説明

殺真菌剤として使用するためのチエニルアミノピリミジン

本発明は、式(I)


[式中、RからR10ならびにXおよびXは、本明細書において定義されている通りである。]のチエニルアミノピリミジン、これらの農芸化学的に有効な塩、これらの使用、ならびに植物中および/もしくは植物上または植物の種子中および/もしくは植物の種子上における植物病原性の真菌性有害生物を防除するための方法および薬剤に関する。本発明はさらに、前記薬剤を製造する方法、ならびに処理種子、ならびに農業、園芸および森林における、材料の保護におけるならびに家庭の生活および衛生の分野における植物病原性の真菌性有害生物を防除するためのこれらの使用に関する。本発明はさらに、式(I)のチエニルアミノピリミジンを製造するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チエニルアミノピリミジンおよびこれらの農芸化学的に活性な塩、これらの使用ならびに植物中および/もしくは植物上または植物の種子中および/もしくは植物の種子上における植物病原性の有害な真菌を防除するための方法および組成物、こうした組成物および処理種子を調製する方法、ならびに農業、園芸および森林における、材料の保護におけるならびに家庭および衛生分野における植物病原性の有害な真菌を防除するためのこれらの使用にも関する。本発明はさらに、チエニルアミノピリミジンを調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の作物保護剤に対してなされる生態学的および経済的要求が、例えば活性スペクトル、毒性、選択性、施用量、残留物の形成および望ましい製造に関して、常に増加しており、例えば抵抗性の問題がさらにあり得るので、少なくとも一部の領域において、公知の殺真菌剤を超える利点を有する新規な殺真菌剤を開発する必要が常にある。
【0003】
驚くべきことに、本チオフェン置換アミノピリミジンは、記述されている目的の少なくとも一部の態様を解決し、作物保護剤として、特に殺真菌剤として使用するのに適当であることがここで見出された。
【0004】
スルホンアミド置換チオフェンアミノピリミジンは、医薬として活性な化合物としてすでに知られているが(例えば、WO03/076437を参照のこと。)、これらの驚くべき殺真菌性活性は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第03/076437号
【発明の概要】
【0006】
本発明は、式(I)
【0007】
【化1】

[式中、1つ以上の記号は、下記の意味の1つを有する:
は、硫黄またはCRを表し、
は、硫黄またはCRを表し、
ただし、X基およびX基の厳密に1個は硫黄原子を表し、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシまたはハロゲンを表し、
がCRを表す場合、
およびRは互いに独立して、水素、ハロゲン、CN、ニトロ、OR10、O(CHOR10、O[C(R10OR10、O[C(R10N(R10、OCOR11、SR10、SOR10、SO10、C=OR10、CH=NOR10、CR11=NOR10、COCl、CON(R10、COOR10、NR10COR10、N(R10、[C(R10CN、(CHOR10、(CHSR10、[C(R10SR10、(CHSOR10、(CHSO10、(CHN(R10、[C(R10N(R10、(CHCOR10、[C(R10OR10、[C(R10COR10、非置換もしくは置換されているC−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはC−C−ハロアルキルを表し、ここで、m=1−4であり、
ここで、置換基は互いに独立して、水素、フッ素、塩素または臭素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシル、オキソ、C−C−ハロアルキルおよびシアノからなる群から選択され、
ただし、Xが硫黄原子を表す場合、上記の定義はRのみに当てはまり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシまたはハロゲンを表し、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−トリアルキルシリル、C−C−トリアルキルシリルエチル、C−C−ジアルキルモノフェニルシリル、CHO、(C−C−アルキル)カルボニル、(C−C−アルコキシ−C−C−アルキル)カルボニル、(C−C−アルケニルオキシ)カルボニル、(C−C−シクロアルキル)カルボニル、(ハロ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル)カルボニル、(C−C−ハロアルキル)カルボニル、(C−C−アルコキシ)カルボニル、(C−C−ハロアルコキシ)カルボニル、ベンジルオキシカルボニル、非置換もしくは置換ベンジル、非置換もしくは置換C−C−アルケニル、非置換もしくは置換C−C−アルキニル、C−C−アルキルスルフィニルまたはC−C−アルキルスルホニルを表し、
ここで、置換基は互いに独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシル、C−C−ハロアルキルまたはシアノからなる群から選択され、
は、水素、C−C−アルキル、シアノまたはC−C−ハロアルキルを表し、
は、ハロゲン、シアノ、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルキルオキシ、SMe、SOMeまたはSOMeを表し、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−トリアルキルシリル、C−C−トリアルキルシリルエチル、C−C−ジアルキルモノフェニルシリル、(C−C−アルキル)カルボニル、(C−C−ハロアルキル)カルボニル、(C−C−アルコキシ)カルボニル、非置換もしくは置換ベンジル、非置換もしくは置換C−C−アルケニル、非置換もしくは置換C−C−アルキニル、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルフィニルまたはC−C−ハロアルキルスルホニルを表し、
ここで、置換基は互いに独立して、フッ素、塩素および臭素の原子、シアノ、ヒドロキシル、メトキシならびにCFからなる群から選択され、
は、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−アルキル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−ハロアルキル、非置換もしくは置換C−C−シクロアルキル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−アルケニル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−アルキニル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−ハロアルコキシ−C−C−アルキル、2−メチル−1−(メチルスルファニル)プロパン−2−イルまたはオキセタン−3−イルを表す、
または
およびRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素からなる群から選択される最大1個までのさらなるヘテロ原子を含有してよい非置換または置換されている3員から7員の飽和環を形成し、
10は同一でありまたは異なり、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、非置換もしくは置換C−C−シクロアルキル、C−C−トリアルキルシリル、非置換もしくは置換C−C−アルケニル、非置換もしくは置換C−C−アルキニル、非置換もしくは置換フェニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、非置換もしくは置換ベンジル、またはN、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含有しないもしくは最大4個までのヘテロ原子を含有してよい(ただし2個の酸素原子は隣接しない)3員から7員の非置換もしくは置換の飽和もしくは不飽和環を表し、
または
2個のR10基が窒素原子に結合している場合、2個のR10基は、N、OおよびSからなる群から選択される最大4個までのさらなるヘテロ原子を含有してよい(ただし2個の酸素原子は隣接しない。)3員から7員の非置換または置換の飽和または不飽和環を形成することができ、
または
2個のR10基がNR10COR10基において隣接する場合、2個のR10基は、N、OおよびSからなる群から選択される最大4個までのさらなるヘテロ原子を含有してよい(ただし2個の酸素原子は隣接しない。)3員から7員の非置換または置換の飽和または不飽和環を形成することができ、
11は同一でありまたは異なり、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−トリアルキルシリル、非置換もしくは置換C−C−アルケニル、非置換もしくは置換C−C−アルキニル、非置換もしくは置換C−C−シクロアルキル、非置換もしくは置換アリール、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、非置換もしくは置換ベンジル、またはN、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含有しないもしくは最大4個までのヘテロ原子を含有してよい(ここで2個の酸素原子は隣接しない。)3員から7員の非置換もしくは置換の飽和もしくは不飽和環を表し、
ここで、R10における置換基は互いに独立して、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、フッ素、塩素および臭素の原子、メトキシ、エトキシ、メチルメルカプト、エチルメルカプト、シアノ、ヒドロキシルおよびCFからなる群から選択される。]
の化合物、およびこれらの農芸化学的に活性な塩も提供する。
【0008】
本発明は、殺真菌剤として式(I)の化合物の使用も提供する。
【0009】
本発明による式(I)のチエニルアミノピリミジンおよびこれらの農芸化学的に活性な塩は、植物病原性の有害な真菌を防除するのに非常に適当である。上述されている本発明による化合物は、特に殺真菌性活性を有し、作物保護において、家庭および衛生の分野において、ならびに材料の保護においての両方に使用することができる。
【0010】
式(I)の化合物は、純粋な形態で、ならびに各種の可能な異性体形態の混合物、特に、EおよびZ、トレオおよびエリトロなどの立体異性体ならびにさらにRおよびS異性体またはアトロプ異性体などの光学異性体の混合物、ならびに適切な場合さらに互変異性体の混合物としての両方で存在することができる。特許請求しているのは、EおよびZ異性体ならびにトレオおよびエリトロならびにさらに光学異性体、これらの異性体の混合物、ならびにさらに可能な互変異性形態である。
【0011】
好ましいのは、1つ以上の記号が下記の意味の1つを有する式(I)の化合物、およびさらにこれらの農芸化学的に活性な塩である。
は、硫黄またはCRを表し、
は、硫黄またはCRを表し、
ただし、X基およびX基の厳密に1個は硫黄原子を表し、
は、水素、メチル、メトキシまたはClを表し、
がCRを表す場合、
およびRは互いに独立して、水素、ハロゲン、CN、ニトロ、ヒドロキシル、O−C−C−アルキル、O−(C−C−ハロアルキル)、O−(C−C−シクロアルキル)、O−C−C−アルケニル、O−C−C−アルキニル、O(CHO(C−C−アルキル)、OPh、OCO(C−C−アルキル)、SH、S−C−C−アルキル、S−C−C−ハロアルキル、SPh、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−ハロアルキル)、SO(C−C−アルケニル)、SO(C−C−アルキニル)、CHO、CO(C−C−アルキル)、CH=NO(C−C−アルキル)、C(C−C−アルキル)=NO(C−C−アルキル)、CONH(C−C−アルキル)、CON(C−C−アルキル)、CON(SiMe、CONH(C−C−ハロアルキル)、CONH(C−C−アルケニル)、CONH(C−C−アルキニル)、CONH(C−C−シクロアルキル)、CONHCHC(=CH)CH、CONHCH(CH)CHO(C−C−アルキル)、CONH(CHO(C−C−アルキル)、CONH(CHS(C−C−アルキル)、CONHCH(CH)CHS(C−C−アルキル)、CONHPh、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、アジリジン−1−イルカルボニル、ヘキサメチレンイミン−1−イル−カルボニル、モルホリン−1−イルカルボニル、チオモルホリン−1−イルカルボニル、COOH、COCl、(C−C−アルコキシ)カルボニル、NHCO(C−C−アルキル)、NHCO(C−C−ハロアルキル)、N(C−C−アルキル)CO(C−C−アルキル)、NHCO(C−C−アルケニル)、NHCOPh、NHCO(C=CH)CH、NHCON(C−C−アルキル)、NHCO(CHO(C−C−アルキル)、NHCHO、N(C−C−アルキル)CHO、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、NHCH(C−C−アルキル)CHO(C−C−アルキル)、(CHCN、(CHSO(C−C−アルキル)、(CHSO(C−C−アルキル)、(CHCO(C−C−アルキル)、(CHO(C−C−アルキル)、C(CHO(C−C−アルキル)、(CHC(C−C−アルキル)O(C−C−アルキル)、CHOH、(CH)mS(C−C−アルキル)、C(CHS(C−C−アルキル)、(CHNH(C−C−アルキル)、(CHN(C−C−アルキル)、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキルまたはC−C−ハロアルキルを表し、
ただし、Xが硫黄原子を表す場合、上記の定義はRのみに当てはまり、mは1から4の数に対応し、
は、水素、メチル、メトキシ、塩素またはフッ素を表し、
は、水素、Me、COMe、CHO、COCHOCH、CHOCH、COOMe、COOEt、COOtertBu、COOBn、COCF、CHCH=CH、CHC≡CH、SOCH、SOCHまたはベンジルを表し、
は、水素、シアノ、メチル、CFまたはCFHを表し、
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、OCFまたはCFを表し、
は、水素、メチル、エチル、プロピル、プロパン−2−イル、2−メトキシエタン−1−イル、プロパ−2−エン−1−イル、CHOCH、COH、COMe、COOMe、COOEt、COOtertBu、COCFまたはベンジルを表し、
は、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−アルキル、非置換もしくは置換C−C−シクロアルキル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、非置換もしくは置換C−C−ハロアルキル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−アルケニルまたは2−メチル−1−(メチルスルファニル)プロパン−2−イルを表し、
ここで、Rにおける置換基は互いに独立して、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、フッ素、塩素および臭素の原子、メトキシ、エトキシ、メチルメルカプト、エチルメルカプト、シアノ、ヒドロキシルならびにCFからなる群から選択される。
【0012】
特に好ましいのは、1つ以上の記号が下記の意味の1つを有する式(I)の化合物、およびさらにこれらの農芸化学的に活性な塩である。
は、硫黄またはCRを表し、
は、硫黄またはCRを表し、
ただし、X基およびX基の厳密に1個は硫黄原子であり、
は、水素を表し、
がCRを表す場合、
およびRは互いに独立して、水素、COOMe、COOEt、COOPr、COOiPr、CONH(C)、CONH(CHOMe、CONHCH(CH)CHOMe、CONHOH、CONHMe、CONHEt、CONHPr、CONHiPr、CONH(i−C)、CONHPh、CONH(CHSCH、CONHCH(CH)CHSCH、CONHCHCF、CONHCHCH=CH、CONHCHC≡CH、CONMeCHC≡CH、CONHCHC(=CH)CH、CONHPh、CONHシクロプロピル、CON(Me)iC、CON(Me)CHCH=CH、CON(Et)、CON(Me)シクロプロピルメチル、CON(Me)シクロブチルメチル、CON(Ph)、CON(Me)、CON(Pr)、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、アジリジン−1−イル−カルボニル、ヘキサメチレンイミン−1−イルカルボニル、モルホリン−1−イルカルボニル、チオモルホリン−1−イルカルボニル、CON(SiMe、COMe、COEt、COPr、CN、C(=NOCH)Me、C(=NOEt)Me、C(=NOPr)Me、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、SH、SMe、SEt、SPr、SCF、SPh、COOH、Me、Et、Pr、SOMe、SOEt、CHOMeまたはCHOEtを表し、
ただし、Xが硫黄原子を表す場合、上記の定義はRのみに当てはまり、
は、水素を表し、
は、水素、COMe、CHO、CHOCH、COOMeまたはCHC≡CHを表し、
は、水素を表し、
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、OCFまたはCFを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、シクロプロピル、シクロブチル、2−メチルシクロプロパ−1−イル、2−メチルシクロブタ−1−イル、3−メチルシクロブタ−1−イル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、イソプロピル、シクロプロピルメチル、メチル、エチル、2,2−ジメチルシクロプロピル、シクロペンチル、プロパン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル、ブタン−2−イル、1−メトキシプロパン−2−イル、2−メチル−1−(メチルスルファニル)プロパン−2−イル、オキセタン−3−イル、1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルまたは2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルを表す。
【0013】
非常に特に好ましいのは、1つ以上の記号が下記の意味の1つを有する式(I)の化合物、およびさらにこれらの農芸化学的に活性な塩である。
は、硫黄またはCRを表し、
は、硫黄またはCRを表し、
ただし、X基およびX基の厳密に1個は硫黄原子を表し、
は、水素を表し、
がCRを表す場合、
およびRは互いに独立して、水素、CH、COOMe、CONH(tert−C)、CONH(CHOMe、CONHCH(CH)CHOMe、CONHOH、CON(Me)iC、CON(Me)CHCH=CH、CON(Et)、CONメチルシクロプロピルメチル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−1−イルカルボニル、COMe、CN、C(=NOCH)CH、塩素、臭素、SMe、CONHCHCF、CONHCHCH=CH、CONHCHC≡CH、CONMeCHC≡CH、CONHCHC(=CH)CH、CONHPh、CONHシクロプロピル、(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル、COOHまたはSOMeを表し、
ただし、Xが硫黄原子を表す場合、上記の定義はRのみに当てはまり、
は、水素を表し、
は、水素を表し、
は、水素を表し、
は、塩素、臭素またはCFを表し、
は、水素を表し、
は、シクロプロピル、シクロブチル、2−メチルシクロプロパ−1−イル、2−メチルシクロブタ−1−イル、3−メチルシクロブタ−1−イル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、イソプロピルまたはシクロプロピルメチルを表す。
【0014】
非常に特に好ましいのはさらに、1つ以上の記号が下記の意味の1つを有する式(I)の化合物、およびさらにこれらの農芸化学的に活性な塩である。
は、硫黄を表し、
は、CRを表し、
は、水素、CH、COOMe、CONH(CHOMe、COMe、SMe、SOMeまたはCNを表し、
は、水素またはCNを表す、
または
は、CRを表し、
は、硫黄を表し、
は、水素を表し、
は、水素、COOMe、CON(Me)(iC)、CONH(tert−C)、CONH(CHOMe、CONHCH(CH)CHOMe、CONHOH、CON(Me)CHCH=CH、CONHCHCH=CH、CON(Et)、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−1−イルカルボニル、COMeまたはCNを表し、
は、水素を表し、
は、水素を表し、
は、水素を表し、
は、塩素、臭素またはCFを表し、
は、水素を表し、
は、シクロプロピル、シクロブチル、2−メチルシクロプロパ−1−イル、2−メチルシクロブタ−1−イル、3−メチルシクロブタ−1−イル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、イソプロピルまたはシクロプロピルメチルを表す。
【0015】
好ましいのはさらに、
が硫黄原子を表し、
ここで、他の置換基が1つ以上の上述されている意味を有する
式(I)の化合物、およびこれらの農芸化学的に活性な塩である。
【0016】
好ましいのはさらに、
が硫黄原子を表し、
ここで、他の置換基が1つ以上の上述されている意味を有する
式(I)の化合物、およびこれらの農芸化学的に活性な塩である。
【0017】
好ましいのはさらに、
が硫黄原子を表し、
およびRがともに水素を表し、
ここで、他の置換基が1つ以上の上述されている意味を有する
式(I)の化合物、およびこれらの農芸化学的に活性な塩である。
【0018】
好ましいのはさらに、
が水素、CH、COOMe、CONH(C)、CONH(CHOMe、CONHCH(CH)CHOMe、CONHOH、CON(Me)iC、CON(Me)CHCH=CH、CON(Et)、CONメチルシクロプロピルメチル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−1−イルカルボニル、COMe、CN、C(=NOCH)CH、塩素、臭素、SMe、CONHCHCF、CONHCHCH=CH、CONHCHC≡CH、CONMeCHC≡CH、CONHCHC(=CH)CH、CONHPh、CONHシクロプロピル、(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル、COOHまたはSOMeを表し、
ここで、他の置換基が1つ以上の上述されている意味を有する
式(I)の化合物、およびこれらの農芸化学的に活性な塩である。
【0019】
好ましいのはさらに、
が水素、CH、COOMe、CONH(C)、CONH(CHOMe、CONHCH(CH)CHOMe、CONHOH、CON(Me)iC、CON(Me)CHCH=CH、CON(Et)、CONメチルシクロプロピルメチル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−1−イルカルボニル、COMe、CN、C(=NOCH)CH、塩素、臭素、SMe、CONHCHCF、CONHCHCH=CH、CONHCHC≡CH、CONMeCH≡CH、CONHCHC(=CH)CH、CONHPh、CONHシクロプロピル、(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル、COOHまたはSOMeを表し、
ここで、他の置換基が1つ以上の上述されている意味を有する
式(I)の化合物、およびこれらの農芸化学的に活性な塩である。
【0020】
好ましいのはさらに、
が水素を表し、
ここで、他の置換基が1つ以上の上述されている意味を有する
式(I)の化合物、およびこれらの農芸化学的に活性な塩である。
【0021】
好ましいのはさらに、
が水素を表し、
ここで、他の置換基が1つ以上の上述されている意味を有する
式(I)の化合物、およびこれらの農芸化学的に活性な塩である。
【0022】
好ましいのはさらに、
が水素を表し、
ここで、他の置換基が1つ以上の上述されている意味を有する
式(I)の化合物、およびこれらの農芸化学的に活性な塩である。
【0023】
好ましいのはさらに、
がCl、BrまたはCFを表し、
ここで、他の置換基が1つ以上の上述されている意味を有する
式(I)の化合物、およびこれらの農芸化学的に活性な塩である。
【0024】
好ましいのはさらに、
が水素またはメチルを表し、
ここで、他の置換基が1つ以上の上述されている意味を有する
式(I)の化合物、およびこれらの農芸化学的に活性な塩である。
【0025】
好ましいのはさらに、
がシクロプロピル、シクロブチル、2−メチルシクロプロパ−1−イル、2−メチルシクロブタ−1−イル、3−メチルシクロブタ−1−イル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、イソプロピルまたはシクロプロピルメチルを表し、
ここで、他の置換基が1つ以上の上述されている意味を有する
式(I)の化合物、およびこれらの農芸化学的に活性な塩である。
【0026】
好ましいのはさらに、
がCRを表し、
、R、RおよびRが水素を表し、
ここで、他の置換基が1つ以上の上述されている意味を有する
式(I)の化合物、およびこれらの農芸化学的に活性な塩である。
【0027】
上記基の定義は、所望の通りに互いに組み合わせることができる。さらに、個々の定義が当てはまらなくてもよい。
【0028】
無機酸の例は、フッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素などのハロゲン化水素酸、硫酸、リン酸および硝酸、ならびにNaHSOおよびKHSOなどの酸性塩である。適当な有機酸は、例えば、ギ酸、炭酸、ならびに酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸およびプロピオン酸などのアルカン酸、ならびにさらにグリコール酸、チオシアン酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、シュウ酸、アルキルスルホン酸(1個から20個の炭素原子の直鎖または分枝のアルキル基を有するスルホン酸)、アリールスルホン酸またはアリールジスルホン酸(1個または2個のスルホン酸基を保有する、フェニルおよびナフチルなどの芳香族基)、アルキルホスホン酸(1個から20個の炭素原子の直鎖または分枝のアルキル基を有するホスホン酸)、アリールホスホン酸またはアリールジホスホン酸(1個または2個のホスホン酸基を保有する、フェニルおよびナフチルなどの芳香族基)であり、ここで、アルキル基およびアリール基は、さらなる置換基、例えばp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸などを保有していてよい。
【0029】
適当な金属イオンは、第2主族元素、特にカルシウムおよびマグネシウムのイオン、第3および第4主族元素、特にアルミニウム、スズおよび鉛のイオン、ならびにさらに第1から第8遷移族元素、特にクロミウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛および他のイオンである。特に好ましいのは、第4周期元素の金属イオンである。本発明において、該金属は、これらがとり得る様々な価数で存在することができる。
【0030】
任意に置換されている基は、一置換または多置換であってよく、ここで多置換の場合、置換基は同一であってよいまたは異なっていてよい。
【0031】
上記式中にある記号の定義において、以下の置換基に関して一般に代表的である総称を使用した。
ハロゲン:フッ素、塩素、臭素およびヨウ素、
アリール:C(=O)、(C=S)基から選択される最大3環員までを有する、非置換または任意に置換されている5員から15員の部分的または完全不飽和の単環式、二環式または三環式環系、ただし、該環系の環の少なくとも1個は完全不飽和であり、例えば(これらに限定されないが)ベンゼン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アントラセン、インダン、フェナントレン、アズレンなど、
アルキル:1個から10個の炭素原子を有する飽和直鎖または分枝の炭化水素基、例えば(これらに限定されないが)メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピルおよび1−エチル−2−メチルプロピル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、オクチル、1,1−ジメチルヘキシル、2−エチルヘキシル、1−エチルヘキシル、ノニル、1,2,2−トリメチルヘキシル、デシルなど、
ハロアルキル:(上述されている通りの)1個から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキル基、ここで、これらの基における水素原子の一部または全部は、上述されている通りのハロゲン原子によって置き換えられていてよく、例えば(これらに限定されないが)、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロ−2−フルオロエチル、2−クロロ−2−ジフルオロエチル、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペンタフルオロエチルおよび1,1,1−トリフルオロプロパ−2−イルなどのC−C−ハロアルキルなど、
アルケニル:2個から16個の炭素原子および任意の位置において少なくとも1個の二重結合を有する不飽和直鎖または分枝の炭化水素基、例えば(これらに限定されないが)、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−1−ブテニル、2−メチル−1−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、1,2−ジメチル−1−プロペニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−プロペニル、1−エチル−2−プロペニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−1−ペンテニル、2−メチル−1−ペンテニル、3−メチル−1−ペンテニル、4−メチル−1−ペンテニル、1−メチル−2−ペンテニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、4−メチル−2−ペンテニル、1−メチル−3−ペンテニル、2−メチル−3−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、2−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,1−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、1,2−ジメチル−1−ブテニル、1,2−ジメチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−1−ブテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、2,2−ジメチル−3−ブテニル、2,3−ジメチル−1−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−3−ブテニル、3,3−ジメチル−1−ブテニル、3,3−ジメチル−2−ブテニル、1−エチル−1−ブテニル、1−エチル−2−ブテニル、1−エチル−3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−エチル−2−ブテニル、2−エチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニル、1−エチル−2−メチル−1−プロペニルおよび1−エチル−2−メチル−2−プロペニルなどのC−C−アルケニルなど、
アルキニル:2個から16個の炭素原子および任意の位置に少なくとも1個の三重結合を有する直鎖または分枝の炭化水素基、例えば(これらに限定されないが)、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、3−メチル−1−ブチニル、1,1−ジメチル−2−プロピニル、1−エチル−2−プロピニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−メチル−2−ペンチニル、1−メチル−3−ペンチニル、1−メチル−4−ペンチニル、2−メチル−3−ペンチニル、2−メチル−4−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、3−メチル−4−ペンチニル、4−メチル−1−ペンチニル、4−メチル−2−ペンチニル、1,1−ジメチル−2−ブチニル、1,1−ジメチル−3−ブチニル、1,2−ジメチル−3−ブチニル、2,2−ジメチル−3−ブチニル、3,3−ジメチル−1−ブチニル、1−エチル−2−ブチニル、1−エチル−3−ブチニル、2−エチル−3−ブチニルおよび1−エチル−1−メチル−2−プロピニルなどのC−C−アルキニルなど、
アルコキシ:1個から4個の炭素原子を有する飽和直鎖または分枝のアルコキシ基、例えば(これらに限定されないが)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1−メチルエトキシ、ブトキシ、1−メチル−プロポキシ、2−メチルプロポキシ、1,1−ジメチルエトキシなどのC−C−アルコキシなど、
ハロアルコキシ:(上述されている通りの)1個から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルコキシ基、ここで、これらの基における水素原子の一部または全部は、上述されている通りのハロゲン原子によって置き換えられていてよく、例えば(これらに限定されないが)、クロロメトキシ、ブロモメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロフルオロメトキシ、ジクロロフルオロメトキシ、クロロジフルオロメトキシ、1−クロロエトキシ、1−ブロモエトキシ、1−フルオロエトキシ、2−フルオロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2−クロロ−2−フルオロエトキシ、2−クロロ−2,2−ジフルオロエトキシ、2,2−ジクロロ−2−フルオロエトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ、ペンタフルオロエトキシおよび1,1,1−トリフルオロプロパ−2−オキシなどのC−C−ハロアルコキシなど、
チオアルキル:1個から6個の炭素原子を有する飽和直鎖または分枝のアルキルチオ基、例えば(これらに限定されないが)、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、1−メチルエチルチオ、ブチルチオ、1−メチルプロピルチオ、2−メチルプロピルチオ、1,1−ジメチルエチルチオ、ペンチルチオ、1−メチルブチルチオ、2−メチルブチルチオ、3−メチルブチルチオ、2,2−ジメチルプロピルチオ、1−エチルプロピルチオ、ヘキシルチオ、1,1−ジメチルプロピルチオ、1,2−ジメチルプロピルチオ、1−メチルペンチルチオ、2−メチルペンチルチオ、3−メチルペンチルチオ、4−メチルペンチルチオ、1,1−ジメチルブチルチオ、1,2−ジメチルブチルチオ、1,3−ジメチルブチルチオ、2,2−ジメチルブチルチオ、2,3−ジメチルブチルチオ、3,3−ジメチルブチルチオ、1−エチルブチルチオ、2−エチルブチルチオ、1,1,2−トリメチルプロピルチオ、1,2,2−トリメチルプロピルチオ、1−エチル−1−メチルプロピルチオおよび1−エチル−2−メチルプロピルチオなどのC−C−アルキルチオなど、
チオハロアルキル:(上述されている通りの)1個から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキルチオ基、ここで、これらの基における水素原子の一部または全部は、上述されている通りのハロゲン原子によって置き換えられていてよく、例えば(これらに限定されないが)、クロロメチルチオ、ブロモメチルチオ、ジクロロメチルチオ、トリクロロメチルチオ、フルオロメチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、クロロフルオロメチルチオ、ジクロロフルオロメチルチオ、クロロジフルオロメチルチオ、1−クロロエチルチオ、1−ブロモエチルチオ、1−フルオロエチルチオ、2−フルオロエチルチオ、2,2−ジフルオロエチルチオ、2,2,2−トリフルオロエチルチオ、2−クロロ−2−フルオロエチルチオ、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチルチオ、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチルチオ、2,2,2−トリクロロエチルチオ、ペンタフルオロエチルチオおよび1,1,1−トリフルオロプロパ−2−イルチオなどのC−C−ハロアルキルチオなど、
シクロアルキル:3個から10個の炭素環員を有する単環式、二環式または三環式の飽和炭化水素基、例えば(これらに限定されないが)、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、ビシクロ[1、0、1]ブタン、デカリニル、ノルボルニルなど、
シクロアルケニル:5個から15個の炭素環員および少なくとも1個の二重結合を有する単環式、二環式または三環式の非芳香族炭化水素基、例えば(これらに限定されないが)、シクロペンテン−1−イル、シクロヘキセン−1−イル、シクロヘプタ−1,3−ジエン−1−イル、ノルボルン−1−イルなど、
(アルコキシ)カルボニル:カルボニル基(−CO−)を介して骨格に結合している(上述されている通りの)1個から4個の炭素原子を有するアルコキシ基、
ヘテロシクリル:酸素、窒素および硫黄からなる群からの1個から4個のヘテロ原子を含有する3員から15員の飽和または部分不飽和複素環:炭素環員に加えて1個から3個の窒素原子および/または1個の酸素原子もしくは硫黄原子または1個もしくは2個の酸素原子および/または硫黄原子を含有する単環式、二環式または三環式の複素環;該環が複数の酸素原子を含有する場合、これらは直接隣接しない;例えば(これらに限定されないが)、オキシラニル、アジリジニル、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチエニル、3−テトラヒドロチエニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、3−イソオキサゾリジニル、4−イソオキサゾリジニル、5−イソオキサゾリジニル、3−イソチアゾリジニル、4−イソチアゾリジニル、5−イソチアゾリジニル、3−ピラゾリジニル、4−ピラゾリジニル、5−ピラゾリジニル、2−オキサゾリジニル、4−オキサゾリジニル、5−オキサゾリジニル、2−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、5−チアゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、1,2,4−オキサジアゾリジン−3−イル、1,2,4−オキサジアゾリジン−5−イル、1,2,4−チアジアゾリジン−3−イル、1,2,4−チアジアゾリジン−5−イル、1,2,4−トリアゾリジン−3−イル、1,3,4−オキサジアゾリジン−2−イル、1,3,4−チアジアゾリジン−2−イル、1,3,4−トリアゾリジン−2−イル、2,3−ジヒドロフール−2−イル、2,3−ジヒドロフール−3−イル、2,4−ジヒドロフール−2−イル、2,4−ジヒドロフール−3−イル、2,3−ジヒドロチエン−2−イル、2,3−ジヒドロチエン−3−イル、2,4−ジヒドロチエン−2−イル、2,4−ジヒドロチエン−3−イル、2−ピロリン−2−イル、2−ピロリン−3−イル、3−ピロリン−2−イル、3−ピロリン−3−イル、2−イソオキサゾリン−3−イル、3−イソオキサゾリン−3−イル、4−イソオキサゾリン−3−イル、2−イソオキサゾリン−4−イル、3−イソオキサゾリン−4−イル、4−イソオキサゾリン−4−イル、2−イソオキサゾリン−5−イル、3−イソオキサゾリン−5−イル、4−イソオキサゾリン−5−イル、2−イソチアゾリン−3−イル、3−イソチアゾリン−3−イル、4−イソチアゾリン−3−イル、2−イソチアゾリン−4−イル、3−イソチアゾリン−4−イル、4−イソチアゾリン−4−イル、2−イソチアゾリン−5−イル、3−イソチアゾリン−5−イル、4−イソチアゾリン−5−イル、2,3−ジヒドロピラゾール−1−イル、2,3−ジヒドロピラゾール−2−イル、2,3−ジヒドロピラゾール−3−イル、2,3−ジヒドロピラゾール−4−イル、2,3−ジヒドロピラゾール−5−イル、3,4−ジヒドロピラゾール−1−イル、3,4−ジヒドロピラゾール−3−イル、3,4−ジヒドロピラゾール−4−イル、3,4−ジヒドロピラゾール−5−イル、4,5−ジヒドロピラゾール−1−イル、4,5−ジヒドロピラゾール−3−イル、4,5−ジヒドロピラゾール−4−イル、4,5−ジヒドロピラゾール−5−イル、2,3−ジヒドロオキサゾール−2−イル、2,3−ジヒドロオキサゾール−3−イル、2,3−ジヒドロオキサゾール−4−イル、2,3−ジヒドロオキサゾール−5−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−2−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−3−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−4−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−5−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−2−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−3−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−4−イル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、1,3−ジオキサン−5−イル、2−テトラ−ヒドロピラニル、4−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロチエニル、3−ヘキサヒドロ−ピリダジニル、4−ヘキサヒドロピリダジニル、2−ヘキサヒドロピリミジニル、4−ヘキサヒドロピリミジニル、5−ヘキサヒドロピリミジニル、2−ピペラジニル、1,3,5−ヘキサヒドロ−トリアジン−2−イルおよび1,2,4−ヘキサヒドロトリアジン−3−イルなど、
ヘタリール:非置換または任意に置換されている5員から15員の部分的または完全不飽和の単環式、二環式または三環式環系、ここで、該環系の環の少なくとも1個は、酸素、窒素および硫黄からなる群からの1個から4個のヘテロ原子を含む完全不飽和であり、該環が複数の酸素原子を含有する場合、これらは直接隣接することなく;
例えば(これらに限定されないが)、
−1個から4個の窒素原子を含有する、または1個から3個の窒素原子および1個の硫黄原子もしくは酸素原子を含有する5員のヘテロアリール:炭素原子に加えて、1個から4個の窒素原子を環員として含有してよい、または1個から3個の窒素原子および1個の硫黄原子または酸素原子を環員として含有してよい5員のヘテロアリール基、例えば2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イルおよび1,3,4−トリアゾール−2−イル、
−1個から3個の窒素原子を含有する、または1個の窒素原子および1個の酸素原子もしくは硫黄原子を含有するベンゾ縮合5員のヘテロアリール:炭素原子に加えて、1個から4個の窒素原子を環員として含有してよく、または1個から3個の窒素原子および1個の硫黄原子もしくは酸素原子を環員として含有してよく、2個の隣接する炭素環員または1個の窒素および1個の隣接する炭素環員が、1個または2個の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてよいブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル基によって架橋されていてよい5員のヘテロアリール基;例えばベンズインドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾフリル、
−1個から4個の窒素原子を含有し、窒素を介して結合している5員のヘテロアリール、または1個から3個の窒素原子を含有し、窒素を介して結合しているベンゾ縮合5員のヘテロアリール:炭素原子に加えて1個から4個の窒素原子または1個から3個の窒素原子を環員として含有してよく、2個の隣接する炭素環員または1個の窒素および1個の隣接する炭素環員が、1個または2個の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてよいブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル基によって架橋されていてよい5員のヘテロアリール基、ただし、これらの環は窒素環員の1個を介して骨格に結合しており、例えば1−ピロリル、1−ピラゾリル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,3,4−トリアゾール−1−イル、
−1個から3個のまたは1個から4個の窒素原子を含有する6員のヘテロアリール:炭素原子に加えて1個から3個のまたは1個から4個の窒素原子を環員として含有してよい6員のヘテロアリール基、例えば2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イルおよび1,2,4−トリアジン−3−イル
など。
【0032】
含まれないのは、自然の法則に反し、したがって当業者が専門知識に基づいて排除すると思われる組合せである。排除されるのは、例えば、3個以上の隣接する酸素原子を有する環状構造である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明はさらに、下記のステップ(a)から(e)の少なくとも1つを含む、本発明による式(I)のチエニルアミノピリミジンを調製するための方法に関する。
【0034】
(a)下記反応スキーム(スキーム1)に従った、式(V)の化合物を得るための、塩基の存在下、適切な場合溶媒の存在下、適切な場合触媒の存在下における式(III)の2,4−ジハロピリミジンと式(II)のアミンとの反応、
【0035】
【化2】

