段階的容量挙動を示す吸収性組成物
【課題】液体吸上げ能力を維持したままで、従来のSAPを用いた複合材料よりも吸収性物品内の液体分布を改善した吸収性複合材料が提供する。
【解決手段】本発明の吸収性組成物は、少なくとも約5g食塩水/1g組成物の第1の総吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物と、約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構とを含み、前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第1の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の総吸収容量を有することを特徴とする。
【解決手段】本発明の吸収性組成物は、少なくとも約5g食塩水/1g組成物の第1の総吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物と、約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構とを含み、前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第1の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の総吸収容量を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段階的な容量挙動を示す吸収性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品などの物品は、人体から分泌または排泄される液体を含む様々な種類の液体を吸収するのに有用である。そのような物品の吸収性の向上を図るために、多くの場合、吸収性物品には超吸水性ポリマー(Superabsorbent polymer:SAP)が使用される。SAPは一般的にポリマーベースであり、粉末、顆粒、微小粒子、膜及び繊維などの様々な形態で利用可能である。そのようなSAPは、液体と接触すると、その構造内に液体を吸収して膨潤する。一般的に、SAPは吸収性物品に侵襲した液体を素早く吸収することができると共に、液漏れを防ぐため及び液体侵襲後でさえも乾いた感触を提供するために吸収した液体を保持することができる。また、吸収性物品の吸収性コアに使用される吸収性組成物を作成するために、超吸収性材料は不水溶性繊維と組み合わされることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】PCT国際公開第WO2000/37009号公報
【特許文献2】米国特許第4,940,464号明細書
【特許文献3】米国特許第5,766,389号明細書
【特許文献4】米国特許第6,645,190号明細書
【特許文献5】米国特許第5,883,028号明細書
【特許文献6】米国特許第5,116,662号明細書
【特許文献7】米国特許第5,114,781号明細書
【特許文献8】米国特許第6,552,245号明細書
【特許文献9】米国特許第6,641,134号明細書
【特許文献10】米国特許第5,486,166号明細書
【特許文献11】米国特許第5,490,846号明細書
【特許文献12】米国特許第5,820,973号明細書
【特許文献13】米国特許第3,849,241号明細書
【特許文献14】米国特許第5,350,624号明細書
【特許文献15】米国特許第4,100,324号明細書
【特許文献16】米国特許第4,587,154号明細書
【特許文献17】米国特許第4,604,313号明細書
【特許文献18】米国特許第4,655,757号明細書
【特許文献19】米国特許第4,724,114号明細書
【特許文献20】米国特許第4,100,324号明細書
【特許文献21】英国特許第GB2,151,272号明細書
【特許文献22】米国特許第6,362,389号明細書
【特許文献23】米国特許出願第10/883174号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Fluid distribution: comparison of X-ray imaging Data, David F. Ring, Oscar Lijap and Joseph Pascente in Nonwovens Worldmagazine, summer 1995, at pages 65-70
【非特許文献2】Kinetics of One-dimensional Gel Swelling and Collapse for Large Volume Change, J. Singh and M. E. Weber, Chemical Engineering Science Vol. 51 No.19 pp 4499-4508 (1996)
【非特許文献3】Lichstein at pages 129-142 of the INDA Technological Symposium Proceedings, March 1974
【非特許文献4】NRL Report 4364, Manufacture of Super-Fine Organic Fibers, V. A. Wendt, E. L. Boone and C. D. Fluharty
【非特許文献5】NRL Report 5265, An Improved Device For the Formation of Super-Fine Thermoplastic Fibers, by K. D. Lawrence, R. T. Lukas and J. A. Young
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸収性物品の性能を向上させるための努力が継続的になされており、特に、液漏れの発生減少並びに装着感及び快適性の向上を図るべく、流体飽和レベルが高い場合における吸収性物品の性能を向上させる努力がなされている。このことは、吸収性物品の使用中に、液体侵襲を繰り返し受ける場合は特に重要である。吸収性物品設計の最近の取り組みは、より薄くかつより柔軟な吸収性構造体を作製するために、製品中の超吸収性材料の濃度を増加させること及び繊維の量を減少させることに概ね集中しているので、吸収性物品の性能向上はますます難しい問題となってきている。しかし、超吸収性材料の濃度を増加させることにより総吸収容量を増加させたとしても、それでもやはり、そのような吸収性物品は使用中に液漏れを発生し得る。そのような液漏れは、一部には、物品の吸収性コアにおける侵襲液体標的領域が高湿潤バルクを有することが原因であり得る。高湿潤バルクは、膨潤により前記標的領域内の圧力がより高くなることに起因して、前記複合材料のクラッキングまたは前記組成物からの液体の染み出し、並びに、ユーザにとっての全身の不快感をもたらし得る。そのため、液体吸上げ率を概ね維持したままで、従来のSAPを用いた複合材料よりも標的領域内の湿潤バルクを減少させた吸収性複合材料が求められている。
【0006】
加えて、前記高湿潤バルクは、一部には、吸収性複合材料の液体分布が不十分であることが原因であり得る。液体分布が不十分であると、特に標的領域の外側領域では、すべての超吸収性材料が液体を吸収するとは限らないため、吸収性複合材料の全体利用効率は低くなる。吸収性複合材料の液体分布は、分布可能な自由液体の量、吸収性複合材料の構造及び材料、及び時間的要素に概ね依存する。侵襲液体標的領域内の従来のSAPは、全ての侵襲液体を吸収するまで、または、SAPがその飽和点に達するまで、緩やかな比率で膨潤する傾向にあった。その結果、吸収性複合材料は、高湿潤バルクを有し、典型的には、吸収性物品内での望ましい液体分布を提供しない。そのため、液体吸上げ能力を概ね維持したままで、従来のSAPを用いた複合材料よりも吸収性物品内の液体分布を改善した吸収性複合材料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した要望に応えるために、本発明の吸収性組成物は、少なくとも約5g食塩水(すなわち、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)/1g組成物の第1の吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物と、約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構(随意的にカプセル化される)とを含み、前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、修正された遠心保持容量(Modified Centrifuge Retention Capacity:mCRC)試験で測定して、前記第1の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の吸収容量を有する。さらなる態様では、本発明の吸収性組成物は、約10分後ないし約120分後の第2の解放時間後且つ前記第1の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第2のトリガー機構をさらに含み、前記第2のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第2の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第3の総吸収容量を有する。他の態様では、本発明の吸収性組成物は、約15分後ないし約180分後の第3の解放時間後且つ前記第2の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第3のトリガー機構をさらに含み、前記第3のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第3の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第4の総吸収容量を有する。さらなる他の態様では、本発明の吸収性組成物は、約20分後ないし約240分後の第3の解放時間後且つ前記第3の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第4のトリガー機構をさらに含み、前記第4のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第4の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第5の総吸収容量を有する。
【0008】
いくつかの態様では、本発明の吸収性組成物は、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料よりも少なくとも約20%大きい、例えば少なくとも約50%大きいまたは少なくとも約100%大きい膨潤率を有する。
【0009】
本発明のいくつかの態様では、本発明の吸収性複合材料は、不水溶性繊維性マトリックスと、少なくとも約5g食塩水/1g組成物の第1の吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物と、約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構とを含み、前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第1の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の総吸収容量を有する。他の態様では、本発明の吸収性複合材料は、約10分後ないし約120分後の第2の解放時間後且つ前記第1の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第2のトリガー機構をさらに含み、前記第2のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第2の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第3の総吸収容量を有する。さらなる他の態様では、本発明の吸収性複合材料は、約15分後ないし約180分後の第3の解放時間後且つ前記第2の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第3のトリガー機構をさらに含み、前記第3のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第3の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第4の総吸収容量を有する。さらに別の態様では、本発明の吸収性複合材料は、約20分後ないし約240分後の第3の解放時間後且つ前記第3の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第4のトリガー機構をさらに含み、前記第4のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第4の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第5の総吸収容量を有する。
【0010】
いくつかの態様では、本発明の吸収性複合材料は、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料よりも少なくとも約20%大きい、例えば少なくとも約50%大きいまたは少なくとも約100%大きい膨潤率を有する超吸水性ポリマー組成物を含む。
【0011】
いくつかの態様では、本発明の吸収性物品は、少なくとも約5g食塩水/1g組成物の第1の吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物を含有する吸収性コアと、約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構とを含み、前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第1の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の吸収容量を有する。他の態様では、本発明の吸収性物品は、トップシート及びバックシートを含み、前記吸収性コアが前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される。
【0012】
いくつかの態様では、前記吸収性コアは、少なくとも約30重量%の超吸水性ポリマー組成物を含有する。他の態様では、前記吸収性コアは、少なくとも約60重量%ないし約95重量%の超吸水性ポリマー組成物を含有する。
【0013】
いくつかの態様では、前記吸収性コアは、綿毛をさらに含有する。他の態様では、前記吸収性コアは、複数の層から成る。さらなる他の態様では、前記複数の層のうちの少なくとも1つの層が、実質的に前記超吸水性ポリマー組成物のみから成り、前記複数の層のうちの少なくとも1つの別の層が、実質的に綿毛のみから成る。さらに別の態様では、前記吸収性コアは、界面活性剤をさらに含有する。
【0014】
いくつかの態様では、該吸収性物品が、パーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、またはスポーツ用/建設業用吸収性物品から選択される。
【0015】
本発明の様々な他の特徴及び利点が以下の説明から明らかになるであろう。以下の説明では、本発明の例示的な実施形態について説明する。そのような実施形態は、本発明の全範囲を表すものではない。それ故、本発明の全範囲を解釈するためには、特許請求の範囲を参照されたい。簡潔さ及び簡明さの理由から、本明細書に記載されているあらゆる数値範囲は、その範囲内の全ての値を含むことを意図するものであり、その範囲内の全ての実数値を末端値とする小範囲を記している特許請求の範囲をサポートするものと解釈される。具体的な例を挙げると、本明細書中における1から5という範囲の開示は、1−5;1−4;1−3;1−2;2−5;2−4;2−3;3−5;3−4;及び4−5の小範囲のいずれに対しても、特許請求の範囲をサポートすると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】負荷下吸収性試験に用いられる試験装置を示す側面図である。
【図2】垂直吸上げ率試験に用いられる試験装置を示す上面図である。
【図3】図6に示した垂直吸上げ率試験に用いられる試験装置の3−3線に沿った側断面図である。
【図4】膨潤率試験に用いられる装置を示す側面図である。
【図5】本発明に従って作製された吸収性物品の一実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5に示した吸収性物品の平面図である。吸収性物品は、留められていない、折り畳まれていない、平らに広げられた状態である。装着時にユーザと対向する面が示されており、下層の特徴を示すために一部が破断されている。
【図7】吸収性コアを製造するための方法及び装置の1つのバージョンを示す概略図である。
【図8】本発明の層状吸収性コアの側断面図である。
【図9】本発明の一態様の吸収性コアを示す斜視図である。
【図10A】本発明の吸収性創傷被覆材の側断面図である。
【図10B】本発明の吸収性創傷被覆材の上部斜視図である。
【図11】本発明の吸収性ベッド若しくは家具ライナーの上部斜視図である。
【図12】本発明の吸収性汗止めバンドの斜視図である。
【図13】パッド形態の吸収系の平らに広げた状態を示す図である。
【図14】1回目の侵襲液体を吸収した後の液体分布を示すグラフである。
【図15】2回目の侵襲液体を吸収した後の液体分布を示すグラフである。
【図16】3回目の侵襲液体を吸収した後の液体分布を示すグラフである。
【図17】段階的な吸収挙動を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
試験方法
【0018】
負荷下吸収性試験(Absorbency Under Load Test:AUL)
【0019】
負荷下吸収性(AUL)試験は、0.9psi負荷下における、室温での、超吸水性ポリマー粒子の食塩水溶液(試験溶液)吸収能力を測定する。AUL試験用の装置は、シリンダ、4.4gのピストン、及び317グラムの重りを含むAULアッセンブリから構成される。このアッセンブリの構成要素を、以下にさらに詳述する。
・平坦な底部を有するプラスチックトレイ。このトレイは、その上にガラスフリットをその壁部に触れることなく載置することが可能な十分な広さを有する。この試験方法には、22.9cm×22.9cm(9インチ×9インチ)の底面積と、1.3〜2.5cm(0.5〜1インチ)の深さを有するプラスチックトレイが一般的に使用される。
・「C」(20〜25ミクロン)の空隙率を有する直径12.5cmの焼結ガラスフリット。このフリットは、食塩水中での平衡化により事前に作成される。フリットは、少なくとも2部の新鮮な食塩水で洗浄するのに加えて、AUL測定前に食塩水中に少なくとも12時間浸漬させるべきである。
・ワットマン(Whatman)社製のグレード1、直径12.5cmの円形のフィルタ紙。
・食塩水の供給(0.9重量%塩化ナトリウム蒸留水溶液)。
【0020】
図1を参照して、超吸水性ポリマー組成物410を収容するに使用されるAULアッセンブリ400のシリンダ412は、同心であることを確実にするために若干機械加工された、内径2.54cm(1インチ)の透明なアクリル製の管から作成される。機械加工後、スクリーンのシリンダへの強固な接着を可能にする適切な溶剤を使用して、シリンダ412の底部に400メッシュのステンレススチールワイヤ布が接着される。スクリーンの開口部分に余分な溶剤が流れ込んで、液体が連通するための開口部を減少させないように気をつけるべきである。米国カリフォルニア州グラナダ所在のIPS社(IPS Corporation)製のアクリル溶剤Weld-On 4が、適切な溶剤である。封止に失敗したときや破れたときには、はんだごてを用いて修復することもできる。平坦で平滑な底部を維持し、かつシリンダ412の内部を変形させることがないように注意すべきである。
【0021】
4.4グラムのピストン416が直径2.5cm(1インチ)の固形材料(例えばプレキシグラス(PLEXIGLAS))から作製され、シリンダ412の内部と結合することなく密接に嵌合するように機械加工される。
【0022】
317gの重り418を用いて、約0.9psi(62,053ダイン/cm2)の制限負荷を与える。重りは、円筒状で、直径2.5cm(1インチ)のステンレス鋼製であり、シリンダの内部と結合することなく密接に嵌合するように機械加工される。
【0023】
特に指定がない限り、少なくとも約300gsm(0.16g)の超吸水性ポリマー粒子の層に相当するサンプル410が、AULの試験に使用される。サンプル410は、US標準#30メッシュによって事前にふるい分けされ、US標準#50メッシュ上に保持された超吸水性ポリマー組成物粒子から得られる。超吸水性ポリマー組成物粒子は、米国オハイオ州メンターのW.S.タイラー社から入手可能なRO-TAP機械式ふるい振とう器Model Bなどによって事前にふるい分けすることができる。ふるい分けは、10分間行われる。
【0024】
ふるい分けされた超吸水性ポリマー組成物粒子410の所望の量のサンプル(約0.16g)が、計量紙の上で計量され、シリンダ412の底部のワイヤ布414上に均等に分布させられる。シリンダの底部に置かれた超吸水性ポリマー組成物の重量は、後述するAUL計算で使用するために「SA」と記録される。超吸水性ポリマー組成物粒子が、シリンダの壁部に付着することがないように、気をつけるべきである。シリンダ412の内部に超吸水性ポリマー組成物粒子410を入れる前に、シリンダ412の内部を帯電防止布で拭いておく。シリンダ412内の超吸水性ポリマー組成物粒子410の上に、4.4gのピストン412と、317gの重り418を慎重に置いた後、シリンダ、ピストン、重り及び超吸水性ポリマー組成物を含むAULアッセンブリ400の重量を計測し、計測した重量を「A」として記録する。
【0025】
上述した焼結ガラスフリット424を、プラスチックトレイ420内に設置する。そして、焼結ガラスフリット424の上面のレベルまで、食塩水422を加える。一枚の円形のフィルタ紙426を、ガラスフリット上に優しく置く。その後、フィルタ紙426の上に、超吸水性ポリマー粒子410を含むAULアッセンブ400を置く。AULアッセンブ400は、トレイ内の食塩水のレベルを一定に保つことに注意を払いながら、1時間の試験期間中はフィルタ紙426上に置いたままにする。1時間の試験期間の終わりに、AUL装置の重量を計測し、その値を「B」として記録する。
【0026】
AUL(0.9psi)は、次のようにして計算する。
AUL(0.9psi)=(B−A)/SA
ただし、
A=乾燥SAPを含むAULユニットの重量
B=60分間吸収後の、SAPを含むAULユニットの重量
SA=実際のSAPの重量
【0027】
最低2回の試験を行い、結果を平均して0.9psi負荷下でのAUL値を求める。サンプルの試験は、約23℃の温度、約50%の相対湿度の条件下で行う。
【0028】
液体吸上げ率試験
【0029】
液体吸上げ率試験(Fluid Intake rate:FIR)試験は、吸収性構造体が、既知の量の試験溶液を吸上げる(吸収する必要は無い)のに要する時間を測定する。FIR試験を実施するための適切な装置200を、図2及び図3に示す。試験装置200は、全体的に202で示されるアッセンブリを含む。
【0030】
アッセンブリ202は、PLEXIGLAS(Degussa AG社(Dusseldorf, Germany)から入手可能)などの透明性材料から作製された概ね15.2cm(6インチ)×25.4cm(10インチ)の長方形プレート208を含み、長方形板208には中央開口部210が設けられている。約2.5cm(1インチ)の内径を有するシリンダ(液体送達チューブ)212が、中央開口部210においてプレート208に固定され、プレートに対して実質的に垂直に上方に延在する。プレートの中央開口部210は、長方形板208上に載置されるシリンダ212の内径と少なくとも等しい直径を有するべきである。しかし、その代わりに、中央開口部210の直径は、中央開口部210においてシリンダ212がプレートに固定されるように、中央開口部内にシリンダ212の外径を十分に受容できる大きさにすることもできる。
【0031】
アッセンブリ202(プレート208及びシリンダ212)の重量は約465gであり、FIR試験中に吸収体サンプル上に若干の圧力が加えられる。
【0032】
FIR試験を実行するために、例えばおむつなどの使い捨て型の吸収性物品に典型的に用いられる概ね砂時計パッド形状に切断された吸収性サンプル207の重量を計測し、計測した重量をグラム単位で記録する。前記パッドの適切な寸法は、長さ38cm(15インチ)、中央部の幅7.6cm(3インチ)、端部の幅12cm(4.75cm)である。その後、シリンダ212の中央がサンプル207の前端縁部から概ね11.4cm(4.5インチ)離れた所に位置しかつサンプルの横方向(幅方向)の中央に位置するように、アッセンブリ202をサンプル207の上に置く。試験溶液(室温の0.9重量%塩化ナトリウム蒸留水溶液、あるいは試験される他の特定の系に基づいた代替物)45gをシリンダ212の頂部に注入し、吸収体サンプル207に向かって落下させる。最初の水滴がサンプル207に接触したときにストップウォッチをスタートさせ、シリンダ212の端部とサンプル207との間の液体リングが消失した時点で止める。ストップウォッチの計測値を小数第2位まで記録し、45gの侵襲液体を吸収体サンプル207内に吸上げるのに要する吸上げ時間(秒)を示す。45gの最初の侵襲の3分後、25gの追加的な試験溶液をシリンダ212の頂部に注入し、吸収性サンプルに向かって落下させる。25gの侵襲液体が吸収体サンプル内に吸収されるのに要した時間は記録しない。25gの試験溶液(侵襲液体)は、最初の45gの試験溶液(侵襲液体)と同一または異なり得る。45gの試験溶液の侵襲と、その3分後に行われる25gの試験溶液の侵襲との組み合わせが、1回目の侵襲となる。
【0033】
上述した最初の45gの侵襲液体の侵襲開始から15分間経過後、1回目の侵襲液体と同じ2回目の侵襲液体をシリンダ212の上部に注入して、吸上げ時間を上述したようにして測定する。2回目の試験溶液は、1回目の試験溶液(侵襲液体)と同一または異なり得る。2回目の侵襲開始の15分後、上述した製品に対して3回目の侵襲を繰り返す。3回の侵襲のそれぞれについての吸上げ率(ミリリットル/秒)は、各侵襲液体の最初の侵襲パートに使用された溶液の量(45グラム)を、その侵襲パートについて測定された吸上げ時間で割ることにより求められる。
【0034】
各吸収試験は、少なくとも3つのサンプルをFIR試験し、結果を平均して吸上げ率を求める。
【0035】
液体分布試験
【0036】
この試験では、X線画像化を利用することにより、吸収系における様々な位置に存在する液体の量を求める。X線画像化は、当該技術分野では既知であり、例えば、非特許文献1に説明されている(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。一般的に、この手法は、湿潤サンプルと乾燥サンプルとのグレイスケールX線画像を比較することにより、様々な位置での液体含有量を計算する。そのようなX線装置は、例えば、米国コネティカット州ブランフォード市パークドライブ所在のプレシジョンエックスレイ社(Precision X-ray Inc.)から、筐体を有するモデル番号10561 HF 100として入手可能である。この装置は、米国コロラド州フォートコリンズ所在のオプティマス社(Optimus Inc.)からBIO-SCAN OPTIMATE S/N OPM4101105461 version 4.11として入手可能な画像分析ソフトウエアまたは同等物を使用し得る。このX線装置は、50Kvの管電圧、12mAの電流で、2秒間の曝露時間で作動する。
【0037】
上述した液体吸上げ試験などの他の試験と同時に液体分布分析を行う場合、X線画像化は特定の期間に行うべきである液体吸上げ率試験と同時に行う場合、サンプルは同一の重力方向(すなわち水平)に保つべきである。液体吸上げ率試験と同時に行う場合、X線画像は次の液体侵襲の直前に取得する。例えば、「第1の保持期間」(すなわち、各液体侵襲間の期間、または各液体侵襲後の期間)のためのX線画像は、第2の液体侵襲の直前に取得され、典型的には次回の液体侵襲の2分前以内に取得される。
【0038】
さらに、吸収体サンプルの厚さの測定は、X線画像の撮影前または撮影後に行われる。この厚さ測定は、液体吸上げ率試験で説明した上側アッセンブリからの液体送達チューブと整列するパッドの領域で行われる。厚さ測定は、例えば、日本所在のソニー・プレジジョン・テクノロジー(Sony Precision Technology Inc.)から入手可能なSONY DIGITAL INDICATORモデルU30A-Fなどの周知の装置を用いて行うことができる。厚さ測定中にサンプルに加えられる圧力は、0.1psi未満にすべきである。
【0039】
膨潤率試験
【0040】
この試験では、超吸水性材料が所与の液体で膨潤する率を測定する。0.160gの超吸水性材料を、0.3psi(2.1kPa)の呼び圧力下で、負荷下吸収シリンダ(上記の負荷下吸収性試験法で説明した)の5.07cm2の領域内に閉じ込める。皿に満たした試験液体をサンプルに吸収させる。既知の間隔で、26インチの水銀真空で作動させた真空装置を除去し、シリンダ内に余分な侵襲液体が存在しなくなった後に、サンプルの重量を測定する。この重量対時間のデータは、超吸水性材料の単一拡散係数値に変換される。この拡散係数は、或る特定の超吸水性材料の固有性質であり、超吸水体と試験液体との間の拡散率を特徴化する。超吸水性体の拡散の説明は、非特許文献2に記載されている(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。このモデルは、流束(フラックス)は濃度勾配に比例するという、フィックの拡散の第1法則に基づいている。
【0041】
膨潤率試験を実施するのに必要な装置には、以下のものが含まれる。
・電子てんびん、0.001gの精度、100g最小容量。
・図4を参照して、膨潤率試験装置910は、負荷下吸収(AUL)試験方法で上述した、シリンダ920、ピストン930及び重り990を備えるAULアッセンブリ925を含む。ただし、AUL試験では317の重りを用いたが、ここでは、100gの重りを用いる。この100gの重りは、米国ペンシルベニア州のウエストチェスター所在のVWRインターナショナル(VWR International)社から部品番号12727-141として入手可能である、またはその同等物が使用される。
・膨潤率試験装置910は、超吸水体サンプル950の膨潤中に吸上げられた侵襲液体を除去するのに使用されるAULチャンバも含む。このユニットは、要求吸収性テスタ(demand absorbency tester:DAT)と同様である。この試験装置は、米国マサチューセッツ州ダナーズ所在のM/Kシステムズ社(M/K Systems)から入手可能なGATS(gravimetric absorbency test system:重力測定吸収性試験装置)、並びに、非特許文献3に説明されている装置と同様である(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。直径2.5cmの領域内に限定して設けられたポートを有する、ポーテッドディスク935も利用される。
・液体層−ペトリ皿、プラスチック重り皿または過剰な液体を保持できる同様のもの。
・ステンレス鋼ワイヤまたは例えば8メッシュプラスチックスクリーンなどの大きな領域を有するプラスチックメッシュスクリーン。
・真空源‐吸引装置、ハウス真空ラインまたは真空ポンプ。
・側枝付きフラスコ960(図4)、フラスコの上部には、ゴム栓946及びチューブ955が嵌められている。
・ゴムまたはプラスチック製チューブ970(図4)。
・1秒間間隔で120分間計測可能なタイマー。
・ペーパータオルまたはティッシュ。
