歯科用ハンドピースホルダ及び歯科用診療装置
【課題】歯科用ハンドピースの取り出し、これを用いた診療、戻しの一連の動作を円滑かつ安全に行うことができる歯科用ハンドピースホルダ及び歯科用診療装置を提供する。
【解決手段】歯科用ハンドピース2の基端部2cを保持する歯科用ハンドピースホルダ1であって、同一の診療態勢にある術者が水平に手を伸ばし旋回させたときに到達する位置であって、ほぼ同一な水平面上に、歯科用ハンドピース2が保持され、かつ、保持された歯科用ハンドピース2の基端部2cから先端部2aへの方向が、前記旋回による円Cの接線のヘッドレスト6aに近い側へ向くように構成した。
【解決手段】歯科用ハンドピース2の基端部2cを保持する歯科用ハンドピースホルダ1であって、同一の診療態勢にある術者が水平に手を伸ばし旋回させたときに到達する位置であって、ほぼ同一な水平面上に、歯科用ハンドピース2が保持され、かつ、保持された歯科用ハンドピース2の基端部2cから先端部2aへの方向が、前記旋回による円Cの接線のヘッドレスト6aに近い側へ向くように構成した。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、歯科用ハンドピースホルダ及び歯科用診療装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、歯科用診療装置で用いられる歯科用ハンドピースの種類が増えており、これらのハンドピースを取り出しやすくまた戻しやすい位置に、かつ、最小のスペースで配置することは歯科用診療装置の設計上極めて重要である。
【0003】
この点を考慮した従来の歯科用ハンドピースホルダ及び歯科用診療装置として、例えば、本出願人によって提案された図8に示すもの、また、他の出願人によって提案された図9に示すものがある。
【0004】
図8の歯科用診療装置100は、実公昭51−46877号公報で提案されたもので、図8(a)、(b)に示すように、天井や壁面に設置された支持棒101に自在アーム102を介して支持されたトレーテーブル103、ヘッドレスト105、バックレスト106を備えた診療台104、アーム102へのトレーテーブル103設置位置付近に設けられたホルダ支持体107、このホルダ支持体107に設けられた複数のホルダユニット108、このホルダユニット108に保持され、フレキシブルチューブ110で診療装置本体(不図示)と接続された歯科用ハンドピース109、さらに、トレーテーブル103に設置された別のホルダユニット112に保持され、フレキシブルチューブ110で診療装置本体と接続された歯科用ハンドピース111を備えている。
【0005】
トレーテーブル103は、診療台104のヘッドレスト105とバックレスト106の間あたりで、ちょうど、診療態勢の術者Dがトレーテーブル103や、その付近のホルダユニット108、112に保持された歯科用ハンドピース109、111を取り扱いし易いようになっており、さらに、図8(c)に示すように、診療態勢の術者Dが座った状態で、その手を上下に旋回させたときの旋回円P上で上下に異なる位置にトレーテーブル103や、歯科用ハンドピース109、111が位置するように構成されている。
【0006】
したがって、いずれのハンドピース109を使用する場合でも、一方向の手の動きで希望するハンドピース109に到達することができ、円滑に診療を進めることができた。なお、この場合、上述のホルダ支持体107、複数のホルダユニット108、別体のホルダユニット112で歯科用ハンドピースホルダを構成している。
【0007】
図9の歯科用診療装置200は、特開平6−125947号公報で提案されたもので、診療台201、この診療台201に自在アーム202で水平位置自在に支持されたトレーテーブル203、このトレーテーブル201の前方に設けられ、複数の歯科用ハンドピース205を水平方向に並列させて保持するハンドピースホルダ204、照明灯207を設けたスピットン部206、診療台201の補助者側に設けられ、歯科用ハンドピース209を保持するハンドピースホルダ208を備えている。
【0008】
この歯科用診療装置200でも、ハンドピースホルダ204は、図8と同様に、診療台201の傍らで、診療態勢の術者の付近に位置され、保持された歯科用ハンドピース205を取り扱いし易いようになっていた。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、図8の歯科用ハンドピースホルダでは、ハンドピース109を取り出すための手の動きは上下旋回であるのに対し、ハンドピース109を把持した後、診療のための手の動きは水平旋回であるので、手の動きの方向転換があり、円滑な取り出し、戻しを実現するために更なる改善が求められていた。
【0010】
図9の歯科用ハンドピースホルダでは、ハンドピースを取り出すときの手首の形と、診療のために把持するときの手首の形が異なるため、取り出す際に術者が手首をねじる行為が必要であり、また、先端部を手前側に近接してハンドピースが並列しているため、先端部の装着されたままの切削バーなどで指を傷つけることもあった。
【0011】
本考案は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、歯科用ハンドピースの取り出し、これを用いた診療、戻しの一連の動作を円滑かつ安全に行うことができる歯科用ハンドピースホルダ及び歯科用診療装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の歯科用ハンドピースホルダは、患者の頭部を載置するヘッドレストを備え患者を載置する診療台を有する歯科用診療装置に設けられ、歯科用ハンドピースの基端部を保持する歯科用ハンドピースホルダであって、 同一の診療態勢にある術者が水平に手を伸ばし旋回させたときに到達する位置であって、ほぼ同一の水平面上にある位置に、前記歯科用ハンドピースが保持され、かつ、保持された歯科用ハンドピースの基端部から先端部への方向が、前記旋回による円の接線方向に沿うと共に、前記接線の前記ヘッドレストに近い側へ向くように構成したことを特徴とする。
【0013】
この歯科用ハンドピースホルダは、術者がハンドピースを取り出すために手を伸ばして、ハンドピースホルダの設置位置から、ハンドピースを取り出し、診療位置まで手を旋回させるほぼ同一な水平面上に、ハンドピースが保持されるように、ハンドピースホルダの配置を考慮したものである。したがって、診療を行うために、手を伸ばし、ハンドピースを掴み、診療を行い、また、ハンドピースを戻すという一連の手の動き、旋回がほぼ同一の水平面上の動きとなり、円滑な動作とすることができる。
【0014】
請求項2に記載の歯科用ハンドピースホルダは、請求項1に記載の歯科用ハンドピースホルダにおいて、複数の歯科用ハンドピースが保持された場合に、隣接し合う歯科用ハンドピースについて、前記ヘッドレストに遠い方に位置する歯科用ハンドピースの先端部の水平位置が、前記ヘッドレストに近い方に位置する歯科用ハンドピースの基端部の水平位置にほぼ一致するように構成したことを特徴とする。
【0015】
この歯科用ハンドピースホルダは、保持状態の一つのハンドピースの基端部と隣接するハンドピースの先端部の水平位置がほぼ一致、つまり、上下に重なるようになっているので、ハンドピースを取り出すために手を旋回させた際に、ハンドピースホルダに保持されたハンドピースの先端部が、このホルダに被さるようになり、指先などがこの先端部に触れにくく、指を傷つけることが少なくなり、安全にハンドピースを取り出し、戻すことができる。
【0016】
請求項3に記載の歯科用ハンドピースホルダは、請求項1または2のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダにおいて、前記歯科用ハンドピースホルダが、保持する歯科用ハンドピースに個別対応したホルダユニットと、このホルダユニットを所定位置に設けたユニット受け部に着脱可能に保持するホルダ支持体から構成され、前記ホルダユニットは、保持する歯科用ハンドピースに個別対応して形成された保持部と前記ホルダ支持体のユニット受け部に対応した取付部から構成され、前記ホルダ支持体のユニット受け部と、前記ホルダユニットの取付部を共通化したことを特徴とする。
【0017】
