説明

段階的成形による押出ポリマーフォームプロセス

発泡性ポリマー組成物を、成形ダイを通して押出し、その発泡性ポリマー組成物を、少なくとも2つの拘束区画(第一の拘束区画は、対峙する本質的に平行な成形プレートを有し、第二の拘束区画は、第一の拘束区画よりも更に離れて間隔を空けている成形プレートを有する)を通して移動させ、少なくとも2つの拘束区画によってその厚さ次元内で拘束されるように、前記発泡性ポリマー組成物を、ポリマーフォームに膨張させることにより、押出してポリマーフォームを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
クロスリファレンス記述
本件特許出願は、2009年3月4日出願の米国仮特許出願第61/157,217号(その全内容を参照により本明細書に含める)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は押出ポリマーフォームの製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
ポリマーフォームを製造する押出プロセスは3つの基本的工程、即ち(1)発泡性ポリマー組成物を、押出機内に、初期圧力及び温度で用意する工程、(2)この発泡性ポリマー組成物を、より低い圧力のゾーンの中に吐出する工程並びに(3)この発泡性ポリマー組成物をポリマーフォームに膨張(又は発泡)させる(expand)工程を含む。この第三の工程は、膨張している発泡性ポリマー組成物への制約有り又は無しで起こり得る。このような一般的なプロセスは多くの種類の押出ポリマーフォームのために良く作動するが、フォーム膨張への制御を殆ど提供しない。従って、大きい厚さ膨張比を必要とする押出ポリマーフォームを製造するときには、不均質なフォーム特性が発生する。密度及び圧縮強度に於ける重要な不均質性は、しばしば、典型的な押出プロセスによって製造されたときに、押出ポリマーフォームの厚さ次元に沿って現れる。これらの不均質性は、膨張しているフォームが、その厚さ寸法内の30:1又はそれ以上の膨張比を受けるとき,明らかになる。それにもかかわらず、30:1以上の膨張比は、低密度及び/又は厚手ポリマーフォーム、例えば100ミリメートル又はそれ以上の厚さを有するフォームを製造するために望ましい。
【0004】
厚さ次元(thickness dimension)に沿った本質的に均一な密度及び圧縮強度も有しながら、30:1を超える厚さ膨張比を有するポリマーフォームを直接的に製造するためのプロセスを確認することが、望ましく、押出ポリマーフォームの技術を推進するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、フォームの厚さ次元に沿った本質的に均一な密度及び圧縮強度も有しながら、30対1を超える厚さ膨張比(thickness expansion ratio)を有するポリマーフォームを直接的に製造するプロセスを提供するのに必要な問題点を解決することによって,押出ポリマーフォームの技術を推進する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の面に於いて、本発明は、下記の工程:
(a)発泡剤と軟化温度を有するポリマー成分を含むポリマーマトリックスを含んでなる発泡性ポリマー組成物を、押出機内で、前記ポリマー成分の軟化温度を超える初期温度及び前記発泡性ポリマー組成物の発泡を不可能にするのに充分に高い初期圧力で用意する工程、
(b)前記発泡性ポリマー組成物を、押出方向に、前記初期圧力よりも低い圧力で大気中に押出し、そして前記発泡性ポリマー組成物の軟化点よりも低い温度にまで冷却させる前に前記発泡性ポリマー組成物を、ポリマーフォームに膨張させる工程を含んでなり、
ここで、工程(b)において、軟化点よりも低い温度に冷却する前に、前記発泡性ポリマー組成物を、押出方向に沿って少なくとも2個の逐次的拘束区画を与える対峙成形プレート(ここで各拘束区画内のこの成形プレートは、前記発泡性ポリマー組成物の膨張を、厚さ次元内に制限する本質的に平行な拘束壁を含む)を通して移動且つ接触させながら、少なくとも30:1の厚さ膨張比で膨張させ、そして押出機に最も近い拘束区画が、第二の拘束区画を規定する平行壁の間隔よりも小さい厚さ次元内の間隔を規定する、本質的に平行な壁を有する、ポリマーフォームの押出プロセスである。
【0007】
本発明の態様は、更に、下記の特徴、即ち、成形プレート(forming plate)の任意の成形壁(forming wall)の間の最大間隔(spacing)が、少なくとも10cmであり;ポリマーマトリックスが、少なくとも1種のポリマーを含み、そしてポリマーマトリックス中のポリマーの80重量%超が、ポリスチレンホモポリマー及びポリスチレンコポリマーからなる群から選択され;ポリマーマトリックス中のポリマーの80重量%超がポリスチレンホモポリマー及びスチレン−アクリロニトリルコポリマーからなる群から選択され;ポリマーマトリックス中のポリマーの50重量%超がポリスチレンホモポリマーであり;発泡剤(blowing agent)が二酸化炭素を含んでなり、;発泡剤が二酸化炭素並びにイソブタン及び水の少なくとも1種を含み;1つの拘束区画(constraining section)の少なくとも1つの拘束壁(constraining wall)が逐次的拘束区画の拘束壁と連続しており;1つの拘束区画の拘束壁が、逐次的拘束区画(sequential constraining section)の拘束壁とは区別される、並びに拘束区画の少なくとも1つの、少なくとも1つの拘束壁が温度制御される、任意の一つ又は一つより多い任意の組合せを含むことができる。
