説明

歩数計

【課題】 感度軸が相互に異なる複数の歩行センサを用いた歩数計において、歩行センサを選択するための演算処理を行うことなく歩数計測を行えるようにすること。
【解決手段】 OR手段114は、歩行検出回路100a、100bから並列に入力される歩行信号S1、S2を合成歩行信号S3に変換する。CPU108は、入力ポートに入力された歩行信号S3を検出することによって歩数算出を行う。このとき、CPU108は、歩行信号S3の検出に際して、各歩行信号S3を検出する毎に、歩行信号を検出する検出動作と、その直後のマスク時間には歩行検出を行わないマスク動作とを交互に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の歩行(走行も含む。)を検出して歩数計測を行う歩数計に関し、特に、相互に感度軸が異なる複数の歩行センサを備えた歩数計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、相互に感度軸が異なる複数の歩行センサを用いて、使用者の歩数を算出する歩数計が開発されている。
例えば、特許文献1に記載された歩数計では、複数の歩行センサ中のどの歩行センサの出力を歩数計数の対象とするのかを、複数の歩行センサの出力信号に対する演算処理によって選択するように構成している。
また、特許文献2に記載された歩数演算装置では、複数の歩行センサの出力信号の二乗和から、歩数演算に有効な有効成分を抽出し、前記有効成分に基づいて演算処理を行うことにより歩数算出を行うように構成している。
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の歩数計では、例えば、歩数計の姿勢が変化したときや使用者が一時的に歩行を停止したとき等、選択した歩行センサから出力信号が得られなった場合は、その都度、選択する演算処理を行わなければならない。また、複数の歩行センサから歩数計数に十分な信号が出力されている場合でも、歩行センサを選択するために演算処理を行う必要がある。したがって、演算量が増大するという問題がある。また、演算量の増大にともなって歩行センサの選択に時間がかかるため、歩数検出漏れが生じる恐れがある。
【0004】
また、特許文献2記載の歩数演算装置では、複数の歩行センサの出力信号の二乗和算出処理、歩数演算に有効な有効成分の抽出処理、前記有効成分に基づく歩数算出処理等の演算処理を行う必要があるため、演算量が増大するという問題がある。また、演算量の増大によって歩行センサの選択に時間がかかり、歩数検出漏れが発生する恐れがある。
【0005】
【特許文献1】特許第3543778号公報
【特許文献2】特開2005−38018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、感度軸が相互に異なる複数の歩行センサを用いた歩数計において、歩行センサを選択するための演算処理を行うことなく歩数計測を行えるようにすることを課題としている。
また、本発明は、歩行センサを選択するための演算処理を不要にすることにより、歩数検出漏れの発生を抑制することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、感度軸が相互に異なる歩行センサを有し、前記歩行センサによって検出した歩行に対応する歩行信号を出力する複数の歩行検出手段と、前記複数の歩行検出手段からの歩行信号を検出し、前記検出した歩行信号に基づいて歩数を算出する算出手段とを備え、前記算出手段は、前記歩行信号を検出する場合、前記歩行信号を検出する検出動作と、前記検出動作後の所定のマスク時間において前記歩行信号を検出しないマスク動作とを交互に行うことを特徴とする歩数計が提供される。
なお、歩行センサは、1つの感度軸に対して検出する歩行センサである場合であっても、あるいは、ダイヤフラム上に複数の検出部が形成されるように、1つの素子に1つの感度軸を検出する部分が複数個ある場合であってもよい。
【0008】
前記算出手段は、前記歩行信号を検出する場合、前記検出動作と前記マスク動作とを交互に行う動作を、最初に前記歩行信号を検出したときから開始するようにしても良い。
さらに、前記マスク時間を記憶する記憶手段を有し、前記算出手段は前記マスク時間を参照して前記歩行信号の検出を行うようにしても良い。
【0009】
前記算出手段は、前記複数の歩行検出手段から並列に入力される前記歩行信号を合成した合成歩行信号に変換する変換手段を備え、前記算出手段が前記合成歩行信号を検出する場合、前記合成歩行信号を検出する検出動作と、前記検出動作後の前記マスク時間におけるマスク動作とを交互に行うようにしてもい。
前記変換手段は、前記複数の歩行検出手段から並列に入力される前記歩行信号を、論理演算を施して合成した合成歩行信号に変換する論理演算手段であってもよい。
【0010】
前記算出手段は、前記合成歩行信号を検出する場合、前記検出動作とマスク動作とを交互に行う動作を、最初に合成歩行信号を検出したときから開始するようにしてもよい。
【0011】
前記算出手段は、前記マスク時間として、歩行ピッチに基づく値に設定してもよい。また、前記算出手段は、前記マスク時間として、計測可能な歩行ピッチの下限値に対応する前記歩行信号の歩行信号周期の半分以上で、前記計測可能な歩行ピッチの上限値に対応する前記歩行信号の歩行信号周期以下の範囲の値に設定してもよい。
【0012】
前記マスク時間を記憶する記憶手段を有し、前記算出手段は前記マスク時間を参照して前記合成歩行信号の検出を行うようにしてもよい。
【0013】
また、前記マスク時間を直近の歩行ピッチに応じたマスク時間に設定するマスク時間変更手段を備えて成るように構成してもよい。
また、前記マスク時間変更手段は、前記直近のピッチが所定値以上変化した場合に前記マスク時間を前記直近のピッチに応じたマスク時間に仮設定し、前記仮設定したマスク時間によって正しい歩行信号が得られたときに該仮設定のマスク時間を正式なマスク時間として設定し、前記算出手段は、前記マスク時間変更手段が前記仮設定のマスク時間を正式なマスク時間として設定した場合、前記仮設定期間中に発生した歩数によって累積歩数を補正するように構成してもよい。
【0014】
また、前記歩行センサは加速度に応じたレベルの加速度信号を出力する加速度センサであり、前記マスク時間変更手段は、前記直近のピッチが所定値以上変化した場合、前記加速度信号から出力される加速度信号のレベルに応じたマスク時間に設定するように構成してもよい。
