説明

殺菌力のある表面で覆われたアセンブリ

着用または覆うために用いられる少なくとも2つの異なるガーメントを含む殺菌力のある表面で覆われたアセンブリ。それぞれのガーメントは、汚染された環境(例えば、臨床環境、実験室または作業場)で用途に応じて使用されるとき、物理的汚染事象で病原菌汚染に感染し得る少なくとも1つの処理表面を有する。それぞれの処理表面は、物理的汚染事象の後時間が経過すると、当該処理表面の病原菌の数を減らすことができるように適合されており、そのため、第1ガーメントの第1処理表面上の第1部位での物理的汚染事象の後少なくとも所定の時間が経過すると、当該第1処理表面上の当該第1部位と第2ガーメントの第2処理表面上の第2部位との間の第1の物理的接触があると、未処理の対照試料に比べて第2処理表面上に生存する病原菌が少なくなる。さらに、前記第1の物理的接触後少なくとも所定の時間が経過すると、前記第2処理表面上の前記第2部位と第3ガーメントの第3処理表面上の第3部位との間の第2の物理的接触があると、未処理の対照試料に比べて当該第3処理表面上に生存する病原菌が減るという結果を生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用または覆うために用いられる(drapable or donnable)物品に関する。特に、本発明は病原菌および感染症の拡大を抑える物品に関連する。
【背景技術】
【0002】
近年における院内感染の流行は、患者および医療従事者の双方に対して深刻な影響を与えてきた。院内感染は、病院、長期医療看護施設、または他のヘルスケア施設を起源とし、すなわち、これらの中で発生し、時として、「病院に関連した感染症(hospital associated infections)」すなわちHAIと呼ばれる。一般的に、院内感染については、病院内の病原菌は、悪性と典型的な抗生物質に対する抵抗力とがより強いので、外部感染や市中感染よりも深刻で危険である。毎年、合衆国では、約90,000人が院内感染によって死亡している。アメリカの入院患者(毎年約2百万人)の約5%から10%が、臨床的に有意な院内感染を発症している。これらのHAIsは、たいてい患者の病気や怪我を診断または処置するために使用される手順や処理に関連し、二次的で不注意な接触によって拡大する。
【0003】
病院内でのブドウ球菌感染の拡大のため、感染対策は1950年代から合衆国の公式な学問分野となっている。医療提供者自身が感染するというリスクと彼ら彼女らを通して患者に感染するというリスクとの双方があるので、疾病対策予防センター(the Centers for Disease Control and Prevention)は感染対策手順に関するガイドラインを制定した。病院に加えて、養護施設、クリニック(clinics)、診療所(physician offices)、保育所、およびレストラン、そして自宅においても、感染対策は重要である。病院および臨床環境での感染対策の目的は、感染症の発生を減らすことである。これらの病気は、バクテリアやウイルスが原因であり、人から人への接触、動物から人への接触、人の感染した表面への接触、空気感染、そして、最終的には、食料や水のような一般的な媒体によって拡大しうる。手袋、ガウン、およびマスクのような医療具の使用は、すでに感染対策の実践者に病原菌に対するバリアーとして広く認識されている。しかしながら、抗生物質に対する耐性の増大とHAIsのしぶとさとのため、これらを実践するだけでは不十分であることは明らかである。
【0004】
病院や他の医療施設は、院内感染を防ぐための広大な感染対策プログラムを開発してきた。病院の感染対策プログラムと、医療従事者の側が患者と接するときに適切な予防を取ることに関するより注意深い努力とによって、これらの感染のいくらかを防ぐことができるけれども、それでも有意な数の感染が発生する。したがって、現在の手順は十分ではない。予防手段の強制(例えば、手洗いや、手袋、フェイスマスク、およびカバーガウンの着用)にもかかわらず、接触移転は、なおもHAIsの主要な原因である。すなわち、テーブル上面、ベッドレール、手、衣服、および/または医療器具のような病原菌に汚染された表面と接触する個々人が、最初の接触の後すぐにまたは短い時間で、1つの表面から別の表面へ病原菌を移転しうる。
【0005】
この状況を改善するために、標準的な装置または部品は、病原菌が接触すると病原菌を殺す、または、分散しないように病原菌を拘束する活性剤を添加することによって、感染対策に対する効果が高められる。しかしながら、1つの効果を高めた装置や部品を単独で使用することは、依然として病原菌の貯蔵所として機能する他の未処理の装置を残すことになり、間接伝染につながりうる。さらに、ただ1つのガーメント(garment)を殺菌剤成分で処理することは、病原菌による損傷/摂取から病原菌の数が効果的に減少するまでの間の時間差に対処できない。
【発明の開示】
【0006】
(発明の概要)
本発明は、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリ(assembly)であって、着用または覆うために用いられる少なくとも2つの異なるガーメントを含むアセンブリを対象とする。望ましくは、このアセンブリは、着用または覆うために用いられる少なくとも3つの異なるガーメントを含む。それぞれのガーメントは処理された表面を少なくとも1つ有することに特徴があり、その表面は、用途に従って汚染され得る環境(例えば、臨床環境、実験室、または作業場)で使用される場合に、物理的汚染事象で病原菌汚染の影響を受け得る表面である。処理された表面は、一般に、使用者の体からみて外側に向けられており、環境すなわち汚染源に向けられている。
【0007】
本発明によると、それぞれの処理表面は、物理的汚染事象の後、処理表面の病原菌の数を時間が経過するにつれて減少させることが可能となるように適合されており、第1ガーメントの第1処理表面上の第1部位で物理的汚染事象から少なくとも所定の時間経過した段階に於いて、当該第1処理表面上の当該第1部位と第2ガーメントの第2処理表面上の第2部位との間の第1の物理的接触があると、未処理の対照試料と比べて、第2処理表面上に生存する病原菌は少なくなる。さらに、第1の物理的接触から少なくとも所定の時間経過後に、第2処理表面上の第2部位と第3ガーメントの第3処理表面上の第3部位との間の第2の物理的接触があると、未処理の対照試料に比べて、第3処理表面上に生存する病原菌は少なくなる。
【0008】
本発明の一態様によると、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリはガーメントを含み、当該ガーメントは、手袋、ガウン、フェイスマスク、ヘッドカバー、シューカバー、外科用ドレープ、外科用開窓若しくはカバー、シート、リネン、パッド等から選択されてもよい。
【0009】