【0008】
本発明のプロセスは、均一な密度及び圧縮強度を有する、低密度で厚肉の押出ポリマーフォームを効率的に製造するのに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
全ての範囲は他の方法で示されない限り端点を含む。
【0010】
「及び/又は」は、「及び又は代替として」を意味する。
【0011】
ASTMは米国材料試験協会を指す。ISOは国際標準化機構を指す。ENは欧州標準を指す。ASTM、ISO及びEN試験方法は、試験方法番号のハイフンでつながれた添数中の年の試験方法又はハイフンでつながれた添数が存在しない場合には、本件明細書の優先日前に公開された最近の方法を指す。
【0012】
押出ポリマーフォームは少なくとも1つの主表面を有する。押出ポリマーフォームの主表面は、フォームの任意の表面の最高平面表面積に等しい平面表面積を有する、押出ポリマーフォームの表面である。平面表面積は、表面内の頂及び谷(peaks and valleys)を無視するように、平面上に投影されたときの表面積である。ポリマーフォームは、1つより多い主表面を有することができる。円形又は楕円形断面を有する押出ポリマーフォームは1つのみの表面を有し、これはフォームの主表面の欠如による。
【0013】
押出ポリマーフォームを参照するとき、厚さ、幅及び長さは、押出ポリマーフォームの3つの相互に直交する次元(又は寸法)を指す。押出ポリマーフォームは、押出方向で、発泡ダイ(押出ダイ)を通って押出機から出る。長さは、フォームの押出方向に対して平行に伸びている押出ポリマーフォームの寸法である。厚さ及び幅は、互いに対して垂直に伸びており、長さに対して相互に垂直に伸びている。厚さは、幅寸法と等しいか又は幅寸法よりも小さい。フォームの厚さは、フォームの主表面に対して垂直に伸びている。
【0014】
本発明は、フォームの厚さ次元に沿った、本質的に均一な密度及び本質的に均一な圧縮強度プロフィールを有する押出ポリマーフォームを提供する。厚さ次元に対して垂直である10〜12mm厚の層に切断する(即ち、各層内の長さ及び幅を維持する)ことによって、フォームの厚さ次元に沿った押出ポリマーフォームの密度プロフィールを決定する。各層についての密度を、ISO845−95の方法に従って測定する。層の全部についての密度値の組合せは、フォームについての厚さ寸法に沿った密度プロフィールを表す。層の間の密度における偏差は、厚さ次元に沿った偏差を表す。押出ポリマーフォームは、最大密度と最小密度との平均密度からの、任意の1つの層の密度の差が、最大密度と最小密度との平均密度の、5%よりも小さい、好ましくは4%又はそれ以下、なお更に好ましくは3%又はそれ以下である場合、その厚さ次元に沿った本質的に均一な密度プロフィールを有する。
【0015】
厚さ次元内の圧縮強度を、それぞれの層についてEN−826の方法に従って、15mm厚の層を使用し、厚さ次元(15mm寸法)内の圧縮強度を測定する以外は、密度プロフィールと同様の方法で決定する。層の全部についての圧縮強度値の組合せは、フォームについての厚さ次元に沿った圧縮強度プロフィールを表す。層の間の圧縮強度における偏差は厚さ次元に沿った偏差を表す。押出ポリマーフォームは、最大圧縮強度を有する層と最小圧縮強度を有する層との平均圧縮強度からの、任意の1つの層の圧縮強度の差が、最大圧縮強度と最小圧縮強度との平均圧縮強度の、10%よりも小さい、好ましくは9%又はそれ以下、なお更に好ましくは9%未満の場合、その厚さ次元に沿った本質的に均一な圧縮強度プロフィールを有する。
【0016】
本発明のプロセスは、押出ポリマーフォームを製造する押出プロセスの一般的な工程、即ち、(1)ポリマーマトリックス及び発泡剤を含む発泡性ポリマー組成物を、押出機内で、初期圧力及び温度で用意する工程、(2)この発泡性ポリマー組成物を、初期圧力よりも低い圧力のゾーンの中に押出す工程並びに(3)この発泡性ポリマー組成物を、ポリマーフォームに膨張させる工程を含む押出プロセスである。このプロセスにおいて、発泡性ポリマー組成物は、工程(3)において、少なくとも30対1の厚さ膨張比まで膨張する。工程(3)内での膨張は、特定の形状のものである成形プレートの拘束内で起こり、驚くべきことに、ポリマーフォームの厚さの全体に亘って、低い密度並びに本質的に均一な密度及び本質的に均一な圧縮強度を有するポリマーフォームを製造する。
【0017】
前記発泡性ポリマー組成物のポリマーマトリックスは、発泡性ポリマー組成物中のポリマーの全てを含むポリマー成分を含む。このポリマー成分は、1種のポリマー又は1つより多いポリマーの組合せを含むことができる。望ましくは、アルケニル芳香族ポリマーが、ポリマー成分の合計重量の80重量%(重量%)又はそれ以上を占め、90重量%又はそれ以上、そして100重量%を占めることもできる。好ましくは、アルケニル芳香族ポリマーはスチレンホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される。特に望ましいスチレンコポリマーには、スチレン−アクリロニトリルコポリマーが含まれる。一つの特に望ましい態様において、スチレンホモポリマーは、ポリマーマトリックス中のポリマー(即ちポリマー成分)の合計重量の、50重量%又はそれ以上、好ましくは75重量%又はそれ以上、なお更に好ましくは85重量%又はそれ以上を占め、100重量%又はそれ以下(100重量%を含む)を占めることができる。
