説明

歩行解析方法、歩行解析システム及び歩行解析装置

【課題】角速度センサを用いて歩行周期を算出することができる歩行解析方法、歩行解析システム及び歩行解析装置を提供する。
【解決手段】角速度を検出する角速度センサを備え、角速度センサが検出した角速度に基づいて、被験者の歩行周期を算出する歩行解析装置1において、角速度センサが検出した角速度における減少と増加との境目の時点、及び/又は角速度の正負が反転する境目の時点を算出する算出手段と、算出手段が算出した各境目の時点に基づいて、被験者の歩行周期を算出する歩行周期算出手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行周期を算出する歩行解析装置、歩行解析システム及び歩行解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行周期は、健康管理にとって重要な歩行速度を求めるパラメータの一つである。歩行周期を算出する装置として、被験者に装着した加速度センサから出力された加速度データに基づき、歩行速度を算出する歩行計が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。また、歩行画像の撮影、又は足裏圧力の測定によっても歩行周期を算出することができる(例えば、特許文献3、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2675842号公報
【特許文献2】特開2006−118909号公報
【特許文献3】特開2002−345785号公報
【特許文献4】特許第3725788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加速度センサを搭載した歩行計により歩行周期を算出するためは、被験者は10メートル前後の距離を実際に歩行する必要がある。そのため、当該歩行計は在宅下の限られた空間で使用される場合には不向きである。また、歩行画像を撮影する場合又は足裏圧力を測定する場合、大規模な器具及び装置が必要となり、測定環境が大きく制限される。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、角速度センサを用いて歩行周期を算出することができる歩行解析方法、歩行解析システム及び歩行解析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る歩行解析方法は、被験者の身体部位の動作に応じた角速度を検出し、検出した角速度から、被験者の歩行周期を算出する歩行解析方法において、被験者の足踏み運動に伴う身体部位の動作に応じた角速度を検出し、検出した角速度の変動に基づいて、被験者の足踏み周期を算出し、算出した足踏み周期に基づいて、被験者の歩行周期を算出することを特徴とする。
【0007】
本願に係る歩行解析方法は、被験者の足踏み周期を算出するに際し、検出した角速度における減少と増加との境目の時点、及び/又は検出した該角速度の正負が反転する境目の時点に基づいて、被験者の足踏み周期を算出することを特徴とする。
【0008】
本願に係る歩行解析システムは、被験者の身体部位の動作に応じた角速度を検出する角速度センサと、該角速度センサを装着した被験者の歩行周期を算出する歩行解析装置と、前記角速度センサが検出した角速度を信号として前記歩行解析装置に送信する送信手段とを備え、前記歩行解析装置は、前記送信手段が送信した信号を受信し、受信した信号から被験者の歩行周期を算出するようにしてある歩行解析システムにおいて、前記歩行解析装置は、前記信号が示す角速度の変動に基づいて、被験者の足踏み周期を算出する足踏み周期算出手段と、該足踏み周期算出手段が算出した足踏み周期に基づいて、被験者の歩行周期を算出する歩行周期算出手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本願に係る歩行解析システムは、前記足踏み周期算出手段は、前記信号が示す角速度における減少と増加との境目の時点、及び/又は該角速度の正負が反転する境目の時点に基づいて、被験者の足踏み周期を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本願に係る歩行解析システムは、前記歩行解析装置は、足踏み周期及び歩行周期の間の関係を示す関係式を記録する関係式記録手段を有し、前記歩行周期算出手段は、前記足踏み周期算出手段が算出した足踏み周期を、前記関係式記録手段が記録した関係式に適用し、被験者の歩行周期を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本願に係る歩行解析システムは、前記角速度センサを二つ備え、前記送信手段は、各々の前記角速度センサが夫々検出した角速度を信号として前記歩行解析装置に送信するようにしてあり、前記歩行解析装置は、前記信号が示す各々の角速度を記録する角速度記録手段を有し、前記足踏み周期算出手段は、前記角速度記録手段が記録した各々の角速度の変動に基づいて、被験者の足踏み周期を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本願に係る歩行解析装置は、角速度を検出する角速度センサを備え、該角速度センサが検出した角速度に基づいて、被験者の歩行周期を算出する歩行解析装置において、前記角速度センサが検出した角速度における減少と増加との境目の時点、及び/又は該角速度の正負が反転する境