説明

正倒立噴出可能な液体噴出器

【課題】正立時も倒立時も確実に液の噴出が可能であり、しかも構造が簡単であり、従来の蓄圧式の液体噴出器に簡単な改良を施すことで形成できる優れた正倒立噴出可能な液体噴出器を提案するものである。
【解決手段】周壁部20下部に設けた連通孔21上方に逆止弁32を備えたシリンダB2と、蓄圧式の吐出弁52を備えた作動部材B3と、シリンダB2との間に流通用の隙間60を設け、自重でシリンダB2に対して相対上下動する筒状のアダプターB4とを備え、シリンダB2とアダプターとの間に、正立時に流通用の隙間60を遮断する上部シール部61と、倒立時に流通用の隙間60を遮断する下部シール部とを設け、正立時には上部シール部61が遮断し、下部シール部が開放されてアダプターB4下端部と連通孔21とが連通し、倒立時には下部シール部が遮断し、上部シール部61が開放されてアダプターB4上端部と連通孔21が連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は正倒立噴出可能な液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
正立状態だけでなく、倒立させた状態でも液の噴出が可能な正倒立噴出可能な噴出器が種々提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
【0003】
上記特許文献1に記載された噴出器は、シリンダの下端にシリンダカバーを介して、上方ボール弁を備えた上側ブッシュ、及び、下方ボール弁を備えた下側ブッシュをブッシュカバー内に収納したものを嵌着した複雑な構造をなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−143617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は正立時も倒立時も確実に液の噴出が可能であり、しかも構造が簡単であり、従来の蓄圧式の液体噴出器に簡単な改良を施すことで形成できる優れた正倒立噴出可能な液体噴出器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、周壁部20下部に連通孔21を備え、連通孔21上方に上流から下流への一方的流通が可能な逆止弁32を備えた下端閉塞のシリンダB2と、シリンダB2に対して上方付勢状態で押し込み可能に装着するとともに、蓄圧式の吐出弁52を備えた作動部材B3と、シリンダB2との間に流通用の隙間60を備え、正立から倒立への移行時及び倒立から正立への移行時に、自重でシリンダB2に対して相対上下動する筒状のアダプターB4とを備え、シリンダB2とアダプターとの間に、正立時に流通用の隙間60を遮断する上部シール部61と、倒立時に流通用の隙間60を遮断する下部シール部62とを設け、正立時には上部シール部61が遮断するとともに、下部シール部62が開放されてアダプターB4下端部と連通孔21とが連通し、倒立時には下部シール部62が遮断するとともに、上部シール部61が開放されて倒立状態のアダプターB4上端部と連通孔21が連通する。
【0007】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、上部シール部61を、シリンダB2外周に突周設した係止突条26と、正立時に係止突条26上面に当接して流通用の隙間60上下を遮断するとともに、アダプターB4内周に突周設した係合突条66とで構成し、下部シール部62を、シリンダB2の下面と、倒立時にシリンダB2下面に当接して上下を遮断するとともに、アダプター内周に突周設したフランジ64とで構成した。
【0008】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、アダプターB4を、係合突条66を突周設した上部アダプターB4a と、上部アダプターB4a の下端部に上端部を嵌着するとともに、フランジ64を突周設した下部アダプターB4b とで構成した。
【0009】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段又は第3の手段のいずれかの手段に於いて、アダプターB4の内周下部に、内面をシリンダB2外周に近接させた案内リブ65を周方向複数突設した。
【0010】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、逆止弁32を、シリンダB2下部に形成された逆止弁座24と、逆止弁座24上に載置された玉状弁体31とで構成し、逆止弁座24上方のシリンダ周壁部20内に周方向複数嵌着した支持板30によりシリンダB2内中央に支持された整流用の棒体29下面と、逆止弁座24上面との間を玉状弁体31の移動が可能に設けた。