また、前記歩行センサは加速度に応じたレベルの加速度信号を出力する加速度センサであり、前記加速度信号のレベルに応じたマスク時間に設定するマスク時間変更手段を備えて成るように構成してもよい。
【0015】
また、記憶手段に記憶した過去の歩行データから得られた歩行ピッチに基づいて前記マスク時間の初期値を設定するマスク時間初期値設定手段を備えて成るように構成してもよい。
また、入力手段を有し、前記入力手段から入力された個人データに基づいて前記マスク時間の初期値を設定するマスク時間初期値設定手段を備えて成るように構成してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、歩行センサを選択するための演算処理を行うことなく歩数計測を行うことが可能になる。
また、本発明によれば、歩行センサを選択するための演算処理が不要になるため、歩数検出漏れの発生を抑制することが可能になる。
また、歩行に応じてマスク時間を変更するため、歩行速度が変化した場合や、歩行速度が異なる複数の人が共用する場合でも、各使用者の歩数を正確に測定することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る歩数計について説明する。尚、各図において同一部分には同一符号を付している。
図1は、本発明の実施の形態に係る歩数計のブロック図である。
図1において、歩数計は、第1歩行検出回路100a、第2歩行検出回路100b、第1、第2歩行検出回路100a、100bからの歩行信号に基づく歩数算出処理等を行う中央処理装置(CPU)108、操作スイッチ等によって構成され歩数計測開始操作等の各種操作を行う入力手段109、計測した歩数やピッチ等を表示する表示手段110、警報等を音で行う報音手段111、CPU108用の規準クロック信号や計時動作を行う際の時間信号の元になる信号を発生する発振手段112、および記憶手段113、第1、第2歩行検出回路100a、100bからの歩行信号の論理和(OR)処理を行ってCPU108に出力するOR手段114備えている。
【0018】
第1歩行検出回路100aは、使用者の歩行を検出する毎に対応する電荷の歩行信号を出力する歩行センサ(本実施の形態では加速度センサであるピエゾ素子)101a、歩行センサ101aからの歩行信号を対応する電圧の歩行信号に変換して出力する電荷−電圧変換手段102a、電荷−電圧変換手段102aから出力される信号中のノイズを除去して歩行信号を出力するフィルタ手段105a、フィルタ手段105aからの歩行信号を増幅して出力する増幅手段106a、増幅手段106aからのアナログ信号形式の歩行信号をデジタル信号形式の歩行信号S1に変換して出力する二値化手段107aを備えている。
【0019】
第2歩行検出回路100bは、第2歩行検出回路100aと同様に構成されている。即ち、第2歩行検出回路100bは、使用者の歩行を検出する毎に対応する電荷の歩行信号を出力する歩行センサ(本実施の形態では加速度センサであるピエゾ素子)101b、歩行センサ101bからの歩行信号を対応する電圧の歩行信号に変換して出力する電荷−電圧変換手段102b、電荷−電圧変換手段102bから出力される信号中のノイズを除去して歩行信号を出力するフィルタ手段105b、フィルタ手段105bからの歩行信号を増幅して出力する増幅手段106b、増幅手段106bからのアナログ信号形式の歩行信号をデジタル信号形式の歩行信号S2に変換して出力する二値化手段107bを備えている。
【0020】
歩行センサ101aと歩行センサ101bは、感度軸が相互に異なる(例えば感度軸が90度異なる)ように構成されている。
歩行センサ101a、101bとしては機械的な歩行センサ等の他の歩行センサも使用可能であり、ピエゾ素子等の加速度センサに限定されるものではない。
OR手段114は、半導体素子等のハードウェア回路から成るOR素子によって構成することができる。OR手段114は、第1、第2歩行検出回路100a、100bから並列に入力される歩行信号S1、S2を、入力された順に整列して、合成歩行信号S3に変換してCPU108に出力する。
【0021】
記憶手段113は、CPU108が実行するプログラムを記憶したROMおよびCPU108がプログラムを実行する際に作業領域として使用されるRAMから構成されている。RAMには、歩行信号の検出動作を行わない(即ち、マスク動作を行う)所定の時間であるマスク時間や計測した歩数等のデータが記憶される。
入力手段109の操作に応じてCPU108は、発振手段112の発振信号を基に歩行時間等の時間計測をすることができる。
二値化手段107a、bは、所定の閾値を有するコンパレータによって構成されている。
【0022】
CPU108は1つの入力端子を有しており、この入力端子に、OR手段114を介して複数の第1、第2歩行検出回路100a、100bから入力されたデジタル信号形式の歩行信号を検出し、該検出した歩行信号に基づいて歩数算出処理を行う。CPU108の歩行信号検出処理については後述するが、歩行信号を検出する場合、前記歩行信号を検出する検出動作と、前記検出動作後の所定のマスク時間において前記歩行信号を検出しないマスク動作とを交互に行うように動作する。
【0023】
なお、第1、第2歩行検出回路100a、100bは各々第1、第2歩行検出手段を構成し、使用者の歩行に対応する二値化された歩行信号S1、S2をOR手段114に出力することができる。OR手段114は変換手段を構成し、第1、第2歩行検出回路100a、100bから並列に入力された歩行信号S1、S2を、合成歩行信号S3に変換して出力することができる。CPU108及びOR手段で算出手段を構成し、複数の歩行検出回路100a、100bからの歩行信号S3に基づいて歩数を算出することができる。
【0024】
図2は、本実施の形態に係る歩数計の全体動作を説明するためのタイミング図であり、図1と同一の信号には同一符号を付している。
同図(a)、(b)、(c)は、各々、第1歩行検出回路100aから出力される歩行信号S1、第2歩行検出回路100bから出力される歩行信号S2、OR手段114から出力される合成歩行信号S3を示している。
【0025】
同図(d)は、CPU108が歩行信号S3を検出処理するタイミングを示している。歩行信号の検出処理では、歩行信号S3の立ち上がりエッジで信号検出を行うと共に、信号を検出した直後の所定時間はマスク時間(同図(d)の実線部分)として、前記歩行信号S3を検出しないように動作する(マスク動作を行う)。このように、CPU108は、歩行信号を検出する場合、歩行信号を検出する検出動作と、前記検出動作後の所定のマスク時間において前記歩行信号を検出しないマスク動作とを交互に行うように動作する。
