説明

止血スポンジ

本発明は、線維性生体材料のマトリクス、および上記マトリクス材料に付着させられる流体吸収性の粒状材料の粒子を含む多孔性止血スポンジ、これらスポンジを生成するための方法、および創傷治癒のためのそれらの使用を提供する。さらなる局面は、多孔性止血スポンジを製造するための方法に関し、上記方法は、線維性生体材料の流体および流体吸収性の粒状材料の懸濁された粒子を提供する工程、ならびに上記流体と上記懸濁された粒子とを乾燥させ、それによって、線維性生体材料のマトリクスおよび上記マトリクス材料に付着させられる流体吸収性の粒状材料の粒子を含む多孔性止血スポンジを得る工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、止血スポンジ、および上記スポンジを製造するための方法、ならびに止血におけるそれらの使用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ヒトもしくは動物起源の凝固因子に基づく生物学的接着剤は、長く知られてきた。フィブリノゲンおよび第XIII因子に基づいて組織接着剤を製造するための方法は、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載されている。上記組織接着剤は、通常、トロンビン(これは、フィブリノゲンに対して酵素的に作用して、フィブリンを形成し、そして第XIII因子に対して酵素的に作用して、活性第XIIIa因子を形成する)を含む別個の成分と一緒に塗布され、上記フィブリンを架橋して、安定なフィブリン凝塊を形成する。
【0003】
コラーゲンパッドは、創傷治癒を改善するために、または出血を止めるために、長年にわたって使用されてきた。止血におけるそれらの作用機構は、血小板凝集および活性化、活性化血小板の表面上でのトロンビンの形成、ならびにフィブリノゲンに対するトロンビンの触媒作用による止血性フィブリン凝塊の形成に基づく。コラーゲンパッドもしくはシートの止血作用を改善するために、このようなパッド内に止血因子を含めることが示唆されてきた。
【0004】
特許文献4において、フィブリノゲンおよび第XIII因子と組み合わせたコラーゲンに基づく組織接着剤が記載されている。この材料は、直ぐに使用できる凍結乾燥形態で提供される。上記フィブリノゲンおよび第XIII因子は、コラーゲン性の(collageneous)平らな材料を、フィブリノゲンおよび第XIII因子を含む溶液に浸漬し、上記材料を凍結乾燥することによって、上記コラーゲンと組み合わされる。
【0005】
特許文献5は、コラーゲンおよびそこに均一に配置させられた血液凝固の活性化因子もしくは前駆賦活体に基づく止血スポンジを開示する。このスポンジは、風乾もしくは凍結乾燥させ得る乾燥形態で提供される。しかし、これは、少なくとも2%の水分含有量をなお含む。
【0006】
特許文献6は、多官能的に活性化された合成の親水性ポリマーを使用して架橋されたコラーゲンを含む生体接着性組成物、ならびにこのような組成物を使用して、第1の表面と第2の表面との間に接着をもたらす方法(ここで上記第1の表面および第2の表面のうちの少なくとも一方は、天然の組織表面であり得る)を議論している。
【0007】
機械的に破壊して、それらの物理的特性を変化させたコラーゲン含有組成物は、特許文献7、特許文献8、および特許文献9に記載されている。これら特許は、一般に、原線維性および不溶性のコラーゲンに関する。注射用コラーゲン組成物は、特許文献10に記載されている。注射用の骨/軟骨組成物は、特許文献11に記載されている。水中に懸濁され得かつ特定の表面電荷密度を有する、5μm〜850μmのサイズ範囲にある乾燥粒子を含むコラーゲンベースの送達マトリクスは、特許文献12に記載されている。創傷包帯を形成するためにエアロゾルスプレーとして有用な1μm〜50μmの粒子サイズを有するコラーゲン調製物は、特許文献13に記載されている。コラーゲン組成物を記載している他の特許としては、特許文献14および特許文献15が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,362,567号明細書
【特許文献2】米国特許第4,298,598号明細書
【特許文献3】米国特許第4,377,572号明細書
【特許文献4】米国特許第4,600,574号明細書
【特許文献5】国際公開第97/37694号
【特許文献6】米国特許第5,614,587号明細書
【特許文献7】米国特許第5,428,024号明細書
【特許文献8】米国特許第5,352,715号明細書
【特許文献9】米国特許第5,204,382号明細書
【特許文献10】米国特許第4,803,075号明細書
【特許文献11】米国特許第5,516,532号明細書
【特許文献12】国際公開第96/39159号
【特許文献13】米国特許第5,196,185号明細書
