説明

歩行運動機能強化履物

【課題】 健康増進のために、少ない時間で効果的に運動をすることが可能な履物を提供する。
【解決手段】 使用者の一方の足が当接可能な足裏面部材(10)と、接地面部材(20)と、接地面部材(20)および足裏面部材(10)が接近するにつれて、つま先側の略中央部を中心として相互に回転可能とする回転機構とを備える。さらに、回転機構は、螺旋状スプリング(31)と、足裏面部材(10)および接地面部材(20)の両方にそれぞれ固定され、傾斜面で相互に当接する摺動面部材(32)、(33)とを有し、足裏面部材(10)と接地面部材(20)との間隔、および、足裏面部材(10)と接地面部材(20)とが平面視でなす角度が、加わる荷重にそれぞれ比例することが望ましい。2つの歩行運動機能強化履物は、左右の両方の足に履くことが可能で、回転方向が相互に反対である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物に関し、特に、歩行運動機能強化に特化した履物に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人は、歩行量が不足しがちである。
【0003】
歩行量の不足は、疲れやすい体質を作り、血流の滞りの原因となり、さらに、抗重力筋の衰えを招き、特に、脚の筋肉により静脈血を心臓へ送る働きが低下することにより、心臓の負担が増加して、心肺機能が低下することになる。また、人間の神経は、絶えず刺激していないと、筋肉の運動機能や、関節の伸縮機能が低下しやすいので、歩行量の不足が、これらの機能低下を招き、疲れやすい体質を作り、つまずいたり、転びやすくなる。さらに、歩行量の不足により、消化吸収力が低下したり、酸素不足により脳機能を鈍化させて、老化現象を加速させる。
【0004】
以上のような傾向を、かつては「老化は脚から」という表現で戒めていた。
【0005】
最近は、生活習慣病の対策や、老化現象の予防のために、ウオーキングがブームであるが、日常生活に起因する制約や、時間的余裕の不足、正しい認識の不足による誤った方法の選択、不適切な靴の選択のためや、あるいは、疲労により継続意欲が欠如するなど、なかなか効果的に歩行量を得られないという問題があった。
【0006】
また、歩き方にも問題がある。すなわち、足の裏において、体重を支える部分が、着地するかかとから、土踏まずの横を通り、親指に至るように歩くことにより、全身の筋肉に無理な負担をかけないで済む。しかし、体重を支える部分が、親指ではなく、小指に移動するような歩き方をする若年者が増え、外反拇指になったり、筋肉や骨に異常な負担がかかるようになり、歩くことが却って健康を損なうことになるという問題もあった。
【0007】
運動器具としては、天候に左右されず、公害などの被害を受けないように、夜間にもでき、途中で終了することができるように、例えば特許第3509930号公報には、室内で運動を可能とする器具が記載されている。あるいは、特開2005−124688号公報には、つま先の下側を中心として回転させ、大腿部の内転筋群を刺激する履き物が記載されている。
【0008】
しかし、必要な歩行量を得るためには、ある程度の時間が必要であるという問題から、慢性的な歩行量の不足は解消されていなかった。
【0009】
【特許文献1】特許第3509930号公報
【0010】
【特許文献2】特開2005−124688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、健康増進のために、少ない時間で効果的に運動をすることが可能な履物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の歩行運動機能強化履物は、使用者の一方の足が当接可能な足裏面部材と、接地面部材と、該足裏面部材および接地面部材を接続し、かつ、該接地面部材および足裏面部材が接近するにつれて、つま先側の略中央部を中心として相互に回転可能とする回転機構とを備える。
【0013】
さらに、前記回転機構は、螺旋状スプリングと、前記足裏面部材および前記接地面部材の両方にそれぞれ固定され、傾斜面で相互に当接する摺動面部材とを有し、前記足裏面部材と前記接地面部材との間隔、および、前記足裏面部材と前記接地面部材とが平面視でなす角度が、加わる荷重にそれぞれ比例することが望ましい。
【0014】
本発明の履物セットは、左右の両方の足に履くことが可能で、回転方向が相互に反対である2つの前記歩行運動機能強化履物からなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、少ない時間で効果的に運動をすることが可能となった。
【0016】
大腿部の内転筋群を強靱となるように鍛えることにより、エネルギーの消費を増やし、皮下脂肪などを燃焼させて、皮下脂肪や内臓脂肪の蓄積を防ぎ、筋肉を引き締めて、健康的かつ、スリムな体型を得ることができるという効果を得られる。
【0017】
