歯科修復物を形成する方法及びそれにより得られる器具
【課題】歯科修復物を形成する方法及びそれにより得られる器具を提供する。
【解決手段】歯科修復物を形成する方法は、自然の口腔特性を表す映像を形成することを含む。この映像は、画家がコンピュータで形成するか、又は口腔の写真を捕獲することにより形成される。コンピュータベースの映像は、コンピュータ支援ソフトウェアプログラムで修正される。その後、映像は、デカールとしてプリントされ、歯科修復基部に取り付けられる。デカール及び歯科修復基部は、高輝度光でコンディショニングされるか、オーブンで一緒に焼成されることでコンディショニングされて、希望の口腔色及び特性を有する完成歯科修復物が製作される。
【解決手段】歯科修復物を形成する方法は、自然の口腔特性を表す映像を形成することを含む。この映像は、画家がコンピュータで形成するか、又は口腔の写真を捕獲することにより形成される。コンピュータベースの映像は、コンピュータ支援ソフトウェアプログラムで修正される。その後、映像は、デカールとしてプリントされ、歯科修復基部に取り付けられる。デカール及び歯科修復基部は、高輝度光でコンディショニングされるか、オーブンで一緒に焼成されることでコンディショニングされて、希望の口腔色及び特性を有する完成歯科修復物が製作される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科修復物を形成する方法及びそれにより得られる器具に係る。より詳細には、本発明は、自然の歯及び/又は口腔組織と見掛け上同様の望ましい色及び特性を有する歯科修復物を製作するために、デカールを、結果として得られる歯科器具に取り付ける方法に係る。
【背景技術】
【0002】
歯科修復物は、一般的に、口腔に自然の解剖学的見掛けを再現するために製造される。この製造プロセスは、歯科技師の美的能力に大きく依存している。この依存性は、患者にとって一貫した品質を与える上で歯科ラボラトリーの所有者及び歯科医の間に問題を引き起こす。この問題の理由は、高い審美的結果を得るのに必要なレベルまで歯科修復を美的に遂行するための美的能力又は経験を有する歯科技師が比較的僅かしかいないという事実にある。これは、経験のある歯科技師について高い需要を生み出し、それに対応して、必須の経験をもつ歯科技師が僅かなことから、コストを引き上げることになる。このような高いコストは、ラボラトリーがグローバルなマーケットで競争力を維持することを困難にする。
【0003】
現在の歯科修復物のトレンドは、薄い、より伝統的な歯の修復物であるベニヤを使用することである。これらの修復物は、歯科医が自然の歯の構造をほとんど又は全く除去せずに適用される。この形式の修復物に対して犠牲になることとして、自然の歯は比較的そのまま保持されるが、ベニヤの薄い構造は、3次元の色及び構造を使用して達成される自然の審美性をラボラトリーが創作するための余地をほとんど又は全く与えない。多くの患者は、歯の解剖学的構造を理解せず、又、自然に微笑んで見えるようにする上でのこれら構造の重要性を理解していない。ほとんどの歯科医は、発声構造を維持する目的で自然の歯を保存する重要性を理解している。このために、ある歯科医は、最小限の侵襲的歯科治療を使用して必要な修正を行うことを選択する。しかし、歯科医は、公衆に向けて大規模に宣伝されていることから、これらの薄いベニヤを使用することを余儀なくされる。ある歯科医は、患者の需要を満足させるためにのみこれらの修復を行う。本発明は、修復された歯の自然の見掛けを犠牲にすることなく、歯科医がこれらの伝統的な修復を提供し続けられるように努力するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、自然の口腔と同様の望ましい色及び特性を有し、歯冠、ブリッジ、セラミック修復物、樹脂、義歯、ベニヤ、事前に製造されたマトリクス、事前に硬化された樹脂及び組成物、並びに他の種類の修復歯科器具に適用できる歯科修復物を形成する方法及びそれにより得られる器具が要望される。本発明は、これらの要望を満足し、それに関連した更なる効果を発揮する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、歯科修復物を形成する方法及びそれにより得られる器具に向けられる。歯科修復物を形成する方法は、自然の口腔特性を表す映像を形成するステップを備えている。自然の口腔特性は、好ましくは、歯及び口腔組織の内部及び外部構造並びに色を含み、これは、歯、エナメル、象牙質、クレージングライン、しみ、静脈、血管、骨の色、過度の石灰化、粘膜組織又は歯茎組織を含む。好ましくは、映像を形成するステップは、コンピュータで映像を生成するステップを含む。この点に関して、映像は、画家により手で又は口腔のデジタル写真を捕獲することによりデジタル的に生成される。一実施形態では、捕獲される写真は、歯科修復を受ける患者の口腔のものである。別の実施形態では、口腔の写真は、別の個人のものであり、望ましい自然の口腔特性を得るためにコンピュータ支援ソフトウェアプログラムで修正される。更に、この方法は、歯科修復を受ける患者の望ましい自然の口腔特性に一致するように映像に着色するステップを含む。更に、この形成ステップは、患者が受ける選択的な自然の口腔特性を表す標準的映像のストックセットを形成するステップも含む。この点に関して、映像の配布可能な絵のセットが生成され、映像からプリントされたデカール(decal)に対して一致される。
【0006】
プリントされたデカールは、次いで、歯科修復基部に取り付けられる。従って、デカール及び歯科修復基部は、望ましい口腔の色及び特性を有する完成歯科修復物を製作するようにコンディショニングされる。一実施形態では、このコンディショニングステップは、デカール及び歯科修復基部を高輝度のライトで硬化するステップを含む。別の実施形態では、コンディショニングステップは、デカール及び歯科修復基部をオーブンで焼成するステップを含む。更に、歯科修復基部を形成する方法は、デカール、及び歯科修復基部の少なくとも一部分の上にシール材を配置するステップも含む。好ましくは、シール材は、合成樹脂、半透明のアクリル樹脂、保護層、セラミック又はグレーズ(うわぐすり)を含む。その後、付加的な二次デカールがシール材の上に取り付けられる。次いで、この二次デカールの上に、保護のためにグレーズが施される。好ましくは、歯科修復基部は、合成樹脂、ベニヤ、アクリル樹脂、セラミック、又は半透明アクリル樹脂を含む。
【0007】
それにより得られる歯科修復器具は、好ましくは、合成樹脂、ベニヤ、セラミック又はアクリル樹脂で作られた歯科修復基部を備えている。この歯科修復基部に取り付けられるデカールは、選択的な自然の口腔特性を有し、そして好ましくは、コンピュータベース映像からプリントされる。コンピュータベース映像は、写真、コンピュータ発生のモデル映像、又は図面を含む。自然の口腔特性が、コンピュータ支援のソフトウェアプログラムでコンピュータベース映像にペイントされる。自然の口腔特性は、好ましくは、歯、エナメル、象牙質、クレージングライン、しみ、静脈、血管、骨の色、過度の石灰化、粘膜組織又は歯茎組織を含む。これらの自然の口腔特性は、対応する歯科修復における自然の口腔特性を表す標準的なコンピュータベース映像のストックに含まれる。デカールに一致するコンピュータベース映像の配布可能な絵も与えられ、従って、患者は、歯科修復を受ける前に希望の口腔特性を選択することができる。更に、デカール、及び歯科修復基部の少なくとも一部分の上に、保護のためにシール材が配置される。好ましくは、シール材は、合成樹脂、半透明のアクリル樹脂、保護層、セラミック、又はグレーズを含む。又、付加的な二次デカールがシール材に固定される。次いで、この二次デカールの上に、保護のために別のグレーズ層が施される。
【0008】
本発明の他の特徴及び効果は、本発明の原理を例示する添付図面を参照した以下の詳細な説明から明らかとなろう。添付図面は、本発明を例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】歯科器具に使用するためのデカールを形成し選択するプロセスを示すフローチャートである。
【図2】合成樹脂ベースの歯科修復物にデカールを合体するプロセスを示すフローチャートである。
【図3】デカールを有する復元された欠けた歯の前面図である。
【図4】エナメル合成樹脂層を上に有する外部デカールを含む修復された欠けた歯の断面図である。
【図5】ベニヤベースの歯科修復物にデカールを合体するプロセスを示すフローチャートである。
【図6】ベニヤベースの歯科修復物に合体された内部デカールの断面図である。
【図7】色及び特性を追加するための外部デカールを含む図6の歯科修復物の別の断面図である。
【図8】ベニヤ準備歯に適用する前にベニヤに形成された外部デカールを示す断面図である。
【図9】セラミック義歯にデカールを合体するプロセスを示すフローチャートである。
【図10】セラミック義歯のエナメルセラミックと象牙質セラミックとの間に位置するデカールの断面図である。
【図11】デカールが配置されたセラミック義歯の前面図で、詳細線及び葉を示す図である。
【図12】デカールが配置されたセラミック義歯の前面図で、クレージングライン及び他の特性を示す図である。
【図13】義歯の組織を表すアクリル樹脂へデカールを合体するプロセスを示すフローチャートである。
【図14】義歯の組織エリアを表す内部配置デカールの断面図である。
【図15】義歯の組織エリアを表す外部配置デカールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、デカールを有する歯科修復物を形成する方法、及びそれにより得られる器具に関する。デカールは、口腔の自然の解剖学的見掛けを再現するように設計される。より詳細には、デカールは、歯の色、クレージングライン、内部の色、過度の石灰化、透明さ、エナメル変化、静脈、白いシミ、歯の線、並びに美術的に再現困難な他の組織及び歯の色、を再現するように設計される。
【0011】
図1は、歯科器具に配置するためのデカールを形成するプロセスのフローチャートである(100)。先ず、画家が、自然の歯及び組織の色及び特性を再現するために複数セットの映像を生成する(102)。これら映像は、手で描くアートワーク、写真又はコンピュータ発生映像を含む多数の技術のいずれか1つを経て生成される。一実施形態では、デカールは、歯及び口腔組織の内部及び外部構造、特性及び色の正確にペイントされた細部を与えるように8×10シートの大きなフォーマットに手で描かれたアートワークから形成される。画家は、患者の写真、モデルの一般的な写真、或いは歯及び口腔組織の内部及び外部構造の図面に基づいてデカールを描くことを選択する。或いは又、画家は、患者の歯の写真を撮って、後でプリントし、前記デカールとして使用してもよい。この実施形態では、患者の歯及び口腔組織の外部構造、特性及び色の写真映像が画家によって変更されない。同様の意味で、特に好ましい実施形態において、画家は、デジタルベースのコンピュータ支援ソフトウェアプログラムにおいて映像を操作して希望の色及び特性を得ることによりデカールのセットを生成する。デジタル映像は、患者又は別の個人の写真でもよい。又、映像は、関連ソフトウェアプログラムを通して画家により完全に開発されたコンピュータ発生映像でもよい。画家は、コンピュータ支援ソフトウェアプログラムを通して映像を操作して、患者が希望する色及び特性を得ることができる。コンピュータ発生された写真は、特に好ましい。というのは、画家は、多数の基礎的又は標準的デカールの1つを選択し、そのいずれかの基礎的又は標準的デカールに対して僅かな修正を行い、又は希望の修正を含む患者の口腔の写真を使用して、歯科修復を受ける各個々の患者の特有の最も現実的で且つ正確なデカールを形成するというオプションがあるためである。従って、デカールは、スタイル、色、特性が変化し、又、患者に基づいてサイズが変化する。デカールは、粘膜組織再現、静脈、血管、模擬骨色、過度石灰化、クレージングライン、或いは歯及び口腔組織の色及び特性に影響する他の自然又は不自然な作用のような付加的な解剖学的細部を含む。デカールは、用途及び望ましい使い方に基づいて変化するのが適当である。
