説明

歯科治療装置

【課題】無線制御信号発信機能を持つフットコントローラを用いて、コードレスの歯科治療用インスツルメントの出力をも制御可能とし、もって、コードレスインスツルメントの出力を、術者が不馴れな手操作によることなく、馴れた足操作によって制御可能とする。
【解決手段】無線信号を発信するフットコントローラ20と、該フットコントローラ20からの無線信号によって駆動されるコードレスの歯科治療用インスツルメント30とから成る。インスツルメント30は、該インスツルメント30が患者の口腔付近にあることを検知するセンサを有し、歯科治療用インスツルメント30が患者の口腔付近にある時、該インスツルメント30は、前記フットコントローラ20からの無線信号によって駆動可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科治療装置、より詳細には、無線信号を発信するフットコントローラを具備し、該フットコントローラからの無線信号によって歯科治療用インスツルメント(ハンドピース)の駆動を制御するようにした歯科治療装置において、前記歯科治療用インスツルメントとして、コードレスのインスツルメントを使用する場合に、該コードレスのインスツルメントが患者の口腔付近に近付いた時に、該インスツルメントが患者の口腔付近に近付いたことを検知し、該コードレスインスツルメントが前記フットコントローラからの無線信号によって駆動可能となるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
図2は、本発明が適用される歯科治療装置の一例を説明するための構成図で、図中、10は歯科治療装置本体、20は該歯科治療装置本体10に設けられている歯科治療機器を駆動、制御するフットコントローラで、該フットコントローラ20は、無線制御信号を発信し、歯科治療装置本体10は、該無線制御信号を受信装置7にて受信し、該歯科治療装置本体10に設けられている歯科治療用インスツルメント6の駆動を制御する。
【0003】
更に詳細に説明すると、歯科治療装置本体10は、治療椅子1,ワークテーブル2,うがい装置3,無影灯4,インスツルメントホルダ5等から成り、インスツルメントホルダ5には、歯科治療において使用する種々のインスツルメント6が配置されている。20は前記歯科治療装置本体10に設けられている前記インスツルメント6の駆動を制御するフットコントローラで、該フットコントローラ20は無線信号を介して歯科治療装置本体10の受信装置7と連結されている。
【0004】
周知のように、歯科治療に当り、患者は治療椅子1に座り、頭を安頭台1aに固定して治療を受ける。治療中、術者は治療椅子1を上下動,倒起動,傾斜動等させて、患者を治療しやすい姿勢にし、無影灯4を点灯させ、インスツルメントホルダ5より治療に必要なインスツルメント6を取り出し、フットコントローラ20を足操作して該取り出したインスツルメントの駆動、停止、出力(例えば、回転数)等を制御して治療を行う。
【0005】
フットコントローラ20は、インスツルメント操作レバー21、椅子操作スイッチ22(221〜223)等から成り、操作レバー21を足で左右に操作することによって、その操作方向、操作角度に応じた無線信号を無線発信器24から発信して歯科治療のためにインスツルメントホルダ5より取り出したインスツルメント(例えば、マイクロエンジン)6の回転(正、逆)方向、回転速度を制御する。また、椅子操作スイッチ221を押下すると、歯科治療椅子1が上昇し、椅子操作スイッチ223を押下すると、歯科治療椅子1は下降し、椅子操作スイッチ221と222を同時に押下すると、歯科治療椅子1のバックレストが倒動し、222と223を同時に押下すると、歯科治療椅子1のバックレストが起動するが、これらの動作も、フットコントローラ20の無線発信器24から発信される無線信号によって制御される。
【0006】
図2に示した歯科治療装置は、歯科治療装置本体10に備えられているインスツルメント6の駆動を、フットコントローラ20からの無線信号によって制御するものであり、歯科治療装置本体10に設けられていないコードレスインスツルメント(コードレスインスツルメントとして、例えば、マイクロエンジン、スケーラ等は実用化されている)に対しては、適用することができなかった。そのため、術者は、これらコードレスインスツルメントを用いて歯科治療を行う場合には、手操作にて、これらコードレスインスツルメントの回転数等を制御しなければならなかった。
【0007】
しかし、現在の歯科治療装置は、有線無線を問わず、ほとんどがフットコントローラによって歯科治療用インスツルメントの出力を制御するものであり、コードレスインスツルメントを使用する場合、術者は、不馴れな手操作によってインスツルメントを操作しなければならず、そのためインスツルメントの操作に神経を使い、場合によっては、誤操作してしまう恐れがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、従来の無線制御信号発信機能を持つフットコントローラを用いて、コードレスの歯科治療用インスツルメントの出力をも制御可能とし、もって、コードレスインスツルメントの出力を、術者が不馴れな手操作によることなく、馴れた足操作によって制御可能とすることを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、無線信号を発信するフットコントローラと、該フットコントローラからの無線信号によって駆動されるコードレスの歯科治療用インスツルメントとから成り、前記インスツルメントは、該インスツルメントが患者の口腔付近にあることを検知するセンサを有し、歯科治療用インスツルメントが患者の口腔付近にある時、該インスツルメントは、前記フットコントローラからの無線信号によって駆動可能であることを特徴としたものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記センサは、患者が発生する輻射を検知するものであることを特徴としたものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記センサは、インスツルメントからの放射を患者からの反射として検出するものであることを特徴としたものである。
