説明

殺有害生物剤、防腐剤及び非分岐1,2−アルカンジオールを含む組成物

本発明の目的は殺有害生物剤、防腐剤及び5〜10個の炭素原子を有する非分岐1,2-アルカンジオールを含む農薬組成物である。さらに、本発明は殺有害生物剤、防腐剤及び5〜10個の炭素原子を有する非分岐1,2-アルカンジオールを混合することによるこの組成物の製造方法にも関する。さらに、本発明は植物病原性菌類及び/又は望ましくない植物成長及び/又は望ましくない昆虫若しくはダニの侵入を防除するための、並びに/又は植物成長を調節するために組成物を使用すること、さらに、有用植物の種子を組成物で処理する、望ましくない昆虫若しくはダニの植物への侵入を防除するための、及び/又は、植物病原性菌類を防除するための、及び/又は望ましくない植物成長を抑制するために組成物を使用すること、最後に、組成物で処理される種子にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は殺有害生物剤(pesticide)、防腐剤(保存剤、preservative)及び5〜10個の炭素原子を有する非分岐1,2-アルカンジオールを含む農薬組成物に関する。さらに、本発明は殺有害生物剤、防腐剤及び5〜10個の炭素原子を有する非分岐1,2-アルカンジオールを混合することによるこの組成物の製造方法にも関する。さらに、本発明は植物病原性菌類及び/又は望ましくない植物成長及び/又は望ましくない昆虫若しくはダニの攻撃を防除するための、並びに/又は植物成長を調節するための組成物の使用、有用植物の種子を組成物で処理する、望ましくない昆虫若しくはダニの植物への攻撃を防除するための、及び/又は、植物病原性菌類を防除するための、及び/又は望ましくない植物成長を抑制するための組成物の使用、さらに、組成物で処理された種子にも関する。好ましい特徴と他の好ましい特徴の組み合わせは本発明の範囲に含まれる。
【背景技術】
【0002】
EP 1201125 A1には3-メトキシブタノールと1,2-ペンタンジオールを含む経皮軟膏組成物が開示されている。さらに、これらの製品を組み合わせて使用すると、優れた殺菌効果がもたらされることが開示されている。
【0003】
EP 1426029 A1には1,2-アルカンジオール、界面活性剤、油性物質と水が必須成分として存在するエマルション組成物が開示されている。
【0004】
WO 2003/069994には、抗菌活性物質として、2種以上の非分岐1,2-アルカンジオールの混合物を使用することが開示されている。混合物中の別の成分のために、アルカンジオール混合物の抗菌活性が相乗的に増加する量で抗菌活性物質を使用することができる。
【0005】
PillaiらはSOFW-Journal, 2005, 131(6), 13-22(「1,2-Pentanediol- a Multifunctional Ingredient for Personal Care Applications」)にて、1,2-ペンタンジオールは化粧品製剤中の防腐剤、フェノキシエタノール、メチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン及びイソブチルパラベンの混合物の殺菌活性を増加させることを開示している。
【0006】
農薬調製物中に防腐剤を使用することは長い間知られてきた。防腐剤を添加しない、或いは添加が不十分であると、大部分は微生物の成長による種々の問題:農薬組成物を入れたプラスティックキャニスター又は金属バレルが破裂するようなガスの発生;殺虫又は殺鼠組成物における、昆虫又は鼠に対する忌避効果をもたらす不愉快な臭気の発生;変色;いくつかの殺有害生物剤が影響を受けるpH変化;噴霧施用時に問題が生じ得る、多糖含有増粘剤の分解によって引き起こされる粘度変化;或いは、タンクミックス製造時及びタンクミックス施用時に問題が生じ得る、界面活性剤の微生物分解の結果としてのエマルション又は懸濁液の相分離又は沈殿が生じる。
【0007】
通常、農薬調製物は管理された環境の場所に保存されず、開放された場所に保存されるので、前記の問題は、特に、農薬調製物の保存安定性を低下させる。理論上は、前記問題がほとんど存在しないないように高濃度の防腐剤を添加することにより、農薬組成物は長時間安定化され得る。しかし、パラ-ヒドロキシ安息香酸及びそのエステル、ホルムアルデヒド放出剤、クロルヘキシジン、ベンザルコニウムクロリド、プロピオン酸、フェノキシエタノール等の様々な防腐剤はアレルギー性又は毒性である疑いがもたれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP 1201125 A1
【特許文献2】EP 1426029 A1
【特許文献3】WO 2003/069994
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】SOFW-Journal, 2005, 131(6), 13-22
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、防腐剤の濃度が減少していることを特徴とする、殺有害生物剤及び防腐剤を含む農薬組成物を見出すことであった。本発明の別の目的は、農薬組成物中の防腐剤の濃度が減少していても、防腐剤の抗菌活性が非常に高いことであった。さらに、見出される農薬組成物が問題なくさらに製剤化できること、通常の農薬製剤補助剤が使用できること、噴霧又は種子粉衣等の通常の農薬施用技術を用いることができること、及び/又は殺虫活性又は殺鼠活性が望ましくない臭気又はフレーバー(香気)によって悪影響を及ぼされないことも目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的は殺有害生物剤、防腐剤及び5〜10個の炭素原子を有する非分岐1,2-アルカンジオールを含む農薬組成物により達成された。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい5〜10個の炭素原子を有する非分岐1,2-アルカンジオールは1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール及び1,2-デカンジオールである。特に好ましいのは1,2-ペンタンジオールである。1,2-ペンタンジオールは様々な純度で、例えば、少なくとも70重量%〜少なくとも99.95重量%で市販されている。一般に、本発明による組成物は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%、特に好ましくは0.5〜3重量%のアルカンジオールを含む。
