説明

殺害虫剤及びUV吸収剤を含んでいる農薬組成物

本発明は、殺害虫剤及びUV吸収剤を含んでいる農薬組成物、及びそのUV吸収剤に関する。本発明は、また、そのUV吸収剤の農薬組成物における使用にも関する。本発明は、また、植物病原性菌及び/又は望ましくない植物体の生長及び/又は望ましくない昆虫もしくはダニの寄生を防除するための、及び/又は植物体の生長を調節するための方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺害虫剤及びUV吸収剤を含んでいる農薬組成物、及びその前記したUV吸収剤に関する。本発明は、さらに、このUV吸収剤の農薬組成物における使用にも関する。本発明は、さらに、植物病原性菌及び/又は望ましくない植物体の生長及び/又は望ましくない昆虫もしくはダニの寄生を防除する方法、及び/又は植物体の生長を調節する方法にも関する。好ましい要件と他の好ましい要件との組み合わせは、本発明に含まれる。
【背景技術】
【0002】
殺害虫剤及びUV吸収剤を含んでいる農薬組成物は、以下にある通り、一般に知られている。
【0003】
(特許文献1)には、ピレスロイド、UV吸収剤及び抗酸化剤を含んでいる殺昆虫剤組成物が開示されている。
【0004】
(特許文献2)には、有害な昆虫の行動を変容させる物質、及び殺害虫活性化合物を含んでいる、その有害な昆虫を防除するための組成物が開示されており、それらの物質・化合物はいずれも、その行動変容物質をUV照射から保護する流動性マトリックス中に包含されている。この組成物には、一般的には、51〜98重量%のマトリックスが含まれているが、このマトリックスは、通常、好ましくは1,000〜40,000cpの粘度を有しているUV吸収剤である。適するUV吸収剤は、例えば、Cibaから商品名Tinuvin(登録商標)で入手できる、以下のアルコキシル化された2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾールTinuA及びTinuB
【化1】

であって、TinuA対TinuBの重量比が50対38である混合物である。
【0005】
(特許文献3)には、光解離殺害虫剤及びUV吸収剤、例えばα−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]−ω−ヒドロキシ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)が入っているカプセルを含んでいる組成物を使用することが含まれる、材料を保護するための方法が開示されている。(特許文献4)には、0.1〜20%の殺害虫剤、0.01〜30%のフェロモン及び40〜98%のUV吸収剤とを含んでいる組成物が開示されている。そのUV吸収剤としては、例えば、Tinuvin 1130が用いられ得る。
【0006】
(特許文献5)には、光解離殺害虫剤及びUV安定剤を含んでいる組成物が開示されているが、このUV安定剤は、例えば、Uvinul(登録商標)P25(PEG−25パラ−アミノ安息香酸)であり得る。
【0007】
アルコキシル化された基を含んでいるシンナミン酸誘導体も同じく知られている、すなわち、(非特許文献1)には、次の式
【化2】

で表される化合物が開示されている。
【0008】
先行技術からのこのようなUV吸収剤はさまざまな欠点を有している。すなわち、抗酸化剤のような、さらなる補助剤が加えられなければならない。そのようなUV吸収剤は、マトリックス中に用いられなければならない。そのようなUV吸収剤は、光感受性殺害虫剤を十分に長い時間期間安定化させることができていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第1992/03926号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第0376888号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/089747号パンフレット
【特許文献4】国際公開第1997/42815号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2008/085682号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Philippon et al. (Synthetic Communications, 1997, 27(15), 2651-2682)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、農薬組成物で用いるための代替のUV吸収剤を提供することであった。さらなる目的は、UV感受性殺害虫剤を安定化させるUV吸収剤を見出すことであった。この安定化は、特に比較的低い濃度のUV吸収剤であっても先行技術より優れているべきである。さらには、例えば必要な補助剤(例えば界面活性剤)がより少なくて良いという点で、より複雑でない殺害虫剤の調製を可能にするUV吸収剤を見出すことも目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、殺害虫剤及びUV吸収剤を含んでいる農薬組成物であって、そのUV吸収剤が、次の式I
【化3】

【0013】
(式中、
AO:C〜Cアルコキシ又はCHCHNH;
n:3〜50;
m:UVがA又はBを表す場合は1、UVがCを表す場合は3;
X:NH又はO;
:H又はC〜C24アルキル;
UV:次の各式A〜C
【化4】

【0014】
[式中、
:H、CN又はCO−(C〜C16アルキル);
:H、C〜Cアルキル、フェニル、又は、C〜C18アルコキシによって置換されているフェニル;
:H又はC〜C18アルコキシ];
【化5】

