説明

歯車伝達装置

【課題】潤滑油の排出を促進して潤滑油の撹拌抵抗による損失を抑えることが可能な歯車伝達装置を提供する。
【解決手段】共通のギヤ本体21の内周に2列の内歯13a、33aが軸線方向に隣り合うように形成された共用ギヤ20を有し、各列の内歯13a、33aに外歯ギヤが噛み合わされて列毎に伝達機構が構成された歯車伝達装置において、共用ギヤ20の使用頻度が高い回転方向を正転方向としたときに、各列の内歯13a、33aを、軸線方向内側の端部13b、33bが軸線方向外側の端部13c、33cよりも正転方向に偏るように軸線方向に対して傾ける。内歯13a、33a間にはオイル逃がし孔25を設け、内歯13a、33aの歯底にはオイル排出溝13d、33dを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の伝達機構間で内歯ギヤを共用する歯車伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の駆動力等を伝達する歯車伝達装置として、共通のギヤ本体の内周に2列の内歯を形成した共用ギヤを有し、その共用ギヤの内側にピニオンギヤ、サンギヤ及びキャリアが内歯の列毎に設けられて一対の遊星ギヤ機構が構成された歯車伝達装置が知られている(例えば非特許文献1参照)。その他に、本発明に関連する先行技術文献として特許文献1〜3が存在する。
【0003】
【特許文献1】特表2005−517139号公報
【特許文献2】特開平10−184863号公報
【特許文献3】特開平7−980651号公報
【非特許文献1】トヨタ自動車株式会社編集、「ハリアーハイブリッド新型車解説書」、トヨタ自動車株式会社発行、2005年3月22日、第3章第26頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の歯車伝達装置では、一対の遊星ギヤ機構のピニオンギヤ、あるいはキャリア間に軸線方向の空所が発生し、その空所には潤滑油が少なからず侵入する。しかし、空所の外周側は、共通化された共用ギヤで覆われているために潤滑油の排出経路が存在しない。また、少なくともいずれか一方のピニオンギヤ及びキャリアがサンギヤの回りに回転(公転)すれば、そのピニオンギヤ側からの潤滑油の排出も困難となる。この結果、空所内に潤滑油が溜り、その潤滑油の撹拌抵抗で損失が増大するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、潤滑油の排出を促進して潤滑油の撹拌抵抗による損失を抑えることが可能な歯車伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の歯車伝達装置は、共通のギヤ本体の内周に2列の内歯が軸線方向に隣り合うように形成された共用ギヤを有し、各列の内歯に外歯ギヤが噛み合わされて列毎に伝達機構が構成された歯車伝達装置において、前記共用ギヤの使用頻度が高い回転方向を正転方向としたときに、各列の内歯は、前記軸線方向内側の端部が前記軸線方向外側の端部よりも前記正転方向に偏るように前記軸線方向に対して傾けられることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
【0007】
第1の歯車伝達装置によれば、共用ギヤが正転方向に回転すると、傾けられた内歯が潤滑油を軸線方向内側から外側に向かって掻き出す。これにより、共用ギヤ内に設けられる伝達機構間の空所への潤滑油の侵入が抑えられる。また、伝達機構間の空所に潤滑油が侵入した場合でも、内歯の傾きによって生成される潤滑油の流れを利用して、その空所からの潤滑油の排出を促進することができる。よって、伝達機構間の空所への潤滑油の滞留を抑制し、潤滑油の撹拌抵抗による損失を抑えることが可能となる。
【0008】
