説明

殺害虫混合物

本発明は、活性成分として1)以下[(i)クロランベン、ジカンバ及び2,3,6−TBAから選択される、安息香酸類;(ii)クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラム及びトリクロピルから選択される、ピリジンカルボン酸類;(iii)キンクロラク及びキンメラクから選択される、キノリンカルボン酸類;(iv)ベナゾリン−エチル]からなる群から選択される除草剤化合物(I);及び2) N−(3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:フルキサピロキサド)、N−[2−(4’−トリフルオロメチルチオ)−ビフェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチルピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:ビキサフェン)、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)−フェニル]−1,3−ジメチル−5−フルオロ−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:ペンフルフェン)、N−(2−ビシクロプロピル−2−イル−フェニル)−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:セダキサン)、N−[1,2,3,4−テトラヒドロ−9−(1−メチルエチル)−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:イソピラザム)、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)−3−チエニル]−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:ペンチオピラド)、ボスカリド、フルオピラム、フルトラニル、フラメトピル、メプロニル及びチフルザミドからなる群から選択される殺菌剤化合物(II);を相乗的な有効量で含んでいる、植物の健康を増進させるための農薬混合物に関する。本発明は、さらに、植物、植物が生育しているかもしくは生育することが期待されている所在場所、又は植物が生育してくる植物繁殖材料を、上記で定義した混合物の有効量で処理する、植物の健康を改善させるための方法に関する。さらに、本発明は、植物の健康を相乗的に増進させるための上記で定義した混合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分として、
1)以下:
(i)クロランベン、ジカンバ及び2,3,6−TBAから選択される、安息香酸類;
(ii)クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラム及びトリクロピルから選択される、ピリジンカルボン酸類;
(iii)キンクロラク及びキンメラクから選択される、キノリンカルボン酸類;
(iv)ベナゾリン−エチル;
からなる群から選択される除草剤化合物(I);
及び
2)N−(3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:フルキサピロキサド)、N−[2−(4’−トリフルオロメチルチオ)−ビフェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチルピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:ビキサフェン)、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)−フェニル]−1,3−ジメチル−5−フルオロ−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:ペンフルフェン)、N−(2−ビシクロプロピル−2−イル−フェニル)−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:セダキサン)、N−[1,2,3,4−テトラヒドロ−9−(1−メチルエチル)−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:イソピラザム)、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)−3−チエニル]−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:ペンチオピラド)、ボスカリド、フルオピラム、フルトラニル、フラメトピル、メプロニル及びチフルザミドからなる群から選択される殺菌剤化合物(II);
を相乗的な有効量で含んでいる、植物の健康を増進させるための農薬混合物に関する。
【0002】
本発明は、さらに、液体又は固体担体と上記で定義した混合物とを含んでいる、殺害虫組成物に関する。
【0003】
加えて、本発明は、植物、植物が生育しているかもしくは生育することが期待されている所在場所、又は植物が生育してくる植物繁殖材料を、上記で定義した混合物の有効量で処理する、植物の健康を改善するための方法に関する。特に、本発明は、植物、植物が生育しているかもしくは生育することが期待されている所在場所、又は植物が生育してくる植物繁殖材料を、上記で定義した混合物の有効量で処理する、植物の収穫量を増大させるための方法に関する。
【0004】
本発明は、さらに、植物の健康を相乗的に増進させるための、化合物(I)としての除草剤と上記で定義した殺菌剤化合物(II)とを含んでいる混合物の使用に関する。
【背景技術】
【0005】
化合物(I)及び(II)及びその殺害虫活性、並びにそれを製造するための方法は一般的に知られている。例えば、市販品として入手可能な化合物が、数ある刊行物の中でも、(非特許文献1)に見出され得る。
【0006】
適するジカンバの塩としては、その対イオンが農薬として許容されるカチオンであるような、ジカンバの塩が挙げられる。そのような適する塩の例は、ジカンバ−ナトリウム、ジカンバ−カリウム、ジカンバ−メチルアンモニウム、ジカンバ−ジメチルアンモニウム、ジカンバ−イソプロピルアンモニウム、ジカンバ−ジグリコラミン、ジカンバ−オラミン、ジカンバ−ジオラミン及びジカンバ−トロラミンである。適するエステルの例は、ジカンバ−メチル及びジカンバ−ブトイルである。適するクロピラリドの塩は、クロピラリドカリウム、クロピラリドオラミン及びクロピラリドトリイソプロパノールアンモニウムである。適するフルロキシピルのエステルの例は、フルロキシピル−メプチル及びフルロキシピル−2−ブトキシ−1−メチルエチルである。適するピクロラムの塩は、ピクロラムジメチルアンモニウム、ピクロラムカリウム、ピクロラムトリイソプロパノールアンモニウム、ピクロラムトリイソプロピルアンモニウム及びピクロラムトロラミンである。適するピクロラムのエステルは、ピクロラム−イソオクチルである。適するトリクロピルの塩は、トリクロピルトリエタルアンモニウムである。適するトリクロピルのエステルは、トリクロピル−ブトチルである。
【0007】
このアミド化合物(化合物II)は殺菌剤として知られている(例えば、特許文献1〜12を参照されたい)。これらの文献に記載されている方法によりこれらのアミドは調製され得る。
【0008】
(非特許文献2)は、雑草アメリカナズナ[sicklepod]を防除するための殺菌剤(例えばボスカリド)又は殺昆虫剤(例えばアセファート)と2,4−DBとを含有している殺害虫混合物の使用を開示している。
【0009】
(特許文献13)は、成長促進を必要としている植物の処理方法を開示しており、その方法は、そのような植物、そのような植物が生育してくる種子、又はそのような植物が生育している所在場所にアミド化合物の、植物非有害、植物成長促進有効量を適用することを含む。
【0010】
(特許文献14)は、少なくとも1種のカルボキサニリドと少なくとも1種のさらなる殺菌剤とを含んでいる、殺菌混合物、及び、そのような混合物を用いた有害菌の防除方法に関する。
【0011】
(特許文献15)は、少なくとも1種の植物品種の植物健康改善方法に関し、この方法は植物及び/又は植物が生育しているかもしくは生育するのが意図されている所在場所を、アミドとさらなる殺菌剤又は殺昆虫剤又は除草剤(この除草剤はグリホサート、グリホシナート及びスルホニサートからなる群から選択される)とを含んでいる混合物で処理することを含む。
【0012】
(特許文献16)は、ある種のアミド化合物(特にはニコチンアミド化合物)を適用することで正の生長調節反応を引き起こすことができる植物処理方法を記載している。
【0013】
ジカンバを適用することによる植物健康の改善方法は、(特許文献17)に開示されている。
【0014】
これらの文献は、しかしながら、冒頭で定義した混合物の適用から来る植物の健康の相乗的な増進についてはいずれも開示していない。
【0015】
作物保護では、植物の健康を改善する組成物に対して継続したニーズがある。より健康な植物は、より良い作物収穫量及び/又はより良い植物又は作物の品質をもたらすことから望ましいものである。より健康な植物は、また、生物及び/又は非生物ストレスによりよく抵抗する。そして、生物ストレスに対する高い抵抗性は、当該事業者が、適用する殺害虫剤の量を減らすことを可能にし、結果としてそれぞれの殺害虫剤に対する抵抗性の発達をスローダウンさせることを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許出願公開第545099号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第589301号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第737682号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第824099号明細書
【特許文献5】国際公開第99/09013号
【特許文献6】国際公開第03/010149号
【特許文献7】国際公開第03/070705号
【特許文献8】国際公開第03/074491号
【特許文献9】国際公開第04/005242号
【特許文献10】国際公開第04/035589号
【特許文献11】国際公開第04/067515号
【特許文献12】国際公開第06/087343号
【特許文献13】国際公開第05/018324号
【特許文献14】国際公開第08/095890号
【特許文献15】国際公開第09/098218号
【特許文献16】国際公開第09/118161号
【特許文献17】米国特許出願公開第2009/0105077号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】The Pesticide Manual, 14th Edition, British Crop Protection Council (2006)
【非特許文献2】Lancaster et al. (Sicklepod (Senna obtusifolia) control and seed production after 2,4-DB applied alone and with fungicides or insecticides. Weed Technology 2005. Volume 19: 451 - 455)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の目的は、先に概説した課題を解決する、そして、特には植物の健康(特には植物の収穫量)を改善するであろう農薬混合物を含んでいる殺害虫組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者は、これらの目的が、冒頭で定義した活性成分を含んでいる混合物によって一部又は全部が達成されることを見出した。本発明者は、化合物(I)と化合物(II)との同時の(すなわち一緒の又は別々の)適用又は化合物(I)と化合物(II)との連続的な適用が、個々の化合物により可能となる植物健康効果に比較して植物健康効果の増強をもたらすこと、特には個々の化合物により可能となる収穫量効果に比較して収穫量効果の増強をもたらすことを見出したのである(相乗的効果)。
【0020】
本発明の方法で用いられ得る二成分混合物は、以下の表1に列挙されている。表中の化合物(I)は、
(i)クロランベン(I−1)、ジカンバ(I−2)及び2,3,6−TBA(I−3)から選択される安息香酸類;
(ii)クロピラリド(I−4)、フルロキシピル(I−5)、ピクロラム(I−6)及びトリクロピル(I−7)から選択されるピリジンカルボン酸類;
(iii)キンクロラク(I−8)及びキンメラク(I−9)から選択されるキノリンカルボン酸類;
(iv)ベナゾリン−エチル(I−10);
からなる群から選択され、
