説明

段ボール用接着剤

【課題】ホルマリンを含まず、優れた耐水接着性を付与するとともに、粘度安定性の良好な新規な段ボール用接着剤を提供すること。
【解決手段】加熱糊化により段ボール段頂部接着の発現をさせる未糊化澱粉と、キャリア成分としての糊化澱粉とを含有する水性懸濁液をベースとし、耐水化剤が配合されてなる段ボール用接着剤において、該耐水化剤としてポリアミドエポキシ樹脂が配合され、前記糊化澱粉の全部又は一部が食品添加可能な天然の増粘多糖類(澱粉を除く:以下同じ。)で置換されていることを特徴とする段ボール用接着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱糊化により段ボール段頂部接着の発現をさせる未糊化澱粉と、キャリア成分としての糊化澱粉(α澱粉)を含有する水性懸濁液を接着剤ベースとし、耐水化剤が配合されてなる段ボール用接着剤に関する。
【0002】
以下の説明で、配合単位は、特に断らない限り、質量単位である。
【背景技術】
【0003】
段ボール用接着剤としては、食品安全性・接着作業性・コスト等の総合的見地から澱粉系のものが主流である。なお、これらの澱粉系の段ボール用接着剤は、2タンク方式(スタインホール方式)、または1タンク方式、プレミックス方式等で調製される。
【0004】
昨今、段ボールの用途が冷凍食品、青果物の包装用に拡大してきたことに伴い、段ボール用接着剤に高度の耐水接着性が、さらには、食品安全性が要求されるようになってきた。
【0005】
段ボール用接着剤の耐水化技術(耐水接着性を付与する技術)として、例えば、非特許文献1第588〜589頁には、
「段ボールの用途の拡大で、冷凍食品、青果物の包装用には耐水接着が必要となった。耐水化には2〜7%の尿素、レゾルシノール、アセトンなどのホルムアルデヒド縮合物の添加で行なわれ、また、高含アミロース澱粉をキャリア部に使用して効果を増すことができる。」の記載がある。
【0006】
当該耐水化技術は、汎用澱粉から調製される前述の接着剤ベース(糊液)に、ホルムアルデヒド縮合物を配合して耐水性接着剤とする技術、及び/又は、接着剤ベースとして、耐水性澱粉(高含アミロース澱粉)から調製したものを使用する技術である。
【0007】
しかし、これらのホルマリン系縮合樹脂には残留ホルマリンが含まれる。ホルマリンは発がん性の可能性が危惧されており、PRTR法で第一種指定化学物質となっている。
【0008】
このため、ホルマリン系縮合樹脂を使用しない耐水化技術として、カチオン系水溶性ポリアミド樹脂(例えば、特許文献1)、ポリアミドとエピハロヒドリン(エピクロロヒドリン)を反応させて得られる熱硬化性樹脂(ポリアミドエポキシ樹脂)を用いるもの(例えば、特許文献2、3)やエチレン−α,β−エチレン性不飽和カルボン酸共重合樹脂エマルション(特許文献4)を配合する段ボール用接着剤の耐水化技術が提案されている。
【0009】
しかし、本発明者らは、上記特許文献1〜4等に記載されたホルマリンを含まないポリアミド樹脂をベースとする耐水化剤を配合して、段ボール用接着剤に所定の耐水接着性を付与(耐水化)しようとした場合、混合直後に接着剤の粘度が急激に上昇し、段ボール製造に際しての高速貼り合わせを安定してできず、実用レベルに適さないことを知見した。一方、粘度上昇を抑えるために耐水化剤の配合量を減らすと、必要な耐水接着性を得難い。
【0010】
なお、ポリアミドエポキシ樹脂を耐水化剤として配合する段ボール用接着剤として、粘度安定性を意図した技術が、本願出願人と同一人の出願に係る特許文献5により提案されているが、後述の如く、本発明の特許性に影響を与えるものではない。
【0011】
また、本発明に使用するポリアミドエポキシ樹脂を記載した先行技術文献として特許文献6がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】三国二朗監修「澱粉科学ハンドブック」1977年版、株式会社朝倉書店発行:第588〜589頁
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平09−316413号公報(要約等)
【特許文献2】特公昭35−3547号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】特開昭55−54371号公報(要約等)