目の時点を算出する算出手段と、該算出手段が算出した各境目の時点に基づいて、被験者の歩行周期を算出する歩行周期算出手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本願に係る歩行解析装置は、前記歩行周期算出手段は、前記算出手段が算出した各境目の時点に基づいて、被験者の足踏み周期を算出する足踏み周期算出手段を有し、該足踏み周期算出手段が算出した足踏み周期に基づいて、被験者の歩行周期を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本願に係る歩行解析装置は、足踏み周期及び歩行周期の間の関係を示す関係式を記録する関係式記録手段を備え、前記歩行周期算出手段は、前記足踏み周期算出手段が算出した足踏み周期を、前記関係式記録手段が記録した関係式に適用し、被験者の歩行周期を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本願に係る歩行解析装置は、前記角速度センサを二つ備え、各々の前記角速度センサが夫々検出した角速度を記録する角速度記録手段を備え、前記算出手段は、前記角速度記録手段が記録した各々の角速度における前記各境目の時点を夫々算出するようにしてあり、前記足踏み周期算出手段は、前記算出手段が夫々算出した各々の角速度における前記各境目の時点に基づいて、被験者の足踏み周期を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本願に係る歩行解析方法では、被験者の足踏み運動に伴う身体部位の動作に応じた角速度を検出する。検出した角速度の変動に基づいて、被験者の足踏み周期を算出し、算出した足踏み周期に基づいて被験者の歩行周期を算出する。
【0017】
本願に係る歩行解析方法では、検出した角速度における減少と増加との境目の時点、及び/又は検出した角速度の正負が反転する境目の時点に基づいて、被験者の足踏み周期を算出する。
【0018】
本願に係る歩行解析システムでは、角速度センサ、歩行解析装置、及び角速度センサが検出した角速度を信号として歩行解析装置に送信する送信手段を備えている。歩行解析装置は、送信手段が送信した信号を受信し、受信した信号が示す角速度の変動に基づいて、被験者の足踏み周期を算出する。また、歩行解析装置は、算出した被験者の足踏み周期に基づいて、被験者の歩行周期を算出する。
【0019】
本願に係る歩行解析システムでは、歩行解析装置は、送信手段が送信した信号が示す角速度における減少と増加との境目の時点、及び/又は送信手段が送信した信号が示す角速度の正負が反転する境目の時点に基づいて、足踏み周期を算出する。
【0020】
本願に係る歩行解析システムでは、歩行解析装置は、足踏み周期と歩行周期との間の関係式を記録する関係式記録手段を有している。歩行解析装置は、算出した足踏み周期を関係式記録手段が記録した関係式に適用し、被験者の歩行周期を算出する。
【0021】
本願に係る歩行解析システムでは、角速度センサを二つ備えている。送信手段は、各々の角速度センサが夫々検出した角速度を信号として歩行解析装置に送信する。歩行解析装置は、送信手段が送信した信号が示す各々の角速度を記録する角速度記録手段を有している。歩行解析装置は、角速度記録手段が記録した各々の角速度の変動に基づいて、被験者の足踏み周期を算出する。
【0022】
本願に係る歩行解析装置では、角速度センサが検出した角速度における減少と増加との境目の時点及び/又は角速度センサが検出した角速度の正負が反転する境目の時点を算出する。算出した各境目の時点に基づいて、被験者の歩行周期が算出される。
【0023】
本願に係る歩行解析装置では、算出した各境目の時点に基づいて、被験者の足踏み周期を算出する。算出した足踏み周期に基づいて、被験者の歩行周期が算出される。
る。
【0024】
本願に係る歩行解析装置では、足踏み周期と歩行周期との間の関係式を記録する関係式記録手段を備えている。算出した足踏み周期を関係式記録手段が記録した関係式に適用し、被験者の歩行周期が算出される。
【0025】
本願に係る歩行解析装置では、二つの角速度センサと、各々の角速度センサが夫々検出した角速度を記録する角速度記録手段とを備えている。角速度記録手段が記録した各々の角速度における各境目の時点が、夫々算出される。そして、夫々算出された各々の角速度における各境目の時点に基づいて、被験者の足踏み周期が算出される。
【発明の効果】
【0026】
本願に係る発明によれば、角速度センサを用いて歩行周期を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】歩行解析装置の構成を示すブロック図である。
【図2】足踏み周期と歩行周期との関係を示す説明図である。
【図3】足踏み動作の詳細を示す説明図である。
【図4】センサ部から出力された角速度波形を示す説明図である。
【図5】歩行解析装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】加速度センサから出力された加速度波形を示す説明図である。
【図7】歩行解析システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施例における歩行解析装置を、実施の形態を示す図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0029】
実施の形態1