【0018】
ポリマーマトリックスは、更に、ポリマーフォーム中で一般的な添加剤を含んでいてよい。適切な添加剤の例には、下記のもの、即ち、赤外減衰剤(例えばカーボンブラック、グラファイト、金属フレーク、二酸化チタン);クレー、例えば天然吸収クレー(例えばカオリナイト及びモンモリロナイト)及び合成クレー;核生成剤(例えばタルク及びケイ酸マグネシウム);難燃剤(例えば臭素化難燃剤、例えばヘキサブロモシクロドデカン及び臭素化ポリマー、リン難燃剤、例えばリン酸トリフェニル並びに相乗作用剤(synergist)、例えばジクミル及びポリクミルを含有していてよい難燃剤パッケージ);滑剤(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム及び脂肪酸エステル)並びに酸スカベンジャー(例えば酸化マグネシウム及びピロリン酸四ナトリウム)の、何れか1種又はそれ以上の任意の組合せが含まれる。
【0019】
発泡性ポリマー組成物の発泡剤は押出プロセスによってポリマーフォームを製造するのに適している、任意の現在公知の又は更に発見されるべき発泡剤組成物であってよい。適切な発泡剤には、下記のもの、即ち無機ガス、例えば二酸化炭素、アルゴン、窒素及び空気;有機発泡剤、例えば水、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロブタン及びシクロペンタンを含む、炭素数1〜9の脂肪族及び環式炭化水素;好ましくは塩素を含有しない、炭素数1〜5の完全に及び部分的にハロゲン化されたアルカン及びアルケン(例えばジフルオロメタン(HFC−32)、ペルフルオロメタン、フッ化エチル(HFC−161)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、ペルフルオロエタン、2,2−ジフルオロプロパン(HFC−272fb)、1,1,1−トリフルオロプロパン(HFC−263fb)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc));炭素数1〜5の脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノール;カルボニル含有化合物、例えばアセトン、2−ブタノン及びアセトアルデヒド;エーテル含有化合物、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル;カルボキシレート化合物、例えばギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル;カルボン酸並びに化学発泡剤、例えばアゾジカルボンアミド、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホヒドラジド、4,4−オキシベンゼンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、アゾジカルボン酸バリウム、N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド、トリヒドラジノトリアジン及び重炭酸ナトリウムの、何れか1種又はそれ以上の任意の組合せが含まれる。
【0020】
1種の特に望ましい発泡剤は、任意的に、イソブタン、水又はイソブタン及び水の両方との組合せである、二酸化炭素である。好ましくは、この発泡剤は、合計発泡剤重量基準の重量%で、40〜100重量%の範囲内の二酸化炭素、0〜60重量%の範囲内のイソブタン及び0〜20重量%の範囲内の水を含有している。
【0021】
発泡性ポリマー組成物のポリマー成分は軟化温度を有する。
【0022】
前記ポリマーが全て半結晶性(semi-crystalline)であるポリマー成分についての「軟化温度」(Ts)は、このポリマー成分についての溶融温度である。半結晶性ポリマーについての「溶融温度」(Tm)は、特定の加熱速度で結晶化ポリマーを加熱する際の、示差走査熱量測定(DSC)によって決定されたときの、結晶相から溶融相への変化の経過の中途の温度である。ASTM方法E794−06のDSC手順に従って、半結晶性ポリマーについてのTmを決定する。10セルシウス度(℃)/分の加熱速度を使用して、Tmを決定する。ポリマー成分が、混和性ポリマーのみを含有し、そのDSC曲線に於いて、唯一の結晶相から溶融相への変化が明白である場合、ポリマー成分についてのTmは、相変化の経過の中途の温度である。非混和性ポリマーの存在のために、DSC曲線において、複数の結晶相から溶融相への変化が明白である場合、ポリマー成分についてのTmは連続相ポリマーのTmである。1種より多いポリマーが連続的であり、これらが混和性でない場合、ポリマー成分についてのTmは連続相ポリマーの最高Tmである。
【0023】