【0026】
また、同図(e)は、CPU108が歩行信号S3に基づいて歩数計測を行う際の全体的な流れを示している。歩数計測動作の詳細は後述するが、概略説明すると、先ずCPU108は、OR手段114からの信号を検出する(換言すれば、歩行センサ101a又は101bからの信号を検出する)。これにより、前記信号が所定時間連続して生じていること(歩行信号の連続性)を確認できた場合、正規の歩行信号が得られていると判断し、歩行信号S3に基づいて歩数算出を行う。その後、歩行信号S3が検出できなくなった場合には歩行停止したと判断し、あらためて信号の検出動作を行う。
【0027】
図3は、本実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートであり、CPU108が各歩行信号S3を検出する場合の検出処理を示している。この検出処理は、CPU108が記憶手段113のROMに記憶したプログラムを記憶手段113のRAMにロードして実行することによって行われる。
【0028】
図3において、CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3を検出することによって、歩行センサ101a、101bの少なくとも一方から歩行信号が出力されていることを検出すると(ステップS301)、歩行信号S3検出直後の一定時間(マスク時間)は歩行信号S3を検出しないでマスク動作を行う(ステップS302)。
【0029】
前記処理は各歩行信号S3を検出する毎に行う。これにより、ノイズの影響や他の歩行センサが検出した歩行信号に基づく誤計測を排除して、1つの歩行センサ101a又は101bが検出した歩行に対応する歩行信号に基づいて歩数計測を行うことができ、正確な歩数計測を行うことが可能になる。
【0030】
図4はマスク時間の設定例を示す図で、図2と同一信号には同一符号を付している。
計測可能な歩行ピッチの範囲を例えば80〜140歩/分とする。140歩/分に相当する歩行信号周期は約429msecとなる。若干揺らぎがあった場合は429msecよりも短い周期で信号が発生する可能性があるので、429msecよりも短い時間で設定するのが望ましい。
【0031】
一方、80歩/分で歩行し、2つの歩行センサ101a、101bの出力が各々逆相になって現れた場合、第1、第2歩行検出回路100a、100bから出力される歩行信号S1、S2及びOR手段114から出力される歩行信号S3は図4(a)、(b)、(c)のようになる。このとき、正確な歩数計測を行うには、同図(c)の網掛けをした歩行信号S3のみを抽出する必要があるため、網掛けをしていない部分をマスクして検出しないようにする。そのために、80歩/分に相当する周期750msecの半分である375msec以上の時間をマスク時間として設定するのが望ましい。
【0032】
以上により、計測可能な歩行ピッチの範囲を80〜140歩/分とした場合のマスク時間は、375msec〜429msecの範囲内の値、例えば400msec等に設定する。即ち、より正確な歩数計測を行うために、マスク時間は、計測可能な下限の歩行ピッチに対応する歩行信号周期の半分以上で、計測可能な上限の歩行ピッチに対応する歩行信号周期以下の範囲内の値に設定するのが望ましい。前記マスク時間は予め記憶手段113に記憶するように構成してもよく、あるいは、入力手段によりマスク時間を設定して記憶手段113に記憶するようにしてもよい。入力手段によりマスク時間を適宜調整しながら設定することにより、より正確な歩数計測が可能になる。
【0033】
図5は、本実施の形態に係る歩数計の歩数計測処理を示すフローチャートである。この処理は、主としてCPU108が記憶手段113のROMに記憶したプログラムを記憶手段113のRAMにロードして実行することによって行われる。
以下、図1〜図5を参照して本実施の形態に係る歩数計の動作を詳細に説明する。
本歩数計を自己の腕等に装着した使用者が入力手段109によって開始操作を行うことで歩数計測処理を開始する。
【0034】
使用者が歩行を開始すると、歩行センサ101aは歩行を検出して対応する電荷の歩行信号を出力する。歩行センサ101aからの歩行信号は電荷−電圧変換手段102aによって電圧に変換された後、フィルタ手段105aを介して増幅手段106aによって増幅出力される。増幅手段106aの出力信号は二値化手段107aによってデジタル化された歩行信号S1に変換された後、OR手段114に入力される。
【0035】
同時に、歩行センサ101bは歩行を検出して対応する電荷の歩行信号を出力する。歩行センサ101bからの歩行信号は電荷−電圧変換手段102bによって電圧に変換された後、フィルタ手段105bを介して増幅手段106bによって増幅出力される。増幅手段106bの出力信号は二値化手段107bによってデジタル化された歩行信号S2に変換された後、OR手段114に入力される。
【0036】
OR手段114は、第1、第2歩行検出回路100a、100bから並列に入力された各歩行信号S1、S2を、入力された順に整列して合成歩行信号S3に変換し、CPU108に入力する。
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3に基づいて歩行センサ101a、101bの少なくとも一方から信号有りと判断すると(ステップS501)、歩行信号S3に基づいて歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号が所定時間連続して得られていること(連続性)を確認する(ステップS502)。ここで、前記所定時間としては、例えば、5歩の歩行に通常要する程度の時間(例えば10秒)に設定することができる。
【0037】
なお、CPU108は、OR手段114から出力される信号を検出する場合、前述したように、各信号を検出する毎に、前記検出動作と前記マスク動作を交互に行うように動作する。また、CPU108は、歩行信号を検出する場合、前記検出動作とマスク動作とを交互に行う動作を、最初に歩行信号S3を検出したときから開始するようにすることができる。これにより、先に歩行信号S3を検出した歩行センサ101a又は101bからの歩行信号S3を順次検出することができ、歩数計測を正確且つ迅速に行うことができる。
【0038】
