説明

歩行型農作業機

【課題】機体に装着したロータリ耕耘装置等により耕耘作業や除草作業を行うことができる歩行型農作業機において、点検作業等で、エンジンから排出される排気ガスを排出する排気管に誤って手指が触れることを防止するためのカバー体を設ける。
【解決手段】エンジン18の駆動力をミッションケース11の入力軸に伝達するベルト伝動装置25と、エンジン18から排出される排気ガスを排出する排気管43とを、一体的に覆うことができるカバー体21を設けると共に、当該カバー体21を回り止め手段Sと一つの螺設具48を介して取り付け可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体に装着したロータリ耕耘装置等により耕耘作業や除草作業を行うことができる歩行型農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体に装着したロータリ耕耘装置等により耕耘作業や除草作業を行うことができる歩行型農作業機においては、エンジンの駆動力をミッションケースの入力軸に伝達するベルト伝動装置を覆うカバー体が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−238504号公報(第3頁、図4−図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述したような従来の歩行型農作業機では、エンジンから排出される排気ガスをマフラーを介して排出するための排気管が剥き出し状態となっており、点検作業等において当該排気管に誤って手指が触れた場合は火傷を起こす虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、エンジンの駆動力をミッションケースの入力軸に伝達するベルト伝動装置と、エンジンから排出される排気ガスを排出する排気管とを、一体的に形成したカバー体で覆ったことを第1の特徴としている。
【0005】
そして、カバー体を回り止め手段と一つの螺設具を介して取り付け可能に構成したことを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、エンジンの駆動力をミッションケースの入力軸に伝達するベルト伝動装置と、エンジンから排出される排気ガスを排出する排気管とを、一体的に形成したカバー体で覆ったことによって、点検作業等において排気管に誤って手指が触れることを回避することができると共に、外観デザインの向上が図れる。
【0007】
そして、請求項2の発明によれば、前記カバー体を、回り止め手段と一つの螺設具を介して取り付け可能に構成したので、当該カバー体を確実且つ簡単に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は本発明が適用される農作業機である歩行型管理機10の側面図と平面図であって、該歩行型管理機10は、その機体を構成する側面視で逆へ字状のミッションケース11が中央に配設されており、このミッションケース11の後側下部に車軸12を軸架して走行車輪13を取り付ける一方、ミッションケース11の前側下部には、ロータリ耕耘装置14を構成する複数の耕耘爪15を植設した耕耘軸16を横架している。
【0009】
そして、ミッションケース11の上部に取付けたエンジンフレーム17にエンジン18を載置すると共に、このエンジン18の左側に配設した箱蓋状のカバー体21によって、図3及び図4に示す如くエンジン18の出力プーリ22、ミッションケース11の入力プーリ23、及び両プーリ22,23に巻き掛けたVベルト24からなるベルト伝動装置25の外側が露出しないように安全に覆われている。
【0010】
尚、前記プーリ22,23間には、揺動自在なテンションプーリ26を備えたテンションクラッチ機構27が設けてあり、このテンションプーリ26の揺動によりVベルト24のテンションを緊緩することによって、エンジン18とミッションケース11間の動力の断接がなされる。そして、ミッションケース11内に入力された動力は、当該ミッションケース11内の変速機構を介して変速された後、走行車輪13やロータリ耕耘装置14に伝達されるようになっている。
【0011】
また、ミッションケース11の上部には、後方に向けてハンドル31が延設してあって、このハンドル31をオペレーターが把持した状態で歩行型管理機10を走行させながら、ロータリ耕耘装置14の耕耘爪15を回転駆動させることによって耕耘作業が行えるようになっている。そして、前記ハンドル31を把持するオペレーターとロータリ耕耘装置14との間には、走行車輪13が配設されているので、それによって当該オペレーターがロータリ耕耘装置14に誤って巻き込まれる等の事故を防止し、安全を確保できるようにしている。
