説明

殺菌、防黴、殺ウィルス効果を同時に有する消毒組成物、該組成物の製造および使用方法

本発明は殺菌、防黴、殺ウィルス効果を同時に有する消毒組成物に関するものであり、活性成分としてオイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、カルバクロールを含み、該活性成分の割合が以下の重量%であることを特徴とする:オイゲノールが少なくとも約12重量%、酢酸オイゲノールが少なくとも約3重量%、バニリンが少なくとも約0.1重量%、カルバクロールが少なくとも約0.5重量%。該消毒組成物は液体または固形石鹸として使用することが可能である。また、医療用衣類、ベッドシーツ、スリップカバー、外科手術用掛布、例えば重度のやけど患者の皮膚に使用する外傷用医薬材料、ガーゼ等の織物または不織布に液状で含浸させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消毒組成物に関するものである。特には、本発明は殺菌、防黴、殺ウィルス効果を同時に発揮する組成物、およびそういった組成物の製造方法と使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
WO−A−0209777は、殺菌、防黴、殺ウィルス、殺虫効果を有する処理剤を入れた透過性容器を通して空気を循環させることから成る、周囲空気の殺菌、防黴、殺ウィルス、殺虫処理方法について記載している。処理剤は無機塩の結晶、特には塩化ナトリウムから成る。処理剤はクローブ等の植物由来成分を含んでいても良い。この文献は目的とする方法を実行するための装置についても記載しており、二枚の機械的空気ろ過シートの間に挟まれた、壁部に微生物が生育するのを防ぐよう均一に分散させた殺菌、防黴、殺ウィルス性の処理剤層を備えたものである。ある態様においては、この装置は、特には、空気を殺菌、防黴、および/または殺ウィルス処理するための無機塩層とタイムおよび/またはクローブ等の植物を粉砕したものの層とを含む。
【0003】
WO−A−0209777に記載の装置、およびその装置に含まれる殺菌、防黴、殺ウィルス処理剤は周囲空気の処理に特化したものである。
【0004】
本発明の目的は、殺菌、防黴、殺ウィルス効果を同時に有し、消毒対象となるいかなるタイプの支持体にも適合可能な消毒組成物を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、病原体に対して非常に広い活性を有する、効果的な消毒組成物を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、毒性が限定的で、非常に高い抗菌性を有する消毒組成物も提供することである。
【0007】
本発明の目的は、毒性のない生物材料から得ることのできる消毒組成物も提供することである。
【0008】
本発明の目的は、生分解性消毒組成物も提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、比較的安価な成分からすぐに得ることの可能な消毒組成物も提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、人間および動物が摂取可能な消毒組成物も提供することである。
【0011】
本発明の目的は、消毒処理中にしばしば起こる緑藻類の増殖を制限可能とすることでもある。
【0012】
本発明のその他の目的および利点は、以下の記載を読むことで理解されるものとする。
【発明の開示】
【0013】
これらの目的およびその他は本発明によって達成され、本発明は殺菌、防黴、殺ウィルス効果を同時に発揮し、活性成分としてオイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、カルバクロールを含んでおり、該活性成分の割合が、オイゲノールが少なくとも約12重量%、酢酸オイゲノールが少なくとも3重量%、バニリンが少なくとも0.1重量%、カルバクロールが少なくとも約0.5重量%であることを特徴とする消毒組成物を提供するものである。
【0014】
記載した量の4つの活性成分オイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、およびカルバクロールを同時に含有することが、肝心である。少なくとも約0.1重量%のバニリンを必須で含有させることが、特に重要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の好ましい態様において、消毒組成物の4つの活性成分であるオイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、カルバクロールは植物要素に含まれている。
【0016】
消毒組成物のオイゲノールおよび酢酸オイゲノールはクローブに有利に含まれている。
【0017】
消毒組成物のバニリンは好ましくはバニラに含まれている。