実施の形態1は、本願に係る歩行解析装置を大腿部に装着し、外部の装置に歩行周期を出力する形態に関する。
【0030】
図1は、歩行解析装置1の構成を示すブロック図である。
歩行解析装置1は、センサ部2、信号生成回路部3、ROM(Read Only Memory)4、制御部5、RAM(Random Access Memory)6及び送信部7を含む。
【0031】
センサ部2は、右大腿部に装着される右大腿部角速度センサ21と、左大腿部に装着される左大腿部角速度センサ22とを含む。右大腿部角速度センサ21と左大腿部角速度センサ22とは同じ構成なので、ここでは右大腿部角速度センサ21について説明する。
なお、図1では、センサ部2の中に右大腿部角速度センサ21及び左大腿部角速度センサ22を便宜上描いているが、実際には右大腿部角速度センサ21及び左大腿部角速度センサ22は、夫々異なる小型筐体に格納されている。また、各々の小型筐体に、信号生成回路部3、ROM4、制御部5、RAM6及び送信部7が含まれる。
【0032】
右大腿部角速度センサ21は、互いに直交するx、y、z軸方向の角速度を検出する3個の角速度センサを備える。これらx、y、z軸方向は、夫々例えば直立不動状態の被験者から見た進行方向(Roll方向)、左右方向(Pitch方向)、上下方向(Yaw方向)である。右大腿部角速度センサ21は、これら3個の角速度センサにより、右大腿部角速度センサ21内部を貫通する回転軸の周りに回転する右大腿部の角速度を検出する。右大腿部角速度センサ21は、右大腿部を上方に持ち上げた場合に測定される角速度を正とし、右大腿部を下方に振り下ろした場合に測定される角速度を負とする。
なお、角速度センサは、1つの軸方向(例えばy軸方向)の角速度のみを検出するものであってもよい。
右大腿部角速度センサ21には、光ファイバジャイロセンサ、シリコン振動構造ジャイロセンサ、圧電振動ジャイロセンサ等のいずれを採用してもよい。
右大腿部角速度センサ21は、被験者の足踏み動作に伴う右大腿部の回転運動を角速度として検出し、検出した角速度をアナログの角速度波形信号として信号生成回路部3のフィルタ31に出力する。
【0033】
信号生成回路部3は、フィルタ31及びAD変換回路32を含む。フィルタ31は、センサ部2と接続され、センサ部2が検出したアナログの角速度波形信号を受け付ける。フィルタ31は、AD変換回路32によるAD変換に先立ち、ノイズをカットする。実施の形態1では、信号生成回路部3が生成する信号に基づき、制御部5が角速度波形の特徴点(例えば、振幅の極大点、極小点等)を算出することができればよい。そこで、フィルタ31は、例えばAD変換回路32のサンプリング周期を200Hzとし、遮断周波数が100Hzのローパスフィルタを備えている。フィルタ31は、ノイズをカットしたアナログの角速度波形信号をAD変換回路32に出力する。
【0034】
AD変換回路32は、アナログの角速度波形信号を受け付け、デジタルの角速度波形信号に変換して、RAM6の測定波形記録部61に出力する。なお、AD変換回路32は、デジタルの角速度波形信号を制御部5に出力してもよい。かかる場合、制御部5は、デジタルの角速度波形信号をリアルタイムで処理する。
【0035】
ROM4は、マスクROM、EPROM(Erasable and Programmable ROM)、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、制御部5が実行するプログラムを記録している。当該プログラムは、角速度波形の特徴点を抽出するプログラム、角速度波形の特徴点から足踏み周期を算出するプログラム、足踏み周期から歩行周期を算出するプログラム等を含む。
【0036】
また、ROM4は、足踏み周期と歩行周期との関係式41を記録している。
図2は、足踏み周期と歩行周期との関係を示す説明図である。図2の縦軸は歩行周期であり、横軸は足踏み周期である。図2は、複数の被験者を対象に測定した足踏み周期と歩行周期とを示している。足踏み周期は、歩行解析装置1により測定された。歩行周期は、腰部に装着した加速度センサを用いて測定された。足踏み周期と歩行周期との間には、相関係数として約0.77を示す強い相関関係が認められた。最小二乗法により足踏み周期と歩行周期との関係を直線近似した場合、式(1)が得られた。
Y=1.221X−0.1975・・・(1)
ただし、Xは足踏み周期であり、Yは歩行周期である。なお、足踏み周期と歩行周期との関係式は、2次式その他の近似式を用いて求めてもよい。
【0037】
制御部5は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)等であり、ROM4に記録されたプログラムを読み出し、当該プログラムを実行する。制御部5は、信号生成回路部3が出力した角速度波形を示すデータを測定波形記録部61から読み出す。制御部5は、読み出した角速度波形を示すデータに基づき、角速度波形の特徴点を抽出し、足踏み周期、歩行周期等を算出する。
制御部5は、算出した足踏み周期及び歩行周期をRAM6の周期記録部62に記録する。制御部5は、周期記録部62から足踏み周期及び歩行周期を読み出し、送信部7へ出力する。なお、制御部5は、算出した足踏み周期及び歩行周期を送信部7へ直接出力してもよい。
【0038】
RAM6は、制御部5による処理の過程で必要な作業変数、データ等を一時的に記録する。なお、RAM6は主記憶装置の一例であり、RAM6の代わりにフラッシュメモリ、メモリカード等が用いられてもよい。
