説明

歯ブラシ

【課題】 毛開きによる刷掃力と使用感の低下を最小限に抑えるとともに、毛開きの状態と歯ブラシ交換時期とをリンクさせ、毛開き状態から歯ブラシの交換時期をより正確に判断することができる歯ブラシを提供すること。
【解決手段】 刷毛を束ねた毛束をヘッド部1の植毛面2に複数植毛した歯ブラシにおいて、これら複数の毛束中、少なくとも1つ以上の任意の毛束4aをその毛開き状態から歯ブラシの取り替え時期を知らせるインジケータ兼用毛束として設定し、該インジケータ兼用毛束4aを構成する刷毛3aの伸長回復率を少なくとも当該インジケータ兼用毛束4aの周囲の通常毛束4bよりも小さく設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刷毛の毛開き状態から歯ブラシの取り替え時期を知らせるインジケータ兼用の毛束を備えた歯ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の歯ブラシは、ヘッド部の植毛面に1.0mm以上の間隔で植毛穴を形成し、この植毛穴に1穴当たりの刷毛本数32〜120本、刷毛断面積の総和が1.0mm以上の太い毛束を植毛していた。一般的に、歯ブラシで使用する刷毛はコスト面から1種類を採用することが多く、これらの歯ブラシは使用回数が増えるにつれて毛先が醜く開き、外観的な美観が損なわれ、さらには、耐久性が低下すると同時に歯垢除去力も著しく低下するという問題があった。
【0003】
一方、特許文献1(特開2001−314231号公報)および特許文献2(特開2003−189940号公報)には、毛束を密毛にする方法として植毛穴間隔を狭くする技術が開示されているが、これらは毛束1束当たりの刷毛本数が少ないいわゆる少数毛束を前提とした仕様ではない。
【0004】
従来、刷毛の耐久性低下の解決策として、(1)太い刷毛を植毛する、(2)毛束を太くする、(3)刷毛長を短くする、などの方法が採用されている。しかし、このような方法では毛腰強度が高くなり、ブラッシング時の刷掃感が悪いばかりでなく、歯周疾患や幼児など歯肉の弱い人に対して使用することが困難である。また、これらの方法は毛先の広がりに対する根本的な解決がなされていない。
【0005】
また、伸長回復率の異なる刷毛を用いた歯ブラシとして、豚毛のような天然毛、ポリアミド系のナイロン、ポリエステル系のポリブチレンテレフタレート(PBT)などからなる刷毛を用いた歯ブラシがある。さらに、最近ではポリトリメチレンテレフタレート(PTT)からなる刷毛を用いた歯ブラシ(特許文献3:特開平8−173244号公報、特許文献4:国際公開WO 01/75200号パンフレット、特許文献5:特表2001−511379号公報)も提案されている。
【0006】
また、刷毛の摩耗状態を表示するインジケーター毛を用いた歯ブラシとして、2重芯鞘構造の刷毛を用いた歯ブラシ(特許文献6:特開平2−152406号公報)、PTTを含む芯鞘構造の刷毛を用いた歯ブラシ(特許文献7:特開2004−24517号公報)なども提案されている。これらは、2重芯鞘を構成する外側の樹脂が磨耗することによって刷毛の色が変化し、歯ブラシの交換時期が分かるようにしたものである。しかし、実使用においては磨耗による色の変化と刷毛の開き具合とがなかなか一致しないため、インジケーター機能が十分に機能していないのが現状である。
【0007】
前記特許文献4(国際公開WO 01/75200号パンフレット)、特許文献5(特表2001−511379号公報)、さらには特許文献8(特開2003−245133号公報)では、毛の開き耐久性についても言及しているが、特許文献4と特許文献8は結果として屈曲回復率について言及しているものであり、また、特許文献5では引張回復性試験において歪を加えた状態で応力緩和時間をとっており、いずれも実際のブラッシング時のように伸びと回復が交互に続けて作用するような状態を反映したものではなく、毛の開き耐久性を確保するためには検討が不充分であった。
【0008】
【特許文献1】特開2001−314231号公報(全頁、全図)
【特許文献2】特開2003−189940号公報(全頁、全図)
【特許文献3】特開平8−173244号公報(全頁、全図)
【特許文献4】国際公開WO 01/75200号パンフレット(全頁、全図)
【特許文献5】特表2001−511379号公報(全頁、全図)
【特許文献6】特開平2−152406号公報(全頁、全図)
【特許文献7】特開2004−24517号公報(全頁、全図)
【特許文献8】特開2003−245133号公報(全頁、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のように、従来、刷毛の耐久性を向上させるには、太い刷毛径、短い刷毛長仕様などが採用されていた。しかし、近年、刷毛材料の改良や新素材の開発により、従来品よりも耐久性の高い刷毛、例えばPTT樹脂製の刷毛も採用されている。
【0010】
一方、歯磨き時のブラッシングは、人によって刷掃方法、回数、圧力、歯磨き剤の種類など、その使用条件が異なるため、歯ブラシの毛の開き方は個々バラバラであり、毛開き状態から刷掃機能がどの程度低下しているかを判断することが困難であった。このため、従来においては、毛開きによって使用感が悪くなった時点で初めて、歯ブラシを交換することが多かった。また、前述のように、従来のインジケータ刷毛などは、毛の開きとインジケータとの対応が充分に取れていないため、あまり意味のないものとなっていた。
【0011】
そこで、本発明は、毛開きによる刷掃力と使用感の低下を最小限に抑えるとともに、毛開きの状態と歯ブラシ交換時期とをリンクさせ、毛開き状態から歯ブラシの交換時期をより正確に判断することができる歯ブラシを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意実験と研究を重ねた結果、ブラッシング専用の通常毛束のほかに、歯ブラシの取り替え時期を知らせるインジケータ兼用の毛束を用意し、このインジケータ兼用毛束に用いる刷毛の伸長回復率を、ブラッシング専用の通常毛束の刷毛よりも小さく設定すれば、毛開きによる刷掃力と使用感の低下を最小限に抑えることができると同時に、毛開きの状態と歯ブラシの交換時期をリンクさせることができ、刷毛の毛開き状態から歯ブラシの交換時期を正確に判断できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0013】
すなわち、請求項1記載の歯ブラシは、刷毛を束ねた毛束をヘッド部の植毛面に複数植毛した歯ブラシにおいて、これら複数の毛束中、少なくとも1つ以上の任意の毛束をその毛開き状態から歯ブラシの取り替え時期を知らせるインジケータ兼用毛束として設定し、該インジケータ兼用毛束を構成する刷毛の伸長回復率を、当該インジケータ兼用毛束に隣接する他の通常毛束の刷毛の伸長回復率よりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【0014】