この歯科用ハンドピースホルダは、ホルダをホルダ支持体とこれに着脱交換式のホルダユニットに分け、このホルダユニットは、それぞれ保持するハンドピース専用として、ハンドピースを最適の状態で保持できるようにし、一方、ホルダ支持体とホルダユニットの間の取付は、ユニバーサル、つまり、ホルダユニットを、ホルダ支持体に設けたユニット受け部のどこででも付けられるように、共通化したものである。したがって、術者の好みに合わせて、好みの位置に歯科用ハンドピースを保持させるようにすることができ、ハンドピースホルダの使い勝手が向上し、術者に合わせた、円滑な取り出し、戻しを実現することができる。
【0018】
請求項4に記載の歯科用ハンドピースホルダは、請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダにおいて、前記歯科用ハンドピースがフレキシブルチューブの継手部に着脱交換可能に装着して用いられる歯科用ハンドピースであって、前記歯科用ハンドピースホルダに保持する歯科用ハンドピースに個別対応して形成された保持部、あるいは、前記ホルダユニットの保持部が、 底部開口を備えた底部に、ハンドピース抜出孔を開口させ、かつ前記ハンドピースの一部を上方から支持するカバー部を連成するとともに、前記底部には、前記フレキシブルチューブのチューブ部の通過を許容する隙間を形成するようにして、前記底部開口を、前記ハンドピース抜出孔に連通したハンドピース挿通空間とフレキシブルチューブ挿通空間とに分離する仕切突起を突設し、前記フレキシブルチューブ挿通空間の内幅寸法は、前記フレキシブルチューブのチューブ部は挿通させるが、前記フレキシブルチューブの継手部は挿通させない寸法にしていることを特徴とする。
【0019】
この歯科用ハンドピースホルダは、装置本体とフレキシブルチューブで接続されたハンドピースの場合のハンドピースホルダの保持部の構造を特に規定したものであり、この保持部の底部の開口は仕切突起によって、ハンドピース挿通空間とフレキシブルチューブ挿通空間とに分離されているので、ハンドピースを底部のハンドピース挿通空間からカバー部の抜出孔に貫通させて繰出した後、フレキシブルチューブを更に仕切突起の隙間からフレキシブルチューブ挿通空間に押し込むことによって、ハンドピースをセットすることができる。つまり、ハンドピースをフレキシブルチューブに接続したままで、ホルダへの装着が可能である。
【0020】
ハンドピースは、接続されたフレキシブルチューブの継手部が底部開口のフレキシブルチューブ挿通空間で、ハンドピースの基端部分がカバー部で、つまり上下で2点支持される構造になっているので、ハンドピースの殆どの部分を露出させた使い勝手の良い状態で安定的に収容支持される。
【0021】
また、ハンドピースに接続したフレキシブルチューブは、仕切突起によって分離され、チューブ部分よりは大きい内幅寸法のフレキシブルチューブ挿通空間内に保持されるので、フレキシブルチューブを接続したハンドピースをホルダから繰出し、繰戻しする操作も、ストレスなくスムーズに行える。
【0022】
また、交換のためにハンドピースを取り外した状態でも、フレキシブルチューブ挿通空間にあるフレキシブルチューブは、その継手部がこの空間寸法より小さいので、保持されたままであり、脱落しないので、ハンドピースの交換が便利である。
【0023】
さらに、このような構造とすることで、フレキシブルチューブを接続したままのハンドピースのホルダユニットからの取り出し、戻し方向と、ホルダユニットがハンドピースを保持する方向が一致するため、取り出し、戻しが円滑に行え、特に、戻しの場合には、完全にハンドピースをホルダの保持位置まで戻さなくとも、保持位置の手前で、手から解放することにより、ハンドピースはフレキシブルチューブにガイドされて、ホルダユニットに自然に収容保持されるので、戻しを円滑にすることができる。
【0024】
請求項5に記載の歯科用診療装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダを設けたことを特徴とする。
【0025】
この歯科用診療装置は、上述のような効果を発揮する歯科用ハンドピースホルダを備えているので、同様の効果を発揮する。
【0026】
請求項6に記載の歯科用診療装置は、請求項5に記載の歯科用診療装置において、前記歯科用ハンドピースホルダを、保持された歯科用ハンドピースが、歯科診療台の肩部に設けられたトレーテーブルの上方であって、このトレーテーブルに載置された診療関連機器を用いる際の支障にならない位置に配置されるように設置したことを特徴とする。
【0027】
この歯科用診療装置は、上述の効果を発揮する歯科用ハンドピースホルダの設置態様を、従来、あまり利用されていなかった、トレーテーブルの上方空間を利用するものとして規定したものである。したがって、上述の安全かつ円滑にハンドピースの取り出し、戻しができるという効果と相俟って、水平方向の手の移動スペースの有効利用ができ、増加するハンドピースの種類に対応することもできる。
【0028】
【考案の実施の形態】
以下本考案に係る歯科用ハンドピースホルダ及び歯科用診療装置の実施の形態について、図を参照しつつ説明する。
【0029】
図1は、本考案のハンドピースホルダを備えた歯科用診療装置の一例を示す平面図、図2は、図1のハンドピースホルダ設置部分の外観斜視図、図3は、図1の概念的なA矢視図、図4は本考案のハンドピースホルダの使用態様の説明図ある。
【0030】
この歯科用診療装置10は、歯科用ハンドピースホルダ1、このハンドピースホルダ1に保持され、フレキシブルチューブ3を備えた歯科用ハンドピース2、これらのフレキシブルチューブ3が導出されると共に、ハンドピースホルダ1の支持体ともなっているトレーテーブル5、このトレーテーブル5を設けた診療台6、術者用椅子7を備えている。診療台6には、患者の頭部を載置するヘッドレスト6aが備えられている。
【0031】
診療装置10には、図示していないが、歯科診療を行うために必要な他の機器なども、図8、9の従来例の歯科用診療装置と同様に備えてあり、診療台6に患者を載せて、術者用椅子7に術者が腰を掛けて、トレーテーブル5に配置された診療関連機器、ハンドピース2などを用いて、歯科診療を行うことができるものである。
【0032】
ここで、歯科用ハンドピースホルダ1は、ホルダユニット1Aと、このホルダユニット1Aを着脱交換可能に支持するホルダ支持体1Bとを、複数、この例では、3組セットしたもので、このハンドピースホルダ1にそれぞれ歯科用ハンドピース2を保持させると、保持されたハンドピース2は、図1,2から解るように、同一の診療態勢にある術者が自然に手を伸ばし旋回させたときに到達する位置、つまり、このときに手先が形成する旋回円Cの円周上であって、ほぼ同一な水平面上に配置され、かつ、歯科用ハンドピース2の基端部2cから先端部2aへの方向が、旋回円Cの接線の患者方向、つまり、患者がその頭部を載置するヘッドレスト6aへの方向に沿うようになっている。
【0033】
つまり、図4に示すように、術者Dがハンドピース2を取り出すために手を伸ばして、ハンドピースホルダ1の設置位置から、ハンドピース2を取り出し、診療位置(診療台6のヘッドレスト6a)まで手を旋回させる旋回円Cに沿ったほぼ同一な水平面上に、ハンドピース2が保持されるようにしているので、診療を行うために、手を伸ばし、ハンドピースを掴み、診療を行い、また、ハンドピースを戻すという一連の手の動き、旋回がほぼ同一の水平面上の動きとなり、円滑な動作とすることができる。
【0034】
また、フレキシブルチューブ3を接続したままのハンドピース2のホルダユニット1Aからの取り出し、戻し方向と、ホルダユニット1Aがハンドピース2を保持する方向が一致するため、取り出し、戻しが円滑に行え、特に、戻しの場合には、完全にハンドピース2をホルダユニット1Aの保持位置まで戻さなくとも、保持位置の手前で、手から解放することにより、ハンドピース2はフレキシブルチューブ3にガイドされて、ホルダユニット1Aに自然に収容保持されるので、戻しを円滑にすることができる。
【0035】
さらに、図1から解るように、保持状態の一つのハンドピース2の基端部2cと隣接するハンドピース2の先端部2aの水平位置がほぼ一致、つまり、上下に重なるようになっているので、ハンドピース2を取り出すために手を旋回させた際に、ホルダユニット1Aに保持されたハンドピース2の先端部2aが、このホルダユニット1Aに被さるようになり、指先などがこの先端部に触れにくく、指を傷つけることが少なくなり、安全にハンドピース2を取り出し、戻すことができる。
