説明

残滓分離方法及びその装置

【課題】残滓を除去する時間、工程、労力、コストが少なく、除去する過程でガスが発生したりせず、スラッジ及び廃液が生じないため環境に優しく、残滓のアルミニウム又はアルミニウム合金を回収して再利用することができ、しかも、ダイスが鈍ることを防止できて、使用するダイスの選択の幅が広がり、且つ、ダイス加熱時の熱量を低減できてコストを削減できる残滓分離方法及びその装置を提供する。
【解決手段】アルミニウム又はアルミニウム合金の残滓が付着した押出加工用のダイスを200〜550℃の温度域まで加熱して残滓を軟化させる。この後、軟化した残滓をダイスから分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金の残滓が付着した押出加工用のダイスから残滓を分離する残滓分離方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム又はアルミニウム合金からなるビレットを押出加工すると、押出加工に用いたダイスには前記アルミニウム又はアルミニウム合金からなる残滓が付着する。このダイスを再利用する場合、ダイスに付着した残滓をダイスから取り除く必要がある。
【0003】
上記残滓をダイスから分離する方法としては、例えば特許文献1に示すように、残滓が付着したダイスをアルミニウム溶解液に浸漬して残滓を溶解させるものがある。
【0004】
上記アルミニウム溶解液としては例えば苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)溶液が用いられ、この場合、30〜40重量%の苛性ソーダ水溶液を電気炉のような加熱手段にて100℃程度に加熱して、この苛性ソーダ溶液中に残滓が付着したダイスを長時間(例えば5時間〜8時間)浸漬し、残滓がほぼ溶液中に溶解してからダイスを取り出して水洗し、その後ショットブラストによる研磨を行い、更にその後手作業によって最終清浄を行う。
【0005】
また、廃液、すなわちアルミニウムの残滓が溶解した苛性ソーダ溶液は、産業廃棄物として処理するか、又は、硫酸により中和処理を行って中和液(PHは7〜8程度)とした後、フィルタープレスにて固形分を搾り取ってスラッジとして除去し、スラッジ除去後の廃液を専門業者に委ねて処理すると共にスラッジを産業廃棄物として処理する。
【0006】
上記従来の方法にあっては、ダイスの残滓を除去するのに多大な時間、工程、労力、コストを要する、苛性ソーダ溶液を加熱するためガスが発生する、スラッジ及び廃液が生じるため処理コストが発生すると共に環境に悪影響を及ぼす、残滓のアルミニウムはスラッジとして廃棄されるため回収して再利用することができない、といった問題がある。
【0007】
また、上記問題を解消する残滓分離方法として例えば特許文献2に示すものがある。この残滓分離方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金の残滓が付着したダイスを残滓の融点(660℃)又は融点に近い温度である600〜800℃の温度域まで加熱し、これにより残滓を溶融状態又は半溶融状態として残滓を除去するものである。
【0008】
ところで、この特許文献2に示す従来の残滓分離方法は、ダイスを繰り返し利用する場合に600〜800℃まで繰り返し加熱する必要があり、このように600℃を超える高い温度で繰り返しダイスを加熱した場合、ダイスが鈍ることがあった。また、これにより押出加工に利用するダイスが制限されるという問題もある。さらに、600〜800℃の高温にダイスを加熱するには大きな熱量が必要であるため、コストもかかる。
【特許文献1】特開平9−87863号公報
【特許文献2】特開2007−196272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、残滓を除去する時間、工程、労力、コストが少なく、除去する過程でガスが発生したりせず、スラッジ及び廃液が生じないため環境に優しく、残滓のアルミニウム又はアルミニウム合金を回収して再利用することができ、しかも、ダイスが鈍ることを防止できて、使用するダイスの選択の幅が広がり、且つ、ダイス加熱時の熱量を低減できてコストを削減できる残滓分離方法及びその装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に係る残滓分離方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金の残滓が付着した押出加工用のダイスを200〜550℃の温度域まで加熱して残滓を軟化させ、この軟化した残滓をダイスから分離することを特徴とするものである。