【特許文献4】特開平10−88090号公報(要約等)
【特許文献5】特開2005−226011号公報(要約等、段落0046)
【特許文献6】特開2005−15811号公報(要約等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、上記にかんがみて、粘度安定性に優れるとともに、耐水接着性に優れたノンホルマリンタイプの新規な段ボール用接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究の結果、下記構成の段ボール用接着剤に想到した。
【0016】
加熱糊化により段ボール段頂部に接着の発現をさせる未糊化澱粉と、キャリア成分としての糊化澱粉とを含有する水性懸濁液をベースとし、耐水化剤が配合されてなる段ボール用接着剤において、
該耐水化剤としてポリアミドエポキシ樹脂が配合され、前記糊化澱粉の全部又は一部が食品添加可能な天然の増粘多糖類(「澱粉」を除く:以下同じ。)で置換されていることを特徴とする。
【0017】
即ち、澱粉をベースとする段ボール用接着剤において、糊化澱粉(α澱粉)の代わりに、食品添加可能な天然の増粘多糖類(澱粉を除く。)を含有し、残留ホルマリン含有のおそれのないポリアミドエポキシ樹脂を耐水化剤として配合したものである。
【0018】
本発明の段ボール用接着剤による粘度安定性向上の発現機構については、下記の如くであると推定される。
【0019】
1)接着剤ベースのキャリア成分としての糊化澱粉(α澱粉)の全部又は一部を増粘多糖類に置換するため、ポリアミドエポキシ樹脂と反応し易い糊化澱粉が実質的に存在しない又は少ない。このため、ポリアミドエポキシ樹脂が配合されていても、急激な粘度上昇が発現しがたく粘度安定性に優れている。
【0020】
2)増粘多糖類として加熱ゲル化能を有するものを使用した場合は、該増粘多糖類は、常温(非加熱時)においてポリアミドエポキシ樹脂との反応性が低いが、接着時(加熱時)において、ゲル化することによりポリアミドエポキシ樹脂との反応性が高くなる。したがって、澱粉系接着剤により優れた耐水接着性を付与できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、有害な残留ホルマリンを含有せず、粘度安定性に優れ、耐水接着性に優れた段ボール用接着剤を提供でき、段ボール製造時の作業環境の改善および製品における食品安全性の向上に寄与する。
【0022】
なお、特許文献5の澱粉系の段ボール用接着剤においては、耐水化剤(架橋剤)としてポリアミドエポキシ樹脂を含有するとともに、増粘/粘度調整のために、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、ローカストビーンガム等の天然の増粘多糖類が配合されることが記載されている(請求項1、段落0042参照)。
【0023】
しかし、特許文献5における、増粘多糖類は、接着剤の粘度安定のためには、増粘補助剤としてアルミン酸塩及びけい酸塩の少なくとも一方を含有することを必須とし(請求項1参照)、さらには、キャリア成分である糊化澱粉(α澱粉)を含有することを前提としており、本発明とは異質である(段落0062、実施例1等参照)。
【0024】
即ち、本発明の如く、増粘多糖類のみで段ボール用接着剤における粘度安定を予定するものではなく、さらには、糊化澱粉(α澱粉)の配合量低減乃至無配合を予定するものではない。このことは、増粘多糖類の未糊化澱粉100部に対する配合量において、本発明では0.5〜10部であるのに対し、特許文献6では、0.05〜0.4部(段落0049)であり、また、糊化澱粉の非糊化澱粉100部に対する配合量においても、本発明では、2部以下であるのに対し、特許文献6では、例えば実施例1においては、約3部(100×8.13/255.6)である、こと等からも支持される。
【0025】
なお、特許文献5は、耐水接着性の向上を目的としておらず、仮に耐水接着性を向上させようとして、架橋剤の配合量を増大させた場合、粘度安定性に欠けることを示唆している(段落0075表1実施例6及び段落0074)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の段ボール用接着剤の実施の形態について説明する。