RAM6は、測定波形記録部61及び周期記録部62を含む。測定波形記録部61は、センサ部2で検出され、信号生成回路部3で生成された角速度波形信号を受け付け、角速度波形を示すデータとして記録する。測定波形記録部61が一旦記録した角速度波形を示すデータは、制御部5により読み出される。
周期記録部62は、制御部5が算出した足踏み周期及び歩行周期を記録する。周期記録部62が記録した足踏み周期及び歩行周期は、制御部5により読み出され、送信部7に出力される。
なお、RAM6は、測定波形記録部61及び周期記録部62に区別されることなく、角速度波形を示すデータ、足踏み周期及び歩行周期を記録してもよい。
【0039】
送信部7は、外部の装置と通信可能な通信機器である。送信部7は、好ましくは微弱無線又はBluetooth(登録商標)の無線方式により外部の装置へデータを送信する。ただし、無線方式は、例えば公衆の無線方式であってもよいし、任意の無線方式であってもよい。また、送信部7は、有線方式の通信機器であってもよい。
送信部7は、周期記録部62が記録した足踏み周期及び歩行周期を受け付け、外部の装置へ送信する。
外部の装置は、例えば携帯電話機、通信機能を有するPDA(Personal Digital Assistant)、PC(Personal Computer)等である。
【0040】
なお、送信部7は、制御部5が算出した足踏み周期、歩行周期等のデータを外部の装置へ出力する手段の一例である。歩行解析装置1は、送信部7に代えて、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード等との接続インタフェースを備えてもよい。
また、歩行解析装置1に液晶画面、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の小型表示部を用意し、制御部5が算出した足踏み周期、歩行周期等のデータを当該小型表示部に表示してもよい。かかる場合、歩行解析装置1は、送信部7を含まなくてもよい。
【0041】
次に、歩行解析装置1の動作について説明する。
被験者は、左右の大腿部に夫々右大腿部角速度センサ21を含む歩行解析装置1と、左大腿部角速度センサ22を含む歩行解析装置1とを装着する。
各歩行解析装置1の左右の大腿部への装着は、例えば大腿部に巻き付けた伸縮自在なサポータに、歩行解析装置1の筐体に取り付けたクリップ、面ファスナテープ等で固定して行われる。歩行解析装置1の筐体は小型であり、被験者は普段と変わらない感覚で足踏み運動をすることができる。
【0042】
なお、歩行解析装置1を身体に装着する部位は、大腿部に限らない。足踏み周期を算出するために、身体部位の動作に応じた角速度波形の特徴点が検出できるのであれば、身体のどの部位に歩行解析装置1を装着してもよい。例えば、歩行解析装置1を装着する部位は、足首、手首等であってもよい。あるいは、被験者は歩行解析装置1を手のひらで握った状態で足踏み運動をしてもよい。
【0043】
被験者は、平らな場所で足踏み運動を開始する。右大腿部角速度センサ21及び左大腿部角速度センサ22は、夫々右大腿部及び左大腿部の角速度を検出する。右大腿部角速度センサ21及び左大腿部角速度センサ22は、検出した角速度をアナログの角速度波形信号として信号生成回路部3のフィルタ31に出力する。
【0044】
フィルタ31は、両足のアナログの角速度波形信号を受け付ける。フィルタ31は、アナログの角速度波形信号からノイズをカットし、AD変換回路32に出力する。AD変換回路32は、角速度波形信号をアナログからデジタルへ変換し、変換したデジタルの角速度波形信号を測定波形記録部61に出力する。測定波形記録部61は、角速度波形信号を受け付け、角速度波形を示すデジタルデータとして記録する。
【0045】
ここで、足踏み動作と角速度波形との関係を説明する。
図3は、足踏み動作の詳細を示す説明図である。図3の横軸は時間である。図3は、左から右へ向かって足踏み動作を行う被験者の姿勢変化を示している。aは左足が浮いた状態の左遊脚相、bは右足が浮いた状態の右遊脚相に対応する。
【0046】
図4は、センサ部2から出力された角速度波形を示す説明図である。図4Aは左大腿部角速度センサ22から出力された角速度波形を、図4Bは右大腿部角速度センサ21から出力された角速度波形を示している。図4A及び図4Bの横軸は時間であり、縦軸は角速度である。図4Aと図4Bとにおけるa及びbは、夫々左遊脚相、右遊脚相に対応する。
【0047】
右足の足底前面が接地した場合、衝撃により右大腿部の角速度は極小となる(図3のR1、図4BのR1)。その直後、反対の足である左足が離地し(左遊脚相のはじまり)、左大腿部が上方へ持ち上がる(図3のL2、図4AのL2)。図4AのL2に示すゼロクロス点は、左足を持ち上げはじめた時点を示す。
【0048】
左大腿部が持ち上がっている場合、右足はそれ一本で身体を支え立っている。このときの右大腿部角速度センサ21の角速度波形は、図4Bのaの期間の波形に対応する。
【0049】
図4AのL3のピークは、左大腿部が上方に持ち上がる際に最も速い速度で動作している状態を示す。図4AのL4に示すゼロクロス点は、左大腿部が最大に持ち上がった時点を示す。その後、持ち上げられた左大腿部が振り下ろされ、左足前面が接地した場合、左大腿部の角速度は極小となる(図3のL1、図4AのL1:左遊脚相の終わり)。
【0050】
その直後、右足が離地し(右遊脚相のはじまり)、右大腿部が上方へ持ち上がる(図3のR2、図4BのR2)。図4BのR2に示すゼロクロス点は、右足を持ち上げはじめた時点を示す。