【0036】
なお、ここでは、ハンドピースがフレキシブルチューブ付きの場合について説明したが、本考案の特徴とするホルダユニットの配置は、ハンドピースがフレキシブルチューブなしの場合にも、ハンドピースの配置位置と方向を、診療のための手の移動旋回軌道と方向に一致させるという点で適用可能であり、同様に、ハンドピースのとりだし、戻しを円滑、かつ、安全にするという効果を発揮するものである。
【0037】
また、ここでは、歯科用ハンドピースホルダのホルダユニットが着脱交換式ものについて説明したが、歯科用ハンドピースホルダがそのような着脱交換式でない場合も、保持したハンドピースの配置を本考案ようにすることは可能であり、同様の効果を発揮するものである。更に、このような配置は、ハンドピースが複数でなく、一本の場合でも、適用可能であり、同様の効果を発揮する。
【0038】
図3では、歯科用ハンドピースホルダ1を構成するホルダ支持体1Bについて、より詳しく示している。
【0039】
これによると、ホルダ支持体1Bは、ホルダユニット1Aを着脱交換可能に取り付けるユニット受け部1Baと、このユニット受け部1Baを支承し、トレーテーブル5に設置された支持棒1Bbと、これらのユニット受け部1Baと支持棒1Bbをネジ締結する締結ボルト1Bcから構成されている。
【0040】
このような構造で、この歯科用ハンドピースホルダ1は、従来あまり活用されていなかった、トレーテーブル5の上部空間を利用し、上述の安全かつ円滑にハンドピースの取り出し、戻しができるという本来の効果と相俟って、水平方向の手の移動スペースの有効利用をし、増加するハンドピースの種類に対応することもできる。
【0041】
また、ホルダユニット1Aとホルダ支持体1Bのユニット受け部1Baの取付構造は、詳細は後述するが、ユニバーサル構造、つまり、どのホルダユニット1Aを、どのユニット受け部1Baにも取付できるようになっている。つまり、図1に示すハンドピース2は、これに対応したホルダユニット1Aを付け替えることによって、この3つの配置位置のいずれにも保持することができるようになっている。更に、このホルダユニット1Aは、図2に示すように、トレーテーブル5の側壁に着脱可能に設置されたホルダユニット1Aともユニバーサルになっており、この位置のホルダユニット1Aの配置位置のいずれにも取り付けることができるようになっている。
【0042】
こうして、術者の好みに合わせて、好みの位置に歯科用ハンドピース2を保持させるようにすることができ、ハンドピースホルダ1の使い勝手が向上し、術者に合わせた、円滑な取り出し、戻しを実現することができる。
【0043】
なお、ホルダ支持体の構造は、ここに例示したものに限られず、保持したハンドピースの配置が図1、2、4などに示した配置になるようなものであればよく、例えば、ホルダ支持体1Bを図示しているような複数の部材とはせず、一体の部材で構成するなど、あらゆる構造のものが含まれる。また、歯科用ハンドピースホルダ全体の設置方法も、ここに示した、トレーテーブルに設置する方法だけでなく、診療室の床、壁面、天井などから、専用あるいは他と共用の支持アームで支持するようにしてもよいし、歯科用診療装置の他の部分、例えば、診療台から自在アームで支持するようにしてもよい。
【0044】
これより、上述のホルダユニットとホルダ支持体のユニット受け部について、より詳しく説明する。
【0045】
図5は、図1のハンドピースホルダを構成するホルダユニットの使用態様を示すもので、(a)はその平面図、(b)はその正面図である。
【0046】
このホルダユニット1Aは、開口を備えた底部1aに、上面部1bが略半球状に膨出して形成されており、この上面部1bの前面部分から底部1aの斜め後側に向けてハンドピース抜出孔1cが開口され、上面部1bの後面部分にハンドピース2の一部を上方から支持するカバー部1dが連成されているとともに、底部1aには、フレキシブルチューブ3のチューブ部3bの通過を許容する隙間1jを形成するようにして、ハンドピース挿通空間1eとフレキシブルチューブ挿通空間1fとを分離する仕切突起1gが突設されている。
【0047】
フレキシブルチューブ挿通空間1fを形成する底部1aの適所には、挿通空間1fの一部を狭くするように係止突起1faが形成され、この係止突起1faに、ハンドピース2に接続されたフレキシブルチューブ3の継手部3aが係止支持された状態で、ハンドピース2がホルダユニット1Aのハンドピース抜出孔1c内に配設されるようになっている。
【0048】
フレキシブルチューブ挿通空間1fの内幅寸法は、ハンドピース2に接続されるフレキシブルチューブ3の継手部3aの外径より小さく、かつ、チューブ部3bの外径よりは大きい寸法とされている。また、ハンドピース挿通空間1eの内幅寸法は、ハンドピース2を容易に挿通させる寸法となっている。
【0049】
なお、これらの底部1a、上面部1b、ハンドピース抜出孔1c、カバー部1d、ハンドピース挿通空間1e、フレキシブルチューブ挿通空間1f、仕切突起1gなどの部分は、ハンドピース2を保持する役割を持つ部分であり、総称して、保持部1AAと呼ばれ、この保持部1AAは、この保持部1AAで保持するハンドピース専用に形成され、専用のハンドピース2を最も適した位置で保持することができる。
【0050】
ホルダユニット1Aの背面部1hには、1組のT字形の係止爪1iが外向きに突設されていて、この係止爪1iが後述するように、ホルダ支持体1Bのユニット受け部1Baに設けられた係止孔1Bdに嵌まり込んで、ホルダユニット1Aがホルダポケット4に着脱交換自在に取り付けられるようになっている。
【0051】
これらの背面部1h、係止爪1iは、ホルダユニット1Aをホルダ支持体1Bに取り付ける役割を果たすものであり、総称して取付部1ABと呼ぶ。
【0052】
フレキシブルチューブ3を接続したハンドピース2は、このチューブ3の継手部3aが底部1aのフレキシブルチューブ挿通空間1fで、ハンドピース2の基端部がカバー部1dによって、上下で2点支持されるようになっているので、ハンドピース2の殆どの部分を露出させた使い勝手の良い状態で安定的に収容支持できる。
【0053】
また、ハンドピース2の後端に接続したフレキシブルチューブ3のチューブ部3bは、仕切突起1gによってハンドピース挿通空間1eと分離形成されたフレキシブルチューブ挿通空間1f内で保持されるので、ハンドピース2をホルダポケット4から繰出し、繰戻しする操作も、ストレスなくスムーズに行える。
【0054】
また、フレキシブルチューブ3だけを残して、ハンドピース2を交換する際にも、チューブ3は、継手部3aとフレキシブルチューブ挿通空間1fの内幅寸法と係止突起1faの相互作用によりホルダユニット1Aに係止された状態を維持し、抜け落ちないので、ハンドピース2の交換がし易い。
【0055】
図6は、図5のホルダユニットの詳細構造を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその底面図、(d)はその側面図である。
【0056】
これらの図を見ると、上記で説明したホルダユニット1Aの各部分の構造がよく解る。また、図6(d)では、底部1aに設けられた仕切突起1gの先端に形成された隙間1jが、ハンドピース挿通空間1eからフレキシブルチューブ挿通空間1fへとフレキシブルチューブ3のチューブ部3bを多少変形させながら、通過させ得るようになっているのが解る。
【0057】
図7は、図1のハンドピースホルダを構成するホルダユニットとホルダ支持体との取付構造を示すもので、(a)はその側面図、(b)はそのB断面図である。
【0058】
ホルダ支持体1Bのユニット受け部1Baには、係止孔1Bdが穿設されていて、この係止孔1Bdは、図7(b)に示すように、大径孔とこれに連通された小径孔とで形成されていて、この大径孔にホルダユニット1Aの取付部1ABに突設されたT字形の係止爪1i、1iの大径鍔状部を嵌入した後に、その小径軸部を小径孔に係入することによって、ホルダユニット1Aがホルダ支持体1Bに着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0059】
このホルダユニット1Aの取付部1ABとホルダ支持体1Bの受け部1Baの係合は、すでに説明したように、ユニバーサルとなっており、どのホルダユニット1Aでも、いずれのホルダ支持体1Bのユニット受け部1Baに取り付けることができる。
