説明

歯槽膿漏等歯周病防止具

【課題】 歯根、歯茎内及び歯と歯茎間等の隠れた部分における歯周菌を殺菌することが可能で、歯周病の発生を確実に予防及び防止することができる歯槽膿漏等歯周病防止具の提供。
【解決手段】 柔本体部1が上下に歯及び歯茎に被さる深さを有する装着溝11、11が形成された断面略H型のマウスピース状に形成され、両装着溝11、11における前後両側壁12、13の先端側には歯茎への当接部となる可撓性を有するブラシの毛状に形成された第1金属2と第2金属3とが内向きに突出する状態で備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯槽膿漏等歯周病防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の歯槽膿漏等歯周病防止具としては、例えば、歯周菌殺菌作用を有するプロポリス入りの練り歯磨きが知られている。(例えば、特許文献1参照)・・従来例1。
【0003】
また、歯磨きの際に枝体の先端から発生させたイオンで口内の歯周菌を殺菌する光電池イオン歯ブラシも知られている(例えば、特許文献2参照)・・従来例2
【特許文献1】特開2005−082592号公報
【特許文献2】特開2004−321765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来例1、2にあっては、いずれの場合も口内に露出した歯や歯茎の表面部分の殺菌は可能であるが、歯根、歯茎内及び歯と歯茎間等の隠れた部分における歯周菌を殺菌することができないため、歯周病予防及び防止効果が極めて薄いという問題があった。
【0005】
本発明は、上述のような従来の問題点に着目して成されたもので、歯根、歯茎内及び歯と歯茎間等の隠れた部分における歯周菌を殺菌することが可能で、歯周病の発生を確実に予防及び防止することができる歯槽膿漏等歯周病防止具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本願請求項1に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具は、歯茎の表裏両面に同時に当接可能な当接部を備えた本体部と、前記両当接部には表裏の当接部で互いに電位の異なる異種金属が非接触状態でそれぞれ備えられていることを特徴とする手段とした。
【0007】
本願請求項2に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具は、請求項1に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具において、前記本体部がマウスピース状に形成されていることを特徴とする手段とした。
【0008】
本願請求項3に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具は、請求項1に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具において、前記本体部が枝体の先端に設けられていること特徴とする手段とした。
【0009】
本願請求項4に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具において、前記異種金属が可撓性を有するブラシの毛状に形成されていること特徴とする手段とした。
【0010】
本願請求項5に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具において、前記歯茎の表裏両面に同時に当接可能な当接部に吸水性弾性体が備えられ、該吸水性弾性体の表面に前記異種金属が備えられていること特徴とする手段とした。
【0011】
本願請求項6に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具において、前記異種金属の表面に吸水性弾性体が備えられていることを特徴とする手段とした。
【0012】
本願請求項7に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具において、前記異種金属の一方が炭素で構成されていること特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具では、上述のように、歯茎の表裏両面に同時に当接可能な当接部を備えた本体部と、両当接部には表裏の当接部で互いに電位の異なる異種金属が非接触状態でそれぞれ備えられている構成としたことで、両異種金属を歯茎の表裏両面に当接させることにより、主に歯茎や唾液を導電体として異種金属間に電池が形成され、歯茎及び歯根内に電流が流れる。
【0014】
従って、歯根、歯茎内及び歯と歯茎間等の隠れた部分における歯周菌を異種金属間に形成される電池の起電力で電気殺菌することができ、これにより、歯周病の発生を確実に予防及び防止することができるようになるという効果が得られる。
【0015】
本願請求項2に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具では、上述のように、前記本体部がマウスピース状に形成されることにより、歯に対する装着が容易であり、所定時間だけ歯に装着しておくだけで、歯周病を簡単に予防及び防止することができるようになる。
【0016】
本願請求項3に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具では、上述のように、前記本体部が枝体の先端に設けられている構成とすることにより、歯ブラシ感覚で本体部を歯に装着させ、歯茎の表裏両面に異種金属を当接させた状態にすることができるようになる。
【0017】
本願請求項4に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具では、上述のように、前記異種金属が可撓性を有するブラシの毛状に形成されることにより、歯茎の凹凸に沿って両異種金属を歯茎の表裏両面に確実に当接させることができるようになる。
