説明

歩容モニタリング方法、歩容モニタリングシステム及びこのシステムで使用される情報処理装置とそのプログラム

【課題】計測場所や時間の制約を受けることなく日常生活における人の歩行状態を正確に監視し、しかも歩容の変化を手間と時間を要することなく監視できるようにする。
【解決手段】計測端末ST1〜STmにおいて、加速度情報計測部13によりユーザの歩行中の体動の加速度を計測すると共に、位置情報計測部11によりユーザの位置を計測して、これらの計測情報をその計測時刻と共に歩容モニタリングサーバSVへ転送する。そして、歩容モニタリングサーバSVにおいて、上記転送された加速度情報をもとに歩容算出部21で歩容情報を算出し、さらに表示端末DT1〜DTmから指定された時間条件、位置条件及び地理条件に応じて歩容変化量算出部23により時間経過に伴う歩容の変化の様子を算出して、この算出された歩容変化情報を表示端末DT1〜DTnへ出力して表示させるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、日常生活における人の歩行状態をモニタリングするための歩容モニタリング方法、歩容モニタリングシステム及びこのシステムで使用される情報処理装置とそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
リハビリテーションや介護予防等の領域においては、患者又は被介護者の歩行状態を定量的に評価する方法として床反力を計測する方法が広く普及している。この方法は、床面に圧力センサを設置し、人が歩行する際に足底面に対して床から生じる力、つまり床反力を計測するものである。しかし、この方法は詳細な歩行の様子を計測できるものの、計測装置が大掛かりになり高価になるという問題がある。
【0003】
一方、人の歩行状態、すなわち歩容を計測するための方法として、人体に加速度計を取り付けて歩行時に生じる加速度を計測し、この加速度の計測値をもとに歩容を算出する方法が提案されている(例えば非特許文献1を参照)。この方法を用いると、床面に圧力センサを設置する必要がないので小型で安価な装置を提供することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】山田実他、「体感加速度由来歩容指標による歩容異常の評価」、理学療法学 第33巻第1号 14〜21頁 2006年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記した加速度のみを用いて歩容を計測する方法を日常における人の歩容監視に適用しようとすると、以下のような解決すべき課題があった。
すなわち、日常生活における人の歩行状態は、体調等の身体的条件ばかりでなく、歩行する場所の地理的条件にも影響を受ける。例えば、平地では問題なく歩行できるが、坂や階段ではバランスを崩しやすくなる。また、同じ平地でも舗装道路か未舗装であるか、さらには道幅の広狭によっても、人の歩行状態は影響を受ける。このため、加速度から得られる人の歩容情報のみから日常生活における人の体調等を監視しようとすると、正確な監視を行うことが困難である。また、歩行場所の地理的条件の影響を受けずに計測を行うには、計測場所を例えば平坦な舗装道路に限定し、計測を実施する者の管理下で決められた時間に歩容を計測する必要がある。
【0006】
また、歩容は時間経過に伴い変化する。例えば、脚を怪我した人は、リハビリテーションによる回復の進展に伴い、怪我をした時から次第に好ましい状態に歩容が変化していく。あるいは高齢者は、加齢に伴い次第に脚の筋力が衰え、その結果として好ましくない状態に歩容が変化していく。このため、リハビリテーションの担当医や介護従事者等の専門家、すなわち患者や高齢者等を監視する立場の者(監視者)は、その職務を遂行する上で、監視対象である者の歩容の変化の様子を的確に把握する必要がある。
【0007】
しかしながら、従来から提案されている歩容計測方法では、計測時におけるそれぞれの歩容を定量化するに留まっている。このため、歩容の変化を把握するためには、計測された歩容の時間変化を目視にて観察するか、あるいは別途何らかの手段を用いて変化量を算出する必要があり、監視者にとっては手間と時間がかかっていた。
【0008】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、計測場所や時間の制約を受けることなく日常生活における人の歩行状態を正確に監視できるようにし、しかも歩容の変化を手間と時間を要することなく監視できるようにした歩容モニタリング方法、歩容モニタリングシステム及びこのシステムで使用される情報処理装置とそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためにこの発明の一観点は、監視対象となるユーザに装着される計測ユニットと、この計測ユニットとの間で情報の伝達が可能な情報処理ユニットと、この情報処理ユニットとの間で情報の伝達が可能な提示ユニットとを具備するシステムにあって、計測ユニットにより、上記ユーザが存在する位置を計測してその計測結果を表す位置情報を得ると共に、上記ユーザの歩行動作の加速度を計測してその計測結果を表す加速度情報を得て、これらの位置情報及び加速度情報を当該各情報の計測時刻を表す時刻情報と関連付けて情報処理ユニットへ送信する。そして、情報処理ユニットにより、上記計測ユニットから送信された位置情報、加速度情報及び時刻情報を受け取って記憶手段に記憶した後、この記憶された加速度情報をもとにユーザの歩行動作の特徴を表す歩容情報を算出し、さらにこの算出された歩容情報の時間変化を算出して、この算出された歩容情報の時間変化を表す情報を提示ユニットへ送信し監視者に提示するようにしたものである。