【0018】
消毒組成物のカルバクロールは、例えば、オレガノに含まれている。
【0019】
消毒組成物のカルバクロールはサボリーにも含まれていることがある。
【0020】
好ましい態様ではないが、活性成分の少なくとも1つが植物要素に含まれていない消毒組成物も本発明の範囲に含まれるものとする。
【0021】
応用例によっては、オイゲノールおよび/または酢酸オイゲノールおよび/またはカルバクロールの割合が高すぎる場合、毒性の問題が起こる場合があることに留意しなくてはならない。各ケースにおいて、通常の試験を行うことで、当業者はオイゲノール、酢酸オイゲノール、およびカルバクロールの限界量を即座に求めることができる。
【0022】
本発明の別の特徴としては、消毒組成物は活性成分としてさらにチモールを含有する。
【0023】
チモールはタイムに有利に含まれている。
【0024】
チモールを含有する場合、本発明の消毒組成物は好ましくは少なくとも約0.5重量%のチモールを含有している。
【0025】
本発明の一態様において、消毒組成物は活性成分として少なくとも1つの無機塩をさらに含有する。
【0026】
無機塩は、例えば、アルカリ金属、アンモニウム、アルカリ土類金属、アルミニウム、マグネシウムの塩化物、炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、およびミョウバンから選択される。
【0027】
本発明の一態様において、無機塩は塩化ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選択される。
【0028】
塩化ナトリウムは好ましくはグレイソルトに含まれており、つまり、含まれている場合は塩化ナトリウムをグレイソルトの形で添加するのが有利である。
【0029】
無機塩を含有する場合、その量は概して消毒組成物の少なくとも約0.5重量%である。
【0030】
本発明による特に好ましい消毒組成物は、活性成分として以下の重量%のオイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、カルバクロール、およびチモールを含む。
オイゲノール:15−25
酢酸オイゲノール:3−5
バニリン:0.25−0.35
カルバクロール:0.7−1.2
チモール:0.7−1.2
【0031】
組成物はさらに不活性材料を含んでおり、その性質は組成物の使用形態および用途に依存するものである。
【0032】
本発明の有利な態様において、この好ましい消毒組成物のオイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、カルバクロール、およびチモールは植物要素に含まれている。
【0033】
本発明の消毒組成物は、少なくとも一種の微量元素をさらに含有することができ、例えば、銅、金、銀、マグネシウムが挙げられる。
【0034】
本発明の消毒組成物は、少なくとも1つのモノテルペン、有利には例えば松の木およびモミの木から成る群から選択される植物に由来するモノテルペンをさらに含むことができる。
【0035】
本発明の消毒組成物は、少なくとも1つのモノテルペンアルコール、有利には例えば紫檀、ペパーミント、およびレモングラスから成る群から選択された植物由来のモノテルペンアルコールも含んでいてもよい。
【0036】
本発明の消毒組成物は少なくとも1つの芳香族アルデヒドも含むことができ、有利には例えばシナモン、クミン、ラベンダー等から成る群から選択した植物に由来する芳香族アルデヒドが挙げられる。
【0037】
本発明の消毒組成物は、有利には例えばニンニクおよびタマネギから成る群から選択された植物に由来する、少なくとも1つの硫黄含有化合物をさらに含むことができる。
【0038】
本発明の消毒組成物は、有利には例えばcitrus reticulataまたはcitrus paradisiといった植物要素に由来する少なくとも1つの窒素化合物をさらに含むことができる。
【0039】
本発明の消毒組成物におけるフェノールおよびアルデヒドが植物由来のものであることが特に有利である。
【0040】
また、フェノールを異なる植物の数種類の抽出物から得ることが望ましい。
【0041】
本発明の有利な態様において、消毒組成物は以下の植物の抽出物を含有する。
eugenia caryophylatta
origanum heracleoticum およびoriganum majoranaから選択された少なくとも1つのoriganum
vanilla planifolia Andrews
【0042】
後者の態様について、消毒組成物は上記記載の植物抽出物に加え、以下から選択した植物の抽出物を1つ以上、および重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、粘土等の親水性コロイドから選択した要素を含有していることがより好ましい。
artemisia dracunculus L.