【0013】
語句「殺有害生物剤」(以下で、「植物保護剤」とも呼ばれる)は殺菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、除草剤、殺鼠剤、薬害軽減剤及び/又は成長調節剤、好ましくは殺虫剤、殺線虫剤、除草剤、殺鼠剤、薬害軽減剤及び/又は成長調節剤からなる群から選択される少なくとも1種の活性物質を指す。殺有害生物剤により、通常、当業者は農薬組成物に使用される活性物質を理解する。
【0014】
好ましい実施形態において、植物保護剤は以下の目的:a)植物又は植物の生きている(live)部位及び植物製品を有害生物(organism)から保護すること;b)植物又は植物の生きている部位及び植物製品を有害生物ではない動物、植物又は微生物から保護することc)栄養(成長調節剤等)を供給することなく、植物の生物学的過程に関与すること;d)植物を破壊すること又は植物の成長を抑制する又は防止することを意図する物質である。
【0015】
一般に、当業者は、植物保護剤は、法律用語、例えば、植物保護剤の認可、食品中又は飲料水中の残留物の制限、蜂の保護、正しい使用法、危険な植物保護剤(DDT又はリンデン等)の禁止を取り扱う法律で明確に定義され、規制されていることを知っている。従って、当業者は植物保護剤(殺菌剤等)と医薬品(抗真菌剤(antimycotic)、抗生物質又は消毒剤(disinfectant)等)又は化粧品に使用される物質とを明確に区別する。
【0016】
好ましい殺有害生物剤は殺菌剤、殺虫剤、殺鼠剤及び除草剤であり、殺虫剤、殺鼠剤及び除草剤が特に好ましい。2種以上の前記の群の殺有害生物剤の混合物を使用することもできる。当業者はかかる殺有害生物剤に精通しており、例えば、「Pesticide Manual、14th Ed.(2006)、The British Crop Protection Council、London」に見出すことができる。好適な殺虫剤は、カルバメート、有機ホスフェート、有機塩素殺虫剤、フェニルピラゾール、ピレスロイド、ネオニコチノイド、スピノシン(spinosin)、アベルメクチン、ミルベマイシン、幼若ホルモン様物質(juvenile hormone analog)、ハロゲン化アルキル、有機スズ化合物、ネライストキシン(nereistoxin)類似物、ベンゾイル尿素、ジアシルヒドラジン、METI殺ダニ剤(acaricide)の群からの殺虫剤、及び、クロロピクリン、ピメトロジン、フロニカミド、クロフェンテジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、ジアフェンチウロン、プロパルギット、テトラジホン、クロルフェナピル、DNOC、ブプロフェジン、シロマジン、アミトラズ、ヒドラメチルノン、アセキノシル、フルアクリピリム、ロテノン又はその誘導体等の殺虫剤である。好適な殺菌剤は、ジニトロアニリン、アリルアミン、アニリノピリミジン、抗生物質、芳香族炭化水素、ベンゼンスルホンアミド、ベンゾイミダゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾフェノン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアジン、ベンジルカルバメート、カルバメート、カルボキサミド、カルボン酸アミド、クロロニトリル、シアノアセトアミドオキシム、シアノイミダゾール、シクロプロパンカルボキサミド、ジカルボキシミド、ジヒドロジオキサジン、ジニトロフェニルクロトネート、ジチオカルバメート、ジチオラン、エチルホスホネート、エチルアミノチアゾールカルボキサミド、グアニジン、ヒドロキシ−(2−アミノ−)ピリミジン、ヒドロキシアニリド、イミダゾール、イミダゾリノン、無機物質、イソベンゾフラノン、メトキシアクリレート、メトキシカルバメート、モルホリン、N−フェニルカルバメート、オキサゾリジンジオン、オキシミノアセテート、オキシミノアセトアミド、ペプチジルピリミジンヌクレオシド、フェニルアセトアミド、フェニルアミド、フェニルピロール、フェニル尿素、ホスホネート、ホスホロチオレート、フタルアミド酸、フタルイミド、ピペラジン、ピペリジン、プロピオンアミド、ピリダジノン、ピリジン、ピリジニルメチルベンズアミド、ピリミジンアミン、ピリミジン、ピリミジノンヒドラゾン、ピロロキノリノン、キナゾリノン、キノリン、キノン、スルファミド、スルファモイルトリアゾール、チアゾールカルボキサミド、チオカルバメート、チオファネート、チオフェンカルボキサミド、トルアミド、トリフェニルスズ化合物、トリアジン、トリアゾールの群からの殺菌剤である。好適な除草剤は、アセトアミド、アミド、アリールオキシフェノキシプロピオネート、ベンズアミド、ベンゾフラン、安息香酸、ベンゾチアジアジノン、ビピリジリウム、カルバメート、クロロアセトアミド、クロロカルボン酸、シクロヘキサンジオン、ジニトロアニリン、ジニトロフェノール、ジフェニルエーテル、グリシン、イミダゾリノン、イソオキサゾール、イソオキサゾリジノン、ニトリル、N−フェニルフタルイミド、オキサジアゾール、オキサゾリジンジオン、オキシアセトアミド、フェノキシカルボン酸、フェニルカルバメート、フェニルピラゾール、フェニルピラゾリン、フェニルピリダジン、ホスフィン酸、ホスホロアミデート、ホスホロジチオエート、フタルアマート、ピラゾール、ピリダジノン、ピリジン、ピリジンカルボン酸、ピリジンカルボキサミド、ピリミジンジオン、ピリミジニル(チオ)ベンゾエート、キノリンカルボン酸、セミカルバゾン、スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン、スルホニル尿素、テトラゾリノン、チアジアゾール、チオカルバメート、トリアジン、トリアジノン、トリアゾール、トリアゾリノン、トリアゾロカルボキサミド、トリアゾロピリミジン、トリケトン、ウラシル、尿素の群からの除草剤である。好適な殺鼠剤の群は抗凝固剤(anticoagulant)、無機殺鼠剤、有機塩素殺鼠剤、有機リン殺鼠剤、ピリミジンアミン殺鼠剤、チオ尿素殺鼠剤、尿素殺鼠剤を含む。