【0010】
したがって、ユーザの歩行動作の特徴を表す歩容情報が算出され、さらにこの算出された歩容情報をもとにその時間変化を表す情報が算出されて監視者に提示される。このため、歩容の変化を把握するために監視者は、計測された歩容の時間変化を目視にて観察したり、別途何らかの手段を用いて変化量を算出する必要がなくなり、これによりユーザの歩容の変化を手間と時間を要することなく正確に監視することが可能となる。
【0011】
また、この発明の一観点は以下のような態様を備えることも特徴とする。
第1の態様は、提示ユニットにより、歩容情報の時間変化の算出条件を表す情報の入力を受付け、この入力された上記算出条件を表す情報を上記情報処理ユニットへ送信する。そして情報処理ユニットにより、上記提示ユニットから送信された算出条件を表す情報を受け取り、この受け取った算出条件に合致する歩容情報を上記歩容情報算出処理により算出された歩容情報集合の中から選択し、この選択された歩容情報をもとに当該歩容情報の時間変化を算出するものである。
このようにすると、歩容情報の時間変化の算出条件を監視者が提示ユニットにおいて指定入力することができ、これにより所望の条件における歩容の変化を監視することが可能となる。
【0012】
第2の態様は、提示ユニットにおいて、算出条件として、歩容変化量の算出対象とする期間を表す時間条件と、歩容変化量の算出対象とする位置を表す位置条件と、歩容変化量の算出対象とする地理的条件を表す地理条件の入力を受付ける。そして、情報処理ユニットにより、上記時間条件に該当する歩容情報を歩容変化量の算出に用いる候補として上記歩容情報算出処理により算出された歩容情報集合の中から選択し、上記位置条件に合致しかつ上記選択された候補と関連付けられた時刻情報と計測時刻が一致する位置情報を記憶手段から読み出して上記候補と対応付け、上記読み出された位置情報に時刻情報が対応しかつ上記地理条件に合致する地理情報を予め記憶しておいた地理情報群の中から読み出して上記候補に対応付ける。そして、上記候補のうち、上記読み出された位置情報及び地理情報と対応付けられていない候補を削除し、削除後に残った歩容情報をもとにその時間変化を算出するものである。
【0013】
このようにすると、指定した期間内に得られた歩容情報のうち、指定した位置及び地形の条件に合致する歩容情報のみが選択されて歩容変化量の算出が行われる。一般に、日常生活の中で取得される歩容情報は、様々な外的要因、例えば時間帯、場所、勾配や舗装/未舗装等の地理的条件に影響される。しかしながら、上記のように指定した位置及び地形の条件に合致する歩容情報のみを選択することで、位置及び地理的条件を揃えた上で歩容変化を算出することができ、これにより歩行能力の変化の様子をより的確に監視することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
すなわちこの発明によれば、計測場所や時間の制約を受けることなく日常生活における人の歩行状態を正確に監視することができ、しかも歩容の変化を手間と時間を要さずに監視できるようにした歩容モニタリングシステム、情報処理装置及びそのプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態に係わる歩容モニタリングシステムの全体構成を示す図。
【図2】図1に示したシステムにおける計測端末、歩容モニタリングサーバ及び表示端末の機能構成を示すブロック図。
【図3】図2に示した計測端末及び歩容モニタリングサーバによる位置情報計測・記憶処理の手順と処理内容を示すフローチャート。
【図4】図2に示した計測端末及び歩容モニタリングサーバによる歩容情報算出・記憶処理の手順と処理内容を示すフローチャート。
【図5】歩容モニタリングサーバによる歩容変化量算出処理の手順と処理内容を示すフローチャート。
【図6】図5に示す歩容変化量算出処理に使用する条件を設定入力するために用いる条件設定画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる歩容モニタリングシステムの全体構成を示す図である。
このシステムは、監視対象となる複数のユーザにそれぞれ装着された計測端末ST1〜STmを通信ネットワークNWに接続可能とすると共に、監視者が使用する複数の表示端末DT1〜DTnを通信ネットワークNWに接続可能としている。そして、上記通信ネットワークNW上に情報処理装置としての歩容モニタリングサーバSVを設け、この歩容モニタリングサーバSVと上記計測端末ST1〜STm及び表示端末DT1〜DTnとの間で通信を可能にしたものである。
【0017】
なお、通信ネットワークNWは、例えばインターネットに代表されるIP(Internet Protocol)網と、このIP網に対しアクセスするための複数のアクセス網とから構成される。アクセス網としては、例えばLAN(Local Area Network)、無線LAN、携帯電話網、有線電話網、CATV(Cable Television)網が用いられる。
【0018】
ところで、上記計測端末ST1〜STm、表示端末DT1〜DTn及び歩容モニタリングサーバSVはそれぞれ以下のような機能を備えている。図2はその機能構成を示すブロック図である。
【0019】