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3が所定時間連続して得られている場合、即ち、歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号が所定時間連続して得られている場合には、歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号(換言すれば歩行信号S3)が歩行に対応する歩行信号であると判断する(ステップS503)。
次にCPU108は、OR手段114からの歩行信号S3に基づいて、歩行検出用として使用することになる歩行センサ101a又は101bからの歩行信号の間隔を測定する(ステップS504)。
【0039】
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3の間隔が所定の停止判定時間よりも小さい場合、即ち、歩行検出用として使用することになる歩行センサ101a又は101bからの歩行信号の間隔が所定の停止判定時間よりも小さい場合には、正規の歩行による歩行信号と判断して(ステップS505)、OR手段114からの歩行信号S3を歩数としてカウントし、処理ステップS504に戻る(ステップS506)。ここで、前記停止判定時間は、例えば、1歩の歩行に通常要する程度の時間(例えば2秒)に設定することができる。
【0040】
一方、CPU108は、処理ステップS505において、歩行センサ101a又は101bからの歩行信号の間隔が所定の停止判定時間よりも小さくない場合には、OR手段114からの信号が正規の歩行による歩行信号ではないと判断して、処理ステップS501に戻る。
また、CPU108は、処理ステップS503において、歩行センサ101a及び101bからの信号が歩行による信号ではないと判断した場合、歩行センサ101a及び101bからは歩行信号が得られておらず歩行停止と判断して、処理ステップS501に戻る。
【0041】
以上述べたように、本実施の形態に係る歩数計では、複数の歩行検出回路100a、100bから並列に入力される歩行信号S1、S2をOR手段114によって合成歩行信号S3に変換し、CPU108は、その1つの入力ポートに入力された歩行信号S3を検出することによって歩数算出を行う。このとき、CPU108は、各歩行信号S3の検出を行う毎に、検出動作とマスク動作を交互に行うように構成している。
【0042】
したがって、歩行センサ101a、101bを選択するための演算処理を行うことなく歩数計測を行うことが可能になる。
また、歩行センサ101a、101bを選択するための演算処理が不要になるため、歩数検出漏れの発生を抑制することが可能になる。
また、歩行センサの数が増えても、歩行センサを選択するための特殊な演算等を必要とせず、複数の歩行センサからの出力信号を扱うにもかかわらず、演算量は1軸の歩数計と同等となる。
【0043】
また、例えば、歩行中に歩数計の姿勢が変わる等で、歩行を検出する歩行センサが変わったときでも、歩行センサを選択するための特別な処理を必要とせずに歩数計測を行うことが可能になる。
また、CPUへの入力信号がどの歩行センサからの信号であるかを認識する必要が無いため、設計における管理項目が少ないという効果をも奏する。
【0044】
なお、歩数計の構成要素に駆動電力を供給する電源と、前記電源からの駆動電力を各歩行検出回路へ供給制御する制御手段と、歩行検出に使用していない歩行センサを含む歩行検出回路を判別する判別手段とを設け、前記制御手段により、前記歩行検出に使用していない歩行センサを含む歩行検出回路への電源供給を停止するようにしてもよい。
【0045】
また、複数の入力ポートを有するCPUを使用し、複数の歩行検出回路からの歩行信号を前記各入力ポートに並列に入力して歩数計測を行うように構成してもよい。この場合も、検出動作とマスク動作を交互に行うことによって歩行信号の検出が行われる。
また、本実施の形態では2つの歩行センサ101a、101bを使用したが、相互に感度軸の異なる3つ以上の歩行センサを使用するように構成することができる。例えば、歩行センサが3つの場合には感度軸が相互に90度異なるように構成することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、使用者の腕に装着して使用する腕時計型の歩数計の例で説明したが、腰に装着して使用する方式の歩数計、鞄等に収納して保持した状態で使用する方式の歩数計、時計機能を内蔵する歩数計等、各種の歩数計に適用可能である。
また、本実施の形態ではOR処理を、図1に示すようにCPU108に入力する前に実施しているが、第1、第2歩行検出回路100a、100bから出力される歩行信号S1、S2をそれぞれCPU108に入力し、CPU108はポートの入力信号として取り込んだ後、RAM或いはレジスタのなかで、OR命令を実行してもよい。
【0047】
ところで、前述した実施の形態ではマスク時間を所定値に固定して設定するため、検出可能なピッチ(歩/分)の上下限が、上限=下限×2に制限されてしまい、正確な歩数測定ができなくなる恐れがある。以下、マスク時間を可変にすることによって前記問題を解決した歩数計について説明する。
図6は、本発明の他の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートであり、直近の歩行ピッチに基づいてマスク時間を設定する例である。尚、図5と同一部分には同一符号を付している。また、本他の実施の形態のブロック図は図1と同じである。
【0048】
以下、図1及び図6を用いて、本他の実施の形態の動作を説明する。
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3に基づいて歩行センサ101a、101bの少なくとも一方から信号有りと判断すると(ステップS501)、歩行信号S3に基づいて歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号が所定時間連続して得られていること(連続性)を確認する(ステップS502)。ここで、前記所定時間としては、例えば、5歩の歩行に通常要する程度の時間(例えば10秒)に設定することができる。
【0049】
なお、CPU108は、OR手段114から出力される信号を検出する場合、前述したように、各信号を検出する毎に、前記検出動作と前記マスク動作を交互に行うように動作する。また、CPU108は、歩行信号を検出する場合、前記検出動作とマスク動作とを交互に行う動作を、最初に歩行信号S3を検出したときから開始するようにすることができる。これにより、先に歩行信号S3を検出した歩行センサ101a又は101bからの歩行信号S3を順次検出することができ、歩数計測を正確且つ迅速に行うことができる。