【0012】
アートワークの細部が完成すると、そのアートワークは、歯科用途のための自然の歯のサイズまでサイズが減少される。次いで、小さなサイズの映像がコンピュータソフトウェアへ転送され(104)、これは、水性の接着剤を有するペーパーに映像をプリントする(106)のに適したものである。次いで、プリントされたペーパー映像がワックス基板に巻かれて加熱される(108)。その後、ペーパー及びワックス基板が分離されたときには、デカールがワックス基板に留まる。ワックス基板上のデカールは、正しい歯の変色を助けるために種々の色顔料を含む。色顔料は、激しい変色が生じる場合には望ましからぬ変色を容易に阻止するために不透明であってもよい。デカールは、歯の暗い背景部分を遮断して、明るい高輝度の結果を得る。或いは又、デカールの色顔料は、この層内に望ましい色及び構造を導入してもよい。従って、プリントされたデカールは、推奨温度で焼成されて、希望の歯科補綴物にしっかりと取り付けることができる。このようなデカールの多様性は、実質上無制限であり、既存構造及び非既存構造の両方の任意の形式の歯科効果を口腔に再現するように使用できる。
【0013】
次いで、再現映像が、歯科医及び/又は患者により見るためのサンプルとしてチャート及び/又はカタログにおいて分類される(110)。カタログは、歯科修復物を製作するための準備において歯科医が患者と共有するために種々のスタイル、色、及び様式化を含む。又、カタログは、歯科ラボラトリー、又は歯科修復物が製造される他のファシリティにおいて入手できるデカールの形式を表す。従って、歯科医及び患者は、歯又は組織修復のための望ましい色及び特性を有する再現映像(1つ又は複数)をチャート/カタログから選択する(112)。選択されたデカールは、患者が希望する自然の口腔色及び特性に一致する適切な色及び透明度特性を有していなければならない。次いで、歯科医は、その選択されたデカールを、修復歯を製造するファシリティにいる歯科ラボ技師へ通信する。この情報から、歯科ラボ技師は、歯科医及び患者によって選択された再現映像(1つ又は複数)に一致するデカール(1つ又は複数)を選択する(114)。ラボ技師は、歯科医及び/又は患者により選択された映像に一致するように、それに対応するデカールを画家のデカールシートから選択する(112)。次いで、ラボ技師又は歯科医は、図2、5、8及び12のフローチャートで詳細に述べるように、患者の必要性に応じて歯科器具を製作する(116)。もちろん、選択されたデカールは、標準的又はストックデカール、モデル歯を表すデカール、或いは患者の口腔の写真撮影により生成される(修正又は無修正の)デカールを含む。
【0014】
標準的又は基本的デカールの場合に、歯科医に与えられる参照カタログは、歯の修復に必要な特定スタイルのデカールを選択する一貫性及び正確さを保証する上で助けとなる。製造者及びラボラトリーは、歯科医及び/又は患者により選択された再現映像に一致する対応透明デカールを有する。デカールは、選択された歯科器具に適用される。この方法は、歯修復の見掛けの審美的予想性を高め、一度に1人の患者について口腔の自然の色及び特性を審美的に模擬するという困難なタスクを実質上排除する。又、本発明は、美術的に現実的な修復歯を製造するように技師をトレーニングする必要性を軽減し、そして特に義歯に使用するよう製造されるセラミック歯について製造プロセスを非常に簡単な技術へと変換するものである。その結果、本発明は、義歯の多層製造がもはや必要ないので、製造者が工作機械設備のコストを削減できるようにする。
【0015】
図2は、折れ、欠け又は歯ぎしりのために、口腔モデルを製作するか又は自然の歯を修復するプロセス(200)を示す。第1のステップは、欠けた及び/又は損傷を受けた歯を復元するために象牙質合成樹脂を施すことである(202)。又、象牙質合成樹脂は、口腔モデルの基部も形成する。象牙質合成樹脂は、色が変化するが、通常は、黄色気味である。損傷を受けた自然の歯については、象牙質合成樹脂を適当な位置に施して、非常にフラットなプラットホームを形成し、デカールがその表面に適合できるようにする。象牙質合成樹脂の硬化は、多数の重合化プロセスのいずれか1つにより達成される。一実施形態では、象牙質合成樹脂は、特定波長の光を合成樹脂に集中させるハロゲン系電球を使用して硬化される。合成樹脂中の化学的触媒がその光に敏感である。この光に露出すると、合成樹脂が硬化する。光に基づく硬化プロセスは、チェアサイドで行われる。或いは又、非チェアサイドプロセスは、圧力又は熱を使用して、象牙質合成樹脂を更に硬化することを含む。これらの硬化手順は、典型的に、モデル歯を製作するのに使用されるか、或いは義歯又は部分義歯に用いる交換歯のために使用される。一実施形態では、圧力を使用して合成樹脂材料内のエアギャップを除去し、その密度を高めて、光だけで硬化される場合より硬い構造体を形成する。従って、光は、合成樹脂の化学的触媒と反応して構造体を更に硬化するのに使用される。別の実施形態では、光及び圧力が熱と組み合わされる。この実施形態では、象牙質合成樹脂が、1700°Fのような高い温度において高度の重合化を達成する。合成樹脂の化学的触媒は、これらの高い温度において反応して硬化する。或いは又、光を伴わずに、加熱及び加圧プロセスのみを使用してもよい。望ましい重合化プロセスに基づいて合成樹脂に異なる化合物が使用されてもよい。従って、歯科医又は歯科技師は、光、圧力又は熱に応答して硬化する対応化学的触媒を選択するべく努力することになる。
【0016】
次いで、モデル歯又は準備された歯の硬化した象牙質合成樹脂に、選択されたデカールが配置される(204)。このデカールは、次いで、象牙質合成樹脂に対して硬化される(206)。修復される歯の初期輪郭及び形状を完成するために、象牙質合成樹脂及びデカールの硬化した構造体の上にエナメル合成樹脂の層が配置される(208)。次いで、歯科医は、付加的な色を追加すべきかどうか判断しなければならない(210)。付加的な色を追加するときには、エナメル色の合成樹脂の層の上に外部デカールを配置して(212)、自然の歯の色及び特性を再現するための必要な様式化を追加する。次いで、エナメル合成樹脂の薄い層が外部デカールの上に配置される(214)。その後、考えられる長期間劣化から歯科修復物を保護するために、合成樹脂の上に任意のグレーズ層が配置される(216)。グレーズは、主として、エナメル合成樹脂の極微穴を埋めて、歯科医が修復歯の外面を研磨できるようにするために施される。デカールは、希望の着色結果を得るように外面に使用することができる。又、このように施すことは、以下に詳細に述べるように、付加的な様式化が歯又は組織修復の全体的な審美的結果を向上させるような色の変化を要求するセラミック修復(歯及び口腔組織、例えば、粘膜組織)のための加圧性又は圧延セラミックにも使用できる。完成した構造体は、自然の歯の色及び特性を再現し(218)、自然の歯の色及び特性の修復が完全なものとならねばならない(220)。
【0017】
図3及び4は、デカール14を有する欠けた歯12の修復歯10を示す。図3は、欠けた歯12の一部分に充填材16が充填された修復歯10の前面図である。図4に示すように、充填材16は、デカール14が形成される象牙質合成樹脂基部18を含む。従って、ステップ(206)で述べたようにデカールが硬化された後に、エナメル合成樹脂20がデカール14及び象牙質合成樹脂基部18の上に配置される。充填材16は、図3に一般的に示す歯12の割れた部分又は折れた部分を固定するように設計される。デカール14は、エナメル合成樹脂20を通して見ることができ、デカール14の色及び特性は、図3において欠けた歯12の前面を通して図示されたように見える。付加的な着色又は特性のためにエナメル合成樹脂20の上部に付加的な外部デカール22が配置される。この外部デカール22は、エナメル合成樹脂の薄い層24をその上に施すことにより保護される。任意であるが、エナメル合成樹脂の薄い層24には、これを更に保護するために、実質的に透明なグレーズ26が施されてもよい。
【0018】
別の実施形態では、図3及び4の修復歯10を使用して、口腔モデルを製作することができる。モデルを製作するためのプロセスは、図2のフローチャートに一般的に示されている。モデルは、図4に示す修復歯と同様の組成物を含む。もちろん、モデルは、自然の欠けた歯12の一部分を含まない。それ故、象牙質合成樹脂基部18、エナメル合成樹脂20、デカール14、及び薄いエナメル合成樹脂層24は、図4に部分的形態で示されたように、修復歯10の全長に延びる。同様に、外部デカール22及び任意のグレーズ26も、モデルに長さに延びねばならない。デカール14又は外部デカール22は、歯の前部、後部及び底部の区分において全シート又は一連の部分シートとして適用される。このプロセスは、更に、自然の歯の色及び特性の正確な再現を保証する。
【0019】
或いは又、本発明は、合成樹脂ベース又は磁器ベースのベニヤにも適用することができる。図5は、デカール及び磁器ベースのベニヤを使用して修復歯を製作するプロセス(500)を示す。第1のステップは、CADミリング、堅固な蓄積又はプレスを経てベニヤ準備歯の外面に象牙質磁器を施すことである(502)。従って、ステップ(502)は、既存の歯のエナメルの一部分を削ぎ落とし、ベニヤに必要な深さのための余裕を作ることを含む。ベニヤを配置するように歯を準備することは、この技術でよく知られている。或いは又、準備されていない歯に象牙質磁器を施してもよい。この実施形態では、以下に述べるその後のステップまで、既存の歯のエナメルの一部分を削ぎ落とす必要はない。
【0020】
次のステップは、デカールを修復歯の内部に配置するか外部に配置するか決定することである(504)。内部配置の場合には、デカールを施す前に修復歯にエナメル磁器層を追加すべきかどうか判断しなければならない(506)。一実施形態では、エナメル磁器層が必要とされず、選択されたデカールが、準備された歯の象牙質磁器に直接配置される(508)。この実施形態における修復歯へのデカールの内部配置は、図2に示すプロセスと同様である。デカールは、上述した方法のいずれかにより象牙質磁器に対して硬化される(510)。次いで、エナメル磁器の層が象牙質磁器及びデカールの上に配置される(512)。図3及び4に示して上述したように、歯が欠けないことがあるので、時々、象牙質磁器の小さな層しか必要とされない。別の実施形態では、ステップ(506)の間に象牙質磁器の上にエナメル磁器を最初に追加することを決定すると、当然、選択されたデカールが、象牙質磁器上に配置される(508)のではなく、エナメル磁器上に配置される(514)ことが必要となる。この実施形態では、デカールは、エナメル磁器及び象牙質磁器と一緒に硬化される(516)。エナメル磁器の第1層及びデカールの硬化された構造体の上にエナメル磁器の第2層が配置される(518)。