本発明によると、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリの表面は以下に示す1つまたは複数のものから選択された殺菌剤で処理されてよいが、それらに限定されない:ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、他のビグアニド化合物、クロロヘキシジン(chlorohexidine)、アレキシジン(alexidine)、およびこれらの適切な塩、第四級アンモニウム化合物、第四級シロキサン(quaternary siloxane)、ポリ第四級アミン;金属含有種およびそれらの酸化物、粒子形状であるか支持マトリックスまたはポリマーに取り込まれているかを問わない;ハロゲン、ハロゲン解除剤またはハロゲン含有ポリマー、臭素化合物、二酸化塩素、チアゾール、チオシネート(thiocynate)、イソチアゾリン、シアノブテン、ジチオカルバマート、チオン(thione)、トリクロサン、アルキルスルホサクシネート、アルキル−アミノ−アルキルグリシン、ジアルキル−ジメチル−ホスホニウム塩、セトリミド、過酸化水素、1−アルキル−1,5−ジアザペンタン(1-alkyl-1,5-diazapentane)、塩化セチルピリジウム、安定化過酸化物、硫化物、ビスフェノール、ポリフェノール、キトサン、アナタース形二酸化チタン、電気石、ヒドロトロープ、カオトロピック剤、ならびにこれらの相乗作用のある組み合わせ。殺菌剤は、終末濃度または約0.05〜5重量パーセントの範囲の添加物として殺菌力のあるガーメント基材上に存在してもよい。
【0010】
本発明の実施形態において、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリは、静水頭試験(100cm2のサンプル、1ミリバール/秒の傾斜、非支持)によって測定すると、約20ミリバール(hPa)以上の流体バリア特性を有する材料で作ることができる。例えば、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリは、静水頭試験(100cm2のサンプル、1ミリバール/秒の傾斜、非支持)によって測定すると、約50ミリバール(hPa)以上の流体バリア特性を有する材料で作ることができる。
【0011】
本発明の一態様において、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリは第1の部位からの接触移転や間接伝染を減少させ、最終的には、例えば第3処理表面のような他の表面上に生存する病原菌を減少させるだろう。この減少は、未処理の対照試料に比べて、周囲条件において、最初の接触から約40から約60秒以内に広範囲の微生物に対して少なくとも1log10CFU の減少である。もちろん、より長い時間に対しては、より大きく減少する。望ましくは、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリは第1部位から接触移転または間接伝染を減少させ、最終的には、未処理の対照試料に比べると、例えば第3処理表面において、接触後約40から60秒以内に少なくとも2log10CFU 減少しているように、他の表面上の生存する病原菌を減少させる。さらに別の実施例においては、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリは第1部位からの接触移転または間接伝染を減少させ、最終的には、未処理の対照試料に比べると、例えば第3処理表面において、接触後約40から60秒以内に少なくとも3log10CFU 減少しているように、他の表面上の生存する病原菌を減少させる。微生物は一般的に、次のものを少なくとも1つ含む;黄色ブドウ球菌、大便連鎖球菌、緑膿菌、カタラシス菌、肺炎かん菌、またはカンジダアルビカンス。一般的に言うと、生存する病原菌の減少は、物理的汚染事象の後少なくとも40秒で起こるべきである。望ましくは、生存する病原菌の減少は、物理的汚染事象の後少なくとも40から約60秒で起こるべきである。物理的接触事故からより長い時間かけると、生存する病原菌がさらに大きく減少する。例えば、数分、数十分、さらには数時間かけると、生存する病原菌が大きく減少することが予想される。
【0012】
本発明の別の態様は、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリを提供する方法を示す。その方法は少なくとも次のステップを含む;
(a)覆うためおよび/または着用に用いられる少なくとも2つの異なるガーメントを提供するステップであって、それぞれのガーメントは、汚染された環境(例えば、医療環境、実験室、作業場または同様の場所)で用途に応じて使用されるとき物理的汚染事象において病原菌の汚染の影響を受け得る少なくとも1つの処理表面を有し、それぞれの処理表面は、物理的汚染事象の後その処理表面の病原菌の数を時間の経過によって減少させることができるように適合されているステップ;
(b) 汚染された環境で少なくとも1人の人に着用用のガーメントを着用させ、および/または汚染された環境で少なくとも1つの表面を覆うためのガーメントで覆うステップで次のようなもの;
第1ガーメントの第1処理表面上の第1部位での物理的汚染事象の後少なくとも所定の時間が経過すると、当該第1処理表面上の当該第1部位と第2ガーメントの第2処理表面上の第2部位との間の物理的接触があると、未処理の対照試料に比べて当該第2処理表面上に生存する病原菌がより少なくなるもの;および
その第1の物理的接触後少なくとも所定の時間が経過すると、前記第2処理表面上の前記第2部位と第3ガーメントの第3処理表面上の第3部位との間の第2の物理的接触によって、未処理の対照試料に比べて第3処理表面上に生存する病原菌がより少なくなるもの。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、次のステップを含む殺菌力のある表面で覆われたガーメントアセンブリを提供する方法を示す;
(a) 着用用の少なくとも2つの異なるガーメントを提供し、それぞれのガーメントは、汚染された環境(例えば、医療環境、実験室、作業場または同様の場所)で用途に応じて使用されるとき物理的汚染事象で病原菌汚染の影響を受け得る少なくとも1つ処理表面を有し、それぞれの処理表面は、物理的接触事故後その処理表面で病原菌の数を時間の経過によって減少させることが可能となるように適合されているステップ;および
(b) 少なくとも1人の人に2つ以上の着用用のガーメントを着用させるステップで次のようなもの;
第1ガーメントの第1処理表面上の第1部位での物理的汚染事象の後少なくとも所定の時間が経過して、当該第1処理表面上の当該第1部位と第2ガーメントの第2処理表面上の第2部位との間の物理的接触があると、未処理の対照試料に比べて第2処理表面上に生存する病原菌がより少なくなるもの;および
その第1の物理的接触後少なくとも所定の時間が経過して、当該第2処理表面上の当該第2部位と第3ガーメントの第3処理表面上の第3部位との間の第2の物理的接触があると、未処理の対照試料に比べて第3処理表面上に生存する病原菌がより少なくなるもの。
【0014】
この防護用および/または衛生用物品ならびに関連した製造方法のさらなる特徴および利点は後述の詳細な説明において開示されるだろう。前述の概要と後述の詳細な説明および実施例との両方は、本発明の単なる代表例に過ぎず、特許請求の範囲の本発明を理解するためにあらましを提供することを意図したものであると理解される。
【0015】
(発明の詳細な説明)
この明細書および付属する特許請求の範囲において、「1つ(または1つであることの記載を省略した場合)」(”a”, “an”)および「その(この)」(”the”)は、明らかに文脈に反しない限り、複数の内容を含む。他に定義されていない限り、ここで使われる技術専門用語は、本発明が関係する当業者によって共通に理解され、一般に受け入れられるものと同じ意味を有する。