【0015】
[式中、
:H、C〜C18アルキル、OH又はC〜C18アルコキシ;
:C〜Cアルキレン];又は
【化6】

【0016】
[式中、
:H又はC〜C12アルキル];
から選択される基であり、
これらは、Iのカルボニル基に#を介して結合されている)
に対応している、そのような農薬組成物により達成された。
【0017】
用語「殺害虫剤」は、殺菌剤、殺昆虫剤、殺線虫剤、除草剤、毒性緩和剤及び/又は生長調節剤の群から選択される少なくとも1種の活性化合物を表す。好ましい殺害虫剤は、殺菌剤、殺昆虫剤、及び除草剤であり、特には殺昆虫剤である。上記した群のうちの2種又はそれ以上から得られる殺害虫剤同士の混合物も用いられ得る。当業者ならそのような殺害虫剤を熟知しているものであり、そのような殺害虫剤は、例えば、Pesticide Manual, 14th Ed. (2006), The British Crop Protection Council, Londonに見出され得る。適する殺昆虫剤は、カルバメート系、オルガノホスフェート系、オルガノ塩素系の殺昆虫剤、フェニルピラゾール系、ピレスロイド系、ネオニコチノイド系、スピノシン系、アベルメクチン系、ミルベマイシン系、幼若ホルモン類似体系、アルキルハライド系、オルガノスズ化合物系、ネレイストキシン類似体系、ベンゾイル尿素系、ジアシルヒドラジン系、METI系の殺ダニ剤の類からの殺昆虫剤、及び、クロロピクリン、ピメトロジン、フロニクアミド、クロフェンテジン、ヘキシチアゾキス、エトキサゾール、ジアフェンチウロン、プロパルギット、テトラジホン、クロルフェナピル、ドノク、ブプロフェジン、シロマジン、アミトラズ、ヒドラメチルノン、アセキノシル、フルアクリピリム、ロテノン、又はこれらのものの誘導体のような殺昆虫剤である。適する殺菌剤は、ジニトロアニリン系、アリルアミン系、アニリノピリミジン系、抗生物質系、芳香族炭化水素系、ベンゼンスルホンアミド系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾイソチアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾチアジアゾール系、ベンゾトリアジン系、ベンジルカルバメート系、カルバメート系、カルボキサミド系、カルボン酸アミド系、クロロニトリル系、シアノアセトアミドオキシム系、シアノイミダゾール系、シクロプロパンカルボキサミド系、ジカルボキシミド系、ジヒドロジオキサジン系、ジニトロフェニルクロトネート系、ジチオカルバメート系、ジチオラン系、エチルホスホネート系、エチルアミノチアゾールカルボキサミド系、グアニジン系、ヒドロキシ−(2−アミノ)ピリミジン系、ヒドロキシアニリド系、イミダゾール系、イミダゾリノン系、無機化合物系、イソベンゾフラノン系、メトキシアクリレート系、メトキシカルバメート系、モルホリン系、N−フェニルカルバメート系、オキサゾリジンジオン系、オキシミノアセテート系、オキシミノアセトアミド系、ペプチジルピリミジンヌクレオシド系、フェニルアセトアミド系、フェニルアミド系、フェニルピロール系、フェニル尿素系、ホスホネート系、ホスホロチオレート系、フタルアミド酸系、フタルイミド系、ピペラジン系、ピペリジン系、プロピオンアミド系、ピリダジノン系、ピリジン系、ピリジニルメチルベンズアミド系、ピリミジンアミン系、ピリミジン系、ピリミジノンヒドラゾン系、ピロロキノリノン系、キナゾリノン系、キノリン系、キノン系、スルファミド系、スルファモイルトリアゾール系、チアゾールカルボキサミド系、チオカルバメート系、チオカルバメート系、チオファネート系、チオフェンカルボキサミド系、トルアミド系、トリフェニルスズ化合物系、トリアジン系、トリアゾール系の類の殺菌剤である。適する除草剤は、アセトアミド系、アミド系、アリールオキシフェノキシプロピオネート系、ベンズアミド系、ベンゾフラン、安息香酸系、ベンゾチアジアジノン系、ビピリジリウム、カルバメート系、クロロアセトアミド系、クロロカルボン酸系、シクロヘキサンジオン系、ジニトロアニリン系、ジニトロフェノール、ジフェニルエーテル系、グリシン系、イミダゾリノン系、イソオキサゾール系、イソオキサゾリジノン系、ニトリル系、N−フェニルフタルイミド系、オキサジアゾール系、オキサゾリジンジオン系、オキシアセトアミド系、フェノキシカルボン酸系、フェニルカルバメート系、フェニルピラゾール系、フェニルピラゾリン系、フェニルピリダジン系、ホスフィン酸系、ホスホロアミデート系、ホスホロジチオエート系、フタルアメート系、ピラゾール系、ピリダジノン系、ピリジン系、ピリジンカルボン酸系、ピリジンカルボキサミド系、ピリミジンジオン系、ピリミジニル(チオ)ベンゾエート系、キノリンカルボン酸系、セミカルバゾン系、スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系、スルホニル尿素系、テトラゾリノン系、チアジアゾール系、チオカルバメート系、トリアジン系、トリアジノン系、トリアゾール系、トリアゾリノン系、トリアゾリノン系、トリアゾロカルボキサミド系、トリアゾロピリミジン系、トリケトン系、ウラシル系、尿素系の類の除草剤である。
【0018】
好ましい除草剤は、ナプロパミド、プロパニル、ベンタゾン、パラコートジクロリド、シクロキシジム、セトキシジム、エタルフルラリン、オリザリン、ペンジメタリン、トリフルラリン、アシフルレン、アクロニフェン、ホメサフェン、オキシフルオレン、イオキシニル、イマゼタピル、イマザキン、クロリダゾン、ノルフルラゾン、チアゾピル、トリクロピル、ジチオピル、ジフルフェニカン、ピコリナフェン、アミドスルフロン、モリネート、ベルノレート、プロメトン、メトリブジン、アザフェニジン、カルフェントラゾン−エチル、スルフェントラゾン、メトキスロン、モノリヌロン、フルクロラリン及びフルレノールである。好ましい殺菌剤は、シプロジニル、フベリダゾール、ジメトモルフ、プロクロラズ、トリフルミゾール、トリデモルフ、エジフェンフォス、フェナリモール、ヌアリモール、エチリモール、キノキシレン、ジチアノン、メトミノストロビン、トリフロキシストロビン、ジクロフルアミド、ブロムコナゾール及びミクロブトアニルである。好ましい殺昆虫剤は、アセフェート、アジンホス−エチル、アジンホス−メチル、イソフェンホス、クロルピリホス−メチル、ジメチルビンホス、ホレート、ホキシム、プロチオフォス、シヘキサチン、アラニカルブ、チオフェンカルブ、ピリミカルブ、チオジカルブ、フィプロニル、ビオアレトリン、ビオレスメチン、デルタメトリン、フェンプロパチン、フルシトリネート、タウフルバリネート、アルファ−シペルメトリン、メタフルミゾン、ゼータ−シペルメトリン、レスメチン、テフルトリン、ラムダシハロトリン及びヒドラメチルノンである。さらなる実施形態では、好ましい殺昆虫剤は、ピレスロイド系又はメタフルミゾン、特にはピレスロイド系である。特に好ましい殺害虫剤は、アルファ−シペルメトリン及びメタフルミゾンである。
【0019】
1つの実施形態では、UV感受性である殺害虫剤が用いられる。そのUV感受性は、簡単な予備試験で測定され得る。殺害虫剤の適する溶媒(好ましくはアセトン)中25重量%溶液を乾燥させることによって得られる殺害虫剤フィルムをUV光(好ましくは波長300〜800nmのUV/VIS光)で照射して、25℃で24時間以内に少なくとも20重量%の程度までそのフィルムが分解される場合、その殺害虫剤は、どちらかと言えば、UV感受性とみなされる。用いられる照度は、典型的には、10,000〜100,000luxの範囲内、好ましくは50,000〜80,000luxの範囲内にある。その殺害虫剤の(又は2つ又はそれ以上の殺害虫剤成分の混合物中の1つの殺害虫剤成分の)濃度が対応して低下している場合、その殺害虫剤は分解したとみなされる。
【0020】
適するUV吸収剤は、先に定義されている式Iで表される構造のものである。適する基AOは、C〜Cアルコキシ又は−CHCHNH−、好ましくは−CHCHNH−であって、C〜Cアルコキシは、好ましくは、−CHCHO−、−CH(CH)CHO−又は−CH(CHCH)CHO−、特には−CHCHO−である。その添え字nは、3〜50、好ましくは3〜30、特には3〜25、特定的には3〜15を表す。その添え字mは、UVがA又はBを表す場合は1を、又は、UVがCを表す場合は3を表す。適する基Xは、NH又はO、好ましくはOである。
【0021】
適する基Rは、H又はC〜C24アルキル、好ましくはC〜Cアルキル、特にはCHである。さらなる実施形態では、Rは、H又はC〜C24アルキル、好ましくはC〜C24アルキル、特に好ましくはC〜C24アルキル、特にはC〜C20アルキル、特定的にはC10〜C20アルキル、特に特定的にはC10〜C20分岐アルキルを表す。
【0022】
表記「−CHCHNH−」は、一般経験式であって、ポリエチレンイミン基のモノマーユニットを表す。これらのポリエチレンイミン基は、線状又は分岐であり得るものであって、好ましくはそれらは分岐である。分岐ポリエチレンイミン基は、通常、一級、二級及び三級アミノ基を含有している。一級/二級/三級アミノ基のモル比は、1/0.5/0.2〜1/1.9/1.5の範囲内、好ましくは1/0.7/0.4〜1/1.5/1.1の範囲内にあり得る。
【0023】
適する基UVは、各式A〜Cから、好ましくはB又はCから選択される基であり、これらの各基は、#を介して式Iのカルボニル基に結合されている。
【0024】
適する基UVは、次の式A
【化7】

【0025】
[式中、
:H、CN又はCO−(C〜C16アルキル)、好ましくはCN又はCO−(C〜C16アルキル)、特にはCN;
:H、C〜Cアルキル、フェニル、又はC〜C18アルコキシによって置換されているフェニル、好ましくはC〜Cアルキル、フェニル、又はC〜C18アルコキシによって置換されているフェニル、特にはフェニル、又はC〜C18アルコキシによって置換されているフェニル;及び
:H又はC〜C18アルコキシ、好ましくはH]
で表される構造のものである。
【0026】
さらなる適する基UVは、次の式B
【化8】