【0021】
上述した両方の実施形態によれば、歯科医は、次いで、修復歯に付加的な色を追加すべきかどうか決定しなければならない(520)。付加的な色が望まれる場合には、エナメル磁器に外部デカールが配置される(522)。次いで、エナメル磁器の薄い層が外部デカール上に配置される(524)。任意であるが、歯科修復物を更に保護するためにエナメル磁器の上にグレーズ層が配置される(526)。修復された歯の自然の審美的な見掛けを更に向上するためにエナメル磁器の上に外部デカールが配置される。その後、準備された歯は、ベニヤを取り付ける用意ができる(528)。この技術で知られた方法を使用してベニヤが取り付けられると、その歯について、自然の歯の色及び特性の修復が完了する(530)。デカール及び磁器ベースのベニヤで修復歯を製作するステップ(500)、特に、ステップ(502)−(526)は、複数の歯について繰り返される。修復した歯及び修復しない歯の中で色の一貫性及び特性を保証するように、2本以上の歯をベニヤで修復することがしばしば望まれる。
【0022】
或いは又、デカール及び磁器ベースのベニヤで修復歯を製作するプロセス(500)は、修復歯の外部にデカールを配置するステップ(532)を含んでもよい。図5に示すように、外部デカールの使用を決定した後に(504)、選択されたデカールは、自然の歯に取り付ける前に、ベニヤに外部から配置される(532)。次いで、ベニヤ及びデカールがオーブンで焼成される(534)。その後、外部デカールの上に保護のためにグレーズ層が配置される(536)。従って、ベニヤが、次いで、準備された歯に取り付けられる(528)。次いで、自然の歯の色及び特性の修復が完了する(530)。同様に、患者が要求する各ベニヤについてステップ(502)−(536)が繰り返される。
【0023】
図6−8は、磁器ベースのベニヤ28を有する修復歯10の断面側面図である。図6は、内部に配置されたデカール14を有する修復歯10を示す。図示されたように、ベニヤ準備歯30は、その外部に沿って象牙質磁器基部32が施されている。ベニヤ準備歯30は、ベニヤ28と、それに対応する象牙質磁器基部32、エナメル磁器層34及びデカール14とに対する余地を作るためにサイズが若干(例えば、1.5ミリメーター)減少される。従って、デカール14は、象牙質磁器基部32の外部前層に施される。その後、デカール14及び象牙質磁器基部32の外面にエナメル磁器34が施される。最後に、図6に示す修復歯10のエナメル磁器34の外部にベニヤ28が取り付けられる。デカール14は、エナメル磁器34及びベニヤ28を通して見ることができる。
【0024】
図7は、図6に示す修復歯10の別の実施形態を示す。図7の修復歯10も、同様に、ベニヤ準備歯30及び象牙質磁器32を含む。しかしながら、この実施形態では、デカール14を施す前に象牙質磁器32にエナメル磁器34が直接施される。次いで、エナメル磁器34にデカール14が直接施される。その後、デカール14及びエナメル磁器34の露出部分にエナメル磁器の第2層36が施される。エナメル磁器の第2層36は、デカール14に必要な長期間保護を与える。エナメル磁器の第2層36には、その更なる保護のために任意のグレーズ26が施される。このグレーズ26は、主として、エナメル磁器の極微穴を埋め、歯科医が修復歯の外面を研磨できるようにする。次いで、図6に示して説明したのと同様に、エナメル磁器の第2層36にベニヤ28が施される。更に、ベニヤ28が施される前にエナメル磁器の第2層36に外部デカール22が施される。この実施形態では、上述したステップに基づいて、外部デカール22に外部エナメル磁器38が施される。この場合も、外部エナメル磁器38には、その更なる保護のために任意のグレーズ26が施される。歯の適切な色及び特性が充分であると歯科医が決定すると、上述したプロセスに基づいて、ベニヤ28が取り付けられる。
【0025】
図8は、外部デカール22のみを使用してベニヤ準備歯30に磁器ベースのベニヤ28を取り付けるところを示す。図8に示すように、ベニヤ準備歯30には、象牙質磁器基部32が施されている。象牙質磁器32に最終的に直接施されるベニヤ28は、修復歯10に施される前に、外部デカール22を受け取る。この点に関して、外部デカール22は、ベニヤ準備歯30に施される前に、ベニヤ28の外部に施される。この実施形態では、外部デカール22及びベニヤ28は、オーブンにおいて一緒に焼成される。次いで、ベニヤ28の外部には、それに対して焼成される外部デカール22を保護するために、グレーズ26が施される。外部デカール22及びグレーズ26を有するベニヤ28は、その後、良く知られた方法により、象牙質磁器32に取り付けられる。取り付けられたベニヤ28は、外部デカール22を経て自然の歯の希望の色及び特性を表示する。
【0026】
又、デカール14は、図9のフローチャートに一般的に示すように、義歯に配置するようにセラミック歯と共に使用されてもよい。ほとんどの場合、図9のステップは、歯科医又はラボ技師ではなく、セラミック歯の製造者により遂行される。義歯に置き換わる複数の歯の色及び特性を再現するために複数のデカールが必要となる。義歯に使用するためのセラミック歯の製造段階でデカールを使用することは、製造プロセスを簡単化し、より現実的な義歯をもたらす。製造されたセラミック歯は、優れた審美的な色及び特性を含む。
【0027】
義歯に配置するためのセラミック義歯を形成するプロセス(900)は、CAD/CAMミリング、液体・粉末蓄積、又はプレス(即ち、プレス可能)を経て象牙質セラミック歯を形成する(902)ことによりスタートする。次のステップは、デカールが象牙質セラミック義歯の内部に配置されるか外部に配置されるか決定することである(904)。象牙質セラミック義歯の内部にデカールを配置することは、図5に示したプロセスと同様である。先ず、選択されたデカールが象牙質セラミック義歯に配置される(906)。次いで、デカール及び象牙質セラミック義歯の上にエナメルセラミックの層が配置される(908)。象牙質セラミック義歯、デカール及びエナメルセラミックを含む構造体は、次いで、硬化のためにオーブンで焼成される(910)。その後、セラミック歯製造者又はその後の歯科ラボ技師が、外部の色を追加すべきかどうか決定する(912)。外部の色を希望する場合には、エナメル着色セラミックに外部デカールが配置される(914)。次いで、外部デカールの上にエナメルセラミックの薄い層が配置される(916)。任意であるが、エナメルセラミックの上に、それを更に保護するためにグレーズ層が配置される(918)。出来上ったセラミック歯は、自然の歯の色及び特性を正確に再現するものでなければならない(920)。次いで、必要な量のセラミック歯が義歯基部に取り付けられる(922)。その後、患者に、自然の見掛けをもつ義歯が取り付けられる(924)。或いは又、外部の色が必要ないと判断されてもよく(912)、この場合、付加的なステップなしに義歯が出来上がる(920)。従って、セラミック歯が義歯基部に取り付けられ(922)、次いで、患者に取り付けられる(924)。
【0028】
或いは又、ステップ(904)中にデカールを修復歯の外部に配置すべきであると決定されてもよい。この実施形態では、選択されたデカールは、象牙質セラミック歯の外部に配置される(926)。次いで、デカール及び象牙質セラミック歯は、オーブンで焼成される(928)。これは、出来上る構造体を硬化させる。次いで、外部デカールの上にグレーズ層が配置される(930)。出来上ったセラミック歯は、口腔の自然の歯の色及び特性を再現するものである(920)。次いで、必要な量のセラミック歯が義歯基部に取り付けられた(922)後に、患者に義歯が取り付けられる(924)。
【0029】
図9に示すプロセスは、美術スタジオで細部を描くのに何時間も費やすことなく、義歯のセラミック歯が自然の歯の実際の色及び特性を含むという点で、現在のやり方に著しく勝る効果を発揮する。これらの細部をもたないセラミック歯は、不自然に一貫して白(又はその陰)に見える。これは、望ましからぬ不自然な見掛けである。本発明は、画家が必要な細部を加えて歯の見掛けを自然なものにすることに関連した時間及びコストを排除する。
【0030】
図10−12は、義歯に配置するためのセラミック歯サンプル40を示す。図10は、デカール14が上に配置されてエナメルセラミック44により保護された象牙質セラミック基部42を含むセラミック歯40の断面図である。象牙質セラミック基部42とエナメルセラミック44との間に配置された内部デカール14の様式は、エナメルセラミック44を通して見ることができる。図11は、複数の細部を有するセラミック歯40の前面図である。例えば、セラミック歯40は、詳細線46及び葉(よう、lobe)48のセットを含む。図12により詳細に示すように、詳細線46は、クレージングライン50又は白いしみ52のセットを含む。図10−12に示す実施形態の各々において、セラミック歯40は、デカール14が内部に配置されている。図11及び12に示す細部は、上述したように、多数の異なるタイプの様式を含む。更に、デカール14は、上述したように、外部に配置されてもよい。又、デカールは、セラミックベースの歯に加えて、合成樹脂ベースの歯をもつ義歯に使用することもできる。
【0031】
図13は、口部組織の自然の色及び特性を再現するために歯科器具にデカールを合体するための一般的プロセス(1300)を示す。先ず、ラボ技師は、組織色のアクリル樹脂基部の内部にデカールを配置すべきか外部に配置すべきか決定しなければならない(1302)。内部配置のデカールは、歯科器具における組織色アクリル樹脂に直接配置される(1304)。或いは又、これらデカールは、軟組織の色及び特性を表すように使用されてもよいし、ベニヤ、歯冠、ブリッジ及び他のインプラントに関連して使用することもできる。デカールは、軟組織補綴物が必要なときには修復歯に適用される組織様式を模擬する。次いで、半透明のアクリル樹脂又は合成樹脂の層がデカール上に配置される(1306)。次いで、組織色アクリル樹脂基部及びデカールは、オーブンで焼成される(1308)。デカールを外部に配置する場合に、組織色アクリル樹脂基部に選択されたデカールを配置することが要求される(1310)。次いで、この構造体は、オーブンで焼成することにより硬化される(1312)。次いで、薄い保護グレーズ層が外部デカールの上に配置される(1314)。保護グレーズは、デカールを環境から絶縁し、摩耗に対して保護する。ステップ(1308)及び(1314)の結果は、出来上った歯科器具が口腔の自然の組織色及び特性を再現することである。次いで、出来上った構造体を歯科医又は歯科技師へ送り、セラミック歯を取り付けた(1318)後に、患者に固定する(1320)。この実施形態では、内部又は外部デカールは、血管、組織外皮、筋肉領域、腱、組織の色、又は骨の解剖学的変化を含む口部組織の色を模擬する。図13に示すステップを、図9に示すステップと結合して、自然の見掛けの歯(図10−12)及び口部組織(図14−15)の両方を有する義歯を形成することもできる。
【0032】