・静電気防止布。例えば、米国ニュージャージー州ワイコフ所在のイルフォードフォト社(Ilford Photo Corp.)から部品番号203547として入手可能なものまたは同等物。
・バルク超吸水性材料を示す粒径の分布が、試験に使用されるべきである。このことは、典型的には、回転分割機(spinning riffler)の使用を必要とする。適切な分割機は、英国ロンドン所在のマイクロスケール社(Microscal Limited)から市販されているModel SR 1Bである。分割機には、各個別のサンプル重量が0.160+/−0.005gmなどの十分な量の超吸水性材料を入れるべきである。
・真空装置。AULチャンバ940と側枝付きフラスコ960の上部にはめ込まれたチューブとを接続するのにチューブ970を使用する。真空源(図示せず)とフラスコ960の側枝980との間を接続するのにチューブ970を使用する。この側枝付きフラスコ960の目的は、サンプルから除去されたあらゆる液体を、真空装置に入る前に閉じ込めることである。側枝付きフラスコ960の安定性を高めるために、リングスタンドまたはリングスタンドと同様の固定器具にフラスコを取り付けることが望ましい。
・液体槽。液体槽皿(図示せず)の底部に、ワイヤメッシュ(図示せず)又は同様の大型メッシュプラスチックスクリーンを配置する。前記スクリーンは、AULアッセンブリ925を前記液体槽の上から下まで保持するように配置し、液体のサンプルへの自由なアクセスを可能にする。
【0042】
試験を実施するために、AULシリンダ920の内部を静電気防止布で拭き、シリンダ920、重り990及びピストン930の重さを計測する。計測した重さを容器重量(CONTAINER WEIGHT)としてグラム単位で記録する。
【0043】
シリンダ920に超吸水性材料950サンプル0.16±0.005gをゆっくりと注入する。超吸水性材料がAULシリンダの内側面と接触したり壁部に付着したりしないように注意されたい。
【0044】
シリンダ920、重り990、ピストン950及び超吸水体950の重量を計測し、前記てんびんの値を乾燥重量としてグラム単位で最も近いミリグラムまで記録する。
【0045】
超吸水性材料950がシリンダの底部で均一に分布するまで、AULシリンダ920を緩やかに揺らす。ピストン930及び重り990をシリンダにそっと取り付ける。
【0046】
大型メッシュスクリーンをその底部に有する液体槽内に、試験液体(0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液)を入れる。液体槽内のスクリーン上に超吸水性体サンプル950とシリンダアッセンブリ925を配置すると同時にタイマーによる測定を開始する。槽内の液面レベルは、前記シリンダの基部の上部よりも少なくとも1cm高くするべきである。サンプルに捕われている空気を放出させるために、サンプルが超吸水性材料が液体と接触しないように注意しながら、サンプルを緩やかに回転させる。
【0047】
各所定時間間隔で、2つのサンプルを試験するべきである。推奨される時間間隔は、30、120、300、600、1800及び3600秒である。
【0048】
指定された時間で液体槽からシリンダ920を取り出し、すぐにシリンダを真空装置(AULチャンバ940の上部のポーテッドディスク935)上に配置し、余分な過剰液体を約10秒間除去する。
【0049】
シリンダの外側をペーパータオルまたはティッシュで拭く。
【0050】
超吸水性材料及び吸収された試験液体を有するAULアッセンブリ(すなわち、シリンダ920、ピストン930及び重り990)の重量を即座に測定し、湿潤重量としてグラム単位で最も近いミリグラムまで記録する。また、対応する膨潤時間を、秒単位で記録する。
【0051】
指定時間での超吸水性材料の膨潤レベルは、下記の式によって計算される。
(湿潤重量−乾燥重量)/(乾燥重量−容器重量)=超吸水性材料の湿潤率(液体g/超吸水体g)
【0052】
要求される全ての時間間隔について繰り返す。重量測定のための適切な時間間隔は、超吸水性材料の吸収率に依存する。一般的に、比率曲線を完成させるために、重さ対時間のデータ点を少なくとも6つの取得すべきである。最初の試行は、十分に広い膨潤レベルの範囲に及ぶ時間間隔を決定するため、及び超吸水性材料の飽和容量を示すの使用される適切な時間間隔を決定するために行われる。この時間間隔は、膨潤レベルが膨潤平衡レベルに到達するように選択すべきである。
【0053】
記録された時間、重量、超吸水体の平均粒径、及び超吸水体の飽和容量を用いて、下記の方法により拡散係数を計算する。
【0054】
各時間間隔で、超吸水性材料の膨潤レベル(液体g/超吸水性材料g)を、飽和度に変換する(最も長い時間間隔で測定された超吸水性体の飽和容量に基づいて変換する)。その後、飽和度のデータを時間に対してプロットする。前述した非特許文献2に発見された拡散係数モデルを使用して、既知の最小二乗法または例えばマイクロソフト(登録商標)エクセル2003などの公的に入手可能なソフトウエアを利用した技術を用いて、前記モデルの膨潤率曲線が実験データに適合するまで、前記モデルからの前記拡散係数を調節する。実験データと最も適合する拡散係数を、超吸水性体の膨潤率と呼ぶことができる。
【0055】
粒径の測定法は、当該技術分野では公知であることに留意されたい。粒径分布試験に使用される1つの適切な方法は、積層されたふるい(各ふるいは次第に小さくなる開口を有する)の上部に超吸水性材料のサンプルを加える。ふるいを、所定の時間、機械的に攪拌し、その後、各ふるいに残った超吸水性材料の重量を計測する。各ふるいに残った超吸水性材料のパーセントを、超吸水性材料サンプルの最初の重量から計算する。
【0056】
本発明の段階的な吸収挙動を示す超吸水性材料の場合、各膨潤「段階」の膨潤率は、別々に測定される。各段階に用いられる飽和容量は、関心のある膨潤段階について測定された容量である。
【0057】
マネキン試験法
【0058】
マネキン試験法では、適切な大きさの、人間の胴体に相当する静止マネキンに吸収性物品を装着する。適切なマネキンは、米国ミシガン州カラマズー所在のマーケティング・テクノロジー・サービシ社(Marketing Technology Services, Inc.)から入手可能である。液体は、前記マネキンの内部を通るチューブから前記製品に供給される。前記製品からの液漏れが発生するとすぐに、その液漏れはセンサーにより検出され、前記液体の前記製品への供給は中止される。液漏れ時までに前記製品に供給された液体の量は、マネキンへの装着前及び装着後の前記製品の重量を測定することにより求められる。
【0059】
本明細書中に開示されたマネキン試験法を用いて、製品の液漏れ性能を評価する。静止マネキンシステム上で、食塩水の液漏れを試験する。静止マネキンシステムは、評価のためのマネキンを同一姿勢(この場合、腹臥位)に保った状態での強制的な液漏れプロトコルに使用されることができる(製品ユーザがうつぶせの状況をシミュレートする)。マネキンシステムは、コンピュータ制御されたバルブ及びセンサーの組み合わせを使用し、特定のマネキンへ液体を自動的に供給すると共に、液漏れの発生時を検出する。液体の供給量及び頻度は、制御することができる。特定の試験では、これらの条件は一定にする。製品の液漏れがセンサーによりまたは視覚的に検出されたとき、マネキンから製品を取り外して製品の重量を測定し、製品に吸収された液体の量(液漏れ時の吸収量)を求める。随意的に、マネキンから製品を取り外した後に、前記製品をX線撮影し、上述した液体分布試験に説明したようにして液体分布を求めることもできる。また、随意的に、各製品コードについて、液漏れ発生時平均吸収量並びに累積液漏れ分布曲線をデータとして報告することもできる。
【0060】
定義
【0061】
本開示に使用される場合、「含む」という用語及び「含む」という語根からの他の派生語は、任意の言及された特徴、要素、整数、工程、部品の存在を明示する、限定の意味を伴わない用語を意図しており、1つ又は複数の特徴、要素、整数、工程、部品又はそれらのグループの存在あるいは追加を排除するものではないことに留意すべきである。
【0062】
「吸収性物品」という用語は、一般的に、液体を吸収し、それを保持する手段を意味する。例えば、パーソナルケア用吸収性物品は、皮膚に接してまたは近接して配置され、身体から排泄される種々の液体を吸収して保持する手段を意味する。
【0063】
「コフォーム」という用語は、メルトブローンポリマー材料を空中成形しながら、それと同時にメルトブローン繊維流内に空気浮遊セルロース繊維を吹き込むことにより成形された、メルトブローン繊維とセルロース繊維との混合体を意味する。コフォーム材料は、超吸収性材料などの他の材料も含むこともできる。木質繊維及び/または他の材料を含むメルトブローン繊維は、例えば少孔を有するベルトなどにより提供される成形面上に堆積させられる。成形面は、該成形面上に配置されるスパンボンド布材料などの、気体透過性材料を含み得る。
【0064】
「架橋」という用語は、超吸収性ポリマーに関して用いる場合、通常は水溶性の材料を、実質的に水不水溶性であるが膨潤可能な材料へ効果的に改変するための任意の手段を意味する。このような架橋手段には、例えば、物理的交絡、結晶ドメイン、共有結合、イオン錯体及び会合、水素結合などの親水性会合、疎水性会合、又はファンデルワールス力が含まれる。
【0065】
「使い捨て」という用語は、本明細書では、1度使用した後に洗濯及び他の方法で状態回復させて吸収性物品として再利用することが意図されていない吸収性物品を表すのに用いられる。
【0066】
「弾性」、「エラストマー性」、「弾性的」、「伸縮性」、「弾性的」及び「弾性的な伸縮性」という用語は互換的に使用され、天然ゴムの特性に近い特性を一般的に示す材料又は複合体を意味する。エラストマー性材料は一般的に伸張又は他の方法で変形可能であり、伸張力又は変形力が取り除かれた後はその形状の大部分は復元される。
【0067】
「流体不透過性」、「液体不透過性」、「流体不透過性」及び「液体不透過性」は、通常の使用条件下で、層または積層体の平面と接触した水または体液などの流体が、前記平面に対して実質的に垂直な方向においては、前記層または積層体を実質的に通過しないことを意味する。
【0068】
「保健用/医療用吸収性物品」という用語は、種々な職業用及び消費者用ヘルスケア製品を含み、そのようなものとしては、これらに限定しないが、例えば、熱治療又は低温治療を施すための製品、医療用ガウン(すなわち防護用及び/又は手術用ガウン)、手術用ドレープ、帽子、手袋、顔面マスク、包帯、外傷用手当用品、拭き布、カバー、コンテナ、フィルタ、使い捨て衣類及びベッドパッド、医療用吸収性衣類、アンダーパッドなどを含む。
【0069】
「家庭用/産業用吸収性物品」という用語は、建設業用及び包装用の供給品、洗浄及び殺菌用の製品、拭き布、カバー、フィルタ、タオル、使い捨て切断シート、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、不織ロール製品、家庭用快適製品(例えば枕、パッド、マット、クッションなど)、マスク及び身体ケアー製品(例えば皮膚を清浄又は処理するために使用される製品)、実験用コート、作業服、ごみ箱、染み抜き剤、局所用組成物、ペットケア用吸収性ライナー、洗濯用汚れ/インク吸収体、洗剤の塊、親油性流体セパレータなどを含む。
【0070】
「親水性」及び「湿潤性」という用語は、互換的に使用され、空気中での水との接触角が90度未満の材料を意味する。「疎水性」という用語は、空気中での水との接触角が少なくとも90度である材料を意味する。本出願の目的において、接触角測定は、「表面及びコロイド科学−実験的方法」、第II巻、Robert J. Good、及び、Robert J. Stromberg編(プレナム・プレス、1979年)に記載されているようにして求められ、前記文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす。
【0071】
「層」という用語は、単数形で使用される場合は、単一要素又は複数要素の2つの意味を持つことができる。
【0072】
「MD」または「マシン方向」は、吸収性ウェブにおける、成形ファブリックの進行方向と平行でありな方向を意味し、一般的に、成形面により作成された平面内にある。「CD」または「クロスマシン方向」は、MDと垂直な方向を意味し、一般的に、成形面により作成された平面内にある。MD及びCDの両方は、一般的に、成形面と平行な平面を画定する。「ZD」または「Z方向」は、MD及びCDによって形成された平面に対して垂直な方向を意味する。
【0073】
「メルトブローン繊維」という用語は、溶融した熱可塑性材料を、通常は円形の断面形状を有する複数の微細なダイキャピラリから溶融した溶融糸あるいは単繊維として、通常は高温の高速ガス(例えば空気)流中へ押し出し、その流れにより溶融した熱可塑性材料の単繊維の直径を減少させることにより形成される繊維を意味する。コフォーム工程の特別な場合では、前記メルトブローン繊維流は、異なる方向から導入された1つまたは複数の材料流と交差する。その後、メルトブローン繊維及び他の材料は、高速ガス流により運ばれ、収集面上に堆積される。成形されたウェブ内でのメルトブローン繊維の分布及び方向は、形状及び工程条件に依存する。あるプロセス及び器具の条件下では、作製された繊維は、実質的に「連続的」であり得、顕微鏡によって10倍または20倍の倍率で複数の視野を検査した際に、分離、壊れた繊維またはテーパーされた端部が少ししかないと定義される。「連続的」なメルトブローン繊維が作製された場合、一般的に、個々の繊維の側面は、個々の繊維長さにおいて、繊維径の最小変化と平行である。対照的に、他の条件下では、繊維はオーバードローされ得、糸は破壊され、一連の不規則さ、別々の繊維長さ、及び多数の壊れた端部を形成する。一旦縮径され破壊された繊維の収縮は、多くの場合、ポリマーの大きな凝集をもたらす。
【0074】
「不織」及び「不織ウェブ」という用語は、編成織物のように識別可能な繰り返し方法ではない方法によってインターレイ(interlaid)された個々の繊維又は単繊維の構造を有する材料またはウェブを指す。「繊維」及び「単繊維」という用語は、本明細書中では互換的に使用される。不織布又はウェブは、例えばメルトブローン法、スパンボンド法、空気集積法、及びボンディング・カーディン(bonded carded)ウェブ法などの様々な方法により作製されてきた。不織布の坪量は通常、材料の1平方ヤード当たりのオンス(osy)または1平方メートル当たりのグラム(gsm)で表され、繊維の直径は通常はミクロンで表される(osyをgsmに変換するには、osyに33.91を乗ずることに留意されたい)。
【0075】
「粒子」という用語は、「超吸水性」と共に使用される場合は、一般的に個々の構成単位を意味する。前記構成単位は、粒子、顆粒、繊維、薄片、塊、球体、針状体、繊維または他の添加物で被覆された粒子、粉末材料、粉体、膜、その他、及びそれらの組み合わせを含むことができる。前記材料は、例えば立方体、棒状、多面体、球体または半球体、円形または半円形、角形、不規則形などの、任意の所望の形状を有することができる。
【0076】
「パーソナルケア用吸収性物品」という用語は、これらに限定しないが、オムツ、パンツ型オムツ、子供用拭き布、訓練用パンツ、吸収性下着、子供用ケアーパンツ、水着、及び他の使い捨て衣類;生理用ナプキン、拭き布、月経用パッド、月経用パンツ、パンティライナー、パンティーシールド、陰唇内挿具、タンポン及びタンポンアプリケーターを含む女性用ケアー製品;拭き布、乳房用パッドなどのパッド、コンテナ、失禁用製品及び尿用シールドを含む大人用ケアー製品;衣服用部品;よだれ掛け;アスレチック及びレクレーション用製品などの吸収性物品を含む。
【0077】
「ポリマー」という用語は、これらに限定しないが、ホモポリマー、コポリマー(例えばブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマーなど)、ターポリマー、その他、並びにそれらの混合物及び修飾物を含む。さらに、特に指定がない限り、「ポリマー」という用語は、その材料のあらゆる可能な配置異性体を含むものとする。これらの構成には、これらに限定しないが、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチック対称が含まれる。
【0078】
一般的に、本明細書中で使用される「ポリオレフィン」という用語は、これらに限定しないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマーなどの材料、それらのホモポリマー、コポリマー及びターポリマー、並びに、それらの混合物及び修飾物を含む。「ポリオレフィン」という用語は、それのあらゆる可能な構造を含むべきであり、そのような構造には、これらに限定しないが、アイソタクチック、シンジオタクチック及びランダム対称などが含まれる。コポリマーには、ランダム及びブロックコポリマーが含まれる。
【0079】
特に指定がない限り、「食塩水」という用語は、0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液を意味する。
【0080】
「スポーツ用/建設業用吸収性物品」という用語は、ヘッドバンド、リストバンド及び他の汗吸収のための補助物品、スポーツ用品のグリップ及びハンドル用の吸収用巻回物、タオル、または、使用中に器具を清掃及び乾燥させるための吸収性ワイパを含む。
【0081】
「スパンボンド」及び「スパンボンド繊維」という用語は、溶融した熱可塑性材料を、スピナレット(spinneret)の通常は円形の断面形状を有する複数の微細なキャピラリから、単繊維として押し出し、その後、押し出された繊維の直径を急激に縮径させることにより形成される繊維を意味する。
【0082】
「伸縮性」という用語は、伸縮可能であるか、あるいは、弾性的に伸縮可能な材料を意味する。
【0083】
「超吸収体」という用語は、最も好ましい条件下で、約0.9重量パーセントの塩化ナトリウムを含有する水性溶液内で、それ自体の重量の少なくとも約5倍を、またはそれ自体の重量の少なくとも約10倍を、またはそれ自体の重量の少なくとも約20倍の量を吸収することが可能な、水膨潤性の不水溶性有機材料若しくは無機材料を意味する。
【0084】
「標的領域」という用語は、吸収性コアにおける、例えば尿、月経または排便などの侵襲液体の大部分が最初に接触するのに特に望ましい領域を意味する。特に、吸収性コアに1つまたは複数の液体侵襲地点が設けられる場合、液体侵襲標的領域は、吸収性コアにおける、各液体侵襲地点から両方向に前記複合材料の全長の15%と等しい長さまで延在する領域を意味する。
【0085】
「熱可塑性物質」という用語は、熱に曝されると軟化し、室温まで冷却されると非軟化状態に実質的に戻る材料を意味する。
【0086】
「重量パーセント」という用語は、本明細書中において超吸水性ポリマー組成物の成分に関連して使用される場合、特に指定がない限り、超吸水性ポリマー組成物の乾燥重量に基づくと解釈される。
【0087】
これらの用語は、本明細書の残りの部分において付加的な言葉によって定義される場合がある。
【0088】
詳細な説明
【0089】
本発明の吸収性複合材料は、吸収性物品に有用である。本発明の吸収性物品は、吸収性コアを含み得、さらには、吸収性コアをその間に配置するトップシート、バックシートを含み得る。吸収性コアは、本発明の吸収性組成物を含む吸収性複合材料から構成される。
【0090】
本発明をより良く理解するために、本発明のトレーニングパンツの例示を目的とする図5及び図6に注目されたい。本発明は、これらに限定しないが、例えば、他のパーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、またはスポーツ用/建設業用吸収性物品などの様々な他の吸収性物品に適用可能であることを理解されたい。
【0091】
トレーニングパンツを作製するための様々な材料及び方法が、特許文献1ないし特許文献4に開示されている(これらの文献は全て、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0092】
図5は、部分的に留められている状態のトレーニングパンツを示す。図6は、開かれた、折り畳まれていない状態のトレーニングパンツを示す。トレーニングパンツは、着用時の前面から後面へ延びる縦方向48を規定する。縦方向48に垂直な方向が横方向49となる。
【0093】
トレーニングパンツは、前方領域22、後方領域24、及び、前方領域22と後方領域24との間で縦方向に延在し両者を相互接続する股領域26を規定する。また、トレーニングパンツは、使用時に着用者に面するように構成された(例えば、トレーニングパンツの他の構成要素よりも内側に配置された)内面、及び、前記内面の反対側に設けられた外面を規定する。このトレーニングパンツは、横方向の両端に設けられた一対の側縁部、及び、縦方向の両端に設けられた一対のウエスト端部を有する。
【0094】
図示したトレーニングパンツ20は、胴体部32、前方領域22における横方向両側部に設けられた一対の前方側面パネル34、及び、後方領域24における横方向両側部に設けられた一対の後方側面パネル134を含み得る。
【0095】
胴体部32は、バックシート40及びトップシート42を含み、トップシート42は接着剤、超音波接合、熱接合またはその他の従来技術によってバックシート40に接合され得る。胴体部32は、図5に示すような、バックシート40とトップシート42との間に配置された、着用者から滲出する体液(滲出液)を吸収するための吸収性コア44をさらに含み得る。また、胴体部32は、トップシート42または吸収性コア44に固定された、身体滲出液の側方流動を阻止するための一対の封止フラップ46をさらに含み得る。
【0096】
バックシート40、トップシート42及び吸収性コア44は、当該技術分野で既知の様々な材料から作製され得る。これら3つの層は全て、例えば、伸縮可能及び/または弾性伸縮可能であり得る。あるいは、各層の伸縮性は、製品全体での伸縮性を調節するために、それぞれ異なり得る。
【0097】
バックシート40は、例えば、通気性及び/または液体不透過性であり得る。バックシート40は、1つの層、複数の層、積層、スパンボンド繊維、フィルム、メルトブローン繊維、弾性網、微小孔性ウェブ、またはボンディング・カーディングされたウェブから作製され得る。バックシート40は、例えば、液体不透過性材料の単層であり得るか、あるいは、少なくとも一層が液体不透過性である多層積層構造であり得る。
【0098】
バックシート40は、2軸方向に伸縮性であり得、随意的に2軸方向に弾性であり得る。バックシート40として使用することができる弾性不織積層ウェブには、1つ若しくは複数のギャザー寄せ可能な(gatherable)不織ウェブ若しくはフィルムに接合された不織材料が含まれる。エラストマー複合材料の例えばは、伸縮結合積層体(SBL)及びネック結合積層体(NBL)が挙げられる。
【0099】
適切な不織材料の例には、スパンボンド/メルトブローン繊維、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド繊維、スパンボンド繊維、またはフィルムとそれらの繊維の積層体、あるいは他の不織ウェブが含まれる。エラストマー材料には、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリオレフィンエラストマー並びにそれらの組み合わせから成る、キャスト若しくはインフレーションフィルム、メルトブローン繊維またはスパンボンド繊維が含まれ得る。エラストマー材料には、PEBAXエラストマー(米国ペンシルベニア州フィラデルフィア所在のアトフィナケミカルズ社(AtoFina Chemicals, Inc.)から入手可能)、HYTREL弾性ポリエステル(米国カンザス州ウィチタ所在のインビスタ社(Invista)から入手可能)、KRATONエラストマー(米国テキサス州ヒューストン所在のクレイトン・ポリマーズ社(Kraton Polymers)から入手可能)、またはLYCRAエラストマー(インビスタ社から入手可能)など、並びにそれらの組み合わせが含まれ得る。バックシート40には、機械的処理、印刷処理、加熱処理または化学処理を経てエラストマー性を有する材料が含まれ得る。例えば、そのような材料は、開口加工、クレープ加工、ネッキングストレッチ加工、加熱活性化、エンボス加工及びマイクロストレイン加工(micro-strained)され得、かつ、フィルム、ウェブ及び積層体の形態であり得る。
【0100】
2軸方向伸縮性バックシート40の適切な材料の一例は、例えば特許文献5(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)に説明されているような通気性弾性フィルム/不織積層体である。2軸方向伸縮性を有する材料の例は、特許文献6及び特許文献7に開示されている(両文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。特許文献6及び特許文献7には、少なくとも2つの方向に伸縮可能な複合弾性材料が説明されている。この材料は、少なくとも1つの弾性シートと、該弾性シートに結合された少なくとも1つのネック化材料若しくは可逆的にネック化された材料とを有する。前記ネック化若しくは可逆的にネック化されたウェブは、非線形配置された少なくとも3ヶ所の位置のうちの2ヶ所の位置の間でギャザー寄せされるように前記弾性シートに結合される。
【0101】
トップシート42は、柔軟で、柔らかい肌触りで、かつ着用者の皮膚を刺激しないことが適切である。トップシート42は、身体滲出液を吸収性コア44の厚さ方向に迅速に透過させるのに十分な液体透過性も有する。適切なトップシート42は、例えば多孔質発泡体、網状発泡体、開口加工されたプラスチックフィルム、織ウェブ、不織ウェブまたはそれらの任意の材料の組み合わせなどの様々なウェブ材料から作製され得る。例えば、トップシート42には、天然繊維、合成繊維またはそれらの組み合わせから成る、メルトブローンウェブ、スパンボンドウェブまたはボンディング・カーディングされたウェブが含まれる。トップシート42は、実質的に疎水性の材料から構成され得る。前記疎水性材料は、随意的に、所望のレベルの湿潤性及び親水性を付与するために界面活性剤または他の方法で処理され得る。
【0102】
トップシート42はまた、伸縮可能及び/または弾性的に伸縮可能であり得る。トップシート42の作製に適切な弾性材料には、弾性ストランド、ライクラー(LYCRA)エラストマー、キャスト若しくはインフレーション弾性フィルム、不織弾性ウェブ、メルトブローン若しくはスパンボンド弾性繊維ウェブ、並びにそれらの組み合わせが含まれ得る。適切な弾性材料の例には、クレイトン(KRATON)エラストマー、ハイトレル(HYTREL)弾性ポリエステル、エステン(ESTANE)弾性ポリウレタン(米国オハイオ州クリーブランド所在のノベオン社(Noveon)から入手可能)、またはペバックス(PEBAX)エラストマーが含まれ得る。トップシート42は、特許文献8に説明されている伸縮可能材料から作成することもできる(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。トップシート42は、特許文献9に説明されているような2軸方向に伸縮可能な材料から作成することもできる(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0103】
物品20は、随意的に、吸収性コア44に隣接して配置され接着などの当該技術分野で既知の方法によって例えば吸収性コア44またはトップシート42などの物品20の様々な要素に取り付けられ得るサージ管理層をさらに含み得る。一般的に、サージ管理層は、物品の吸収性構造体内に急速に導入された波となって打ち寄せるまたは勢い良く流れる液体の迅速な吸収及び拡散を促進する。サージ管理層は、吸収性コア44の保持部分に放出される前の液体を一時的に保持することができる。適切なサージ管理層の例は、特許文献10ないし特許文献12に説明されている(これらの文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0104】
物品20は、本発明の吸収性複合材料を含む吸収性コア44をさらに含み得る。吸収性コア44は、様々な形状を有し得る。例えば、吸収性コア44は、2次元構造または3次元構造を有し得、長方形、三角形、楕円形、レーストラック形、I字型、概ね砂時計形、T字形などであり得る。多くの場合、吸収性コア44は、股部分26を後側部分24または前側部分22よりも狭くすることが適切である。吸収性コア44は吸収性物品内において例えばバックシート40及び/またはトップシート42に、例えば超音波、加圧、接着、開口形成、加熱、糸若しくはストランドの縫合、自発的若しくは自己接着、フックアンドループ、またはそれらの組み合わせなどの当該技術分野で既知の結合手段を用いて取り付けることができる。
【0105】
いくつかの態様では、吸収性コア44は、十分な量の伸縮性を有し得る。例えば、吸収性コア44は、有効な量の弾性ポリマー繊維を含有する繊維マトリクスを含み得る。当該技術分野で既知の他の方法には、その構造内に切断部または切込部を有する不織基材を利用して、伸縮可能フィルムに超吸水性ポリマー粒子を付着させる方法などがある。
【0106】
吸収性コア44は、当該技術分野で既知の方法を用いて作製され得る。特定の作製方法に限定するものではないが、吸収性コアはメルトブローン工程を利用して作成することができ、かつ、随意的にコフォームライン上に形成することができる。例示的なメルトブローン工程は、様々な刊行物(非特許文献4及び5)や特許文献(特許文献13及び14)に説明されている(これらは、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0107】
「コフォーム」材料を作製するために、メルトブローン繊維を成形面に堆積させるときに、メルトブローン繊維に追加的な成分が混合される。例えば、本発明の超吸水性ポリマー組成物及び例えば木材パルプ繊維などの綿毛を、メルトブローン繊維に捕捉及び/または結合されるように、メルトブローン繊維流の中に注入する。例示的なコフォーム工程は、特許文献15〜21に説明されている(これらの各特許文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。大量の超吸収体を含有している吸収性の弾性メルトブローンウェブが特許文献22に説明されており、大量の超収体を含有しかつ低い超収体シェイクアウト値を有する吸収性の弾性メルトブローンウェブが特許文献23に説明されている(両特許文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0108】
本発明に使用される吸収性コア44の作製方法の一例が図7に示されている。図7の装置の態様は、一例えば示されている。異なる態様及び/または異なる構造を有する他の種類の装置も、吸収性コア44の作製に使用し得る。図7に示すように、ペレット形態のエラストマー材料72が、2つのペレットホッパー74から2つの単軸スクリュー押し出し機76を通ってスピンポンピング78へ供給される。エラストマー材料72は、エクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)(米国テキサス州ヒューストン所在の)からビスタマックス(VISTAMAXX)2370の商品名で市販されている多成分エラストマー混合体並びに本明細書中で言及した他のものであり得る。各スピンポンプ78から個々のメルトブローンダイ80へ、エラストマー材料が供給される。各メルトブローンダイ80は、2.54cm(1インチ)当たり約30個の孔を有する。前記ダイの傾斜は、0度から70度の間で任意に調節され、適切には45度に設定される。成形高さは最大で約40.64cm(約16インチ)であり得る。しかし、この制限は、装置の種類によって異なり得る。
【0109】
