説明

歯科用アルジネート印象材

【課題】 本発明は、歯牙その他の型取りに使用されるペーストタイプの歯科用アルジネート印象材において、2つのペーストの混和状態を目視で容易に確認することができ、かつ石膏模型表面に印象材の色が付着しない歯科用アルジネート印象材を提供することを目的とする。
【解決手段】 アルギン酸塩および水を含有する基材ペーストと、ゲル化反応剤、難水溶性有機溶剤および界面活性剤を含有する硬化材ペーストからなる歯科用アルジネート印象材に、該印象材が硬化前には有色であり硬化後に無色となる、フェノールフタレインなどの色素を少なくともどちらか一方のペーストに配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルギン酸塩および水を含有する基材ペーストと、ゲル化反応剤を含有する硬化材ペーストからなる、歯牙その他の型取りに使用される歯科用アルジネート印象材に関し、2つのペーストの混和状態を目視で容易に確認することができ、かつ石膏模型表面に印象材の色が付着しない歯科用アルジネート印象材に関する。
【背景技術】
【0002】
アルギン酸塩と、硫酸カルシウムのようなゲル化反応剤を配合した印象材は、アルジネート印象材と称されて型採りのために使用されることが知られている。これらのアルジネート印象材は、印象精度が良く微細な部分を再現することができ、しかも印象操作が容易であること等の利点を有するため、例えば歯科用の印象材として広く使用されている。
【0003】
アルジネート印象材には、一般には必要に応じて充填材やゲル化調節剤を配合した粉末と水とを混和する粉末タイプと、アルギン酸塩を主成分とする基材ペーストと、硫酸カルシウムを主成分とする硬化材ペーストからなる2つのペーストを混和して用いるペーストタイプがある。粉末タイプは、粉末の計量および水との混和を主に人の手で行なう必要があるため、歯科医や衛生士など術者によって得られた印象材の性状にばらつきがみられる。一方ペーストタイプは、専用の装置を用いることで連続的に一定の性状の印象材を供給できるため、術者の作業負担が少ない。
【0004】
混和された印象材は、専用のトレーに盛られ患者の口腔内に挿入され、そのまま硬化するまで放置される。硬化後は口腔内から取り出し、硬化した印象材上に石膏を流し込み石膏模型を作製する。
【0005】
粉末タイプのアルジネート印象材は、粉末を水と混和するためペーストになった時点、つまり混和が終了した時点が確認しやすい。それに対してペーストタイプのアルジネート印象材は、ほぼ同じ性状の2つのペーストを混和するため、2つのペーストがきちんと混和されているかを確認するのが困難であるという問題があった。万一、装置の不具合などで混和が不十分であった場合は、精密な印象を採ることができないばかりか、患者の口腔内で硬化しないといった状況になる。その為、片方のペーストに顔料などを添加して着色し、ペーストの混和状態を確認しやすくする方法が用いられている。しかし、顔料などによって着色されている印象材を用いた場合、石膏模型の表面にも顔料の色が付着してしまうという問題があった。
【0006】
粉末タイプのアルジネート印象材において、硬化性の確認を容易にする方法としてpH指示薬の添加が検討されている(特許文献1)。しかし、ペーストタイプのアルジネート印象材の混和性については何ら触れられていない。
【0007】
また、この粉末タイプの印象材にpH指示薬の添加したものの場合、該pH指示薬に加えて、さらに別の顔料の添加が必要とされており、石膏模型表面の着色という問題点は解決できていなかった。
【0008】
【特許文献1】特開2003−192519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はペーストタイプの歯科用アルジネート印象材に関して、2つのペーストの混和状態を目視で容易に確認することができ、かつ石膏模型表面に印象材の色が付着しない歯科用アルジネート印象材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、ペーストタイプの印象材に特定の色素を添加することにより、ペーストの混和状態を目視で容易に確認することができ、且つ、石膏模型表面に印象材の色が付着しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明は、アルギン酸塩および水を含有する基材ペーストと、ゲル化反応剤を含有する硬化材ペーストからなる歯科用アルジネート印象材において、該印象材が硬化前には有色であり硬化後に無色となる色素を少なくともどちらか一方のペーストに含むことを特徴とする歯科用アルジネート印象材である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の歯科用アルジネート印象材は、2つのペーストの混和状態が目視で容易に確認でき、且つ、従来のペーストタイプの歯科用アルジネート印象材と比較して、石膏模型表面への色の付着が少ないため、精密な印象採得および石膏模型の作製が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の歯科用アルジネート印象材において、基材ペーストに用いられるアルギン酸塩は従来のアルジネート印象材の原料として公知のものが何ら制限無く使用される。該アルギン酸塩を具体的に例示すれば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等のアルギン酸アルカリ金属塩、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリエタノールアミン等のアルギン酸アンモニウム塩等が例示される。これらのなかでも入手や取り扱いの容易さ、硬化後の物性等からアルギン酸アルカリ金属塩がより好適であり、寒天印象材との接着性の良さからアルギン酸カリウムが最も好適である。またこれらアルギン酸塩は複数の種類のものを混合して用いても良い。