【0051】
右大腿部が持ち上がっている場合、左足はそれ一本で身体を支え立っている。このときの左大腿部角速度センサ22の角速度波形は、図4Aのbの期間の波形に対応する。
【0052】
図4BのR3のピークは、右大腿部が上方に持ち上がる際に最も速い速度で動作している状態を示す。図4BのR4に示すゼロクロス点は、右大腿部が最大に持ち上がった時点を示す。その後、持ち上げられた右大腿部が振り降ろされ、右足前面が接地した場合、右大腿部の角速度は最小となる(図3のR1、図4BのR1:右遊脚相の終わり)。
【0053】
以上の足踏み動作が繰り返されることにより、右大腿部角速度センサ21及び左大腿部角速度センサ22の出力波形は、図4に示すパターンを繰り返す。
図4における極大点(R3、L3)、極小点(R1、L1)、ゼロクロス点(R2、R4、L2、L4)を示す各特徴点は、足踏み周期に従って周期的に現れる。そこで、これらの角速度波形の各特徴点が出現する時点に基づいて、足踏み周期を算出する。
具体的には、次の式(2)及び式(3)により左右の足の足踏み周期を夫々求め、式(4)により平均足踏み周期を算出する。
左足の足踏み周期=(左足の足底接地時点−左足を持ち上げはじめた時点)×サンプリング周期・・・(2)
=(図4AのL1の時点−図4AのL2の時点)×サンプリング周期
右足の足踏み周期=(右足の足底接地時点−右足を持ち上げはじめた時点)×サンプリング周期・・・(3)
=(図4BのR1の時点−図4BのR2の時点)×サンプリング周期
平均足踏み周期=(左足の足踏み周期+右足の足踏み周期)/2・・・(4)
つまり、右大腿部角速度センサ21及び左大腿部角速度センサ22の出力波形から特徴点を抽出し、特徴点が現れる時間間隔を算出することにより、足踏み周期を求めることができる。
【0054】
上記では、足踏み周期を左遊脚相、右遊脚相として算出している。しかし、足踏み周期は、両足で身体を支持している時間を左遊脚相、右遊脚相に加えたものであってもよい。例えば、図4AのL2から図4BのR2までを左足の足踏み周期としてもよい。また、例えば、図4BのR1から図4BのR1までを足踏み周期としてもよい。かかる場合、右大腿部角速度センサ21だけから足踏み周期を算出することができ、左大腿部角速度センサ22はなくてもよい。
【0055】
制御部5は、測定波形記録部61が記録した角速度波形を示すデータを読み出す。制御部5は、角速度の大きさの時間変化を調べ、左右の足について極大点、極小点及びゼロクロス点を抽出する。
【0056】
例えば、制御部5は、時系列順に角速度を読み出し、1サンプリング周期前の角速度との差を求める。制御部5は、求めた差から角速度が減少しているのか、又は増加しているのかを判定する。制御部5は、角速度が減少から増加に転ずる境目を検出し、この境目の時点を極小点の時点とする。同様に、制御部5は、角速度が増加から減少に転ずる境目を検出し、この境目の時点を極大点の時点とする。
【0057】
あるいは、制御部5は、角速度波形の極小点又は極大点を抽出する場合、角速度波形の接線の傾きに基づいて、極小点又は極大点を抽出してもよい。制御部5は時系列順に角速度を読み出し、1サンプリング周期前の角速度との差から1サンプリング周期における平均変化率を算出する。制御部5は、平均変化率が負から正に転ずる境目を検出し、この境目を極小点の時点とする。同様に、制御部5は、平均変化率が正から負に転ずる境目を検出し、この境目を極大点の時点とする。
【0058】
また、制御部5は、時系列順に角速度を読み出し、1サンプリング周期前の角速度との正負を比較する。制御部5は、角速度が負から正へ反転する境目、又は角速度が正から負へ反転する境目を検出し、これらの境目の時点をゼロクロス点の時点とする。
【0059】
左足と右足との角速度波形から独立に、これらの特徴点を抽出してもよいが、左足と右足との角速度波形を互いに参照して、これらの特徴点を抽出してもよい。例えば、図4においてR1の直後にL2が、L1の直後にR2が現れる規則性を、L2及びR2を抽出する際に利用してもよい。
図4におけるL3、L4、R3、R4は、上記の足踏み周期の算出には寄与しないが、これらの点も角速度波形を構成する特徴点であるため、L1、L2、R1、R2の抽出に利用してもよい。また、抽出したL1、L2、R1、R2をさらにL3、L4、R3、R4の抽出に利用してもよい。
【0060】
制御部5は、抽出したこれらの特徴点から左足及び右足の足踏み周期を算出する。制御部5は、算出した左足及び右足の足踏み周期の平均値を算出し、この平均値を足踏み周期とする。
【0061】
足踏み運動は複数回(例えば、20回)行われる。制御部5は、上記の各周期を足踏み運動の回数だけ繰り返し算出し、平均値を算出する。足踏み周期の測定を複数回繰り返し行い、データを増やすことにより、測定値の信頼性が向上する。
制御部5は、左足の足踏み周期、右足の足踏み周期及び左足と右足との足踏み周期の平均値を周期記録部62に記録する。
【0062】
制御部5は、ROM4から式(1)を読み出す。制御部5は、足踏み周期と式(1)とから、歩行周期を算出し、周期記録部62に記録する。
制御部5は、左足の足踏み周期、右足の足踏み周期、左足と右足との足踏み周期の平均値及び歩行周期を周期記録部62から読み出す。制御部5は、送信部7を介して、読み出した左足の足踏み周期、右足の足踏み周期、足踏み周期及び歩行周期を外部の装置に出力する。
