説明

段ボール製函機の給紙方法及び装置

【課題】段ボール箱を製造する製函機の給紙装置において、セット替え時に段ボールシートの積み込みから送出までに要する時間を短縮して、製函機の生産効率を向上させる。
【解決手段】給紙装置10の前当板14を下部構成体42と上部構成体44とに分割形成し、下部構成体42を構成する軸板42bをエアシリンダ24のピストンロッド26と連結し、エアシリンダ24で下部構成体42を急速昇降可能にする。上部構成体44と一体の有底中空円筒体56をモータ48の出力軸58と螺合させ、低速昇降可能にする。段ボールシートcを給紙装置10に積み込む時は、下部構成体42を下降させて隙間s2を閉じ、段ボールシートcを製函ラインへ送出する時は下部構成体42を上昇され、隙間s2を段ボールシートcの厚さの1.5倍とする。下部構成体42の上昇時上面54を上部構成体44のストッパ面44aに係止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱を製造する製函機において、段ボールシートを製函工程に送り出す給紙装置に関し、詳しくは、前当板の昇降動作に要する時間を短縮して、生産効率を向上させた給紙方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール箱を製造する製函機ラインの最上流部には、製函工程を行なう機器に向けて1枚ずつ段ボールシートを供給する給紙装置が設けられている。この給紙装置は、段ボールシートの前端を揃える前当板及び段ボールシートを積み上げる給紙テーブルを備えた給紙部ホッパと、給紙テーブル上に積み上げられた段ボールシートを、最下位の段ボールシートから一枚ずつ分離して前当板と給紙テーブル間に形成された隙間から下流側製函ラインへ送り出す給紙装置とを備えている。
【0003】
特許文献1(特開平11−314785号公報)や特許文献2(特開2000−7163号公報)には、この種の給紙装置が開示されている。
特許文献1には、前当板と給紙テーブル間に形成される隙間を段ボールシートの厚さに応じて調整可能にすることが開示されている。特許文献2には、2枚の前当板を装置の幅方向(左右方向)に配設された梁に摺動可能に設けることにより、段ボールシートの異なる幅方向寸法に対応させるようにした構成が開示されている。
【0004】
異なる寸法の段ボールシートに切り替わる時(セット替え時)、段ボールシートを給紙ホッパ内に積上げてから下流側の製函ラインに送り出すまでの給紙装置の現状方式の動作を図4により説明する。図4において、給紙装置100は、製函工程に供される多数の段ボールシートが積み上げられる給紙テーブル102と、段ボールシートの前端を揃える前当板104と、給紙テーブル102に千鳥足状に配設されわずかに上部が給紙テーブル面より上方に顔を出すように配置された多数のホイール106と、前当板104より段ボールシートの送出方向下流側に設けられたフィードロール108とから構成されている。
【0005】
前当板104は、異なる大きさの段ボールシートに対応するため、通常2枚の前当板が装置の幅方向(左右方向、紙面と直角方向)に配設された図示省略のガイド軸に摺動可能に設けられている。一方、給紙装置100の固定部110に幅方向に向けて固設された支持フレーム112にモータ114が設けられている。モータ114は、前当板104の幅方向移動に追従して支持フレーム112に対し幅方向に移動可能に支持されている。
【0006】
モータ114の出力軸にはネジ軸116が固設され、ネジ軸116には前当板104と一体の支持フレーム118に設けられたネジ孔が螺合し、ネジ軸116の回転によって前当板104が昇降する。これによって、給紙テーブル102との間に形成される隙間sの大きさを調整可能としている。
図4(a)は、セット替えの動作開始時の状態を示す。図4(b)に示すように、給紙テーブル102に段ボールシートcを積み込む時、段ボールシートが隙間sに潜り込まないように、前当板104を給紙テーブル12の上面に当るまで下降させ、隙間sを閉じる。この動作時間が、段ボールシートcの厚さに応じて通常5〜40秒かかる。
【0007】
次に、図4(c)に示すように、給紙テーブル102上に段ボールシートcを投入する。この段ボールシートcの積み込みに通常約30秒かかる。次に、図4(d)に示すように、前当板104を上昇させ、段ボールシートcの厚み1.5枚程度の大きさの隙間sを形成する。この動作に通常約5〜40秒かかる。
この状態でホイール106及びフィードロール108を矢印方向へ回転させて、段ボールシートcを1枚ずつ矢印a方向へ送出し、隙間sを通して下流側の製函ラインに送出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−314785号公報
