説明

歌唱座席管理カラオケシステム

【課題】
カラオケボックスやナイト店舗の利用者だけではなく、観光バスや船舶のような移動体の搭乗者に対しても、歌唱者個人を自動的に識別することで通常に受けられる個人サービスを容易に受けることができ、また、観光バスのバスガイド等が、あまり歌唱していない座席の利用者を特定し、楽曲の歌唱を勧めることができるシステムの提供を課題とする。
【解決手段】
利用者が着座している座席に無線用タグを付帯させ、歌唱していない状態では、マイクロホンの移動時に無為に識別データを読取ることがなく、実際に各利用者が歌唱した場合に限り、そのマイクロホンにより、この無線用タグの識別データを読み取ることにより、実際に各利用者が歌唱した座席を特定し、この特定された座席の座席情報と共に、歌唱した楽曲の歌唱履歴を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、観光バスなどの移動体に搭載される車載カラオケにて好適に利用できるカラオケシステムに関し、さらに詳しくは、予め定められた座席を割り当てられた利用者がカラオケ楽曲を歌唱する際、その楽曲と歌唱者が着座している座席を紐付けて管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、カラオケ装置は、カラオケ用の個室ルームが複数設けられたカラオケボックスや、テーブルとソファーを用意して酒類や飲食物を提供するスナックやバーといったナイト店舗内に設置されている。しかし、現在では前記カラオケボックスやナイト店舗に限らず、屋形船のような船舶や観光バスのような移動体に設置されており、また自家用車に取付けられているカーナビゲーションにおいても、カラオケを行うコンテンツが搭載されているもがある。このようにカラオケ装置は、従来のカラオケボックスやナイト店舗だけではなく、利用者の使用用途に応じて、様々な環境下にて利用されている。
【0003】
さて、カラオケボックスやナイト店舗にて、複数の利用者が来店しカラオケ装置を利用する場合には、例えば自身が着座している座席の周辺に、カラオケ装置にて歌唱することが好きな利用者又は、人前で歌唱することになんら違和感のない利用者が居た場合には、その利用者に影響され、自身も積極的に楽曲を歌唱する場合がある。対して、自身が着座している座席の周辺にあまり人前で歌唱することが苦手な利用者が居る場合には、自身も歌唱することを遠慮する場合がある。よって、1つのカラオケルーム内及び店舗内に、着座する座席によって良く楽曲を歌唱する利用者集団と、あまり歌唱しない利用者集団の両極端に分かれることがある。このような場合には、通常、一緒に来店している仲間内やナイト店舗の従業員等が、楽曲を予約登録する順番を定め均等に楽曲を予約登録するようにしたり、あまり歌唱していない利用者が多い座席にて積極的に歌唱することを勧めたりしている。
【0004】
このように、複数の利用者がカラオケ装置を利用した時に、各利用者が予約登録し演奏された楽曲が、特定の利用者に偏らないように制御する技術として、特許文献1では、所有者を識別できるリモコンIDが記録されているリモコン送信機を用いて、各利用者が作成した個人毎の予約曲目リストを順次カラオケ装置にて表示させることにより、歌唱する利用者の歌唱の機会を公平とするために、計画的に順番を変更する技術が開示されている。また、観光バスといった移動体にて、予め定められた座席を割り当てられた利用者が歌唱する際、その座席と歌唱者である当該利用者の管理を行う技術としては、特許文献2にて、利用者が着座する各座席に各座席に感圧センサ等の検知センサを設け、当該各座席に関連付けられている座席IDを利用者が選択した楽曲IDと共に利用者がマニュアル操作にて予約登録し、さらに、当該座席に利用者が着座しているか否かの検知センサにて検知された場合、その利用者の予約した楽曲を演奏対象とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−244672号公報
【0006】