約61cm(約24インチ)の幅を有するシュート82がメルトブローンダイ80,80の間に配置される。シュート82の深さ(すなわち厚さ)は、約1.3cmないし約3.2cm(約0.5インチないし約1.25インチ)、または約1.9cmないし約2.5cm(約0.75インチないし約1.0インチ)の範囲で調整され得る。シュート82の上部にピッカー144が接続される。ピッカー144はパルプ繊維86をほぐすのに使用される。ピッカー144の使用は、低強度または分解された(処理された)パルプの処理に限定され得る。その場合、ピッカー144を使用する図示した方法は、非常に小範囲のパルプ種類の処理に限定され得る。ハンマーを使用してパルプ繊維に衝撃を繰り返して与える従来の粉砕機とは対照的に、ピッカー144は小型の歯を使用してパルプ繊維86をばらばらにほぐす。図7に図示した方法に使用するための適切なパルプ繊維86には、例えばNB480(米国ワシントン州フェデラルウエイ所在のウェアーハウザー社(Weyerhaeuser Co.)から入手可能)などの本明細書中で言及したものが含まれる。
【0110】
シュート82におけるピッカー144と反対側の端部には、超吸水性ポリマー供給機88が接続されている。供給機88は、パイプ94の孔92に、本発明の超吸水性ポリマー組成物90を注入する。超吸水性ポリマー組成物90は、パイプ94から送風ファン96に供給される。送風ファン96の長さは、直径約10cm(4インチ)のパイプ98が、超吸水性ポリマー組成物粒子90の分散を可能にする約1524m/分(5000フィート/分)の完全発達乱流を十分に発達させることができる長さにする。パイプ98の直径は、超吸水性ポリマー組成物90がパルプ繊維86と混合する地点で約10cm(4インチ)から約61cm×1.9cm(約24インチ×0.75インチ)に広がる。そして、超吸水性ポリマー組成物90とパルプ繊維86の混合物は前記混合地点から真下に落下し、混合物の両側にエラストマー材料72が約45度の角度で混合する。超吸水性ポリマー組成物90とパルプ繊維86とエラストマー材料72の混合物は、約4.27〜10.67m/分(約14〜35フィート/分)ワイヤーコンベヤ100上に落下する。また一方、コンベヤ100に当たる前に、スプレーブーム102が前記混合物に対して界面活性剤の水性混合物104を霧状に噴霧する。このことにより、作製された吸収性コア44は、湿潤性に改変される。界面活性剤混合物104は、GLUCOPON 220UP(米国オハイオ州のシンシナティ所在のコグニス社(Cognis Corporation)から収入可能)と、AHCOVEL Base N-62(米国デラウェア州ニューカッスル所在のユニケマ社(Uniqema)から収入可能)との混合比1:3の混合物であり得る。吸収性コア44の成形を補助するために、ワイヤ下真空機106がコンベヤ100の真下に配置されている。
【0111】
一般的に、吸収性コア44は、実質的に均一分布の超吸水性ポリマー組成物粒子、繊維、及び任意の他の随意的な添加物を含む単一構造体である場合が多い。しかし、図8を参照して、いくつかの態様では、吸収性コア44は、本発明の超吸水性ポリマー組成物粒子を組み合わせた場合、構造改変によってさらに強化され得る。例えば、NB480または他の天然若しくは合成繊維などの綿毛繊維を十分に含有する層62と層64との間に、本発明の超吸水性ポリマー組成物粒子を十分に含有する層60を設けることにより、超吸水性ポリマー組成物粒子及び綿毛繊維を実質的に均一に分布させる場合よりも、吸収性コアの吸収性(例えば侵襲液体の吸収率)を向上させることができる。このような積層化は、吸収性コアのz方向において行われ、随意的に、吸収性コアのx−y領域完全をカバーする。また一方、層60、62及び64は、互いに異なる必要はない。例えば、いくつかの態様では、吸収性コアのz方向の中央部分60に、吸収性コアの上側層62及び/または下側層64よりも高い割合(例えば、少なくとも10重量%)の超吸水性ポリマー組成物粒子が含まれるようにするだけでもよい。層60、62及び64は、吸収性コアにおける侵襲標的領域内に存在することが望ましい。
【0112】
上述したように、吸収性コア44は、例えば超吸水性ポリマー組成物及び/または綿毛などの吸収性材料も含む。さらに、有効な量の超吸水性ポリマー組成物を、例えばポリマー繊維などの繊維マトリックス内に含めることができる。したがって、吸収性コア44は、繊維マトリックス内に、大量の超吸水性ポリマー組成物及び/または綿毛を含むことができる。いくつかの態様では、向上した利益を吸収性コアに提供するためには、吸収性コア44内の超吸水性ポリマー組成物の量は、前記コアの重量の少なくとも約10重量%、例えば少なくとも約30重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約90重量、少なくとも約10重量%ないし約99重量%、少なくとも約30重量%ないし約90重量%などであり得る。随意的に、超吸水性ポリマー組成物の量は、吸収性コアの重量の少なくとも約95重量%であり得る。他の態様では、吸収性コア44は、約35重量%またはそれ未満の、例えば約20重量%またはそれ未満、約10重量%またはそれ未満の綿毛を含むことができる。
【0113】
本発明は、超吸水性ポリマー組成物粒子及び/または綿毛の使用に限定されないことを理解されたい。いくつかの態様では、吸収性コア44は、追加的にまたは代替的に、例えば界面活性剤、イオン交換樹脂粒子、湿潤剤、皮膚軟化剤、香料、天然繊維、合成繊維、流体改変剤、悪臭防止添加剤、及びそれらの組み合わせなどの材料を含み得る。あるいは、吸収性コア44は、発泡体を含むことができる。
【0114】
より良く機能させるために、吸収性コア44は、向上した性能の他にもユーザにとっての快適性及び信頼性も提供するためのいくつかの望ましい性質を有することができる。例えば、吸収性コア44は、液体吸上げ率、吸収容量、液体分配または適合性(例えば形状維持及び審美性)などの吸収特性の所望の組み合わせを提供するために選択的に構成され配置された、吸収容量、密度、坪量及び/または大きさに対応した構造を有することができる。同様に、吸収性コアは、所望の湿潤対乾燥強度比、平均流孔径、透過性及び伸び値を有することができる。
【0115】
上述したように、吸収性コア44は、随意的に、エラストマー性ポリマー繊維を含むことができる。前記ポリマー繊維のエラストマー性材料は、所望に応じて、オレフィン系エラストマーまたは非オレフィン系エラストマーを含み得る。例えば、前記エラストマー性繊維は、オレフィンコポリマー、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリイソプレン、架橋ポリブタジエン、ジブロック、トリブロック、テトラブロックまたは他のマルチブロック熱可塑性エラストマー性及び/または柔軟性コポリマー(例えばブロックコポリマー(水素化ブタジエン−イソプレン−ブタジエンブロックコポリマー)など);ステレオブロックポリプロピレン;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーまたはエチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)エラストマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー(EPM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、及びエチレン−アクリル酸メチル(EMA)を含むグラフトコポリマー;クラトン社(Kraton Inc.)からKRATONエラストマー性樹脂の商品名で市販されているまたはエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)の一部門であるデキスコ(Dexco)からVECTOR(SIS及びSBSポリマー)の商品名で市販されている、例えばスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン(SIBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)またはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)などのジブロック及びトリブロックコポリマーを含むスチレンブロックコポリマー;動的に加硫されたエラストマー−熱可塑性混合体を有する熱可塑性エラストマーの混合体;熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー;アイオノマー系熱可塑性エラストマー;インビスタ社(Invista Corporation)からLYCRAポリウレタンの商品名で市販されているもの、及び米国オハイオ州クリーブランド所在のノベオン社(Noveon, Inc.)からESTANEの商品名で市販されているものを含む熱可塑性弾性ポリウレタン;米国ペンシルベニア州フイラデルフイア所在のアトフィナケミカルズ社(AtoFina Chemicals, Inc.)からPEBAXの商品名で市販されているポリエーテルブロックアミドを含む熱可塑性弾性ポリアミド;ポリエーテルブロックアミド;デュポン社(E. I. Du Pont de Nemours Co.)からHYTRELの商品名で市販されているもの、米国インディアナ州エバンズビル所在のDSMエンジニアリングプラスチックス社(DSM Engineering Plastics)からARNITELの商品名で市販されているもの、及び、米国テキサス州フリーポート所在のダウケミカル社(Dow Chemical Co.)からAFFINITYの商品名で市販されている約0.89g/立方メートル未満の密度を有するシングルサイトまたはメタロセン触媒ポリオレフィンを含む熱可塑性弾性ポリエステル;並びにそれらの組み合わせを含み得る。
【0116】
本明細書中では、トリブロックコポリマーは、ABA構造を有する。ここで、AはA型のいくつかの反復単位を示し、BはB型のいくつかの反復単位を示す。上述したように、スチレンブロックコポリマーのいくつかの例は、SBS、SIS、SIBS、SEBS及びSEPSである。これらのコポリマーでは、Aブロックはポリスチレンであり、Bブロックはゴム性成分である。一般的に、これらのトリブロックコポリマーは、数千から数百までの様々な分子量を有し、スチレン含有量は、トリブロックコポリマーの総量に基づいて5%から75%の範囲であり得る。ジブロックコポリマーは、AB構造であることを除いてはトリブロックコポリマーと同様である。適切なジブロックコポリマーには、同一のAブロック対Bブロック比率を有するトリブロックコポリマーの分子量の約2分の1の分子量を有するスチレン‐イソプレンジブロックが含まれる。
【0117】
望ましい態様では、ポリマー繊維は、スチレンブロックコポリマー、弾性ポリオレフィンポリマー及びコポリマー、並びにEVA/EMA型ポリマーから成る群より選択される少なくとも1つの材料を含み得る。
【0118】
いくつかの特定の態様では、例えば、ポリマー繊維のエラストマー材料は、米国テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)からビスタマックス(VISTAMAXX)の商品名で市販されている様々な商用グレードの低結晶度、低分子量のメタロセンポリオレフィンを含むことができる。いくつかのビスタマックス(VISTAMAXX)材料は、メタロセンポリオレフィンエチレンコポリマーであると考えられている。例えば、ある態様では、エラストマーポリマーはVISTAMAXX PLTD 2210であり得る。他の態様では、エラストマーポリマーはVISTAMAXX PLTD 1778であり得る。特定の態様では、エラストマーポリマーはVISTAMAXX PLTD 2370であり得る。別の任意選択のエラストマーポリマーは、クラトン社(Kraton Inc.)製のKRATON blend G 2755である。前記KRATON材料は、スチレンエチレン‐ブチレンスチレンポリマーとエチレンワックスと粘着付与樹脂との混合物であると考えられている。
【0119】
いくつかの態様では、エラストマーポリマー繊維は、選択されたメルトフローレート(melt flow rate:MFR)を有するポリマー材料から作製することができる。特定の態様では、MFRは、最大で約300までであり得る。あるいは、MFRは、最大で約230〜250までであり得る。別の態様では、MFRは、最小で少なくとも約9、または少なくとも約20であり得る。あるいは、所望の性能を提供するために、MFRは、少なくとも約50であり得る。前述したメルトフローレートの単位は、10分間当たりに流れるグラム数(g/10分)である。メルトフローレートのパラメータは周知であり、例えばASTM D 1238 70(押し出し可塑度計)(標準状態「L」は230℃であり、2.16kgの力が加えられる)試験方法などの従来技術によって測定することができる。
【0120】
上述したように、吸収性コア44のポリマー繊維は、多量の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、作用可能な任意の方法で吸収性コアのポリマー繊維と結合させることができる。界面活性剤を結合させるための様々な技術は、従来どおりであり、当業者には周知である。例えば、界面活性剤は、メルトブローン繊維構造の作製に使用されるポリマーに配合させることができる。特定の態様では、繊維の冷却時に、有効な量の界面活性剤が、繊維の外面に移転または分離するように構成され得る。あるいは、界面活性剤は、ポリマー繊維の成形後に、ポリマー繊維に塗布または他の方法で結合され得る。
【0121】
ポリマー繊維は、繊維及び界面活性剤の全重量に基づいて、有効な量の界面活性剤を含むことができる。いくつかの態様では、ポリマー繊維は、水抽出法で測定された、少なくとも約0.1重量%の界面活性剤を含むことができる。あるいは、所望の利益を提供するために、界面活性剤の量は少なくとも約0.15重量%であり得、任意選択で少なくとも約0.2重量%であり得る。他の態様では、向上した性能を提供するために、界面活性剤の量は、最大で約2重量%まで、例えば最大で約1重量%まで、最大で多くて約0.5重量%までなどであり得る。
【0122】
もし界面活性剤の量が望ましい範囲を外れた場合、様々な不都合が生じ得る。例えば、界面活性剤の量が少なすぎると、疎水性メルトブローン繊維などの繊維を吸収液体で湿潤させることができない。対照的に、界面活性剤の量が多すぎると、望ましくないことに、繊維から洗い流された界面活性剤が、吸収性コアの液体輸送能力を妨げ得るかまたは吸収性コアの吸収性物品への付着強度に悪影響を与え得る。界面活性剤をポリマー繊維に配合してもまたは他の方法によりポリマー繊維の内部に加えても、界面活性剤の量が多すぎると、ポリマー繊維及び内部繊維結合の形成を弱くする状態が創出され得る。
【0123】
いくつかの構成では、界面活性剤には、ポリエチレングリコールエステル凝縮物及びアルキルグリコシド界面活性剤から成る群より選択される少なくとも1つの材料が含まれ得る。例えば、界面活性剤は、40%の水と、60%のD‐グルコース、デシル、オクチルエステル及びオリゴマーとから成る、コグニス社(Cognis Corporation)から入手可能なグルコポン(GLUCOPON)界面活性剤であり得る。
【0124】
本発明の他の態様では、界面活性剤は、0.20kgのGLUCOPON 220 UP界面活性剤(コグニス社(Cognis Corporation)から入手可能)及び0.36kgのAHCOVEL Base N-62(ユニケマ社(Uniqema)から入手可能)に混合された16リットルの熱湯(約45℃ないし約50℃)を含む水/界面活性剤溶液を含有し、噴霧塗布される界面活性剤であり得る。噴霧塗布される界面活性剤を使用する場合は、超吸水性ポリマー組成物粒子の所望の閉じ込めを提供するために、噴霧塗布される界面活性剤の量は比較的少量であることが望ましい。例えば、液体界面活性剤の量が多すぎると、溶融されたエラストマーメルトブローン繊維への超吸水性ポリマー組成物粒子の所望の付着が妨げられる。
【0125】
エラストマー繊維ポリマーと配合させることができる内部界面活性剤または湿潤剤の例には、米国テキサス州フリーポート所在のBASF社から入手可能なMAPEG DO 400 PEG(ポリエチレングリコール)エステルなどが含まれ得る。他の内部界面活性剤には、ポリエステル、脂肪酸エステル、せっけんなど、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0126】
いくつかの態様では、吸収性コア44は、例えばセルロース繊維などの綿毛を含むことができる。そのようなセルロース繊維には、これらに限定しないが、例えば亜硫酸パルプ及び硫酸塩パルプなどの化学木材パルプ(クラフトとも呼ばれる)、並びに、例えばグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ及びケミサーモメカニカルパルプなどの機械パルプが含まれ得る。より具体的には、パルプ繊維には、綿、他の種類の木材パルプ、酢酸セルロース、ボンデッドケミカル木材パルプ、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。落葉樹及び針葉樹の両方から得られたパルプも使用可能である。さらに、セルロース繊維には、天然植物繊維、トウワタ綿毛、綿繊維、微結晶性セルロース、超微細化セルロース、またはそれらの材料のいずれかと木材パルプ繊維との組み合わせなどの親水性材料が含まれ得る。適切なセルロース系綿毛繊維には、例えば、NB 480(ウェアーハウザー社(Weyerhaeuser Co.)から入手可能)、漂白した南部針葉樹クラフトパルプであるNB 416(ウェアーハウザー社から入手可能)、漂白した南部針葉樹クラフトパルプであるCoosAbsorb S(米国サウスカロライナ州グリーンビル所在のボウウオーター社(Bowater Inc.)から入手可能)、化学修飾された広葉樹パルプであるSULPHATATE HJ(米国ジョージア州エサップ所在のレイオニール社(Rayonier Inc.)から入手可能)、化学修飾された漂白南部針葉樹クラフトパルプであるNF 405(ウェアーハウザー社から入手可能)、及び漂白南部針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプの混合物であるCR 1654(ボウウオーター社(Bowater Inc.)から入手可能)が含まれ得る。
【0127】
上述したように、吸収性コア44は、望ましい量の本発明の超吸水性ポリマー組成物粒子も含む。一般的に、超吸水性ポリマー(superabsorbent polyme:SAP)は、不水溶性であるが水膨潤可能に改変することができる。これらの内部架橋結合されたポリマーは、少なくとも部分的に中和され得る。
【0128】
SAPは、水溶液内でのゲル重合などの既知の重合技術により製造される。この重合過程により超吸水性を有するポリマーが得られ、得られたポリマーは、その後、機械力により小粒子化され、当該技術分野で既知の乾燥手順及び装置を用いて乾燥させられる。乾燥過程の後に、得られた粒子を所望の粒子サイズに粉砕する過程が行われる。一般的に、粒子サイズが非常に小さい場合は、液体の吸収後に膨潤し、さらなる液体の吸収が阻害される。しかし一方、粒子サイズが非常に大きい場合は、表面積が減少するので、吸収率が減少し得る。
【0129】
本発明の超吸水性ポリマー組成物は、親水性複合繊維マトリクスと実質的に均一に混合させることができるか、あるいは非均一に混合させることができる。体液(滲出液)の吸収及び保持を向上させるために、前記繊維及び超吸水性粒子を超吸収性コア44の所望の領域(例えば標的領域)に選択的に配置することができる。超吸水性粒子の濃度は、超吸収性コア44の厚さ方向において、様々な濃度に設定することができる。あるいは、超吸収性コア44は、繊維性ウェブと超吸水性材料との積層体、または、超吸水性材料を局所領域に保持するための他の適切な手段を含むことができる。
【0130】
本発明のある態様では、本発明の超吸水性ポリマー粒子組成物は、第1の吸収容量で液体を吸収し膨潤することが可能であり、トリガー機構が開放された場合に、mCRC試験で測定して、前記第1の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の吸収容量で液体を吸収し膨潤することが可能であり、それ故に、段階的な吸収容量が提供される。本明細書中では、「膨潤」は、液体が超吸水性材料に吸収されることにより生じる、超吸水性ポリマー組成物の質量の増加を意味する。超吸水性ポリマー組成物内で膨潤が生じるためには、液体を吸収する必要がある。したがって、超吸水性材料の膨潤は、超吸水性材料が液体を吸収することも意味することを理解されたい。
【0131】
本発明の超吸水性ポリマー組成物は、トリガー機構の開放後に、追加的な液体を吸収し膨潤することが可能である。ある態様では、トリガー機構は、超吸収性材料が侵襲液体で飽和した後あるいは実質的に飽和した後に作動する。トリガー機構は、超吸収性材料が、同じ超吸収性材料のトリガー機構の開放前と比較して追加的な量の液体を吸収し膨潤することを可能にする。
【0132】
本発明での使用に有用なトリガー機構には、これらに限定しないが、熱エネルギー、化学的エネルギー、力学的エネルギー、電気エネルギー、磁気エネルギーまたは放射エネルギーに反応する材料が含まれる。また、トリガー機構には、それらの機構の組み合わせ、または、それらの機構と超吸水性ポリマー組成物の追加的な液体の吸収を引き起こす他の機構との組み合わせも含まれ得る。
【0133】
本発明のいくつかの態様では、本発明の超吸収性複合材料は、不水溶性繊維性マトリックスと、超吸水性ポリマー組成物と、少なくとも1つのトリガー機構とを含む。いくつかの態様では、トリガー機構は、超吸水性ポリマー組成物内に直接的に組み込むことができる。他の態様では、トリガー機構は、超吸水性ポリマー組成物の表面上に配置することができる。さらなる他の態様では、トリガー機構は、超吸水性複合材料の繊維性マトリックス内に配置することができるが、超吸水性ポリマー組成物と直接的に接触させる必要はない。さらに別の態様では、トリガー機構は、上述した技術の組み合わせによって、超吸水性複合材料内に組み込まれ得る。トリガー機構を本発明の超吸水性ポリマー粒子組成物または超吸水性複合材料内に組み込むその他の様々な方法も適切であり、上述した技術は、説明目的のみで提供されるものであり限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0134】
さらに、トリガー機構は、混合、カプセル化、被覆、印刷、積層、戦略的な混合及び/または前記複合材料の特定のポケット内に配置することなどの手段、並びに、それらの組み合わせ、あるいは、他の手段により組み込むことができる。特定のトリガー機構は、時間遅れ効果(time delayed effect)を有し得、前記効果が除去されたときにのみ作動を開始する。1つの非限定的な例は、カプセル化されたトリガー機構である。時間制御放出または遅延機構を用いてまたは用いずに、トリガー材料が相乗的に使用され得る。
【0135】
いくつかの態様では、前記トリガー機構は、超吸水性複合材料の全体を通じて配置することができる。他の態様では、前記トリガー機構は、超吸水性複合材料の所定領域に配置することができる。前記所定領域は、超吸収性複合材料の標的領域であり得る。いくつかの態様では、随意的に、標的領域の周辺に前記トリガー機構の影響を受けない第2の超吸水性材料を設けることができる。また、前記所定領域は、標的領域の外側に配置することも、標的領域及びその外側の両方に重ねて配置することもできる。
【0136】
いくつかの態様では、本発明の超吸収性複合材料は、第1のトリガー機構を含む。例えば、前記第1のトリガー機構は、約5分後ないし約60分後の適切な第1の開放時間を有することができる。例えば、トリガー機構をカプセル化した場合、前記開放時間は、トリガー機構をカプセル化した材料が溶解または実質的に溶解し、トリガー機構が超吸水性ポリマー組成物に対して効力を発揮するのに要する時間である。トリガー機構の溶解は、これらに限定しないが、例えば超吸水性複合材料への液体の侵襲などの様々な手段により開始することができる。第1のトリガー機構の開放前における超吸収性材料の最初の吸収容量は、適切には、mCRC試験で測定して、超吸水性材料1gあたり少なくとも約5gの液体、例えば超吸水性材料1gあたり少なくとも約10gの液体または超吸水性材料1gあたり少なくとも125gの液体である。前記トリガー機構の開放後は、超吸水性材料は、前記第1の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい、例えば前記第1の吸収容量よりも少なくとも約30%大きいまたは前記第1の吸収容量よりも少なくとも約35%大きい、第2の吸収容量を有する。
【0137】
本発明の他の態様では、本発明の吸収性複合材料は、複数のトリガー機構を含むことができる。前記複数のトリガー機構は、各トリガー機構が順々に開放されるように互いに異なる様々な開放時間を有し、多段階的な吸収容量(mCRC試験で測定したところ、各回の吸収容量は前回の吸収容量よりも少なくとも約25%大きくなる)を提供する。例えば、第2のトリガー機構は、上述したような第1のトリガー機構と併用することができる。第2のトリガー機構の解放時間は、第1のトリガー機構の解放時間よりも後の時間(遅い時間)であることが望ましい。例えば、第2のトリガー機構のための適切な開放時間は、最初の液体侵襲から約10分後ないし120分後、且つ、第1のトリガー機構の開放時間よりも少なくとも5分後であり得る。カプセル化された第2のトリガー機構の開放は、第1のトリガー機構の解放後に得られた第2の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい(例えば、第2の吸収容量よりも少なくとも約30%大きい、または第2の吸収容量よりも少なくとも約35%大きい)第3の吸収容量をもたらすであろう。
【0138】
本発明のさらなる態様では、さらに別の段階的な容量を提供するために、第3のトリガー機構が使用され得る。第3のトリガー機構の解放時間は、第2のトリガー機構の解放時間よりも後の時間(遅い時間)であることが望ましい。例えば、第3のトリガー機構のための適切な開放時間は、最初の液体侵襲から約15分後ないし180分後、且つ、第2のトリガー機構の開放時間よりも少なくとも5分後であり得る。第3のトリガー機構の開放は、第2のトリガー機構の解放後に得られた第3の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい(例えば、第2の吸収容量よりも少なくとも約30%大きい、または第2の吸収容量よりも少なくとも約35%大きい)第4の吸収容量をもたらすであろう。
【0139】
本発明のさらなる態様では、さらに別の段階的な容量を提供するために、第4のトリガー機構が使用され得る。第4のトリガー機構の解放時間は、第3のトリガー機構の解放時間よりも後の時間(遅い時間)であることが望ましい。例えば、第4のトリガー機構のための適切な開放時間は、最初の液体侵襲から約20分後ないし240分後、且つ、第3のトリガー機構の開放時間よりも少なくとも5分後であり得る。第4のトリガー機構の開放は、第3のトリガー機構の解放後に得られた第4の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい(例えば、第2の吸収容量よりも少なくとも約30%大きい、または第2の吸収容量よりも少なくとも約35%大きい)第5の吸収容量をもたらすであろう。
【0140】
本発明のいくつかの態様では、(例えば低い中和レベルによって)例えば低い吸収容量を有する超吸水性材料は、超吸水性材料の周囲環境のpHを変化させることにより、高吸収容量で膨潤するようにトリガーすることができる(すなわち、「段階的吸収容量」変化)。例えば、超吸水性ポリマー組成物は、塩基性若しくは酸性の化合物若しくは溶液の添加により膨潤するようにトリガーすることもできる。例えば、超吸水性材料がアニオン性の超吸水性材料の場合、トリガー機構には塩基が含まれる。例えば、超吸水性材料がカチオン性の超吸水性材料の場合、トリガー機構には酸が含まれる。いくつかの態様では、塩基または酸は、固形の形態であることが望ましい。
【0141】
いくつかの態様では、弱塩基若しくは弱酸化合物が望ましくあり得る。強酸及び/または塩基(例えば塩酸または水酸化ナトリウム)よりも弱酸及び/または弱塩基(例えばクエン酸または重曹)を吸収性複合材料内に使用する方が、ユーザにとってより安全である。本発明のある態様では、酸トリガー機構を含んでいる吸収性複合材料にとっての望ましいpH範囲は、超吸水性材料の元のpH値よりも低いpHであり、弱酸(例えばクエン酸)を使用する場合は、約4〜7である。本発明の他の態様では、例えば超吸水性材料の中和度が70%の場合などの、塩基トリガー機構を含んでいる吸収性複合材料にとっての望ましいpH範囲は、超吸水性材料の元のpH値よりも高いpHである。
【0142】
いくつかの態様では、トリガー機構として酸または塩基を使用する場合、トリガー機構は超吸水性材料に直接的に混合することが望ましい。他の態様では、酸または塩基の超吸水性材料への混合は控えることが望ましい。様々な時間長さの時間遅れ効果によってトリガー機構を作動させるために、酸または塩基は、体液との直接的または即時の接触から保護される。例えば、酸または塩基を或る化学コーティングによって様々な厚さ及び溶解速度でカプセル化することで、所望の時間遅れ効果の達成を手助けすることができる。
【0143】
本発明の他の態様では、解放後にイオン強度変化に影響を与えるトリガー機構により、超吸水性ポリマー組成物が膨潤するようにトリガーすることができる。例えば、固形形態の塩化ナトリウムを、超吸水性材料に組み込まれ得るまたは組み込まれ得ない吸収性複合材料内に含めることにより、初回の液体侵襲時に、例えば8重量%塩化ナトリウムなどの高イオン強度溶液が得られるようにすることができる。その結果生じる塩毒性効果は、超吸水性材料の吸収容量を所望のレベルに制限する。その後、より低いイオン強度の溶液(例えば、0.9%塩化ナトリウム)が侵襲した際に、吸収容量は、新しいより高い容量限度へ増加する。この段階的な容量の増加は、超吸水性材料の周囲環境のイオン強度が、侵襲液体のイオン強度と等しくまたはそれ未満になるまで継続することができる。
【0144】
いくつかの態様では、本発明による、段階的な容量で膨潤可能な超吸水性材料は、吸収性複合材料の全体に分布させることができる。他の態様では、超吸水性ポリマー組成物は、吸収性複合材料の所定の領域に配置させることができる。例えば、図9は、本発明の一態様による吸収性複合材料を含む吸収性コア725を備える吸収性物品710を示す。吸収性コア725は、標的領域728に配置された本発明の超吸水性ポリマー組成物を含むことができる。随意的な第2の超吸水性材料を、標的領域728の外側に位置する外側領域726,727に配置することができる。標的領域728に配置された本発明の超吸水性ポリマー組成物は、一旦トリガー機構が開放されると、(従来のSAPと比較すると)比較的短期間で膨張する能力を有するが、吸収容量は制限されている。標的領域728に配置された本発明の超吸水性材料により吸収されない各回の液体侵襲時の液体は、外側領域726,727へ分散され、外側領域726,727の超吸水性ポリマー組成物により吸収される。標的領域728内の超吸水性ポリマー組成物の吸収容量は、その後、他のトリガー機構の開放により増加させることができる。よって、標的領域に侵襲した追加的な液体は超吸水性材料をより高い吸収容量限界まで素早く膨潤させ、余分な液体は前回と同じように外側領域726,727へ分散させられる。本発明では各侵襲時の余分な液体は標的領域718から離れる方向へ分散させられるので、段階的吸収容量型超吸水性ポリマー組成物の各侵襲時の制限された吸収容量により、標的領域における全膨潤厚さを、従来のSAPを用いた複合材料よりもより薄くすることができる。その結果、ユーザに対してより優れた快適性及び信頼性を提供する吸収性複合材料が得られる。
【0145】
本発明に有用な超吸水性材料は、最初に(すなわち、第1のトリガー機構の開放前に)、mCRC試験で測定して、超吸水性材料1gあたり少なくとも約5g(例えば、少なくとも約10gまたは少なくとも約12g)の食塩水(すなわち、0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液)を吸収することができる。本発明に使用可能な段階的吸収容量型の超吸水性材料は、トリガー機構の解放後、同じ超吸水性材料のトリガー機構の解放前と比べると、少なくとも約25%大きい吸収容量をもたらす。いくつかの態様では、本発明の超吸水性ポリマー組成物は、膨潤率試験で測定して、従来のSAPの膨潤率よりも少なくとも約20%高い(例えば、約50%高い、約75%高い、または約100%高い)膨潤率を有する。
