説明

機能性詰め物及びこれを用いた寝具類、パッド並びにサポーター

【目的】 本発明は、使用者に良質な睡眠を与え、自律神経失調症などに起因する様々な心因性疾患の予防改善を促し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減に伴うEDの改善等に対する有効な且つ新規な機能性詰め物、及びこれを用いた寝具類、パッド並びにサポーターを提供することを目的とする。
【構成】 パルプ材料に機能性材料を担持させた後、チップ状に形成したことを特徴とする機能性詰め物、及びこれを用いた寝具類、パッド並びにサポーター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた睡眠を促し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減に伴う心因性疾患やEDの改善等に対する有効な機能性詰め物及びこれを用いた寝具類、パッド並びにサポーターに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの人々が、肩こり、腰痛、ED、頸肩腕症候群、習慣性の便秘、不眠症、頭痛、頭重感、胸痛、手足の不定の痛み、背中の痛み、めまい或いは足のだるさ等の原因不明の疾患に悩まされている。
【0003】
最近では、これらの疾患は、自律神経失調症に起因するものと考えられるようになってきており、最近のIT革命によって、OA機器を導入する企業が増加し、これに伴って、コンピューターを扱う者が増えたこともひとつの要因であろうと考えられている。
【0004】
即ち、慣れないOA機器の操作や長時間同じ姿勢のままでの作業等によるストレスが作業者の自律神経機能のバランスを崩し、自律神経失調症の状態となり、これにより上述の種々の疾患が生じると考えられているのである。
【0005】
ところが、これらの疾患は、当人には自覚症状があり、症状が一進一退していると感じていても、病院での検査では、健康常人と何ら変わることがないという検査結果となることが多く、通院治療しても一向に症状が改善することがないのがほとんどである。
【0006】
これは、自律神経失調症がいわゆる「症候群」であり、病気と症状の間に位置するものであることから、その原因をつかむことが困難なことが大きな要因となっているのである。
【0007】
ここで、自律神経とは、人間の神経系のひとつで、内臓の働きや血液の循環を制御する働きをつかさどるものであり、つまり、胃や腸の働き、発汗作用、血管の伸縮作用を主として行うものである。
【0008】
従って、自律神経失調症とは、ストレス等により自律神経に変調をきたし、内臓の働きや血液の循環がうまくいかなくなることであり、これにより上述の疾患が表面に現れてくるのである。
【0009】
これらの疾患に対しては、充分な睡眠をとることが最も良い処置となるのであるが、ただ単に長時間の睡眠をとるよりも良質な睡眠をとることが大切であり、そのため、良質な睡眠を得るべく、様々な寝具類が開発されている(例えば、特許文献1〜3。)。
【0010】
【特許文献1】実開昭56−77388号公報
【特許文献2】実開平5−4966号公報
【特許文献3】特開平9−75197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1〜3に記載の寝具類は、いずれも活性炭などを布団カバーの所定箇所に収納し、活性炭などの有する吸着機能や遠赤外線発生機能などにより、良質な睡眠が得られるように構成されたものであるが、活性炭がカバー外に漏洩して寝具を汚損したり、活性炭粒のざらざらした感触が、人によっては不快な感覚を与えることがあったり、又、カバー内で活性炭が偏ったりするといった利便性の悪さも問題となっていた。
【0012】
そこで、本発明者はこのような技術的課題を解決するため、パルプ材料に機能性材料を担持させた後、チップ状に形成したことを特徴とする本発明の機能性詰め物及びこの詰め物をカバー内に充填してなる本発明の寝具類、パッド並びにサポーターを開発するに至ったのである。
【0013】
即ち、本発明者は、まず、パルプ材料に機能性材料を担持させることにより、機能性材料を固定してなる機能性詰め物に形成し、これを寝具類、パッド並びにサポーターに用いると、この寝具類、パッド並びにサポーターから機能性材料の漏洩を防止することができる上、寝具類の汚損を極力防止することができるとの知見を得たのである。
【0014】
又、機能性材料を担持したパルプ材料をチップ状に形成してなる機能性詰め物を緩衝材に包含すれば、機能性材料の偏りを防止することができるうえ、ざらざらした感触が軽減されるとの知見も得たのである。
【0015】