【0050】
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3が所定時間連続して得られている場合、即ち、歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号が所定時間連続して得られている場合には、歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号(換言すれば歩行信号S3)が歩行に対応する歩行信号であると判断する(ステップS503)。
次にCPU108は、OR手段114からの歩行信号S3に基づいて、歩行検出用として使用することになる歩行センサ101a又は101bからの歩行信号の間隔(歩行ピッチ)を測定する(ステップS504)。
【0051】
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3の間隔が所定の停止判定時間よりも小さい場合、即ち、歩行検出用として使用することになる歩行センサ101a又は101bからの歩行信号の間隔が所定の停止判定時間よりも小さい場合には、正規の歩行による歩行信号と判断して(ステップS505)、OR手段114からの歩行信号S3を歩数としてカウントする(ステップS506)。前記停止判定時間は、歩行しているかあるいは歩行停止しているかを判定する基準となる時間であり、例えば、1歩の歩行に通常要する程度の時間(例えば2秒)に設定することができる。
【0052】
記憶手段113には予め、複数の歩行ピッチとマスク時間幅とを対応付けたテーブル(歩行ピッチ−マスク時間幅テーブル)が記憶されており、CPU108は、前記テーブルを参照して、処理ステップS504において算出した直近の歩行ピッチに基づいて歩行ピッチの検出範囲を設定し、既設のマスク時間を該検出範囲に応じたマスク時間に変更した後、処理ステップS504に戻る(ステップS601)。ここで、CPU108はマスク時間変更手段として機能する。
尚、処理ステップS601のマスク時間変更処理は、歩行を検出する毎行うようにしてもよく、又、複数歩検出する毎に行うように構成する等、種々の変更が可能である。
【0053】
一方、CPU108は、処理ステップS505において、歩行センサ101a又は101bからの歩行信号の間隔が所定の停止判定時間よりも小さくない場合には、OR手段114からの信号が正規の歩行による歩行信号ではないと判断して、処理ステップS501に戻る。
また、CPU108は、処理ステップS503において、歩行センサ101a及び101bからの信号が歩行による信号ではないと判断した場合、歩行センサ101a及び101bからは歩行信号が得られておらず歩行停止と判断して、処理ステップS501に戻る。
以上述べたように本他の実施の形態によれば、直近の歩行ピッチを算出し、該歩行ピッチに基づいてマスク時間を変更するようにしているため、同一使用者が歩行ピッチを変えた場合や、歩行ピッチの異なる複数の使用者が共用した場合でも正確な歩数測定が可能になる。
【0054】
図7は、本発明の更に他の実施の形態に係る歩数計のブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を付している。図1の実施の形態と異なる点は、増幅手段106a、106bの出力信号レベル、換言すれば、加速度センサ101a、101から出力される加速度信号レベルを判定する信号レベル判定手段701を備えている点である。CPU108は、歩行速度を加速度信号レベルによって判定し、マスク時間を、加速度信号レベルに応じたマスク時間に設定するようにしている。
【0055】
図8は、本他の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートであり、加速度信号レベルに基づいて歩行ピッチを判定してマスク時間を設定する例である。図5と同一部分には同一符号を付している。
以下、図7及び図8を用いて、本他の実施の形態の動作を説明する。
CPU108がOR手段114からの歩行信号S3に基づいて歩行センサ101a、101bの少なくとも一方から信号有りと判断すると(ステップS501)、信号レベル判定手段701は、CPU108が信号有りと判断した歩行センサ101a又は101bに対応する増幅手段106a又は106bからの信号(加速度信号)のレベルを判定する(ステップS801)。
【0056】
記憶手段113には予め、複数の加速度信号レベルとマスク時間幅とを対応付けたテーブル(加速度レベル−マスク時間幅テーブル)が記憶されており、CPU108は、前記テーブルを参照して、信号レベル判定手段701が判定した加速度信号レベルに応じたマスク時間を設定する(ステップS802)。ここで、CPU108はマスク時間変更手段として機能する。
次にCPU108は、歩行信号S3に基づいて歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号が所定時間連続して得られていること(連続性)を確認する(ステップS502)。ここで、前記所定時間としては、例えば、5歩の歩行に通常要する程度の時間(例えば10秒)に設定することができる。
【0057】
なお、CPU108は、OR手段114から出力される信号を検出する場合、前述したように、各信号を検出する毎に、前記検出動作と前記マスク動作を交互に行うように動作する。また、CPU108は、歩行信号を検出する場合、前記検出動作とマスク動作とを交互に行う動作を、最初に歩行信号S3を検出したときから開始するようにすることができる。これにより、先に歩行信号S3を検出した歩行センサ101a又は101bからの歩行信号S3を順次検出することができ、歩数計測を正確且つ迅速に行うことができる。
【0058】
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3が所定時間連続して得られている場合、即ち、歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号が所定時間連続して得られている場合には、歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号(換言すれば歩行信号S3)が歩行に対応する歩行信号であると判断する(ステップS503)。
