説明

歯のホワイトニング組成物及び方法

【課題】歯のホワイトニング組成物の提供。
【解決手段】酸化剤(例えばペルオキシド)と、約400nm〜約570nmの放射波長を有する活性化剤(例えばエオシンB)とを含む歯のホワイトニング組成物。および、これらの組成物を使用して、歯を白くする方法、これらの組成物の製造方法及び組成物の成分のいくつか又は一部を含むキット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、歯のホワイトニング組成物に関する。より詳細には、本発明は、使用することによって、顕著な処理後の過敏をもたらさず、20分以下(例えば約1分)で望ましいホワイトニング効果(例えば少なくとも2シェードのホワイトニング)をもたらすことができる歯のホワイトニング組成物及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
過酸化水素及びカルバミドペルオキシドなどのペルオキシド及びペルオキシ酸化合物が、歯のホワイトニング組成物に有用であることが明らかになっている。ペルオキシド組成物を歯に塗布した後に、例えばアルゴンレーザーからのUV又は可視光を当てることによって、ホワイトニングを促進させている。さらに、金属配位子複合体及び金属キレート前駆物質などの光を吸収し、該光を熱又は化学エネルギーに変換することが可能な化合物を含むホワイトニング組成物がMontgomeryらの特許文献1に記載されている。
【0003】
また、赤色色素を用いて、漂白組成物において可視又はUVエネルギーを吸収し、熱を生成させることが、Banerjeeらの特許文献2に記載されている。この特許文献2には、金属イオン、有機金属酵素(例えばカタラーゼ)を添加して、又は高いpH(例えば7を越える)を用いて、過酸化水素を不安定化させるか、又は過酸化水素の分解を活性化させることによって、そのような化合物をさらに高める試みが記載されている。また、黄色の歯を対比染色するための紫色又は青紫色の色素を含む歯のホワイトニング組成物がTarverの特許文献3に記載されている。ローダミンBの色素を歯のホワイトニング組成物に用いることがVerheyenらの特許文献4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,343,933号明細書
【特許文献2】米国特許第6,485,709号明細書
【特許文献3】米国特許第6,030,222号明細書
【特許文献4】国際公開第02/22097号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、処理後の歯の過敏及び歯のホワイトニング組成物に必要とされる時間(典型的には約1時間の時間もしくは複数回の塗布又はそれらの両方を必要とする)が依然として重要な欠点となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、驚くべき短い時間で、かつ処理後の過敏が最小限か又は全くない新規な組成物及び方法を提供する。本発明は、本明細書に記載されている色素の使用によって、ホワイトニングプロセスが劇的に促進されるという発見に一部基づいている。
【0007】
いかなる特定の理論に縛られることなく、象牙質が緑色光を伝達し、青色光を吸収すると考えられるので、これらの色素を含むことによって、本発明の組成物が顕著に高められると考えられる。したがって、本発明の色素は、歯の表面でホワイトニングを促進させるのみならず、歯に光を伝達して、歯の表面に浸透したラジカルによる着色物質の変化を促進させることができる。
【0008】
本発明の他の利点は、短い期間(例えばいくつかの実施態様において1分)しか塗布していない場合でも効力があることである。したがって、例えば過酸化水素の歯髄組織への浸透が引き起こすことによる過敏(例えば歯髄の炎症)を最小限にできるか、又は除去することができる。本発明の別の利点は、組成物が、熱を生成する化合物を必要とせず、したがって、熱を生成する組成物と関連した不快感を最小限にできるか、又は除去することができることである。さらに別の利点は、ローダミンBなどの色素より毒性が少ない色素(例えばエオシンB)を用いることができることである。
【0009】
一態様において、本発明は、酸化剤と、約400nm〜約570nmの放射波長を有する活性化剤とを含む歯のホワイトニング組成物を特徴とする。
【0010】
一実施態様において、活性化剤は、緑色光、青色光又は青緑色光を放射するか、かつ/又は緑色光、青色光又は青緑色光を吸収することが可能である。別の実施態様において、活性化剤は、エオシンB、エリスロシンB、又はその両方を含む。
【0011】
別の実施態様において、組成物は、更に安定化剤を含む。一実施態様において、安定化剤は、酢酸ナトリウムである。
【0012】
一実施態様において、組成物は、更に増粘剤を含む。一実施態様において、増粘剤は、1ミクロン以下の粒子サイズを有する二酸化ケイ素及び/又はヒュームド・シリカである。
【0013】
一実施態様において、組成物は、更に親水性ゲル化剤を含む。別の実施態様において、組成物は、更に促進剤を含む。いくつかの実施態様において、促進剤は、過ホウ酸ナトリウムを含む。
【0014】
一実施態様において、組成物のpHは、約8〜約10である。
【0015】