図14及び15は、各々、義歯の口部組織領域の内部及び外部にデカール14を配置したものを示す。図14及び15は、一般的に、義歯54の断面図である。従って、義歯54は、上述したセラミック歯40に隣接して組織色のアクリル樹脂56を含む。図14では、デカール14は、組織色のアクリル樹脂56と半透明の組織色のアクリル樹脂58との間にサンドイッチされて義歯54の内部に配置される。半透明の組織色のアクリル樹脂58は、デカール14の細部を外部から見えるようにする。従って、デカール14が表示することを目的とする自然の組織色を見ることができる。或いは又、図15では、デカール14は、組織色のアクリル樹脂56の外部にあり、保護層60によって保護される。好ましくは、保護層60は、上述したグレーズである。
【0033】
一般的に、本発明のデカールは、自然の歯の内部及び/又は外部の色及び特性、並びに歯の領域を取り巻く自然の組織、例えば、乳頭状突起及び粘膜組織の内部及び/又は外部の色及び特性を審美的に模擬するために、写真、捕獲映像又は図面から製造される。合成樹脂の修復物の直接的又は間接的な製造は、口腔の内部及び外部の解剖学的な配色を模擬するために合成樹脂又はセラミックの製造にデカール又はデカールの一部分を入れることを含む。自然の色の様式を模擬することで、歯科医は、患者の口腔の審美性に最良に一致する歯及び組織の色及び特性を小さな寸法内に有する歯科修復物を患者に提供することができる。
【0034】
デカールは、合成樹脂又はセラミック材料の複数の層にデカールを配置することにより三次元の自然の見掛けの修復歯を生み出すことができる。或いは又、複数のデカールを、修復歯の前部、底部又は後部において互いに積み重ねたり又は間欠的に配置したりすることができる。本発明の重要な観点は、デカールが、修復歯に対して歯又は組織の色及び特性を描く必要性に取って代わることである。合成樹脂、セラミック、磁器、又はグレーズは、デカールを保護して、耐久性を高める。ここに述べるデカールは、合成樹脂層、セラミック層、及びアクリル樹脂層が使用される領域に配置することができる。このような層は、義歯、修復歯、又は粘膜組織再現品の製造に使用することができる。又、本発明は、部分ベニヤ、歯冠及びブリッジ用途、欠けた又は折れた歯、並びにべニヤ処理のための非準備歯に使用することもできる。
【0035】
例示のために多数の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに種々の変更がなされ得ることが明らかであろう。従って、本発明は、特許請求の範囲のみによって限定されるものとする。
【符号の説明】
【0036】
10:修復歯
12:欠けた歯
14:デカール
16:充填材
18:象牙質合成樹脂基部
20:エナメル合成樹脂
22:外部デカール
24:エナメル合成樹脂の薄い層
26:実質的に透明なグレーズ
28:磁器ベースのベニヤ
30:ベニヤ準備歯
32:象牙質磁器基部
34:エナメル磁器層
36:エナメル磁器の第2層
38:外部エナメル磁器
40:セラミック歯
42:象牙質セラミック基部
44:エナメルセラミック
50:クレージングライン
52:白いしみ
54:義歯
56:アクリル樹脂
58:半透明のアクリル樹脂
60:保護層
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科修復物を形成する方法及びそれにより得られる器具に係る。より詳細には、本発明は、自然の歯及び/又は口腔組織と見掛け上同様の望ましい色及び特性を有する歯科修復物を製作するために、デカールを、結果として得られる歯科器具に取り付ける方法に係る。
【背景技術】
【0002】
歯科修復物は、一般的に、口腔に自然の解剖学的見掛けを再現するために製造される。この製造プロセスは、歯科技師の美的能力に大きく依存している。この依存性は、患者にとって一貫した品質を与える上で歯科ラボラトリーの所有者及び歯科医の間に問題を引き起こす。この問題の理由は、高い審美的結果を得るのに必要なレベルまで歯科修復を美的に遂行するための美的能力又は経験を有する歯科技師が比較的僅かしかいないという事実にある。これは、経験のある歯科技師について高い需要を生み出し、それに対応して、必須の経験をもつ歯科技師が僅かなことから、コストを引き上げることになる。このような高いコストは、ラボラトリーがグローバルなマーケットで競争力を維持することを困難にする。
【0003】
現在の歯科修復物のトレンドは、薄い、より伝統的な歯の修復物であるベニヤを使用することである。これらの修復物は、歯科医が自然の歯の構造をほとんど又は全く除去せずに適用される。この形式の修復物に対して犠牲になることとして、自然の歯は比較的そのまま保持されるが、ベニヤの薄い構造は、3次元の色及び構造を使用して達成される自然の審美性をラボラトリーが創作するための余地をほとんど又は全く与えない。多くの患者は、歯の解剖学的構造を理解せず、又、自然に微笑んで見えるようにする上でのこれら構造の重要性を理解していない。ほとんどの歯科医は、発声構造を維持する目的で自然の歯を保存する重要性を理解している。このために、ある歯科医は、最小限の侵襲的歯科治療を使用して必要な修正を行うことを選択する。しかし、歯科医は、公衆に向けて大規模に宣伝されていることから、これらの薄いベニヤを使用することを余儀なくされる。ある歯科医は、患者の需要を満足させるためにのみこれらの修復を行う。本発明は、修復された歯の自然の見掛けを犠牲にすることなく、歯科医がこれらの伝統的な修復を提供し続けられるように努力するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、自然の口腔と同様の望ましい色及び特性を有し、歯冠、ブリッジ、セラミック修復物、樹脂、義歯、ベニヤ、事前に製造されたマトリクス、事前に硬化された樹脂及び組成物、並びに他の種類の修復歯科器具に適用できる歯科修復物を形成する方法及びそれにより得られる器具が要望される。本発明は、これらの要望を満足し、それに関連した更なる効果を発揮する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、歯科修復物を形成する方法及びそれにより得られる器具に向けられる。歯科修復物を形成する方法は、自然の口腔特性を表す映像を形成するステップを備えている。自然の口腔特性は、好ましくは、歯及び口腔組織の内部及び外部構造並びに色を含み、これは、歯、エナメル、象牙質、クレージングライン、しみ、静脈、血管、骨の色、過度の石灰化、粘膜組織又は歯茎組織を含む。好ましくは、映像を形成するステップは、コンピュータで映像を生成するステップを含む。この点に関して、映像は、画家により手で又は口腔のデジタル写真を捕獲することによりデジタル的に生成される。一実施形態では、捕獲される写真は、歯科修復を受ける患者の口腔のものである。別の実施形態では、口腔の写真は、別の個人のものであり、望ましい自然の口腔特性を得るためにコンピュータ支援ソフトウェアプログラムで修正される。更に、この方法は、歯科修復を受ける患者の望ましい自然の口腔特性に一致するように映像に着色するステップを含む。更に、この形成ステップは、患者が受ける選択的な自然の口腔特性を表す標準的映像のストックセットを形成するステップも含む。この点に関して、映像の配布可能な絵のセットが生成され、映像からプリントされたデカール(decal)に対して一致される。
【0006】
プリントされたデカールは、次いで、歯科修復基部に取り付けられる。従って、デカール及び歯科修復基部は、望ましい口腔の色及び特性を有する完成歯科修復物を製作するようにコンディショニングされる。一実施形態では、このコンディショニングステップは、デカール及び歯科修復基部を高輝度のライトで硬化するステップを含む。別の実施形態では、コンディショニングステップは、デカール及び歯科修復基部をオーブンで焼成するステップを含む。更に、歯科修復基部を形成する方法は、デカール、及び歯科修復基部の少なくとも一部分の上にシール材を配置するステップも含む。好ましくは、シール材は、合成樹脂、半透明のアクリル樹脂、保護層、セラミック又はグレーズ(うわぐすり)を含む。その後、付加的な二次デカールがシール材の上に取り付けられる。次いで、この二次デカールの上に、保護のためにグレーズが施される。好ましくは、歯科修復基部は、合成樹脂、ベニヤ、アクリル樹脂、セラミック、又は半透明アクリル樹脂を含む。
【0007】
それにより得られる歯科修復器具は、好ましくは、合成樹脂、ベニヤ、セラミック又はアクリル樹脂で作られた歯科修復基部を備えている。この歯科修復基部に取り付けられるデカールは、選択的な自然の口腔特性を有し、そして好ましくは、コンピュータベース映像からプリントされる。コンピュータベース映像は、写真、コンピュータ発生のモデル映像、又は図面を含む。自然の口腔特性が、コンピュータ支援のソフトウェアプログラムでコンピュータベース映像にペイントされる。自然の口腔特性は、好ましくは、歯、エナメル、象牙質、クレージングライン、しみ、静脈、血管、骨の色、過度の石灰化、粘膜組織又は歯茎組織を含む。これらの自然の口腔特性は、対応する歯科修復における自然の口腔特性を表す標準的なコンピュータベース映像のストックに含まれる。デカールに一致するコンピュータベース映像の配布可能な絵も与えられ、従って、患者は、歯科修復を受ける前に希望の口腔特性を選択することができる。更に、デカール、及び歯科修復基部の少なくとも一部分の上に、保護のためにシール材が配置される。好ましくは、シール材は、合成樹脂、半透明のアクリル樹脂、保護層、セラミック、又はグレーズを含む。又、付加的な二次デカールがシール材に固定される。次いで、この二次デカールの上に、保護のために別のグレーズ層が施される。
【0008】
本発明の他の特徴及び効果は、本発明の原理を例示する添付図面を参照した以下の詳細な説明から明らかとなろう。添付図面は、本発明を例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】歯科器具に使用するためのデカールを形成し選択するプロセスを示すフローチャートである。
【図2】合成樹脂ベースの歯科修復物にデカールを合体するプロセスを示すフローチャートである。
【図3】デカールを有する復元された欠けた歯の前面図である。
【図4】エナメル合成樹脂層を上に有する外部デカールを含む修復された欠けた歯の断面図である。
【図5】ベニヤベースの歯科修復物にデカールを合体するプロセスを示すフローチャートである。
【図6】ベニヤベースの歯科修復物に合体された内部デカールの断面図である。
【図7】色及び特性を追加するための外部デカールを含む図6の歯科修復物の別の断面図である。
【図8】ベニヤ準備歯に適用する前にベニヤに形成された外部デカールを示す断面図である。
【図9】セラミック義歯にデカールを合体するプロセスを示すフローチャートである。
【図10】セラミック義歯のエナメルセラミックと象牙質セラミックとの間に位置するデカールの断面図である。
【図11】デカールが配置されたセラミック義歯の前面図で、詳細線及び葉を示す図である。
【図12】デカールが配置されたセラミック義歯の前面図で、クレージングライン及び他の特性を示す図である。
【図13】義歯の組織を表すアクリル樹脂へデカールを合体するプロセスを示すフローチャートである。
【図14】義歯の組織エリアを表す内部配置デカールの断面図である。
