説明

機能ラベル及びそれを用いた使用方法

【課題】 隠蔽された情報を手作業で、ラベルを剥がして、その情報を見るような手間がかからず、使用しやすく、また隠蔽する領域と、透明化して情報確認できる領域とを選定することができる機能ラベル及びそれを用いた使用方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 透明化インキにより印刷、形成された透明部6を有する用紙2の一方の面に、常温で有色であり、加温あるいは加熱によって透明化する示温インキによる印刷部3を設け、該用紙2の他方の面に粘着剤層4を設け、さらに該粘着剤層4を覆うように、保護紙5が設けられた構成の機能ラベル1であり、前記の示温インキによる印刷部3が加温あるいは加熱により透明化することで、下に位置する用紙2の透明部6を透視することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能ラベル及びそれを用いた使用方法に関し、特に、隠蔽された情報を手作業で、ラベルを剥がして、その情報を見るような手間がかからず、使用しやすく、また隠蔽する領域と、透明化して情報確認できる領域とを選定することができる機能ラベル及びそれを用いた使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の隠蔽ラベルは、基材に粘着剤を設けた構成で、その粘着剤に再粘着再剥離する粘着剤を使用し、隠蔽情報を覆うように、隠蔽ラベルを貼り付けていて、隠蔽情報を確認するには、そのラベルを剥して内容を見ていた。この作業は手作業となり大量作業には不向きである。
【0003】
また、他の隠蔽方法として、特許文献1、2に示されるように、透明フィルムなどに示温インキを塗布し、温度変化により、隠蔽していた情報を確認できるようにした隠蔽ラベルも考えられるが、プラスチックフィルムである透明フィルムの使用後の処分で有害成分を発するなどの問題がある。はじめから透明である基材の材料を使うため、透明化する領域の範囲を限定できない。
別の問題として、また、上記の示温インキは入手や取り扱いが一般的ではないため、社会にそれほど浸透していない問題もある。
【特許文献1】特開平11−73110号公報
【特許文献2】特開2006−347103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、隠蔽された情報を手作業で、ラベルを剥がして、その情報を見るような手間がかからず、使用しやすく、また隠蔽する領域と、透明化して情報確認できる領域とを選定することができる機能ラベル及びそれを用いた使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の機能ラベルは、請求項1として、透明化インキにより印刷、形成された透明部を有する用紙の一方の面に、常温で有色であり、加温あるいは加熱によって透明化する示温インキによる印刷部を設け、該用紙の他方の面に粘着剤層を設け、さらに該粘着剤層を覆うように、保護紙が設けられたことを特徴とするものである。
また、請求項2として、前記の示温インキによる印刷部が加温あるいは加熱により透明化することで、下に位置する用紙の透明部が透視できることを特徴とするものである。
【0006】
また、請求項3として、前記の示温インキによる印刷部が、常温で有色であり、33〜37℃の温度によって透明化することを特徴とするものである。
請求項4として、前記の示温インキによる印刷部が、常温で有色であり、50〜190℃の温度によって透明化することを特徴とするものである。
【0007】
請求項5として、本発明の機能ラベルを用いた使用方法は、透明化インキにより印刷、形成された透明部を有する用紙の一方の面に、常温で有色であり、加温あるいは加熱によって透明化する示温インキによる印刷部を設け、該用紙の他方の面に粘着剤層を設け、さらに該粘着剤層を覆うように、保護紙が設けられた構成の機能ラベルを使用し、隠蔽すべき情報が記載された物品に、保護紙を剥がして、該情報を覆うように粘着剤層により機能ラベルを貼り付け、常温では該情報が隠蔽されている状態から、前記の示温インキによる印刷部を加温あるいは加熱することにより、該印刷部が透明化し、前記用紙の透明部を通して、下に位置する物品に記載された情報を可視できることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の機能ラベルは、透明化インキにより印刷、形成された透明部を有する用紙の一方の面に、常温で有色であり、加温あるいは加熱によって透明化する示温インキによる印刷部を設け、該用紙の他方の面に粘着剤層を設け、さらに該粘着剤層を覆うように、保護紙が設けられた構成で、示温インキによる印刷部が加温あるいは加熱により透明化することで、下に位置する用紙の透明部を透視できるものである。これにより、隠蔽ラベルを手で剥がして、隠蔽された情報を見るような手間がかからない。特に、熱処理による示温インキの透明化で、情報確認ができるため、機械による自動化が容易となる。