【0011】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第5の手段のいずれかの手段に於いて、作動部材B3は、シリンダB2内を摺動する小径ピストン42を下部外周に、大径ピストンを上部外周にそれぞれ突設するとともに、先端を吐出弁体44に形成し、且つ、シリンダB2内から大径ピストン43上方に至る流路46を備えた連通管B3a と、大径ピストン43が摺動する大径シリンダ50を備えるとともに、連通管B3a 先端の吐出弁体44が圧接する吐出弁座51とで蓄圧式の吐出弁52を構成し、且つ、大径シリンダ50内から吐出弁52を介して噴出口53に連通させる噴出路54を備えた噴出ヘッドB3b とを備え、蓄圧式の吐出弁52が、シリンダB2と大径シリンダ50との径差により生じる液圧で開口する如く構成した。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シリンダB2の一部の構造を変更し、シリンダB2に筒状のアダプターB4を装着するという極めて簡単な構造変更により、正立時にも倒立時にも安定した液の噴出が可能な正倒立噴出可能な液体噴出器を得られる。
【0013】
上部シール部61を、シリンダB2外周に突周設した係止突条26と、正立時に係止突条26上面に当接して流通用の隙間60上下を遮断するとともに、アダプターB4内周に突周設した係合突条66とで構成し、下部シール部62を、シリンダB2の下面と、倒立時にシリンダB2下面に当接して上下を遮断するとともに、アダプター内周に突周設したフランジ64とで構成した場合には、各シール部の遮断及び遮断開放が円滑に行え、その結果アダプターB4の移動が澱みなく行える。
【0014】
アダプターB4を、係合突条66を突周設した上部アダプターB4a と、上部アダプターB4a の下端部に上端部を嵌着するとともに、フランジ64を突周設した下部アダプターB4b とで構成した場合には、アダプターB4に突設された係合突条66及びフランジ64の突出幅を必要に応じて大きく形成できるため、上部シール部61及び下部シール部62のシール性をより向上することができる。
【0015】
アダプターB4の内周下部に、内周面をシリンダB2外周に近接させた案内リブ65を周方向複数突設した場合には、上部にある係合突条66との組み合わせでアダプターB4のシリンダB2に対する上下動を常時所定幅の安定した間隔をもって行えるという利点がある。
【0016】
逆止弁32を、シリンダB2下部に形成された逆止弁座24と、逆止弁座24上に載置された玉状弁体31とで構成し、逆止弁座24上方のシリンダ周壁部20内に周方向複数嵌着した支持板30によりシリンダB2内中央に支持された整流用の棒体29下面と、逆止弁座24上面との間を玉状弁体31の移動が可能に設けた場合には、逆止弁32の構造が簡単で組み付け操作も簡単となる。
【0017】
作動部材B3は、シリンダB2内を摺動する小径ピストン42を下部外周に、大径ピストンを上部外周にそれぞれ突設するとともに、先端を吐出弁体44に形成し、且つ、シリンダB2内から大径ピストン43上方に至る流路46を備えた連通管B3a と、大径ピストン43が摺動する大径シリンダ50を備えるとともに、連通管B3a 先端の吐出弁体44が圧接する吐出弁座51とで蓄圧式の吐出弁52を構成し、且つ、大径シリンダ50内から吐出弁52を介して噴出口53に連通させる噴出路54を備えた噴出ヘッドB3b とを備え、蓄圧式の吐出弁52が、シリンダB2と大径シリンダ50との径差により生じる液圧で開口する如く構成した場合には、従来のこの種の構造をそのまま使用できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】正倒立噴出可能な液体噴出器の半断面図である。(実施例1)
【図2】倒立状態の正倒立噴出可能な液体噴出器の半断面図である。(実施例1)
【図3】正倒立噴出可能な液体噴出器の半断面図である。(実施例2)
【図4】倒立状態の正倒立噴出可能な液体噴出器の半断面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1及び図2は、容器体AにポンプBを装着して形成された液体噴出器1の一例を示す。
【0021】
容器体Aは、胴部2より肩部3を介して口頸部4を起立している。
【0022】
ポンプBは、装着キャップB1と、シリンダB2と、作動部材B3と、アダプターB4と、パイプB5とを備えている。
【0023】
装着キャップB1は、口頸部4外周に嵌合させる周壁10の上端縁よりフランジ状の頂壁11を延設し、頂壁11の内周縁部より係止筒12を、その外方より案内筒13をそれぞれ立設している。
【0024】