【特許文献2】特開2000−7163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図4で説明した現状の給紙装置での段ボールシートの送り工程は、給紙装置への段ボールシートの積み込み時と、下流側製函ラインへの段ボールシートの送出時に、隙間sを夫々別な寸法に精度良く調整する必要があるため、前当板104を移動精度の良い電動モータを用いて昇降させている。
しかし、電動モータでは昇降速度が遅いため、隙間sの調整に時間がかかる。図4に示すように、段ボールシートの積み込みから送出までの動作に40〜110秒かかり、製函機の生産効率を低くするという問題があった。
【0010】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、段ボール箱を製造する製函機の給紙装置において、異なる寸法の段ボールシートに切り替わる時(セット替え時)、段ボールシートの積み込みから送出までに要する時間を短縮して、製函機の生産効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するため、本発明の段ボール製函機の給紙方法は、
給紙テーブル上に積み上げられた段ボールシートを、最下位の段ボールシートから1枚ずつ分離して前当板と該給紙テーブル間の隙間から下流側製函ラインへ送り出す段ボール製函機の給紙方法において、
前当板を給紙テーブルに対して昇降可能に構成すると共に、給紙部ホッパ内への段ボールシートの積み込み時には前当板を給紙テーブルまで下降させて前記隙間を閉じた状態とし、段ボールシートの積み込みと並行して前当板の上昇位置(段ボールシート送り出し時の隙間形成位置)を規制するストッパの位置決めを行ない、
下流側製函ラインへの段ボールシートの送出時には前当板を上昇させて該ストッパに当てることにより、前当板の上昇速度を増大させて隙間調整時間を短縮可能にしたものである。
【0012】
本発明方法では、段ボールシートの積み込み時には前当板を給紙テーブルに当て、段ボールシートの送出時には前当板を該ストッパに当てることで、隙間調整を可能とするので、昇降速度が速い昇降装置を用いることができる。そのため、前当板の位置調整に要する時間を短縮できる。
また、給紙部ホッパへの段ボールシートの積み込みと、段ボールシート送出時の前当板の上昇位置を規制するストッパの位置決めを並行して行なうため、ストッパの位置決めに要する時間が不要となる。
【0013】
従って、従来と比べて、段ボールシートの積み込みから送出までの時間を短縮でき、段ボールシートの生産効率を向上できる。なお、該ストッパの位置決めは、段ボールシートの積み込みと平行して行なうので、特に昇降速度が大きい駆動装置を用いる必要がない。
【0014】
本発明方法において、前当板を給紙テーブルとの間で隙間を形成する下部構成体と該下部構成体と別体の上部構成体とで構成すると共に、該上部構成体の下端部をストッパとして該下端部に下部構成体を当てることで下部構成体の上昇位置を規制するようにするとよい。
前記構成では、下部構成体の昇降動作により前当板と給紙テーブル間の隙間調整を行なう。前記構成では、段ボールシート送出時の下部構成体の上昇位置を規制するストッパを独立して設ける必要がないので、装置構成を簡素化かつ低コストとすることができる。
【0015】
また、下部構成体と給紙テーブル間の隙間調整は、下部構成体をストッパ又は給紙テーブルに当てればよいので、昇降速度が速い昇降装置を用いることができる。
一方、下部構成体のストッパとして機能する上部構成体の昇降動作は、段ボールシートの積み込みと並行して行なわれるので、昇降速度が遅く精密な位置制御を可能とする昇降装置を用いても生産効率を悪化させることはない。
【0016】
前記構成に加えて、前当板の下部構成体をエアシリンダで昇降させ、前記上部構成体を駆動モータで昇降させるようにするとよい。
下部構成体をエアシリンダで昇降させることにより、昇降速度を増大でき、かつ昇降装置を低コストにできる。一方、上部構成体を例えばサーボモータや油圧モータ等の駆動モータで昇降させることにより、上部構成体の位置決めを精度良くできるので、下部構成体と給紙テーブル間の隙間調整を精度良くできる。
【0017】
また、前記本発明方法の実施に直接使用可能な本発明の段ボール製函機の給紙装置は、
段ボールシートの前端を揃える前当板と、段ボールシートを積み上げる給紙テーブルと、最下位の段ボールシートから一枚ずつ分離して該前当板と該給紙テーブル間の隙間から下流側製函ラインへ送り出す給紙装置とを備えた段ボール製函機の給紙装置において、
前当板を昇降させる昇降装置と、前記隙間を段ボールシート1枚のみが通過可能な大きさとなるように前当板の上昇位置を規制するストッパ装置と、を備え、
給紙部ホッパ内への段ボールシートの積み込み時に前当板を下降させて前記隙間を閉じた状態とし、段ボールシートの積み込みと並行して該ストッパ装置の位置決めを行ない、下流側製函ラインへの段ボールシートの送出時に前当板を急速上昇させて該ストッパに当て該隙間を確保するように構成したものである。