また、本発明は、本発明の歯のホワイトニング組成物を少なくとも1つの歯に塗布することと、歯のホワイトニング組成物を化学作用を持つ光に曝して、歯を少なくとも約1シェード白くすることを含む、歯のホワイトニング方法を特徴とする。一実施態様において、歯を、約10分以下又は約5分以下で少なくとも約2シェード白くする。
【0016】
一実施態様において、処理後の過敏が微々たるものであるか、又は除去される。
【0017】
一実施態様において、塗布当たり5秒以下の間、歯を歯のホワイトニング組成物に曝す。
【0018】
また、本発明は、本発明の歯のホワイトニング組成物と該組成物を調製及び/又は塗布するための器具とを含む歯のホワイトニングのためのキットを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、本発明の歯のホワイトニング組成物と望ましいホワイトニング効果を達成する組成物の塗布時間を決定するための説明書とを含む歯のホワイトニングのためのキットを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、少なくとも1つの歯に、化学作用を持つ光を少なくとも1回当て、歯のホワイトニング組成物を少なくとも1回塗布して、化学作用を有する光への曝露全体が約1分以下で歯を少なくとも約2シェード白くすることを含む歯のホワイトニングの方法を特徴とする。一実施態様において、約30秒以下で少なくとも約3シェード歯を白くする。別の実施態様において、顕著な処理後の過敏がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
請求項の主題事項をより明確にかつ正確に説明するために、以下の定義は、下記の説明、実施例及び特許請求の範囲で用いられている特定の用語の意味についてのガイダンスを提供するために向けられたものである。
【0022】
「促進剤」という用語は、ラジカルの発生の完了を促進することが可能であり、かつ/又は該完了に貢献することが可能ないずれの物質(例えば過ホウ酸ナトリウム)も指す。
【0023】
「化学作用を持つ光」という用語は、活性化剤によって吸収可能な光エネルギーを指す。
【0024】
「活性化剤」という用語は、化学作用を持つ光を吸収することが可能ないずれの物質も指す。好ましくは、活性化剤は、光エネルギーの分散を増大させ、かつ/又は促進し、あるいはそれとは別に酸化剤の分解を増大させ、かつ/又は活性化する。活性化剤は、例えば蛍光色素といった、光エネルギーを吸収し、かつ光エネルギーを放射することが可能な物質を含む。適した活性化剤としては、例えばエオシンB及びエリスロシンBが挙げられる。
【0025】
「酸化剤」という用語は、酸化することが可能ないずれの物質も指し、酸化することが可能な化合物の前駆体も含む。酸化剤の例としては、ペルオキシド、ペルオキシ酸、過酸化水素、カルバミドペルオキシド、アルカリ金属ペルオキシド、アルカリ金属の過炭酸塩、ペルオキシ酢酸、及びアルカリ金属の過ホウ酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「処理後の過敏」という用語は、歯のホワイトニング処置の後の被験者が経験する過敏又は即座の痛みを指す。過敏としては、温度及び圧力などの刺激が挙げられるが、これらに限定されない。即座の痛みは、典型的には刺激なしで生じる。「顕著な過敏」又は「処理後の顕著な過敏」などの用語は、4時間以上の過敏及び/又は即座の痛みを含む、処理後の顕著な不快感を指す。「微々たる痛み」とは、処理後4時間以下の温度及び/又は圧力などの刺激に対する最小の過敏を指す。
【0027】
「安定化剤」という用語は、組成物の1又は複数の物質(例えば過酸化水素などの酸化剤)を安定化するいずれの物質も指す。安定化剤は、使用及び/又は保管における自然発生の又は不必要な反応性に対して物質を安定化するように作用することができる。適した安定化剤としては、酢酸ナトリウムが挙げられる。いくつかの例において、安定化剤は過酸化水素を約1年間安定させることができる。
【0028】
「化学作用を持つ光への曝露全体」という用語は、処理のセッションの過程にわたる化学作用を持つ光の複数回の照射を含めた、歯が化学作用を持つ光に曝される総時間を指す。
【0029】
「透明」という用語は、少なくとも約70%の光の透過が可能な組成物を指す。「半透明」という用語は、少なくとも40%の光の透過が可能な組成物を指す。言及する光は、例えば、化学作用を有する光(例えばレーザーから)、放射された光(例えば蛍光色素から)又はその両方であってもよい。
【0030】
「半透明化剤(translucency agent)」という用語は、組成物の半透明性を増大させることが可能ないずれの物質も指す。そのような物質は、例えば組成物に添加することにより、活性化(例えば熱、化学作用を持つ光及び/又は放射された光によって)により、又はその両方により半透明性を増大させることができる。
【0031】
範囲(例えば、波長、pH、濃度、粒子サイズ、及びホワイトニング範囲)が本明細書に開示されている場合、開示された範囲内のすべての個々の値及び範囲が本発明の一部としてみなされ、本発明に含まれるものとする。すべての濃度は、特に指示がない限り、組成物の質量%で示されている。
【0032】