【0016】
ここで使われる「殺菌剤」(”germicidal agent” or “germicidal agents”)という用語は、病原菌微生物(microbes)を殺すかその成長を遅くするかどちらかの薬品またはその他の物質に関する。今日使われる殺菌剤は、(バクテリアを殺す)抗菌剤、(ウイルスを殺す)抗ウイルス剤、(真菌類を殺す)抗真菌性抗生物質、および(寄生虫を殺す)抗寄生虫剤である。殺菌剤のおもなカテゴリーは表面殺菌剤(disinfectants)であり、一方で「殺生剤」(”biocides”)として知られている。
【0017】
「殺生剤」(biocides)という用語は農薬のような化学薬剤を記述する一般的な用語であり、たいていは広範囲に、生きている微生物を不活性化する。殺生剤は殺菌力に幅があるので、他の用語がより専門的であり、「静−」(-static)は成長を抑制する薬剤(例えば、静菌剤、静真菌剤、または静胞子剤)に関連し、「殺−」(-cidal)は目的の生物を殺す薬剤(例えば、殺菌性、殺真菌性、殺胞子性、または殺ウイルス性)に関連する。殺生剤は多数の目的物および作用モードを有し、それは、例えば、物理的分解やバクテリア微生物の細胞膜の外側に永久的なダメージを与えることを含む。ビグアニド(例えば、:クロロヘキシジン、アリキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド、および適切なこれらの塩)、ハロゲン解除剤(例えば、:ヨウ素、ヨウ素担体、次亜塩素酸ナトリウム、N-ハラミン(N-halamine)等)、二酸化塩素のような安定化酸化物、安定化過酸化物(例えば、:過酸化尿素、過酸化マンニトール)、金属含有種およびこれらの酸化物(例えば、:銀、銅、セレン等、粒子形状であるかゼオライトのような支持マトリックスまたはポリマーに取り込まれているかを問わない)、硫化物(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム)、ビスフェノール(例えば、トリクロサン、ヘキサクロロフェン等)、第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、セトリミド、塩化セチルピリジン、第四級セルロースおよび他の第四級ポリマー等)、様々な「自然発生的」薬剤(例えば、緑茶や紅茶から抽出して得られるポリフェノール、クエン酸、キトサン、アナタース形二酸化チタン、電気石、竹抽出物、ニーム油等)、ヒドロトロープ(強い分散剤)およびカオトロピック剤(例えば、アルキルポリグリコシド)ならびにそれらの相乗作用のある組み合わせを含む有用な殺生剤化学物の例もある。基材の化学的性質(ポリオレフィン対セルロース基盤の材料)および製品に組み込む方法(局部的対グラフト)によって、多くの上記化学物質は単独でまたは組み合わさって使用され、最終的に特許請求の範囲の製品の関心のある特徴となる。
【0018】
ここで使われる「含有する」(containing)という用語は、殺菌剤を目的のものに組み込むどんな方法によって作られた製品にも関連する。このことは、繊維を押し出したり紡いだりする間、および製品を作る際に使われる不織布生地の製造の間に、活性剤を溶融ポリマーに溶融付加すること、最終製品を作るときに使われる布に「側面(sidedness)」を与えたり、与えなかったりする局所適用法、およびプラズマ処理、静電付着、例えば紫外線、ガンマ線、および電子線放射源を使った放射面グラフト共重合、または抗菌能力を有するグラフト共重合を生産するためのケミカルイニシエーションのような他の非標準的な方法を含む。
【0019】
ここで使われる「広範囲の微生物(broad spectrum of microorganisms)」という句は、最低でもグラム陽性およびグラム陰性バクテリアを含み、それらの耐性菌、例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)およびペニシリン耐性肺炎球菌を含む。好ましくは、すべてのバクテリア(グラム+、グラム−、および抗酸性菌)ならびにカンジダアルビカンスのような酵母菌を含むものとして定義される。より好ましくは、すべてのバクテリア(グラム+、グラム−、および抗酸性)、酵母菌、ならびに、人インフルエンザ、ライノウイスル、ポリオウイルス、アデノウイルス、肝炎、HIV、単純ヘルペス、SARS、および鳥インフルエンザのような外皮および裸のウイルスを含むものとして定義される。
【0020】
ここで使われる「未処理の対照試料の表面に比べて処理表面上に生存する病原菌がより少なくなるという結果(results in fewer viable pathogens on a treated surface compared to an untreated control surface)」という句および「接触移転を防ぐまたは最小化する(prevents or minimizes the contact transfer)」という句は、共に問題のものが、未処理の比較試料のものと比較して、他の表面と接触するときに、広範囲の生存する微生物は移転する際に少なくとも1log10減少するという結果をもたらすだろうということを意味するものとして定義され、その測定方法は米国特許出願公報No.2004/0151919に一般に概説されている接触移転手順によっており、この文献は当該手順に関して参照によってここに援用され、実施例においてさらに詳述する。望ましくは、生存する微生物は移転によってlog102の率で減少するという結果をもたらす。さらに望ましくは、生存する微生物は移転によってlog102以上の率で減少するという結果をもたらす。
【0021】
「しみこまない(non-leaching)」殺菌表面とは、「動的接触状態下における固定化抗菌剤の抗菌能力を測定する標準試験方法」と呼ばれるASTM E2149-01試験プロトコルに合格したものである。選択された処理剤が付加されていない区画がないならば、活性種が処理基材からしみ出すことはない。
【0022】
ここで使われる「ガーメント(garment)」という用語は、人が着けたり着たりできるものや、人に対してかけたり、おおったり、まとわせたりするものである。ガーメントは、手袋、ヘッドカバー、靴カバー、ガウン、防護服、ドレープ(外科用ドレープを含む)、シート、リネン、パッド、または他の同様のものを含んでよい。着用用のガーメントは、着る者が着けたり着たりできるように適合されたガーメントである。典型的な着用用のガーメントは、ガウン、手袋、ヘッドカバー、靴カバー、防護ジャケット、カバーオール、および他の防護服を含むが、それらに限定されない。覆うことのできるガーメントは、人や物に対して、はおったり、おおったり、たれかけたり、さもなければ隠したりするガーメントである。典型的な覆うことのできるガーメントは、検査や手術の間患者の体を覆うように置かれる外科用ドレープを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
<説明>