次にCPU108は、OR手段114からの歩行信号S3に基づいて、歩行検出用として使用することになる歩行センサ101a又は101bからの歩行信号の間隔(歩行ピッチ)を測定する(ステップS504)。
【0059】
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3の間隔が所定の停止判定時間よりも小さい場合、即ち、歩行検出用として使用することになる歩行センサ101a又は101bからの歩行信号の間隔が所定の停止判定時間よりも小さい場合には、正規の歩行による歩行信号と判断して(ステップS505)、OR手段114からの歩行信号S3を歩数としてカウントする(ステップS506)。
【0060】
次に信号レベル判定手段701が歩行検出に使用している歩行センサ101a又は10bに対応する増幅手段106a又は106bから出力される加速度信号のレベルを判定し(ステップS803)、CPU108は、加速度レベル−マスク時間テーブルを参照して、信号レベル判定手段701が判定した加速度信号レベルに応じたマスク時間を設定して処理ステップS504に戻る(ステップS804)。ここで、CPU108はマスク時間変更手段として機能する。
これにより、加速度信号レベルが急激に変化した場合、即ち、歩行ピッチが急激に変化した場合でも歩行を正確に測定することができる。
【0061】
一方、CPU108は、処理ステップS505において、歩行センサ101a又は101bからの歩行信号の間隔が所定の停止判定時間よりも小さくない場合には、OR手段114からの信号が正規の歩行による歩行信号ではないと判断して、処理ステップS501に戻る。
また、CPU108は、処理ステップS503において、歩行センサ101a及び101bからの信号が歩行による信号ではないと判断した場合、歩行センサ101a及び101bからは歩行信号が得られておらず歩行停止と判断して、処理ステップS501に戻る。
以上述べたように本実施の形態によれば、直近の歩行ピッチを算出し、該歩行ピッチに基づいてマスク時間を変更するようにしているため、同一使用者が歩行ピッチを変えた場合や、歩行ピッチの異なる複数の使用者が共用した場合でも正確な歩数測定が可能になる。
【0062】
図9は、本発明の更に他の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートであり、直近の歩行ピッチに基づいてより正確にマスク時間を設定する例である。図5と同一部分には同一符号を付している。尚、本実施の形態のブロック図は図1と同じである。
以下、図1及び図9を用いて、本他の実施の形態の動作を説明する。
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3に基づいて歩行センサ101a、101bの少なくとも一方から信号有りと判断すると(ステップS501)、歩行信号S3に基づいて歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号が所定時間連続して得られていること(連続性)を確認する(ステップS502)。ここで、前記所定時間としては、例えば、5歩の歩行に通常要する程度の時間(例えば10秒)に設定することができる。
【0063】
なお、CPU108は、OR手段114から出力される信号を検出する場合、前述したように、各信号を検出する毎に、前記検出動作と前記マスク動作を交互に行うように動作する。また、CPU108は、歩行信号を検出する場合、前記検出動作とマスク動作とを交互に行う動作を、最初に歩行信号S3を検出したときから開始するようにすることができる。これにより、先に歩行信号S3を検出した歩行センサ101a又は101bからの歩行信号S3を順次検出することができ、歩数計測を正確且つ迅速に行うことができる。
【0064】
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3が所定時間連続して得られている場合、即ち、歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号が所定時間連続して得られている場合には、歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号(換言すれば歩行信号S3)が歩行に対応する歩行信号であると判断する(ステップS503)。
次にCPU108は、OR手段114からの歩行信号S3に基づいて、歩行検出用として使用することになる歩行センサ101a又は101bからの歩行信号の間隔(歩行ピッチ)を測定する(ステップS504)。
【0065】
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3の間隔が所定の停止判定時間よりも小さい場合、即ち、歩行検出用として使用することになる歩行センサ101a又は101bからの歩行信号の間隔が所定の停止判定時間よりも小さい場合には、正規の歩行による歩行信号と判断して(ステップS505)、OR手段114からの歩行信号S3を歩数としてカウントする(ステップS506)。前記停止判定時間は、歩行しているかあるいは歩行停止しているかを判定する基準となる時間であり、例えば、1歩の歩行に通常要する程度の時間(例えば2秒)に設定することができる。
【0066】
CPU108は、マスク時間を仮設定済みの状態か否かを判定し(ステップS901)、仮設定済みでないと判断した場合、即ち通常動作と判断した場合には、今回の歩行ピッチが前回(直近)の歩行ピッチの所定%(n%;例えばn=70%)よりも小さいときには、歩行ピッチが急激に増加することによって歩行検出漏れが生じた可能性があるため、急激に歩行ピッチが変化した可能性があると判断して、マスク時間を速いピッチに対応するように仮設定する(ステップS902、S903)。マスク時間の仮設定は、記憶手段113に予め記憶された歩行ピッチ−マスク時間幅テーブルを参照して、歩行ピッチに対応する時間幅のマスク時間に設定する。ここで、CPU108はマスク時間変更手段として機能する。
CPU108は、処理ステップS902において、今回の歩行ピッチが前回の歩行ピッチの所定%(n%;例えばn=70%)よりも小さくないと判断したときは、急激な歩行ピッチではないと判断して処理ステップS504に戻る。
【0067】