シリンダB2は、上端を開口した有底筒状をなし、周壁部20の下部には内外を連通する連通孔21を穿設しており、上端より外方へフランジ22を突設している。本例では、底壁部23の周縁より延設した周壁部20の下端部が小径部20a に形成され、この小径部20a に連通孔21を穿設している。また、小径部20a の上端より上方へ拡がるテ−パ状の下部傾斜部20b を介して中径部20c を上方へ延設し、中径部20c の上端より上方へ拡がるテ−パ状の上部傾斜部20d を介して大径部20e を延設し、大径部20e の上端縁よりフランジ22を延設している。また、下部傾斜部20b の内面下部を逆止弁座24に形成し、上部には上面が上向き段部25をなす突部を周設している。更に、上部傾斜部20d 直上の大径部20e 外面には係止突条26を突周設している。また、係止突条26上方の大径部20e には、容器体A内への外気の導入に関連する第1透孔27及び第2透孔28を所定間隔をあけて穿設している。
【0025】
シリンダB2内中央部には液の流通が可能に整流用の棒体29を支持している。この棒体29は、上向き段部25上面に下面を、シリンダB2内面に外面をそれぞれ嵌着した支持板30を、外周下端部に周方向複数突設した棒状をなしている。また、逆止弁座24上には玉状弁体31を載置して逆止弁32を構成しており、この玉状弁体31は、整流用の棒体29下面と逆止弁座24上面との間を移動が可能に装着されている。この様に構成されたシリンダB2は、装着キャップB1の頂壁11裏面にフランジ22を嵌着して一体化おり、装着キャップB1を口頸部4外周に嵌合することで、パッキンpを介してフランジ22を口頸部4上面に液密に圧接し、周壁部20を容器体A内に垂下した状態で装着される。
【0026】
作動部材B3は、シリンダB2に対して上方付勢状態で押し込み可能に装着するとともに、蓄圧式の吐出弁52を備えている。本例に於ける作動部材B3は、連通管B3a と、噴出ヘッドB3b とを備えている。
【0027】
連通管B3a は、下部を筒状部40に、上部を棒状部41に形成され、筒状部40の外周下部より、シリンダB2内を摺動する環状の小径ピストン42を突周設している。また、棒状部41の外周上部より環状の大径ピストン43を突周設している。更に、棒状部41の先端は円錐状に形成して吐出弁体44を構成している。また、小径ピストン42と大径ピストン43との中間部所定位置である筒状部40外周にシリンダB2内周を摺動する環状の摺動片45を突設している。この摺動片45は前記第1透孔27及び第2透孔28とで外気の導入及び遮断に関連する。更に、シリンダB2内から連通管B3a 内を介して後述する大径シリンダ内に連通する流路46を備えている。尚、本例では連通管B3a を二部材で形成している。また、筒状部40の下面と整流用の棒体29の各支持板30上面との間にコイルスプリングsを介在させている。
【0028】
噴出ヘッドB3b は、大径ピストン43が摺動する大径シリンダ50を備えるとともに、連通管B3a 先端の吐出弁体44が圧接する吐出弁座51とで蓄圧式の吐出弁52を構成し、且つ、大径シリンダ50内から吐出弁52を介して噴出口53に連通させる噴出路54を備えている。また、外周壁55下端を係止筒12と案内筒13との間に押し下げが可能に望ませ、大径シリンダ50の下端外周に突設した係合突条を係止筒12の内周上部に突周設した係止突条に係止させて上方への抜け出しを防止している。
【0029】
そして、噴出ヘッドB3b を押し下げることで作動部材B3を押し下げると、シリンダB2及び大径シリンダ50内が加圧され、この際シリンダB2と大径シリンダ50との径差により生じる液圧で吐出弁52が開口する如く構成している。
【0030】
アダプターB4は、シリンダB2との間に流通用の隙間60を備え、正立から倒立への移行時及び倒立から正立への移行時に、自重でシリンダB2に対して相対上下動する。また、シリンダB2とアダプターB4との間に、正立時に流通用の隙間60を遮断する上部シール部61と、図2で示す如く、倒立時に流通用の隙間60を遮断する下部シール部62とを設けている。
【0031】
図示例では、筒壁63の下端部をパイプ嵌合用の嵌合筒部63a とし、嵌合筒部63a の上端より上方へ拡がるテ−パ状の第1傾斜部63b を介して短い第1筒壁部63c を延設し、第1筒壁部63c の上端より上方へ拡がるテ−パ状の第2傾斜部63d を介して第2筒壁部63e を上方へ延設し、更に、第2筒壁部63e の上端より上方へ拡がるテ−パ状の第3傾斜部63f を介して第3筒壁部63g を上方へ延設し、第3筒壁部63g の上端より上方へ拡がるテ−パ状の第4傾斜部63h を介して第4筒壁部63i を上方へ延設している。また、第1傾斜部63b の内面から内方へフランジ64を突設し、第2筒壁部63e の内面には周方向複数の案内リブ65を突設し、更に、第4筒壁部63i の内面所定位置には、シリンダB2の係止突条26上面に係合する係合突条66を突周設している。