【特許文献2】特開2008−250127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、最近のカラオケ装置には個人認証機能が備えられており、例えば、ID(会員)カードの読み取りやID番号やパスワードの入力にて認証を行い、認証された利用者は、その個人IDをもって選曲すると予約待ち行列に当該選曲者を登録したり、当該予約楽曲を歌唱した際、カラオケ装置の歌唱採点機能で歌唱者の歌唱採点を算出し、その採点結果に基づき、複数の歌唱者間の歌唱ランキングを競うこともできる。また、最近のカラオケ装置には、様々なゲームコンテンツも搭載されており、個人を識別することで互いに競うことができる。しかしながら、この個人認証は、カラオケボックスやナイト店舗の利用者では、積極的に歌唱を目的としているため、IDカードを持参することが多いが、観光バスなどの移動体の搭乗者は、そもそも歌唱を主目的としていないため、IDカードを持参することは殆どない。さらに、IDカードを必要としないシステムである、ID番号やパスワードの入力では、それらを個人別に一々割り振ったり、さらに一々入力する手間もあり、カラオケ専用の担当者もいない状況、例えば、観光バスではバスガイドしかおらず、このような作業は現実性に乏しい。なお、上記引用文献2でも、当該各座席に関連付けられている座席IDを予約登録する際に利用者が手入力する必要があるため、これと同じ不都合があった。すなわち、従来では、観光バスといった移動体における搭乗者は、カラオケボックスやナイト店舗の利用者のように、歌唱者個人を自動的に識別することで通常に受けられるサービスを容易に受けることができないという不都合があった。
【0008】
また、着座する座席によって歌唱するグループと、あまり歌唱しないグループの両極端に分かれることは、当然のことながらカラオケボックスやナイト店舗に限ってのことだけではなく、観光バスや船舶のような移動体でもありえることである。このような移動体では、カラオケボックスやナイト店舗とは異なり、乗車している利用者が必ずしも気の知れた仲間であるとは限らず、殆どの場合、全く面識のない人達である。また、乗車している利用者が必ずしもIDカードを常に携帯している利用者とは限らない。よって、移動体のような環境下では、どの座席に座っている利用者が良く歌唱しており、どの座席に座っている利用者があまり歌唱していないのか分からない。故に、例えば観光バス等では、カラオケボックスのように一緒に来店している仲間やナイト店舗のような従業員の代わりとなりえるバスガイド等が、あまり歌唱していない座席の利用者を特定し、当該利用者に楽曲の歌唱を勧めることはできない。
【0009】
そこで、本発明者らは、カラオケボックスやナイト店舗の利用者だけではなく、観光バスや船舶のような移動体の搭乗者に対しても、歌唱者個人を自動的に識別することで通常に受けられる個人サービスを容易に受けることができ、また、バスガイド等が、あまり歌唱していない座席の利用者を特定し、当該利用者に楽曲の歌唱を勧めることができるようにしたカラオケシステムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を鑑み、本発明は、利用者が歌唱時に着座している座席と、歌唱時に用いるマイクロホンを無線識別用タグを用いて特定することを想到した。すなわち、利用者が着座している座席に無線用タグを付帯させ、利用者が歌唱した時に、その歌唱時に用いるマイクロホンより、この無線用タグの識別データを読取ることにより、実際に各利用者が歌唱した座席を特定し、特定された座席の座席情報と共に、歌唱した楽曲の歌唱履歴を管理し、管理された歌唱履歴を様々な用途に応じて用いるもとにより、上記課題を解決できると想到した。
【0011】
すなわち、本発明の請求項1記載の歌唱座席管理カラオケシステムとは、無線識別用タグを付帯してなる座席毎に各利用者を割り当て、任意の利用者が座席にて任意の楽曲を歌唱した際、無線識別用タグの識別データの読取り手段を有してなるマイクロホンを用いて、楽曲とのその歌唱者の座席を管理するためのカラオケ装置に組み込まれたシステムであって、座席毎に付帯された無線識別用タグの各識別データと座席IDとを対応付けて所定の座席ID管理リストにて管理し、任意の楽曲が演奏開始か否かの判別を行い、楽曲の演奏が判別された場合には、マイクロホンの読取り手段に対して、識別データを読取り可能に制御し、演奏を判別しない場合、識別データを読取り不可に制御する。そして、マイクロホンにより識別データが読取られた場合には、読取った識別データから前記座席ID管理リストに基づき、その座席IDを特定し、演奏を判別した歌唱楽曲と特定した座席IDとを紐付け、所定の歌唱履歴管理テーブルにて管理することを特徴とし、上記課題を解決した。