【図15】義歯の組織エリアを表す外部配置デカールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、デカールを有する歯科修復物を形成する方法、及びそれにより得られる器具に関する。デカールは、口腔の自然の解剖学的見掛けを再現するように設計される。より詳細には、デカールは、歯の色、クレージングライン、内部の色、過度の石灰化、透明さ、エナメル変化、静脈、白いシミ、歯の線、並びに美術的に再現困難な他の組織及び歯の色、を再現するように設計される。
【0011】
図1は、歯科器具に配置するためのデカールを形成するプロセスのフローチャートである(100)。先ず、画家が、自然の歯及び組織の色及び特性を再現するために複数セットの映像を生成する(102)。これら映像は、手で描くアートワーク、写真又はコンピュータ発生映像を含む多数の技術のいずれか1つを経て生成される。一実施形態では、デカールは、歯及び口腔組織の内部及び外部構造、特性及び色の正確にペイントされた細部を与えるように8×10シートの大きなフォーマットに手で描かれたアートワークから形成される。画家は、患者の写真、モデルの一般的な写真、或いは歯及び口腔組織の内部及び外部構造の図面に基づいてデカールを描くことを選択する。或いは又、画家は、患者の歯の写真を撮って、後でプリントし、前記デカールとして使用してもよい。この実施形態では、患者の歯及び口腔組織の外部構造、特性及び色の写真映像が画家によって変更されない。同様の意味で、特に好ましい実施形態において、画家は、デジタルベースのコンピュータ支援ソフトウェアプログラムにおいて映像を操作して希望の色及び特性を得ることによりデカールのセットを生成する。デジタル映像は、患者又は別の個人の写真でもよい。又、映像は、関連ソフトウェアプログラムを通して画家により完全に開発されたコンピュータ発生映像でもよい。画家は、コンピュータ支援ソフトウェアプログラムを通して映像を操作して、患者が希望する色及び特性を得ることができる。コンピュータ発生された写真は、特に好ましい。というのは、画家は、多数の基礎的又は標準的デカールの1つを選択し、そのいずれかの基礎的又は標準的デカールに対して僅かな修正を行い、又は希望の修正を含む患者の口腔の写真を使用して、歯科修復を受ける各個々の患者の特有の最も現実的で且つ正確なデカールを形成するというオプションがあるためである。従って、デカールは、スタイル、色、特性が変化し、又、患者に基づいてサイズが変化する。デカールは、粘膜組織再現、静脈、血管、模擬骨色、過度石灰化、クレージングライン、或いは歯及び口腔組織の色及び特性に影響する他の自然又は不自然な作用のような付加的な解剖学的細部を含む。デカールは、用途及び望ましい使い方に基づいて変化するのが適当である。
【0012】
アートワークの細部が完成すると、そのアートワークは、歯科用途のための自然の歯のサイズまでサイズが減少される。次いで、小さなサイズの映像がコンピュータソフトウェアへ転送され(104)、これは、水性の接着剤を有するペーパーに映像をプリントする(106)のに適したものである。次いで、プリントされたペーパー映像がワックス基板に巻かれて加熱される(108)。その後、ペーパー及びワックス基板が分離されたときには、デカールがワックス基板に留まる。ワックス基板上のデカールは、正しい歯の変色を助けるために種々の色顔料を含む。色顔料は、激しい変色が生じる場合には望ましからぬ変色を容易に阻止するために不透明であってもよい。デカールは、歯の暗い背景部分を遮断して、明るい高輝度の結果を得る。或いは又、デカールの色顔料は、この層内に望ましい色及び構造を導入してもよい。従って、プリントされたデカールは、推奨温度で焼成されて、希望の歯科補綴物にしっかりと取り付けることができる。このようなデカールの多様性は、実質上無制限であり、既存構造及び非既存構造の両方の任意の形式の歯科効果を口腔に再現するように使用できる。
【0013】
次いで、再現映像が、歯科医及び/又は患者により見るためのサンプルとしてチャート及び/又はカタログにおいて分類される(110)。カタログは、歯科修復物を製作するための準備において歯科医が患者と共有するために種々のスタイル、色、及び様式化を含む。又、カタログは、歯科ラボラトリー、又は歯科修復物が製造される他のファシリティにおいて入手できるデカールの形式を表す。従って、歯科医及び患者は、歯又は組織修復のための望ましい色及び特性を有する再現映像(1つ又は複数)をチャート/カタログから選択する(112)。選択されたデカールは、患者が希望する自然の口腔色及び特性に一致する適切な色及び透明度特性を有していなければならない。次いで、歯科医は、その選択されたデカールを、修復歯を製造するファシリティにいる歯科ラボ技師へ通信する。この情報から、歯科ラボ技師は、歯科医及び患者によって選択された再現映像(1つ又は複数)に一致するデカール(1つ又は複数)を選択する(114)。ラボ技師は、歯科医及び/又は患者により選択された映像に一致するように、それに対応するデカールを画家のデカールシートから選択する(112)。次いで、ラボ技師又は歯科医は、図2、5、8及び12のフローチャートで詳細に述べるように、患者の必要性に応じて歯科器具を製作する(116)。もちろん、選択されたデカールは、標準的又はストックデカール、モデル歯を表すデカール、或いは患者の口腔の写真撮影により生成される(修正又は無修正の)デカールを含む。
【0014】
標準的又は基本的デカールの場合に、歯科医に与えられる参照カタログは、歯の修復に必要な特定スタイルのデカールを選択する一貫性及び正確さを保証する上で助けとなる。製造者及びラボラトリーは、歯科医及び/又は患者により選択された再現映像に一致する対応透明デカールを有する。デカールは、選択された歯科器具に適用される。この方法は、歯修復の見掛けの審美的予想性を高め、一度に1人の患者について口腔の自然の色及び特性を審美的に模擬するという困難なタスクを実質上排除する。又、本発明は、美術的に現実的な修復歯を製造するように技師をトレーニングする必要性を軽減し、そして特に義歯に使用するよう製造されるセラミック歯について製造プロセスを非常に簡単な技術へと変換するものである。その結果、本発明は、義歯の多層製造がもはや必要ないので、製造者が工作機械設備のコストを削減できるようにする。
【0015】
図2は、折れ、欠け又は歯ぎしりのために、口腔モデルを製作するか又は自然の歯を修復するプロセス(200)を示す。第1のステップは、欠けた及び/又は損傷を受けた歯を復元するために象牙質合成樹脂を施すことである(202)。又、象牙質合成樹脂は、口腔モデルの基部も形成する。象牙質合成樹脂は、色が変化するが、通常は、黄色気味である。損傷を受けた自然の歯については、象牙質合成樹脂を適当な位置に施して、非常にフラットなプラットホームを形成し、デカールがその表面に適合できるようにする。象牙質合成樹脂の硬化は、多数の重合化プロセスのいずれか1つにより達成される。一実施形態では、象牙質合成樹脂は、特定波長の光を合成樹脂に集中させるハロゲン系電球を使用して硬化される。合成樹脂中の化学的触媒がその光に敏感である。この光に露出すると、合成樹脂が硬化する。光に基づく硬化プロセスは、チェアサイドで行われる。或いは又、非チェアサイドプロセスは、圧力又は熱を使用して、象牙質合成樹脂を更に硬化することを含む。これらの硬化手順は、典型的に、モデル歯を製作するのに使用されるか、或いは義歯又は部分義歯に用いる交換歯のために使用される。一実施形態では、圧力を使用して合成樹脂材料内のエアギャップを除去し、その密度を高めて、光だけで硬化される場合より硬い構造体を形成する。従って、光は、合成樹脂の化学的触媒と反応して構造体を更に硬化するのに使用される。別の実施形態では、光及び圧力が熱と組み合わされる。この実施形態では、象牙質合成樹脂が、1700°Fのような高い温度において高度の重合化を達成する。合成樹脂の化学的触媒は、これらの高い温度において反応して硬化する。或いは又、光を伴わずに、加熱及び加圧プロセスのみを使用してもよい。望ましい重合化プロセスに基づいて合成樹脂に異なる化合物が使用されてもよい。従って、歯科医又は歯科技師は、光、圧力又は熱に応答して硬化する対応化学的触媒を選択するべく努力することになる。
【0016】
次いで、モデル歯又は準備された歯の硬化した象牙質合成樹脂に、選択されたデカールが配置される(204)。このデカールは、次いで、象牙質合成樹脂に対して硬化される(206)。修復される歯の初期輪郭及び形状を完成するために、象牙質合成樹脂及びデカールの硬化した構造体の上にエナメル合成樹脂の層が配置される(208)。次いで、歯科医は、付加的な色を追加すべきかどうか判断しなければならない(210)。付加的な色を追加するときには、エナメル色の合成樹脂の層の上に外部デカールを配置して(212)、自然の歯の色及び特性を再現するための必要な様式化を追加する。次いで、エナメル合成樹脂の薄い層が外部デカールの上に配置される(214)。その後、考えられる長期間劣化から歯科修復物を保護するために、合成樹脂の上に任意のグレーズ層が配置される(216)。グレーズは、主として、エナメル合成樹脂の極微穴を埋めて、歯科医が修復歯の外面を研磨できるようにするために施される。デカールは、希望の着色結果を得るように外面に使用することができる。又、このように施すことは、以下に詳細に述べるように、付加的な様式化が歯又は組織修復の全体的な審美的結果を向上させるような色の変化を要求するセラミック修復(歯及び口腔組織、例えば、粘膜組織)のための加圧性又は圧延セラミックにも使用できる。完成した構造体は、自然の歯の色及び特性を再現し(218)、自然の歯の色及び特性の修復が完全なものとならねばならない(220)。
【0017】
図3及び4は、デカール14を有する欠けた歯12の修復歯10を示す。図3は、欠けた歯12の一部分に充填材16が充填された修復歯10の前面図である。図4に示すように、充填材16は、デカール14が形成される象牙質合成樹脂基部18を含む。従って、ステップ(206)で述べたようにデカールが硬化された後に、エナメル合成樹脂20がデカール14及び象牙質合成樹脂基部18の上に配置される。充填材16は、図3に一般的に示す歯12の割れた部分又は折れた部分を固定するように設計される。デカール14は、エナメル合成樹脂20を通して見ることができ、デカール14の色及び特性は、図3において欠けた歯12の前面を通して図示されたように見える。付加的な着色又は特性のためにエナメル合成樹脂20の上部に付加的な外部デカール22が配置される。この外部デカール22は、エナメル合成樹脂の薄い層24をその上に施すことにより保護される。任意であるが、エナメル合成樹脂の薄い層24には、これを更に保護するために、実質的に透明なグレーズ26が施されてもよい。
【0018】
別の実施形態では、図3及び4の修復歯10を使用して、口腔モデルを製作することができる。モデルを製作するためのプロセスは、図2のフローチャートに一般的に示されている。モデルは、図4に示す修復歯と同様の組成物を含む。もちろん、モデルは、自然の欠けた歯12の一部分を含まない。それ故、象牙質合成樹脂基部18、エナメル合成樹脂20、デカール14、及び薄いエナメル合成樹脂層24は、図4に部分的形態で示されたように、修復歯10の全長に延びる。同様に、外部デカール22及び任意のグレーズ26も、モデルに長さに延びねばならない。デカール14又は外部デカール22は、歯の前部、後部及び底部の区分において全シート又は一連の部分シートとして適用される。このプロセスは、更に、自然の歯の色及び特性の正確な再現を保証する。