【特許文献14】米国特許第5,672,336号明細書
【特許文献15】米国特許第5,356,614号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明の主題は、線維性生体材料のマトリクスおよび上記マトリクス材料に付着させられる流体吸収性の粒状材料の粒子を含む多孔性止血スポンジである。創傷治癒のための線維性生体材料の以前のパッド(特に、コラーゲンパッド)は、止血が損なわれた条件下(例えば、ヘパリン化後)において、止血を誘導できないことが見いだされた。本発明のコラーゲンのマトリクス内での粒状材料の使用は、流体吸収性の粒状材料なしの止血と比較して、止血を改善する。特定の理論には限定されないが、高い液体吸収能力を有する粒子を使用する場合、血液中に存在する高濃度の凝固因子が達成され得、このことは止血に都合がよいようである。このような粒子を上記出血している創傷に直接適用することは困難である。なぜなら、上記粒子は、血流で流れてしまう傾向にあるからである。止血スポンジ中にこのような粒子を組み込むことは、このような粒子の局所固定を可能にし、上記スポンジの止血作用をさらに改善し得る。
【0010】
さらなる局面は、多孔性止血スポンジを製造するための方法に関し、上記方法は、線維性生体材料の流体および流体吸収性の粒状材料の懸濁された粒子を提供する工程、ならびに上記流体と上記懸濁された粒子とを乾燥させ、それによって、線維性生体材料のマトリクスおよび上記マトリクス材料に付着させられる流体吸収性の粒状材料の粒子を含む多孔性止血スポンジを得る工程を包含する。この方法によって得ることができる多孔性止血スポンジは、本発明によって含まれる。用語「流体」は、本発明によれば、溶液、懸濁物もしくはゲルを含む。
【0011】
創傷被覆(wound coverage)を準備するためのキットもまた提供され、上記キットは、本明細書で開示されるスポンジおよび薬学的に活性な物質を含む。このキットおよびその成分は、特に、傷害の処置のための医療用スポンジの製造のためである。
【0012】
当業者は、以下で開示される全ての好ましい実施形態が、具体的実施形態の例であるが、一般的な本発明の概念を必ずしも限定しないことを容易に理解する。さらに、全ての特別な実施形態は、実質的に排他的ではないとしても、任意の組み合わせにおいて全ての本発明の局面および実施形態に対して読まれ得る。当業者に認識されるように、全ての等価物もしくは自明な変更もしくは改変は、本発明によって含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明の目的は、改善された止血特性を有する線維性生体材料に基づく止血スポンジである。この目的は、上記スポンジに付着させられる流体吸収性の粒状材料を提供することによって達成される。上記線維性生体材料は、任意の止血作用もしくは血液凝固作用を支援し得る。この効果は、本発明の粒状材料によって強化され得る。これら粒子は、上記粒子の十分に強力な固定を提供するために、上記線維性生体材料に付着させられ、貯蔵寿命を増大させ、使用の間に、特に、機械的張力が上記粒子の望ましくない剥離をもたらし得る創傷被覆の場合の耐久性を増大させる。用語「付着させられる」とは、本発明によれば、上記粒子が、上記線維性生体材料内に配置させられるか、もしくはその中に埋め込まれるか、もしくはその中に捕捉されることを意味する。上記粒子は、いずれの秩序立てられたもしくは秩序立てられていない状態においても、上記マトリクス材料中に保持され得、好ましくは、そこに均質に配置される。上記スポンジは、傷害に適用される場合に体液を吸収し得る、線維性生体材料の多孔性ネットワークである。さらに、上記スポンジは、通常は可撓性であり、多様な組織および種々の形状を有する位置に適用するのに適している。
【0014】
用語「スポンジ」および「パッド」は、本発明の意味内で交換可能に使用される。
【0015】
好ましくは、上記線維性生体材料は、コラーゲン、タンパク質、生体ポリマー、もしくはポリサッカリドである。
【0016】
本発明のために使用される上記コラーゲンは、ゲルを形成するのに適した任意のコラーゲン(多孔性もしくは線維性のマトリクスへと加工処理され得る液体、糊状の(pasty)、線維性の、もしくは粉末状のコラーゲン性材料に由来する材料を含む)に由来し得る。スポンジの製造のためのコラーゲンゲルの調製は、例えば、EP 0891193(本明細書に参考として援用される)に記載され、ゲル形成が起こるまでの酸性化、およびその後のpH中和を含み得る。上記コラーゲンのゲル形成能力もしくは溶解度を改善するために、乾燥した場合に安定なスポンジを形成する特性が低下しない限りにおいて、(部分的に)加水分解されてもよいし、改変されてもよい。
【0017】