【0018】
前記構成により、前当板を給紙テーブル又は前記ストッパ装置に当てて、前当板と給紙テーブル間の隙間調整を可能とするので、前当板の昇降速度を速くできると共に、該ストッパ装置の位置決めのために特別の時間を要しないので、段ボールシートの積み込み及び送出に要する時間を短縮できて、製函機の生産効率を向上できる。
【0019】
本発明装置において、前当板を給紙テーブルとの間で前記隙間を形成する下部構成体と該下部構成体と別体の上部構成体とで構成すると共に、該上部構成体の下端部をストッパとして該下端部に該下部構成体を当てるように構成するとよい。これによって、前当板の上限位置を規制するストッパ装置を独立して設ける必要がないので、装置構成を簡素化かつ低コストとすることができる。
【0020】
本発明装置において、前当板と給紙テーブル間に微小隙間を形成するストッパを設け、前当板と給紙テーブルとを接触させないようにするとよい。これによって、前当板の下降時に前当板が直接給紙テーブルに当ることがないので、給紙テーブルの傷付きや損傷等を防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の段ボール製函機の給紙方法によれば、給紙テーブル上に積み上げられた段ボールシートを、最下位の段ボールシートから1枚ずつ分離して前当板と該給紙テーブル間の隙間から下流側製函ラインへ送り出す段ボール製函機の給紙方法において、前当板を給紙テーブルに対して昇降可能に構成すると共に、給紙部ホッパ内への段ボールシートの積み込み時には前当板を給紙テーブルまで下降させて前記隙間を閉じた状態とし、段ボールシートの積み込みと並行して前当板の上昇位置を規制するストッパの位置決めを行ない、前当板の昇降速度を増大でき、前当板と給紙テーブル間の隙間調整時間を短縮可能にしたことにより、製函機の段ボールシートの生産効率を向上できる。
【0022】
また、本発明の段ボール製函機の給紙装置によれば、段ボールシートの前端を揃える前当板と、段ボールシートを積み上げる給紙テーブルと、最下位の段ボールシートから一枚ずつ分離して該前当板と該給紙テーブル間の隙間から下流側製函ラインへ送り出す給紙装置とを備えた段ボール製函機の給紙装置において、当板を昇降させる昇降装置と、前記隙間を段ボールシート1枚のみが通過可能な大きさとなるように前当板の上昇位置を規制するストッパ装置と、を備え、給紙部ホッパ内への段ボールシートの積み込み時に前当板を下降させて前記隙間を閉じた状態とし、段ボールシートの積み込みと並行して該ストッパ装置の位置決めを行ない、下流側製函ラインへの段ボールシートの送出時に前当板を急速上昇させて該ストッパに当て該隙間を確保するように構成したことにより、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る給紙装置の正面図である。
【図2】前記実施形態の前当板の側面図である。
【図3】前記実施形態に係る給紙装置の操作手順を示す模式図である。
【図4】従来の給紙装置の操作手順を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0025】
本発明の一実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。図1及び図2に本実施形態に係る給紙装置10の構成を示す。図1及び図2において、前当板14は、ケーシング40と、該ケーシング40と別体に形成された下部構成体42及びケーシング40及び下部構成体42と別体に形成された上部構成体44とで構成されている。ケーシング40には、垂直方向に配置された垂直板46が一体形成されていると共に、ケーシング40内にモータ48が内蔵されている。前当板14の段ボールシート送出方向(矢印a方向)下流側には、段ボールシートを図示省略の製函ラインに1枚ずつ送出する一対のフィードロール18が設けられている。
【0026】
下部構成体42は、給紙テーブル12の上面に対面する平面50を有する脚部42aと、該脚部42aと一体形成されて上方に延設される板状の軸板42bとから構成されている。上部構成体44は、その下端部が水平方向に向くストッパ面44aを形成すると共に、その上部で軸板42bを貫通する支持フレーム52と連結されている。脚部42aには、該ストッパ面44aと対面して水平方向に配置された上面54が形成されている。
【0027】
前当板14の上部では、垂直板46の上端に水平方向に向けて支持フレーム60が連結されている。該支持フレーム60にエアシリンダ24が取り付けられている。エアシリンダ24のピストンロッド26は下方に向けられ、下部構成体42の軸板42bの上端に連結されている。これによって、下部構成体42は、エアシリンダ24により垂直板46に摺接して上下に移動可能になっている。
【0028】