【0011】
このようにダイスを200〜550℃の温度域まで加熱して残滓を軟化させることにより、軟化した残滓をダイスから容易に分離することができる。
【0012】
また、請求項2に係る残滓分離装置は、アルミニウム又はアルミニウム合金の残滓が付着した押出加工用のダイスを前記残滓が軟化する200〜550℃の温度域まで加熱する加熱手段と、ダイスから前記加熱手段により加熱されて軟化した残滓を分離する分離手段を備えて成ることを特徴とするものである。
【0013】
上記加熱手段によりダイスを200〜550℃の温度域まで加熱して残滓を軟化させ、この後、分離手段により前記軟化した残滓をダイスから容易に分離することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にあっては、ダイスを加熱して残滓を軟化させ、この軟化した残滓をダイスから容易に分離することができるので、従来の苛性ソーダ溶液等に浸漬させる方法と比較して、残滓を除去する時間、工程、労力、コストが少なく、除去する過程でガスが発生したりせず、スラッジ及び廃液が生じないため環境に優しく、残滓のアルミニウム又はアルミニウム合金を回収して再利用することができる。
【0015】
また、ダイスは200〜550℃の比較的低温の温度まで加熱すれば良いので、ダイスが鈍ることを防止でき、また、これにより、使用するダイスの選択の幅が広がり、且つ、ダイス加熱時の熱量を低減できてコストを削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の残滓分離方法について説明する。まず、対象となる押出加工用のダイス(金型)について説明する。
【0017】
図5に示すようにダイス1は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるビレットが通過するダイス孔2が中央部に形成されたものであり、ダイス孔2は成形品の断面形状をしている
また、ダイス1の形状は直径6インチ、7インチ、8インチ等のインチ規格の円盤状のものが用いられる。また、ダイス1の厚みは通常20〜100mm等である。なお、ダイス1は他の形状、寸法でもよく特に限定されるものではない。
【0018】
ダイス1の材質には、JISに定められたダイス材であるSKD61、SKD62等のダイス鋼が用いられる。なお、他のダイス材であってもよく特に限定されるものではない。但し、ダイス1が後述のダイス1の加熱温度領域200〜550℃まで加熱されても焼入れや焼鈍し等の組織変化が起こらないものであることは言うまでもない。
【0019】
上記ダイス1は、ダイス孔2にビレットを通して押出すことでカーテンレールやサッシのような長尺で一定断面のアルミニウム成形品が成形されるものである。成形品は中空、中実のいずれでもよく、従ってダイスはホローダイス、ソリッドダイス等特に限定されない。
【0020】
なお、ダイス1を用いた押出加工は、直接押出法、間接押出法、静水圧押出法等、特に限定されないが、いずれの方法も、一定量のビレットをコンテナ内に充填し、ビレット又はダイス1をステムにて押圧することで、ビレットをダイス1に対して相対的に押し付けてダイス孔2を通過させて成形するものであって、コンフォーム法のように連続押出しする方法ではない。このため、コンテナ内に充填したビレットを押出してそのロットの押出加工が終了すると、次のロットの押出加工をするにあたって、ダイス1を交換しなければならない。取り出されたダイス1にはアルミの残滓が付着している。このダイス1を再利用するため、以下に説明する本発明の残滓分離方法にて残滓をダイス1から分離するものである。なお、以下では残滓が付着した状態にあるダイス1を特に残滓付きダイス1′と記載する場合がある。
【0021】
ビレットは、単体のアルミニウム又はアルミニウム合金のいずれでもよい。通常(日本において使用されるアルミニウムのビレットの約8割)はAl−Mg−Si系押出合金であるJIS6063が使用されるが、特にこれに限定されない。なお、単体のアルミニウムの融点は660℃であり、アルミニウム主体の合金の場合には融点の上昇はあるものの800℃以下である。