carum carvi
chamaemelum nobile
cinnamomum zeylanicum
cinnamomum camphora
citrus paradisi
coriandrum sativum
cuminum cyminum
eucalyptus radiata
hyssopus officinalis
juniperus communis
lavandula officinalis
lippia citriodora
melissa officinalis
mentha piperita
myristica fragrans
ocimum gratissimum
urtica dioica
pimpinella anisum
pinus pinaster
rosmarinus officinalis
salvia officinalis
satureja montana
sesamum indicum
thymus vulgaris
zingiber officinalis
【0043】
消毒組成物のオイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、およびカルバクロールの重量%が上記で特定の量、つまりオイゲノールが少なくとも約12重量%、酢酸オイゲノールが少なくとも約3重量%、バニリンが少なくとも約0.1重量%、カルバクロールが少なくとも約0.5重量%となるように、消毒組成物が含有する様々な抽出物および要素は当業者によって調節される。
【0044】
特に好ましい消毒組成物は以下のとおりである。
粘土/親水性コロイド =12.0重量%
artemisia dracunculus =0.5 重量%
重炭酸ナトリウム =1.0 重量%
carum carvi =1.5 重量%
chamaemelum nobile =0.5 重量%
cinnamomum zeylanicum =0.5 重量%
cinnamomum camphora =0.1 重量%
citrus paradise =0.1 重量%
coriandrum sativum =1.0 重量%
cuminum cyminum =2.0 重量%
eucalyptus radiata =5.0 重量%
eugenia caryophylatta =23.1重量%
hyssopus officinalis =1.0 重量%
juniperus communis =0.5 重量%
lavandula officinalis =5.0 重量%
lippia citriodora =0.5 重量%
melissa officinalis =0.5 重量%
mentha piperita =0.5 重量%
myristica fragrans =0.5 重量%
ocimum gratissimum =0.5 重量%
origanum heracleoticum =5.0 重量%
origanum majorana =5.0 重量%
urtica dioica =5.0 重量%
pimpinella anisum =0.5 重量%
pinus pinaster =2.0 重量%
rosmarinus officinalis =10.0 重量%
salvia officinalis =1.0 重量%
satureja Montana =1.0 重量%
sesamum indicum =5.0 重量%
thymus vulgaris =5.0 重量%
vanilla planifolia Andrews =1.2 重量%
zingiber officinalis =2.0 重量%
塩化ナトリウム =1.0 重量%
【0045】
本発明の消毒組成物の活性成分が合成のものである場合、好ましくはないが、該組成物は、該成分を単純に常温で混合することによって得ることが出来る。
【0046】
また、本発明は記載の消毒組成物の製造方法を提供するものであり、4つの活性成分であるオイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、カルバクロールが植物要素に含まれている場合、好ましくは、例えばオイゲノールおよび酢酸オイゲノールはクローブに、バニリンはバニラに、カルバクロールはオレガノまたはサボリーに含まれている。
【0047】
4つの活性成分が植物要素に含まれている本発明の消毒組成物の製造方法は、
(a)該予備乾燥した植物要素を粉砕して平均粒径が約0.5mm〜約1.2mmの粉末にすることから構成される第一ステップと、
(b)該粉末を溶液に常温で少なくとも12時間、好ましくは約24時間浸して浸漬溶液または汁および残留不活性植物材料を得ることから構成される第二ステップを含むことを特徴とする。
【0048】
上記のステップ(a)において、粒径は目的とする活性原料の拡散性に応じて当業者によって調節される。
【0049】
4つの「基本活性成分」(オイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、およびカルバクロール)に関連した別の活性成分を植物の形態で含む消毒組成物は上述の方法と同様の方法で調製することが可能である。
【0050】
消毒組成物の形態によっては、例えばバイオ消毒液を製造する場合、有効成分を破壊もしくは弱体化させないように低温で浸漬を行うのが適当である。典型的には72時間の浸漬が効果的である。
【0051】
常温での浸漬ステップは、水性、油性、またはアルコール溶液中で行う。
【0052】
溶液が水溶液の場合、水溶性要素を単離するのに使用される。