【0012】
請求項4の発明は、無線信号を発信するフットコントローラと、該フットコントローラからの無線信号によって駆動されるコードレスの歯科治療用インスツルメントと、患者用の治療椅子とから成り、前記治療椅子は、前記歯科治療用インスツルメントが患者の口腔付近に近付いたことを検出するセンサを有し、患者の口腔付近に近付いたことが検知された時、該インスツルメントは前記フットコントローラからの無線信号によって駆動可能であることを特徴としたものである。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記センサは、該センサからの放射を前記歯科治療用インスツルメントからの反射として検出するものであることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0014】
フットコントローラからの無線信号によって、コードレスインスツルメントの出力を制御可能としたので、術者は、コードレスインスツルメントの出力を不馴れな手操作によって制御する必要はなく、馴れた足操作によって制御することができるので、歯科治療作業を効果的にかつ誤操作の心配なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による歯科治療装置の一実施例を説明するための図である。
【図2】本発明が適用される従来の歯科治療装置の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明による歯科治療装置の一実施例を説明するための図で、図中、図2に示した従来技術と同様の作用をする部分には、図2の場合と同一の参照番号が付してある。なお、図2に示した従来技術においては、フットコントローラ20と歯科治療装置本体10とは、設置位置が固定された受信装置7との通信であるため、赤外線を用いての無線通信を想定しているが、本発明においては、所在位置が患者の治療姿勢によって変化する不確定なコードレスインスツルメントをも対象としているため、通信範囲の広い赤外線、電波、超音波等の無線信号を用いるとよい。
【0017】
而して、図1は、歯科治療椅子1に患者Pが座り、該治療椅子1を倒状態にして患者Pがコードレスインスツルメント30にて歯科治療を受けようとしている状態を示すが、本発明においては、コードレスインスツルメント30が患者Pの口腔付近に近付いた時に、該コードレスインスツルメント30が患者の口腔近傍に近付いたことをセンサにて検出し、検出信号によって該コードレスインスツルメント30が被駆動可能状態にされ、フットコントローラ20からの無線信号によって駆動制御される。
【0018】
前記センサは、一例としては、コードレスインスツルメント30内に設けられた検知センサによって、患者からの輻射(体温)を検出して、或いは、インスツルメント30から患者に向けて照射した光、超音波、電波等の患者からの反射等を検出して、該コードレスインスツルメント30が患者の口腔近傍に近付いたことを検知するものであり、他の例としては、歯科治療椅子1のヘッドレスト等、歯科治療椅子1の患者の頭部に近い部位に、コードレスインスツルメントが患者の頭部に近付いたことを検出する光、超音波、電波等の無線センサを設けておき、これら無線センサによってコードレスインスツルメント30が患者の口腔付近に近付いたことを検出するものである。なお、この後者の例の場合、当然に、歯科治療装置本体10に設けられている従来の歯科治療インスツルメント6に対しても同様に作用する。
【0019】
上述のように、本発明によるとコードレスインスツルメント等、従来、フットコントローラで操作不可であったインスツルメントを、足操作によって駆動制御可能としたので、術者は、不馴れな手操作によることなく、馴れた足操作によってインスツルメントの駆動制御が可能となり、コードレスインスツルメントを使用するに当り、必要以上に神経を使うことなく、誤操作の恐れもなく、効果的に歯科治療を行うことができる。
【符号の説明】
【0020】
1…歯科治療椅子、10…歯科治療装置本体、20…無線発信式フットコントローラ、30…コードレスインスツルメント、P…患者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を発信するフットコントローラと、該フットコントローラからの無線信号によって駆動されるコードレスの歯科治療用インスツルメントとから成り、前記インスツルメントは、該インスツルメントが患者の口腔付近にあることを検知するセンサを有し、歯科治療用インスツルメントが患者の口腔付近にある時、該インスツルメントは、前記フットコントローラからの無線信号によって駆動可能であることを特徴とする歯科治療装置。
【請求項2】
前記センサは、患者が発生する輻射を検知するものであることを特徴とする請求項1に記載の歯科治療装置。
【請求項3】
前記センサは、インスツルメントからの放射を患者からの反射として検出するものであることを特徴とする請求項1に記載の歯科治療装置。
【請求項4】
無線信号を発信するフットコントローラと、該フットコントローラからの無線信号によって駆動されるコードレスの歯科治療用インスツルメントと、患者用の治療椅子とから成り、前記治療椅子は、前記歯科治療用インスツルメントが患者の口腔付近に近付いたことを検出するセンサを有し、患者の口腔付近に近付いたことが検知された時、該インスツルメントは前記フットコントローラからの無線信号によって駆動可能であることを特徴とする歯科治療装置。
【請求項5】
前記センサは、該センサからの放射を前記歯科治療用インスツルメントからの反射として検出するものであることを特徴とする請求項4に記載の歯科治療装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−152447(P2012−152447A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15227(P2011−15227)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000150671)株式会社長田中央研究所 (194)
【Fターム(参考)】