【0060】
【考案の効果】
請求項1に記載の歯科用ハンドピースホルダによれば、術者がハンドピースを取り出すために手を伸ばして、ハンドピースホルダの設置位置から、ハンドピースを取り出し、診療位置まで手を旋回させるほぼ同一の水平面上に、ハンドピースが保持されるように、ハンドピースホルダの配置を考慮したので、診療を行うために、手を伸ばし、ハンドピースを掴み、診療を行い、また、ハンドピースを戻すという一連の手の動き、旋回がほぼ同一の水平面上の動きとなり、円滑な動作とすることができる。
【0061】
請求項2に記載の歯科用ハンドピースホルダによれば、請求項1の効果に加え、保持状態の一つのハンドピースの基端部と隣接するハンドピースの先端部の水平位置がほぼ一致、つまり、上下に重なるようになっているので、ハンドピースを取り出すために手を旋回させた際に、ハンドピースホルダに保持されたハンドピースの先端部が、このホルダに被さるようになり、指先などがこの先端部に触れにくく、指を傷つけることが少なくなり、安全にハンドピースを取り出し、戻すことができる。
【0062】
請求項3に記載の歯科用ハンドピースホルダによれば、請求項1または2のいずれかの効果に加え、ホルダをホルダ支持体とこれに着脱交換式のホルダユニットに分け、このホルダユニットは、それぞれ保持するハンドピース専用として、ハンドピースを最適の状態で保持できるようにし、一方、ホルダ支持体とホルダユニットの間の取付は、ユニバーサル、つまり、ホルダユニットを、ホルダ支持体に設けたユニット受け部のどこででも付けられるように、共通化したので、術者の好みに合わせて、好みの位置に歯科用ハンドピースを保持させるようにすることができ、ハンドピースホルダの使い勝手が向上し、術者に合わせた、円滑な取り出し、戻しを実現することができる。
【0063】
請求項4に記載の歯科用ハンドピースホルダによれば、請求項1〜3のいずれかの効果に加え、装置本体とフレキシブルチューブで接続されたハンドピースの場合のハンドピースホルダの保持部の構造を特に規定したので、フレキシブルチューブを接続したままのハンドピースのホルダユニットからの取り出し、戻し方向と、ホルダユニットがハンドピースを保持する方向が一致するため、取り出し、戻しが円滑に行え、特に、戻しの場合には、完全にハンドピースをホルダの保持位置まで戻さなくとも、保持位置の手前で、手から解放することにより、ハンドピースはフレキシブルチューブにガイドされて、ホルダユニットに自然に収容保持されるので、戻しを円滑にすることができる。
【0064】
請求項5に記載の歯科用診療装置によれば、、請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダを設けたので、請求項1〜4と同様の効果を発揮する。
【0065】
請求項6に記載の歯科用診療装置によれば、請求項5の効果に加え、上述の効果を発揮する歯科用ハンドピースホルダの設置態様を、従来、あまり利用されていなかった、トレーテーブルの上方空間を利用するものとして規定したものである。したがって、上述の安全かつ円滑にハンドピースの取り出し、戻しができるという効果と相俟って、水平方向の手の移動スペースの有効利用ができ、増加するハンドピースの種類に対応することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のハンドピースホルダを備えた歯科用診療装置の一例を示す平面図
【図2】図1のハンドピースホルダ設置部分の外観斜視図
【図3】図1の概念的なA矢視図
【図4】本考案のハンドピースホルダの使用態様の説明図
【図5】図1のハンドピースホルダを構成するホルダユニットの使用態様を示すもので、(a)はその平面図、(b)はその正面図
【図6】図5のホルダユニットの詳細構造を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその底面図、(d)はその側面図
【図7】図1のハンドピースホルダを構成するホルダユニットとホルダ支持体との取付構造を示すもので、(a)はその側面図、(b)はそのB断面図
【図8】従来の歯科用ハンドピースホルダを備えた歯科用診療装置を示すもので、(a)は外観斜視図、(b)はハンドピースホルダ設置部分の詳細図、(c)はその使用態様の説明図
【図9】従来の歯科用ハンドピースホルダを備えた歯科用診療装置を示す外観斜視図
【符号の説明】
1 歯科用ハンドピースホルダ
1A ホルダユニット
1AA 保持部
1a 底部
1c ハンドピース抜出孔
底部開口
1d カバー部
1e ハンドピース挿通空間
1f フレキシブルチューブ挿通空間
1g 仕切突起
1j 隙間
1AB 取付部
1B ホルダ支持体
1Ba ユニット受け部
2 歯科用ハンドピース
2a 先端部
2b 把持部
2c 基端部
3 フレキシブルチューブ
3a 継手部
3b チューブ部
5 トレーテーブル
6 診療台
6a ヘッドレスト
10 歯科用診療装置
C 旋回円
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、歯科用ハンドピースホルダ及び歯科用診療装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、歯科用診療装置で用いられる歯科用ハンドピースの種類が増えており、これらのハンドピースを取り出しやすくまた戻しやすい位置に、かつ、最小のスペースで配置することは歯科用診療装置の設計上極めて重要である。
【0003】
この点を考慮した従来の歯科用ハンドピースホルダ及び歯科用診療装置として、例えば、本出願人によって提案された図8に示すもの、また、他の出願人によって提案された図9に示すものがある。
【0004】
図8の歯科用診療装置100は、実公昭51−46877号公報で提案されたもので、図8(a)、(b)に示すように、天井や壁面に設置された支持棒101に自在アーム102を介して支持されたトレーテーブル103、ヘッドレスト105、バックレスト106を備えた診療台104、アーム102へのトレーテーブル103設置位置付近に設けられたホルダ支持体107、このホルダ支持体107に設けられた複数のホルダユニット108、このホルダユニット108に保持され、フレキシブルチューブ110で診療装置本体(不図示)と接続された歯科用ハンドピース109、さらに、トレーテーブル103に設置された別のホルダユニット112に保持され、フレキシブルチューブ110で診療装置本体と接続された歯科用ハンドピース111を備えている。
【0005】
トレーテーブル103は、診療台104のヘッドレスト105とバックレスト106の間あたりで、ちょうど、診療態勢の術者Dがトレーテーブル103や、その付近のホルダユニット108、112に保持された歯科用ハンドピース109、111を取り扱いし易いようになっており、さらに、図8(c)に示すように、診療態勢の術者Dが座った状態で、その手を上下に旋回させたときの旋回円P上で上下に異なる位置にトレーテーブル103や、歯科用ハンドピース109、111が位置するように構成されている。
【0006】
したがって、いずれのハンドピース109を使用する場合でも、一方向の手の動きで希望するハンドピース109に到達することができ、円滑に診療を進めることができた。なお、この場合、上述のホルダ支持体107、複数のホルダユニット108、別体のホルダユニット112で歯科用ハンドピースホルダを構成している。
【0007】
図9の歯科用診療装置200は、特開平6−125947号公報で提案されたもので、診療台201、この診療台201に自在アーム202で水平位置自在に支持されたトレーテーブル203、このトレーテーブル201の前方に設けられ、複数の歯科用ハンドピース205を水平方向に並列させて保持するハンドピースホルダ204、照明灯207を設けたスピットン部206、診療台201の補助者側に設けられ、歯科用ハンドピース209を保持するハンドピースホルダ208を備えている。
【0008】
この歯科用診療装置200でも、ハンドピースホルダ204は、図8と同様に、診療台201の傍らで、診療態勢の術者の付近に位置され、保持された歯科用ハンドピース205を取り扱いし易いようになっていた。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、図8の歯科用ハンドピースホルダでは、ハンドピース109を取り出すための手の動きは上下旋回であるのに対し、ハンドピース109を把持した後、診療のための手の動きは水平旋回であるので、手の動きの方向転換があり、円滑な取り出し、戻しを実現するために更なる改善が求められていた。