【0009】
示温インキによる印刷部が常温では有色であり、隠蔽する機能を有しており、その印刷部の隠蔽する領域と、用紙の透明化インキによる透明部の領域を組み合わせて、その隠蔽領域を加温あるいは加熱して、透明化させ、またその透明化した部分の下の用紙の透明部を通して、機能ラベルを貼り付けて隠蔽されていた情報(物品上の)が可視できる。この際に、示温インキの印刷部の領域、あるいはその印刷部の加温あるいは加熱する領域を設定して、透明化する部分を選定して、さらにその透明化した部分の下の用紙の透明化インキによる透明部の領域を調整して、示温インキによる透明化する部分と、用紙の透明化インキによる透明部の領域の大きさを適宜設計できる。
【0010】
本発明における機能ラベルは、基材として、プラスチックフィルムである透明フィルムを用いずに、パルプを主体とした用紙を使用することで、ラベルの使用後の処分で有害成分を発するなどの問題が生じない。さらに、用紙の透明化インキで形成される透明部は、その形成する印刷パターンを適宜変更することで、簡単に透明化の領域を限定し、また変更することができる。
情報の隠蔽する手段として、示温インキを印刷することを一般の人が行なうことなく、本発明の機能ラベルを、粘着剤層により任意の物品に貼り付けて、示温インキ印刷部を加温あるいは加熱するだけで、隠蔽された情報を可視、認識できるので、一般家庭で、使いやすい有効なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に本発明の機能ラベルの一つの実施形態を示す概略図を示す。用紙2に透明化インキによる印刷、形成された透明部6が一定箇所に設けられている。その用紙2の一方の面に、透明部6の大きさよりも大きい面積で、常温で有色であり加温あるいは加熱によって透明化する示温インキによる印刷部3が形成されている。また、該用紙2の他方の面の全面に、粘着剤層4を設け、さらに該粘着剤層4を覆うように、保護紙5が設けられている。
【0012】
図2に本発明の機能ラベルの他の実施形態を示す概略図を示す。用紙2に透明化インキによる印刷、形成された透明部6が分断されて、パターン状に設けられている。その用紙2の一方の面に、該透明部6の全てを覆うような形態で、常温で有色であり加温あるいは加熱によって透明化する示温インキによる印刷部3が形成されている。また、該用紙2の他方の面の全面に、粘着剤層4を設け、さらに該粘着剤層4を覆うように、保護紙5が設けられた構成である。
【0013】
図3には、本発明の機能ラベルを用いた使用方法を説明する概略図を示す。機能ラベル1として、図1に示すような構成のものを用いて、その機能ラベル1の保護紙5を剥がして、粘着剤層4の露出した機能ラベル1を用意する。そして、隠蔽すべき情報8が記載された物品7に対して、その情報8を覆うように、前記の機能ラベル1を粘着剤層4により貼り付ける。これにより、常温では有色である示温インキによる印刷部3が、前記の情報8を隠蔽した状態にさせる。次に、前記の示温インキによる印刷部3を、ホットスタンプ等の手段により、加温あるいは加熱させて、該印刷部3を透明化し、用紙2、粘着剤層4を透過して、物品7上に記載された情報8を可視することができる。
【0014】
図4には、本発明の機能ラベルを用いた別の使用方法を説明する概略図を示す。機能ラベル1として、図1に示すような構成のものを用いて、その機能ラベル1の保護紙5を剥がして、粘着剤層4の露出した機能ラベル1を用意する。そして、隠蔽すべき情報8が記載された物品7に対して、その情報8を覆うように、前記の機能ラベル1を粘着剤層4により貼り付ける。これにより、常温では有色である示温インキによる印刷部3及びラベル用紙2が、前記の情報8を隠蔽した状態にさせる。但し、図4の場合では、示温インキによる印刷部3により、情報8の一部である(外側部)の情報8´を除いた情報を隠蔽し、示温インキによる印刷部3が施されていない両端部のラベル用紙2が、情報8の一部である(外側部)の情報8´を隠蔽させる。次に、前記の示温インキによる印刷部3を、ホットスタンプ等の手段により、加温あるいは加熱させて、該印刷部3を透明化し、用紙2、粘着剤層4を透過して、物品7上に記載された情報、すなわち図4では、情報8から両端の情報8´と情報8″を除いた部分の情報を可視することができる。そして、その状態から、機能ラベル1を物品7から剥がすことにより、それまで隠蔽されていた情報8´と情報8″を可視できるようになる。尚、この場合は、機能ラベル1の粘着剤層4は、弱接着タイプを用いて、機能ラベルを物品に貼り付けた後、剥がせるようにするものである。