先ず計測端末ST1〜STmは、監視対象となるユーザの体に取り付けられるもので、この発明を実現するために必要な計測機能として、位置情報計測部11と、時間計測部12と、加速度情報計測部13を備えている。
【0020】
位置情報計測部11は、監視対象者たるユーザの位置を定期的又は任意のタイミングで計測するもので、例えば複数のGPS(Global Positioning System)衛星からそれぞれ送信されるGPS信号を受信して演算を行うことで緯度及び経度により表される位置情報を求める。なお、位置計測手段としては、GPSを利用するもの以外に、移動通信システムの基地局の位置に基づくものや、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントの設置場所に基づくもの等を利用してもよく、さらにはこれら複数の計測手段を適宜組み合わせてもよい。
【0021】
加速度情報計測部13は、ユーザの歩行中の体の動きを定期的又は任意のタイミングで計測するもので、例えば三軸加速度センサにより構成される。ユーザの歩行中の体の動きを的確に計測するには、加速度情報計測部13は体の重心、例えば腰部に取り付けることが望ましいが、歩容を算出可能であれば腰部に限ることなく他の位置に取り付けてもよい。上記計測タイミングは、例えば20msecつまりサンプリングレート50Hzの時間間隔で、一定時間(10秒間)連続的に計測するように設定される。
【0022】
時間計測部12は、現在時刻を計時する時計からなり、上記位置情報計測部11及び加速度情報計測部13によりそれぞれ位置情報及び加速度情報が計測された時点における時刻情報を出力する。
【0023】
また計測端末ST1〜STmは、通信部及びその制御部(何れも図示省略)を備えている。通信部は、通信ネットワークNWとの間で無線回線を介して通信を行う。制御部は、上記位置情報計測部11において位置情報が計測されるごとに、当該位置情報計測部11及び加速度情報計測部13によりそれぞれ計測された位置情報及び加速度情報を、上記時間計側部12から出力される計測時刻情報と共に、上記通信部から歩容モニタリングサーバSVへ向けて送信させる。
【0024】
表示端末DT1〜DTnは、歩容モニタリングに係る諸情報を監視者が閲覧するために用いるもので、例えばパーソナル・コンピュータのような据置型端末や、携帯電話機、PDA(Personal Processing Unit)等の携帯型端末からなる。
【0025】
表示端末DT1〜DTnは、入力部41と、情報表示部42と、通信部及び制御部(図示省略)を備える。通信部は、通信ネットワークNWとの間で通信を行う。入力部41は、例えばキーボードやマウスからなる。情報表示部42は、例えば液晶ディスプレイからなる。制御部は、歩容モニタリングサーバSVから送信された自端末宛の表示情報を上記通信部により受信して上記情報表示部42に表示させると共に、上記入力部41において監視者が入力した表示要求等の情報を上記通信部から歩容モニタリングサーバSVへ送信する処理を実行する。
【0026】
歩容モニタリングサーバSVは例えばWebサーバからなり、処理部2と、格納部3と、通信部(図示省略)を備えている。通信部は、上記通信ネットワークNWを介して上記計測端末ST1〜STm及び表示端末DT1〜DTnとの間で情報の伝送を行う。
【0027】
格納部3は、各種情報を格納するためのもので、例えばRAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等により構成される。格納部3には、この発明を実施する上で必要な記憶部として、地理情報格納部31と、位置情報格納部32と、加速度情報格納部33と、歩容情報格納部34が設けられている。
【0028】
地理情報格納部31には、地理に関する諸情報が予め格納される。格納される情報としては、例えば地図を表示するための地図情報、地名や住所等の地理空間上の特定の地点又は区域の位置を示す情報、地図上の特定の地点又は区域における地形情報がある。地形情報は、例えば坂、階段、舗装/未舗装を表す情報を含む。
【0029】
位置情報格納部32は、上記計測端末ST1〜STmにおいて位置情報計測部11により計測された位置情報を格納するために使用される。位置情報は、緯度経度情報と、当該位置情報が計測されたときの時刻情報と、ユーザ又は計測端末を識別するためのIDとを含む。なお、位置情報計測部の実現手段が複数存在する場合、例えばGPS情報と移動通信基地局の情報とを組み合わせて位置を計測する場合には、この計測手段を識別するための識別子も上記位置情報に含まれる。
【0030】
加速度情報格納部33は、上記計測端末ST1〜STmにおいて上記加速度計測部により計測された、三軸の加速度情報を格納するために使用される。加速度情報は、三次元空間におけるx軸、y軸およびz軸方向のそれぞれの加速度の計測値と、当該加速度情報が計測されたときの時刻情報と、ユーザ又は計測端末を識別するためのユーザIDとを含む。
【0031】
歩容情報格納部34は、後述する処理部2内の歩容算出部21により算出された歩容情報を格納するために使用される。歩容情報は、歩容の状態を表す複数種類のデータと、計測時刻を表す時刻情報と、ユーザ又は計測端末を識別するためのユーザIDとを含む。歩容の状態を表す複数種のデータには、例えば加速度と、高速フーリエ変換による周波数解析値と、自己相関値と、歩行姿勢の動揺性の大きさを示すRMS(Root Mean Square)と、歩行速度が含まれる。
【0032】
