歩行型田植機
【課題】 整地フロートを接地させた状態で機体を旋回させるスライドターン時における整地フロートに加わる横力に起因した支持金具の変形を防止する。
【解決手段】 歩行型田植機において、機体フレーム1に対して左右の車輪3を上下方向に独立変位可能に装備し、それら左右の車輪3の接地反力による相対変位で、機体の左右方向での姿勢が水平姿勢又は略水平姿勢に維持されるように構成するとともに、後部支点周りに上下揺動可能に装備される整地フロート18の前部側を、機体の左右方向に対して平行な面を有する状態で上下方向に延びる縦壁63Aを備えた支持金具63,68を介して、機体フレーム1側に支持させてある。
【解決手段】 歩行型田植機において、機体フレーム1に対して左右の車輪3を上下方向に独立変位可能に装備し、それら左右の車輪3の接地反力による相対変位で、機体の左右方向での姿勢が水平姿勢又は略水平姿勢に維持されるように構成するとともに、後部支点周りに上下揺動可能に装備される整地フロート18の前部側を、機体の左右方向に対して平行な面を有する状態で上下方向に延びる縦壁63Aを備えた支持金具63,68を介して、機体フレーム1側に支持させてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体を水平又は略水平に維持するローリング機構を備えた歩行型田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような歩行型田植機においては、後部支点周りに上下揺動可能に装備される整地フロートの前部側を、例えば、前後揺動可能な帯板状の左右一対の揺動リンクから構成した支持金具、あるいは、正面視コの字状に形成した一対の揺動リンクを前後方向に屈伸揺動する腰折れリンク状に連結して構成した支持金具を介して、機体フレーム側に支持させるようにしたものがある(例えば特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】実公平2−33454号公報
【特許文献2】特開平6−14626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、歩行型田植機では、畦際において整地フロートを接地させた状態のままで機体を方向転換させる所謂スライドターンを行うことがあり、このスライドターンを行う場合には、整地フロートに泥押しなどに起因した比較的大きい横力が加わることになる。
【0004】
しかしながら、上記のように支持金具を左右一対の揺動リンクあるいは正面視コの字状の一対の揺動リンクから構成した場合には、その構造上、横力に対する高い強度を得られないことから、スライドターン時に整地フロートに加わる横力によって支持金具が変形することがある。
【0005】
本発明の目的は、スライドターン時に整地フロートに加わる横力に起因した支持金具の変形を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうちの請求項1に記載の発明では、機体フレームに対して左右の車輪を上下方向に独立変位可能に装備し、それら左右の車輪の接地反力による相対変位で、機体の左右方向での姿勢が水平姿勢又は略水平姿勢に維持されるように構成するとともに、後部支点周りに上下揺動可能に装備される整地フロートの前部側を、機体の左右方向に対して平行な面を有する状態で上下方向に延びる縦壁を備えた支持金具を介して、前記機体フレーム側に支持させてある
【0007】
この構成によると、接地反力による左右の車輪の相対変位で機体を水平姿勢又は略水平姿勢に維持することから、例えば、整地フロートを機体の左右傾斜を検出するローリングセンサに構成し、この整地フロートのローリング動作に連動して、左右の車輪を相対変位させるローリングシリンダに対する作動油を制御する制御バルブが作動するように構成することで、機体を水平姿勢又は略水平姿勢に維持する場合に比較して、構成の簡素化及びコストの削減を図れる。
【0008】
そして、支持金具に縦壁を備えたことで、支持金具は、横力に対する断面係数が大きくなって、横力に対する高い強度を有するようになる。
【0009】
従って、構成の簡素化及びコストの削減を図りながら機体を水平姿勢又は略水平姿勢に維持できるとともに、スライドターン時に整地フロートに加わる横力に起因した支持金具の変形を防止することができる。
【0010】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記支持金具を、機体前後方向の一側方を開放する平面視コの字状に形成してある。
【0011】
この構成によると、支持金具は、機体の左右方向に対して平行な面を有する状態で上下方向に延びる縦壁だけでなく、左右一対の横側壁をも備えることから、横力に対する断面係数が更に大きくなり、横力に対するより高い強度を有するようになる。
【0012】
又、支持金具を、平面視矩形状の角パイプ状に形成する場合に比較して軽量化を図れるとともに、平面視矩形状の角パイプ状に形成する場合に生じる内部への泥溜まりを招くこともない。
【0013】
従って、軽量化などを図りながら、スライドターン時に整地フロートに加わる横力に起因した支持金具の変形をより確実に防止することができる。
【0014】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記機体フレームから左右に延設したサイドガード部材に、前記支持金具を上下方向に相対変位可能に支持する支持部材を装備してある。
【0015】
この構成によると、整地フロートの前部側が、支持部材及び支持金具を介して、機体の左右両側部を保護する左右のサイドガード部材に支持されることになる。
【0016】
つまり、左右のサイドガード部材を、整地フロートの前部側を支持する支持フレームに有効利用することから、整地フロートを支持する専用のフレームを機体フレームから延設する場合に比較して、構成部品を削減することができる。
【0017】
従って、構成部品の削減による構成の簡素化やコストの削減などを図ることができる。
【0018】
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、左右の前記車輪の上下方向での相対変位を抑制する変位抑制手段を備えてある。
【0019】
ところで、左右に車輪を備える機体を方向転換させる場合には、旋回内側の車輪に対する伝動を断って、旋回外側の車輪による推進力で機体を旋回させることが一般的に行われるが、このような旋回を、左右の車輪の接地反力による相対変位によって機体の左右方向での姿勢を水平姿勢又は略水平姿勢に維持するように構成されたもので行うと、旋回外側の車輪が、その推進反力で浮き上がるようになることから、機体の左右方向での姿勢を水平姿勢又は略水平姿勢に維持することが難しくなる。
【0020】
そこで、請求項4に記載の発明では、左右の車輪の上下方向での相対変位を抑制する変位抑制手段を備えるようにしているのであり、これによって、旋回内側の車輪への伝動を断った旋回時には、変位抑制手段の作用によって、旋回外側車輪の推進反力による浮き上がりが抑制されるようになる。
【0021】
従って、旋回内側の車輪への伝動を断った旋回時における機体の左右方向での水平姿勢又は略水平姿勢での維持が行い易くなり、旋回操作性の向上を図れることになる。
【0022】
本発明のうちの請求項5に記載の発明では、上記請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記サイドガード部材の外端部に、苗載台を左右方向に摺動案内する摺動レールを保護するガード部材を着脱可能に連結してある。
【0023】
この構成によると、左右のサイドガード部材を、ガード部材を取り付けるための取り付けフレームに有効利用することから、専用の取り付けフレームを装備する場合に比較して構成部品を削減することができ、又、他物との接触でガード部材が損傷した場合におけるガード部材の修理や交換などを容易に行える。
【0024】
従って、構成部品の削減による構成の簡素化やコストの削減などを図れるとともに、ガード部材の交換などのメンテナンス性の向上を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1には歩行型田植機の全体側面が示されており、この歩行型田植機は、機体フレーム1の前部にリコイルスタータ式のエンジン2を搭載し、そのエンジン1からの走行用の動力で駆動される一対の車輪3を機体フレーム1の左右に配備し、エンジン1からの作業用の動力で駆動される苗植付装置4を機体フレーム1の後部に装備し、その苗植付装置4の後方に操縦部5を備えて構成されている。