【0146】
本発明の組成物は、生理用ナプキン、おむつまたは創傷被覆材などの様々な製品に用いることができ、それらは、多量の生理血、尿または他の体液を迅速に吸収する特性を有する。本発明の超吸水性ポリマー組成物は、通常の現行の吸収性コア組成物と比べると、吸収された液体を圧力下であっても保持することができ、かつ、膨潤状態においてさらなる液体を構造体内に分散させることが可能であるため、より望ましくは、例えば綿毛などの他の吸収性コア要素よりも高い濃度で用いられる。また、本発明の組成物は、吸収性物品構造体内での、綿毛成分を含まない均一な超吸水性層としての使用にも適しており、本発明の組成物を使用することにより特に薄い物品が可能となる。
【0147】
広義の積層体、並びに、押し出し及び共押し出しされた湿潤及び乾燥結合並びにその後の結合構造の作製が、さらなる作製工程として可能である。また、これらの可能性がある過程を互いに組み合わせることも可能である。
【0148】
本発明の超吸水性ポリマー組成物は、その他の用途に適切な吸収性物品に用いることもできる。特に、本発明の超吸水性ポリマー組成物は、パーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、またはスポーツ用/建設業用吸収性物品などに使用することができる。
【0149】
上記の吸収性物品に加えて、本発明は吸収性創傷被覆材(absorbent bandage)として例示され得る。図10A及び図10Bを注目すれば、本発明の創傷被覆材として可能性がある構造が示されている。図10Aは、後述する随意的な層を有する吸収性創傷被覆材の断面図を示す。図10Bは、図示しない随意的または取り外し除去ないくつかの層を有する本発明の創傷被覆材の斜視図を示す。吸収性創傷被覆材150は、体側の面159及びその反対側の第2の面158を有するストリップ(strip)151を含む。ストリップは本質的にバックシートであり、前述したバックシートと同一材料から作製することが望ましい。さらに、ストリップは、例えば多孔性フィルムなどの多孔性材料、またはそうでなければ、例えばガス透過性フィルムなどのガス透過性材料であり得る。ストリップ151は、ストリップにおける体側の面159に取り付けられた、本発明の超吸水性ポリマー組成物を含む吸収性コア152を支持する。さらに、ストリップ151と同一の広がりを有し得る吸収性保護層153が、吸収性コア152に取り付けられる。
【0150】
本発明の吸収性創傷被覆材150は、ストリップ151の体側の面159に塗布される感圧接着剤154も有し得る。ユーザの皮膚を刺激しないものであれば、任意の感圧接着剤を使用することができる。好適には、感圧接着剤としては、同様の従来の創傷被覆材に現在使用されている従来の感圧接着剤が用いられる。この感圧接着剤は、吸収性コア152上、または、吸収性コア152の領域における吸収性保護層153上に設けないことが望ましい。吸収性保護層が、ストリップ151と同一の広がりを有する場合、感圧接着剤は、吸収性保護層153における吸収性コア152が位置しない部分に塗布される。ストリップ151上に感圧接着剤を有することによって、創傷被覆材を必要としているユーザの皮膚上に創傷被覆材を固定することができる。感圧接着剤及び吸収性コアを保護するために、創傷被覆材の体側の面159上に剥離片155を配置することもできる。剥離片は、物品取付接着剤に対して除去可能に固定され、吸収性物品を例えば皮膚に固定する前に、接着剤の早期汚染を防止する役割を果す。剥離片は、創傷被覆材の体側の面に、1枚で(図示せず)または図10A示すように複数枚で配置することができる。
【0151】
本発明の他の態様では、前記創傷被覆材の吸収性コアは、折り畳まれたストリップの間に配置され得る。この方法を創傷被覆材の作製に用いる場合、ストリップは液体透過性であることが適切である。
【0152】
吸収性家具及び/またはベットパッド若しくはライナーもまた、本発明に含まれる。図11は、家具またはベットパッド若しくはライナー160(以降「パッド」と称する)の斜視図である。パッド160は、家具側の面168と、その反対側である上側の面169とを有する液体不透過性バックシート161を備えている。液体不透過性バックシート161は、上側の面169に取り付けられた、本発明の超吸水性ポリマー組成物を含む吸収性コア162を支持する。さらに、随意的な吸収保護層163が吸収性コアに取り付けられ得る。吸収性コアの随意的な基材層は、パッドの液体透過性層161または吸収保護層163であり得る。
【0153】
パッドを一定位置に保つため、パッドの家具側の面168は、感圧接着剤、高摩擦性コーティング、または使用中にパッドを一定位置に保つのを助ける他の適切な材料を含み得る。本発明のパッドは、パッドと接触し得る任意の液体を吸収するために、椅子、ソファー、ベッド、自動車のシートなどへの設置を含む様々な用途に使用することができる。
【0154】
また、例えば汗吸収用の吸収性ヘッドバンドまたは拭きとって乾燥させるための用品などのスポーツ用または建設業用の用品も、本発明に含まれる。図12は、吸収性汗止めバンド170の斜視図である。汗止めバンド170は、随意的なトップシート174及び/または随意的な液体不透過性バックシート176との間に配置された吸収性コア180を有する。吸収性コア180は、本発明の超吸水性ポリマー組成物を含み、いくつかの態様では、所望であれば、随意的な追加的領域178(例えば分散層など)を含むことができる。汗止めバンド170は、手や目と接触する前に、汗を止めるのに有用であり得る。調節を容易にするためまたは快適にするために、ベロクロ(登録商標)または他の締結具を使用することができる。
【0155】
本発明は、以下の実施を参照することにより、より良く理解できるであろう。
【実施例】
【0156】
特に指定がない限り、以下の例で使用される従来の超吸水性材料は、BASF社(米国テキサス州フリーポート所在)から入手可能なHYSORB 8850ADである。また、以下の例で使用される従来の綿毛繊維は、漂白した南部針葉樹クラフトパルプであるCoosAbsorb S(米国サウスカロライナ州グリーンビル所在のボウウオーター社(Bowater Inc.)から入手可能)である。
【0157】
例1
【0158】
有限要素解析法を用いた最初のシリーズのコンピュータシミュレーションを実行し、本発明の吸収系における液体吸上げ及び液体分布を、従来の吸収系と比較する。例示的な吸収系はパッド形態であり、図13に全体的に810として示されている。対照として作製された比較例1は、従来の超吸水性材料を含むようにデザインされた吸収系である。
従来のSAPは、次の特性を有する。
・平均粒径=400μm
・SAP拡散係数=2×10−6cm2/秒
・SAPのmCRC=30g/g
【0159】
一方、本発明の超吸水性材料を含む吸収系に相当する例1は、段階的な吸収特性を有し、その結果、次の特性を示す。
・平均粒径=400μm
・SAP拡散係数=6×10−6cm2/秒
・SAPのmCRC=30g/g
・1回目の侵襲及び保持期間:mCRC=8g/g
・2回目の侵襲及び保持期間:mCRC=15g/g
・3回目の侵襲及び保持期間:mCRC=21g/g
【0160】
この最初のシリーズのシミュレーションの追加的な入力パラメータは、両吸収系で一定に保つ。前記入力パラメータは以下の通りである。
・70mlの液体侵襲を3回行い、その後、それぞれ4分、5分及び6分間保持する(すなわち、各液体侵襲間の間隔または侵襲後の時間)。
・吸収系における超吸水性材料の量=65重量%
・パッドの密度=0.24g/cc
・サージ材料の坪量=76gsm
・液体接触領域=21.5cm2、パッド810の前端縁部830から11.4cmの所に位置する(図13)。
・吸収系は、腹臥位状態で試験する。
・パッド形状840(図13)。
【0161】
この第1回のシリーズのコンピュータシミュレーションの結果を下記の表1に示す。表1は、各回70mlの3回の液体侵襲時の吸収時間をそれぞれ示す。
【0162】
【表1】
【0163】
また、表2及び図13に示すように、この第1回のシリーズのシミュレーションの吸収系の分布特性は、各保持期間の終わりにおけるパッド810の後面部820の飽和レベルによっても特徴付けられる。
【0164】
【表2】
【0165】
上記の表1及び表2から分かるように、段階的容量型の超吸水性材料を含む超吸水性複合材料は、従来の吸収系と概ね同様の液体吸上げ特性を示すが、実質的に向上した液体分布プロフィールを有する。
【0166】
例2
【0167】
有限要素解析法を用いた第2のシリーズのコンピュータシミュレーションを実行し、段階的な吸収特性の様々な変更が、吸収系の液体吸い上げ及び液体分布に与える影響を測定する。例示的な吸収系はパッドの形態であり、図13に全体的に810として示されている。例2は、段階的な吸収特性を有する本発明の超吸水性ポリマー組成物を含むようにデザインされた吸収系である。比較例2は、従来の超吸水性ポリマー組成物を含むようにデザインされた吸収系である。従来のSAPは、次の特性を有する。
・平均粒径=400μm
・SAP拡散係数=2×10−6cm2/秒
・SAPのmCRC=30g/g
【0168】
このシミュレーションは、超吸水性材料の膨潤率並びに1回目、2回目及び3回目の段階的容量を系統的に変更した計画実験である。この計画実験の一部としてシミュレートされた8つの状態を下記の表3に示す。
【0169】
【表3】
【0170】
この第2のシリーズのシミュレーションの追加的な入力パラメータは、両吸収系で一定に保つ。前記入力パラメータは以下の通りである。
・70mlの液体侵襲を3回行い、その後、それぞれ4分、5分及び6分間保持する(すなわち、各液体侵襲間の間隔または侵襲後の時間)。
・吸収系における超吸水性材料の量=65重量%
・パッドの密度=0.24g/cc
・サージ材料の坪量=76gsm
・液体接触領域=21.5cm2、パッド810の前端縁部830から11.4cmの所に位置する(図13)。
・吸収系は、腹臥位状態で試験する。
・パッド形状840(図13)。
【0171】
この第2のシリーズのコンピュータシミュレーションの結果を下記の表4に示す。
表4は、各回70mlの3回の液体侵襲時の吸上げ率をそれぞれ示す。
【0172】
【表4】
【0173】
段階的容量型の超吸水性材料の特性の変更は、液体分布にも影響を与える。吸収系全体での液体分布は、各保持期間の終わりにおける標的領域における濡れ厚さ(wet thickness)によって特徴付けることもできる。標的領域の濡れ厚さがより小さく場合は、より多くの液体が吸収体全体に分布したことを示す。上記した吸収系の濡れ厚さを、下記の表5に示す。
【0174】
【表5】
【0175】
表5から分かるように、異なる段階でのSAP容量及び拡散係数の特定の組み合わせは、市販製品と同様の液体吸収能力を維持しながら、分布の実質的な向上をもたらす(標的領域の濡れ厚さの減少から分かる)。
【0176】
さらに、上記の表4及び表5に示した吸上げ率及び濡れ厚さを既知の統計的方法を用いて分析して、より望ましい吸上げ率及び濡れ厚さの結果をもたらすことができる段階的容量型の超吸水性材料の特性の組み合わせを判断することもできる。この統計的分析により、下記の表6に列記した、超吸水性材料の特性の他のシミュレーション条件が導かれる。全ての他のシミュレーションパラメータは、上述したように一定に保たれる。
【0177】
【表6】
【0178】
表6の特性を使用したコンピュータシミュレーションの結果を、表7及び表8に示す。
表7及び表8は、各回70mlの3回の液体侵襲時の吸上げ率及び標的領域の濡れ厚さをそれぞれ示す。
【0179】
【表7】
【0180】
表8から分かるように、本発明の複合材料(すなわち、段階的容量型の超吸水性ポリマー組成物を含む複合材料)は、より長い濡れ長さと、被吸収液体1gあたりより大きい濡れ面積を有する。このことは、本発明の吸収系は、従来のSAPを有する吸収体と比較してより良い液体ウィッキング/分布を有することを実証する。
【0181】
【表8】
【0182】
表7及び表8から、例2−9でシミュレートされた条件は、吸上げ率は比較例と同様であるが、標的領域での濡れ厚さが対照よりも大幅に少なくなるので、液体分布が向上したことを示す。
【0183】
例3
【0184】
この例では、各回の侵襲時における侵襲液体の塩濃度を制御することにより、段階的容量特性を実証する。60重量%の本発明の超吸水性ポリマー組成物を含有し、残りは綿毛パルプを含有する吸収性複合材料(例3)に対して、3回の液体侵襲(各回の侵襲液体量は70ml、各侵襲間の間隔は15分間)を行う。この例のために、1回目の侵襲では、0.8重量%の塩化ナトリウム水溶液を用いた。2回目及び3回目の侵襲では、0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液を用いた。従来の超吸水性材料を有する吸収性複合材料である対照としての比較例(比較例3)に対しても、全ての侵襲について0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液を使用して試験を行った。各複合材料は、水平に設置した。各液体侵襲がパッドを侵襲する時間、各侵襲後の15分間の保持時間の後の液体分布、及び、各保持時間後の侵襲地点でのパッドの厚さを測定した。それらの結果を下記の表9に示す。
【0185】
【表9】
【0186】
表9から、本発明の超吸水性複合材料の吸上げ率は、従来の超吸水性材料を含む吸収性複合材料の吸収速度と同様であることが分かる。しかし、本発明の吸収性複合材料の厚さは、比較例よりも薄い。このことは、本発明の吸収系の向上した液体分布、並びに、本発明の吸収系はユーザに対する快適さ及びフット感が優れていることを示す。
【0187】
さらに、図14〜16は、前述した液体分布試験により測定した、例3における液体侵襲後の液体分布のグラフを示す。これらのグラフから、本発明の吸収性複合材料は、従来の超吸水性材料を有する吸収性複合材料と比較して、向上した液体分布を示すことが分かる。
【0188】
例4
【0189】
上述のマネキン試験方法で説明したマネキン静的試験は、おむつの形態の吸収性物品を使用して行われる。本発明の各吸収性物品は、従来の砂時計形状の吸収性コアを備え、前記吸収性コアは、段階的吸収特性を有する超吸水性ポリマー組成物を65%有し、市販の針葉樹繊維を35%有する。比較(対照)吸収性物品は、従来の砂時計形状の吸収性コアを備え、前記吸収性コアは、市販の超吸水性ポリマー組成物を65%有し、市販の針葉樹繊維を35%有する。吸収性コアの乾燥密度は、0.24g/cm3であり、各吸収性物品は、68gsmの吸上げ層(サージ層)を備える。対照(すなわち比較)コードと、段階的容量型の本発明の超吸水性ポリマー組成物を含むコードとのそれぞれに対して24個のおむつを使用する。全てのコードは、適切な大きさのマネキン上で試験される。
【0190】
各コードについて、座位状態で12個の吸収性物品を試験し、腹臥位状態で残りの12個の吸収性物品を試験する。各状態で、液体は、「女性」型のマネキンを使用して半分の製品に加えられ、「男性」型のマネキンを使用して残りの半分の製品に加えられる。2パターンの侵襲プロトコルが用いられ、各コードについて、12個の製品には、「70/70/70」パターンの侵襲プロトコル(すなわち、各回70mlの侵襲)が用いられ、そのコードにおける残りの12個の製品には「35/70/70/70」パターンの侵襲プロトコル(すなわち、35mlの1回の侵襲と、その後の各回70mlの3回の侵襲との合計4回の侵襲)が用いられる。この侵襲プロトコルを、下記の表10(例4の侵襲プロトコル)に示す。侵襲液体(0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液)は室温(約20℃)に保つ。
【0191】
【表10】
【0192】
その後、上述したようにして、各製品に液漏れが生じるまで、前記吸収性物品に液体を侵襲させる。各製品の液漏れ発生時の吸収量を記録する。前記製品は、液漏れ発生後に取り外し、製品内の液体の濡れ長さ及び濡れ面積を計算するために、上述の液体分布試験で説明したようにしてX線撮影する。濡れ長さの液漏れ発生時の吸収量に対する比率の平均と、濡れ面積の液漏れ発生時の吸収量に対する比率の平均を各コードについて計算する。その結果を下記の表11に示す。
【0193】
【表11】
【0194】
表11から分かるように、本発明の吸収性物品は、従来の超吸水性材料を含む物品と比較した場合、向上した液体分布を示す。
【0195】
例5
【0196】
上述の液体吸い上げ率試験で説明したようにして、吸収性コアについて吸い上げ試験を実施する。コードは、室温の液体(約20℃の0.9重量%の塩化ナトリウム食塩水)で侵襲された比較例(対照)、室温の同一液体で侵襲された本発明の例(段階的容量型)、及び、50℃の同一液体で侵襲された本発明の例(段階的容量型)を含む。吸収性コアは全て、それらの市販製品と同様な従来の砂時計形状、約24gm/cm3の乾燥密度を有し、65%の超吸水性材料(市販のSAPまたは本発明の超吸水性ポリマー組成物)と35%の市販の針葉樹繊維から作製される。各吸収性コアの坪量は約580gsmであった。その後、上述の液体吸い上げ率試験で説明したようにして、各吸収性コアを侵襲させる。各侵襲シリーズの各パートに使用される特定の液体を下記の表12に示す。
【0197】
【表12】
【0198】
各侵襲の第1のパート(45gm)に基づいて計算した吸い上げ率を、下記の表13に示す。
【0199】
【表13】
【0200】
表13から、本発明の複合材料は、従来のSAPと概ね同様の吸い上げ率を示すことが分かる。また、高温の場合、本発明の複合材料の吸い上げ率が向上する傾向にあることが分かる。
【0201】
例6
【0202】
上述の液体吸い上げ率試験で説明したようにして、吸収性コアについて吸い上げ試験を実施する。コードは、従来のSAPを含む複合材料を示す対照(比較例6)を含む。また、コードは、段階的容量型オリジナル(例6−1)、段階的容量型Lite(例6−2)、段階的容量型X-Lite(例6−3)を含み、それらは、下記の表14に示すように本発明の複合材料に相当する。吸収性コアは全て、それらの市販製品と同様な従来の砂時計形状、約24gm/cm3の乾燥密度を有し、65%の超吸水性材料(市販のSAPまたは本発明の超吸水性ポリマー組成物)と35%の市販の針葉樹繊維から作製される。全コードの坪量は約580gsmであった。その後、上述の液体吸い上げ率試験で説明したようにして、各吸収性コアを侵襲させる。各侵襲シリーズの各パートに使用される特定の液体を下記の表14に示す。
【0203】
【表14】
【0204】
上述の液体吸い上げ率試験手順で説明したようにして、吸収性コアの全てのコード(対照、段階的容量型オリジナル、段階的容量型Lite、段階的容量型X-Lite)に対して、吸い上げ率試験を実施する。この侵襲プロトコルは、各回70mlの3回の侵襲からなる。各侵襲は、45gと25gの2つのパートに分けられる。各侵襲群の間の保持時間(すなわち、最初の45g/25gの侵襲と、その後の45g/25gの侵襲との間隔)は15分間であり、各侵襲群における2つのパートの間隔(すなわち、45gの侵襲と25gの侵襲との間隔)は2分間であった。
【0205】
各侵襲の第1のパート(45g)に基づいて計算した吸い上げ率を、下記の表15に示す。
【0206】
【表15】
【0207】
表15から、本発明の複合材料は、従来のSAPと比較して、概ね同様の吸い上げ率を示すことが分かる。
【0208】
例7
【0209】
上述のマネキン試験手順で説明したようにして、おもつの形態の吸収物品を使用してマネキン静的試験を実施する。本発明の各吸収物品は、従来の砂時計状の形状を有し、65%の段階的容量を有する超吸水性ポリマー組成物と、35%の市販の針葉樹繊維を含む。
比較例(対照)の吸収物品は、従来の砂時計状の形状を有し、65%の市販の超吸水性材料と、35%の市販の針葉樹繊維を含む。各吸収性コアは、約24gm/cm3の乾燥密度を有し、各吸収物品は68gsmの吸い上げ層(すなわちサージ層)を含む。対照(比較例7)、段階的容量型オリジナル(例7−1)、段階的容量型Lite(例7−2)、段階的容量型X-Lite(例7−3)の各コードに、12個の物品を用いる。
【0210】
各コードについて、吸収物品は腹臥位で試験し、男性型マネキンを使用して液体を加える。2パターンの侵襲プロトコルが用いられ、各コードについて、6個の製品には、「70/70/70」パターンの侵襲プロトコル(すなわち、各回70mlの侵襲)が用いられ、そのコードにおける残りの6個の製品には「35/70/70/70」パターンの侵襲プロトコル(すなわち、35mlの1回の侵襲と、その後の各回70mlの3回の侵襲との合計4回の侵襲)が用いられる。各侵襲群の間の保持時間(すなわち、最初の45g/25gの侵襲と、その後の45g/25gの侵襲との間隔)は15分間であり、各侵襲群における2つのパートの間隔(すなわち、45gの侵襲と25gの侵襲との間隔)は2分間であった。前記侵襲プロトコルを、下記の表16に示す。
【0211】
【表16】
【0212】
対照としての侵襲液体(0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液)は室温(〜20℃)に設定し、段階的容量型オリジナル及び段階的容量型Liteの両方は60℃に設定し、段階的容量型X-Liteは50℃に設定する。その後、吸収物品を、上述したようにして、各製品に液漏れが生じるまで、侵襲液体で侵襲させる。液漏れ発生時点の、各製品の吸収量を記録する。液漏れ発生後、マネキンから製品を取り外し、その後、上述の液体分布試験で説明したようにしてX線撮影し各製品の液体濡れ面積を計算する。各コードについて、液漏れ発生時の濡れ面積の吸収量に対する比率の平均を計算する。計算した比率を、表17に示す。
【0213】
【表17】
【0214】
表17から、本発明の複合材料(段階的容量型オリジナル、段階的容量型Lite、及び段階的容量型X-Lite)は、従来のSAPを有する複合材料と比較して、液体吸収量1gあたり濡れ長さがより長くなることが分かる。このことは、本発明により、より良い液体ウィッキング/分布が得られることを実証する。
【0215】
例8
【0216】
上記の例で使用された超吸収性材料の膨潤率を、上述の膨潤率試験で説明したようにして測定する。様々な塩濃度及び温度を用いて、膨潤率における塩濃度及び温度の影響を測定する。試験結果を下記の表18に示す。
【0217】
【表18】
【0218】
表18から、温度が上昇すると膨潤率は増加し、塩(NaCl)濃度が減少すると膨張率が減少することが分かる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、段階的な容量挙動を示す吸収性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品などの物品は、人体から分泌または排泄される液体を含む様々な種類の液体を吸収するのに有用である。そのような物品の吸収性の向上を図るために、多くの場合、吸収性物品には超吸水性ポリマー(Superabsorbent polymer:SAP)が使用される。SAPは一般的にポリマーベースであり、粉末、顆粒、微小粒子、膜及び繊維などの様々な形態で利用可能である。そのようなSAPは、液体と接触すると、その構造内に液体を吸収して膨潤する。一般的に、SAPは吸収性物品に侵襲した液体を素早く吸収することができると共に、液漏れを防ぐため及び液体侵襲後でさえも乾いた感触を提供するために吸収した液体を保持することができる。また、吸収性物品の吸収性コアに使用される吸収性組成物を作成するために、超吸収性材料は不水溶性繊維と組み合わされることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】PCT国際公開第WO2000/37009号公報
【特許文献2】米国特許第4,940,464号明細書
【特許文献3】米国特許第5,766,389号明細書
【特許文献4】米国特許第6,645,190号明細書
【特許文献5】米国特許第5,883,028号明細書
【特許文献6】米国特許第5,116,662号明細書
【特許文献7】米国特許第5,114,781号明細書
【特許文献8】米国特許第6,552,245号明細書
【特許文献9】米国特許第6,641,134号明細書
【特許文献10】米国特許第5,486,166号明細書
【特許文献11】米国特許第5,490,846号明細書
【特許文献12】米国特許第5,820,973号明細書
【特許文献13】米国特許第3,849,241号明細書
【特許文献14】米国特許第5,350,624号明細書
【特許文献15】米国特許第4,100,324号明細書
【特許文献16】米国特許第4,587,154号明細書
【特許文献17】米国特許第4,604,313号明細書
【特許文献18】米国特許第4,655,757号明細書
【特許文献19】米国特許第4,724,114号明細書
【特許文献20】米国特許第4,100,324号明細書
【特許文献21】英国特許第GB2,151,272号明細書
【特許文献22】米国特許第6,362,389号明細書
【特許文献23】米国特許出願第10/883174号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Fluid distribution: comparison of X-ray imaging Data, David F. Ring, Oscar Lijap and Joseph Pascente in Nonwovens Worldmagazine, summer 1995, at pages 65-70
【非特許文献2】Kinetics of One-dimensional Gel Swelling and Collapse for Large Volume Change, J. Singh and M. E. Weber, Chemical Engineering Science Vol. 51 No.19 pp 4499-4508 (1996)
【非特許文献3】Lichstein at pages 129-142 of the INDA Technological Symposium Proceedings, March 1974
【非特許文献4】NRL Report 4364, Manufacture of Super-Fine Organic Fibers, V. A. Wendt, E. L. Boone and C. D. Fluharty
【非特許文献5】NRL Report 5265, An Improved Device For the Formation of Super-Fine Thermoplastic Fibers, by K. D. Lawrence, R. T. Lukas and J. A. Young
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸収性物品の性能を向上させるための努力が継続的になされており、特に、液漏れの発生減少並びに装着感及び快適性の向上を図るべく、流体飽和レベルが高い場合における吸収性物品の性能を向上させる努力がなされている。このことは、吸収性物品の使用中に、液体侵襲を繰り返し受ける場合は特に重要である。吸収性物品設計の最近の取り組みは、より薄くかつより柔軟な吸収性構造体を作製するために、製品中の超吸収性材料の濃度を増加させること及び繊維の量を減少させることに概ね集中しているので、吸収性物品の性能向上はますます難しい問題となってきている。しかし、超吸収性材料の濃度を増加させることにより総吸収容量を増加させたとしても、それでもやはり、そのような吸収性物品は使用中に液漏れを発生し得る。そのような液漏れは、一部には、物品の吸収性コアにおける侵襲液体標的領域が高湿潤バルクを有することが原因であり得る。高湿潤バルクは、膨潤により前記標的領域内の圧力がより高くなることに起因して、前記複合材料のクラッキングまたは前記組成物からの液体の染み出し、並びに、ユーザにとっての全身の不快感をもたらし得る。そのため、液体吸上げ率を概ね維持したままで、従来のSAPを用いた複合材料よりも標的領域内の湿潤バルクを減少させた吸収性複合材料が求められている。
【0006】
加えて、前記高湿潤バルクは、一部には、吸収性複合材料の液体分布が不十分であることが原因であり得る。液体分布が不十分であると、特に標的領域の外側領域では、すべての超吸収性材料が液体を吸収するとは限らないため、吸収性複合材料の全体利用効率は低くなる。吸収性複合材料の液体分布は、分布可能な自由液体の量、吸収性複合材料の構造及び材料、及び時間的要素に概ね依存する。侵襲液体標的領域内の従来のSAPは、全ての侵襲液体を吸収するまで、または、SAPがその飽和点に達するまで、緩やかな比率で膨潤する傾向にあった。その結果、吸収性複合材料は、高湿潤バルクを有し、典型的には、吸収性物品内での望ましい液体分布を提供しない。そのため、液体吸上げ能力を概ね維持したままで、従来のSAPを用いた複合材料よりも吸収性物品内の液体分布を改善した吸収性複合材料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した要望に応えるために、本発明の吸収性組成物は、少なくとも約5g食塩水(すなわち、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)/1g組成物の第1の吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物と、約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構(随意的にカプセル化される)とを含み、前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、修正された遠心保持容量(Modified Centrifuge Retention Capacity:mCRC)試験で測定して、前記第1の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の吸収容量を有する。さらなる態様では、本発明の吸収性組成物は、約10分後ないし約120分後の第2の解放時間後且つ前記第1の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第2のトリガー機構をさらに含み、前記第2のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第2の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第3の総吸収容量を有する。他の態様では、本発明の吸収性組成物は、約15分後ないし約180分後の第3の解放時間後且つ前記第2の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第3のトリガー機構をさらに含み、前記第3のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第3の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第4の総吸収容量を有する。さらなる他の態様では、本発明の吸収性組成物は、約20分後ないし約240分後の第3の解放時間後且つ前記第3の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第4のトリガー機構をさらに含み、前記第4のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第4の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第5の総吸収容量を有する。
【0008】
いくつかの態様では、本発明の吸収性組成物は、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料よりも少なくとも約20%大きい、例えば少なくとも約50%大きいまたは少なくとも約100%大きい膨潤率を有する。
【0009】