【0022】
このビレットは、大部分がステムの押圧によってダイス1の表面(以下、この押出加工時においてステム側の面となるダイス1の表面をダイス表面1aという)に押し付けられてダイス孔2を通過する。従って、ダイス孔2の周囲のダイス表面1aとステム又はコンテナ底面との間に挟まって例えば図5に示すようにダイス表面1aに付着したものや、ダイス孔2内に残るものが残滓4となってしまう。
【0023】
そこで、本発明の残滓分離方法にあっては、上記残滓付きダイス1′を、ダイス1が鈍ることがなく且つ残滓4を軟化することができる200〜550℃の温度域(例えば400℃)まで加熱し、この軟化状態とした残滓4をダイス1から分離するものである。
【0024】
この残滓分離方法にあっては、背景技術の欄で示した特許文献2に示す従来の残滓分離方法と同様の効果が得られる。しかも、ダイス1を200〜550℃の温度域まで加熱して残滓4を軟化させることにより、軟化した残滓4をダイス1から容易に分離することができ、且つ、ダイス1は残滓4が軟化する200〜550℃の温度域までしか加熱されないため、ダイス1が鈍ることを防止できる。なお、上記ダイス1は300〜550℃の温度域まで加熱することが好ましい。残滓を確実に軟化して一層容易に残滓を分離することができるからである。
【0025】
また、上記残滓除去方法が有効であることは以下の実験結果からもわかる。この実験では、新品のダイス鋼からなるダイス1を1個用意し、このダイス1を、炉内温度400℃、加熱時間90分、加熱後に素手で触ることができるまで空冷、という条件で合計7回加熱・空冷処理を繰り返した。そして、新品のダイス1及び各回の加熱処理後のダイス1の夫々の表面硬さをロックウェル硬度計にて計測し、これら計測したダイス1の硬さの変化を算出して図6に示す実験結果を得た。この実験結果からダイス1の硬度に変化がないことがわかる。
【0026】
また、本発明者は上記残滓分離を行う残滓分離装置5をあわせて発明しており、以下にこの装置5の一実施形態について説明する。
【0027】
図1及び図2に示す残滓分離装置5は、残滓付きダイス1′を加熱する加熱手段を設けた加熱室6と、該加熱室6に残滓付きダイス1′を搬入すると共に加熱室6で加熱した残滓付きダイス1′を搬出する搬送手段と、加熱室6より搬出された加熱後のダイス1から軟化状態にある残滓4を分離する分離手段を備えており、以下に詳述する。
【0028】
残滓分離装置5の中央には耐火断熱レンガのような耐熱材で囲まれてなる加熱室6を設けてあり、加熱室6の前壁6a及び後壁6bには対向する搬入口7及び搬出口8を夫々形成している。加熱室6には搬入口7及び搬出口8の夫々を開閉する扉9、10を設けている。各扉9、10の上方には、ワイヤーやチェーン等で扉を吊上げる吊上げ装置11が設けてあり、この吊上げ装置11によって自動で扉9、10を開閉する扉開閉手段を構成している。
【0029】
吊上げ装置11によって各扉9、10を閉じると、搬入口7及び搬出口8は扉9、10下方の隙間12だけを開放して略全体が閉塞され、これにより加熱室6内は略密閉された空間となる。
【0030】
加熱室6の左右両側壁6c、6dには加熱手段としてのガスバーナ13、13を夫々側壁6c、6dを貫いた態様で設けてあり、これらガスバーナ13、13により加熱室6内は200〜550℃の温度域(例えば400℃)まで加熱される。
【0031】
搬送手段はコンベア装置14からなる。コンベア装置14はチェーンコンベア装置であって、加熱室6の前後にスプロケット15、16を夫々配置すると共に、前後のスプロケット15、16の回りに無端状態で接続されたチェーン17を掛け回し、且つ、このような前後のスプロケット15、16及びチェーン17の組を左右に2組並設したものである。搬送体としての両側のチェーン17、17間には搬送方向において等間隔に板状の支持部18が複数架設してある。コンベア装置14はモータ19を駆動することにより、加熱室6の後方両側のスプロケット16、16を回転し、これにより両側のチェーン17、17を回転して支持部18上に載置された残滓付きダイス1′を後方へと搬送できるようになっている。
【0032】
上記コンベア装置14の両側のチェーン17、17は加熱室6の搬入口7及び搬出口8の夫々に形成される隙間12を介して加熱室6を前後に貫通する。これにより、吊上げ装置11によって各扉9、10を吊り上げて搬入口7及び搬出口8を開き、この状態でコンベア装置14を駆動することにより、支持部18上に載置した残滓付きダイス1′を搬入口7から加熱室6に搬入したり、加熱室6から搬出口8を介して搬出できるようになっている。