前記ポリマーが無定形であるポリマー成分についての軟化温度は、そのポリマー成分のガラス転移温度である。ポリマー成分についての「ガラス転移温度」(Tg)は、ASTM E1356−03の手順に従って、DSCにより決定される。ポリマー成分が、混和性ポリマーのみを含有し、そのDSC曲線に於いて、唯一のガラス転移相変化が明白である場合、ポリマー成分についてのTgは、相変化の経過の中途の温度である。非混和性無定形ポリマーの存在のために、DSC曲線において、複数のガラス転移相変化が明白である場合、ポリマー成分についてのTgは連続相ポリマーのTgである。1種より多い無定形ポリマーが連続的であり、これらが混和性でない場合、ポリマー成分についてのTgは連続相ポリマーの最高Tgである。
【0024】
ポリマー成分が、半結晶性ポリマーと無定形ポリマーとの組合せを含有する場合、ポリマー成分の軟化温度は連続相ポリマー成分の軟化温度である。半結晶性ポリマー相と無定形ポリマー相とが共連続的である場合、この組合せの軟化温度は二つの相のより高い軟化温度である。
【0025】
発泡性ポリマー組成物を、押出機内で、ポリマー成分についての軟化温度よりも高い初期温度及び発泡を不可能にする初期圧力で用意する。広い意味で、本発明は、発泡性ポリマー組成物を押出機中に用意する方法とは無関係である。発泡性ポリマー組成物を押出機内に用意する方法は本発明の好ましい態様の一部であってよい。
【0026】
下記の特定の成形プレートに適応できる任意の押出プロセスが本発明中に組み入れるために適している。従って、発泡性ポリマー組成物を、押出機中に、初期温度及び初期圧力で用意するための、多数の可能性のある方法が存在する。一つの一般的な手順は、ペレット化された形状にあるポリマーを、ポリマーペレットを、押出機内でポリマーを混合するのに充分に軟化させるために充分な温度の押出機中に供給することである。添加剤は、ポリマーペレット中に含有させること、ペレットと共に押出機中に添加すること又はポリマーペレットの添加から下流で、押出機に添加することができる。発泡剤は、ポリマーの添加から下流で、1種又はそれ以上の発泡剤を、押出機内の軟化したポリマー中に、初期圧力以上である圧力で注入することによって、軟化したポリマーに添加することが一般的である。次いで、押出機によって、発泡剤(単数又は複数)を軟化したポリマーの中に混合することができる。発泡剤は、また、ポリマーペレット中に存在させ、その後、このペレットを押出機に添加することもできる。典型的には、このような発泡剤は、ポリマー中に存在する化学発泡剤である。
【0027】
本発明のプロセスは、発泡性ポリマー組成物を、押出機から、初期圧力よりも低い圧力の環境に押出し、次いで、発泡性ポリマー組成物をポリマーフォームに膨張させることを必要とする。この発泡性ポリマー組成物は、より低い圧力の環境中に押し出されるまで、ポリマー成分の軟化温度よりも高い温度で止まっているが、押出しの前に加熱又は冷却することができる。発泡性ポリマー組成物を、押出機から、発泡ダイに通して大気圧の中に押出すことが一般的である。発泡ダイは、フォームが通過し、得られるポリマーフォームの一般的形状を規定する出口開口を有する。発泡ダイ出口開口は、長方形、正方形、円形、楕円形又は非対称形状をも含む任意の形状を有することもできる。発泡ダイは、複数の出口開口を有し、発泡性ポリマー組成物が、複数のストランド、複数のシート又は形状の任意の組合せとして発泡ダイから出るようにすることができる。
【0028】
発泡性組成物はそれが膨張するとき冷却する。冷却は、冷却媒体(例えば急冷した空気若しくは冷却されたプレートとの接触)又はアニーリング媒体(例えば暖めた空気若しくは温めたプレートとの接触)の積極的な適用の有り又は無しで起こり得る。しばしば、冷却は、冷却媒体の積極的な適用無しで起こる。発泡性ポリマー組成物を冷却するとき、それは最終ポリマーフォームに寸法的に安定化する。
【0029】
本発明の驚くべき結果は、発泡性ポリマー組成物の段階的、又は段々の、膨張に於いて、得られるポリマーフォームの厚さ次元内に制御するために、成形プレートを使用することに起因する。発泡性ポリマー組成物が膨張するとき、この膨張は、最初に、厚さ次元内で膨張している発泡性組成物の対峙側(opposing side)上の最初の成形プレートによって、厚さ次元内に拘束される。最初の成形プレートは、互いから又はそれがその押出方向内で動くとき、それを通って膨張している発泡性ポリマー組成物が移動する、単一若しくはモジュール構造物(例えばチューブ、トンネル又は「C」字形チャンネル)の一部から独立であってよい。最初の成形プレートは、発泡性ポリマー組成物と接触し、互いに対して本質的に平行であり、押出方向に対して本質的に平行である、対峙成形壁(最初の成形壁)を有する。「本質的に平行」は、成形壁上の任意の2つの点で、2つの成形壁の間の距離が等しいか又はより小さい距離がより大きい距離の5%以内であることを意味する。最初の成形壁は、互いから、発泡ダイの出口開口の高さの10〜40倍の範囲内にある最初の距離ほど離れて間隔を空けている。好ましくは、最初の成形壁は、押出方向に沿った距離の間、更に好ましくは50mm〜300mmの間、互いに対して本質的に平行なままである。
【0030】