【0015】
以下、本発明の機能ラベルを構成する各要件について、詳細に説明する。
(用紙)
本発明の機能ラベルにおける用紙2は、天然パルプ、合成パルプ、それらの混合物から抄紙されるパルプ紙等が挙げられ、いずれでも使用できる。例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、熱転写用紙、ケント紙等が使用される。その用紙の厚みは、20〜150μm程度の厚みが好ましい。
【0016】
(透明部)
上記の用紙には、透明化インキを印刷することにより、透明部6が形成されている。透明化インキは、用紙にゴム凸版やグラビア版等を用いる印刷手段などにより、所望のパターン状に塗布した後、加熱乾燥することにより含浸させると共に不要な揮発成分を除いて、用紙に固定し、同時に用紙を透明化させるために用いるものである。したがって、通常の印刷インキとは異なり、着色のための色材は使用せず、含浸により用紙を透明化するために有効で、且つ、黄変性の少ない脂環族飽和炭化水素系樹脂、ワックス等を主成分とし、これを塗布・含浸に適した液状とするため、溶剤を加えた系で透明化インキを構成することが好ましい。
【0017】
また、上記の透明化インキの構成成分には、更に、塗布部の柔軟性、及び、表面の強度や滑性など表面性を調整するために、乾性油、半乾性油、不乾性油などの油脂、および脂肪酸などを添加することが更に好ましい。このような透明化インキの樹脂としては、脂環族飽和炭化水素が使用でき、中でも芳香族飽和炭化水素樹脂が好ましい。これらの樹脂は、含浸により用紙を透明化すると同時に耐黄変性においても良好な性能を有している。ワックスとしては、パラフィンワックスが好ましく、特に、融点120〜140°F(華氏)程度の範囲のパラフィンワックスが好ましい。このようなワックスは、上記の樹脂と同様に用紙を透明化し、耐黄変性にも優れ、更に、上記樹脂の粘着性を抑制し、耐ブロッキング性を付与するものである。
【0018】
また、透明化インキは、紫外線硬化型の樹脂を用いたものでもよく、用紙に含浸して透明化するものであれば、透明化インキは浸透乾燥タイプ、酸化重合タイプ、紫外線硬化タイプ、あるいは、これらのタイプを組み合わせた複合タイプを採用することができる。このような透明化インキによる透明部は、印刷により、乾燥状態で1〜50g/m2程度の厚さで形成することができる。
【0019】
(示温インキによる印刷部)
本発明の機能ラベルは、上記に記載した透明部を有する用紙の一方の面に、示温インキによる印刷部3が形成されている。その示温インキは、常温では有色であり、加温あるいは加熱によって透明化するものである。常温、すなわち外気温を超えない温度であり、15〜25℃の温度下において、赤色、黄色、青色、黒色等の有色の色相を有し、その常温よりも高い温度で、透明化するインキが、示温インキを意味する。
【0020】
示温インキは、例えば、芯物質として電子供与性呈色染料と電子受容性顕色剤と極性有機化合物とからなる示温剤を用い、これを壁膜で被覆した構造を有する示温剤マイクロカプセルを一般的なインキ用ビヒクルに配合したものであって、設定された臨界温度を境にして可逆的あるいは不可逆的に色が変化するインキである。不可逆タイプの示温インキは、温度が臨界温度を超えた場合に色が変化して透明化し、その後、温度が臨界温度よりも低くなって常温になっても元の色には戻らない。この場合は、常温における色が透明化して、変化したことの履歴が残るものである。
【0021】
可逆タイプの示温インキは、温度が臨界温度を超えた場合に色が変化し、その後、温度が臨界温度よりも低くなって常温になった場合に元の色に戻る。この場合は、不可逆タイプのように、常温における色が透明化して、変化したことが履歴として残るものではないが、加温あるいは加熱された時のみ、透明化し、常温になれば、元の色に戻って、情報を隠蔽できるので、不特定多数の人に見られることを防止できる。本発明の機能ラベルで使用される示温インキは、上述した可逆タイプのものでも不可逆タイプのものでも、いずれのものでもよい。示温インキが加温あるいは加熱されて、透明化する際、その透明化する開始温度が、臨界温度であり、その臨界温度が、33〜37℃の場合では、特別の加温のための装置を必要とせずに、示温インキの印刷部3を指で擦るだけ、簡単にその印刷部を透明化することができる。上記の示温インキによる印刷部は、常温で有色であり、上記の33〜37℃の温度によって透明化するものであるが、詳しくはその示温インキによる印刷部の表面温度が、指で数回往復して擦ることで、体温の数値近くまで、到達することを意味する。