以下の説明を提示することによって、病原菌の間接伝染に関係すると一般に考えられているステップと、提供される殺菌力のある表面で覆われたアセンブリまたはシステムを使用してどのようにそれを防ぐかということとを示す。この説明は、複数の器具を一緒に使うと、単独の器具を使用した場合に比べて、どのくらいの累積的または相乗的作用があるかということを示す。
【0024】
間接伝染の第1ステップは、医療従事者(ヘルスケアワーカー、HCW)が手袋をつけた手で汚染された表面に触り、その後、着ている別の物品(例えば、ガウン、マスクまたは他のもの)を触ることによってそれを汚染することを含む。例えば、汚染された手袋をつけた労働者は、フェイスマスクを調整したり、防護ガーメントの一部に触るかも知れない。あるいは、最初の手袋の接触がなくても、病原菌微生物は、医療従事者が着けている物品にはねかかり、しぶきとなってかかり、または吹きついて、その物品を汚染しうる。第2ステップは、HCWがその物品の汚染された部分を触り(または再び触り)、その者の手袋を再汚染、またはさらに汚染し(または、新しい手袋を汚染し)、その後、患者(または別の表面)をさわり、病原菌微生物を拡散させることを含む。その物品の汚染箇所に触ることや再び触ることはいつでも起こりうるが、より典型的には、最初の汚染から数分で(たいていは1分以内に)起こる。本発明は、病原菌を殺すまたは捕らえるように処理された手袋、ガウン、フェイスマスク、ヘッドカバー、靴カバー、ドレープおよび/または他のガーメントもしくは物品を組み合わせて使うことを含み、これらは、殺菌力のある物品のアセンブリ、システムまたは一団が共同して作用し病原菌微生物の間接伝染を最小化する。このアセンブリ、システム、または一団は、間接伝染の第2ステップを妨害することによって作用する。すなわち、物品上を殺菌力を有するように処理することによって、汚染された物品上に存在する病原菌微生物の数を減らし、新しい手袋が汚染されるであろう機会または殺菌処理された手袋が再汚染されて病原菌微生物を拡散させるであろう機会を減らす。病原菌微生物が、物品に最初にはねかかってからの、しぶきとなってかかってからの、または汚染された手袋から移転してからの時間が増えるにつれて、病原菌微生物の数も減少する。40秒で移転レベルが低くなったことが確認される。5または10分後には、病原菌微生物のレベルはきわめて低いレベルにある。個々の殺菌処理された物品は知られているけれども、これらの処理はその物品の着用者を保護することをその目的の中心としてきた。
【0025】
本発明は、病原菌の間接伝染または接触移転を減らすための、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリ、または、処理された手袋、マスク、ガウン、若しくは、他の表面を覆うガーメント若しくは物品を組み合わせたシステムを提供する。
【0026】
上述のように、このシステムの主要な構成要素は、殺菌剤をつけると機能が高まる医療具の組み合わせとなろう。
【0027】
<殺菌力を有する組成物>
利用される殺菌力のある組成物は、1つまたは複数の殺菌剤試薬である。これらの試薬は、それら自体として有効なものもあるし、個別の成分は添加的なものではなく組み合わさって相乗効果を発揮するものもある。これらの殺菌試薬は、加工助剤および/または組成物に機能的な特徴を与える他の材料とさらに組み合わさってもよい。典型的な殺菌力を有する組成物は、第四級アンモニウム化合物および高分子ビグアニド、アルコール、ならびに界面活性剤のようなカチオンポリマーを基礎とする。第四級アンモニウム化合物(例えば、第四級アンモニウムセルロースおよび第四級アンモニウムシロキサン)、高分子ビグアニド、界面活性剤、アルコール、並びに酢酸、クエン酸、および安息香酸のような有機酸のようなカチオンポリマーの組み合わせは、幅広い病原菌に対する効能をもった添加的でない相乗効果のあるシステムを作る。他の殺菌成分、界面活性剤と組み合わせると、高分子ビグアニドを単独で使用した処理にくらべて高分子ビグアニドの殺菌効能が改善されることは明らかである。
【0028】
ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)塩酸塩は典型的なカチオンビグアニドであり、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリを提供するのに有用である。
【0029】
商標名Cosmocil CQ (20重量%PHMB水溶液)またはVantocilのような市販されているPHMBの変形、約3,000の分子量(g/mol)の様々な大きさのPHMBの混合物は、グラム陽性およびグラム陰性のバクテリアに対して活性であるが、殺胞子性ではない。
【0030】
追加の活性な殺菌剤は、第四級アンモニウム化合物、第四級アンモニウムシロキサン、ポリ第四級アミン;金属含有種およびそれらの酸化物(粒子状であるか支持マトリックスまたはポリマーに組み込まれているかをとわない);ハロゲン、ハロゲン解除剤若しくはハロゲン含有ポリマー、臭素化合物、二酸化塩素、チアゾール、チオシネート、イソチアゾリン、シアノブタン、ジチオカーボネート、チオン、トリクロサン、アルキルスルフォサクシネート、アルキル−アミノ−アルキルグリシン、ジアルキル−ジメチル−ホスホニウム塩、セトリミド、過酸化水素、1−アルキル−1,5−ジアゾペンタン、または塩化セチルピリジウムを含んでも良いが、これらに限定されない。
【0031】
表1は様々な殺生剤および加工助剤の概要であり、これらは殺菌力を有する組成物中で使用され、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリを作るために使用されうる。これはまた、これら一般の化学名または商品名の一覧である。Aegis(商標)AEM 5700(Dow Corning, Midland, MI)およびCrodacel QM(Croda, Inc., Parsippany, NJ)の名で市販されている第四級アンモニウム化合物を、Glucopon(登録商標)220 UP(Cognis Corp, Ambler, PA)の名で市販されているアルキル−ポリグリコシド、並びにHydagen CMFおよびHydagen HCMF (Cognis Corp., Cincinnati, OH)の名で入手できるキトサングリコレートのようなある種の界面活性剤とともに使用すると、この表に示されたように相乗的な仕方でPHMBの致死効果を顕著に高めることができる。ここに記載された多くの殺生剤は、単独で、または微生物に対する活性が大きく異なる様々な製品を組み合わせて使用されることに注意すべきである。
【0032】
表1 活性試薬および加工助剤
【表1】

*内部溶解添加剤として使用する。これらの添加剤剤は、典型的には熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン(PP))の中で混ぜ合わされ、濃縮液を作り、そしてバージン樹脂と乾燥混合されて共押出しされ、このような添加剤を含む繊維およびウエブを作る。添加剤は一般的に繊維のバルクじゅうくまなく分配され、十分な量の添加剤が繊維の表面に存在し、抗菌力を与える。繊維の表面に存在する添加剤の濃度は、樹脂の主要本体に対する溶解物中の添加剤濃度または樹脂の種類、処理中の状態および熱履歴、樹脂の結晶性、並びに樹脂と添加剤の相対的熱力学適合性を含むいくつかの要因に依存する。添加剤は、処理可能とするために溶解物中で熱可塑性樹脂と適合しなければならないと理解され、さらに、添加剤は、添加剤が熱可塑性繊維の表面にある程度広がっていくように、樹脂に囲まれた状態では適合性が低いことが望まれる。アモルファス化合物のような加工助剤は、主要樹脂に添加され、繊維表面に添加剤が広がりやすくする。PHMBのような他の活性材料は様々な他の熱可塑性樹脂の中で混ぜ合わされ、共押出しされうることがまた理解される。