【0019】
或いは又、本発明は、合成樹脂ベース又は磁器ベースのベニヤにも適用することができる。図5は、デカール及び磁器ベースのベニヤを使用して修復歯を製作するプロセス(500)を示す。第1のステップは、CADミリング、堅固な蓄積又はプレスを経てベニヤ準備歯の外面に象牙質磁器を施すことである(502)。従って、ステップ(502)は、既存の歯のエナメルの一部分を削ぎ落とし、ベニヤに必要な深さのための余裕を作ることを含む。ベニヤを配置するように歯を準備することは、この技術でよく知られている。或いは又、準備されていない歯に象牙質磁器を施してもよい。この実施形態では、以下に述べるその後のステップまで、既存の歯のエナメルの一部分を削ぎ落とす必要はない。
【0020】
次のステップは、デカールを修復歯の内部に配置するか外部に配置するか決定することである(504)。内部配置の場合には、デカールを施す前に修復歯にエナメル磁器層を追加すべきかどうか判断しなければならない(506)。一実施形態では、エナメル磁器層が必要とされず、選択されたデカールが、準備された歯の象牙質磁器に直接配置される(508)。この実施形態における修復歯へのデカールの内部配置は、図2に示すプロセスと同様である。デカールは、上述した方法のいずれかにより象牙質磁器に対して硬化される(510)。次いで、エナメル磁器の層が象牙質磁器及びデカールの上に配置される(512)。図3及び4に示して上述したように、歯が欠けないことがあるので、時々、象牙質磁器の小さな層しか必要とされない。別の実施形態では、ステップ(506)の間に象牙質磁器の上にエナメル磁器を最初に追加することを決定すると、当然、選択されたデカールが、象牙質磁器上に配置される(508)のではなく、エナメル磁器上に配置される(514)ことが必要となる。この実施形態では、デカールは、エナメル磁器及び象牙質磁器と一緒に硬化される(516)。エナメル磁器の第1層及びデカールの硬化された構造体の上にエナメル磁器の第2層が配置される(518)。
【0021】
上述した両方の実施形態によれば、歯科医は、次いで、修復歯に付加的な色を追加すべきかどうか決定しなければならない(520)。付加的な色が望まれる場合には、エナメル磁器に外部デカールが配置される(522)。次いで、エナメル磁器の薄い層が外部デカール上に配置される(524)。任意であるが、歯科修復物を更に保護するためにエナメル磁器の上にグレーズ層が配置される(526)。修復された歯の自然の審美的な見掛けを更に向上するためにエナメル磁器の上に外部デカールが配置される。その後、準備された歯は、ベニヤを取り付ける用意ができる(528)。この技術で知られた方法を使用してベニヤが取り付けられると、その歯について、自然の歯の色及び特性の修復が完了する(530)。デカール及び磁器ベースのベニヤで修復歯を製作するステップ(500)、特に、ステップ(502)−(526)は、複数の歯について繰り返される。修復した歯及び修復しない歯の中で色の一貫性及び特性を保証するように、2本以上の歯をベニヤで修復することがしばしば望まれる。
【0022】
或いは又、デカール及び磁器ベースのベニヤで修復歯を製作するプロセス(500)は、修復歯の外部にデカールを配置するステップ(532)を含んでもよい。図5に示すように、外部デカールの使用を決定した後に(504)、選択されたデカールは、自然の歯に取り付ける前に、ベニヤに外部から配置される(532)。次いで、ベニヤ及びデカールがオーブンで焼成される(534)。その後、外部デカールの上に保護のためにグレーズ層が配置される(536)。従って、ベニヤが、次いで、準備された歯に取り付けられる(528)。次いで、自然の歯の色及び特性の修復が完了する(530)。同様に、患者が要求する各ベニヤについてステップ(502)−(536)が繰り返される。
【0023】
図6−8は、磁器ベースのベニヤ28を有する修復歯10の断面側面図である。図6は、内部に配置されたデカール14を有する修復歯10を示す。図示されたように、ベニヤ準備歯30は、その外部に沿って象牙質磁器基部32が施されている。ベニヤ準備歯30は、ベニヤ28と、それに対応する象牙質磁器基部32、エナメル磁器層34及びデカール14とに対する余地を作るためにサイズが若干(例えば、1.5ミリメーター)減少される。従って、デカール14は、象牙質磁器基部32の外部前層に施される。その後、デカール14及び象牙質磁器基部32の外面にエナメル磁器34が施される。最後に、図6に示す修復歯10のエナメル磁器34の外部にベニヤ28が取り付けられる。デカール14は、エナメル磁器34及びベニヤ28を通して見ることができる。
【0024】
図7は、図6に示す修復歯10の別の実施形態を示す。図7の修復歯10も、同様に、ベニヤ準備歯30及び象牙質磁器32を含む。しかしながら、この実施形態では、デカール14を施す前に象牙質磁器32にエナメル磁器34が直接施される。次いで、エナメル磁器34にデカール14が直接施される。その後、デカール14及びエナメル磁器34の露出部分にエナメル磁器の第2層36が施される。エナメル磁器の第2層36は、デカール14に必要な長期間保護を与える。エナメル磁器の第2層36には、その更なる保護のために任意のグレーズ26が施される。このグレーズ26は、主として、エナメル磁器の極微穴を埋め、歯科医が修復歯の外面を研磨できるようにする。次いで、図6に示して説明したのと同様に、エナメル磁器の第2層36にベニヤ28が施される。更に、ベニヤ28が施される前にエナメル磁器の第2層36に外部デカール22が施される。この実施形態では、上述したステップに基づいて、外部デカール22に外部エナメル磁器38が施される。この場合も、外部エナメル磁器38には、その更なる保護のために任意のグレーズ26が施される。歯の適切な色及び特性が充分であると歯科医が決定すると、上述したプロセスに基づいて、ベニヤ28が取り付けられる。
【0025】
図8は、外部デカール22のみを使用してベニヤ準備歯30に磁器ベースのベニヤ28を取り付けるところを示す。図8に示すように、ベニヤ準備歯30には、象牙質磁器基部32が施されている。象牙質磁器32に最終的に直接施されるベニヤ28は、修復歯10に施される前に、外部デカール22を受け取る。この点に関して、外部デカール22は、ベニヤ準備歯30に施される前に、ベニヤ28の外部に施される。この実施形態では、外部デカール22及びベニヤ28は、オーブンにおいて一緒に焼成される。次いで、ベニヤ28の外部には、それに対して焼成される外部デカール22を保護するために、グレーズ26が施される。外部デカール22及びグレーズ26を有するベニヤ28は、その後、良く知られた方法により、象牙質磁器32に取り付けられる。取り付けられたベニヤ28は、外部デカール22を経て自然の歯の希望の色及び特性を表示する。
【0026】
又、デカール14は、図9のフローチャートに一般的に示すように、義歯に配置するようにセラミック歯と共に使用されてもよい。ほとんどの場合、図9のステップは、歯科医又はラボ技師ではなく、セラミック歯の製造者により遂行される。義歯に置き換わる複数の歯の色及び特性を再現するために複数のデカールが必要となる。義歯に使用するためのセラミック歯の製造段階でデカールを使用することは、製造プロセスを簡単化し、より現実的な義歯をもたらす。製造されたセラミック歯は、優れた審美的な色及び特性を含む。
【0027】
義歯に配置するためのセラミック義歯を形成するプロセス(900)は、CAD/CAMミリング、液体・粉末蓄積、又はプレス(即ち、プレス可能)を経て象牙質セラミック歯を形成する(902)ことによりスタートする。次のステップは、デカールが象牙質セラミック義歯の内部に配置されるか外部に配置されるか決定することである(904)。象牙質セラミック義歯の内部にデカールを配置することは、図5に示したプロセスと同様である。先ず、選択されたデカールが象牙質セラミック義歯に配置される(906)。次いで、デカール及び象牙質セラミック義歯の上にエナメルセラミックの層が配置される(908)。象牙質セラミック義歯、デカール及びエナメルセラミックを含む構造体は、次いで、硬化のためにオーブンで焼成される(910)。その後、セラミック歯製造者又はその後の歯科ラボ技師が、外部の色を追加すべきかどうか決定する(912)。外部の色を希望する場合には、エナメル着色セラミックに外部デカールが配置される(914)。次いで、外部デカールの上にエナメルセラミックの薄い層が配置される(916)。任意であるが、エナメルセラミックの上に、それを更に保護するためにグレーズ層が配置される(918)。出来上ったセラミック歯は、自然の歯の色及び特性を正確に再現するものでなければならない(920)。次いで、必要な量のセラミック歯が義歯基部に取り付けられる(922)。その後、患者に、自然の見掛けをもつ義歯が取り付けられる(924)。或いは又、外部の色が必要ないと判断されてもよく(912)、この場合、付加的なステップなしに義歯が出来上がる(920)。従って、セラミック歯が義歯基部に取り付けられ(922)、次いで、患者に取り付けられる(924)。
【0028】
或いは又、ステップ(904)中にデカールを修復歯の外部に配置すべきであると決定されてもよい。この実施形態では、選択されたデカールは、象牙質セラミック歯の外部に配置される(926)。次いで、デカール及び象牙質セラミック歯は、オーブンで焼成される(928)。これは、出来上る構造体を硬化させる。次いで、外部デカールの上にグレーズ層が配置される(930)。出来上ったセラミック歯は、口腔の自然の歯の色及び特性を再現するものである(920)。次いで、必要な量のセラミック歯が義歯基部に取り付けられた(922)後に、患者に義歯が取り付けられる(924)。
【0029】
図9に示すプロセスは、美術スタジオで細部を描くのに何時間も費やすことなく、義歯のセラミック歯が自然の歯の実際の色及び特性を含むという点で、現在のやり方に著しく勝る効果を発揮する。これらの細部をもたないセラミック歯は、不自然に一貫して白(又はその陰)に見える。これは、望ましからぬ不自然な見掛けである。本発明は、画家が必要な細部を加えて歯の見掛けを自然なものにすることに関連した時間及びコストを排除する。
【0030】
図10−12は、義歯に配置するためのセラミック歯サンプル40を示す。図10は、デカール14が上に配置されてエナメルセラミック44により保護された象牙質セラミック基部42を含むセラミック歯40の断面図である。象牙質セラミック基部42とエナメルセラミック44との間に配置された内部デカール14の様式は、エナメルセラミック44を通して見ることができる。図11は、複数の細部を有するセラミック歯40の前面図である。例えば、セラミック歯40は、詳細線46及び葉(よう、lobe)48のセットを含む。図12により詳細に示すように、詳細線46は、クレージングライン50又は白いしみ52のセットを含む。図10−12に示す実施形態の各々において、セラミック歯40は、デカール14が内部に配置されている。図11及び12に示す細部は、上述したように、多数の異なるタイプの様式を含む。更に、デカール14は、上述したように、外部に配置されてもよい。又、デカールは、セラミックベースの歯に加えて、合成樹脂ベースの歯をもつ義歯に使用することもできる。