表中の化合物(II)は、N−(3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:フルキサピロキサド)(II−1)、N−[2−(4’−トリフルオロメチルチオ)−ビフェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(II−2)、N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチルピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:ビキサフェン)(II−3)、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)−フェニル]−1,3−ジメチル−5−フルオロ−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:ペンフルフェン)(II−4)、N−(2−ビシクロプロピル−2−イル−フェニル)−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:セダキサン)(II−5)、N−[1,2,3,4−テトラヒドロ−9−(1−メチルエチル)−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:イソピラザム)(II−6)、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)−3−チエニル]−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:ペンチオピラド)(II−7)、ボスカリド(II−8)、フルオピラム(II−9)、フルトラニル(II−10)、フラメトピル(II−11)、メプロニル(II−12)及びチフルザミド(II−13)からなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、この混合物は、ジカンバ、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラム、トリクロピル、キンクロラク及びキンメラクからなる群から選択される除草剤化合物(I)を含んでいる。本発明のさらにより好ましい実施形態では、この混合物は、ジカンバ、キンクロラク及びキンメラクからなる群から選択される除草剤化合物(I)を含んでいる。最も好ましい化合物(I)は、ジカンバである。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、この混合物は、フルキサピロキサド、ビキサフェン、ボスカリド、フルオピラム、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド及びセダキサンからなる群から選択される殺菌剤化合物(II)を含んでいる。本発明のさらにより好ましい実施形態では、この混合物は、フルキサピロキサド、ビキサフェン、ボスカリド、フルオピラム、イソピラザム及びペンチオピラドからなる群から選択される殺菌剤化合物(II)を含んでいる。最も好ましい実施形態では、化合物(II)は、フルキサピロキサドである。もう一つの最も好ましい実施形態では、化合物(II)は、ボスカリドである。
【0023】
本発明の方法において、その意図される使用に関しては、一つの化合物(I)と一つの化合物(II)とを含んでいる以下の表1に列挙されている二成分混合物が本発明の好ましい実施形態である。
【表1】


【0024】
表1の二成分混合物の中では、以下の混合物:M−2、M−4、M−5、M−6、M−7、M−8、M−9、M−22、M−24、M−25、M−26、M−27、M−28、M−29、M−32、M−34、M−35、M−36、M−37、M−38、M−39、M−42、M−44、M−45、M−46、M−47、M−48、M−49、M−52、M−54、M−55、M−56、M−57、M−58、M−59、M−62、M−64、M−65、M−66、M−67、M−68、M−69、M−72、M−74、M−75、M−76、M−77、M−78、M−79、M−82、M−84、M−85、M−86、M−87、M−88及びM−89が好ましい。
【0025】
このサブセットの中では、以下の混合物:M−2、M−4、M−5、M−6、M−7、M−8、M−9、M−22、M−28、M−29、M−32、M−38、M−39、M−42、M−48、M−49、M−52、M−58、M−59、M−62、M−68、M−69、M−72、M−74、M−75、M−76、M−77、M−78、M−79、M−82、M−88及びM−89が特に好ましい。
【0026】
以下の混合物:M−2、M−8、M−9、M−72、M−78及びM−79は、さらにより好ましい。最も好ましい混合物は、M−2及びM−72である。
【0027】
本発明による方法の範囲内で用いるのに好ましいのは、特には、以下の混合物:M−2、M−4、M−5、M−6、M−7、M−8、M−9、M−22、M−24、M−25、M−26、M−27、M−28、M−29、M−32、M−34、M−35、M−36、M−37、M−38、M−39、M−42、M−44、M−45、M−46、M−47、M−48、M−49、M−52、M−54、M−55、M−56、M−57、M−58、M−59、M−62、M−64、M−65、M−66、M−67、M−68、M−69、M−72、M−74、M−75、M−76、M−77、M−78、M−79、M−82、M−84、M−85、M−86、M−87、M−88及びM−89である。本発明による方法の範囲内で用いるのに特に好ましいのは、特には、以下の混合物:M−2、M−4、M−5、M−6、M−7、M−8、M−9、M−22、M−28、M−29、M−32、M−38、M−39、M−42、M−48、M−49、M−52、M−58、M−59、M−62、M−68、M−69、M−72、M−74、M−75、M−76、M−77、M−78、M−79、M−82、M−88及びM−89である。本発明による方法の範囲内で用いるのにさらにより好ましいのは、特には、以下の混合物:M−2、M−8、M−9、M−72、M−78である。本発明による方法の範囲内で用いるのに最も好ましいのは、M−2及びM−72である。
【0028】
本発明の混合物は、殺昆虫剤、殺菌剤、除草剤及び植物生長調節剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる化合物(III)をさらに含有し得る。
【0029】
上記の混合物はいずれも本発明の実施形態でもある。
【0030】
化合物(I)からなる群から選択される化合物と化合物(II)からなる群から選択される化合物とを含んでいる好ましい混合物、その好ましい使用及びその使用方法に関しての見解は、それぞれ、それ自体又は好ましくは互いとの組み合わせで理解されるべきである。
【0031】
本発明の用語での「混合物」は、一つの化合物(I)と一つの化合物(II)とを含んでいる物理的混合物に限定されるものでなく、一つの化合物(I)と一つの化合物(II)とのあらゆる調製物形態のことを指し、その使用は時間に関連したもの及び所在場所に関連したものである。
【0032】
本発明の一つの実施形態での「混合物」は、一つの化合物(I)と一つの化合物(II)とを含んでいる二成分混合物のことを指す。
【0033】
本発明のもう一つの実施形態では、「混合物」は、別々に製剤化されるが同じ植物、植物珠芽又は所在場所に時間的な関係で(すなわち同時に又は連続的に)適用される(この連続的な適用は各化合物の一体的な作用を可能にする時間間隔を有している)一つの化合物(I)と一つの化合物(II)のことを指す。
【0034】
本発明のもう一つの実施形態では、一つの化合物(I)と一つの化合物(II)とは、植物珠芽に同時に(混合物として又は別々に)又は続いて適用される。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、一つの化合物(I)と一つの化合物(II)とは、混合物として又は別々に、葉面スプレー処理により同時に適用される。
【0036】
さらに、キットの一部、つまり二成分混合物の一部のような本発明による混合物の個々の化合物は、ユーザー自身によってスプレータンク中でミックスされ得るし、適切であれば、さらなる補助剤が加えられ得る(タンクミックス)。
【0037】
本発明に従って処理される植物は、それぞれが天然又は遺伝子組み換え形態にある、農業植物、林業植物、観賞植物及び園芸植物からなる群から選択される(より好ましくは農業植物)。
【0038】
一つの実施形態では、この植物の健康増進のための方法は、植物珠芽、好ましくは遺伝子導入又は非遺伝子導入植物からなる群から選択される農業植物、園芸植物、観賞植物又は林業植物の種子を、本発明による混合物で処理することを含む。
【0039】
結果的に、本発明の方法に従って処理される植物は、それぞれが天然又は遺伝子組み換え形態にある、農業植物、林業植物及び園芸植物からなる群から選択される。
【0040】
用語「植物」は、経済的価値のある植物及び/又は人が栽培した植物と理解される用語「作物」の同意語である。本明細書で使用される用語「植物」には、発芽する種子、芽生える苗木、葉状栽培植物並びにすべての地下部分(例えば根)及び地上部分も含めた土着森林植物等の植物のあらゆる部分が包含される。
【0041】
一つの実施形態では、本発明の方法に従って処理される植物は、農業植物である。「農業植物」は、その一部(例えば種子)又は全部が収穫される、又は、商業規模で耕作される植物、つまり飼料、食料、繊維(例えば、ワタ、アマ)、燃料(例えば、木材、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオマス)や他の化学物質化合物の重要な源となる植物である。好ましい農業植物は、例えば、禾穀類(例えばコムギ、ライムギ、オオムギ、ライコムギ、オートムギ、ソルガム又はイネ)、ビート(例えばシュガービートや飼料ビート);仁果類、核果類又はソフトフルーツ(例えばリンゴ、ナシ、プラム、モモ、アーモンド、サクランボ、イチゴ、ラスベリー、ブラックベリーやグズベリー)等の果樹;ヒラマメ、インゲンマメ、アルファルファやダイズ等の、マメ科植物;アブラナ、ナタネ、キャノーラ、リンシード、マスタード、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、カカオビーンズ、ひまし油の木、油ヤシ、クルミやダイズ等の、油植物;スクオッシュ、キュウリやメロン等の、ウリ科植物;ワタ、アマ、アサやジュート等の、繊維植物;オレンジ、レモン、グレープフルーツやミカン等の柑橘類果樹;ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、ウリやパプリカ等の、野菜植物;アボカド、シナモンやショウノウ等の、クスノキ科植物;トウモロコシ、ダイズ、アブラナ、キャノーラ、サトウキビやアブラヤシ等の、エネルギー・原材料植物;タバコ;クルミ;コーヒーの木;チャ;バナナ;匍匐植物(テーブルワインブドウの木やグレープジュースブドウ匍匐植物);ホップ;シバ;天然ゴムの木である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、農業植物は、ジャガイモ、シュガービート等の農場作物、コムギ、ライムギ、オオムギ、オートムギ、ソルガム、イネ、トウモロコシ、ワタ、アブラナ、ナタネ及びキャノーラ等の禾穀類植物、ダイズ、インゲンマメ及びフィールドビーンズ等のマメ科植物;ヒマワリ;サトウキビ;キュウリ、トマト、タマネギ、セイヨウネギ、レタス及びスクオッシュ等の野菜植物である。
【0043】
本発明のもう一つの好ましい実施形態では、処理される植物は、ダイズ、ヒマワリ、トウモロコシ、ワタ、キャノーラ、サトウキビ、シュガービート、仁果類、オオムギ、オートムギ、ソルガム、イネ及びコムギから選択される。
【0044】
結果的に、好ましい実施形態では、本発明の方法に従って処理される植物は、ダイズ、ヒマワリ、トウモロコシ、ワタ、キャノーラ、サトウキビ、シュガービート、仁果類、オオムギ、オートムギ、ソルガム、イネ及びコムギから選択される。
【0045】
本発明の特に好ましい実施形態では、処理される植物は、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ダイズ、イネ、キャノーラ及びヒマワリから選択される。最も好ましい植物はダイズである。
【0046】
一つの実施形態では、本発明の方法に従って処理される植物は園芸植物である。用語「園芸植物」は、園芸(観葉植物、野菜植物及び/又は果実植物の栽培)で広く用いられている植物と理解される。観葉植物の例は、シバ、ゼラニウム、ペラルゴニア、ペチュニア、ベゴニア及びフクシアである。野菜植物の例は、ジャガイモ、トマト、ピーマン、ウリ、キュウリ、メロン、スイカ、ニンニク、タマネギ、ニンジン、キャベツ、インゲンマメ、エンドウマメ及びレタスであり、より好ましくはトマト、タマネギ、エンドウマメ及びレタスである。果樹の例は、リンゴ、ナシ、サクラ、イチゴ、ミカン、モモ、アプリコット及びブルーベリーである。
【0047】
一つの実施形態では、本発明の方法に従って処理される植物は観葉植物である。「観葉植物」は、ガーデニングで(例えば公園で、ガーデンで、バルコニーで)広く用いられている植物である。例えば、シバ、ゼラニウム、ペラルゴニア、ペチュニア、ベゴニア及びフクシアである。
【0048】
一つの実施形態では、本発明の方法に従って処理される植物は林業植物である。用語「林業植物」は、木、より具体的には植林や産業植林で用いられている木と理解される。産業植林は、一般的には、木材、パルプ、紙、ゴムの木、クリスマスツリーや、ガーデニング目的の若木等の、森林産物の商業生産である。林業植物の例は、マツ(特にはピヌス種[Pinus spec.])、モミやトウヒのような、針葉樹、ユーカリ、チーク、ゴムの木、アブラヤシのような熱帯樹、ヤナギ(サリックス[Salix])(特にはサリックス種[Salix spec.])、ポプラ(ハコヤナギ)(特にはポプルス種[Populus spec.])、ブナノキ(特にはファグス種[Fagus spec.])、シラカバ、アブラヤシ及びオークである。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、処理される植物は、除草剤耐性植物である。除草剤耐性植物の中では、ジカンバに対して耐性を有する植物が特に好ましい。