上記スポンジマトリクスのコラーゲンもしくはゼラチンは、好ましくは、動物起源であり、好ましくは、ウシもしくはウマ起源である。しかし、また、ヒトコラーゲンは、異種タンパク質に対する上記患者の過敏性の場合に使用され得る。上記スポンジのさらなる成分は、好ましくは、ヒト起源のものであり、このことは、上記スポンジを、ヒトへの適用に対して特に適切にする。
【0018】
好ましい実施形態において、上記スポンジの多孔性ネットワークを形成する線維性の生体適合性ポリマーのマトリクス材料は、上記乾燥した多孔性スポンジのうちの1〜50%、1〜10%の間、もしくは約3%(w/w−%)を構成する。
【0019】
上記粒状材料は、一般に、溶解性ではなく、特に、水溶性ではない。上記粒状材料は、水中で粒状のままである。しかし、上記粒子は、多孔性および/もしくは吸湿性であってもよく、膨潤することが可能にされる。「流体吸収性の」とは、接触の際に、上記粒子の膨潤を誘発してもよいし誘発しなくてもよい流体を保持する物理的プロセスとしてみなされるものとする。好ましくは、上記粒子は、上記スポンジの乾燥重量の少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも4倍、もしくは少なくとも10倍および/または最大100倍まで、最大20倍まで、もしくは最大10倍までの量の流体、特に、血液を保持し得る。本発明に従う粒状材料は、圧力下ですら流体を吸収し得る。安定性を改善し、上記膨潤特性を調節するために、上記粒状材料は、架橋され得る。
【0020】
上記粒状材料は、止血材料であり得、単独で、もしくは上記スポンジマトリクスと組み合わせて、上記スポンジの止血作用を提供し得る。止血もしくは任意の他の凝固活性は、被験体における止血系を活性化することによって誘導され得る。上記止血スポンジは、処置なしの止血と比較して、止血反応の速度を増大し得る。この活性化は、多数の反応に基づき得るが、通常、血液もしくは血清タンパク質の触媒プロセスまたは酸化的プロセスを含む。開始後、上記被験体の止血系は、通常、凝固をもたらす酵素カスケードとともに進行する。このような触媒もしくは任意の他の止血活性は、上記マトリクス材料もしくは上記粒状材料によって開始され得る。当然のことながら、本発明のスポンジとともにさらなる反応物もしくは触媒(例えば、血液凝固の活性化因子もしくは前駆賦活体(フィブリノゲン、トロンビンもしくはトロンビン前駆物質が挙げられる)を提供することも可能である。
【0021】
好ましい実施形態において、粒状材料は、ポリマーおよび/もしくは生体材料、特に、生体ポリマーである。上記傷害(特に、任意の残っている外来物質の除去がさらなる手術を必要とし得る内部手術(internal surgery)の場合に)の回復を促進するために、生体吸収性粒状材料を使用することは好ましい。
【0022】
上記粒状材料、上記マトリクス材料もしくは全体としての上記スポンジは、生分解性であり得、インビボでの生物学的分解に適しており、または生体吸収性であり、すなわち、インビボで吸収され得る。完全吸収は、顕著な細胞外断片が残っていないことを意味する。生分解性材料は、生分解性材料が上記生物学的系から除去され得るか、そして/または上記生物学的系へと化学的に組み込まれ得るかのいずれかであるユニットへと生物学的に分解され得るという点で、非生分解性材料とは異なる。好ましい実施形態において、上記特定の材料、上記マトリクス材料もしくは全体としてのスポンジは、被験体によって、特にヒト被験体によって、6ヶ月未満、3ヶ月未満、1ヶ月未満、2週間未満で分解され得る。
【0023】
上記粒子は、例えば、ゼラチン、ゼラチン誘導体、化学的に誘導体化したゼラチン、コラーゲン、フィブリン、タンパク質、ポリサッカリドもしくは任意のこれらの混合物であり得るが、他の種の有機材料も同様に使用され得る。好ましくは、上記粒子は、水不溶性であり、生分解性でありかつ生体吸収性である。天然のゼラチンは安価かつ広く入手可能であり、多くの供給源から得られ得る。ゼラチンは、コラーゲンの加水分解物である。ゼラチンおよびコラーゲンの都合のよい動物供給源としては、ニワトリ、シチメンチョウ、ウシ、ブタ、ウマ、もしくはヒト供給源が挙げられる。上記コラーゲンはまた、人口コラーゲンもしくは組換えコラーゲンであり得る。好ましくは、上記ゼラチンは、完全な溶解性を妨げるために架橋される。架橋は、コラーゲンの不完全な加水分解もしくは架橋試薬(例えば、ホルムアルデヒドもしくは二価アルデヒド)を使用する化学的架橋によって達成され得る。
【0024】
本発明に従う粒子は、好ましくは、マイクロメートルのサイズ範囲にある微粒子である。好ましい実施形態において、上記粒度(乾燥状態における平均直径)は、2000μm以下である。例えば、平均サイズ1000μm未満もしくは100nm未満のさらに小さな粒子が使用され得る。また、これら境界内の任意のサイズ範囲(例えば、乾燥状態で100nm〜2000μmの平均直径)が可能である。
【0025】
このような粒子の例は、例えば、米国特許第6,063,061号および同第6,066,325号(ともに、本明細書に参考として援用される)に記載されている。