【0027】
[式中、
:H、C〜C18アルキル、OH又はC〜C18アルコキシ、好ましくはH;及び
:C〜Cアルキレン、好ましくはC〜Cアルキレン、特にはCH
で表される構造のものである。
【0028】
さらなる適する基UVは、次の式C
【化9】

【0029】
[式中、
:H又はC〜C12アルキル、好ましくはH]
で表される構造のものである。
【0030】
好ましい実施形態では、この農薬組成物には、殺害虫剤及びUV吸収剤が含まれるが、そのUV吸収剤は、次の式III
【化10】

【0031】
[式中、
n:3〜50、好ましくは3〜25;
10:H、CN又はCO−(C〜C16アルキル)、好ましくはH又はCN、特にはH;
11:H、C〜Cアルキル、フェニル、又はC〜C18アルコキシによって置換されているフェニル、好ましくはH、フェニル、又はC〜C18アルコキシによって置換されているフェニル、特にはH;
12:H又はC〜C18アルコキシ、好ましくはH;及び
13:H又はC〜C24アルキル、好ましくはCH
で表される構造に対応している吸収剤である。
【0032】
さらに好ましい実施形態では、R13は、H又はC〜C24アルキル、好ましくはC〜C24アルキル、特に好ましくはC〜C24アルキル、特にはC〜C20アルキル、特定的にはC10〜C20アルキル、特に特定的にはC10〜C20分岐アルキルを表す。
【0033】
さらに好ましい実施形態では、この農薬組成物には殺害虫剤及びUV吸収剤が含まれるが、そのUV吸収剤は、次の式IV
【化11】

【0034】
[式中、
n:3〜50、好ましくは3〜25;
14、R15:互いに独立してH又はC〜C18アルコキシ、好ましくはH又はメトキシ、特にはH;及び
16:H又はC〜C24アルキル、好ましくはC〜Cアルキル、特に好ましくはCH
で表される構造に対応している吸収剤である。
【0035】
さらに好ましい実施形態では、R16は、H又はC〜C24アルキル、好ましくはC〜C24アルキル、特に好ましくはC〜C24アルキル、特にはC〜C20アルキル、特定的にはC10〜C20アルキル、特に特定的にはC10〜C20分岐アルキルを表す。
【0036】
さらに好ましい実施形態では、この農薬組成物には殺害虫剤及びUV吸収剤が含まれるが、そのUV吸収剤は、次の式V
【化12】

【0037】
[式中、
n:3〜50、好ましくは3〜25;
17、R18:互いに独立してH又はC〜C18アルコキシ、好ましくはH又はメトキシ、特にはH]
で表される構造に対応している吸収剤である。
【0038】
さらに好ましい実施形態では、この農薬組成物には殺害虫剤及びUV吸収剤が含まれるが、そのUV吸収剤は、次の式VI
【化13】

【0039】
[式中、
n:3〜50、好ましくは3〜20、特には3〜10;
19:C〜Cアルキレン、好ましくはC〜Cアルキレン、特にはCH
20:H又はC〜C24アルキル、好ましくはCH;及び
21:H、C〜C18アルキル、OH、又はC〜C18アルコキシ、好ましくはH]
で表される構造に対応している吸収剤である。
【0040】
さらに好ましい実施形態では、R20は、H又はC〜C24アルキル、好ましくはC〜C24アルキル、特に好ましくはC〜C24アルキル、特にはC〜C20アルキル、特定的にはC10〜C20アルキル、特に特定的にはC10〜C20分岐アルキルを表す。
【0041】
さらに好ましい実施形態では、この農薬組成物には殺害虫剤及びUV吸収剤が含まれるが、そのUV吸収剤は、次の式VII
【化14】