「1」又はそれと同種のものが本明細書に用いられている場合、これらは開かれた又は非限定の意味で、例えば「少なくとも1つ」又は「1又は複数」を示すために用いられる。同様に、「又は」という用語は、開かれた又は非限定の意味で、すなわち「及び/又は」を意味するように用いられる。したがって、「又は」及び「及び/又は」という用語は、置き換え可能で用いられ、同様の意味を有するように意図されるものである。
【0033】
一態様において、本発明は、酸化剤(例えば過酸化水素)と、約400nm〜約570nmの放射波長を有する活性化剤(例えばエオシンB又はエリスロシンB又はその両方)とを含む歯のホワイトニング組成物を提供する。また、組成物は、追加の物質も含み、該追加の物質としては、pH調整剤、増粘剤、安定化剤、促進剤、ゲル化剤、半透明化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
酸化剤は、本技術分野において既知である酸化剤であってもよい。一実施態様において、酸化剤は、過酸化水素又は過ホウ酸ナトリウム又はその両方を含む。加えて、又はもう一つの方法として、酸化剤は、カルバミドペルオキシド、アルカリ金属ペルオキシド、アルカリ金属の過炭酸塩、アルカリ金属の過ホウ酸塩又はこれらの化合物の組み合わせを含む。酸化剤は、例えば、化学作用を持つ光に曝した際に活性化化合物と相互作用することが可能な液体、ゲル又はペーストの組成物であってもよい。
【0035】
酸化剤の濃度は、本発明において変動させることができる。一実施態様において、酸化組成物は、過酸化水素を例えば約1%〜約70%の範囲内で含む。更なる実施態様において、酸化組成物は、約50%の過酸化水素を含む。
【0036】
活性化剤としては、約400nm〜約570nmの放射波長を有するいずれの物質も挙げることができる。別の実施態様において、活性化剤は、約435nm〜約520nmの範囲内の光を放射する。一実施態様において、活性化剤は、約520nm〜約565nmの範囲内の光を放射する。特定の実施態様において、前記物質は、上記の範囲内の光を吸収し、かつ放射する。一実施態様において、活性化物質は、緑色光を放射する。別の実施態様において、活性化物質は、青緑色光を放射する。一実施態様において、活性化物質は、緑色光を吸収し、かつ放射する。
【0037】
一実施態様において、活性化剤は、エオシンB又はエリスロシンB又はその両方を含む。別の実施態様において、ホワイトニング組成物は、約0.5%〜約0.8%の範囲内の、又は約0.2%〜約1.2%の範囲内の、又は約12%以下のエオシンBを含む。さらに別の実施態様において、組成物は、約0.2〜約12%のエオシンBと、約0.01%〜約0.1%、又は約0.005%及び約0.15%のエリスロシンBとを含む。如何なる特定の理論に縛られることなく、エオシンB及びエリスロシンBの組み合わせは相乗効果を有することが考えられる。この相乗効果は、色素の吸収ピークが近いことに関連している可能性があることが考えられる。さらに、エオシンB及びエリスロシンBは緑色光を再び放射するので、この緑色光が、蛍光色素によって更に吸収(もしくは再吸収)され得るか、又は吸収(もしくは再吸収)される可能性があり、したがって、光エネルギーが従来の組成物のように分散しないことが考えられる。この吸収され、かつ再放射された光が、漂白ゲルの全体に渡って浸透するのみならず、エナメル及び象牙質にも伝達される。また、エオシンBなどの色素は、ローダミンBなどの色素より毒性が極めて少ないので、好都合である。
【0038】
如何なる特定の理論に縛られることなく、象牙質及びエナメルが緑色光を伝達するので、この範囲内の光を歯の象牙質及び/又はエナメルに伝達することができ、それによって、活性化剤及び歯のクロマフォア(chromaphore)内の特定の化学結合における電子の励起を生じさせ、フリーラジカルによってより攻撃されやすいようにすることが考えられる。本発明の活性化剤としては、青緑色及び/又は青色を放射する色素を挙げることができる。したがって、本発明は、少なくとも一部は、本発明の活性化物質を用いると、従来の組成物が必要とする時間のほんの一部で、ホワイトニング効果が顕著に増大されるか、かつ/又は該効果の増大がもたらされるという発見に基づくものである。従来の歯のホワイトニング組成物と比較して、ほんの一部の時間の間、歯がホワイトニング組成物に曝されるのみであるので、長期にわたってフリーラジカルに曝されることによって生じる表面のクラック及び裂け目を減少させるか、又はなくすことができる。長期にわたってフリーラジカルに曝されることによって引き起こされるクラック及び裂け目において脱石灰が生じ得るので、脱石灰したエナメルがスポンジとして作用することにより、汚れがより容易に戻る。本発明では、フリーラジカルに曝される時間が減少することによって、裂け目及びクラックの可能性を減少させ、したがって、より深い色素に対する極めて長期の又は永久的なホワイトニング効果をもたらす。また、長期間の曝露によって、エナメルが脆弱になる。本発明の組成物及び方法によってエナメルの障害(compromise)が回避されると考えられる。
【0039】
一実施態様において、活性化剤は、約400nm〜約570nmの範囲の波長の光を放射できるのみならず、約400nm〜約570nmの範囲の波長の光を吸収できる。そのような活性化剤は、約400nm〜約570nmの範囲の波長の光によって活性化される。したがって、一実施態様において、活性化剤は、約400nm〜約570nmの範囲の波長の光を吸収する。別の実施態様において、活性化剤は、約470nm〜約550nmの波長の光を吸収する。したがって、本実施態様は、化学作用を持つ光からのエネルギーの最適な吸収及び象牙質及びエナメルを通じての最適な伝達を可能にする。
