説明

残存量低減機構を備えた塗布具付容器

【課題】 高粘度で流動性の少ない液体を内容物とする塗布具付容器において、ボトル容器にキャップを挿着し、内部を気密した状態で、キャップをボトル容器に対し揺動させることで、キャップに嵌着された塗布具をボトル容器内で可動させ、ボトル容器内壁面に残存する内容物を塗布具に付着させて、残留内容物を減少させるようにする塗布具付容器を提供せんとするものである。
【解決手段】 口部及び胴壁部を備えた有底筒状のボトル容器と、該ボトル容器の口部から、ボトル容器内に延出している塗布軸を備えたキャップとを具備する塗布具付容器において、ボトル容器の口部外周面に球状膨出部を形成し、該球状膨出部にキャップの内壁をボールジョイント状に連結させ、キャップを挿着したまま、ボトル容器に対してキャップを揺動可能としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、塗布具付容器、特に高粘度で流動性の少ない液体を内容物とする塗布具付容器において、キャップを閉めた状態で、キャップをボトル容器に対し揺動させることで、ボトル容器内の残存内容物を塗布具に付着させることで、残存量を減少させるようにした塗布具付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マスカラやグロスといった高粘度で流動性の少ない化粧料等の液体を充填する容器には、高粘度の内容物を取り出してそのまま所望箇所に塗布することが出来るように、キャップに棒状の塗布具を備えた、いわゆる塗布具付容器が用いられている。該塗布具付容器は、使用するにしたがって内容物が減り、液面が低下しても、高粘度の液体は流動性が少ないために、容器内壁面に付着したままとなり、前記棒状の塗布具に付着させることが出来ず、多くの内容物を残存させたまま廃棄しなければならないという欠点があった。
【0003】
そこで、残存する内容物を減少させるようにするために、例えば特開2001−327327号公報(特許文献1)には、口部及び胴壁部を備えた有底筒状の容器本体と、容器本体内に延び出している塗布具を備えたキャップとを具備した塗布具付容器において、ボトル容器の少なくとも一部を弾性変形可能に形成し、容器本体を弾性変形させることで、容器本体内で塗布具の可動領域を設け、残存内容物を塗布具に付着させる構造が開示されている。かかる構造にあっては、残存内容物を減少させることは可能であるが、ボトル容器に弾性変形部を形成するため、美麗な外観を呈することが出来ないと共に、該弾性変形部の疲労によっては該変形部が破損し内容物が漏出してしまうという問題を存している。
【0004】
又、特開平4−22302号公報(特許文献2)には、ボトル容器に差し込むブラシをボトルの中心より偏心させることで、ブラシをボトル容器に対し回転させた時、ボトル容器の周壁に付着する残存内容物をブラシに付着させることが出来る構造が開示されている。しかしながら、この構造にあっては、ボトル容器の内壁面にそってブラシを移動させることが出来るようにするために、キャップの取り付け構造が複雑になると共に部品点数が多くなるという欠点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2001−327327号公報
【特許文献2】特開平04−022302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、高粘度で流動性の少ない液体を内容物とする塗布具付容器において、ボトル容器にキャップを挿着し、内部を気密にした状態で、キャップをボトル容器に対し揺動させることで、キャップに嵌着された塗布具をボトル容器内で可動させ、ボトル容器内壁に残存する内容物を塗布具に付着させて、残存内容物を減少させるようにする塗布具付容器を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するためにこの発明が採った手段は、口部及び胴壁部を備えた有底筒状のボトル容器と、該ボトル容器の口部から、ボトル容器内に延出している塗布軸を備えたキャップとを具備する塗布具付容器において、ボトル容器の口部外周面に球状膨出部を形成し、該球状膨出部にキャップの内壁をボールジョイント状に連結させ、キャップを挿着したまま、ボトル容器に対してキャップを揺動可能としたことを特徴とする。
【0008】
又、ボトル容器の球状膨出部が、天面が凸円弧面となったパッキンからなり、キャップの内部に前記パッキンの凸円弧面と同一の表面曲率からなる凹円弧面を形成し、前記パッキンの凸円弧面とキャップの凹円弧面を密着させることで、キャップの揺動とボトル容器内の気密性保持とを同時に達成するようにしたことを特徴とする。