【0014】
本発明の歯科用アルジネート印象材は、上記したアルギン酸塩と後述するゲル化反応剤とが水の存在下で反応しゲル化することにより硬化する。即ち、水は、カルシウムイオン等の多価金属イオンの硬化剤からの溶出、及びアルギン酸との反応を促進する効果を有し、さらには、硬化後の印象材をゲル状に保つ効果を有する。また、水は、アルギン酸塩と混合しペースト状の基材とするためにも使用される。
【0015】
当該水は特に制限されるものではなく、水道水、イオン交換水、蒸留水等が使用できる。
【0016】
基材ペーストにおける水とアルギン酸塩の配合量は、両者及び後述する任意成分を混合してペースト状になればよく一概に決定されないが、通常アルギン酸塩100質量部に対して水200〜3000質量部の範囲にある。
【0017】
本発明の歯科用アルジネート印象材において、硬化材ペーストに用いられるゲル化反応剤としては、印象材用として公知のゲル化反応剤を何ら制限無く用いることが出来る。一般的に使用されるゲル化反応剤としては二価以上の金属化合物である。該ゲル化反応剤を具体的に例示すれば、硫酸カルシウム2水塩、硫酸カルシウム半水塩、無水硫酸カルシウム等の硫酸カルシウム;カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄、チタン、ジルコニウム、スズ等の二価以上の金属の酸化物あるいは水酸化物である。該酸化物または水酸化物で好適に使用されるものを例示すると、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化鉄等が挙げられる。該ゲル化反応剤は1種または2種以上を混合して用いることが出来る。印象材の硬化性や、硬化後の弾性等の物性を良好なものとするため、硫酸カルシウムを主体とし、少量の、例えば硫酸カルシウム100質量部に対し2〜40質量部の酸化マグネシウム及び/又は酸化亜鉛を配合したものをゲル化反応剤として使用することが好適である。
【0018】
これら硬化材ペーストには、上記ゲル化反応剤の他に、ペースト性状を付与するために、難水溶性有機溶剤および界面活性剤が通常配合されている。ここで、難水溶性有機溶剤は、ゲル化反応剤と混合しペースト化するために使用するものであり、該ゲル化反応剤が一般的に水と反応して硬化するものであるため、ペースト保存中で硬化してしまうのを防ぐために、こうした有機溶剤は水を含みにくいもの(難水溶性)のものが使用される。ここで、本発明において有機溶剤の難水溶性とは、20℃の水100gに対する溶解度が5g以下の液体であることを意味している。こうした難水溶性有機溶媒としては、上記性状を有する公知のものが制限なく使用できるが、具体的には、炭化水素化合物、脂肪族アルコール、環式アルコール、脂肪酸、その塩またはそのエステル、疎水性重合体等に属するものが挙げられる。特に炭化水素化合物が好適に使用される。これらの難水溶性有機溶剤は、揮発を抑制する理由で炭素数が6以上のものであることが好ましい。
【0019】
上記炭化水素化合物としては、鎖式化合物、環式化合物のいずれも使用できる。本発明において好適に使用し得る炭化水素化合物を具体的に例示すると次の通りである。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ケロシン、2,7−ジメチルオクタン、1−オクテン等の脂肪族鎖状炭化水素化合物;シクロヘプタン、シクロノナン、流動パラフィン等の脂環式炭化水素化合物が挙げられる。
【0020】
脂肪族アルコールとしては、例えば1−ヘキサノール、1ーオクタノール等の飽和脂肪族アルコール;シトロネロール、オレイルアルコール等の不飽和脂肪族アルコールが挙げられる。
【0021】
環式アルコールとしては、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール等が例示される。
【0022】
脂肪酸としては、ヘキサン酸、オクタン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。また、脂肪酸の塩としては、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等が挙げられる。さらに脂肪酸エステルとしては、オクタン酸エチル、フタル酸ジブチル、オレイン酸グリセリド;オリーブ油、ゴマ油等の植物油;肝油、鯨油等の動物油等が例示される。
【0023】
疎水性重合体としては、ポリシロキサン等が挙げられる。具体的にはポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジエンシロキサン、ポリフェニルハイドロジエンシロキサン等が挙げられる。上記の難水溶性有機溶剤の使用量は、均一なペーストを得、流動性が良好でありかつ基材との練和性を良好に保つために、ゲル化反応剤100重量部に対して10〜200重量部、さらに20〜150重量部であることが好ましい。