処理部2は中央処理ユニット(CPU)を備え、この発明を実現するために必要な処理機能として、歩容算出部21と、情報統合部22と、歩容変化量算出部23を備えている。なお、これらの歩容算出部21、情報統合部22及び歩容変化量算出部23は、アプリケーション・プログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0033】
歩容算出部21は、上記加速度情報格納部33から計測時刻ごとに加速度情報を読み出し、この加速度情報に対しデータ解析処理を施して歩容情報を算出する処理を実行する。歩容情報は、例えばx軸、y軸およびz軸方向のそれぞれの加速度計測値に対し、高速フーリエ変換による周波数解析、自己相関解析、RMS(Root Mean Square)値の算出、積分値の算出の各処理を行うことによって算出される。ただし、これらの処理以外にも歩行の特徴を定量的に表すための算出処理があれば、上記処理に加えるか或いは代えてもよい。
【0034】
情報統合部22は、以下の処理機能を有する。
(1) 表示端末DT1〜DTnの情報表示部42に歩容変化量算出条件の入力設定画面を表示させ、この状態で入力部41により入力された条件情報を受け取る処理。条件情報は、歩容変化量の算出対象期間を表す時間条件と、位置条件と、地理条件を含む。
(2) 表示端末DT1〜DTnから送られる歩容変化量の算出要求に応じて、この算出要求に含まれる時間条件に該当する歩容情報の集合を、歩容変化量の算出に用いる候補として格納部3の歩容情報格納部34から読み出す処理。
(3) 上記歩容変化量算出要求に含まれる位置条件に合致し、かつ上記読み出された候補に付された時刻と計測時刻が一致する位置情報を、格納部3の位置情報格納部32から読み出して、上記候補と対応付ける処理。
(4) 上記読み出された位置情報に対応し、かつ上記歩容変化量算出要求により指定される地理条件に合致する地理情報を、格納部3の地理情報格納部31から読み出して、上記候補に対応付ける処理。
(5) 上記候補のうち、上記読み出された位置情報及び地理情報と対応付けられていない候補を削除し、この削除後に残った歩容情報を歩容変化量算出部23に渡す処理。
(6) 歩容変化量算出部23により算出された歩容変化量を表す情報をもとに、表示端末DT1〜DTnで表示できる形態の表示データを生成し、この表示データを情報表示部42へ出力する処理。
【0035】
歩容変化量算出部23は、上記情報統合部22から渡された歩容情報をもとに、時間変化に伴う歩容の変化量を算出する処理を実行する。歩容の変化量を算出する具体的な処理方法としては、例えば最小二乗法を用いて近似直線を求め、当該近似直線の傾きの値を変化量とする方法を用いる。
【0036】
次に、以上のように構成されたシステムによる歩容モニタリング動作を説明する。
(1)位置情報の計測処理
ユーザの位置情報は次のように計測される。図3はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
すなわち、上記ユーザの計測端末ST1では、位置情報計測部11が先ずステップS31において定期的もしくは移動開始時点等の任意のタイミングで例えば緯度経度を計測する。続いてステップS32により時間計測部12から現在時刻を取得し、この現在時刻を上記位置情報の計測時刻として当該位置情報に付与する。次にステップS33において、計測手段の識別子と、計測端末ST1を所持するユーザのIDを、上記緯度経度の情報に付加して位置情報を生成する。そして、この生成された位置情報を歩容モニタリングサーバSVに向け送信する。
【0037】
歩容モニタリングサーバSVは、計測端末ST1から位置情報が送られると、この位置情報を通信部により受信して位置情報格納部32に格納する(ステップS34)。なお、計測端末ST1から歩容モニタリングサーバSVへの位置情報の送信処理は、新たな位置情報が生成された時点で即時に行ってもよいし、位置情報を計測端末ST1内のメモリに一旦保存して一定時間分が蓄積された後にまとめて行うようにしてもよい。
【0038】
(2)加速度情報の計測処理
ユーザの加速度情報は次のように計測される。図4はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
すなわち、上記ユーザの計測端末ST1では、加速度情報計測部13が先ずステップS41において計測端末を所持するユーザの体動を、三軸の加速度信号値として計測する。続いてステップS42により時間計測部12から現在時刻を取得し、この現在時刻を上記三軸の加速度信号値の計測時刻として当該加速度信号値に付与する。この計測時刻が付与された加速度信号値は、加速度情報計測部13内のメモリに保存される。加速度情報計測部13は、以上のステップS41及びステップS42の処理を、ステップS43により一定時間、例えば20msec(サンプリングレート50Hzに相当する時間)待機するごとに繰り返し実行する。
【0039】
そうして、予め設定した計測期間、例えば10secが経過すると、加速度情報計測部13はステップS44からステップS45に移行し、当該計測端末ST1を所持するユーザのIDを上記メモリに保存された各加速度信号値に付加して加速度情報を生成する。そして、この生成された加速度情報を歩容モニタリングサーバSVに向け送信する。
【0040】
歩容モニタリングサーバSVは、計測端末ST1から加速度情報が送られると、この加速度情報を通信部により受信して加速度情報格納部33に格納する(ステップS46)。そして、加速度情報格納部33に新たな加速度情報が格納されると、歩容算出部21がステップS47において、当該加速度情報を加速度情報格納部33から読み出し、この読み出した三軸の加速度信号値に対しデータ解析処理を行って歩容情報を算出する。