ここに、刷毛の「伸長回復率」とは、刷毛を所定率だけ伸長した後の刷毛伸長長さに対する長さ回復の割合を表すもので、刷毛を引張圧縮試験機に刷毛固定距離100mmとなるようセットし、所定率伸長させた後の回復による伸度とそのときの荷重を測定し(伸長回復速度=100mm/min)、得られた最大伸度(Tmax)と、回復時に荷重がゼロになる伸度(T0)とを用いて、下式によって算出した値である。伸長回復率が大きいほど、元の状態への回復性に優れるものである。
伸長回復率(%)={(Tmax−T0)/Tmax)}×100
【0015】
伸長回復率は刷毛の材質や構造によっては差が出にくいことがあるため、材質や構造による差が出やすい伸長範囲で測定するものとする。歯ブラシ用の刷毛の場合、20%または25%伸長時の伸長回復率を採用することが望ましい。
【0016】
上記のように、インジケータ兼用毛束に用いる刷毛の伸長回復率を通常毛束に用いる刷毛の伸長回復率よりも小さく設定すると、ブラッシング専用の通常毛束が毛開きする前に、伸長回復率の小さいインジケータ兼用毛束の方が先に毛開きする。このため、ブラッシング専用の通常毛束の刷掃力が大きく低下する前に歯ブラシの交換時期がきたことを明確に知らせることができる。
【0017】
請求項2記載の歯ブラシは、前記請求項1記載の歯ブラシにおいて、ヘッド部植毛面に植毛された少なくとも一部の毛束について、最も近接する他の毛束の植毛穴との間の穴縁間距離を1.0mm以下とするとともに、毛束1束当たりの刷毛断面積の総和を1.0mm以下としたことを特徴とするものである。
【0018】
なお、「毛束1束当たりの刷毛断面積の総和」とは、1つの植毛穴に植毛された毛束1束について、当該毛束を構成する刷毛の1本1本の断面積をすべて加算した値である。平線式植毛の場合は、2つ折りにした後の刷毛の断面積の総和である。
【0019】
毛束を植毛する植毛穴同士の距離が狭すぎると、歯間に刷毛が入りにくくなり、歯間進入性が低下する。一方、間隔が広過ぎると、外観差別性、使用感が低下する。本発明者らの実験によれば、インジケータ兼用毛束と通常毛束との間の穴縁間距離は1.0mm以下、より好ましくは0.25〜0.70mmとすればよいことが解った。穴縁間距離が1.0mmを越えると、ブラッシング運動に伴う毛束の反発作用が強くなり、毛束のゴツゴツした感触が加わるために使用感が低下するばかりでなく、隣り合う毛束同士の連続したしなり運動が発揮されず、歯垢除去効果も低下する。
【0020】
さらに、毛束1束当たりの刷毛断面積の総和を1.0mm以下、より好ましくは0.10〜0.70mmの範囲からなるいわゆる少数毛束構成とすると、毛束を構成する刷毛同士がブラッシング圧を支え合うようなことがなくなり、歯間部や歯頸部、小窩裂溝部などの口腔疾患好発部位へ毛先が進入しやすくなる。毛束1束当たりの刷毛断面積の総和が1.0mmを越えると、毛束としての強度が高くなるため、剛性の高い毛束となり、毛束の柔軟性が極端に低下するので好ましくない。
【0021】
請求項3記載の歯ブラシは、前記請求項1記載の歯ブラシにおいて、穴断面積が1.2mm以下の植毛穴を千鳥状に配列した部位を有し、これら千鳥状配列された植毛穴に植毛された各毛束の毛束1束当たり刷毛断面積の総和をそれぞれ1.0mm以下とし、かつ、該千鳥状配列された植毛穴のうち、最外側に位置する植毛穴の1/3以上を通常毛束としたことを特徴とするものである。
【0022】
「千鳥状配列」とは、ヘッド部植毛面の最外側に配置された任意の隣合った2つの植毛穴の中心と中心を結ぶ線のほぼ中点の位置からハンドル長手方向の中心線に対して垂直におろした直線上に他の植毛穴を配置することをいう。この千鳥状配列の適用位置は、ヘッド部植毛面の先端側、中央部、首側のいずれか、または植毛面全面であってもかまわない。通常は植毛面中央部に千鳥状配列を配置するのが一般的であるが、例えば奥歯仕様の場合には植毛面先端部を千鳥状配列とし、インジケータ効果を先端部に与えることが望ましい。これらは設計の範囲で任意に設定できる。さらに、最外側に配置された千鳥部に植毛される毛束は、全穴同一物性である必要はなく、穴ごとにその物性を変えてもよい。
【0023】
上記のような千鳥状配列とした場合、歯ブラシの使用回数とともに伸長回復率の小さなインジケータ兼用毛束の刷毛が千鳥状配列された通常毛束の隙間から外側に向かって徐々に開くようになる。このため、通常毛束がインジケータ兼用毛束の開きを邪魔するようなことがなくなり、交換時期を確実に知らせることができる。千鳥状配列以外の他の配列、例えば碁盤目状配列の場合でもインジケータ機能を発揮することができるが、碁盤の目状配列とした場合、使用回数とともに内側の伸長回復率の低い用毛が外側の植毛束を押し倒す形になるため、インジケータ機能の面からは千鳥状配列とすることが望ましい。
【0024】
従来の歯ブラシの場合、直径1.5〜2.2mmの円形断面の植毛穴に1穴当たり32〜120本程度の刷毛を固定していた。しかしながら、このような太い毛束では耐久性は向上するものの使用感が悪くなってしまう。また、刷毛同士がブラッシング圧を支え合ってしまい、使用感が悪くなるばかりでなく、歯間部や歯頸部、小窩裂溝部などの口腔疾患好発部へ毛先が進入しにくかった。
【0025】
これに対し、本発明の請求項3記載の歯ブラシは、穴断面積が1.2mm以下の小さな植毛穴に、刷毛断面積の総和が1.0mm以下の細い毛束(いわゆる少数毛束)を植毛しているため、刷毛の1本1本が歯牙および歯肉に届きやすくなり、口腔疾患好発部位への毛先の到達性が改善される。また、このような少数毛束植毛により、従来不可能であった細い刷毛束の連続した動きを発現させることにより、歯頸部、歯間乳頭部などの口腔粘膜に過大な負荷をかけることなく歯垢除去、歯肉マッサージ機能を発現させることが可能となる。
【0026】
請求項2記載の歯ブラシの説明でも述べたように、毛束1束当たりの刷毛断面積の総和を1.0mm以下、より好ましくは0.10〜0.70mmの範囲とした場合、毛束を構成する刷毛同士がブラッシング圧を支え合うようなことがなくなり、歯間部や歯頸部、小窩裂溝部などの口腔疾患好発部位へ毛先が進入しやすくなる。毛束1束当たりの刷毛断面積の総和が1.0mmを越えると、毛束としての強度が高くなるため、剛性の高い毛束となり、毛束の柔軟性が極端に低下するので好ましくない。例えば、断面円形の7mil(0.178mm)毛の場合を例に取ると、1穴当たりの刷毛断面積の総和が0.10〜0.70mmの範囲となる刷毛本数はおよそ5〜14本であり、平線式植毛に限ってみると折り返しで10〜28本に相当する。なお、この刷毛本数の例は設計上の1つの目安であって、歯ブラシの仕様と刷毛径、刷毛断面形状などによって随時設定できるものである。
【0027】
さらに、請求項3記載の歯ブラシでは、千鳥状配列された植毛穴のうち、最外側に位置する植毛穴の1/3以上を通常毛束としているので、歯ブラシとしての清掃力が低下するようなこともなく、通常の歯ブラシと同等の刷掃力を維持することができる。伸長回復率の高い通常毛束の数が1/3よりも少ないと、ブラッシング圧力を支える力が減少するために伸長回復率の低いインジケータ兼用毛束が開きやすくなり、歯垢除去機能が低下してしまう。
【0028】
請求項4記載の歯ブラシは、前記請求項2または3記載の歯ブラシにおいて、刷毛断面積の総和が1.0mm以下の毛束からなる植毛穴の数が25個以上、100個未満、より好ましくは40個から80個であることを特徴とするものである。このような構成とした場合、本発明の歯ブラシのインジケータ機能を最大限に発揮することができる。