【0024】
また、硬化材ペーストに用いられる界面活性剤は、基材ペーストとの混和性をよくするために配合するのが好適なものであり、公知のものが何ら制限されることなく使用が可能である。陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤のいずれも使用できる。該界面活性剤を具体的に例示すると、陰イオン界面活性剤として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等が挙げられる。陽イオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩、四級アンモニウム塩等が、また両性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩等が挙げられる。また、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ショ糖エステル、ポリオキシジエチレンアルキルアミン、ポリシロキサン類とポリオキシエチレン類とのブロックポリマー等が挙げられる。
【0025】
上記の界面活性剤の使用量は、ゲル化反応剤100質量部に対して0.1〜10質量部であり、さらに0.5〜5質量部であることが好ましい。
【0026】
本発明の歯科用アルジネート印象材に用いられる色素は、基材ペーストと硬化材ペーストの少なくともどちらか一方に含まれ、2つのペーストを混和したときにその混和状態がその呈色により目視で容易に確認でき、かつ、硬化後には無色になるものである。
【0027】
一般的にアルジネート印象材のpHは、硬化前はアルカリ性を示し硬化とともに中性に近づく。そのため、本発明の歯科用アルジネート印象材に用いる上記色素は、アルカリ性で発色し中性に近づくにつれ無色になるpH指示薬に属するものが好ましい。こうした性状を備えたpH指示薬としては、具体的には、フェノールフタレイン〔pH10.0以上で赤紫色であり、且つpH8.0で無色となる〕、チモールフタレイン〔pH10.6以上で青色であり、且つpH9.4で無色となる〕、1,3,5−トリニトロベンゼン〔pH14.0以上でオレンジであり、且つpH12.0で無色となる〕が挙げられる。アルジネート印象材の硬化前の状態のpHは通常10以上であり、硬化とともに10未満にpHが低下するものが多いため、上記pH指示薬としては、フェノールフタレイン、チモールフタレイン等のpH10以上で有色であり、且つpH8以上10未満で無色となるもの、特に、好ましくはpH10以上で有色であり、且つpH8以上9.5以下で無色となるものが好ましい。また、これらのpH指示薬は、複数種を組み合わせて使用することもできる。
【0028】
該色素は、基材ペーストまたは硬化材ペーストのどちらに配合してもよいが、配合量は、混和状態の認識性の点などから基材および硬化材ペーストをあわせた全ペースト中の0.001〜5質量%が好ましく、特に、0.05〜1.0質量%が好ましい。
【0029】
本発明の歯科用アルジネート印象材は、上記色素のみで容易に混和状態が確認できるため、石膏模型表面へ付着の原因となる他の顔料および染料による着色はできるだけ抑えるのが望ましいものであり、こうした他の顔料および染料は実質的に含有しないのが特に好適である。
【0030】
本発明の歯科用アルジネート印象材は、本発明の目的を損なわない範囲において上記主成分以外に、他の任意成分を必要に応じて添加してもよい。
【0031】
基材ペーストにおいては、ゲル化初期の粘度を高めるために不飽和カルボン酸重合体を加えてもよい。該不飽和カルボン酸重合体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、グルタコン酸、アコニット酸、シトラコン酸、メサコン酸、チグリン酸、フマル酸、アリルマロン酸、クロトン酸、ビニル酸等の不飽和カルボン酸の重合体およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩リチウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。特に好ましいのはアクリル酸の単独重合体あるいはアクリル酸と他の不飽和カルボン酸との共重合体であり、共重合体の場合は、アクリル酸を5〜95モル%含むものが好ましい。また、不飽和カルボン酸重合体の分子量は特に限定されないが、一般には、重量平均分子量で1000〜500000の範囲のものが好ましい。
【0032】
更に、基材ペーストにはペーストの粘度調整のため、充填材としてアルミニウム又はケイ素等に代表される金属又は半金属の酸化物又は水酸化物、粘土鉱物等を加えてもよい。該充填材の具体例として、珪藻土、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0033】
一方、硬化材ペーストにおいては、印象材のゲル化時間を調節する目的でリン酸ナトリウム等のリン酸塩、あるいはシュウ酸あるいはその塩を加えてもよい。またpH調整のためにケイフッ化ナトリウムやチタンフッ化カリウム等のフッ素化合物を、さらに粘度調整のため基材ペーストと同様な充填材を加えてもよい。
【0034】