【0009】
更に、キャップ開口端近傍の内壁面に内方に向って突出するリブを形成し、ボトル容器にキャップを挿着した際に、該リブが球状膨出部を抱え込むように係合することによって、前記キャップ内部に形成した凹円弧面が、しごき部材の凸円弧面に強く密着することで、ボトル容器内部を気密するようにしたことを特徴とする。
【0010】
更に、キャップの外周に、キャップに対しスライド自在な筒状のスライドキャップを挿着し、キャップをボトル容器に挿着した後、該スライドキャップをボトル容器側へスライドさせボトル容器の肩部に当接させることで、キャップの揺動を抑止するようにしたことを特徴とする。
【0011】
キャップの開口端からキャップ内方へ向って複数のスリット溝を形成すると共に、開口端近傍の外壁面に外方へ向って突出する外側係合リブを形成し、前記スライドキャップをボトル容器側にスライドさせた際に、該スライドキャップの内壁面で該外側係合リブを球状膨出部側へ押圧することで、リブによる球状膨出部を抱え込む力を増強させ、キャップ内部に形成した凹円弧面が、しごき部材の凸円弧面により強く密着させることで、ボトル容器内部の気密を高めるようにしたことを特徴とする。
【0012】
更に、ボトル容器の口部開口端に凸円弧面を設け、キャップの内部に前記ボトル容器の口部の円弧面と同一の表面曲率からなる凹円弧面を有するパッキンを挿着し、ボトル容器の口部とパッキンとの密着により、キャップの揺動に関わらずボトル容器内を気密に保持するようにしたことを特徴とする。
【0013】
更に、キャップ開口端近傍の内壁面に、内方に向って突出する2つのリブを間隔を存して配置し、該2つのリブ間に前記球状膨出部を係合させて、キャップをボトル容器に対して揺動可能としたことを特徴とする。
【0014】
更に、キャップ内壁面又は外壁面に形成されたリブの少なくとも1つが、キャップ内壁面を周囲する1本の環状の突条からなる、若しくは、リブの少なくとも1つが、複数の突条からなることを特徴とする。
【0015】
更に、凹円弧面、凸円弧面及び球状膨出部の表面が、同一の球面状に位置するように、表面曲率を同一にし、キャップの揺動をスムーズにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、口部及び胴壁部を備えた有底筒状のボトル容器と、該ボトル容器内に延び出した塗布具を嵌着したキャップとを具備した塗布具付容器において、ボトル容器とキャップとの挿着部を、ボールジョイント形状とすることで、キャップを挿着し内部を密封した状態で、ボトル容器に対しキャップを揺動させることが出来、これによりボトル容器内底部において、塗布具の可動領域が広範囲となり、ボトル容器内壁面に付着した高粘度で流動性の少ない内容物を、効率よく塗布具に付着させることが出来、残存する内容物を減少させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明の好ましい実施の形態を以下に詳細に説明する。この発明は、口部及び胴壁部を備えた有底筒状のボトル容器と、該ボトル容器の口部から、ボトル容器内に延出している塗布軸を備えたキャップとを具備する塗布具付容器において、ボトル容器の口部外周面に球状膨出部を形成し、該球状膨出部にキャップの内壁をボールジョイント状に連結させ、キャップを挿着したまま、ボトル容器に対してキャップを揺動可能とすることで、キャップを挿着したまま、ボトル容器に対して塗布具の可動領域を大きくし、ボトル容器の内底部に塗布具が当接出来るようにしたことを特徴とする。
【0018】
ボトル容器とキャップとの連結を構成するボールジョイント構造については、キャップ開口端近傍の内壁面に、内方に向って突出する2つのリブを間隔を存して配置し、該2つのリブ間に前記球状膨出部を係合させるようにする。該2つのリブは、少なくとも一方のリブは、キャップ内壁面を周囲する1本の環状の突条からなり、他方のリブは、複数の突条からなるように形成されているが、特にこれに限定されず、2つのリブが共にキャップ内壁面を周囲する環状のリブであってもよく、又、2つのリブが共に複数の突条からなるようになっていてもよい。更に、ボトル容器の口部開口端に円弧面を設け、キャップの内部に前記ボトル容器の口部の円弧面に倣って密着する円弧状で且環状のパッキンを挿着し、ボトル容器の口部とパッキンとの密着により、キャップの揺動に関わらずボトル容器内を気密に保持するのが好ましい。