【0031】
図13は、口部組織の自然の色及び特性を再現するために歯科器具にデカールを合体するための一般的プロセス(1300)を示す。先ず、ラボ技師は、組織色のアクリル樹脂基部の内部にデカールを配置すべきか外部に配置すべきか決定しなければならない(1302)。内部配置のデカールは、歯科器具における組織色アクリル樹脂に直接配置される(1304)。或いは又、これらデカールは、軟組織の色及び特性を表すように使用されてもよいし、ベニヤ、歯冠、ブリッジ及び他のインプラントに関連して使用することもできる。デカールは、軟組織補綴物が必要なときには修復歯に適用される組織様式を模擬する。次いで、半透明のアクリル樹脂又は合成樹脂の層がデカール上に配置される(1306)。次いで、組織色アクリル樹脂基部及びデカールは、オーブンで焼成される(1308)。デカールを外部に配置する場合に、組織色アクリル樹脂基部に選択されたデカールを配置することが要求される(1310)。次いで、この構造体は、オーブンで焼成することにより硬化される(1312)。次いで、薄い保護グレーズ層が外部デカールの上に配置される(1314)。保護グレーズは、デカールを環境から絶縁し、摩耗に対して保護する。ステップ(1308)及び(1314)の結果は、出来上った歯科器具が口腔の自然の組織色及び特性を再現することである。次いで、出来上った構造体を歯科医又は歯科技師へ送り、セラミック歯を取り付けた(1318)後に、患者に固定する(1320)。この実施形態では、内部又は外部デカールは、血管、組織外皮、筋肉領域、腱、組織の色、又は骨の解剖学的変化を含む口部組織の色を模擬する。図13に示すステップを、図9に示すステップと結合して、自然の見掛けの歯(図10−12)及び口部組織(図14−15)の両方を有する義歯を形成することもできる。
【0032】
図14及び15は、各々、義歯の口部組織領域の内部及び外部にデカール14を配置したものを示す。図14及び15は、一般的に、義歯54の断面図である。従って、義歯54は、上述したセラミック歯40に隣接して組織色のアクリル樹脂56を含む。図14では、デカール14は、組織色のアクリル樹脂56と半透明の組織色のアクリル樹脂58との間にサンドイッチされて義歯54の内部に配置される。半透明の組織色のアクリル樹脂58は、デカール14の細部を外部から見えるようにする。従って、デカール14が表示することを目的とする自然の組織色を見ることができる。或いは又、図15では、デカール14は、組織色のアクリル樹脂56の外部にあり、保護層60によって保護される。好ましくは、保護層60は、上述したグレーズである。
【0033】
一般的に、本発明のデカールは、自然の歯の内部及び/又は外部の色及び特性、並びに歯の領域を取り巻く自然の組織、例えば、乳頭状突起及び粘膜組織の内部及び/又は外部の色及び特性を審美的に模擬するために、写真、捕獲映像又は図面から製造される。合成樹脂の修復物の直接的又は間接的な製造は、口腔の内部及び外部の解剖学的な配色を模擬するために合成樹脂又はセラミックの製造にデカール又はデカールの一部分を入れることを含む。自然の色の様式を模擬することで、歯科医は、患者の口腔の審美性に最良に一致する歯及び組織の色及び特性を小さな寸法内に有する歯科修復物を患者に提供することができる。
【0034】
デカールは、合成樹脂又はセラミック材料の複数の層にデカールを配置することにより三次元の自然の見掛けの修復歯を生み出すことができる。或いは又、複数のデカールを、修復歯の前部、底部又は後部において互いに積み重ねたり又は間欠的に配置したりすることができる。本発明の重要な観点は、デカールが、修復歯に対して歯又は組織の色及び特性を描く必要性に取って代わることである。合成樹脂、セラミック、磁器、又はグレーズは、デカールを保護して、耐久性を高める。ここに述べるデカールは、合成樹脂層、セラミック層、及びアクリル樹脂層が使用される領域に配置することができる。このような層は、義歯、修復歯、又は粘膜組織再現品の製造に使用することができる。又、本発明は、部分ベニヤ、歯冠及びブリッジ用途、欠けた又は折れた歯、並びにべニヤ処理のための非準備歯に使用することもできる。
【0035】
例示のために多数の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに種々の変更がなされ得ることが明らかであろう。従って、本発明は、特許請求の範囲のみによって限定されるものとする。
【符号の説明】
【0036】
10:修復歯
12:欠けた歯
14:デカール
16:充填材
18:象牙質合成樹脂基部
20:エナメル合成樹脂
22:外部デカール
24:エナメル合成樹脂の薄い層
26:実質的に透明なグレーズ
28:磁器ベースのベニヤ
30:ベニヤ準備歯
32:象牙質磁器基部
34:エナメル磁器層
36:エナメル磁器の第2層
38:外部エナメル磁器
40:セラミック歯
42:象牙質セラミック基部
44:エナメルセラミック
50:クレージングライン
52:白いしみ
54:義歯
56:アクリル樹脂
58:半透明のアクリル樹脂
60:保護層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科修復物を形成する方法において、
自然の口腔特性を表す映像を形成するステップと、
前記映像をデカールとしてプリントするステップと、
前記デカールを歯科修復基部に取り付けるステップと、
希望の口腔色及び特性を有する完成歯科修復物を製作するように前記デカール及び歯科修復基部をコンディショニングするステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
前記形成ステップは、コンピュータに映像を生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
希望の自然の口腔特性に一致するように映像に着色するステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記自然の口腔特性は、歯及び口腔組織の内部及び外部構造並びに色を含み、これは、歯、エナメル、象牙質、クレージングライン、しみ、静脈、血管、骨の色、過度の石灰化、粘膜組織又は歯茎組織を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記形成ステップは、標準映像のストックを形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記形成ステップは、口腔の写真を捕獲するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
コンピュータ支援ソフトウェアプログラムで写真を修整するステップを更に備えた、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記デカールに一致する映像の配布可能な絵を生成するステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コンディショニングステップは、前記デカール及び歯科修復基部を高輝度光で硬化するか又は前記デカール及び歯科修復基部をオーブンで焼成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記デカール及び前記歯科修復基部の少なくとも一部分の上にシール材を配置するステップであって、そのシール材は、合成樹脂、半透明のアクリル樹脂、保護層、セラミック又はグレーズを含むものであるステップと、
前記シール材の上に二次デカールを取り付けるステップと、
前記二次デカールにグレーズをかけるステップと、
を備えた請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記歯科修復基部は、合成樹脂、ベニヤ、アクリル樹脂、セラミック、又は半透明のアクリル樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
歯科修復基部と、
前記歯科修復基部に取り付けられ、選択された自然の口腔特性を有するデカールであって、コンピュータベースの映像からプリントされるデカールと、
前記デカール及び前記歯科修復基部の少なくとも一部分の上に配置されたシール材と、
を備えた歯科修復物。
【請求項13】
前記コンピュータベースの映像は、写真、コンピュータ発生されるモデル映像、又は図面を含む、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項14】
前記自然の口腔特性は、前記コンピュータベースの映像にペイントされる、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項15】
前記自然の口腔特性は、歯、エナメル、象牙質、クレージングライン、しみ、静脈、血管、骨の色、過度の石灰化、粘膜組織又は歯茎組織を含む、請求項14に記載の歯科修復物。
【請求項16】
標準的なコンピュータベース映像のストックを含む、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項17】
前記デカールに一致する前記コンピュータベースの映像の配布可能な絵を含む、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項18】
前記歯科修復基部は、合成樹脂、ベニヤ、セラミック、又はアクリル樹脂を含む、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項19】
前記シール材は、合成樹脂、半透明のアクリル樹脂、保護層、セラミック又はグレーズを含む、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項20】
前記シール材に固定された二次デカールと、その二次デカールに配置されたグレーズとを含む、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項21】
歯科修復物を形成する方法において、
自然の口腔特性を表す映像をコンピュータで形成するステップであって、その自然の口腔特性は、歯及び口腔組織の内部及び外部構造並びに色を含み、これは、歯、エナメル、象牙質、クレージングライン、しみ、静脈、血管、骨の色、過度の石灰化、粘膜組織又は歯茎組織を含むものであるステップと、
希望の自然の口腔特性に一致するように映像に着色するステップと、
前記映像をデカールとしてプリントするステップと、
前記デカールを歯科修復基部に取り付けるステップと、
前記デカール及び歯科修復基部を高輝度光で硬化するか又は前記デカール及び歯科修復基部をオーブンで焼成して、希望の口腔色及び特性を有する完成歯科修復物を製作するステップと、
を備えた方法。
【請求項22】
前記形成ステップは、標準映像のストックを形成するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
口腔の写真をコンピュータ支援ソフトウェアプログラムで修正するステップを更に備えた、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記デカールに一致する映像の配布可能な絵を生成するステップを更に備えた、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記デカール及び前記歯科修復基部の少なくとも一部分の上にシール材を配置するステップであって、そのシール材は、合成樹脂、半透明のアクリル樹脂、保護層、セラミック又はグレーズを含むものであるステップと、