[式中、Y=F、Cl、Br、I]
【0036】
(b)下記反応スキーム(スキーム2)に従った、適切な場合酸の存在下、適切な場合溶媒の存在下における式(V)の化合物と式(IV)のアミノチオフェンとの反応、
【0037】
【化3】

[式中、Y=F、Cl、Br、I]
【0038】
(c)下記反応スキーム(スキーム3)に従った、適切な場合酸の存在下および溶媒の存在下における式(VI)の化合物と式(IV)のアミノチオフェンとの反応、
【0039】
【化4】

[式中、Hal=F、Cl、Br、I]
【0040】
(d)下記反応スキーム(スキーム4)に従った、式(X)の化合物を得るための、適切な場合溶媒の存在下における式(IX)の化合物とハロゲン化剤との反応、
【0041】
【化5】

【0042】
(e)下記反応スキーム(スキーム5)に従った、式(I)の化合物を得るための、塩基の存在下、適切な場合溶媒の存在下、適切な場合触媒の存在下における式(X)の化合物と式(II)のアミンとの反応、
【0043】
【化6】

ここで、上記スキームにおけるR基からR基ならびにX基およびX基の定義は、所定の定義に対応し、YおよびHalは、F、Cl、Br、Iを表す。
【0044】
式(V)の化合物を調製する一方法が、スキーム1に示されている。
【0045】
式(II)のアルキルアミノ化合物は市販されている、または文献の手順によって調製することができるのいずれかである。タイプ(II)の適当なシクロプロピルアミノ化合物を調製するための1つの方法は、例えば、適当なカルボン酸誘導体の対応するアミノ化合物への転位である(例えば、J.Am.Chem.Soc.1961、83、3671−3678に記載されている。)。例えばタイプ(II)のシクロブチルアミノ化合物を調製するための他の方法は、適当なシクロブテンのヒドロホウ素化およびそれに続くNHSOHでの処理(例えば、Tetrahedron 1970、26、5033−5039)、シクロブタノンの還元的アミノ化(例えば、J.Org.Chem.1964、29、2588−2592に記載されている。)、およびさらにニトロ−もしくはニトロソシクロブタンの還元(例えば、J.Am.Chem.Soc.1953、75、4044;Can.J.Chem.1963、41、863−875を参照のこと。)またはアジドシクロブタンの還元(例えば、Chem.Pharm.Bull.1990、38、2719−2725;J.Org.Chem.1962、27、1647−1650に記載されている。)を含む。式(II)のハロゲン置換アミノ化合物は市販されている、または文献の手順によって調製することができる。適当なハロゲン置換アミノ化合物(II)を調製するための1つの方法は、例えば、対応するカルボキシアミドの還元(例えば、EP30092に記載されている。)、または対応するオキシムもしくはアジ化物の還元(例えば、Chem.Ber.1988、119、2233に記載されている。)、またはニトロ化合物の還元(例えば、J.Am.Chem Soc、1953、75、5006に記載されている。)である。さらなる代替方法は、SFを用いるHF中での対応するアミノカルボン酸の処理にある(例えば、J.Org.Chem.1962、27、1406に記載されている。)。HFを用いる置換アジリジンの開環は、J.Org.Chem.1981、46、4938に記載されている。ハロゲン置換アミノ化合物(II)を調製するためのさらなる方法は、Gabrielに従った対応するフタルイミドの開裂(例えば、DE 3429048に記載されている。)、適当なハロゲン化ハロアルキルのアミノリシス(例えば、US2539406に記載されている。)、または対応するカルボン酸アジドの分解(例えば、DE3611195に記載されている。)を含む。適当なフッ素化剤(例えば、DAST)を使用し、アミノアルデヒドまたは−ケトンは対応するジフルオロアルキルアミノに変換することができる(WO2008008022)一方、アミノアルコールは対応するモノフルオロアルキルアミノを形成する(例えば、WO2006029115)。同様に、適当な塩素化剤および臭素化剤を使用し、クロロ−およびブロモアルキルアミノはそれぞれアミノアルコールから得ることができる(J.Org.Chem.2005、70、7364、またはOrg.Lett.、2004、6、1935)。
【0046】
適当な置換2,4−ジハロピリミジン(III)は市販されている、または文献の手順に従って、例えば市販されている置換ウラシルから調製することができるのいずれかである(例えば、R=CN:J.Org.Chem.1962、27、2264;J.Chem.Soc.1955、1834;Chem.Ber.1909、42、734;R=CF:J.Fluorine Chem.1996、77、93;WO2000/047539も参照のこと。)。
【0047】
適当な塩基を使用し、−30℃から+80℃の温度にて、例えばジオキサン、THF、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルなどの適当な溶媒中で、最初にアミン(II)を2,4−ジハロピリミジン(III)と1−24時間にわたって反応させる。塩基としての使用に適当であるのは、例えば、NaHCO、NaCOもしくはKCOなどの無機塩、LDAもしくはNaHMDSなどの有機金属化合物、またはエチルジイソプロピルアミン、DBU、DBNもしくはトリ−n−ブチルアミンなどのアミン塩基である。別法として、該反応は、例えばOrg.Lett.2006、8、395に記載されている通りに、例えばパラジウムなどの適当な遷移金属触媒を用いて、例えばトリフェニルホスフィンまたはキサントホスなどの適当なリガンドと一緒に実施することもできる。
【0048】
式(V)の化合物の一部は新規であり、したがって、本発明の対象物の一部分も形成する。
【0049】
新規なのは、式(V)
【0050】
【化7】