そして、このような機能性詰め物をカバー内に充填した寝具類においては、パルプ材料に担持された機能性材料の発現する様々な特性により、使用者に良質な睡眠を与え、自律神経失調症などに起因する様々な心因性疾患の予防改善を促すとの知見も得たのである。
【0016】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、使用者に良質な睡眠を与え、自律神経失調症などに起因する様々な心因性疾患の予防改善を促し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減に伴うEDの改善等に対する有効な且つ新規な機能性詰め物、及びこれを用いた寝具類、パッド並びにサポーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的を達成するために、本発明における機能性詰め物は、パルプ材料に機能性材料を担持させた後、チップ状に形成してなることを特徴とするものであり、又、この機能性詰め物を緩衝材に包含すれば、機能性材料の偏りを防止することができるうえ、ざらざらした感触が軽減されるのである。
【0018】
又、本発明の寝具類、パッド並びにサポーターにおいては、前記本発明の機能性詰め物をカバー内に充填したことを特徴とするものである。
以下、本発明の機能性詰め物及びこれを用いた寝具類、パッド並びにサポーターを順に詳細に説明する。
【0019】
本発明の機能性詰め物においては、まず、パルプ材料に機能性材料を担持させるのであるが、前記パルプ材料としては、現在製紙工業などで使用されているパルプ材料を適宜選択して用いることができることから、その種類としては特に限定されるものではないが、具体的に例えば、機械パルプ、化学パルプ、セミケミカルパルプ及び古紙パルプ等を挙げることができるのであり、この他にも麻パルプ、リンダーパルプ、わらパルプ及び合成パルプ等の非木材パルプを用いることができる。
【0020】
又、前記機能性材料とは、1種或いは2種以上の機能性材料を混合したものであって、脱臭作用、消臭作用、吸水(湿)作用、遠赤外線放射作用、マイナスイオン発生作用等の種々の作用(機能)を発現するもののことをいい、本発明においては、パルプ材料に担持することにより、その活性を喪失するものでなければ公知の物質を適宜用いることができる。
【0021】
なお、本発明において、これらの機能性材料は、液体状、粉末状、粒子状、マイクロカプセル等の任意の形態のものを用いることができる。
【0022】
この具体的な機能性材料のうち、室内の水分、ホルムアルデヒドやアルキルベンゼン等のシックハウスの原因となる有害物質や生活臭の原因となる物質の吸着作用を有するものとしては、例えば、酸化カルシウムや酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属や遷移金属の酸化物、水酸化物或いは塩化物、更にシリカゲル、ゼオライト、パーライト、パーミキュライト、アルミナ、木炭、籾殻薫炭、活性炭、活性白土等を挙げることができるのであり、本発明においては、これらの物質から選ばれた少なくとも1種以上を用いることができるが、これらのうち、特に、籾殻薫炭には癒し成分が含まれているので、当該籾殻薫炭を担持させた機能性詰め物を寝具類に用いると、使用者に一層良質な睡眠を与え、自律神経失調症などに起因する様々な心因性疾患の予防、改善を一層促進し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減に伴う極めて優れたEDの改善等に対する至極有効な且つ新規な寝具類となり得るのである。
【0023】
又、マイナスイオン発生作用を有する機能性材料としては、空気放電による電離作用によってマイナスイオンを発生させたり、天然放射線による放射線の空中飛程での空気のイオン化によってマイナスイオンを発生させたりするものを挙げることができるのであり、このような作用によりマイナスイオンを好適に発生する機能性材料の好ましい例としてはトルマリンやレアアース鉱石等を挙げることができる。
【0024】
更に、遠赤外線放射作用を有する機能性材料としては、遠赤外線領域近辺の波長範囲を有する電波を好適に放射する機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、中でも遠赤外線を放射する非金属の無機質固体(遠赤外線放射セラミック)が好ましく、具体的には、金属の酸化物、炭化物、窒化物及び炭酸塩から選ばれた少なくとも1種以上を適宜選択して用いることができる。
【0025】