【0029】
植毛穴の数が20個前後の歯ブラシでは、植毛穴の数が少なすぎるために本発明の歯ブラシ構造をヘッド部植毛面に構築することは困難である。また、仮に一部の毛束配列に本発明の歯ブラシ構造を組み込んだとしても、従来採用されている毛束は太く、毛束としての剛性が高いために刷毛単独の伸長回復率が反映されず、充分なインジケータ機能を発揮することが困難となり、刷毛の開きは不自然となる。つまり、伸長回復率が高くて太い毛束の間に配置された伸長回復率の低い毛束は、周囲の毛束にブラッシング圧力が支えられてしまうため、適度に開くことができない。
【0030】
本発明者らの実験によれば、本発明の歯ブラシの効果を最大限に引き出すには、刷毛の断面積総和が1.0mm以下のいわゆる少数毛束とした上で、この少数毛束を植毛された植毛穴の数を25個以上、100個未満、より好ましくは40個から80個とすればよいことが解った。穴数が25個よりも少ないと、充分なインジケーター機能が発揮できず、逆に穴数が100個を超えると、本発明仕様の歯ブラシの生産が難しくなり、歩留まりが低下する。
【0031】
請求項5記載の歯ブラシは、前記請求項1〜4のいずれかに記載の歯ブラシにおいて、前記インジケータ兼用毛束を構成する刷毛と通常毛束を構成する刷毛の色を異ならせたことを特徴とするものである。このような構成とした場合、インジケータ兼用毛束の開き具合を色の違いによってより明瞭に表示させることができ、歯ブラシの交換時期をより確実に知らせることができる。
【0032】
また、請求項6記載の歯ブラシは、前記請求項1〜5のいずれかに記載の歯ブラシにおいて、前記通常毛束を構成する刷毛としてポリトリメチレンテレフタレート(PTT)からなる刷毛を用いたことを特徴とするものである。PTT刷毛は、伸長・回復特性に優れるので、ブラッシング用刷毛としての通常毛束の耐久性をより高めることができる。
【0033】
植毛穴の穴形状としては、通常の円形穴や正方形穴を組み合わせてもよいが、楕円形穴、長円形穴、長方形穴などの長軸方向と短軸方向を有する穴形状を採用することもできる。植毛穴の短軸方向と長軸方向の向きを組み合わせることにより、目的とする毛の当たり心地、刷掃実感に応じた仕様の設計が可能となる。例えば、長方形穴を用い、この長方形穴の短軸側が歯ブラシ側面側から見えるように外側に向けて配列すると、同じ本数の刷毛を植毛した円形穴の毛束と比較して毛束が細く見えるようになり、歯ブラシとしての外観差別性を向上させることができる。
【0034】
毛束の植毛方法としては、平線式植毛法、熱融着法、インモールド法、レーザー法、超音波法など、従来公知の方法を用いることができる。平線式植毛法による場合、植毛穴の長軸方向に平線を打ち込めば、毛束が植毛穴内で平線に沿って一列に並ぶため、植毛強度を向上させることができる。また、平線の打ち込み方向によってヘッド部最外側の毛束が細く見えるため、外観差別性を向上させることができる。この際の植毛穴形状は、毛束と植毛穴との隙間を減らすために長方形穴、長円形穴とすることが好ましい。また、短軸方向に平線を打ち込む際は、毛束断面に対する外接円の直径と植毛穴の短軸寸法を合致させることにより、植毛束と植毛穴との間の空間を少なくすることが可能となり、毛立ちの優れた植毛部を作成することができる。この際に使用する刷毛が円形断面の場合には、植毛穴形状を略楕円形、略長円形とすればより好ましい。ただし、熱融着法、インモールド法、レーザー法、超音波法など、平線を使用しない他の植毛方法の場合はこの限りではない。
【0035】
平線の材質は、真鍮、ステンレスなどの金属のほか、生分解性プラスチックをはじめ、硬質プラスチックなども使用可能である。植毛穴と毛束とを確実に固定してすき間を少なくするためには、平線の厚みを変えて空隙を調整するようにすればよい。使用する平線の幅や厚さ、長さになどには特に制限はなく、設計仕様に応じて任意に設定できる。
【0036】
歯ブラシヘッド部は、その形状、大きさ、デザインとも何ら制限を受けない。ヘッド部の厚みとしては最小厚みとして、平線式植毛法と平線式植毛法以外の他の植毛法によって若干違いが見られるが、一般的には2〜6mm程度の厚みとされる。
【0037】
歯ブラシハンドルの材料としては、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、セルロースプロピオネート樹脂(CP)、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、ポリアセタール樹脂(POM)、飽和ポリエステル樹脂(PCTA、PCTG)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの素材を、単独または混合して用いることができる。また、熱可塑性エラストマーと組み合わせた多色成形ハンドルとすることも好ましい。なお、ハンドル材料はこれらの材料のみに限定されるものではない。
【0038】
刷毛材料としては、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)などのポリエステル系樹脂、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン6−10,ナイロン6−12,ナイロン12などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン,ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのポリハロゲン化ビニルなど、溶融紡糸できる素材が利用される。20%または25%伸長回復率が異なるものであればよく、これらの材料を多重芯鞘構造に成形したり、互いに組み合わせて複合フィラメントとして使用することも可能である。
【0039】
複合フィラメントとしては、例えばPBTを主成分とした場合、前記樹脂の中でもPBTと相溶性の高いポリエステル系樹脂を用いることが好ましく、各々の樹脂を所定の割合で配合し、溶融紡糸して作ることができる。このときの配合割合としては、PBTの剛性を維持するためにPBTを60重量%以上含み、それ以外の樹脂を10〜40重量%としたものが好ましい。例えば、PBTを60重量%、PTTを40重量%で混合溶融して紡糸した8mil(0.203mm)のフィラメント(刷毛)の25%伸長回復率は65%程度となる。この際の伸長回復率は、材質個々の伸長回復率ではなく、刷毛全体としての伸長回復率である。
【0040】
また、芯材としてPBTまたはPTTなどのポリエステル系樹脂に同系列のエラストマー(ハイトレルなど)を5〜30%程度配合したものを用い、鞘部分に同系列のエラストマーを用いて2重芯鞘構造のフィラメントに紡糸し、伸長回復率の異なる刷毛とすることも可能である。
【0041】
また、2重芯鞘構造にしなくとも、ベースにポリアミド樹脂を用いた場合には同類の親和性の高いポリマーを、また、ベースにポリエステル樹脂を用いた場合には同類の親和性の高いポリマーをそれぞれ適宜配合し、伸長回復率を変化させた刷毛とすることも可能である。
【0042】