【0050】
用語「所在場所」は、植物が生育しているか又は生育することが意図されているあらゆるタイプの環境、土壌、地面又は原材料、及び、植物及び/又はその珠芽の成長と発達に影響を及ぼすその環境条件(例えば温度、水の利用性、照射)と理解される。
【0051】
本発明の用語での「混合物」は、二つの活性成分の組み合わせを意味する。この場合、混合物は、一つの化合物(I)と一つの化合物(II)とを含んでいる。
【0052】
用語「遺伝子組み換え植物」は、自然状況下で交雑育種、突然変異あるいは自然組み換えによっては容易に得ることができないように組み換えDNA手法を用いることによって遺伝物質が改変されている、植物と理解される。
【0053】
用語「植物繁殖材料」は、植物の繁殖に用いられ得る、植物のあらゆる繁殖部分、例えば種子並びにあらゆる植物栄養成長期材料、例えば切り枝や塊茎(例えばジャガイモ)を意味するものと理解される。これには、種子、穀粒、根、果実、塊茎、球根、根茎、切り枝、胞子、側枝、枝、新芽や、発芽後又は土壌から出芽後移植される苗木や若木、分裂組織、植物単・多細胞、及び完全植物を得ることができる他の植物組織を含めた他のあらゆる植物部分が包含される。
【0054】
用語「珠芽」又は「植物珠芽」は、新生植物を生じさせる能力を有するあらゆる構造体(例えば、種子、胞子や、親から切り離されると独立に成長することができる栄養成長期本体の一部分)を意味するものと理解される。好ましい実施形態では、用語「珠芽」又は「植物珠芽」は種子を表す。
【0055】
用語「相乗的な有効量で」中の用語「相乗的」は、一つの化合物(I)と一つの化合物(II)との同時(すなわち一緒又は別々による)適用(又は一つの化合物(I)と一つの化合物(II)との連続的な適用)の完全に相加的な植物健康増進効果が、本発明による混合物の適用によって超されることを意味する。
【0056】
用語「相乗的な有効量で」は、本発明に従って適用される混合物の量が植物の健康を相乗的に増進させるのに適していることを意味する。
【0057】
用語「植物の健康」又は「植物健康」は、収穫量、植物活力、品質並びに非生物及び/又は生物ストレスに対する耐性等のさまざまな側面によって単独又は互いとの組み合わせで決定される植物及び/又はその産物の状態と定義される。
【0058】
以下に特定される植物健康状態の指標は独立したものであり得るしあるいは互いから生じるものでもあり得る。それぞれは、本発明の個々の実施形態とみなされる。
【0059】
植物状態の一つの指標は収穫量である。「収穫量」は、穀粒、本来の意味での果実、野菜、堅果、穀粒、種子、木材(例えば林業植物の場合)あるいはさらに花(例えばガーデニング用植物、観葉植物の場合)等の、植物によって産生される経済的価値のあるあらゆる植物産物と理解される。植物産物は、追加的に、収穫後さらに利用及び/又は加工され得る。
【0060】
本発明によれば、植物(特には農業、林業及び/又は園芸植物)の「収穫量増大」は、植物の産物の収穫量が、同じ条件下であるが本発明による混合物の適用なしで産生された同じ植物の産物の収穫量よりも測定可能な量だけ増大されていることを意味する。
【0061】
収穫量増大は、中でも、以下の植物改善効果:
・ 植物重量増大
・ 植物背丈増大
・ バイオマス増大(より高い全体生重量(FW))
・ 植物当たりの花の数の増大
・ より高い穀粒収穫量
・ より多くの若芽
・ より大きい葉
・ 成長増大
・ タンパク質含有量増大
・ 油含有量増大
・ デンプン含有量増大
・ 色素含有量増大
によって特徴付けされ得る。
【0062】
本発明によれば、収穫量は、少なくとも4%、好ましくは5〜10%、より好ましくは10〜20%、あるいはさらに20〜30%増大する。一般的には、収穫量増大は、さらにより高いものであり得る。
【0063】
好ましい実施形態では、本発明による混合物は、植物の成長を相乗的に増大させるために用いられる。
【0064】
もう一つの好ましい実施形態では、本発明による混合物は、植物のバイオマスを相乗的に増大させるために用いられる。
【0065】
植物状態のもう一つの指標は植物活力である。植物活力は、全体的な視覚外観等のいくつかの側面で明瞭に表れてくる。
【0066】
植物活力の改善は、中でも、植物の以下の特性改善:
・ 植物成長力の改善
・ 植物成長の改善
・ 植物発達の改善
・ 視覚外観の改善
・ 植物樹立の改善(より小さい植物節間隔/倒伏)
・ 発芽の改善
・ 根成長の改善及び/又はより発達した根系
・ 着生(特に根粒菌着生)の向上
・ より大きい葉身
・ より大きいサイズ
・ 植物重量の増大
・ 植物背丈の増大
・ 若芽の数の増大
・ 植物当たりの花の数の増大
・ 芽成長の増大
・ 痩せた土壌又は不利な気候で生育した場合の収穫量の増大
・ 光合成活動の向上
・ 色素含有量(例えばクロロフィル含有量)の向上
・ より早い開花
・ より早い結実
・ より早くまた改善された発芽
・ より早い穀粒成熟
・ 自己防衛機序の改善
・ 菌、細菌、ウイルス、昆虫、熱ストレス、冷ストレス、乾燥ストレス、UVストレス及び/又は塩ストレス等の生物及び非生物ストレス因子に対する植物のストレス耐性及び抵抗の改善
・ より少ない非繁殖性若芽
・ より少ない枯れた根出葉
・ より少ない必要投入量(例えば肥料や水)
・ より緑色の葉
・ 短縮された栄養成長期間内での完全成熟
・ より少ない必要肥料
・ より少ない必要種子
・ より容易な収穫
・ より早くまたより多くの均一な熟成
・ より長い貯蔵寿命
・ より長い円錐花序
・ 老化の遅延
・ より強く及び/又はより繁殖性の若芽
・ より良い成分抽出性
・ (種子繁殖用に次の季節で播種される)種子の品質改善
・ エチレン産生の低下及び/又は植物によるその受容の阻止
によって特徴付けされ得る。
【0067】
本発明による植物活力改善は、特に、上記で言及した植物の各特徴のいずれか一つ又はそのいくつかあるいはそのすべての改善が混合物つまり各活性成分の殺害虫活性とは無関係に改善されることを意味している。
【0068】
もう一つの好ましい実施形態では、本発明による混合物は、植物の植物樹立を相乗的に改善するために(より小さい節間隔/倒伏)用いられる。
【0069】
なお一つの好ましい実施形態では、本発明による混合物は、植物の根成長を相乗的に増進させるために用いられる。
【0070】
もう一つの好ましい実施形態では、本発明による混合物は、痩せた土壌又は不利な気候で生育させた場合の植物の収穫量を相乗的に増大させるために用いられる。
【0071】
植物の状態のもう一つの指標は、植物及び/又はその産物の「品質」である。本発明によれば、品質の向上は、ある植物の特性、例えばある成分含有量又は組成が、同じ条件下であるが本発明の混合物の適用なしに産生された植物の同じ成分よりも測定可能な又は認識可能な量だけ増大又は改善されていることを意味する。品質の向上は、中でも、植物又はその産物の以下の特性改善:
・ 栄養分含有量の増大
・ タンパク質含有量の増大
・ 脂肪酸含有量の増大
・ 代謝養分含有量の増大
・ カロテノイド含有量の増大
・ 糖含有量の増大
・ 必須アミノ酸量の増大
・ 栄養分組成の改善
・ タンパク質組成の改善
・ 脂肪酸組成の改善
・ 代謝養分組成の改善
・ カロテノイド組成の改善
・ 糖組成の改善
・ アミノ酸組成の改善
・ 果物の色の改善又は至適化
・ 葉色の改善
・ より高い貯蔵の容量
・ 収穫産物のより高い加工性
によって特徴付けられる。
【0072】
好ましい実施形態では、本発明による混合物は、植物の糖含有量を相乗的に増大させるために用いられる。
【0073】
もう一つの好ましい実施形態では、本発明による混合物は、植物収穫産物の加工性を相乗的に改善するために用いられる。
【0074】
植物状態のもう一つの指標は、生物及び/又は非生物ストレス因子に対する植物の耐性又は抵抗性である。生物及び非生物ストレス、特に長期間に亘ってのストレスは、植物に有害な影響を及ぼし得る。生物ストレスは生きている生物によって引き起こされ、非生物ストレスは例えば極端な環境によって引き起こされる。本発明によれば、「生物及び/又は非生物ストレス因子に対する耐性又は抵抗性の向上」は、(1.)生物及び/又は非生物ストレスによって引き起こされたある負の因子が、同じ条件だが本発明による混合物で処理することなしに曝露された植物と比較したときに測定可能な又は認識可能な量だけ減少していて、(2.)その負の影響が、そのストレス因子に対する本発明による混合物の直接作用によって(例えば微生物又は害虫を直接破壊するその殺菌又は殺昆虫作用によって)減少するのではなくてむしろそのようなストレス因子に対する植物自体の防衛反応を刺激することによって減少することを意味する。
【0075】
病原体や害虫等の生物ストレスによって引き起こされる負の因子は広く知られており、その範囲は穴の空いた葉から植物の完全破壊まで及ぶ。生物ストレスは、生きている生物、例えば:
・ 害虫(例えば昆虫、クモ形類動物、線虫)
・ 競合植物(例えば雑草)
・ 微生物、例えば植物病原性菌及び/又は細菌
・ ウイルス
によって引き起こされ得る。
【0076】
非生物ストレスによって引き起こされる負の因子もよく知られていて、多くの場合、植物活力(上記を参照されたい)の減少(例えば、ほんのいくつかの例を挙げると、穴の空いた葉、「葉焼け」、成長低下、より少ない花、より少ないバイオマス、より少ない作物収量、作物栄養価低下、より遅い作物成熟)として観察され得る。非生物ストレスは、例えば:
・ 熱又は冷温等の極端な温度(熱ストレス/冷ストレス)
・ 温度の激しい変化
・ 特定の季節にとって普通でない温度
・ 乾燥(乾燥ストレス)
・ 極端な湿気
・ 高い塩分濃度(塩ストレス)
・ 照射(例えばオゾン層減少からくるUV照射の増大による)
・ オゾン濃度の増大(オゾンストレス)
・ 有機汚染(例えば植物有害量の殺害虫剤による)
・ 無機汚染(例えば重金属汚染物質による)
によって引き起こされ得る。
【0077】
生物及び/又は非生物ストレス因子の結果として、ストレスを受けた植物、その作物及びその果実の量並びに質は低下する。質に関する限り、生殖発達が、普通、強い影響を受けて、その作物に結果として現れるが、このことは果実や種子にとっては深刻である。タンパク質の合成、蓄積及び貯蔵は温度によって最も影響を受け;成長はほとんどすべてのタイプのストレスによって遅延され;ポリサッカリド合成は、その構造及び貯蔵のいずれもが低下又は改変されるので、これらの影響は、その産物のバイオマス(収穫量)の低下、その栄養価の変化をもたらす。
【0078】
好ましい実施形態では、本発明による混合物は、植物の生物ストレス耐性を相乗的に増大させるのに用いられる。
【0079】
もう一つの好ましい実施形態では、本発明による混合物は、細菌に対する植物の耐性を相乗的に増大させるのに用いられる。
【0080】
もう一つの好ましい実施形態では、本発明による混合物は、ウイルスに対する植物の耐性を相乗的に増大させるのに用いられる。
【0081】
好ましい実施形態では、本発明による混合物は、植物の非生物ストレス耐性を相乗的に増大させるのに用いられる。
【0082】
なおさらに好ましい実施形態では、本発明による混合物は、植物の乾燥耐性を相乗的に増大させるのに用いられる。
【0083】
もう一つの好ましい実施形態では、本発明による混合物は、オゾンストレスに対する植物の耐性を相乗的に増大させるのに用いられる。
【0084】
特に種子の処理から得られる、有用な効果は、例えば、発芽と圃場定着の改善、より良い活力及び/又はより多くのホモゲン[homogen]圃場定着である。
【0085】
先に指摘したように、植物の健康状態についての先に特定した指標は相互依存的なものであって、互いからもたらされるものであると思われる。例えば、生物及び/又は非生物ストレスに対する抵抗の増大は、より良い植物活力(例えばより良いまたより多い作物)をもたらし、結果として収穫量の増大をもたらす。逆に、より発達した根系は、生物及び/又は非生物ストレスに対する対抗の増大をもたらし得る。しかしながら、これらの相互依存性及び相互作用性はすべてが分かっているわけでないしまた完全に理解されているものでもなく、それゆえに、各異なる指標は別々に説明される。
【0086】
一つの実施形態では、本発明による方法の範囲内でのこの混合物の使用は、植物又はその産物の収穫量の増大をもたらす。
【0087】
もう一つの実施形態では、本発明による方法の範囲内でのこの混合物の使用は、植物又はその産物の活力の増大をもたらす。
【0088】
もう一つの実施形態では、本発明による方法の範囲内でのこの混合物の使用は、植物又はその産物の質の向上をもたらす。
【0089】
今もう一つの実施形態では、本発明による方法の範囲内でのこの混合物の使用は、生物及び/又は非生物ストレスに対する植物又はその産物の耐性及び/又は抵抗性の増強をもたらす。
【0090】
本発明の一つの実施形態では、生物ストレス因子に対する耐性及び/又は抵抗性が増強される。つまり、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明に係る混合物は、病原体及び/又は害虫に対する植物の自然防衛反応を刺激するために用いられる。結果的に、植物は、植物病原性菌及び/又は細菌あるいはさらにウイルス等の悪玉微生物から及び/又は昆虫、クモ形類動物及び線虫等の害虫から保護され得る。
【0091】