【0041】
例えば、x軸、y軸及びz軸の各方向の加速度計測値に対し、高速フーリエ変換による周波数解析処理と、自己相関解析処理と、歩行の動揺性の大きさを示すRMS(Root Mean Square)値の算出処理と、歩行速度を示す積分値の算出処理を行う。なお、これらの計算の詳細は、非特許文献1に記載されている。
そして歩容算出部21は、上記算出された歩容情報に含まれる各計算値をステップS48により歩容情報格納部34に格納する。
【0042】
なお、上記(1)に示した位置情報の計測処理と、(2)に示した加速度情報の計測処理は、互いに同期して実行されるようにしてもよいし、非同期に独立してそれぞれ実行されるようにしてもよい。同期させる場合には、例えば位置情報計測部11において位置情報が計測されるごとに位置情報計測部11から加速度情報計測部13に対し加速度計測処理を促す要求を与え、この要求を受けて加速度情報計測部13が加速度の計測処理を開始するように構成すればよい。
【0043】
(3)歩容変化情報の算出及び表示処理
歩容モニタリングサーバSV及び表示端末DT1は、歩容情報の表示処理を以下のように実行する。図5はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
すなわち、いま例えば表示端末DT1において、監視者が歩容モニタリングサーバSVにアクセスし、これによりメニューが表示された状態で「歩容変化量の算出及び閲覧」を選択すると、歩容モニタリングサーバSVから条件設定画面の表示データがダウンロードされて表示端末DT1の情報表示部42に表示される。
【0044】
図6にこの条件設定画面の一例を示す。条件設定画面には、時間条件設定エリア5と、位置条件設定エリア6と、地理条件設定エリア7と、表示ボタン8が表示される。時間情報設定エリア5にはカレンダ51と時間指定ボックス52が設けられ、監視者はこれらのカレンダ51及び時間指定ボックス52を用いて、歩容変化量の算出対象とする期間を時間条件として指定入力する。なお、時間条件としては、朝、昼、夜等の時間帯を表す情報を選択入力するようにしてもよい。
【0045】
位置条件設定エリア6には、都道府県、市区町村及び施設名称の各入力エリアが設けられている。監視者は、これらの入力エリアに歩容変化量を算出する際の位置条件として場所を表す住所及び施設名称を入力する。地理条件設定エリア7には、地理条件の選択項目として平地、坂、階段、舗装/未舗装が表示され、監視者はこれらの項目の中から歩容変化量を算出する際の地理条件を選択する。
【0046】
そうして、上記時間条件、位置条件及び地理条件の入力が終了したのち、監視者が表示ボタン8を押すと、表示端末DT1の制御部が上記入力された各条件を表す情報を含む歩容変化量算出要求を生成し、この歩容変化量算出要求を通信部により歩容モニタリングサーバSVへ送信する。
【0047】
これに対し歩容モニタリングサーバSVは、上記表示端末DT1から送信された歩容変化量算出要求をステップS51により通信部で受信すると、情報統合部22が先ずステップS52において、上記受信された歩容変化量算出要求に含まれる時間条件に該当する歩容情報の集合を、格納部3の歩容情報格納部34から読み出す。この読み出された歩容情報の集合は、歩容変化量の算出に用いる候補群として図示しない記憶部に保存される。
【0048】
次に情報統合部22は、ステップS53において、上記歩容変化量算出要求に含まれる位置条件に合致し、かつ上記読み出された候補に付された時刻と計測時刻が一致する位置情報を、格納部3の位置情報格納部32から読み出す。そして、この読み出された位置情報を計時時刻が一致する上記候補と対応付けて記憶部に記憶する。また、この処理において計時時刻が一致する位置情報がなかった歩容情報については、上記候補群の中から削除するべく、ステップS54により上記記憶部から消去する。
【0049】
なお、上記位置条件に合致するとは、例えば座標情報が完全に一致することしてもよいし、両者が一定の半径の範囲内に位置することとしてもよい。上記一定の半径とは、例えば位置情報計測時に発生する測定誤差の値とする。なお、上記計測時間が一致するとは、時刻が完全に一致することとしてもよいし、予め定めた一定時間の範囲内で歩容情報と位置情報の双方が存在することとしてもよい。後者の一例を示すと、歩容情報の計測開始時刻の前後1分以内に計測された位置情報を計測時間が一致すると判断する。
【0050】
続いて情報統合部22は、ステップS55において、上記読み出された位置情報に対応し、かつ上記歩容変化量算出要求により指定される地理条件に合致する地理情報を、格納部3の地理情報格納部31から読み出す。そして、この読み出された地理情報を上記対応する位置情報と共に、計時時刻が一致する上記候補と対応付けて記憶部に記憶する。また、この処理において、条件に合致する地理情報が読み出されなかった歩容情報及び位置情報の組に対しては、上記候補群の中から削除するべく、ステップS56により上記記憶部から消去する。なお、上記地理条件に合致するとは、例えば平地、坂、階段といった地形に関する情報が同一であること、及び舗装されているか未舗装かといった路面の状態に関する情報が同一であることとする。
情報統合部22は、以上の各処理により最終的に記憶部に残った歩容情報の候補を、歩容変化量の算出対象として歩容変化量算出部23に渡す。
【0051】