【0026】
図1〜4に示すように、機体フレーム1は、エンジン2が搭載されるエンジンフレーム6、エンジンフレーム6が前部に連結されたミッションケース7、ミッションケース7の後端部から後方に向けて延設された角鋼管などからなる主フレーム8、主フレーム8の後端部に連結された動力分配ケース9、動力分配ケース9の左右両側部から左右外方に向けて延設された丸鋼管などからなる左右の連結フレーム10、対応する連結フレーム10の延出端部に連結された左右の植付伝動ケース11、及び、動力分配ケース9から後上方に向けて延設されたハンドルフレーム12、などによって構成されている。
【0027】
ミッションケース7の左右両側部には、それら左右の対応する側部から後方に向けて延出する状態となる一対の走行伝動ケース13が、ミッションケース7の下部に配備された走行用の出力軸(図示せず)を支点とした上下揺動が可能となるように連結され、それらの各走行伝動ケース13の遊端部に対応する車輪3が駆動可能に装備され、この構成から、左右の各車輪3は、機体フレーム1に対する上下方向への変位が許容されている。
【0028】
図1、図2及び図5〜7に示すように、苗植付装置4は、4条分のマット状苗を載置するように形成された苗載台14が、横送り機構15の作動で、機体フレーム1に支持された左右向きの摺動レール16に沿って、左右方向に一定ストロークで往復移動し、動力分配ケース9における下部側の左右両側と左右の各植付伝動ケース11における下部側の機体内方側とにそれぞれ配備したクランクアーム式の各植付機構17が、往復移動する苗載台14上の対応するマット状苗の下端部から所定量の苗を切り取って、左右に並設された3つの整地フロート18で整地された圃場泥部に植え付け、苗載台14が左右の各ストローク端に到達するごとに、縦送り機構19が作動して、苗載台14上の全マット状苗を所定ピッチで下方に縦送りするように構成されている。
【0029】
図1〜9に示すように、エンジン2からの動力は、ベルト伝動式の伝動装置20やミッションケース7に内装した主クラッチ(図示せず)などを介して、ミッションケース7に内装した変速装置(図示せず)に伝達され、この変速装置から出力される走行用の動力が、ミッションケース7に内装した左右一対のサイドクラッチ(図示せず)や、左右の走行伝動ケース13に内装した伝動軸(図示せず)やベベルギヤ(図示せず)などからなる軸伝動式の伝動装置(図示せず)などを介して左右の車輪3に伝達され、かつ、変速装置から出力される作業用の動力が、主フレーム8に内装した伝動軸21、及び、動力分配ケース9に内装したトルクリミッタ22や植付クラッチ23、などを介して、動力分配ケース9の左右に配備した植付機構17を駆動する駆動軸に兼用される苗植付装置4の入力軸24に伝達される。
【0030】
入力軸24に伝達された作業用の動力は、動力分配ケース9に内装したチェーン伝動式の動力分配機構25に伝達され、この動力分配機構25からの植え付け用の動力が、左右の連結フレーム10に内装した伝動軸26や、左右の植付伝動ケース11に内装したチェーン伝動式の伝動機構(図示せず)などを介して、左右の各植付伝動ケース11の機体内側方に配備した植付機構17を駆動する植付駆動軸27に伝達され、かつ、動力分配機構25からの苗送り用の動力が、伝動軸28やギヤ式の減速機構29などを介して、横送り機構15の横送り軸30に伝達される。
【0031】
横送り軸30には、その回転に伴って、その外周面に形成した無端螺旋溝30Aによって左右方向に往復移動案内される移動体31が外嵌装備され、その移動体31には、動力分配ケース9の上部に相対摺動可能かつ相対回動可能に支持された状態で苗載台14の左右両端部に向けて延出する移動軸32が、左右方向に一体移動するとともに相対回動可能に挿通され、その移動軸32の左右両端部に、苗載台14の左右両端部から延設された各ブラケット33の端部が、左右方向に一体移動するとともに移動軸32の相対回動を許容する状態で連結されている。
【0032】
又、横送り軸30における移動体31の移動領域から外れた左右両端部には、横送り軸30と一体回転する操作片34が装備され、移動軸32における移動体31の左右には、移動軸32と一体摺動するとともに一体回転する被操作片35が隣接配備され、これらの被操作片35は、バネ36によって操作片34に向けて延出する状態に復帰付勢されるとともに、苗載台14とともに左右の各ストローク端に到達するごとに、対応する操作片34によってバネ34の付勢に抗して揺動操作され、この揺動操作とバネ36の付勢で、移動軸32が所定角度の範囲で往復回動する。
【0033】
移動軸32の左端部には、移動軸32と一体摺動するとともに一体回転する連係アーム37が装備され、この連係アーム37の遊端が、縦送り機構19に装備したワンウェイクラッチ38の操作アーム38Aに連係ロッド39を介して連係され、縦送り機構19は、ワンウェイクラッチ38を介して伝達された動力で、それぞれ連動連結された複数の苗送りディスク40を所定量だけ一体回転させる。
【0034】
つまり、作業用の動力が、植付駆動軸と兼用の入力軸24に伝達されるとともに、動力分配機構25などを介して、その入力軸24から左右の植付駆動軸27や横送り軸30などに伝達されることで、横送り機構15と各植付機構17と縦送り機構19とが適正に連動作動するようになっており、もって、横送り機構15による苗載台14の横送り、各植付機構17による所定量の苗の植え付け、及び、縦送り機構19によるマット状苗の所定量の縦送りのそれぞれを良好に行える。
【0035】
図1、図2、図4、図5、図10及び図11に示すように、各整地フロート18の各後部側には、上方を開放する前後方向視コの字状のブラケット41が装備され、これらのブラケット41が、左右の植付伝動ケース11から後方に向けて延設された支持部材42とハンドルフレーム12とに相対回動可能に支持されたフロート支点軸43から延設した3つの支持アーム44のうちの対応するものの遊端に、左右向きの支軸45を介して連結されている。つまり、各整地フロート18は、その後部に配備した支軸45を支点した上下揺動が許容された状態で装備されている。
【0036】
図1及び図2に示すように、操縦部5には、左右両端部に把持部46Aを備えた状態でハンドルフレーム12の上端部に連結された平面視コの字状の操縦ハンドル46、主クラッチに操作連係された主クラッチレバー47、変速装置に操作連係された変速レバー48、左右の対応するサイドクラッチに操作連係された左右のサイドクラッチレバー49、及び、ミッションケース7の上部に連結装備した昇降の制御弁50に操作連係された昇降レバー51、などが装備されている。
【0037】
左右のサイドクラッチレバー49は、対応する把持部46Aとの共握り操作が可能となるように対応する把持部46Aの下方に配備されており、旋回内側の車輪3への伝動を断って機体を方向転換させる旋回操作が行い易くなっている。
【0038】
図1、図2及び図4に示すように、制御弁50は、ミッションケース7の下方に配備された油圧式の昇降シリンダ52に対する作動油の流動を制御するものであり、その昇降シリンダ52における操作ロッド52Aの先端には、天秤アーム53が、縦向きの支軸54を介して、その支軸54を支点にした前後方向への天秤揺動が可能となるように装備され、その天秤アーム53の左右の端部が、左右の走行伝動ケース13の揺動支点部に立設装備した連係アーム55の対応するものに、前後向きの連係部材56を介して操作連係されている。
【0039】
つまり、昇降レバー51によって制御弁50を操作して昇降シリンダ52を伸縮作動させることで、左右の走行伝動ケース13を上下方向に一体揺動させることができるとともに、左右の車輪3を、機体フレーム1に対して上下方向に一体変位させることができ、これによって、各整地フロート18が圃場泥面に接地する作業位置と、各整地フロート18が圃場泥面から離間する非作業位置とにわたって、機体を昇降させることができる。
【0040】
図2、図4及び図12に示すように、左右の走行伝動ケース13は、主フレーム8と左右中央に配置された整地フロート(センターフロート)18Aとの間を通って左右の走行伝動ケース13に架設された正面視略凹形状のトーションバー57によって、それらの相対揺動が抑制され、かつ、天秤アーム53と一体揺動する揺動アーム58から左側の連係部材56に装備した支持具59にわたって架設した揺動規制機構60の第1バネ60Aによって、それらの左下がり方向(右上がり方向)への相対揺動が抑制されるとともに揺動限界が設定され、又、揺動規制機構60の第2バネ60Bによって、それらの右下がり方向(左上がり方向)への相対揺動が抑制されるとともに揺動限界が設定されるようになっている。