【0026】
乾燥後に、上記スポンジは、少なくとも0.5の水分含有量(ここではw/w単位で示されるパーセンテージ)を有し得る。特定の実施形態において、上記スポンジは、凍結乾燥もしくは風乾され得る。
【0027】
好ましくは、上記スポンジは、例えば、米国特許第5,714,370号(本明細書に参考として援用される)に開示されるように、血液凝固の活性化因子もしくは前駆賦活体(フィブリノゲン、トロンビンもしくはトロンビン前駆物質が挙げられる)を含む。トロンビンもしくはトロンビンの前駆物質は、トロンビン活性を有し、それぞれ、血液と接触させられる場合に、もしくは上記患者への適用後に、トロンビン活性を誘導するタンパク質として理解される。その活性は、トロンビン活性(NIH単位)もしくはその対応するNIH単位を発現させるトロンビン等価活性として表される。上記スポンジにおける活性は、500〜5.000であり得る。以下のトロンビン活性において、トロンビンの活性もしくは任意の等価な活性の両方を含むことが理解される。トロンビン活性を有するタンパク質は、α−トロンビン、メイゾトロンビン、トロンビン誘導体もしくは組換えトロンビンからなる群より選択され得る。適切な前駆物質は、おそらく、以下からなる群より選択される:プロトロンビン、第Xa因子(必要に応じて、リン脂質と一緒に)、第IXa因子、活性化プロトロンビン複合体、FEIBA、任意の活性化因子または内因性もしくは外因性の凝固の前駆賦活体、あるいはこれらの混合物。
【0028】
本発明に従う止血スポンジは、さらなる生理学的物質と一緒に使用され得る。例えば、上記スポンジは、好ましくは、抗線維素溶解剤(例えば、プラスミノゲン活性化因子−インヒビターもしくはプラスミンインヒビター、または線維素溶解の不活性化因子)の中でも薬理学的に活性な物質をさらに含む。好ましい抗線維素溶解剤は、アプロチニンもしくはアプロチニン誘導体、α2−マクログロブリン、プロテインCもしくは活性化プロテインCのインヒビターもしくは不活性化因子、天然の基質と競合して作用するプラスミンに結合する基質模倣物、および線維素溶解活性を阻害する抗体からなる群より選択される。
【0029】
さらに薬理学的に活性な物質として、抗生物質(例えば、抗菌剤もしくは抗真菌剤)が、本発明に従うスポンジと一緒に、好ましくは、上記スポンジ中に均質に配置させられる成分として使用され得る。さらなる生体活性物質(例えば、増殖因子および/もしくは鎮痛剤)はまた、本発明のスポンジ中に存在し得る。このようなスポンジは、例えば、創傷治癒において有用であり得る。
【0030】
さらなる組み合わせは、特定の酵素もしくは酵素インヒビターが好ましい。これらは、上記スポンジの吸収を調節(すなわち、促進もしくは阻害)し得る。中には、コラゲナーゼ、その増強剤もしくはインヒビターがある。また、適切な保存剤が、上記スポンジと一緒に使用されてもよいし、上記スポンジ中に含まれてもよい。
【0031】
好ましい実施形態は、唯一の活性成分として血液凝固の活性化因子もしくは前駆賦活体を含む上記止血スポンジの使用に関するが、血液凝固の速度、止血およびシールの品質(例えば、引っ張り強さ、組織への上記生成物の強度、および耐久性)に影響を及ぼすさらなる物質が、含まれ得る。
【0032】
上記内因性凝固もしくは外因性凝固を増強もしくは改善する凝固促進剤(例えば、血液凝固の因子もしくは補因子、第XIII因子、組織因子、プロトロンビン複合体、活性化プロトロンビン複合体、またはこれら複合体の一部、プロトロンビナーゼ複合体、リン脂質およびカルシウムイオン)が、使用され得る。正確なシールが必要とされる手術手順の場合、上記止血スポンジが上記患者に適用された後でかつ凝固がもたらされる前の作業期間を長くすることは、好ましいことであり得る。上記凝固反応の長期化は、本発明に従うスポンジが、適切な量で血液凝固のインヒビターをさらに含む場合に、確認される。インヒビター(例えば、アンチトロンビンIII)(必要に応じてヘパリンとともに)、または任意の他のセリンプロテアーゼインヒビターは、好ましい。
【0033】
上記材料の局所不安定性もしくは凝固性亢進を防止するために、上記材料中に一様に配置させたこのような添加剤(特に、トロンビンもしくはトロンビンの前駆物質)を有することもまた、好ましい。特定の水分含有量を有してすら、上記トロンビン活性は、おそらく、上記均質な混合物中にトロンビンおよびコラーゲンの密接な接触が原因で、驚くべきことに安定である。にも関わらず、好ましくは、ポリオール、ポリサッカリド、ポリアルキレングリコール、アミノ酸もしくはこれらの混合物からなる群より選択されるトロンビン安定化剤は、本発明に従って使用され得る。ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノサッカリドもしくはジサッカリド(例えば、グルコースもしくはサッカロース、またはトロンビン活性を安定化させ得る任意の糖もしくはスルホン化アミノ酸)の例示的使用は、好ましい。