【0022】
また、示温インキの臨界温度が50〜190℃の場合は、ホットスタンプ、サーマルヘッド等の加熱手段を用いることで、示温インキの印刷部の表面温度を、その臨界温度に到達させることにより、示温インキの印刷部を透明化するものである。示温インキの着色された有色状態から透明化する(無色となる)状態に変化する臨界温度は、用紙の耐熱性等を考慮して、示温インキを構成する材料を選定して、適宜設定することができる。但し、上記の臨界温度が体温近くである示温インキを用いた機能ラベルでは、保管及び取り扱いで、直射日光下や暖房機の近く等の条件で、保管する温度が常温より高くなって、その臨界温度を超えないように注意する必要がある。
【0023】
示温インキを構成する材料としては、例えば、コレステリック系液晶、スピラン系化合物、金属塩化合物等の示温材料を示温顔料とし、固相反応、熱分解、脱水、電子供与体受容体の電子授受、結晶構造の変化等を利用してその色が変化するものが挙げられる。これらの構成材料とインキ化するための必要な材料を加え、ゴム凸版やグラビア版等を用いる印刷手段などにより、所望のパターン状に印刷して、示温インキによる印刷部が形成される。上記の示温インキによる印刷部は、乾燥状態で0.5〜50g/m2程度の厚さで形成することができる。
【0024】
(粘着剤層)
本発明の機能ラベルで用いられる粘着剤層4は、アクリル系接着剤、天然ゴム系接着剤、合成ゴム系接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、ウレタン系接着剤、オレフィン系接着剤、シリコーン系接着剤等を適宜用いて、また、さらにインキ化するための必要な材料を加え、ゴム凸版やグラビア版等を用いる印刷手段などにより、所望のパターン状に印刷して、粘着剤層が形成される。その粘着剤層は、乾燥状態で1〜50g/m2程度の厚さで形成することができる。
【0025】
粘着剤層は、隠蔽すべき情報が記載された物品に、機能ラベルを貼り付けるために使用するものであるが、その物品との接着強度により、強接着タイプと弱接着タイプに分けることができ、そのいずれでも使用することができる。粘着剤層における接着強度の強弱の区別をとるには、例えば、粘着剤層の厚さに差をつけて調整する、あるいは接着力を低下させる接着力調整剤を添加して調整すればよい。この接着力調整剤としては、微小硬質物質、例えばシリカゲル、コーンスターチ等の微粒子を挙げることができる。但し、本発明では、機能ラベルを物品に貼り付けて、示温インキによる印刷部を加温あるいは加熱することにより、該印刷部が透明化し、用紙の透明部を通して、下に位置する物品に記載された情報を可視できるように、本発明で使用する粘着剤層は、透明性を有するものである。したがって、上記の接着力調整剤は、数μmの粒径で添加率も低めにして、また粘着剤層の厚さも抑えて、粘着剤層の透明性を高める必要がある。
【0026】
上記の強接着タイプの粘着剤層は、物品に機能ラベルを、その粘着剤層で貼り付けた後に、機能ラベルを剥離することが困難なものであり、無理に剥がそうとしても、機能ラベルが破れてしまう。また、弱接着タイプの粘着剤層は、物品に機能ラベルを、その粘着剤層で貼り付けた後に、一旦剥がして、再度、物品に機能ラベルを、その粘着剤層により貼り付けることが可能である。
【0027】
したがって、強接着タイプの粘着剤層を用いた機能ラベルでは、隠蔽すべき情報が記載された物品に貼り付ける場合、一旦貼り付けたら剥離を意図しない用途に使用される。また、上記の弱接着タイプの粘着剤層を用いた機能ラベルでは、隠蔽すべき情報が記載された物品に貼り付ける場合、一旦物品に機能ラベルを貼り付けても、その機能ラベルを剥がして、また貼り付けることができるので、物品へ記載する情報の追記が可能となる用途等に用いることができる。
【0028】
(保護紙)
本発明の機能ラベルで用いられる保護紙5としては、グラシン紙の如き高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙又は上質紙等の原紙に目止め層を設けたもの、あるいはクラフト紙又は上質紙等にポリエチレン等の合成樹脂をラミネートしたポリラミ紙等に、溶剤型あるいは無溶剤型のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等からなる剥離剤を乾燥質量が0.05〜3g/m2程度になるように塗布後、熱硬化や電子線あるいは紫外線硬化等によって剥離剤層を形成したものが適宜使用される。