【0041】
つまり、トーションバー57及び揺動規制機構60によって、左右の車輪3の上下方向への相対変位を抑制する変位抑制手段61が構成されており、圃場耕盤の傾斜や起伏に起因して、左右いずれかの車輪3に対する接地反力が増大する場合には、その左右いずれかの車輪3に対する接地反力で、左右の車輪3が変位抑制手段61の作用に抗して相対変位することで、機体の左右方向での姿勢が水平姿勢又は略水平姿勢に維持され、又、左右いずれかの車輪3に対する接地反力が低下する場合には、変位抑制手段61の作用で左右の車輪3が相対変位することで、機体の左右方向での姿勢が水平姿勢又は略水平姿勢に維持されるようになっている。
【0042】
要するに、左右の対応する車輪3を独立変位可能に支持する左右の走行伝動ケース13、それら左右の対応する走行伝動ケース13の揺動支点部に立設装備された左右の連係アーム55、それら左右の対応する連係アーム55から前方に向けて延設された左右の連係部材56、それら左右の連係部材56の互いの逆方向への連動操作が可能となるように操作連係して、左右の走行伝動ケース13の連動した上下方向での相対揺動変位を許容する天秤アーム53、及び、それら左右の走行伝動ケース13の連動した上下方向での相対揺動変位を抑制する変位抑制手段61、などによって、機体の左右方向での姿勢を水平姿勢又は略水平姿勢に維持するローリング機構62が構成されている。
【0043】
そして、ローリング機構62に変位抑制手段61を備えたことで、圃場の畦際などにおいて、各整地フロート18を接地させたままの状態で、旋回内側となるサイドクラッチレバー49を操作し、対応するサイドクラッチを切り状態に切り換えて旋回内側の車輪3に対する伝動を断ち、旋回外側の車輪3による推進力で機体を方向転換させる所謂スライドターンを行うようにしても、そのスライドターン時に発生する旋回外側の車輪3に対する推進反力に起因した旋回外側の車輪3の浮き上がりを、変位抑制手段61の作用によって抑制できることから、機体をスライドターンさせながら、その左右方向での姿勢を水平姿勢や略水平姿勢に維持する操作が行い易くなり、畦際などにおける良好なスライドターンを容易かつ迅速に行える。
【0044】
ところで、上記のようなスライドターンを行う場合には、各整地フロート18に、泥押しなどに起因した横方向からの力(横力)が加わるようになり、特に、旋回外側に位置する整地フロート(サイドフロート)18Bには、比較的に大きい横力が加わることになる。
【0045】
そこで、図1、図2、図10及び図11に示すように、左右の各サイドフロート18Bの前部側を機体フレーム1側に支持させる支持金具63として、横力に対する断面係数の大きい部材、具体的には、機体の左右方向に対して平行な面を有する状態で上下方向に延びる縦壁63Aを備え、かつ、機体後方側を開放する平面視コの字状に形成された部材が採用されており、これによって、スライドターンによる方向転換時に、旋回外側のサイドフロート18Bに比較的に大きい横力が加わることに起因した支持金具63の変形を防止できる。
【0046】
各支持金具63は、各サイドフロート18Bの前部側に装備した上方を開放する前後方向視コの字状のブラケット64に、その下端部を内嵌させた状態で、左右向きの支軸65を介して相対変位可能に連結されている。つまり、横力に対する高い強度を有する支持金具63を各サイドフロート18Bの前部側に装備したブラケット64に内嵌させたことで、スライドターンによる方向転換時に、旋回外側のサイドフロート18Bに比較的に大きい横力が加わることに起因したブラケット64の変形をも防止できる。
【0047】
各支持金具63における左右の各横側壁63Bの上部側には、上下向きの長孔63aが形成され、これらの長孔63aには、機体フレーム1の左右に配備した丸鋼管からなる各サイドガード部材66に、機体横外方向けて突出する左右向きの姿勢で配備した丸鋼材からなる支持杆(支持部材の一例)67が挿通され、これらの支持杆67によって、各支持金具63の上部側が上下方向に相対変位可能に支持されている。つまり、機体の左右両側部を保護する左右のサイドガード部材66を有効利用して、左右の支持金具63を支持するように構成していることから、左右の支持金具63を支持する専用の部材を機体フレーム1から延設する場合に比較して、構成部品の削減による構成の簡素化やコストの削減などを図ることができる。
【0048】
図1、図2、図6、図10及び図11に示すように、各サイドフロート18Bの後部側を支持する支持部材42も、各サイドフロート18Bの前部側を支持する支持金具63と同様に、機体の左右方向に対して平行な面を有し、かつ、機体後方側を開放する平面視コの字状に形成された横力に対する断面係数の大きい金属材が採用され、又、それらの各支持部材42の下端部が、各サイドフロート18Bの後部側に装備したブラケット41に外嵌するようになっており、これによって、スライドターンによる方向転換時に、旋回外側のサイドフロート18Bに比較的に大きい横力が加わることに起因したブラケット41や支持部材42の変形を防止できる。
【0049】
図1〜3及び図5に示すように、センターフロート18Aの前部側には、機体の左右方向に対して平行な面を有する状態で上下方向に延びる前後の縦壁68Aを備えたブラケット(支持金具の一例)68が装備され、このブラケット68における前後の縦壁68Aには、上下向きの長孔68aが形成され、これらの長孔68aには、機体フレーム1に兼用されたミッションケース7の前下部から上下揺動可能に延設された比較的大径の丸鋼材からなる支持杆69が挿通され、この支持杆69によって、ブラケット68が上下方向に相対変位可能に支持されている。
【0050】
つまり、センターフロート18Aの前部側に装備するブラケット68には、横力に対する高い強度を有する前後の縦壁68Aを備えた部材を、又、そのブラケット68を支持する支持杆69には、横力に対する高い強度を有する比較的大径の丸鋼材をそれぞれ採用したことで、スライドターンによる方向転換時に、センターフロート18Aにも横力が加わることに起因したブラケット68や支持杆69の変形を防止できる。
【0051】
又、センターフロート18Aの後部側を支持する支持部材42も、各サイドフロート18Bの後部側を支持する支持部材42と同様に、機体の左右方向に対して平行な面を有し、かつ、機体後方側を開放する平面視コの字状に形成された横力に対する断面係数の大きい金属材が採用され、又、その支持部材42の下端部が、センターフロート18Aの後部側に装備したブラケット41に外嵌するようになっており、これによって、スライドターンによる方向転換時に、センターフロート18Aにも横力が加わることに起因したブラケット41や支持部材42の変形を防止できる。
【0052】
図1、図2、図10及び図11に示すように、左右の各サイドガード部材66は、左右の対応する車輪3の横外側方を通るように屈曲形成された状態で、その前端部がエンジンフレーム6に連結され、又、その後端部に装備した連結ブラケット70が、左右の対応する植付伝動ケース11に連結されている。そして、左右の各サイドガード部材66の後外端部には、その後外端部から摺動レール16の横外側方に向けて、摺動レール16を保護する状態で延出するように、平面視L字状に形成されたガード部材71の一端部が着脱可能に内嵌されるとともに、連結ピン72によって所定の保護姿勢で位置決め連結されている。
【0053】
そして、このように左右の各ガード部材71を左右の対応するサイドガード部材66に連結装備することで、左右の各ガード部材71を機体フレーム1に連結するための専用の支持部材を設ける場合に比較して、構成部品の削減による構成の簡素化やコストの削減などを図ることができ、又、他物との接触でガード部材71が損傷した場合のガード部材71の交換などのメンテナンスを容易に行える。
【0054】
図1及び図13〜17に示すように、主フレーム8の上方には、中間部73Aに備えた連結板74が機体前部側のミッションケース7に連結され、両端部73Bに形成した連結部が機体後部側の動力分配ケース9に連結され、予備苗台支持用の支持板75を前後に備えた側面視略門形状の支持部73Cを中間部73Aと両端部73Bとの間に有するように屈曲形成された単一の丸鋼管からなる予備苗支持フレーム73が配備されている。
【0055】