【0040】
如何なる特定の理論に縛られることなく、本発明の活性化剤は、化学作用を持つ光に曝された際に、ゲル内のペルオキシドの瞬時かつ完全な光化学作用を結果としてもたらす光エネルギーの分散を促進することができることも考えられる。ゲルの塊は、約400nm〜約570nmの範囲の波長の光を良好に伝達して、活性化剤を化学作用を持つ光に曝した際に、光エネルギーの分散によってペルオキシドの光化学的な活性化の促進をもたらすことが考えられる。同時に、これらの実施態様は、活性化剤による化学作用を持つ光からのエネルギーの最適な吸収及び組成物、象牙質及びエナメルを通じての最適な伝達を可能にする。
【0041】
一実施態様において、組成物は安定化剤も含む。一実施態様において、安定化剤は、組成物中のペルオキシドの濃度を、数日、数週間、数ヶ月、一年又は数年の間安定させる。一実施態様において、安定化剤は、酸化剤を安定させるのみならず、pH調整剤及び/又は安定剤(stabilizer)でもある。一実施態様において、安定化剤は酢酸ナトリウムである。一実施態様において、酢酸ナトリウムを、望ましいpHに達するまで添加する。さらに別の実施態様において、組成物は、約0.1%〜約50%の安定化剤を含む。この範囲内のいずれの値又は範囲も含まれるものとする。
【0042】
一実施態様において、安定化剤は、亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤、金属キレート剤(例えばEDTA)、及び安定剤(stabilizer)(例えばスズ塩、リン酸、及びスズのスルフォン酸塩)からなる群より選択される。いくつかの実施態様において、安定化剤は、過酸化水素を潜在的に不安定化することが可能な金属イオンを溶液から取り除くか、又は隔離もしくは除去する。
【0043】
一実施態様において、安定化剤は、酢酸ナトリウム(例えば酢酸ナトリウム三水和物)であるか、又は該酢酸ナトリウムを含む。酢酸ナトリウムは、過酸化水素の自然発生の反応性を阻害することが分かっており、したがって、安定性の向上をもたらすことができる。
【0044】
一実施態様において、組成物のpHは、約4〜約10の範囲内であるか、又はこの範囲に調整される。約8〜約10のpHのアルカリ条件において、より強力なフリーラジカル、ペルヒドロキシルイオンが生成され得る。ペルヒドロキシルフリーラジカルは、黄色及び茶色の汚れのみならず、歯の構造においてより深くに位置する灰色のクロモフォアとも反応するのが可能である。更なる実施態様において、組成物のpHは約5〜約7、又は約5〜約6である。特定の実施態様において、pHは約6である。
【0045】
適したpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、TRIS及びトリエタノールアミン、又は口内で安全に使用されるその他のアルカリ塩基の塩が挙げられるが、これらに限定されない。別の実施態様において、pH調整剤は過ホウ酸ナトリウムである。本発明の特定の実施態様において、単独の成分がpH調整剤として又は安定化剤として作用するか、あるいは両方の機能を果たしてもよい。一実施態様において、酢酸ナトリウムは、pH調整剤及び安定化剤として作用する。更なる実施態様において、pH調整剤は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムからなる群より選択されたものである。
【0046】
加えて、又はもう一つの方法として、組成物は、該組成物の歯への塗布の容易さを向上させて、同等かつ有効な範囲をより簡単に達成する増粘剤を含むこともできる。適した増粘剤としては、混合したシリカ−アルミニウム酸化物、合成カルボマー(例えばカルボポール(Carbopol))などの長鎖炭化水素、トリエタノールアミン(例えばトロラミン(Trolamine)、水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂(例えばPolyox)が挙げられるが、これらに限定されない。適した増粘剤には、アミド・スターチ(amide starch)も挙げられる。
【0047】
約0.2ミクロン(μm)〜約0.7μmの範囲の粒子サイズを有する物質を用いることで、粒子表面上での酸化剤のより広範囲な分散がもたらされる。したがって、一実施態様において、活性化剤は、約2ミクロン以下、又は約1ミクロン以下の粒子サイズを有する。他の実施態様において、該活性化剤は、約0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、又は0.2ミクロン以下の粒子サイズを有する。他の実施態様において、活性化剤は、約0.1〜約0.8ミクロン、約0.2〜約0.7ミクロン、又は約0.3〜約0.6ミクロンの粒子サイズを有する。
【0048】
加えて、又はもう一つの方法として、増粘剤としては、担体として使用可能であり、かつ歯の表面への活性酸素の送達に役立つことが可能なヒュームドシリカ及び/又はその他の不活性な無機材料を挙げることができる。小さい粒子サイズ(例えば約0.2ミクロン〜
約0.4ミクロン)のヒュームドシリカは、過酸化水素の効率的な分散及び酸化組成物内の光エネルギーの反射をもたらすことができる。