[式中、
は、水素を表し、
ならびに
が、I、SMe、SOMe、SOMe、CF、CFHまたはCFHを表し、
Yが、F、Cl、BrまたはIを表す場合、
は、水素、エチル、プロピル、プロパン−2−イル、2−メトキシエタン−1−イル、プロパ−2−エン−1−イル、CHOCH、COMe、COOMe、COOEt、COOtertBu、COCFまたはベンジルを表し、
は、シクロプロピル、シクロブチル、2−メチルシクロプロパ−1−イル、2−メチルシクロブタ−1−イル、3−メチルシクロブタ−1−イル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、イソプロピル、シクロプロピルメチル、メチル、エチル、2,2−ジメチルシクロプロピル、シクロペンチル、プロパン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル、ブタン−2−イル、1−メトキシプロパン−2−イル、2−メチル−1−(メチルスルファニル)プロパン−2−イル、1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルまたは2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルを表す。]
の化合物である。
【0051】
新規なのは、式(V)
【0052】
【化8】

[式中、
は、水素を表し、
ならびに
がシアノを表し、
Yが、F、Cl、BrまたはIを表す場合、
は、水素、メチル、プロピル、プロパン−2−イル、2−メトキシエタン−1−イル、プロパ−2−エン−1−イル、CHOCH、COMe、COOMe、COOEt、COOtertBu、COCFまたはベンジルを表し、
は、シクロブチル、2−メチルシクロプロパ−1−イル、2−メチルシクロブタ−1−イル、3−メチルシクロブタ−1−イル、2,2−ジフルオロエチル、イソプロピル、シクロプロピルメチル、2,2−ジメチルシクロプロピル、シクロペンチル、ブタン−2−イル、1−メトキシプロパン−2−イル、2−メチル−1−(メチルスルファニル)プロパン−2−イル、1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルまたは2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルを表す。]
の化合物である。
【0053】
置換アミノチオフェン(IV)は、以下においてIVaまたはIVb
【0054】
【化9】

としても記載されるが、市販されているまたは文献から知られている方法によって市販されている前駆体から調製することができるかのいずれかである。1つ以上の同一であるまたは異なる置換基をチオフェン部分に保有するアミノチオフェンは、関連文献に記載されている多くの方法によって調製することができる。該方法の一部を下記に一例として記述する。
【0055】
f)下記反応スキームに従って、還元剤の存在下および溶媒の存在下における式(XI)のニトロチオフェンの還元により、式(IV−1)のアミノチオフェンが得られ、式中、X基、X基ならびにR基およびR基は、式(IV)のものと同様に定義される(スキーム6)
【0056】
【化10】

【0057】
g)下記反応スキームに従って、有機アジド(XII)および補助塩基の存在下ならびに溶媒の存在下における式(IV−2)のチオフェンカルボン酸の反応により、チオフェンカルバメート(IV−3)が得られ、式中、X基、X基ならびにR基およびR基は、式(IV)のものと同様に定義される(スキーム7)
【0058】
【化11】

【0059】
h)下記反応スキームに従って、適切な場合酸の存在下および溶媒の存在下における式(IV−3)のチオフェンカルバメートと式(V)の中間体との反応により、式(I)のチエニルアミノピリミジンが得られ、式中、X基、X基ならびにR基およびR基は、式(IV)のものと同様に定義される(スキーム8)
【0060】
【化12】

【0061】
i)塩基の存在下および溶媒の存在下における式Iaのチエニルアミノピリミジンの反応により、式Ibのチエニルアミノピリミジンが得られ(スキーム9)、式中、X基、X基およびR基は、式(IV)のものと同様に定義される。式(Ia)の化合物を調製する一方法がスキーム2に示されている。
【0062】
【化13】

【0063】
j)カップリング剤および補助塩基の存在下ならびに溶媒の存在下における式(Ib)のチエニルアミノピリミジンの反応により、式(Ic)のチエニルアミノピリミジンが得られ、式中、X基、X基およびR基は、式(IV)のものと同様に定義される(スキーム10)。
【0064】
【化14】

【0065】
式(IV−1)の化合物を調製する一方法がスキーム6に示されている。
【0066】
置換アミノチオフェン(IV−1)は、例えば、市販されているおよび適当に置換されているニトロチオフェン(XI)と還元剤(例えば鉄粉末、亜鉛粉末、スズ粉末、例えばHeterocycles 2005、65、2369−2380を参照のこと。)とを、例えば酢酸または塩酸などの適当な溶媒中にて20℃から150℃、好ましくは70℃から90℃の温度で反応させることによって調製することができる(スキーム6)。
【0067】
式(IV−3)の化合物を調製する一方法がスキーム7に示されている。
【0068】
式(IV−3)のチオフェンカルバメートを合成する1つの方法は、市販されているチオフェンカルボン酸(IV−2、スキーム7)と例えばホスホリルアジドなどの有機アジド(XII)とを、適当な塩基(例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン)の存在下で適当な溶媒(例えばtert−ブタノール、ベンジルアルコール)を使用して反応させることにより、対応するチオフェンカルバメート(IV−3)が得られることにある(例えば、WO2007/076423;Bioorg.Med.Chem.Lett.2006、16、5567−5571を参照のこと。)。
【0069】
式(I)の化合物を式(IV−3)の化合物から調製する一方法がスキーム8に示されている。
【0070】
本発明において、中間体(V)は、例えば無水塩酸、カンファースルホン酸またはp−トルエンスルホン酸などのブレンステッド酸の存在下、例えばジオキサン、THF、DMSO、DME、2−メトキシエタノール、n−ブタノールまたはアセトニトリルなどの適当な溶媒中にて、0℃−140℃の温度で1−48時間にわたりチオフェンカルバメート(IV−3)と反応させる。
【0071】
式(Ib)の化合物を調製する一方法がスキーム9に示されている。
【0072】
したがって、例えば、スキーム2に示されている方法によって得ることが可能なタイプ(Ia)のアルコキシカルボニル置換チエニルアミノピリミジンは、適切な場合酸の存在下および溶媒の存在下で変換することができ、次いで、例えばNaOHまたはKOHなどの適当な塩基と例えば水などの適当な溶媒中で反応させることによって加水分解することにより、対応するカルボン酸置換チエニルアミノピリミジン(Ib)が得られる(例えば、J.Med.Chem.1986、29、1637−1643を参照のこと。)。
【0073】
式(Ic)の化合物を調製する一方法がスキーム10に示されている。
【0074】
カルボン酸置換チエニルアミノピリミジン(Ib)とアミンとを、一般に知られているカップリング剤(例えばブロモトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、PyBrop)を使用して補助塩基の存在下および溶媒の存在下で反応させることによって、対応するカルボキサミド置換チエニルアミノピリミジン(Ic)を生成することが可能である(例えば、WO06/040569を参照のこと)。
【0075】
式(IX)の化合物を調製する一方法がスキーム3に示されている。
【0076】
2−ハロ置換ピリミジン−4−オン(VI)は、位置選択的加水分解によって2,4−ジハロ置換ピリミジンから入手可能である。このことは、例えばRuss.J.Org.Chem.2006、42、580;J.Med.Chem.1965、8、253に記載されている。
【0077】
式(VI)の中間体は、例えば無水塩酸、カンファースルホン酸またはp−トルエンスルホン酸などのブレンステッド酸の存在下、例えばジオキサン、THF、DMSO、DME、2−メトキシエタノール、n−ブタノールまたはアセトニトリルなどの適当な溶媒中にて、0℃−140℃の温度で1−48時間にわたりチオフェンアミン(IV)と反応させる。
【0078】
別法として、(IX)を得るための(VI)および(IV)の反応は、塩基触媒作用を用いて、即ち例えば、炭酸カリウムなどの炭酸塩、カリウムtert−ブトキシドなどのアルコキシド、または水素化ナトリウムなどの水素化物を使用して実施することもでき、ここで、例えばパラジウムなどの遷移金属を例えばキサントホスなどの適当なリガンドと一緒に触媒的に使用することも有用であり得る。
【0079】
最終的に、(IX)を得るための(VI)および(IV)の反応を、溶媒および/またはブレンステッド酸の非存在化にて実施することが可能である(例えば、Bioorg.Med.Chem.Lett.2006、16、108;Bioorg.Med.Chem.Lett.2005、15、3881に記載されている。)。
【0080】
式(IX)の化合物の一部は新規であり、したがって、本発明の対象物の一部分でもある。
【0081】
新規なのは、式(IX)
【0082】
【化15】

[式中、記号は下記の意味を有する。
、X、RからR、Rは、上記に示されている一般的意味、好ましい意味、特に好ましい意味、非常に特に好ましい意味、およびとりわけ好ましい意味を有する。]
の化合物である。
【0083】
式(X)の化合物を調製する一方法がスキーム4に示されている。
【0084】
式(IX)の中間体は、例えば塩化チオニル、五酸化リンもしくは塩化ホスホリルなどの適当なハロゲン化剤またはこれらの混合物と、適切な場合例えばトルエンまたはエタノールなどの適当な溶媒の存在下および適切な場合例えばトリエチルアミンなどの適当な塩基の存在下において反応させることによって、式(X)の2−チオフェンアミノ−4−クロロピリミジンに変換することができる。同様の方法において、これは、例えばJ.Med.Chem.1989、32、1667;J.Heterocycl.Chem.1989、26、313に記載されている。
【0085】
式(X)の化合物の一部は新規であり、したがって、本発明の対象物の一部分でもある。
【0086】
新規なのは、式(X)
【0087】
【化16】

[式中、記号は下記の意味を有する。
、X、RからRは、上記に示されている一般的意味、好ましい意味、特に好ましい意味、非常に特に好ましい意味、およびとりわけ好ましい意味を有する。]
の化合物である。
【0088】
化合物(I)を調製するさらなる方法がスキーム5に示されている。
【0089】
式(I)の化合物を調製するため、中間体(X)を、例えば炭酸カリウムなどの炭酸塩、カリウムtert−ブトキシドなどのアルコキシド、または水素化ナトリウムなどの水素化物などの塩基の存在下、例えば、ジオキサン、THF、DMSO、DME、2−メトキシエタノール、n−ブタノールまたはアセトニトリルなどの適当な溶媒中にて、0℃−140℃の温度で1−48時間にわたり式(II)のアミンと反応させるが、例えばパラジウムなどの遷移金属を、例えばトリフェニルホスフィンまたはキサントホスなどの適当なリガンドと一緒に触媒的に使用することも有用であり得る。
【0090】
式(I)の化合物を調製するための本発明による方法は、1つ以上の反応助剤を使用して実施されるのが好ましい。
【0091】
適当な反応助剤は、適切な場合、通例の無機塩もしくは有機塩または酸受容体である。これらとして、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酢酸塩、アミド、炭酸塩、重炭酸塩、水素化物、水酸化物およびアルコキシド、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムまたは酢酸カルシウム、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミドまたはカルシウムアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムまたは炭酸水素カルシウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムまたは水素化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはカルシウム水酸化物、ナトリウムメトキシド、エトキシド、n−もしくはi−プロポキシド、n−、i−、s−もしくはt−ブトキシドまたはカリウムメトキシド、エトキシド、n−もしくはi−プロポキシド、n−、i−、s−もしくはt−ブトキシドなど;さらに塩基性有機窒素化合物、例えば、トリメチルアミノ、トリエチルアミン、トリプロピルアミノ、トリブチルアミノ、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミノ、ジシクロヘキシルアミン、エチルジシクロヘキシルアミノ、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミノ、ピリジン、2−メチル−、3−メチル−、4−メチル−、2,4−ジメチル−、2,6−ジメチル−、3,4−ジメチル−および3,5−ジメチルピリジン、5−エチル−2−メチルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルピペリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]−オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)または1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)なども好ましく挙げられる。
【0092】
本発明による方法は、1つ以上の希釈剤を使用して実施されるのが好ましい。適当な希釈剤は、実質的に全ての不活性な有機溶媒である。これらとして、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンジン、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼンなどの脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素、場合によってハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテルおよびジブチルエーテル、グリコールジメチルエーテルおよびジグリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランならびにジオキサンなどのエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトンまたはメチルイソブチルケトンなどのケトン、酢酸メチルまたは酢酸エチルなどのエステル、例えばアセトニトリルまたはプロピオニトリルなどのニトリル、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンならびにさらにジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホンおよびヘキサメチルリン酸トリアミドなどのアミド、ならびにDMPUが好ましく挙げられる。
【0093】
本発明による方法において、反応温度は、比較的広い範囲内で変動することができる。一般に、該方法は、0℃から250℃の間の温度、好ましくは10℃から185℃の間の温度で実施される。
【0094】
本発明による方法は、一般に大気圧下で実施される。しかし、高圧または減圧下で操作することも可能である。
【0095】
本発明による方法を実施するため、それぞれの場合において必要とされる出発原料は、およそ等モル量で一般に用いられる。しかし、それぞれの場合において比較的大過剰で用いられる成分の1つを使用することも可能である。本発明による方法における後処理は、それぞれの場合において通例の方法によって実施される(調製実施例を参照のこと。)。
【0096】
一般に、式(I)の化合物は、例えば、下記においてスキーム9に概略されている通り、脂肪族アミン(II)および複素芳香族アミン(IV)を適当な置換ピリミジン(III)に順次求核付加することによって調製することができる。
【0097】
【化17】