本発明のいくつかの態様では、本発明の吸収性複合材料は、不水溶性繊維性マトリックスと、少なくとも約5g食塩水/1g組成物の第1の吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物と、約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構とを含み、前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第1の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の総吸収容量を有する。他の態様では、本発明の吸収性複合材料は、約10分後ないし約120分後の第2の解放時間後且つ前記第1の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第2のトリガー機構をさらに含み、前記第2のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第2の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第3の総吸収容量を有する。さらなる他の態様では、本発明の吸収性複合材料は、約15分後ないし約180分後の第3の解放時間後且つ前記第2の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第3のトリガー機構をさらに含み、前記第3のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第3の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第4の総吸収容量を有する。さらに別の態様では、本発明の吸収性複合材料は、約20分後ないし約240分後の第3の解放時間後且つ前記第3の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第4のトリガー機構をさらに含み、前記第4のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第4の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第5の総吸収容量を有する。
【0010】
いくつかの態様では、本発明の吸収性複合材料は、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料よりも少なくとも約20%大きい、例えば少なくとも約50%大きいまたは少なくとも約100%大きい膨潤率を有する超吸水性ポリマー組成物を含む。
【0011】
いくつかの態様では、本発明の吸収性物品は、少なくとも約5g食塩水/1g組成物の第1の吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物を含有する吸収性コアと、約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構とを含み、前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第1の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の吸収容量を有する。他の態様では、本発明の吸収性物品は、トップシート及びバックシートを含み、前記吸収性コアが前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される。
【0012】
いくつかの態様では、前記吸収性コアは、少なくとも約30重量%の超吸水性ポリマー組成物を含有する。他の態様では、前記吸収性コアは、少なくとも約60重量%ないし約95重量%の超吸水性ポリマー組成物を含有する。
【0013】
いくつかの態様では、前記吸収性コアは、綿毛をさらに含有する。他の態様では、前記吸収性コアは、複数の層から成る。さらなる他の態様では、前記複数の層のうちの少なくとも1つの層が、実質的に前記超吸水性ポリマー組成物のみから成り、前記複数の層のうちの少なくとも1つの別の層が、実質的に綿毛のみから成る。さらに別の態様では、前記吸収性コアは、界面活性剤をさらに含有する。
【0014】
いくつかの態様では、該吸収性物品が、パーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、またはスポーツ用/建設業用吸収性物品から選択される。
【0015】
本発明の様々な他の特徴及び利点が以下の説明から明らかになるであろう。以下の説明では、本発明の例示的な実施形態について説明する。そのような実施形態は、本発明の全範囲を表すものではない。それ故、本発明の全範囲を解釈するためには、特許請求の範囲を参照されたい。簡潔さ及び簡明さの理由から、本明細書に記載されているあらゆる数値範囲は、その範囲内の全ての値を含むことを意図するものであり、その範囲内の全ての実数値を末端値とする小範囲を記している特許請求の範囲をサポートするものと解釈される。具体的な例を挙げると、本明細書中における1から5という範囲の開示は、1−5;1−4;1−3;1−2;2−5;2−4;2−3;3−5;3−4;及び4−5の小範囲のいずれに対しても、特許請求の範囲をサポートすると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】負荷下吸収性試験に用いられる試験装置を示す側面図である。
【図2】垂直吸上げ率試験に用いられる試験装置を示す上面図である。
【図3】図6に示した垂直吸上げ率試験に用いられる試験装置の3−3線に沿った側断面図である。
【図4】膨潤率試験に用いられる装置を示す側面図である。
【図5】本発明に従って作製された吸収性物品の一実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5に示した吸収性物品の平面図である。吸収性物品は、留められていない、折り畳まれていない、平らに広げられた状態である。装着時にユーザと対向する面が示されており、下層の特徴を示すために一部が破断されている。
【図7】吸収性コアを製造するための方法及び装置の1つのバージョンを示す概略図である。
【図8】本発明の層状吸収性コアの側断面図である。
【図9】本発明の一態様の吸収性コアを示す斜視図である。
【図10A】本発明の吸収性創傷被覆材の側断面図である。
【図10B】本発明の吸収性創傷被覆材の上部斜視図である。
【図11】本発明の吸収性ベッド若しくは家具ライナーの上部斜視図である。
【図12】本発明の吸収性汗止めバンドの斜視図である。
【図13】パッド形態の吸収系の平らに広げた状態を示す図である。
【図14】1回目の侵襲液体を吸収した後の液体分布を示すグラフである。
【図15】2回目の侵襲液体を吸収した後の液体分布を示すグラフである。
【図16】3回目の侵襲液体を吸収した後の液体分布を示すグラフである。
【図17】段階的な吸収挙動を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
試験方法
【0018】
負荷下吸収性試験(Absorbency Under Load Test:AUL)
【0019】
負荷下吸収性(AUL)試験は、0.9psi負荷下における、室温での、超吸水性ポリマー粒子の食塩水溶液(試験溶液)吸収能力を測定する。AUL試験用の装置は、シリンダ、4.4gのピストン、及び317グラムの重りを含むAULアッセンブリから構成される。このアッセンブリの構成要素を、以下にさらに詳述する。
・平坦な底部を有するプラスチックトレイ。このトレイは、その上にガラスフリットをその壁部に触れることなく載置することが可能な十分な広さを有する。この試験方法には、22.9cm×22.9cm(9インチ×9インチ)の底面積と、1.3〜2.5cm(0.5〜1インチ)の深さを有するプラスチックトレイが一般的に使用される。
・「C」(20〜25ミクロン)の空隙率を有する直径12.5cmの焼結ガラスフリット。このフリットは、食塩水中での平衡化により事前に作成される。フリットは、少なくとも2部の新鮮な食塩水で洗浄するのに加えて、AUL測定前に食塩水中に少なくとも12時間浸漬させるべきである。
・ワットマン(Whatman)社製のグレード1、直径12.5cmの円形のフィルタ紙。
・食塩水の供給(0.9重量%塩化ナトリウム蒸留水溶液)。
【0020】
図1を参照して、超吸水性ポリマー組成物410を収容するに使用されるAULアッセンブリ400のシリンダ412は、同心であることを確実にするために若干機械加工された、内径2.54cm(1インチ)の透明なアクリル製の管から作成される。機械加工後、スクリーンのシリンダへの強固な接着を可能にする適切な溶剤を使用して、シリンダ412の底部に400メッシュのステンレススチールワイヤ布が接着される。スクリーンの開口部分に余分な溶剤が流れ込んで、液体が連通するための開口部を減少させないように気をつけるべきである。米国カリフォルニア州グラナダ所在のIPS社(IPS Corporation)製のアクリル溶剤Weld-On 4が、適切な溶剤である。封止に失敗したときや破れたときには、はんだごてを用いて修復することもできる。平坦で平滑な底部を維持し、かつシリンダ412の内部を変形させることがないように注意すべきである。
【0021】
4.4グラムのピストン416が直径2.5cm(1インチ)の固形材料(例えばプレキシグラス(PLEXIGLAS))から作製され、シリンダ412の内部と結合することなく密接に嵌合するように機械加工される。
【0022】
317gの重り418を用いて、約0.9psi(62,053ダイン/cm2)の制限負荷を与える。重りは、円筒状で、直径2.5cm(1インチ)のステンレス鋼製であり、シリンダの内部と結合することなく密接に嵌合するように機械加工される。
【0023】
特に指定がない限り、少なくとも約300gsm(0.16g)の超吸水性ポリマー粒子の層に相当するサンプル410が、AULの試験に使用される。サンプル410は、US標準#30メッシュによって事前にふるい分けされ、US標準#50メッシュ上に保持された超吸水性ポリマー組成物粒子から得られる。超吸水性ポリマー組成物粒子は、米国オハイオ州メンターのW.S.タイラー社から入手可能なRO-TAP機械式ふるい振とう器Model Bなどによって事前にふるい分けすることができる。ふるい分けは、10分間行われる。
【0024】
ふるい分けされた超吸水性ポリマー組成物粒子410の所望の量のサンプル(約0.16g)が、計量紙の上で計量され、シリンダ412の底部のワイヤ布414上に均等に分布させられる。シリンダの底部に置かれた超吸水性ポリマー組成物の重量は、後述するAUL計算で使用するために「SA」と記録される。超吸水性ポリマー組成物粒子が、シリンダの壁部に付着することがないように、気をつけるべきである。シリンダ412の内部に超吸水性ポリマー組成物粒子410を入れる前に、シリンダ412の内部を帯電防止布で拭いておく。シリンダ412内の超吸水性ポリマー組成物粒子410の上に、4.4gのピストン412と、317gの重り418を慎重に置いた後、シリンダ、ピストン、重り及び超吸水性ポリマー組成物を含むAULアッセンブリ400の重量を計測し、計測した重量を「A」として記録する。
【0025】
上述した焼結ガラスフリット424を、プラスチックトレイ420内に設置する。そして、焼結ガラスフリット424の上面のレベルまで、食塩水422を加える。一枚の円形のフィルタ紙426を、ガラスフリット上に優しく置く。その後、フィルタ紙426の上に、超吸水性ポリマー粒子410を含むAULアッセンブ400を置く。AULアッセンブ400は、トレイ内の食塩水のレベルを一定に保つことに注意を払いながら、1時間の試験期間中はフィルタ紙426上に置いたままにする。1時間の試験期間の終わりに、AUL装置の重量を計測し、その値を「B」として記録する。
【0026】
AUL(0.9psi)は、次のようにして計算する。
AUL(0.9psi)=(B−A)/SA
ただし、
A=乾燥SAPを含むAULユニットの重量
B=60分間吸収後の、SAPを含むAULユニットの重量
SA=実際のSAPの重量
【0027】
最低2回の試験を行い、結果を平均して0.9psi負荷下でのAUL値を求める。サンプルの試験は、約23℃の温度、約50%の相対湿度の条件下で行う。
【0028】
液体吸上げ率試験
【0029】
液体吸上げ率試験(Fluid Intake rate:FIR)試験は、吸収性構造体が、既知の量の試験溶液を吸上げる(吸収する必要は無い)のに要する時間を測定する。FIR試験を実施するための適切な装置200を、図2及び図3に示す。試験装置200は、全体的に202で示されるアッセンブリを含む。
【0030】
アッセンブリ202は、PLEXIGLAS(Degussa AG社(Dusseldorf, Germany)から入手可能)などの透明性材料から作製された概ね15.2cm(6インチ)×25.4cm(10インチ)の長方形プレート208を含み、長方形板208には中央開口部210が設けられている。約2.5cm(1インチ)の内径を有するシリンダ(液体送達チューブ)212が、中央開口部210においてプレート208に固定され、プレートに対して実質的に垂直に上方に延在する。プレートの中央開口部210は、長方形板208上に載置されるシリンダ212の内径と少なくとも等しい直径を有するべきである。しかし、その代わりに、中央開口部210の直径は、中央開口部210においてシリンダ212がプレートに固定されるように、中央開口部内にシリンダ212の外径を十分に受容できる大きさにすることもできる。
【0031】
アッセンブリ202(プレート208及びシリンダ212)の重量は約465gであり、FIR試験中に吸収体サンプル上に若干の圧力が加えられる。
【0032】
FIR試験を実行するために、例えばおむつなどの使い捨て型の吸収性物品に典型的に用いられる概ね砂時計パッド形状に切断された吸収性サンプル207の重量を計測し、計測した重量をグラム単位で記録する。前記パッドの適切な寸法は、長さ38cm(15インチ)、中央部の幅7.6cm(3インチ)、端部の幅12cm(4.75cm)である。その後、シリンダ212の中央がサンプル207の前端縁部から概ね11.4cm(4.5インチ)離れた所に位置しかつサンプルの横方向(幅方向)の中央に位置するように、アッセンブリ202をサンプル207の上に置く。試験溶液(室温の0.9重量%塩化ナトリウム蒸留水溶液、あるいは試験される他の特定の系に基づいた代替物)45gをシリンダ212の頂部に注入し、吸収体サンプル207に向かって落下させる。最初の水滴がサンプル207に接触したときにストップウォッチをスタートさせ、シリンダ212の端部とサンプル207との間の液体リングが消失した時点で止める。ストップウォッチの計測値を小数第2位まで記録し、45gの侵襲液体を吸収体サンプル207内に吸上げるのに要する吸上げ時間(秒)を示す。45gの最初の侵襲の3分後、25gの追加的な試験溶液をシリンダ212の頂部に注入し、吸収性サンプルに向かって落下させる。25gの侵襲液体が吸収体サンプル内に吸収されるのに要した時間は記録しない。25gの試験溶液(侵襲液体)は、最初の45gの試験溶液(侵襲液体)と同一または異なり得る。45gの試験溶液の侵襲と、その3分後に行われる25gの試験溶液の侵襲との組み合わせが、1回目の侵襲となる。
【0033】
上述した最初の45gの侵襲液体の侵襲開始から15分間経過後、1回目の侵襲液体と同じ2回目の侵襲液体をシリンダ212の上部に注入して、吸上げ時間を上述したようにして測定する。2回目の試験溶液は、1回目の試験溶液(侵襲液体)と同一または異なり得る。2回目の侵襲開始の15分後、上述した製品に対して3回目の侵襲を繰り返す。3回の侵襲のそれぞれについての吸上げ率(ミリリットル/秒)は、各侵襲液体の最初の侵襲パートに使用された溶液の量(45グラム)を、その侵襲パートについて測定された吸上げ時間で割ることにより求められる。
【0034】
各吸収試験は、少なくとも3つのサンプルをFIR試験し、結果を平均して吸上げ率を求める。
【0035】
液体分布試験
【0036】
この試験では、X線画像化を利用することにより、吸収系における様々な位置に存在する液体の量を求める。X線画像化は、当該技術分野では既知であり、例えば、非特許文献1に説明されている(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。一般的に、この手法は、湿潤サンプルと乾燥サンプルとのグレイスケールX線画像を比較することにより、様々な位置での液体含有量を計算する。そのようなX線装置は、例えば、米国コネティカット州ブランフォード市パークドライブ所在のプレシジョンエックスレイ社(Precision X-ray Inc.)から、筐体を有するモデル番号10561 HF 100として入手可能である。この装置は、米国コロラド州フォートコリンズ所在のオプティマス社(Optimus Inc.)からBIO-SCAN OPTIMATE S/N OPM4101105461 version 4.11として入手可能な画像分析ソフトウエアまたは同等物を使用し得る。このX線装置は、50Kvの管電圧、12mAの電流で、2秒間の曝露時間で作動する。
【0037】
上述した液体吸上げ試験などの他の試験と同時に液体分布分析を行う場合、X線画像化は特定の期間に行うべきである液体吸上げ率試験と同時に行う場合、サンプルは同一の重力方向(すなわち水平)に保つべきである。液体吸上げ率試験と同時に行う場合、X線画像は次の液体侵襲の直前に取得する。例えば、「第1の保持期間」(すなわち、各液体侵襲間の期間、または各液体侵襲後の期間)のためのX線画像は、第2の液体侵襲の直前に取得され、典型的には次回の液体侵襲の2分前以内に取得される。
【0038】
さらに、吸収体サンプルの厚さの測定は、X線画像の撮影前または撮影後に行われる。この厚さ測定は、液体吸上げ率試験で説明した上側アッセンブリからの液体送達チューブと整列するパッドの領域で行われる。厚さ測定は、例えば、日本所在のソニー・プレジジョン・テクノロジー(Sony Precision Technology Inc.)から入手可能なSONY DIGITAL INDICATORモデルU30A-Fなどの周知の装置を用いて行うことができる。厚さ測定中にサンプルに加えられる圧力は、0.1psi未満にすべきである。
【0039】
膨潤率試験
【0040】
この試験では、超吸水性材料が所与の液体で膨潤する率を測定する。0.160gの超吸水性材料を、0.3psi(2.1kPa)の呼び圧力下で、負荷下吸収シリンダ(上記の負荷下吸収性試験法で説明した)の5.07cm2の領域内に閉じ込める。皿に満たした試験液体をサンプルに吸収させる。既知の間隔で、26インチの水銀真空で作動させた真空装置を除去し、シリンダ内に余分な侵襲液体が存在しなくなった後に、サンプルの重量を測定する。この重量対時間のデータは、超吸水性材料の単一拡散係数値に変換される。この拡散係数は、或る特定の超吸水性材料の固有性質であり、超吸水体と試験液体との間の拡散率を特徴化する。超吸水性体の拡散の説明は、非特許文献2に記載されている(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。このモデルは、流束(フラックス)は濃度勾配に比例するという、フィックの拡散の第1法則に基づいている。
【0041】
膨潤率試験を実施するのに必要な装置には、以下のものが含まれる。
・電子てんびん、0.001gの精度、100g最小容量。
・図4を参照して、膨潤率試験装置910は、負荷下吸収(AUL)試験方法で上述した、シリンダ920、ピストン930及び重り990を備えるAULアッセンブリ925を含む。ただし、AUL試験では317の重りを用いたが、ここでは、100gの重りを用いる。この100gの重りは、米国ペンシルベニア州のウエストチェスター所在のVWRインターナショナル(VWR International)社から部品番号12727-141として入手可能である、またはその同等物が使用される。
・膨潤率試験装置910は、超吸水体サンプル950の膨潤中に吸上げられた侵襲液体を除去するのに使用されるAULチャンバも含む。このユニットは、要求吸収性テスタ(demand absorbency tester:DAT)と同様である。この試験装置は、米国マサチューセッツ州ダナーズ所在のM/Kシステムズ社(M/K Systems)から入手可能なGATS(gravimetric absorbency test system:重力測定吸収性試験装置)、並びに、非特許文献3に説明されている装置と同様である(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。直径2.5cmの領域内に限定して設けられたポートを有する、ポーテッドディスク935も利用される。
・液体層−ペトリ皿、プラスチック重り皿または過剰な液体を保持できる同様のもの。
・ステンレス鋼ワイヤまたは例えば8メッシュプラスチックスクリーンなどの大きな領域を有するプラスチックメッシュスクリーン。
・真空源‐吸引装置、ハウス真空ラインまたは真空ポンプ。
・側枝付きフラスコ960(図4)、フラスコの上部には、ゴム栓946及びチューブ955が嵌められている。
・ゴムまたはプラスチック製チューブ970(図4)。
・1秒間間隔で120分間計測可能なタイマー。
・ペーパータオルまたはティッシュ。
・静電気防止布。例えば、米国ニュージャージー州ワイコフ所在のイルフォードフォト社(Ilford Photo Corp.)から部品番号203547として入手可能なものまたは同等物。
・バルク超吸水性材料を示す粒径の分布が、試験に使用されるべきである。このことは、典型的には、回転分割機(spinning riffler)の使用を必要とする。適切な分割機は、英国ロンドン所在のマイクロスケール社(Microscal Limited)から市販されているModel SR 1Bである。分割機には、各個別のサンプル重量が0.160+/−0.005gmなどの十分な量の超吸水性材料を入れるべきである。
・真空装置。AULチャンバ940と側枝付きフラスコ960の上部にはめ込まれたチューブとを接続するのにチューブ970を使用する。真空源(図示せず)とフラスコ960の側枝980との間を接続するのにチューブ970を使用する。この側枝付きフラスコ960の目的は、サンプルから除去されたあらゆる液体を、真空装置に入る前に閉じ込めることである。側枝付きフラスコ960の安定性を高めるために、リングスタンドまたはリングスタンドと同様の固定器具にフラスコを取り付けることが望ましい。
・液体槽。液体槽皿(図示せず)の底部に、ワイヤメッシュ(図示せず)又は同様の大型メッシュプラスチックスクリーンを配置する。前記スクリーンは、AULアッセンブリ925を前記液体槽の上から下まで保持するように配置し、液体のサンプルへの自由なアクセスを可能にする。
【0042】
試験を実施するために、AULシリンダ920の内部を静電気防止布で拭き、シリンダ920、重り990及びピストン930の重さを計測する。計測した重さを容器重量(CONTAINER WEIGHT)としてグラム単位で記録する。
【0043】
シリンダ920に超吸水性材料950サンプル0.16±0.005gをゆっくりと注入する。超吸水性材料がAULシリンダの内側面と接触したり壁部に付着したりしないように注意されたい。
【0044】
シリンダ920、重り990、ピストン950及び超吸水体950の重量を計測し、前記てんびんの値を乾燥重量としてグラム単位で最も近いミリグラムまで記録する。
【0045】
超吸水性材料950がシリンダの底部で均一に分布するまで、AULシリンダ920を緩やかに揺らす。ピストン930及び重り990をシリンダにそっと取り付ける。
【0046】
大型メッシュスクリーンをその底部に有する液体槽内に、試験液体(0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液)を入れる。液体槽内のスクリーン上に超吸水性体サンプル950とシリンダアッセンブリ925を配置すると同時にタイマーによる測定を開始する。槽内の液面レベルは、前記シリンダの基部の上部よりも少なくとも1cm高くするべきである。サンプルに捕われている空気を放出させるために、サンプルが超吸水性材料が液体と接触しないように注意しながら、サンプルを緩やかに回転させる。
【0047】
各所定時間間隔で、2つのサンプルを試験するべきである。推奨される時間間隔は、30、120、300、600、1800及び3600秒である。
【0048】
指定された時間で液体槽からシリンダ920を取り出し、すぐにシリンダを真空装置(AULチャンバ940の上部のポーテッドディスク935)上に配置し、余分な過剰液体を約10秒間除去する。
【0049】
シリンダの外側をペーパータオルまたはティッシュで拭く。
【0050】
超吸水性材料及び吸収された試験液体を有するAULアッセンブリ(すなわち、シリンダ920、ピストン930及び重り990)の重量を即座に測定し、湿潤重量としてグラム単位で最も近いミリグラムまで記録する。また、対応する膨潤時間を、秒単位で記録する。
【0051】
指定時間での超吸水性材料の膨潤レベルは、下記の式によって計算される。
(湿潤重量−乾燥重量)/(乾燥重量−容器重量)=超吸水性材料の湿潤率(液体g/超吸水体g)
【0052】
要求される全ての時間間隔について繰り返す。重量測定のための適切な時間間隔は、超吸水性材料の吸収率に依存する。一般的に、比率曲線を完成させるために、重さ対時間のデータ点を少なくとも6つの取得すべきである。最初の試行は、十分に広い膨潤レベルの範囲に及ぶ時間間隔を決定するため、及び超吸水性材料の飽和容量を示すの使用される適切な時間間隔を決定するために行われる。この時間間隔は、膨潤レベルが膨潤平衡レベルに到達するように選択すべきである。
【0053】
記録された時間、重量、超吸水体の平均粒径、及び超吸水体の飽和容量を用いて、下記の方法により拡散係数を計算する。
【0054】
各時間間隔で、超吸水性材料の膨潤レベル(液体g/超吸水性材料g)を、飽和度に変換する(最も長い時間間隔で測定された超吸水性体の飽和容量に基づいて変換する)。その後、飽和度のデータを時間に対してプロットする。前述した非特許文献2に発見された拡散係数モデルを使用して、既知の最小二乗法または例えばマイクロソフト(登録商標)エクセル2003などの公的に入手可能なソフトウエアを利用した技術を用いて、前記モデルの膨潤率曲線が実験データに適合するまで、前記モデルからの前記拡散係数を調節する。実験データと最も適合する拡散係数を、超吸水性体の膨潤率と呼ぶことができる。
【0055】
粒径の測定法は、当該技術分野では公知であることに留意されたい。粒径分布試験に使用される1つの適切な方法は、積層されたふるい(各ふるいは次第に小さくなる開口を有する)の上部に超吸水性材料のサンプルを加える。ふるいを、所定の時間、機械的に攪拌し、その後、各ふるいに残った超吸水性材料の重量を計測する。各ふるいに残った超吸水性材料のパーセントを、超吸水性材料サンプルの最初の重量から計算する。
【0056】
本発明の段階的な吸収挙動を示す超吸水性材料の場合、各膨潤「段階」の膨潤率は、別々に測定される。各段階に用いられる飽和容量は、関心のある膨潤段階について測定された容量である。
【0057】
マネキン試験法
【0058】
マネキン試験法では、適切な大きさの、人間の胴体に相当する静止マネキンに吸収性物品を装着する。適切なマネキンは、米国ミシガン州カラマズー所在のマーケティング・テクノロジー・サービシ社(Marketing Technology Services, Inc.)から入手可能である。液体は、前記マネキンの内部を通るチューブから前記製品に供給される。前記製品からの液漏れが発生するとすぐに、その液漏れはセンサーにより検出され、前記液体の前記製品への供給は中止される。液漏れ時までに前記製品に供給された液体の量は、マネキンへの装着前及び装着後の前記製品の重量を測定することにより求められる。
【0059】
本明細書中に開示されたマネキン試験法を用いて、製品の液漏れ性能を評価する。静止マネキンシステム上で、食塩水の液漏れを試験する。静止マネキンシステムは、評価のためのマネキンを同一姿勢(この場合、腹臥位)に保った状態での強制的な液漏れプロトコルに使用されることができる(製品ユーザがうつぶせの状況をシミュレートする)。マネキンシステムは、コンピュータ制御されたバルブ及びセンサーの組み合わせを使用し、特定のマネキンへ液体を自動的に供給すると共に、液漏れの発生時を検出する。液体の供給量及び頻度は、制御することができる。特定の試験では、これらの条件は一定にする。製品の液漏れがセンサーによりまたは視覚的に検出されたとき、マネキンから製品を取り外して製品の重量を測定し、製品に吸収された液体の量(液漏れ時の吸収量)を求める。随意的に、マネキンから製品を取り外した後に、前記製品をX線撮影し、上述した液体分布試験に説明したようにして液体分布を求めることもできる。また、随意的に、各製品コードについて、液漏れ発生時平均吸収量並びに累積液漏れ分布曲線をデータとして報告することもできる。
【0060】
定義
【0061】
本開示に使用される場合、「含む」という用語及び「含む」という語根からの他の派生語は、任意の言及された特徴、要素、整数、工程、部品の存在を明示する、限定の意味を伴わない用語を意図しており、1つ又は複数の特徴、要素、整数、工程、部品又はそれらのグループの存在あるいは追加を排除するものではないことに留意すべきである。
【0062】
「吸収性物品」という用語は、一般的に、液体を吸収し、それを保持する手段を意味する。例えば、パーソナルケア用吸収性物品は、皮膚に接してまたは近接して配置され、身体から排泄される種々の液体を吸収して保持する手段を意味する。
【0063】
「コフォーム」という用語は、メルトブローンポリマー材料を空中成形しながら、それと同時にメルトブローン繊維流内に空気浮遊セルロース繊維を吹き込むことにより成形された、メルトブローン繊維とセルロース繊維との混合体を意味する。コフォーム材料は、超吸収性材料などの他の材料も含むこともできる。木質繊維及び/または他の材料を含むメルトブローン繊維は、例えば少孔を有するベルトなどにより提供される成形面上に堆積させられる。成形面は、該成形面上に配置されるスパンボンド布材料などの、気体透過性材料を含み得る。
【0064】
「架橋」という用語は、超吸収性ポリマーに関して用いる場合、通常は水溶性の材料を、実質的に水不水溶性であるが膨潤可能な材料へ効果的に改変するための任意の手段を意味する。このような架橋手段には、例えば、物理的交絡、結晶ドメイン、共有結合、イオン錯体及び会合、水素結合などの親水性会合、疎水性会合、又はファンデルワールス力が含まれる。
【0065】
「使い捨て」という用語は、本明細書では、1度使用した後に洗濯及び他の方法で状態回復させて吸収性物品として再利用することが意図されていない吸収性物品を表すのに用いられる。
【0066】
「弾性」、「エラストマー性」、「弾性的」、「伸縮性」、「弾性的」及び「弾性的な伸縮性」という用語は互換的に使用され、天然ゴムの特性に近い特性を一般的に示す材料又は複合体を意味する。エラストマー性材料は一般的に伸張又は他の方法で変形可能であり、伸張力又は変形力が取り除かれた後はその形状の大部分は復元される。
【0067】
「流体不透過性」、「液体不透過性」、「流体不透過性」及び「液体不透過性」は、通常の使用条件下で、層または積層体の平面と接触した水または体液などの流体が、前記平面に対して実質的に垂直な方向においては、前記層または積層体を実質的に通過しないことを意味する。
【0068】
「保健用/医療用吸収性物品」という用語は、種々な職業用及び消費者用ヘルスケア製品を含み、そのようなものとしては、これらに限定しないが、例えば、熱治療又は低温治療を施すための製品、医療用ガウン(すなわち防護用及び/又は手術用ガウン)、手術用ドレープ、帽子、手袋、顔面マスク、包帯、外傷用手当用品、拭き布、カバー、コンテナ、フィルタ、使い捨て衣類及びベッドパッド、医療用吸収性衣類、アンダーパッドなどを含む。
【0069】
「家庭用/産業用吸収性物品」という用語は、建設業用及び包装用の供給品、洗浄及び殺菌用の製品、拭き布、カバー、フィルタ、タオル、使い捨て切断シート、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、不織ロール製品、家庭用快適製品(例えば枕、パッド、マット、クッションなど)、マスク及び身体ケアー製品(例えば皮膚を清浄又は処理するために使用される製品)、実験用コート、作業服、ごみ箱、染み抜き剤、局所用組成物、ペットケア用吸収性ライナー、洗濯用汚れ/インク吸収体、洗剤の塊、親油性流体セパレータなどを含む。
【0070】