【0029】
(機能ラベルを用いた使用方法)
本発明の機能ラベルを用いた使用方法は、上記に説明した機能ラベルを使用して、隠蔽すべき情報8が記載された物品7に、保護紙を剥がして、該情報8を覆うように粘着剤層により機能ラベルを貼り付け、常温では該情報が隠蔽されている状態から、示温インキによる印刷部を加温あるいは加熱することにより、該印刷部が透明化し、前記用紙の透明部を通して、下に位置する物品に記載された情報を可視できるものである。
【0030】
上記の機能ラベルの貼り付けられる物品7としては、例えば、ハガキ、申込用紙(カード)、申請用紙(カード)等の隠蔽すべき情報として、個人情報を代表とする情報が記載されたものが挙げられる。尚、実用上、ハガキ等の貼り付けられる物品と、機能ラベルを連接した形態にして、使用時は機能ラベルを、そのハガキに貼り付けることが好ましい。また、各種の玩具に、上記の機能ラベルを貼付して、指(手)で触っただけで、隠蔽されていた情報を可視して認識させて、その玩具を使用している人に、興味をもたせたり、楽しませたりして、娯楽用途で用いることも可能である。
【0031】
また、上記の物品の表面に記載された情報8として、個人情報の例は、例えば対象者本人が手書きで記入した、あるいは電子写真方式、熱転写記録方式等のノーインパクトプリンターにより可変情報として記録した、個人名、生年月日、既婚、未婚の区別、病歴、年収、個人の意見等が挙げられる。
【実施例】
【0032】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、文中、部又は%とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。
(実施例1)
坪量64g/m2の上質紙である用紙に、芳香族飽和炭化水素樹脂100部にパラフィンワックスを15部添加し、溶剤を加えて透明化インキを調整して、その透明化インキを用いて、グラビア印刷にて、所定のパターンを印刷して、透明部を形成した。(図1参照)なお、透明化インキの塗工量は、用紙の坪量に対して、50質量%(乾燥時)に相当する、32g/m2(乾燥時)で、印刷した。
【0033】
上記の透明部を有する用紙の一方の面に、常温では赤色で、80℃の温度で透明化する示温インキを図1に示すような配置で、グラビア印刷により、印刷して、印刷部3を形成した。但し、この示温インキは、不可逆タイプのもので、温度が上記の80℃の臨界温度よりも低くなっても元の赤色には戻らないもので、示温インキによる印刷部は、乾燥状態で20g/m2の厚さで形成した。さらに、上記の用紙の示温インキの印刷部の形成された面と反対側の面に、アクリル系粘着剤を用いて、乾燥状態で20g/m2の厚さになるように、グラビア印刷で、粘着剤層を形成し、その粘着剤層を覆うように、以下に示す保護紙を積層させて、実施例1の機能ラベルを作製した。
【0034】
保護紙は、上質紙(45g/m2)にポリエチレンの合成樹脂をラミネートしたポリラミ紙のポリエチレンの面に、溶剤型のシリコーン樹脂からなる剥離剤を乾燥質量が2g/m2になるように塗布、乾燥させたものを使用した。
【0035】
アンケート用ハガキが挿入された封筒を送付された個人が、そのハガキの所定の欄に、アンケートの回答を記入し、また自分の個人情報(氏名、生年月日、既婚、未婚の区別等)を手書きで記入し、そのアンケート結果の情報及び個人情報8を隠蔽するために、上記の機能ラベルの保護紙を剥がして、該情報を覆うように粘着剤層により、図3で示すような形態になるように貼り付けた。そして、その隠蔽されたハガキを、所定の宛先に送付した。その結果、常温では上記の情報は十分に隠蔽されていた。第3者が機能ラベルを剥がして、隠蔽された情報を盗み見ようとしたが、機能ラベルと物品との接着強度が高く、機能ラベルを剥がすことが困難であった。そして、示温インキによる印刷部の表面温度が80℃に達するように、その印刷部をヒートローラにより加熱した。すると、該印刷部が透明化し、前記用紙の透明部を通して、下に位置する物品に記載された情報を可視できるようになった。この情報を可視認識できる人は、上記のハガキを、送付された所定の人であり、その情報が決められた用途に正しく使用されて処理された。
【0036】
上記の例では、隠蔽された情報を手作業で、ラベルを剥がして、その情報を見るような手間がかからないものであり、使用しやすいものであった。また、示温インキによる印刷部3と、用紙2の透明部6の配置、また物品7であるハガキの情報8の位置が、所定になるもので、上記の機能ラベルの使用する方法で何ら問題もなく、良好に取り扱いが行なわれた。