【0027】
基本的に、本発明の段ボール用接着剤は、1)接着剤主成分としての澱粉と、2)耐水化剤としてのポリアミドエポキシ樹脂、及び3)糊化澱粉代替成分としての食品添加可能な天然の増粘多糖類(澱粉を除く。)を、必須とするものである。
【0028】
(1)上記澱粉としては、とうもろこし澱粉(デント、ワキシー、ハイアミロースも含む)、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、サゴ澱粉およびそれらの澱粉の種々の誘導体、例えば、エーテル化、エステル化、グラフト化、架橋処理、酸処理、酸化処理した澱粉など、既存の加工方法により処理されたものなどがある。また、これらの澱粉を組み合わせたものも使用できる。
【0029】
(2)上記ポリアミドエポキシ樹脂としては、澱粉と架橋反応し段ボール用接着剤に耐水接着性を付与できるものであれば特に限定されない。
【0030】
例えば、
1)特許文献1に記載のポリアルキレンポリアミンと二塩基性カルボン酸あるいはその誘導体とを脱水縮合したポリアミドポリアミン、又はポリアルキレンポリ尿素と二塩基性カルボン酸あるいはその誘導体とを脱水縮合させたポリアミド尿素に、エピハロヒドリンを付加させてカチオン化する方法で得られるもの、
2)特許文献2・3等に記載のアクリル酸エステル類とジアミン類またはポリアルキレンポリアミンとの付加反応物を縮合して得られるポリアミド樹脂をエピハロヒドリンを付加したものや、カプロラクタムとポリアルキレンポリアミンとの開環付加物を二塩基性酸またはアクリル酸エステルとを縮合して得られるポリアミド樹脂をエピハロヒドリンを付加したもの、さらには、
3)特許文献5記載の(I)(A)(a)ポリアルキレングリコール残基又はポリカーボネートジオール残基を有する両末端カルボン酸化合物及び(b)脂肪族又は芳香族多価カルボン酸を含むジカルボン酸化合物と、(B)有機ジイソシアネートとを、カルボキシル基/イソシアネート基(モル比)>1となるような使用割合で反応させて得られる酸末端ポリアミド樹脂に、(II)エポキシ樹脂を、エポキシ基/カルボキシル基(モル比)≧1となるような使用割合で反応させて得られる変性ポリアミドエポキシ樹脂、
などを挙げることができる。
【0031】
これらは水溶性のものが好ましいが、水性エマルションとして用いることもできる。ポリアミドエポキシ樹脂の配合量は、要求される耐水接着性に応じて、澱粉固形分100部に対して1〜30部の範囲から設定できるが、耐水接着性の見地からは5〜25部、さらには8〜20部、よりさらには9〜20部が好ましい。ポリアミドエポキシ樹脂の配合量が過少であると所要の耐水接着性を得難く、逆に、配合量が過多であると粘度が高くなりすぎ、且つ、粘度安定性にも欠ける。
(3)上記増粘多糖類としては、食品添加可能な天然由来のもの(澱粉を除く)なら特に限定されない。食品添加可能なものに限定するのは、食品安全性の観点からである。即ち、増粘多糖類が、使用中の段ボールが濡れて滲出して、被包装物(食品)に直接接触しても問題が発生することがない。
【0032】
樹液由来のアラビアガム、トラガントガムや豆類種子由来のグアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム等でもよいが、下記海藻由来、微生物産出由来のものが、酵素分解され難くて製品(段ボール)に経時的な接着性低下が発生し難く、さらには、接着剤(糊液)としたときの粘度にもバラツキが発生し難い。
【0033】
なお、これらの増粘多糖類の誘導体(エーテル化、エステル化等)でもよく、1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0034】
海藻由来:アルギン酸、カラギーナン、寒天、等、
微生物産出由来:キサンタンガム、ジェランガム、カードラン、等。
【0035】
この中でも、ジェランガム、カードラン等の加熱ゲル化能を有するもの乃至カルボキシ多糖類(ゲル体強度が相対的に高い)が好ましい。さらには、カルボキシル多糖類で且つ加熱ゲル化能を有するジェランガムが最も好ましい。ここで、加熱ゲル化能とは、常温以上の温度(通常、30℃、望ましくは50℃)でゲル化する性質をいう。この増粘多糖類が加熱ゲル化能を有するにより、接着前(常温時)では、ポリアミドエポキシ樹脂に対する反応性が低く、接着時(加熱時)のみゲル化(非晶化)してポリアミドエポキシ樹脂に対する反応性が高くなる。このため、段ボール接着時において、増粘多糖類はゲル化により、段頂接着剤が増粘して高速貼り合わせ性が向上するとともに、ポリアミドエポキシ樹脂とも反応して耐水接着性が向上することが期待できる。