「親水性」及び「湿潤性」という用語は、互換的に使用され、空気中での水との接触角が90度未満の材料を意味する。「疎水性」という用語は、空気中での水との接触角が少なくとも90度である材料を意味する。本出願の目的において、接触角測定は、「表面及びコロイド科学−実験的方法」、第II巻、Robert J. Good、及び、Robert J. Stromberg編(プレナム・プレス、1979年)に記載されているようにして求められ、前記文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす。
【0071】
「層」という用語は、単数形で使用される場合は、単一要素又は複数要素の2つの意味を持つことができる。
【0072】
「MD」または「マシン方向」は、吸収性ウェブにおける、成形ファブリックの進行方向と平行でありな方向を意味し、一般的に、成形面により作成された平面内にある。「CD」または「クロスマシン方向」は、MDと垂直な方向を意味し、一般的に、成形面により作成された平面内にある。MD及びCDの両方は、一般的に、成形面と平行な平面を画定する。「ZD」または「Z方向」は、MD及びCDによって形成された平面に対して垂直な方向を意味する。
【0073】
「メルトブローン繊維」という用語は、溶融した熱可塑性材料を、通常は円形の断面形状を有する複数の微細なダイキャピラリから溶融した溶融糸あるいは単繊維として、通常は高温の高速ガス(例えば空気)流中へ押し出し、その流れにより溶融した熱可塑性材料の単繊維の直径を減少させることにより形成される繊維を意味する。コフォーム工程の特別な場合では、前記メルトブローン繊維流は、異なる方向から導入された1つまたは複数の材料流と交差する。その後、メルトブローン繊維及び他の材料は、高速ガス流により運ばれ、収集面上に堆積される。成形されたウェブ内でのメルトブローン繊維の分布及び方向は、形状及び工程条件に依存する。あるプロセス及び器具の条件下では、作製された繊維は、実質的に「連続的」であり得、顕微鏡によって10倍または20倍の倍率で複数の視野を検査した際に、分離、壊れた繊維またはテーパーされた端部が少ししかないと定義される。「連続的」なメルトブローン繊維が作製された場合、一般的に、個々の繊維の側面は、個々の繊維長さにおいて、繊維径の最小変化と平行である。対照的に、他の条件下では、繊維はオーバードローされ得、糸は破壊され、一連の不規則さ、別々の繊維長さ、及び多数の壊れた端部を形成する。一旦縮径され破壊された繊維の収縮は、多くの場合、ポリマーの大きな凝集をもたらす。
【0074】
「不織」及び「不織ウェブ」という用語は、編成織物のように識別可能な繰り返し方法ではない方法によってインターレイ(interlaid)された個々の繊維又は単繊維の構造を有する材料またはウェブを指す。「繊維」及び「単繊維」という用語は、本明細書中では互換的に使用される。不織布又はウェブは、例えばメルトブローン法、スパンボンド法、空気集積法、及びボンディング・カーディン(bonded carded)ウェブ法などの様々な方法により作製されてきた。不織布の坪量は通常、材料の1平方ヤード当たりのオンス(osy)または1平方メートル当たりのグラム(gsm)で表され、繊維の直径は通常はミクロンで表される(osyをgsmに変換するには、osyに33.91を乗ずることに留意されたい)。
【0075】
「粒子」という用語は、「超吸水性」と共に使用される場合は、一般的に個々の構成単位を意味する。前記構成単位は、粒子、顆粒、繊維、薄片、塊、球体、針状体、繊維または他の添加物で被覆された粒子、粉末材料、粉体、膜、その他、及びそれらの組み合わせを含むことができる。前記材料は、例えば立方体、棒状、多面体、球体または半球体、円形または半円形、角形、不規則形などの、任意の所望の形状を有することができる。
【0076】
「パーソナルケア用吸収性物品」という用語は、これらに限定しないが、オムツ、パンツ型オムツ、子供用拭き布、訓練用パンツ、吸収性下着、子供用ケアーパンツ、水着、及び他の使い捨て衣類;生理用ナプキン、拭き布、月経用パッド、月経用パンツ、パンティライナー、パンティーシールド、陰唇内挿具、タンポン及びタンポンアプリケーターを含む女性用ケアー製品;拭き布、乳房用パッドなどのパッド、コンテナ、失禁用製品及び尿用シールドを含む大人用ケアー製品;衣服用部品;よだれ掛け;アスレチック及びレクレーション用製品などの吸収性物品を含む。
【0077】
「ポリマー」という用語は、これらに限定しないが、ホモポリマー、コポリマー(例えばブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマーなど)、ターポリマー、その他、並びにそれらの混合物及び修飾物を含む。さらに、特に指定がない限り、「ポリマー」という用語は、その材料のあらゆる可能な配置異性体を含むものとする。これらの構成には、これらに限定しないが、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチック対称が含まれる。
【0078】
一般的に、本明細書中で使用される「ポリオレフィン」という用語は、これらに限定しないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマーなどの材料、それらのホモポリマー、コポリマー及びターポリマー、並びに、それらの混合物及び修飾物を含む。「ポリオレフィン」という用語は、それのあらゆる可能な構造を含むべきであり、そのような構造には、これらに限定しないが、アイソタクチック、シンジオタクチック及びランダム対称などが含まれる。コポリマーには、ランダム及びブロックコポリマーが含まれる。
【0079】
特に指定がない限り、「食塩水」という用語は、0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液を意味する。
【0080】
「スポーツ用/建設業用吸収性物品」という用語は、ヘッドバンド、リストバンド及び他の汗吸収のための補助物品、スポーツ用品のグリップ及びハンドル用の吸収用巻回物、タオル、または、使用中に器具を清掃及び乾燥させるための吸収性ワイパを含む。
【0081】
「スパンボンド」及び「スパンボンド繊維」という用語は、溶融した熱可塑性材料を、スピナレット(spinneret)の通常は円形の断面形状を有する複数の微細なキャピラリから、単繊維として押し出し、その後、押し出された繊維の直径を急激に縮径させることにより形成される繊維を意味する。
【0082】
「伸縮性」という用語は、伸縮可能であるか、あるいは、弾性的に伸縮可能な材料を意味する。
【0083】
「超吸収体」という用語は、最も好ましい条件下で、約0.9重量パーセントの塩化ナトリウムを含有する水性溶液内で、それ自体の重量の少なくとも約5倍を、またはそれ自体の重量の少なくとも約10倍を、またはそれ自体の重量の少なくとも約20倍の量を吸収することが可能な、水膨潤性の不水溶性有機材料若しくは無機材料を意味する。
【0084】
「標的領域」という用語は、吸収性コアにおける、例えば尿、月経または排便などの侵襲液体の大部分が最初に接触するのに特に望ましい領域を意味する。特に、吸収性コアに1つまたは複数の液体侵襲地点が設けられる場合、液体侵襲標的領域は、吸収性コアにおける、各液体侵襲地点から両方向に前記複合材料の全長の15%と等しい長さまで延在する領域を意味する。
【0085】
「熱可塑性物質」という用語は、熱に曝されると軟化し、室温まで冷却されると非軟化状態に実質的に戻る材料を意味する。
【0086】
「重量パーセント」という用語は、本明細書中において超吸水性ポリマー組成物の成分に関連して使用される場合、特に指定がない限り、超吸水性ポリマー組成物の乾燥重量に基づくと解釈される。
【0087】
これらの用語は、本明細書の残りの部分において付加的な言葉によって定義される場合がある。
【0088】
詳細な説明
【0089】
本発明の吸収性複合材料は、吸収性物品に有用である。本発明の吸収性物品は、吸収性コアを含み得、さらには、吸収性コアをその間に配置するトップシート、バックシートを含み得る。吸収性コアは、本発明の吸収性組成物を含む吸収性複合材料から構成される。
【0090】
本発明をより良く理解するために、本発明のトレーニングパンツの例示を目的とする図5及び図6に注目されたい。本発明は、これらに限定しないが、例えば、他のパーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、またはスポーツ用/建設業用吸収性物品などの様々な他の吸収性物品に適用可能であることを理解されたい。
【0091】
トレーニングパンツを作製するための様々な材料及び方法が、特許文献1ないし特許文献4に開示されている(これらの文献は全て、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0092】
図5は、部分的に留められている状態のトレーニングパンツを示す。図6は、開かれた、折り畳まれていない状態のトレーニングパンツを示す。トレーニングパンツは、着用時の前面から後面へ延びる縦方向48を規定する。縦方向48に垂直な方向が横方向49となる。
【0093】
トレーニングパンツは、前方領域22、後方領域24、及び、前方領域22と後方領域24との間で縦方向に延在し両者を相互接続する股領域26を規定する。また、トレーニングパンツは、使用時に着用者に面するように構成された(例えば、トレーニングパンツの他の構成要素よりも内側に配置された)内面、及び、前記内面の反対側に設けられた外面を規定する。このトレーニングパンツは、横方向の両端に設けられた一対の側縁部、及び、縦方向の両端に設けられた一対のウエスト端部を有する。
【0094】
図示したトレーニングパンツ20は、胴体部32、前方領域22における横方向両側部に設けられた一対の前方側面パネル34、及び、後方領域24における横方向両側部に設けられた一対の後方側面パネル134を含み得る。
【0095】
胴体部32は、バックシート40及びトップシート42を含み、トップシート42は接着剤、超音波接合、熱接合またはその他の従来技術によってバックシート40に接合され得る。胴体部32は、図5に示すような、バックシート40とトップシート42との間に配置された、着用者から滲出する体液(滲出液)を吸収するための吸収性コア44をさらに含み得る。また、胴体部32は、トップシート42または吸収性コア44に固定された、身体滲出液の側方流動を阻止するための一対の封止フラップ46をさらに含み得る。
【0096】
バックシート40、トップシート42及び吸収性コア44は、当該技術分野で既知の様々な材料から作製され得る。これら3つの層は全て、例えば、伸縮可能及び/または弾性伸縮可能であり得る。あるいは、各層の伸縮性は、製品全体での伸縮性を調節するために、それぞれ異なり得る。
【0097】
バックシート40は、例えば、通気性及び/または液体不透過性であり得る。バックシート40は、1つの層、複数の層、積層、スパンボンド繊維、フィルム、メルトブローン繊維、弾性網、微小孔性ウェブ、またはボンディング・カーディングされたウェブから作製され得る。バックシート40は、例えば、液体不透過性材料の単層であり得るか、あるいは、少なくとも一層が液体不透過性である多層積層構造であり得る。
【0098】
バックシート40は、2軸方向に伸縮性であり得、随意的に2軸方向に弾性であり得る。バックシート40として使用することができる弾性不織積層ウェブには、1つ若しくは複数のギャザー寄せ可能な(gatherable)不織ウェブ若しくはフィルムに接合された不織材料が含まれる。エラストマー複合材料の例えばは、伸縮結合積層体(SBL)及びネック結合積層体(NBL)が挙げられる。
【0099】
適切な不織材料の例には、スパンボンド/メルトブローン繊維、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド繊維、スパンボンド繊維、またはフィルムとそれらの繊維の積層体、あるいは他の不織ウェブが含まれる。エラストマー材料には、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリオレフィンエラストマー並びにそれらの組み合わせから成る、キャスト若しくはインフレーションフィルム、メルトブローン繊維またはスパンボンド繊維が含まれ得る。エラストマー材料には、PEBAXエラストマー(米国ペンシルベニア州フィラデルフィア所在のアトフィナケミカルズ社(AtoFina Chemicals, Inc.)から入手可能)、HYTREL弾性ポリエステル(米国カンザス州ウィチタ所在のインビスタ社(Invista)から入手可能)、KRATONエラストマー(米国テキサス州ヒューストン所在のクレイトン・ポリマーズ社(Kraton Polymers)から入手可能)、またはLYCRAエラストマー(インビスタ社から入手可能)など、並びにそれらの組み合わせが含まれ得る。バックシート40には、機械的処理、印刷処理、加熱処理または化学処理を経てエラストマー性を有する材料が含まれ得る。例えば、そのような材料は、開口加工、クレープ加工、ネッキングストレッチ加工、加熱活性化、エンボス加工及びマイクロストレイン加工(micro-strained)され得、かつ、フィルム、ウェブ及び積層体の形態であり得る。
【0100】
2軸方向伸縮性バックシート40の適切な材料の一例は、例えば特許文献5(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)に説明されているような通気性弾性フィルム/不織積層体である。2軸方向伸縮性を有する材料の例は、特許文献6及び特許文献7に開示されている(両文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。特許文献6及び特許文献7には、少なくとも2つの方向に伸縮可能な複合弾性材料が説明されている。この材料は、少なくとも1つの弾性シートと、該弾性シートに結合された少なくとも1つのネック化材料若しくは可逆的にネック化された材料とを有する。前記ネック化若しくは可逆的にネック化されたウェブは、非線形配置された少なくとも3ヶ所の位置のうちの2ヶ所の位置の間でギャザー寄せされるように前記弾性シートに結合される。
【0101】
トップシート42は、柔軟で、柔らかい肌触りで、かつ着用者の皮膚を刺激しないことが適切である。トップシート42は、身体滲出液を吸収性コア44の厚さ方向に迅速に透過させるのに十分な液体透過性も有する。適切なトップシート42は、例えば多孔質発泡体、網状発泡体、開口加工されたプラスチックフィルム、織ウェブ、不織ウェブまたはそれらの任意の材料の組み合わせなどの様々なウェブ材料から作製され得る。例えば、トップシート42には、天然繊維、合成繊維またはそれらの組み合わせから成る、メルトブローンウェブ、スパンボンドウェブまたはボンディング・カーディングされたウェブが含まれる。トップシート42は、実質的に疎水性の材料から構成され得る。前記疎水性材料は、随意的に、所望のレベルの湿潤性及び親水性を付与するために界面活性剤または他の方法で処理され得る。
【0102】
トップシート42はまた、伸縮可能及び/または弾性的に伸縮可能であり得る。トップシート42の作製に適切な弾性材料には、弾性ストランド、ライクラー(LYCRA)エラストマー、キャスト若しくはインフレーション弾性フィルム、不織弾性ウェブ、メルトブローン若しくはスパンボンド弾性繊維ウェブ、並びにそれらの組み合わせが含まれ得る。適切な弾性材料の例には、クレイトン(KRATON)エラストマー、ハイトレル(HYTREL)弾性ポリエステル、エステン(ESTANE)弾性ポリウレタン(米国オハイオ州クリーブランド所在のノベオン社(Noveon)から入手可能)、またはペバックス(PEBAX)エラストマーが含まれ得る。トップシート42は、特許文献8に説明されている伸縮可能材料から作成することもできる(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。トップシート42は、特許文献9に説明されているような2軸方向に伸縮可能な材料から作成することもできる(この文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0103】
物品20は、随意的に、吸収性コア44に隣接して配置され接着などの当該技術分野で既知の方法によって例えば吸収性コア44またはトップシート42などの物品20の様々な要素に取り付けられ得るサージ管理層をさらに含み得る。一般的に、サージ管理層は、物品の吸収性構造体内に急速に導入された波となって打ち寄せるまたは勢い良く流れる液体の迅速な吸収及び拡散を促進する。サージ管理層は、吸収性コア44の保持部分に放出される前の液体を一時的に保持することができる。適切なサージ管理層の例は、特許文献10ないし特許文献12に説明されている(これらの文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0104】
物品20は、本発明の吸収性複合材料を含む吸収性コア44をさらに含み得る。吸収性コア44は、様々な形状を有し得る。例えば、吸収性コア44は、2次元構造または3次元構造を有し得、長方形、三角形、楕円形、レーストラック形、I字型、概ね砂時計形、T字形などであり得る。多くの場合、吸収性コア44は、股部分26を後側部分24または前側部分22よりも狭くすることが適切である。吸収性コア44は吸収性物品内において例えばバックシート40及び/またはトップシート42に、例えば超音波、加圧、接着、開口形成、加熱、糸若しくはストランドの縫合、自発的若しくは自己接着、フックアンドループ、またはそれらの組み合わせなどの当該技術分野で既知の結合手段を用いて取り付けることができる。
【0105】
いくつかの態様では、吸収性コア44は、十分な量の伸縮性を有し得る。例えば、吸収性コア44は、有効な量の弾性ポリマー繊維を含有する繊維マトリクスを含み得る。当該技術分野で既知の他の方法には、その構造内に切断部または切込部を有する不織基材を利用して、伸縮可能フィルムに超吸水性ポリマー粒子を付着させる方法などがある。
【0106】
吸収性コア44は、当該技術分野で既知の方法を用いて作製され得る。特定の作製方法に限定するものではないが、吸収性コアはメルトブローン工程を利用して作成することができ、かつ、随意的にコフォームライン上に形成することができる。例示的なメルトブローン工程は、様々な刊行物(非特許文献4及び5)や特許文献(特許文献13及び14)に説明されている(これらは、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0107】
「コフォーム」材料を作製するために、メルトブローン繊維を成形面に堆積させるときに、メルトブローン繊維に追加的な成分が混合される。例えば、本発明の超吸水性ポリマー組成物及び例えば木材パルプ繊維などの綿毛を、メルトブローン繊維に捕捉及び/または結合されるように、メルトブローン繊維流の中に注入する。例示的なコフォーム工程は、特許文献15〜21に説明されている(これらの各特許文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。大量の超吸収体を含有している吸収性の弾性メルトブローンウェブが特許文献22に説明されており、大量の超収体を含有しかつ低い超収体シェイクアウト値を有する吸収性の弾性メルトブローンウェブが特許文献23に説明されている(両特許文献は、本明細書の記載と矛盾しない限りにおいて、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0108】
本発明に使用される吸収性コア44の作製方法の一例が図7に示されている。図7の装置の態様は、一例えば示されている。異なる態様及び/または異なる構造を有する他の種類の装置も、吸収性コア44の作製に使用し得る。図7に示すように、ペレット形態のエラストマー材料72が、2つのペレットホッパー74から2つの単軸スクリュー押し出し機76を通ってスピンポンピング78へ供給される。エラストマー材料72は、エクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)(米国テキサス州ヒューストン所在の)からビスタマックス(VISTAMAXX)2370の商品名で市販されている多成分エラストマー混合体並びに本明細書中で言及した他のものであり得る。各スピンポンプ78から個々のメルトブローンダイ80へ、エラストマー材料が供給される。各メルトブローンダイ80は、2.54cm(1インチ)当たり約30個の孔を有する。前記ダイの傾斜は、0度から70度の間で任意に調節され、適切には45度に設定される。成形高さは最大で約40.64cm(約16インチ)であり得る。しかし、この制限は、装置の種類によって異なり得る。
【0109】
約61cm(約24インチ)の幅を有するシュート82がメルトブローンダイ80,80の間に配置される。シュート82の深さ(すなわち厚さ)は、約1.3cmないし約3.2cm(約0.5インチないし約1.25インチ)、または約1.9cmないし約2.5cm(約0.75インチないし約1.0インチ)の範囲で調整され得る。シュート82の上部にピッカー144が接続される。ピッカー144はパルプ繊維86をほぐすのに使用される。ピッカー144の使用は、低強度または分解された(処理された)パルプの処理に限定され得る。その場合、ピッカー144を使用する図示した方法は、非常に小範囲のパルプ種類の処理に限定され得る。ハンマーを使用してパルプ繊維に衝撃を繰り返して与える従来の粉砕機とは対照的に、ピッカー144は小型の歯を使用してパルプ繊維86をばらばらにほぐす。図7に図示した方法に使用するための適切なパルプ繊維86には、例えばNB480(米国ワシントン州フェデラルウエイ所在のウェアーハウザー社(Weyerhaeuser Co.)から入手可能)などの本明細書中で言及したものが含まれる。
【0110】
シュート82におけるピッカー144と反対側の端部には、超吸水性ポリマー供給機88が接続されている。供給機88は、パイプ94の孔92に、本発明の超吸水性ポリマー組成物90を注入する。超吸水性ポリマー組成物90は、パイプ94から送風ファン96に供給される。送風ファン96の長さは、直径約10cm(4インチ)のパイプ98が、超吸水性ポリマー組成物粒子90の分散を可能にする約1524m/分(5000フィート/分)の完全発達乱流を十分に発達させることができる長さにする。パイプ98の直径は、超吸水性ポリマー組成物90がパルプ繊維86と混合する地点で約10cm(4インチ)から約61cm×1.9cm(約24インチ×0.75インチ)に広がる。そして、超吸水性ポリマー組成物90とパルプ繊維86の混合物は前記混合地点から真下に落下し、混合物の両側にエラストマー材料72が約45度の角度で混合する。超吸水性ポリマー組成物90とパルプ繊維86とエラストマー材料72の混合物は、約4.27〜10.67m/分(約14〜35フィート/分)ワイヤーコンベヤ100上に落下する。また一方、コンベヤ100に当たる前に、スプレーブーム102が前記混合物に対して界面活性剤の水性混合物104を霧状に噴霧する。このことにより、作製された吸収性コア44は、湿潤性に改変される。界面活性剤混合物104は、GLUCOPON 220UP(米国オハイオ州のシンシナティ所在のコグニス社(Cognis Corporation)から収入可能)と、AHCOVEL Base N-62(米国デラウェア州ニューカッスル所在のユニケマ社(Uniqema)から収入可能)との混合比1:3の混合物であり得る。吸収性コア44の成形を補助するために、ワイヤ下真空機106がコンベヤ100の真下に配置されている。
【0111】
一般的に、吸収性コア44は、実質的に均一分布の超吸水性ポリマー組成物粒子、繊維、及び任意の他の随意的な添加物を含む単一構造体である場合が多い。しかし、図8を参照して、いくつかの態様では、吸収性コア44は、本発明の超吸水性ポリマー組成物粒子を組み合わせた場合、構造改変によってさらに強化され得る。例えば、NB480または他の天然若しくは合成繊維などの綿毛繊維を十分に含有する層62と層64との間に、本発明の超吸水性ポリマー組成物粒子を十分に含有する層60を設けることにより、超吸水性ポリマー組成物粒子及び綿毛繊維を実質的に均一に分布させる場合よりも、吸収性コアの吸収性(例えば侵襲液体の吸収率)を向上させることができる。このような積層化は、吸収性コアのz方向において行われ、随意的に、吸収性コアのx−y領域完全をカバーする。また一方、層60、62及び64は、互いに異なる必要はない。例えば、いくつかの態様では、吸収性コアのz方向の中央部分60に、吸収性コアの上側層62及び/または下側層64よりも高い割合(例えば、少なくとも10重量%)の超吸水性ポリマー組成物粒子が含まれるようにするだけでもよい。層60、62及び64は、吸収性コアにおける侵襲標的領域内に存在することが望ましい。
【0112】
上述したように、吸収性コア44は、例えば超吸水性ポリマー組成物及び/または綿毛などの吸収性材料も含む。さらに、有効な量の超吸水性ポリマー組成物を、例えばポリマー繊維などの繊維マトリックス内に含めることができる。したがって、吸収性コア44は、繊維マトリックス内に、大量の超吸水性ポリマー組成物及び/または綿毛を含むことができる。いくつかの態様では、向上した利益を吸収性コアに提供するためには、吸収性コア44内の超吸水性ポリマー組成物の量は、前記コアの重量の少なくとも約10重量%、例えば少なくとも約30重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約90重量、少なくとも約10重量%ないし約99重量%、少なくとも約30重量%ないし約90重量%などであり得る。随意的に、超吸水性ポリマー組成物の量は、吸収性コアの重量の少なくとも約95重量%であり得る。他の態様では、吸収性コア44は、約35重量%またはそれ未満の、例えば約20重量%またはそれ未満、約10重量%またはそれ未満の綿毛を含むことができる。
【0113】
本発明は、超吸水性ポリマー組成物粒子及び/または綿毛の使用に限定されないことを理解されたい。いくつかの態様では、吸収性コア44は、追加的にまたは代替的に、例えば界面活性剤、イオン交換樹脂粒子、湿潤剤、皮膚軟化剤、香料、天然繊維、合成繊維、流体改変剤、悪臭防止添加剤、及びそれらの組み合わせなどの材料を含み得る。あるいは、吸収性コア44は、発泡体を含むことができる。
【0114】
より良く機能させるために、吸収性コア44は、向上した性能の他にもユーザにとっての快適性及び信頼性も提供するためのいくつかの望ましい性質を有することができる。例えば、吸収性コア44は、液体吸上げ率、吸収容量、液体分配または適合性(例えば形状維持及び審美性)などの吸収特性の所望の組み合わせを提供するために選択的に構成され配置された、吸収容量、密度、坪量及び/または大きさに対応した構造を有することができる。同様に、吸収性コアは、所望の湿潤対乾燥強度比、平均流孔径、透過性及び伸び値を有することができる。
【0115】
上述したように、吸収性コア44は、随意的に、エラストマー性ポリマー繊維を含むことができる。前記ポリマー繊維のエラストマー性材料は、所望に応じて、オレフィン系エラストマーまたは非オレフィン系エラストマーを含み得る。例えば、前記エラストマー性繊維は、オレフィンコポリマー、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリイソプレン、架橋ポリブタジエン、ジブロック、トリブロック、テトラブロックまたは他のマルチブロック熱可塑性エラストマー性及び/または柔軟性コポリマー(例えばブロックコポリマー(水素化ブタジエン−イソプレン−ブタジエンブロックコポリマー)など);ステレオブロックポリプロピレン;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーまたはエチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)エラストマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー(EPM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、及びエチレン−アクリル酸メチル(EMA)を含むグラフトコポリマー;クラトン社(Kraton Inc.)からKRATONエラストマー性樹脂の商品名で市販されているまたはエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)の一部門であるデキスコ(Dexco)からVECTOR(SIS及びSBSポリマー)の商品名で市販されている、例えばスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン(SIBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)またはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)などのジブロック及びトリブロックコポリマーを含むスチレンブロックコポリマー;動的に加硫されたエラストマー−熱可塑性混合体を有する熱可塑性エラストマーの混合体;熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー;アイオノマー系熱可塑性エラストマー;インビスタ社(Invista Corporation)からLYCRAポリウレタンの商品名で市販されているもの、及び米国オハイオ州クリーブランド所在のノベオン社(Noveon, Inc.)からESTANEの商品名で市販されているものを含む熱可塑性弾性ポリウレタン;米国ペンシルベニア州フイラデルフイア所在のアトフィナケミカルズ社(AtoFina Chemicals, Inc.)からPEBAXの商品名で市販されているポリエーテルブロックアミドを含む熱可塑性弾性ポリアミド;ポリエーテルブロックアミド;デュポン社(E. I. Du Pont de Nemours Co.)からHYTRELの商品名で市販されているもの、米国インディアナ州エバンズビル所在のDSMエンジニアリングプラスチックス社(DSM Engineering Plastics)からARNITELの商品名で市販されているもの、及び、米国テキサス州フリーポート所在のダウケミカル社(Dow Chemical Co.)からAFFINITYの商品名で市販されている約0.89g/立方メートル未満の密度を有するシングルサイトまたはメタロセン触媒ポリオレフィンを含む熱可塑性弾性ポリエステル;並びにそれらの組み合わせを含み得る。
【0116】
本明細書中では、トリブロックコポリマーは、ABA構造を有する。ここで、AはA型のいくつかの反復単位を示し、BはB型のいくつかの反復単位を示す。上述したように、スチレンブロックコポリマーのいくつかの例は、SBS、SIS、SIBS、SEBS及びSEPSである。これらのコポリマーでは、Aブロックはポリスチレンであり、Bブロックはゴム性成分である。一般的に、これらのトリブロックコポリマーは、数千から数百までの様々な分子量を有し、スチレン含有量は、トリブロックコポリマーの総量に基づいて5%から75%の範囲であり得る。ジブロックコポリマーは、AB構造であることを除いてはトリブロックコポリマーと同様である。適切なジブロックコポリマーには、同一のAブロック対Bブロック比率を有するトリブロックコポリマーの分子量の約2分の1の分子量を有するスチレン‐イソプレンジブロックが含まれる。
【0117】
望ましい態様では、ポリマー繊維は、スチレンブロックコポリマー、弾性ポリオレフィンポリマー及びコポリマー、並びにEVA/EMA型ポリマーから成る群より選択される少なくとも1つの材料を含み得る。
【0118】
いくつかの特定の態様では、例えば、ポリマー繊維のエラストマー材料は、米国テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)からビスタマックス(VISTAMAXX)の商品名で市販されている様々な商用グレードの低結晶度、低分子量のメタロセンポリオレフィンを含むことができる。いくつかのビスタマックス(VISTAMAXX)材料は、メタロセンポリオレフィンエチレンコポリマーであると考えられている。例えば、ある態様では、エラストマーポリマーはVISTAMAXX PLTD 2210であり得る。他の態様では、エラストマーポリマーはVISTAMAXX PLTD 1778であり得る。特定の態様では、エラストマーポリマーはVISTAMAXX PLTD 2370であり得る。別の任意選択のエラストマーポリマーは、クラトン社(Kraton Inc.)製のKRATON blend G 2755である。前記KRATON材料は、スチレンエチレン‐ブチレンスチレンポリマーとエチレンワックスと粘着付与樹脂との混合物であると考えられている。