【0053】
通常、浸漬溶液は続いて残留不活性植物剤利用から分離される。
【0054】
浸漬溶液は、植物または無機物支持体に含浸、堆積または吸収させることによって固形物を形成するのに使用することが出来る。
【0055】
従って、浸漬ステップと称するところの第二ステップの後、本方法には堆積または吸収させることによって浸漬溶液を通常は多孔性の植物支持体および無機物支持体から選択した支持体に含浸させることから成る第三ステップを含めることができる。
【0056】
無機物支持体は、例えば、滑石、活性炭、塩化ナトリウムや重炭酸ナトリウム等の無機塩から成る群から選択される。
【0057】
また、支持体は粘土等の親水性コロイドから選択してもよい。
【0058】
また、支持体は乾燥させた不活性な植物材料、例えば、残留不活性植物材料から構成されるものであってもよいが、その他の不活性植物材料も使用可能である。
【0059】
その後、得られた生成物を例えば脱湿オーブンで乾燥、そうでなければ濡れた状態で保存することができ、用途に応ずる。
【0060】
本発明で支持体として用いる不活性な残留植物材料は、通常、乾燥させる。
【0061】
用途によっては、特に床面の圧力洗浄においては、残留不活性植物材料は乾燥させずにそのままにするのが有利であり、消毒組成物は液状懸濁液の形態となる。
【0062】
不活性支持体の形態およびその性質は、想定する用途に応じて選択される。例えば、ろ過を目的とする場合、不活性支持体は大粒のビーズ状であることが有利であり、バイオ消毒布等を得たい場合は布の形態であることが有利である。
【0063】
消毒組成物がタイムに含まれるチモールを含む場合、チモールは一旦乾燥させた後、最初の粉砕ステップ中にオイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、およびカルバクロールを含有する植物要素と同時に添加することができる。
【0064】
クローブにおいては、その頭部のみを使用するのが有利であるが、花全体を使用することも可能である。
【0065】
消毒組成物が無機塩を含む場合、無機塩は粒径約0.1〜0.5mmに粉砕され、その後、粉砕した植物要素を含有する溶液に浸漬前、浸漬中、または浸漬後に添加される。
【0066】
消毒組成物が1つ以上の微量元素を含む場合、これらは浸漬溶液に添加することが可能である。
【0067】
好ましい態様ではないが、活性成分が植物要素に含まれたものである本発明の消毒組成物を、前述の予備乾燥した植物要素を浸漬ステップを行うことなく粉砕、直接機械混合、および篩にかけることで得ることも可能である。この後者の手順で得られる消毒組成物にも効果はあるものの、通常、浸漬ステップを伴う好ましい方法に従って得たものよりはその効果は低い。また、その均質性も低く、従って一定した性質に保つのがより困難となる。
【0068】
本発明の液状の消毒組成物は、固形の消毒組成物から例えば以下の方法によって得られる:
該固形の消毒組成物を水、アルコールまたはオイル等の別の液体に浸漬する。水は殺菌したものであっても殺菌されていないものであってもよく、用途に応ずる;
用途に応じて殺菌されたもしくは殺菌されていない温水または熱水に固形、例えば顆粒状の消毒組成物中を透過させる;
その他の液体に固形の消毒組成物中を透過させる。
【0069】
後者2つの方法において、固形の消毒組成物中を透過させた後に回収した液体が、液状の消毒組成物を構成する。
【0070】
本発明の消毒組成物は殺菌、防黴、殺ウィルス効果を同時に発揮し、非常に大量の媒体および支持体の消毒を可能にする。
【0071】
本発明の消毒組成物は、例えば、液体または固形石鹸、掃除機の集塵袋、食器洗浄器または洗濯機の洗浄物品を入れるスペース等の家電製品内に設置することを目的とした、粉末を入れる小袋の形態で使用することが可能である。また、殺菌してその臭気を低減することを目的として家畜の寝藁に設置することも可能である。塗料、特には水性塗料、接着剤、タペストリー、壁紙、床張り材、靴の中敷、合板等にも使用可能である。また、医療用衣類、シーツ、カバー、手術台、外傷用医薬材料、例えば三度の火傷患者の皮膚に適用可能なガーゼ、ペーパータオル等の織物または不織布に液状で含浸させることも可能である。
【0072】
本発明の消毒組成物で処理した織物および不織布は無菌であるだけでなく、バイオ消毒性でもある。
【0073】
本発明の特に有利な態様においては、消毒組成物は製造工程において材料に一体化され、バイオ消毒性材料として構成される。この材料は、例えば、プラスチック材料、紙、不織布である。従って、例えばバイオ消毒性の玩具、キーボードのキー、エレベーターのボタン等を得ることが可能である。また、本発明の消毒組成物はスイミングプールの床材を製造する工程で一体化使用することが可能である。
【0074】
本発明の消毒組成物を一体化させてバイオ消毒性材料を製造する方法には幾つかある:
フィルター内に顆粒状で機械的に維持する方法であり、顆粒状の消毒組成物を機械的に保持するものとして機能する前置フィルターを備えている(この前置フィルターも消毒組成物で処理することが可能である);
繊維状の媒体に一体化させる方法。顆粒状の消毒組成物をろ過媒体に一体化させ、バイオ消毒性粒子を担体の繊維でもって保持することを可能ならしめる;
製造した時点でろ過媒体に一体化させる方法であり、顆粒状の消毒組成物を、媒体が製造された時点で、まだ乾燥していない状態のままで繊維上(例:グラスファイバー)に堆積させる。液体の除去および乾燥を引き続き行う;