【0019】
又、ボトル容器とキャップとの連結を構成するボールジョイント構造については、キャップ開口端近傍の内壁面に、内方に向って突出するリブを形成して前記球状膨出部の下面側に係合させるようにする。又、ボトル容器の口部開口端に装着するしごき部材の上面に円弧面を設けると共に、キャップに備えた塗布具の根元に、前記しごき部材の円弧面に倣って密着する凹円弧面を形成することで、リブと球状膨出部及び凹円弧面、並びに凸円弧面とからなるボールジョイント状態として連結することで、キャップの揺動に関わらずボトル容器内を気密に保持するようにしてもよい。更に、キャップ開口端近傍の外面にもリブを形成すると共に、キャップの外周にスライドキャップを挿着し、該スライドキャップのスライド状態に応じて、キャップ外面に形成したリブを押さえ込むようにし、よりキャップがボトル容器に密着するようにしてもよい。
【実施例1】
【0020】
図1を参照して、(1)は塗布具付容器であり、口部にしごき部材(5)を挿着したボトル容器(2)と、塗布軸(4)を連結したキャップ(3)とからなる。ボトル容器(2)の口部近傍には、球状膨出部(2a)が形成されており、又、この口部に挿着されたしごき部材(5)の上端は円弧面(5a)に形成されている。キャップ(3)は一端が開放した円筒形状であり、内部には、先端に塗布具(4a)を備えた塗布軸(4)が嵌着されている。該塗布軸(4)の根元には、断面が円弧状を呈し、且、環状のパッキン(6)が挿着されている。キャップ開口端近傍の内壁には、円周状の下リブ(3a)がキャップ内方に向って突出するように形成されており、該下リブ(3a)よりキャップ上方に間隔を存した位置には、キャップ内方に向って突出する上リブ(3b)が複数形成されている(図2参照)。尚、該上リブ(3b)はキャップ内周面に3乃至5個程度形成するのが好ましいが、特にこれに限定されるものではなく、又、下リブ(3a)同様に環状のリブであっても構わない。勿論、下リブ(3a)が複数の突出するリブとして形成してもよい。
【0021】
ボトル容器(2)とキャップ(3)との連結は、キャップ(3)をボトル容器(2)に挿着した際に、ボトル容器(2)の口部近傍に形成された環状膨出部(2a)を、キャップ(3)の内壁に形成された下リブ(3a)と上リブ(3b)で狭持することでおこなわれる。すなわち、ボトル容器(2)の口部側からキャップ(3)を挿着すると、キャップ(3)内壁に形成された下リブ(3a)が球状膨出部(2a)を乗り越え球状膨出部(2a)の下側球面部に達する。これと同時に、上リブ(3b)は球状膨出部(2a)の上側球面部に当接し、結果、下リブ(3a)と上リブ(3b)間に球状膨出部(2a)が位置した状態となり、球状膨出部(2a)の動きが上下リブ(3a)(3b)間で抑止され、上下リブ(3a)(3b)と球状膨出部(2a)とからなるボールジョイント状態として連結する。
【0022】
塗布軸(4)の根元に挿着されたパッキン(6)は前述の通りその断面が円弧状を呈している。この円弧面の曲率はしごき部材(5)の上端に形成された円弧面(5a)の曲率と同一であり、且、パッキン(6)の円弧面の幅は、しごき部材(5)の円弧面(5a)の幅よりも長く設定されている。これにより後述の揺動動作によりパッキン(6)が円弧面(5a)上をスライドしても、常に円弧面(5a)にパッキン(6)が面接触するため、ボトル容器(2)にキャップ(3)を挿着している限り如何なる揺動動作をおこなっても、ボトル容器(2)内部を気密にすることが出来るようになっている。
【0023】
次にボトル容器(2)に挿着した状態での、ボトル容器(2)に対しキャップ(3)を揺動(図示の例にあっては一方に傾動)させる動作について説明する。図3は、矢印方向にキャップ(3)を押し、ボトル容器(2)に対して傾動させた状態を示すものである。キャップ(3)を所望の方向に押すことによって、前述の下リブ(3a)及び上リブ(3b)が、球状膨出部(2a)の表面を当接しつつスライドすることにより、当該部位のボールジョイント構造を支点として、ボトル容器(2)に対してキャップ(3)を傾動させることが出来る。この時、キャップ(3)に嵌着されている塗布軸(4)は、ボトル容器(2)内でキャップの傾動方向とは逆向きに傾動し、キャップ(3)を挿着した状態のまま、塗布具(4a)をボトル容器(2)内壁面に到達させることが出来る。これにより、ボトル容器(2)内壁面に付着している内容物を塗布具(4a)に付着することが出来る。尚、この傾動状態にあっても、前述の通り、しごき部材(5)の円弧面(5a)とパッキン(6)は常に面接触をし続けているため、ボトル容器(2)内の気密は保たれている。