本発明のもう一つの実施形態では、非生物ストレス因子に対する耐性及び/又は抵抗性が増強される。つまり、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明に係る混合物は、極端な温度(例えば熱や冷たさあるいは温度の激しい変化及び/又はその特定の季節にとって普通でない温度)、乾燥、極端な湿気、高い塩分濃度、照射(例えば減少するオゾン保護層からくるUV照射の増大)、オゾン濃度の増大、有機汚染(例えば植物有害量の殺害虫剤による)及び/又は無機汚染(例えば重金属汚染物質による)等の非生物ストレスに対する植物自体の防衛反応を刺激するために用いられる。
【0092】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による混合物は、植物重量を増大させるために、植物バイオマス(例えば全体生重量)を増大させるために、穀粒収穫量を増大させるために、若芽の数を増大させるために、植物成長力を改善するために、植物の発達を改善するために、視覚的な外観を改善するために、植物の樹立を改善するために(より小さい植物節間隔/倒伏)、根成長を増進させるか及び/又は根系の発達を改善するために、枝成長を増進させるために、植物当たりの花の数を増大させるために、痩せた土壌や不利な気候で生育させた場合の作物収穫量を増大させるために、光合成活動を増強させるために、色素含有量を向上させるために、開花を改善するために(より早い開花)、発芽を改善するために、菌、細菌、ウイルス、昆虫、熱ストレス、冷温ストレス、乾燥ストレス、UVストレス及び/又は塩ストレス等の生物及び非生物ストレス因子に対する植物のストレス耐性及び抵抗性を改善するために、非繁殖性若芽の数を減少させるために、枯れた根元葉の数を減少させるために、葉の緑色を改善するために、肥料や水等の必要投入量を減少させるために、作物定着に必要な種子を減少させるために、作物の収穫性を改善するために、成熟の均一性を改善するために、貯蔵寿命を改善するために、老化を遅延させるために、繁殖性若芽を増強するために、種子産生における種子品質を向上させるために、果実の色を改善するために、葉の色を改善するために、貯蔵の容量を改善するために、及び/又は収穫された産物の加工性を改善するために用いられる。
【0093】
本発明のもう一つの好ましい実施形態では、本発明による混合物は、植物の背丈を増大させるために、植物のバイオマス(例えば全体生重量)を増大させるために、穀粒収穫量を増大させるために、若芽の数を増大させるために、植物発達を改善するために、視覚的な外観を改善するために、植物の樹立を改善するために(より小さい節間隔/倒伏)、痩せた土壌や不利な気候で成育した場合の作物収穫量を増大させるために、発芽を改善するために、冷温ストレス、乾燥ストレス、UVストレス等の非生物ストレス因子に対する植物のストレス耐性及び抵抗性を改善するために、非繁殖性若芽の数を減少させるために、枯れた根元葉の数を減少させるために、葉の緑色を改善するために、作物定着に必要な種子を減少させるために、作物の収穫性を改善するために、貯蔵寿命を改善するために、老化を遅延させるために、繁殖性若芽を増強するために、及び/又は種子産生における種子の品質を改善するために用いられる。
【0094】
上記で言及した本発明による混合物の効果(すなわち植物健康増進)は、植物が生物ストレス下にないときでも、特には植物が害虫圧力下にないときでも存在していることは強調されなければならない。病原性菌又は他の関連害虫に対して治療的又は予防的処理に付されていることで生物ストレス因子によって引き起こされる損傷を受けることなしに成長することができる植物と比較した場合、菌又は昆虫攻撃に苦しんでいる植物はより少ないバイオマスを産生することから作物収穫量の低下がもたらされることは明らかなことである。しかしながら、本発明による方法は、生物ストレスの不存在下でも植物の健康の向上をもたらす。これは、本発明に係る混合物の正の効果は化合物(I)及び(II)の殺菌及び/又は除草活性のみによっては説明することができず、むしろさらなる活性プロファイルに基づいたものであることを意味している。よって、方法の好ましい実施形態では、各活性成分及び/又はその混合物の適用は、害虫圧力の不存在下で行われる。しかし当然、生物ストレス下にある植物も、本発明の方法に従って処理され得る。
【0095】
本発明に係る混合物は、植物、植物繁殖材料(好ましくは種子)、植物が生育しているか又は生育し得る土壌、地面、原材料又は環境を、活性化合物の有効量で処理することにより利用される。適用は、原材料、植物又は植物繁殖材料(好ましくは種子)の害虫による感染の前及び後のいずれでも行われ得る。
【0096】
この方法の好ましい実施形態では、植物の空中部分が本発明による混合物で処理される。
【0097】
この方法のもう一つの好ましい実施形態では、化合物(II)で種子を処理し、その後植物が生育しているか又は生育し得る土壌、地面、原材料又は環境を化合物(I)で葉面スプレーすることが含まれる。
【0098】
本発明の一つの実施形態では、本発明による混合物は、処理植物成長段階(GS)GS00〜GS65BBCHで適用される。
【0099】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による混合物は、処理植物成長段階(GS)GS00〜GS55BBCHで適用される。
【0100】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、本発明による混合物は、処理植物成長段階(GS)GS00〜GS37BBCHで適用される。
【0101】
本発明の最も好ましい実施形態では、本発明による混合物は、処理植物成長段階(GS)GS00〜GS21BBCHで適用される。
【0102】
本発明による一つの実施形態では、植物及び/又は植物珠芽は上記で説明した混合物で同時に(一緒に又は別々に)又は連続的に処理される。当然、後続の適用は、適用された各化合物の組み合わせた作用を可能にする時間間隔で行われる。好ましくは、化合物(I)と化合物(II)の続いての適用の時間間隔は数秒〜3ヶ月(好ましくは、数秒〜1ヶ月)、より好ましくは数秒〜2週間、さらにより好ましくは数秒〜3日、特には1秒〜24時間である。
【0103】
本発明において、本発明者は、化合物(I)と化合物(II)との同時の(すなわち一緒の又は別々の)適用(又は化合物(I)と化合物(II)との連続的の適用)は、その個々の化合物で可能であるその各対照量に比較して植物健康増進量を増大させることを見出した(相乗的混合物)。
【0104】
本発明のもう一つの実施形態では、上記で説明した混合物は、繰り返し適用される。この場合は、適用は、2〜5回(好ましくは2回)繰り返される。
【0105】
植物の健康増進に用いられる場合は、混合物の適用量は、処理される植物の種類や適用される混合物等のさまざまなパラメーターにもよるが、0.3g/ha〜3500g/haである。本発明による方法の好ましい実施形態では、混合物の適用量は、5g/ha〜2000g/haである。本発明による方法のさらにより好ましい実施形態では、混合物の適用量は、20g/ha〜900g/haである(特には20g/ha〜750g/ha)。
【0106】
植物繁殖材料(好ましくは種子)の処理では、一般的には、0.01g〜10kg(特には0.01g〜3kg)の量の本発明による混合物が、100キログラムの植物繁殖材料(好ましくは種子)当たりに必要とされる。
【0107】
当然のこととして、本発明による混合物は、「有効且つ植物非有害量」で用いられる。これは、所望効果は得られるが処理植物には植物有害症状が生じないことを可能にする量で本混合物は用いられることを意味する。
【0108】
本発明による化合物は、生物活性が異なり得る異なった結晶改変形態で存在し得る。そのようなものも同じく本発明の主題である。
【0109】
本発明の方法に従って用いられるすべての混合物においては、化合物(I)と化合物(II)とは、相乗的な効果をもたらす量で用いられる。
【0110】
二成分混合物に関しては、化合物(I)対化合物(II)の重量比は、好ましくは200:1〜1:200、より好ましくは100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50、特には20:1〜1:20である。最も好ましい比は、1:10〜10:1である。
【0111】
この農薬混合物は、典型的には、化合物(I)としての除草剤及び/又は殺菌化合物(II)を含んでいる組成物として適用される。好ましい実施形態では、この殺害虫組成物は、液体又は固体担体と上記で説明した混合物とを含んでいる。
【0112】
本発明に係る混合物で処理され得る、植物(同時にその植物の繁殖材料)には、あらゆる改変された非遺伝子導入植物又は遺伝子導入植物、例えば、品種改良(遺伝子工学法も含めた)により除草剤又は殺菌剤あるいは殺昆虫剤の作用に耐性がある作物や、例えば伝統的な品種改良法及び/又は突然変異作出によってあるいは組み換え手法によって作出され得る、既存植物と比較して改変された特質を有している植物が包含される。
【0113】
例えば、本発明による混合物は、種子処理として、葉面スプレー処理として、鋤溝適用としてや他の任意の手段により、限定するものではないが市場にあるあるいは開発中の農芸バイオ技術産生物(参照 http://www.bio.org/speeches/pubs/er/agri_products.asp)も含めた、品種改良、突然変異又は遺伝子工学によって改変されている植物にも適用され得る。
【0114】
「遺伝子組み換え植物」は、自然状況下で交雑育種、突然変異又は自然組み換えによっては容易に得ることができないように組み換えDNA手法を用いることによって遺伝物質が改変されている植物である。典型的には、植物の一部の特性を改良するために1つ又はそれ以上の遺伝子が遺伝子組み換え植物の遺伝物質に組み込まれている。そのような遺伝子組み換えには、例えばプレニル化、アセチル化又はファルネシル化部分あるいはPEG部分等のグリコシル化あるいはポリマー付加によるタンパク質、オリゴ−ペプチド又はポリ−ペプチドの標的化翻訳後改変も限定するものではないが包含される。
【0115】
品種改良、突然変異あるいは遺伝子工学によって改変されている植物は、例えば、特定の除草剤の群の適用に対して耐性があるようにされている。除草剤に対する耐性は、その除草剤の作用の部位に、除草剤に対して抵抗性がある標的酵素を発現させることによって非感受性を創出することにより;除草剤を不活性化する酵素を発現させることによって除草剤を迅速に代謝(共役化又は分解)させることにより;あるいは除草剤を僅かしか取り込ませずに転座させることにより;得られ得る。例えば、野生型酵素に比較して当該除草剤に対して耐性がある酵素の発現、例えばグリホサート(例えば、Heck et.al, Crop Sci. 45, 2005, 329-339;Funke et.al, PNAS 103, 2006, 13010-13015;米国特許第5,188,642号明細書、米国特許第4,940,835号明細書、米国特許第5,633,435号明細書、米国特許第5,804,425号明細書、米国特許第5,627,061号明細書を参照されたい)に対して耐性がある、5−エノルピルビルシキマート−3−ホスファートシンターゼ(EPSPS)の発現、グルホシナート及びビアラホス(例えば、米国特許第5,646,024号明細書、米国特許第5,561,236号明細書を参照されたい)並びにジカンバ分解酵素(一般的な参照については米国特許出願公開第2009/0105077号明細書を参照;インゲンマメ、トウモロコシ[トウモロコシについては国際公開第08/051633号も参照されたい]、ワタ[ワタについては米国特許第5,670,454号明細書も参照されたい]、エンドウマメ、ジャガイモ、ソルガム、ダイズ[ダイズについては米国特許第5,670,454号明細書も参照されたい]、ヒマワリ、タバコ、トマト[トマトについては米国特許第5,670,454号明細書も参照されたい]におけるジカンバ抵抗性については例えば米国特許第7,105,724号明細書を参照されたい)をコードするDNA構築物に対して耐性があるグルタミンシンターゼの発現等である。