【0033】
表2は、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリを作るのに使われうるたくさんの組成の実施例の概要であり、表1に掲げられた試薬を様々な百分率で組み合わせたものを提供する。それぞれの試薬は、全製剤中の活性剤の重量百分率(wt%)に関して示されている。湿潤性および/または均一に覆う処理力を高めるための加工助剤(例えば、ヘキサノール、オクタノール、アルキル−ポリグリコシド、または他の界面活性剤)のような他の成分は、その組成の材料の全量に対して約0.1から約1wt%の範囲で製剤に組み込むことができる。ある実施態様においては、加工助剤は約0.2-0.75wt%の濃度で存在する。それぞれの製剤は、水溶液に混ぜることができる。この製剤は、望まれたまたは規定の量を基材に添加して殺菌力を得る処理過程に応じて、望まれるまたは要求されるどんな濃度レベルにも希釈できる。
【0034】
個々の成分は、個々の化学試薬を識別するための簡易形式として一般名または商品名のみを使って記載されており、どんな特定の市販の実施態様や製剤に本発明を限定するものと解釈されるべきではない。表2の組成例はすべて、所定の有機または非有機基材に対する局所コーティングとして使うことができ、それぞれは、一般に、約60秒でコロニー形成単位(CFU/mL)(CFU/g)で少なくとも約1log10 の減少をもたらす効果があると考えられる。望ましくは、その組成物は約10分以内に、いくつかのケースでは5分以内に、病原菌微生物をすばやく殺すのに役立つ。
【0035】
PHMBが表2のすべての組成物の成分であるが、PHMBを含まない他の材料の組み合わせは、本発明の殺菌力のある表面で覆われたアセンブリを実施するのに有用でありうる。
【0036】
ある実施例においては、殺菌力のある組成物は、バクテリアとウイルスの両方に対して作用する殺生活性剤の組み合わせを含む。例えば、1つの組成物は、PHMB、第四級アンモニウムセルロース、キシリトール、クエン酸、安息香酸、界面活性剤、錯化剤(例えば、PVP)、および/または静電防止剤(例えば、Nicepole FL)を含んでもよい。望ましい静電防止剤は、表面張力の減少が20ダイン/cm(0.02N/m)より小さいものである。望ましくは、本組成は適度に親水性であり、したがって、表面に適用される製剤の小滴は、例えばポリプロピレン基材に対して約90°より小さい接触角を作ることができる。この組成物のpHは約2から約5または6の範囲にある。使用される望まれた特定の環境状態にもよるが、好ましいpHの範囲は約2.5〜4、または2.5〜3.5である。この組成物はまたアクリルコポリマー成分およびイソプロピルアルコールを含んでもよく、医療用生地に一般に見られるような不織布生地を処理するのに静電防止剤として役立つ。
【0037】
殺菌溶液は主要活性剤、例えば、活性剤の重量に対して0.1〜99.9wt%のポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、および少なくとも次の中の1つから選ばれる補助的活性剤を含んでもよい:アルキルポリグルコシド、第四級セルロース誘導体、第四級シロキサン、界面活性剤、および有機酸。基材上のそれぞれの活性試薬および加工助剤の最終的な濃度は、約0.01〜20wt%の範囲となりうる。正確な濃度は、目的とする微生物の特定の種類および/またはコートされる基材の材料による。例示したように、実施例のそれぞれの成分の個々の一般的濃度範囲は図2に概説される。
【0038】
表2 処理基材上の組成物成分の濃度
【表2】

【0039】
殺菌力のある組成物は人にとって匂いがないものであるべきである;すなわち、この組成物は、少なくとも人の嗅覚系では感知できない。この特徴は、殺菌力のある組成物がフェイスマスクおよび人の鼻にきわめて近くに来る他の基材に対して使われる場合に重要である。
【0040】
<基材>
いろいろな異なる種類の基材は、殺菌力のある組成物で処理されまたはコートされて、本発明の殺菌力のある表面で覆われたアセンブリを作る基礎材料、完成したガーメント、または他の物品となることができる。ある実施態様によると、基材材料は、例えば、天然ゴム若しくは合成ポリマー乳液のような、エラストマー膜、フィルムまたは泡、典型的な着用できるおよび/若しくは覆うためのガーメントまたは物品のような、柔らかいラバー若しくはプラスチック表面、を含んでよい。このアセンブリはまた、殺菌力のある医療器具、並びに/若しくは外科設備および道具、または病院施設と組み合わせて使用されることが期待される。さもなければ、他の実施形態は、着用できるおよび/若しくは覆うためのガーメントまたは物品を作るために使われうる織布または不織布生地のどちらかから選ばれる基材材料を有する。織布生地は、天然繊維(例えば、セルロース、綿、亜麻(flax linen)、毛、絹)または天然繊維と合成繊維(例えば、熱可塑性物質、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、アラミド、ポリアクリル材料)との混合材から作られる。とても多くの弾性のまたは非弾性の熱可塑性ポリマーが、不織布基材材料を作るのに使われる。限定としてではなく例をあげると、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとプロピレンとのコポリマー、ポリ乳酸およびポリグリコール酸ポリマーおよびそれらのコポリマー、ポリブチレン、スチレンブロックコポリマー、メタロセン触媒ポリオレフィン、0.9g/cm3より小さい密度であることが望ましい、ならびに他の種類のポリオレフィンが、様々な種類の弾性のまたは非弾性の繊維、フィラメント、フィルム若しくはシート、またはこれらの組み合わせおよび積み重ねを作るために使われる。
【0041】
本発明の有益な特性は、上述の殺菌力のある組成物で処理された不織布生地から作られた着用できるおよび/若しくは覆うためのガーメントまたは物品で説明される。処理された不織布は様々な製品になり、例えば、様々な防護ガーメント、ガウン、またはエプロン、および産業衣類、ほかにもベッド用布、開窓カバー、ラップ、またはパッドの生産に使われうるシート材料を含む。他に使用されるのは様々な物品としてであり、フェイスマスク、手袋、またはフットカバーのようなものであり、それらは、医療用途、工業用途またはその両方をもつ。加えて、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリは、殺菌ワイパのようなものとの連結に使われてもよい。
【0042】
一般的にいえば、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリの処理表面は、外側または外面を向いているべきであり、ガーメントや物品の裏地のような肌に接触する表面から離れているべきである。この向きの目的は、病原菌の間接伝染や接触移転を処理することである。
