説明

歯磨剤成分およびその使用のための用具と使用方法

【課題】 オキシドール(2.5〜3.5%過酸化水素水溶液)には口腔粘膜の消毒、歯の清浄などの効能があるが、トレーへの滞留性が悪く、使用することが不便であり、3DSを行うにあたり、オキシドールをゲルに変化させることにより、歯列トレー内での滞留性を向上させることと、そのゲルを撹拌、混和、運搬するための用具を提供する。
【解決手段】 オキシドールをゲルに変化させ、歯科医院にて行われる3DSに用いることができるように調整された、所定の剤形をもつ歯磨剤成分である。これにより、オキシドールに所望の粘性を与え、歯列トレーへの滞留性をもたせることができる。また、ゲルを撹拌、混和、運搬するための用具であり、ゲルを撹拌、混和するのためのプラスチック製ニードル(先端部)と運搬のためのプラスチック製シリンジ(本体)とからなる。これにより、ゲル状物質の撹拌、混和、運搬が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキシドールをゲル化するための歯磨剤成分と、そのゲルを撹拌、混和、運搬するための用具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、口腔衛生の向上のために歯科医院にて行なわれている3DS(スリー ディーエス)(Dental Drug Delivery System)(歯列トレーを用いた口腔消毒法)においては、クロルヘキシジン、ポビドンヨード、フッ化ナトリウムなどのゲルが使用されている。
一方、オキシドール(2.5〜3.5%過酸化水素水溶液)には口腔粘膜の消毒、歯の清浄の効能・効果があり、日常的に口腔粘膜の消毒や歯の清浄に用いられている。
【非特許文献1】デンタルダイヤモンド 増刊号「予防歯科・成功への道」2001年 P.148−149
【非特許文献2】日本薬局方 オキシドール「効能・効果」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、市販のゲルは種類が限られているのが現状である。
また、オキシドールは、水溶液のためトレーへの滞留性が悪く、3DS用の薬剤として使用することが不便であった。
そこでこの発明は、歯科医院において3DSを行うにあたり、オキシドールをゲル化して歯列トレー内における滞留性を向上させることと、そのゲルを撹拌、混和、運搬するための用具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために、第一発明は、オキシドールをゲル化して3DSに用いるために必要な粘性を発現するように調合されていることを特徴とする、所定の剤形をもつ化粧品もしくは医薬部外品または医薬品である歯磨剤成分である。
また、第二発明は、前記歯磨剤成分とオキシドールを撹拌、混和するためのプラスチックニードルと、運搬するためのプラスチックシリンジで構成されていることを特徴とする用具である。
【発明の効果】
【0005】
第一発明、および第二発明によれば、オキシドールをゲル化することにより、歯列トレーへの滞留性をもたせることにより3DSに用いることができる。また、ゲル状物質の撹拌、混和、運搬を円滑に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
第一発明の歯磨剤に配合可能な成分について説明する。
粘結剤、増粘剤としてアルギン酸ナトリウム、カラギーナン、セルロースガム、キサンタンガム、シリカ、ポリアクリル酸ナトリウムから選択、組み合わされる。
【0007】
洗浄剤、発泡剤、洗浄強化剤、洗浄補助剤としてポリリン酸ナトリウム、石ケン用素地、炭酸水素ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル(12−16)エーテルリン酸((12−16)パレス−6リン酸)、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノラウリン酸ポリグリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウムから選択、組み合わされる。
【0008】
保存料、保存剤、防腐剤として塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、パラベン、塩化セチルピリジニウムから選択、組み合わされる。
【0009】
香味剤、清涼剤、着香剤、香料、矯味剤、甘味剤としてキシリトール、塩(塩化ナトリウム)、ハッカ油(メントール)、甘草エキス(グリシルリチン、グリシルレチン酸)、ウイッチヘーゼルエキス(ハマメリスエキス)、サッカリンナトリウム、ステビアエキス、ユーカリ油、香料から選択、組み合わされる。
【0010】
薬効成分として、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、各種ビタミンなどを含有することができる。
【0011】
上記歯磨剤組成成分の他、化粧品歯磨剤、医薬部外品歯磨剤または医薬品として口腔内で用いることが可能な成分であって、オキシドールの作用を阻害することのない成分を含有することができる。
【0012】
歯磨剤として選択された成分は、粉末、顆粒、錠、潤製又は練、として供給される。粉末、顆粒の場合計量用スプーンが付属する。カプセルに封入されてもよい。潤製又は練の場合、チューブあるいはシリンジにて供給される。
【0013】
第二発明は、ゲルを撹拌、混和、運搬するための用具である。
ゲルを撹拌、混和するためのプラスチックニードル(先端部)と運搬するためのプラスチックシリンジ(本体)とで構成される。ニードルは先端直径約3mm、末端直径約6mm、長さ約30mm、肉厚約1mmの円錐台形でシリンジの先に装着される。シリンジの容量は3mlである。
【実施例】
【0014】
次に、実施例を提示し、本発明を具体的に説明する。
歯科用加熱吸引成形機に、あらかじめ作製したU型(歯列全体)石膏模型をセットし、バキュームアダプター専用ジスク・スプリント・0.5mm(山八歯材工業株式会社、医療用具許可番号23BY0042)を加熱・吸引することにより、上下歯列トレーを成形する。辺縁部は1mmほど歯肉と接するように切断する。
【0015】
本第一発明の歯磨剤の組成の一例は次のようである。増粘剤として、ポリアクリル酸ナトリウム8g、洗浄剤としてポリリン酸ナトリウム1g、矯味剤として食塩1g、ハッカ油1、2滴を、ほぼ均質になるまで混合する。これは、あくまで組成の一例としてあげたものであり、上記歯磨剤組成成分の他、化粧品歯磨剤、医薬部外品歯磨剤または医薬品として用いることが可能な成分であって、オキシドールの作用を阻害することのない成分を含有することができる。
【0016】
ゲルの作製方法は次のようである。本第一発明の歯磨剤を付属の計量用スプーンにてすりきり1杯計りとりプラスチックビーカーに入れる。本第二発明のニードルつきシリンジにてオキシドールを3ml計りとり歯磨剤と混和、撹拌する。10分経過後、ゲルを再度撹拌したのち、シリンジに吸い取り、運搬する。
【0017】
このゲル状物質を前述[0014]で作製した上下歯列トレーに約1.5mlづつ注入する。
【0018】
この歯列トレーを、患者歯列に適合させ10分間静置する。
【産業上の利用可能性】
【0019】
歯科医院にて行われる3DSにおいて、オキシドールを利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】 本第二発明であるプラスチックニードルとプラスチックシリンジ
【符号の説明】
【0021】
10…プラスチックニードル、11…プラスチックシリンジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシドール(2.5〜3.5%過酸化水素水溶液)をゲル化して3DSに用いるために必要な粘性を発現するように調合されていることを特徴とする、所定の剤形をもつ化粧品もしくは医薬部外品または医薬品である歯磨剤成分。
【請求項2】
前記歯磨剤成分とオキシドールを撹拌、混和し、運搬するために適する形状および構造をもつことを特徴とする用具。

【図1】
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【公開番号】特開2007−314500(P2007−314500A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173107(P2006−173107)
【出願日】平成18年5月27日(2006.5.27)
【出願人】(506216419)
【Fターム(参考)】