説明

段差解消装置

【課題】ブリッジの進退手段として駆動源を特に必要とせず、ブリッジ進退時のブリッジ後退防止機構が不要である段差解消装置を提供することにある。
【解決手段】複数段程度の階段の前に設置されるものであって、昇降手段2a、2b、3により上下動する台座4と、この台座4内に収納され、進退手段14により台座4に対して進退するブリッジ13とを備え、台座4上に車椅子等を載せた状態で上昇させる際、前記ブリッジ13を階段に向かって進出させてブリッジ13先端を前記階段の最上段とオーバーラップさせ、その後前記ブリッジ13上を階段に向かって走行移動させる段差解消装置において、前記ブリッジ13の進退手段をワイヤ14等で昇降手段2a、2b、3と連動させることにより昇降用駆動源のみで自動的にブリッジ13を進退可能とした。
また前記段差解消装置が下降する際、バネ18等の伸縮手段により前記ブリッジ13を自動的に収納可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段の段差を解消する段差解消装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置としては、リンク方式により昇降移動時に台座を水平にも移動させて階段の最上段に台座を懸架し、更に前記水平移動距離が最上階段に及ばない時は、ギヤ機構により水平延伸させたブリッジの先端を階段の最上段に懸架して、段差解消装置本体に偏荷重モーメントが掛からぬ様にする両持ち梁構成としたものが知られている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−40698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の技術では、リンク方式により昇降移動時に台座を水平にも移動させて階段の最上段に台座を懸架し、更に前記水平移動距離が最上階段に及ばない時は、ギヤ機構により水平延伸させたブリッジの先端を階段の最上段に懸架する構成とすることが提案されているが、この方法を用いた際には、昇降時台座に物を載せた状態で水平移動を伴うため、上昇時台座が段差解消装置上部を越えて階段の最上段に懸架されるまで、または下降時台座が階段の最上段を離れて段差解消装置上部に戻るまでは、台座上の荷重により段差解消装置に傾倒モーメントがかかるという第1の問題があった。
【0004】
また、ブリッジの進退手段としてギヤなどの駆動源を必要とするという第2の問題がある。
【0005】
さらに、ブリッジ進出時には、階段の最上段から乗込む際に、進出したブリッジが容易に後退しないよう、後退防止機構が必要となるという第3の問題がある。
【0006】
本発明の目的は、傾倒モーメントがかかることがなく、ブリッジの進退手段として駆動源を特に必要とせず、ブリッジ進出時のブリッジ後退防止機構を別途設ける必要がない段差解消装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の請求項1に記載の発明は、複数段程度の階段の前に設置されるものであって、昇降手段により上下動する台座と、この台座内に収納され、進退手段により台座に対して進退するブリッジとを備え、台座上に車椅子等を載せた状態で上昇させる際、進退手段により前記ブリッジを階段に向かって進出させてブリッジ先端を前記階段の最上段とオーバーラップさせ、その後前記ブリッジ上を階段に向かって走行移動させる段差解消装置において、前記ブリッジの進退手段をワイヤ等で昇降手段と連動させることにより昇降用駆動源のみで自動的にブリッジを進出可能としたことを特徴とし、請求項2に記載の発明は、前記段差解消装置が下降する際、バネ等の伸縮手段により前記ブリッジを自動的に収納可能としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明によれば、ブリッジの進退手段をワイヤ等で昇降手段と連動させる構成としたので、昇降用駆動源のみで自動的にブリッジを進出可能であり、進退手段として駆動源を特に必要としない。
【0009】
また、ブリッジの反進出側には引きバネ等の伸縮手段を設ける構成としたので、段差解消装置が下降する際には自動的にブリッジが台座内に収納される。
【0010】
更に、ブリッジが進出している際には常にワイヤによりブリッジが牽引されている構成としたため、最上階段面上からブリッジに乗り込む際に水平方向及び下方向の荷重が加えられたとしても容易にブリッジが後退してしまうことがなく、ブリッジの後退防止構造を別途設ける必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係わる段差解消装置を図1〜図4に基づき説明する。
【0012】
図1は昇降手段により上下動自在とした台座と、該台座上に水平方向に移動自在としたブリッジからなる段差解消装置の側面断面図、図2はブリッジを内蔵した台座の上面図、図3は階段側から見た台座の正面断面図、図4はブリッジの移動状態を示した説明図である。
【0013】