刷毛の太さとしては、断面が円形の場合には、3〜10mil(0.076〜0.254mm)、好ましくは5〜8mil(0.125〜0.203mm)のものが望ましいが、毛束は全て同一の刷毛径や色である必要はなく、例えば、6mil(0.152mm)と7mil(0.178mm)、あるいは6mil(0.152mm)と8mil(0.203mm)といったように、使用性、刷掃感、清掃効果、耐久性など考慮してこれらを組み合わせて利用してもよい。さらには、刷毛材質の異なるものを組み合わせることもできるし、シリコンやエラストマーのようなゴム様の刷毛やチップと組み合わせてもよい。
【0043】
刷毛の種類としては、通常のラウンド刷毛、テーパ刷毛、ダイヤモンド刷毛(Tynex(登録商標) Brilliance Collection filaments)、フェザー刷毛(Tynex FEATHERED Fillaments)、その他異形断面刷毛(Tynex HEXAGONAL Fillaments, Tynex RECTANGULAR Fillaments) 、グレイニー刷毛(Tynex GRAINY filaments)、スパイラルキャッチ刷毛、インジケーター刷毛など、公知の刷毛を用いることができる。なお、これらの刷毛に制限されるものではない。
【0044】
刷毛のプロファイルに関しては、自由端部の毛切り形状や刷毛長を任意に設定することにより、単一平面状、山切り状、凹凸形状とするなど、自由に設定することが可能である。さらには、外側と内側、先端部と後端部などで異なった構成としてもよい。刷毛先端の毛切り形状は、カッター形状の工夫や複数回の毛切り工程により様々な形状の組み合わせとすることができ、通常は各刷毛の先端を丸め処理する。また、テーパー毛を用いる場合には、毛切り工程を経ないこともあり、その場合には毛先丸め処理は必要ない。
【0045】
刷毛の太さは、通常は毛先丸め部を除いて1本の刷毛内では同じ太さ(同一径)であるが、刷毛の長軸方向へ向けて所定のピッチでねじられていたり、ウェーブ処理、クリンプ処理を加えるなどしてもよい。また、毛束の根元部付近では上記刷毛太さで刷毛先端へ向かうに従って徐々に径が細くなるテーパー毛の形態(例えば先端部分の径が0.01〜0.08mm)であってもよい。また、刷毛の先端を、ヘラ状、スクレイパ−状、球状などに毛先加工してもよい。
【0046】
毛束の断面形状は、通常は円形であるが、必ずしも円形である必要はなく、植毛部の設計に合わせて、楕円形、長円形、三角形や四角形などの多角形、直線や曲線あるいはこれらを組み合わせた不定形としてもよい。また、特に平線式植毛の場合においては、これら不定形の毛束と穴縁間距離0.1mm以下という薄壁穴間植毛を組み合わせることにより、見かけ上連続した直線状あるいは曲線状の毛束群とすることもできる。
【0047】
刷毛の着色については、透明(ナチュラル)のまま用いることもできるし、顔料や染料による透明系着色刷毛あるいは不透明着色(白を含む)刷毛などが歯ブラシ外観の商品性を考慮して適宜選択される。必要に応じて、それらの2種あるいはそれ以上を毛束単位や毛束内で組み合わせて使用してもよく、また、刷毛断面を多重芯鞘構造とする場合には、部分的に異なる素材や着色のものと組み合わせて用いることもできる。特に、ヘッド部の最外側の植毛穴には、伸長回復率の違いに合わせて色を変えた刷毛を用いると視認性に優れ、好ましい。
【0048】
刷毛の着色方法としては、一般に用いられるように紡糸する際の樹脂そのものを着色するか、紡糸後あるいは紡糸工程に付随して、刷毛表面から着色することができる。また、ヘッド部へ植毛する前のカットピース(長さ25〜35mm程度のフィラメント束)の状態であるいはヘッド部への植毛後に、刷毛の先端部分のみあるいは刷毛全体を着色することもできる。また、刷毛の特性を損なわない範囲内で、熱や光に対する安定化剤、難燃剤、フィラー、表面潤滑剤、帯電防止剤、殺菌素材(抗菌素材)などを適宜配合あるいは塗布し、さらには、他の硬質樹脂やエラストマーを適宜配合あるいは塗布してもよい。
【0049】
植毛角度(ヘッド部植毛面と刷毛とのなす角度)は、必ずしもヘッド部植毛面に対して垂直(90度)である必要はなく、例えば特定の方向の掻き取り効果を高める目的で、ヘッド部植毛面に対して15度ないし20度程度まで傾斜して植毛してもよい。
【0050】
ヘッド部植毛面から刷毛先端までの垂直方向の刷毛長(毛丈)は、使用感や清掃効果などを考慮して毛束仕様や刷毛仕様によって適宜選択されるが、一般には、大人用として8〜12mm、子供用として6〜10mmとされる。
【発明の効果】
【0051】
請求項1記載の歯ブラシによるときは、少なくとも1つ以上の任意の毛束をその毛開き状態から歯ブラシの取り替え時期を知らせるインジケータ兼用毛束として設定し、該インジケータ兼用毛束を構成する刷毛の伸長回復率を、当該インジケータ兼用毛束に隣接する他の通常毛束の刷毛の伸長回復率よりも小さく設定したので、毛開きによる刷掃力と使用感の低下を最小限に抑えることができると同時に、毛開きの状態と歯ブラシの交換時期とをリンクさせることができ、刷毛の毛開き状態から歯ブラシの交換時期を正確に判定することができる。
【0052】
請求項2記載の歯ブラシによるときは、ヘッド部植毛面に植毛された少なくとも一部の毛束について、最も近接する他の毛束の植毛穴との間の穴縁間距離を1.0mm以下とするとともに、毛束1束当たりの刷毛断面積の総和を1.0mm以下としたので、少数本の刷毛からなる細い毛束、いわゆる少数毛束が、少数毛束にとって最も好ましい間隔で配置され、毛束を構成する刷毛の1本1本が歯牙および歯肉に届きやすくなり、口腔疾患好発部位への毛先の到達性が改善される。また、少数毛束植毛により、従来不可能であった細い毛の連続した動きを発現させることができ、歯頸部、歯間乳頭部などの口腔粘膜に過大な負荷をかけることなく歯垢除去、歯肉マッサージ機能を発現させることができる。
【0053】
請求項3記載の歯ブラシによるときは、穴断面積が1.2mm以下の植毛穴を千鳥状に配列した植毛部位を有し、これら千鳥状配列された植毛穴に植毛された各毛束の毛束1束当たりの刷毛断面積の総和を1.0mm以下とし、かつ、該千鳥状配列された植毛穴のうち、最外側に位置する植毛穴の1/3以上を通常毛束としたので、歯ブラシの使用回数とともに伸長回復率の小さなインジケータ兼用毛束の刷毛が千鳥状配列された最外側の通常毛束の隙間から外側に向かって徐々に開くようになる。このため、最外側の通常毛束がインジケータ兼用毛束の開きを邪魔するようなことがなくなり、交換時期を確実に知らせることができる。また、少数本の刷毛からなる細い毛束、いわゆる少数毛束が千鳥状に配置された状態となるので、毛束を構成する刷毛の1本1本が歯牙や歯肉に届きやすくなり、口腔疾患好発部位への毛先の到達性が改善される。また、少数毛束植毛のため、従来不可能であった細い毛の連続した動きを発現させることができ、歯頸部、歯間乳頭部などの口腔粘膜に過大な負荷をかけることなく、歯垢除去、歯肉マッサージ機能を発現させることができる。
【0054】
請求項4記載の歯ブラシによるときは、刷毛断面積の総和が1.0mm以下の毛束からなる植毛穴の数を25個以上、100個未満としたので、本発明の歯ブラシのインジケータ機能を最大限に発揮させることができる。