【0042】
[式中、
n:3〜50、好ましくは3〜25、特には3〜10;
22:H又はC〜C24アルキル、好ましくはCH;及び
23:H又はC〜C12アルキル、好ましくはH]
で表される構造に対応している吸収剤である。
【0043】
さらに好ましい実施形態では、R22は、H又はC〜C24アルキル、好ましくはC〜C24アルキル、特に好ましくはC〜C24アルキル、特にはC〜C20アルキル、特定的にはC10〜C20アルキル、特に特定的にはC10〜C20分岐アルキルを表す。
【0044】
本発明による農薬組成物は、一般的には、0.01〜95重量%、好ましくは0.5〜80重量%、特に好ましくは2〜50重量%、特定的には5〜20重量%の殺害虫剤(各場合その組成物を基準にして)を含んでいる。
【0045】
これらのUV吸収剤は、通常、高くて50mN/mの、好ましくは高くて46mN/mの、特に好ましくは高くて44mN/mの、特定的には高くて40mN/mの、水と空気との界面における25℃の表面張力を有している。
【0046】
本発明による農薬組成物は、一般的には、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%、特に好ましくは1.0〜15重量%のUV吸収剤(各場合その組成物を基準)を含んでいる。
【0047】
殺害虫剤対UV吸収剤の重量比は、通常、30:1〜1:2、好ましくは15:1〜2:1、特に好ましくは8:1〜3:1である。
【0048】
殺害虫剤及びUV吸収剤を含んでいる農薬組成物は、農薬製剤に慣用の組成物タイプ(例えば、溶液、エマルション、懸濁液、粉末、粉粒、ペースト及び顆粒)であり得る。この組成物タイプは、その特定の意図される使用によって決まるものであるが、すべてのケースにおいて、本発明による化合物の微細で均一な分散が確保されるべきである。組成物タイプの例は、懸濁液(SC、OD、FS)、ペースト、トローチ、水和粉粒又は粉末(WP、SP、SS、WS、DP、DS)又は顆粒(GR、FG、GG、MG)(これらのものは水に可溶か又は分散可能である)、及び植物体繁殖物(例えば種子)処理用のゲル(GF)である。アリやネズミ等の動物用毒餌は、上記した各組成物タイプのいくつかのタイプであり得るが、好ましくは粉粒、ペースト、顆粒又はゲルとしてのタイプである。一般的には、これらの組成物タイプ(例えばSC、OD、FS、WG、SG、WP、SP、SS、WS、GF)は、希釈された形態で用いられる。DP、DS、GR、FG、GG、MG又は毒餌等の組成物タイプは、一般的には、希釈されない形態で用いられる。好ましい組成物タイプは、懸濁液である。
【0049】
この農薬組成物にはさらに植物体保護組成物に慣用の補助剤も含まれ得るものであって、そのような補助剤の選択は、その具体的な使用形態又は活性化合物によって決まるものである。適する補助剤の例は、溶媒、固体担体物質、界面活性剤(例えばさらなる可溶化剤、保護コロイド、湿潤剤及び展着剤)、有機及び無機増粘剤、静菌剤、凍結防止剤、消泡剤、場合による染料及び接着材(例えば、種子処理用)や、毒餌製剤に慣用の補助剤、例えば、誘引物質、飼料、苦味物質である。
【0050】
適している溶媒は、水、並びに、有機溶媒、例えば、ケロシン、ディーゼルオイルのような中〜高沸点の鉱油留分、さらにはコールタールオイル及び植物又は動物由来の油、脂肪族、環状及び芳香族炭化水素(例えば、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン及びその誘導体、アルキル化ベンゼン及びその誘導体)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及びシクロヘキサノール)、グリコール、ケトン(例えばシクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン)、ジメチル−脂肪酸アミド、脂肪酸及び脂肪酸エステル、及び、強極性溶媒、例えばアミン(例えばN−メチルピロリドン)である。原理的には、溶媒混合物も用いられ得るし、また上記した溶媒と水との混合物も用いられ得る。
【0051】
固体担体物質は、鉱物質土類、例えば、シリカ、シリカゲル、シリケート、タルク、カオリン、石灰岩、石灰、チョーク、膠灰粘土、黄土、粘土、ドロマイト、ケイ藻土;硫酸カルシウム及び硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム;粉砕合成物質;肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素;さらには栽培植物由来産物、例えば穀粉、樹皮粉、木粉及び堅果殻粉;セルロース粉末;及び他の固体担体物質;である。
【0052】
適している界面活性物質(補佐剤、湿潤剤、展着剤、分散剤又は乳化剤)は、芳香族スルホン酸の、例えばリグニン−スルホン酸の(Borresperse(登録商標)タイプ、Borregaard,Norway)、フェノール−スルホン酸の、ナフタレン−スルホン酸の(Morwet(登録商標)タイプ、Akzo Nobel,USA)、及びジブチルナフタレン−スルホン酸の(Nekal(登録商標)タイプ、BASF,Germany)、並びに脂肪酸の、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩;アルキル−及びアルキルアリール−スルホネート;アルキル、ラウリルエーテル及び脂肪アルコールのスルフェート;及び硫酸化ヘキサ−、ヘプタ−及びオクタ−デカノール並びに脂肪アルコールグリコールエーテルの各塩;スルホン化ナフタレン及びその誘導体とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドとの縮合生成物;ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル;エトキシル化イソオクチル−、オクチル−又はノニル−フェノール;アルキルフェニル又はトリブチルフェニルポリグリコールエーテル;アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール;脂肪アルコール−エチレンオキシド縮合物;エトキシル化ひまし油、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセテート、ソルビトールエステル;リグニン亜硫酸塩廃液;及びタンパク質、変性タンパク質、ポリサッカリド(例えば、メチルセルロース)、疎水変性デンプン、ポリビニルアルコール(Mowiol(登録商標)タイプ、Clariant,Switzerland)、ポリカルボキシレート(Sokalan(登録商標)タイプ、BASF,Germany)、ポリアルコキシレート、ポリビニルアミン(Lupamin(登録商標)タイプ、BASF,Germany)、ポリエチレンイミン(Lupasol(登録商標)タイプ、BASF,Germany)、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー;である。
【0053】
増粘剤(すなわち、この組成物に、変容流動特性、すなわち、その静止状態では高粘度、その撹拌状態では低粘度を賦与する化合物)の例は、ポリサッカリド及び有機及び無機層状ミネラル、例えば、キサンタンガム(Kelzan(登録商標)、CP Kelco,USA)、Rhodopol(登録商標)23(Rhodia,France)又はVeegum(登録商標)(R.T. Vanderbilt,USA)、又は、Attaclay(登録商標)(Engelhard Corp.,NJ,USA)、である。
【0054】
本組成物を安定化させるためには静菌剤が加えられ得る。静菌剤の例は、ジクロロフェン系及びベンジルアルコールヘミホルマール系静菌剤(ICI製Proxel(登録商標)又はThor Chemie製Acticide(登録商標)RS及びRohm&Haas製Kathon(登録商標)MK)並びにイソチアゾリノン誘導体系、例えばアルキルイソチアゾリノン系及びベンゾイソチアゾリノン系の静菌剤(Thor Chemie製Acticide(登録商標)MBS)である。
【0055】
適する凍結防止剤の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、尿素及びグリセリンである。
【0056】
消泡剤の例は、シリコンエマルション(例えば、Silikon(登録商標)SRE(Wacker,Germany)やRhodorsil(登録商標)(Rhodia,France)等)、長鎖アルコール、脂肪酸、脂肪酸の塩、有機フッ素化合物、及びこれらの混合物である。
【0057】
組成物タイプの例は以下にある通りである。
【0058】
1.水に希釈する組成物タイプ
i)液剤(water-soluble concentrates;SL、LS)
10重量部の本殺害虫剤が、90重量部の水又は水溶性溶媒に溶解される。別法としては、湿潤剤又は他の補助剤が添加される。本殺害虫剤は、水に希釈する間に溶解する。このようにして、活性化合物含有量が10重量%の組成物がもたらされる。
【0059】
ii)分散製剤(Dispersible concentrates;DC)
20重量部の本殺害虫剤が、70重量部のシクロヘキサノンに10重量部の分散剤(例えばポリビニルピロリドン)を加えて溶解される。水に希釈すると、ディスパージョンがもたらされる。本活性化合物含有量は20重量%である。
【0060】
iii)乳剤(Emulsifiable concentrates;EC)
15重量部の本殺害虫剤が、75重量部のキシレンにドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとヒマシ油エトキシレート(各場合5重量部)を加えて溶解される。水に希釈すると、エマルションがもたらされる。この組成物の活性化合物含有量は、15重量%である。
【0061】
iv)エマルション製剤(Emulsions;EW、EO、ES)
25重量部の本殺害虫剤が、35重量部のキシレンにドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとヒマシ油エトキシレート(各場合5重量部)を加えて溶解される。この混合物は30重量部の水に加えられて、乳化装置(例えばUltra−turrax)を用いて均質なエマルションに変換される。水に希釈すると、エマルションがもたらされる。この組成物の活性化合物含有量は25重量%である。
【0062】
v)懸濁製剤(Suspensions;SC、OD、FS)
撹拌下ボールミル中で20重量部の本殺害虫剤が10重量部の分散剤と湿潤剤及び70重量部の水又は有機溶媒とを添加して粉砕され、本活性化合物の微細懸濁液がもたらされる。水に希釈すると、本活性化合物の安定な懸濁液がもたらされる。この組成物の本活性化合物の含有量は20重量%である。
【0063】
vi)顆粒水和剤及び顆粒水溶剤(water-dispersible granules and water-soluble granules;WG、SG)
50重量部の本殺害虫剤が50重量部の分散剤及び湿潤剤を添加して微細に粉砕され、専用の装置(例えば、噴出機、噴霧塔、流動床)を用いて顆粒水和剤又は顆粒水溶剤として調製される。水に希釈すると、本活性化合物の安定なディスパージョン又は溶液がもたらされる。この組成物の活性化合物含有量は50重量%である。
【0064】
vii)水和剤及び水溶剤(water-dispersible powders and water-soluble powders;WP、SP、SS、WS)
ローター・ステーター・ミル中で75重量部の本殺害虫剤が25重量部の分散剤及び湿潤剤及びシリカゲルを添加して粉砕される。水に希釈すると、本活性化合物の安定なディスパージョン又は溶液がもたらされる。この組成物の活性化合物含有量は75重量%である。
【0065】
viii)ゲル剤(Gels;GF)
ボールミル中で20重量部の本殺害虫剤、10重量部の分散剤、1重量部の膨潤剤(「ゲル化剤」)及び70重量部の水又は有機溶媒が粉砕されて、微細懸濁液がもたらされる。水で希釈すると、活性化合物含有量が20重量%の安定な懸濁液がもたらされる。
【0066】
2.直接適用用の組成物タイプ
ix)粉末剤(Dusts;DP、DS)
5重量部の本殺害虫剤が微粉砕されて、95重量部の微細粉砕カオリンと充分に混合される。これにより活性化合物含有量が5重量%の粉末組成物が得られる。
【0067】
x)顆粒剤(Granules;GR、FG、GG、MG)
0.5重量部の本殺害虫剤が微細に粉砕されて、99.5重量部の担体物質と結着される。通常の方法は、押出、スプレー乾燥又は流動床である。これにより活性化合物含有量が0.5重量%の直接適用用の顆粒剤がもたらされる。
【0068】
xi)ULV溶液剤(ULV solution;UL)
10重量部の本殺害虫剤が、90重量部の有機溶媒(例えばキシレン)で溶解される。これにより活性化合物含有量が10重量%の直接適用用の組成物がもたらされる。
【0069】
本化合物は、それ自体で、又は、その組成物の形態で、例えば直接スプレー可能な溶液、粉粒、懸濁液、ディスパージョン、エマルション、油性ディスパージョン、ペースト、粉末組成物、散布用組成物、又は顆粒の形態で、スプレー、噴霧、散粉、散布、毒餌布置、ブラシ塗布、浸漬、又は注液することによって、用いられ得る。水性使用剤形は、エマルション製剤、ペースト剤又は水和性粉粒剤(スプレー可能粉粒剤、油性ディスパージョン剤)から、水を加えることにより、調製され得る。エマルション剤、ペースト剤又は油性ディスパージョン剤の調製には、この物質は、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤又は乳化剤を用いて、そのまま水に、又は、油もしくは溶媒中溶液として、ホモジナイズされ得る。また一方では、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤又は乳化剤、及び適切であれば溶媒又は油とを含んでいるコンセントレート(濃縮製剤)も、この活性化合物から調製され得る。
【0070】
使用準備完了調製物中の本活性化合物の濃度は、比較的広い範囲内で変わり得る。一般的には、その濃度は、0.0001〜10%である(好ましくは0.01〜1重量%)。植物体保護の使用に適用されるその量は1ha当たり0.01〜2.0kgであるが、所望効果の内容によっても左右される。植物体繁殖物(例えば種子)の処理では、一般的には、1〜1,000g/100kg繁殖物又は種子、好ましくは5〜100g/100kg繁殖物又は種子の活性化合物量が用いられる。材料又は貯蔵産物の保護での使用には、適用される活性化合物の量は、その使用の分野の特質及びその所望効果の内容によって決まるものである。材料の保護で適用される通常の量は、例えば、処理される材料1m当たり0.001g〜2kg活性化合物、好ましくは0.005〜1kg活性化合物である。
【0071】
本発明は、さらに、R及びRのいずれもがHを表す場合AOはCHCHNHを表す、上記した式Iで表されるUV吸収剤にも関する。好ましくは、UVは、その式B及びCのその各構造から選択されるフリーラジカルを表す。好ましくは、AOは、CHCHNHを表す。
【0072】
好ましい実施形態では、本発明は、UV吸収剤が、次の式IX
【化15】