【0012】
また、本発明の請求項2記載の歌唱座席管理カラオケシステムとは、上記請求項1に記載の構成に加え、さらに、所定の表示部に情報を表示するための歌唱情報表示手段を有し、前記歌唱履歴管理テーブルにて管理されている任意の歌唱楽曲の情報につき、楽曲毎に紐付けられた座席IDと利用者名を対応付けた座席表に基づき、当該情報にその歌唱者名を含めて適宜に表示することを特徴とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1記載の歌唱座席管理カラオケシステムとは、カラオケボックスやナイト店舗だけではなく、観光バスや船舶のような移動体においても、利用者が着座している座席に無線用タグを付帯し、利用者がカラオケ装置を歌唱した時に用いるマイクロホンを利用し、楽曲の演奏を判別した場合に、当該マイクロホンの読取り手段に対して、当該無線用タグの識別データを読取り可能に制御することから、歌唱していない状態では、マイクロホンの移動時に無為に識別データを読取ることがなく、実際に各利用者が歌唱した場合に限りその座席を特定し、その座席情報と共に歌唱した楽曲の歌唱履歴を管理することにより、利用者が個人認証用のIDカードを用いたり、一々パスワードを入力する必要がなく、実際に各利用者が歌唱時に何処の座席に着座して歌唱していたのか特定することができることから、観光バスや船舶のような移動体の搭乗者に対しても、歌唱者個人を自動的に識別することで、管理された歌唱履歴を様々な使用用途に応じて通常に受けられる個人サービスを容易に受けることができ、また、バスガイド等が、あまり歌唱していない座席の利用者を特定し、当該利用者に楽曲の歌唱を勧めることができるなどといった効果を奏する。
【0014】
さらに、本発明の請求項2記載の歌唱座席管理カラオケシステムとは、任意のタイミングにて管理されている楽曲毎に紐付けられた座席IDを表示させることにより、どの座席に着座している利用者が歌唱した楽曲なのか、また、歌唱採点機能を利用し、利用者が歌唱して採点結果が得られると、どの座席の利用者が歌唱した楽曲の採点結果なのかを、バスガイドや搭乗者が目視にて確認することができる。よって、例えば、観光バスのような全く面識のない利用者が集まっているがために、着座する座席によって、良く楽曲を歌唱する利用者集団と、あまり歌唱しない利用者集団の両極端に分かれたとしても、バスガイド等があまり歌唱していない集団に積極的に楽曲を歌唱するように勧めることができる。さらに、実際に歌唱した利用者の座席と採点結果が表示されることにより、面識のない利用者同士でも、誰が歌唱して得られた採点結果なのか知ることができ、積極的に歌唱採点を競うことができる。すなわち、実際に利用者が歌唱時に着座していた座席と採点結果を紐付けることができることから、観光バスや船舶のような移動体の搭乗者に対しても、例えば、歌唱力を競うための歌唱採点ランキングゲームへの参加や個人別の得意(高採点)・不得意(低採点)歌唱曲リストを作成できるなどといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のシステムを組み込んだカラオケ装置のブロック構成図である。
【図2】マイクロホンによる歌唱者座席特定の概略図である。
【図3】座席ID管理リスト及び歌唱履歴管理テーブルの概略図である。
【図4】座席IDと利用者名を対応付けた座席表の概略図である。
【図5】歌唱楽曲と歌唱座席を紐付け表示した時の表示例である。
【図6】歌唱楽曲と座席IDを紐付け記録し表示する処理を示すフローである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の歌唱座席管理カラオケシステムについて適切な実施例を挙げ、先ずは、図1に示す、「本発明のシステムを組み込んだカラオケ装置のブロック構成図」に基づき、本システムの全体構成について説明する。