【0010】
図9の歯科用ハンドピースホルダでは、ハンドピースを取り出すときの手首の形と、診療のために把持するときの手首の形が異なるため、取り出す際に術者が手首をねじる行為が必要であり、また、先端部を手前側に近接してハンドピースが並列しているため、先端部の装着されたままの切削バーなどで指を傷つけることもあった。
【0011】
本考案は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、歯科用ハンドピースの取り出し、これを用いた診療、戻しの一連の動作を円滑かつ安全に行うことができる歯科用ハンドピースホルダ及び歯科用診療装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の歯科用ハンドピースホルダは、患者の頭部を載置するヘッドレストを備え患者を載置する診療台を有する歯科用診療装置に設けられ、歯科用ハンドピースの基端部を保持する歯科用ハンドピースホルダであって、 同一の診療態勢にある術者が水平に手を伸ばし旋回させたときに到達する位置であって、ほぼ同一の水平面上にある位置に、前記歯科用ハンドピースが保持され、かつ、保持された歯科用ハンドピースの基端部から先端部への方向が、前記旋回による円の接線方向に沿うと共に、前記接線の前記ヘッドレストに近い側へ向くように構成したことを特徴とする。
【0013】
この歯科用ハンドピースホルダは、術者がハンドピースを取り出すために手を伸ばして、ハンドピースホルダの設置位置から、ハンドピースを取り出し、診療位置まで手を旋回させるほぼ同一な水平面上に、ハンドピースが保持されるように、ハンドピースホルダの配置を考慮したものである。したがって、診療を行うために、手を伸ばし、ハンドピースを掴み、診療を行い、また、ハンドピースを戻すという一連の手の動き、旋回がほぼ同一の水平面上の動きとなり、円滑な動作とすることができる。
【0014】
請求項2に記載の歯科用ハンドピースホルダは、請求項1に記載の歯科用ハンドピースホルダにおいて、複数の歯科用ハンドピースが保持された場合に、隣接し合う歯科用ハンドピースについて、前記ヘッドレストに遠い方に位置する歯科用ハンドピースの先端部の水平位置が、前記ヘッドレストに近い方に位置する歯科用ハンドピースの基端部の水平位置にほぼ一致するように構成したことを特徴とする。
【0015】
この歯科用ハンドピースホルダは、保持状態の一つのハンドピースの基端部と隣接するハンドピースの先端部の水平位置がほぼ一致、つまり、上下に重なるようになっているので、ハンドピースを取り出すために手を旋回させた際に、ハンドピースホルダに保持されたハンドピースの先端部が、このホルダに被さるようになり、指先などがこの先端部に触れにくく、指を傷つけることが少なくなり、安全にハンドピースを取り出し、戻すことができる。
【0016】
請求項3に記載の歯科用ハンドピースホルダは、請求項1または2のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダにおいて、前記歯科用ハンドピースホルダが、保持する歯科用ハンドピースに個別対応したホルダユニットと、このホルダユニットを所定位置に設けたユニット受け部に着脱可能に保持するホルダ支持体から構成され、前記ホルダユニットは、保持する歯科用ハンドピースに個別対応して形成された保持部と前記ホルダ支持体のユニット受け部に対応した取付部から構成され、前記ホルダ支持体のユニット受け部と、前記ホルダユニットの取付部を共通化したことを特徴とする。
【0017】
この歯科用ハンドピースホルダは、ホルダをホルダ支持体とこれに着脱交換式のホルダユニットに分け、このホルダユニットは、それぞれ保持するハンドピース専用として、ハンドピースを最適の状態で保持できるようにし、一方、ホルダ支持体とホルダユニットの間の取付は、ユニバーサル、つまり、ホルダユニットを、ホルダ支持体に設けたユニット受け部のどこででも付けられるように、共通化したものである。したがって、術者の好みに合わせて、好みの位置に歯科用ハンドピースを保持させるようにすることができ、ハンドピースホルダの使い勝手が向上し、術者に合わせた、円滑な取り出し、戻しを実現することができる。
【0018】
請求項4に記載の歯科用ハンドピースホルダは、請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダにおいて、前記歯科用ハンドピースがフレキシブルチューブの継手部に着脱交換可能に装着して用いられる歯科用ハンドピースであって、前記歯科用ハンドピースホルダに保持する歯科用ハンドピースに個別対応して形成された保持部、あるいは、前記ホルダユニットの保持部が、 底部開口を備えた底部に、ハンドピース抜出孔を開口させ、かつ前記ハンドピースの一部を上方から支持するカバー部を連成するとともに、前記底部には、前記フレキシブルチューブのチューブ部の通過を許容する隙間を形成するようにして、前記底部開口を、前記ハンドピース抜出孔に連通したハンドピース挿通空間とフレキシブルチューブ挿通空間とに分離する仕切突起を突設し、前記フレキシブルチューブ挿通空間の内幅寸法は、前記フレキシブルチューブのチューブ部は挿通させるが、前記フレキシブルチューブの継手部は挿通させない寸法にしていることを特徴とする。
【0019】
この歯科用ハンドピースホルダは、装置本体とフレキシブルチューブで接続されたハンドピースの場合のハンドピースホルダの保持部の構造を特に規定したものであり、この保持部の底部の開口は仕切突起によって、ハンドピース挿通空間とフレキシブルチューブ挿通空間とに分離されているので、ハンドピースを底部のハンドピース挿通空間からカバー部の抜出孔に貫通させて繰出した後、フレキシブルチューブを更に仕切突起の隙間からフレキシブルチューブ挿通空間に押し込むことによって、ハンドピースをセットすることができる。つまり、ハンドピースをフレキシブルチューブに接続したままで、ホルダへの装着が可能である。
【0020】
ハンドピースは、接続されたフレキシブルチューブの継手部が底部開口のフレキシブルチューブ挿通空間で、ハンドピースの基端部分がカバー部で、つまり上下で2点支持される構造になっているので、ハンドピースの殆どの部分を露出させた使い勝手の良い状態で安定的に収容支持される。
【0021】
また、ハンドピースに接続したフレキシブルチューブは、仕切突起によって分離され、チューブ部分よりは大きい内幅寸法のフレキシブルチューブ挿通空間内に保持されるので、フレキシブルチューブを接続したハンドピースをホルダから繰出し、繰戻しする操作も、ストレスなくスムーズに行える。
【0022】
また、交換のためにハンドピースを取り外した状態でも、フレキシブルチューブ挿通空間にあるフレキシブルチューブは、その継手部がこの空間寸法より小さいので、保持されたままであり、脱落しないので、ハンドピースの交換が便利である。
【0023】
さらに、このような構造とすることで、フレキシブルチューブを接続したままのハンドピースのホルダユニットからの取り出し、戻し方向と、ホルダユニットがハンドピースを保持する方向が一致するため、取り出し、戻しが円滑に行え、特に、戻しの場合には、完全にハンドピースをホルダの保持位置まで戻さなくとも、保持位置の手前で、手から解放することにより、ハンドピースはフレキシブルチューブにガイドされて、ホルダユニットに自然に収容保持されるので、戻しを円滑にすることができる。
【0024】
請求項5に記載の歯科用診療装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダを設けたことを特徴とする。
【0025】
この歯科用診療装置は、上述のような効果を発揮する歯科用ハンドピースホルダを備えているので、同様の効果を発揮する。
【0026】
請求項6に記載の歯科用診療装置は、請求項5に記載の歯科用診療装置において、前記歯科用ハンドピースホルダを、保持された歯科用ハンドピースが、歯科診療台の肩部に設けられたトレーテーブルの上方であって、このトレーテーブルに載置された診療関連機器を用いる際の支障にならない位置に配置されるように設置したことを特徴とする。
【0027】