さらに、これには、イミダゾリノン系除草剤の適用に対して耐性がある植物[キャノーラ(Tan et. al, Pest Manag. Sci 61, 246-257 (2005));トウモロコシ(米国特許第4,761,373号明細書、米国特許第5,304,732号明細書、米国特許第5,331,107号明細書、米国特許第5,718,079号明細書、米国特許第6,211,438号明細書、米国特許第6,211,439号明細書及び米国特許第6,222,100号明細書、Tan et. al, Pest Manag. Sci 61, 246-257 (2005));イネ(米国特許第4,761,373号明細書、米国特許第5,304,732号明細書、米国特許第5,331,107号明細書、米国特許第5,718,079号明細書、米国特許第6,211,438号明細書、米国特許第6,211,439号明細書及び米国特許第6,222,100号明細書、S653N(例えば米国特許出願公開第2003/0217381号明細書を参照されたい)、S654K(例えば米国特許出願公開第2003/0217381号明細書を参照されたい)、A122T(例えば国際公開第04/106529号を参照されたい)、S653(At)N、S654(At)K、A122(At)T並びに国際公開第00/27182号、国際公開第05/20673号及び国際公開第01/85970号あるいは米国特許の米国特許第5,545,822号明細書、米国特許第5,736,629号明細書、米国特許第5,773,703号明細書、米国特許第5,773,704号明細書、米国特許第5,952,553号明細書、米国特許第6,274,796号明細書に記載の他の抵抗性イネ植物);アワ(米国特許第4,761,373号明細書、米国特許第5,304,732号明細書、米国特許第5,331,107号明細書、米国特許第5,718,079号明細書、米国特許第6,211,438号明細書、米国特許第6,211,439号明細書及び米国特許第6,222,100号明細書);オオムギ(米国特許第4,761,373号明細書、米国特許第5,304,732号明細書、米国特許第5,331,107号明細書、米国特許第5,718,079号明細書、米国特許第6,211,438号明細書、米国特許第6,211,439号明細書及び米国特許第6,222,100号明細書);コムギ(米国特許第4,761,373号明細書、米国特許第5,304,732号明細書、米国特許第5,331,107号明細書、米国特許第5,718,079号明細書、米国特許第6,211,438号明細書、米国特許第6,211,439号明細書、米国特許第6,222,100号明細書、国際公開第04/106529号、国際公開第04/16073号、国際公開第03/14357号、国際公開第03/13225号及び国際公開第03/14356号);ソルガム(米国特許第4,761,373号明細書、米国特許第5,304,732号明細書、米国特許第5,331,107号明細書、米国特許第5,718,079号明細書、米国特許第6,211,438号明細書、米国特許第6,211,439号明細書及び米国特許第6,222,100号明細書);オートムギ(米国特許第4,761,373号、米国特許第5,304,732号明細書、米国特許第5,331,107号明細書、米国特許第5,718,079号明細書、米国特許第6,211,438号明細書、米国特許第6,211,439号明細書及び米国特許第6,222,100号明細書);ライムギ(米国特許第4,761,373号明細書、米国特許第5,304,732号明細書、米国特許第5,331,107号明細書、米国特許第5,718,079号明細書、米国特許第6,211,438号明細書、米国特許第6,211,439号明細書及び米国特許第6,222,100号明細書);サトウキビ(国際公開第98/02526号及び国際公開第98/02527号);ヒラマメ(米国特許出願公開第2004/0187178号明細書);ヒマワリ(Tan et. al, Pest Manag. Sci 61, 246-257 (2005))]も含まれる。遺伝子構築物は、例えば、そのような除草剤に対して耐性がある、微生物又は植物、例えば、グリホサートに対して抵抗性がある、アグロバクテリウム株CP4EPSPS;グルホシナートに対して抵抗性であるストレプトミセスバクテリア;HDDP(例えば国際公開第96/38567号、国際公開第04/55191号を参照されたい)をコードするキメラ遺伝子配列を有するアラビドプシス、ニンジン、プソイドモナス種又はトウモロコシ;プロトックス阻害剤に対して抵抗性があるアラビドプシスタリアナ(例えば米国特許出願公開第2002/0073443号明細書を参照されたい)等から得られ得る。
【0116】
除草剤に対して耐性がある市販入手可能な植物の例は、グリホサートに対して耐性を有するトウモロコシ品種「Roundup Ready Corn」、「Roundup Ready 2」(以上Monsanto)、「Agrisure GT」、「Agrisure GT/CB/LL」、「Agrisure GT/RW」、「Agrisure 3000GT」(以上Syngenta)、「YieldGard VT Rootworm/RR2」及び「YieldGard VT Triple」(Monsanto);グルホシナートに対して耐性を有するトウモロコシ品種「Liberty Link」(Bayer)、「Herculex I」、「Herculex RW」、「Herculex Xtra」(以上Dow、Pioneer)、「Agrisure GT/CB/LL」及び「Agrisure CB/LL/RW」(Syngenta);グリホサートに対して耐性を有するダイズ品種「Roundup Ready Soybean」(Monsanto)及び「Optimum GAT」(DuPont、Pioneer);グリホサートに対して耐性を有するワタ品種「Roundup Ready Cotton」及び「Roundup Ready Flex」(Monsanto);グルホシナートに対して耐性を有するワタ品種「FiberMax Liberty Link」(Bayer);ブロモキシニルに対して耐性を有するワタ品種「BXN」(Calgene);ブロモキシニル耐性を有するキャノーラ品種「Navigator」及び「Compass」(Rhone−Poulenc);グリホサート耐性を有するキャノーラ品種「Roundup Ready Canola」(Monsanto);グルホシナート耐性を有するキャノーラ品種「InVigor」(Bayer);グルホシナート耐性を有するイネ品種「Liberty Link Rice」(Bayer)及びグリホサート耐性を有するアルファルファ品種「Roundup Ready Alfalfa」である。除草剤に関して改変されたさらなる植物が広く知られており、例としてはグリホサートに対して耐性を有するアルファルファ、リンゴ、ユーカリ、アマ、ブドウ、ヒラマメ、ナタネ、エンドウマメ、ジャガイモ、イネ、テンサイ、ヒマワリ、タバコ、トマトムシバクサ及びコムギ(例えば、米国特許第5,188,642号明細書、米国特許第4,940,835号明細書、米国特許第5,633,435号明細書、米国特許第5,804,425号明細書、米国特許第5,627,061号明細書を参照されたい);ジカンバに対して耐性を有するインゲンマメ、ワタ、ダイズ、エンドウマメ、ジャガイモ、ヒマワリ、トマト、タバコ、トウモロコシ、ソルガム及びサトウキビ(例えば、米国特許出願公開第2009/0105077号明細書、米国特許出願公開第7,105,724号明細書及び米国特許第5,670,454号明細書を参照されたい);2,4−Dに対して耐性を有するピーマン、リンゴ、トマト、キビ、ヒマワリ、タバコ、ジャガイモ、トウモロコシ、キュウリ、コムギ、ダイズ及びソルガム(例えば、米国特許第6,153,401号明細書、米国特許第6,100,446号明細書、国際公開第05/107437号、米国特許第5,608,147号明細書及び米国特許第5,670,454号明細書を参照されたい);グルホシナートに対して耐性を有するテンサイ、ジャガイモ、トマト及びタバコ(例えば、米国特許第5,646,024号明細書、米国特許第5,561,236号明細書を参照されたい);アセトラクタートシンターゼ(ALS)阻害除草剤(例えばトリアゾロピリミジンスルホンアミド)、生長阻害剤及びイミダゾリノンに対して耐性を有するキャノーラ、オオムギ、ワタ、カラシナ、レタス、レンズマメ、メロン、アワ、オートムギ、ナタネ、ジャガイモ、イネ、ライムギ、ソルガム、ダイズ、テンサイ、ヒマワリ、タバコ、トマト及びコムギ(例えば、米国特許第5,013,659号明細書、国際公開第06/060634号、米国特許第4,761,373号明細書、米国特許第5,304,732号明細書、米国特許第6,211,438号明細書、米国特許第6,211,439号明細書及び米国特許第6,222,100号明細書を参照されたい);HPPD阻害除草剤に対して耐性がある禾穀類、サトウキビ、イネ、トウモロコシ、タバコ、ダイズ、ワタ、ナタネ、テンサイ及びジャガイモ(例えば、国際公開第04/055191号、国際公開第96/38567号、国際公開第97/049816号及び米国特許第6,791,014号明細書を参照されたい);プロトポルフィリノゲンオキシダーゼ(PPO)阻害除草剤に対して耐性があるコムギ、ダイズ、ワタ、テンサイ、ナタネ、イネ、トウモロコシ、ソルガム及びサトウキビ(例えば、米国特許出願公開第2002/0073443号明細書、米国特許出願公開第2008/0052798号明細書、Pest Management Science, 61, 2005, 277-285を参照されたい)である。このような除草剤抵抗性植物の製造方法は一般的なこととしては当業者に知られており、例えば、上記で言及した文献に説明されている。除草剤に対して耐性を有する市販の改変植物のさらなる例は、イミダゾリノン系除草剤に対して耐性を有する「CLEARFIELD Corn」、「CLEARFIELD Canola」、「CLEARFIELD Rice」、「CLEARFIELD Lentils」、「CLEARFIELD Sunflowers」(BASF)である。
【0117】
さらに、組み換えDNA手法を用いることで、1種又はそれ以上の殺昆虫タンパク質、特に細菌バチルス属(特にはバチルス・ツリンギエンシス)からのものと知られている殺昆虫タンパク質、例えば、δ−エンドトキシン、例えばCryIA(b)、CryIA(c)、CryIF、CryIF(a2)、Cry−IIA(b)、CryIIIA、CryIIIB(b1)又はCry9c;栄養成長期殺昆虫タンパク質(VIP)、例えば、VIP1、VIP2、VIP3又はVIP3A;細菌コロニー形成性線虫(例えばホトルハブダス種やゼノルハブダス種の殺昆虫タンパク質;動物によって産生されるトキシン、例えば、サソリトキシン、クモ形類動物トキシン、ハチトキシン、又は他の昆虫特異的ニューロトキシン;菌によって産生されるトキシン(例えばストレプトミセテス・トキシン、植物レクチン(例えばエンドウマメ又はオオムギレクチン);アグルチニン;プロテイナーゼ阻害剤、例えばトリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン阻害剤、シスタチン阻害剤やパパイン阻害剤;リボソーム−不活化タンパク質(RIP)、例えば、リシン[ricin]、トウモロコシ−RIP、アブリン、ルフィン、サポリンやブリヨジン;ステロイド代謝酵素、例えば、3−ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド−IDP−グリコシル−トランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、エクジソン阻害剤やHMG−CoA−レダクターゼ;イオンチャネルブロッカー、例えばナトリウム又はカルシウムチャネルブロッカー;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体(ヘリコキニン受容体);スチルベンシンターゼ、ビベンジルシンターゼ、キチナーゼ又はグルカナーゼ;を合成することができる植物も包含される。本発明の文脈では、これらの殺昆虫タンパク質つまりトキシンは、明らかなこととして、プレトキシン、ハイブリッドタンパク質、トランケーテッドタンパク質又はそうでなければ改変タンパク質としても理解されるべきである。ハイブリッドタンパク質は、タンパク質ドメインの新規な組み合わせを特徴としている(例えば国際公開第02/015701号を、参照されたい)。このようなトキシン又はこのようなトキシンを合成することができる遺伝子組み換え植物のさらなる例は、例えば、欧州特許出願公開第374753号明細書、国際公開第93/007278号、国際公開第95/34656号、欧州特許出願公開第427529号明細書、欧州特許出願公開第451878号明細書、国際公開第03/018810号、及び国際公開第03/052073号に開示されている。そのような遺伝子組み換え植物の作製方法は当業者には一般的に知られており、例えば、先に言及した文献に記載されている。遺伝子組み換え植物中に含有のこれら殺昆虫タンパク質は、そのようなタンパク質を産生している植物に、節足動物昆虫のあらゆる分類学上の群に属する有害害虫、特にはカブトムシ(鞘翅目[Coleoptera])、二翼昆虫(双翅目[Diptera])、及び蛾(鱗翅目[Lepidoptera])に対する耐性、及び、センチュウ(線虫綱動物[Nematoda])に対する耐性を賦与する。1種又はそれ以上の殺昆虫タンパク質を合成することができる遺伝子組み換え植物は、例えば、先に言及した文献に記載されており、またそれらのうちの一部のものは市販もされており、例えば、YieldGard(登録商標)(Cry1Abトキシンを産生するトウモロコシ栽培変種)、YieldGard(登録商標)Plus(Cry1Ab及びCry3Bb1トキシンを産生するトウモロコシ栽培変種)、Starlink(登録商標)(Cry9cトキシンを産生するトウモロコシ栽培変種)、Herculex(登録商標)RW(Cry34Ab1、Cry35Ab1及び酵素ホスフィノトリシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(PAT)を産生するトウモロコシ栽培変種);NuCOTN(登録商標)33B(Cry1Acトキシンを産生するワタ栽培変種)、Bollgard(登録商標)I(Cry1Acトキシンを産生するワタ栽培変種)、Bollgard(登録商標)II(Cry1Acトキシン及びCry2Ab2トキシンを産生するワタ栽培変種);VIPCOT(登録商標)(VIPトキシンを産生するワタ栽培変種);NewLeaf(登録商標)(Cry3Aトキシンを産生するジャガイモ栽培変種);Syngenta Seeds SAS(仏)から販売のBt−Xtra(登録商標)、NatureGard(登録商標)、KnockOut(登録商標)、BiteGard(登録商標)、Protecta(登録商標)、Bt11(例えばAgrisure(登録商標)CB)及びBt176(Cry1Abトキシン及びPAT酵素を産生するトウモロコシ栽培変種)、Syngenta Seeds SAS(仏)から販売のMIR604(Cry3Aトキシンの改変体を産生するトウモロコシ栽培変種、WO03/018810を参照されたい)、Monsanto Europe S.A.(ベルギー)から販売のMON 863(Cry3Bb1トキシンを産生するトウモロコシ栽培変種)、Monsanto Europe S.A.(ベルギー)から販売のIPC531(Cry1Acトキシンの改変体を産生するワタ栽培変種)、及びPioneer Overseas Corporation(ベルギー)から販売の1507(Cry1Fトキシン及びPAT酵素を産生するトウモロコシ栽培変種)等である。
