説明

歪ゲージとロードセル。

【課題】太いリード線を直接半田付けしても、リード線接続用タブがベースフィルムから剥がれない歪ゲージとロードセルの提供。
【解決手段】
ベースフィルム21と、ベースフィルム21上に設けられた歪受感素子22及び接続タブ(23,24)を有する金属箔パターン200と、金属箔パターン200を歪受感素子を覆うカバーフィルム25と、を備えた歪ゲージ20において、カバーフィルム25は、接続タブ(23,24)を覆う位置まで延設されるとともに、接続タブ(23,24)の位置に接続タブ23よりも小さい孔(26,27)が形成され、孔(26,27)を介して接続タブ(23,24)が露出されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起歪体に発生する歪を測定する歪ゲージに係り、特にベースフィルム上に設けたリード線接続タブを含む金属箔パターンをカバーフィルムで被覆した歪ゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
歪ゲージは、起歪体に形成した薄肉部に貼付して荷重を負荷し、前記起歪体と共に変形した際に歪受感素子に発生する電気抵抗の変化から荷重を計測可能にするものである。
【0003】
一般に特許文献1のような歪ゲージは、合成樹脂等で形成したベース11上に金属箔を熱硬化型の接着剤で接着し、前記金属箔をエッチング処理することにより、ゲージ素子12(歪受感素子)やリード線接続用端部12a(タブ)の形状パターンをベース11上に形成することによって構成される。また、ベース11とゲージ素子12には、上から被せたカバーフィルム13を接着して保護する一方、端部12aについては、リード線14を接続するため、カバーフィルム13から露出させる構成になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−251704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の端部12aは、厚さが数ミクロン程度と薄く、ゲージ端子12のようにカバーフィルム13によってベース11に補助的に貼付けられていないため、一般的な太いリード線14(例えばφ0.3〜0.6mm程度の被服導線)を半田付けすると、過度の熱を加えられて図6に示すようにベース11から剥がれることがあった。特に、サイズの小さな歪ゲージは、端部12a自体が極めて小さいため、熱によって剥がれやすい。従って、サイズが小さい端部12aには、半田付けの際に高熱を発生する太いリード線を直接半田付け出来ない問題があった。
【0006】
そこで端部12aの剥離を防止しつつ、小さな端部12aに上述したような太いリード線を接続する場合には、間に中継用FPC基板(フレキシブルプリント基板)を介在させていた。即ち、太いリード線14は、端部12aに直接接続されずに前記中継用FPC基板(図示せず)の回路に接続され、歪ゲージの端部12aは、半田付けによる熱が小さくなる細いリード線(たとえばφ0.1mm程度の単線)で前記回路に接続されることにより、端部12aは、ベース11から剥がれることなく太いリード線14に接続されていた。
【0007】
しかし、中継用のFPC基板を用意することは、部品点数の増加とコストアップに繋がるため、一般的な太いリード線は、端部12aをベース11から剥離させることなく、直接端部12aに半田付けされることが望ましい。
【0008】
本願発明は、上記した問題に鑑みてなされたものであり、一般的な太いリード線をサイズが小さな歪ゲージのリード線接続タブ(ゲージ素子の端部)に直接半田付けしても、前記接続タブがベースフィルムから剥がれない歪ゲージとロードセルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の歪ゲージは、ベースフィルムと、該ベースフィルム上に設けられた歪受感素子及び接続タブを有する金属箔パターンと、前記金属箔パターンの歪受感素子を覆うカバーフィルムと、を備えた歪ゲージにおいて、前記カバーフィルムは、前記接続タブを覆う位置まで延設されるとともに、前記接続タブの位置に前記接続タブよりも小さい孔が形成され、該孔を介して前記接続タブが露出されるようにした。