本発明の一形態において、前記共用ギヤには、該共用ギヤを前記内歯の列間の内周面から外周面まで貫くオイル逃がし孔が設けられてもよい(請求項2)。オイル逃がし孔を設けることにより、伝達機構間の空所内に侵入した潤滑油を遠心力でオイル逃がし孔から共用ギヤの外周へと排出することができる。
【0009】
前記オイル逃がし孔は、前記内周側の端部が前記外周側の端部よりも前記正転方向に偏るように、前記共用ギヤの半径方向に対して傾けられてもよい(請求項3)。このような傾きをオイル逃がし孔に与えることにより、オイル逃がし孔の方向と潤滑油に作用する遠心力の方向とを揃えて潤滑油をさらに効率よく排出することができる。
【0010】
前記共用ギヤの外周にさらに外歯が形成される場合、前記オイル逃がし孔は前記外歯の列上又は該外歯の列に隣接した位置に開口していてもよい(請求項4)。この場合、オイル逃がし孔を介して排出される潤滑油を共用ギヤの外歯の潤滑に利用することができる。
【0011】
本発明の第2の歯車伝達装置は、共通のギヤ本体の内周に2列の内歯が軸線方向に隣り合うように形成された共用ギヤを有し、各列の内歯に外歯ギヤが噛み合わされて列毎に伝達機構が構成された歯車伝達装置において、前記共用ギヤには、該共用ギヤを前記内歯の列間の内周面から外周面まで貫くオイル逃がし孔が設けられることにより、上述した課題を解決する(請求項5)。
【0012】
第2の歯車伝達装置によれば、伝達機構間の空所内に侵入した潤滑油を遠心力でオイル逃がし孔から共用ギヤの外周へと排出することができる。よって、伝達機構間の空所への潤滑油の滞留を抑制し、潤滑油の撹拌抵抗による損失を抑えることが可能となる。なお、第2の歯車伝達装置においても、前記共用ギヤの使用頻度が高い回転方向を正転方向としたときに、前記オイル逃がし孔は、前記内周側の端部が前記外周側の端部よりも前記正転方向に偏るように、前記共用ギヤの半径方向に対して傾けられてもよい(請求項6)。また、前記共用ギヤの外周にさらに外歯が形成され、前記オイル逃がし孔は前記外歯上にて開口していてもよい(請求項7)。
【0013】
さらに、本発明の歯車伝達装置の一形態においては、前記共用ギヤの歯底、及び前記伝達機構の前記外歯ギヤの歯底の少なくともいずれか一方に、歯幅方向全長に亘って延びるオイル排出溝が設けられていてもよい(請求項8)。この形態によれば、外歯ギヤが内歯と噛み合う位置でも、オイル排出溝を介して伝達機構間の空所から共用ギヤの軸線方向外側へと潤滑油を排出することが可能となる。よって、潤滑油をさらに効率よく排出し、潤滑油の撹拌抵抗による損失をさらに抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上に説明したように、本発明の歯車伝達装置によれば、内歯に傾きを付与して内歯に供給される潤滑油に軸線方向外側に排出される方向の流れを生じさせ、あるいは共用ギヤにオイル逃がし孔を設けて、伝達機構間の空所から遠心力で潤滑油を排出するようにしたので、伝達機構間の空所への潤滑油の滞留を抑制し、潤滑油の撹拌抵抗による損失を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の一形態に係る歯車伝達装置が適用された車両の動力伝達機構の要部を示す。動力伝達機構1は、車両に搭載された走行用駆動源としての電動モータ2の回転を減速して駆動輪側に出力するモータ減速機構10と、車両の内燃機関(不図示)が発生する動力を駆動輪及び発電機3に分割して出力する動力分割機構30とを備えている。
【0016】
モータ減速機構10は、モータ2の出力軸2aの先端外周に一体回転可能に嵌め合わされるサンギヤ11と、サンギヤ11の周囲に等間隔で配置される複数のピニオンギヤ12と、それらのピニオンギヤ12と噛み合うリングギヤ13と、ピニオンギヤ12を保持するキャリア14とを備えた遊星ギヤ機構として構成されている。キャリア14は動力伝達機構1のケース4に固定されている。従って、モータ減速機構10において、ピニオンギヤ12はキャリア14に保持された位置で自転するのみで、サンギヤ11の回りに公転運動することはない。