【0012】
また、エンジン18の上部には燃料タンク35を配設すると共に、この燃料タンク35の周囲を覆うプラスチック製のエンジンカバー(ボンネット)36を取付けている。そして、ロータリ耕耘装置14の耕耘爪15の上方には、該耕耘爪15を覆うプラスチック製のロータリカバー38を設けている。尚、ロータリ耕耘装置14の中央前方には、高さ調節可能なゲージ輪41が配設してあり、このゲージ輪41の上下方向の高さを調節することによって、ロータリ耕耘装置14の耕耘軸16(耕耘爪15)の耕深調節、及び路上走行等の移動時においては、当該ゲージ輪41を補助輪として作用させることができるようになっている。
【0013】
そして、エンジン18の上部左側には、該エンジン18から排出される排気ガスをマフラー42を介して排出するための排気管43が突出して剥き出し状態となっているが、上述したベルト伝動装置25を覆う箱蓋状のカバー体21を排気管43の側方まで延設することによって、ベルト伝動装置25と排気管43とを当該カバー体21で一体的に覆うことができるように構成している。
【0014】
即ち、上述の如く形成したカバー体21によれば、点検作業等において排気管43に誤って手指が触れることを回避できると共に、当該カバー21体の外観デザインの向上が図れる。尚、前記排気管43の側方に対応するカバー21体の部位には、複数の通気口21aを穿設している。
【0015】
また、図3及び図4に示すように、ベルト伝動装置25とエンジン18及びミッションケース11の左側外周面との間には、当該ベルト伝動装置25を内側から覆うプレート状の内側カバー46をエンジン18及びミッションケース11に螺設している。そして、内側カバー46の底面46aに固設した支持部材47に、前記カバー体21を一つの螺設具であるビス48を用いて取り付けることができるようになっている。
【0016】
ところで、前記螺設具として通常はノブ付きボルトが多用されているが、このノブ付きボルトのノブ部(把持部)に誤って何らかが接当した場合は、そのネジ部の緩みが生じやすいので、本実施例では安全性を考慮してビス48を螺設具として採用している。尚、ビス48の締め込み及び取り外しは、マイナスドライバーまたは硬貨等を用いて行うことができる。
【0017】
また、上述したビス48を用いてカバー体21を支持部材47に取り付ける際、当該カバー体21がビス48と共に連れ回りすることを防止すべく回り止め手段Sを設けている。そして、この回り止め手段Sは、内側カバー46の周縁部に立ち上げたリブ46bに対し、カバー体21の側枠21aの周縁部に形成した周溝Hを嵌装させることによって構成されており、前記回り止め手段Sと一つの螺設具であるビス48を介して、当該カバー体21を確実且つ簡単に取り付けることができる。
【0018】
尚、カバー体21には、図3に示すH寸法の如く段差を設けている。即ち、エンジン18の出力プーリ22側方から排気管43の側方に至るカバー体21のA面よりも、その下方に位置するミッションケース11の入力プーリ23側方のB面を一段低く形成してあり、この段差(H)を設けることによって、当該カバー体21と走行車輪13とが側面視で重合する部分の平面視における隙間Wを十分に確保することができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】歩行型管理機の側面図。
【図2】歩行型管理機の平面図。
【図3】カバー体の取り付け状態を示す断面図。
【図4】カバー体の取り付け状態を示す側面図。
【符号の説明】
【0020】
11 ミッションケース
18 エンジン
25 ベルト伝動装置
43 排気管
48 螺設具
S 回り止め手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(18)の駆動力をミッションケース(11)の入力軸に伝達するベルト伝動装置(25)と、エンジン(18)から排出される排気ガスを排出する排気管(43)とを、一体的に形成したカバー体(21)で覆ったことを特徴とする歩行型農作業機。
【請求項2】
カバー体(21)を回り止め手段(S)と一つの螺設具(48)を介して取り付け可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の歩行型農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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