ろ過媒体が製造される時点で液状の結合剤に一体化させる方法。液状の消毒組成物を結合剤と混合する。液体の除去および乾燥を引き続き行う;
液状の消毒組成物を浸漬によって堆積させる方法であり、ろ過媒体(繊維、織物、紙)を液状の消毒組成物にくぐらせ、その後乾燥させる。このようにして処理した支持体はバイオ消毒性となる。ろ過媒体(マスク、フィルター等)、病院等で使用するバイオ消毒性衣類を製造するのに使用することが可能であるが、消防士または家庭用にも使用可能である。
【0075】
また、本発明の消毒組成物は顆粒状で石鹸に混合することも可能である。顆粒状の消毒組成物は石鹸ペーストと混合され、引き続いて通常の成形処理に供することで石鹸が製造される。
【0076】
本発明の消毒組成物は、液体石鹸およびその他の家庭用品または洗面用品に混合させることも可能である。混合は2つの液体間で常温で行い、色が均一になって混合物が均質であることがわかるペーストまたは液体を得るのに必要な時間行う。
【0077】
水または液体の処理は、用途に応じた粒径の本発明の固形の消毒組成物を含有するフィルター内を透過させる、もしくは液状の消毒組成物と処理する液体とを混合することで直接処理するかのいずれかで行う。
【0078】
その活性成分が植物に含まれるものである場合、本発明の消毒組成物は、有効成分の濃度によっては、特には食品サプリメントとして例えば粉末状、カシェ剤状、錠剤状で摂取することも可能である。
【0079】
以下に、本発明を非限定的な実施例を用いてより詳細に説明する。
【実施例1】
【0080】
オイゲノール 20重量%
酢酸オイゲノール 4.0重量%
バニリン 0.3重量%
カルバクロール 1.0重量%
チモール 1.0重量%
不活性植物材料 qs100
を含有する消毒組成物を以下の方法で準備した。
【0081】
クローブを低温、つまり約30℃で乾燥させた。
【0082】
乾燥させたクローブの頭部を分離した。
【0083】
オレガノ、タイム(花および葉)およびバニラを約30℃で乾燥させた。
【0084】
乾燥させた植物、つまりクローブの頭部80g、タイム15g(花および葉)、バニラ1.5g、サボリー3.5gを混合した。
【0085】
乾燥させた植物の混合物を平均粒径が0.5mmになるまで粉砕して篩にかけた。
【0086】
粉砕して篩にかけた混合物を100mlの脱イオン水の溶液に常温で24時間、浸漬した。
【0087】
これにより浸漬汁および不活性残留植物材料が得られた。
【0088】
浸漬汁を抽出し、予備乾燥させた不活性残留植物材料にその汁を含浸させた。
【0089】
含浸済の不活性残留植物材料を脱湿オーブンで乾燥させて、平均粒径が0.5mmの茶色の粉末状の組成物を100g得た。
【0090】
10mlの蒸留脱イオン水の溶液において、そのpHは約4である。
【0091】
10CFU/ml(CFUは1mlあたりのコロニー形成単位数を表す)の細菌Mycobacterium tuberculosis を垂直層流フード下で寒天培地に入れて懸濁液を用意した。
【0092】
その後、懸濁液を3つのシャーレーに注ぎ、固化させた。
【0093】
上記で用意した消毒組成物0.1g、0.25g、0.5gを3つのシャーレーにそれぞれに添加した。
【0094】
37℃で4週間にわたって培養した後、消毒粉末を入れた杯状体の周囲には増殖の抑制を示すハローが形成されており、0.1gという低量も含めた記載の3種類の量について試験した消毒組成物に抗菌作用があることを示す。
【実施例2】
【0095】
5本の試験管に、約10CFU/mlの細菌Pseudomonas aeroginosaを含む懸濁液を3ml、ブイヨン3mlと共に入れた。
【0096】
0.1g、0.25g、0.5g、0.75g、1gの実施例1の消毒組成物を5本の試験管にそれぞれ添加した。
【0097】
5本の試験管を37℃で24時間培養した。
【0098】
試験する消毒組成物の最小発育阻止濃度は6mlあたり0.25gであることが認められた。
【実施例3】
【0099】
5本の試験管に、約10CFU/mlの細菌Staphylococcus aureusを含む懸濁液を3ml、ブイヨン3mlと共に入れた。
【0100】
0.1g、0.25g、0.5g、0.75g、1gの実施例1の消毒組成物を5本の試験管にそれぞれ添加した。
【0101】
5本の試験管を37℃で24時間培養した。
【0102】
試験する消毒組成物の最小発育阻止濃度は6mlあたり0.1gであることが認められた。
【実施例4】
【0103】
5本の試験管に、約10CFU/mlの真菌Candida albicansを含む懸濁液を3ml、ブイヨン3mlと共に入れた。
【0104】
0.1g、0.25g、0.5g、0.75g、1gの実施例1の消毒組成物を5本の試験管にそれぞれ添加した。
【0105】
5本の試験管を30℃で24時間培養した。
【0106】
試験する消毒組成物の最小育成阻止濃度は6mlあたり0.1gであることが認められた。
【実施例5】
【0107】
5本の試験管に、約10CFU/mlの真菌Aspergillus nigerを含む懸濁液を3ml、ブイヨン3mlと共に入れた。
【0108】
0.1g、0.25g、0.5g、0.75g、1gの実施例1の消毒組成物を5本の試験管にそれぞれ添加した。
【0109】
5本の試験管を30℃で24時間培養した。
【0110】
試験する消毒組成物の最小育成阻止濃度は6mlあたり0.75gであることが認められた。
【実施例6】
【0111】