【0098】
ここで、Yはそれぞれの場合互いに独立して、適当な脱離基、例えばハロゲン原子(Hal=F、Cl、Br、I)、SMe、SOMe、SOMeまたは他にトリフレート(CFSOO:WO2005/095386から知られているピリミジンのため。)を表す。
【0099】
スキーム8に従った、または他に他の経路による式(I)のチエニルアミノピリミジの合成は、多くの異なる事例における文献に記載されてきた(例えば、WO2003/076437も参照のこと。)。
【0100】
本発明はさらに、望まれない微生物を防除するための、本発明によるチエニルアミノピリミジンまたはこれらの混合物の非医薬的使用を提供する。
【0101】
本発明はさらに、望まれない微生物を防除するための、本発明による少なくとも1種のチエニルアミノピリミジンを含む組成物を提供する。
【0102】
さらに、本発明は、本発明によるチエニルアミノピリミジンが微生物および/またはこれらの生息地に施用されることを特徴とする、望まれない微生物を防除するための方法に関する。
【0103】
本発明による化合物は強い殺菌作用を有し、作物保護および材料の保護において、真菌および細菌などの望まれない微生物を防除するために使用することができる。
【0104】
本発明による式(I)のチエニルアミノピリミジンは非常に良好な殺真菌特性を有し、作物保護において、例えばネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)、卵菌類(Oomycetes)、ツボカビ類(Chytridiomycetes)、接合菌類(Zygomycetes)、嚢子菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)および不完全菌類(Deuteromycetes)を防除するために使用することができる。
【0105】
作物保護において、殺菌剤は、プセウドモナダケアエ(Pseudomonadaceae)、リゾビアセア(Rhizobiaceae)、エンテロバクテリアセア(Enterobacteriaceae)、コリュネバクテリアケアエ(Corynebacteriaceae)およびストレプトミュケタケアエ(Streptomycetaceae)を防除するために使用することができる。
【0106】
本発明による殺真菌性組成物は、植物病原性真菌の治癒的または予防的防除のために使用することができる。即ち、本発明は、種子、植物もしくは植物部位、果実、または植物が生育する土壌に施用される本発明による活性化合物または組成物を使用する、植物病原性真菌を防除するための治癒的および予防的方法にも関する。
【0107】
作物保護において植物病原性真菌を防除するための本発明による組成物は、有効であるが非植物毒性の量の本発明による活性化合物を含む。「有効であるが非植物毒性の量」は、満足のいく方法で植物の真菌性疾患を防除するまたは真菌性疾患を完全に根絶するのに十分であり、同時に、植物毒性のいずれの顕著な症状も引き起こすことがない、本発明による組成物の量を意味する。一般に、この施用量は、比較的広い範囲内において変動してよい。これは複数の要因、防除される真菌、植物、気候条件、および本発明による組成物の成分に依存する。
【0108】
本発明によると、全ての植物および植物の部位を処理することが可能である。植物は、本明細書において、望まれるおよび望まれない野草または作物植物(自然発生の作物植物を含める。)など、全ての植物および植物集団を意味すると理解されるべきである。作物植物は、トランスジェニック植物を含めて、および品種所有権によって保護することができるまたはできない植物品種を含めて、従来の育種方法および最適化方法によって、または生物工学的方法および遺伝子工学的方法もしくはこれらの方法の組合せによって得ることができる植物であり得る。植物の部位は、苗条、葉、花および根など、葉、針葉、茎、樹幹、花、子実体、果実および種子ならびにさらに根、塊茎および根茎であるとして挙げることができる例など、全ての地上および地下部ならびに植物の器官を意味すると理解されるべきである。植物部位として、収穫されたものならびに栄養繁殖器官および生殖繁殖器官、例えば実生、塊茎、根茎、挿し木および種子も挙げられる。
【0109】
以下の植物は、本発明に従って処理することができる植物として挙げることができる。ロサケアエ属種(Rosaceae sp.)(例えばリンゴおよびセイヨウナシなどのリンゴ類果実のみでなく、アンズ、サクランボ、アーモンドおよびモモなどの核果ならびにイチゴなどの軟果実も)、リベシオイダエ属種(Ribesioidae sp.)、ユグランダケアエ属種(Juglandaceae sp.)、ベトゥラケアエ属種(Betulaceae sp.)、アナカルディアケアエ属種(Anacardiaceae sp.)、ファガケアエ属種(Fagaceae sp.)、モラケアエ属種(Moraceae sp.)、オレアケアエ属種(Oleaceae sp.)、アクティニダケアエ属種(Actinidaceae sp.)、ラウラケアエ属種(クスノキ科 sp.)、ムサケアエ属種(Musaceae sp.)(例えばバナナの木およびプランテーション)、ルビアケアエ属種(Rubiaceae sp.)(例えばコーヒー)、テアケアエ属種(Theaceae sp.)、ステルクリケアエ属種(Sterculiceae sp.)、ルタケアエ属種(Rutaceae sp.)(例えばレモン、オレンジおよびグレープフルーツ)、ソラナケアエ属種(Solanaceae sp.)(例えばトマト)、リリアケアエ属種(Liliaceae sp.)、アステラケアエ属種(Asteraceae sp.)(例えばレタス)、ウムベッリフェラエ属種(Umbelliferae sp.)、クルキフェラエ属種(Cruciferae sp.)、ケノポディアケアエ属種(Chenopodiaceae sp.)、ククルビタケアエ属種(Cucurbitaceae sp.)(例えばキュウリ)、アッリアケアエ属種(Alliaceae sp.)(例えばニラ、タマネギ)、パピリオナケアエ属種(Papilionaceae sp.)(例えばエンドウマメ)などの綿、亜麻、ブドウ、果実、野菜;グラミネアエ属種(Gramineae sp.)(例えばトウモロコシ、菌叢、コムギ、ライムギ、イネ、オオムギ、カラスムギ、アワおよびライコムギなどの穀類)、アステラケアエ属種(Asteraceae sp.)(例えばヒマワリ)、ブラッシカケアエ属種(Brassicaceae sp.)(例えば白キャベツ、赤キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、チンゲン菜、カブキャベツ、二十日大根、ならびにアブラナ、カラシナ、セイヨウワサビおよびクレソンも)、ファバカエ属種(Fabacae sp.)(例えばマメ、ピーナッツ)、パピリオナケアエ属種(Papilionaceae sp.)(例えば大豆)、ソラナケアエ属種(Solanaceae sp.)(例えばジャガイモ)、ケノポディアケアエ属種(Chenopodiaceae sp.)(例えばサトウダイコン、飼料ビート、フダンソウ、ビート)などの主要な作物植物;庭園および森林における作物植物および装飾用植物;ならびにさらにそれぞれの場合における、これらの植物の遺伝子組換え種。好ましくは、穀類植物が本発明に従って処理される。
【0110】
本発明に従って処理することができる真菌性疾患の一部の病原体を一例として挙げることができるが、制限するものではない。
例えば以下のものなどのうどんこ病病原体に起因する疾患:ブルメリア属各種(Blumeria species)、例えばブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)など;ポドスパエラ属各種(Podosphaera species)、例えばポドスパエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha)など;スパエロテカ属各種(Sphaerotheca species)、例えばスパエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)など;ウンキヌラ属各種(Uncinula species)、例えばウンキヌラ・ネカトル(Uncinula necator)など、
例えば以下のものなどのさび病病原体に起因する疾患:ギュムノスポランギウム属各種(Gymnosporangium species)、例えばギュムノスポランギウム・サビナエ(Gymnosporangium sabinae)など;ヘミレイア属各種(Hemileia species)、例えばヘミレイア・ワスタトリクス(Hemileia vastatrix)など;パコプソラ属各種(Phakopsora species)、例えばパコプソラ・パキュリジ(Phakopsora pachyrhizi)およびパコプソラ・メイボミア(Phakopsora meibomiae)など;プッキニア属各種(Puccinia species)、例えばプッキニア・レコンディタ(Puccinia recondita)またはプッキニア・トリティキナ(Puccinia triticina)など;ウロミュケス属各種(Uromyces species)、例えばウロミュケス・アッペンディクラトゥス(Uromyces appendiculatus)など、
例えば以下のものなどの卵菌類(Oomycetes)の群からの病原体に起因する疾患:ブレミア属各種(Bremia species)、例えばブレミア・ラクトゥカエ(Bremia lactucae)など;ペロノスポラ属各種(Peronospora species)例えばペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)またはP.ブラッシカ(P.brassicae)など;ピュトプトラ属各種(Phytophthora species)、例えば ピュトプトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)など;プラスモパラ属各種(Plasmopara species)、例えばプラスモパラ・ウィティコラ(Plasmopara viticola)など;プセウドペロノスポラ属各種(Pseudoperonospora species)、例えばプセウドペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)またはプセウドペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis)など;ピュティウム属各種(Pythium species)、例えばピュティウム・ウルティムム(Pythium ultimum)など、
例えば以下のものに起因する葉の斑点病および葉の萎凋病(wilt disease):アルテルナリア属各種(Alternaria species)、例えばアルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)など;ケルコスポラ属各種(Cercospora species)、例えばケルコスポラ・ベティコラ(Cercospora beticola)など;クラディオスポリウム属各種(Cladiosporium species)、例えばクラディオスポリウム・ククメリヌム(Cladiosporium cucumerinum)など;コクリオボルス属各種(Cochliobolus species)、例えばコクリオボルス・サティウス(Cochliobolus sativus)(分生子形態:ドレクスレラ(Drechslera)、異名:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium))など;コッレトトリクム属各種(Colletotrichum species)、例えばコッレトトリクム・リンデムタニウム(Colletotrichum lindemuthanium)など;キュクロコニウム属各種(Cycloconium species)、例えばキュクロコニウム・オレアギヌム(Cycloconium oleaginum)など;ディアポルテ属各種(Diaporthe species)、例えばディアポルテ・キトリ(Diaporthe citri)など;エルシノエ属各種(Elsinoe species)、例えばエルシノエ・ファウケッティイ(Elsinoe fawcettii)など;グロエオスポリウム属各種(Gloeosporium species)、例えばグロエオスポリウム・ラエティコロル(Gloeosporium laeticolor)など;グロメレッラ属各種(Glomerella species)、例えばグロメレッラ・キングラタ(Glomerella cingulata)など;グイグナルディア属各種(Guignardia species)、例えばグイグナルディア・ビドウェッリ(Guignardia bidwelli)など;レプトスパエリア属各種(Leptosphaeria species)、例えばレプトスパエリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)など;マグナポルテ属各種(Magnaporthe species)、例えばマグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)など;ミクロドキウム属各種(Microdochium species)、例えばミクロドキウム・ニバル(Microdochium nivale)など;ミュコスパエレッラ属各種(Mycosphaerella species)、例えばミュコスパエレッラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)およびM.フィジエンシス(M.fijiensis)など;パエオスパエリア属各種(Phaeosphaeria species)、例えばパエオスパエリア・ノドルム(Phaeosphaeria nodorum)など;ピュレノポラ属各種(Pyrenophora species)、例えばピュレノポラ・テレス(Pyrenophora teres)など;ラムラリア属各種(Ramularia species)、例えばラムラリア・コロシグニ(Ramularia collocygni)など;リュンコスポリウム属各種(Rhynchosporium species)、例えばリュンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)など;セプトリア属各種(Septoria species)、例えばセプトリア・アピイ(Septoria apii)など;テュプラ属各種(Typhula species)、例えばテュプラ・インカルナタ(Typhula incarnata)など;ウェントゥリア属各種(Venturia species)、例えばウェントゥリア・イナエクワリス(Venturia inaequalis)など、
例えば以下のものに起因する根および茎の疾患:コルティキウム属各種(Corticium species)、例えばコルティキウム・グラミネアルム(Corticium graminearum)など;フサリウム属各種(Fusarium species)、例えばフサリウム・オクシスポルム(Fusarium oxysporum)など;ガエウマンノミュケス属各種(Gaeumannomyces species)、例えばガエウマンノミュケス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)など;リゾクトニア属各種(Rhizoctonia species)、例えばリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)など;タペシア属各種(Tapesia species)、例えばオクリマクラ・タペシア・アクフォルミス(Tapesia acuformis)など;ティエラウィオプシス属各種(Thielaviopsis species)、例えばティエラウィオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola)など、
例えば以下のものに起因する穂および円錐花序の疾患(トウモロコシ穂軸を含める。):アルテルナリア属各種(Alternaria species)、例えばアルテルナリア属種(Alternaria spp.)など;アスペルギッルス属各種(Aspergillus species)、例えばアスペルギッルス・フラウス(Aspergillus flavus)など;クラドスポリウム属各種(Cladosporium species)、例えばクラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)など;クラウィケプス属各種(Claviceps species)、例えばクラウィケプス・プルプレア(Claviceps purpurea)など;フサリウム属各種(Fusarium species)、例えばフサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)など;ギッベレッラ属各種(Gibberella species)、例えばギッベレッラ・ゼアエ(Gibberella zeae)など;モノグラペッラ属各種(Monographella species)、例えばモノグラペッラ・ニワリス(Monographella nivalis)など;セプトリア属各種(Septoria species)、例えばセプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)など、
例えば以下のものなどの黒穂病菌類(smut fungi)に起因する疾患:スパケロテカ属各種(Sphacelotheca species)、例えばスパケロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reiliana)など;ティッレティア属各種(Tilletia species)、例えばティッレティア・カリエス(Tilletia caries)など;T.コントロベルサ(T.controversa);ウロキュスティス属各種(Urocystis species)、例えばウロキュスティス・オックルタ(Urocystis occulta)など;ウスティラゴ属各種(Ustilago species)、例えばウスティラゴ・ヌダ(Ustilago nuda)など;U.ヌダ・トリチシ(U.nuda tritici)、
例えば以下のものに起因する果実腐敗:アスペルギッルス属各種(Aspergillus species)、例えばアスペルギッルス・フラウス(Aspergillus flavus)など;ボトリュティス属各種(Botrytis species)、例えばボトリュティス・キネレア(Botrytis cinerea)など;ペニキッリウム属各種(Penicillium species)、例えばペニキッリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum)およびP.プルプロゲヌム(P.purpurogenum)など;スクレロティニア属各種(Sclerotinia species)、例えばスクレロティニア・スクレロティオルム(Sclerotinia sclerotiorum)など、
ウェルティキリウム属各種(Verticilium species)、例えばウェルティキリウム・アルボアトルム(Verticilium alboatrum)など、
種子および土壌媒介の腐敗病および萎凋病(wilt disease)、およびさらに例えば以下のものに起因する実生の疾患:フサリウム属各種(Fusarium species)、例えばフサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)など;ピュトプトラ属各種(Phytophthora species)、例えばピュトプトラ・カクトルム(Phytophthora cactorum)など;ピュティウム属各種(Pythium species)、例えばピュティウム・ウルティムム(Pythium ultimum)など;リゾクトニア属各種(Rhizoctonia species)、例えばリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)など;スクレロティウム属各種(Sclerotium species)、例えばスクレロティウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)など、
癌性疾患、虫こぶ、および例えば以下のものに起因するてんぐ巣病:ネクトリア属各種(Nectria species)、例えばネクトリア・ガッリゲナ(Nectria galligena)など、
例えば以下のものに起因する萎凋病(Wilt diseases):モニリニア属各種(Monilinia species)、例えばモニリニア・ラクサ(Monilinia laxa)など、
例えば以下のものに起因する葉、花および果実の変形:タプリナ属各種(Taphrina species)、例えばタプリナ・デフォルマンス(Taphrina deformans)など、
例えば以下のものに起因する木本の変性疾患:エスカ属各種(Esca species)、例えばパエモニエッラ・クラミュドスポラ(Phaemoniella clamydospora)およびパエオアクレモニウム・アレオピルム(Phaeoacremonium aleophilum)およびフォミティポリア・メディテッラネア(Fomitiporia mediterranea)など、
例えば以下のものに起因する花および種子の疾患:ボトリュティス属各種(Botrytis species)、例えばボトリュティス・キネレア(Botrytis cinerea)など、
例えば以下のものに起因する植物塊茎の疾患:リゾクトニア属各種(Rhizoctonia species)、例えばリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)など;ヘルミントスポリウム属各種(Helminthosporium species)、例えばヘルミントスポリウム・ソラニ(Helminthosporium solani)など、
例えば以下のものなどの細菌病原体に起因する疾患:クサントモナス属各種(Xanthomonas species)、例えばクサントモナス・カムペストリス pv.オリュザエ(Xanthomonas campestris pv.oryzae)など;プセウドモナス属各種(Pseudomonas species)、例えばプセウドモナス・シュリンガエ pv.ラクリュマンス(Pseudomonas syringae pv.lachrymans)など;エルウィニア属各種(Erwinia species)、例えばエルウィニア・アミュロウォラ(Erwinia amylovora)など。
【0111】
好ましいのは、大豆の以下の疾患を防除することである。
例えば以下のものに起因する葉、茎、さやおよび種子上の真菌性疾患:アルテルナリア斑点病(アルテルナリア属種アトランス・テヌイシッマ(Alternaria spec.atrans tenuissima))、炭疽病(コッレトトリクム・グロエオスポロイデス・デマチウム var.トルンカツム(Colletotrichum gloeosporoides dematium var.truncatum))、褐色斑点病(セプトリア・グリュキネス(Septoria glycines))、ケルコスポラ斑点病および胴枯病(ケルコスポラ・キクキイ(Cercospora kikuchii))、コアネホラ葉胴枯病(コアネポラ・インフンディブリフェラ・トリスポラ(Choanephora infundibulifera trispora)(Syn.))、ダクトゥリオホラ斑点病(ダクトゥリオポラ・グリュキネス(Dactuliophora glycines))、ベト病(ペロノスポラ・マンスリカ(Peronospora manshurica))、ドレクスレラ胴枯病(ドレクスレラ・グリュキニ(Drechslera glycini))、赤星斑点病(ケルコスポラ・ソイナ(Cercospora sojina))、レプトスパエルリナ斑点病(レプトスパエルリナ・トリフォリイ(Leptosphaerulina trifolii))、フィロスチカ斑点病(ピュッロスティクタ・ソイヤエコラ(Phyllosticta sojaecola))、さやおよび茎の胴枯病(ポモプシス・ソイヤエ(Phomopsis sojae))、うどんこ病(powdery mildew)(ミクロスパエラ・ディッフサ(Microsphaera diffusa))、ピュレノカエタ斑点病(ピュレノカエタ・グリュキネス(Pyrenochaeta glycines))、リゾクトニア葉枯病(リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani))、さび病(パコプソラ・パキュリジ(Phakopsora pachyrhizi)パコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae))、赤かび病(スパケロマ・グリュキネス(Sphaceloma glycines))、ステムピュリウム葉枯病(ステムピュリウム・ボトリュオスム(Stemphylium botryosum))、輪紋病(コリュネスポラ・カッシイコラ(Corynespora cassiicola))。
【0112】
例えば以下のものに起因する根および茎基部上の真菌性疾患:黒根腐病(カロネクトリア・クロタラリアエ(Calonectria crotalariae))、炭腐病(マクロポミナ・パセオリナ(Macrophomina phaseolina))、フサリウム胴枯病または立ち枯れ病、根腐病、ならびにさやおよび頸領の腐病(フサリウム・オクシスポルム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・オルトケラス(Fusarium orthoceras)、フサリウム・セミテクトゥム(Fusarium semitectum)、フサリウム・エクウィセティ(Fusarium equiseti))、ミュコレプトディスクス根腐病(ミュコレプトディスクス・テッレストリス(Mycoleptodiscus terrestris))、根腐病(ネオコスモプスポラ・バシンフェクタ(Neocosmopspora vasinfecta))、さやおよび茎の胴枯病(ディアポルテ・パセオロルム(Diaporthe phaseolorum))、茎がん腫病(ディアポルテ・パセオロルム var.カウリボラ(Diaporthe phaseolorum var.caulivora))、ピュトプトラ腐病(ピュトプトラ・メガスペルマ(Phytophthora megasperma))、落葉病(ピアロポラ・グレガタ(Phialophora gregata))、ピチウム腐病(ピュティウム・アパニデルマトゥム(Pythium aphanidermatum)、ピュティウム・イッレグラレ(Pythium irregulare)、ピュティウム・デバリュアヌム(Pythium debaryanum)、ピュティウム・ミュリオテュルム(Pythium myriotylum)、ピュティウム・ウルティムム(Pythium ultimum))、リゾクトニア根腐病、茎腐敗病、および立ち枯れ病(リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani))、スクレロティニア茎腐敗病(スクレロティニア・スクレロティオルム(Sclerotinia sclerotiorum))、スクレロティニア白絹病(スクレロティニア・ロルフシイ(Sclerotinia rolfsii))、ティエラウィオプシス根腐病(ティエラウィオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola))。
【0113】
本件において、望ましくない微生物は、植物病原性真菌および細菌を意味すると理解される。したがって、本発明による化合物は、処理後特定の時間内において、上述した病原体による攻撃に対して植物を保護するために用いることができる。これらの保護が有効である期間は、一般に、植物が該活性化合物で処理された後、1日から10日、好ましくは1日から7日に及ぶ。
【0114】
該活性化合物は、植物病を防除するのに必要な濃度で植物に忍容性が高いという事実が、地上の植物部位の処理、栄養繁殖器官および種子の処理、ならびに土壌の処理を可能にする。
【0115】
この文脈において、本発明による活性化合物は、例えばエリシフ属種(Erysiphe species)に対して、プッキニア(Puccinia)に対しておよびフサリア属種(Fusaria species)に対してなど、穀類の疾患を防除するための使用、例えばピュリクラリア(Pyricularia)およびリゾクトニア(Rhizoctonia)に対してなど、イネの疾患を防除するための使用、ならびに例えばボトリュティス(Botrytis)、ウェントゥリア(Venturia)、スパエロテカ(Sphaerotheca)およびポドスパエラ属各種(Podosphaera species)に対してなど、ブドウ栽培、果実生産および野菜生産における疾患を防除するための使用に特に成功し得る。
【0116】
本発明による活性化合物は、収量を増加させるのにも適当である。さらに、これらは低度の毒性を呈し、植物に忍容性が高い。
【0117】
適切な場合、本発明による化合物は、特定の濃度または施用量で、除草剤、安全化剤、成長調節剤または植物の特性を向上させる薬剤として、あるいは殺菌剤として、例えば殺真菌剤、抗糸状菌剤、殺菌剤、殺ウイルス剤(ウイロイドに対する薬剤を含める。)として、またはMLO(マイコプラズマ様生物)およびRLO(リケッチア様生物)に対する薬剤として使用することもできる。適切な場合、これらは殺虫剤として用いることもできる。適切な場合、これらは他の活性化合物の合成のための中間体または前駆体として用いることもできる。
【0118】
適切な場合、本発明による活性化合物は、除草剤として、ならびに植物成長に影響を及ぼすため、およびさらに動物有害生物を防除するため、特定の濃度および施用量で使用することもできる。適切な場合、これらはさらなる活性化合物の合成のための中間体および前駆体として用いることもできる。
【0119】