【0119】
いくつかの態様では、エラストマーポリマー繊維は、選択されたメルトフローレート(melt flow rate:MFR)を有するポリマー材料から作製することができる。特定の態様では、MFRは、最大で約300までであり得る。あるいは、MFRは、最大で約230〜250までであり得る。別の態様では、MFRは、最小で少なくとも約9、または少なくとも約20であり得る。あるいは、所望の性能を提供するために、MFRは、少なくとも約50であり得る。前述したメルトフローレートの単位は、10分間当たりに流れるグラム数(g/10分)である。メルトフローレートのパラメータは周知であり、例えばASTM D 1238 70(押し出し可塑度計)(標準状態「L」は230℃であり、2.16kgの力が加えられる)試験方法などの従来技術によって測定することができる。
【0120】
上述したように、吸収性コア44のポリマー繊維は、多量の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、作用可能な任意の方法で吸収性コアのポリマー繊維と結合させることができる。界面活性剤を結合させるための様々な技術は、従来どおりであり、当業者には周知である。例えば、界面活性剤は、メルトブローン繊維構造の作製に使用されるポリマーに配合させることができる。特定の態様では、繊維の冷却時に、有効な量の界面活性剤が、繊維の外面に移転または分離するように構成され得る。あるいは、界面活性剤は、ポリマー繊維の成形後に、ポリマー繊維に塗布または他の方法で結合され得る。
【0121】
ポリマー繊維は、繊維及び界面活性剤の全重量に基づいて、有効な量の界面活性剤を含むことができる。いくつかの態様では、ポリマー繊維は、水抽出法で測定された、少なくとも約0.1重量%の界面活性剤を含むことができる。あるいは、所望の利益を提供するために、界面活性剤の量は少なくとも約0.15重量%であり得、任意選択で少なくとも約0.2重量%であり得る。他の態様では、向上した性能を提供するために、界面活性剤の量は、最大で約2重量%まで、例えば最大で約1重量%まで、最大で多くて約0.5重量%までなどであり得る。
【0122】
もし界面活性剤の量が望ましい範囲を外れた場合、様々な不都合が生じ得る。例えば、界面活性剤の量が少なすぎると、疎水性メルトブローン繊維などの繊維を吸収液体で湿潤させることができない。対照的に、界面活性剤の量が多すぎると、望ましくないことに、繊維から洗い流された界面活性剤が、吸収性コアの液体輸送能力を妨げ得るかまたは吸収性コアの吸収性物品への付着強度に悪影響を与え得る。界面活性剤をポリマー繊維に配合してもまたは他の方法によりポリマー繊維の内部に加えても、界面活性剤の量が多すぎると、ポリマー繊維及び内部繊維結合の形成を弱くする状態が創出され得る。
【0123】
いくつかの構成では、界面活性剤には、ポリエチレングリコールエステル凝縮物及びアルキルグリコシド界面活性剤から成る群より選択される少なくとも1つの材料が含まれ得る。例えば、界面活性剤は、40%の水と、60%のD‐グルコース、デシル、オクチルエステル及びオリゴマーとから成る、コグニス社(Cognis Corporation)から入手可能なグルコポン(GLUCOPON)界面活性剤であり得る。
【0124】
本発明の他の態様では、界面活性剤は、0.20kgのGLUCOPON 220 UP界面活性剤(コグニス社(Cognis Corporation)から入手可能)及び0.36kgのAHCOVEL Base N-62(ユニケマ社(Uniqema)から入手可能)に混合された16リットルの熱湯(約45℃ないし約50℃)を含む水/界面活性剤溶液を含有し、噴霧塗布される界面活性剤であり得る。噴霧塗布される界面活性剤を使用する場合は、超吸水性ポリマー組成物粒子の所望の閉じ込めを提供するために、噴霧塗布される界面活性剤の量は比較的少量であることが望ましい。例えば、液体界面活性剤の量が多すぎると、溶融されたエラストマーメルトブローン繊維への超吸水性ポリマー組成物粒子の所望の付着が妨げられる。
【0125】
エラストマー繊維ポリマーと配合させることができる内部界面活性剤または湿潤剤の例には、米国テキサス州フリーポート所在のBASF社から入手可能なMAPEG DO 400 PEG(ポリエチレングリコール)エステルなどが含まれ得る。他の内部界面活性剤には、ポリエステル、脂肪酸エステル、せっけんなど、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0126】
いくつかの態様では、吸収性コア44は、例えばセルロース繊維などの綿毛を含むことができる。そのようなセルロース繊維には、これらに限定しないが、例えば亜硫酸パルプ及び硫酸塩パルプなどの化学木材パルプ(クラフトとも呼ばれる)、並びに、例えばグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ及びケミサーモメカニカルパルプなどの機械パルプが含まれ得る。より具体的には、パルプ繊維には、綿、他の種類の木材パルプ、酢酸セルロース、ボンデッドケミカル木材パルプ、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。落葉樹及び針葉樹の両方から得られたパルプも使用可能である。さらに、セルロース繊維には、天然植物繊維、トウワタ綿毛、綿繊維、微結晶性セルロース、超微細化セルロース、またはそれらの材料のいずれかと木材パルプ繊維との組み合わせなどの親水性材料が含まれ得る。適切なセルロース系綿毛繊維には、例えば、NB 480(ウェアーハウザー社(Weyerhaeuser Co.)から入手可能)、漂白した南部針葉樹クラフトパルプであるNB 416(ウェアーハウザー社から入手可能)、漂白した南部針葉樹クラフトパルプであるCoosAbsorb S(米国サウスカロライナ州グリーンビル所在のボウウオーター社(Bowater Inc.)から入手可能)、化学修飾された広葉樹パルプであるSULPHATATE HJ(米国ジョージア州エサップ所在のレイオニール社(Rayonier Inc.)から入手可能)、化学修飾された漂白南部針葉樹クラフトパルプであるNF 405(ウェアーハウザー社から入手可能)、及び漂白南部針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプの混合物であるCR 1654(ボウウオーター社(Bowater Inc.)から入手可能)が含まれ得る。
【0127】
上述したように、吸収性コア44は、望ましい量の本発明の超吸水性ポリマー組成物粒子も含む。一般的に、超吸水性ポリマー(superabsorbent polyme:SAP)は、不水溶性であるが水膨潤可能に改変することができる。これらの内部架橋結合されたポリマーは、少なくとも部分的に中和され得る。
【0128】
SAPは、水溶液内でのゲル重合などの既知の重合技術により製造される。この重合過程により超吸水性を有するポリマーが得られ、得られたポリマーは、その後、機械力により小粒子化され、当該技術分野で既知の乾燥手順及び装置を用いて乾燥させられる。乾燥過程の後に、得られた粒子を所望の粒子サイズに粉砕する過程が行われる。一般的に、粒子サイズが非常に小さい場合は、液体の吸収後に膨潤し、さらなる液体の吸収が阻害される。しかし一方、粒子サイズが非常に大きい場合は、表面積が減少するので、吸収率が減少し得る。
【0129】
本発明の超吸水性ポリマー組成物は、親水性複合繊維マトリクスと実質的に均一に混合させることができるか、あるいは非均一に混合させることができる。体液(滲出液)の吸収及び保持を向上させるために、前記繊維及び超吸水性粒子を超吸収性コア44の所望の領域(例えば標的領域)に選択的に配置することができる。超吸水性粒子の濃度は、超吸収性コア44の厚さ方向において、様々な濃度に設定することができる。あるいは、超吸収性コア44は、繊維性ウェブと超吸水性材料との積層体、または、超吸水性材料を局所領域に保持するための他の適切な手段を含むことができる。
【0130】
本発明のある態様では、本発明の超吸水性ポリマー粒子組成物は、第1の吸収容量で液体を吸収し膨潤することが可能であり、トリガー機構が開放された場合に、mCRC試験で測定して、前記第1の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の吸収容量で液体を吸収し膨潤することが可能であり、それ故に、段階的な吸収容量が提供される。本明細書中では、「膨潤」は、液体が超吸水性材料に吸収されることにより生じる、超吸水性ポリマー組成物の質量の増加を意味する。超吸水性ポリマー組成物内で膨潤が生じるためには、液体を吸収する必要がある。したがって、超吸水性材料の膨潤は、超吸水性材料が液体を吸収することも意味することを理解されたい。
【0131】
本発明の超吸水性ポリマー組成物は、トリガー機構の開放後に、追加的な液体を吸収し膨潤することが可能である。ある態様では、トリガー機構は、超吸収性材料が侵襲液体で飽和した後あるいは実質的に飽和した後に作動する。トリガー機構は、超吸収性材料が、同じ超吸収性材料のトリガー機構の開放前と比較して追加的な量の液体を吸収し膨潤することを可能にする。
【0132】
本発明での使用に有用なトリガー機構には、これらに限定しないが、熱エネルギー、化学的エネルギー、力学的エネルギー、電気エネルギー、磁気エネルギーまたは放射エネルギーに反応する材料が含まれる。また、トリガー機構には、それらの機構の組み合わせ、または、それらの機構と超吸水性ポリマー組成物の追加的な液体の吸収を引き起こす他の機構との組み合わせも含まれ得る。
【0133】
本発明のいくつかの態様では、本発明の超吸収性複合材料は、不水溶性繊維性マトリックスと、超吸水性ポリマー組成物と、少なくとも1つのトリガー機構とを含む。いくつかの態様では、トリガー機構は、超吸水性ポリマー組成物内に直接的に組み込むことができる。他の態様では、トリガー機構は、超吸水性ポリマー組成物の表面上に配置することができる。さらなる他の態様では、トリガー機構は、超吸水性複合材料の繊維性マトリックス内に配置することができるが、超吸水性ポリマー組成物と直接的に接触させる必要はない。さらに別の態様では、トリガー機構は、上述した技術の組み合わせによって、超吸水性複合材料内に組み込まれ得る。トリガー機構を本発明の超吸水性ポリマー粒子組成物または超吸水性複合材料内に組み込むその他の様々な方法も適切であり、上述した技術は、説明目的のみで提供されるものであり限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0134】
さらに、トリガー機構は、混合、カプセル化、被覆、印刷、積層、戦略的な混合及び/または前記複合材料の特定のポケット内に配置することなどの手段、並びに、それらの組み合わせ、あるいは、他の手段により組み込むことができる。特定のトリガー機構は、時間遅れ効果(time delayed effect)を有し得、前記効果が除去されたときにのみ作動を開始する。1つの非限定的な例は、カプセル化されたトリガー機構である。時間制御放出または遅延機構を用いてまたは用いずに、トリガー材料が相乗的に使用され得る。
【0135】
いくつかの態様では、前記トリガー機構は、超吸水性複合材料の全体を通じて配置することができる。他の態様では、前記トリガー機構は、超吸水性複合材料の所定領域に配置することができる。前記所定領域は、超吸収性複合材料の標的領域であり得る。いくつかの態様では、随意的に、標的領域の周辺に前記トリガー機構の影響を受けない第2の超吸水性材料を設けることができる。また、前記所定領域は、標的領域の外側に配置することも、標的領域及びその外側の両方に重ねて配置することもできる。
【0136】
いくつかの態様では、本発明の超吸収性複合材料は、第1のトリガー機構を含む。例えば、前記第1のトリガー機構は、約5分後ないし約60分後の適切な第1の開放時間を有することができる。例えば、トリガー機構をカプセル化した場合、前記開放時間は、トリガー機構をカプセル化した材料が溶解または実質的に溶解し、トリガー機構が超吸水性ポリマー組成物に対して効力を発揮するのに要する時間である。トリガー機構の溶解は、これらに限定しないが、例えば超吸水性複合材料への液体の侵襲などの様々な手段により開始することができる。第1のトリガー機構の開放前における超吸収性材料の最初の吸収容量は、適切には、mCRC試験で測定して、超吸水性材料1gあたり少なくとも約5gの液体、例えば超吸水性材料1gあたり少なくとも約10gの液体または超吸水性材料1gあたり少なくとも125gの液体である。前記トリガー機構の開放後は、超吸水性材料は、前記第1の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい、例えば前記第1の吸収容量よりも少なくとも約30%大きいまたは前記第1の吸収容量よりも少なくとも約35%大きい、第2の吸収容量を有する。
【0137】
本発明の他の態様では、本発明の吸収性複合材料は、複数のトリガー機構を含むことができる。前記複数のトリガー機構は、各トリガー機構が順々に開放されるように互いに異なる様々な開放時間を有し、多段階的な吸収容量(mCRC試験で測定したところ、各回の吸収容量は前回の吸収容量よりも少なくとも約25%大きくなる)を提供する。例えば、第2のトリガー機構は、上述したような第1のトリガー機構と併用することができる。第2のトリガー機構の解放時間は、第1のトリガー機構の解放時間よりも後の時間(遅い時間)であることが望ましい。例えば、第2のトリガー機構のための適切な開放時間は、最初の液体侵襲から約10分後ないし120分後、且つ、第1のトリガー機構の開放時間よりも少なくとも5分後であり得る。カプセル化された第2のトリガー機構の開放は、第1のトリガー機構の解放後に得られた第2の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい(例えば、第2の吸収容量よりも少なくとも約30%大きい、または第2の吸収容量よりも少なくとも約35%大きい)第3の吸収容量をもたらすであろう。
【0138】
本発明のさらなる態様では、さらに別の段階的な容量を提供するために、第3のトリガー機構が使用され得る。第3のトリガー機構の解放時間は、第2のトリガー機構の解放時間よりも後の時間(遅い時間)であることが望ましい。例えば、第3のトリガー機構のための適切な開放時間は、最初の液体侵襲から約15分後ないし180分後、且つ、第2のトリガー機構の開放時間よりも少なくとも5分後であり得る。第3のトリガー機構の開放は、第2のトリガー機構の解放後に得られた第3の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい(例えば、第2の吸収容量よりも少なくとも約30%大きい、または第2の吸収容量よりも少なくとも約35%大きい)第4の吸収容量をもたらすであろう。
【0139】
本発明のさらなる態様では、さらに別の段階的な容量を提供するために、第4のトリガー機構が使用され得る。第4のトリガー機構の解放時間は、第3のトリガー機構の解放時間よりも後の時間(遅い時間)であることが望ましい。例えば、第4のトリガー機構のための適切な開放時間は、最初の液体侵襲から約20分後ないし240分後、且つ、第3のトリガー機構の開放時間よりも少なくとも5分後であり得る。第4のトリガー機構の開放は、第3のトリガー機構の解放後に得られた第4の吸収容量よりも少なくとも約25%大きい(例えば、第2の吸収容量よりも少なくとも約30%大きい、または第2の吸収容量よりも少なくとも約35%大きい)第5の吸収容量をもたらすであろう。
【0140】
本発明のいくつかの態様では、(例えば低い中和レベルによって)例えば低い吸収容量を有する超吸水性材料は、超吸水性材料の周囲環境のpHを変化させることにより、高吸収容量で膨潤するようにトリガーすることができる(すなわち、「段階的吸収容量」変化)。例えば、超吸水性ポリマー組成物は、塩基性若しくは酸性の化合物若しくは溶液の添加により膨潤するようにトリガーすることもできる。例えば、超吸水性材料がアニオン性の超吸水性材料の場合、トリガー機構には塩基が含まれる。例えば、超吸水性材料がカチオン性の超吸水性材料の場合、トリガー機構には酸が含まれる。いくつかの態様では、塩基または酸は、固形の形態であることが望ましい。
【0141】
いくつかの態様では、弱塩基若しくは弱酸化合物が望ましくあり得る。強酸及び/または塩基(例えば塩酸または水酸化ナトリウム)よりも弱酸及び/または弱塩基(例えばクエン酸または重曹)を吸収性複合材料内に使用する方が、ユーザにとってより安全である。本発明のある態様では、酸トリガー機構を含んでいる吸収性複合材料にとっての望ましいpH範囲は、超吸水性材料の元のpH値よりも低いpHであり、弱酸(例えばクエン酸)を使用する場合は、約4〜7である。本発明の他の態様では、例えば超吸水性材料の中和度が70%の場合などの、塩基トリガー機構を含んでいる吸収性複合材料にとっての望ましいpH範囲は、超吸水性材料の元のpH値よりも高いpHである。
【0142】
いくつかの態様では、トリガー機構として酸または塩基を使用する場合、トリガー機構は超吸水性材料に直接的に混合することが望ましい。他の態様では、酸または塩基の超吸水性材料への混合は控えることが望ましい。様々な時間長さの時間遅れ効果によってトリガー機構を作動させるために、酸または塩基は、体液との直接的または即時の接触から保護される。例えば、酸または塩基を或る化学コーティングによって様々な厚さ及び溶解速度でカプセル化することで、所望の時間遅れ効果の達成を手助けすることができる。
【0143】
本発明の他の態様では、解放後にイオン強度変化に影響を与えるトリガー機構により、超吸水性ポリマー組成物が膨潤するようにトリガーすることができる。例えば、固形形態の塩化ナトリウムを、超吸水性材料に組み込まれ得るまたは組み込まれ得ない吸収性複合材料内に含めることにより、初回の液体侵襲時に、例えば8重量%塩化ナトリウムなどの高イオン強度溶液が得られるようにすることができる。その結果生じる塩毒性効果は、超吸水性材料の吸収容量を所望のレベルに制限する。その後、より低いイオン強度の溶液(例えば、0.9%塩化ナトリウム)が侵襲した際に、吸収容量は、新しいより高い容量限度へ増加する。この段階的な容量の増加は、超吸水性材料の周囲環境のイオン強度が、侵襲液体のイオン強度と等しくまたはそれ未満になるまで継続することができる。
【0144】
いくつかの態様では、本発明による、段階的な容量で膨潤可能な超吸水性材料は、吸収性複合材料の全体に分布させることができる。他の態様では、超吸水性ポリマー組成物は、吸収性複合材料の所定の領域に配置させることができる。例えば、図9は、本発明の一態様による吸収性複合材料を含む吸収性コア725を備える吸収性物品710を示す。吸収性コア725は、標的領域728に配置された本発明の超吸水性ポリマー組成物を含むことができる。随意的な第2の超吸水性材料を、標的領域728の外側に位置する外側領域726,727に配置することができる。標的領域728に配置された本発明の超吸水性ポリマー組成物は、一旦トリガー機構が開放されると、(従来のSAPと比較すると)比較的短期間で膨張する能力を有するが、吸収容量は制限されている。標的領域728に配置された本発明の超吸水性材料により吸収されない各回の液体侵襲時の液体は、外側領域726,727へ分散され、外側領域726,727の超吸水性ポリマー組成物により吸収される。標的領域728内の超吸水性ポリマー組成物の吸収容量は、その後、他のトリガー機構の開放により増加させることができる。よって、標的領域に侵襲した追加的な液体は超吸水性材料をより高い吸収容量限界まで素早く膨潤させ、余分な液体は前回と同じように外側領域726,727へ分散させられる。本発明では各侵襲時の余分な液体は標的領域718から離れる方向へ分散させられるので、段階的吸収容量型超吸水性ポリマー組成物の各侵襲時の制限された吸収容量により、標的領域における全膨潤厚さを、従来のSAPを用いた複合材料よりもより薄くすることができる。その結果、ユーザに対してより優れた快適性及び信頼性を提供する吸収性複合材料が得られる。
【0145】
本発明に有用な超吸水性材料は、最初に(すなわち、第1のトリガー機構の開放前に)、mCRC試験で測定して、超吸水性材料1gあたり少なくとも約5g(例えば、少なくとも約10gまたは少なくとも約12g)の食塩水(すなわち、0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液)を吸収することができる。本発明に使用可能な段階的吸収容量型の超吸水性材料は、トリガー機構の解放後、同じ超吸水性材料のトリガー機構の解放前と比べると、少なくとも約25%大きい吸収容量をもたらす。いくつかの態様では、本発明の超吸水性ポリマー組成物は、膨潤率試験で測定して、従来のSAPの膨潤率よりも少なくとも約20%高い(例えば、約50%高い、約75%高い、または約100%高い)膨潤率を有する。
【0146】
本発明の組成物は、生理用ナプキン、おむつまたは創傷被覆材などの様々な製品に用いることができ、それらは、多量の生理血、尿または他の体液を迅速に吸収する特性を有する。本発明の超吸水性ポリマー組成物は、通常の現行の吸収性コア組成物と比べると、吸収された液体を圧力下であっても保持することができ、かつ、膨潤状態においてさらなる液体を構造体内に分散させることが可能であるため、より望ましくは、例えば綿毛などの他の吸収性コア要素よりも高い濃度で用いられる。また、本発明の組成物は、吸収性物品構造体内での、綿毛成分を含まない均一な超吸水性層としての使用にも適しており、本発明の組成物を使用することにより特に薄い物品が可能となる。
【0147】
広義の積層体、並びに、押し出し及び共押し出しされた湿潤及び乾燥結合並びにその後の結合構造の作製が、さらなる作製工程として可能である。また、これらの可能性がある過程を互いに組み合わせることも可能である。
【0148】
本発明の超吸水性ポリマー組成物は、その他の用途に適切な吸収性物品に用いることもできる。特に、本発明の超吸水性ポリマー組成物は、パーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、またはスポーツ用/建設業用吸収性物品などに使用することができる。
【0149】
上記の吸収性物品に加えて、本発明は吸収性創傷被覆材(absorbent bandage)として例示され得る。図10A及び図10Bを注目すれば、本発明の創傷被覆材として可能性がある構造が示されている。図10Aは、後述する随意的な層を有する吸収性創傷被覆材の断面図を示す。図10Bは、図示しない随意的または取り外し除去ないくつかの層を有する本発明の創傷被覆材の斜視図を示す。吸収性創傷被覆材150は、体側の面159及びその反対側の第2の面158を有するストリップ(strip)151を含む。ストリップは本質的にバックシートであり、前述したバックシートと同一材料から作製することが望ましい。さらに、ストリップは、例えば多孔性フィルムなどの多孔性材料、またはそうでなければ、例えばガス透過性フィルムなどのガス透過性材料であり得る。ストリップ151は、ストリップにおける体側の面159に取り付けられた、本発明の超吸水性ポリマー組成物を含む吸収性コア152を支持する。さらに、ストリップ151と同一の広がりを有し得る吸収性保護層153が、吸収性コア152に取り付けられる。
【0150】
本発明の吸収性創傷被覆材150は、ストリップ151の体側の面159に塗布される感圧接着剤154も有し得る。ユーザの皮膚を刺激しないものであれば、任意の感圧接着剤を使用することができる。好適には、感圧接着剤としては、同様の従来の創傷被覆材に現在使用されている従来の感圧接着剤が用いられる。この感圧接着剤は、吸収性コア152上、または、吸収性コア152の領域における吸収性保護層153上に設けないことが望ましい。吸収性保護層が、ストリップ151と同一の広がりを有する場合、感圧接着剤は、吸収性保護層153における吸収性コア152が位置しない部分に塗布される。ストリップ151上に感圧接着剤を有することによって、創傷被覆材を必要としているユーザの皮膚上に創傷被覆材を固定することができる。感圧接着剤及び吸収性コアを保護するために、創傷被覆材の体側の面159上に剥離片155を配置することもできる。剥離片は、物品取付接着剤に対して除去可能に固定され、吸収性物品を例えば皮膚に固定する前に、接着剤の早期汚染を防止する役割を果す。剥離片は、創傷被覆材の体側の面に、1枚で(図示せず)または図10A示すように複数枚で配置することができる。
【0151】
本発明の他の態様では、前記創傷被覆材の吸収性コアは、折り畳まれたストリップの間に配置され得る。この方法を創傷被覆材の作製に用いる場合、ストリップは液体透過性であることが適切である。
【0152】
吸収性家具及び/またはベットパッド若しくはライナーもまた、本発明に含まれる。図11は、家具またはベットパッド若しくはライナー160(以降「パッド」と称する)の斜視図である。パッド160は、家具側の面168と、その反対側である上側の面169とを有する液体不透過性バックシート161を備えている。液体不透過性バックシート161は、上側の面169に取り付けられた、本発明の超吸水性ポリマー組成物を含む吸収性コア162を支持する。さらに、随意的な吸収保護層163が吸収性コアに取り付けられ得る。吸収性コアの随意的な基材層は、パッドの液体透過性層161または吸収保護層163であり得る。
【0153】
パッドを一定位置に保つため、パッドの家具側の面168は、感圧接着剤、高摩擦性コーティング、または使用中にパッドを一定位置に保つのを助ける他の適切な材料を含み得る。本発明のパッドは、パッドと接触し得る任意の液体を吸収するために、椅子、ソファー、ベッド、自動車のシートなどへの設置を含む様々な用途に使用することができる。
【0154】
また、例えば汗吸収用の吸収性ヘッドバンドまたは拭きとって乾燥させるための用品などのスポーツ用または建設業用の用品も、本発明に含まれる。図12は、吸収性汗止めバンド170の斜視図である。汗止めバンド170は、随意的なトップシート174及び/または随意的な液体不透過性バックシート176との間に配置された吸収性コア180を有する。吸収性コア180は、本発明の超吸水性ポリマー組成物を含み、いくつかの態様では、所望であれば、随意的な追加的領域178(例えば分散層など)を含むことができる。汗止めバンド170は、手や目と接触する前に、汗を止めるのに有用であり得る。調節を容易にするためまたは快適にするために、ベロクロ(登録商標)または他の締結具を使用することができる。
【0155】
本発明は、以下の実施を参照することにより、より良く理解できるであろう。
【実施例】
【0156】
特に指定がない限り、以下の例で使用される従来の超吸水性材料は、BASF社(米国テキサス州フリーポート所在)から入手可能なHYSORB 8850ADである。また、以下の例で使用される従来の綿毛繊維は、漂白した南部針葉樹クラフトパルプであるCoosAbsorb S(米国サウスカロライナ州グリーンビル所在のボウウオーター社(Bowater Inc.)から入手可能)である。
【0157】
例1
【0158】
有限要素解析法を用いた最初のシリーズのコンピュータシミュレーションを実行し、本発明の吸収系における液体吸上げ及び液体分布を、従来の吸収系と比較する。例示的な吸収系はパッド形態であり、図13に全体的に810として示されている。対照として作製された比較例1は、従来の超吸水性材料を含むようにデザインされた吸収系である。
従来のSAPは、次の特性を有する。
・平均粒径=400μm
・SAP拡散係数=2×10−6cm2/秒
・SAPのmCRC=30g/g
【0159】
一方、本発明の超吸水性材料を含む吸収系に相当する例1は、段階的な吸収特性を有し、その結果、次の特性を示す。
・平均粒径=400μm
・SAP拡散係数=6×10−6cm2/秒
・SAPのmCRC=30g/g
・1回目の侵襲及び保持期間:mCRC=8g/g
・2回目の侵襲及び保持期間:mCRC=15g/g
・3回目の侵襲及び保持期間:mCRC=21g/g
【0160】
この最初のシリーズのシミュレーションの追加的な入力パラメータは、両吸収系で一定に保つ。前記入力パラメータは以下の通りである。
・70mlの液体侵襲を3回行い、その後、それぞれ4分、5分及び6分間保持する(すなわち、各液体侵襲間の間隔または侵襲後の時間)。
・吸収系における超吸水性材料の量=65重量%
・パッドの密度=0.24g/cc
・サージ材料の坪量=76gsm
・液体接触領域=21.5cm2、パッド810の前端縁部830から11.4cmの所に位置する(図13)。
・吸収系は、腹臥位状態で試験する。
・パッド形状840(図13)。
【0161】
この第1回のシリーズのコンピュータシミュレーションの結果を下記の表1に示す。表1は、各回70mlの3回の液体侵襲時の吸収時間をそれぞれ示す。
【0162】
【表1】
【0163】
また、表2及び図13に示すように、この第1回のシリーズのシミュレーションの吸収系の分布特性は、各保持期間の終わりにおけるパッド810の後面部820の飽和レベルによっても特徴付けられる。
【0164】
【表2】
【0165】
上記の表1及び表2から分かるように、段階的容量型の超吸水性材料を含む超吸水性複合材料は、従来の吸収系と概ね同様の液体吸上げ特性を示すが、実質的に向上した液体分布プロフィールを有する。
【0166】
例2
【0167】
有限要素解析法を用いた第2のシリーズのコンピュータシミュレーションを実行し、段階的な吸収特性の様々な変更が、吸収系の液体吸い上げ及び液体分布に与える影響を測定する。例示的な吸収系はパッドの形態であり、図13に全体的に810として示されている。例2は、段階的な吸収特性を有する本発明の超吸水性ポリマー組成物を含むようにデザインされた吸収系である。比較例2は、従来の超吸水性ポリマー組成物を含むようにデザインされた吸収系である。従来のSAPは、次の特性を有する。
・平均粒径=400μm
・SAP拡散係数=2×10−6cm2/秒
・SAPのmCRC=30g/g
【0168】
このシミュレーションは、超吸水性材料の膨潤率並びに1回目、2回目及び3回目の段階的容量を系統的に変更した計画実験である。この計画実験の一部としてシミュレートされた8つの状態を下記の表3に示す。
【0169】
【表3】
【0170】
この第2のシリーズのシミュレーションの追加的な入力パラメータは、両吸収系で一定に保つ。前記入力パラメータは以下の通りである。
・70mlの液体侵襲を3回行い、その後、それぞれ4分、5分及び6分間保持する(すなわち、各液体侵襲間の間隔または侵襲後の時間)。
・吸収系における超吸水性材料の量=65重量%
・パッドの密度=0.24g/cc
・サージ材料の坪量=76gsm
・液体接触領域=21.5cm2、パッド810の前端縁部830から11.4cmの所に位置する(図13)。
・吸収系は、腹臥位状態で試験する。
・パッド形状840(図13)。
【0171】
この第2のシリーズのコンピュータシミュレーションの結果を下記の表4に示す。
表4は、各回70mlの3回の液体侵襲時の吸上げ率をそれぞれ示す。
【0172】
【表4】
【0173】
段階的容量型の超吸水性材料の特性の変更は、液体分布にも影響を与える。吸収系全体での液体分布は、各保持期間の終わりにおける標的領域における濡れ厚さ(wet thickness)によって特徴付けることもできる。標的領域の濡れ厚さがより小さく場合は、より多くの液体が吸収体全体に分布したことを示す。上記した吸収系の濡れ厚さを、下記の表5に示す。
【0174】
【表5】
【0175】
表5から分かるように、異なる段階でのSAP容量及び拡散係数の特定の組み合わせは、市販製品と同様の液体吸収能力を維持しながら、分布の実質的な向上をもたらす(標的領域の濡れ厚さの減少から分かる)。
【0176】
さらに、上記の表4及び表5に示した吸上げ率及び濡れ厚さを既知の統計的方法を用いて分析して、より望ましい吸上げ率及び濡れ厚さの結果をもたらすことができる段階的容量型の超吸水性材料の特性の組み合わせを判断することもできる。この統計的分析により、下記の表6に列記した、超吸水性材料の特性の他のシミュレーション条件が導かれる。全ての他のシミュレーションパラメータは、上述したように一定に保たれる。
【0177】
【表6】
【0178】
表6の特性を使用したコンピュータシミュレーションの結果を、表7及び表8に示す。