【0043】
一般的にいえば、殺菌力のある組成物で処理された不織布生地は、生地の表面に分離されたとき、その液体バリア特性を広く維持するべきである。殺菌力のある組成物が局所的に置かれるように制御する手段によって、殺菌剤がSMS基材の最も外側のまたはもっとも上側のスパンボンド層に存在することを確証でき、例えば、基材材料の下層につながる一種の液体導管が生じるのを防止し、したがって、バリアと殺菌特性との有益な組み合わせになると信じられている。バリア保護性能を測定すれば、基材は20ミリバール(hPa)以上の静水頭圧(100cm2のサンプル、1ミリバール(hPa)/秒の傾斜、不支持)になることが望ましい。
【0044】
加えて、基材の表面に殺菌化学物質を置くことは、殺生剤を病原菌と容易に相互作用しやすくさせ、そのため全体の効能を改善する。
【0045】
本発明のある実施形態において、コートされた不織布生地基材は、アクリルコポリマーおよびイソプロピルアルコールまたは塩酸グアニジンおよびソルビトールのような静電防止剤が殺菌力のある組成物に加えられると、静電特性が与えられる。
【0046】
殺菌力のある表面で覆われたアセンブリの実施態様は、手袋、フェイスマスク、外科用または医療用ガウン、ドレープ、靴カバー、若しくは開窓カバーのような着用できるおよび/若しくは覆うためのガーメント、または他の防護物品を含む。1つまたは複数の殺菌剤を含むフェイスマスクについては、製品全体にくまなく殺菌コーディングするよりもむしろマスクの外側に面する不織布に殺菌コーディングする。この殺菌剤は、流体の存在下でマスクの表面からしみこまず、および/または使用中のマスクによってはじかれた粒子が回復せず、従来のブロースルーテストプロトコルを使って測定すると使用者に潜在的に吸入されることがないことが望ましい。
【0047】
殺菌剤で覆われたガウンに関しては、ガウン表面を覆っている殺菌剤は基材にシートかりと固定されるべきで、のぞましくは、流体の存在下でガウンの表面からしみこまない。このガウンは、静水頭試験によって測定すると、約20ミリバール(hPa)以上の流体バリア特性を持つことができる(100cm2のサンプル、1ミリバール(hPa)/秒の傾斜、不支持)。好ましくは、流体バリアの測定値は約50ミリバール(hPa)以上である(100cm2のサンプル、1ミリバール(hPa)/秒の傾斜、不支持)。より好ましくは、このガウンの生地はまた、ASTM F1670およびASTM F1671の試験標準によって定義されるように、血液およびウイルスが浸透することに対する抵抗性を有する。流体バリアは約100ミリバール(hPa)以上とすることができる(100cm2のサンプル、1ミリバール(hPa)/秒の傾斜、不支持)。
【0048】
好ましくは、殺菌力を有するように処理されたガウンは、不織布生地工業協会(Association of the Nonwovens Fabrics Industries)標準試験方法40.2(95)を用いた静崩壊試験で測定すると、0.5秒より短い時間で5000Vの静電化の50%を放散することができる。加えて、ガウン材料は、炎伝播プロトコル(CPSC 1610およびNEPA 702)によって測定すると可燃性がクラスIであると評価されることが望ましい。静電崩壊および炎伝播の性能に対する要請は病院において重要であり、それは偶発的な静電放電によっておこる火事の可能性を最小化するためである。基材および殺菌力のある組成物の選択のすべてがこの有利な一連の特性につながるわけではないということに気づくことが重要であり、殺菌性という性質を持つことに加えてこれらの基準の両方に合格するコード(codes)が好適実施形態である。
【0049】
<加工方法>
殺菌力のある組成物は、不織布ウエブフィラメントが作られた後、その外表面に局所的に加えられる。望ましくは、基材表面に対して均一にコーティングされるように加えられる。均一なコーティングは、基材表面上の選択された場所に集まっているだけでなく、相対的に均等で、または処理基材表面全体にわたって分布さえしている殺菌剤の層に関連する。望ましくは、加工助剤は、いったん殺菌力のある組成物が基材表面上で乾燥すると、蒸発するか消失するべきである。適切な加工助剤は、ヘキサノールやオクタノールのようなアルコールを含んでよい。「表面処理」、「表面調節」、および「部分処理」という用語は、ほかに指定がなければ、本殺菌力のある製剤を基材に加えることに関係し、相互に交換可能に使われる。
【0050】
殺菌コーティング処理された不織布生地は、たくさんの工程によって製造される。説明を助ける実施例として、抗菌処理された基材を準備する方法は、疎水性ポリマー基材を提供することと、少なくとも基材の一部を、少なくとも1つの抗菌活性剤(例えばPHMB)を含む混合液に曝露されることとを伴い、任意に1つまたは複数の補助活性剤(co-active agent)(例えばAEGIS AM 5700)および/または加工助剤(例えばアルキルポリグルコシド、若しくはたの界面活性剤)を含んでもよい。提案された組み合わせは、抗菌剤、湿潤剤、界面活性剤、および流動制御剤(rheology control agent)を含む混合物に基材を接触させることを含む。処理組成物のこれらの成分は水中混合で組み合わさり、水溶液処理として適用されてもよい。この処理組成物は、静電防止剤、スキンケア剤、抗酸化剤、ビタミン、植物由来抽出物、香水、におい制御剤、低表面張力撥水化学薬品、着色剤のような他の成分をさらに含んでもよい。処理された基材上の最終的な活性試薬の量は、要望のまたは所定の濃度に希釈されてもよい。
【0051】
1実施形態によると、殺菌力のある組成物は、いわゆる「ちょっと浸して絞る(dip and squeeze)」または「パッディング(padding)」技術のような従来の浸潤プロセスによって材料基材に加えられうる。「ちょっと浸して絞る」または「パッディング」プロセスは、基材の両側面および/または基材バルクのいたるところを殺菌力のある組成物でコートすることができる。槽内でちょっと浸されたとき、殺菌力のある溶液はすべての成分を含む一元的な媒体であり、また、その後の多段階のプロセスにおいて、他の要望された成分が基礎殺菌層に後から添加されてもよい。例えば、一元的殺菌溶液の製剤は平準化(leveling)および/または静電防止剤を含んでもよい。ポリプロピレンを含む基材上で、静電防止剤は、機械的摩擦から貯えられる静電かを散らすことを補助できる。静電防止剤は殺菌溶液に添加され得、そしてこの混合物は、1つの適用ステップで材料基材に同時に導入することができる。さもなければ、静電防止剤は、殺菌溶液の後、第2段階でスプレーすることによって加えられうる。
【0052】