【0017】
一つの実施形態において、殺有害生物剤は殺虫剤を含み、好ましくは、殺有害生物剤は少なくとも1種の殺虫剤からなる。別の実施形態において、殺有害生物剤は殺菌剤を含み、好ましくは、殺有害生物剤は少なくとも1種の殺菌剤からなる。好ましい殺菌剤はピラクロストロビン、メトコナゾール及びエポキシコナゾールである。別の実施形態において、殺有害生物剤は除草剤を含み、好ましくは、殺有害生物剤は少なくとも1種の除草剤からなる。別の実施形態において、殺有害生物剤は殺鼠剤、好ましくは抗凝固剤、特にクマリン誘導体、特に好ましくはフロクマフェン及びジフェナクムを含む。さらに好ましいのは抗凝固剤とエルゴカルシフェロール又はビタミンD3の混合物である。
【0018】
通常、本発明による組成物は、組成物に対して0.1〜70重量%、好ましくは1〜50重量%、特に3〜30重量%の殺有害生物剤を含む。
【0019】
一般に、防腐剤は微生物(バクテリア、菌類等)、昆虫及びその他の小さい生物の影響に対し、農薬組成物の保存期間を延長するために農薬組成物に加えられる化合物である。好ましい防腐剤は殺バクテリア活性及び殺菌活性、特に殺バクテリア活性を有する。
【0020】
防腐剤の例は、安息香酸、そのエステル及び塩、パラ-ヒドロキシ安息香酸(パラベン)、そのエステル及び塩、プロピオン酸及びその塩、サリチル酸及びその塩、2,4-ヘキサジエン酸(ソルビン酸)及びその塩、ホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒド、2-ヒドロキシビフェニルエーテル及びその塩、2-ジンクスルフィドピリジンN-オキシド(2-zincsulfidopyridine N-oxide)、無機亜硫酸塩及び重亜硫酸塩、ヨウ素酸ナトリウム、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、ギ酸、1,6-ビス(4-アミジノ-2-ブロモフェノキシ)-n-ヘキサン及びその塩、10-ウンデシレン酸及びその塩、5-アミノ-1,3-ビス(2-エチルヘキシル)-5-メチルヘキサヒドロピリミジン、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、2,4-ジクロロベンジルアルコール、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、4-クロロ-m-クレゾール、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、1,1'-メチレン-ビス(3-(1-ヒドロキシメチル-2,4-ジオキシミダゾリジン-5-イル)尿素)、ポリ(ヘキサメチレンジグアニド)ヒドロクロリド、2-フェノキシエタノール、ヘキサメチレンテトラミン、1-(3-クロロアリル)-3,5,7-トリアザ-1-アゾニア-アダマンタンクロリド、1(4-クロロフェノキシ)-1-(1H-イミダゾール-1-イル)-3,3-ジメチル-2-ブタノン、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-5,5-ジメチル-2,4-イミダゾリジンジオン、ベンジルアルコール、オクトピロキス、1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン、2,2'-メチレンビス(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、ブロモクロロフェン、ジクロロフェン、2-ベンジル-4-クロロフェノール、2-クロロアセトアミド、クロルヘキシジン、クロルヘキシジンアセテート、クロルヘキシジングルコネート、クロルヘキシジンヒドロクロリド、1-フェノキシプロパン-2-オール、N-アルキル(C12-C22)トリメチルアンモニウムブロミド及びクロリド、4,4-ジメチル-1,3-オキサゾリジン、N-ヒドロキシメチル-N-(1,3-ジ(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキソイミダゾリジン-4-イル)-N'-ヒドロキシメチル尿素、1,6-ビス(4-アミジノフェノキシ)-n-ヘキサン及びその塩、グルタルアルデヒド、5-エチル-1-アザ-3,7-ジオキサビシクロ(3.3.0)オクタン、3-(4-クロロフェノキシ)プロパン-1,2-ジオール、ハイアミン(Hyamine)、アルキル(C8-C18) ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アルキル(C8-C18) ジメチルベンジルアンモニウムブロミド、アルキル(C8-C18)ジメチルベンジルアンモニウムサッカリネート、ベンジルヘミホルマール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、ヒドロキシメチルアミノ酢酸ナトリウム(sodium hydroxymethylaminoacetate)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド及び2Hイソチアゾール-3-オンの誘導体(いわゆるイソチアゾロン誘導体)、例えば、アルキルイソチアゾロン(例えば、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、MIT;クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、CIT)、ベンゾイソチアゾロン(例えば、1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン、BIT、ICIからProxel(登録商標)型として市販されている)又は2-メチル-4,5-トリメチレン-2H-イソチアゾール-3-オン(MTIT)並びにこれらの混合物である。