特に、本発明においては、前記機能性材料のうち、安価で且つ入手が容易で、しかも良好な脱臭作用、消臭作用、吸水(湿)作用、及び遠赤外線放射作用を有する、木炭、籾殻薫炭、活性炭などの炭類を単独ないしはその他の機能性材料と併用して用いることが好ましく、特に、前述のように、籾殻薫炭がその含有する癒し成分によってその身体の健康状態を確保できるので最も望ましい。
【0026】
ここで、前記パルプ材料に前記機能性材料を担持させる方法としては、特に限定されるものではなく、本発明においては、前記パルプ材料及び機能性材料に適量の水を加えてスラリー状にし、これを乾燥させることにより、パルプ材料内外に機能性材料を固定する手段が一般的となる。
【0027】
又、パルプ材料に対する機能性材料の担持量としては、選択された機能性材料の種類や望まれる効果に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではないが、一般的には、パルプ材料100重量部(乾燥状態)に対して、機能性材料が10〜100重量部程となるようにすることが好ましい。
【0028】
次いで、本発明においては、機能性材料が担持されたパルプ材料を、切断、粉砕、破砕などの手段を用いてチップ状に形成してなる機能性詰め物を緩衝材に包含したものが望ましい。
【0029】
前記緩衝材としては、一般的な緩衝材であれば特に限定されることなく使用することができるのであり、この緩衝材の具体的な例としては、綿、シルク、羽毛、獣毛などの天然素材からなる緩衝材や、化学繊維或いはクッション、スポンジなどの人工的な緩衝材を挙げることができる。
【0030】
なお、本発明において、機能性材料が担持されたパルプ材料からなる機能性詰め物を、前記緩衝材に包含する方法としては、特に限定されるものではないが、一般的な手段としては、例えば、緩衝材中の繊維網中に機能性詰め物を埋没させたり、機能性詰め物を緩衝材でくるんだり、接着剤等のバインダーを用いて緩衝材表面に機能性詰め物を固定する手段などを挙げることができる。
【0031】
本発明に係る機能性詰め物においてその大きさとしては、3〜35mmの大きさに形成するのが好ましく、その大きさが、3mm未満と小さすぎると指圧効果などの押圧効果が期待できないのであり、一方、35mmを超えると大きすぎて肌触りが悪くなるので好ましくないのである。
【0032】
そして、本発明の寝具類は、前記本発明の機能性詰め物をカバー内に充填したことを特徴とするものであり、前記本発明の機能性詰め物をカバー内に充填しているから、機能性材料の漏洩及び偏りが防止され、非常に使用感及び利便性が向上するのである。
【0033】
そして、本発明に係る寝具類においては、パルプ材料に担持された機能性材料の発現する様々な特性により、使用者に良質な睡眠を与え、自律神経失調症などに起因する様々な心因性疾患の予防、改善を促進し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減に伴い優れたEDの改善等に対し有効なのである。
【0034】
なお、本発明において「寝具類」とは、一般的に睡眠時に使用する布製品のことをいい、具体的に例えば、マット、敷布団、掛け布団、毛布及び枕等を挙げることができる。
【0035】
ところで、本発明に係る寝具類においては、機能性詰め物の偏りを一層抑制するために、カバー内に機能性詰め物を充填した後に、キルト加工を施すことが好ましい。
【0036】
本発明に係るパッドにおいては、前述の機能性詰め物を、カバー内に充填したことを特徴とするものであり、また、本発明に係るサポーターにおいては、前述の機能性詰め物を、カバー内に充填したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る機能性詰め物においては、パルプ材料に機能性材料を担持させているから、機能性材料の漏洩を防止することができる上、寝具類やパッド更にサポーターに用いてもそれらの汚損を確実に防止することができるのである。
【0038】
又、本発明の機能性詰め物は、機能性材料を担持したパルプ材料をチップ状に形成してなるものであり、この機能性詰め物を緩衝材に包含すると、機能性材料の偏りを一層防止することができるのである。
【0039】
本発明は、上記構成を有する新規な機能性詰め物であり、パルプ材料に機能性材料を担持させ、チップ状に形成しているので、この機能性詰め物を寝具類に適用すると、その指圧効果などの押圧効果に加えて、パルプ材料に担持された機能性材料の発現する様々な特性によって使用者に優れた睡眠効果を与えるのであり、このため、自律神経失調症などに起因する様々な心因性疾患の予防、改善を促進し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減に起因する、疲労回復や肩こり、腰痛、ED、頸肩腕症候群、習慣性の便秘、不眠症、頭痛、頭重感、胸痛、手足の不定の痛み、背中の痛み、めまい或いは手足のだるさなどの回復を実現できるのである。