【0018】
本願請求項5に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具では、上述のように、歯茎の表裏両面に同時に当接可能な当接部に吸水性弾性体が備えられ、該吸水性弾性体の表面に前記異種金属が備えられている構成とすることにより、吸水性弾性体の弾性で歯茎の凹凸に沿って両異種金属を歯茎の表裏両面に確実に当接させることができるため、吸水性弾性体に水を含ませることにより、両異種金属間の通電性が確保され、これにより、歯茎及び歯根内に確実に電気を流すことができるようになる。
【0019】
本願請求項6に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具では、上述のように、異種金属の表面に吸水性弾性体が備えられている構成とすることにより、吸水性弾性体に水を含ませることで、吸水性弾性体をその弾性で歯茎の凹凸に沿って歯茎の表裏両面に確実に当接させることができるため、両異種金属間の通電性が確保され、これにより、歯茎及び歯根内に確実に電気を流すことができるようになる。
【0020】
本願請求項7に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具では、上述のように、前記異種金属の一方が金属の中でも標準電極電位が高い炭素で構成されることにより、電池の起電力を高めることができ、これにより、殺菌力を高めることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1はこの実施例1の歯槽膿漏等歯周病防止具を示す平面図、図2は図1のA−A線における端面図である。
【0023】
この実施例1の歯槽膿漏等歯周病防止具は、柔軟な弾性素材よりなる本体部1がマウスピース状に形成されている。
即ち、本体部1は、図2の端面図に示すように、上下に歯及び歯茎に被さる深さを有する装着溝11、11が形成された断面略H型に形成されている。
【0024】
また、両装着溝11、11における前後両側壁12、13の先端側には歯茎への当接部となる可撓性を有するブラシの毛状に形成された第1金属2と第2金属3とが内向きに突出する状態で備えられている。
【0025】
この第1金属2と第2金属3は、標準電極電位が互いに異なる異種金属で構成されるもので、この実施例では、第1金属2が標準電極電位の高い銀(Ag)で構成される一方、第2金属3が第1金属2よりは標準電極電位の低いチタン(Ti)で構成されていて、互いに非接触状態で備えられている。
【0026】
なお、この実施例1では、前記第1金属2と第2金属3は、合成樹脂等よりなる毛本体の表面にメッキされた状態で備えられている。
【0027】
次に、実施例1の作用・効果について説明する。
【0028】
この実施例1の歯槽膿漏等歯周病防止具では、上述のように構成されるため、マウスピースを装着する要領で、マウスピース状に形成された本体部1の上下両装着溝11、11内に上下の歯を差し込んで本体部1を噛むことにより、ブラシの毛状に形成された第1金属2と第2金属3とが歯茎の表裏各面に当接した状態になる。
【0029】
すると、主に歯茎や唾液を導電体として第1金属2と第2金属3との間に1.5〜2Vの起電力を発生する電池が形成され、歯茎及び歯根内に電流が流れる。
【0030】
従って、歯根、歯茎内及び歯と歯茎間等の隠れた部分における歯周菌を標準電極電位が大きく異なる異種金属である第1金属2と第2金属3間に形成される電池の起電力(1.1〜2V)で電気殺菌することができ、これにより、歯周病の発生を確実に予防及び防止することができるようになるという効果が得られる。
【0031】
また、本体部1がマウスピース状に形成されることにより、歯に対する装着が容易であり、所定時間だけ歯に装着しておくだけで、歯周病を簡単に予防及び防止することができるようになる。
【0032】
また、前記第1金属2と第2金属3が可撓性を有するブラシの毛状に形成されることにより、歯茎の凹凸に沿って両異種金属を歯茎の表裏両面に確実に当接させることができるようになる。
【0033】
次に、他の実施例について説明する。この他の実施例の説明にあたっては、前記実施例1と同様の構成部分については図示を省略し、もしくは同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【実施例2】
【0034】
この実施例2は、前記実施例1における歯槽膿漏等歯周病防止具の変形例を示すものであり、図3の平面図、及び図4の側面図に示すように、本体部1の長さが歯の全体ではなく、一部分にのみに被さるように短く形成されている点が、実施例1とは相違したものである。
【0035】
従って、この実施例2では、特に歯周病の虞がある部分のみを集中的にかつ簡易に使用することができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0036】
この実施例3は、前記実施例1における歯槽膿漏等歯周病防止具の変形例を示すものであり、図5(平面図)、及び図6(図5のB−B線における端面図)に示すように、歯茎の表裏両面に同時に当接可能な当接部に吸水性弾性体4、4が備えられ、該吸水性弾性体4、4の表面に前記第1金属2と、第2金属3がそれぞれメッキされ、又はテープ状のものが貼り付けられた状態で備えられている点が、前記実施例1とは相違したものである。
【0037】
従って、この実施例3では、吸水性弾性体4、4の弾性で歯茎の凹凸に沿って第1金属2及び第2種金属3を歯茎の表裏両面に確実に当接させることができるため、吸水性弾性体4、4に水を含ませることにより、第1金属2と第2種金属3間の通電性が確保され、これにより、前記実施例1と同様に、歯茎及び歯根内に確実に電気を流すことができるようになる。
【実施例4】
【0038】
この実施例4は、前記実施例2における歯槽膿漏等歯周病防止具の変形例を示すものであり、図7の平面図、及び図8の側面図に示すように、本体部1の長さが歯の全体ではなく、一部に被さるように短く形成されている点が、実施例3とは相違したものである。