【0021】
好ましい防腐剤は、プロピオン酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、安息香酸、そのエステル及び塩、パラ-ヒドロキシ安息香酸及びその塩、C1-C4-アルキルパラ-ヒドロキシベンゾエート(アルキルパラベン)及びイソチアゾロン誘導体及びその混合物、2-フェノキシエタノール、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルヘミホルマール及びジクロロフェンである。特に好ましいのはC1-C4-アルキルパラ-ヒドロキシベンゾエート(アルキルパラベン)及びイソチアゾロン誘導体及びその混合物、並びに2-フェノキシエタノールである。
【0022】
非常に特に好ましい防腐剤は、イソチアゾロン誘導体及びその混合物、例えば、アルキルイソチアゾロン(例えば、MIT、CIT)、ベンゾイソチアゾロン(例えば、BIT)、MTIT、MIT及びCIT又はMIT及びBITの混合物である。イソチアゾロン誘導体の混合物、例えば、MIT及びCIT又はMIT及びBITの混合物、特にMIT及びBITの混合物が非常に特に好ましい。一般に、かかる混合物は10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5、特に3:1〜1:3の重量比で存在する。
【0023】
使用される防腐剤濃度は、いずれの場合にも使用される防腐剤によって決まる。従って、いずれの場合にも、好適な濃度は製造業者により、又は、先行技術において述べられており、例えば:
-Thor GmbHからのActicide(登録商標)MBS(BIT 2.5重量%及びMIT 2.5重量%)について、活性物質25〜250ppm(BIT及びMITの総量0.0025〜0.025重量%に相当する)の添加が農薬製剤に推奨される
-Thor GmbHからのActicide(登録商標)MBL(BIT 2.5重量%、MIT 2.5重量%及び2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール 8重量%)について、0.05〜0.5重量%(3種の活性物質の総量0.0065〜0.065重量%に相当する)の添加が農薬製剤に推奨される
-ArchからのProxel(登録商標)DL(9重量%BIT溶液)について、0.1〜0.5重量%(0.0001〜0.0045重量%のBITに相当する)の添加が農薬製剤に推奨される
-ArchからのProxel(登録商標)BD20(19.3重量% BIT懸濁液)について、0.1〜0.5重量%(0.0193〜0.0965重量%BITに相当する)の添加が農薬製剤に推奨される、
と述べられている。
【0024】
従って、本発明による組成物中に使用される防腐剤濃度も、いずれの場合にも使用される防腐剤によって決まるが、一般に、防腐剤の製造者により推奨される濃度よりも少ないか、或いは、製造者が推奨する濃度のより少ない範囲である。当業者は防腐剤の好適な濃度を、簡単な予備試験で決定することができ、この目的のため、1,2-アルカンジオールを添加しない組成物、及びアルカンジオールを添加し、防腐剤濃度を減少させた組成物の保存期間を試験する。その後、アルカンジオールなしの組成物と同等の長い保存期間を有する、減少させた防腐剤濃度を選択する。
【0025】
一般に、本発明による組成物は、組成物に対して0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、特に好ましくは0.05重量%未満、特に0.02重量%未満の防腐剤を含む。防腐剤混合物の場合、濃度データは全ての防腐剤の総量に関する。希釈した水性防腐剤、又は、その他の方法で製剤化された防腐剤の場合、濃度データは純粋な防腐剤に関する。
【0026】
多くの場合、本発明による組成物は製剤補助剤(adjuvant)を含み、補助剤の選択は、通常、特定の使用形態又は活性成分によって決まる。好適な補助剤の例は、溶媒、固体担体、界面活性物質(例えば、界面活性剤、可溶化剤、保護コロイド、湿潤剤及び粘着剤(sticker))、有機及び無機増粘剤、不凍剤、消泡剤、場合によって着色剤及び、(例えば、種子処理用の)接着剤(adhesive)又は餌材及び、(例えば、餌用の)誘引剤である。
【0027】
好適な界面活性物質(補助剤、湿潤剤、粘着剤、分散剤又は乳化剤)は、芳香族スルホン酸、例えばリグノスルホン酸(Borresperse(登録商標)タイプ、Borregaard、ノルウェイ)、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(Morwet(登録商標)タイプ、Akzo Nobel、米国)及びジブチルナフタレンスルホン酸(Nekal(登録商標)タイプ、BASF、ドイツ)、並びに脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウム塩、アルキル及びアルキルアリールスルホネート、アルキルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート及び脂肪アルコールサルフェート、及び、硫酸化ヘキサ−、ヘプタ−、及びオクタデカノールの塩、及び、脂肪アルコールグリコールエーテルの塩、スルホン化ナフタレン及びその誘導体とホルムアルデヒドの縮合物、ナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチル−、オクチル−又はノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセテート、ソルビトールエステル、リグニン−亜硫酸廃液、及びタンパク質、変性タンパク質、多糖(例えば、メチルセルロース)、疎水変性デンプン、ポリビニルアルコール(Mowiol(登録商標)タイプ、Clariant、スイス)、ポリカルボキシレート(Sokalan(登録商標)タイプ、BASF、ドイツ)、ポリアルコキシレート、ポリビニルアミン(Lupamin(登録商標)タイプ、BASF、ドイツ)、ポリエチレンイミン(Lupasol(登録商標)タイプ、BASF、ドイツ)、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマーである。