本発明による活性化合物は、良好な植物耐性および温血動物に対する望ましい毒性、ならびに環境に忍容性が高いことと組み合わさって、植物および植物生物を保護するのに、収穫収量を増加させるのに、および収穫されたものの品質を向上させるのに適当である。これらは植物保護剤として用いるのが好ましい。これらは正常な感受性および耐性な種に対して、ならびに発育の全段階または一部の段階に対して活性である。
【0120】
該活性化合物または組成物を用いる植物および植物部位の本発明による処理は、通例の処理方法を使用し、例えば浸漬、スプレー、噴霧、灌漑、蒸発、散粉、煙霧、散布、発泡、塗装、塗布、撒水(浸水)、点滴灌漑により、ならびに繁殖材料の場合、特に種子の場合、さらに乾燥種子処理用粉末、種子処理用溶液、スラリー処理用の水溶性粉末として、外被化により、1つ以上の外被でのコーティングなどにより直接、またはこれらの周囲、生息地もしくは貯蔵空間に作用して実施される。超低量方法によって該活性化合物を施用すること、または該活性化合物の調製物もしくは該活性化合物自体を土壌に注入することがさらに可能である。
【0121】
活性化合物の施用量は、実質的な範囲内において変動することができる。本質的に、これは所望の効果の性質に依存する。一般に、該施用量は、土壌面積1ヘクタール当たり1gから10kgの間の活性化合物、好ましくは1ヘクタール当たり5gから5kgの間である。
【0122】
作物植物との本発明による活性化合物の適合性の有利な効果は、特定の濃度比で特に顕著である。しかし、該活性化合物の組合せにおける該活性化合物の重量比は、比較的広い範囲内で変動することができる。一般に、式(I)の活性化合物1重量部当たり、(b’)下に上述されている作物植物の適合性を向上させる化合物(解毒剤/安全化剤)の1種の0.001重量部から1000重量部、好ましくは0.01重量部から100重量部、特に好ましくは0.05重量部から20重量部が存在する。
【0123】
本発明による活性化合物は一般に、完成製剤の形態で施用される。しかし、該活性化合物の組合せに含有される活性化合物は、個々の製剤として使用中に混合される、即ちタンクミックスの形態で施用することもできる。
【0124】
さらに、本発明による処理によって、収穫されたものならびにこれらから調製される食料品および飼料中のマイコトキシン含有量を減少することが可能である。特に、しかし排他的ではない以下のマイコトキシンを本明細書において挙げることができる。例えば、以下の真菌:フサリウム属種(Fusarium spec)、とりわけフサリウム・アクミナトゥム(Fusarium acuminatum)、F.アベナコイム(F.avenaceum)、F.クロオクウェレンス(F.crookwellense)、F.クルモルム(F.culmorum)、F.グラミネアルム(F.graminearum)(ギッベレッラ・ゼアエ(Gibberella zeae))、F.エキセチ(F.equiseti)、F.フジコロイ(F.fujikoroi)、F.ムサルム(F.musarum)、F.オキシスポルム(F.oxysporum)、F.プロリフェラツム(F.proliferatum)、F.ポア(F.poae)、F.プソイドグラミネアルム(F.pseudograminearum)、F.サンブシヌム(F.sambucinum)、F.シルピ(F.scirpi)、F.セミテクツム(F.semitectum)、F.ソラニ(F.solani)、F.スポロトリコイデス(F.sporotrichoides)、F.ラングスチア(F.langsethiae)、F.スブグルチナンス(F.subglutinans)、F.トリシンクツム(F.tricinctum)、F.ベルチシリオイデス(F.verticillioides)などによって、およびさらにとりわけアスペルギッルス属種(Aspergillus spec.)、ペニキッリウム属種(Penicillium spec.)、クラウィケプス・プルプレア(Claviceps purpurea)、スタキュボトリュス属種(Stachybotrys spec.)によって産生されるデオキシニバレノール(DON)、ニバレノール、15−Ac−DON、3−Ac−DON、T2およびHT2トキシン、フモニシン、ゼラレノン、モニリホルミン、フザリン、ジアセトキシシルペノール(DAS)、ビューベリシン、エンニアチン、フザロプロリフェリン、フザレノール、オクラトキシン、パツリン、麦角アルカロイドおよびアフラトキシン。
【0125】
材料の保護において、本発明による組成物または活性化合物はさらに、例えば真菌などの望まれない微生物による攻撃および破壊に対して産業材料を保護するために用いることができる。
【0126】
本文脈において、産業材料は、科学技術における使用のために作製された非生存材料を意味すると理解される。例えば、本発明による活性化合物によって微生物による修飾または破壊から保護されるべき産業材料は、接着剤、サイズ剤、紙および板、織物、なめし革、材木、ペンキおよびプラスチック物品、冷却潤滑剤、ならびに微生物によって攻撃または破壊され得る他の材料であり得る。微生物の増殖によって悪影響を受けることがある生産プラントの一部、例えば冷却水回路も、保護されるべき材料内に挙げることができる。本発明の目的に好ましく挙げることができる産業材料は、接着剤、サイズ剤、紙および板、なめし革、材木、ペンキ、冷却潤滑剤ならびに熱伝達流体、特に好ましくは木材である。本発明による組成物または活性化合物は、腐敗、腐朽、変色、脱色、またはカビの形成などの不利な効果を防止することができる。
【0127】
望まれない真菌を防除するための本発明による方法は、貯蔵物を保護するために用いることもできる。本明細書において、貯蔵物は、長期の保護が所望される野菜もしくは動物由来の天然物質、または天然由来のこれらの加工製品を意味すると理解されるべきである。野菜由来の貯蔵物、例えば植物、もしくは茎、葉、塊茎、種子、果実、子実などの植物部位などは収穫したてで保護する、または(予備)乾燥、湿潤、粉末化、粉砕、加圧または焙煎により加工後に保護することができる。貯蔵物にはさらに、建築材木、電柱および障壁物などの未加工の材木、または家具などの完成製品の形態での材木の両方が含まれる。動物由来の貯蔵物は、例えば皮革、なめし革、毛皮および毛髪である。本発明による活性化合物は、腐敗、腐朽、変色、脱色、またはカビの形成などの不利な効果を防止することができる。
【0128】
挙げることができる、産業材料を劣化させられるまたは変化させられる微生物は、例えば細菌、真菌、酵母、藻類および粘液生物である。本発明による活性化合物は、好ましくは、真菌、特にカビ、木材変色および木材破壊真菌(担子菌類(Basidiomycetes))に対して、ならびに粘液生物および藻類に対して作用する。以下の属の微生物を例として挙げることができる。アルテルナリア(Alternaria)、例えばアルテルナリア・テヌイス(Alternaria tenuis)など;アスペルギッルス(Aspergillus)、例えばアスペルギッルス・ニゲル(Aspergillus niger)など;カエトミウム(Chaetomium)、例えばカエトミウム・グロボスム(Chaetomium globosum)など;コニオホラ(Coniophora)、例えばコニオホラ・プエタナ(Coniophora puetana)など;レンチヌス(Lentinus)、例えばレンチヌス・チグリヌス(Lentinus tigrinus)など;ペニキッリウム(Penicillium)、例えばペニキッリウム・グラウクム(Penicillium glaucum)など;ポリポルス(Polyporus)、例えばポリポルス・ベルシコロル(Polyporus versicolor)など;アウレオバシジウム(Aureobasidium)、例えばアウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)など;スクレロホマ(Sclerophoma)、例えばスクレロホマ・ピチオフィラ(Sclerophoma pityophila)など;トリコデルマ(Trichoderma)、例えばトリコデルマ・ビリド(Trichoderma viride)など;エスケリキア(Escherichia)、例えばエスケリキア・コリ(Escherichia coli)など;プセウドモナス(Pseudomonas)、例えばプセウドモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)など;スタフィルオコックス(Staphylococcus)、例えばスタフィルオコックス・アウロイス(Staphylococcus aureus)など。
【0129】
本発明はさらに、本発明によるチエニルアミノピリミジンの少なくとも1種を含む、望まれない微生物を防除するための組成物に関する。これらは、農業における使用に適当な助剤、溶媒、担体、界面活性剤または増量剤を含む殺真菌性組成物であるのが好ましい。
【0130】
本発明によると、担体は、より良い施用性のために、特に植物もしくは植物の一部または種子への施用のために該活性化合物が混合されるまたは結合される天然または合成の有機物または無機物である。固体または液体であってよい該担体は、一般に不活性であり、農業における使用に適当であるべきである。
【0131】
適当な固体担体は、例えば、アンモニウム塩、ならびにカオリン、粘土、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイトまたは珪藻土などの粉砕天然鉱物、ならびに微粉化シリカ、アルミナおよびシリケートなどの粉砕合成鉱物であり、顆粒用の適当な固体担体は、例えば、方解石、大理石、軽石粉、海泡石およびドロマイトなどの破砕もしくは画分化天然岩、ならびにさらに無機および有機荒粉の合成顆粒、ならびに紙、おがくず、ココナツ外殻、トウモロコシ穂軸およびタバコ柄などの有機材料の顆粒であり、適当な乳化剤および/または泡形成剤は、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、例えばアルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキルスルホネート、アルキルスルフェート、アリールスルホネートおよびさらにタンパク質加水分解物などの非イオン性および陰イオン性乳化剤であり、適当な分散剤は、例えばアルコール/POEおよび/またはPOPエーテル、酸および/またはPOP/POEエステル、アルキルアリールおよび/またはPOP/POEエーテル、脂肪および/またはPOP/POE付加物、POEおよび/またはPOPポリオール誘導体、POEおよび/またはPOP/ソルビタンまたは糖付加物、アルキルもしくはアリールスルフェート、スルホネートおよびホスフェートまたは対応するPOエーテル付加物の部類からの非イオン性および/またはイオン性物質である。さらに適当なオリゴまたはポリマー、例えばビニルモノマーから、アクリル酸から、EOおよび/またはPO単独または例えば(ポリ)アルコールもしくは(ポリ)アミンとの組合せから誘導されるもの。リグニンおよびこのスルホン酸誘導体、非修飾および修飾セルロース、芳香族および/または脂肪族スルホン酸、ならびにホルムアルデヒドとのこれらの付加物を用いることも可能である。
【0132】
活性化合物は、溶液、エマルジョン、水和剤、水性および油性懸濁液、粉末、粉剤、ペースト剤、可溶性粉末、可溶性顆粒、散布用顆粒、懸濁液−エマルジョン濃縮物、活性化合物を含浸させた天然材料、活性化合物を含浸させた合成材料、肥料ならびにさらにポリマー物質中のマイクロカプセル化物などの通例の製剤に変換することができる。
【0133】
該活性化合物は、使用準備済みの溶液、エマルジョン、水性または油性懸濁液、粉末、水和剤、ペースト剤、可溶性粉末、粉剤、可溶性顆粒、散布用顆粒、懸濁液−エマルジョン濃縮物、活性化合物を含浸させた天然材料、活性化合物を含浸させた合成材料、肥料、およびさらにポリマー物質中のマイクロカプセル化物など、これらの製剤の形態またはこれらから調製される使用形態におけるようなものとして使用することができる。施用は通例の方法で、例えば注流、スプレー、噴霧、散布、散粉、発泡、塗布などによって実施される。該活性化合物を超低量方法によって施用する、または該活性化合物の調製物もしくは該活性化合物自体を土壌に注入することがさらに可能である。植物の種子を処理することも可能である。
【0134】
記述した製剤は、それ自体知られている方法で、例えば、少なくとも1種の通例の増量剤、溶媒もしくは希釈剤、乳化剤、分散剤および/またはバインダーもしくは固定液、湿潤剤、撥水剤、適切な場合乾燥剤およびUV安定剤、ならびに適切な場合着色剤および顔料、消泡剤、保存料、二次増粘剤、接着剤、ジベレリン、ならびに他の処理助剤と活性化合物を混合することによって調製することができる。
【0135】
本発明による組成物は、使用する用意がすでにできており、適当な装置を使用して植物または種子に施用することができる製剤のみでなく、使用する前に水で希釈しなければならない市販の濃縮物も含める。
【0136】
本発明による活性化合物はこうして、またはこれらの(市販の)製剤で、ならびにさらに殺虫剤、誘引剤、滅菌剤、殺菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺真菌剤、成長調節剤、除草剤、肥料、安全化剤および/もしくはセミオケミカルなど、他の(公知の)活性化合物との混合物としてこれらの製剤から調製される使用形態で存在することができる。
【0137】
助剤としての使用に適当であるのは、該組成物自体および/またはこれらから誘導される調製物(例えばスプレー液、種子粉衣剤)に、特定の技術特性および/またはさらに特別な生物学的特性などの特別な特性を付与するのに適当である物質である。通常の適当な助剤は、増量剤、溶媒および担体である。
【0138】
適当な増量剤は、例えば水、極性および非極性有機化学液体、例えば芳香族および非芳香族炭化水素(パラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、クロロベンゼンなど)、アルコールおよびポリオール(適切な場合、置換、エーテル化および/またはエステル化されていてもよい。)、ケトン(アセトン、シクロヘキサノンなど)、エステル(脂肪および油を含める。)および(ポリ)エーテル、非置換および置換アミン、アミド、ラクタム(N−アルキルピロリドンなど)およびラクトン、スルホンおよびスルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)の部類からのものである。
【0139】
液化ガス状の増量剤または担体は、周囲温度および大気圧下にてガス状である液体、例えばハロゲン化炭化水素などのエアゾール噴霧剤、ならびにさらにブタン、プロパン、窒素および二酸化炭素である。
【0140】
カルボキシメチルセルロース、ならびにアラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートなど粉末、顆粒およびラテックスの形態における天然および合成ポリマー、または他にケファリンおよびレシチンなどの天然リン脂質ならびに合成リン脂質などの粘着性付与剤は、該製剤に使用することができる。他の可能な添加剤は、鉱物油および植物油である。
【0141】
使用される増量剤が水である場合、例えば、補助溶媒として有機溶媒を使用することも可能である。適当な液体溶媒は本質的に、キシレン、トルエンまたはアルキルナフタレンなどの芳香族化合物、クロロベンゼン、クロロエチレンまたは塩化メチレンなどの塩素化芳香族化合物または塩素化脂肪族炭化水素、シクロヘキサンまたはパラフィンなどの脂肪族炭化水素、例えば鉱油留分、ブタノールまたはグリコールなどのアルコールおよびさらにこれらのエーテルおよびエステル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンまたはシクロヘキサノンなどのケトン、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドなどの強極性溶媒、ならびにさらに水である。
【0142】
本発明による組成物は、例えば界面活性剤などのさらなる成分を追加として含むことができる。適当な界面活性剤は、イオン性もしくは非イオン性特性を有する乳化剤および/もしくは泡形成剤、分散剤または湿潤剤、またはこれらの界面活性剤の混合物である。これらの例は、ポリアクリル酸の塩、リグノスルホン酸の塩、フェノールスルホン酸またはナフタレンスルホン酸の塩、エチレンオキシドと脂肪アルコールまたは脂肪酸または脂肪アミンとの重縮合物、置換フェノール(好ましくは、アルキルフェノールまたはアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(好ましくは、アルキルタウレート)、ポリエトキシ化アルコールまたはフェノールのリン酸エステル、ポリオールの脂肪エステル、ならびにスルフェート、スルホネートおよびホスフェートを含有する化合物、例えばアルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキルスルホネート、アルキルスルフェート、アリールスルホネート、タンパク質加水分解物、リグノスルファイト廃液およびメチルセルロースの誘導体である。界面活性剤の存在は、活性化合物の1種および/または不活性担体の1種が水に不溶性であり、施用が水中で実施される場合に必要である。界面活性剤の比率は、本発明による組成物の5重量%から40重量%の間である。
【0143】
無機顔料、例えば酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルー、ならびにアリザリン染料、アゾ染料および金属フタロシアニン染料などの有機染料などの着色剤、ならびに鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデンおよび亜鉛の塩などの痕跡量の栄養素を使用することが可能である。
【0144】
他の可能な添加剤は、芳香剤、鉱物油または植物油、適切な場合、修飾されたワックス、ならびに鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデンおよび亜鉛の塩などの栄養素(痕跡量の栄養素を含める。)である。
【0145】
低温安定剤、保存料、抗酸化剤、光安定剤などの安定剤、または化学的および/もしくは物理的安定性を向上させる他の薬剤も存在することができる。
【0146】
適切な場合、他の添加成分、例えば保護コロイド、バインダー、接着剤、増粘剤、チキソトロピー剤、浸透剤、安定剤、捕捉剤、複合体形成剤が存在することも可能である。一般に、該活性化合物は、製剤目的に通例使用される任意の固体または液体の添加剤と組み合わせることができる。
【0147】
該製剤は一般に、0.05重量%から99重量%の間、0.01重量%から98重量%、好ましくは0.1重量%から95重量%の間、特に好ましくは0.5重量%から90重量%の間の該活性化合物、非常に特に好ましくは10重量%から70重量%の間を含む。
【0148】
上記されている製剤は、本発明によるチエニルアミノピリミジンが微生物および/またはこれらの生息地に施用される本発明による方法で、望まれない微生物を防除するために用いることができる。
【0149】
本発明による活性化合物はこうして、またはこれらの製剤中で、例えば活性スペクトルを拡大するまたは抵抗性の発達を防止するため、公知の殺真菌剤、殺菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤または殺虫剤との混合物中に使用することもできる。
【0150】
適当な混合相手は、例えば、公知の殺真菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤または他に殺菌剤である(Pesticide Manual、第13版も参照のこと。)。
【0151】
除草剤などの他の公知活性化合物との混合物、または肥料および成長調節剤、安全化剤および/もしくはセミオケミカルとの混合物も可能である。
【0152】
施用は、使用形態に適応する方法で実施される。
【0153】
植物病原性の有害な真菌の防除は、主に、土壌および植物の地上部を作物保護組成物で処理することによる。環境に対する作物保護組成物の可能な影響ならびにヒトおよび動物の健康を視野に入れた関心のおかげで、施用される活性化合物の量を減少する努力がなされている。
【0154】
該活性化合物は、これらの製剤の形態、ならびに使用準備済みの溶液、懸濁液、水和剤、ペースト剤、可溶性粉末、粉剤および顆粒などこれらから調製される使用形態におけるものとして施用することができる。施用は通例の方法で、例えば撒水、スプレー、噴霧、散布、散粉、発泡、塗布などによって実施される。活性化合物を超低量方法によって施用すること、または該活性化合物の調製物もしくは該活性化合物自体を土壌に注入することも可能である。植物の種子を処理することも可能である。
【0155】
本発明による活性化合物を殺真菌剤として使用する場合、施用量は、施用の種類に依存して比較的広い範囲内で変動することができる。本発明による活性化合物の施用量は下記の通りである。
・植物の部位、例えば葉の処理において、0.1g/haから10000g/ha、好ましくは10g/haから1000g/ha、特に好ましくは50g/haから300g/ha(施用が撒水または浸漬による場合、特にロックウールまたはパーライトなどの不活性な基質が使用される場合、またさらに施用量を減少することが可能である。)、
・種子の処理において、種子100kg当たり2gから200g、好ましくは種子100kg当たり3gから150g、特に好ましくは種子100kg当たり2.5gから25g、非常に特に好ましくは種子100kg当たり2.5gから12.5g、
・土壌処理において、0.1g/haから10000g/ha、好ましくは1g/haから5000g/ha。
【0156】
これらの施用量は、例示的な意味においてのみ記述されており、本発明の目的のために限定するものではない。
【0157】
本発明による化合物は、コロニー化に対して、外皮、スクリーン、網、建物、係留および信号システムなど、塩水または汽水と接触する対象物を保護するために使用することもできる。
【0158】
本発明による活性化合物は、単独または他の活性化合物と組み合わせて、防汚剤として用いることがさらにできる。
【0159】
本発明による処理方法は、遺伝子組換え体(GMO)、例えば植物または種子を処理するために使用することができる。遺伝子組換え植物(またはトランスジェニック植物)は、異種遺伝子がゲノム中に安定して組み込まれた植物である。「異種遺伝子」という表現は、本質的に、植物の外部で提供されるまたは構築される遺伝子を意味し、細胞核に導入されると、葉緑体またはミトコンドリアゲノムが、興味対象のタンパク質もしくはポリペプチドを発現することによって、または植物中に存在する他の遺伝子(単数以上)を下方制御するまたは発現抑制する(例えば、アンチセンス技術、共抑制技術またはRNA干渉(RNAi)技術を使用する。)ことによって、形質転換植物に新たなもしくは改善された農学的特性なまたは他の特性を与える。ゲノム中に位置する異種遺伝子は、導入遺伝子とも呼ばれる。植物ゲノム中の特別位置によって定義される導入遺伝子は、形質転換イベントまたはトランスジェニックイベントと呼ばれる。
【0160】
植物種または植物品種、これらの位置および成長条件(土壌、気候、植物期間、食事療法)に依存して、本発明による処理は、超付加的(「相乗的」)効果をもたらすこともある。したがって、例えば、実際に期待されると思われる効果を超える、以下の効果が可能である。本発明に従って使用できる活性化合物および組成物の施用量の減少および/または活性スペクトルの拡大および/または活性における増加、より良い植物成長、高温または低温に対する耐性の増加、干ばつまたは水もしくは土壌の塩分に対する耐性の増加、開花能力の増加、より簡便な収穫、成熟の加速、より高い収穫収率、より大きな果実、より大きな草高、より緑色の葉色、より早い開花、収穫生産物のより高い品質および/またはより高い栄養価、果実内のより高い糖濃度、収穫生産物のより良い貯蔵安定性および/または加工能力。
【0161】
本件において、望まれない植物病原性真菌および/または微生物および/またはウイルスは、植物病原性真菌、細菌およびウイルスを意味すると理解されるべきである。したがって、本発明による物質は、処理後一定の期間内において、上述した病原体による攻撃に対して植物を保護するために用いることができる。保護の効果がある期間は、活性化合物での植物の処理後、一般に1日から10日、好ましくは1日から7日に及ぶ。
【0162】
本発明に従って処理されるのが好ましい植物および植物品種として、これらの植物に特に有利な有用な特性を与える遺伝子材料を持つ全ての植物が挙げられる(これが育種によって達成されるとしても、および/またはバイオテクノロジーが無関係であるとしても)。
【0163】
本発明に従って処理されるのも好ましい植物および植物品種は、1つ以上の生物ストレスに対して抵抗性であり、即ち前記植物は、線虫、昆虫、ダニ、植物病原性真菌、細菌、ウイルスおよび/またはウイロイドなど動物および微生物の有害生物に対するより良い防御を有する。
【0164】
本発明に従って処理することもできる植物および植物品種は、1つ以上の非生物的ストレス要因に抵抗性であるものである。非生物的ストレス状態として、例えば、干ばつ、冷温曝露、熱曝露、浸透圧ストレス、洪水、土壌塩分の増加、鉱物曝露の増加、オゾン曝露、高い露光量、窒素栄養素の利用制限、リン栄養素の利用制限または遮光回避を挙げることができる。
【0165】
本発明に従って処理することもできる植物および植物品種は、収量特徴を増強することを特徴とする植物である。前記植物における収量の増加は、水の使用効率、保水効率、窒素使用の向上、炭素同化作用の増強、光合成の向上、発芽効率の増加および成熟の加速など、植物の生理機能、成長および発達の向上の結果であり得る。収量は、早期開花、ハイブリッド種子生産用の開花制御、実生活力、植物の大きさ、節間の数および距離、根の成長、種子の大きさ、果実の大きさ、さやの大きさ、さやまたは穂の数、1つのさやまたは穂当たりの種子数、種子質量、種子充填の増強、種子分散の減少、さやの裂開、ならびに耐倒伏の減少を含めた(ストレスおよび非ストレス状態下における)植物構造の改善によって、さらに影響を受けることがある。さらなる収量形質として、炭水化物含有量、タンパク質含有量、油の含有量および組成、栄養価、抗栄養化合物における減少、加工能力の向上、ならびにより良い貯蔵安定性などの種子組成が挙げられる。
【0166】
本発明に従って処理することができる植物は、一般に高い収量、活力、健康、ならびに生物的および非生物的ストレス要因に対する抵抗性をもたらす雑種強勢またはハイブリッド効果の特徴をすでに発現しているハイブリッド植物である。こうした植物は、通常、自殖性の雄性不稔性親系統(雌親)を別の自殖性の雄性稔性親系統(雄親)と交雑させることによって作製される。ハイブリッド種子は通常、雄性不稔性植物から収穫され、栽培者に販売される。雄性不稔性植物は、時々、(例えば、トウモロコシにおいて)ふさを取り除くこと(即ち、雄性生殖器または雄花の機械的除去)によって生産されるが、より通常には、雄性不稔性は植物ゲノム中の遺伝的決定因子の結果である。その場合、および特に種子がハイブリッド植物から収穫される所望の生成物である場合、通常、雄性不稔性に関与している遺伝的決定因子を含有するハイブリッド植物における雄性稔性が十分回復されるのを確実にすることが有用である。これは、雄性不稔性に関与している遺伝的決定因子を含有するハイブリッド植物における雄性稔性を回復させる能力のある適当な稔性回復遺伝子を雄親が有するのを確実にすることによって達成することができる。雄性不稔性に関する遺伝的決定因子は、細胞質中に位置し得る。細胞質雄性不稔性(CMS)の例は、例えば、ブラッシカ属各種(Brassica species)に表れた。しかし、雄性不稔性に関する遺伝的決定因子は、細胞核ゲノム中にも位置することがある。雄性不稔性植物は、遺伝子工学などの植物バイオテクノロジーの方法によって得ることもできる。雄性不稔性植物を得る特に有用な手段は、例えばWO89/10396に記載されており、ここでは、バルナーゼなどのリボヌクレアーゼが雄しべ中のタペータム細胞において選択的に発現される。稔性は次いで、バルスターなどのリボヌクレアーゼ阻害剤のタペータム細胞における発現によって回復され得る。
【0167】
本発明によって処理することができる(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジーの方法によって得られる)植物または植物品種は、除草剤耐性植物、即ち1つ以上の所定の除草剤に対して耐性にした植物である。こうした植物は、遺伝子形質転換によって、またはこうした除草剤耐性を付与する突然変異を含有する植物の選択によってのいずれかで得ることができる。
【0168】
除草剤耐性植物は、例えばグリフォセート耐性植物、即ち除草剤グリフォセートまたはこの塩に対して耐性にした植物である。例えば、グリフォセート耐性植物は、酵素5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素(EPSPS)をコードする遺伝子で植物を形質転換することによって得ることができる。こうしたEPSPS遺伝子の例は、細菌サルモネッラ・テュピムリウム(Salmonella typhimurium)のAroA遺伝子(変異体CT7)、細菌アグロバクテリウム属種(Agrobacterium sp.)のCP4遺伝子、ペチュニアEPSPS、トマトEPSPS、またはエレウシネ(Eleusine)EPSPSをコードする遺伝子である。これは、変異EPSPSであってもよい。グリフォセート耐性植物は、グリフォセートオキシドレダクターゼ酵素をコードする遺伝子を発現させることによって得ることもできる。グリフォセート耐性植物は、グリフォセートアセチルトランスフェラーゼ酵素をコードする遺伝子を発現させることによって得ることもできる。グリフォセート耐性植物は、上述した遺伝子の自然発生突然変異を含有する植物を選択することによって得ることもできる。
【0169】