【0039】
従って、この実施例4では、実施例2と同様に、特に歯周病の虞がある部分のみを集中的にかつ簡易に使用することができるという効果が得られる。
【0040】
以上、本発明の実施例を図面に基づき説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0041】
例えば、実施例3、4では、歯茎の表裏両面に同時に当接可能な当接部に吸水性弾性体4、4が備えられ、該吸水性弾性体4、4の表面に前記第1金属2と、第2金属3がそれぞれメッキされ、又はテープ状のものが貼り付けられた状態で備えられている構成としたが、第1金属2及び第2金属3と吸水性弾性体4、4との位置関係を逆にし、第1金属2と、第2金属3の表面に吸水性弾性体4、4が備えられている構成とすることにより、吸水性弾性体4、4に水を含ませることで、吸水性弾性体4、4をその弾性で歯茎の凹凸に沿って歯茎の表裏両面に確実に当接させることができるため、両異種金属間の通電性が確保され、これにより、歯茎及び歯根内に確実に電気を流すことができるようになる。
【0042】
また、実施例では、第1金属2が標準電極電位の高い銀(Ag)で構成される一方、第2金属3が第1金属2よりは標準電極電位の低いチタン(Ti)で構成された例を示したが、標準電極電位差が大きくなる組み合わせであれば金属の種類は任意である。
【0043】
例えば、標準電極電位の高い第1金属2として、金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、炭素(C)を、また、標準電極電位の低い第2金属3として、マグネシウム(Mg)、等を用いることができる。特に、第1金属2として金属の中でも標準電極電位が高い炭素(C)を用いることにより、電池の起電力を高めることができ、これにより、殺菌力を高めることができるようになる。
【0044】
また、実施例では本体部1の上下両面に装着溝11、11が形成された例を示したが、一方のみでもよく、そうすることで、装着した状態で口を自由に開けることができるようになる。
【0045】
また、第1金属2及び第2金属3は、歯茎に対する当接部に超薄金属板や長い線を貼って備えたり、微細金属粒を沢山付着させて備える等して、歯茎に当接するようにしてもよい。
【0046】
また、前記本体部1が枝体の先端に回動自在に設けられている構成とすることにより、歯ブラシ感覚で本体部1を歯に装着させ、歯茎の表裏両面に異種金属を当接させた状態にすることができるようになる。
【0047】
なお、異種金属間の標準電極電位差を利用する本願は、水虫菌の殺菌に応用することができる。即ち、足先に装着可能な靴下状本体の内側の、上面側と下面側にそれぞれ第1金属2と第2金属3を備えた構造とし、この本体に水を含ませた状態で足先に装着することにより、爪水虫を含む水虫を予防及び防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例1の歯槽膿漏等歯周病防止具を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線における端面図である。
【図3】実施例2の歯槽膿漏等歯周病防止具を示す平面図である。
【図4】実施例2の歯槽膿漏等歯周病防止具を示す側面図である。
【図5】実施例3の歯槽膿漏等歯周病防止具を示す平面図である。
【図6】図5のB−B線における端面図である。
【図7】実施例4の歯槽膿漏等歯周病防止具を示す平面図である。
【図8】実施例4の歯槽膿漏等歯周病防止具を示す側面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 本体部
11 装着溝
12 側壁
13 側壁
2 第1金属
3 第2金属
4 吸水性弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯茎の表裏両面に同時に当接可能な当接部を備えた本体部と、
前記両当接部には表裏の当接部で互いに電位の異なる異種金属が非接触状態でそれぞれ備えられていることを特徴とする歯槽膿漏等歯周病防止具。
【請求項2】
前記本体部がマウスピース状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具。
【請求項3】
前記本体部が枝体の先端に設けられていること特徴とする請求項1に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具。
【請求項4】
前記異種金属が可撓性を有するブラシの毛状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具。
【請求項5】
前記歯茎の表裏両面に同時に当接可能な当接部に吸水性弾性体が備えられ、該吸水性弾性体の表面に前記異種金属が備えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具。
【請求項6】
前記異種金属の表面に吸水性弾性体が備えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具。
【請求項7】
前記異種金属の一方が炭素で構成されていること特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の歯槽膿漏等歯周病防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−125098(P2007−125098A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318480(P2005−318480)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(399036202)
【出願人】(593035696)
【出願人】(303056140)
【出願人】(303056151)
【Fターム(参考)】