【0028】
特に好適な界面活性剤はアニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性界面活性剤、ブロックポリマー並びに高分子電解質である。好適なアニオン性界面活性剤はスルホネート、サルフェート、ホスフェート又はカルボキシレートのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩である。スルホネートの例はアルキルアリールスルホネート、ジフェニルスルホネート、アルファ-オレフィンスルホネート、脂肪酸及び脂肪油のスルホネート、エトキシル化アルキルフェノールのスルホネート、縮合したナフタレンのスルホネート、ドデシル-及びトリデシルベンゼンのスルホネート、ナフタレン及びアルキルナフタレンのスルホネート、スルホスクシネート(sulfosuccinate)又はスルホスクシナメート(sulfosuccinamate)である。サルフェートの例は脂肪酸及び脂肪油の、エトキシル化アルキルフェノールの、アルコールの、エトキシル化アルコールの又は脂肪酸エステルのサルフェートである。ホスフェートの例はリン酸エステルである。カルボキシレートの例はアルキルカルボキシレート及びカルボキシル化アルコール又はアルキルフェノールエトキシレートである。
【0029】
好適なノニオン性界面活性剤はアルコキシレート、N-アルキル化脂肪酸アミド、アミンオキシド、エステル又は糖ベースの界面活性剤である。アルコキシレートの例はアルコキシル化されたアルコール、アルキルフェノール、アミン、アミド、アリールフェノール、脂肪酸又は脂肪酸エステル等の化合物である。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドをアルコキシル化に使用することができ、好ましくはエチレンオキシドである。N-アルキル化脂肪酸アミドの例は脂肪酸グルカミド(glucamide)又は脂肪酸アルカノールアミドである。エステルの例は脂肪酸エステル、グリセロールエステル又はモノグリセリドである。糖ベースの界面活性剤の例はソルビタン、エトキシル化ソルビタン、スクロース及びグルコースエステル又はアルキルポリグルコシドである。好適なカチオン性界面活性剤は第4級界面活性剤、例えば、1又は2個の疎水性基を有する第4級アンモニウム化合物又は長鎖第1級アミンの塩である。好適な両性界面活性剤はアルキルベタイン及びイミダゾリンである。好適なブロックポリマーはポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロックを含むA-B又はA-B-A型のブロックポリマー、又はアルカノール、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドを含むA-B-C型のブロックポリマーである。好適な高分子電解質はポリ酸又はポリ塩基(polybase)である。ポリ酸の例はポリアクリル酸のアルカリ金属塩である。ポリ塩基の例はポリビニルアミン又はポリエチレンアミンである。
【0030】
本発明による組成物は様々な量の界面活性物質及び界面活性剤を含むことができ、組成物の総量に対して0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、特に2〜20重量%の界面活性物質及び界面活性剤の総量を含むことができる。
補助剤の例は、有機変性ポリシロキサン(例えば、BreakThruS 240(登録商標))、アルコールアルコキシレート(例えばAtplus(登録商標)245、Atplus(登録商標)MBA 1303、Plurafac(登録商標)LF及びLutensol(登録商標)ON)、EO/POブロックポリマー(例えば、Pluronic(登録商標) RPE 2035及びGenapol(登録商標)B)、アルコールエトキシレート(例えば、Lutensol(登録商標) XP 80)、及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(例えば、Leophen(登録商標) RA)である。
【0031】
増粘剤(すなわち、組成物の流動性を変性させる化合物(すなわち、静止状態で高粘度であり、攪拌状態で低粘度である))の例は、多糖、有機及び無機薄層鉱物(layer mineral)、例えば、キサンタンガム(Kelzan(登録商標), CP Kelco)、Rhodopol(登録商標)23(Rhodia)又はVeegum(登録商標)(R.T. Vanderbilt)又はAttaclay(登録商標)(Engelhard Corp.)である。
【0032】
好適な不凍剤の例はエチレングリコール、プロピレングリコール、尿素及びグリセリンである。
【0033】
消泡剤の例はシリコーンエマルション(例えば、Silikon(登録商標)SRE,Wacker,ドイツ又はRhodorsil(登録商標),Rhodia,フランス)、長鎖アルコール、脂肪酸、脂肪酸の塩、有機フッ素化合物及びその混合物である。
【0034】
着色剤の例は、水に難溶性である顔料及び水溶性の染料の両方である。挙げることができる例は、ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112及びC.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ 43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベーシックレッド10、ベーシックレッド108の名前で知られる染料及び顔料である。