この予備苗支持フレーム73で支持される予備苗台76は、その左右両端部に前後向きに配備されたアルミ押出材からなる第1フレーム77、その前後両端部に左右向きに配備されたアルミ押出材からなる第2フレーム78、及び、左右の第1フレーム77の間に、予備苗支持フレーム73の左右の支持部73Cを含めて左右方向に略等間隔を隔てる状態となるように、前後の第2フレーム78にわたって架設されたアルミ押出材からなる4本の第3フレーム79、によって構成されている。
【0056】
左右の第1フレーム77は、その縦断面形状が矩形の中空部を有する逆さ向きのP字状に形成され、前後の第2フレーム78は、その縦断面形状が開放部78aを有する横向きの略P字状に形成され、各第3フレーム79は、その縦断面形状が矩形となる角パイプ状に形成され、それらを接合した状態では、各第1フレーム77の両端部と各第3フレーム79の両端部とが対応する第2フレーム78の開放部78aに挿通されて、各第1フレーム77の両端に形成された開口77aと、各第3フレーム79の両端に形成された開口79aとが、対応する第2フレーム78の縦壁78Aとの接合で閉塞され、又、各第2フレーム78の両端に形成された開口78bが、対応する第1フレーム77の端部との接合で閉塞されている。
【0057】
そして、左右の第1フレーム77において載置面となる中空部の上面77bと、各第3フレーム79において載置面となる上面79bと、予備苗支持フレーム73における左右の支持部73Cの上縁73aとが同じ高さになるように設定されている。
【0058】
つまり、予備苗台76を、軽量で錆難く、中空部などを有する断面係数の大きいアルミ押出材を利用して構成したことで、鋼材で構成する場合などに比較して錆の発生を効果的に抑制し、かつ、予備苗台76としての軽量化を図りながら、高い強度を備えさせることができ、又、予備苗支持フレーム73における左右の支持部73Cを、左右の第1フレーム77の間に、各第3フレーム79とともに左右方向に略等間隔を隔てる状態で、その上縁73aが、各第1フレーム77の載置面77b及び各第3フレーム79の載置面79bと同じ高さになるように設定して、予備苗が載置される載置フレームとしての機能を備えさせたことで、使用する比較的高価なアルミ押出材の使用数量を削減して、予備苗台76としてのコストの削減を図りながら、予備苗台76における隙間からの予備苗の落下を抑制することができ、更に、各フレーム77〜79の開口77a,78b,79aを、第1フレーム77又は第2フレーム78との接合で閉塞したことで、それらを専用のキャップなどで閉塞する場合に比較してコストの削減を図りながら、それらの開口77a,78b,79aが露出することによる外嵌品質の低下を回避できる。
【0059】
図1、図13及び図14に示すように、予備苗台76における前側の第2フレーム78の左右中間部には、前回の植え付け作業工程で圃場泥面に形成した走行基準線に、機体の左右中心を合わすための照準具としてのセンターマスコット80が、前後方向への揺動による姿勢変更と所望姿勢での摩擦保持が可能となるように、ブラケット81を介して装備されており、これによって、センターマスコット80を、機体後部の操縦部5から圃場泥面の走行基準線に合わせ易い所望位置に容易に姿勢変更することができて、作業走行時における走行基準線に沿った走行性の向上を図れるとともに、非作業時にはセンターマスコット80を前方に倒伏させた格納姿勢に切り換えることで、他物との接触になどに起因したセンターマスコット80の損傷を未然に回避できる。
【0060】
尚、図1及び図6に示すように、走行基準線は、機体の左右両側後部に、その先端部が機体横側方の圃場泥土に突入する倒伏姿勢と、その先端部が圃場泥土から離間する起立姿勢とに起伏揺動可能に装備した左右の線引きマーカ82のうち、未植え側の線引きマーカ82を、作業走行時などにおいて倒伏姿勢に切り換えておくことで、圃場泥土に形成することができる。
【0061】
図1及び図13に示すように、センターマスコット80の下端部には、後部支点周りに開閉揺動可能に装備されたエンジンボンネット83を、その上部に突設した被係合具84との係合で開姿勢に保持するフック85が装備されており、エンジンボンネット83を開姿勢に揺動操作した後に、センターマスコット80を揺動操作して、フック85を被係合具84に係合してエンジンボンネット83を開姿勢に保持するだけの簡単な操作で、エンジンボンネット83の下方に位置するエンジン2やその周囲に配備されたベルト伝動式の伝動装置20などの各種機器に対するメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0062】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
〔1〕歩行型田植機としては、2条用又は3条用に構成されたものであってもよい。
【0063】
〔2〕整地フロート18としてセンターフロート18Aのみを装備するものにおいては、そのセンターフロート18Aの前部側を支持する支持金具68を、横力に対する断面係数の大きい、機体前後方向の一側方を開放する平面視コの字状に形成してもよい。
【0064】
〔3〕支持金具63,68を、横力に対する断面係数がより大きくなるように、平面視及び横断面視のそれぞれにおいて機体前後方向の一側方を開放する平面視コの字状に形成してもよく、又、横力に対する断面係数が更に大きくなる平面視矩形状の角パイプ状に形成してもよい。
【0065】
〔4〕トーションバー57を備えずに揺動規制機構60のみで変位抑制手段61を構成するようにしてもよく、逆に、揺動規制機構60を備えずにトーションバー57のみで変位抑制手段61を構成するようにしてもよい。
【0066】
〔5〕左右の走行伝動ケース13に対するトーションバー57の取り付け位置の変更が可能となるように構成して、左右の走行伝動ケース13の相対揺動を抑制するトーションバー57の抑制力を調節できるようにしてもよい。
【0067】
〔6〕トーションバー57としては、左右の走行伝動ケース13に一直線状にわたるように形成したものであってもよい。
【0068】
〔7〕左右の走行伝動ケース13の相対揺動を抑制する揺動規制機構60における第1バネ60A及び第2バネ60Bのバネ力を調節可能に構成してもよい。
【0069】
〔8〕サイドガード部材66とガード部材71とを、単一の丸鋼材などの折り曲げで一体形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】歩行型田植機の全体側面図
【図2】歩行型田植機のフレーム構造などを示す下部側の全体平面図
【図3】センターフロートの前部側の支持構造を示す要部の縦断側面図
【図4】変位抑制手段及びローリング機構の構成を示す要部の平面図
【図5】センターフロートの後部周辺の構成を示す要部の縦断側面図
【図6】サイドフロートの後部周辺の構成を示す要部の側面図
【図7】苗植付装置の動力分配機構周りでの伝動構成を示す要部の縦断背面図
【図8】苗植付装置の入力部周りでの伝動構成を示す要部の横断平面図
【図9】苗植付装置の動力分配機構周りでの伝動構成を示す要部の縦断側面図
【図10】サイドフロートの支持構造を示す要部の一部縦断側面図
【図11】サイドフロートの支持構造を示す要部の平面図
【図12】トーションバーの配置及び形状を示す要部の縦断正面図
【図13】予備苗載台の構成を示す要部の一部縦断側面図
【図14】予備苗載台の構成を示す要部の平面図
【図15】予備苗載台の構成を示す要部の縦断側面図
【図16】予備苗載台の構成を示す要部の縦断正面図
【図17】予備苗載台の構成を示す要部の斜視図
【符号の説明】
【0071】
1 機体フレーム
3 車輪
14 苗載台
16 摺動レール
18 整地フロート
61 変位抑制手段
63 支持金具
63A 縦壁
66 サイドガード部材
67 支持部材
68 支持金具
71 ガード部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体を水平又は略水平に維持するローリング機構を備えた歩行型田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような歩行型田植機においては、後部支点周りに上下揺動可能に装備される整地フロートの前部側を、例えば、前後揺動可能な帯板状の左右一対の揺動リンクから構成した支持金具、あるいは、正面視コの字状に形成した一対の揺動リンクを前後方向に屈伸揺動する腰折れリンク状に連結して構成した支持金具を介して、機体フレーム側に支持させるようにしたものがある(例えば特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】実公平2−33454号公報