【0017】
一方、動力分割機構30は、入力軸5の一端部の外周に、該入力軸5に対して相対回転自在に嵌め合わされたサンギヤ31と、サンギヤ31の周囲に等間隔で配置される複数のピニオンギヤ32と、それらのピニオンギヤ32と噛み合うリングギヤ33と、ピニオンギヤ32を保持するキャリア34とを備えた遊星ギヤ機構として構成されている。入力軸5はモータ2の出力軸2aと同軸上に配置されている。入力軸5は不図示の連結機構を介して内燃機関のクランク軸と連結され、これにより、入力軸5には内燃機関のクランク軸の回転が入力される。入力軸5の先端にはフランジ5aが設けられ、そのフランジ5aはキャリア34に固定されている。従って、ピニオンギヤ32は、入力軸5によってサンギヤ31の回りを公転するように駆動される。サンギヤ31は発電機3の駆動軸3aと一体回転可能に連結されている。
【0018】
モータ減速機構10のリングギヤ13及び動力分割機構30のリングギヤ33は、共用ギヤ20の一部として互いに一体化されている。すなわち、共用ギヤ20は、リング状のギヤ本体21を有しており、そのギヤ本体21の内周に、軸線方向に隣り合う2列の内歯13a、33a(図2参照)が形成されることにより、リングギヤ13とリングギヤ33とが一体化されている。共用ギヤ20の外周には、さらにカウンタドライブギヤ22が一体的に形成されている。カウンタドライブギヤ22はカウンタドリブンギヤ23と噛み合わされている。カウンタドリブンギヤ23は不図示の減速歯車列を介して車両の駆動輪と連結される。なお、動力伝達機構1に設けられる各種の回転部品のそれぞれは軸受にて適宜に支持されるが、それらの詳細は説明を省略する。
【0019】
以上の動力伝達機構1においては、モータ2の出力軸2aを回転させると、そのモータ2の回転速度と、モータ減速機構10の減速比とによって定まる速度で共用ギヤ20が回転し、その共用ギヤ20の回転がカウンタドライブギヤ22からカウンタドリブンギヤ23へと伝達されて駆動輪側に回転が出力される。動力分割機構30側では、共用ギヤ20の回転速度と内燃機関による入力軸5の駆動速度とに応じた速度でサンギヤ31が回転し、そのサンギヤ31の回転によって発電機3が駆動されて発電が行われる。モータ2の回転速度と、内燃機関による入力軸5の駆動速度との組み合わせを変化させることにより、発電機3の駆動軸3aを適宜の速度で駆動し、又は駆動軸3aを停止させることができる。
【0020】
上述した動力伝達機構1においては、モータ減速機構10のキャリア14と動力分割機構30のキャリア34との間に空所Sが存在し、その空所Sには、それぞれの機構10、30に供給される潤滑油が少なからず侵入する。空所Sは、共用ギヤ20によって外側から覆われている。しかも、動力分割機構30のピニオンギヤ32及びキャリア34がサンギヤ31の回りに回転することにより、その動力分割機構30のサンギヤ31とリングギヤ33との間の隙間からの潤滑油の排出も困難となる。従って、潤滑油の排出経路を確保しなければ空所Sに潤滑油が溜り、その撹拌抵抗で動力伝達の損失が増大するおそれがある。そこで、動力伝達機構1では以下のような対策が講じられている。
【0021】
図2は共用ギヤ20の軸線方向に沿った断面図であり、図中の矢印Fは車両の前進時における共用ギヤ20の回転方向を示す。車両の後退時には共用ギヤ20が逆方向に回転するが、共用ギヤ20の使用頻度が高い回転方向が、車両の前進時の回転方向であることは勿論である。よって、以下では前進時の共用ギヤ20の回転方向を正転方向と呼ぶ。また、図中の左右方向が共用ギヤ20の軸線方向に相当する。
【0022】