【0024】
前述のように、ボトル容器(2)とキャップ(3)はボールジョイント状に連結されているため、キャップ(3)の揺動方向には制限がない。すなわち、ボトル容器(2)内壁面に塗布具が接触する角度まで傾斜すると共に、水平方向には360度回転することが可能である。これにより、塗布軸(4)はボトル容器(2)内で揺動及び回転することが可能となり、塗布具(4a)はボトル容器(2)下方の内壁面を全周にわたり払拭することが出来る。したがって、高粘度で流動性の少ない内容物を、効率よく塗布具(4a)に付着させることが出来、残存する内容物を減少させることが可能となる。
【実施例2】
【0025】
図4を参照して、(10)は他の実施形態の塗布具付容器であり、口部にしごき部材(14)を挿着したボトル容器(11)と、塗布軸(13)を連結したキャップ(12)とからなる。ボトル容器(11)の口部近傍には、球状膨出部(11a)が形成されており、又、この口部に挿着されたしごき部材(14)の上端は凸円弧面(14a)に形成されている。キャップ(12)は一端が開放した円筒形状であり、内部には、先端に塗布具(13a)を備えた塗布軸(13)が嵌着されている。該塗布軸(13)の根元は、断面が円弧状を呈する円弧面(13b)が形成されている。キャップ開口端近傍の内壁には、円周状のリブ(12a)がキャップ内方に向って突出するように形成されている。尚、該リブ(12a)は実施例1と同様に、環状に形成したり、内周面に3乃至5個程度形成するなど、特に限定されるものではない。
【0026】
ボトル容器(11)とキャップ(12)との連結は、キャップ(12)をボトル容器(11)に挿着した際に、ボトル容器(11)の口部近傍に形成された球状膨出部(11a)の下方周面を、キャップ(12)の内壁に形成したリブ(12a)で囲繞することでおこなわれる。すなわち、ボトル容器(11)の口部側からキャップ(12)を挿着すると、キャップ(12)内壁に形成されたリブ(12a)が球状膨出部(11a)を乗り越え球状膨出部(11a)の下側球面部に達し、リブで球状膨出部を抱え込むような状態となる。これと同時に、凹円弧面(13b)が凸円弧面(14a)に引き寄せら、凸円弧面を押圧するように面接触し、リブ(12a)と球状膨出部(11a)及び凹円弧面(13b)、凸円弧面(14a)とからなるボールジョイント状態として連結する。
【0027】
前記凹円弧面(13b)と、凸円弧面(14a)、並びに球状膨出部(11a)の表面は、同一円周上に位置するように、その曲率が揃えられている。これにより揺動動作により凹円弧面(13b)が凸円弧面(14a)上をスライドしても、キャップ(12)のリブ(12a)が球状膨出部(11)の下面側に常に当接すると共に、凸円弧面(14a)に凹円弧面(13b)が面接触し続けるため、ボトル容器(11)にキャップ(12)を挿着している限り如何なる揺動動作をおこなっても、ボトル内部(11)を気密に保つ出来るようになっている。尚、揺動動作によるボトル(11)と塗布具(13)の位置関係について前述の実施例1と基本的に同じ動作となるため詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0028】
図5〜8は、塗布具付容器の他の実施例を示すものである。図5は、ボトルとキャップを連結固定した状態、図6はキャップ開口端の概念図、図7はスライドキャップを解放した状態、図8はボトル容器に対しキャップを揺動させた状態を示すものである。図5を参照して、(20)は他の実施例に基づく塗布具付容器であり、口部にしごき部材(25)を挿着したボトル容器(21)と、塗布軸(24)を連結したキャップ(22)とからなる。(23)はキャップ(22)の外周に、スライド自在に挿着された筒状のスライドキャップである。該スライドキャップ(23)は、ボトル(21)とキャップ(22)を連結した状態でボトル(21)側へスライドさせた時、後述のボトル肩部(21b)に当接し、キャップ(22)がボトル(21)に対し揺動するのを抑止するものである。
【0029】