【0036】
上記増粘多糖類の配合量は澱粉固形分100部に対して0.5〜10部が好ましく、さらには、1.5〜5部が好ましい。増粘多糖類の配合量が過少では、増粘、ゲル化の効果がなく、糊化澱粉の代替作用を奏しがたく、配合量が過多では、粘度が高くなりすぎ、且つ、粘度安定性にも欠ける。
【0037】
本発明における段ボール用接着剤の調製方式としては、コルゲーター用澱粉系接着剤の調製方式として通常用いるスタインホール方式、プレミックス方式、1タンクキャリア方式等にいずれでもよく、特に限定されるものではない。
【0038】
本発明における段ボール用接着剤には、上記コルゲーター用澱粉系接着剤の調製方式においてキャリア部の澱粉として、通常、配合・添加される糊化澱粉(α澱粉)をできるだけ少なくすることが望ましい。例えば、澱粉固形分100部に対して2部以下が好ましい。全く用いないことがさらに望ましい。糊化澱粉の配合量が多いと、粘度安定性を低下し易くなると推定される。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、表中の澱粉および各薬剤はそれぞれ下記のものを使用した。
【0040】
コーンスターチ:普通種とうもろこし原料コーンスターチ、日本コーンスターチ(株)製、
耐水糊用プレミックス澱粉:「コルボン5000T」(商品名)、日本コーンスターチ(株)製、
ジェランガム:「ケルコゲル」(商品名)、大日本住友製薬(株)製、
カードラン:「カードランNS」(商品名)、キリンフードテック(株)製、
キサンタンガム:「エコーガム」(商品名)、大日本住友製薬(株)製、
ポリアミドエポキシ樹脂:「スミレーズレジンSR-675A」(商品名)、住化ケムテックス(株)製、
変性ケトン樹脂:「アイカアイボンVL-3340」(商品名)、アイカ工業(株)製、
フェノール樹脂:「フェノライトTD-2398A」(商品名)、DIC(株)製、
<実施例1>
1)コーンスターチ259.3g(100部)、ジェランガム7.6g(2.93部)、ホウ砂4.1g(1.58部)を含むプレミックス澱粉271gを調製した。
【0041】
2)40℃に加温した水640mLを2L容ステンレスジョッキに投入し、ここへ上記プレミックス澱粉271gを投入し5分間撹拌した後、苛性ソーダ水溶液(水34mLに固体苛性ソーダ6.0gを溶解させたもの)を投入し、30分間撹拌して接着剤ベースを調製した。
【0042】
3)この接着剤ベースに耐水化剤としてポリアミドエポキシ樹脂26g(10部)を配合し15分間撹拌して段ボール用接着剤を調製した。
【0043】
<実施例2>
実施例1において、コーンスターチ:261.5g(100部)、ジェランガム:5.4g(2.07部)、ポリアミドエポキシ樹脂:39g(14.9部)とした以外は実施例1と同様にして段ボール用接着剤を調製した。
【0044】
<実施例3>
実施例1において、コーンスターチ:261.5g(100部)、ジェランガムの代わりにカードラン:5.4g(2.07部)を使用した以外は実施例1と同様にして段ボール用接着剤を調製した。
【0045】
<実施例4>
実施例1において、コーンスターチの配合量260.1g(100部)とし、ジェランガムの代わりにキサンタンガム6.8g(2.61部)を使用した以外は実施例1と同様にして段ボール用接着剤を調製した。
【0046】
<比較例1>
1)40℃に加温した水640mLを2L容ステンレスジョッキに投入し、ここへ耐水糊用プレミックス澱粉271gを投入し5分間撹拌した後、苛性ソーダ水溶液(水34mLに固体苛性ソーダ6.0gを溶解させたもの)を投入し、30分間撹拌して接着剤ベースを調製した。
【0047】
2)この接着剤ベースに耐水化剤として変性ケトン樹脂:13.5g(5部)、さらに耐水化剤としてフェノール樹脂:13.5g(5部)配合し15分間撹拌して段ボール用接着剤を調製した。
【0048】
<比較例2>