歩容変化量算出部23は、情報統合部22から歩容情報が渡されると、ステップS57においてこの渡された歩容情報をもとに歩容変化量を算出する。
以下、歩容変化量を算出する方法として最小二乗法を用いて近似直線を算出する場合を例として説明する。また、歩容情報の具体例としては、例えば歩調をあげる。ここで、歩調は単位時間あたりの歩数を意味するものである。歩調は、図4のステップS47において述べたように、加速度計測値に対し高速フーリエ変換により周波数解析を行うことにより、パワースペクトルが最大である周波数を求め、当該周波数(単位Hz)を歩調とすることにより算出できる。また、当該求められた周波数に60を乗じた値を歩調としてもよい。なお、これにより算出された歩調は、1分間あたりの歩数を意味する。
【0052】
ここで、計測時刻をx、歩調をyとし、対象候補群としてn個の計測時刻と歩容情報の組((xi ,yi),…,(xn ,yn)が存在する時、これらを以下の式で表される一次方程式に近似する。
y=ax+b
このとき、aおよびbを最小二乗法により求めると、それぞれ以下の式で計算される。
【数1】

【0053】
ここで、一般的に歩調は値が大きいほど、すなわち単位時間あたりの歩数が多いほど、歩行能力が高いと解される。このため、上記方法により算出されたaが正の値である場合には時間経過に伴い歩行能力が向上しており、一方aが負の値である場合には低下しているものと解することができる。
【0054】
なお、上記例では、最小二乗法による近似直線を算出することにより歩容変化量を算出する方法を説明したが、歩容変化量を算出する方法についてはこれに限るものではなく、これと同様の効果を奏する他の方法があればこれに代えて実現してもよい。また、条件については、上記例に加え、ユーザ本人および他者の位置情報履歴をもとにユーザが他者と同行していたか否かを判定し、その判定結果、すなわち同行者の有無を用いて、条件情報とする構成も実現可能である。この方法は、例えば特開2010−96633号公報に記載されている。
【0055】
最後に情報統合部22は、上記歩容変化量算出部23により算出された歩容変化量を表すデータをもとに、ステップS58において歩容変化量算出画面を作成する。歩容変化量算出画面は、歩容の変化量を示す情報を含むものであり、例えば上記方法により算出されたaの値を記載する、あるいはx軸を計測時間、y軸を歩容情報とした二次元平面上にy=ax+bをグラフとして図示する方法などが考えられる。
【0056】
そして、表示端末DT1の情報表示部42で表示可能なデータ形式、例えばHTML(Hyper Text Markup Language)に当該画面情報を変換し、この変換された表示データを通信部から要求元の表示端末DT1に向けて送信する。
【0057】
これに対し表示端末DT1では、上記歩容モニタリングサーバSVから歩容変化量表示画面の表示データを通信部により受信すると、この受信された歩容変化量表示画面の表示データを情報表示部42に表示させる。
以上詳述したようにこの実施形態では、計測端末ST1〜STmにおいて、加速度情報計測部13によりユーザの歩行中の体動の加速度を計測すると共に、位置情報計測部11によりユーザの位置を計測して、これらの計測情報をその計測時刻と共に歩容モニタリングサーバSVへ転送する。そして、歩容モニタリングサーバSVにおいて、上記転送された加速度情報をもとに歩容算出部21で歩容情報を算出し、さらに表示端末DT1〜DTmから指定された時間条件、位置条件及び地理条件に応じて歩容変化量算出部23により時間経過に伴う歩容の変化の様子を算出して、この算出された歩容変化情報を表示端末DT1〜DTnへ出力して表示させるようにしている。
【0058】
したがって、監視者は時間経過に伴い変化する監視対象ユーザの歩容の様子を、定量化された歩容変化量の算出結果により、手間や時間を要することなく簡単かつ正確に確認することが可能となる。例えば、脚を怪我した人については、リハビリテーションによる回復の進展に伴い怪我をした時から次第に好ましい状態に歩容が変化していく様子を確認できる。また、高齢者については、加齢に伴い次第に脚の筋力が衰えて好ましくない状態に歩容が変化していく様子を確認できる。
【0059】
またこの実施形態では、表示端末DT1〜DTnにおいて事前に時間条件、位置条件及び地理条件を指定入力し、これらの条件に合致する歩容情報を変化量の算出対象として選択し計算を行うようにしている。すなわち、事前に計算対象の歩容情報の条件をそろえることができる。このため、日常生活の中で取得される歩容情報が様々な外的要因、例えば場所や時間帯、地理的な条件に影響を受けていても、これらの外的要因による影響を除外した上で歩容変化量を正確に算出することができる。
【0060】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、計測端末ST1〜STmと、歩容モニタリングサーバSVと、表示端末DT1〜DTnとを別体として構成し、歩容モニタリングサーバSVと計測端末ST1〜STm及び表示端末DT1〜DTnとの間を通信ネットワークNWを介して接続する例を示した。しかし、これに限定されるものではなく、歩容モニタリングサーバSVの機能を計測端末ST1〜STm又は表示端末DT1〜DTn内に一括又は分割して設けるようにしてもよい。
【0061】
また、図4に示したフローチャートにおいては、歩容情報の算出処理を加速度情報格納部32に新たな加速度情報が格納されたタイミングにおいて行うものとしたが、これに代えて情報統合部22から歩容算出部21に対し歩容情報の算出を促すトリガ信号を与え、歩容算出部21は当該トリガ信号を契機に歩容情報の算出処理を実行するようにしてもよい。