図2から明らかなように、本形態の動力伝達機構1において、共用ギヤ20に設けられるリングギヤ13、33のそれぞれの内歯13a、33aは、それらの軸線方向内側の端部13b、22bが軸線方向外側の端部13c、33cよりも、共用ギヤ20の正転方向に偏るようにして、共用ギヤ20の軸線方向に対し斜めに傾けられている。このような傾きを内歯13a、33aに付与することにより、車両の前進時において、内歯13a、33aに供給された潤滑油が内歯13a、33aによって軸線方向外側に掻き出される。従って、潤滑油に、共用ギヤ20の内部領域から排出される方向(矢印E方向)の流れを生じさせることができる。これにより、空所Sへの潤滑油の侵入が抑えられる。潤滑油の流れを形成することにより、空所Sからの潤滑油の排出の促進も期待できる。
【0023】
図3は、リングギヤ13の内歯13aとピニオンギヤ12の外歯12aとの噛み合い部分の拡大図である。この図から明らかなように、ピニオンギヤ12の全ての歯底と、リングギヤ13の全ての歯底には、オイル排出溝12b、13dがそれぞれ形成されている。図2では、リングギヤ13の一部のオイル排出溝13dを示している。オイル排出溝12bはピニオンギヤ12の歯幅方向全長に亘って延び、オイル排出溝13dはリングギヤ13の歯幅方向全長に亘って延びている。なお、図2に一部を示したが、リングギヤ33の全ての歯底にも同様のオイル排出溝33dが形成されている。また、図示を省略したが、リングギヤ33と噛み合うピニオンギヤ32の全ての歯底にもオイル排出溝12bと同様のオイル排出溝が形成されている。これらのオイル排出溝を設けたことにより、ピニピンギヤ12、32とリングギヤ13、33とがそれぞれ噛み合っている位置でも潤滑油の排出経路が確保される。よって、空所Sからの潤滑油の排出を促進してその空所S内への潤滑油の滞留を抑えることができる。
【0024】
図1、図2及び図3に示すように、共用ギヤ20には、空所Sに臨む内周面から共用ギヤ20の外周面までギヤ本体21を貫通する複数のオイル逃がし孔25が周方向に等間隔で設けられている。図4から明らかなように、各オイル逃がし孔25は、内周側の端部25aが外周側の端部25bよりも共用ギヤ20の正転方向に偏るように、共用ギヤ20の半径方向に対して斜めに傾けられている。このようなオイル逃がし孔25を設けることにより、空所Sに侵入した潤滑油を遠心力で空所Sから効率よく排出することができる。特に、オイル逃がし孔25に上記のような傾きが付されているため、共用ギヤ20の正転時において、潤滑油の排出方向と遠心力の方向とを略一致させて潤滑油の排出効率をさらに向上させることができる。なお、図1では、空所Sに対して半径方向外側にカウンタドライブギヤ22が位置し、オイル逃がし孔25はそのカウンタドライブギヤ22に隣接して設けられたパーキングギヤ24上に開口している。これにより、オイル逃がし孔25から排出される潤滑油をカウンタドライブギヤ22又はパーキングギヤ24の潤滑に利用することができる。
【0025】
以上の形態では、モータ減速機構10及び動力分割機構30が列毎の伝達機構に相当し、それらのピニオンギヤ12、32が各伝達機構の外歯ギヤに相当する。但し、本発明は上記の形態に限らず、種々の形態にて実施することができる。例えば、共用ギヤの内歯の列毎に設けられる伝達機構は遊星ギヤ機構に限らず、内歯と噛み合う外歯ギヤを有する限りにおいて、適宜の構成の伝達機構に置換可能である。共用ギヤは外歯を有しないものでもよい。オイル排出溝は少なくとも一方の伝達機構側に設けられていればよい。共用ギヤの歯底又は外歯ギヤの歯底のいずれか一方に限定してオイル排出溝が設けられてもよい。この場合、外歯ギヤと共用ギヤとの噛み合い部分にオイル排出溝が存在すれば十分であることを考慮すれば、外歯ギヤの歯底にオイル排出溝を設けた方がオイル排出機能を確保しつつ、オイル排出溝の形成個数を削減できて有利である。オイル逃がし孔は半径方向に真っ直ぐ延ばされたものでもよく、その個数も適宜に増減可能である。
【0026】