他の除草剤抵抗性植物は、例えば、ビアラフォス(bialaphos)、ホスフィノトリシンまたはグルホシネートなど酵素グルタミンシンターゼを阻害する除草剤に対して耐性にした植物である。こうした植物は、除草剤を解毒する酵素、または阻害に抵抗性である変異グルタミンシンターゼ酵素を発現させることによって得ることができる。1つのこうした有効な解毒酵素は、例えば、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(ストレプトミュケス属各種(Streptomyces species)由来のbarまたはpatタンパク質など)をコードする酵素である。外因性ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼを発現する植物が記載されている。
【0170】
さらなる除草剤耐性植物は、酵素ヒドロキシフェニルピルベートジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害する除草剤に対して耐性にした植物もである。ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼは、パラ−ヒドロキシフェニルピルベート(HPP)がホモゲンチセートに形質転換される反応を触媒する酵素である。HPPD阻害剤に対して耐性の植物は、天然の耐性HPPD酵素をコードする遺伝子、または変異HPPD酵素をコードする遺伝子で形質転換することができる。HPPD阻害剤に対する耐性は、HPPD阻害剤による未変性HPPD酵素の阻害にもかかわらずホモゲンチセートの形成を可能にする特定の酵素をコードする遺伝子で植物を形質転換することによって得ることもできる。HPPD阻害剤に対する植物の耐性は、HPPD耐性酵素をコードする遺伝子に加えて酵素プレフェナートデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子で植物を形質転換することによって向上させることもできる。
【0171】
またさらなる除草剤抵抗性植物は、アセト乳酸シンターゼ(ALS)阻害剤に対して耐性にした植物である。公知のALS阻害剤として、例えばスルホニル尿素、イミダゾリノン、トリアゾロピリミジン、ピリミジニルオキシ(チオ)安息香酸、および/またはスルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン除草剤が挙げられる。ALS酵素(アセトヒドロキシ酸シンターゼ、AHASとしても知られている。)における異なる突然変異は、異なる除草剤および除草剤の群に耐性をもたらすことが知られている。スルホニル尿素耐性植物およびイミダゾリノン耐性植物の生産は、国際公開WO96/033270に記載されている。さらなるスルホニル尿素およびイミダゾリノン耐性植物は、例えばWO07/024782に記載されている。
【0172】
イミダゾリノンおよび/またはスルホニル尿素に対して耐性の他の植物は、誘発変異原性によって、除草剤の存在下での細胞培養における選択によって、または突然変異育種によって得ることができる。
【0173】
本発明に従って処理することもできる(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジーの方法によって得られる)植物または植物品種は、昆虫抵抗性トランスジェニック植物、即ち特定の標的昆虫による攻撃に対して抵抗性にした植物である。こうした植物は、遺伝子形質転換によって、またはこうした昆虫抵抗性を付与する突然変異を含有する植物の選択によって得ることができる。
【0174】
本文脈において、「昆虫抵抗性トランスジェニック植物」という用語は、以下のものをコードするコード配列を含む少なくとも1種の導入遺伝子を含有する任意の植物を含める。
1)バキルルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)由来の殺虫性結晶タンパク質またはこの殺虫性部分:オンラインhttp://www.lifesci.sussex.ac.uk/Home/Neil_Crickmore/Bt/で列挙されている殺虫性結晶タンパク質またはこれらの殺虫性部分、例えばCryタンパク質部類のタンパク質であるCrylAb、CrylAc、Cry1F、Cry2Ab、Cry3AeもしくはCry3Bb、またはこれらの殺虫性部分など、または
2)バキルルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)由来の第二の他の結晶タンパク質またはこの一部分の存在下において殺虫性である、バキルルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)由来の結晶タンパク質またはこの一部分:Cy34およびCy35結晶タンパク質から構成されている二成分毒素など、または
3)バキルルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)由来の2種の異なる殺虫性結晶タンパク質の一部分を含むハイブリッド殺虫性タンパク質:上記1)のタンパク質のハイブリッド、または上記2)のタンパク質のハイブリッド、例えばトウモロコシイベントMON98034(WO07/027777)によって産生されるCry1A.105タンパク質など、または
4)標的昆虫種に対してより高い殺虫活性を得るため、および/または影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡大するため、および/またはクローニングもしくは形質転換中にコードDNAにおいて誘発された変化のため、一部のアミノ酸、特に1から10のアミノ酸が別のアミノ酸によって置き換えられた、上記1)から3)のいずれか一項のタンパク質:トウモロコシイベントMON863もしくはMON88017におけるCry3Bb1タンパク質、またはトウモロコシイベントMIR604におけるCry3Aタンパク質など、
5)バキルルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)もしくはバキルルス・ケレウス(Bacillus cereus)由来の殺虫性分泌タンパク質またはこの殺虫性部分:http://www.lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/vip.htmlに列挙されている植物性殺虫タンパク質(VIP)、例えばVIP3Aaタンパク質部類由来のタンパク質など、または
6)バキルルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)またはB.セロイス(B.cereus)由来の第二分泌タンパク質の存在下において殺虫性である、バキルルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)またはバキルルス・ケレウス(Bacillus cereus)由来の分泌タンパク質:VIP1AおよびVIP2Aタンパク質から構成される二成分毒素など、
7)バキルルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)またはバキルルス・ケレウス(Bacillus cereus)由来の異なる分泌タンパク質の一部を含むハイブリッド殺虫性タンパク質:上記1)におけるタンパク質のハイブリッド、または上記2)におけるタンパク質のハイブリッドなど、または
8)標的昆虫種に対してより高い殺虫活性を得るため、および/または影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡大するため、および/またはクローニングもしくは形質転換中にコードDNAにおいて誘発された変化のため(一方殺虫性タンパク質をなおコードする。)、一部のアミノ酸、特に1から10のアミノ酸が別のアミノ酸によって置き換えられた、上記1)から3)の一項のタンパク質:綿イベントCOT102におけるVIP3Aaタンパク質など。
【0175】
当然、昆虫抵抗性トランスジェニック植物は、本明細書で使用される場合、上記部類1から8のいずれか一項のタンパク質をコードする遺伝子の組合せを含む任意の植物も含める。一実施形態において、昆虫抵抗性植物は、同じ標的昆虫種であるが昆虫における異なる受容体結合部位への結合などの異なる作用様式を有する標的昆虫種に対する異なるタンパク質殺虫性を使用することによって、影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡大するため、または植物に対する昆虫抵抗性の発生を遅延するため、上記部類1から8の一項のタンパク質をコードする1種を超える導入遺伝子を含有する。
【0176】
本発明に従って処理することもできる(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジーの方法によって得られる)植物または植物品種は、非生物的ストレス要因に耐性である。こうした植物は、遺伝子形質転換によって、またはこうしたストレス抵抗性を付与する突然変異を含有する植物の選択によって得ることができる。特に有用なストレス耐性植物として、以下のものが挙げられる。
a.植物細胞または植物におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)遺伝子の発現および/または活性を減少させる能力のある導入遺伝子を含有する植物、
b.植物または植物細胞の遺伝子をコードするPARGの発現および/または活性を減少させる能力のあるストレス耐性増強導入遺伝子を含有する植物、
c.ニコチンアミダーゼ、ニコチネートホスホリボシルトランスフェラーゼ、ニコチン酸モノヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドシンテターゼまたはニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼを含めて、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドサルベージ生合成経路の植物機能酵素をコードするストレス耐性増強導入遺伝子を含有する植物。
【0177】
本発明に従って処理することもできる(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジーの方法によって得られる)植物または植物品種は、収穫生産物の量、品質および/もしくは貯蔵安定性の変化、ならびに/または収穫生産物の特異成分の特性の変化、例えば以下のものなどを示す。
1)物理化学的特性、特にアミロース含有量またはアミロース/アミロペクチン比、枝分かれ度、平均鎖長、側鎖分布、粘度挙動、ゲル強度、デンプン粒の大きさおよび/またはデンプン粒の形態において、野生型植物細胞または植物における合成デンプンと比較して変化されているため、特別な施用に、より適当である修飾デンプンを合成するトランスジェニック植物。
2)非デンプン炭水化物ポリマーを合成する、または遺伝子組換えをしていない野生型植物と比較して特性の変化した非デンプン炭水化物ポリマーを合成するトランスジェニック植物。例は、特にイヌリン型およびレバン型のポリフルクトースを産生する植物、アルファ−1,4−グルカンを産生する植物、アルファ−1,6分枝アルファ−1,4−グルカンを産生する植物、およびアルテルナンを産生する植物である。
3)ヒアルロナンを産生するトランスジェニック植物。
【0178】
本発明に従って処理することもできる(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジーの方法によって得ることができる)植物または植物品種は、繊維特徴の変化した綿植物などの植物である。こうした植物は、遺伝子形質転換によって、またはこうした変化した繊維特徴を付与する突然変異を含有する植物の選択によって得ることができ、以下のものが挙げられる。
a)変化した形態のセルロースシンターゼ遺伝子を含有する、綿植物などの植物、
b)変化した形態のrsw2またはrsw3相同核酸を含有する、綿植物などの植物、
c)スクロースリン酸シンターゼの発現の増加した、綿植物などの植物、
d)スクロースシンターゼの発現の増加した、綿植物などの植物、
e)繊維細胞の基底での原形質連絡開閉の時機が、繊維選択的β−1,3−グルカナーゼの下方制御を介して変化される、綿植物などの植物、
f)例えばnodCおよびキチンシンターゼ遺伝子を含めたN−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ遺伝子の発現を介して反応性の変化した繊維を有する、綿植物などの植物。
【0179】
本発明に従って処理することもできる(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジーの方法によって得られる)植物または植物品種は、油プロファイル特性の変化した、アブラナまたは関連したブラッシカ属(Brassica)植物などの植物である。こうした植物は、遺伝子形質転換によって、またはこうした変化した油特性を付与する突然変異を含有する植物の選択によって得ることができ、以下のものが挙げられる。
a)高いオレイン酸含有量を有する油を産生する、アブラナ植物などの植物、
b)低いリノレン酸含有量を有する油を産生する、アブラナ植物などの植物、
c)低濃度の飽和脂肪酸を有する油を産生する、アブラナ植物などの植物。
【0180】
本発明に従って処理することができる特に有用なトランスジェニック植物は、1種以上の毒素をコードする1種以上の遺伝子を含む植物であり、以下の商品名の下で販売されている以下のものである。YIELD GARD(登録商標)(例えば、トウモロコシ、綿、大豆)、KnockOut(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、BiteGard(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bt−Xtra(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、StarLink(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bollgard(登録商標)(綿)、Nucotn(登録商標)(綿)、Nucotn 33B(登録商標)(綿)、NatureGard(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Protecta(登録商標)およびNewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)。挙げることができる除草剤耐性植物の例は、以下の商品名の下で販売されているトウモロコシ品種、綿品種および大豆品種である。Roundup Ready(登録商標)(グリフォセートに対して耐性、例えば、トウモロコシ、綿、大豆)、Liberty Link(登録商標)(ホスフィノトリシンに対して耐性、例えば、アブラナ)、IMI(登録商標)(イミダゾリノンに対して耐性)およびSCS(登録商標)(スルホニル尿素に対して耐性、例えば、トウモロコシ)挙げることができる除草剤抵抗性植物(除草剤耐性のために従来の方法で育種した植物)は、名称Clearfield(登録商標)(例えば、トウモロコシ)の下で販売されている品種を含める。
【0181】
本発明に従って処理することができる特に有用なトランスジェニック植物は、例えば、様々な国家または地域の規制当局に関するデータベースに列挙されている形質転換イベントまたは形質転換イベントの組合せを含有する植物である(例えば、http://gmoinfo.jrc.it/gmp_browse.aspxおよびhttp://www.agbios.com/dbase.phpを参照のこと)。
【0182】
本発明によると、列挙されている植物は、特に有利には、本発明による一般式(I)の化合物で処理することができる。活性化合物および混合物に関して上記で示されている好ましい範囲は、これらの植物の処理にも当てはまる。特に重視されるのは、本文脈に具体的に示されている化合物および混合物で植物を処理することである。
【0183】
発明による組成物または活性化合物は、記述されている病原体による攻撃に対して、処理後一定の期間植物を保護するために使用することもできる。保護が提供される期間は、活性化合物での植物の処理後1日から28日、好ましくは1日から14日、特に好ましくは1日から10日、非常に特に好ましくは1日から7日、または種子処理後最大200日に及ぶ。
【0184】
本発明による式(I)の活性化合物の調製および使用は、下記実施例に示されている。しかし、本発明は、これらの実施例に限定されることはない。
【実施例】
【0185】
式(V)の出発原料の調製
2,5−ジクロロ−N−シクロブチルピリミジン4−アミン(V−1)
【0186】
−10℃で、炭酸カリウム3.39g(24.5mmol)を、2,4,5−トリクロロピリミジン3.00g(16.4mmol)のアセトニトリル50ml中溶液に添加する。シクロブチルアミン1.22g(17.2mmol)を次いで、アセトニトリル中の20%強度溶液として添加する。撹拌しながら、反応混合物を室温に終夜温める。反応混合物を、冷水/希釈塩酸(1:1)250ml中に撹拌しながら入れる。混合物を酢酸エチル(2×200ml)で抽出し、合わせた有機相を次いで、水(2×100ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去する。これにより、2,5−ジクロロ−N−シクロブチルピリミジン4−アミン(V−1)3.45g(94%)を得る(logP(pH2.3):2.62)。
【0187】
以下の化合物は、同様の方法において調製することができる。
5−ブロモ−2−クロロ−N−シクロブチルピリミジン4−アミン(V−2)(logP(pH2.3):2.87)。
2−クロロ−N−シクロブチル−5−ヨードピリミジン4−アミン(V−3)(logP(pH2.3):3.08)。
2−クロロ−N−シクロブチル−5−トリフルオロメチルピリミジン4−アミン(V−4)
【0188】
2,4−ジクロロ−5−トリフルオロピリミジン8.07g(37.2mmol)および炭酸カリウム12.8g(92.9mmol)のアセトニトリル150ml中混合物を、50℃に温める。シクロブチルアミン塩酸塩4.00g(37.2mmol)を次いで添加し、混合物を2時間撹拌する。冷却した後、反応混合物を冷水500mlに撹拌しながら入れ、酢酸エチル(3×200ml)で抽出する。合わせた有機相を分離し、水(2×250ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、減圧下で溶媒から取り除く。粗生成物を、シリカゲル(シクロヘキサン/酢酸エチル)上のカラムクロマトグラフィーによって精製する。これにより、2−クロロ−N−シクロブチル−5−トリフルオロメチルピリミジン−4−アミン(V−4)4.00g(41%)を得る(logP(pH2.3):3.20)。
【0189】
式(IV)の化合物の調製
1−(5−アミノ−2−チエニル)エタノン(IV−1、スキーム6)
【0190】
室温で、鉄粉(75.2mmol)4.20gを、1−(5−ニトロ−2−チエニル)エタノン3.00g(17.5mmol)の酢酸360ml中溶液に添加し、混合物を75℃で30分間加熱する。室温に冷却した後、反応混合物を濃縮し、酢酸エチル100mlおよび飽和炭酸水素ナトリウム溶液200ml中に溶かす。有機相を分離し、水性相を酢酸エチルでさらに2回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去する。これにより、所望の生成物1.50g(60%)を得る(logP(pH2.3):0.42)。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ=7.42(d,1H)、6.67(s,2H)、5.91(d,1H)、2.25(s,3H)。
【0191】
2−(N−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メチルチオフェン(IV−3、スキーム7)
【0192】
ジフェニルホスホリルアジド3.87g(14.0mmol)およびトリエチルアミン1.42g(14.0mmol)は、5−メチルチオフェン−2−カルボン酸2.00g(14.0mmol)の乾燥tert−ブタノール20ml中溶液に添加する。反応混合物を85℃で14時間加熱する。室温に冷却した後、水100mlを添加し、混合物を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去する。粗生成物を次いで、カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 4:1)によって精製する。これにより、所望の生成物2.10g(70%)を得る(logP(pH2.3):2.89)。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ=9.35(s,1H)、6.41−6.43(m,1H)、6.31(d,1H)、2.30(s,3H)、1.45(s,9H)。
【0193】
式(I)の化合物の調製
−シクロプロピル−N−2−アセチルチオフェン−5−イル−5−(クロロ)ピリミジン−2,4−ジアミン(実施例10、スキーム2)
【0194】
2−クロロ−N−シクロプロピル−5−(クロロ)ピリミジン−4−アミン863mg(4.23mmol)、1−(5−アミノ−2−チエニル)エタノン717mg(5.07mmol)および4−トルエンスルホン酸644mg(3.38mmol)のジオキサン50ml中混合物を、105℃で16時間撹拌する。冷却した後、反応混合物を冷水に撹拌しながら入れ、酢酸エチル(3×100ml)で抽出する。合わせた有機相をNaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で取り除く。カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:1)による精製により、所望の生成物806mg(62%)を得る(logP(pH2.3):1.87)。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ=8.01(s,1H)、7.64(d,1H)、7.24(s,1H)、6.69(d,1H)、2.95−3.00(m,1H)、2.37(s,3H)、0.84−0.88(m,2H)、0.70−0.73(m,2H)。
【0195】
式(Ia)の化合物の調製
5−クロロ−N−シクロプロピル−N−2−メトキシカルボニルチオフェン−4−イル−2,4−ジアミン(実施例5、スキーム2)
【0196】
5−クロロ−2−クロロ−N−シクロプロピルピリミジン4−アミン250mg(1.23mmol)、メチル4−アミノチオフェン−2−カルボキシレート231mg(1.47mmol)および4−トルエンスルホン酸186mg(0.98mmol)のジオキサン12ml中混合物を、105℃で18時間撹拌する。冷却した後、反応混合物を冷水に撹拌しながら入れ、酢酸エチル(3×100ml)で抽出する。合わせた有機相を飽和NaHCO水溶液50mlで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で取り除く。これにより、所望の生成物200mg(50%)を得る(logP(pH2.3):1.68)。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ=9.56(s,1H)、8.07(s,1H)、7.92(s,1H)、7.86(s,1H)、7.06(s,1H)、3.80(s,3H)、2.83−2.86(m,1H)、0.79−0.84(m,2H)、0.63−0.67(m,2H)。
【0197】
式(Ib)の化合物の調製
5−クロロ−N−シクロプロピル−N−2−ヒドロキシカルボニルチオフェン−4−イル−2,4−ジアミン(実施例37、スキーム9)
【0198】
カリウムtert−ブトキシド345mg(3.08mmol)を、5−クロロ−N−シクロプロピル−N−2−メトキシカルボニルチオフェン−4−イル−2,4−ジアミン500mg(1.54mmol)および水20mlの混合物に添加し、反応混合物を100℃で3時間加熱する。室温に冷却した後、混合物を希釈塩酸で酸性化し、生じる固体を吸引で濾別し、乾燥させる。これにより、所望の生成物300mg(63%)を得る(logP(pH2.3):1.30)。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ=7.97−7.98(m,2H)、7.83(d,1H)、7.52(s,1H)、2.85−2.87(m,1H)、0.82−0.86(m,2H)、0.67−0.71(m,2H)。
【0199】
式(Ic)の化合物の調製
5−クロロ−N−シクロプロピル−N−2−ピロリジン−1−イルカルボニルチオフェン−4−イル−2,4−ジアミン(実施例6、スキーム10)
【0200】
5−クロロ−N−シクロプロピル−N−2−ヒドロキシカルボニルチオフェン−4−イル−2,4−ジアミン150mg(0.48mmol)、ピロリジン29mg(0.41mmol)、Pybrop(0.60mmol)281mgおよびジイソプロピルエチルアミン104mg(0.81mmol)のジクロロメタン10ml中混合物を、室温で24時間撹拌する。反応混合物を次いで水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮する。粗生成物を次いで、カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:1)によって精製する。これにより、所望の生成物80mg(46%)を得る(logP(pH2.3):1.40)。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ=9.40(s,1H)、7.91(s,1H)、7.81(d,1H)、7.72(d,1H)、7.10(s,1H)、3.56−3.58(m,4H)、2.85−2.87(m,1H)、1.90−1.92(m,4H)、0.76−0.80(m,2H)、0.64−0.67(m,2H)。
【0201】
式(I)の化合物の調製
5−クロロ−N−シクロプロピル−N−2−メチルチオフェン−5−イル−2,4−ジアミン(実施例26、スキーム8)
【0202】
5−クロロ−2−クロロ−N−シクロプロピルピリミジン4−アミン200mg(0.98mmol)、2−(N−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メチルチオフェン251mg(1.17mmol)および4−トルエンスルホン酸149mg(0.78mmol)のジオキサン12ml中混合物を、105℃で18時間撹拌する。冷却した後、反応混合物を冷水に撹拌しながら入れ、酢酸エチル(3×100ml)で抽出する。合わせた有機相を飽和NaHCO水溶液50mlで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で取り除く。粗生成物を次いで、カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:1)によって精製する。これにより、所望の生成物275mg(83%)を得る(logP(pH2.3):2.09)。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ=7.87(s,1H)、6.94(s,1H)、6.43−6.47(m,2H)、2.96−3.00(m,1H)、2.31(s,3H)、0.74−0.80(m,2H)、0.67−0.69(m,2H)。
【0203】
式(IX)の出発原料の調製
2−(チオフェン−3−イルアミノ)−5−クロロピリミジン−4(3H)−オン(IX−1、スキーム3)
【0204】
1MのNaOH溶液(水溶液)3.27mlおよび水1mlからなる溶液を、2,4,5−トリクロロピリミジン500mg(2.73mmol)のジオキサン10ml中溶液に添加する。室温で4日撹拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮する。残渣を酢酸エチル50ml中に溶かし、1NのHC1(水溶液)で中和する。有機相を分離し、次いで水10mlで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で取り除く。粗生成物を、3−アミノチオフェン445mg(4.55mmol)および4−トルエンスルホン酸532mg(3.09mmol)と一緒に、ジオキサン10ml中に溶かし、撹拌しながら105℃で加熱する。18時間後、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル50ml中に溶かす。有機相を飽和NaHCO水溶液10mlおよび次いで水10mlで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で取り除く。これにより、2−(チオフェン−3−イルアミノ)−5−クロロピリミジン−4(3H)−オン(IX−1)500mgが得られ、これをさらに精製することなく、さらに直接反応させる(logP(pH2.3):1.38)。
【0205】
式(X、スキーム4)の出発原料の調製
4,5−ジクロロ−N−(3−チエニル)ピリミジン−2−アミン(X−1)
【0206】
2−(チオフェン−3−イルアミノ)−5−クロロピリミジン−4(3H)−オン400mgの塩化ホスホリル2ml中溶液を、95℃で18時間加熱する。冷却した後、反応混合物を減圧下で濃縮し、水に添加し、ジクロロメタン(3×20ml)で抽出する。合わせた有機相をMgSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で取り除く。これにより、4,5−ジクロロ−N−(3−チエニル)ピリミジン−2−アミン(X−1)450mgを得る(logP(pH2.3):3.55)。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ=9.70(s,1H)、8.33(s,1H)、7.65−7.67(m,1H)、7.47−7.49(m,1H)、7.41−7.43(m,1H)。
【0207】
実施例
下記の表Iに列挙されている式Iの化合物は、上記に示されている方法と同様にして得ることができる。
【0208】
【化18】