上部構成体44と一体の支持フレーム52には、有蓋の中空円筒体56が一体形成され、該中空円筒体56の内面には、モータ48の出力軸58に形成されたオネジ部に螺合するメネジが形成されている。これによって、モータ48の作動により、出力軸58が回転すると、中空円筒体56が出力軸58と相対的に上下動し、中空円筒体56と一体の上部構成体44も上下動する。
【0029】
ケーシング40は、装置の幅方向(左右方向)に水平に配置されたガイド軸28に摺動可能に嵌合されている。固定部20には箱型断面を有する梁30及び32が幅方向に固設されている。そして、梁30に固設された案内レール33に垂直板46と一体のブラケット47が摺動可能に支持されている。さらに、梁32に固設された案内レール34に支持フレーム60が摺動可能に支持されている。
【0030】
ケーシング40の下部には、幅方向に凹部62が設けられている。一方、固定部20に固設された支持フレーム35に凸部36が設けられ、該凸部62が該凸部36に遊嵌している。凸部36によってケーシング40が幅方向に摺動可能に案内される。
前当板14は、装置の幅方向に通常2枚配置される。前当板14は、前記構成により装置の幅方向に摺動可能であり、これによって、段ボールシートの幅方向の異なる大きさに対応できる。
【0031】
軸板42bの上端には横方向に突出した係止部64が設けられ、一方、垂直板46の上端にストッパ板66が固設され、該ストッパ板66にストッパボルト68が螺着している。係止部64がストッパボルト68に係止することにより、下部構成体42の下降を停止できる。このストッパ機構70によって、下部構成体42の平面50と給紙テーブル12間には、常に隙間s2が形成され、下部構成体42が最下位に下降した時、該隙間s2の寸法を1mm以下の微小隙間とすることができる。なお、ストッパボルト68のストッパ板66に対する螺入度を調整することにより、該微小隙間の寸法を調整できる。
【0032】
かかる構成の本実施形態において、異なる寸法の段ボールシートに切り替わる時(セット替え時)、段ボールシートを給紙ホッパ内に積上げてから下流側の製函ラインに送り出すまでの給紙装置10の作動手順を図3により説明する。図3は、給紙装置10を模式的に図示したものである。図3において、図3(a)は、給紙装置10の作動開始時の状態を示す。図3(b)では、段ボールシートの積み込み開始に先立って、エアシリンダ24を稼動して、下部構成体42を急速下降させる。このとき、ストッパ機構70により、下部構成体42の最下位位置で、下部構成体42と給紙テーブル12間に1mm以下の隙間s2を保持させて、下部構成体42の下降を停止できる。
下部構成体42をエアシリンダ24で急速下降させるため、この動作に約1秒しか要しない。
【0033】
次に、この状態で、図3(c)に示すように、図示省略のオートフィーダで段ボールシートcの積み込みを行なう。この積み込み動作と並行して、モータ48で上部構成体44を昇降させて、ストッパ面44aの位置決めを行なう。ストッパ面44aの位置決め後の高さは、ストッパ面44aと上面54との間の隙間s1が、下部構成体42の上面54が上昇してストッパ面44aに係止した時に、平面50と給紙テーブル12間の隙間sが段ボールシートcの厚さの1.5倍程度となるように、調整される。
【0034】
段ボールシートcの積み込みに要する時間は約30秒であり、ストッパ面44aの位置決めに要する時間が0〜31秒かかる。ここで、0秒とは、運転開始前にストッパ面44aの位置決めを完了させておいた場合である。
【0035】
次に、図3(d)に示すように、エアシリンダ24を作動させて下部構成体42を急速上昇させ、上部構成体44のストッパ面44aに下部構成体42の上面54を当てて下部構成体42の上昇を停止させる。この動作で下部構成体42の平面50と給紙テーブル12間の隙間s2を段ボールシートの厚さの1.5倍程度の隙間とすることができる。
そして、給紙テーブル12に設けられたリードエッジフィーダ16及び該リードエッジフィーダ16の段ボールシート送出方向下流側に設けられたフィードロール18を矢印方向に回転させ、段ボールシートcを1枚ずつ矢印a方向に向けて製函ラインに送り出す。この動作に要する時間は約1秒である。
【0036】
本実施形態によれば、段ボールシートcを給紙装置10に積み込み時は、係止部64をストッパボルト68に当てるまで下部構成体42を下降させ、段ボールシートcを下流側製函ラインへ送出する時は、下部構成体42の上面54を上部構成体44のストッパ面44aに当てることで、隙間調整を可能とし、下部構成体42をエアシリンダ24で昇降させているので、昇降速度を速くすることができる。そのため、前当板14の位置調整に要する時間を短縮できる。
【0037】
また、給紙装置10への段ボールシートの積み込み動作と、段ボールシート送出時の下部構成体42の上昇位置を規制するストッパ面44aの位置決めを並行して行なうため、ストッパ面44aの位置決めに要する時間が不要となる。