比較例1において、耐水化剤として、変性ケトン樹脂/フェノール樹脂の代わりにポリアミドエポキシ樹脂:27g(10部)とした以外は実施例1と同様にして段ボール用接着剤を調製した。
【0049】
<試験方法>
上記で調製した各接着剤(糊液)を24時間に亘って撹拌を継続しながら40℃にて貯蔵し、経時的に以下のようにして1)糊液粘度、2)初期接着強度、3)耐水接着強度を測定した。
【0050】
1)粘度測定
調製後接着剤について、0分(耐水化剤配合前)、15分後、24時間後の各粘度を測定した。粘度はホードカップ(全国段ボール工業組合連合会認定品)による流下時間を測定して代替粘度とした。
【0051】
2)初期接着強度
5cm×8.5cmのAフルート片面段ボールピース(中芯:125g/m)の段頂部に接着剤糊液を一定量(固形分換算:6±1g/m)塗布し、同じ大きさのライナーピース(220g/m)を貼り合わせ、その上から175℃、850gのアイロンで5秒間加熱圧着したものを初期接着強度測定用サンプルとし、直ちに初期接着強度を測定した。測定はJIS:Z-0402に準じて行なった。
【0052】
3)耐水接着強度
5cm×8.5cmのAフルート片面段ボールピース(耐水中芯:125g/m)の段頂部に接着剤を一定量(固形分換算:6±1g/m)塗布し、同じ大きさの耐水ライナーピース(220g/m)を貼り合わせ、その上から175℃、850gのアイロンで5秒間加熱圧着したものを耐水接着強度測定用サンプルとした。このサンプルを20℃、65%RHの空気中で24時間調湿し、20℃の水に60分間浸漬した後、JIS:Z-0402に基づいて耐水接着強度を測定した。
【0053】
<試験結果>
実施例1〜4および比較例1〜2の結果を表1に示す。
【0054】
これらの結果より、増粘剤としてジェランガムを使用し、耐水化剤としてポリアミドエポキシ樹脂を使用した本発明の段ボール用接着剤は、ホルマリンを含まず、粘度安定性、耐水接着性に優れた効果をもたらすことが分かる。
【0055】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱糊化により段ボール段頂部接着の発現をさせる未糊化澱粉と、キャリア成分としての糊化澱粉とを含有する水性懸濁液をベースとし、耐水化剤が配合されてなる段ボール用接着剤において、
該耐水化剤としてポリアミドエポキシ樹脂が配合され、前記糊化澱粉の全部又は一部が食品添加可能な天然の増粘多糖類(澱粉を除く:以下同じ。)で置換されていることを特徴とする段ボール用接着剤。
【請求項2】
未糊化澱粉を含有する水性懸濁液をベースとする段ボール用接着剤において、
前記未糊化澱粉100質量部に対して、前記ポリアミドエポキシ樹脂1〜30質量部、前記増粘多糖類0.5〜10質量部、及び、前記糊化澱粉2質量部以下配合されてなることを特徴とする請求項1記載の段ボール用接着剤。
【請求項3】
前記未糊化澱粉100質量部に対して、前記ポリアミドエポキシ樹脂5〜25質量部、前記増粘多糖類1.5〜5質量部、及び、前記糊化澱粉0質量部配合されてなることを特徴とする請求項2記載の段ボール用接着剤。
【請求項4】
前記増粘多糖類が加熱ゲル化能を有するものであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の段ボール用接着剤。
【請求項5】
前記増粘多糖類が、微生物産出物又は海藻由来物であることを特徴とする1、2又は3記載載の段ボール用接着剤。
【請求項6】
前記増粘多糖類が、カルボキシル多糖類であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の段ボール用接着剤。
【請求項7】
前記増粘多糖類が、ジェランガムであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の段ボール用接着剤。

【公開番号】特開2010−174095(P2010−174095A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16649(P2009−16649)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(391026210)日本コーンスターチ株式会社 (14)
【Fターム(参考)】