この歯科用診療装置は、上述の効果を発揮する歯科用ハンドピースホルダの設置態様を、従来、あまり利用されていなかった、トレーテーブルの上方空間を利用するものとして規定したものである。したがって、上述の安全かつ円滑にハンドピースの取り出し、戻しができるという効果と相俟って、水平方向の手の移動スペースの有効利用ができ、増加するハンドピースの種類に対応することもできる。
【0028】
【考案の実施の形態】
以下本考案に係る歯科用ハンドピースホルダ及び歯科用診療装置の実施の形態について、図を参照しつつ説明する。
【0029】
図1は、本考案のハンドピースホルダを備えた歯科用診療装置の一例を示す平面図、図2は、図1のハンドピースホルダ設置部分の外観斜視図、図3は、図1の概念的なA矢視図、図4は本考案のハンドピースホルダの使用態様の説明図ある。
【0030】
この歯科用診療装置10は、歯科用ハンドピースホルダ1、このハンドピースホルダ1に保持され、フレキシブルチューブ3を備えた歯科用ハンドピース2、これらのフレキシブルチューブ3が導出されると共に、ハンドピースホルダ1の支持体ともなっているトレーテーブル5、このトレーテーブル5を設けた診療台6、術者用椅子7を備えている。診療台6には、患者の頭部を載置するヘッドレスト6aが備えられている。
【0031】
診療装置10には、図示していないが、歯科診療を行うために必要な他の機器なども、図8、9の従来例の歯科用診療装置と同様に備えてあり、診療台6に患者を載せて、術者用椅子7に術者が腰を掛けて、トレーテーブル5に配置された診療関連機器、ハンドピース2などを用いて、歯科診療を行うことができるものである。
【0032】
ここで、歯科用ハンドピースホルダ1は、ホルダユニット1Aと、このホルダユニット1Aを着脱交換可能に支持するホルダ支持体1Bとを、複数、この例では、3組セットしたもので、このハンドピースホルダ1にそれぞれ歯科用ハンドピース2を保持させると、保持されたハンドピース2は、図1,2から解るように、同一の診療態勢にある術者が自然に手を伸ばし旋回させたときに到達する位置、つまり、このときに手先が形成する旋回円Cの円周上であって、ほぼ同一な水平面上に配置され、かつ、歯科用ハンドピース2の基端部2cから先端部2aへの方向が、旋回円Cの接線の患者方向、つまり、患者がその頭部を載置するヘッドレスト6aへの方向に沿うようになっている。
【0033】
つまり、図4に示すように、術者Dがハンドピース2を取り出すために手を伸ばして、ハンドピースホルダ1の設置位置から、ハンドピース2を取り出し、診療位置(診療台6のヘッドレスト6a)まで手を旋回させる旋回円Cに沿ったほぼ同一な水平面上に、ハンドピース2が保持されるようにしているので、診療を行うために、手を伸ばし、ハンドピースを掴み、診療を行い、また、ハンドピースを戻すという一連の手の動き、旋回がほぼ同一の水平面上の動きとなり、円滑な動作とすることができる。
【0034】
また、フレキシブルチューブ3を接続したままのハンドピース2のホルダユニット1Aからの取り出し、戻し方向と、ホルダユニット1Aがハンドピース2を保持する方向が一致するため、取り出し、戻しが円滑に行え、特に、戻しの場合には、完全にハンドピース2をホルダユニット1Aの保持位置まで戻さなくとも、保持位置の手前で、手から解放することにより、ハンドピース2はフレキシブルチューブ3にガイドされて、ホルダユニット1Aに自然に収容保持されるので、戻しを円滑にすることができる。
【0035】
さらに、図1から解るように、保持状態の一つのハンドピース2の基端部2cと隣接するハンドピース2の先端部2aの水平位置がほぼ一致、つまり、上下に重なるようになっているので、ハンドピース2を取り出すために手を旋回させた際に、ホルダユニット1Aに保持されたハンドピース2の先端部2aが、このホルダユニット1Aに被さるようになり、指先などがこの先端部に触れにくく、指を傷つけることが少なくなり、安全にハンドピース2を取り出し、戻すことができる。
【0036】
なお、ここでは、ハンドピースがフレキシブルチューブ付きの場合について説明したが、本考案の特徴とするホルダユニットの配置は、ハンドピースがフレキシブルチューブなしの場合にも、ハンドピースの配置位置と方向を、診療のための手の移動旋回軌道と方向に一致させるという点で適用可能であり、同様に、ハンドピースのとりだし、戻しを円滑、かつ、安全にするという効果を発揮するものである。
【0037】
また、ここでは、歯科用ハンドピースホルダのホルダユニットが着脱交換式ものについて説明したが、歯科用ハンドピースホルダがそのような着脱交換式でない場合も、保持したハンドピースの配置を本考案ようにすることは可能であり、同様の効果を発揮するものである。更に、このような配置は、ハンドピースが複数でなく、一本の場合でも、適用可能であり、同様の効果を発揮する。
【0038】
図3では、歯科用ハンドピースホルダ1を構成するホルダ支持体1Bについて、より詳しく示している。
【0039】
これによると、ホルダ支持体1Bは、ホルダユニット1Aを着脱交換可能に取り付けるユニット受け部1Baと、このユニット受け部1Baを支承し、トレーテーブル5に設置された支持棒1Bbと、これらのユニット受け部1Baと支持棒1Bbをネジ締結する締結ボルト1Bcから構成されている。
【0040】
このような構造で、この歯科用ハンドピースホルダ1は、従来あまり活用されていなかった、トレーテーブル5の上部空間を利用し、上述の安全かつ円滑にハンドピースの取り出し、戻しができるという本来の効果と相俟って、水平方向の手の移動スペースの有効利用をし、増加するハンドピースの種類に対応することもできる。
【0041】
また、ホルダユニット1Aとホルダ支持体1Bのユニット受け部1Baの取付構造は、詳細は後述するが、ユニバーサル構造、つまり、どのホルダユニット1Aを、どのユニット受け部1Baにも取付できるようになっている。つまり、図1に示すハンドピース2は、これに対応したホルダユニット1Aを付け替えることによって、この3つの配置位置のいずれにも保持することができるようになっている。更に、このホルダユニット1Aは、図2に示すように、トレーテーブル5の側壁に着脱可能に設置されたホルダユニット1Aともユニバーサルになっており、この位置のホルダユニット1Aの配置位置のいずれにも取り付けることができるようになっている。
【0042】
こうして、術者の好みに合わせて、好みの位置に歯科用ハンドピース2を保持させるようにすることができ、ハンドピースホルダ1の使い勝手が向上し、術者に合わせた、円滑な取り出し、戻しを実現することができる。
【0043】
なお、ホルダ支持体の構造は、ここに例示したものに限られず、保持したハンドピースの配置が図1、2、4などに示した配置になるようなものであればよく、例えば、ホルダ支持体1Bを図示しているような複数の部材とはせず、一体の部材で構成するなど、あらゆる構造のものが含まれる。また、歯科用ハンドピースホルダ全体の設置方法も、ここに示した、トレーテーブルに設置する方法だけでなく、診療室の床、壁面、天井などから、専用あるいは他と共用の支持アームで支持するようにしてもよいし、歯科用診療装置の他の部分、例えば、診療台から自在アームで支持するようにしてもよい。
【0044】
これより、上述のホルダユニットとホルダ支持体のユニット受け部について、より詳しく説明する。
【0045】
図5は、図1のハンドピースホルダを構成するホルダユニットの使用態様を示すもので、(a)はその平面図、(b)はその正面図である。
【0046】
このホルダユニット1Aは、開口を備えた底部1aに、上面部1bが略半球状に膨出して形成されており、この上面部1bの前面部分から底部1aの斜め後側に向けてハンドピース抜出孔1cが開口され、上面部1bの後面部分にハンドピース2の一部を上方から支持するカバー部1dが連成されているとともに、底部1aには、フレキシブルチューブ3のチューブ部3bの通過を許容する隙間1jを形成するようにして、ハンドピース挿通空間1eとフレキシブルチューブ挿通空間1fとを分離する仕切突起1gが突設されている。
【0047】
フレキシブルチューブ挿通空間1fを形成する底部1aの適所には、挿通空間1fの一部を狭くするように係止突起1faが形成され、この係止突起1faに、ハンドピース2に接続されたフレキシブルチューブ3の継手部3aが係止支持された状態で、ハンドピース2がホルダユニット1Aのハンドピース抜出孔1c内に配設されるようになっている。