【0037】
(実施例2)
上記の実施例1で使用した用紙に、実施例1と同様にして、透明部を形成した。この透明部を有する用紙の一方の面に、常温では茶色で、34℃の温度で透明化する示温インキを、目の虹彩の形(瞳孔の小円を除いた外周の部分)で、グラビア印刷により、印刷して、印刷部を形成した。但し、この示温インキは、可逆タイプのもので、温度が上記の34℃の臨界温度よりも低くなると、元の茶色に戻るもので、示温インキによる印刷部は、乾燥状態で20g/m2の厚さで形成した。さらに、上記の用紙の示温インキの印刷部の形成された面と反対側の面に、アクリル系粘着剤を用いて、乾燥状態で20g/m2の厚さになるように、グラビア印刷で、粘着剤層を形成し、その粘着剤層を覆うように、実施例1で使用したものと同様の保護紙を積層させて、実施例2の機能ラベルを作製した。
【0038】
上記に作製した実施例2の機能ラベルを、2枚用意して、玩具である「ぬいぐるみ」の左目と右目に、機能ラベルを1枚ずつ、貼り付けた。但し、そのぬいぐるみの両目には、予め瞳孔の部分を黒色で印刷しておき、またその瞳孔の周りの虹彩部には青色で印刷しておいた。この機能ラベルを貼り付けたぬいぐるみは、目の虹彩部が茶色であったが、人の指で、目を触って数回擦っているうちに、瞳孔の周りの虹彩部の色が青色に変化するものであった。そして、目を触るのを止めてしばらくすると、虹彩部の色が茶色に戻るものであり、この「茶色」から指で触って加温されて「青色」に、また「青色」から常温に戻って「茶色」に変化することが繰り返し生じて、楽しく、遊ぶことができた。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の機能ラベルの一つの実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の機能ラベルの他の実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明の機能ラベルを用いた使用方法を説明する概略図である。
【図4】本発明の機能ラベルを用いた別の使用方法を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0040】
1 機能ラベル
2 用紙
3 示温インキによる印刷部
4 粘着剤層
5 保護紙
6 透明部
7 物品
8 情報
8´ 情報
8″ 情報


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明化インキにより印刷、形成された透明部を有する用紙の一方の面に、常温で有色であり、加温あるいは加熱によって透明化する示温インキによる印刷部を設け、該用紙の他方の面に粘着剤層を設け、さらに該粘着剤層を覆うように、保護紙が設けられたことを特徴とする機能ラベル。
【請求項2】
前記の示温インキによる印刷部が加温あるいは加熱により透明化することで、下に位置する用紙の透明部が透視できることを特徴とする請求項1に記載する機能ラベル。
【請求項3】
前記の示温インキによる印刷部が、常温で有色であり、33〜37℃の温度によって透明化することを特徴とする請求項1または2に記載する機能ラベル。
【請求項4】
前記の示温インキによる印刷部が、常温で有色であり、50〜90℃の温度によって透明化することを特徴とする請求項1または2に記載する機能ラベル。
【請求項5】
透明化インキにより印刷、形成された透明部を有する用紙の一方の面に、常温で有色であり、加温あるいは加熱によって透明化する示温インキによる印刷部を設け、該用紙の他方の面に粘着剤層を設け、さらに該粘着剤層を覆うように、保護紙が設けられた構成の機能ラベルを使用し、隠蔽すべき情報が記載された物品に、保護紙を剥がして、該情報を覆うように粘着剤層により機能ラベルを貼り付け、常温では該情報が隠蔽されている状態から、前記の示温インキによる印刷部を加温あるいは加熱することにより、該印刷部が透明化し、前記用紙の透明部を通して、下に位置する物品に記載された情報を可視できることを特徴とする機能ラベルを用いた使用方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−282169(P2009−282169A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132539(P2008−132539)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】