5本の試験管に、約10CFU/mlの細菌Legionella pneumophilaを含む懸濁液を3ml、ブイヨン3mlと共に入れた。
【0112】
0.1g、0.25g、0.5g、0.75g、1gの実施例1の消毒組成物を5本の試験管にそれぞれ添加した。
【0113】
5本の試験管を37℃で24時間培養した。
【0114】
試験する消毒組成物の最小育成阻止濃度は6mlあたり0.1g、つまり1.7%に希釈されたものであることが認められた。
【実施例7】
【0115】
本実施例の目的は、実施例1の消毒組成物への曝露時間の関数としての細菌Pseudomonas aeroginosaの発生を測定することである。
【0116】
細菌Pseudomonas aeroginosaは土壌および水中に棲む細菌であり、呼吸器経路を通じて人体に感染する。
【0117】
菌株を栄養槽で再構成した。35℃で24時間培養し、2500rpmで10分間の遠心分離に供した。
【0118】
上清を除去して、残った微生物の沈殿物を滅菌緩衝脱イオン水で3回洗浄した。
【0119】
その後、沈殿物を50mlの滅菌緩衝脱イオン水に再度懸濁させた。
【0120】
細菌Pseudomonas aeroginosaを1×10CFU/ml含有する滅菌緩衝脱イオン水100mlおよび実施例1の消毒組成物0g、1g、5g、10g、25gをそれぞれ5つの250ml三角フラスコに添加した。
【0121】
5つのフラスコを50rpm、25℃で振動回転装置内に設置した。
【0122】
0時間後、4時間後、24時間後に各フラスコから1mlを取り出して、1mlの中和溶液内に移した。
【0123】
以下の表1は採取したサンプルに含まれる細菌Pseudomonas aeroginosa のCFU/ml濃度を示す。







表1

【0124】
表1に記載のように、4時間後、実質的に10の率での濃度の低下を引き起こしたことから、消毒組成物は細菌Pseudomonas aeroginosaを排除したと考えられる。
【実施例8】
【0125】
実施例7を細菌Staphylococcus aureusを用いて繰り返した。
【0126】
以下の表2は採取したサンプルに含まれる細菌Staphylococcus aureus のCFU/ml濃度を示す。
【0127】
表2


表2に記載のように、4時間後、消毒組成物は細菌Staphylococcus aureusの大半を排除し、実質的に10の率での濃度の低下を引き起こした。
【実施例9】
【0128】
Staphylococcus aureusの菌株を栄養槽で再構成した。35℃で24時間培養し、2400rpmで10分間の遠心分離に供した。
【0129】
上清を除去して、残った微生物の沈殿物を滅菌緩衝脱イオン水で3回洗浄した。
【0130】
その後、沈殿物を50mlの滅菌緩衝脱イオン水に再度懸濁させた。
【0131】
細菌Staphylococcus aureusを1×10CFU/ml含有する滅菌緩衝脱イオン水100mlおよび実施例1の消毒組成物25gを250ml三角フラスコに添加した。
【0132】
フラスコを50rpm、25℃で振動回転装置内に設置した。
【0133】
1分後、フラスコから1mlを取り出して、1mlの中和溶液内に移した。
【0134】
細菌Staphylococcus aureus が完全に排除されたことが認められた。
【実施例10】
【0135】
実施例1の消毒組成物を、SARSつまり重症急性呼吸器症候群の原因であるコロナウイルスに類似した人コロナウイルスATTC VR−740、229E株について試験した。消毒組成物の緩衝懸濁液における割合が1:10の消毒組成物が99.97%、つまり少なくとも3.6log10のウィルスを10分で不活性化することが認められた。
【0136】
本発明を特定の態様について記載および例証したが、添付の請求項で定義される本発明の範囲を逸脱することなく様々な改変を視野に入れることができることが当業者には理解できるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分としてオイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、カルバクロールを含み、該成分の割合が、オイゲノールが少なくとも約12重量%、酢酸オイゲノールが少なくとも約3重量%、バニリンが少なくとも約0.1重量%、カルバクロールが少なくとも約0.5重量%であることを特徴とする、殺菌、防黴、殺ウィルス効果を同時に発揮する消毒組成物。
【請求項2】
その活性成分であるオイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、カルバクロールが植物要素に含まれることを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項3】
オイゲノールおよび酢酸オイゲノールがクローブに含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項4】
バニリンがバニラに含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項5】
カルバクロールがオレガノに含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項6】
カルバクロールがサボリーに含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項7】