一方、CPU108は、処理ステップS901においてマスク時間を仮設定済みと判断した場合、この状態で正しい歩行ピッチの歩行信号を検出できるようになったか否かを判断する(ステップS904)。ここで、急激に低下した歩行ピッチの所定値(例えば1.6倍)以上の歩行ピッチが得られた場合は正しい歩行信号を検出できたと判断する。
CPU108は、処理ステップS904において正常な歩行ピッチの歩行信号を検出できるようになったと判断すると、仮設定のマスク時間を正式なマスク時間として設定し、前記仮設定期間中に発生した歩数を累積歩数に加算して歩数を補正する(ステップS905)。ここで、CPU108はマスク時間変更手段として機能する。
【0068】
また、CPU108は、処理ステップS904において正常な歩行ピッチの歩行信号を検出できないと判断すると、仮設定のマスク時間が適切ではない(歩行ピッチは増加していない)と判断して、元のマスク時間に戻して処理ステップS504に戻る(ステップS906)。ここで、CPU108はマスク時間変更手段として機能する。
以上のように、本他の実施の形態によれば、算出した歩行ピッチが急激(所定割合以上)に低下した場合、マスク時間を短く(速い歩行ピッチに対応できるように)している。また、マスク時間を短くした後、期待した通りの歩行ピッチを検出できたか否かによって、マスク時間の変更が正しかったか否かを検証し、正しかった場合には、その間に発生した歩数を補正して累積歩数を算出するようにしている。したがって、歩行ピッチの変化に応じてマスク時間を変化させる場合でも、正確な歩数を測定することが可能になる。
【0069】
図10は、本発明更に他の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートであり、歩行ピッチと加速度信号レベルに基づいてマスク時間を設定する例である。尚、図5と同一部分には同一符号を付している。また、本他の実施の形態のブロック図は図7と同じである。
以下、図7及び図10を用いて、本他の実施の形態の動作を説明する。
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3に基づいて歩行センサ101a、101bの少なくとも一方から信号有りと判断すると(ステップS501)、歩行信号S3に基づいて歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号が所定時間連続して得られていること(連続性)を確認する(ステップS502)。ここで、前記所定時間としては、例えば、5歩の歩行に通常要する程度の時間(例えば10秒)に設定することができる。
【0070】
なお、CPU108は、OR手段114から出力される信号を検出する場合、前述したように、各信号を検出する毎に、前記検出動作と前記マスク動作を交互に行うように動作する。また、CPU108は、歩行信号を検出する場合、前記検出動作とマスク動作とを交互に行う動作を、最初に歩行信号S3を検出したときから開始するようにすることができる。これにより、先に歩行信号S3を検出した歩行センサ101a又は101bからの歩行信号S3を順次検出することができ、歩数計測を正確且つ迅速に行うことができる。
【0071】
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3が所定時間連続して得られている場合、即ち、歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号が所定時間連続して得られている場合には、歩行センサ101a、101bの少なくとも一方からの信号(換言すれば歩行信号S3)が歩行に対応する歩行信号であると判断する(ステップS503)。
次にCPU108は、OR手段114からの歩行信号S3に基づいて、歩行検出用として使用することになる歩行センサ101a又は101bからの歩行信号の間隔(歩行ピッチ)を測定する(ステップS504)。
【0072】
CPU108は、OR手段114からの歩行信号S3の間隔が所定の停止判定時間よりも小さい場合、即ち、歩行検出用として使用することになる歩行センサ101a又は101bからの歩行信号の間隔が所定の停止判定時間よりも小さい場合には、正規の歩行による歩行信号と判断して(ステップS505)、OR手段114からの歩行信号S3を歩数としてカウントする(ステップS506)。前記停止判定時間は、歩行しているかあるいは歩行停止しているかを判定する基準となる時間であり、例えば、1歩の歩行に通常要する程度の時間(例えば2秒)に設定することができる。
【0073】
次にCPU108は、今回の歩行ピッチが前回(直近)の歩行ピッチの所定%(n%;例えばn=70%)よりも小さいと判断すると(ステップS1001)、信号レベル判定手段701が歩行検出に使用している歩行センサ101a又は10bに対応する増幅手段106a又は106bから出力される加速度信号のレベルを判定し(ステップS1002)、予め記憶手段113に記憶している加速度レベル−マスク時間テーブルを参照して、信号レベル判定手段701が判定した加速度信号レベルに応じたマスク時間に再設定して処理ステップS504に戻る(ステップS1003)。ここで、CPU108はマスク時間変更手段として機能する。
【0074】
CPU108は、処理ステップS1001において、今回の歩行ピッチが前回の歩行ピッチの前記所定%よりも小さくないと判断すると処理ステップS504に戻る。
以上のように、本他の実施の形態では、CPU108は、直近の歩行ピッチが所定値以上変化した場合に加速度信号レベルに応じたマスク時間に設定するようにしており、歩行ピッチと加速度信号レベルの双方が変化した場合にマスク時間を変更するため、マスク時間をより正確に設定することが可能になる。
【0075】
尚、前記各実施の形態において、記憶手段113に過去の歩数データ等の歩行データを記憶しておき、CPU108が、前記過去の歩行データから得られた歩行ピッチに基づいてマスク時間の初期値を設定するように構成してもよい。この場合、CPU108はマスク時間初期値設定手段を構成する。
また、CPU108は、入力手段109から入力された個人データに基づいてマスク時間の初期値を設定するように構成してもよい。個人データとしては、例えば、歩く速度が速い、中程度、遅いの3段階のいずれに入るかの情報や歩幅の情報があるが、歩幅の情報は無くてもよい。この場合もCPU108はマスク時間初期値設定手段を構成する。
【産業上の利用可能性】
【0076】