【0062】
その他、歩容変化量の算出条件、計測端末に設けられるセンサの種類やその計測処理手順と処理内容、歩容モニタリングサーバの機能とその処理手順及び処理内容、表示端末の種類やその構成等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0063】
ST1〜STm…計測端末、DT1〜DTn…表示端末、SV…歩容モニタリングサーバ、NW…通信ネットワーク、11…位置情報計測部、12…時間計測部、13…加速度情報計測部、2…処理部、21…歩容算出部、22…情報統合部、23…歩容変化量算出部、3…格納部、31…地理情報格納部、32…位置情報格納部、33…加速度情報格納部、34…歩容情報格納部、41…入力部、42…情報表示部、5…時間条件設定エリア、6…位置条件設定エリア、7…地理条件設定エリア、8…表示ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象となるユーザに装着される計測ユニットと、この計測ユニットとの間で情報の伝達が可能な情報処理ユニットと、この情報処理ユニットとの間で情報の伝達が可能な提示ユニットとを具備し、
前記計測ユニットは、
前記ユーザが存在する位置を計測してその計測結果を表す位置情報を出力する位置計測手段と、
前記ユーザに装着され、当該ユーザの歩行動作の加速度を計測してその計測結果を表す加速度情報を出力する加速度計測手段と、
前記位置及び加速度の計測時刻を表す時刻情報を出力する計時手段と、
前記位置計測手段から出力された位置情報、前記加速度計測手段から出力された加速度情報及び前記計時手段から出力された時刻情報を前記情報処理ユニットへ送る手段と
を備え、
前記情報処理ユニットは、
前記計測ユニットから送信された位置情報、加速度情報及び時刻情報を受け取る手段と、
前記受け取った位置情報及び加速度情報をそれぞれその計測時刻を表す時刻情報と関連付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶された加速度情報をもとにユーザの歩行動作の特徴を表す歩容情報を算出し、この算出された歩容情報を対応する前記時刻情報と関連付けて記憶する歩容情報算出手段と、
前記算出された歩容情報の時間変化を算出する歩容変化算出手段と、
前記算出された歩容情報の時間変化を提示するための情報を生成して前記提示ユニットへ送る手段と
を備え、
前記提示ユニットは、
前記情報処理ユニットから送られた提示情報を受け取る手段と、
前記受け取った提示情報を監視者に提示する提示手段と
を備えることを特徴とする歩容モニタリングシステム。
【請求項2】
前記提示ユニットは、
前記歩容情報の時間変化の算出条件を表す情報の入力を受付ける入力手段と、
前記入力手段により入力された前記算出条件を表す情報を前記情報処理ユニットへ送信する手段と
を、さらに備え、
前記情報処理ユニットの歩容変化算出手段は、
前記提示ユニットから送信された算出条件を表す情報を受け取る手段と、
前記受け取った算出条件に合致する歩容情報を、前記歩容情報算出手段により算出された歩容情報集合の中から選択する選択手段と、
前記選択された歩容情報をもとに当該歩容情報の時間変化を算出する手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の歩容モニタリングシステム。
【請求項3】
前記入力手段は、算出条件として、歩容変化量の算出対象とする期間を表す時間条件と、歩容変化量の算出対象とする位置を表す位置条件と、歩容変化量の算出対象とする地理的条件を表す地理条件の入力を受付け、
前記選択手段は、
前記時間条件に該当する歩容情報を、歩容変化量の算出に用いる候補として前記歩容情報算出手段により算出された歩容情報集合の中から選択する手段と、
前記位置条件に合致しかつ前記選択された候補と関連付けられた時刻情報と計測時刻が一致する位置情報を、前記記憶手段から読み出して上記候補と対応付ける手段と、
前記読み出された位置情報に時刻情報が対応しかつ前記地理条件に合致する地理情報を、予め記憶しておいた地理情報群の中から読み出して、上記候補に対応付ける手段と、
前記候補のうち、前記読み出された位置情報及び地理情報と対応付けられていない候補を削除する手段と
を備え、
前記時間変化を算出する手段は、前記削除後に残った歩容情報をもとにその時間変化を算出することを特徴とする請求項2記載の歩容モニタリングシステム。
【請求項4】
監視対象となるユーザに装着される計測ユニットと、この計測ユニットとの間で情報の伝達が可能な情報処理ユニットと、この情報処理ユニットとの間で情報の伝達が可能な提示ユニットとを具備するシステムを用いて、前記ユーザの歩容状態を監視する歩容モニタリング方法であって、
前記計測ユニットにより、前記ユーザが存在する位置を計測してその計測結果を表す位置情報を得る過程と、
前記計測ユニットにより、前記ユーザの歩行動作の加速度を計測してその計測結果を表す加速度情報を得る過程と、
前記計測ユニットにより、前記得られた位置情報及び加速度情報を当該各情報の計測時刻を表す時刻情報と関連付けて、前記情報処理ユニットへ送る過程と、
前記情報処理ユニットにより、前記計測ユニットから送信された位置情報、加速度情報及び時刻情報を受け取って記憶手段に記憶する過程と、