膨張している発泡性ポリマー組成物は、最初の成形プレートを通過し、次いで、得られるポリマーフォームの厚さ次元内に、発泡性ポリマー組成物の膨張を拘束する対峙成形壁(第二の成形壁)有する、成形プレート(第二の成形プレート)の第二の組を通過して、押出方向に進む。第二の成形壁は、最初の成形壁よりも更に離れて間隔を空けており、望ましくは、必須ではないが、互い及び押出方向に対して本質的に平行である。第二の成形壁は、好ましくは100〜1500mmの範囲内である押出方向内の長さを有する。第二の成形壁の間の間隔は、任意の2点で、2.5又はそれ以下の係数、好ましくは2又はそれ以下の係数、なお更に好ましくは1.5又はそれ以下の係数だけ異なっていてよい。第二の成形壁が、本質的に平行でない場合、ポリマーフォームがそれらの間から出るそれらの間の間隔は、ポリマーフォームがそれらの間の間隔に入る間隔よりも大きくなくてはならない。ポリマーフォームがそれらの間の間隔に入る第二の成形壁の間の間隔は、望ましくは最初の成形壁の間の最大間隔の1.01〜2倍である。最初の成形プレートでのように、第二の成形プレートは、互いから又はそれがその押出方向内で動くとき、それを通って膨張している発泡性ポリマー組成体が移動する、単一若しくはモジュール構造体の一部から独立であってよい。
【0031】
第二の成形プレートの一方又は両方は、2個の逐次拘束区画の拘束壁が連続であるような、最初の成形プレートの一方又は両方を有する連続構造体であってよい。例えば、材料の単一の平らなシートは押出次元に沿って伸び、最初の成形プレートの一方及び第二の成形プレートの一方として機能することができる。別の態様に於いて、単一の材料は、押出寸法内の距離のために材料の平らなシートとして伸び、次いで、最初の及び第二の成形プレートとして機能する2個の平らな区画を有する、他の距離ほど伸びている他の平らな区画が続いている曲がった部分を有することができる。逐次的拘束区画の成形プレートは、互いから独立で、別個であってよい。膨張している発泡性ポリマー組成物の押出方向に沿って2個の成形プレート及び成形プレート壁の任意の組合せ及びこれらを構成する方法は、プレートを構成する方法が、成形プレートの単なる存在及び連続よりも重要ではない場合、本発明の範囲内である。
【0032】
成形プレート壁の間のそれぞれの間隔は、ポリマーフォームの厚さ次元内に発泡性ポリマー組成物の膨張を制限する拘束区画として機能する。膨張を有効に拘束するために、成形壁は、膨張している発泡性組成物の幅全体と接触するように充分に広い。
【0033】
本発明のプロセスは、少なくとも2つの拘束区画を形成する成形プレートを含み、なお、このプロセスは、2つより多い拘束区画を形成する成形プレートを有することができる。拘束区画の数を増加させることによって、発泡性ポリマー組成物の膨張へのより良い制御がもたらされ、所望のフォーム厚さが増加するとき、特に、所望のフォーム厚さが140mmを超えるとき望ましい。例えば、本発明プロセスは、最初の成形プレートと第二の成形プレートとの間に存在する、本質的に平行な成形壁を有する成形プレートを含むことができる。最初の成形プレートと第二の成形プレートとの間に存在する成形プレートは、最初の成形プレートの間の最大距離の5%以内の距離離れて間隔を空けている本質的に平行な成形壁を有する。追加の成形プレートが、第二の成形プレートの後に存在してよく、本質的に平行であるか又は平行でなくてよい。
【0034】
最初の成形プレートは、発泡ダイに直接的に隣接していてよく、若しくは発泡ダイに接触していてよく、又は発泡ダイから離れて間隔を空けていてもよい。最初の成形プレートは、最初の成形プレートの長さの25%に等しい、発泡ダイからの距離内に存在する。発泡ダイから離れて間隔が空けられている場合、望ましくは、最初の発泡壁の間の間隔は発泡ダイ出口開口の高さよりも大きい。望ましくは、最初の成形プレートが、発泡ダイに直接的に隣接していないか、又は発泡ダイと接触状態にない場合、非平行プレートの短い(長さが10〜100mm)区画が、発泡ダイと最初の成形プレートとの間に存在する。これらの非平行プレートの短い区画は、コネクター区画であり、それらの短い長さのために、成形プレートとは考えられない。これらのコネクター区画は、望ましくは膨張している発泡性組成物を、ダイ出口開口から、最初の拘束壁の間の間隔の中に向ける。
【0035】
成形プレートの任意の組(set)は、成形プレートの先行する組及び次の組に直接的に隣接するか、これらと接触状態にあるか又はこれらから離れて間隔を空けていてよい。成形プレートの一組が、成形プレートの先行する組又は次の組から離れて設置されている場合、成形プレートの2つの組の間に、発泡性ポリマー組成物を向ける、非平行プレートのコネクター区画が存在する。
【0036】
成形プレート、成形壁及びコネクター区画は、任意の材料からも作ることができるが、好ましくは膨張している発泡性ポリマー組成物との最小の摩擦力を作る材料及び表面組織から作られる。拘束壁はフッ素ポリマー樹脂、スチール、アルミニウムからなっていてよく、溝形成、マイクロピーニング(micropeening)、エッチング及び波形化のような表面組織を含むことができる。拘束は、所望により厚さ次元に加えて他の次元に於いて、所望される程度まで、発泡性ポリマー組成物の膨張を抑制するための拘束壁によって適用することもできる。
【0037】
1つ又は1つより多い拘束区画内の1つ又は1つより多い拘束壁は、熱的に制御可能である。熱的に制御可能な拘束壁は、加熱若しくは冷却することができ又は所望の温度に加熱若しくは冷却される選択を有することができる。
【0038】