前記実施例2と同様に、ボトル容器(21)の口部近傍には、球状膨出部(21a)が形成されると共に、上端が凸円弧面(25a)に形成されたしごき部材(25)が挿着されている。キャップ(22)は一端が開放した円筒形状であり、内部には、先端に塗布具(24a)を備えた塗布軸(24)が嵌着されている。該塗布軸(24)の根元は、断面が円弧状を呈し、且、しごき部材(25)の表面曲率と同一の曲率からなる凹円弧面(24b)が形成されている。キャップ(22)開口端近傍の内側面には、内側係合リブ(22a)が形成されており、又、該内側係合リブ(22a)より開口端近傍の外面には、外側係合リブ(22b)が形成されている。尚、該キャップ(22)の開口端付近の構造は、図7に示すような複数のスリットを施した形状とするのが好ましいが、特にこれ限定されるものではない。球状膨出部(21a)の表面曲率、凹円弧面(24b)及び凸円弧面(25a)の曲率は同一であり、キャップ(22)とボトル(21)を連結した時、ボトル(21)に対しキャップ(22)がスムーズに揺動するようになっている。
【0030】
ボトル容器(21)とキャップ(12)との連結は、キャップ(22)をボトル容器(21)に挿着した際に、ボトル容器(21)の口部近傍に形成された球状膨出部(21a)を、キャップ(22)開口端近傍に形成した内側係合リブ(22a)で狭持することでおこなわれる。すなわち、ボトル容器(21)の口部側からキャップ(22)を挿着すると、内側係合リブ(22a)が球状膨出部(21a)を乗り越え球状膨出部(21a)の下側球面部に達し、ボトル(21)とキャップ(22)が連結状態となり、内側係合リブ(22a)と球状膨出部(21a)及び凹円弧面(24b)、凸円弧面(25a)とからなるボールジョイント状態として連結する。
【0031】
キャップ(22)の外周に挿着されたスライドキャップ(23)は、ボトル容器(21)とキャップ(22)の揺動動作を抑止するためのものであり、スライドキャップ(23)をボトル容器(21)に挿着した後、ボトル容器(21)側へスライドさせて使用する。スライドによりスライドキャップ(23)がキャップ(22)開口端を囲繞しつつ、内周面に形成した段部(23a)が外側係合リブ(22b)を球状膨出部(21a)側へと押圧する。これに伴い、内側係合リブ(22a)が球状膨出部(21a)の下方へと回り込むように当接が強められ、結果、凹円弧面(24b)が、凸円弧面(25a)へと引き寄せられつつより強固な面接触となり、ボトル容器(21)の気密が更に高められる。又、スライドキャップ(23)の下端部が、ボトル容器(21)の肩部(21b)へ当接することで、キャップ(22)の揺動動作が抑止される。
【0032】
前記凹円弧面(24b)と凸円弧面(25a)、並びに球状膨出部(21a)の表面は、同一円周上に位置するように、その曲率が揃えられている。これにより、キャップの揺動動作により凹円弧面(24b)が凸円弧面(25a)上をスライドしても、キャップ(22)の内側係合リブ(22a)が球状膨出部(21a)の下面側に常に当接すると共に、凸円弧面(25a)に凹円弧面(24b)が面接触し続けるため、ボトル容器(21)にキャップ(22)を挿着している限り如何なる揺動動作をおこなっても、ボトル容器(21)内を気密に保つことが出来るようになっている。
【0033】
キャップ(22)をボトル容器(21)に挿着した状態での揺動動作については、基本的に実施例1,2と同様であるが、本実施例については前述の通りスライドキャップ(23)が存在するため、揺動時には開放させる必要がある。スライドキャップ(23)をキャップ(22)側へスライドさせると、キャップ(22)の開口端は球状膨出部(21a)側への押圧から開放される。これによりボトル容器(21)とキャップ(22)は、緩く連結された状態となり、揺動動作が可能となる。以後の揺動操作については実施例1、2と同様にキャップ(22)を所望の方向に押すことによって、内側係合リブ(22a)と球状膨出部(21a)及び凹円弧面(24b)、凸円弧面(25a)とからなるボールジョイント構造を支点として、ボトル容器(21)に対してキャップ(22)を傾動させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ボトル容器とキャップを連結した状態を示す図
【図2】キャップ内面に形成されたリブの形状を示す図
【図3】ボトル容器に対しキャップを揺動させた状態を示す図
【図4】他の実施例に基づく、ボトルとキャップを連結固定した状態を示す図
【図5】更に他の実施例に基づく、ボトルとキャップを連結固定した状態を示す図
【図6】キャップ開口端の概念図
【図7】スライドキャップを解放した状態を示す図
【図8】ボトル容器に対しキャップを揺動させた状態を示す図
【符号の説明】
【0035】
1 塗布具付容器
2 ボトル容器
2a 球状膨出部
3 キャップ
3a 下リブ
3b 上リブ
4 塗布軸
4a 塗布具
5 しごき部材
5a 円弧面
6 パッキン