【0034】
本発明のさらなる実施形態によれば、接着剤層は、組織もしくは創傷への上記スポンジの付着を改善するために、本発明のスポンジに接着させられる。止血鉗子として使用するためのスポンジに適切なこのような接着材料は、例えば、WO2008/016983(その全体が本明細書に参考として援用される)において開示されている。好ましい接着剤は、それら自体による調節性の止血を媒介し、漏出の領域を機械的にシールするために適切であり得る。このような接着剤は、例えば、生体吸収性ポリマー(特に、体液へ曝した際に、架橋および固化するポリマー)である。さらなる実施形態において、上記接着剤は、吸収性および/もしくは生体適合性であり、被験体(特に、ヒト被験体)によって、6ヶ月未満、3ヶ月未満、1ヶ月未満もしくは2週間未満で分解され得る。
【0035】
「接着剤」は、これが生物学的組織に接着もしくは結合するという意味で理解されるべきであり、他の材料には結合してもよいし、結合しなくてもよい。特別な接着剤層は、第1の架橋可能な成分、反応が可能な条件下で上記第1の架橋可能な成分と架橋する第2の架橋可能な成分を含み得る。ここで上記第1および第2の架橋可能な成分は、架橋して、交差を有する多孔性マトリクスを形成する。上記接着剤層は、ヒドロゲル形成成分(これは、ヒドロゲルを形成して、上記交差のうちの少なくともいくらかを充填するように水和し得る)をさらに含み得る。このような接着材料は、WO 2008/016983(本明細書に参考として援用される)に開示されている。上記第1の架橋可能な成分は、複数の求核性基を含み得、上記第2の架橋可能な成分は、複数の求電子性基を含み得る。生物学的流体と接触させると、もしくは他の反応が可能になる条件において、上記架橋可能な第1および第2の成分は、架橋して、交差を有する多孔性マトリクスを形成する。上記ヒドロゲル形成成分は、例えば、ポリマー(特に、ポリサッカリドもしくはタンパク質を含む生体ポリマー)であり得る。上記ヒドロゲル形成成分は、好ましくは、水和されて、ゼラチンを含む生体適合性ヒドロゲルを形成し得かつ湿った組織標的側面に送達された場合に水を吸収するような材料から選択される。このようなヒドロゲル形成成分は、例えば、上記スポンジの上記粒状材料である。いくつかの局面において、上記接着剤の上記第1の架橋可能な成分は、m個の求核性基を有する複数求核性ポリアルキレンオキシドを含み、上記第2の架橋可能な成分は、複数求電子性ポリアルキレンオキシドを含む。上記複数求核性ポリアルキレンオキシドは、2個以上の求核性基(例えば、NH、−SH、−H、−PH、および/もしくは−CO−NH−NH)を含み得る。いくつかの場合において、上記複数求核性ポリアルキレンオキシドは、2個以上の1級アミノ基を含む。いくつかの場合において、上記複数求核性ポリアルキレンオキシドは、2個以上のチオール基を含む。上記複数求核性ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレングリコールもしくはその誘導体であり得る。いくつかの場合において、上記ポリエチレングリコールは、2個以上の求核性基を含み、これは、1級アミノ基および/もしくはチオール基を含み得る。上記複数求電子性ポリアルキレンオキシドは、2個以上の求電子性基(例えば、CON(COCH、−COH、−CHO、−CHOCH、−N=C=O、−SOCH=CH、N(COCH)、および/もしくは−S−S−(CN))を含み得る。上記複数求電子性ポリアルキレンオキシドは、2個以上のスクシンイミジル基を含み得る。上記複数求電子性ポリアルキレンオキシドは、2個以上のマレイミジル基を含み得る。いくつかの場合において、上記複数求電子性ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレングリコールもしくはその誘導体であり得る。
【0036】
特別な実施形態において、上記第1および/もしくは第2の架橋可能な成分は、合成ポリマー(好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG)もしくはその誘導体を含む)である。上記ポリマーは、架橋および組織への付着に適切な活性な側鎖を含むPEGの誘導体であり得る。好ましくは、上記接着剤は、スクシンイミジル基、マレイミジル基および/もしくはチオール基を含む。2つのポリマー構成において、一方のポリマーは、スクシニルもしくはマレイミジル基を有し得、第2のポリマーは、上記第1のポリマーの基に付着し得るチオール基を有し得る。上記接着剤のこれらもしくはさらなる基は、組織への付着を促進し得る。
【0037】