外部の装置は、受け付けた各周期を所定の手段により表示、印刷等を行う。
【0063】
図5は、歩行解析装置1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
右大腿部角速度センサ21及び左大腿部角速度センサ22は、夫々右大腿部及び左大腿部の角速度を検出し、アナログの角速度波形信号として信号生成回路部3のフィルタ31に出力する(ステップS101)。フィルタ31は、受け付けたアナログの角速度波形信号からノイズをカットし、AD変換回路32に出力する(ステップS102)。AD変換回路32は、ノイズがカットされた角速度波形信号をアナログからデジタルへ変換し、測定波形記録部61に出力する(ステップS103)。測定波形記録部61は、デジタル変換された角速度波形を示すデータを記録する(ステップS104)。
【0064】
制御部5は、測定波形記録部61から角速度波形を示すデータを読み出す(ステップS105)。制御部5は、角速度の時間変化から、両足の極大点、極小点及びゼロクロス点を抽出する(ステップS106)。制御部5は、抽出した極大点、極小点及びゼロクロス点から両足の足踏み周期を算出する(ステップS107)。制御部5は、両足の足踏み周期から平均足踏み周期を算出する(ステップS108)。制御部5は、ROM4から式(1)の関係式41を読み出す(ステップS109)。制御部5は、ステップS108で算出した平均足踏み周期を、ステップS109で読み出した関係式41に適用して歩行周期を算出し(ステップS110)、処理を終える。
【0065】
実施の形態1では、角速度センサを右大腿部及び左大腿部の両足に装着した。しかし、右大腿部角速度センサ21又は左大腿部角速度センサ22のいずれか一つのみを装着し、右大腿部又は左大腿部の角速度波形から、角速度波形の特徴点を抽出して足踏み周期を算出してもよい。
【0066】
歩行解析装置1によれば、角速度センサが測定した足踏み周期に基づいて、歩行周期を算出することができる。足踏み運動は、歩行運動と異なり、狭い空間であっても動作が可能である。そのため、例えば家庭の狭い空間であっても足踏み運動をするだけで、歩行周期を算出することができる。
【0067】
歩行解析装置1によれば、角速度センサが測定した大腿部の角速度波形から、足踏み周期を算出するための特徴点を容易に抽出することができる。角速度波形の極大点、極小点及びゼロクロス点は性質が明確であるため、制御部5はこれらの特徴点を高精度で、短時間に又はリアルタイムで抽出することができる。
【0068】
歩行解析装置1によれば、足踏み周期を、式(1)に適用し、歩行周期を算出することができる。式(1)は簡潔であり、歩行解析装置1は歩行周期を算出するために複雑な解析を必要としない。
【0069】
図6は、加速度センサから出力された加速度波形を示す説明図である。図6Aは、足踏み運動をする被験者の右大腿部に装着した加速度センサから出力された加速度波形を示す。図6Bは、足踏み運動をする被験者の左大腿部に装着した加速度センサから出力された加速度波形を示す。図6A及び図6Bの横軸は時間であり、縦軸は電気信号に変換された大腿部の加速度である。
【0070】
図6の加速度波形は、図4の角速度波形に比べて遙かに複雑であり、図6からどのピークが足踏み動作のどのような動きと対応しているのか判別することは困難である。複数の被験者から得られた加速度のサンプル波形の振幅、周期などに基づいて特徴点を抽出するための閾値を予め定めるとしても、当該閾値の設定は困難である。加速度波形から足踏み動作の切り分けを正確に行うためには、他にビデオ映像、角速度センサ等を併用した測定が必要となる。そのため、足踏み周期を簡易な環境で測定する上で、加速度センサの使用は得策ではない。
なお、足踏み周期の特徴点を抽出するに際し、加速度センサ及び角速度センサを併用してもよい。
【0071】
歩行解析装置1によれば、センサ部2は左右の足に夫々装着する角速度センサを2つ備えている。これらにより、左足の足踏み周期及び右足の足踏み周期を夫々求め、平均値としての足踏み周期を算出することができる。左足の足踏み周期及び右足の足踏み周期は、被験者によって同一ではないので、角速度センサを2つ備えることにより、より信頼性の高い足踏み周期を取得することができる。
【0072】
歩行解析装置1によれば、左右の足の角速度波形を互いに参照し合うことにより、特徴点の抽出精度が向上する。従って、角速度波形に個人差に起因する複雑さが現れる場合であっても、制御部5は確実に角速度波形から特徴点を抽出することができる。
【0073】
歩行解析装置1は、単体のパーソナルヘルスケア機器として実施することができる。あるいは、健康関連測定機器に歩行解析装置1の構成部を組み込んでもよい。例えば、歩数計に歩行解析装置1の構成部を組み込むことで、歩行周期算出装置として使用可能な歩数計とすることができる。
【0074】
実施の形態2
実施の形態2は、被験者が装着する角速度センサと、歩行周期を算出する歩行解析装置とを含む歩行解析システムに関する。
【0075】
角速度センサには、測定データを角速度センサ本体に蓄積するメモリを搭載したもの、測定データを外部の装置に送信する無線モジュールを搭載したもの等がある。実施の形態2に係る角速度センサは、無線モジュールを搭載したタイプに該当する。
【0076】