本発明の歯車伝達装置は、車両の動力伝達機構の一部として設けられる例に限らず、各種の減速機、増速機、伝達機構等に適用可能である。本発明において、共用ギヤは2列の内歯を有していれば足り、3列以上の内歯が設けられている場合であっても、そのうちの2列の内歯に関して本発明が適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一形態に係る歯車伝達装置が適用された車両の動力伝達機構の要部を示す図。
【図2】共用ギヤの内周面を展開して示した図。
【図3】共用ギヤの内歯とピニオンギヤの外歯との噛み合い部分の拡大図。
【図4】図1のIV−IV線に沿った共用ギヤの断面図。
【符号の説明】
【0028】
1 動力伝達機構
10 モータ減速機構
11 サンギヤ
12 ピニオンギヤ(外歯ギヤ)
12a ピニオンギヤの外歯
12b オイル排出溝
13 リングギヤ
13a リングギヤの内歯
13b 内歯の軸線方向内側の端部
13c 内歯の軸線方向外側の端部
13d オイル排出溝
14 キャリア
20 共用ギヤ
21 ギヤ本体
22 カウンタドライブギヤ(共用ギヤの外歯)
23 カウンタドリブンギヤ
24 パーキングギヤ
25 オイル逃がし孔
25a オイル逃がし孔の内周側の端部
25b オイル逃がし孔の外周側の端部
30 動力分割機構
31 サンギヤ
32 ピニオンギヤ(外歯ギヤ)
33 リングギヤ
33d オイル排出溝
34 キャリア
F 共用ギヤの正転方向
S 空所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通のギヤ本体の内周に2列の内歯が軸線方向に隣り合うように形成された共用ギヤを有し、各列の内歯に外歯ギヤが噛み合わされて列毎に伝達機構が構成された歯車伝達装置において、
前記共用ギヤの使用頻度が高い回転方向を正転方向としたときに、各列の内歯は、前記軸線方向内側の端部が前記軸線方向外側の端部よりも前記正転方向に偏るように前記軸線方向に対して傾けられていることを特徴とする歯車伝達装置。
【請求項2】
前記共用ギヤには、該共用ギヤを前記内歯の列間の内周面から外周面まで貫くオイル逃がし孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の歯車伝達装置。
【請求項3】
前記オイル逃がし孔は、前記内周側の端部が前記外周側の端部よりも前記正転方向に偏るように、前記共用ギヤの半径方向に対して傾けられていることを特徴とする請求項2に記載の歯車伝達装置。
【請求項4】
前記共用ギヤの外周にさらに外歯の列が形成され、前記オイル逃がし孔は前記外歯の列上又は該外歯の列に隣接した位置に開口していることを特徴とする請求項3に記載の歯車伝達装置。
【請求項5】
共通のギヤ本体の内周に2列の内歯が軸線方向に隣り合うように形成された共用ギヤを有し、各列の内歯に外歯ギヤが噛み合わされて列毎に伝達機構が構成された歯車伝達装置において、
前記共用ギヤには、該共用ギヤを前記内歯の列間の内周面から外周面まで貫くオイル逃がし孔が設けられていることを特徴とする歯車伝達装置。
【請求項6】
前記共用ギヤの使用頻度が高い回転方向を正転方向としたときに、前記オイル逃がし孔は、前記内周側の端部が前記外周側の端部よりも前記正転方向に偏るように、前記共用ギヤの半径方向に対して傾けられていることを特徴とする請求項5に記載の歯車伝達装置。
【請求項7】
前記共用ギヤの外周にさらに外歯が形成され、前記オイル逃がし孔は前記外歯上にて開口していることを特徴とする請求項6に記載の歯車伝達装置。
【請求項8】
前記共用ギヤの歯底、及び前記伝達機構の前記外歯ギヤの歯底の少なくともいずれか一方には、歯幅方向全長に亘って延びるオイル排出溝が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の歯車伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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