を含む(両電極のために厚さを誇張している)。コイルリボン252は、静電クランプ電圧が電極254および256を介して印加されないとき、屈曲または伸張し得る変形可能構造を形成する。リボン252は(この例では底部から上部へ)巻かれているため、下方電極256は、以前に巻いた上方電極254に重複する。これにより、メタ材料250全体で螺旋を成す、一つの伸長された活性化要素が形成される。二つの電極254および256間に静電クランプ電圧の差が存在する時、リボン252の層は、静電気により互いに付着してクランプし、結果として実質的に剛体の管が生じる。静電クランプ電圧を取り除くと、隣接するコイルは互いを越えて摺動し、変形可能構造の屈曲および/または伸張を可能にし得る。
【0217】
図10Bは、本発明の別の実施形態による別のコイルメタ材料270の断面図を示している。メタ材料270は、管状軸274に沿って重複する内部誘電リボン272を含む。各コイル272は、絶縁層276と、絶縁層276の外面に配置された多数の電極277および278とを含む。更に詳しくは、層276は、面上で極性が交互となる二つの電極277aおよび277cと二つの電極278bおよび278dとを含む。電極277および電極278は、異なる電気的接続性を有する。例えば、電極278は、全て接地してよい。層272がコイル状であるため、ある層272上の電極277は、別の層272上の他方の極性の電極278と重複する。電極277および電極278を使用して、絶縁層276に渡って静電クランプ電圧を印加し得る。エレクトロラミネートの多重層272を提供することで、メタ材料270は、メタ材料250よりも潜在的に高剛性で強固な管状のシースを提供する。
【0218】
図10Cは、本発明の別の特定の実施形態による第三の管状メタ材料290の断面図を示している。メタ材料290は、メタ材料270に類似する管状軸に沿って重複する内部誘電リボン292を含む。しかしながら、この場合、各コイル292は、四つの電極A、B、C、およびDを含む。層292は、i)ある層292上の電極Aが別の層292上の電極Cに重複し、ii)BがDに重複するように、コイル状にする。上記のように、多数の電極対でAC信号を使用することにより、誘電または絶縁層における電荷の蓄積を回避できる。例えば、A−C電極対は、常に少なくとも50%の面積でのクランプを維持するために、B−D電極対と位相をずらして(例えば、90°または他の適切な時間差で)加圧する。
【0219】
第四のコイル化した管状のバリエーション(図示なし)では、単一の電極を使用し、連続するコイルは必ずしも重複しない。第二の電極は、軟質の管状または円筒基材に配置される(図2Fの設計に類似した、電気活性ポリマロールの最外層の電極)。これら二つの電極間に電圧を印加すると、シースは、軟質機材をクランプし、硬質管状構造を形成する。一実施形態において、電極間の絶縁層は、軟質機材の外側またはメタ材料シースの内側に存在する。
【0220】
これら四種類のバリエーションには代替設計が存在する。例えば、メタ材料管は、浅い角度および多数のコイル、あるいは急な角度と少数のコイルを有することができる。一定の長さの場合、前者は、エレクトロラミネートが不活性であるとき、より高い柔軟性を有する可能性が高いが、その領域での重複面積の薄さのため、強度も低くなると思われる。
【0221】
メタ材料を電気活性ポリマロールまたは他の管状要素に統合する別の実施形態は、電気活性ポリマロールの周囲のかご構造である。かごの各側面は、活性化層に包まれ、導電線付きのシースの内側および外側へスライドする導電性の舌部を含んでよい。例えば、各側面は、ポリイミドに包まれ、銅線付きのシース内にスライドする銅製舌部を含んでよい。非活性化時、舌部がシースの外へ出る際に、電気活性ポリマロールは屈曲可能となる。活性化された場合、舌部はロックされ、電気活性ポリマロールの屈曲または軸線方向の伸長を防止する。
【0222】
上記の多数の実施形態は、全て薄いシートまたは円筒形に形成できるため、こうした管状構造にも統合し得ることは認識されよう。
【0223】