【0073】
[式中、n:3〜50、好ましくは3〜25;及びR10、R11、R12及びR13は先の定義と同様である]で表される構造に対応している、そのようなUV吸収剤に関する。
【0074】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、UV吸収剤が、次の式X
【化16】

【0075】
[式中、n:3〜50、好ましくは3〜25;及びR14、R15及びR16は先の定義と同様である]で表される構造に対応している、そのようなUV吸収剤に関する。
【0076】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、UV吸収剤が、次の式XI
【化17】

【0077】
[式中、n:3〜50、好ましくは3〜25;及びR17及びR18は先の定義と同様である]で表される構造に対応している、そのようなUV吸収剤に関する。
【0078】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、UV吸収剤が、次の式XII
【化18】

【0079】
[式中、n:3〜50、好ましくは3〜25、特には3〜10;及びR19、R21及びR21は先の定義と同様である]で表される構造に対応している、そのようなUV吸収剤に関する。
【0080】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、UV吸収剤が、次の式XIII
【化19】

【0081】
[式中、n:3〜50、好ましくは3〜25、特には3〜10;及びR22及びR23は先の定義と同様である]で表される構造に対応している、そのようなUV吸収剤に関する。
【0082】
本発明によるこのUV吸収剤は、通常、高くて50mN/mの、好ましくは高くて46mN/mの、特に好ましくは高くて44mN/mの、特定的には高くて40mN/mの、水と空気との界面における25℃の表面張力を有している。
【0083】
本発明は、さらに、本発明によるUV吸収剤の農薬組成物における使用に関する。好ましいのは、農薬組成物で用いることである。特に好ましいのは、特には太陽光に対して、UV感受性殺害虫剤を安定化させるのに用いることである。好ましいUV吸収剤は、前記式III〜XIIIで表されるもの、特には前記式IX〜XIIIで表されるものである。適する農薬組成物は、先に述べた通りである。
【0084】
本発明は、さらに、植物病原性菌及び/又は望ましくない植物体の生長及び/又は望ましくない昆虫もしくはダニの寄生を防除する方法、及び/又は植物体の生長を調節する方法に関し、そのような方法では、本発明による組成物を、特定の害虫、その生息地、又は特定の害虫から保護されるべき植物体、土壌に、及び/又は、望ましくない植物体及び/又は作物植物体及び/又はその生息地に、作用させる。
【0085】
本発明の1つの利点は、本UV吸収剤が、UV感受性殺害虫剤を、特にはUV吸収剤の低濃度でも、安定化させることである。さらなる利点は、活性化合物ディスパージョン、特には活性化合物懸濁液の高い安定性をもたらすためには、より少ない界面活性剤を用いることで用が足りることである。このUV吸収剤は、農薬調製物に容易に可溶であるし、又はそうでなければ、水性エマルションや水性懸濁液のような農薬調製物とは、きわめて容易に相溶する。また、例えばこのUV吸収剤をその調製物中に組み込むためには、さらなる乳化剤を必要としない。
【0086】
以下の実施例は本発明を例示するものであって、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0087】
Pluriol(登録商標)A350E:ポリアルコキシレングリコールモノメチルエーテル、OH数およそ160mgのKOH/g、モル質量およそ350g/mol(OH数で測定)、BASFからPluriol(登録商標)A350Eとして市販。
【0088】
Pluriol(登録商標)A500E:メチル−ポリエチレングリコール、OH数およそ110mgのKOH/g、モル質量およそ500g/mol(OH数で測定)、BASF SEからPluriol(登録商標)A500Eとして市販。
【0089】
Pluriol(登録商標)A500PE:ブチル−ポリエチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、OH数およそ115mgのKOH/g、モル質量およそ500g/mol(OH数で測定)、BASF SEからPluriol(登録商標)A500PEとして市販。
【0090】
Pluronic(登録商標)10500:ポリ(エチレングリコール−ブロック−プロピレン−ブロック−エチレングリコール)、プロピレングリコールブロックが3,250g/molのモル質量及び全体分子量が6,500g/mol(BASF SEからPluronic(登録商標)PE 10500として市販)。
【0091】
Wettol D1:フェノールスルホン酸−尿素−ホルムアルデヒド縮合生成物のナトリウム塩(BASF SEからWettol(登録商標)D1として市販)。
【0092】
静菌剤:2.5重量%の2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)及び2.5重量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(BIT)との混合物水溶液(ThorからActicide(登録商標)MBSとして市販)。
【0093】
消泡剤:シリコーン系、活性物含有量20重量%(WackerからSilikon SRE−PFLとして市販)。
【0094】
キサンタン:顆粒状キサンタンガム、14重量%の水含有量、Brookfield法による0.3重量%溶液での粘度2,000mPas(RhodiaからRhodopol(登録商標)Gとして市販)。
【0095】
Lupasol(登録商標)FG:モル質量が約800g/mol(光散乱法により測定)のポリエチレンイミン、一級アミン基対二級アミン基対三級アミン基の比は1対0.82対0.53及び水含有量は2重量%未満、BASF SEからLupasol(登録商標)FGとして市販。
【0096】
イソ−トリデカノールN:分岐脂肪族一級C13アルコール(これはブテンの三量体化及び続いてのヒドロホルミル化及び水素化によって得られたものである)(BASF SEからTridecanol(登録商標)Nとして市販)。
【0097】
Tinuvin(登録商標)384−2:CIBA AGから市販のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系(95%ベンゼンプロパン酸3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−C7−9−アルキルエステル及び5%1−メトキシ−2−プロピルアセタート)の群に属するUV吸収剤。
【0098】
Uvinul(登録商標)3035:エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート、前記構造式(4)を有している化合物、BASF SEからUvinul(登録商標)3035として市販。
【0099】
Uvinul(登録商標)P25:p−アミノ安息香酸エトキシラート(45)(分子量およそ1,265g/mol、x+y+zの合計は約25である)、BASF SEから商品名Uvinul(登録商標)P25で市販の製品である。
【化20】