式中、X=SまたはCR
=SまたはCR
【0209】
【表1】







【0210】
使用実施例
実施例A
ウェントゥリア(Venturia)試験(リンゴ)/保護性
溶媒:アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1重量部
【0211】
活性化合物の適当な調製物を生成するため、活性化合物1重量部を、記載量の溶媒および乳化剤と混合し、濃縮物を所望濃度まで水で希釈する。
【0212】
保護活性に関して試験するため、若い植物に、活性化合物の調製物を記載施用量にて噴霧する。スプレーコーティングを乾燥させた後、該植物に、リンゴ病原体ウェントゥリア・イナエクワリス(Venturia inaequalis)の水性分生子懸濁液を接種し、次いで、インキュベーションキャビネット内に約20℃および100%の相対大気湿度で1日間そのままにする。
【0213】
該植物を次いで、温室内に21℃および約90%の相対大気湿度で置く。
【0214】
評価を接種の10日後に実施する。0%は対照の効力に相当する効力を意味し、一方100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0215】
この試験において、表Iの化合物番号1、2、4、7、8、9、17および18は、100ppmの活性化合物濃度で70%以上の効力を示す。
【0216】
実施例B
ボトリュティス(Botrytis)試験(マメ)/保護性
溶媒:アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1重量部
【0217】
活性化合物の適当な調製物を生成するため、活性化合物1重量部を、記載量の溶媒および乳化剤と混合し、濃縮物を所望濃度まで水で希釈する。
【0218】
保護活性に関して試験するため、若い植物に、活性化合物の調製物を記載施用量にて噴霧する。スプレーコーティングを乾燥させた後、ボトリュティス・キネレア(Botrytis cinerea)がコロニー化した寒天の2つの小片を、各葉の上に置く。接種植物を、暗いチャンバ内に約20℃および100%の相対大気湿度で置く。
【0219】
葉上の感染部位の大きさを、接種の2日後に評価する。0%は対照の効力に相当する効力を意味し、一方100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0220】
この試験において、表Iの化合物番号2、4、7、8、17および18は、100ppmの活性化合物濃度で70%以上の効力を示す。
【0221】
実施例C
スパエロテカ(Sphaerotheca)試験(キュウリ)/保護性
溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド49重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1重量部
【0222】
活性化合物の適当な調製物を生成するため、活性化合物1重量部を、記載量の溶媒および乳化剤と混合し、濃縮物を所望濃度まで水で希釈する。
【0223】
保護活性に関して試験するため、若いキュウリ植物に、活性化合物の調製物を記載施用量にて噴霧する。処理の1日後、植物にスパエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)の胞子懸濁液を接種する。植物を次いで、温室内に70%の相対大気湿度および23℃の温度で置く。
【0224】
評価を接種の7日後に実施する。0%は対照の効力に相当する効力を意味し、一方100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0225】
この試験において、表Iの実施例番号1、2、4、7、8、9、36および40は、500ppmの活性化合物濃度で70%以上の効力を示す。
【0226】
実施例D
アルテルナリア(Alternaria)試験(トマト)/保護性
溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド49重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1重量部
【0227】
活性化合物の適当な調製物を生成するため、活性化合物1重量部を、記載量の溶媒および乳化剤と混合し、濃縮物を所望濃度まで水で希釈する。
【0228】
保護活性に関して試験するため、若いトマト植物に、活性化合物の調製物を記載施用量にて噴霧する。処理の1日後、植物にアルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)の胞子懸濁液を接種し、次いで、100%の相対湿度および22℃で24時間そのままにする。植物を次いで、96%の相対大気湿度および20℃の温度でそのままにする。
【0229】
評価を接種の7日後に実施する。0%は対照の効力に相当する効力を意味し、一方100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0230】
この試験において、表Iの実施例番号1、6、7、8、9、13、14、17、18、19、21、22、24、26および38は、500ppmの活性化合物濃度で70%以上の効力を示す。
【0231】
実施例E
レプトスパエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)試験(コムギ)/保護性
溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド49重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1重量部
【0232】
活性化合物の適当な調製物を生成するため、活性化合物1重量部を、記載量の溶媒および乳化剤と混合し、濃縮物を所望濃度まで水で希釈する。
【0233】
保護活性に関して試験するため、若いコムギ植物に、活性化合物の調製物を記載施用量にて噴霧する。処理の1日後、植物にレプトスパエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)の水性胞子懸濁液を接種し、次いで、100%の相対大気湿度および22℃で48時間そのままにする。植物を次いで、温室内に90%の相対大気湿度および22℃の温度で置く。
【0234】
評価を接種の7−9日後に実施する。0%は対照の効力に相当する効力を意味し、一方100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0235】
この試験において、表Iの実施例番号1、2、3、4、6、7、8、9、13、14、17、18、19、21、22、23、24、26、27、28、30、31、32、36、38、39、40および41は、500ppmの活性化合物濃度で70%以上の効力を示す。
【0236】
実施例F
セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)試験(コムギ)/保護性
溶媒:N,N−ジメチルアセトアミド50重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1重量部
【0237】
活性化合物の適当な調製物を生成するため、活性化合物1重量部を、記載量の溶媒および乳化剤と混合し、濃縮物を所望濃度まで水で希釈する。
【0238】
保護活性に関して試験するため、若い植物に、活性化合物の調製物を記載施用量にて噴霧する。スプレーコーティングを乾燥させた後、植物にセプトリア・トリチシ(Septoria tritici)の胞子懸濁液を噴霧する。植物を、インキュベーションキャビン内に20℃および100%の相対大気湿度で48時間そのままにする。植物を次いで、半透明フード下に15℃および100%の相対大気湿度でさらに60時間置く。
【0239】
植物を、温室内に約15℃の温度および80%の相対大気湿度で置く。
【0240】
評価を接種の21日後に実施する。0%は対照の効力に相当する効力を意味し、一方100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0241】
この試験において、表Iの実施例番号1、2、4、7、8、9、13、18および40は、500ppmの活性化合物濃度で70%以上の効力を示す。
【0242】
実施例G
ピュリクラリア(Pyricularia)試験(イネ)/保護性
溶媒:アセトン28.5重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1.5重量部
【0243】
活性化合物の適当な調製物を生成するため、活性化合物1重量部を、記載量の溶媒と混合し、濃縮物を所望濃度まで水および記載量の乳化剤で希釈する。
【0244】
保護活性に関して試験するため、若いイネ植物に、活性化合物の調製物を記載施用量にて噴霧する。処理の1日後、植物にピュリクラリア・オリュザエ(Pyricularia oryzae)の水性胞子懸濁液を接種する。植物を次いで、温室内に100%の相対大気湿度および25℃で置く。
【0245】
評価を接種の5日後に実施する。0%は対照の効力に相当する効力を意味し、一方100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0246】
この試験において、表Iの本発明による化合物番号2、3、4、9、18、19および27は、250ppmの活性化合物濃度で80%以上の効力を示す。
【0247】
実施例H
リゾクトニア(Rhizoctonia)試験(イネ)/保護性
溶媒:アセトン28.5重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1.5重量部
【0248】
活性化合物の適当な調製物を生成するため、活性化合物1重量部を、記載量の溶媒と混合し、濃縮物を所望濃度まで水および記載量の乳化剤で希釈する。
【0249】
保護活性に関して試験するため、若いイネ植物に、活性化合物の調製物を記載施用量にて噴霧する。処理の1日後、植物にリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)の菌糸を接種し、植物を次いで、温室内に100%の相対大気湿度および25℃で置く。
【0250】
評価を接種の4日後に実施する。0%は対照の効力に相当する効力を意味し、一方100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0251】
この試験において、表Iの実施例番号2、3および4は、250ppmの活性化合物濃度で80%以上の効力を示す。
【0252】
実施例I
コクリオボルス(Cochliobolus)試験(イネ)/保護性
溶媒:アセトン28.5重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1.5重量部
【0253】
活性化合物の適当な調製物を生成するため、活性化合物1重量部を、記載量の溶媒と混合し、濃縮物を所望濃度まで水および記載量の乳化剤で希釈する。
【0254】
保護活性に関して試験するため、若いイネ植物に、活性化合物の調製物を記載施用量にて噴霧する。処理の1日後、植物にコクリオボルス・ミユアベアヌス(Cochliobolus miyabeanus)の水性胞子懸濁液を接種する。植物を次いで、温室内に100%の相対大気湿度および25℃で置く。
【0255】
評価を接種の4日後に実施する。0%は対照の効力に相当する効力を意味し、一方100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0256】
この試験において、表Iの実施例番号2、3、4および18は、250ppmの活性化合物濃度で80%以上の効力を示す。
【0257】
実施例J
ギッベレッラ(Gibberella)試験(イネ)/保護性
溶媒:アセトン28.5重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1.5重量部
【0258】
活性化合物の適当な調製物を生成するため、活性化合物1重量部を、記載量の溶媒と混合し、濃縮物を所望濃度まで水および記載量の乳化剤で希釈する。
【0259】
保護活性に関して試験するため、若いイネ植物に、活性化合物の調製物を記載施用量にて噴霧する。処理の1日後、植物にギッベレッラ・ゼアエ(Gibberella zeae)の水性胞子懸濁液を接種する。植物を次いで、温室内に100%の相対大気湿度および25℃で置く。
【0260】
評価を接種の5日後に実施する。0%は対照の効力に相当する効力を意味し、一方100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0261】
この試験において、表Iの実施例番号2は、250ppmの活性化合物濃度で80%以上の効力を示す。
【0262】
実施例K
フサリウム・プロリフェラツム(Fusarium proliferatum)によるフモニシンFB1の産生
【0263】
使用される方法は、Lopez−Errasquinら:Journal of Microbiological Methods 68(2007)312−317によって記載されている方法を使用するマイクロ滴定プレートに適合させた。
【0264】
フモニシン誘発液体培地(Jimenezら、Int.J.Food Microbiol.(2003)、89、185−193)に、フサリウム・プロリフェラツム(Fusarium proliferatum)の濃縮胞子懸濁液(350000胞子/ml、−160℃で貯蔵)を、2000胞子/mlの最終濃度まで接種した。
【0265】
化合物を溶解し(100%DMSO中10mM)、HO中100μMまで希釈した。化合物を7種の濃度にて50μMから0.01μMの範囲で試験した(10%DMSO中100μMの原液で出発して希釈する。)。
【0266】
各希釈溶液から、5μlを接種培地95μlと、96ウェルマイクロアレイプレートの1つのウェル中で混合した。プレートを覆い、20℃で6日間インキュベートした。
【0267】
当初および6日後、OD測定(1ウェル(3×3平方)当たりのOD620多重読み取り)を実施することにより、「pI50」成長を算定した。
【0268】
6日後、液体培地の試料を取り、10%アセトニトリル中に希釈した。希釈試料中のFB1の濃度をHPLC−MS/MSによって分析し、結果を使用することにより、「pI50 FB1」値を算定した。
【0269】
HPLC−MS/MSは、下記のパラメータを使用して実施した。
質量分析機器:Applied Biosystems API4000 QTrap
HPLC:Agilent 1100
オートサンプラー:CTC HTS PAL
クロマトグラフィーカラム:Waters Atlantis T3(50×2mm)
【0270】
測定されたpI50値の例
【0271】
【表2】