成形プレート及び拘束壁は、望ましくは、発泡性ポリマー組成物が、30対1(30:1)又はそれ以上、好ましくは35:1又はそれ以上、なお更に好ましくは40:1又はそれ以上の厚さ膨張比を有するポリマーフォームに膨張することができるように設計される。フォームの厚さ膨張比は、ポリマーフォームの厚さ÷フォームの厚さ次元内の発泡ダイ出口開口の寸法(即ち発泡性ポリマー組成物が発泡ダイから出るときのその厚さ)である。このような大きい厚さ膨張比は密度に於ける著しい減少及び低密度ポリマーフォームに関係している。
【0039】
本発明のプロセスを使用することなく、30:1又はそれ以上の厚さ膨張比で製造されたフォームは、それらの厚さに沿った不均一な密度プロフィール及びそれらの厚さに沿った不均一な圧縮強度プロフィールと言う欠点を有する傾向がある。理論によって結びつけられることなく、30:1又はそれ以上の厚さ膨張比を有するフォームは、現在、フォームの厚さ次元に沿って発生する圧力低下勾配のために、厚さ次元内の不均一な密度プロフィール及び圧縮強度プロフィールと言う欠点を有する傾向がある。この圧力低下勾配は、泡形成フォーム気泡の不均一な膨張を起こす。その結果、表面に近いフォームの部分は、フォームの中心又はコアに近いフォームの部分よりも多く膨張する。
【0040】
驚くべきことに、本発明のプロセスは、同時に30:1又はそれ以上の厚さ膨張比を有しながら、厚さ次元に沿った本質的に均一な密度プロフィール及び圧縮強度プロフィールを有する押出ポリマーフォームを製造することができる。同様に、本発明は、厚さ次元に沿った本質的に均一な密度及び圧縮強度プロフィールを有する、10cm又はそれ以上の厚さを有する押出ポリマーフォームを製造することができる。本発明のプロセスによって製造された押出ポリマーフォームの厚さは、成形壁が、発泡性ポリマー組成物と接触し、発泡性ポリマー組成物が押出ポリマーフォームになるときに厚さ次元内の膨張を拘束することを想起して、少なくとも成形壁の最大間隔でのように大きい。一つの望ましい態様に於いて、成形壁の間の最大間隔は、10cm又はそれ以上の厚さを有するポリマーフォームを製造するために、10cm又はそれ以上である。
【0041】
なお更に驚くべきことに、本発明のプロセスは、高品質の表面外観をも有しながら、30:1又はそれ以上の厚さ膨張比、10cm又はそれ以上の厚さ又は30:1又はそれ以上の厚さ膨張比と10cm又はそれ以上の厚さとの両方を有する押出ポリマーフォームを製造することができる。フォームの主表面上に中心が置かれ、フォームの幅の80%まで伸びている、フォームの任意の主表面の任意の200平方cm部分の、98%又はそれ以上、好ましくは99%又はそれ以上、最も好ましくは100%が、欠陥を有しない場合、フォームは「高品質の表面外観」を有する。「欠陥(defect)」は、ポリマーフォームの主表面を通って、フォームの1つより多い気泡への接近を与える、ポリマーの不連続性である。欠陥は、発泡ダイから直接的に現れ、発泡ダイの後でフォームの中に導入された、意図的に刻まれた溝又はスライスとは区別される。
【0042】
本発明のプロセスは、押出ポリマーフォームが30:1又はそれ以上の厚さ膨張比を有するという条件で、ほぼ任意の厚さのフォームの厚さ次元内で本質的に均一な密度及び圧縮強度プロフィールを有する押出ポリマーフォームを製造することができる。しかしながら、特に困難なことは、本発明のプロセスが達成することができる、30:1又はそれ以上の厚さ膨張比をも有する、10cm又はそれ以上の厚さを有する押出ポリマーフォームの製造である。
【0043】
なお更なる困難なことは、断面積が大きくなるとき、フォームの厚さ次元内で本質的に均一な密度及び圧縮強度プロフィールを有する押出ポリマーフォームを製造することである。本発明のプロセスは、300平方cm又はそれ以上の断面積も有する、フォームの厚さ次元内で本質的に均一な密度及び圧縮強度プロフィールを有する押出ポリマーフォームを製造することができる。
【0044】
本発明によって製造された好ましい押出ポリマーフォームは、ASTM方法D−3576によって決定されたときに、0.1mm又はそれ以上、更に好ましくは0.25mm又はそれ以上、なお更に好ましくは0.5mm又はそれ以上の平均気泡サイズを有し、好ましくは1.5mm又はそれ以下の気泡サイズを有する。
【0045】
本発明によって製造された押出ポリマーフォームは、単モード気泡サイズ分布又は多モード(例えばバイモダール(bimodale))の気泡サイズ分布を有することができる。本発明の押出ポリマーフォームは、望ましくは断熱特性を最適化するために、単モード気泡サイズ分布を有する。押出ポリマーフォームは、(最も近い0.02mmまで丸められた)気泡サイズ対気泡の数が単一のピークを示す場合、単モード気泡サイズ分布を有する。「ピーク」は、その前及び後の両方で、より低いy軸値を有する少なくとも3つの点を有し、プロットのx軸に沿って進み、その後、より高いy軸値を有する点が存在する、プロットの点である。(プロットのx軸に沿って進む)プラトー(plateau)の何れかの側上の点が、プラトーを構成する点よりも低いy軸値を有するとの条件で、ピークは、等しいy軸値の1つより多い点(プラトー)を含んでいてよい。プロットは、押出ポリマーフォームの完全な断面からランダムに選択された少なくとも100個の気泡(cell)のキャラクタリゼーションを含有していなくてはならない。与えられた気泡について、気泡サイズとして、最大気泡直径と最小気泡直径との平均を使用する。