【0100】
(実施例1A:2−シアノ−3,3−ジフェニル−アクリル酸(5)の合成)
【化21】

【0101】
205g(0.74g)のUvinol 3035(4)を2lの50%濃度メタノールに懸濁させて、71.2g(0.89mol)の50%濃度水酸化ナトリウム溶液を加えた。この混合物を一晩20℃で撹拌した。その後、この混合物を、102g(0.89mol)の32%濃度塩酸で酸性にした。その沈殿物を濾別し、各回0.5lの水で2回洗浄した。乾燥させると、170gの黄色っぽい粉粒(5)が得られた(収率=92%)。
【0102】
(実施例1B:2−シアノ−3,3−ジフェニル−アクリロイルクロリド(6)の合成)
【化22】

【0103】
3滴のジメチルホルムアミド/20℃0.5lの塩化メチレンが入っている反応容器の中に140g(0.56mol)の(5)を先ず導入した。60分以内に179g(1.41mol)の塩化オキサリル(1.41mol)を、20℃で、滴下で加えた。この混合物を還流下に24時間撹拌し、その後ロータリーエバポレーターで乾固まで濃縮させた。149gの黄色の固形物(6)が得られた(収率=99%)。
【0104】
(実施例2A:2−シアノ−3,3−ジフェニル−アクリル酸[Pluriol A350E]エステル(27)の合成)
【化23】

【0105】
63.4g(189mmol)のPluriol A350E(26)を150℃で30分間撹拌したが、この全反応時間の期間中は中に浸漬により窒素が通されていた。50.0g(180mmol)のUvinol 3035(4)及び0.58g(2mmol)のチタン(IV)イソプロポキシドをこの後加えた。この反応混合物を155℃で24時間撹拌した。生成したそのエタノールを留去させた。この混合物を200mlの塩化メチレンに取り込み、350mg(3mmol)のリン酸85%を加え、この溶液を20℃で24時間静置させたままにしておいた。この生成物を1kgのシリカゲル60でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。このためには、その溶液をこのフラッシュカラムに導入し、そのカラムから、その遊離体(4)を塩化メチレンで、その後その生成物(27)をメタノールで溶離した。このメタノール溶液をロータリーエバポレーターで乾固まで濃縮した。94gのオレンジ色の粘稠な液体(27)が得られた(収率=95%)。
【0106】
(実施例2B:2−シアノ−3,3−ジフェニル−アクリル酸[Pluriol A500E]エステル(29)の合成)
【化24】

【0107】
この全反応時間の期間中は中に窒素を浸漬により通した。20℃にある反応容器の中に83.3g(180mmol)のPluriol A500E(28)及び50.0gのUvinul 3035(4)を先ず導入し、この混合物をこの後150℃で30分間撹拌した。その後、0.58g(2mmol)のチタン(IV)イソプロポキシドを加えた。この反応混合物を155℃で24時間撹拌した。生成したエタノールを反応の期間中に留去させた。118gの茶色の粘稠な液体(29)が得られた(収率=95%)。
【0108】
(実施例2C:2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸[Pluriol A500PE]エステル(31)の合成)
【化25】

【0109】
この全反応時間の期間中は中に窒素を浸漬により通した。20℃にある反応容器の中に77.4g(189mmol)のPluriol A500PE(30)及び50.0g(180mmol)のUvinul 3035(4)を先ず導入し、この混合物をこの後155℃で30分間撹拌した。0.58g(2mmol)のチタン(IV)イソプロポキシドをこの後加え、この反応混合物を155℃で21時間撹拌した。生成したエタノールを留去させた。0.5mlの水をこの混合物に加え、この混合物を10分間撹拌し、その後200mlの塩化メチレンに取り込んだ。この生成物を1kgのシリカゲル60でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。このためには、その溶液をこのフラッシュカラムに導入し、そのカラムから、その遊離体(4)を塩化メチレンで、その後その生成物(27)をメタノールで溶離した。このメタノール溶液をロータリーエバポレーターで乾固まで濃縮した。110gのオレンジ色の粘稠な液体(31)が得られた(収率=83%)。
【0110】
(実施例2D:2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸[EO−トリデカノール]エステル(14)の合成)
【化26】

【0111】
粉粒にされたKOH(2g、0.036mol)を耐圧オートクレーブ中にあるイソ−トリデカノール(160g、0.8mol)に加え、脱水をこの後20mbar下95℃で1時間行う。この混合物をこの後窒素で不活性化し、100℃に加熱する。エチレンオキシド(634g、14.4mol)をこの後8時間の間に6barの最大圧力まで計量投入し、この添加が終了したら、この混合物を続いてさらに3時間撹拌する。最後に、合成ケイ酸マグネシウム(3重量%)をこの化合物に加え、この混合物を濾過する。トリデシルオクタデカオキシエチレングリコール(13)が得られる(794g;OH数69mgのKOH/g)。化合物(13)(49.6g、0.05mol)を、撹拌しながらトルエン(100ml)に溶解させ、トリエチルアミン(5.06g、0.05mol)を加える。この溶液に化合物(6)(13.4g、0.05mol)の塩化メチレン(50ml)中溶液をその温度が30℃を超えないように25℃で加える。25℃で12時間撹拌した後、N流の助けを借りてこの溶液から塩化メチレンを枯渇させる。その有機相をこの後飽和NaCl溶液で、3回、震盪することによって抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、その溶媒を真空で除去する。その目標化合物(14)が58gの収量で得られる。(14)のその構造は、1H−NMR分光分析により確認される。
【0112】
(実施例3A:(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−酢酸メチルエステル(9)の合成)
【化27】

【0113】
107g(0.5mol)の2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン99%(7)及び69g(0.5mol)の炭酸カリウムを、20℃にある0.65lのメタノールに先ず導入した。この混合物に98g(0.5mol)のブロモ酢酸エチルエステル(8)を20℃で1時間の間に滴下で加えた。この懸濁液を還流下に24時間撹拌した。その固形物を濾別し、300mlのメタノールで洗浄した。この粗製の生成物を1lの塩化メチレンに取り込んで、30gの硫酸ナトリウム及び15gの活性炭をその後加えた。この混合物を20℃で15分間撹拌し、その後100gのシリカゲル60上に吸引で濾過した。この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した。70gの白色の針状物(9)が得られた(収率=49%)。
【0114】
(実施例3B:(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−酢酸[Pluriol A350E]エステル(34)の合成)
【化28】