【0055】
請求項5記載の歯ブラシによるときは、インジケータ兼用毛束を構成する刷毛と通常毛束を構成する刷毛の色を異ならせたので、インジケータ兼用毛束の毛開き状態の視認が容易となり、歯ブラシの取り替え時期をより確実に判別することができる。
【0056】
請求項6記載の歯ブラシによるときは、通常毛束を構成する刷毛としてポリトリメチレンテレフタレート(PTT)からなる刷毛を用いたので、より耐久性に優れた歯ブラシを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
図1に、本発明に係る歯ブラシの第1の実施の形態を示す。
この第1の実施の形態は、請求項2記載の歯ブラシの構成に対応するもので、図1(a)は歯ブラシヘッド部の一部拡大平面図、図1(b)は植毛穴に植毛された毛束の略示拡大斜視図、図1(c)は植毛穴と毛束部分の拡大平面図である。
【0058】
この第1の実施の形態は、ヘッド部1の植毛面2に刷毛を束ねた毛束を複数植毛した歯ブラシにおいて、これら複数の毛束中、少なくとも1つ以上の任意の毛束4aをその毛開き状態から歯ブラシの取り替え時期を表示するためのインジケータ兼用の毛束4a(図1(a)中、黒塗りの毛束)に設定するとともに、他の毛束4bをブラッシング専用の通常毛束(図1(a)中、白抜きの毛束)とし、インジケータ兼用毛束4aを構成する刷毛3bの20%または25%伸長回復率を、当該インジケータ兼用毛束4aと隣り合う通常毛束4bを構成する刷毛3bの20%または25%伸長回復率よりも小さく設定したものである。
【0059】
さらに、これら各毛束4a,4bについて、それぞれの毛束が最も近接する他の毛束の植毛穴5aまたは5bとの間の穴縁間距離dを1.0mm以下に設定するとともに、各毛束4a,4bのそれぞれについて、毛束1束当たりの刷毛断面積の総和を1.0mm以下としたものである。なお、符号6は毛束を2つ折りに打ち込むための平線である。
【0060】
ここにおいて、毛束1束当たりの刷毛断面積の総和とは、図1(c)に示すように、1つの植毛穴5a(5b)に植毛された毛束4a(4b)の1束について、当該毛束を構成する刷毛3a(3b)の1本1本の断面積をすべて加算した値である。
【0061】
図2に、本発明に係る歯ブラシの第2の実施の形態を示す。
この第2の実施の形態は、請求項3記載の歯ブラシの構成に対応するもので、図2(a)は植毛穴として略長方形状の植毛穴を採用した場合の例、図2(b)は植毛穴として長円形穴、丸穴、菱形穴を組み合わせた場合の例をそれぞれ示すものである。
【0062】
この第2の実施の形態は、ヘッド部1の植毛面2に刷毛を束ねた毛束を複数植毛した歯ブラシにおいて、これら複数の毛束中、少なくとも1つ以上の任意の毛束4aをその毛開き状態から歯ブラシの取り替え時期を表示するためのインジケータ兼用の毛束4a(図2中、黒塗りの毛束)に設定するとともに、他の毛束をブラッシング専用の通常毛束4b(図2中、白抜きの毛束)とし、インジケータ兼用毛束4aの刷毛3bの20%または25%伸長回復率を、通常毛束4bの刷毛3bの20%または25%伸長回復率よりも小さく設定し、さらに、これら植毛穴5a,5bの穴断面積を1.2mm以下とするとともに、千鳥状に配列し、これら千鳥状配列された植毛穴5a,5bに植毛された各毛束4a,4bの毛束1束当たりの刷毛断面積の総和をそれぞれ1.0mm以下とし、かつ、該千鳥状配列された植毛穴のうち、最外側に位置する植毛穴の少なくとも1/3以上を通常毛束4bとしたものである。
【0063】
なお、千鳥状配列とは、図2(a)(b)中に示すように、ヘッド部1の植毛面2の最外側に配置された任意の隣合った2つの植毛穴5a(5b)の中心と中心を結ぶ線のほぼ中点の位置からハンドル長手方向の中心線X−Xに対して垂直におろした直線上に、他の植毛穴を配置することをいう。
【0064】
以下、本発明の歯ブラシの試験例を示す。
【0065】
<試験例1>
試験例1は、請求項2記載の構成からなる歯ブラシの試験例である。
1.植毛部開き試験
図3に示す仕様からなる本発明歯ブラシ(本発明品1〜4)と従来歯ブラシ(比較品1,2)を作製し、モデル耐久性試験機を用いて刷掃回数の増加による毛開き耐久性試験を行った。
【0066】
試験方法は、歯ブラシヘッド部を金属製の波板上に位置して刷毛先端が波板表面に接するようにして波板と平行に対向配置し、歯ブラシヘッド部と波板の全体を35℃の温水中に浸漬し、歯ブラシヘッド部を波板の波と直行する向きに往復運動させる。試験条件は、歯ブラシヘッド部に300gの荷重をかけた状態で、往復速度150回/分、刷掃ストローク40mmで3万回まで刷掃し、それぞれの歯ブラシについて植毛部開き率を測定した。
【0067】
なお、植毛部開き率とは、使用開始前にヘッド部に植毛された植毛群の植毛部幅(ハンドル長手方向に対して直角方向の刷毛群の毛先位置での全幅)を測定し、モデル耐久性試験機で所定回数(3万回)刷掃した後、再度植毛部幅を測定し、その差を刷掃前の植毛部幅で除して100倍し、パーセント表示したものである。この時に測定する植毛部幅部分は、最も外側に広がった毛束位置とする。
植毛部開き率(%)={(刷掃後の植毛部幅−刷掃前の植毛部幅)/(刷掃前の植毛部幅)}×100
【0068】
2.モデル歯垢除去力試験
上記3万回刷掃試験後の歯ブラシを用いてモデル歯垢除去力試験を行なった。
試験方法は、ニッシン社製の成人上顎模型の右側頬側第1大臼歯の歯頸部および咬合面に、モデル歯垢として赤色ペイントを塗布し、歯ブラシを歯に対して垂直に200gの荷重で押し当て、この状態で往復ストローク20mmで20回刷掃した後、歯垢除去率を測定した。
【0069】
なお、歯垢除去率とは、清掃力試験前に第1大臼歯の歯頸部および咬合面のモデル歯垢占有面積を画像解析により測定し、清掃力試験後に再度同部位の歯垢占有面積を測定し、その差を試験前の歯垢占有面積で除して100倍し、パーセント表示したものである。
歯垢除去率(%)={(清掃力試験前の歯垢占有面積−清掃力試験後の歯垢占有面積/清掃試験前の歯垢占有面積)}×100
【0070】
3.官能評価試験
歯ブラシの毛開き状態と歯ブラシの交換時期とがリンクしているかどうかの官能評価試験を行なった。評価は、一般消費者25名により、「良くリンクしている」、「どちらともいえない」、「リンクしていない」の7段階官能評価によった。「良くリンクしている」と判定した場合のスコアを7点、「どちらともいえない」と判定した場合のスコアを4点、「リンクしていない」と判定した場合のスコアを1点とし、25名による評価結果の平均値をその歯ブラシの評価結果とした。
【0071】
試験結果を表1に示す。
表1から明らかなように、従来仕様からなる比較品1,2は、歯ブラシの歯垢除去機能の低下と同時に毛の開きが大きくなるが、消費者はまだ使えるものと認知するのに対し、本発明品1〜4は、歯垢除去力の低下が抑えられ、歯ブラシの交換時期と毛開きの状態がリンクしており、歯垢除去機能を低下させることなく歯ブラシの交換時期を知らせることができ、口腔衛生意識の向上に優れた歯ブラシであることが確認された。
【0072】
【表1】

【0073】
<試験例2>