【0033】
分離手段にはセット手段により加熱室6で加熱された後の残滓付きダイス1′がセットされる。セット手段は、コンベア装置14の加熱室6の後方位置に設けた駆動手段22と、該駆動手段22により左右方向に駆動する作動部材23とで構成され、該作動部材23によりコンベア装置14上の残滓付きダイス1′をこの側方に設置された分離手段に供給してセットするものである。
【0034】
つまり、既述の残滓分離装置5を用いて、残滓付きダイス1′を加熱してこれを分離手段にセットするには上記各装置を例えば以下のように制御する。
【0035】
使用後の残滓付きダイス1′が例えばロボット装置のハンド部に掴まれてコンベア装置14の支持部18上にセットなどされると、該残滓付きダイス1′はコンベア装置14により搬入口7から加熱室6内に搬入され、各扉9、10で搬入口7及び搬出口8が閉じられて略密閉状態とされた加熱室6内でガスバーナ13にて所定時間(例えば2時間)まで加熱される。これによりダイス1に付着した残滓4は軟化する。そして、この残滓付きダイス1′はコンベア装置14により搬出口8から加熱室6外に搬出され、既述のセット手段により分離手段にセットされる。
【0036】
分離手段は図3及び図4に示す引抜装置20からなる。これは、差込爪24を残滓付きダイス1′のダイス表面1aと該ダイス表面1aに付着した軟化状態にある残滓4との間に外側から差し込み、この状態からダイス1をダイス表面1aに付着した残滓4に対して離間させ、ダイス表面1aに付着した残滓4と共に該残滓4に連続したダイス孔2内の残滓4をダイス孔2から引き抜くものである。以下、引抜装置20のより具体的な構成につき説明する。
【0037】
引抜装置20には、セットテーブル25と、該セットテーブル25をばね材26を介して昇降させる空圧シリンダからなるテーブル用シリンダ装置27を設けている。セットテーブル25には図3中bに示すように上記セット手段により残滓付きダイス1′がダイス表面1aを上にした状態でセットされるものである。
【0038】
引抜装置20の上部には鋼管で周壁を構成した下方に開口するダイス配置室28を形成している。このダイス配置室28内には図3中aに示すようにテーブル用シリンダ装置27により上昇させたセットテーブル25上の残滓付きダイス1′が配置されるものである。
【0039】
ダイス配置室28の周壁の周方向の複数箇所(図示例では三箇所)には、内外に貫通する貫通孔29を形成している。ダイス配置室28の外周面における各貫通孔29に対応する箇所には差込爪24を駆動するための油圧又は空圧シリンダからなる爪用シリンダ装置30を設けている。
【0040】
各爪用シリンダ装置30に設けた差込爪24はダイス配置室28の周方向に等間隔に配置してあり、対応する貫通孔29を介してダイス配置室28内に向けて突出している。これら差込爪24は爪用シリンダ装置30の駆動によりダイス配置室28の径方向に移動するものである。また、各差込爪24の先端部はその上面が先端側に向かって下り傾斜しており、尖っている。
【0041】
ダイス配置室28の内側には鋼材からなり下方に開口する筒状の押込部材31が配置されている。押込部材31の天井部はダイス配置室28の天井部に設けた油圧シリンダからなる押込部材用シリンダ装置32に接続してあり、該押込部材用シリンダ装置32の駆動により押込部材31は昇降する。
【0042】
押込部材31の周壁における各貫通孔29に対応する箇所には内外に貫通する爪用孔33を形成している。前述の各差込爪24の先部は対応する爪用孔33を介して押込部材31内に向けて突出している。なお、各爪用孔33の上下寸法は押込部材31が昇降した際の押込部材31の上下移動を許容できる寸法としてある。
【0043】
押込部材31の周壁の周方向の複数箇所(図示例では三箇所)には内側に向けて突出する板状のストッパ部35を形成している。各ストッパ部35は押込部材31の周方向において同様に等間隔で配置した差込爪24と差込爪24の中間に位置している。
【0044】
上記引抜装置20によりセットテーブル25上にセットされたダイス1から残滓4を分離するには各装置を以下のように制御する。
【0045】