【0272】
実施例L
フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)によるDON/アセチル−DONの産生
【0273】
マイクロ滴定プレート中にて、DON誘発液体培地(1リットル当たり、1gの(NHHPO、0.2gのMgSO×7HO、3gのKHPO、10gのグリセロール、5gのNaClおよび40gのスクロース)中0.07μMから50μMの7種の濃度で、カラスムギ抽出物(10%)およびDMSO(0.5%)を用いて化合物を試験した。フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)の濃縮胞子懸濁液を使用して、2000胞子/mlの最終濃度で接種を実施した。
【0274】
プレートを高い大気湿度にて28℃で7日間インキュベートした。
【0275】
当初および3日後、OD測定をOD520(反復測定:1ウェル当たり3×3測定)で実施することにより、成長阻害を算出した。
【0276】
7日後、84/16のアセトニトリル/水の混合物100μlを添加し、次いで各ウェルから液体培地の試料を取り、10%アセトニトリル中1:100で希釈した。試料におけるDONおよびアセチル−DONの比率を、HPLC−MS/MSによって分析し、測定値を使用することにより、活性化合物フリーの対照と比較したDON/AcDON産生の阻害を算出した。
【0277】
HPLC−MS/MSの測定は、下記のパラメータを使用して実施した。
イオン化型:ESIネガティブ
イオンスプレー電位:−4500V
スプレーガス温度:500℃
クラスタ分離電位:−40V
衝突エネルギー:−22eV
衝突ガス:N
NMR追跡:355.0>264.9、
HPLCカラム:Waters Atlantis T3(三官能性C18結合、キャップされている。)
粒径:3μm
カラム寸法:50×2mm
温度:40℃
溶媒A:水/2.5mM NHOAc+0.05%CHCOOH(v/v)
溶媒B:メタノール/2.5mM NHOAc+0.05%CHCOOH(v/v)
流量:400μl/分
注入量:11μl
【0278】
【表3】

【0279】
DON阻害の例
実施例番号5および9は、50μMでのDON/AcDONの阻害において>80%の活性を示した。>80%の活性を有する実施例によるフサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)の成長の阻害は、50μMで80%から100%の幅であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、1つ以上の記号は、下記の意味:
は、硫黄またはCRを表し、
は、硫黄またはCRを表し、
ただし、X基およびX基の厳密に1個は硫黄原子を表し、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシまたはハロゲンを表し、
がCRを表す場合、
およびRは互いに独立して、水素、ハロゲン、CN、ニトロ、OR10、O(CHOR10、O[C(R10OR10、O[C(R10N(R10、OCOR11、SR10、SOR10、SO10、C=OR10、CH=NOR10、CR11=NOR10、COCl、CON(R10、COOR10、NR10COR10、N(R10、[C(R10CN、(CHOR10、(CHSR10、[C(R10SR10、(CHSOR10、(CHSO10、(CHN(R10、[C(R10N(R10、(CHCOR10、[C(R10OR10、[C(R10COR10、非置換もしくは置換されているC−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはC−C−ハロアルキルを表し、ここで、m=1−4であり、
ここで、置換基は互いに独立して、
水素、フッ素、塩素または臭素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシル、オキソ、C−C−ハロアルキルおよびシアノ
からなる群から選択され、
ただし、Xが硫黄原子を表す場合、上記の定義はRのみに当てはまり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシまたはハロゲンを表し、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−トリアルキルシリル、C−C−トリアルキルシリルエチル、C−C−ジアルキルモノフェニルシリル、CHO、(C−C−アルキル)カルボニル、(C−C−アルコキシ−C−C−アルキル)カルボニル、(C−C−アルケニルオキシ)カルボニル、(C−C−シクロアルキル)カルボニル、(ハロ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル)カルボニル、(C−C−ハロアルキル)カルボニル、(C−C−アルコキシ)カルボニル、(C−C−ハロアルコキシ)カルボニル、ベンジルオキシカルボニル、非置換もしくは置換ベンジル、非置換もしくは置換C−C−アルケニル、非置換もしくは置換C−C−アルキニル、C−C−アルキルスルフィニルまたはC−C−アルキルスルホニルを表し、
ここで、置換基は互いに独立して、
水素、ハロゲン、ニトロ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシル、C−C−ハロアルキルまたはシアノ
からなる群から選択され、
は、水素、C−C−アルキル、シアノまたはC−C−ハロアルキルを表し、
は、ハロゲン、シアノ、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルキルオキシ、SMe、SOMeまたはSOMeを表し、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−トリアルキルシリル、C−C−トリアルキルシリルエチル、C−C−ジアルキルモノフェニルシリル、(C−C−アルキル)カルボニル、(C−C−ハロアルキル)カルボニル、(C−C−アルコキシ)カルボニル、非置換もしくは置換ベンジル、非置換もしくは置換C−C−アルケニル、非置換もしくは置換C−C−アルキニル、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルフィニルまたはC−C−ハロアルキルスルホニルを表し、
ここで、置換基は互いに独立して、
フッ素、塩素および臭素の原子、シアノ、ヒドロキシル、メトキシならびにCF
からなる群から選択され、
は、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−アルキル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−ハロアルキル、非置換もしくは置換C−C−シクロアルキル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−アルケニル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−アルキニル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−ハロアルコキシ−C−C−アルキル、2−メチル−1−(メチルスルファニル)プロパン−2−イルまたはオキセタン−3−イルを表す、
または
およびRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素からなる群から選択される最大1個までのさらなるヘテロ原子を含有してよい非置換または置換されている3員から7員の飽和環を形成し、
10は同一でありまたは異なり、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、非置換もしくは置換C−C−シクロアルキル、C−C−トリアルキルシリル、非置換もしくは置換C−C−アルケニル、非置換もしくは置換C−C−アルキニル、非置換もしくは置換フェニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、非置換もしくは置換ベンジル、またはN、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含有しないもしくは最大4個までのヘテロ原子を含有してよい(ただし2個の酸素原子は隣接しない。)3員から7員の非置換もしくは置換の飽和もしくは不飽和環を表し、
または
2個のR10基が窒素原子に結合している場合、2個のR10基は、N、OおよびSからなる群から選択される最大4個までのさらなるヘテロ原子を含有してよい(ただし2個の酸素原子は隣接しない。)3員から7員の非置換または置換の飽和または不飽和環を形成することができ、
または
2個のR10基がNR10COR10基において隣接する場合、2個のR10基は、N、OおよびSからなる群から選択される最大4個までのさらなるヘテロ原子を含有してよい(ただし2個の酸素原子は隣接しない。)3員から7員の非置換または置換の飽和または不飽和環を形成することができ、
11は同一でありまたは異なり、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−トリアルキルシリル、非置換もしくは置換C−C−アルケニル、非置換もしくは置換C−C−アルキニル、非置換もしくは置換C−C−シクロアルキル、非置換もしくは置換アリール、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、非置換もしくは置換ベンジル、またはN、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含有しないもしくは最大4個までのヘテロ原子を含有してよい(ここで2個の酸素原子は隣接しない。)3員から7員の非置換もしくは置換の飽和もしくは不飽和環を表し、
ここで、R10における置換基は互いに独立して、
メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、フッ素、塩素および臭素の原子、メトキシ、エトキシ、メチルメルカプト、エチルメルカプト、シアノ、ヒドロキシルおよびCF
からなる群から選択される、
の1つを有する。]
の化合物、およびさらにこれらの農芸化学的に活性な塩。
【請求項2】
式中、1つ以上の記号は下記の意味:
は、硫黄またはCRを表し、
は、硫黄またはCRを表し、
ただし、X基およびX基の厳密に1個は硫黄原子を表し、
は、水素、メチル、メトキシまたはClを表し、
がCRを表す場合、
およびRは互いに独立して、水素、ハロゲン、CN、ニトロ、ヒドロキシル、O−C−C−アルキル、O−(C−C−ハロアルキル)、O−(C−C−シクロアルキル)、O−C−C−アルケニル、O−C−C−アルキニル、O(CHO(C−C−アルキル)、OPh、OCO(C−C−アルキル)、SH、S−C−C−アルキル、S−C−C−ハロアルキル、SPh、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−アルキル)、SO(C−C−ハロアルキル)、SO(C−C−アルケニル)、SO(C−C−アルキニル)、CHO、CO(C−C−アルキル)、CH=NO(C−C−アルキル)、C(C−C−アルキル)=NO(C−C−アルキル)、CONH(C−C−アルキル)、CON(C−C−アルキル)、CON(SiMe、CONH(C−C−ハロアルキル)、CONH(C−C−アルケニル)、CONH(C−C−アルキニル)、CONH(C−C−シクロアルキル)、CONHCHC(=CH)CH、CONHCH(CH)CHO(C−C−アルキル)、CONH(CHO(C−C−アルキル)、CONH(CHS(C−C−アルキル)、CONHCH(CH)CHS(C−C−アルキル)、CONHPh、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、アジリジン−1−イルカルボニル、ヘキサメチレンイミン−1−イル−カルボニル、モルホリン−1−イルカルボニル、チオモルホリン−1−イルカルボニル、COOH、COCl、(C−C−アルコキシ)カルボニル、NHCO(C−C−アルキル)、NHCO(C−C−ハロアルキル)、N(C−C−アルキル)CO(C−C−アルキル)、NHCO(C−C−アルケニル)、NHCOPh、NHCO(C=CH)CH、NHCON(C−C−アルキル)、NHCO(CHO(C−C−アルキル)、NHCHO、N(C−C−アルキル)CHO、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、NHCH(C−C−アルキル)CHO(C−C−アルキル)、(CHCN、(CHSO(C−C−アルキル)、(CHSO(C−C−アルキル)、(CHCO(C−C−アルキル)、(CHO(C−C−アルキル)、C(CHO(C−C−アルキル)、(CHC(C−C−アルキル)O(C−C−アルキル)、CHOH、(CHS(C−C−アルキル)、C(CHS(C−C−アルキル)、(CHNH(C−C−アルキル)、(CHN(C−C−アルキル)、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキルまたはC−C−ハロアルキルを表し、
ただし、Xが硫黄原子を表す場合、上記の定義はRのみに当てはまり、ならびにmは1から4の数に対応し、
は、水素、メチル、メトキシ、塩素またはフッ素を表し、
は、水素、Me、COMe、CHO、COCHOCH、CHOCH、COOMe、COOEt、COOtertBu、COOBn、COCF、CHCH=CH、CHC≡CH、SOCH、SOCHまたはベンジルを表し、
は、水素、シアノ、メチル、CFまたはCFHを表し、
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、OCFまたはCFを表し、
は、水素、メチル、エチル、プロピル、プロパン−2−イル、2−メトキシエタン−1−イル、プロパ−2−エン−1−イル、CHOCH、COH、COMe、COOMe、COOEt、COOtertBu、COCFまたはベンジルを表し、
は、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−アルキル、非置換もしくは置換C−C−シクロアルキル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、非置換もしくは置換C−C−ハロアルキル、直鎖もしくは分枝の非置換もしくは置換C−C−アルケニルまたは2−メチル−1−(メチルスルファニル)プロパン−2−イルを表し、
ここで、Rにおける置換基は互いに独立して、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、フッ素、塩素および臭素原子、メトキシ、エトキシ、メチルメルカプト、エチルメルカプト、シアノ、ヒドロキシルならびにCFからなる群から選択される、
の1つを有する、式(I)の化合物、およびさらにこれらの農芸化学的に活性な塩。
【請求項3】
式中、1つ以上の記号は下記の意味:
は、硫黄またはCRを表し、
は、硫黄またはCRを表し、
ただし、X基およびX基の厳密に1個は硫黄原子であり、
は、水素を表し、
がCRを表す場合、
およびRは互いに独立して、水素、COOMe、COOEt、COOPr、COOiPr、CONH(C)、CONH(CHOMe、CONHCH(CH)CHOMe、CONHOH、CONHMe、CONHEt、CONHPr、CONHiPr、CONH(i−C)、CONHPh、CONH(CHSCH、CONHCH(CH)CHSCH、CONHCHCF、CONHCHCH=CH、CONHCHC≡CH、CONMeCHC≡CH、CONHCHC(=CH)CH、CONHPh、CONHシクロプロピル、CON(Me)iC、CON(Me)CHCH=CH、CON(Et)、CON(Me)シクロプロピルメチル、CON(Me)シクロブチルメチル、CON(Ph)、CON(Me)、CON(Pr)、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、アジリジン−1−イル−カルボニル、ヘキサメチレンイミン−1−イルカルボニル、モルホリン−1−イルカルボニル、チオモルホリン−1−イルカルボニル、CON(SiMe、COMe、COEt、COPr、CN、C(=NOCH)Me、C(=NOEt)Me、C(=NOPr)Me、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、SH、SMe、SEt、SPr、SCF、SPh、COOH、Me、Et、Pr、SOMe、SOEt、CHOMeまたはCHOEtを表し、
ただし、Xが硫黄原子を表す場合、上記の定義はRのみに当てはまり、
は、水素を表し、
は、水素、COMe、CHO、CHOCH、COOMeまたはCHC≡CHを表し、
は、水素を表し、
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、OCFまたはCFを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、シクロプロピル、シクロブチル、2−メチルシクロプロパ−1−イル、2−メチルシクロブタ−1−イル、3−メチルシクロブタ−1−イル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、イソプロピル、シクロプロピルメチル、メチル、エチル、2,2−ジメチルシクロプロピル、シクロペンチル、プロパン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル、ブタン−2−イル、1−メトキシプロパン−2−イル、2−メチル−1−(メチルスルファニル)プロパン−2−イル、オキセタン−3−イル、1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルまたは2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルを表す、
の1つを有する、式(I)の化合物、およびさらにこれらの農芸化学的に活性な塩。
【請求項4】
式中、1つ以上の記号は下記の意味:
は、硫黄またはCRを表し、
は、硫黄またはCRを表し、
ただし、X基およびX基の厳密に1個は硫黄原子を表し、
は、水素を表し、
がCRを表す場合、
およびRは互いに独立して、水素、CH、COOMe、CONH(tert−C)、CONH(CHOMe、CONHCH(CH)CHOMe、CONHOH、CON(Me)iC、CON(Me)CHCH=CH、CON(Et)、CONメチルシクロプロピルメチル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−1−イルカルボニル、COMe、CN、C(=NOCH)CH、塩素、臭素、SMe、CONHCHCF、CONHCHCH=CH、CONHCHC≡CH、CONMeCHC≡CH、CONHCHC(=CH)CH、CONHPh、CONHシクロプロピル、(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル、COOHまたはSOMeを表し、
ただし、Xが硫黄原子を表す場合、上記の定義はRのみに当てはまり、
は、水素を表し、
は、水素を表し、
は、水素を表し、
は、塩素、臭素またはCFを表し、
は、水素を表し、
は、シクロプロピル、シクロブチル、2−メチルシクロプロパ−1−イル、2−メチルシクロブタ−1−イル、3−メチルシクロブタ−1−イル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、イソプロピルまたはシクロプロピルメチルを表す、
の1つを有する、式(I)の化合物、およびさらにこれらの農芸化学的に活性な塩。
【請求項5】
増量剤および/または界面活性剤に加えて請求項1から4の一項以上に記載の式(I)の少なくとも1種のチエニルアミノピリミジンを含むことを特徴とする、植物病原性の有害な真菌を防除するための組成物。
【請求項6】
植物病原性の有害な真菌を防除するための、請求項1から4の一項以上に記載の式(I)のチエニルアミノピリミジンの使用。
【請求項7】
請求項1から4の一項以上に記載の式(I)のチエニルアミノピリミジンが、植物病原性の有害な真菌および/またはこれらの生息地に施用されることを特徴とする、植物病原性の有害な真菌を防除するための方法。
【請求項8】
請求項1から4の一項以上に記載の式(I)のチエニルアミノピリミジンが、増量剤および/または界面活性剤と混合されることを特徴とする、植物病原性の有害な真菌を防除するための組成物を調製するための方法。
【請求項9】
本発明に記載の式(I)のチエニルアミノピリミジンを調製するための方法であって、下記のステップ(a)から(e)
(a)下記反応スキームに従った、式(V)の化合物を得るための、塩基の存在下、適切な場合溶媒の存在下、適切な場合触媒の存在下における式(III)の2,4−ジハロピリミジンと式(II)のアミンとの反応、
【化2】

[式中、Y=F、Cl、Br、I]
(b)下記反応スキームに従った、適切な場合酸の存在下、適切な場合溶媒の存在下における式(V)の化合物と式(IV)のアミノチオフェンとの反応、
【化3】

[式中、Y=F、Cl、Br、I]
(c)下記反応スキームに従った、適切な場合酸の存在下および溶媒の存在下における式(VI)の化合物と式(IV)のアミノチオフェンとの反応、
【化4】

[式中、Hal=F、Cl、Br、I]
(d)下記反応スキームに従った、式(X)の化合物を得るための、適切な場合溶媒の存在下における式(IX)の化合物とハロゲン化剤との反応、
【化5】

(e)下記反応スキームに従った、式(I)の化合物を得るための、塩基の存在下、適切な場合溶媒の存在下、適切な場合触媒の存在下における式(X)の化合物と式(II)のアミンとの反応、
【化6】

の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項10】
式(IX)
【化7】

[式中、記号は下記の意味を有する:
、X、RからR、Rは請求項1に記載の定義に対応する。]
の化合物。
【請求項11】
式(X)
【化8】

[式中、記号は下記の意味を有する:
、X、RからRは、請求項1に記載の定義に対応する。]
の化合物。
【請求項12】
式(V)
【化9】

[式中、記号は下記の意味:
は、水素を表し、
ならびに
が、I、SMe、SOMe、SOMe、CF、CFHまたはCFHを表し、ならびに
Yが、F、Cl、BrまたはIを表す場合、
は、水素、エチル、プロピル、プロパン−2−イル、2−メトキシエタン−1−イル、プロパ−2−エン−1−イル、CHOCH、COMe、COOMe、COOEt、COOtertBu、COCF、ベンジルを表し、ならびに
は、シクロプロピル、シクロブチル、2−メチルシクロプロパ−1−イル、2−メチルシクロブタ−1−イル、3−メチルシクロブタ−1−イル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、イソプロピル、シクロプロピルメチル、メチル、エチル、2,2−ジメチルシクロプロピル、シクロペンチル、プロパン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル、ブタン−2−イル、1−メトキシプロパン−2−イル、2−メチル−1−(メチルスルファニル)プロパン−2−イル、1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルまたは2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルを表し、
ならびに、
がシアノを表し、ならびに
Yが、F、Cl、BrまたはIを表す場合、
は、水素、メチル、プロピル、プロパン−2−イル、2−メトキシエタン−1−イル、プロパ−2−エン−1−イル、CHOCH、COMe、COOMe、COOEt、COOtertBu、COCFまたはベンジルを表し、ならびに
は、シクロブチル、2−メチルシクロプロパ−1−イル、2−メチルシクロブタ−1−イル、3−メチルシクロブタ−1−イル、2,2−ジフルオロエチル、イソプロピル、シクロプロピルメチル、2,2−ジメチルシクロプロピル、シクロペンチル、ブタン−2−イル、1−メトキシプロパン−2−イル、2−メチル−1−(メチルスルファニル)プロパン−2−イル、1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルまたは2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルを表す、
を有する。]
の化合物。

【公表番号】特表2012−501982(P2012−501982A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525444(P2011−525444)
【出願日】平成21年8月22日(2009.8.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006116
【国際公開番号】WO2010/025851
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(507203353)バイエル・クロップサイエンス・アーゲー (172)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】