試験例2は、請求項3記載の構成からなる歯ブラシの試験例である。
すなわち、図4に示す仕様からなる本発明歯ブラシ(本発明品5〜8)と従来歯ブラシ(比較品3,4)を作製し、前記試験例1の場合と同様の方法によって、開き耐久性試験、モデル歯垢除去力試験、官能評価試験を行なった。その結果を表2に示す。
【0074】
表2から明らかなように、比較品3,4は歯ブラシの毛の開き状態と交換時期がリンクしているものの、歯垢除去機能が著しく低下したり(比較品3)、歯ブラシの歯垢除去機能の低下と同時に毛の開きが大きくなるが消費者はまだ使えるものと認知している(比較品4)。一方、本発明品5〜8は、歯垢除去力の低下を抑え、歯ブラシの交換時期と毛開きがリンクしており、歯垢除去機能を低下させることなく歯ブラシの交換時期がわかる、口腔衛生意識の向上に優れた歯ブラシであることが確認された。
【0075】
【表2】

【実施例】
【0076】
以下、本発明に係る歯ブラシの具体的な実施例を示す。
なお、以下に示す各実施例において、第1〜第9の実施例(図5〜図13)は請求項2記載の歯ブラシの実施例に相当し、第10〜第20の実施例(図14〜図24)は請求項3記載の歯ブラシの実施例に相当するものである。
【0077】
図5に、本発明に係る歯ブラシの第1の実施例を示す。
この第1の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.52mmの大きさからなる長円形状の植毛穴を76穴形成し、インジケータ兼用毛束4a(図中、黒色で塗り潰した植毛穴。以下同様)として、青色に着色した直径8mil(0.203mm)の6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4b(図中、白抜きで示した植毛穴。以下同様)として、自然色(ナチュラル)からなる直径8milのPTT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の25%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPTT刷毛の25%伸長回復率=75%に設定した。
【0078】
図6に、本発明に係る歯ブラシの第2の実施例を示す。
この第2の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.32mmの大きさからなる略長方形状の植毛穴を64穴形成し、インジケータ兼用毛束4aとして、青色に着色した直径8milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、自然色(ナチュラル)からなる直径8milのPBT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPBT刷毛の20%伸長回復率=75%に設定した。
【0079】
図7に、本発明に係る歯ブラシの第3の実施例を示す。
この第3の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.52mmの大きさからなる長円形状の植毛穴を74穴形成し、インジケータ兼用毛束4aとして、PBTとPTTを80:20の割合で樹脂ブレンドした直径8milの青色に着色した刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、自然色(ナチュラル)からなる直径8milのPTT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成するPBTとPTTを80:20の割合で樹脂ブレンドした刷毛の25%伸長回復率=65%、通常毛束4bを構成するPTT刷毛の25%伸長回復率=75%に設定した。
【0080】
図8に、本発明に係る歯ブラシの第4の実施例を示す。
この第4の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.32mmの大きさからなる略長方形状の植毛穴を71穴形成し、インジケータ兼用毛束4aとして、緑色に着色した直径8milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、自然色(ナチュラル)からなる直径8milのPTT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPTT刷毛の20%伸長回復率=75%に設定した。
【0081】
図9に、本発明に係る歯ブラシの第5の実施例を示す。
この第5の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.52mmの大きさからなる長円形状の植毛穴を79穴形成し、インジケータ兼用毛束4aとして、緑色に着色した直径6mil(0.152mm)の刷毛からなる6−12ナイロン毛束と、PBTとPTTを70:30の割合で樹脂ブレンドした直径6milの青色に着色した刷毛からなる毛束と、さらに、それ以外の通常毛束4bとして、自然色(ナチュラル)からなる直径6milのPTT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の25%伸長回復率=55%、同じくインジケータ兼用毛束4aを構成するPBTとPTTを70:30の割合で樹脂ブレンドした刷毛の25%伸長回復率=65%、通常毛束4bを構成するPTT刷毛の25%伸長回復率=75%に設定した。
【0082】
図10に、本発明に係る歯ブラシの第6の実施例を示す。
この第6の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.92mmの大きさからなる長円形状の植毛穴を49穴形成し、インジケータ兼用毛束4aとして、緑色に着色した直径8milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、白色からなる直径8milのPBTテーパー刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPBTテーパー刷毛の20%伸長回復率=75%に設定した。
【0083】
図11に、本発明に係る歯ブラシの第7の実施例を示す。
この第7の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.52mmの大きさからなる長円形状の植毛穴を61穴形成し、インジケータ兼用毛束4aとして、緑色に着色した直径8milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、PBTとPTTを60:40の割合で樹脂ブレンドした直径8milの自然色(ナチュラル)の刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPBTとPTTを60:40の割合で樹脂ブレンドした刷毛の20%伸長回復率=65%に設定した。
【0084】
図12に、本発明に係る歯ブラシの第8の実施例を示す。