活性成分としてさらにチモールを含むことを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項8】
チモールがタイムに含まれていることを特徴とする、請求項7に記載の消毒組成物。
【請求項9】
少なくとも約0.5重量%のチモールを含むことを特徴とする、請求項7に記載の消毒組成物。
【請求項10】
さらに少なくとも1つの無機塩を含むことを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項11】
無機塩がアルカリ金属、アンモニウム、アルカリ土類金属、アルミニウム、マグネシウムの塩化物、炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、およびミョウバンから選択されることを特徴とする、請求項10に記載の消毒組成物。
【請求項12】
無機塩が塩化ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選択されることを特徴とする、請求項11に記載の消毒組成物。
【請求項13】
塩化ナトリウムがグレイソルトに含まれることを特徴とする、請求項12に記載の消毒組成物。
【請求項14】
少なくとも約0.5重量%の無機塩を含むことを特徴とする、請求項10に記載の消毒組成物。
【請求項15】
活性成分として以下の重量%のオイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、カルバクロール、チモールを含むことを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物:
オイゲノール:15−25
酢酸オイゲノール:3−5
バニリン:0.25−0.35
カルバクロール:0.7−1.2
チモール:0.7−1.2。
【請求項16】
オイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、カルバクロール、チモールがそれぞれ植物要素に含まれていることを特徴とする、請求項15に記載の消毒組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの微量元素をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項18】
少なくとも1つのモノテルペンをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項19】
モノテルペンが植物由来であることを特徴とする、請求項18に記載の消毒組成物。
【請求項20】
植物が松およびモミの木から成る群から選択されることを特徴とする、請求項19に記載の消毒組成物。
【請求項21】
少なくとも1つのモノテルペンアルコールをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項22】
モノテルペンアルコールが植物由来であることを特徴とする、請求項21に記載の消毒組成物。
【請求項23】
植物が紫檀、ペパーミント、レモングラスから成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の消毒組成物。
【請求項24】
少なくとも1つの芳香族アルデヒドをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項25】
芳香族アルデヒドが植物由来であることを特徴とする、請求項24に記載の消毒組成物。
【請求項26】
植物がシナモン、クミン、ラベンダーから成る群から選択されることを特徴とする、請求項25に記載の消毒組成物。
【請求項27】
少なくとも1つの硫黄含有化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項28】
硫黄含有化合物が植物由来であることを特徴とする、請求項24に記載の消毒組成物。
【請求項29】
植物がニンニクおよびタマネギから成る群から選択されることを特徴とする、請求項28に記載の消毒組成物。
【請求項30】
少なくとも1つの窒素化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項31】
窒素化合物が植物要素由来であることを特徴とする、請求項26に記載の消毒組成物。
【請求項32】
植物要素がcitrus reticulataおよびcitrus paradisiから選択されることを特徴とする、請求項31に記載の消毒組成物。
【請求項33】
以下の植物:
eugenia caryophylatta、
origanum heracleoticum およびoriganum majoranaから選択された少なくとも1つのoriganum、
vanilla planifolia Andrews
の抽出物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項34】
以下の
artemisia dracunculus L.、
carum carvi、
chamaemelum nobile、
cinnamomum zeylanicum、
cinnamomum camphora、
citrus paradisi、
coriandrum sativum、
cuminum cyminum、
eucalyptus radiata、
hyssopus officinalis、
juniperus communis、
lavandula officinalis、
lippia citriodora、