【0032】
そして、係止突条26と係合突条66とで上部シール部61を構成、シリンダB2の下面とフランジ64とで下部シール部62を構成している。尚、アダプターB4はその機構上、容器体A内収容液より比重の大きい材質を適宜選択するとよい。
【0033】
パイプB5は、嵌合筒部63a に上端を嵌着して容器体A内の下部へ下端を垂下しており、アダプターB4と一体に移動する如く構成している。尚、パイプB5をアダプターの下端部を長くすることで兼用することも可能である。
【0034】
上記の如く構成された液体噴出器1を使用する場合について説明する。図1の状態は正立状態であり、この場合にはアダプターB4はシリンダB2に対して下方位置にあり、係止突条26と係合突条66とが係合して上部シール部61が隙間60の上下を遮断しており、一方シリンダ底壁部23の下方にフランジ64が位置しており、下部シール部62は開放されている。
【0035】
この状態から作動部材B3を押し下げると、シリンダB2内が加圧され、シリンダB2内と流路46を介して連通する大径シリンダ50内も加圧される。この際シリンダB2と大径シリンダ50の径差により大径シリンダ50内の圧がシリンダB2内の圧より大きくなるため、連通管B3a が噴出ヘッドB3b に対して下方へ移行し、吐出弁52が開いて加圧液が噴出路54を介して噴出口53より噴出される。
【0036】
作動部材B3の押圧を解除すると、コイルスプリングsの作用で作動部材B3は上昇し、負圧化したシリンダB2内に、パイプB5、シリンダB2の小径部20a とアダプターB4の第2筒壁部63e との隙間60、連通孔21を介し、逆止弁32を開いて容器体A内の液が導入される。
【0037】
図1の状態から液体噴出器1を倒立させると、図2に示す如く、アダプターB4は自重で下降する。図2の状態は倒立状態であり、この場合にはアダプターB4はシリンダB2に対して正立状態に於ける上方位置にあり、シリンダ底壁部23の上にフランジ64が位置して下部シール部62がその上下を遮断し、一方、係合突条66は係止突条26の下方位置に移動して上部シール部61が開放されている。
【0038】
この状態から作動部材B3を押し込むと、シリンダB2内が加圧されて玉状弁体31が逆止弁座24に圧接され、また、シリンダB2内と流路46を介して連通する大径シリンダ50内も加圧される。従って正立状態と同様に連通管B3a が噴出ヘッドB3b に対して離間方向へ移行し、吐出弁52が開いて加圧液が噴出路54を介して噴出口53より噴出される。
【0039】
作動部材B3の押圧を解除すると、コイルスプリングsの作用で作動部材B3は下降し、負圧化したシリンダB2内に、アダプターB4の筒壁63の開口部より、シリンダB2の周壁部20とアダプターB4の筒壁63との間の隙間60、連通孔21を介し、自重で下降した玉状弁体31により開放された逆止弁32を介して容器体A内の液が導入される。
【0040】
また、図2の状態から再び液体噴出器1を正立させれば図1の状態に戻る。
【0041】
図3及び図4は他の例を示し、本例に於いては、図1の例に於いて、アダプターB4が、係合突条66を突周設した上部アダプターB4a と、上部アダプターB4a の下端部に上端部を嵌着するとともに、フランジ64を突周設した下部アダプターB4b とで構成した。下部アダプターB4b は、図1の例に於けるアダプターの第4傾斜部63h から下方部分を構成し、第4傾斜部63h の上面内側に嵌合筒部67を起立している。また、上部アダプターB4a は第4筒壁部63i を形成している。そして嵌合筒部67を上部アダプターB4a の下部内面に嵌着固定して一体化している。その他の構造は図1の例と同様であり、また、作用も同様であるため、同符号を付して説明を省略する。
【符号の説明】
【0042】
1…液体噴出器
A…容器体
2…胴部,3…肩部,4…口頸部
B…ポンプ
B1…装着キャップ
10…周壁,11…頂壁,12…係止筒,13…案内筒
B2…シリンダ
20…周壁部,20a …小径部,20b …下部傾斜部,20c …中径部,20d …上下傾斜部,
20e …大径部,21…連通孔,22…フランジ,23…底壁部,24…逆止弁座,
25…上向き段部,26…係止突条,27…第1透孔,28…第2透孔,29…整流用の棒体,
30…支持板,31…玉状弁体,32…逆止弁
B3…作動部材
B3a …連通管
40…筒状部,41…棒状部,42…小径ピストン,43…大径ピストン,44…吐出弁体,
45…摺動片,46…流路
B3b …噴出ヘッド