この第8の実施例は、直径0.8mmからなる円形状の植毛穴を2穴、直径1.0mmからなる円形状の植毛穴を24穴、短軸方向0.64mm×長軸方向1.32mmの大きさからなる略長方形状の植毛穴を45穴形成し、インジケータ兼用毛束4aとして、緑色に着色した直径6milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、白色からなる直径6milのPBT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPBT刷毛の20%伸長回復率=75%に設定した。
【0085】
図13に、本発明に係る歯ブラシの第9の実施例を示す。
この第9の実施例は、直径1.0mmからなる円形状の植毛穴を2穴、短軸方向0.60mm×長軸方向2.0mmの大きさからなる略長方形状の植毛穴を39穴形成し、インジケータ兼用毛束4aとして、青色に着色した直径8milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、PBTとPTTを65:35の割合で樹脂ブレンドした直径8milの自然色(ナチュラル)のテーパー刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPBTとPTTを65:35の割合で樹脂ブレンドしたテーパー刷毛の20%伸長回復率=65%に設定した。
【0086】
図14に、本発明に係る歯ブラシの第10の実施例を示す。
この第10の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.52mmの大きさからなる長円形状の植毛穴を76穴形成し、これらを千鳥状に配置したもので、インジケータ兼用毛束4aとして、青色に着色した直径8milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、自然色(ナチュラル)からなる直径8milのPTT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPTT刷毛の20%伸長回復率=75%に設定した。
【0087】
図15に、本発明に係る歯ブラシの第11の実施例を示す。
この第11の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.32mmの大きさからなる略長方形状の植毛穴を64穴形成し、これらを千鳥状に配置したもので、インジケータ兼用毛束4aとして、青色に着色した直径8milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、自然色(ナチュラル)からなる直径8milのPBT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPBT刷毛の20%伸長回復率=75%に設定した。
【0088】
図16に、本発明に係る歯ブラシの第12の実施例を示す。
この第12の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.52mmの大きさからなる長円形状の植毛穴を74穴形成し、これらを縦向きと横向きに千鳥状に配置したもので、インジケータ兼用毛束4aとして、PBTとPTTを80:20の割合で樹脂ブレンドした直径8milの青色に着色した刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、自然色(ナチュラル)からなる直径8milのPTT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成するPBTとPTTを80:20の割合で樹脂ブレンドした刷毛の25%伸長回復率=65%、通常毛束4bを構成するPTT刷毛の25%伸長回復率=72%に設定した。
【0089】
図17に、本発明に係る歯ブラシの第13の実施例を示す。
この第13の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.32mmの大きさからなる略長方形状の植毛穴を71穴形成し、これらを千鳥状に配列したもので、インジケータ兼用毛束4aとして、緑色に着色した直径8milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、自然色(ナチュラル)からなる直径8milのPTT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPTT刷毛の20%伸長回復率=75%に設定した。
【0090】
図18に、本発明に係る歯ブラシの第14の実施例を示す。
この第14の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.52mmの大きさからなる長円形状の植毛穴を79穴形成し、これらを千鳥状に配置するともに、インジケータ兼用毛束4aとして、緑色に着色した直径6milの6−12ナイロン刷毛からなる毛束と、PBTとPTTを70:30の割合で樹脂ブレンドした直径6milの青色に着色した刷毛からなる毛束を用い、それ以外の通常毛束4bとして、自然色(ナチュラル)からなる直径6milのPTT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の25%伸長回復率=48%、同じくインジケータ兼用毛束4aを構成するPBTとPTTを70:30の割合で樹脂ブレンドした刷毛の25%伸長回復率=65%、通常毛束4bを構成するPTT刷毛の25%伸長回復率=72%に設定した。
【0091】
図19に、本発明に係る歯ブラシの第15の実施例を示す。
この第15の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.92mmの大きさからなる長円形状の植毛穴を49穴形成し、これらを千鳥状に配列したもので、インジケータ兼用毛束4aとして、緑色に着色した直径8milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、白色からなる直径8milのPBTテーパー刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPBTテーパー刷毛の20%伸長回復率=75%に設定した。
【0092】
図20に、本発明に係る歯ブラシの第16の実施例を示す。
この第16の実施例は、短軸方向0.64mm×長軸方向1.52mmの大きさからなる長円形状の植毛穴を61穴形成し、これらを千鳥状に配置したもので、インジケータ兼用毛束4aとして、緑色に着色した直径8milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、PBTとPTTを60:40の割合で樹脂ブレンドした直径8milの自然色(ナチュラル)の刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPBTとPTTを60:40の割合で樹脂ブレンドした刷毛の20%伸長回復率=65%に設定した。
【0093】
図21に、本発明に係る歯ブラシの第17の実施例を示す。