【特許文献2】特開平6−14626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、歩行型田植機では、畦際において整地フロートを接地させた状態のままで機体を方向転換させる所謂スライドターンを行うことがあり、このスライドターンを行う場合には、整地フロートに泥押しなどに起因した比較的大きい横力が加わることになる。
【0004】
しかしながら、上記のように支持金具を左右一対の揺動リンクあるいは正面視コの字状の一対の揺動リンクから構成した場合には、その構造上、横力に対する高い強度を得られないことから、スライドターン時に整地フロートに加わる横力によって支持金具が変形することがある。
【0005】
本発明の目的は、スライドターン時に整地フロートに加わる横力に起因した支持金具の変形を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうちの請求項1に記載の発明では、機体フレームに対して左右の車輪を上下方向に独立変位可能に装備し、それら左右の車輪の接地反力による相対変位で、機体の左右方向での姿勢が水平姿勢又は略水平姿勢に維持されるように構成するとともに、後部支点周りに上下揺動可能に装備される整地フロートの前部側を、機体の左右方向に対して平行な面を有する状態で上下方向に延びる縦壁を備えた支持金具を介して、前記機体フレーム側に支持させてある
【0007】
この構成によると、接地反力による左右の車輪の相対変位で機体を水平姿勢又は略水平姿勢に維持することから、例えば、整地フロートを機体の左右傾斜を検出するローリングセンサに構成し、この整地フロートのローリング動作に連動して、左右の車輪を相対変位させるローリングシリンダに対する作動油を制御する制御バルブが作動するように構成することで、機体を水平姿勢又は略水平姿勢に維持する場合に比較して、構成の簡素化及びコストの削減を図れる。
【0008】
そして、支持金具に縦壁を備えたことで、支持金具は、横力に対する断面係数が大きくなって、横力に対する高い強度を有するようになる。
【0009】
従って、構成の簡素化及びコストの削減を図りながら機体を水平姿勢又は略水平姿勢に維持できるとともに、スライドターン時に整地フロートに加わる横力に起因した支持金具の変形を防止することができる。
【0010】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記支持金具を、機体前後方向の一側方を開放する平面視コの字状に形成してある。
【0011】
この構成によると、支持金具は、機体の左右方向に対して平行な面を有する状態で上下方向に延びる縦壁だけでなく、左右一対の横側壁をも備えることから、横力に対する断面係数が更に大きくなり、横力に対するより高い強度を有するようになる。
【0012】
又、支持金具を、平面視矩形状の角パイプ状に形成する場合に比較して軽量化を図れるとともに、平面視矩形状の角パイプ状に形成する場合に生じる内部への泥溜まりを招くこともない。
【0013】
従って、軽量化などを図りながら、スライドターン時に整地フロートに加わる横力に起因した支持金具の変形をより確実に防止することができる。
【0014】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記機体フレームから左右に延設したサイドガード部材に、前記支持金具を上下方向に相対変位可能に支持する支持部材を装備してある。
【0015】
この構成によると、整地フロートの前部側が、支持部材及び支持金具を介して、機体の左右両側部を保護する左右のサイドガード部材に支持されることになる。
【0016】
つまり、左右のサイドガード部材を、整地フロートの前部側を支持する支持フレームに有効利用することから、整地フロートを支持する専用のフレームを機体フレームから延設する場合に比較して、構成部品を削減することができる。
【0017】
従って、構成部品の削減による構成の簡素化やコストの削減などを図ることができる。
【0018】
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、左右の前記車輪の上下方向での相対変位を抑制する変位抑制手段を備えてある。
【0019】
ところで、左右に車輪を備える機体を方向転換させる場合には、旋回内側の車輪に対する伝動を断って、旋回外側の車輪による推進力で機体を旋回させることが一般的に行われるが、このような旋回を、左右の車輪の接地反力による相対変位によって機体の左右方向での姿勢を水平姿勢又は略水平姿勢に維持するように構成されたもので行うと、旋回外側の車輪が、その推進反力で浮き上がるようになることから、機体の左右方向での姿勢を水平姿勢又は略水平姿勢に維持することが難しくなる。
【0020】
そこで、請求項4に記載の発明では、左右の車輪の上下方向での相対変位を抑制する変位抑制手段を備えるようにしているのであり、これによって、旋回内側の車輪への伝動を断った旋回時には、変位抑制手段の作用によって、旋回外側車輪の推進反力による浮き上がりが抑制されるようになる。
【0021】
従って、旋回内側の車輪への伝動を断った旋回時における機体の左右方向での水平姿勢又は略水平姿勢での維持が行い易くなり、旋回操作性の向上を図れることになる。
【0022】
本発明のうちの請求項5に記載の発明では、上記請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記サイドガード部材の外端部に、苗載台を左右方向に摺動案内する摺動レールを保護するガード部材を着脱可能に連結してある。
【0023】
この構成によると、左右のサイドガード部材を、ガード部材を取り付けるための取り付けフレームに有効利用することから、専用の取り付けフレームを装備する場合に比較して構成部品を削減することができ、又、他物との接触でガード部材が損傷した場合におけるガード部材の修理や交換などを容易に行える。
【0024】
従って、構成部品の削減による構成の簡素化やコストの削減などを図れるとともに、ガード部材の交換などのメンテナンス性の向上を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1には歩行型田植機の全体側面が示されており、この歩行型田植機は、機体フレーム1の前部にリコイルスタータ式のエンジン2を搭載し、そのエンジン1からの走行用の動力で駆動される一対の車輪3を機体フレーム1の左右に配備し、エンジン1からの作業用の動力で駆動される苗植付装置4を機体フレーム1の後部に装備し、その苗植付装置4の後方に操縦部5を備えて構成されている。
【0026】
図1〜4に示すように、機体フレーム1は、エンジン2が搭載されるエンジンフレーム6、エンジンフレーム6が前部に連結されたミッションケース7、ミッションケース7の後端部から後方に向けて延設された角鋼管などからなる主フレーム8、主フレーム8の後端部に連結された動力分配ケース9、動力分配ケース9の左右両側部から左右外方に向けて延設された丸鋼管などからなる左右の連結フレーム10、対応する連結フレーム10の延出端部に連結された左右の植付伝動ケース11、及び、動力分配ケース9から後上方に向けて延設されたハンドルフレーム12、などによって構成されている。
【0027】
ミッションケース7の左右両側部には、それら左右の対応する側部から後方に向けて延出する状態となる一対の走行伝動ケース13が、ミッションケース7の下部に配備された走行用の出力軸(図示せず)を支点とした上下揺動が可能となるように連結され、それらの各走行伝動ケース13の遊端部に対応する車輪3が駆動可能に装備され、この構成から、左右の各車輪3は、機体フレーム1に対する上下方向への変位が許容されている。
【0028】
図1、図2及び図5〜7に示すように、苗植付装置4は、4条分のマット状苗を載置するように形成された苗載台14が、横送り機構15の作動で、機体フレーム1に支持された左右向きの摺動レール16に沿って、左右方向に一定ストロークで往復移動し、動力分配ケース9における下部側の左右両側と左右の各植付伝動ケース11における下部側の機体内方側とにそれぞれ配備したクランクアーム式の各植付機構17が、往復移動する苗載台14上の対応するマット状苗の下端部から所定量の苗を切り取って、左右に並設された3つの整地フロート18で整地された圃場泥部に植え付け、苗載台14が左右の各ストローク端に到達するごとに、縦送り機構19が作動して、苗載台14上の全マット状苗を所定ピッチで下方に縦送りするように構成されている。
【0029】