腕に装着して使用する方式の歩数計、腰に装着して使用する方式の歩数計、鞄等に収納して保持した状態で使用する方式の歩数計、時計機能を内蔵する歩数計等、各種の歩数計に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態に係る歩数計のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る歩数計のタイミング図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る歩数計の歩行検出処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る歩数計のタイミング図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る歩数計のブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
100a・・・第1歩行検出回路
100b・・・第2歩行検出回路
101a、101b・・・歩行センサ
102a、102b・・・電荷−電圧変換手段
105a、105b・・・フィルタ手段
106a、106b・・・増幅手段
107a、107b・・・二値化手段
108・・・CPU
109・・・入力手段
110・・・表示手段
111・・・報音手段
112・・・発振手段
113・・・記憶手段
114・・・OR手段
701・・・信号レベル判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感度軸が相互に異なる歩行センサを有し、前記歩行センサによって検出した歩行に対応する歩行信号を出力する複数の歩行検出手段と、前記複数の歩行検出手段からの前記歩行信号を検出し、前記検出した歩行信号に基づいて歩数を算出する算出手段とを備え、前記算出手段は、前記歩行信号を検出する場合、前記歩行信号を検出する検出動作と、前記検出動作後の所定のマスク時間において前記歩行信号を検出しないマスク動作とを交互に行うことを特徴とする歩数計。
【請求項2】
前記算出手段は、前記歩行信号を検出する場合、前記検出動作と前記マスク動作とを交互に行う動作を、最初に前記歩行信号を検出したときから開始することを特徴とする請求項1記載の歩数計。
【請求項3】
前記マスク時間を記憶する記憶手段を有し、前記算出手段は前記マスク時間を参照して前記歩行信号の検出を行うことを特徴とする請求項1または2記載の歩数計。
【請求項4】
前記算出手段は、前記複数の歩行検出手段から並列に入力される前記歩行信号を合成した合成歩行信号に変換する変換手段を備え、前記算出手段が前記合成歩行信号を検出する場合、前記合成歩行信号を検出する検出動作と、前記検出動作後の前記マスク時間におけるマスク動作とを交互に行うことを特徴とする請求項1記載の歩数計。
【請求項5】
前記変換手段は、前記複数の歩行検出手段から並列に入力される前記歩行信号を論理演算して合成した合成歩行信号に変換する論理演算手段であることを特徴とする請求項4記載の歩数計。
【請求項6】
前記算出手段は、前記歩行信号を検出する場合、前記検出動作とマスク動作とを交互に行う動作を、最初に歩行信号を検出したときから開始することを特徴とする請求項4又は5記載の歩数計。
【請求項7】
前記算出手段は、前記マスク時間として、歩行ピッチに基づく値に設定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の歩数計。
【請求項8】
前記算出手段は、前記マスク時間として、計測可能な歩行ピッチの下限値に対応する前記歩行信号の歩行信号周期の半分以上で、前記計測可能な歩行ピッチの上限値に対応する歩行信号周期以下の範囲の値に設定することを特徴とする請求項5記載の歩数計。
【請求項9】
前記マスク時間を記憶する記憶手段を有し、前記算出手段は前記マスク時間を参照して前記合成歩行信号の検出を行うことを特徴とする請求項4乃至8のいずれか一に記載の歩数計。
【請求項10】
前記マスク時間を直近の歩行ピッチに応じたマスク時間に設定するマスク時間変更手段を備えて成ることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の歩数計。
【請求項11】
前記マスク時間変更手段は、前記直近のピッチが所定値以上変化した場合に前記マスク時間を前記直近のピッチに応じたマスク時間に仮設定し、前記仮設定したマスク時間によって正しい歩行信号が得られたときに該仮設定のマスク時間を正式なマスク時間として設定することを特徴とする請求項10記載の歩数計。
【請求項12】
前記算出手段は、前記仮設定のマスク時間を正式なマスク時間として設定した場合、前記仮設定期間中に発生した歩数によって累積歩数を補正することを特徴とする請求項11記載の歩数計。
【請求項13】
前記歩行センサは加速度に応じたレベルの加速度信号を出力する加速度センサであり、前記マスク時間変更手段は、前記直近のピッチが所定値以上変化した場合、前記加速度信号から出力される加速度信号のレベルに応じたマスク時間に設定することを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一に記載の歩数計。
【請求項14】
前記歩行センサは加速度に応じたレベルの加速度信号を出力する加速度センサであり、前記加速度信号のレベルに応じたマスク時間に設定するマスク時間変更手段を備えて成ることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の歩数計。
【請求項15】
記憶手段に記憶した過去の歩行データから得られた歩行ピッチに基づいて前記マスク時間の初期値を設定するマスク時間初期値設定手段を備えて成ることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一に記載の歩数計。
【請求項16】
入力手段を有し、前記入力手段から入力された個人データに基づいて前記マスク時間の初期値を設定するマスク時間初期値設定手段を備えて成ることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一に記載の歩数計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−282385(P2008−282385A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27245(P2008−27245)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】