上記接着剤層は、上記スポンジのうちの少なくとも一側面に連続してもしくは不連続にコーティングされ得る。しかし、傷害において、任意の体液と主要なスポンジ材料(すなわち、線維性生体材料および上記粒状材料)との接触を可能にするために、不連続様式において上記接着剤層を上記スポンジ上に配置することは好ましい。例えば、グリッドもしくは任意の他のマスクを上記スポンジ上に配置し、上記接着材料で上記交差を単に満たし、その後、上記グリッドを除去し、上記コラーゲンスポンジマトリクスへ接近可能にしたままにすることが考えられる。連続コーティングは、低出血条件での投与に好ましいものであり得る。
【0038】
本発明のさらなる局面において、上記マトリクス材料より大きな引っ張り強さを有する支持層を、上記スポンジのうちの少なくとも一側面上に提供することもまた、好ましい。好ましくは、上記支持層は、上記接着剤層とは反対側の側面上にある。使用される場合、上記支持層は、上記創傷に対面せず、活性な止血層であってもよいし、そうでなくてもよい。原則的に、それは、上記スポンジに物理的耐性を提供する任意の材料であり得る。それは、上記マトリクス材料もしくは上記粒状材料として類似の材料から選択され得る。にもかかわらず、それは、任意の他の層と同様に、上記支持層が生体吸収性ポリマーを含む場合、特に、上記完全なスポンジが生体吸収性であるべき場合、有益であり得る。
【0039】
上記支持層は、コラーゲンもしくはゼラチン、特に、架橋されたゼラチンもしくはコラーゲンを含み得る。上記スポンジマトリクスの引っ張り強さおよび機械的支持を改善するために、上記支持層が、上記マトリクス材料より高い密度のものであることが好ましい。
【0040】
本発明はまた、本発明に従うスポンジを含む創傷包帯を提供する。上記スポンジおよび全てのさらなる層は、適切な寸法において創傷包帯を使用する準備が出来た状態で提供され得る。上記スポンジおよび/もしくは上記包帯は、好ましくは、適応に依存して、少なくとも1mmもしくは少なくとも3mmもしくは少なくとも5mmおよび/または最大20mmまでの厚みを有する。比較的厚みのある可撓性スポンジが創傷に適用される場合、血液およびフィブリノゲンは、フィブリン(さらなる創傷分泌物(wound secret)の吸収のためのバリアとして作用し得る)が形成される前に、上記スポンジ全体を通じて吸収され得ることが重要である。
【0041】
本発明の別の局面は、多孔性止血スポンジを製造するための方法に関し、線維性生体材料の流体および流体吸収性の粒状材料の懸濁された粒子を提供する工程、ならびに上記流体と上記懸濁された粒子とを乾燥させ、それによって、マトリクス線維性生体材料および上記マトリクス材料に付着させられた流体吸収性の粒状材料の粒子を含む多孔性止血スポンジを得る工程を包含する。乾燥する工程は、凍結乾燥する工程もしくは風乾する工程を包含し得、上記流体の揮発性成分を除去する工程を包含する。
【0042】
上記流体、特に、水溶液の場合のpHは、少なくとも6、最大9までであり得る。好ましいpH範囲は、中性であり、好ましくは、6〜9の間、もしくは7〜8の間である。同様に、上記粒状材料が、水溶液と接触した状態で、pH中性で反応する場合は好ましい。
【0043】
本発明の粒子の1つの利点は、pH中性溶液から形成された後に、スポンジ材料がまた、pH中性様式で、水溶液と接触下状態で反応することである。「pH中性」とは、1以下、好ましくは、0.5以下に上記pHを増大させるか、もしくは代わりに同様に減少させるとみなされる。上記のために、試験、例えば、粒子および水の等量(質量)、好ましくは、緩衝化物質なしで、使用され得る。
【0044】
好ましい実施形態において、上記溶媒は水性(すなわち、水を含む)であるか、または純水(すなわち、他の液体溶媒が存在しない)である。溶媒は、水、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、ケトン(例えば、アセトン、DMSO)などを含む)を含み得る。上記溶媒は、さらなる化合物(例えば、添加剤、乳化剤、界面活性剤および湿潤剤)をさらに含んでもよいし、含んでいなくてもよい。このような化合物が使用される場合、それらが除去可能な水であり、上記粒状材料の線維性スポンジマトリクスと安定なかつ残る複合体を形成しないことが好ましい。上記さらなる化合物は、酸性、好ましくは、中性もしくは塩基性であり得る。
【0045】
上記懸濁物および/もしくは上記線維性生体材料(例えば、コラーゲンゲル)の調製は、室温において行われ得るが、低温(0℃に近い)もしくは高温(40℃に近い)、およびこれらの間の任意の温度範囲、ならびにさらに低いもしくは高い温度でも行われ得る。従って、好ましい実施形態において、上記方法の工程のうちのいずれか1つは、0℃〜40℃の間、もしくは15℃〜30℃の間で行われる。
【0046】