表7及び表8は、各回70mlの3回の液体侵襲時の吸上げ率及び標的領域の濡れ厚さをそれぞれ示す。
【0179】
【表7】
【0180】
表8から分かるように、本発明の複合材料(すなわち、段階的容量型の超吸水性ポリマー組成物を含む複合材料)は、より長い濡れ長さと、被吸収液体1gあたりより大きい濡れ面積を有する。このことは、本発明の吸収系は、従来のSAPを有する吸収体と比較してより良い液体ウィッキング/分布を有することを実証する。
【0181】
【表8】
【0182】
表7及び表8から、例2−9でシミュレートされた条件は、吸上げ率は比較例と同様であるが、標的領域での濡れ厚さが対照よりも大幅に少なくなるので、液体分布が向上したことを示す。
【0183】
例3
【0184】
この例では、各回の侵襲時における侵襲液体の塩濃度を制御することにより、段階的容量特性を実証する。60重量%の本発明の超吸水性ポリマー組成物を含有し、残りは綿毛パルプを含有する吸収性複合材料(例3)に対して、3回の液体侵襲(各回の侵襲液体量は70ml、各侵襲間の間隔は15分間)を行う。この例のために、1回目の侵襲では、0.8重量%の塩化ナトリウム水溶液を用いた。2回目及び3回目の侵襲では、0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液を用いた。従来の超吸水性材料を有する吸収性複合材料である対照としての比較例(比較例3)に対しても、全ての侵襲について0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液を使用して試験を行った。各複合材料は、水平に設置した。各液体侵襲がパッドを侵襲する時間、各侵襲後の15分間の保持時間の後の液体分布、及び、各保持時間後の侵襲地点でのパッドの厚さを測定した。それらの結果を下記の表9に示す。
【0185】
【表9】
【0186】
表9から、本発明の超吸水性複合材料の吸上げ率は、従来の超吸水性材料を含む吸収性複合材料の吸収速度と同様であることが分かる。しかし、本発明の吸収性複合材料の厚さは、比較例よりも薄い。このことは、本発明の吸収系の向上した液体分布、並びに、本発明の吸収系はユーザに対する快適さ及びフット感が優れていることを示す。
【0187】
さらに、図14〜16は、前述した液体分布試験により測定した、例3における液体侵襲後の液体分布のグラフを示す。これらのグラフから、本発明の吸収性複合材料は、従来の超吸水性材料を有する吸収性複合材料と比較して、向上した液体分布を示すことが分かる。
【0188】
例4
【0189】
上述のマネキン試験方法で説明したマネキン静的試験は、おむつの形態の吸収性物品を使用して行われる。本発明の各吸収性物品は、従来の砂時計形状の吸収性コアを備え、前記吸収性コアは、段階的吸収特性を有する超吸水性ポリマー組成物を65%有し、市販の針葉樹繊維を35%有する。比較(対照)吸収性物品は、従来の砂時計形状の吸収性コアを備え、前記吸収性コアは、市販の超吸水性ポリマー組成物を65%有し、市販の針葉樹繊維を35%有する。吸収性コアの乾燥密度は、0.24g/cm3であり、各吸収性物品は、68gsmの吸上げ層(サージ層)を備える。対照(すなわち比較)コードと、段階的容量型の本発明の超吸水性ポリマー組成物を含むコードとのそれぞれに対して24個のおむつを使用する。全てのコードは、適切な大きさのマネキン上で試験される。
【0190】
各コードについて、座位状態で12個の吸収性物品を試験し、腹臥位状態で残りの12個の吸収性物品を試験する。各状態で、液体は、「女性」型のマネキンを使用して半分の製品に加えられ、「男性」型のマネキンを使用して残りの半分の製品に加えられる。2パターンの侵襲プロトコルが用いられ、各コードについて、12個の製品には、「70/70/70」パターンの侵襲プロトコル(すなわち、各回70mlの侵襲)が用いられ、そのコードにおける残りの12個の製品には「35/70/70/70」パターンの侵襲プロトコル(すなわち、35mlの1回の侵襲と、その後の各回70mlの3回の侵襲との合計4回の侵襲)が用いられる。この侵襲プロトコルを、下記の表10(例4の侵襲プロトコル)に示す。侵襲液体(0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液)は室温(約20℃)に保つ。
【0191】
【表10】
【0192】
その後、上述したようにして、各製品に液漏れが生じるまで、前記吸収性物品に液体を侵襲させる。各製品の液漏れ発生時の吸収量を記録する。前記製品は、液漏れ発生後に取り外し、製品内の液体の濡れ長さ及び濡れ面積を計算するために、上述の液体分布試験で説明したようにしてX線撮影する。濡れ長さの液漏れ発生時の吸収量に対する比率の平均と、濡れ面積の液漏れ発生時の吸収量に対する比率の平均を各コードについて計算する。その結果を下記の表11に示す。
【0193】
【表11】
【0194】
表11から分かるように、本発明の吸収性物品は、従来の超吸水性材料を含む物品と比較した場合、向上した液体分布を示す。
【0195】
例5
【0196】
上述の液体吸い上げ率試験で説明したようにして、吸収性コアについて吸い上げ試験を実施する。コードは、室温の液体(約20℃の0.9重量%の塩化ナトリウム食塩水)で侵襲された比較例(対照)、室温の同一液体で侵襲された本発明の例(段階的容量型)、及び、50℃の同一液体で侵襲された本発明の例(段階的容量型)を含む。吸収性コアは全て、それらの市販製品と同様な従来の砂時計形状、約24gm/cm3の乾燥密度を有し、65%の超吸水性材料(市販のSAPまたは本発明の超吸水性ポリマー組成物)と35%の市販の針葉樹繊維から作製される。各吸収性コアの坪量は約580gsmであった。その後、上述の液体吸い上げ率試験で説明したようにして、各吸収性コアを侵襲させる。各侵襲シリーズの各パートに使用される特定の液体を下記の表12に示す。
【0197】
【表12】
【0198】
各侵襲の第1のパート(45gm)に基づいて計算した吸い上げ率を、下記の表13に示す。
【0199】
【表13】
【0200】
表13から、本発明の複合材料は、従来のSAPと概ね同様の吸い上げ率を示すことが分かる。また、高温の場合、本発明の複合材料の吸い上げ率が向上する傾向にあることが分かる。
【0201】
例6
【0202】
上述の液体吸い上げ率試験で説明したようにして、吸収性コアについて吸い上げ試験を実施する。コードは、従来のSAPを含む複合材料を示す対照(比較例6)を含む。また、コードは、段階的容量型オリジナル(例6−1)、段階的容量型Lite(例6−2)、段階的容量型X-Lite(例6−3)を含み、それらは、下記の表14に示すように本発明の複合材料に相当する。吸収性コアは全て、それらの市販製品と同様な従来の砂時計形状、約24gm/cm3の乾燥密度を有し、65%の超吸水性材料(市販のSAPまたは本発明の超吸水性ポリマー組成物)と35%の市販の針葉樹繊維から作製される。全コードの坪量は約580gsmであった。その後、上述の液体吸い上げ率試験で説明したようにして、各吸収性コアを侵襲させる。各侵襲シリーズの各パートに使用される特定の液体を下記の表14に示す。
【0203】
【表14】
【0204】
上述の液体吸い上げ率試験手順で説明したようにして、吸収性コアの全てのコード(対照、段階的容量型オリジナル、段階的容量型Lite、段階的容量型X-Lite)に対して、吸い上げ率試験を実施する。この侵襲プロトコルは、各回70mlの3回の侵襲からなる。各侵襲は、45gと25gの2つのパートに分けられる。各侵襲群の間の保持時間(すなわち、最初の45g/25gの侵襲と、その後の45g/25gの侵襲との間隔)は15分間であり、各侵襲群における2つのパートの間隔(すなわち、45gの侵襲と25gの侵襲との間隔)は2分間であった。
【0205】
各侵襲の第1のパート(45g)に基づいて計算した吸い上げ率を、下記の表15に示す。
【0206】
【表15】
【0207】
表15から、本発明の複合材料は、従来のSAPと比較して、概ね同様の吸い上げ率を示すことが分かる。
【0208】
例7
【0209】
上述のマネキン試験手順で説明したようにして、おもつの形態の吸収物品を使用してマネキン静的試験を実施する。本発明の各吸収物品は、従来の砂時計状の形状を有し、65%の段階的容量を有する超吸水性ポリマー組成物と、35%の市販の針葉樹繊維を含む。
比較例(対照)の吸収物品は、従来の砂時計状の形状を有し、65%の市販の超吸水性材料と、35%の市販の針葉樹繊維を含む。各吸収性コアは、約24gm/cm3の乾燥密度を有し、各吸収物品は68gsmの吸い上げ層(すなわちサージ層)を含む。対照(比較例7)、段階的容量型オリジナル(例7−1)、段階的容量型Lite(例7−2)、段階的容量型X-Lite(例7−3)の各コードに、12個の物品を用いる。
【0210】
各コードについて、吸収物品は腹臥位で試験し、男性型マネキンを使用して液体を加える。2パターンの侵襲プロトコルが用いられ、各コードについて、6個の製品には、「70/70/70」パターンの侵襲プロトコル(すなわち、各回70mlの侵襲)が用いられ、そのコードにおける残りの6個の製品には「35/70/70/70」パターンの侵襲プロトコル(すなわち、35mlの1回の侵襲と、その後の各回70mlの3回の侵襲との合計4回の侵襲)が用いられる。各侵襲群の間の保持時間(すなわち、最初の45g/25gの侵襲と、その後の45g/25gの侵襲との間隔)は15分間であり、各侵襲群における2つのパートの間隔(すなわち、45gの侵襲と25gの侵襲との間隔)は2分間であった。前記侵襲プロトコルを、下記の表16に示す。
【0211】
【表16】
【0212】
対照としての侵襲液体(0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液)は室温(〜20℃)に設定し、段階的容量型オリジナル及び段階的容量型Liteの両方は60℃に設定し、段階的容量型X-Liteは50℃に設定する。その後、吸収物品を、上述したようにして、各製品に液漏れが生じるまで、侵襲液体で侵襲させる。液漏れ発生時点の、各製品の吸収量を記録する。液漏れ発生後、マネキンから製品を取り外し、その後、上述の液体分布試験で説明したようにしてX線撮影し各製品の液体濡れ面積を計算する。各コードについて、液漏れ発生時の濡れ面積の吸収量に対する比率の平均を計算する。計算した比率を、表17に示す。
【0213】
【表17】
【0214】
表17から、本発明の複合材料(段階的容量型オリジナル、段階的容量型Lite、及び段階的容量型X-Lite)は、従来のSAPを有する複合材料と比較して、液体吸収量1gあたり濡れ長さがより長くなることが分かる。このことは、本発明により、より良い液体ウィッキング/分布が得られることを実証する。
【0215】
例8
【0216】
上記の例で使用された超吸収性材料の膨潤率を、上述の膨潤率試験で説明したようにして測定する。様々な塩濃度及び温度を用いて、膨潤率における塩濃度及び温度の影響を測定する。試験結果を下記の表18に示す。
【0217】
【表18】
【0218】
表18から、温度が上昇すると膨潤率は増加し、塩(NaCl)濃度が減少すると膨張率が減少することが分かる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性組成物であって、
少なくとも約5g食塩水/1g組成物の第1の総吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物と、
約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構とを含み、
前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第1の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性組成物であって、
約10分後ないし約120分後の第2の解放時間後且つ前記第1の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第2のトリガー機構をさらに含み、
前記第2のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第2の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第3の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性組成物であって、
約15分後ないし約180分後の第3の解放時間後且つ前記第2の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第3のトリガー機構をさらに含み、
前記第3のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第3の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第4の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の吸収性組成物であって、
約20分後ないし約240分後の第3の解放時間後且つ前記第3の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第4のトリガー機構をさらに含み、
前記第4のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第4の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第5の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の吸収性組成物であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料の膨潤率よりも少なくとも約20%大きい膨潤率を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の吸収性組成物であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料の膨潤率よりも少なくとも約50%大きい膨潤率を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の吸収性組成物であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料の膨潤率よりも少なくとも約100%大きい膨潤率を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項8】
吸収性複合材料であって、
不水溶性の繊維性マトリックスと、
少なくとも約5g食塩水/1g組成物の第1の総吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物と、
約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構とを含み、
前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第1の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項9】
請求項8に記載の吸収性複合材料であって、
約10分後ないし約120分後の第2の解放時間後且つ前記第1の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第2のトリガー機構をさらに含み、
前記第2のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第2の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第3の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項10】
請求項9に記載の吸収性複合材料であって、
約15分後ないし約180分後の第3の解放時間後且つ前記第2の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第3のトリガー機構をさらに含み、
前記第3のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第3の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第4の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項11】
請求項10に記載の吸収性複合材料であって、
約20分後ないし約240分後の第3の解放時間後且つ前記第3の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第4のトリガー機構をさらに含み、
前記第4のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第4の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第5の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項12】
請求項8に記載の吸収性複合材料であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料の膨潤率よりも少なくとも約20%大きい膨潤率を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項13】
請求項12に記載の吸収性複合材料であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料の膨潤率よりも少なくとも約50%大きい膨潤率を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項14】
請求項13に記載の吸収性複合材料であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料の膨潤率よりも少なくとも約100%大きい膨潤率を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項15】
吸収性物品であって、
少なくとも約5g食塩水/1g組成物の第1の総吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物を含有する吸収性コアと、
約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構とを含み、
前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第1の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項16】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
トップシート及びバックシートを含み、前記吸収性コアが前記トップシートと前記バックシートとの間に配置されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項17】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、少なくとも約30重量%の超吸水性ポリマー組成物を含有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項18】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、少なくとも約60重量%ないし約95重量%の超吸水性ポリマー組成物を含有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項19】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが綿毛をさらに含有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項20】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが複数の層から成ることを特徴とする吸収性物品。
【請求項21】
請求項20に記載の吸収性物品であって、
前記複数の層のうちの少なくとも1つの層が、実質的に前記超吸水性ポリマー組成物のみから成り、
前記複数の層のうちの少なくとも1つの別の層が、実質的に綿毛のみから成ることを特徴とする吸収性物品。
【請求項22】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが界面活性剤をさらに含有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項23】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
該吸収性物品が、パーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、またはスポーツ用/建設業用吸収性物品から選択されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項1】
吸収性組成物であって、
少なくとも約5g食塩水/1g組成物の第1の総吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物と、
約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構とを含み、
前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第1の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性組成物であって、
約10分後ないし約120分後の第2の解放時間後且つ前記第1の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第2のトリガー機構をさらに含み、
前記第2のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第2の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第3の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性組成物であって、
約15分後ないし約180分後の第3の解放時間後且つ前記第2の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第3のトリガー機構をさらに含み、
前記第3のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第3の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第4の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の吸収性組成物であって、
約20分後ないし約240分後の第3の解放時間後且つ前記第3の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第4のトリガー機構をさらに含み、
前記第4のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第4の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第5の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の吸収性組成物であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料の膨潤率よりも少なくとも約20%大きい膨潤率を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の吸収性組成物であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料の膨潤率よりも少なくとも約50%大きい膨潤率を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の吸収性組成物であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料の膨潤率よりも少なくとも約100%大きい膨潤率を有することを特徴とする吸収性組成物。
【請求項8】
吸収性複合材料であって、
不水溶性の繊維性マトリックスと、
少なくとも約5g食塩水/1g組成物の第1の総吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物と、
約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構とを含み、
前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第1の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項9】
請求項8に記載の吸収性複合材料であって、
約10分後ないし約120分後の第2の解放時間後且つ前記第1の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第2のトリガー機構をさらに含み、
前記第2のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第2の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第3の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項10】
請求項9に記載の吸収性複合材料であって、
約15分後ないし約180分後の第3の解放時間後且つ前記第2の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第3のトリガー機構をさらに含み、
前記第3のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第3の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第4の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項11】
請求項10に記載の吸収性複合材料であって、
約20分後ないし約240分後の第3の解放時間後且つ前記第3の解放時間の少なくとも約5分後に作動する第4のトリガー機構をさらに含み、
前記第4のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第4の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第5の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項12】
請求項8に記載の吸収性複合材料であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料の膨潤率よりも少なくとも約20%大きい膨潤率を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項13】
請求項12に記載の吸収性複合材料であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料の膨潤率よりも少なくとも約50%大きい膨潤率を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項14】
請求項13に記載の吸収性複合材料であって、
前記超吸水性ポリマー組成物が、膨潤率試験で測定して従来の超吸水性材料の膨潤率よりも少なくとも約100%大きい膨潤率を有することを特徴とする吸収性複合材料。
【請求項15】
吸収性物品であって、
少なくとも約5g食塩水/1g組成物の第1の総吸収容量を有する超吸水性ポリマー組成物を含有する吸収性コアと、
約5分後ないし約60分後の第1の解放時間後に作動する第1のトリガー機構とを含み、
前記第1のトリガー機構の解放後は、前記超吸水性ポリマー組成物が、mCRC試験で測定して前記第1の総吸収容量よりも少なくとも約25%大きい第2の総吸収容量を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項16】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
トップシート及びバックシートを含み、前記吸収性コアが前記トップシートと前記バックシートとの間に配置されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項17】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、少なくとも約30重量%の超吸水性ポリマー組成物を含有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項18】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、少なくとも約60重量%ないし約95重量%の超吸水性ポリマー組成物を含有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項19】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが綿毛をさらに含有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項20】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが複数の層から成ることを特徴とする吸収性物品。
【請求項21】
請求項20に記載の吸収性物品であって、
前記複数の層のうちの少なくとも1つの層が、実質的に前記超吸水性ポリマー組成物のみから成り、
前記複数の層のうちの少なくとも1つの別の層が、実質的に綿毛のみから成ることを特徴とする吸収性物品。
【請求項22】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアが界面活性剤をさらに含有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項23】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
該吸収性物品が、パーソナルケア用吸収性物品、保健用/医療用吸収性物品、家庭用/産業用吸収性物品、またはスポーツ用/建設業用吸収性物品から選択されることを特徴とする吸収性物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2010−525135(P2010−525135A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504917(P2010−504917)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050784
【国際公開番号】WO2008/132617
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(309038085)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050784
【国際公開番号】WO2008/132617
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(309038085)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】
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