【0035】
粘着剤の例はポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びセルロースエーテル(Tylose(登録商標),Shin-Etsu,日本)である。
【0036】
一般に使用される餌材は、植物又は動物食品及び飼料である。好適な例は、雑穀粉末、穀物粒子、穀物フレーク又は穀物粉末(例えば、オート麦、小麦、大麦、トウモロコシ、ダイズ、米の粉末)、ココナッツフレーク、粉砕ココナッツ、砂糖シロップ(例えば、澱粉を加水分解することによって得られるもの(グルコースシロップ)、転化糖シロップ、甜菜糖シロップ、メープルシロップ)、糖(例えば、スクロース、ラクトース、フルクトース、グルコース)、おろし(grated)ナッツ、粉砕ナッツ(例えば、ヘイゼルナッツ、クルミ、アーモンド)、植物性油脂/油(例えば、菜種油、ダイズ脂、ヒマワリ油、カカオバター、ピーナッツ油、ピーナッツバター、トウモロコシ油)、動物油脂/油(バター、ラード、魚油)、タンパク質(例えば、乾燥脱脂乳、乾燥卵、タンパク質加水分解物)並びに無機物(例えば、食塩)である。
【0037】
誘引剤の例はフェロモン、酵母、甲殻類粉砕物(ground shell fish)、糞便、ベリー、チョコレート、魚粉、肉、黒胡椒、及び、グルタミン酸塩(特にグルタミン酸ナトリウム及びグルタミン酸二ナトリウム)等の調味料である。
【0038】
通常、本発明による組成物は農薬施用に通常使用される組成物として存在する:
1.水で希釈する組成物
i)水溶性濃縮物(SL、LS):
10重量部の活性物質を90重量部の水又は水溶性溶媒に溶解する。或いは、湿潤剤又は他の補助剤を加える。水で希釈すると活性物質が溶解する。この方法により、10重量%の活性物質含有量を有する組成物が得られる。
ii)分散性濃縮物(DC):
20重量部の活性物質を、10重量部の分散剤(例えばポリビニルピロリドン)を加えて、70重量部のシクロヘキサノンに溶解する。水で希釈すると分散液が得られる。活性物質含有量は20重量%である。
iii)乳剤(EC):
15重量部の活性物質を、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びエトキシル化ヒマシ油(それぞれ5重量部)を加えて、75重量部のキシレンに溶解する。水で希釈するとエマルションが得られる。組成物は15重量%の活性物質含有量を有する。
【0039】
iv)エマルション(EW, EO, ES):
25重量部の活性物質を、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びエトキシル化ヒマシ油(それぞれ5重量部)を加えて35重量部のキシレンに溶解する。この混合物を30重量部の水に加え、乳化装置(例えば、Ultra-Turrax)を用いて均一なエマルションにする。水で希釈するとエマルションが得られる。組成物は25重量%の活性物質含有量を有する。
【0040】
v)懸濁液(SC, OD, FS):
撹拌式ボールミル中で、20重量部の活性物質を、10重量部の分散剤及び湿潤剤並びに70重量部の水又は有機溶媒を加えて粉砕して、微細な活性物質の懸濁液を得る。水で希釈すると、活性物質の安定な懸濁液が得られる。組成物中の活性物質含有量は20重量%である。
【0041】
vi)水分散性粒剤及び水溶性粒剤(WG, SG):
50重量部の活性物質を、50重量部の分散剤及び湿潤剤を加えて微細に粉砕し、工業装置(例えば、押出機、噴霧塔、流動床)を用いて水分散性又は水溶性粒剤を調製する。水で希釈すると活性物質の安定な分散液又は溶液が得られる。組成物は50重量%の活性化合物含有量を有する。
【0042】
vii)水分散性粉末及び水溶性粉末(WP, SP, SS, WS):
75重量部の活性物質を、25重量部の分散剤、湿潤剤及びシリカゲルを加えてローターステーターミルで粉砕する。水で希釈すると活性物質の安定な分散液又は溶液が得られる。組成物の活性物質含有量は75重量%である。
【0043】
viii)ゲル(GF):
ボールミル中で、20重量部の活性物質、10重量部の分散剤、1重量部のゲル化剤及び70重量部の水又は有機溶媒を粉砕して微細な懸濁液を得る。水で希釈すると、20重量%の活性物質含有量を有する安定な懸濁液が得られる。
【0044】
2.希釈せずに施用する組成物
ix)粉剤(DP, DS):
5重量部の活性物質を微粉砕し、95重量部の微粉砕カオリンと十分に混合する。これにより、5重量%の活性物質含有量を有する粉剤が得られる。
【0045】
x)粒剤(GR, FG, GG, MG):
0.5重量部の活性物質を微粉砕し、99.5重量部の担体と混合する。この目的のための通常の手順は、押出、噴霧乾燥又は流動床である。これにより、0.5重量%の活性物質含有量を有する希釈せずに施用する粒剤が得られる。
【0046】
xi)ULV溶液(UL):
10重量部の活性物質を、90重量部の有機溶媒(例えば、キシレン)に溶解する。これにより、10重量%の活性物質含有量を有する希釈せずに施用する組成物が得られる。
【0047】
少なくとも10重量%、好ましくは20重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%の水を含む液体組成物、例えば、水溶性濃縮物、エマルション又は懸濁液が好ましい。別の好ましい実施形態において、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも3重量%、特に好ましくは少なくとも5重量%の水を含む固体組成物、例えば、餌、粒剤又はゲルが好ましい。
【0048】