【0115】
この全反応時間の期間中は中に窒素を浸漬により通した。61.4g(192mmol)のPluriol A350E(26)及び50.0g(175mmol)の(9)をRTにある反応容器の中に導入し、この混合物をこの後155℃で30分間撹拌した。0.58g(2mmol)のチタン(IV)イソプロポキシドをその後加え、この反応混合物を155℃で18時間撹拌した。生成したメタノールを留去させた。この混合物を200mlの塩化メチレンに取り込み、350mg(3mmol)のリン酸85%を加え、この溶液を20℃で24時間静置させたままにしておいた。その生成物を1kgのシリカゲル60でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。このためには、その溶液をこのフラッシュカラムに導入し、そのカラムから、その遊離体(9)を塩化メチレンで、その後その生成物(34)をメタノールで溶離した。このメタノール溶液をロータリーエバポレーターで乾固まで濃縮した。99gのオレンジ色の粘稠な液体(34)が得られた(収率=99%)。
【0116】
(実施例3C:(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−酢酸[Pluriol A500E]エステル(35)の合成)
【化29】

【0117】
この全反応時間の期間中は中に窒素を浸漬により通した。44.4g(96.0mmol)のPluriol A500E(28)及び25.0g(87.3mmol)の(9)を混合し、その後この混合物を155℃で30分間撹拌した。0.29g(1mmol)のチタン(IV)イソプロポキシドを加えた後、この反応混合物を155℃で20時間撹拌した。生成したメタノールを留去させた。この混合物を100mlの塩化メチレンに取り込んだ。その生成物を435gのシリカゲル60でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。このためには、その溶液をこのフラッシュカラムに導入し、そのカラムから、その遊離体(9)を塩化メチレンで、その後その生成物(35)をメタノールで溶離した。このメタノール溶液をロータリーエバポレーターで乾固まで濃縮した。54gのオレンジ色の粘稠な液体(35)が得られた(収率=86%)。
【0118】
(実施例4A:2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボキシ−エチル)−1,3,5−トリアジン(12)の合成)
【化30】

【0119】
30.0g(0.163mol)のシアヌル酸クロリド(10)及び33.7g(0.244mol)の炭酸カリウムをRTの窒素雰囲気下にある1lの1,4−ジオキサンに先ず導入した。この混合物に82.3g(0.488mol)のエチル4−アミノベンゾアート98%(11)を少しずつ加えた。この混合物を還流下に1時間撹拌した。この混合物を吸引で濾過し、その吸引濾過ケイクを400mlの80℃熱水及び250mlの冷水で洗浄した。真空乾燥キャビネット中で乾燥させた後、87gの白色の固形物(12)が得られた(収率=94%)。
【0120】
(実施例4B:2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボキシ−[Pluriol A500E]−イル)−1,3,5−トリアジン(36)の合成)
【化31】

【0121】
この全反応時間の期間中は中に窒素を浸漬により通した。53.7g(116mmol)のPluriol A500E(28)及び20.0g(35.1mmol)の(12)を混合し、その後この混合物を150℃で30分間撹拌した。0.85g(3mmol)のチタン(IV)イソプロポキシドを加えた後、この反応混合物を155℃で17時間撹拌した。生成したメタノールを留去させた。63gのオレンジ色の粘稠な液体(36)が得られた(収率=99%)。
【0122】
(実施例5A:Uvinul 3035−Lupasol FG−アミド(38)の合成)
【化32】

【0123】
この全反応時間の期間中は中に窒素を浸漬により通した。17g(61.6mmol;5mol%)のUvinul 3035(4)及び75g(1.23mol)のLupasol FG(37)(アミン数=16.34mmol/g)をRTで混合し、この混合物を110℃で2時間撹拌した。生成したメタノールを留去させた。82gのアンバー色をした粘稠な液体(38)が得られた。
【0124】
(実施例5B:Uvinul 3035−Lupasol FG−アミド(39)の合成)
【化33】

【0125】
この全反応時間の期間中は中に窒素を浸漬により通した。34g(123mmol;10mol%)のUvinul 3035(4)及び75g(1,23mol)のLupasol FG(37)(AN=16.34mmol/g)を20℃で混合し、この混合物を110℃で2時間撹拌した。生成したメタノールを留去させた。84gのアンバー色をした粘稠な液体(39)が得られた。
【0126】
(実施例6A:3,6,9,12−テトラオキサトリデシルケイ皮酸アミド(42)の合成)
【化34】

【0127】
37.9g(182mmol)の(41)及び9.5g(90mmol)の炭酸ナトリウムを0〜5℃にある50mlの塩化メチレンに先ず導入した。この混合物に30g(180mmol)の(40)の50ml塩化メチレン中溶液を1時間の間に滴下で加えた。この混合物を20℃で一晩撹拌した。この懸濁液にさらなる100mlの塩化メチレンを加え、この混合物をこの後各回200mlの塩酸飽和塩化ナトリウム溶液で、3回、震盪することによって抽出した。この有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後濾過し、50℃のロータリーエバポレーターで濃縮した。60gのアンバー色をした液体(42)が得られた(収率=98%)。
【0128】
(実施例6B:ケイ皮酸3,6,9,12−テトラオキサトリデシルエステル(44)の合成)
【化35】

【0129】
36.8g(180mmol)の(43)及び18.2g(180mmol)のトリエチルアミンを20℃にある50mlの塩化メチレンに先ず導入した。この混合物に30g(180mmol)の(40)の50ml塩化メチレン中溶液をRTで2時間の間に滴下で加えた。この混合物を20℃で一晩撹拌した。この懸濁液を各回75mlの飽和塩化ナトリウム溶液で、3回、震盪することによって抽出した。この有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後濾過して、50℃のロータリーエバポレーターで濃縮した。55gの黄色っぽい一部結晶質の液体(44)が得られた(収率=89%)。
【0130】
(実施例7:前記各安定剤の作用の調査研究)
100g/lのメタフルミゾン及び40g/lのUV吸収剤とを含んでいる調製物を2つの異なる方法、すなわち
a)実施例9にあるように、湿式粉砕し、続いてUV吸収剤を添加する;
b)実施例8にあるように、UV吸収剤とともに湿式粉砕する;
方法によって調製した。
【0131】
このようにして調製した混合物の約20mgを顕微鏡スライドに塗布し、そのままの状態で30分間乾燥させて、光に連続的に7日間曝露した(Atlas Suntest CRTプラス、「Outdoor」装置、光への曝露は夏の真昼の通常太陽光と同じスペクトル及び強度への曝露に対応している)。その曝露時間の後、そのサンプルをジメチルスルホキシドに溶解させた。メタフルミゾンのその残留含有量を定量HPLC(カラムBEH C18 1.7μm 2.1×100;アセトニトリル/0.1%HPOが5/95→95/5に増大する勾配で溶離)により測定した。比較のため、一連の各曝露においては、UV吸収剤なしのサンプル(参照)も流した。
【0132】
評価:前記そのままの状態で乾燥させた直後の、光への曝露なしの2つのサンプルを、改めて、対照サンプルとして溶解させ、そしてそのメタフルミゾンの含有量を測定した。この得られた平均を100%と設定し、その残っているサンプルについては、これに対して標準化した。その結果は表1にまとめられている。
【表1】