図1〜9に示すように、エンジン2からの動力は、ベルト伝動式の伝動装置20やミッションケース7に内装した主クラッチ(図示せず)などを介して、ミッションケース7に内装した変速装置(図示せず)に伝達され、この変速装置から出力される走行用の動力が、ミッションケース7に内装した左右一対のサイドクラッチ(図示せず)や、左右の走行伝動ケース13に内装した伝動軸(図示せず)やベベルギヤ(図示せず)などからなる軸伝動式の伝動装置(図示せず)などを介して左右の車輪3に伝達され、かつ、変速装置から出力される作業用の動力が、主フレーム8に内装した伝動軸21、及び、動力分配ケース9に内装したトルクリミッタ22や植付クラッチ23、などを介して、動力分配ケース9の左右に配備した植付機構17を駆動する駆動軸に兼用される苗植付装置4の入力軸24に伝達される。
【0030】
入力軸24に伝達された作業用の動力は、動力分配ケース9に内装したチェーン伝動式の動力分配機構25に伝達され、この動力分配機構25からの植え付け用の動力が、左右の連結フレーム10に内装した伝動軸26や、左右の植付伝動ケース11に内装したチェーン伝動式の伝動機構(図示せず)などを介して、左右の各植付伝動ケース11の機体内側方に配備した植付機構17を駆動する植付駆動軸27に伝達され、かつ、動力分配機構25からの苗送り用の動力が、伝動軸28やギヤ式の減速機構29などを介して、横送り機構15の横送り軸30に伝達される。
【0031】
横送り軸30には、その回転に伴って、その外周面に形成した無端螺旋溝30Aによって左右方向に往復移動案内される移動体31が外嵌装備され、その移動体31には、動力分配ケース9の上部に相対摺動可能かつ相対回動可能に支持された状態で苗載台14の左右両端部に向けて延出する移動軸32が、左右方向に一体移動するとともに相対回動可能に挿通され、その移動軸32の左右両端部に、苗載台14の左右両端部から延設された各ブラケット33の端部が、左右方向に一体移動するとともに移動軸32の相対回動を許容する状態で連結されている。
【0032】
又、横送り軸30における移動体31の移動領域から外れた左右両端部には、横送り軸30と一体回転する操作片34が装備され、移動軸32における移動体31の左右には、移動軸32と一体摺動するとともに一体回転する被操作片35が隣接配備され、これらの被操作片35は、バネ36によって操作片34に向けて延出する状態に復帰付勢されるとともに、苗載台14とともに左右の各ストローク端に到達するごとに、対応する操作片34によってバネ34の付勢に抗して揺動操作され、この揺動操作とバネ36の付勢で、移動軸32が所定角度の範囲で往復回動する。
【0033】
移動軸32の左端部には、移動軸32と一体摺動するとともに一体回転する連係アーム37が装備され、この連係アーム37の遊端が、縦送り機構19に装備したワンウェイクラッチ38の操作アーム38Aに連係ロッド39を介して連係され、縦送り機構19は、ワンウェイクラッチ38を介して伝達された動力で、それぞれ連動連結された複数の苗送りディスク40を所定量だけ一体回転させる。
【0034】
つまり、作業用の動力が、植付駆動軸と兼用の入力軸24に伝達されるとともに、動力分配機構25などを介して、その入力軸24から左右の植付駆動軸27や横送り軸30などに伝達されることで、横送り機構15と各植付機構17と縦送り機構19とが適正に連動作動するようになっており、もって、横送り機構15による苗載台14の横送り、各植付機構17による所定量の苗の植え付け、及び、縦送り機構19によるマット状苗の所定量の縦送りのそれぞれを良好に行える。
【0035】
図1、図2、図4、図5、図10及び図11に示すように、各整地フロート18の各後部側には、上方を開放する前後方向視コの字状のブラケット41が装備され、これらのブラケット41が、左右の植付伝動ケース11から後方に向けて延設された支持部材42とハンドルフレーム12とに相対回動可能に支持されたフロート支点軸43から延設した3つの支持アーム44のうちの対応するものの遊端に、左右向きの支軸45を介して連結されている。つまり、各整地フロート18は、その後部に配備した支軸45を支点した上下揺動が許容された状態で装備されている。
【0036】
図1及び図2に示すように、操縦部5には、左右両端部に把持部46Aを備えた状態でハンドルフレーム12の上端部に連結された平面視コの字状の操縦ハンドル46、主クラッチに操作連係された主クラッチレバー47、変速装置に操作連係された変速レバー48、左右の対応するサイドクラッチに操作連係された左右のサイドクラッチレバー49、及び、ミッションケース7の上部に連結装備した昇降の制御弁50に操作連係された昇降レバー51、などが装備されている。
【0037】
左右のサイドクラッチレバー49は、対応する把持部46Aとの共握り操作が可能となるように対応する把持部46Aの下方に配備されており、旋回内側の車輪3への伝動を断って機体を方向転換させる旋回操作が行い易くなっている。
【0038】
図1、図2及び図4に示すように、制御弁50は、ミッションケース7の下方に配備された油圧式の昇降シリンダ52に対する作動油の流動を制御するものであり、その昇降シリンダ52における操作ロッド52Aの先端には、天秤アーム53が、縦向きの支軸54を介して、その支軸54を支点にした前後方向への天秤揺動が可能となるように装備され、その天秤アーム53の左右の端部が、左右の走行伝動ケース13の揺動支点部に立設装備した連係アーム55の対応するものに、前後向きの連係部材56を介して操作連係されている。
【0039】
つまり、昇降レバー51によって制御弁50を操作して昇降シリンダ52を伸縮作動させることで、左右の走行伝動ケース13を上下方向に一体揺動させることができるとともに、左右の車輪3を、機体フレーム1に対して上下方向に一体変位させることができ、これによって、各整地フロート18が圃場泥面に接地する作業位置と、各整地フロート18が圃場泥面から離間する非作業位置とにわたって、機体を昇降させることができる。
【0040】
図2、図4及び図12に示すように、左右の走行伝動ケース13は、主フレーム8と左右中央に配置された整地フロート(センターフロート)18Aとの間を通って左右の走行伝動ケース13に架設された正面視略凹形状のトーションバー57によって、それらの相対揺動が抑制され、かつ、天秤アーム53と一体揺動する揺動アーム58から左側の連係部材56に装備した支持具59にわたって架設した揺動規制機構60の第1バネ60Aによって、それらの左下がり方向(右上がり方向)への相対揺動が抑制されるとともに揺動限界が設定され、又、揺動規制機構60の第2バネ60Bによって、それらの右下がり方向(左上がり方向)への相対揺動が抑制されるとともに揺動限界が設定されるようになっている。
【0041】
つまり、トーションバー57及び揺動規制機構60によって、左右の車輪3の上下方向への相対変位を抑制する変位抑制手段61が構成されており、圃場耕盤の傾斜や起伏に起因して、左右いずれかの車輪3に対する接地反力が増大する場合には、その左右いずれかの車輪3に対する接地反力で、左右の車輪3が変位抑制手段61の作用に抗して相対変位することで、機体の左右方向での姿勢が水平姿勢又は略水平姿勢に維持され、又、左右いずれかの車輪3に対する接地反力が低下する場合には、変位抑制手段61の作用で左右の車輪3が相対変位することで、機体の左右方向での姿勢が水平姿勢又は略水平姿勢に維持されるようになっている。
【0042】
要するに、左右の対応する車輪3を独立変位可能に支持する左右の走行伝動ケース13、それら左右の対応する走行伝動ケース13の揺動支点部に立設装備された左右の連係アーム55、それら左右の対応する連係アーム55から前方に向けて延設された左右の連係部材56、それら左右の連係部材56の互いの逆方向への連動操作が可能となるように操作連係して、左右の走行伝動ケース13の連動した上下方向での相対揺動変位を許容する天秤アーム53、及び、それら左右の走行伝動ケース13の連動した上下方向での相対揺動変位を抑制する変位抑制手段61、などによって、機体の左右方向での姿勢を水平姿勢又は略水平姿勢に維持するローリング機構62が構成されている。
【0043】
そして、ローリング機構62に変位抑制手段61を備えたことで、圃場の畦際などにおいて、各整地フロート18を接地させたままの状態で、旋回内側となるサイドクラッチレバー49を操作し、対応するサイドクラッチを切り状態に切り換えて旋回内側の車輪3に対する伝動を断ち、旋回外側の車輪3による推進力で機体を方向転換させる所謂スライドターンを行うようにしても、そのスライドターン時に発生する旋回外側の車輪3に対する推進反力に起因した旋回外側の車輪3の浮き上がりを、変位抑制手段61の作用によって抑制できることから、機体をスライドターンさせながら、その左右方向での姿勢を水平姿勢や略水平姿勢に維持する操作が行い易くなり、畦際などにおける良好なスライドターンを容易かつ迅速に行える。