図1において、床面5上に設置された段差解消装置Aは床面5に固定されている下座1と、交差する箇所で回転可能に結合された交差支柱2a、2bと、交差支柱2aと下座1間に介在された油圧シリンダ3と台座4により構成されている。
【0014】
一方の交差支柱2bの下端は下座1に回転可能に固定され、他方の交差支柱2aの下端にはローラが取り付けられ、下座1上を移動可能となっている。
【0015】
また、交差支柱2aの上端は台座4下面に回転可能に固定され、支持しており、他方の交差支柱2bの上端にはローラが取り付けられ、台座4下面を移動可能に支持している。
【0016】
上下動時には台座4上の荷重を交差支柱2a,2bにより重心を挟み左右で支持するため、段差解消装置Aに傾倒モーメントがかかることがない。
【0017】
台座4は水平方向に進退するブリッジ13と、ブリッジ13の後端に取付けられたブリッジ後端ローラ12と、台座4のブリッジ13出口近くでブリッジ13下面を支える固定ローラ11を有する構成となっている。
【0018】
また台座4には、台座4に固定されブリッジ駆動ワイヤ14を支持するプーリ15a、15bと交差支柱2a、2bに支持された2個のリンク16a、16bと両リンク16a、16bの合せ部に支持された牽引プーリ17と、一端が下座1に固定され、牽引プーリ17、プーリ15a、15bを経由してブリッジ17と、一端が下座1に固定され、牽引プーリ17、プーリ15a、15bを経由してブリッジ13の後端側にその他端が固定されたブリッジ駆動ワイヤ14とを設け、これにより油圧シリンダ3により台座4を上昇させた際、ブリッジ13は台座4のブリッジ13出口部から水平方向に進出する。
【0019】
台座4内のブリッジ13の後端側には引きバネ18が設けられている。
【0020】
このような構造としたので、台座4の上昇の際には、台座4の上昇分に加えて、牽引プーリ17が交差支柱2a、2bのローラ側端の横動に従い移動することから、ブリッジ駆動ワイヤ14が下座1に固定された端部と牽引プーリ17の距離、及び牽引プーリ17とプーリ15bの距離の延長分牽引され、従ってブリッジ駆動ワイヤ14の地方の端部が固定されているブリッジ13が進出し、ブリッジ13の先端が階段の最上階6に到達する。また、下降する際には、ブリッジ駆動ワイヤ14が緩むことにより、引きバネ18に引かれブリッジ13が台座4内に収納される。
【0021】
すなわち、ブリッジの進退手段として駆動源を特に設けることなく、台座4の昇降と連動しブリッジを進退されることが出来る。
【0022】
更に、ブリッジ13は進退時には常にブリッジ駆動ワイヤ14に牽引きされている。
【0023】
このため、最上階段6面上からブリッジ13に乗り込む際に水平方向及び下方向の荷重が加えられたとしても容易にブリッジ13が後退してしまうことがなく、ブリッジ13の後退防止構造を別途設ける必要がない。
【0024】
尚、本実施形態では段差解消装置の昇降装置を油圧シリンダと交差支柱によるリンク方式としたが、他の昇降装置を用いても同様の効果を得ることができる。
【0025】
また、ブリッジの進退手段にワイヤ連動方式を用いたが、チェーンなど他の連動方式においても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係わる段差解消装置の側面断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の正面断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係わる段差解消装置から水平方向に進退するブリッジの移動状態図である。
【符号の説明】
【0027】
A 段差解消装置
1 下座
2 交差支柱
3 油圧シリンダ
4 台座
5 床
6 階段の最上段
11 固定ローラ
12 ブリッジ後端ローラ
13 ブリッジ
14 ブリッジ駆動ワイヤ
15aプーリ
15bプーリ
16aリンク
16bリンク
17 牽引プーリ
18 引きバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段程度の階段の前に設置されるものであって、昇降手段により上下動する台座と、この台座内に収納され、進退手段により台座に対して進退するブリッジとを備え、台座上に車椅子等を載せた状態で上昇される際、前記ブリッジを階段に向かって進出させてブリッジ先端を前記階段の最上段とオーバーラップさせ、その後前記ブリッジ上を階段に向かって走行移動させる段差解消装置において、前記ブリッジの進退手段をワイヤ等で昇降手段と連動させることにより昇降用駆動源のみで自動的にブリッジを進退可能としたことを特徴とする段差解消装置。
【請求項2】
前記段差解消装置が下降する際、バネ等の伸縮手段により前記ブリッジを自動的に収納可能したことを特徴とする段差解消装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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