【0040】
又、本発明に係るパッドにおいては、機能性詰め物によって優れた肩当てや胸当てとなり、肩こりや胸痛等の低減を図ることができるなどの効果を奏するのである。
【0041】
又、本発明に係るサポーターにおいては、優れた関節部分の保護具となり、手足の不定の痛みや手足のだるさ等の原因不明の疾患の軽減を図ることができるなどの効果を奏するのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
<パルプ材料>
パルプ材料として、古紙パルプを用いた。
【0044】
<機能性材料>
機能性材料として、粉状の籾殻薫炭を用いた。
【0045】
<緩衝材>
緩衝材として、綿を用いた。
【0046】
<機能性詰め物の作成>
前記パルプ材料40重量部、機能性材料24重量部、及び水200重量部を充分に混合し、乾燥させた後、4×4mm程度のチップ状に裁断し、これの6〜10個程度を10g程度の綿で包むことにより、本発明の機能性詰め物を得た。
【0047】
<寝具類の作成>
90cm×200cmのカバー内に、前記得られた機能性詰め物を厚さ5cm程度になるまで充填し、キルト加工を施すことにより、本発明の寝具類(マット)を得た。
又、同様に20×40cmのカバー内に、前記得られた機能性詰め物を厚さ17〜20cm程度になるまで充填することにより、本発明の寝具類(枕)を得た。
【0048】
<実施試験>
30〜60歳代の男女20人に、各家庭における睡眠時に前記本発明の寝具(マット及び枕)を使用してもらい、一週間経過した後に、使用感や体調についてのアンケート調査を行った。
【0049】
その結果、20人中18人から、いつもより眠りに入るのが早くなり、しかも起床時の睡眠不足感が軽減されたとの回答を得た。
【0050】
又、20人中19人から日中の眠気がなくなり、快活になったとの回答を得た。
【0051】
更に、20人中12人において腰痛などの持病を有するものがいたが、その12人中10人から、腰痛が軽減されたとの回答を得た。
【0052】
特に、医療法人 生萌会 産科及び婦人科 さわだレディスクリニック(岡山市西市584−1)の澤田院長のもと、前記寝具類を用い、58〜67歳の勃起不全(ED)の男性に適用したところ、2〜5日でEDに対する有効率89%であることが認められた。
【0053】
なお、本試験中に、機能性詰め物の偏りによる使用感の悪さや機能性材料の漏洩などは確認されなかった。
【0054】
これらの結果より、本発明の機能性詰め物及び寝具類は、使用者に良質な睡眠を与え、自律神経失調症などに起因する様々な疾患の予防改善を促し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減に有効であり、しかも、EDに対する有効率が極めて高いことが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ材料に機能性材料を担持させ、チップ状に形成してなることを特徴とする機能性詰め物。
【請求項2】
機能性詰め物が緩衝材に包含されている請求項1に記載の機能性詰め物。
【請求項3】
機能性材料が、炭類である請求項1又は2に記載の機能性詰め物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の機能性詰め物が3〜35mmの大きさに形成されている機能性詰め物。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の機能性詰め物を、カバー内に充填したことを特徴とする寝具類。
【請求項6】
請求項5に記載の寝具類にはキルト加工が施されてなる寝具類。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の機能性詰め物を、カバー内に充填したことを特徴とするパッド。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の機能性詰め物を、カバー内に充填したことを特徴とするサポーター。

【公開番号】特開2008−161444(P2008−161444A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354493(P2006−354493)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(399006124)
【出願人】(507003410)
【Fターム(参考)】