説明

残光発生具

【課題】 夜間に発生した地震、もしくは、電気の遮断により、突然照明が無くなった際の避難誘導等のための「明かり」を容易に確保できるようにする。
【解決手段】 透光性で、かつ、蓄光材料3が含有されるゴム材よりなり、照明具Aに被覆装着されて用いられる残光発生具を提供する。通常時は照明光により残光発生具内の蓄光材料の励起が行われ、照明が消えた際には、励起された蓄光材料が残光を一定期間発し、避難誘導表示に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は地震等の災害時における避難誘導表示等のために機能する残光発生具に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間等に地震が発生して停電、もしくは、電気の遮断により突然照明が消えた際には、パニック状態となって被害が飛躍的に増大する。したがって、例えば、一般家庭においては電池や発電により点灯可能な非常用のランプを常備することが行なわれている。しかしながら、地震が発生し照明が突然消えた場合にはそのランプを探すことそのものが難しいのが実情である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は上記の事情に鑑みて行なったもので、災害時等に突然照明が無くなった際の避難誘導等のための「明かり」を容易に確保できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、この発明では、透光性で、かつ、蓄光材料が含有されるゴム材よりなり、照明具に被覆装着されて用いられることを特徴とする残光発生具を提供する。
【0005】
上記構成の残光発生具が被覆装着された照明具が点灯された際には、一方では残光発生具が透光性であるのでその残光発生具を通しての照明が行なわれ、他方では照明光により残光発生具内の蓄光材料の励起が行なわれる。照明が消えた際には、励起された蓄光材料が残光を一定時間発し、この残光が、例えば災害発生等の停電や電力供給停止時に消灯した際の避難誘導表示に用いられる。
【0006】
残光輝度を高くするには蓄光材料の含有率を高めたり残光発生具を厚く構成すればよいが(残光発生具は蓄光材料の含有により若干黄白濁色、緑白濁色となる)、そうすることにより残光発生具の透光性が低下して照明具による照明性能が損なわれる。したがって、蓄光材料の含有率や残光発生具の厚さは求められる性能に対応して適宜設計されもので、通常蓄光材料の含有率はゴム材料に対して3〜35重量%の範囲で、残光発生具の厚さは1〜3mmの範囲で適宜選択される。
【0007】
ゴム材としては適宜のものが選択使用されるが、照明光を通過させるための透光性能、照明時の発熱に対応する熱劣化性能の両性能に優れるものが好ましく、例えば、シリコンゴムが好適に用いられる。
【0008】
この発明の残光発生具は、家庭や会社内においてすべての照明具に用いてもよいが、残光発生具は蓄光材料が照明により励起されることで残光を発するので、夜間継続点灯される案内照明具、また、人が集まりやすい場所の点灯頻度の高い照明具に装着使用することで避難誘導表示用として効率良く使用される。
【0009】
また、この発明の残光発生具は、道に沿って配置される街灯や、地下街の壁面に沿って配置される照明灯に装着して用いることで、災害発生時に照明が消えた際に発する残光が避難誘導表示にきわめて有効に役立つ。
【0010】
また、高齢者においては、部屋の中央にある照明具を消して部屋を出る場合、暗くなり足元が分からなくなってつまづき転倒するような事故が発生しているが、この発明の残光発生具を使用することで照明具を消した後も残光により部屋が真っ暗になることがなく、これによりつまづき転倒等が回避される。このように、この発明の残光発生具は避難誘導表示用のみならず広い範囲で有効に用いることができる。
【0011】
また、残光発生具に種々の着色剤を付加することで、照明具の発光色を所望の色とすることができ、このように用いることで照明具の意匠機能を向上できる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、残光発生具の発する残光により災害時等に照明具が突然に消えた際の避難誘導表示等が可能となって、安全性が確保される。とくに、この発明の残光発生具は、既存の照明具に装着使用するだけで何ら設備投資を行なうことなく一般家庭等において容易、安価、かつ、確実に避難誘導表示等が可能となる点において、きわめて有用なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1はこの発明の残光発生具の第1の実施形態である電球用のゴムキャップを電球に取り付けた際の断面構成図である。電球用のゴムキャップ1は薄いゴムシート2よりなる袋体で、照明具である電球Aのほぼ全体を被覆するように弾力的に装着されて用いられる。上記ゴムキャップ1を構成するゴムシート2は2mm厚さで、蓄光材料としての粒状の蓄光顔料3が含有されるシリコンゴムよりなり透光性を有する。蓄光顔料3はゴム材料に対して10重量%含有されている。
【0014】
上記ゴムキヤップを60Wの電球Aに被覆装着使用した際の実験結果を次に説明する。
a 電球A点灯時の照度
ゴムキャップ1非装着時に比して10%程度照度が低下したが、照明性能はあまり損なわれなかった。これは、ゴムシート2が透光性で2mmと薄く形成され、かつ、蓄光顔料3の含有量があまり多くないことに起因すると考えられる。
b 電球A点灯時の温度上昇によるゴムキャップ1の劣化
電球Aを100時間連続点灯使用してもゴムキャップ1に殆ど劣化は見られなかった。これは、点灯時に電球A表面温度が60〜70℃程度に上昇するのに対し、シリコンゴムの耐熱温度が200℃以上であることに起因すると考えられる。
c 電球A消灯後のゴムキャップ1の残光輝度
消灯後1時間以上25mcd/m以上の残光輝度(JIS基準値24mcd/m)が得られ、十分に目視できて避難誘導等の目安とできた。
【0015】
図2から図4はゴムキャップ1の変形例を示す。図2で示すものは電球Aの下部に相対する部分が除かれた形状とされており、このものは、図1に示すものに比して、電球Aの点灯時の照明性能が優れる構成とされている。図3に示すものでは下部側を1mm程度に薄く形成しており、このものでも、図1に示すものに比して、電球Aの点灯時の照明性能が優れる構成とされている。図4に示すものでは下部側を3mm程度に厚く形成しており、このものでは、図1に示すものに比して、電球Aの消灯時の残光輝度がより高くなる構成とされている。
【0016】
図5はこの発明の残光発生具の第2の実施形態である蛍光灯用のゴムチューブを蛍光灯に取り付けた際の断面構成図である。ゴムチューブ10は上記ゴムキャップ1を形成する蓄光顔料30を含有するゴムシート2と同様のゴムシート20よりなり、照明具である蛍光灯Bの中央部分を被覆するように弾力的に装着されて用いられる。
【0017】
上記ゴムチューブ10を30Wの蛍光灯Bに装着使用した場合においても、上記ゴムキャップ1の場合と同様に、蛍光灯Bの点灯使用による照明が支障なく行なえるとともに、ゴムチューブ10の劣化の問題もなく、また、避難誘導表示等に十分な残光輝度が得られることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の残光発生具の第1の実施形態であるゴムキャップの断面構成図
【図2】 この発明の残光発生具の第1の実施形態であるゴムキャップの変形例の断面構成図
【図3】 この発明の残光発生具の第1の実施形態であるゴムキャップの変形例の断面構成図
【図4】 この発明の残光発生具の第1の実施形態であるゴムキャップの変形例の断面構成図
【図5】 この発明の残光発生具の第2の実施形態であるゴムチューブの断面構成図
【符号の説明】
1 ゴムキャップ(残光発生具)
3 蓄光顔料(蓄光材料)
A 電球(照明具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性で、かつ、蓄光材料が含有されるゴム材料よりなり、照明具に被覆装着されて用いられることを特徴とする残光発生具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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