ある生産物の形状において、シート基材の片側のみを処理して内側の層または反対側を処理したくない場合であって、その基材材料は殺菌処理されていない別のシート層(例えば、フィルタやバリア媒体)が重なっているものである場合、不織布織物業界の当業者に知られているロータリースクリーン、リバースロール、メイヤーロッド(またはワイヤー巻きつけロッド)、グラビア、スロットダイ、ギャップコーディング、または他の同様の技術のような他のプロセスが好ましい。(参照、例えば、これらおよび他の技術の詳細な説明は、Faustel Inc., Germantown, WI (www.faustel.com)から入手できる。)また、フレキソ印刷やデジタル技術のような印刷技術を使うことも考えられる。さもなければ、処理組成物の配置を制御するコーディング方法を1つ以上組み合わせて使用してもよい。このような組み合わせは、逆グラビアプロセスに続けてメイヤーロッドプロセスを行うことを含むが、これに限定するものではない。さもなければ、殺菌力のある組成物は、基材表面にエアロゾルスプレーを使って加えられる。このスプレー装置は、殺菌溶液および/または静電防止剤を基材シートの片側にのみ、または望むなら両側に別々に付加するために利用することができる。静電防止剤は、付随的ステップで基材に加えることができ、例えば、スプレーシステムやほかのどんな従来の付加プロセスも使用することができる。シート材料においては、処理された不織布基材は少なくとも静水頭が20ミリバール(hPa)以上になりうる(100cm2のサンプル、1ミリバール/秒の傾斜、非支持)。殺菌コーティングはSMS生地に対して少なくとも1層に適用される。さもなければ、殺菌剤を材料に組み込む融解押出しプロセスを用いた後に、水溶液から第2の抗菌剤または補助剤を部分的に付加することができる。さらに、例えばa)もし望むなら材料の湿潤性、b)電気的伝導性または静電防止特性、c)皮膚軟化性、d)抗酸化性等を高めるために、他の材料を融解押出しの間に加えることもできる。
【0053】
様々な他の方法が、本発明にしたがって1つまたは複数の処理組成物に基材を接触させるために採用されうる。例えば、基材は、プリントロールまたは他のコーティングステップによって印刷され、またはスプレー技術が採用されてもよい。好ましくは、1つまたは複数の処理組成物は、メイヤーロッド、逆グラビアまたはフレキソ印刷技術によって基材上の塗布層として適用され、例えば、処理組成物が基材のバルクに浸透することを最小限に抑えつつ、処理組成物が均一で均等な層を基材の上面に形成するような方法である。塗布層コーティングは、一般的に、基材上の抗菌処理剤の配分がより均一になるという結果をもたらし、抗菌剤が基材の表面上でより容易に利用できるようにする。塗布層こーティっ具はまた、基材のバリア特性を維持するという結果を生じる。
【0054】
不織布ウエブまたはラミネートは、本発明の組成物および方法で処理することができ、望ましいバリア特性を維持しながら、広範囲の抗菌性および静電防止性を基材上の要望のまたは所定の場所に与えることができる。さらに、この処理組成物の成分は、別々のステップまたは1つに組み合わされたステップにおいて加えることができる。この方法、および本発明の材料が部分付加された不織布材料の抗菌表面処理は、抗菌性能を改良するために多数の材料に組み込まれるだけでなく、蓄積された静電荷を放電するのに役立つ静電防止剤を組み込んで使用されることもできることもまた理解されるべきである。
【0055】
手袋に関しては、織布若しくは不織布のどちらか、革、または弾性材料(例えば天然ゴム乳液若しくは合成ポリマー)から作られた手袋は、熱せられた溶液でスプレーされてもよいし、消泡剤および上述の殺菌力のある組成物の変形を含む熱せられた槽に浸されてもよい。この溶液は、スプレー噴霧器によって、または、強制空気乾燥機の中で回転しながら噴霧器に入れる前に熱せられたキャニスターの中で、熱せられる。この典型的な方法は、手袋の外側のみが、より少ない溶液でより高い効果をもつように処理されるようにし、さらに要望の殺菌効果、表面から薬剤がしみこむのをやわらげるための殺菌剤のよりよい粘着性を提供されるようにし、そしてまた、殺生剤と使用者の肌とが常時接触することによって着用者の肌が痛む可能性を除去する。もちろん、手袋に殺菌力のある組成物を加える他の従来技術は使用可能である。
【0056】
<殺菌試験方法>
A.サンプルの準備
試験される有機物は、25mLの適切なブイヨン媒体の中で、約24±2時間、37±2℃で、オービタルシェーカー中で育てられる。その後、バクテリアの培養は25mLのブイヨンから約100μLの分量を取り出して場所を換えて、再び約24±2時間、37±2℃で行われる。その後、当該有機物は遠心分離され、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄される。その後、当該有機物はPBS中で懸濁させられ、約1×108CFU/mLの摂取剤を得る。
【0057】
試験物品(test articles)および対照用スワッチ(control swatch)は、バクテリアの摂取に先立ってスワッチが衛生的であることを保障するために、試験の前に片面あたり約5〜10分間紫外線源に曝露される。試験材料は、摂取剤の既知の個体群の試験バクテリアと指定の時間の間接触される。サンプルは、曝露時間が終わると生き残ったバクテリアを数え上げるため平皿に移される。対照材料および最初の個体群からのLog10 reduction(減少)が、次式を使って計算される:
Log10Control* - Log10CFU/swatch Test Article = Log10Reduction
*対照スワッチからのCFU/swatchまたは理論CFU/swatch。
【0058】
指定された時間の間(〜40秒)処理された製品の表面にバクテリアを曝露した後、基材はフラスコに入れられ、どのくらい生き残っているかを確認するために平皿に移すのに先立って、微生物を基材から溶離するために緩衝液が加えられる。この緩衝液は、殺菌剤を非活性化または「中和」し、(a)活性剤が指定の時間経過がした後に有機物を殺すことを防ぎ、(b)生じる所産が、微生物を基材上だけでなく溶液中の殺菌剤にさらすことを防止する。この中和剤は、事前に選別にかけられ、当該微生物に影響しないことが確認される。採用された中和剤は、この分野で一般に使われるリストから選択されてよい。これらは、非イオン性洗浄剤、重硫酸塩、レチシン、リーゼンブイヨン(Leethen broth)、チオ硫酸塩、チオグリコレート、およびpH緩衝を含む。「American Society for Testing and Materials, Standard Practices for Evaluating Inactivators of Antimicrobial Agents Used in Disinfectant, Sanitizer, Antiseptic, or Preserved Products(Amer. Soc. Testing Mat. E 1054-91, 1991)」に記載された方法と同様の方法を使用することができる。
【0059】
B.接触移転手順
以下の一般的考察は、生存する病原菌微生物の伝染レベルまたは1つの汚染物品から少なくとも別の1つの物品へ接触移転する病原菌微生物を測定する方法に関する。一般的にいうと、この方法は、病原菌微生物を含む摂取剤を当該第1表面に加えること、当該第1表面に移転先基材を接触させること、当該移転先基材から移転した摂取剤を抽出すること、抽出した摂取剤を培養させること、および回収率を測るため病原菌微生物レベルの量を測ることを含む。ここで使われる「摂取剤(inoculum)」は、宿主の感染源として活動しうる少なくとも1つの病原菌微生物を含むあらゆる材料に関連する。
【0060】