【0049】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、反応促進剤を含む。一実施態様において、組成物は、過ホウ酸ナトリウムを含む。過ホウ酸ナトリウムは、フリーラジカルの形成における過酸化水素との選択的な反応性を有する(水と反応して過酸化水素を放出する)。1種又は複数の活性化剤(例えば過ホウ酸ナトリウム)の使用は、該活性化剤が例えば化学作用を持つ光によって組成物において発生した熱を吸収し、保持することができ、それ故に、過敏を引き起こし得る歯の加熱なしで反応を促進するためにそのような熱のいずれもゲルに限定することができることから好都合である。さらに、反応の促進とは、前記本発明の組成物が、従来の組成物よりも速く除去することができ、それによって患者の前記本発明の組成物への曝露、及び結果として生じる組織及び歯への過敏及び/又は他の損傷を減少させることができることを意味する。
【0050】
一実施態様において、本発明の組成物は、約0.8%〜約15%、又は約0.3%〜約18%の促進剤を含む。
【0051】
更なる実施態様において、本発明の組成物は、ゲル化剤を含む。好ましくは、ゲル化剤は半透明化剤でもある。例えば、親水性のゲル化剤を使用して、生じた組成物又はゲルの半透明性を増加させることができる。
【0052】
いくつかの実施態様において、ゲル化剤の性質(例えば、その親水性の性質)によって、化学作用を持つ光に曝した際のゲルの蒸発を防ぎ、それ故に被覆した歯の領域の水和を向上させる。歯及び周囲の組織の水和の増加は、不快感及び過敏の減少を伴うものである。一実施態様において、ゲル化剤は、例えば1種または複数の修飾したスターチ及び/又はグルコースを含むことができる。一実施態様において、修飾したスターチ及び/又はグルコースを冷水内で活性化させる。いくつかの実施態様において、ゲル化剤は、さらに組成物の粘度を増大させ、歯の表面への塗布を容易にする。
【0053】
半透明化剤は、組成物への添加により、及び/又は例えば化学作用を持つ光、放射された光及び/又は熱による活性化により、半透明性又は透明性を増大させることができる。一実施態様において、半透明化剤は、組成物の蒸発を最小限にする。加えて、又はもう一つの方法として、ゲル化及び/又は半透明化剤は、前記組成物において発生した如何なる熱も吸収することによって、如何なる熱効果も最小限にする。
【0054】
一実施態様において、組成物は半透明な組成物である。別の実施態様において、組成物は透明な組成物である。特定の実施態様において、組成物は、曝される化学作用を持つ光(例えば緑色、青緑色又は青色の光)に対し半透明または透明である。
【0055】
一実施態様において、組成物は、酸化剤(例えば過酸化水素)と、促進剤(例えば過ホウ酸ナトリウム)と、活性化剤(例えばエオシンB又はエリスロシンB又はその両方)と、安定化剤(例えば酢酸ナトリウム三水和物)と、pH調整剤と、増粘剤(例えばヒュームドシリカ又は二酸化ケイ素又はその両方)と、ゲル化剤とを含む。一実施態様において、組成物のpHは、約6〜約10である。いくつかの実施態様において、組成物のpHは約8〜約10である。
【0056】
本発明の別の態様は、本発明の歯のホワイトニング組成物を少なくとも1つの歯に塗布することと、該歯のホワイトニング組成物を化学作用を持つ光に曝して、酸化剤を活性化させることとを含む、歯をホワイトニングする方法を提供する。組成物は、本明細書に記載されているいずれの組成物でもあってよい。
【0057】
一実施態様において、歯を漂白する方法は、通常の条件の下で歯科医の医院又は歯科の治療室で行われる。組成物を患者の椅子のわきで混合し、白くするのが望ましい数だけの歯の表面に塗布することができる。別の方法として、組成物を、患者の椅子のわきで混合する必要なく用意することができる。その後、組成物を化学作用を持つ光に曝して、酸化剤の分解及びフリーラジカルの形成を促進させることができる。一実施態様において、いくつかの又はすべての成分によってプレミックスを調製し、患者の椅子のわきで混合し、歯に塗布することができる。一実施態様において、使用前に、過酸化水素/酢酸ナトリウム溶液のプレミックスを調製し、保管することができる。加えて、又はもう一つの方法として、使用前に、いくつかの又はすべての残存する成分を別々に予め混合し、保管することができる。そのようなプレミックスは、例えば少なくとも約1年間保管することができる。
【0058】
本発明の組成物を用いて、いずれの物質又は疾患によって変色した歯も白くすることができる。例えば、組成物を使用して、汚れ(例えばタバコ、コーヒー、紅茶及び/又は食物の汚れ)、フッ素、発育障害、細菌、遺伝学、テトラサイクリン抗生物質、トラウマ、血液の分解、歯の発達中に存在する色素などによる変色を白くすることが可能である。
【0059】
化学作用を持つ光のいずれの供給源も使用することができ、好ましくは、該供給源は、組成物に使用する活性化剤に適切な波長の光を放射することが可能である。一実施態様において、例えばアルゴンレーザーを用いる。別の実施態様において、リン酸カリウムチタニル(KTP)レーザー(例えばGreenLight(商標)レーザー)を光源として用いる。一実施態様において、光源は、活性化剤、又は数種の活性化剤が組成物中に含まれる場合には少なくとも1つの活性化剤の吸収波長の光又は該吸収波長近くの光を放射する。
【0060】