【0046】
本発明のプロセスを使用して製造された押出ポリマーフォームは、殆ど球形の気泡又は球形の気泡さえ有することができる。殆ど球形の気泡は、1.5よりも小さい最大アスペクト比(即ち最大直径÷最小直径)を有する。球形の気泡は、0.9〜1.0の範囲内の最大アスペクト比を有する。ポリマーフォームの少なくとも100個の気泡の断面視野を検査することによって、押出ポリマーフォームが、殆ど球形の気泡又は球形の気泡を有するかどうかを決定する。それらの気泡が球形又は殆ど球形である単モード気泡サイズを有するポリマーフォームは、圧縮強度が測定されるフォーム寸法に無関係に、均一であるか又は殆ど均一である傾向がある、より大きい圧縮強度値を経験する。
【0047】
本発明によって製造されたフォームは、望ましくは60キログラム/立方メートル(kg/m3)又はそれ以下、好ましくは45kg/m3又はそれ以下、なお更に好ましくは36kg/m3又はそれ以下の密度を有する。典型的には、本発明によって製造されたフォームは、取扱いのために十分な機械的保持性を達成するために、10kg/m3又はそれ以上の密度を有する。
【実施例】
【0048】
下記の実施例は、本発明の態様を更に例示するために機能する。
【0049】
実施例1
押出機内で、ポリスチレンホモポリマー(145,000g/molの重量平均分子量)、二酸化炭素3.6重量部及びイソブタン1.0重量部の均一なブレンドを含む発泡性ポリマー組成物を、215℃及び184バールで用意することによって、ポリスチレンホモポリマーの押出ポリスチレンフォームを製造する。重量部は、ポリスチレンホモポリマー100重量部に対するものである。この発泡性ポリマー組成物を、117℃まで冷却し、二次成形ダイに通して89バールの圧力で押出す。このダイは、高さ2.44mm及び幅245mmの出口開口寸法を有する。
【0050】
上記発泡性ポリマー組成物は、二次成形ダイを通って、それが膨張し始めたとき、第一の拘束区画中に進む。47mmほど離れて間隔を空け、押出方向内で、押出方向に対して平行に、180mm伸び、膨張している発泡性ポリマー組成物から等しく間隔を空けている、対峙成形プレート壁は、第一の拘束区画を規定する。膨張している発泡性ポリマー組成物は、それが第一の拘束区画から出たとき、直ちに第二の拘束区画に入る。第二の拘束区画は、67.2mmほど離れて間隔を空け、押出方向内で、押出方向に対して平行に、850mm伸びている対峙成形プレート壁を有する。成形プレート壁の一方は、第一の拘束区画の成形プレート壁と共に平面状であり、一方、対峙する成形プレート壁(一般的に、膨張している発泡性ポリマー組成物の上にある)は、第一の拘束区画の任意の成形プレートに対して平行であるが、これと共平面状ではない。発泡性ポリマー組成物は、第二の拘束区画から、最終押出ポリマーフォームとして出る。
【0051】
前記最終押出ポリマーフォームは、120mmの厚さ及び725mmの幅を有する。この押出ポリマーフォームの厚さ膨張比は49.2である。この最終押出ポリマーフォームは、34.3キログラム/立方メートル(kg/m3)の平均密度を有する。この押出ポリマーフォームは前記定義したような高品質表面外観を有する。
【0052】
比較例A
(1)2.66mmの出口開口高さ(フォームの厚さ次元に於ける寸法)を有する二次成形ダイに通して押出す及び(2)成形ダイの後で、第一の拘束区画のみを使用する(即ち、発泡性ポリマー組成物を第一の拘束区画のみに対して露出し、第二の拘束区画を使用しない)こと以外は、実施例1に於けると同様の方法で、比較例A(Comp.Ex.A)を製造する。
【0053】
この最終押出ポリマーフォームは、120mmの厚さ及び745mmの幅を有する。この押出ポリマーフォームの厚さ膨張比は45.1である。この最終押出ポリマーフォームは34.3kg/m3の平均密度を有する。この押出ポリマーフォームは前記定義したような高品質表面外観を有する。
【0054】
これらのフォームを、それぞれ10mm厚さである10個の層にスライスすることによって、実施例1及び比較例Aの両方の厚さ寸法に沿った密度プロフィールを決定する。表1には、それぞれのフォームのそれぞれの層についての密度値が含まれ、層1は、頂部に相当し、層10まで順々に番号が付けられ、層10はフォームの底部に相当する。
【0055】
それぞれのフォームの主表面からスキンを取り除き、次いで、これらのフォームを、それぞれ15mm厚さである7個の層にスライスすることによって、実施例1及び比較例Aの両方の厚さ寸法に沿った圧縮強度プロフィールを決定する。表1には、それぞれのフォームのそれぞれの層についての圧縮強度値が含まれ、層1は、頂部に相当し、層がフォームの底部に近づくまで順々に番号が付けらる。
【0056】
【表1】

【0057】
密度分析
比較例Aについて、このフォームは、フォームのコアと比較したとき、頂表面及び底表面付近でより低い密度を有することが明らかである。最大密度と最小密度との平均値は、(35.6+30.1)/2又は32.85kg/m3である。最大値と最小値との平均値からの層10及び層3の密度の差は、2.75kg/m3又は最大値と最小値との平均値の8.4%である。従って、比較例Aは厚さ寸法に沿った本質的に均一な密度プロフィールを有するとして適格ではない。
【0058】