多くの場合、本発明による組成物は、いわゆる、タンクミックス(tank mix)を調製するため、施用の前に希釈される。希釈に好適な物質は、中程度から高沸点の鉱油留分、例えば、ケロシン又はディーゼル油、さらに、コールタール油及び植物又は動物由来の油、脂肪族、環式及び芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン又はその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、イソホロン、強極性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン又は水である。水を使用することが好ましい。通常、希釈組成物は噴霧(spraying)又は煙霧(fogging)により施用される。種々のタイプの油、湿潤剤、補助剤、除草剤、殺バクテリア剤、殺菌剤をタンクミックスに施用の直前に加えることができる(タンクミックス)。これらの薬剤は本発明による組成物に1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の重量比で混合することができる。タンクミックス中の殺有害生物剤濃度は大幅な範囲で変化させることができる。一般に、それらは0.0001〜10%、好ましくは0.01〜1%である。植物保護に使用する場合、施用量は、1ha当り0.01〜2.0kgの活性物質であり、望ましい効果の性質によって決まる。
【0049】
さらに、本発明は、本発明による組成物を各有害生物、その生活環境又は各有害生物から保護すべき植物、土壌及び/又は望ましくない植物及び/又は有用植物及び/又はその生活環境に作用させる、植物病原性菌類及び/又は望ましくない植物成長及び/又は望ましくない昆虫若しくはダニの攻撃を防除するための、並びに/又は植物成長を調節するための本発明による組成物の使用にも関する。さらに、本発明は、有用植物の種子を本発明による組成物で処理する、望ましくない昆虫若しくはダニの植物への攻撃を防除するための、及び/又は、植物病原性菌類を防除するための、及び/又は望ましくない植物成長を抑制するための組成物の使用にも関する。
【0050】
さらに、本発明は、本発明による組成物で処理された、好ましくは粉衣された種子にも関する。種子の処理により、当業者は、組成物が種子に残る種子の粉衣を理解する。種子が本発明による組成物を含むことが特に好ましい。この組成物は希釈されない形態で、又は、好ましくは希釈された形態で種子に施用することができる。該組成物は、0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%の殺有害生物剤が、種子の粉衣に使用する組成物中に存在するように、2〜10倍に希釈することができる。施用は種蒔きの前に行うことができる。植物繁殖材料の処理(特に、種子の処理)は当業者に公知であり、散粉(dusting)、コーティング、ペレット化(pelleting)、植物繁殖材料のディッピング(dipping)又はソーキング(soaking)により行われ、処理は、例えば、種子の早期の発芽を防止するように、好ましくは、ペレット化、コーティング及び散粉により行われる。種子の処理において、一般に、当業者は、繁殖材料又は種子に対して1〜1000g/100kg、好ましくは5〜100g/100kgの量の殺有害生物剤を使用する。
【0051】
さらに、本発明は、殺有害生物剤、防腐剤及び5〜10個の炭素原子を有する非分岐1,2-アルカンジオールを混合する本発明による組成物の製造方法にも関する。好ましい殺有害生物剤、防腐剤及び1,2-アルカンジオールは前記の通りである。成分は、当業者に公知であり、通常、望ましい組成物を製造するために使用される方法により混合される。
【0052】
さらに、本発明は、殺有害生物剤及び防腐剤を含む組成物に使用するための5〜10個の炭素原子を有する非分岐1,2-アルカンジオールの使用にも関する。アルカンジオールは、好ましくは、防腐剤の殺バクテリア活性を増大させるために使用される。好ましくは、組成物は製剤助剤をさらに含む。殺有害生物剤は、好ましくは、除草剤、殺虫剤又は殺鼠剤、特に好ましくは除草剤又は殺鼠剤である。アルカンジオールは、組成物中に、好ましくは防腐剤の防腐活性を増大させるために使用される。アルカンジオールは、特に好ましくは組成物中に、イソチアゾロン誘導体及びその混合物、例えばアルキルイソチアゾロン(例えば、MIT、CIT)、ベンゾイソチアゾロン(例えば、BIT)、MTIT、MITとCITとの、又はMITとBITとの混合物の防腐活性を増大させるために使用される。イソチアゾロン誘導体の混合物、例えば、MITとCITとの、又はMITとBITとの混合物、特にMITとBITとの混合物が非常に特に好ましい。
【0053】
本発明の利点は、農薬組成物が防腐剤濃度が減少していることを特徴とすること、防腐剤の濃度が減少していても、農薬組成物中の防腐剤の抗菌活性が非常に高いこと、さらに、農薬組成物を問題なく製剤化することができること、通常の農薬製剤助剤を使用することができること、通常の農薬施用技術(例えば、噴霧又は種子粉衣)を使用することができること、及び、殺虫又は殺鼠活性が望ましくない臭気又はフレーバー(香気)により悪影響を及ぼされないことである。
【実施例】
【0054】
防腐剤: ThorからActicide(登録商標)MBSの名前で市販されている、2.35〜2.65重量%の2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)と2.35〜2.65重量%の1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(BIT)の水性製剤。製造者は水性製品に0.2〜0.4重量%の濃度で使用することを推奨している。
【0055】
実施例1-農薬製剤の調製
最初に、いずれの場合にも、以下の水性懸濁液濃縮物2.0Lを調製した:
A)懸濁液濃縮物A(「SC A」)
ピリメタニル(殺菌剤) 400g/L
スルホネート含有分散剤 50g/L
増粘剤(キサンタンガム) 2g/L
シリコーン含有消泡剤 1.0g/L
水で1000mLにした。
【0056】
B)懸濁液濃縮物B(「SC B」)
フルキンコナゾール(殺菌剤) 50g/L