本発明の一実施形態は、メタ材料を含む物体の形状変化を促進することである。一実施形態において、本発明は、活性化用を非活性化し、物体の形状を変化させる前にメタ材料の剛性を減少させる。物体は、アクチュエータおよび/または環境からのエネルギを使用して形状を変化させ得る。新形状が達成された後、活性化用を作動させ、新形状を剛性が増加した状態でロックする。こうした形状変化能力は、ロボット工学および航空学等、多数の用途において有用である。
【0224】
以上、本発明について、幾つかの好適な実施形態により説明してきたが、簡潔さのために省略した、本発明の範囲に含まれる変更、置換、および等価物が存在する。例えば、本発明について、幾つかの特定の電極材料により説明してきたが、本発明は、こうした材料に限定されず、一部の例においては、空気を電極として含み得る。したがって、本発明の範囲は、添付特許請求の範囲を参照して画定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタ材料であって、
変形可能または再構成可能な構造と、
それぞれがa)前記変形可能構造と結合し、b)活性化機構に関与する構成を含み、c)第一の活性化状態と第二の活性化状態との間で変化するように構成された、一組の活性化要素と、を備え、
前記メタ材料は、前記活性化要素の少なくとも一つが前記第一の活性化状態にあるとき、ある機械的特性について第一の値を有し、前記メタ材料は、前記少なくとも一つの活性化要素が前記第二の活性化状態へ活性化されたとき、前記機械的特性について第二の値を有する、メタ材料。
【請求項2】
前記変形可能構造は、柔軟層を備える、請求項1記載のメタ材料。
【請求項3】
各活性化要素は、前記変形可能構造の剛性より大きな剛性を有する剛構成を含む、請求項1記載のメタ材料。
【請求項4】
各活性化要素は、屈曲可能だが伸長可能ではない、請求項3記載のメタ材料。
【請求項5】
各活性化要素は、隣接する活性化要素と、少なくとも部分的に横方向で重複する、請求項3記載のメタ材料。
【請求項6】
各活性化要素は、前記剛構成の一表面に配置された電極を含む、請求項3記載のメタ材料。
【請求項7】
各活性化要素は、更に、前記電極と、a)隣接する活性化要素またはb)前記変形可能構造のいずれかとの間に配置された絶縁層を含む、請求項6記載のメタ材料。
【請求項8】
活性化要素の第一のサブセットは、前記柔軟層の第一の表面に付着し、活性化要素の第二のサブセットは、前記第一の表面の反対側である、前記柔軟層の第二の表面に付着する、請求項3記載のメタ材料。
【請求項9】
前記第一のサブセット内の活性化要素は、前記少なくとも一つの活性化要素が前記第二の活性化状態へ活性化された時、前記第二のサブセット内の活性化要素に横方向で重複する、請求項1記載のメタ材料。
【請求項10】
前記一組の活性化要素に含まれる各活性化要素は、前記第二の活性化状態で静電クランプを含む、請求項1記載のメタ材料。
【請求項11】
前記メタ材料は、前記一組の活性化要素に含まれる前記活性化要素の一つ以上の活性化により、前記第一の値と前記第二の値との間にある前記機械的特性の第三の値が可能となるように構成される、請求項1記載のメタ材料。
【請求項12】
前記メタ材料は、前記活性化要素の前記少なくとも一つが前記第一の活性化状態にあるとき、第一の形状を含み、前記活性化要素の前記少なくとも一つが前記第二の活性化状態へ活性化されたとき、第二の形状を含む、請求項1記載のメタ材料。
【請求項13】
前記機械的特性は、靭性、弾性係数、剛性、減衰、形状、および復元力の一つである、請求項1記載のメタ材料。
【請求項14】
更に、前記活性化要素の前記少なくとも一つが前記第二の活性化状態へ活性化されたとき前記メタ材料の位置を維持するのに必要なエネルギを低減するロック機構を備える、請求項1記載のメタ材料。
【請求項15】
前記活性化要素は、前記変形可能構造と部分的に結合する、請求項1記載のメタ材料。
【請求項16】
前記メタ材料は、二つの材料の合成物を備え、前記二つの材料の一方は、活性または内在的可変材料を含み、前記一つ以上の活性化要素は、前記活性または内在的可変材料に含まれる、請求項1記載のメタ材料。
【請求項17】