【0133】
このデータは、本発明によるUV吸収剤のおかげで、UV吸収剤なしに比較して、殺害虫剤の分解がより少ないことを示している。さらに、本発明によるUV吸収剤が存在していた場合は、Uvinul(登録商標)P25が存在していた場合に比較して、殺害虫剤の分解がより少ないことも示している。
【0134】
(実施例8:懸濁製剤の安定性−UV吸収剤とともに湿式粉砕)
表2に記載されている各成分+105gのメタフルミゾン(95重量%純度)+70gの1,2−プロピレングリコールの各懸濁製剤A1〜A6及びC1を湿式粉砕(1h、3,000rpmで、Dispermat)により調製した。その固形物粒子の少なくとも90%が5μm未満の粒子サイズを有し、D(4,3)が1.0μmである、均質で安定な懸濁液が得られた。各場合、20gのWettol D1、5.0gの消泡剤、3.0gのキサンタン及び2.0gの殺菌剤がこれらの各懸濁液に加えられ、これが、水で、1.0lに作り上げられた。54℃で2週間保存した後、粒子サイズ及び粒子分布における変化は見出されなかった。
【0135】
全実験からのサンプルを、各場合、CIPAC water D(342ppmのCa/Mgイオンを含んでいる)で0.1及び1重量%濃度懸濁液に希釈した。6時間の保存の後、沈殿物は、実質的に見出されなかった。
【0136】
この実験は、本発明によるUV吸収剤の添加は、UV吸収剤なしの懸濁製剤(SC)との対比で、SCの安定性を低下させないことを示している。A4及びA5の安定性と比較してのA1及びA2の安定性は、このSC製剤は、より少ない分散剤、すなわち、222g/lに代えて111g/lでも、うまくいくことを実証している。
【表2】

【0137】
(実施例9:懸濁製剤の安定性−続いてUV吸収剤を添加)
105gのメタフルミゾン(95重量%純度)+70gの1,2−プロピレングリコール+111gのPluronic 10500の懸濁製剤A7〜A17を湿式粉砕(1h、3,000rpmで、Dispermat)により調製した。その固形物粒子の少なくとも90%が5μm未満の粒子サイズを有し、D(4,3)が1.0μmである、均質で安定な懸濁液が得られた。各場合、40gのUV吸収剤(表3を参照;但し実験C1は除く)、20gのWettol D1、5.0gの消泡剤、3.0gのキサンタン及び2.0gの殺菌剤がこれらの各懸濁液に加えられ、これが、水で、1.0lに作り上げられた。54℃で2週間保存した後、粒子サイズ及び粒子分布における変化は、見出されなかった。
【0138】
全実験からのサンプルを、各場合、CIPAC water D(342ppmのCa/Mgイオンを含んでいる)で0.1及び1重量%濃度の活性化合物の懸濁液に希釈した。6時間の保存の後、活性化合物の沈殿物は、実質的に見出されなかった。
【表3】

【0139】
この実験は、本発明によるUV吸収剤の添加は、懸濁製剤の安定性を低下させないことを示している。実施例8と同じように、その高い安定性が、ここでも、低い分散剤の濃度(111g/l)で達成されていた。
【0140】
(実施例10:懸濁製剤の安定性−続いてUV吸収剤を添加)
Pluronic 10500の濃度が222g/lであったこと、及びUV吸収剤の濃度が80g/lであったこと以外は、実施例9と同じようにして、懸濁製剤A21〜A31を調製した(表4)。54℃で2週間の保存の後、粒子サイズ及び粒子分布の変化は見出されなかった。
【0141】
全実験からのサンプルを、各場合、CIPAC water D(342ppmのCa/Mgイオンを含んでいる)で0.1及び1重量%濃度の懸濁液に希釈した。6時間の保存の後、沈殿物は、実質的に見出されなかった。
【表4】

【0142】
この実験は、本発明によるUV吸収剤の添加は、懸濁製剤の安定性を低下させないことを示している。
【0143】
(実施例11:アルファ−シペルメトリンの安定性の試験)
溶液20mgのアルファ−シペルメトリン+5又は10mg(すなわち、活性化合物に対して、それぞれ、25又は50重量%)のUV吸収剤/アセトンを調製した。2〜3滴をガラスプレート上に置き、1時間乾燥させ、その後波長300〜800nmのUV/VIS光で24時間照射した。この照射された混合物をテトラヒドロフランに溶解させ、アルファ−シペルメトリンの含有量(すなわち回収量)をHPLCクロマトグラフィーにより測定した。暗所に24時間保存された同じサンプルを比較として調査した。この実験は、UV吸収剤が、アルファ−シペルメトリンのようなUV感受性活性化合物の安定性を有意に高めることを示している(表5)。
【表5】

【0144】
(実施例12:メタフルミゾンでの生物試験)
生育チャンバー中で植物体(リマインゲンマメ[lima beans]、ファセオルス・ルナツス[Phaseolus lunatus])をUV光で絶え間なく1日当たり24時間26℃で照射した。そのUV範囲300〜400nmのその照射強度を測定したところ、39watt/mであった。
【0145】
この植物体を、二葉期に、実施例9〜11の懸濁製剤(SC)A7〜A31又はC1が含まれている水性スプレー液で、メタフルミゾン10g/haの施用量で処理した。処理後日数[days after treatment](DAT)7及び10に、残っていた活性化合物活性をスポドプテラ・エリダニア[Spodoptera eridania](サザンアワヨトウ[southern armyworm])の幼虫のバイオアッセイで測定した。このためには、その幼虫をその植物体と接触させ、3日後に死亡率を測定した(表6)。
【0146】
この実験は、殺昆虫剤が、UV光に対して、UV吸収剤なしの製剤でよりも、試験したUV吸収剤が含まれている製剤でより安定であることを実証している。
【表6】

【0147】
(実施例13:表面張力の測定)
UV吸収剤の濃度が約1mg/l〜5,000mg/lであるUV吸収剤の25℃における表面張力(ST)を測定した。ちなみに、水対空気のSTは72.4mN/mであり、市販界面活性剤のSTは約30〜35mN/mである。その結果は表7にまとめられているが、この表は、本発明によるUV吸収剤が表面張力を有意に下げ得ること、すなわち、それらは界面活性であることを示している。
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺害虫剤及びUV吸収剤を含んでいる農薬組成物であって、そのUV吸収剤が、次の式I
【化1】

(式中、
AO:C〜Cアルコキシ又はCHCHNH;
n:3〜50;
m:UVがA又はBを表す場合は1、UVがCを表す場合は3;
X:NH又はO;
:H又はC〜C24アルキル;
UV:次の各式A〜C
【化2】

[式中、
:H、CN又はCO−(C〜C16アルキル);
:H、C〜Cアルキル、フェニル、又は、C〜C18アルコキシによって置換されているフェニル;
:H又はC〜C18アルコキシ];
【化3】

[式中、
:H、C〜C18アルキル、OH又はC〜C18アルコキシ;
:C〜Cアルキレン];又は
【化4】

[式中、
:H又はC〜C12アルキル];
から選択される基であり、
これらは、Iのカルボニル基に#を介して結合されている)
に対応している、前記農薬組成物。
【請求項2】
UVが、式B又はCから選択される基を表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
殺害虫剤がUV感受性である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
殺害虫剤対UV吸収剤の重量比が30:1〜1:2である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
殺害虫剤がピレスロイドである、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
請求項1記載の式Iで表されるUV吸収剤であって、R及びRのいずれもがHを表す場合にはAOがCHCHNHを表す、前記UV吸収剤。
【請求項7】
UVが、式B及びCの各構造から選択されるフリーラジカルを表す、請求項6に記載のUV吸収剤。
【請求項8】
AOが、CHCHNHを表す、請求項6又は7に記載のUV吸収剤。
【請求項9】
請求項6〜8に記載のUV吸収剤の農薬組成物における使用。
【請求項10】
植物病原性菌及び/又は望ましくない植物体の生長及び/又は望ましくない昆虫もしくはダニの寄生を防除する、及び/又は植物体の生長を調節する方法であって、請求項1〜5に記載の組成物を、特定の害虫、その生息地、又は特定の害虫から保護されるべき植物体、土壌に対し、及び/又は、望ましくない植物体及び/又は作物植物体及び/又はその生息地に対し作用させる、前記方法。

【公表番号】特表2012−510492(P2012−510492A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538971(P2011−538971)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066009
【国際公開番号】WO2010/063657
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】