任意のさらなる層(例えば、上記接着剤層もしくは上記支持層)は、上記乾燥したマトリクスに付着させられ得る。しかし、上記さらなる層を同時乾燥させ、よって、例えば、上記支持層が流体もしくはポリマーのゲルから構築され得る場合、複合スポンジを得ることも可能である。例えば、線維性生体材料は、上記マトリクス材料に類似のコラーゲンを好む。上記懸濁された粒子を有する上記スポンジのマトリクスは、上記支持材料流体の上に配置され得(または逆も同様)、両方の流体が、1工程で乾燥させられ得る。上記支持材料のための流対中のポリマーの濃度が上記線維性マトリクスのものより大きい場合、通常、より高い密度を有する層が得られ得る。好ましくは、上記スポンジマトリクスのための上記コラーゲン流体は、0.1%〜5%(w/w−%)、好ましくは、0.1%〜1%の間、最も好ましくは、約0.2%の濃度を有する。
【0047】
上記支持層のための上記ポリマー、特に、コラーゲンの濃度は、例えば、0.5%〜5%(w/w−%)、好ましくは、0.5%〜2%、最も好ましくは、15〜2%の間であり得る。これら層を分離して維持するために、第1の流体を適切な容器に最初に適用し、上記流体を凍結し、第2の流体を適用するなどが考えられる。次いで、このような容器は、固体スポンジを得るために凍結乾燥され得る。
【0048】
本発明のさらなる局面において、上記の本発明に従う方法によって得られ得る多孔性止血スポンジが提供される。止血スポンジについて上記で言及した全ての好ましい実施形態はまた、この得ることができるスポンジにも解釈され得る。
【0049】
本発明はまた、傷害を処置するための方法を提供し、上記方法は、線維性生体材料および上記マトリクス材料に付着させられる流体吸収性の粒状材料のマトリクスを含む多孔性止血スポンジを傷害部位に施す工程を包含する。この処置は、特に、流体閉じ込めに適している。上記処置は、さらなる流体漏出を防止するために、上記傷害をシールする工程を包含し得る。上記傷害は、創傷、出血、損傷組織、出血組織および/もしくは体液の漏出を含み得る。
【0050】
創傷包帯を調製するためのキットもまた、提供され、上記キットは、本明細書で開示されるようなスポンジおよび薬学的に活性な物質を含み得る。このキットおよびその構成要素は、特に、上記のように、傷害の処置のための医療用スポンジの製造のためである。
【0051】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これに限定されない。
【実施例】
【0052】
実施例1:架橋されたゼラチン粒子を含むコラーゲンスポンジ:
80mg/mlの架橋されたゼラチン粒子および2.1mg/mlのコラーゲンを含む均質な懸濁物を、攪拌によって調製する。この懸濁物を、トレイ(層の厚みは3.5mm)に満たし、凍結乾燥させる。捕捉された架橋ゼラチン粒子を含むコラーゲンスポンジを得る。
【0053】
実施例2:接着剤層で不連続にコーティングされた架橋されたゼラチン粒子を含むコラーゲンスポンジ
架橋されたゼラチン粒子を含むコラーゲンスポンジを、実施例1に従って調製する。凍結乾燥した後、グリッドを上記得られた生成物の上に置く。14mg/cmの、2種の架橋可能なポリエチレングリコールポリマー(PEG−AおよびPEG−B)の1:1(w/w)粉末混合物を、上記パッド上のグリッドの上に適用する。上記グリッドの穴のみを、上記粉末混合物によって覆う。上記粉末を、上記PEG成分の融解点より高い温度で短時間(2〜5分)加熱することによって、上記パッド上に固定する。上記グリッドを除去し、不連続の反応性PEGコーティングを有するパッドを得る。PEG−Aは、PEG−スクシンイミジル粉末であり、PEG−Bは、PEG−チオール粉末である。
【0054】
実施例3:実施例2に記載される組成物から構成される止血パッドを、さらなる支持コラーゲン層によって強化した。10mg/mlのコラーゲン懸濁物の3.5mm厚の層を、トレイに満たし、−20℃で1時間にわたって凍結する。上記凍結したコラーゲン層を、実施例3に記載される上記混合物の3.5mm層によってコーティングする。上記2層を続いて凍結乾燥し、上側の層を、実施例2に記載されるように、架橋可能なPEG成分で不連続にコーティングする。上記得られた層化パッドは、実施例1および2に記載されるパッドより大きな機械的強靱さを有する。
【0055】
実施例4:実施例1に従って生成した生成物での止血
ヘパリン化(2×ACT)ブタに対する止血の肝臓表面擦傷モデルを、実施例1において生成したパッドの止血特性を試験するために使用する。平らで丸く、回転する擦傷ツールを使用して、円形の出血創傷を、ヘパリン化ブタの表面に作る。パッド(3×3cm)を、出血創傷の上に乾燥させて適用し、2分間にわたって生理食塩水で湿らせたガーゼで僅かに圧迫することによって、適所に保持する。2分後、上記出血は止まる。次の1分以内に、出血は認められない。上記パッド内での血液凝固が認められる。3分後、上記パッドを、冠詞で補助しながら適用部位から除去する。上記適用部位への僅かな付着のみが認められる。
【0056】
実施例5:実施例2に従って生成された生成物での止血.