更に、前記一組の活性化要素に含まれる各活性化要素との独立した電気的接続を備える、請求項1記載のメタ材料。
【請求項18】
各活性化要素は、前記変形可能構造に付着する、請求項1記載のメタ材料。
【請求項19】
前記変形可能構造の表面は、平坦ではない、請求項1記載のメタ材料。
【請求項20】
前記第二の状態は、前記第一の状態における前記活性化要素間の接続性とは異なる前記活性化要素間の接続性を含む、請求項1記載のメタ材料。
【請求項21】
前記メタ材料は、前記少なくとも一つの活性化要素が前記第二の活性化状態へ活性化されたとき、前記少なくとも一つの活性化要素が前記第一の状態である時の前記メタ材料の形状とは異なる形状を含む、請求項1記載のメタ材料。
【請求項22】
メタ材料であって、
変形可能構造と、
それぞれがa)前記変形可能構造と結合し、b)剛構成を含み、c)第一の活性化状態と第二の活性化状態との間で変化するように構成された、一組の活性化要素と、を備え
前記メタ材料は、前記活性化要素の少なくとも一つが前記第一の活性化状態にあるとき、第一の剛性を有し、前記メタ材料は、前記少なくとも一つの活性化要素が前記第二の活性化状態へ活性化されたとき、第二の剛性を有する、メタ材料。
【請求項23】
前記変形可能構造は、柔軟層を備える、請求項22記載のメタ材料。
【請求項24】
前記剛構成は、前記変形可能構造の剛性より大きな剛性を有する、請求項22記載のメタ材料。
【請求項25】
各活性化要素は、屈曲可能だが伸長可能ではない、請求項24記載のメタ材料。
【請求項26】
各活性化要素は、隣接する活性化要素と、少なくとも部分的に横方向で重複する、請求項24記載のメタ材料。
【請求項27】
各活性化要素は、前記剛構成の一表面に配置された電極を含む、請求項24記載のメタ材料。
【請求項28】
各活性化要素は、更に、前記電極と、a)隣接する活性化要素またはb)前記変形可能構造のいずれかとの間に配置された絶縁層を含む、請求項27記載のメタ材料。
【請求項29】
活性化要素の第一のサブセットは、前記柔軟層の第一の表面に付着し、活性化要素の第二のサブセットは、前記第一の表面の反対側である、前記柔軟層の第二の表面に付着する、請求項24記載のメタ材料。
【請求項30】
前記第一のサブセット内の活性化要素は、前記第二のサブセット内の活性化要素に横方向で重複する、請求項29記載のメタ材料。
【請求項31】
更に、前記一組の活性化要素に含まれる各活性化要素との独立した電気的接続を備える、請求項22記載のメタ材料。
【請求項32】
前記一組の活性化要素に含まれる各活性化要素は、前記第二の活性化状態で静電クランプを含む、請求項22記載のメタ材料。
【請求項33】
前記静電クランプの強度は、前記第二の剛性を限定する、請求項32記載のメタ材料。
【請求項34】
前記一組の活性化要素は、機械的に冗長である、請求項32記載のメタ材料。
【請求項35】
前記メタ材料は、前記一組の活性化要素に含まれる前記活性化要素の一つ以上の活性化により、前記第一の剛性と前記第二の剛性との間にある第三の剛性が可能となるように構成される、請求項22記載のメタ材料。
【請求項36】
前記メタ材料は、前記活性化要素の前記少なくとも一つが前記第一の活性化状態にあるとき、第一の形状を含み、前記活性化要素の前記少なくとも一つが前記第二の活性化状態へ活性化されたとき、第二の形状を含む、請求項22記載のメタ材料。
【請求項37】
前記第二の剛性は、活性化された活性化要素の数および位置により調整可能である、請求項22記載のメタ材料。
【請求項38】
各剛構成は、約100MPaより大きな弾性係数を有する、請求項37記載のメタ材料。
【請求項39】
前記第一の剛性は、約10MPaより小さく、前記第二の剛性は、約100MPaより大きい、請求項37記載のメタ材料。
【請求項40】
メタ材料であって、
変形可能構造と、
それぞれがa)剛構成を含み、b)変形可能構造と結合し、c)外部入力に応答して第一の活性化状態と第二の活性化状態との間で変化するように構成された、一組の活性化要素と、を備え、