50…大径シリンダ,51…吐出弁座,52…吐出弁,53…噴出口,54…噴出路,55…外周壁
B4…アダプター
B4a …上部アダプター
B4b …下部アダプター
60…隙間,61…上部シール部,62…下部シール部,63…筒壁,63a …嵌合筒部,
63b …第1傾斜部,63c …第1筒壁部,63d …第2傾斜部,63e …第2筒壁部,
63f …第3傾斜部,63g …第3筒壁部,63h …第4傾斜部,63i …第4筒壁部,
64…フランジ,65…案内リブ,66…係合突条,67…嵌合筒部
B5…パイプ
p…パッキン
s…コイルスプリング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁部(20)下部に連通孔(21)を備え、連通孔(21)上方に上流から下流への一方的流通が可能な逆止弁(32)を備えた下端閉塞のシリンダ(B2)と、シリンダ(B2)に対して上方付勢状態で押し込み可能に装着するとともに、蓄圧式の吐出弁(52)を備えた作動部材(B3)と、シリンダ(B2)との間に流通用の隙間(60)を備え、正立から倒立への移行時及び倒立から正立への移行時に、自重でシリンダ(B2)に対して相対上下動する筒状のアダプター(B4)とを備え、シリンダ(B2)とアダプターとの間に、正立時に流通用の隙間(60)を遮断する上部シール部(61)と、倒立時に流通用の隙間(60)を遮断する下部シール部(62)とを設け、正立時には上部シール部(61)が遮断するとともに、下部シール部(62)が開放されてアダプター(B4)下端部と連通孔(21)とが連通し、倒立時には下部シール部(62)が遮断するとともに、上部シール部(61)が開放されて倒立状態のアダプター(B4)上端部と連通孔(21)が連通することを特徴とする正倒立噴出可能な液体噴出器。
【請求項2】
上部シール部(61)を、シリンダ(B2)外周に突周設した係止突条(26)と、正立時に係止突条(26)上面に当接して流通用の隙間(60)上下を遮断するとともに、アダプター(B4)内周に突周設した係合突条(66)とで構成し、下部シール部(62)を、シリンダ(B2)の下面と、倒立時にシリンダ(B2)下面に当接して上下を遮断するとともに、アダプター内周に突周設したフランジ(64)とで構成した請求項1に記載の正倒立噴出可能な液体噴出器。
【請求項3】
アダプター(B4)を、係合突条66を突周設した上部アダプター(B4a) と、上部アダプター(B4a) の下端部に上端部を嵌着するとともに、フランジ(64)を突周設した下部アダプター(B4b) とで構成した請求項2記載の正倒立噴出可能な液体噴出器。
【請求項4】
アダプター(B4)の内周下部に、内面をシリンダ(B2)外周に近接させた案内リブ(65)を周方向複数突設した請求項2又は請求項3のいずれか1項に記載の正倒立可能な液体噴出器。
【請求項5】
逆止弁(32)を、シリンダ(B2)下部に形成された逆止弁座(24)と、逆止弁座(24)上に載置された玉状弁体(31)とで構成し、逆止弁座(24)上方のシリンダ周壁部(20)内に周方向複数嵌着した支持板(30)によりシリンダ(B2)内中央に支持された整流用の棒体(29)下面と、逆止弁座(24)上面との間を玉状弁体(31)の移動が可能に設けた請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の正倒立噴出可能な液体噴出器。
【請求項6】
作動部材(B3)は、シリンダ(B2)内を摺動する小径ピストン(42)を下部外周に、大径ピストンを上部外周にそれぞれ突設するとともに、先端を吐出弁体44に形成し、且つ、シリンダ(B2)内から大径ピストン(43)上方に至る流路(46)を備えた連通管(B3a) と、大径ピストン(43)が摺動する大径シリンダ(50)を備えるとともに、連通管(B3a) 先端の吐出弁体(44)が圧接する吐出弁座(51)とで蓄圧式の吐出弁(52)を構成し、且つ、大径シリンダ(50)内から吐出弁(52)を介して噴出口(53)に連通させる噴出路(54)を備えた噴出ヘッド(B3b) とを備え、蓄圧式の吐出弁(52)が、シリンダ(B2)と大径シリンダ(50)との径差により生じる液圧で開口する如く構成した請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の正倒立噴出可能な液体噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−246135(P2011−246135A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118213(P2010−118213)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】