前記情報処理ユニットにより、前記記憶された加速度情報をもとにユーザの歩行動作の特徴を表す歩容情報を算出し、この算出された歩容情報を対応する前記時刻情報と関連付けて記憶する歩容情報算出過程と、
前記情報処理ユニットにより、前記算出された歩容情報の時間変化を算出する歩容変化算出過程と、
前記情報処理ユニットにより、前記算出された歩容情報の時間変化を提示するための情報を生成して前記提示ユニットへ送る過程と、
前記提示ユニットにより、前記情報処理ユニットから送られた提示情報を受け取る過程と、
前記提示ユニットにより、前記受け取った提示情報を監視者に提示する過程と
を具備することを特徴とする歩容モニタリング方法。
【請求項5】
前記提示ユニットにより、前記歩容情報の時間変化の算出条件を表す情報の入力を受付け、この入力された前記算出条件を表す情報を前記情報処理ユニットへ送信する条件入力過程を、さらに具備し、
かつ前記歩容変化算出過程は、
前記提示ユニットから送信された算出条件を表す情報を受け取り、
前記受け取った算出条件に合致する歩容情報を、前記歩容情報算出過程により算出された歩容情報集合の中から選択し、
前記選択された歩容情報をもとに当該歩容情報の時間変化を算出する
ことを特徴とする請求項4記載の歩容モニタリング方法。
【請求項6】
前記条件入力過程は、算出条件として、歩容変化量の算出対象とする期間を表す時間条件と、歩容変化量の算出対象とする位置を表す位置条件と、歩容変化量の算出対象とする地理的条件を表す地理条件の入力を受付け、
前記歩容変化算出過程は、
前記時間条件に該当する歩容情報を歩容変化量の算出に用いる候補として前記歩容情報算出過程により算出された歩容情報集合の中から選択し、
前記位置条件に合致しかつ前記選択された候補と関連付けられた時刻情報と計測時刻が一致する位置情報を前記記憶手段から読み出して上記候補と対応付け、
前記読み出された位置情報に時刻情報が対応しかつ前記地理条件に合致する地理情報を、予め記憶しておいた地理情報群の中から読み出して上記候補に対応付け、
前記候補のうち、前記読み出された位置情報及び地理情報と対応付けられていない候補を削除し、
前記削除後に残った歩容情報をもとにその時間変化を算出する
ことを特徴とする請求項5記載の歩容モニタリング方法。
【請求項7】
前記請求項1記載の計測ユニット及び提示ユニットとの間で情報の伝達が可能な情報処理装置であって、
前記計測ユニットから送信された位置情報、加速度情報及び時刻情報を受け取る手段と、
前記受け取った位置情報及び加速度情報をそれぞれその計測時刻を表す時刻情報と関連付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶された加速度情報をもとにユーザの歩行動作の特徴を表す歩容情報を算出し、この算出された歩容情報を対応する前記時刻情報と関連付けて記憶する歩容情報算出手段と、
前記算出された歩容情報の時間変化を算出する歩容変化算出手段と、
前記算出された歩容情報の時間変化を提示するための情報を生成して前記提示ユニットへ送る手段と
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理ユニットの歩容変化算出手段は、
前記提示ユニットから算出条件を表す情報を受け取る手段と、
前記受け取った算出条件に合致する歩容情報を、前記歩容情報算出手段により算出された歩容情報集合の中から選択する選択手段と、
前記選択された歩容情報をもとに当該歩容情報の時間変化を算出する手段と
を備えることを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記提示ユニットが、算出条件として、歩容変化量の算出対象とする期間を表す時間条件と、歩容変化量の算出対象とする位置を表す位置条件と、歩容変化量の算出対象とする地理的条件を表す地理条件を出力する場合に、
前記選択手段は、
前記時間条件に該当する歩容情報を、歩容変化量の算出に用いる候補として前記歩容情報算出手段により算出された歩容情報集合の中から選択する手段と、
前記位置条件に合致しかつ前記選択された候補と関連付けられた時刻情報と計測時刻が一致する位置情報を、前記記憶手段から読み出して上記候補と対応付ける手段と、
前記読み出された位置情報に時刻情報が対応しかつ前記地理条件に合致する地理情報を、予め記憶しておいた地理情報群の中から読み出して、上記候補に対応付ける手段と、
前記候補のうち、前記読み出された位置情報及び地理情報と対応付けられていない候補を削除する手段と
を備え、
前記時間変化を算出する手段は、前記削除後に残った歩容情報をもとにその時間変化を算出することを特徴とする請求項8記載の情報処理装置。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれかに記載の情報処理装置が具備する各手段が備える処理を、情報処理装置が備えるコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−90651(P2012−90651A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237901(P2010−237901)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年7月1日 社団法人電気通信協会発行の「NTT技術ジャーナル 2010 Vol.22 No.7」に発表
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】