ピリメタニル 150g/L
スルホネート含有分散剤 50g/L
増粘剤(キサンタンガム) 4g/L
シリコーン含有消泡剤 1.0g/L
水で1000mLにした。
【0057】
実施例2-SC Aの微生物数試験
懸濁液濃縮物A 100gと表1に詳述される防腐剤量(0.125g/L、0.25g/L、0.5g/L、1g/L、2g/L)及びPDO(10、20、30g/L)とを混合することにより15個のサンプルを調製した。懸濁液濃縮物Aのみを有するサンプルを対照の目的で試験した。
【0058】
いずれの場合にも、サンプル1〜16 10mLに種々のバクテリア種(例えば、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、エスケリキア・コリ(Escherchia coli)、プセウドモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus))からなる微生物混合物を接種し、均一化し、23℃で培養した。サンプル1グラム当りの微生物数(cfu/g)を直後に測定し、24、48、72時間後にも測定した。この目的のため、いずれの場合にも汚染されたサンプル約1gを正確に秤量し、適切な2%濃度の麦芽抽出物寒天の希釈物に画線接種(streaked out)した。汚染されたサンプルを均一化により滅菌水で希釈した。バクテリアを検出するため、麦芽プレートを3日間、23℃で培養した。防腐剤なし、かつ、PDOなしの対照は50000cfu/gを著しく超える非常に高い微生物数を示した。結果を表1にまとめる。
【0059】
1,2-ペンタンジオールを農薬製剤に混合することにより、防腐剤の活性を増大させることができることが示された。
【表1】

【0060】
実施例3-SC Bの微生物数試験
懸濁液濃縮物Aの代わりに懸濁液濃縮物Bを使用して、実施例2と同様に試験を行った。結果を表2にまとめる。1,2-ペンタンジオールを農薬製剤に混合することにより、防腐剤の活性を増大させることができることが示された。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺有害生物剤、防腐剤及び5〜10個の炭素原子を有する非分岐1,2-アルカンジオールを含む農薬組成物。
【請求項2】
アルカンジオールが1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール又は1,2-デカンジオールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アルカンジオールが1,2-ペンタンジオールである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が液体であり、かつ、少なくとも10重量%の水を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
組成物が0.01〜10重量%のアルカンジオールを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が0.5重量%未満の防腐剤を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
防腐剤がプロピオン酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、安息香酸、そのエステル及び塩、パラ-ヒドロキシ安息香酸及びその塩、C1-C4-アルキルパラ-ヒドロキシベンゾエート、イソチアゾロン誘導体及びその混合物、2-フェノキシエタノール、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルヘミホルマール又はジクロロフェンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
防腐剤がイソチアゾロン誘導体又はその混合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
殺有害生物剤、防腐剤及び5〜10個の炭素原子を有する非分岐1,2-アルカンジオールを混合する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
【請求項10】
殺有害生物剤及び防腐剤を含む農薬組成物における使用のための5〜10個の炭素原子を有する非分岐1,2-アルカンジオールの使用。
【請求項11】
植物病原性菌類及び/又は望ましくない植物成長及び/又は望ましくない昆虫若しくはダニの攻撃を防除するための、並びに/又は植物成長を調節するための請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物の使用であって、該組成物を各有害生物、その生活環境又は各有害生物から保護すべき植物、土壌及び/又は望ましくない植物及び/又は有用植物及び/又はその生活環境に作用させる、前記方法。
【請求項12】
望ましくない昆虫若しくはダニの植物への攻撃を防除するための、及び/又は、植物病原性菌類を防除するための、及び/又は望ましくない植物成長を抑制するための請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物の使用であって、有用植物の種子を組成物で処理する、前記使用。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物を含む種子。

【公表番号】特表2012−525327(P2012−525327A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506476(P2012−506476)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055241
【国際公開番号】WO2010/124973
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】