【0017】
図1は、本発明のシステムに関する主要構成部のブロック構成図である。本システムは、利用者が着座する座席に無線用識別用タグ(ST)を付帯した利用者用座席(Si)と、カラオケ装置の楽曲を歌唱する時に使用され、当該利用者用座席(Si)の無線識別用タグ(ST)を読取るマイクロホン(MC)と、マイクロホン(MC)が読取った無線識別用タグ(ST)が記録している識別データ(SD)から、利用者が歌唱時に着座している座席を特定し、特定された座席に座席IDと歌唱楽曲の歌唱履歴を紐付けて記録するカラオケ装置(1)において構成されている。
【0018】
ここで本システムの各機能手段について説明する。まず、本システムが最も効果を発揮する観光バスや船舶のような移動体において、複数設置されている利用者用座席(Si/i=1,2,3・・・)には、無線識別用タグ(ST)が設けられており、無線識別用タグ(ST)の内部には各々異なる識別データ(SD)が記録されている。
【0019】
次に、上記利用者が楽曲を歌唱する際に用いるマイクロホン(MC)には、FM波を利用して利用者の歌唱音声データをカラオケ装置本体に送信する機能の他、利用者用座席(Si)の無線識別用タグを読取るための識別データ読取り手段(MA)と無線通信できる機能も備わっており、そして、この読取った識別データをマイク側送受信手段(MB)にてカラオケ装置本体に送信すると、利用者が歌唱時に着座している座席が特定されるものである。なお、本実施例では、マイク側送受信手段(MB)は赤外線を利用した無線通信手段でマイクロホン(MC)が読取った識別データ(SD)をカラオケ装置本体に送ったり、カラオケ装置本体に設けられた識別データ読取り制御手段(8)からの読取り可能あるいは不可とする制御信号を受け取ったりするもので、通常機能である歌唱音声データをカラオケ装置本体に送るFM波の無線通信機構(図示省略)とは別体として構成されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、ワイヤードマイクの場合には、同軸ケーブルで識別データ信号を送ったり、本実施例と同様のワイヤレスマイクの場合でも、FM変調波内に識別信号データを含ませて、構成上別体としなくても構わない。
【0020】
また、カラオケ装置(1)には、各種制御手段を制御する中央制御手段(2)と、座席ID管理リスト(L)や、座席表(Ch)、歌唱履歴管理テーブル(T)を記録するハードディスク(3)(以下HDD)及び、利用者が予約登録した楽曲を管理する予約待ち行列管理テーブル(Q)を記憶するRAM(4)が設けられている。そして、カラオケ装置本体が読取られた識別データ信号を受信する本体側送受信手段(5)と、観光バスのバスガイドや船舶のアテンダント等が、設置されている各座席に対応付けられている座席IDと、座席毎に付帯された無線識別用タグの各識別データとを予め対応付けて、HDD(3)の座席ID管理リスト(L)に記録する。さらに、管理する座席ID管理手段(6)と、予約待ち行列に登録されている楽曲が演奏されているか否かを判別する演奏有無判定手段(7)と、当該判定結果を踏まえ、マイクロホン(MC)に対し、演奏が判別されている場合には、識別データを読取り可能に制御し、演奏が判別されなかった場合には識別データを読取り不可に制御するための制御信号を、上記本体側送受信手段(5)からマイクロホン(MD)のマイク側送受信手段(MC)に送信する識別データ読取り制御手段(8)と、読取った識別データから座席IDを特定する歌唱座席特定手段(9)と、特定した座席IDと判別した演奏楽曲を紐付けた歌唱楽曲の情報をHDD(3)の歌唱履歴管理テーブル(T)に記録し管理する歌唱履歴管理手段(10)などがある。
【0021】