蛍光色素からの最も強力な蛍光(例えば放射)が吸収波長のピーク(すなわち励起カーブ)に近い波長で照射された際に生じる。したがって、一実施態様において、化学作用を持つ光は、活性化剤の概ね吸収波長の波長のものである。一実施態様において、化学作用を持つ光は、約470nm〜約550nmの範囲内の波長を有する。別の実施態様において、化学作用を持つ光は、約470nm〜約520nmの範囲内の波長を有する。さらに別の実施態様において、アルゴンレーザーによって、約470nm〜約520nmの範囲内の波長の化学作用を持つ光を提供する。更なる実施態様において、化学作用を持つ光は、約530nm〜約535nmの範囲内の波長を有する。さらに別の実施態様において、約530nm〜約535nmの範囲内の波長の化学作用を持つ光の供給源はKTPレーザーである。本実施態様において、供給源が、約532nmに設定したKTPレーザーである。別の実施態様において、光硬化装置が化学作用を持つ光の供給源である。
【0061】
一実施態様において、歯を、化学作用を持つ光に20分以下の間、別の実施態様においては10分以下の間、別の実施態様においては5分以下の間曝す。一実施態様において、歯を化学作用を持つ光に4、3、2、、又は1分以下の間曝す。一実施態様において、本発明は、約1分で少なくとも2シェード歯を白くする方法を提供する。いくつかの実施態様において、顕著な処理後の過敏が全くない。他の実施態様において、処理後の過敏が全くない。
【0062】
一実施態様において、歯のホワイトニング組成物を塗布し、曝露当たり歯の各々に約4〜6秒間、化学作用を持つ光を複数回歯に当てる。いくつかの実施態様において、歯を化学作用を持つ光に少なくとも2回、3回、4回、5回又は6回曝す。いくつかの実施態様において、化学作用を持つ光への各曝露の前に、歯のホワイトニング組成物を新たに塗布する。いくつかの実施態様において、化学作用を持つ光への曝露全体は約1分以下である。他の実施態様において、化学作用を持つ光への曝露全体は約60秒、40秒、30秒、又は20秒以下である。
【0063】
一実施態様において、歯を、少なくとも7シェード、6シェード、5シェード、4シェード、3シェード、2シェード又は1シェード白くする。シェードは、処理の前後に、多くのシェードガイドのいずれも用いて決定することができ、該シェードガイドとしては、例えば、VITA(登録商標)(Vita ZahnfabrikH. Rauter GmbH & Co., KG)、CHROMASCOP(登録商標)(Ivoclar Vivadent, Inc.)又はBIODEMT(DentsplyInternational)のシェードガイドが挙げられる。任意選択的に、シェード取得システム、例えばShadeEye NCC Dental Chroma Meterを用いて、処理前後のシェードを決定することができる。
【0064】
一実施態様において、歯を、約1分以下の化学作用を持つ光への総曝露時間で、少なくとも2シェード、3シェード、4シェード、5シェード、6シェード又は7シェード白くする。いくつかの実施態様において、歯を、約40秒以下の化学作用を持つ光への総曝露時間で、少なくとも2シェード、3シェード、4シェード、5シェード、6シェード又は7シェード白くする。いくつかの実施態様において、歯を、約30秒以下の化学作用を持つ光への総曝露時間で、少なくとも2シェード、3シェード、4シェード、5シェード、6シェード又は7シェード白くする。いくつかの実施態様において、歯を、約20秒以下又は約10秒以下の化学作用を持つ光への総曝露時間で、少なくとも2シェード、3シェード、4シェード、5シェード、6シェード又は7シェード白くする。
【0065】
一実施態様において、過酸化水素の浸透による歯髄の一時的な炎症のリスクが減少し、重大でなくなるか、かつ/又は除去される。如何なる特定の理論に縛られることなく、歯髄の炎症は、歯髄組織への過酸化水素の浸透によって生じるものと考えられる。いくつかの実施態様において、活性化物質(例えばエオシンB及びエリスロシンB)の相乗効果及び化学作用を持つ光により、瞬時の及び完全な光化学反応が生じる。したがって、歯、歯髄及び/又は周囲の組織の組成物中の酸化剤及び/又は他の成分への曝露は劇的に減少する。
【0066】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも1つの歯に化学作用を持つ光を当て、本発明の組成物(本明細書に記載したいずれの組成物)を塗布して、約10分以下で少なくとも約2シェード歯を白くすることを含む、歯をホワイトニングする方法を提供する。別の実施態様において、約5分以下で、約4分以下で、約3分以下で、約2分以下で、又は約1分以下で、少なくとも約2シェード歯を白くする。いくつかの実施態様において、顕著な処理後の過敏又は処理後の過敏が全くない。
【0067】
さらに別の態様において、本発明は、本発明に従う歯のホワイトニング組成物を調製するか、又は塗布するためのキットを提供する。一実施態様において、キットは、酸化剤と、約400nm〜約570nmの放射波長を有する活性化剤とを含む。組成物は、本発明のいずれの組成物でもあってもよい。一実施態様において、組成物を混合せず、組成物は、任意選択的に、前記組成物の2又は3以上の成分又はプレミックスを混合するための器具を含んでもよい。別の実施態様において、組成物は、いずれの組み合わせも必要としない(すなわち、使用する準備ができており、患者の椅子のわきで予め混合することを全く必要としない)。