まず、押込部材用シリンダ装置32を駆動して、押込部材31を各ストッパ部35の下面が各差込爪24の下面と同レベルとなる下降位置に配置すると共に、テーブル用シリンダ装置27を駆動して、残滓付きダイス1′がセットされたセットテーブル25を、図3(a)及び図3(b)に示すようにダイス表面1aの残滓4が付着していない外周縁部が各ストッパ部35の下面を押圧する位置まで上昇させる。これにより、ダイス1の外周縁部はセットテーブル25と各ストッパ部35とで上下方向に挟持され、また、ダイス表面1aは各差込爪24の下面と同レベルに位置する。
【0046】
次に、各爪用シリンダ装置30を駆動して、各差込爪24を押込部材31内に向けて移動し、これら差込爪24を各ストッパ部35よりも押込部材31の中心側に突出させる。これにより、各差込爪24の先端部はダイス表面1aと該ダイス表面1aに付着した軟化状態にある残滓4との間に差し込まれる。
【0047】
次に、セットテーブル25のテーブル用シリンダ装置27による昇降動作を停止させた状態で、押込部材用シリンダ装置32を駆動して押込部材31を下降させ、各ストッパ部35にてダイス表面1aの外周縁部を下方に押し込み、ダイス1及セットテーブル25をばね材26のばね力に抗して下降させる。つまり、この場合、各差込爪24にてダイス表面1aに付着した残滓4が支持された状態でダイス1が下方に移動することとなり、これによりダイス表面1aに付着した残滓4がダイス表面1aから分離されると共にこれに連続するダイス孔2内の残滓4がダイス孔2から引き抜かれる。
【0048】
なお、上記引抜装置20はテーブル用シリンダ装置27によりばね材26を介してセットテーブル25を昇降させるものであるため、厚みの異なるダイス1にも対応できるものである。
【0049】
以上説明した残滓分離装置5にあっては、既述のように各装置を自動で制御することにより、ダイス1から残滓4を容易に分離することができ、且つ、半連続方式(タクトバッチ式)により残滓4を短時間で分離することができる。
【0050】
なお、上記残滓分離装置5は、加熱室6外に引抜装置20を設け、残滓4を加熱室6外においてダイス1から分離するものとしたが、例えば加熱手段を設けた加熱室6内に引抜装置20を配設し、残滓4を高温の加熱室6内においてダイス1から分離するものとしても良く、この場合、残滓4が温度低下することがなくダイス1の加熱熱量を一層低減できる。また、上記加熱手段はガスバーナ13に限らず、燃焼器をはじめ他の手段を用いても良いものとする。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の残滓分離装置の一実施形態を示す平面図である。
【図2】同上の残滓分離装置の側断面図である。
【図3】同上の引抜装置を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図4】同上の引抜装置の要部を示す断面図である。
【図5】対象となる残滓付きダイスを示し、(a)は水平断面図、(b)は側断面図である。
【図6】実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0052】
1 ダイス
4 残滓
5 残滓分離装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム又はアルミニウム合金の残滓が付着した押出加工用のダイスを200〜550℃の温度域まで加熱して残滓を軟化させ、この軟化した残滓をダイスから分離することを特徴とする残滓分離方法。
【請求項2】
アルミニウム又はアルミニウム合金の残滓が付着した押出加工用のダイスを前記残滓が軟化する200〜550℃の温度域まで加熱する加熱手段と、ダイスから前記加熱手段により加熱されて軟化した残滓を分離する分離手段を備えて成ることを特徴とする残滓分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−36190(P2010−36190A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198187(P2008−198187)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(591052033)開明伸銅株式会社 (2)
【出願人】(500345320)大阪耐火煉瓦株式会社 (2)
【Fターム(参考)】