前記メタ材料は、前記活性化要素の少なくとも一つが前記第一の活性化状態にあるとき、第一の減衰係数を有し、前記メタ材料は、前記少なくとも一つの活性化要素が前記第二の活性化状態へ活性化されたとき、第二の減衰係数を有する、メタ材料。
【請求項41】
各活性化要素は、前記変形可能構造の剛性より大きな剛性を有する剛構成を含む、請求項40記載のメタ材料。
【請求項42】
各活性化要素は、前記剛構成の一表面上に配置された電極を含む、請求項41記載のメタ材料。
【請求項43】
前記一組の活性化要素に含まれる各活性化要素は、前記第二の活性化状態において、減衰中の外力に耐えるのに十分ではない強さの静電クランプを含む、請求項40記載のメタ材料。
【請求項44】
メタ材料であって、
変形可能構造と、
前記変形可能構造に結合された剛構成をそれぞれが含む、一組の活性化要素と、を備え、
前記メタ材料は、前記活性化要素の少なくとも一つが別の活性化要素に対して静電クランプされないとき、ある機械的特性について第一の値を有し、前記メタ材料は、前記少なくとも一つの活性化要素が別の活性化要素に対して静電クランプされたとき、前記機械的特性について第二の値を有する。
【請求項45】
前記剛構成は、導電材料を備える、請求項44記載のメタ材料。
【請求項46】
前記剛構成は、前記変形可能構造と結合する結合部と、静電クランプ部とを備える、請求項44記載のメタ材料。
【請求項47】
更に、前記剛構成に取り付けられた電極を備える、請求項44記載のメタ材料。
【請求項48】
各活性化要素は、隣接する活性化要素と、少なくとも部分的に横方向で重複する、請求項44記載のメタ材料。
【請求項49】
各活性化要素は、更に、前記電極と、a)隣接する活性化要素またはb)前記変形可能構造のいずれかとの間に配置された絶縁層を含む、請求項48記載のメタ材料。
【請求項50】
前記変形可能構造は、柔軟層を備える、請求項44記載のメタ材料。
【請求項51】
活性化要素の第一のサブセットは、前記柔軟層の第一の表面に付着し、活性化要素の第二のサブセットは、前記第一の表面の反対側である、前記柔軟層の第二の表面に付着する、請求項50記載のメタ材料。
【請求項52】
前記第一のサブセット内の活性化要素は、前記第二のサブセット内の活性化要素に横方向で重複する、請求項51記載のメタ材料。
【請求項53】
更に、前記一組の活性化要素に含まれる各活性化要素との独立した電気的接続を備える、請求項44記載のメタ材料。
【請求項54】
各活性化要素は、前記変形可能構造に付着する、請求項44記載のメタ材料。
【請求項55】
前記変形可能構造の表面は、平坦ではない、請求項44記載のメタ材料。
【請求項56】
変形可能構造と、前記変形可能構造に結合された一組の活性化要素とを備えるメタ材料の機械的特性を制御する方法であって、
少なくとも一つの活性化要素を、第一の活性化状態から第二の活性化状態へ活性化するステップを備え、
前記メタ材料は、前記少なくとも一つの活性化要素が前記第一の活性化状態にあるとき、ある機械的特性について第一の値を有し、前記メタ材料は、前記少なくとも一つの活性化要素が前記第二の活性化状態へ活性化されたとき、前記機械的特性について第二の値を有する方法。
【請求項57】
前記少なくとも一つの活性化要素を活性化させるステップは、前記少なくとも一つの活性化要素に静電クランプ電圧を印加するステップを備える、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記一組の活性化要素は、機械的に冗長である、請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記静電クランプ電圧は、AC信号を含む、請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記機械的特性は、靭性、弾性係数、剛性、減衰、形状、および復元力の一つである、請求項56記載の方法。
【請求項61】
更に、前記少なくとも一つの活性化要素を第三の活性化状態へ活性化するステップを備え、前記メタ材料は、前記一つの活性化要素が前記第三の活性化状態にある時、前記機械的特性の第三の値を有する、請求項56記載の方法。