基材ペーストおよび硬化材ペーストは、各々上述の構成成分をプラネタリーミキサーや、攪拌羽根付きの一般的な混合機で混合するだけで調製できる。
【0035】
基材ペーストと硬化材ペーストは、印象採得に用いられる際、あらかじめ専用の装置を用いて混合される。その混合割合は、通常硬化材ペースト1質量部に対して基材ペースト1〜4質量部の範囲である。
【実施例】
【0036】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、基材ペーストと硬化材ペーストの混和状態の確認性の評価方法を(1)に、石膏模型表面への着色の評価方法を(2)に示す。
(1)ペースト混和状態の確認性
あらかじめ調製した基材ペーストおよび硬化材ペーストを、アルジネート印象材自動練和器APミキサーII(トクヤマデンタル社製)を用いて混和し、その混和状態を目視により確認し評価した。尚、基材ペーストと硬化材ペーストは3:1の重量比で混和した。
【0037】
評価基準は、目視での確認が容易だったものを○、確認はできたがあまり容易でなかったものを△、目視では確認できなかったものを×とした。
(2)石膏模型表面への着色
あらかじめ調製した基材ペーストおよび硬化材ペーストを、アルジネート印象材自動練和器APミキサーII(トクヤマデンタル社製)を用いて混和し、その混和したペーストを印象用トレーに盛り付け口腔内で印象を採得した。尚、基材ペーストと硬化材ペーストは3:1の重量比で混和した。
【0038】
硬化した印象材に市販の石膏(歯科用焼き石膏、スワン社製)を流し込み石膏模型を作製した。作製した石膏模型の表面への印象材の着色の有無を目視により確認し評価した。評価基準は、石膏模型表面に着色が見られなかったもの、または、石膏模型表面のごく一部(10%未満)にのみ着色が見られたものを○、石膏模型表面の一部(10〜30%)に着色が見られたものを△、石膏模型の大部分(31%以上)に着色が見られたものを×とした。
【0039】
実施例1
35gのアルギン酸ナトリウム、774gのイオン交換水、50gのポリアクリル酸、137gの珪藻土および4gの水酸化ナトリウムを量り取り、プラネタリーミキサーを用いて混合し本発明の基材ペーストを調製した。また、598gの硫酸カルシウム半水塩、30gの酸化マグネシウム、47gの酸化亜鉛、221gの流動パラフィン、11gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、10gのフェノールフタレイン、13gのフッ化チタン酸カリウム、15gのリン酸ナトリウムおよび65gの珪藻土を量り取り、プラネタリーミキサーを用いて混合し本発明の硬化材ペーストを調整した。(1)の方法に従いペースト混和状態の確認性の評価を、(2)の方法に従い石膏模型表面への着色の評価を行なった。その結果、ともに評価は○であった。
【0040】
実施例2〜7、比較例1〜3
実施例1の方法に準じ基材ペーストおよび硬化材ペーストを調整し評価を行なった。基材ペーストの組成を表1に、硬化材ペーストの組成を表2に、評価結果を表3に示した。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
実施例1〜7は、各成分が本発明で示される構成を満足するように配合されたものであるが、いずれの場合においてもペースト混和状態の確認性は良好であり、また、石膏模型表面への着色もほとんどみられなかった。
【0045】
これに対して、比較例1は色素が含まれていないためペースト混和状態の確認は目視ではできなかった。比較例2は、顔料(クロモフタールスカーレッド)が含まれているため、ペーストの混和状態は目視で容易に確認できたが、石膏模型表面への着色が顕著であった。比較例3は、色素および顔料の両者が含まれている系であるが、この場合は、ペーストの混和状態の目視での確認は難しく、また、石膏模型表面への着色も一部見られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギン酸塩および水を含有する基材ペーストと、ゲル化反応剤を含有する硬化材ペーストからなる歯科用アルジネート印象材において、該印象材が硬化前には有色であり硬化後に無色となる色素を少なくともどちらか一方のペーストに含むことを特徴とする歯科用アルジネート印象材。
【請求項2】
印象材が硬化前には有色であり硬化後に無色となる色素が、pH10以上で有色であり、且つpH8以上10未満で無色となるpH指示薬に属するものである請求項1記載の歯科用アルジネート印象材。
【請求項3】
pH10以上で有色であり、且つpH8以上10未満で無色となるpH指示薬が、フェノールフタレイン、またはチモールフタレインである請求項2記載の歯科用アルジネート印象材。
求項2記載の歯科用アルジネート印象材。
【請求項4】
色素以外の顔料および染料を実質的に含まないことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の歯科用アルジネート印象材。

【公開番号】特開2008−222672(P2008−222672A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66593(P2007−66593)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(391003576)株式会社トクヤマデンタル (222)
【Fターム(参考)】