実施例2に記載されるパッドを、同一の動物止血モデルにおいて、実施例4に記載されるものと同じ様式で適用する、上記不連続反応性PEGコーティングは、上記創傷に面している。適用の2、3分後、出血は認められない。血液は、上記コーティングされていない領域によって上記パッドに入り、上記パッド内で凝固する。適用の3分後に、上記止血シールを破壊せずに上記適用部位から上記パッドを容易に除去することは不可能である。上記反応性PEGコーティングによって引き起こされる付着は、上記パッドの内部引っ張り強さより強い。
【0057】
実施例6:実施例3に従って生成された生成物での止血
実施例3に記載されるパッドを、同じ動物止血モデルに、実施例4に記載されるのと同じ様式で適用する。上記不連続反応性PEGコーティングは、上記創傷に面している。実施例5に記載されるのと同じ様式において止血を得る。上記さらなるコラーゲン層は、滑らかなシートとして、上記止血性コラーゲン/架橋されたゼラチン層を覆う。上記創傷表面への付着は、実施例5におけるものと類似である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線維性生体材料のマトリクスおよび該マトリクス材料に付着させられる流体吸収性の粒状材料の粒子を含む、多孔性止血スポンジ。
【請求項2】
前記線維性生体材料は、コラーゲンを含む、請求項1に記載のスポンジ。
【請求項3】
前記粒状材料は、止血材料である、請求項1に記載のスポンジ。
【請求項4】
前記粒状材料は、架橋ポリマーである、請求項3に記載のスポンジ。
【請求項5】
前記粒状材料は、ゼラチン、フィブリン、コラーゲンもしくはこれらの任意の混合物を含む、請求項3に記載のスポンジ。
【請求項6】
トロンビンもしくはトロンビン前駆物質をさらに含む、請求項1に記載のスポンジ。
【請求項7】
接着剤層をさらに含む、請求項1に記載のスポンジ。
【請求項8】
前記接着剤層は、生体吸収性ポリマーを含む、請求項7に記載のスポンジ。
【請求項9】
前記接着剤は、第1の架橋可能な成分、反応を可能にする条件下で該第1の架橋可能な成分と架橋する第2の架橋可能な成分を含む、請求項7に記載のスポンジ。
【請求項10】
前記第1の架橋可能な成分および/もしくは第2の架橋可能な成分は、PEGもしくはその誘導体を含む、請求項9に記載のスポンジ。
【請求項11】
前記接着剤は、スクシンイミジル基もしくはマレイミジル基およびチオール基もしくはアミノ基を含む、請求項7に記載のスポンジ。
【請求項12】
前記接着剤層は、前記スポンジの少なくとも一方の側面上に不連続にコーティングされている、請求項7に記載のスポンジ。
【請求項13】
凍結乾燥もしくは風乾されている、請求項1に記載のスポンジ。
【請求項14】
前記マトリクス材料より大きな引張り強さを有する支持層を含む、請求項1に記載のスポンジ。
【請求項15】
前記支持層は、生体吸収性ポリマーを含む、請求項14に記載のスポンジ。
【請求項16】
前記支持層は、前記マトリクス材料より高い密度を有する、請求項14に記載のスポンジ。
【請求項17】
多孔性止血スポンジを製造するための方法であって、該方法は、線維性生体材料の流体および流体吸収性の粒状材料の懸濁された粒子を提供する工程、ならびに該流体と該懸濁された粒子とを乾燥させ、それによって、線維性生体材料のマトリクスおよび該マトリクス材料に付着させられる流体吸収性の粒状材料の粒子を含む多孔性止血スポンジを得る工程、を含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法によって得ることができる、多孔性止血スポンジ。
【請求項19】
傷害を処置するための方法であって、該方法は、線維性生体材料のマトリクスおよび該マトリクス材料に付着させられる流体吸収性の粒状材料を含む多孔性止血スポンジを、傷害の部位に施す工程を包含する、方法。
【請求項20】
前記傷害は、創傷、出血、損傷組織および/もしくは出血組織を含む、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2012−529943(P2012−529943A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515391(P2012−515391)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003623
【国際公開番号】WO2010/145817
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】