【請求項62】
各活性化要素は、隣接する活性化要素と、少なくとも部分的に横方向で重複する、請求項56記載の方法。
【請求項63】
前記変形可能構造の表面は、平坦ではない、請求項56記載の方法。
【請求項64】
前記第二の状態は、前記第一の状態における前記活性化要素間の接続性とは異なる前記活性化要素間の接続性を含む、請求項56記載の方法。
【請求項65】
前記メタ材料は、前記少なくとも一つの活性化要素が前記第二の活性化状態へ活性化されたとき、前記少なくとも一つの活性化要素が前記第一の状態である時の前記メタ材料の形状とは異なる形状を含む、請求項56記載の方法。
【請求項66】
変形可能構造と、前記変形可能構造に結合された一組の活性化要素とを備えるメタ材料の形状を変化させる方法であって、
一つ以上の活性化要素を、少なくとも部分的に非活性化するステップと、
前記メタ材料が新形状となるように、前記変形可能構造に力を加えるステップと、
前記メタ材料が前記新形状となるとき、一つ以上の活性化要素を活性化するステップとを備える方法。
【請求項67】
前記活性化要素は、前記変形可能構造を動かす外力に前記メタ材料が追従するように非活性化される、請求項66記載の方法。
【請求項68】
前記活性化要素は、前記メタ材料の剛性が第一の剛性から第二の剛性に減少するように非活性化される、請求項66記載の方法。
【請求項69】
前記第一の剛性は、約100MPaより大きく、前記第二の剛性は、約10MPaより小さい、請求項66記載の方法。
【請求項70】
前記メタ材料は、飛行機または他の航空機、自動車または他の陸上車またはロボット、矯正器具、人工装具、または無人システムの一つに含まれる、請求項66記載の方法。
【請求項71】
前記一つ以上の活性化要素を活性化するステップは、一つ以上の活性化要素に静電クランプ電圧を印加するステップを備える、請求項66記載の方法。
【請求項72】
変形可能構造と、前記変形可能構造に結合された一組の活性化要素とを備えるメタ材料を使用してエネルギを吸収する方法であって、
少なくとも一つの活性化要素を、第一の活性化状態から第二の活性化状態へ活性化するステップを備え
前記メタ材料は、前記少なくとも一つの活性化要素が前記第一の活性化状態にあるとき、ある機械的特性について第一の値を有し、前記メタ材料は、前記少なくとも一つの活性化要素が前記第二の活性化状態へ活性化されたとき、前記機械的特性について第二の値を有し、
前記変形可能構造が変形するように、前記メタ材料に力を加えるステップを備える方法。
【請求項73】
前記少なくとも一つの活性化要素を活性化させるステップは、前記少なくとも一つの活性化要素に静電クランプ電圧を印加するステップを備える、請求項72記載の方法。
【請求項74】
前記機械的特性は、靭性、弾性係数、剛性、減衰、形状、および復元力の一つである、請求項72記載の方法。
【請求項75】
各活性化要素は、隣接する活性化要素と、少なくとも部分的に横方向で重複する、請求項72記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図2K】
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【図2L】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−187928(P2012−187928A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−104495(P2012−104495)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【分割の表示】特願2007−502971(P2007−502971)の分割
【原出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(501228071)エスアールアイ インターナショナル (66)
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
【Fターム(参考)】