外部の装置と連携してリアルタイムに角速度を測定する場合、足踏み運動の妨げにならないように、外部の装置と接続する接続ケーブルを必要としない、無線モジュールを搭載した角速度センサが好ましい。かかる場合、被験者は角速度の測定中であることを意識することなく自由に足踏み動作をすることができるので、被験者の意識に影響されない角速度の測定が可能である。被験者は、角速度センサを装着した後、普段通りの歩き方に近い足踏み運動をすることができる。また、足踏み運動に伴う角速度の測定は、平坦な場所であれば狭い空間であっても、場所を選ばずに実施可能である。
【0077】
図7は、歩行解析システムの構成を示すブロック図である。歩行解析システムは、角速度センサ20と歩行解析装置10とを含む。角速度センサ20と歩行解析装置10とは、通信網Nを介して接続されている。通信網Nは、角速度センサ20から無線信号を受け付ける無線アクセスポイント(図示せず)を含む。無線アクセスポイントは、受け付けた無線信号に係るデータを歩行解析装置10に送信する。無線アクセスポイントと歩行解析装置10との間の通信網Nは、例えばLAN(Local Area Network)、専用回線、電話回線、インターネット、衛星通信等であり、無線か有線かを問わない。
なお、角速度センサ20と歩行解析装置10とは、通信網Nを介さずに直接無線通信により接続されてもよい。
【0078】
角速度センサ20は、右大腿部角速度センサ21、左大腿部角速度センサ22、信号生成回路部3及び送信部70を含む。右大腿部角速度センサ21、信号生成回路部3及び送信部70、並びに左大腿部角速度センサ22、信号生成回路部3及び送信部70は、夫々一つの小型筐体に格納されている。
【0079】
送信部70は、通信網Nの無線アクセスポイントと通信可能な無線通信機器であり、例えばBluetooth(登録商標)規格、無線LAN規格等のモジュールである。送信部70は、信号生成回路部3によりデジタル化された角速度波形信号を歩行解析装置10に送信する。
【0080】
歩行解析装置10は、例えば携帯電話機、通信機能を有するPDA、PC等である。歩行解析装置10は、受信部8、ROM4、制御部5、RAM6及び表示部9を含む。歩行解析装置10が備える受信部8及び表示部9以外の構成部は、実施の形態1の歩行解析装置1に対応する各構成部と同じである。
受信部8は、通信網Nを介して角速度センサ20からデジタルの角速度波形信号を受信し、角速度波形を示すデータとしてRAM6に記録する。
表示部9は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であり、制御部5の命令により情報を表示する。
【0081】
次に、歩行解析システムの動作について説明する。
被験者は、左右の大腿部に夫々左大腿部角速度センサ22を含む角速度センサ20と、右大腿部角速度センサ21を含む角速度センサ20とを装着する。
なお、角速度センサ20を身体に装着する部位は、大腿部に限らない。足踏み周期を算出するために、身体部位の動作に応じた角速度波形の特徴点が検出できるのであれば、身体のどの部位に角速度センサ20を装着してもよい。例えば、角速度センサ20を装着する部位は、足首、手首等であってもよい。
【0082】
被験者は、平らな場所で足踏み動作を開始する。右大腿部角速度センサ21及び左大腿部角速度センサ22は、夫々右大腿部及び左大腿部の角速度を検出する。右大腿部角速度センサ21及び左大腿部角速度センサ22は、夫々検出した角速度をアナログの角速度波形信号として信号生成回路3に出力する。信号生成回路3は、受け付けたアナログの角速度波形信号についてノイズをカットし、デジタル変換して、送信部70に出力する。送信部70は、通信網Nを介して、デジタルの角速度波形信号を歩行解析装置10に送信する。
【0083】
歩行解析装置10の受信部8は、通信網Nを介して、デジタルの角速度波形信号を受信し、当該信号に基づいて角速度波形を示すデータをRAM6に記録する。
制御部5は、RAM6から角速度波形を示すデータを読み出し、左右の足について角速度波形の特徴点を抽出する。制御部5は、抽出した特徴点に基づいて、左足の足踏み周期、右足の足踏み周期、平均の足踏み周期及び歩行周期を算出し、RAM6に記録する。制御部5は算出した各周期を表示部9に表示する。
【0084】
実施の形態2に係る歩行解析システムによれば、実施の形態1に係る歩行解析装置1と同様の効果を奏することができる。また、歩行解析システムによれば、被験者に装着される角速度センサ20は、歩行周期等を算出する歩行解析装置10と分離されている。そのため、角速度センサ20は簡便な構成からなり、より低コスト、軽量化を実現する。
【0085】
歩行解析システムの歩行解析装置10は、家庭に設置されてもよいし、医療機関に設置されてもよい。あるいは、歩行解析システムの歩行解析装置10は、その他の場所に設置されてもよい。例えば、歩行解析装置10が医療機関のPCである場合、角速度センサ20を装着した被験者が在宅で足踏みをするだけで、医療機関にいる医療関係者は被験者の歩行周期を知ることができる。
【0086】
歩行解析システムの角速度センサ20は、両足に装着する右大腿部角速度センサ21と左大腿部角速度センサ22とを備えている。右大腿部角速度センサ21と左大腿部角速度センサ22とが検出する角速度波形からは、左右の足の足踏み周期だけでなく、足の上げ角度、両足で立っている時間、片足で立っている時間等も算出することができる。そこで、制御部5はRAM6に記録された角速度波形から足の上げ角度、両足で立っている時間、片足で立っている時間等を算出し、表示部9に出力してもよい。これにより、実施の形態2に係る歩行解析システムは、左右の足のバランスをより正確に診るための情報を提供することができる。