【0048】
フレキシブルチューブ挿通空間1fの内幅寸法は、ハンドピース2に接続されるフレキシブルチューブ3の継手部3aの外径より小さく、かつ、チューブ部3bの外径よりは大きい寸法とされている。また、ハンドピース挿通空間1eの内幅寸法は、ハンドピース2を容易に挿通させる寸法となっている。
【0049】
なお、これらの底部1a、上面部1b、ハンドピース抜出孔1c、カバー部1d、ハンドピース挿通空間1e、フレキシブルチューブ挿通空間1f、仕切突起1gなどの部分は、ハンドピース2を保持する役割を持つ部分であり、総称して、保持部1AAと呼ばれ、この保持部1AAは、この保持部1AAで保持するハンドピース専用に形成され、専用のハンドピース2を最も適した位置で保持することができる。
【0050】
ホルダユニット1Aの背面部1hには、1組のT字形の係止爪1iが外向きに突設されていて、この係止爪1iが後述するように、ホルダ支持体1Bのユニット受け部1Baに設けられた係止孔1Bdに嵌まり込んで、ホルダユニット1Aがホルダポケット4に着脱交換自在に取り付けられるようになっている。
【0051】
これらの背面部1h、係止爪1iは、ホルダユニット1Aをホルダ支持体1Bに取り付ける役割を果たすものであり、総称して取付部1ABと呼ぶ。
【0052】
フレキシブルチューブ3を接続したハンドピース2は、このチューブ3の継手部3aが底部1aのフレキシブルチューブ挿通空間1fで、ハンドピース2の基端部がカバー部1dによって、上下で2点支持されるようになっているので、ハンドピース2の殆どの部分を露出させた使い勝手の良い状態で安定的に収容支持できる。
【0053】
また、ハンドピース2の後端に接続したフレキシブルチューブ3のチューブ部3bは、仕切突起1gによってハンドピース挿通空間1eと分離形成されたフレキシブルチューブ挿通空間1f内で保持されるので、ハンドピース2をホルダポケット4から繰出し、繰戻しする操作も、ストレスなくスムーズに行える。
【0054】
また、フレキシブルチューブ3だけを残して、ハンドピース2を交換する際にも、チューブ3は、継手部3aとフレキシブルチューブ挿通空間1fの内幅寸法と係止突起1faの相互作用によりホルダユニット1Aに係止された状態を維持し、抜け落ちないので、ハンドピース2の交換がし易い。
【0055】
図6は、図5のホルダユニットの詳細構造を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその底面図、(d)はその側面図である。
【0056】
これらの図を見ると、上記で説明したホルダユニット1Aの各部分の構造がよく解る。また、図6(d)では、底部1aに設けられた仕切突起1gの先端に形成された隙間1jが、ハンドピース挿通空間1eからフレキシブルチューブ挿通空間1fへとフレキシブルチューブ3のチューブ部3bを多少変形させながら、通過させ得るようになっているのが解る。
【0057】
図7は、図1のハンドピースホルダを構成するホルダユニットとホルダ支持体との取付構造を示すもので、(a)はその側面図、(b)はそのB断面図である。
【0058】
ホルダ支持体1Bのユニット受け部1Baには、係止孔1Bdが穿設されていて、この係止孔1Bdは、図7(b)に示すように、大径孔とこれに連通された小径孔とで形成されていて、この大径孔にホルダユニット1Aの取付部1ABに突設されたT字形の係止爪1i、1iの大径鍔状部を嵌入した後に、その小径軸部を小径孔に係入することによって、ホルダユニット1Aがホルダ支持体1Bに着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0059】
このホルダユニット1Aの取付部1ABとホルダ支持体1Bの受け部1Baの係合は、すでに説明したように、ユニバーサルとなっており、どのホルダユニット1Aでも、いずれのホルダ支持体1Bのユニット受け部1Baに取り付けることができる。
【0060】
【考案の効果】
請求項1に記載の歯科用ハンドピースホルダによれば、術者がハンドピースを取り出すために手を伸ばして、ハンドピースホルダの設置位置から、ハンドピースを取り出し、診療位置まで手を旋回させるほぼ同一の水平面上に、ハンドピースが保持されるように、ハンドピースホルダの配置を考慮したので、診療を行うために、手を伸ばし、ハンドピースを掴み、診療を行い、また、ハンドピースを戻すという一連の手の動き、旋回がほぼ同一の水平面上の動きとなり、円滑な動作とすることができる。
【0061】
請求項2に記載の歯科用ハンドピースホルダによれば、請求項1の効果に加え、保持状態の一つのハンドピースの基端部と隣接するハンドピースの先端部の水平位置がほぼ一致、つまり、上下に重なるようになっているので、ハンドピースを取り出すために手を旋回させた際に、ハンドピースホルダに保持されたハンドピースの先端部が、このホルダに被さるようになり、指先などがこの先端部に触れにくく、指を傷つけることが少なくなり、安全にハンドピースを取り出し、戻すことができる。
【0062】
請求項3に記載の歯科用ハンドピースホルダによれば、請求項1または2のいずれかの効果に加え、ホルダをホルダ支持体とこれに着脱交換式のホルダユニットに分け、このホルダユニットは、それぞれ保持するハンドピース専用として、ハンドピースを最適の状態で保持できるようにし、一方、ホルダ支持体とホルダユニットの間の取付は、ユニバーサル、つまり、ホルダユニットを、ホルダ支持体に設けたユニット受け部のどこででも付けられるように、共通化したので、術者の好みに合わせて、好みの位置に歯科用ハンドピースを保持させるようにすることができ、ハンドピースホルダの使い勝手が向上し、術者に合わせた、円滑な取り出し、戻しを実現することができる。
【0063】
請求項4に記載の歯科用ハンドピースホルダによれば、請求項1〜3のいずれかの効果に加え、装置本体とフレキシブルチューブで接続されたハンドピースの場合のハンドピースホルダの保持部の構造を特に規定したので、フレキシブルチューブを接続したままのハンドピースのホルダユニットからの取り出し、戻し方向と、ホルダユニットがハンドピースを保持する方向が一致するため、取り出し、戻しが円滑に行え、特に、戻しの場合には、完全にハンドピースをホルダの保持位置まで戻さなくとも、保持位置の手前で、手から解放することにより、ハンドピースはフレキシブルチューブにガイドされて、ホルダユニットに自然に収容保持されるので、戻しを円滑にすることができる。
【0064】
請求項5に記載の歯科用診療装置によれば、、請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダを設けたので、請求項1〜4と同様の効果を発揮する。
【0065】
請求項6に記載の歯科用診療装置によれば、請求項5の効果に加え、上述の効果を発揮する歯科用ハンドピースホルダの設置態様を、従来、あまり利用されていなかった、トレーテーブルの上方空間を利用するものとして規定したものである。したがって、上述の安全かつ円滑にハンドピースの取り出し、戻しができるという効果と相俟って、水平方向の手の移動スペースの有効利用ができ、増加するハンドピースの種類に対応することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のハンドピースホルダを備えた歯科用診療装置の一例を示す平面図
【図2】図1のハンドピースホルダ設置部分の外観斜視図
【図3】図1の概念的なA矢視図
【図4】本考案のハンドピースホルダの使用態様の説明図
【図5】図1のハンドピースホルダを構成するホルダユニットの使用態様を示すもので、(a)はその平面図、(b)はその正面図
【図6】図5のホルダユニットの詳細構造を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその底面図、(d)はその側面図
【図7】図1のハンドピースホルダを構成するホルダユニットとホルダ支持体との取付構造を示すもので、(a)はその側面図、(b)はそのB断面図
【図8】従来の歯科用ハンドピースホルダを備えた歯科用診療装置を示すもので、(a)は外観斜視図、(b)はハンドピースホルダ設置部分の詳細図、(c)はその使用態様の説明図
【図9】従来の歯科用ハンドピースホルダを備えた歯科用診療装置を示す外観斜視図
【符号の説明】
1 歯科用ハンドピースホルダ
1A ホルダユニット
1AA 保持部
1a 底部