さらに、中央制御手段(2)は、歌唱情報表示手段(12)を制御することにより、カラオケ装置(1)の外部に接続された、カラオケ演奏の背景映像や歌詞テロップを表示するための専用モニター、あるいは、これと別体として用意した表示部(D)にて、歌唱履歴管理テーブル(T)に記録されている歌唱楽曲の情報と、その情報に含まれる座席IDに対応付けられた座席表(Ch)に記載の利用者名を、必要に応じた任意のタイミングにてのマニュアル表示、あるいは、例えば、歌唱後の歌唱採点値に基づく歌唱力ランキング表記といった自動表示ができるように制御する。
【0022】
次に、図2に示す「マイクロホンによる歌唱者座席特定の概略図」を用いて、本発明における利用者座席に設けられた無線識別用タグと無線通信可能なマイクロホンとの関係と、この関係に基づく歌唱者座席の特定について詳述する。
【0023】
図2は、観光バスに設置された利用者用座席(S1,S2)と、観光バスの搭乗者である利用者が、カラオケ装置の楽曲を歌唱する際に使用するマイクロホン(MC)にて、座席IDを読取り可能に制御されている状態であり、具体的には、利用者用座席(S1)に着座している利用者(図示省略)がマイクロホン(MC)を使用しており、マイクロホン(MC)の識別データ読取り手段(MA)が、利用者用座席(S1)の無線識別タグ(ST1)の識別データを読取った状態を示したものである。各利用者用座席(S1,S2)の、それぞれに付帯された無線識別用タグ(ST1,ST2)は、RFIDタグ、すなわち、無線通信用アンテナやICチップ(メモリを含む)を備えたタグであり、本実施例では、利用者がカラオケ装置にて楽曲を歌唱する際のマイクロホン(MC)の位置を考慮して、座席の右上部に貼付けられている。なお、図中では、1つの長方形と表記しているが、実際は、同じ周波数帯で管理されている多数のタグが連設され、所定の通信領域を確保している。そして、無線識別用タグ(ST1,ST2)のメモリには、各座席IDと対応付けられる識別データが記憶されている。よって、例えば、図中、利用者用座席(S1)が読取られているマイクロホン(MC)が、カラオケ装置にて識別データを読取り可能に制御された場合には、マイクロホン(MC)は、通信領域(電波強度や通信方向に基づく)にある利用者用座席(S1)に備えられた無線識別用タグ(ST1)を読取る。また、マイクロホン(MC)と隣り合った利用者用座席(S2)の無線識別タグ(ST2)を誤って読込んだり、座席間の距離により混信を避けるために、各無線識別用タグ(ST1,ST2)の通信領域や周波数領域等が設定されている。なお、本実施例では、無線識別用タグが座席の右上部に貼付けられているが、本発明はこれに限らず、利用者用座席に貼付けられている無線識別用タグは、例えば利用者が着座することによる擦れや等を考慮し、そして、前後の座席間隔が狭い場合での無線通信の効率性(歌唱時のマイクロホンの位置が前席背部に近いことから)を考慮すると、利用者が着座している「座席の直前席」の背部上部に貼付けられていても良い。この場合は、各無線識別用タグはその貼付されている座席自身の識別データではなく、後席の識別データを記録していることになるが、本発明では、歌唱者の着座している座席が分かれば、このような構成でも構わない。
【0024】
次に、図3に示す「座席ID管理リスト及び歌唱履歴管理テーブルの概略図」を用いて、本発明における、利用者用座席に貼付された無線識別用タグの各識別データと座席IDとの対応付け及び歌唱履歴の管理に関して詳述する。
【0025】
先ず、図3(a)に示す座席ID管理リストの概略図とは、無線識別用タグの各識別データを、観光バス業者などが予め設定したバスの座席IDに対応付けて管理したものであり、この座席ID管理リスト(L)の構成要件として、例えば、管理番号を示す「No」フィールド(f1)と、バス内に配置された各座席の座席IDを示す「座席ID」フィールド(f2)と、座席IDに対応付けされており無線識別用タグの識別データでもある「識別データ」フィールド(f3)から構成されており、この座席ID管理リスト(L)にて座席IDと識別データが対応付けられていることにより、当該識別データをマイクロホンの識別データ読取り手段が読取った際には、どの識別データがどの座席IDのものなのかが分かる。
【0026】