【0068】
別の実施態様において、キットは、本発明の組成物と塗布の案内を含む。加えて、又はもう一つの方法として、キットは、塗布のための器具(例えばブラシ又はトレイ又はその両方)を含むことができる。また、キットは、望ましい、及び/又は本発明の方法及び組成物によって達成されるホワイトニング効果を評価するのに役立つチャート又はその他の情報も含むことができる。また、キットは、化学作用を持つ光の供給源も含むことができる。
【0069】
本明細書の教示を考慮して、均等な組成物、方法及びキットの特定は当業者の技能内で良好に行われ、通常の実験を必要とするに過ぎないものである。本発明の実施は、以下の実施例によりさらに充分に理解され、これらの実施例は本発明を説明するためのものであて、本発明を限定するものとして解釈すべきでない。
【実施例】
【0070】
(例1:典型的なホワイトニング組成物の調製及び化学作用を持つ光による活性化)
4mgのエオシンB、1mgのエリスロシンB、450mgのヒュームドシリカ、及び45mgの過ホウ素酸ナトリウムを混合することによって、プレミックスを調製した。これとは別に、50%過酸化水素溶液のpHを、酢酸ナトリウム溶液を用いてpH6に調製した。次に、約4〜6mlの調製した過酸化水素溶液をプラスチックの混合チャンバー内でプレミックスに添加し、直ちに使用した。
【0071】
ゲルを、各被験者の歯の正面の表面に、正面の前の切歯から始めて、続いて後ろの、最終的には後ろの切歯という順で塗布した。ゲルを、0.5ワットの持続波に設定したKTPレーザーによって活性化した。レーザーを各歯に2〜3秒間当てた。この時間の間に、ゲルは橙赤色から透明に変化し、最終的に鈍い色となった。小臼歯から小臼歯までの2つの口蓋弓について3〜4分後、ゲルを吸引し、歯をコットンロールで軽く磨いて、エナメルの表面を掃除した。第2のゲルのコーティングを新しいゲルを用いて塗布し、上記のKTPレーザーによって活性化した。6回までの連続した塗布を行って、各患者において望ましいホワイトニング効果を達成した。セッションの期間は典型的には40分間を越えなかった。
(比較の例2:組成物のホワイトニング効果)
10人のボランティアにおいて、本発明の典型的な組成物と、ローダミンB及び過酸化水素を含む組成物であるSMARTBLEACHのレーザーによる歯のホワイトニングシステムとの比較調査を行った。各患者の歯のシェードをホワイトニング組成物の塗布前に記録した。
【0072】
歯を、例1にて調製した組成物で被覆し、532nmに設定した緑色レーザーからの化学作用を持つ光に、口全体について1分間(歯当たり4〜5秒間)曝し、次いで組成物を除去した。比較組成物と共に提供されている製造業者の説明書に従って、比較組成物を歯に塗布し、532nmに設定した緑色レーザーからの光に、歯当たり30秒間曝し、次いで、該組成物を10分間歯の表面上に残した。比較組成物は、口全体について約1.5時間の総所要時間の間に、少なくとも3〜4回の塗布を必要とするものであった。組成物を各ボランティアから除去し、歯を水で洗浄した。次に、歯を、VITAの尺度を用いて、組成物のホワイトニング効果について評価した。また、患者も、もしあれば、痛みの体験のレベルの評価を求めることによって、いずれの処理後の過敏についても評価した。
【0073】
Smartbleach(商標)処理によって、黄色のグループにおいて1〜2シェードのシェード変化が生じたが、本発明の典型的な組成物によって、黄色のグループにおいて5シェード、例えばVitaの尺度でA4からB1までのシェード変化が生じた。「黄色のグループ」(A4〜A1)において、本発明の典型的な組成物によって、4〜5シェードのシェード変化が生じ、それによって、「白色のグループ」のシェード(B1〜B2)がもたらされた。「灰色」(C4〜C1)及び「灰茶色」(D4〜D2)のグループの歯についての典型的な組成物の処理は、第1のセッションにおいて2〜3シェードの変化を示した。
【0074】
以下の、後の過敏の評価の尺度を使用した。
【0075】
【表1】

【0076】
Smartbleach(商標)システムによる処理後に、10人すべての被験者がレベル1〜3の痛みを体験した。本発明の典型的な組成物による処理後、9人の被験者が痛みを体験せず(例えば、レベル0)、1人の被験者のみレベル1の痛みを体験した。
(比較の例3:化学作用を持つ光の供給源の効果)
28人のボランティアについて、例1の組成物によるホワイトニングにおける化学作用を持つ光の異なる供給源の効果を比較する調査を行った。漂白セッションの3〜4日前に、予防的なセッションを各患者にて行った。各患者の歯のシェードを、ホワイトニング組成物の塗布前に記録した。
【0077】
歯を、例1で調製した組成物で被覆し、化学作用を持つ光の異なる供給源:532nmの緑色レーザー(KTP)、480nm〜414nmの青色(アルゴン)レーザー、光硬化ハロゲンランプ、及びLED光硬化装置に曝した。
【0078】
活性化ランダム化モードに従って、異なる患者においてその歯列弓の左又は右側について、活性化を行った。具体的には、第1の患者の右側を532nmの緑色レーザーで活性化する一方で、左側を480nm〜514nmの青緑色レーザーで活性化した。第2の患者の右側を光硬化ハロゲンランプで活性化する一方で、左側をLED光硬化装置で活性化した。第3の患者の右側を532nmの緑色レーザーで活性化する一方で、左側を光硬化ハロゲンランプで活性化した。第4の患者の右側を532nmの緑色レーザーで活性化する一方で、左側をLED光硬化装置で活性化した。第5の患者の右側を480nm〜514nmの青緑色レーザーで活性化する一方で、左側を光硬化ハロゲンランプで活性化した。第6の患者の右側を480nm〜514nmの青緑色レーザーで活性化する一方で、左側をLED光硬化装置で活性化した。