実施例1は、一層均一な密度プロフィールを有する。最大密度と最小密度との平均値は、34.55kg/m3である。最大値と最小値との平均値に対する、層1及び層2(最大密度層)の密度並びに層6(最小密度層)の密度の差は、0.65kg/m3又は1.9%である。従って、実施例1は厚さ寸法に沿った本質的に均一な密度プロフィールを有するとして適格である。
【0059】
圧縮強度分析
比較例Aについて、このフォームは、フォームのコアと比較したとき、頂表面及び底表面付近でより低い圧縮強度を有することが明らかである。最大密度と最小密度との平均値は、(348+255)/2又は301.5キロパスカルである。最大値と最小値との平均値からの層6及び層7の圧縮強度の差は、46.5キロパスカル又は最大値と最小値との平均値の15%である。従って、比較例Aは厚さ寸法に沿った本質的に均一な圧縮強度プロフィールを有するとして適格ではない。
【0060】
実施例1は一層均一な密度プロフィールを有する。最大圧縮強度と最小圧縮強度との平均値は353.5キロパスカルである。最大値と最小値との平均値に対する、最大又は最小の圧縮強度の差は、24.5キロパスカル又は6.9%である。従って、実施例1は厚さ寸法に沿った本質的に均一な圧縮強度を有するとして適格である。
【0061】
実施例1と比較例Aとの比較は、本発明の驚くべき面、即ち少なくとも2個の拘束区画による段階式膨張を使用することにより、厚さ寸法に沿った本質的に均一な密度プロフィール及び圧縮強度プロフィールを有する押出ポリマーフォームの直接製造(即ち後成形加工又はフォームの修正無しの製造)が可能であることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程
(a)発泡剤と軟化温度を有するポリマー成分を含むポリマーマトリックスとを含んでなる発泡性ポリマー組成物を、押出機内で、前記ポリマー成分の軟化温度を超える初期温度及び前記発泡性ポリマー組成物の発泡を不可能にするのに充分に高い初期圧力で用意する工程;並びに
(b)前記発泡性ポリマー組成物を、押出方向に、前記初期圧力よりも低い圧力で大気中に押出し、そして前記発泡性ポリマー組成物の軟化点よりも低い温度にまで冷却させる前に、前記発泡性ポリマー組成物を、ポリマーフォームに膨張させる工程
を含んでなる、押出されたポリマーフォームを製造するプロセスであって、
工程(b)において、軟化点よりも低い温度に冷却する前に、前記発泡性ポリマー組成物を、押出方向に沿って少なくとも2個の逐次的拘束区画を与える対峙成形プレート(ここで、各拘束区画内の成形プレートは、前記発泡性ポリマー組成物の膨張を、厚さ次元内に制限する本質的に平行な拘束壁を含む)を通して移動且つ接触させながら、少なくとも30:1の厚さ膨張比で膨張させ、そして押出機に最も近い拘束区画が第二の拘束区画を規定する平行壁の間隔よりも小さい厚さ次元内の間隔を規定する、本質的に平行な壁を有する、ポリマーフォームの製造プロセス。
【請求項2】
前記成形プレートの任意の成形壁の間の最大間隔が少なくとも10cmである請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記ポリマーマトリックスが少なくとも1種のポリマーを含み、そしてポリマーマトリックス中のポリマーの80重量%超が、ポリスチレンホモポリマー及びポリスチレンコポリマーからなる群から選択される請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ポリマーマトリックス中のポリマーの80重量%超がポリスチレンホモポリマー及びスチレン−アクリロニトリルコポリマーからなる群から選択される請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ポリマーマトリックス中のポリマーの50重量%超がポリスチレンホモポリマーである請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記発泡剤が二酸化炭素を含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記発泡剤が二酸化炭素並びにイソブタン及び水の少なくとも1種を含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
一つの拘束区画の少なくとも一つの拘束壁が逐次的拘束区画の拘束壁と連続している請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
1つの拘束区画の拘束壁が逐次的拘束区画の拘束壁とは区別されている請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記拘束区画の少なくとも1つの、少なくとも1つの拘束壁が温度制御されている請求項1に記載のプロセス。

【公表番号】特表2012−519753(P2012−519753A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552984(P2011−552984)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/025187
【国際公開番号】WO2010/101747
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】