【0010】
(作用)カバーフィルムの接続タブの位置に該接続タブよりも小さい孔が形成されているので、接続タブは、孔の全周においてカバーフィルムによって押さえられている。
【0011】
請求項2は、請求項1の歪ゲージにおいて、前記金属箔パターンは、前記歪受感素子の抵抗値を調整する抵抗値調整部を有し、前記カバーフィルムは、前記抵抗値調整部を覆う位置まで延設されるとともに、前記抵抗値調整部の位置に抵抗値調整用孔が形成され、該抵抗値調整用孔を介して前記抵抗値調整部が露出されるようにした。
【0012】
(作用)カバーフィルムには、抵抗値調整用孔が形成され、金属箔パターンの抵抗値調整部が前記抵抗値調整用孔から露出する。金属箔パターンの抵抗値は、抵抗値調整部を加工(短絡やカット等)する作業を抵抗値調整用孔の内部で行うことによって調整される。
【0013】
請求項3は、請求項2の歪ゲージにおいて、前記抵抗値調整部は、並列に接続された複数の導電路と、該導電路ごとに設けられ、短絡させることによって前記導電路を導通させる一対の短絡用端子とを備え、前記一対の短絡用端子ごとに前記抵抗値調整用孔が設けられ、該抵抗値調整用孔を介して前記一対の短絡用端子が露出されるようにした。
【0014】
(作用)抵抗値調整用孔のうち一つに半田などを流し込むことにより、長さの異なる複数の導電路のうち一つが導通されて、抵抗値調整用孔の外部に影響を与えることなく金属箔パターンの抵抗値が調整される。
【0015】
請求項4は、請求項2に記載の歪ゲージにおいて、前記抵抗値調整部は、並列に接続されるとともに、少なくともその一つを切断することによって前記抵抗値が調整される複数の導電路を備え、前記導電路ごとに前記抵抗値調整用孔が設けられ、該抵抗値調整用孔を介して導電路が露出されるようにした。
【0016】
(作用)複数の導電路のうち一本を残し、他の導電路を抵抗値調整用孔の内部で切断することにより、抵抗値調整用孔の外部に影響を与えることなく抵抗値が調整される。
【0017】
請求項5は、請求項1〜4のいずれか1に記載の歪ゲージにおいて、前記孔をレーザー加工によって形成した。
【0018】
(作用)レーザー加工によって孔を形成した場合には、孔の位置及び大きさの精度が向上する。
【0019】
請求項6は、請求項1〜5のいずれか1に記載の歪ゲージが起歪部に取り付けられた起歪体と、前記歪ゲージの前記孔に挿通されて前記接続タブに接続されたリード線とを備えるロードセルを構成した。
【0020】
(作用)リード線を接続しても接続タブの浮き上がりがないので、歪ゲージを起歪体に取り付けたロードセルの故障が少ない。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の歪ゲージによれば、カバーフィルムの接続タブの位置に該接続タブよりも小さい孔が形成されているので、接続タブは、孔の全周においてカバーフィルムによって押さえられている。従って、接続タブの露出部分(即ち、孔の内部の接続タブ)にリード線などを半田付けした場合、接続タブが孔の周囲のカバーフィルムに押さえられているので、接続タブが浮き上がることを防止することが出来る。
【0022】
請求項2の歪ゲージによれば、カバーフィルムに抵抗値調整用孔が形成され、この抵抗値調整用孔を介して金属箔パターンの抵抗値調整部が露出されている。従って、抵抗値調整部に半田付けやカットなどの加工を施す際、抵抗値調整用孔の内部で作業を行うことになり、周囲への影響を最小限に抑えることが出来る。これにより、非常に細かい作業である抵抗値調整作業を比較的容易に行うことが出来る。
【0023】
請求項3の歪ゲージによれば、一対の短絡用端子ごとに抵抗値調整用孔が設けられており、この抵抗値調整用孔に半田などを流し込むことによって導電路が導通されて、抵抗値が調整される。その際、半田などが抵抗値調整用孔の外部に拡がりにくいので、作業を容易且つ正確に行うことが出来る。
【0024】
請求項4の歪ゲージによれば、複数の導電路ごとに抵抗値調整用孔が設けられ、この抵抗値調整用孔の内部で導電路を切断することによって抵抗値が調整される。その際、抵抗値調整用孔の外部を切断するおそれがないので、作業ミスを無くすことが出来る。