【0079】
組成物を各ボランティアの歯から除去し、歯を水で洗浄した。次に、歯を、VITAの尺度を用いて、組成物のホワイトニング効果について評価した。
【0080】
異なる光硬化装置による活性化によって、比較可能な結果がもたらされた。緑色レーザー及び青緑色レーザーによる活性化の速度は歯当たり4〜5秒である一方で、光硬化装置による活性化の速度は歯当たり約10秒であった。したがって、緑色レーザー又は青緑色レーザーを口全体について使用するホワイトニングのセッションは典型的には約30分かかり、光硬化装置によるセッションは典型的には約40分かかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化剤と、
約400nm〜約570nmの放射波長を有する活性化剤
とを含む歯のホワイトニング組成物。
【請求項2】
前記活性化剤が、緑色光、青色光もしくは青緑色光を放射することが可能であり、かつ/又は緑色光、青色光もしくは青緑色光を吸収する請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記活性化剤は、エオシンB、エリスロシンB又その両方を含む請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、安定化剤を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記安定化剤は、酢酸ナトリウムである請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、増粘剤を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記増粘剤が、1ミクロン以下の粒子サイズを有する二酸化ケイ素及び/又はヒュームド・シリカである請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、親水性ゲル化剤を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、促進剤を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記促進剤が、過ホウ酸ナトリウムを含む請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物のpHが、約8〜約10である請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
歯のホワイトニング方法であって、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の歯のホワイトニング組成物を少なくとも1つの歯に塗布することと、
前記歯のホワイトニング組成物を化学作用を持つ光に曝して、歯を少なくとも約1シェード白くすることとを含む、歯のホワイトニング方法。
【請求項13】
約10分以下又は約5分以下で少なくとも約2シェード歯を白くする請求項12記載の方法。
【請求項14】
処理後の過敏が微々たるものであるか、又は除去される請求項12又は13記載の方法。
【請求項15】
塗布当たり5秒以下の間、歯を前記歯のホワイトニング組成物に曝す請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物と、
該組成物を調製するか、かつ/又は塗布するための器具
とを含む歯のホワイトニングのためのキット。
【請求項17】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物と、
ホワイトニング効果を達成する組成物の塗布時間を決定するための説明書
とを含む歯のホワイトニングのためのキット。
【請求項18】
少なくとも1つの歯に、化学作用を持つ光を少なくとも1回当て、歯のホワイトニング組成物を少なくとも1回塗布して、化学作用を有する光の曝露全体が約1分以下で少なくとも約2シェード歯を白くすることを含む歯のホワイトニングの方法。
【請求項19】
約30秒以下で少なくとも約3シェード歯を白くする請求項18記載の方法。
【請求項20】
顕著な処理後の過敏がない請求項18又は19記載の方法。

【公開番号】特開2012−229229(P2012−229229A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−139830(P2012−139830)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【分割の表示】特願2008−539540(P2008−539540)の分割
【原出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(308038082)クロックス テクノロジーズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】