【0044】
ところで、上記のようなスライドターンを行う場合には、各整地フロート18に、泥押しなどに起因した横方向からの力(横力)が加わるようになり、特に、旋回外側に位置する整地フロート(サイドフロート)18Bには、比較的に大きい横力が加わることになる。
【0045】
そこで、図1、図2、図10及び図11に示すように、左右の各サイドフロート18Bの前部側を機体フレーム1側に支持させる支持金具63として、横力に対する断面係数の大きい部材、具体的には、機体の左右方向に対して平行な面を有する状態で上下方向に延びる縦壁63Aを備え、かつ、機体後方側を開放する平面視コの字状に形成された部材が採用されており、これによって、スライドターンによる方向転換時に、旋回外側のサイドフロート18Bに比較的に大きい横力が加わることに起因した支持金具63の変形を防止できる。
【0046】
各支持金具63は、各サイドフロート18Bの前部側に装備した上方を開放する前後方向視コの字状のブラケット64に、その下端部を内嵌させた状態で、左右向きの支軸65を介して相対変位可能に連結されている。つまり、横力に対する高い強度を有する支持金具63を各サイドフロート18Bの前部側に装備したブラケット64に内嵌させたことで、スライドターンによる方向転換時に、旋回外側のサイドフロート18Bに比較的に大きい横力が加わることに起因したブラケット64の変形をも防止できる。
【0047】
各支持金具63における左右の各横側壁63Bの上部側には、上下向きの長孔63aが形成され、これらの長孔63aには、機体フレーム1の左右に配備した丸鋼管からなる各サイドガード部材66に、機体横外方向けて突出する左右向きの姿勢で配備した丸鋼材からなる支持杆(支持部材の一例)67が挿通され、これらの支持杆67によって、各支持金具63の上部側が上下方向に相対変位可能に支持されている。つまり、機体の左右両側部を保護する左右のサイドガード部材66を有効利用して、左右の支持金具63を支持するように構成していることから、左右の支持金具63を支持する専用の部材を機体フレーム1から延設する場合に比較して、構成部品の削減による構成の簡素化やコストの削減などを図ることができる。
【0048】
図1、図2、図6、図10及び図11に示すように、各サイドフロート18Bの後部側を支持する支持部材42も、各サイドフロート18Bの前部側を支持する支持金具63と同様に、機体の左右方向に対して平行な面を有し、かつ、機体後方側を開放する平面視コの字状に形成された横力に対する断面係数の大きい金属材が採用され、又、それらの各支持部材42の下端部が、各サイドフロート18Bの後部側に装備したブラケット41に外嵌するようになっており、これによって、スライドターンによる方向転換時に、旋回外側のサイドフロート18Bに比較的に大きい横力が加わることに起因したブラケット41や支持部材42の変形を防止できる。
【0049】
図1〜3及び図5に示すように、センターフロート18Aの前部側には、機体の左右方向に対して平行な面を有する状態で上下方向に延びる前後の縦壁68Aを備えたブラケット(支持金具の一例)68が装備され、このブラケット68における前後の縦壁68Aには、上下向きの長孔68aが形成され、これらの長孔68aには、機体フレーム1に兼用されたミッションケース7の前下部から上下揺動可能に延設された比較的大径の丸鋼材からなる支持杆69が挿通され、この支持杆69によって、ブラケット68が上下方向に相対変位可能に支持されている。
【0050】
つまり、センターフロート18Aの前部側に装備するブラケット68には、横力に対する高い強度を有する前後の縦壁68Aを備えた部材を、又、そのブラケット68を支持する支持杆69には、横力に対する高い強度を有する比較的大径の丸鋼材をそれぞれ採用したことで、スライドターンによる方向転換時に、センターフロート18Aにも横力が加わることに起因したブラケット68や支持杆69の変形を防止できる。
【0051】
又、センターフロート18Aの後部側を支持する支持部材42も、各サイドフロート18Bの後部側を支持する支持部材42と同様に、機体の左右方向に対して平行な面を有し、かつ、機体後方側を開放する平面視コの字状に形成された横力に対する断面係数の大きい金属材が採用され、又、その支持部材42の下端部が、センターフロート18Aの後部側に装備したブラケット41に外嵌するようになっており、これによって、スライドターンによる方向転換時に、センターフロート18Aにも横力が加わることに起因したブラケット41や支持部材42の変形を防止できる。
【0052】
図1、図2、図10及び図11に示すように、左右の各サイドガード部材66は、左右の対応する車輪3の横外側方を通るように屈曲形成された状態で、その前端部がエンジンフレーム6に連結され、又、その後端部に装備した連結ブラケット70が、左右の対応する植付伝動ケース11に連結されている。そして、左右の各サイドガード部材66の後外端部には、その後外端部から摺動レール16の横外側方に向けて、摺動レール16を保護する状態で延出するように、平面視L字状に形成されたガード部材71の一端部が着脱可能に内嵌されるとともに、連結ピン72によって所定の保護姿勢で位置決め連結されている。
【0053】
そして、このように左右の各ガード部材71を左右の対応するサイドガード部材66に連結装備することで、左右の各ガード部材71を機体フレーム1に連結するための専用の支持部材を設ける場合に比較して、構成部品の削減による構成の簡素化やコストの削減などを図ることができ、又、他物との接触でガード部材71が損傷した場合のガード部材71の交換などのメンテナンスを容易に行える。
【0054】
図1及び図13〜17に示すように、主フレーム8の上方には、中間部73Aに備えた連結板74が機体前部側のミッションケース7に連結され、両端部73Bに形成した連結部が機体後部側の動力分配ケース9に連結され、予備苗台支持用の支持板75を前後に備えた側面視略門形状の支持部73Cを中間部73Aと両端部73Bとの間に有するように屈曲形成された単一の丸鋼管からなる予備苗支持フレーム73が配備されている。
【0055】
この予備苗支持フレーム73で支持される予備苗台76は、その左右両端部に前後向きに配備されたアルミ押出材からなる第1フレーム77、その前後両端部に左右向きに配備されたアルミ押出材からなる第2フレーム78、及び、左右の第1フレーム77の間に、予備苗支持フレーム73の左右の支持部73Cを含めて左右方向に略等間隔を隔てる状態となるように、前後の第2フレーム78にわたって架設されたアルミ押出材からなる4本の第3フレーム79、によって構成されている。
【0056】
左右の第1フレーム77は、その縦断面形状が矩形の中空部を有する逆さ向きのP字状に形成され、前後の第2フレーム78は、その縦断面形状が開放部78aを有する横向きの略P字状に形成され、各第3フレーム79は、その縦断面形状が矩形となる角パイプ状に形成され、それらを接合した状態では、各第1フレーム77の両端部と各第3フレーム79の両端部とが対応する第2フレーム78の開放部78aに挿通されて、各第1フレーム77の両端に形成された開口77aと、各第3フレーム79の両端に形成された開口79aとが、対応する第2フレーム78の縦壁78Aとの接合で閉塞され、又、各第2フレーム78の両端に形成された開口78bが、対応する第1フレーム77の端部との接合で閉塞されている。
【0057】
そして、左右の第1フレーム77において載置面となる中空部の上面77bと、各第3フレーム79において載置面となる上面79bと、予備苗支持フレーム73における左右の支持部73Cの上縁73aとが同じ高さになるように設定されている。
【0058】
つまり、予備苗台76を、軽量で錆難く、中空部などを有する断面係数の大きいアルミ押出材を利用して構成したことで、鋼材で構成する場合などに比較して錆の発生を効果的に抑制し、かつ、予備苗台76としての軽量化を図りながら、高い強度を備えさせることができ、又、予備苗支持フレーム73における左右の支持部73Cを、左右の第1フレーム77の間に、各第3フレーム79とともに左右方向に略等間隔を隔てる状態で、その上縁73aが、各第1フレーム77の載置面77b及び各第3フレーム79の載置面79bと同じ高さになるように設定して、予備苗が載置される載置フレームとしての機能を備えさせたことで、使用する比較的高価なアルミ押出材の使用数量を削減して、予備苗台76としてのコストの削減を図りながら、予備苗台76における隙間からの予備苗の落下を抑制することができ、更に、各フレーム77〜79の開口77a,78b,79aを、第1フレーム77又は第2フレーム78との接合で閉塞したことで、それらを専用のキャップなどで閉塞する場合に比較してコストの削減を図りながら、それらの開口77a,78b,79aが露出することによる外嵌品質の低下を回避できる。