10 塗布具付容器の一変形例
11 ボトル容器
11a 球状膨出部
12 キャップ
12a リブ
13 塗布軸
13a 塗布具
13b 凹円弧面
14 しごき部材
14a 凸円弧面
20 塗布具付容器の更に他の変形例
21 ボトル容器
21a 球状膨出部
21b 肩部
22 キャップ
22a 内側係合リブ
22b 外側係合リブ
23 スライドキャップ
24 塗布軸
24a 塗布具
24b 凹円弧面
25 しごき部材
25a 凸円弧面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部及び胴壁部を備えた有底筒状のボトル容器と、該ボトル容器の口部から、ボトル容器内に延出している塗布軸を備えたキャップとを具備する塗布具付容器において、ボトル容器の口部外周面に球状膨出部を形成し、該球状膨出部にキャップの内壁をボールジョイント状に連結させ、キャップを挿着したまま、ボトル容器に対してキャップを揺動可能としたことを特徴とする塗布具付容器。
【請求項2】
ボトル容器の球状膨出部が、天面が凸円弧面となったパッキンからなり、キャップの内部に前記パッキンの凸円弧面と同一の表面曲率からなる凹円弧面を形成し、前記パッキンの凸円弧面とキャップの凹円弧面を密着させることで、キャップの揺動とボトル容器内の気密性保持とを同時に達成するようにしたことを特徴とする請求項1記載の塗布具付容器。
【請求項3】
キャップ開口端近傍の内壁面に内方に向って突出するリブを形成し、ボトル容器にキャップを挿着した際に、該リブが球状膨出部を抱え込むように係合することによって、前記キャップ内部に形成した凹円弧面が、しごき部材の凸円弧面に強く密着することで、ボトル容器内部を気密するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の塗布具付容器。
【請求項4】
キャップの外周に、キャップに対しスライド自在な筒状のスライドキャップを挿着し、キャップをボトル容器に挿着した後、該スライドキャップをボトル容器側へスライドさせボトル容器の肩部に当接させることで、キャップの揺動を抑止するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗布具付容器。
【請求項5】
キャップの開口端からキャップ内方へ向って複数のスリット溝を形成すると共に、開口端近傍の外壁面に外方へ向って突出する外側係合リブを形成し、前記スライドキャップをボトル容器側にスライドさせた際に、該スライドキャップの内壁面で該外側係合リブを球状膨出部側へ押圧することで、リブによる球状膨出部を抱え込む力を増強させ、キャップ内部に形成した凹円弧面が、しごき部材の凸円弧面により強く密着させることで、ボトル容器内部の気密を高めるようにしたことを特徴とする請求項4記載の塗布具付容器。
【請求項6】
ボトル容器の口部開口端に凸円弧面を設け、キャップの内部に前記ボトル容器の口部の円弧面と同一の表面曲率からなる凹円弧面を有するパッキンを挿着し、ボトル容器の口部とパッキンとの密着により、キャップの揺動に関わらずボトル容器内を気密に保持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の塗布具付容器。
【請求項7】
キャップ開口端近傍の内壁面に、内方に向って突出する2つのリブを間隔を存して配置し、該2つのリブ間に前記球状膨出部を係合させて、キャップをボトル容器に対して揺動可能としたことを特徴とする請求項6記載の塗布具付容器。
【請求項8】
キャップ内壁面又は外壁面に形成されたリブの少なくとも1つが、キャップ内壁面を周囲する1本の環状の突条からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の塗布具付容器。
【請求項9】
キャップ内壁面又は外壁面に形成されたリブの少なくとも1つが、複数の突条からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の塗布具付容器。
【請求項10】
凹円弧面、凸円弧面及び球状膨出部の表面が、同一の球面状に位置するように、表面曲率を同一にし、キャップの揺動をスムーズにしたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の塗布具付容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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