【0025】
請求項5の歪ゲージによれば、レーザー加工によって孔が形成されるので、孔の位置及び大きさの精度が良く、孔が接続タブの位置からずれたり、孔が接続タブからはみ出したりすることを防止できる。これにより、接続タブの浮き上がりを確実に防止することが出来る。
【0026】
請求項6の歪ゲージによれば、請求項1〜5の歪ゲージと起歪体とリード線とによってロードセルが構成されている。請求項1〜5の歪ゲージは、リード線を接続した場合であっても、接続タブの浮き上がりがないので、歪ゲージを起歪体に取り付けてロードセルを組み立てた際の故障が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る歪ゲージの第1実施例の平面図。
【図2】図1のI−I分解断面図。
【図3】本発明に係る歪ゲージの第2実施例の平面図。
【図4】本発明に係る歪ゲージの第3実施例の平面図。
【図5】第1実施例の歪ゲージを貼付けたロードセル起歪体の斜視図。
【図6】従来技術に掛かる歪ゲージの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず、図1と2によって第1実施例の歪ゲージを説明する。図1は、実施例1の歪ゲージ20の平面図であり、カバーフィルム25が透明な状態を示している。図2は、歪ゲージ20の分解図であり、図1のI−I線に沿う断面を示している。尚、図2は、厚み方向に拡大して示している。実施例1の歪ゲージ20は、ベースフィルム21の上に、歪受感素子22と、リード線の接続タブ(23,24)を設け、その上にカバーフィルム25を設けることで構成されている。
【0029】
四角形のベースフィルム21は、例えばポリイミド等の樹脂で形成し、厚さを20数ミクロン程度とする。歪受感素子22とリード線接続タブ(23,24)は、金属箔パターン200として以下のような手順でベースフィルム21上に一体形成する。まず、素材となる金属箔を熱硬化型の接着剤を挟んでベースフィルム21上に載せ、圧力と熱をかけて前記金属箔をベースフィルム21に接着する。受感素子22とタブ(23,24)の金属箔パターンは、金属箔上に感光剤を塗布し、受感素子22とタブ(23,24)のパターン形状を施したマスクをしながら光を当てて感光剤を前記パターン形状に硬化させ、パターン形状以外の金属箔をエッチングで取りのぞいて形成される。
【0030】
金属箔パターン200を形成したベースフィルム21の上には、熱硬化型接着剤を挟んでカバーフィルム25を載せる。四角形でベースフィルム21と略同じ大きさであるカバーフィルム25は、例えばポリイミド等の樹脂で形成し、厚さを10数ミクロン程度とする。カバーフィルム25には、カバーフィルム25をベースフィルム21に載せると、リード線接続タブ(23,24)と重なる位置に配置されるリード線挿通用の孔(26、27)を予めレーザー加工で形成しておく。孔(26,27)は、タブ(23,24)上に配置すると、該タブの内側に入るよう、それぞれ該タブより一回り小さく形成する。このようにすると、接続タブ(23,24)の外周がカバーフィルム25によってベースフィルム21に押し付けられるため、接続タブ(23,24)は、リード線(28,29)の半田付けによって高温に加熱されても剥がれることがない。
【0031】
尚、孔26,27の形状は、特に限定するものではなく、円形、長円など、加工可能な様々な形状を適宜選択することが出来る。たとえば、図1に示すようにリード線接続タブ(23,24)がリード線(28,29)の接続方向に長い矩形状の場合、孔(26,27)は、前記接続方向に長い楕円形に形成することが好ましい。これにより、リード線(28,29)の半田付けを容易に行うことが出来るとともに、半田が孔(26,27)からこぼれにくくなる。
【0032】