melissa officinalis、
mentha piperita、
myristica fragrans、
ocimum gratissimum、
urtica dioica、
pimpinella anisum、
pinus pinaster、
rosmarinus officinalis、
salvia officinalis、
satureja montana、
sesamum indicum、
thymus vulgaris、
zingiber officinalis
から選択された1つ以上の植物の抽出物、および重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、粘土等の親水性コロイドから選択された要素をさらに含むことを特徴とする、請求項33に記載の消毒組成物。
【請求項35】
その組成が
粘土/親水性コロイド =12.0 重量%
artemisia dracunculus =0.5 重量%
重炭酸ナトリウム =1.0 重量%
carum carvi =1.5 重量%
chamaemelum nobile =0.5 重量%
cinnamomum zeylanicum =0.5 重量%
cinnamomum camphora =0.1 重量%
citrus paradisi =0.1 重量%
coriandrum sativum =1.0 重量%
cuminum cyminum =2.0 重量%
eucalyptus radiata =5.0 重量%
eugenia caryophylatta =23.1重量%
hyssopus officinalis =1.0 重量%
juniperus communis =0.5 重量%
lavandula officinalis =5.0 重量%
lippia citriodora =0.5 重量%
melissa officinalis =0.5 重量%
mentha piperita =0.5 重量%
myristica fragrans =0.5 重量%
ocimum gratissimum =0.5 重量%
origanum heracleoticum =5.0 重量%
origanum majorana =5.0 重量%
urtica dioica =5.0 重量%
pimpinella anisum =0.5 重量%
pinus pinaster =2.0 重量%
rosmarinus officinalis =10.0重量%
salvia officinalis =1.0 重量%
satureja Montana =1.0 重量%
sesamum indicum =5.0 重量% ,
thymus vulgaris =5.0 重量%
vanilla planifolia Andrews =1.2 重量%
zingiber officinalis =2.0 重量%
塩化ナトリウム =1.0 重量%
であることを特徴とする、請求項34に記載の消毒組成物。
【請求項36】
4つの活性成分オイゲノール、酢酸オイゲノール、バニリン、カルバクロールが植物要素に含まれており、
(a)該予備乾燥した植物要素を粉砕して平均粒径が約0.5mm〜約1.2mmの粉末にすることから構成される第一ステップと、
(b)該粉末を溶液に常温で少なくとも12時間、好ましくは約24時間浸して浸漬汁および残留不活性植物材料を得ることから構成される第二ステップ
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の消毒組成物の製造方法。
【請求項37】
第二浸漬ステップの後に、不活性な多孔性植物支持体および不活性な無機物支持体から選択した支持体に浸漬溶液を含浸させることから成る第三ステップを含むことを特徴とする、請求項36に記載の製造方法。
【請求項38】
支持体が滑石、活性炭、無機塩から成る群から選択されることを特徴とする、請求項37に記載の製造方法。
【請求項39】
無機塩が塩化ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選択されることを特徴とする、請求項38に記載の製造方法。
【請求項40】
不活性支持体が不活性植物材料から構成されることを特徴とする、請求項37に記載の製造方法。
【請求項41】
不活性植物材料が浸漬ステップ(b)から得られる残留不活性植物材料であることを特徴とする、請求項40に記載の製造方法。
【請求項42】
バイオ消毒性材料を得るために該消毒組成物を製造工程において該材料に一体化させることを特徴とする、請求項1〜35のいずれかに記載の消毒組成物の使用。
【請求項43】
プラスチック材料、紙、不織布から成る群から選択された、請求項42によって得られるバイオ消毒性材料。

【公表番号】特表2007−530642(P2007−530642A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505587(P2007−505587)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000747
【国際公開番号】WO2005/092094
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506323038)ハイテク バイオ−アクティヴィティーイズ ホールディング ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】