【0118】
さらに、組み換えDNA手法を用いることによって、細菌性、ウイルス性又は菌性病原体に対する植物の抵抗又は耐性を増大させるための1種又はそれ以上のタンパク質を合成することができる植物も包含される。そのようなタンパク質の例は、いわゆる「感染特異的タンパク質」(PRタンパク質、例えば欧州特許出願公開第392225号明細書を、参照されたい)、植物病変抵抗遺伝子(例えば、メキシコ産野生種ジャガイモソラヌム・ブルボカスタヌムに対して作用する抵抗遺伝子を発現しているジャガイモ栽培変種)あるいはT4−lysozym(例えば、エルビィニア・アミロボーラ等の細菌に対する抵抗が増大するようなタンパク質を合成することができるジャガイモ栽培変種)である。そのような遺伝子組み換え植物の作製方法は一般的なこととしては当業者に知られており、例えば、先に言及した文献に述べられている。
【0119】
さらに、組み換えDNA手法を用いることによって、植物の生産性(例えばバイオマス産生、穀粒収量、デンプン含有量、油分含有量やタンパク質含有量);乾燥、塩や他の生長制限環境因子に対する植物の耐性;あるいは害虫や菌、細菌又はウイルス病原体に対する植物の耐性;を増大させる1種又はそれ以上のタンパク質を合成することができる植物も包含される。
【0120】
さらに、組み換えDNA手法を用いることによって、ヒト又は動物の栄養摂取を特異的に改善するために、改変された量の物質含有量又は新規物質の含有量を含有している植物、例えば健康促進長鎖オメガ−3脂肪酸又は不飽和オメガ−9脂肪酸を産生する油作物(例えばNexera(登録商標)アブラナ、DOW Agro Sciences,カナダ)も包含される。
【0121】
さらに、組み換えDNA手法を用いることによって、原材料産生を特異的に改善するために、改変された量の物質含有量又は新規物質含有量を含有している植物、例えばアミロペクチンの産生量が増大されたジャガイモ(例えばAmflora(登録商標)potato、BASF SE,独国)も包含される。
【0122】
本発明の方法で用いるのに適している特に好ましい改変植物は、除草剤に対して耐性にされている、特にはジカンバに対して耐性にされている植物である。
【0123】
本発明に従って用いるためには、本発明に係る混合物は、慣用の製剤、例えば溶液剤、エマルション剤、懸濁液剤、粉末剤、粉剤、ペースト剤、顆粒剤に変換され得る。施用剤形は、意図されるその特定の目的によって決まるものである(各場合、本発明による混合物の微細で均一な分散が確実に行われなければならない)。製剤は公知の方法で調製される(参照 米国特許第3,060,084号明細書、欧州特許出願公開第707445号明細書(液体製剤について)、Browning: ”Agglomeration”, Chemical Engineering, Dec. 4, 1967, 147-48、Perry’s Chemical Engineer’s Handbook, 4th Ed., McGraw-Hill, New York, 1963, S. 8-57並びに以下:国際公開第91/13546号、米国特許第4,172,714号明細書、米国特許第4,144,050号明細書、米国特許第3,920,442号明細書、米国特許第5,180,587号明細書、米国特許第5,232,701号明細書、米国特許第5,208,030号明細書、英国特許第2,095,558号明細書、米国特許第3,299,566号明細書、Klingman: Weed Control as a Science (J. Wiley & Sons, New York, 1961)、Hance et al.: Weed Control Handbook (8th Ed., Blackwell Scientific, Oxford, 1989)及びMollet, H. and Grubemann, A.: Formulation Technology (Wiley VCH Verlag, Weinheim, 2001))。
【0124】
農薬製剤は、農薬製剤で慣用されている補助剤も含み得る。用いる補助剤は、その特定の施用剤形及び活性物質それぞれによって決まるものである。適する補助剤の例は、溶媒、固体担体、分散剤又は乳化剤(例えばさらなる可溶化剤、保護コロイド、界面活性剤及び付着剤)、有機及び無機増粘剤、静菌剤、凍結防止剤、消泡剤、適切であれば着色剤及び粘着付与剤つまり結着剤(例えば種子処理用製剤で)である。適する溶媒は、水、有機溶媒、例えば、中〜高沸点の鉱油留分(例えばケロシンやディーゼルオイル)さらにはコールタールオイル並びに植物又は動物由来のオイル、脂肪族、環状及び芳香族炭化水素(例えばトルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン又はその誘導体)、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及びシクロヘキサノール、グリコール、ケトン、例えばシクロヘキサノン及びγ−ブチロラクトン、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸及び脂肪酸エステル、及び強極性溶媒(例えばN−メチルピロリドンのようなアミン)である。
【0125】
固体担体は、無機土類(例えばシリケート、シリカゲル、タルク、カオリン、石灰石、石灰、チョーク、赤土、黄土、粘土、ドロマイト、珪藻土)、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕合成材、肥料(例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素等)、並びに植物由来の産物(例えば穀粉、樹皮粉、木粉及び殻粉)、セルロース粉末及びその他の固体担体である。
【0126】
適する界面活性剤(補佐剤、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤又は乳化剤)は、芳香族スルホン酸の(例えば、リグニンスルホン酸の(Borresperse(登録商標)タイプ、Borregard、ノルウェー)、フェノールスルホン酸の、ナフタレンスルホン酸の(Morwet(登録商標)タイプ、Akzo Nobel、米国)、ジブチルナフタレン−スルホン酸の(Nekal(登録商標)タイプ、BASF、独国))アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩並びにアンモニウム塩、及び脂肪酸、アルキルスルホナート、アルキルアリールスルホナート、アルキルスルファート、ラウリルエテルスルファート、脂肪アルコールスルファート、並びに硫酸化ヘキサ−、ヘプタ−及びオクタ−デカノラート、硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテル、さらにはナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコール及び脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグニン−亜硫酸塩廃液及びタンパク質、変性タンパク質、ポリサッカリド(例えばメチルセルロース)、疎水変性デンプン、ポリビニルアルコール(Mowiol(登録商標)タイプ、Clariant、スイス)、ポリカルボキシラート(Sokolan(登録商標)タイプ、BASF、独国)、ポリアルコキシラート、ポリビニルアミン(Lupasol(登録商標)タイプ、BASF、独国)、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマーである。増粘剤(すなわち、製剤に変調された流動性(すなわち静的条件下では高粘度、撹拌中は低粘度)を賦与する化合物)の例は、ポリサッカリド、有機及び無機クレイ、例えばキサンタングム(Kelzan(登録商標)、CP Kelco、米国)、Rhodopol(登録商標)23(Rhodia、仏国)、Veegum(登録商標)(R.T.Vanderbilt、米国)やAttaclay(登録商標)(Engelhard Corp.、NJ、米国)である。
【0127】
殺菌剤は、製剤を防腐して安定化させるのに加えられ得る。適する殺菌剤の例は、ジクロロフェン及びベンジルアルコールヘミホルマールをベースとするもの(ICIのProxel(登録商標)やThor ChemieのActicide(登録商標)RS及びRohm&HaasのKathon(登録商標)MK)並びにイソチアゾリノン誘導体、例えばアルキルイソチアゾリノン及びベンゾイソチアゾリノンをベースとするもの(Thor ChemieのActicide(登録商標)MBS)である。
【0128】
適する凍結防止剤の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、尿素及びグリセリンである。
【0129】
消泡剤の例は、シリコーンエマルション(例えばSilikon(登録商標)SRE、Wacker、独国やRhodorsil(登録商標)、Rhodia、仏国等)、長鎖アルコール、脂肪酸、脂肪酸の塩、フルオロ有機化合物並びにこれらの混合物である。
【0130】
適する着色剤は、低水溶解性の顔料及び水可溶の染料である。言及されるべき例は、ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド112、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベイシックバイオレット10、ベイシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベイシックレッド10、ベイシックレッド108表記のものである。
【0131】
粘着性付与剤つまり結着剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタート、ポリビニルアルコール及びセルロースエーテル(Tylose(登録商標)、Shin−Etsu、日本)である。
【0132】
粉剤、散布剤及び粉末剤は、化合物(I)及び/又は(II)並びに適切であればさらなる活性物質を少なくとも1種の固体担体と混合又は同時粉砕することで調製され得る。
【0133】
顆粒剤、例えば被覆顆粒剤、含浸顆粒剤及び均質顆粒剤は、活性物質を固体担体に結着させることによって調製され得る。固体担体の例は、無機土類(例えばシリカゲル、シリケート、タルク、カオリン、石灰石、石灰、チョーク、赤土、黄土、粘土、ドロマイト、珪藻土)、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕合成材、肥料(例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素等)、並びに植物由来の産物(例えば穀粉、樹皮粉、木粉や殻粉等)、セルロース粉末及びその他の固体担体である。
【0134】
製剤形態の例は、以下の通りである。
【0135】
1.水で希釈する組成物形態
i) 液剤(Water-soluble concentrates)(SL、LS)
10重量部の本発明に係る混合物の化合物を90重量部の水又は水可溶溶媒に溶解させる。別形態としては、湿潤剤又は他の補助剤を加える。この活性物質は水で希釈すると溶解する。このようにして活性物質含有量が10重量%の製剤が得られる。
【0136】
ii) 分散製剤(Dispersible concentrates)(DC)
20重量部の本発明に係る混合物の化合物を10重量部の分散剤(例えばポリビニルピロリドン)を加えてある70重量部のシクロヘキサノンに溶解させる。水で希釈するとディスパージョンが得られる。活性物質含有量は20重量%である。
【0137】
iii) 乳剤(Emulsifiable concentrates)(EC)
15重量部の本発明に係る混合物の化合物をドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとヒマシ油エトキシラートを加えてある(各場合5重量部)75重量部のキシレンに溶解させる。水で希釈するとエマルションが得られる。この組成物は15重量%の活性物質含有量を有している。
【0138】
iv) エマルション製剤(Emulsions)(EW、EO、ES)
25重量部の本発明に係る混合物の化合物をドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとヒマシ油エトキシラートを加えてある(各場合5重量部)35重量部のキシレンに溶解させる。この混合物を乳化装置(例えばUltraturrax)を用いて30重量部の水に導入して均質なエマルションにする。水で希釈するとエマルションが得られる。この組成物は25重量%の活性物質含有量を有している。
【0139】
v) 懸濁製剤(Suspensions)(SC、OD、FS)
撹拌下にあるボールミル中で、20重量部の本発明に係る混合物の化合物を10重量部の分散剤及び湿潤剤、及び70重量部の水又は有機溶媒を加えて粉砕して微細活性物質懸濁液を得る。水で希釈すると活性物質の安定懸濁液が得られる。この組成物中の活性物質含有量は20重量%である。
【0140】
vi) 顆粒水和剤及び顆粒水溶剤(Water-dispersible granules and water-soluble granules)(WG、SG)