歪ゲージ20は、パターン形成済みのベースフィルム21とその上に接着剤を挟んで載せたカバーフィルム25に圧力と高熱を加えて両者を接着することで形成される。出来上がった歪ゲージ20は、熱硬化型接着剤を間に挟んで、図示しないロードセル起歪体の起歪部に載せ、高熱を加えることで、起歪部の所定位置に接着される。リード線接続タブ(23,24)は、中央部(23a,24a)がリード線挿通孔(26,27)から露出する。露出したタブ(23,24)には、孔(26,27)を通して、一般的な太さ(例えば、φ0.3mm〜0.6mm程度の被服電線)のリード線(28,29)を直接半田付けする。
【0033】
上述したように、第1実施例によれば、カバーフィルム25が接続タブ(23,24)を覆う位置まで延設されるとともに、接続タブ(23,24)の位置に接続タブ(23,24)よりも小さい孔(26,27)が形成されている。したがって、接続タブ(23,24)は、孔(26,27)の全周においてカバーフィルム25によって押さえられているので、半田等によって熱が加えられた場合であっても接続タブ(23,24)が浮き上がることが無い。これにより、リード線(28,29)の接続時に剥がれが発生することを防止することが出来る。
【0034】
図3と図4に記載した第2及び第3実施例は、第1実施例の金属箔パターン200に抵抗値調整部を設け、カバーフィルムに抵抗値調整用孔を設けた以外、第1実施例と構成が共通する。
【0035】
図3により、第2実施例の歪ゲージについて説明する。第2実施例の歪ゲージ20’は、金属箔パターン200’が第1実施例の歪ゲージにおける歪受感素子22と、一方のリード線接続タブ23との間に、抵抗値調整部30を備え、カバーフィルム25’が抵抗値調整用孔である短絡用孔(32〜34)を有する。
【0036】
抵抗値調整部30は、歪受感素子22側と接続タブ23側から並列に接続された複数の導電路(35〜37)を有する。導電路(35〜37)は、導電長さが符号35<36<37となるように形成される。また、導電路(35〜37)は、途中で分断されており、分断された各端部が歪受感素子22側と接続タブ23側に離間している。分断された導電路(35〜37)は、歪受感素子22側の端部に短絡用端子(35a〜37a)を備え、接続タブ23側の端部に短絡用端子(35a〜37a)と一対になる短絡用端子(35b〜37b)を備える。
【0037】
短絡用孔(32〜34)は、カバーフィルム25’をベースフィルム21に接着する前に予めレーザー加工で形成しておく。短絡用孔(32〜34)は、カバーフィルム25をベースフィルム21に接着すると、歪受感素子側の短絡用端子(35a〜37a)及び接続タブ23側の短絡用端子(35b〜37b)が短絡用孔(32〜34)から露出する位置と大きさに形成する。
【0038】
第2実施例の歪ゲージ20’においては、短絡用孔(32〜34)のうちいずれか一つを選択し、選択した短絡用孔から露出する短絡用端子を半田付け(短絡)する。歪受感素子22からリード線接続タブ23に至る導電長さ(以降は単に導電長さとする。)は、短絡した位置によって変わるため、第2実施例の歪ゲージ20’は、前記導電長さを調節することによって、金属箔パターン200’の内部抵抗を調節することが出来る。
【0039】
例えば、導電長さが最も短い導電路35を短絡した場合には、前記歪受感素子22を含む回路の内部抵抗が最も低くなる。従って、前記回路の内部抵抗を最も低くする場合には、短絡用孔32を選択して露出する端子(35a,35b)を半田付けによって接続する。また、前記回路の内部抵抗を2番目に高くする場合には、短絡用孔33から露出する端子(36a,36b)を半田付けして、前記導電長さを2番目に長くする。歪受感素子22を含む回路の内部前記抵抗を最も高くする場合には、短絡用孔34から端子(37a,37b)を半田付けして、前記導電長さを最も長くする。
【0040】
上記の如く構成された第2実施例によれば、短絡用端子35a〜37aと短絡用端子35b〜37bとを短絡させる際、短絡用孔32〜34の内部に半田を流し込むので、半田は、短絡用孔32〜34の内部に収まりやすく、外部にこぼれにくくなる。従って、半田が短絡用孔32〜34の外部にまで拡がって他の端子などに接触することを防止することが出来る。これにより、抵抗値の調整作業を容易に且つ正確に行うことが出来る。
【0041】