1c ハンドピース抜出孔
底部開口
1d カバー部
1e ハンドピース挿通空間
1f フレキシブルチューブ挿通空間
1g 仕切突起
1j 隙間
1AB 取付部
1B ホルダ支持体
1Ba ユニット受け部
2 歯科用ハンドピース
2a 先端部
2b 把持部
2c 基端部
3 フレキシブルチューブ
3a 継手部
3b チューブ部
5 トレーテーブル
6 診療台
6a ヘッドレスト
10 歯科用診療装置
C 旋回円
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】患者の頭部を載置するヘッドレストを備え患者を載置する診療台を有する歯科用診療装置に設けられ、歯科用ハンドピースの基端部を保持する歯科用ハンドピースホルダであって、同一の診療態勢にある術者が水平に手を伸ばし旋回させたときに到達する位置であって、ほぼ同一の水平面上にある位置に、前記歯科用ハンドピースが保持され、かつ、保持された歯科用ハンドピースの基端部から先端部への方向が、前記旋回による円の接線方向に沿うと共に、前記接線の前記ヘッドレストに近い側へ向くように構成したことを特徴とする歯科用ハンドピースホルダ。
【請求項2】請求項1に記載の歯科用ハンドピースホルダにおいて、複数の歯科用ハンドピースが保持された場合に、隣接し合う歯科用ハンドピースについて、前記ヘッドレストに遠い方に位置する歯科用ハンドピースの先端部の水平位置が、前記ヘッドレストに近い方に位置する歯科用ハンドピースの基端部の水平位置にほぼ一致するように構成したことを特徴とする歯科用ハンドピースホルダ。
【請求項3】請求項1または2のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダにおいて、前記歯科用ハンドピースホルダが、保持する歯科用ハンドピースに個別対応したホルダユニットと、このホルダユニットを所定位置に設けたユニット受け部に着脱可能に保持するホルダ支持体から構成され、前記ホルダユニットは、保持する歯科用ハンドピースに個別対応して形成された保持部と前記ホルダ支持体のユニット受け部に対応した取付部から構成され、前記ホルダ支持体のユニット受け部と、前記ホルダユニットの取付部を共通化したことを特徴とする歯科用ハンドピースホルダ。
【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダにおいて、前記歯科用ハンドピースがフレキシブルチューブの継手部に着脱交換可能に装着して用いられる歯科用ハンドピースであって、前記歯科用ハンドピースホルダに保持する歯科用ハンドピースに個別対応して形成された保持部、あるいは、前記ホルダユニットの保持部が、底部開口を備えた底部に、ハンドピース抜出孔を開口させ、かつ前記ハンドピースの一部を上方から支持するカバー部を連成するとともに、前記底部には、前記フレキシブルチューブのチューブ部の通過を許容する隙間を形成するようにして、前記底部開口を、前記ハンドピース抜出孔に連通したハンドピース挿通空間とフレキシブルチューブ挿通空間とに分離する仕切突起を突設し、前記フレキシブルチューブ挿通空間の内幅寸法は、前記フレキシブルチューブのチューブ部は挿通させるが、前記フレキシブルチューブの継手部は挿通させない寸法にしていることを特徴とする歯科用ハンドピースホルダ。
【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダを設けたことを特徴とする歯科用診療装置。
【請求項6】請求項5に記載の歯科用診療装置において、前記歯科用ハンドピースホルダを、保持された歯科用ハンドピースが、歯科診療台の肩部に設けられたトレーテーブルの上方であって、このトレーテーブルに載置された診療関連機器を用いる際の支障にならない位置に配置されるように設置したことを特徴とする歯科用診療装置。
【請求項1】患者の頭部を載置するヘッドレストを備え患者を載置する診療台を有する歯科用診療装置に設けられ、歯科用ハンドピースの基端部を保持する歯科用ハンドピースホルダであって、同一の診療態勢にある術者が水平に手を伸ばし旋回させたときに到達する位置であって、ほぼ同一の水平面上にある位置に、前記歯科用ハンドピースが保持され、かつ、保持された歯科用ハンドピースの基端部から先端部への方向が、前記旋回による円の接線方向に沿うと共に、前記接線の前記ヘッドレストに近い側へ向くように構成したことを特徴とする歯科用ハンドピースホルダ。
【請求項2】請求項1に記載の歯科用ハンドピースホルダにおいて、複数の歯科用ハンドピースが保持された場合に、隣接し合う歯科用ハンドピースについて、前記ヘッドレストに遠い方に位置する歯科用ハンドピースの先端部の水平位置が、前記ヘッドレストに近い方に位置する歯科用ハンドピースの基端部の水平位置にほぼ一致するように構成したことを特徴とする歯科用ハンドピースホルダ。
【請求項3】請求項1または2のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダにおいて、前記歯科用ハンドピースホルダが、保持する歯科用ハンドピースに個別対応したホルダユニットと、このホルダユニットを所定位置に設けたユニット受け部に着脱可能に保持するホルダ支持体から構成され、前記ホルダユニットは、保持する歯科用ハンドピースに個別対応して形成された保持部と前記ホルダ支持体のユニット受け部に対応した取付部から構成され、前記ホルダ支持体のユニット受け部と、前記ホルダユニットの取付部を共通化したことを特徴とする歯科用ハンドピースホルダ。
【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダにおいて、前記歯科用ハンドピースがフレキシブルチューブの継手部に着脱交換可能に装着して用いられる歯科用ハンドピースであって、前記歯科用ハンドピースホルダに保持する歯科用ハンドピースに個別対応して形成された保持部、あるいは、前記ホルダユニットの保持部が、底部開口を備えた底部に、ハンドピース抜出孔を開口させ、かつ前記ハンドピースの一部を上方から支持するカバー部を連成するとともに、前記底部には、前記フレキシブルチューブのチューブ部の通過を許容する隙間を形成するようにして、前記底部開口を、前記ハンドピース抜出孔に連通したハンドピース挿通空間とフレキシブルチューブ挿通空間とに分離する仕切突起を突設し、前記フレキシブルチューブ挿通空間の内幅寸法は、前記フレキシブルチューブのチューブ部は挿通させるが、前記フレキシブルチューブの継手部は挿通させない寸法にしていることを特徴とする歯科用ハンドピースホルダ。
【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用ハンドピースホルダを設けたことを特徴とする歯科用診療装置。
【請求項6】請求項5に記載の歯科用診療装置において、前記歯科用ハンドピースホルダを、保持された歯科用ハンドピースが、歯科診療台の肩部に設けられたトレーテーブルの上方であって、このトレーテーブルに載置された診療関連機器を用いる際の支障にならない位置に配置されるように設置したことを特徴とする歯科用診療装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図8】
【登録番号】実用新案登録第3076009号(U3076009)
【登録日】平成12年12月20日(2000.12.20)
【発行日】平成13年3月16日(2001.3.16)
【考案の名称】歯科用ハンドピースホルダ及び歯科用診療装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2000−6290(U2000−6290)
【出願日】平成12年8月31日(2000.8.31)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【登録日】平成12年12月20日(2000.12.20)
【発行日】平成13年3月16日(2001.3.16)
【考案の名称】歯科用ハンドピースホルダ及び歯科用診療装置
【国際特許分類】
【出願番号】実願2000−6290(U2000−6290)
【出願日】平成12年8月31日(2000.8.31)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
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