専用の装置(例えば押出機、噴霧塔、流動床)を用いて50重量部の本発明に係る混合物の化合物を50重量部の分散剤及び湿潤剤を加えて細かく粉砕して顆粒水和剤又は顆粒水溶剤として調製する。水で希釈すると活性物質の安定なディスパージョン又は溶液が得られる。この組成物は50重量%の活性物質含有量を有している。
【0141】
vii) 水和剤及び水溶剤(Water-dispersible powders and water-soluble powders)(WP、SP、SS、WS)
75重量部の本発明に係る混合物の化合物をローター・ステーター・ミル中で25重量部の分散剤、湿潤剤及びシリカゲルを加えて粉砕する。水で希釈すると活性物質の安定なディスパージョン又は溶液が得られる。この組成物の活性物質含有量は75重量%である。
【0142】
viii) ゲル剤(Gel)(GF)
撹拌ボールミル中で、20重量部の本発明に係る混合物の化合物、10重量部の分散剤、1重量部のゲル化湿潤剤及び70重量部の水又は有機溶媒を加えて粉砕して活性物質の微細懸濁液を得る。水で希釈すると活性物質の安定な懸濁液が得られ、これにより活性物質が20%(w/w)の組成物が得られる。
【0143】
2.希釈せずに適用する組成物形態
ix) 散粉用粉剤(Dustable powders)(DP、DS)
5重量部の本発明に係る混合物の化合物を細かく粉砕して95重量部の微粉砕カオリンと緊密に混合する。これにより活性物質含有量が5重量%の散粉用組成物が得られる。
【0144】
x) 顆粒剤(Granules)(GR、FG、GG、MG)
0.5重量部の本発明に係る混合物の化合物を細かく粉砕して99.5重量部の担体と組み合わせる。ここでの最新式方法は、押出、噴霧乾燥又は流動床である。これにより活性物質含有量が0.5重量%の希釈せずに適用される顆粒剤が得られる。
【0145】
xi) ULV溶液剤(ULV solutions)(UL)
10重量部の本発明に係る混合物の化合物を90重量部の有機溶媒(例えばキシレン)に溶解させる。これにより活性物質含有量が10重量%の希釈せずに適用される組成物が得られる。
【0146】
農薬製剤は、一般的には、0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%、最も好ましくは0.5〜90重量%の活性物質を含んでいる。本発明に係る混合物の化合物は、90%〜100%、好ましくは95%〜100%の純度(NMRスペクトルによる)で利用される。
【0147】
本発明に係る混合物の化合物は、スプレー、霧スプレー、散粉、散布、ブラシ塗り、浸漬又は注液により、そのまま又はその組成物の形態で、例えば、直接スプレー可能溶液、粉、懸濁液、ディスパージョン、エマルション、油性ディスパージョン、ペースト、散粉可能調製物、散布用原材料、あるいは顆粒の形態で用いられ得る。施用剤形は完全にその意図される目的によって決まるものである(各場合、本発明に係る混合物中に存在している各化合物の可能な限りの微細な分散が確実に行われるべきである)。
【0148】
水性施用剤形は、エマルション製剤、ペースト剤や水和性粉粒(スプレー可能粉粒、油性ディスパージョン)から水を加えることで調製され得る。エマルション、ペーストや油性ディスパージョンを調製するためには、各物質は、そのままあるいはオイル又は溶媒に溶解させて、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤あるいは乳化剤を用いることによって水にホモジナイズされ得る。別形態としては、活性物質、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤又は乳化剤及び適切であれば溶媒又はオイルからなる製剤を調製することが可能であり、そのような製剤は水で希釈するのに適している。
【0149】
施用準備完了調製物中の活性物質濃度は、比較的広い範囲内で変えられ得る。一般的なこととしては、濃度は、本発明に係る混合物の化合物が0.0001〜10重量%(好ましくは0.001〜1重量%)である。
【0150】
本発明に係る混合物の化合物は超低量法(ULV)でもうまく用いられ得るものであって、活性物質95重量%超を含んでいる組成物を適用することが可能であり、あるいは添加剤なしの活性物質でさえ適用することが可能である。
【0151】
さまざまな種類のオイル、湿潤剤、補佐剤、除草剤、殺菌剤、他の殺害虫剤、あるいは殺細菌剤がこの活性化合物に加えられ得るが、適切であれば、使用直前になってから加えられる(タンクミックス)。これらの添加剤は本発明に係る混合物の化合物と1:100〜100:1(好ましくは1:10〜10:1)の重量比で混和され得る。
【0152】
本発明の組成物は、硝酸アンモニウム、尿素、カリや、過リン酸石灰等の肥料、植物有害物質並びに植物生長調節剤さらにはセーフナーも含有し得る。これらのものは上記で説明した組成物と順次に又は組み合わせで用いられ得、適切であれば、ここでも、使用直前に加えられる(タンクミックス)。例えば、植物は、肥料で処理される前又は後に本発明組成物でスプレーされ得る。
【0153】
上記で定義した混合物中に含有される各化合物は同時に(すなわち一緒に又は別々に)又は続いて適用され得るが、その順序(別々の適用の場合の)は、一般的なこととしては、その防除方法の結果になんの影響もない。
【0154】
本発明によれば、一つの化合物(I)と一つの化合物(II)とを適用するということは、一つの化合物(I)と一つの化合物(II)とが作用の部位(すなわち、植物、植物繁殖材料(好ましくは種子)、植物が生育しているか又は生育し得る土壌、地面、原材料又は環境)に有効な量で同時に存在することを意味するものと理解される。
【0155】
これは、一つの化合物(I)と一つの化合物(II)とを同時に(一緒に(例えばタンクミックスとして)もしくは別々に)又は連続的に適用することによって得ることができるが、この場合その個々の適用の間の時間間隔は、最初に適用される活性物質がさらなる活性物質が適用される時点でその作用の部位に十分な量でなお存在していることを確実なものにするよう選択される。適用の順序は、本発明の効果に重要でない。
【0156】
本発明に係る混合物では、各化合物の重量比は、一般的なこととしては、本発明に係る混合物の各化合物の特性に応じて決まる。
【0157】
本発明による組成物を調製するためには本発明に係る混合物の各化合物は個々に又は前もって互いに部分的又は完全にミックスされて用いられ得る。また、それらをパッケージに入れて、さらにパーツキットのような組み合わせ組成物として用いることも可能である。
【0158】
本発明の一つの実施形態では、キットは、主題の農薬組成物を調製するために用いられ得る1種又はそれ以上(すべても含めた)の成分を含み得る。例えば、キットは、化合物(I)及び化合物(II)及び/又は補佐剤化合物及び/又はさらなる殺害虫剤化合物(例えば殺昆虫剤、殺菌剤や除草剤)及び/又は生長調節剤成分を含み得る。1種又はそれ以上の各成分は前もって一緒に組み合わせられていてよく、つまり前もって製剤化されていてよい。キット中に3成分以上が提供されるような実施形態では、各成分は前もって一緒に組み合わせられていてよく、そのまま一つの容器、例えばバイアル、ボトル、缶、パウチ、バッグ又はキャニスターの中にパッケージされる。他の実施形態では、キットの2種又はそれ以上の成分が別々にパッケージされ得る、すなわち、前もって製剤化されない。そういうことなので、キットには、1つ又はそれ以上の別々の容器、例えばバイアル、缶、ボトル、パウチ、バッグ又はキャニスターが含まれ得、それぞれの容器には農薬組成物の別々の成分が入っている。いずれの形態でも、キットの成分は、さらなる成分とは別々に又は一緒に、又は、本発明による組成物を調製するための本発明による組み合わせ組成物の成分として適用され得る。
【0159】
ユーザーは、本発明による組成物を、通常、事前調合式[predosage]デバイス、背負い式スプレーヤー、スプレータンクあるいはスプレー飛行機から適用するものである。ここでは、農薬組成物は水及び/又は緩衝液で所望適用濃度に作り上げられ、適切であれば、さらなる補助剤が加えられ得、このようにして施用準備完了スプレー液、つまり本発明による農薬組成物が得られる。通常、50〜500リットルの施用準備完了スプレー液が1ヘクタールの農業地として利用可能な面積当たりに適用される(好ましくは50〜400リットル)。
【0160】
一つの実施形態によれば、組成物(つまり製剤)として製剤化されている本発明に係る混合物の個々の化合物、例えばキットの一部、つまり本発明に係る混合物の一部がユーザー自身によってスプレータンク中でミックスされ得、適切であれば(タンクミックス)、さらなる補助剤が加えられ得る。
【0161】
さらなる実施形態では、組成物として製剤化されている本発明に係る混合物の個々の化合物か又は一部が前もってミックスされている各成分(例えば化合物(I)と化合物(II)とを含んでいる各成分)がユーザーによってスプレータンク中でミックスされ得、適切であれば(タンクミックス)、さらなる補助剤及び添加剤が加えられ得る。
【0162】
さらなる実施形態では、本発明による組成物の個々の成分又は一部が前もってミックスされている各成分(例えば化合物(I)と化合物(II)とを含んでいる各成分)が一緒に(例えばタンクミックスの後)又は連続的に適用され得る。
【0163】
用語「相乗的な有効量」は、相乗的な植物健康効果、特には本明細書に定義されている収穫量効果を達成するのに十分であるような、本発明に係る混合物の量を表している。量についてのより例示的な情報、適用の方法及び用いるべき適する比は以下に記載する。いずれにしても、当業者なら、そのような量は広い範囲内で変わり得、さまざまな因子、例えば処理される栽培植物又は繁殖材料あるいはその気候条件によって左右されるという事実をよく知っているものである。
【0164】
この混合物を調製する時は、純粋活性化合物を用いるのが好ましく、殺昆虫剤等の、害虫に対するさらなる活性化合物、除草剤、殺菌剤あるいはそうでなければ除草又は生長調節活性化合物あるいは肥料がニーズに応じてさらなる活性成分としてこれに加えられ得る。
【0165】
種子処理は、畑に植え付ける前の種子ボックス中でなされ得る。
【0166】
種子処理目的では、本発明の二成分及び三成分混合物の重量比は、一般的なこととしては、本発明に係る混合物の各化合物の特性から決まってくる。
【0167】
種子処理に特に有用である、組成物は、例えば:
A 液剤(SL、LS)
D エマルション製剤(EW、EO、ES)
E 懸濁製剤(SC、OD、FS)
F 顆粒水和剤及び顆粒水溶剤(WG、SG)
G 水和剤及び水溶剤(WP、SP、WS)
H ゲル製剤(GF)
I 散粉用粉剤(DP、DS)
である。
【0168】
これらの組成物は、希釈して又は希釈せずに、植物繁殖材料(特には種子)に適用され得る。該当の組成物は、2〜10倍の希釈後、施用準備完了調製物中に0.01〜60重量%(好ましくは0.1〜40重量%)の活性物質濃度をもたらす。適用は、播種の前又はその間中に行われ得る。植物繁殖材料(特には種子)への農薬化合物及びその組成物の適用又は処理方法は、それぞれ、当技術分野では知られており、そのようなものとしては繁殖材料のドレッシングによる、コーティングによる、ペレッティングによる、ダスティングによる及びソーキングによる適用法(及び鋤溝中での処理も)が挙げられる。好ましい実施形態では、この化合物又はその組成物は、それぞれ、発芽が引き起こされないような方法によって、例えば種子ドレッシングによって、ペレッティングによって、コーティングによって及びダスティングによって、植物繁殖材料に適用される。
【0169】
植物繁殖材料(好ましくは種子)の処理では、本発明に係る混合物の適用量は、一般的には、製剤化されている製品(これは通常10〜750g/lの活性物を含んでいる)である。
【0170】
本発明は、上記で定義した混合物又はその2種又はそれ以上の活性成分混合物を含有している組成物あるいはそれぞれが各活性成分のうちの一つを含んでいる2つ又はそれ以上の組成物混合物を含んでいる(すなわちそれらでコートされているか及び/又はそれらを含有している)植物の繁殖産物(特には種子)にも関する。植物繁殖材料(好ましくは種子)は、100kgの植物繁殖材料(好ましくは種子)当たり0.01g〜10kgの量で本発明に係る混合物を含んでいる。
【0171】
本発明に係る混合物の化合物の別々又は一緒の適用は、植物を播種する前又は後あるいは植物が発芽する前又は後に種子、苗木、植物又は土壌にスプレーすることによって又はダスティングすることによって行われる。
【実施例】
【0172】
以下の実施例は本発明を説明するものであるが、いかなる限定も課すものでない。
【0173】
(実施例1)
キュウリ子葉の成長(バイオマス)に対するフルキサピロキサド単独、ジカンバ単独、及びこの両者の化合物を含んでいる混合物の効果を評定した。
【0174】
21.5℃・97%相対湿度の暗所で4日間キュウリを播種して発芽させた。この後、1処理当たり20〜30子葉をカットし、以下に記載する処理溶液10mlが入っているペトリ皿に入れた。活性成分を0.5%DMSOに溶解させ、表2に記載されている濃度に希釈した。対照子葉は0.5%DMSO溶液のみで処理した。21.5℃の暗所で4日間インキュベーションした後、子葉を秤量し、生バイオマスを記録した(表2)。測定には組織解離反応をまったく示さなかった子葉のみを用いた。
【0175】
試験した活性成分の有効性は、対照に比較したバイオマス増大の%:
E=(a/b−1)・100
a 処理した植物のインキュベーションした後の子葉のバイオマス(g)に対応している。