また、歩行の際に、螺旋状スプリングがアスファルトやセメントコンクリートなどの堅い地面の上を歩く際の衝撃吸収として働き、脳や神経への影響を最小とすることが可能である。このような衝撃吸収は、過労気味の現代人には、特に効果的である。
【0018】
さらに、歩行の際に、螺旋状スプリングの反発力が、長時間の歩行でも疲れにくくして、適切な歩行を促すことになり、運動機能を増強する。
【0019】
このように、少ない時間で運動量を多くすることができ、産業全般の人的資源を有効に活用することができるようになり、産業社会に大きく貢献することができる。
【0020】
さらに、通常の歩行とは異なることから、歩行に精神を集中させることになり、脳内でセロトニンが多量に分泌される。セロトニンの増加は、免疫力の増加にもなるので、全身の機能向上にもつながるという追加効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の歩行運動機能強化履物の一実施例を示す断面斜視図である。本発明の歩行運動機能強化履物は、足を包む運動靴、鼻緒を備えた下駄または草履、および、つま先を帯状に包むサンダルのいずれでもよく、図面では、足の上側にあたる部分の図示を省略している。
【0022】
本発明の歩行運動機能強化履物は、使用者の一方の足が当接可能な足裏面部材(10)と、接地面部材(20)と、接地面部材(20)および足裏面部材(10)が接近するにつれて、つま先側の略中央部を中心として相互に回転可能とする回転機構とを備える。回転機構は、螺旋状スプリング(31)と、足裏面部材(10)および接地面部材(20)の両方にそれぞれ固定され、傾斜面で相互に当接する摺動面部材(32)、(33)とを有し、足裏面部材(10)と接地面部材(20)との間隔、および、足裏面部材(10)と接地面部材(20)とが平面視でなす角度が、加わる荷重にそれぞれ比例する。回転角度は、捻挫や転倒の危険性を伴わない程度に、調整する。
【0023】
本発明の歩行運動機能強化履物は、以下のように使用する。図1に示した本発明の歩行運動機能強化履物と、これと対称的な構造を有する異なる歩行運動機能強化履物を、それぞれ左右の足に履いて、歩行する。
【0024】
図2は、図1に示した本発明の歩行運動機能強化履物の自由状態を示す斜視図である。図3は、図1に示した本発明の歩行運動機能強化履物に荷重の加わった状態を示す斜視図である。
【0025】
踏み込んでいる間だけ、かかとが左右に移動するので、股関節を挟んで、大腿骨と恥骨とを連結する内転筋群を刺激することができて、エネルギーの消費を増大させることができる。
【0026】
また、前述のように、足の裏において、体重の重心を小指で支えるように歩く悪癖に対しては、踏み込む際にかかとが内側に移動するように履き替えると、正しく歩けるようになり、正しい歩行姿勢を得ることができる。
【0027】
さらに、坂道を登る際の「常足(なみあし)」と呼ばれる歩行方法を、自然にさせることができたり、坂道を下る際には、踏み込む際にかかとが外側に移動するように履き替えて使用することにより、坂道を下る場合に、疲労しにくく、歩行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の歩行運動機能強化履物の一実施例を示す断面斜視図である。
【図2】図1に示した本発明の歩行運動機能強化履物の自由状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示した本発明の歩行運動機能強化履物に荷重の加わった状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
10 足裏面部材
20 接地面部材
31 螺旋状スプリング
32、33 摺動面部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の一方の足が当接可能な足裏面部材と、接地面部材と、該足裏面部材および接地面部材を接続し、かつ、該接地面部材および足裏面部材が接近するにつれて、つま先側の略中央部を中心として相互に回転可能とする回転機構とを備えることを特徴とする歩行運動機能強化履物。
【請求項2】
前記回転機構は、螺旋状スプリングと、前記足裏面部材および前記接地面部材の両方にそれぞれ固定され、傾斜面で相互に当接する摺動面部材とを有し、前記足裏面部材と前記接地面部材との間隔、および、前記足裏面部材と前記接地面部材とが平面視でなす角度が、加わる荷重にそれぞれ比例することを特徴とする請求項1に記載の歩行運動機能強化履物。
【請求項3】
請求項1または2に記載され、左右の両方の足に履くことが可能で、回転方向が相互に反対である2つの歩行運動機能強化履物からなる履物セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−14398(P2007−14398A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196195(P2005−196195)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(594172318)
【Fターム(参考)】