ところで、端子35a〜40a等の抵抗値調整部は、通常接続タブ(23、24)と歪受感素子22との間に設けられている。このため、第1実施例のようにカバーフィルム25を接続タブ(23,24)の位置まで延設した場合には、抵抗値調整部の位置までカバーフィルム25が延設されることになる。第2実施例では、抵抗値調整部の位置に短絡用孔32〜34を形成しているので、カバーフィルム25を接続タブ(23,24)の位置まで延設した場合であっても、抵抗値調整部の加工を行うことが出来る。
【0042】
次に、図4により、第3実施例の歪ゲージについて説明する。第3実施例の歪ゲージ20’’は、歪受感素子22と接続タブ23に並列に接続され、かつ分断された3つの導電路のうち1つを短絡することによって、金属箔パターン200’の内部抵抗を調節する第2実施例の歪ゲージ20’とは逆に、歪受感素子22と接続タブ23との間に並列に連続して設けられた3つの導電路(42〜44)のうち2つを分断することによって、金属箔パターン200’’の内部抵抗を調節するものである。
【0043】
第3実施例の歪ゲージ20’’は、金属箔パターン200’’が歪受感素子22と一方のリード線接続タブ23との間に抵抗値調整部30’を備える。抵抗値調整部30’は、歪受感素子22側と接続タブ23側から並列に接続され、かつ連続する複数の導電路(42〜44)を有する。導電路(42〜44)は、導電長さが符号42<43<44となるように形成される。また、カバーフィルム25’’には、導電路(42〜44)と対応する位置に抵抗値調整用孔であるパターンカット用孔(45〜47)を設けている。それ以外の第3実施例の構成は、第2実施例と共通する。
【0044】
また、パターンカット用孔(45〜47)は、ベースフィルム25’’をカバーフィルム21に接着する前に予めレーザ加工で形成しておき、カバーフィルム25’’をベースフィルム21に接着すると、導電路(42〜44)の一部がパターンカット用孔(45〜47)からそれぞれ露出する位置に形成される。
【0045】
第3実施例の歪ゲージ20’’においては、導電路(42〜44)のうちいずれかを一つ選択し、残りの二つを先の尖った工具等でカット(分断)する。第3実施例の歪ゲージ20’’は、どの導電路をカットせずに残すかによって、金属箔パターン200’’の内部抵抗を調節することが出来る。
【0046】
例えば、導電長さが最も短い導電路42を残し、パターンカット用孔(46,47)から露出する導電路(43,44)をカットした場合には、歪受感素子22を含む回路の内部抵抗が最も低くなる。また、導電路43を残し、パターンカット用孔(45,47)の導電路(42,44)をカットした場合には、前記回路の内部抵抗が2番目に高くなり、導電長さが最も長い導電路44を残し、パターンカット用孔(45,46)の導電路(42,43)をカットした場合には、前記回路の内部抵抗が最も高くなる。
【0047】
上記の如く構成された第3実施例によれば、導電路42〜44をパターンカット用孔45〜47の内部で切断するので、周囲の他の導電路42〜44や歪受感素子22等を誤ってカットしてしまうことがない。従って、抵抗値の調整作業を容易に且つ正確に行うことが出来る。また、第3実施例によれば、接続タブ(23,24)と歪受感素子22との間に設けられている導電路(42〜44)に対応する位置にパターンカット用孔(45〜47)を形成しているので、カバーフィルム25を接続タブ(23,24)の位置まで延設した場合であっても、パターンカット用孔(45〜47)を介して導電路(42〜44)のカットを行うことが出来る。
【0048】
尚、第2実施例と第3実施例を組み合わせた態様の歪ゲージを形成することも出来る。即ち、歪ゲージには、短絡タイプの抵抗値調整部とカットタイプの抵抗値調整部の双方を設けるとともに、それぞれを露出させる孔をカバーフィルムに設けるようにしてもよい。
【0049】
また、第2及び第3実施例においては、導電路を3つ設けているが、複数の導電路は、2つであっても4つ以上であっても良い。更に、複数の導電路のうち、短絡を行う導電路の数やカットせずに残す導電路の数は、1つに限定されるものではなく、複数であってもよい。
【0050】