b 対照におけるインキュベーションした後の子葉のバイオマス(g)に対応している。
として計算した。
【0176】
有効性が0であるとは、処理した子葉のバイオマスが未処理対照のそれと一致していることを意味し;有効性が100であるとは、処理した植物が100%のバイオマスの増大を示したことを意味する。
【0177】
活性成分の組み合わせの期待された有効性をコルビーの式(Colby, S.R., Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations, Weeds, 15, pp. 20-22, 1967)を用いて推算し、観測された有効性と比較した。
【0178】
コルビーの式:E=x+y−x・y/100
E 濃度aの活性化合物Aと濃度bの活性化合物Bとの混合物を用いた場合の、未処理対照の%で表した、期待された有効性。
x 濃度aの活性成分Aを用いた場合の、未処理対照の%で表した有効性。
y 濃度bの活性成分Bを用いた場合の、未処理対照の%で表した有効性。
【表2】

【0179】
単独で適用された場合のフルキサピロキサド又はジカンバによっても子葉成長の刺激はなかったが、意外なこととしてフルキサピロキサドとジカンバとが本発明による混合物として適用された場合は子葉成長の増大が観測された。表2に見られ得るように、観測された成長刺激に関しての有効性は期待された有効性に比較してより高いものであった。上記に記載した実験で示され得るように、明らかなこととして、フルキサピロキサドとジカンバとの混合物は成長(バイオマス)刺激に対して相乗的な効果を有している。
【0180】
(実施例2)
フルキサピロキサド単独で、ジカンバ単独で、及びこの両者のそれぞれの混合物で処理したコムギ植物又は処理していないコムギ植物の水ストレスの直接の指標としての蒸散を評価した。10〜14日齢コムギ植物を地面より上のところでカットし、2.2mlの以下に記載されている試験溶液が入っているエッペンドルフキャップの中に入れた。このコムギ植物を生育チャンバー中25℃・50%相対湿度で24時間インキュベーションした。試験溶液は含むが植物は含まないエッペンドルフキャップの重量をインキュベーションの前及び後に評価した。この重量の差を蒸散による水の消失として記録した。このアッセイを用いて植物の乾燥耐性を評価した。
【0181】
本実施例では品種「Monopol」のコムギ植物を温室中10日間18℃で生育させてから処理並びにインキュベーションをした。1処理当たり10植物を説明したようにして処理並びにインキュベーションをした。フルキサピロキサド及びジカンバを0.5%DMSOに溶解させた。試験した濃度は表3に記載されている。対照植物はブランク0.5%DMSO溶液のみで処理した。
【0182】
試験した各化合物及び混合物の有効性は、対照と比較した水消失の%:
E=(a/b−1)・100
a 処理した植物のインキュベーションした後の植物の水消失(g)に対応している。
b 対照におけるインキュベーションした後の植物の水消失(g)に対応している。
として計算した。
【0183】
有効性が0であるとは、処理した植物の水消失(すなわち蒸散した水)が未処理対照のそれと一致していることを意味し;有効性が100であるとは、処理した植物が100%の蒸散した水の減少を示したことを意味する。
【0184】
化合物の組み合わせの期待された有効性をコルビーの式(Colby, S.R., Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations, Weeds, 15, pp. 20-22, 1967)を用いて推算し、観測された有効性と比較した。
【0185】
コルビーの式: E=x+y−x・y/100
E 濃度aの活性化合物Aと濃度bの活性化合物Bとの混合物を用いた場合の、未処理対照の%で表した、期待された有効性。
x 濃度aの活性成分Aを用いた場合の、未処理対照の%で表した、有効性。
y 濃度bの活性成分Bを用いた場合の、未処理対照の%で表した、有効性。
【表3】

【0186】
単独で適用された場合のより低い濃度のフルキサピロキサド又はジカンバは蒸散(水消失)の増大をもたらした。単独で適用された場合のより高い濃度のフルキサピロキサドは、しかしながら、蒸散を減少させた。意外なこととしてフルキサピロキサドとジカンバとが本発明による混合物として適用された場合は蒸散の著しい減少が観測された。表3に見られ得るように、蒸散を低下させることに関しての観測された有効性は期待された有効性に比較してより高いものであった。見て分かるように、記載した実験で明らかに示され得るように、フルキサピロキサドとジカンバとを含んでいる本発明による混合物は、乾燥耐性(蒸散又は水消失の低下として表した)の相乗的な増大をもたらす。
【0187】
(実施例3)
フルキサピロキサド、ジカンバ、及びこの両者の混合物で処理したコムギ植物又は処理していないコムギ植物の、乾燥耐性増大の間接的なパラメーターとしての相対重量消失を評価した。10〜14日齢コムギ植物の葉を取り離し、2.2mlの以下に記載されている試験溶液が入っているエッペンドルフキャップの中に入れた。このコムギ植物を生育チャンバー中25℃・50%相対湿度で24時間インキュベーションした。インキュベーションした後、インキュベーションした葉を溶液から取り出し、生育チャンバー中の濾紙に60分間置いておいた(25℃、50%相対湿度)。葉の生バイオマスをインキュベーションの後すぐに、並びにその60分後に評価した。この生重量の差を相対重量消失として記録した。相対生重量の消失は、
生重量消失[%]=(1−FWend/FWbegin)×100%
として計算される。
【0188】
本実施例では品種「Monopol」のコムギ植物を温室中10日間18℃で生育させてから処理並びにインキュベーションをした。1処理当たり10植物を説明したようにして処理並びにインキュベーションをした。フルキサピロキサド及びジカンバを0.5%DMSOに溶解させた。試験した濃度は表4に記載されている。対照植物はブランク0.5%DMSO溶液のみで処理した。
【0189】
試験した各化合物及び混合物の有効性は、対照と比較した相対重量消失の%:
E=(1−a/b)・100
a 処理した植物のインキュベーションした後の葉の相対重量消失(g)に対応している。
b 対照におけるインキュベーションした後の葉の相対重量消失(g)に対応している。
として計算した。
【0190】
有効性が0であるとは、処理した植物の相対重量消失が未処理対照のそれと一致していることを意味し;有効性が100であるとは、処理した植物が100%の相対重量消失の減少を示したことを意味する。
【0191】
化合物の組み合わせの期待された有効性をコルビーの式(Colby, S.R., Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations, Weeds, 15, pp. 20-22, 1967)を用いて推算し、観測された有効性と比較した。
【0192】
コルビーの式: E=x+y−x・y/100
E 濃度aの活性化合物Aと濃度bの活性化合物Bとの混合物を用いた場合の、未処理対照の%で表した、期待された有効性。
x 濃度aの活性成分Aを用いた場合の、未処理対照の%で表した有効性。
y 濃度bの活性成分Bを用いた場合の、未処理対照の%で表した有効性。
【表4】

【0193】
単独で適用された場合のフルキサピロキサド及びジカンバは生重量消失を低下させた。しかしながら、フルキサピロキサドとジカンバとが本発明による混合物として適用された場合は生バイオマスの消失のさらに大きい減少が観測された。表4に見られ得るように、相対重量消失を低下させることに関しての観測された有効性は期待された有効性に比較してより高いものであった。明らかなこととして、フルキサピロキサドとジカンバとの混合物は、生バイオマスの相対重量消失の低下として表される乾燥耐性に対して相乗的な効果を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分として、
1)以下:
(i)クロランベン、ジカンバ及び2,3,6−TBAから選択される、安息香酸類;
(ii)クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラム及びトリクロピルから選択される、ピリジンカルボン酸類;
(iii)キンクロラク及びキンメラクから選択される、キノリンカルボン酸類;
(iv)ベナゾリン−エチル;
からなる群から選択される除草剤化合物(I);
及び
2)N−(3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:フルキサピロキサド)、N−[2−(4’−トリフルオロメチルチオ)−ビフェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチルピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:ビキサフェン)、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)−フェニル]−1,3−ジメチル−5−フルオロ−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:ペンフルフェン)、N−(2−ビシクロプロピル−2−イル−フェニル)−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:セダキサン)、N−[1,2,3,4−テトラヒドロ−9−(1−メチルエチル)−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:イソピラザム)、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)−3−チエニル]−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:ペンチオピラド)、ボスカリド、フルオピラム、フルトラニル、フラメトピル、メプロニル及びチフルザミドからなる群から選択される殺菌剤化合物(II);
を相乗的な有効量で含んでいる、植物の健康を増進させるための農薬混合物。
【請求項2】
化合物(I)が、ジカンバ、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラム、トリクロピル、キンクロラク及びキンメラクからなる群から選択される、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
化合物(I)がジカンバである、請求項1に記載の混合物。
【請求項4】
殺菌剤化合物(II)が、フルキサピロキサド、ビキサフェン、ボスカリド、フルオピラム、イソピラザム及びペンチオピラドから選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の混合物。
【請求項5】
殺菌剤化合物(II)がフルキサピロキサドである、請求項1〜3のいずれかに記載の混合物。
【請求項6】
殺菌剤化合物(II)がボスカリドである、請求項1〜3のいずれかに記載の混合物。
【請求項7】
液体又は固体担体と請求項1〜6のいずれかに定義されている混合物とを含んでいる、殺害虫組成物。
【請求項8】
植物、植物が生育しているかもしくは生育することが期待されている所在場所、又は植物が生育してくる植物繁殖材料を、請求項1〜6のいずれかに定義されている混合物の有効量で処理する、植物の健康を改善するための方法。
【請求項9】
植物、植物が生育しているかもしくは生育することが期待されている所在場所、又は植物が生育してくる植物繁殖材料を、請求項1〜6のいずれかに定義されている混合物の有効量で処理する、植物の収穫量を増大させるための方法。
【請求項10】
混合物が繰り返し適用される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
植物が、それぞれが天然又は遺伝子組み換え形態にある、農業植物、林業植物及び園芸植物からなる群から選択される、請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
植物が、ダイズ、ヒマワリ、トウモロコシ、ワタ、キャノーラ、サトウキビ、サトウダイコン、仁果類、オオムギ、オートムギ、ソルガム、イネ及びコムギから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
植物が、除草剤耐性植物である、請求項8〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
植物が、ジカンバ耐性植物である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
植物の健康を相乗的に増進させるための請求項1〜6のいずれかに定義されている混合物の使用。
【請求項16】
植物の乾燥耐性が相乗的に増大される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
植物の成長が相乗的に増進される、請求項15に記載の使用。

【公表番号】特表2013−512934(P2013−512934A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542459(P2012−542459)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068786
【国際公開番号】WO2011/069890
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】