前記シール材の上に二次デカールを取り付けるステップと、
前記二次デカールにグレーズをかけるステップと、
を備えた請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記歯科修復基部は、合成樹脂、ベニヤ、アクリル樹脂、セラミック、又は半透明のアクリル樹脂を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
歯科修復基部と、
前記歯科修復基部に取り付けられ、選択された自然の口腔特性を有するデカールであって、このデカールは、写真、コンピュータ発生されるモデル映像又は図面を含むコンピュータベースの映像からプリントされ、且つそのコンピュータベースの映像には前記自然の口腔特性がペイントされるようなデカールと、
前記デカール及び前記歯科修復基部の少なくとも一部分の上に配置されたシール材と、
を備えた歯科修復物。
【請求項28】
前記自然の口腔特性は、歯、エナメル、象牙質、クレージングライン、しみ、静脈、血管、骨の色、過度の石灰化、粘膜組織又は歯茎組織を含む、請求項27に記載の歯科修復物。
【請求項29】
前記歯科修復基部は、合成樹脂、ベニヤ、セラミック、又はアクリル樹脂を含み、前記シール材は、合成樹脂、半透明のアクリル樹脂、保護層、セラミック、又はグレーズを含む、請求項27に記載の歯科修復物。
【請求項30】
前記シール材に固定された二次デカールと、その二次デカールに配置されたグレーズとを含む、請求項29に記載の歯科修復物。
【請求項31】
標準的なコンピュータベース映像のストックを含む、請求項21に記載の歯科修復物。
【請求項32】
前記デカールに一致する前記コンピュータベースの映像の配布可能な絵を含む、請求項21に記載の歯科修復物。
【請求項1】
歯科修復物を形成する方法において、
自然の口腔特性を表す映像を形成するステップと、
前記映像をデカールとしてプリントするステップと、
前記デカールを歯科修復基部に取り付けるステップと、
希望の口腔色及び特性を有する完成歯科修復物を製作するように前記デカール及び歯科修復基部をコンディショニングするステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
前記形成ステップは、コンピュータに映像を生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
希望の自然の口腔特性に一致するように映像に着色するステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記自然の口腔特性は、歯及び口腔組織の内部及び外部構造並びに色を含み、これは、歯、エナメル、象牙質、クレージングライン、しみ、静脈、血管、骨の色、過度の石灰化、粘膜組織又は歯茎組織を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記形成ステップは、標準映像のストックを形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記形成ステップは、口腔の写真を捕獲するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
コンピュータ支援ソフトウェアプログラムで写真を修整するステップを更に備えた、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記デカールに一致する映像の配布可能な絵を生成するステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コンディショニングステップは、前記デカール及び歯科修復基部を高輝度光で硬化するか又は前記デカール及び歯科修復基部をオーブンで焼成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記デカール及び前記歯科修復基部の少なくとも一部分の上にシール材を配置するステップであって、そのシール材は、合成樹脂、半透明のアクリル樹脂、保護層、セラミック又はグレーズを含むものであるステップと、
前記シール材の上に二次デカールを取り付けるステップと、
前記二次デカールにグレーズをかけるステップと、
を備えた請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記歯科修復基部は、合成樹脂、ベニヤ、アクリル樹脂、セラミック、又は半透明のアクリル樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
歯科修復基部と、
前記歯科修復基部に取り付けられ、選択された自然の口腔特性を有するデカールであって、コンピュータベースの映像からプリントされるデカールと、
前記デカール及び前記歯科修復基部の少なくとも一部分の上に配置されたシール材と、
を備えた歯科修復物。
【請求項13】
前記コンピュータベースの映像は、写真、コンピュータ発生されるモデル映像、又は図面を含む、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項14】
前記自然の口腔特性は、前記コンピュータベースの映像にペイントされる、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項15】
前記自然の口腔特性は、歯、エナメル、象牙質、クレージングライン、しみ、静脈、血管、骨の色、過度の石灰化、粘膜組織又は歯茎組織を含む、請求項14に記載の歯科修復物。
【請求項16】
標準的なコンピュータベース映像のストックを含む、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項17】
前記デカールに一致する前記コンピュータベースの映像の配布可能な絵を含む、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項18】
前記歯科修復基部は、合成樹脂、ベニヤ、セラミック、又はアクリル樹脂を含む、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項19】
前記シール材は、合成樹脂、半透明のアクリル樹脂、保護層、セラミック又はグレーズを含む、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項20】
前記シール材に固定された二次デカールと、その二次デカールに配置されたグレーズとを含む、請求項12に記載の歯科修復物。
【請求項21】
歯科修復物を形成する方法において、
自然の口腔特性を表す映像をコンピュータで形成するステップであって、その自然の口腔特性は、歯及び口腔組織の内部及び外部構造並びに色を含み、これは、歯、エナメル、象牙質、クレージングライン、しみ、静脈、血管、骨の色、過度の石灰化、粘膜組織又は歯茎組織を含むものであるステップと、
希望の自然の口腔特性に一致するように映像に着色するステップと、
前記映像をデカールとしてプリントするステップと、
前記デカールを歯科修復基部に取り付けるステップと、
前記デカール及び歯科修復基部を高輝度光で硬化するか又は前記デカール及び歯科修復基部をオーブンで焼成して、希望の口腔色及び特性を有する完成歯科修復物を製作するステップと、
を備えた方法。
【請求項22】
前記形成ステップは、標準映像のストックを形成するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
口腔の写真をコンピュータ支援ソフトウェアプログラムで修正するステップを更に備えた、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記デカールに一致する映像の配布可能な絵を生成するステップを更に備えた、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記デカール及び前記歯科修復基部の少なくとも一部分の上にシール材を配置するステップであって、そのシール材は、合成樹脂、半透明のアクリル樹脂、保護層、セラミック又はグレーズを含むものであるステップと、
前記シール材の上に二次デカールを取り付けるステップと、
前記二次デカールにグレーズをかけるステップと、
を備えた請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記歯科修復基部は、合成樹脂、ベニヤ、アクリル樹脂、セラミック、又は半透明のアクリル樹脂を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
歯科修復基部と、
前記歯科修復基部に取り付けられ、選択された自然の口腔特性を有するデカールであって、このデカールは、写真、コンピュータ発生されるモデル映像又は図面を含むコンピュータベースの映像からプリントされ、且つそのコンピュータベースの映像には前記自然の口腔特性がペイントされるようなデカールと、
前記デカール及び前記歯科修復基部の少なくとも一部分の上に配置されたシール材と、
を備えた歯科修復物。
【請求項28】
前記自然の口腔特性は、歯、エナメル、象牙質、クレージングライン、しみ、静脈、血管、骨の色、過度の石灰化、粘膜組織又は歯茎組織を含む、請求項27に記載の歯科修復物。
【請求項29】
前記歯科修復基部は、合成樹脂、ベニヤ、セラミック、又はアクリル樹脂を含み、前記シール材は、合成樹脂、半透明のアクリル樹脂、保護層、セラミック、又はグレーズを含む、請求項27に記載の歯科修復物。
【請求項30】
前記シール材に固定された二次デカールと、その二次デカールに配置されたグレーズとを含む、請求項29に記載の歯科修復物。
【請求項31】
標準的なコンピュータベース映像のストックを含む、請求項21に記載の歯科修復物。
【請求項32】
前記デカールに一致する前記コンピュータベースの映像の配布可能な絵を含む、請求項21に記載の歯科修復物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2011−519581(P2011−519581A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545086(P2010−545086)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/032150
【国際公開番号】WO2009/097288
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(510207221)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/032150
【国際公開番号】WO2009/097288
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(510207221)
【Fターム(参考)】
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