【0087】
実施の形態2は以上の如きであり、その他は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0088】
1、10 歩行解析装置
2 センサ部
20 角速度センサ
21 右大腿部角速度センサ
22 左大腿部角速度センサ
5 制御部
70 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の身体部位の動作に応じた角速度を検出し、
検出した角速度から、被験者の歩行周期を算出する歩行解析方法において、
被験者の足踏み運動に伴う身体部位の動作に応じた角速度を検出し、
検出した角速度の変動に基づいて、被験者の足踏み周期を算出し、
算出した足踏み周期に基づいて、被験者の歩行周期を算出する
ことを特徴とする歩行解析方法。
【請求項2】
被験者の足踏み周期を算出するに際し、
検出した角速度における減少と増加との境目の時点、及び/又は検出した該角速度の正負が反転する境目の時点に基づいて、被験者の足踏み周期を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の歩行解析方法。
【請求項3】
被験者の身体部位の動作に応じた角速度を検出する角速度センサと、
該角速度センサを装着した被験者の歩行周期を算出する歩行解析装置と、
前記角速度センサが検出した角速度を信号として前記歩行解析装置に送信する送信手段と
を備え、
前記歩行解析装置は、前記送信手段が送信した信号を受信し、受信した信号から被験者の歩行周期を算出するようにしてある歩行解析システムにおいて、
前記歩行解析装置は、
前記信号が示す角速度の変動に基づいて、被験者の足踏み周期を算出する足踏み周期算出手段と、
該足踏み周期算出手段が算出した足踏み周期に基づいて、被験者の歩行周期を算出する歩行周期算出手段と
を有する
ことを特徴とする歩行解析システム。
【請求項4】
前記足踏み周期算出手段は、
前記信号が示す角速度における減少と増加との境目の時点、及び/又は該角速度の正負が反転する境目の時点に基づいて、被験者の足踏み周期を算出するようにしてある
ことを特徴とする請求項3に記載の歩行解析システム。
【請求項5】
前記歩行解析装置は、
足踏み周期及び歩行周期の間の関係を示す関係式を記録する関係式記録手段
を有し、
前記歩行周期算出手段は、
前記足踏み周期算出手段が算出した足踏み周期を、前記関係式記録手段が記録した関係式に適用し、被験者の歩行周期を算出するようにしてある
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の歩行解析システム。
【請求項6】
前記角速度センサを二つ備え、
前記送信手段は、
各々の前記角速度センサが夫々検出した角速度を信号として前記歩行解析装置に送信するようにしてあり、
前記歩行解析装置は、
前記信号が示す各々の角速度を記録する角速度記録手段
を有し、
前記足踏み周期算出手段は、
前記角速度記録手段が記録した各々の角速度の変動に基づいて、被験者の足踏み周期を算出するようにしてある
ことを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載の歩行解析システム。
【請求項7】
角速度を検出する角速度センサ
を備え、
該角速度センサが検出した角速度に基づいて、被験者の歩行周期を算出する歩行解析装置において、
前記角速度センサが検出した角速度における減少と増加との境目の時点、及び/又は該角速度の正負が反転する境目の時点を算出する算出手段と、
該算出手段が算出した各境目の時点に基づいて、被験者の歩行周期を算出する歩行周期算出手段と
を備える
ことを特徴とする歩行解析装置。
【請求項8】
前記歩行周期算出手段は、
前記算出手段が算出した各境目の時点に基づいて、被験者の足踏み周期を算出する足踏み周期算出手段
を有し、
該足踏み周期算出手段が算出した足踏み周期に基づいて、被験者の歩行周期を算出するようにしてある
ことを特徴とする請求項7に記載の歩行解析装置。
【請求項9】
足踏み周期及び歩行周期の間の関係を示す関係式を記録する関係式記録手段
を備え、
前記歩行周期算出手段は、
前記足踏み周期算出手段が算出した足踏み周期を、前記関係式記録手段が記録した関係式に適用し、被験者の歩行周期を算出するようにしてある
ことを特徴とする請求項8に記載の歩行解析装置。
【請求項10】
前記角速度センサを二つ備え、
各々の前記角速度センサが夫々検出した角速度を記録する角速度記録手段
を備え、
前記算出手段は、
前記角速度記録手段が記録した各々の角速度における前記各境目の時点を夫々算出するようにしてあり、
前記足踏み周期算出手段は、
前記算出手段が夫々算出した各々の角速度における前記各境目の時点に基づいて、被験者の足踏み周期を算出するようにしてある
ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の歩行解析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−250945(P2011−250945A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126093(P2010−126093)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】