次に、図3(b)歌唱履歴管理テーブルの概略図とは、利用者が歌唱した楽曲の楽曲IDと、歌唱時に着座している座席の座席ID、さらに、当該楽曲を歌唱した時の採点結果を管理したものである。この歌唱履歴管理テーブル(T)の構成要件としては、例えば、管理番号を示す「No」フィールド(f1)と、歌唱した楽曲の楽曲IDを示す「楽曲ID」フィールド(f2)と、利用者が歌唱時に着座していた座席の座席IDを示す「座席ID」フィールド(f3)と、利用者が当該楽曲IDの楽曲を歌唱した時の採点結果を示す「採点値」フィールド(f4)から構成されており、当該楽曲IDと座席IDを紐付けることにより、何の楽曲を何処の座席で歌唱されたものなのかを特定することができる。
【0027】
次に、図4に示す「座席IDと利用者名を対応付けた座席表の概略図」を用いて、座席IDと搭乗者である利用者との関係より、利用者(歌唱者)名にて歌唱履歴の管理や表記などをする場合について詳述する。
【0028】
図4は、予め観光バスのバスガイド等が設定した、観光バスの搭乗者の名前と座席IDを対応付けた座席表(Ch)を示したものである。この座席表(Ch)は、例えば、管理番号を示す「No」フィールド(f1)と、各座席の座席IDを示す「座席ID」フィールド(f2)と、各座席に着座している搭乗者である利用者の氏名を示す「搭乗者」フィールド(f3)から構成されており、この座席表によりどの座席に誰が着座しているかが分かる。したがって、歌唱した座席の座席IDが分かれば、その座席に座っている利用者を歌唱者として特定することができる。
【0029】
次に、図5に示す「歌唱楽曲と歌唱座席を紐付け表示した時の表示例」を用いて、歌唱履歴管理テーブルにて管理されている任意の歌唱楽曲の情報につき、楽曲毎に紐付けられた座席IDと利用者名を対応付けた座席表に基づき、当該情報にその歌唱者名を含めて適宜に表示することについて詳述するが、具体的には、カラオケ装置の表示部への歌唱楽曲と歌唱座席あるいは歌唱者の表示例に基づき説明する。
【0030】
先ず、図5(a)歌唱楽曲と歌唱座席を表示した歌唱楽曲リストの表示画面とは、カラオケ演奏の背景映像や歌詞テロップを表示するための専用モニターに表示されるもので、歌唱履歴管理テーブルにて管理されている楽曲IDの楽曲名と、その楽曲IDに対応付けられた、利用者が歌唱時に着座していた座席の座席IDを表示した表示例である。よって、例えば、表示画面(Da)には、楽曲IDの楽曲名である曲名「Aのうた」を表示した場合には、「Aのうた」に対応付けられている着座ID「1A」が表示される。そして、(b)歌唱楽曲と利用者名と採点結果を表示した歌唱楽曲リストの表示画面とは、歌唱履歴管理テーブルにて管理されている、楽曲IDとその楽曲IDに対応付けられた座席IDと、上記図3に記載の座席表(Ch)に対応付け、楽曲歌唱時の採点結果を付帯して表示したものであり、例えば表示画面(Db)には、曲名「Dのうた」を歌唱した時の座席の座席ID「4C」と、歌唱時の採点値「92」が表示されると共に、座席IDと対応付けた座席表に基づき、歌唱者である「加藤さん」の名前も表示されている。
【0031】
そして、図6に示す「歌唱楽曲と座席IDを紐付け記録し表示する処理を示すフロー」を用いて、マイクロホンにて歌唱座席の識別データを読取り可能に制御し、任意のタイミングにて歌唱履歴管理テーブルの楽曲情報を表示するまでの流れについて説明する。
【0032】
先ず、前提として、各座席に識別データと座席IDと対応付けた座席ID管理リストと、当該座席IDと利用者名を対応付けた座席表が予め設定されている。利用者によりリモコン装置等を用いて、カラオケ装置の予約待ち行列に楽曲が登録されると(S1)、予約された楽曲が演奏しているか否かが判断される(S2)。なお、この判断は、カラオケ装置内で通常に発生する音源部の音楽再生信号あるいは背景映像出力部にての映像描出信号などの取得に基づくもので、当該信号の有無により演奏しているか否かが分かるように構成されている。そして、演奏していると判断された場合には、マイクロホンにて利用者が歌唱している歌唱座席の識別データを読取り可能に制御し(S3)、この制御により、マイクロホンにて歌唱座席の識別データの読取り処理が行われた後(S4)、当該演奏している楽曲が終了しているか否かが判断され(S5)、演奏が終了したと判断された場合には、マイクロホンは読取った歌唱座席の識別データをカラオケ装置に送信する(S6)。そして、カラオケ装置は、マイクロホンから送信された識別データを受信すると、歌唱座席の座席IDが特定される(S7)。次に、この特定された座席IDと歌唱楽曲の楽曲ID及び歌唱時に別途行った歌唱採点の採点値と、さらに当該座席IDに対応付けた座席表に基づく利用者名を紐付けて記録し(S8)、任意のタイミングにて記録したこれらの座席IDや利用者名等の楽曲情報を表示する(S9)。