この第17の実施例は、直径0.8mmからなる円形状の植毛穴を2穴、直径1.0mmからなる円形状の植毛穴を24穴、短軸方向0.64mm×長軸方向1.32mmの大きさからなる略長方形状の植毛穴を45穴形成し、略長方形状の植毛穴と丸穴とを千鳥状に配置したもので、インジケータ兼用毛束4aとして、緑色に着色した直径6milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、白色からなる直径6milのPBT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPBT刷毛の20%伸長回復率=75%に設定した。
【0094】
図22に、本発明に係る歯ブラシの第18の実施例を示す。
この第18の実施例は、直径1.0mmからなる円形状の植毛穴を2穴、短軸方向0.64mm×長軸方向1.85mmの大きさからなる略長方形状の植毛穴を39穴形成し、略長方形状の植毛穴を千鳥状に配置したもので、インジケータ兼用毛束4aとして、青色に着色した直径8milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、PBTとPTTを65:35の割合で樹脂ブレンドした直径8milの自然色(ナチュラル)のテーパー刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPBTとPTTを65:35の割合で樹脂ブレンドしたテーパー刷毛の20%伸長回復率=65%に設定した。
【0095】
図23に、本発明に係る歯ブラシの第19の実施例を示す。
この第19の実施例は、直径1.7mmからなる円形状の植毛穴を4穴、短軸方向0.64mm×長軸方向1.52mmの大きさからなる長円形状の植毛穴を55穴形成し、長円形状の植毛穴を千鳥状に配置したもので、インジケータ兼用毛束4aとして、青色に着色した直径7mil(0.178mm)の6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、自然色(ナチュラル)からなる直径7milのPTT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPTT刷毛の20%伸長回復率=75%に設定した。
【0096】
図24に、本発明に係る歯ブラシの第20の実施例を示す。
この第20の実施例は、直径1.5mmからなる円形状の植毛穴を2穴、短軸方向0.64mm×長軸方向1.52mmの大きさからなる長円形状の植毛穴を54穴形成し、長円形状の植毛穴を千鳥状に配置したもので、インジケータ兼用毛束4aとして、緑色に着色した直径8milの6−12ナイロン刷毛を用いるとともに、それ以外の通常毛束4bとして、自然色(ナチュラル)からなる直径8milのPBT刷毛を用いたものである。インジケータ兼用毛束4aを構成する6−12ナイロン刷毛の20%伸長回復率=55%、通常毛束4bを構成するPBT刷毛の20%伸長回復率=75%に設定した。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係る歯ブラシの第1の実施の形態を示すもので、(a)は歯ブラシヘッド部の一部拡大平面図、(b)は植毛穴に植毛された毛束の略示拡大斜視図、(c)はその平面図である。
【図2】本発明に係る歯ブラシの第2の実施の形態の歯ブラシヘッド部の一部拡大平面図を示すもで、(a)は略長方形状の植毛穴を用いた場合の例、(b)は長円形穴、丸穴、菱形穴を組み合わせた場合の例をそれぞれ示すものである。
【図3】試験例1で用いた歯ブラシの仕様を示す図である。
【図4】試験例2で用いた歯ブラシの仕様を示す図である。
【図5】本発明に係る歯ブラシの第1の実施例を示す図である。
【図6】本発明に係る歯ブラシの第2の実施例を示す図である。
【図7】本発明に係る歯ブラシの第3の実施例を示す図である。
【図8】本発明に係る歯ブラシの第4の実施例を示す図である。
【図9】本発明に係る歯ブラシの第5の実施例を示す図である。
【図10】本発明に係る歯ブラシの第6の実施例を示す図である。
【図11】本発明に係る歯ブラシの第7の実施例を示す図である。
【図12】本発明に係る歯ブラシの第8の実施例を示す図である。
【図13】本発明に係る歯ブラシの第9の実施例を示す図である。
【図14】本発明に係る歯ブラシの第10の実施例を示す図である。
【図15】本発明に係る歯ブラシの第11の実施例を示す図である。
【図16】本発明に係る歯ブラシの第12の実施例を示す図である。
【図17】本発明に係る歯ブラシの第13の実施例を示す図である。
【図18】本発明に係る歯ブラシの第14の実施例を示す図である。
【図19】本発明に係る歯ブラシの第15の実施例を示す図である。
【図20】本発明に係る歯ブラシの第16の実施例を示す図である。
【図21】本発明に係る歯ブラシの第17の実施例を示す図である。
【図22】本発明に係る歯ブラシの第18の実施例を示す図である。
【図23】本発明に係る歯ブラシの第19の実施例を示す図である。
【図24】本発明に係る歯ブラシの第20の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 ヘッド部
2 植毛面
3a インジケータ兼用毛束の刷毛
3b 通常毛束の刷毛
4a インジケータ兼用毛束
4b 通常毛束
5a インジケータ兼用毛束の植毛穴
5b 通常毛束の植毛穴
6 平線
d 穴縁間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刷毛を束ねた毛束をヘッド部の植毛面に複数植毛した歯ブラシにおいて、
これら複数の毛束中、少なくとも1つ以上の任意の毛束をその毛開き状態から歯ブラシの取り替え時期を知らせるインジケータ兼用毛束として設定し、
該インジケータ兼用毛束を構成する刷毛の伸長回復率を、当該インジケータ兼用毛束に隣接する他の通常毛束の刷毛の伸長回復率よりも小さく設定したことを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
ヘッド部植毛面に植毛された少なくとも一部の毛束について、最も近接する他の毛束の植毛穴との間の穴縁間距離を1.0mm以下とするとともに、毛束1束当たりの刷毛断面積の総和を1.0mm以下としたことを特徴とする請求項1記載の歯ブラシ。
【請求項3】
穴断面積が1.2mm以下の植毛穴を千鳥状に配列した植毛部位を有し、
これら千鳥状配列された植毛穴に植毛された各毛束の毛束1束当たりの刷毛断面積の総和を1.0mm以下とし、かつ、該千鳥状配列された植毛穴のうち、最外側に位置する植毛穴の1/3以上を通常毛束としたことを特徴とする請求項1記載の歯ブラシ。
【請求項4】
刷毛断面積の総和が1.0mm以下の毛束からなる植毛穴の数が25個以上、100個未満であることを特徴とする請求項2または3記載の歯ブラシ
【請求項5】
前記インジケータ兼用毛束を構成する刷毛と通常毛束を構成する刷毛の色を異ならせたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項6】
前記通常毛束を構成する刷毛としてポリトリメチレンテレフタレートからなる刷毛を用いたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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