更に、上述した実施例2と3では、短絡やカットによって抵抗値を調整するようにしたが、抵抗値の調整方法は、これに限定する物ではなく、様々な態様が可能である。例えば、導電路を部分的に削って幅を狭めたり、薬剤などを塗布したりすることによって、抵抗値を調整してもよい。これらの場合にも抵抗値調整部が露出されるようにカバーフィルムに孔を設けることによって、抵抗値の調整作業を容易に且つ正確に行うことが出来る。
【0051】
尚、図5に示しているのは、第1実施例の歪ゲージを貼付けたロードセル起歪体の実施例である。歪ゲージ20は、起歪体48の最薄肉部48bの上に歪受感素子22が配置されるよう、貼付面48aに熱硬化型接着剤で接着し、リード線(28,29)を孔(26,27)から露出した接続タブ(23,24)に半田付けする(符号49,50)。ロードセルの起歪体48に第1実施例の歪ゲージ20を使用した場合には、リード線(28,29)を半田付けしても、接続タブ(23,24)の浮き上がりがないので、歪ゲージ20を起歪体48に取り付けてロードセルを組み立てた際の故障が少ない。
【符号の説明】
【0052】
20,20’,20’’ 歪ゲージ
21 ベースフィルム
200,200’,200’’ 金属箔パターン
22 歪受感素子
23,24 リード線接続用タブ
25 カバーフィルム
26,27 孔
30,30’ 抵抗値調整部
32〜34 短絡用孔(抵抗値調整用孔)
35〜37 複数の導電路
35a〜37a 短絡用端子
35b〜37b 短絡用端子
42〜44 複数の導電路
45〜47 パターンカット用孔(抵抗値調整用孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムと、該ベースフィルム上に設けられた歪受感素子及び接続タブを有する金属箔パターンと、前記金属箔パターンの歪受感素子を覆うカバーフィルムと、を備えた歪ゲージにおいて、
前記カバーフィルムは、前記接続タブを覆う位置まで延設されるとともに、前記接続タブの位置に前記接続タブよりも小さい孔が形成され、該孔を介して前記接続タブが露出されることを特徴とする、歪ゲージ。
【請求項2】
前記金属箔パターンは、前記歪受感素子の抵抗値を調整する抵抗値調整部を有し、前記カバーフィルムは、前記抵抗値調整部を覆う位置まで延設されるとともに、前記抵抗値調整部の位置に抵抗値調整用孔が形成され、該抵抗値調整用孔を介して前記抵抗値調整部が露出されることを特徴とする請求項1に記載の歪ゲージ。
【請求項3】
前記抵抗値調整部は、並列に接続された複数の導電路と、該導電路ごとに設けられ、短絡させることによって前記導電路を導通させる一対の短絡用端子とを備え、
前記一対の短絡用端子ごとに前記抵抗値調整用孔が設けられ、該抵抗値調整用孔を介して前記一対の短絡用端子が露出されることを特徴とする請求項2に記載の歪ゲージ。
【請求項4】
前記抵抗値調整部は、並列に接続されるとともに、少なくともその一つを切断することによって前記抵抗値が調整される複数の導電路を備え、
前記導電路ごとに前記抵抗値調整用孔が設けられ、該抵抗値調整用孔を介して導電路が露出されることを特徴とする請求項2に記載の歪ゲージ
【請求項5】
前記孔はレーザー加工によって形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の歪ゲージ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載の歪ゲージと、該歪ゲージが起歪部に取り付けられた起歪体と、前記歪ゲージの前記孔に挿通されて前記接続タブに接続されたリード線とを備えることを特徴とするロードセル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−243192(P2010−243192A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89057(P2009−89057)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000127570)株式会社エー・アンド・デイ (136)
【Fターム(参考)】