【0059】
図1、図13及び図14に示すように、予備苗台76における前側の第2フレーム78の左右中間部には、前回の植え付け作業工程で圃場泥面に形成した走行基準線に、機体の左右中心を合わすための照準具としてのセンターマスコット80が、前後方向への揺動による姿勢変更と所望姿勢での摩擦保持が可能となるように、ブラケット81を介して装備されており、これによって、センターマスコット80を、機体後部の操縦部5から圃場泥面の走行基準線に合わせ易い所望位置に容易に姿勢変更することができて、作業走行時における走行基準線に沿った走行性の向上を図れるとともに、非作業時にはセンターマスコット80を前方に倒伏させた格納姿勢に切り換えることで、他物との接触になどに起因したセンターマスコット80の損傷を未然に回避できる。
【0060】
尚、図1及び図6に示すように、走行基準線は、機体の左右両側後部に、その先端部が機体横側方の圃場泥土に突入する倒伏姿勢と、その先端部が圃場泥土から離間する起立姿勢とに起伏揺動可能に装備した左右の線引きマーカ82のうち、未植え側の線引きマーカ82を、作業走行時などにおいて倒伏姿勢に切り換えておくことで、圃場泥土に形成することができる。
【0061】
図1及び図13に示すように、センターマスコット80の下端部には、後部支点周りに開閉揺動可能に装備されたエンジンボンネット83を、その上部に突設した被係合具84との係合で開姿勢に保持するフック85が装備されており、エンジンボンネット83を開姿勢に揺動操作した後に、センターマスコット80を揺動操作して、フック85を被係合具84に係合してエンジンボンネット83を開姿勢に保持するだけの簡単な操作で、エンジンボンネット83の下方に位置するエンジン2やその周囲に配備されたベルト伝動式の伝動装置20などの各種機器に対するメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0062】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
〔1〕歩行型田植機としては、2条用又は3条用に構成されたものであってもよい。
【0063】
〔2〕整地フロート18としてセンターフロート18Aのみを装備するものにおいては、そのセンターフロート18Aの前部側を支持する支持金具68を、横力に対する断面係数の大きい、機体前後方向の一側方を開放する平面視コの字状に形成してもよい。
【0064】
〔3〕支持金具63,68を、横力に対する断面係数がより大きくなるように、平面視及び横断面視のそれぞれにおいて機体前後方向の一側方を開放する平面視コの字状に形成してもよく、又、横力に対する断面係数が更に大きくなる平面視矩形状の角パイプ状に形成してもよい。
【0065】
〔4〕トーションバー57を備えずに揺動規制機構60のみで変位抑制手段61を構成するようにしてもよく、逆に、揺動規制機構60を備えずにトーションバー57のみで変位抑制手段61を構成するようにしてもよい。
【0066】
〔5〕左右の走行伝動ケース13に対するトーションバー57の取り付け位置の変更が可能となるように構成して、左右の走行伝動ケース13の相対揺動を抑制するトーションバー57の抑制力を調節できるようにしてもよい。
【0067】
〔6〕トーションバー57としては、左右の走行伝動ケース13に一直線状にわたるように形成したものであってもよい。
【0068】
〔7〕左右の走行伝動ケース13の相対揺動を抑制する揺動規制機構60における第1バネ60A及び第2バネ60Bのバネ力を調節可能に構成してもよい。
【0069】
〔8〕サイドガード部材66とガード部材71とを、単一の丸鋼材などの折り曲げで一体形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】歩行型田植機の全体側面図
【図2】歩行型田植機のフレーム構造などを示す下部側の全体平面図
【図3】センターフロートの前部側の支持構造を示す要部の縦断側面図
【図4】変位抑制手段及びローリング機構の構成を示す要部の平面図
【図5】センターフロートの後部周辺の構成を示す要部の縦断側面図
【図6】サイドフロートの後部周辺の構成を示す要部の側面図
【図7】苗植付装置の動力分配機構周りでの伝動構成を示す要部の縦断背面図
【図8】苗植付装置の入力部周りでの伝動構成を示す要部の横断平面図
【図9】苗植付装置の動力分配機構周りでの伝動構成を示す要部の縦断側面図
【図10】サイドフロートの支持構造を示す要部の一部縦断側面図
【図11】サイドフロートの支持構造を示す要部の平面図
【図12】トーションバーの配置及び形状を示す要部の縦断正面図
【図13】予備苗載台の構成を示す要部の一部縦断側面図
【図14】予備苗載台の構成を示す要部の平面図
【図15】予備苗載台の構成を示す要部の縦断側面図
【図16】予備苗載台の構成を示す要部の縦断正面図
【図17】予備苗載台の構成を示す要部の斜視図
【符号の説明】
【0071】
1 機体フレーム
3 車輪
14 苗載台
16 摺動レール
18 整地フロート
61 変位抑制手段
63 支持金具
63A 縦壁
66 サイドガード部材
67 支持部材
68 支持金具
71 ガード部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームに対して左右の車輪を上下方向に独立変位可能に装備し、それら左右の車輪の接地反力による相対変位で、機体の左右方向での姿勢が水平姿勢又は略水平姿勢に維持されるように構成するとともに、後部支点周りに上下揺動可能に装備される整地フロートの前部側を、機体の左右方向に対して平行な面を有する状態で上下方向に延びる縦壁を備えた支持金具を介して、前記機体フレーム側に支持させてある歩行型田植機。
【請求項2】
前記支持金具を、機体前後方向の一側方を開放する平面視コの字状に形成してある請求項1に記載の歩行型田植機。
【請求項3】
前記機体フレームから左右に延設したサイドガード部材に、前記支持金具を上下方向に相対変位可能に支持する支持部材を装備してある請求項1又は2に記載の歩行型田植機。
【請求項4】
左右の前記車輪の上下方向での相対変位を抑制する変位抑制手段を備えてある請求項1〜3のいずれか一つに記載の歩行型田植機。
【請求項5】
前記サイドガード部材の外端部に、苗載台を左右方向に摺動案内する摺動レールを保護するガード部材を着脱可能に連結してある請求項1〜4のいずれか一つに記載の歩行型田植機。
【請求項1】
機体フレームに対して左右の車輪を上下方向に独立変位可能に装備し、それら左右の車輪の接地反力による相対変位で、機体の左右方向での姿勢が水平姿勢又は略水平姿勢に維持されるように構成するとともに、後部支点周りに上下揺動可能に装備される整地フロートの前部側を、機体の左右方向に対して平行な面を有する状態で上下方向に延びる縦壁を備えた支持金具を介して、前記機体フレーム側に支持させてある歩行型田植機。
【請求項2】
前記支持金具を、機体前後方向の一側方を開放する平面視コの字状に形成してある請求項1に記載の歩行型田植機。
【請求項3】
前記機体フレームから左右に延設したサイドガード部材に、前記支持金具を上下方向に相対変位可能に支持する支持部材を装備してある請求項1又は2に記載の歩行型田植機。
【請求項4】
左右の前記車輪の上下方向での相対変位を抑制する変位抑制手段を備えてある請求項1〜3のいずれか一つに記載の歩行型田植機。
【請求項5】
前記サイドガード部材の外端部に、苗載台を左右方向に摺動案内する摺動レールを保護するガード部材を着脱可能に連結してある請求項1〜4のいずれか一つに記載の歩行型田植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−81541(P2006−81541A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2005−144093(P2005−144093)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144093(P2005−144093)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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