【0033】
以上のように、本発明の歌唱座席管理システムとは、カラオケボックスやナイト店舗だけではなく、観光バスや船舶のような移動体においても、利用者が実際に歌唱時に何処の座席に着座して歌唱していたのかを自動的に識別することができる。具体的には、歌唱していない状態では、マイクロホンの移動時に無為に識別データを読取ることがなく、実際に各利用者が歌唱した場合に限りその座席を特定し、その座席情報と共に歌唱した楽曲の歌唱履歴を管理することにより、観光バスや船舶のような移動体の搭乗者に対しても、歌唱者個人を自動的に識別することで、管理された歌唱履歴を様々な使用用途に応じて通常に受けられる個人サービスを容易に受けることができ、また、バスガイド等が、あまり歌唱していない座席の利用者を特定し、当該利用者に楽曲の歌唱を勧めることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 カラオケ装置
2 中央制御手段
3 HDD
4 RAM
5 本体側送受信手段
6 座席ID管理手段
7 演奏有無判定手段
8 識別データ読取り制御手段
9 歌唱座席特定手段
10 歌唱履歴管理手段
12 歌唱情報表示手段

座席ID管理リスト
T 歌唱履歴管理テーブル
Si 利用者用座席
ST 無線識別用タグ
SD 識別データ
MC マイクロホン
MA
識別データ読取り手段
MB マイク側送受信手段
D 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線識別用タグを付帯してなる座席毎に各利用者を割り当て、任意の利用者が座席にて任意の楽曲を歌唱した際、無線識別用タグの識別データの読取り手段を有してなるマイクロホンを用いて、前記歌唱楽曲とその歌唱者の座席を管理するカラオケシステムであって、座席ID管理手段と、演奏有無判別手段と、識別データ読取り制御手段と、歌唱座席特定手段と、歌唱履歴管理手段とを有してなり、
(ア)座席ID管理手段とは、座席毎に付帯された無線識別用タグの各識別データと座席IDとを対応付け、所定の座席ID管理リストにて管理するものであり、
(イ)演奏有無判別手段とは、任意の楽曲が演奏しているか否かを判別するものであり、
(ウ)識別データ読取り制御手段とは、前記マイクロホンの読取り手段に対して、前記演奏有無判別手段が楽曲の演奏を判別した場合、前記識別データを読取り可能に制御し、演奏を判別しない場合、前記識別データを読取り不可に制御するものであり、
(エ)歌唱座席特定手段とは、前記読取り手段が読取った識別データから、前記座席ID管理リストに基づき、その座席IDを特定するものであり、
(オ)歌唱履歴管理手段とは、前記演奏を判別した歌唱楽曲と前記特定した座席IDとを紐付け、所定の歌唱履歴管理テーブルにて管理するものである、
ことを特徴とする歌唱座席管理カラオケシステム。
【請求項2】
さらに、所定の表示部に情報を表示するための歌唱情報表示手段を有し、
(カ)歌唱情報表示手段とは、前記歌唱履歴管理テーブルにて管理されている任意の歌唱楽曲の情報につき、楽曲毎に紐付けられた座席IDと利用者名を対応付けた座席表に基づき、当該情報にその歌唱者名を含めて適宜に表示することを特徴とする請求項1記載の歌唱座席管理カラオケシステム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−237530(P2010−237530A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86599(P2009−86599)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】