従って、従来、図4に示すように、給紙テーブル12上への段ボールシートの積み込みと製函ラインへの段ボールシートの送出に合計約40〜110秒かかっていたが、本実施形態によれば、図3に示すように、約32〜33秒と大幅に短縮することができる。そのため、製函機による段ボールシートの生産効率を大幅に向上できる。
【0038】
また、前当板14の上部構成体44の下端部に形成したストッパ面44aにストッパ機能をもたせているので、下部構成体42の上限位置を規制するストッパを独立して設ける必要がない。そのため、装置構成を簡素化かつ低コストとすることができる。
さらに、下部構成体42の平面50と給紙テーブル12間に微小隙間を形成するストッパ機構70を設けたことにより、該平面50と給紙テーブル12の上面とを接触させないようにしているので、給紙テーブル12の傷付きや損傷等を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、段ボール製函機の給紙装置での給紙動作に要する時間を従来より大幅に短縮できて、該製函機の生産効率を大幅に向上できる。
【符号の説明】
【0040】
10 給紙装置
12 給紙テーブル
14 前当板
16 ホイール
18 フィードロール
24 エアシリンダ
42 下部構成体
42a 脚部
42b 軸板
44 上部構成体
44a ストッパ面
46 垂直板
48 モータ
58 出力軸
64 係止部
68 ストッパボルト
70 ストッパ機構
c 段ボールシート
s、s1、s2 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙テーブル上に積み上げられた段ボールシートを、最下位の段ボールシートから1枚ずつ分離して前当板と該給紙テーブル間の隙間から下流側製函ラインへ送り出す段ボール製函機の給紙方法において、
前当板を給紙テーブルに対して昇降可能に構成すると共に、給紙部ホッパ内への段ボールシートの積み込み時には前当板を給紙テーブルまで下降させて前記隙間を閉じた状態とし、段ボールシートの積み込みと並行して前当板の上昇位置を規制するストッパの位置決めを行ない、
下流側製函ラインへの段ボールシートの送出時には前当板を上昇させて該ストッパに当てることにより、前当板の上昇速度を増大させて隙間調整時間を短縮可能にしたことを特徴とする段ボール製函機の給紙方法。
【請求項2】
前当板を給紙テーブルとの間で前記隙間を形成する下部構成体と該下部構成体と別体の上部構成体とで構成すると共に、該上部構成体の下端部をストッパとして該下端部に下部構成体を当てることで下部構成体の上昇位置を規制するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の段ボール製函機の給紙方法。
【請求項3】
前当板の前記下部構成体をエアシリンダで昇降させ、前記上部構成体を駆動モータで昇降させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の段ボール製函機の給紙方法。
【請求項4】
段ボールシートの前端を揃える前当板と、段ボールシートを積み上げる給紙テーブルと、最下位の段ボールシートから一枚ずつ分離して該前当板と該給紙テーブル間の隙間から下流側製函ラインへ送り出す給紙装置とを備えた段ボール製函機の給紙装置において、
前当板を昇降させる昇降装置と、前記隙間を段ボールシート1枚のみが通過可能な大きさとなるように前当板の上昇位置を規制するストッパ装置と、を備え、
給紙部ホッパ内への段ボールシートの積み込み時に前当板を下降させて前記隙間を閉じた状態とし、段ボールシートの積み込みと並行して該ストッパ装置の位置決めを行ない、下流側製函ラインへの段ボールシートの送出時に前当板を急速上昇させて該ストッパに当て該隙間を確保するように構成したことを特徴とする段ボール製函機の給紙装置。
【請求項5】
前当板を給紙テーブルとの間で前記隙間を形成する下部構成体と該下部構成体と別体の上部構成体とで構成すると共に、該上部構成体の下端部をストッパとして該下端部に該下部構成体を当てるように構成したことを特徴とする請求項4に記載の段ボール製函機の給紙装置。
【請求項6】
前当板と給紙テーブル間に微小隙間を形成するストッパを設け、前当板と給紙テーブルとを接触させないようにしたことを特徴とする請求項4又は5に記載の段ボール製函機の給紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−32090(P2011−32090A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183072(P2009−183072)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】