この方法は、接触移転に関する様々な生存する病原菌微生物を測定することに使用され、例えば、黒色アスペルギルス(American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))No.16404)、カンジタアルビカンス(ATCC(登録商標)No.10231)、A型肝炎HM175/18f(ATCC(登録商標)No.VR-1402)、単純ヘルペスウイルス1型GHSV-UL46D(ATCC(登録商標)No.VR-1545)、アシトネバクターバウマンニイ(ATCC(登録商標)No.15149)、クロストリジウムディフィシレ(ATCC(登録商標)No.43594)、エンテロバクタークロアカエ(ATCC(登録商標)No.29249)、エンテロコッカスフェカーリス(ATCC(登録商標)No.51299)、エンテロコッカスフェシウム(ATCC(登録商標)No.700221)、腸内連鎖球菌(ATCC(登録商標)No.10541)、大腸菌(ATCC(登録商標)No.13706)、大腸菌(ATCC(登録商標)No.31705)、スメグマ菌(ATCC(登録商標)No.10143)、結核菌(ATCC(登録商標)No.27294)、緑膿菌(ATCC(登録商標)No.9027)、緑膿菌(ATCC(登録商標)No.27853)、黄色ブドウ球菌(ATCC(登録商標)No.6538)、黄色ブドウ球菌(ATCC(登録商標)No.33592)、表皮ブドウ球菌(ATCC(登録商標)No.12228)および表皮ブドウ球菌(ATCC(登録商標)No.51625)を含む。
【0061】
要望の病原菌微生物が選ばれると、培養された病原菌微生物のストックを希釈することによって摂取剤が準備される。この培養菌は、殺菌した緩衝液を使って、要望されるどんなレベルにも希釈でき、いくつかの実施例においては、約1×106コロニー形成単位(CFU)/mLから約3×106CFU/mLまでの摂取剤レベルに希釈されうる。しかしながら、本試験においては、摂取剤レベルは5×108CFU/mLであった。
【0062】
測定を行う前に、殺菌した緩衝液を後で使うために用意してもよい。この緩衝液は2ヶ月ごとに取り替えられてもよい。この緩衝液が殺菌されたリン酸緩衝液である実施例もある。
【0063】
要望の摂取剤はその後第1表面上に無菌状態で置かれる。この要望の摂取剤はどんな量でも使用できる。しかしながら、殺菌力のある表面で覆われたアセンブリの接触移転試験に対しては、約0.5mLの量がこの第1表面に加えられる。さらに、この摂取剤はこの第1表面の要望するどんなエリアに対しても加えることができる。この摂取剤が約7インチ(178mm)×7インチ(178mm)のエリアに対して加えられる実施例もある。しかしながら、本試験では、摂取剤は、実質上すべて第1表面を構成する4インチ(101mm)×4インチ(101mm)四方の材料片に加えられる。
【0064】
その後、摂取剤は、比較的短い時間の間はこの第1表面上に残っていてもよい。例えば、その時間は、その物品が測定される、すなわち、移転用基材が第1表面に接触される前、約20秒である。
【0065】
移転用基材は、どんな着用または覆うために用いられる物品であってもよく、外科用若しくは試験用手袋、外科用若しくはカバーガウン、またはフェイスマスクである例もある。この移転用基材、例えば、手袋は、無菌状態で取り扱われるべきである。移転用基材が手袋である場合、手袋は実験者の左右の手につけられる。そして、1つの手袋は接種された第1表面と接触させられ、誤差を最小にするためその接触がシートかりと直接的にされることを確認する。そして、この試験手袋は、他方の手を使ってすぐに取り外され、要望の量の殺菌された緩衝液(上記のように用意されたもの)を含むフラスコに入れられて、移転した病原菌微生物を抽出する。この手袋が約100mLの殺菌された緩衝液を含むフラスコに入れられ、指定時間内で試験される例もある。さもなければ、この手袋は、適切な量のリーゼンブイヨン(Alpha Biosciences, Inc. of Baltimore, Md.から市販されている)を含むフラスコtにいれられ、後で測定するために抗菌処理を中和する。そして、手袋を含むフラスコは、往復運動する撹拌機に置かれ、約190サイクル/分から約200サイクル/分の率で撹拌される。このフラスコは、要望のどんな時間の間揺り動かされてもよく、約2分間揺り動かす例もある。
【0066】
そして、この手袋はフラスコおよび要望どおりに希釈された溶液から取り出される。そして、この溶液の要望された量は、少なくとも1つの寒天培地サンプルプレートに置かれる。この溶液の約0.1mLがそれぞれのサンプルプレートに置かれる例もある。
【0067】
このサンプルプレート上の溶液は、要望された時間の間培養され、病原菌微生物を繁殖させる。この溶液が少なくとも約48時間培養される例もある。この培養は病原菌微生物が育つのに最適などんな温度で行われてもよく、約33℃から約37℃で行われる例もある。この培養が約35℃で行われる例もある。
【0068】
培養が完了した後、存在する病原菌微生物が数えられて、その結果がCFU/mLを単位にして報告される。そして、回収率は抽出された病原菌微生物(CFU/mL)を接種剤中に存在する数(CFU/mL)で割って、その値に100をかけることによって計算される。
【0069】
本発明の様々な態様が次の実施例を参照することによってより理解されるかもしれない。
【実施例】
【0070】
この実施例は、殺菌力を有するように処理された製品を組み合わせて(手袋、マスクおよびガウン)使うほうが1つの製品を単独で使うよりも、模擬使用において目的の汚染を伴う有機物の移転を減らす効果があるかどうかを評価するために計画された。これを実行するため、従来のポリオレフィン不織布フェイスマスク生地の1片に、5.0%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)溶液中に懸濁する黄色ブドウ球菌ATCC27660を接種した。被験者は、従来の検査手袋で20秒間接種された生地に触れ、続いて20秒間ポリオレフィン不織布ガウン生地の1片に触れた。接触後、試験物品は中和剤の中に入れられ、それぞれの生地から抽出された生存するバクテリアの量が測定された。
【0071】
【表2a】

【0072】
1.ランダム化
それぞれの調査は、ランダム化スケジュールにしたがって、試験生地を右手で触るか左手で触るかを換える。
【0073】
2.手順
1日目から5日目
2.1. 被験者は、ガウン、マスク、メガネおよび1組のぴったり合う処理されていない試験用手袋を着用する。被験者は未処理の試験用手袋の上に、スポンサーによって提供されたシリーズ順序に対応した第2の手袋をつける。
【0074】
2.2. 調査補助者は、4''×4''(101mm×101mm)四方の試験生地片に、約5×108CFU/mLの黄色ブドウ球菌ATCC27660を含むバクテリア培養液0.5mLを接種させる。この接種剤は5.0%(重量/体積)ウシ血清アルブミンと混合される。この生地は、転がらないように置き棚に置かれてアルコール洗浄(殺菌)されたラケットボール上に巻きつけられる。新鮮な接種剤懸濁液は毎日用意される。
【0075】
2.3. 最初の接種から20秒経過した後、被験者は試験生地およびラケットボールを20秒間試験手袋をはめた手でつかむ。このラケットボールは、手袋と接触するために管理された表面積を提供するものである。
【0076】
2.4. 20秒経過後、被験者は試験生地およびラケットボールを置き棚に戻す。接種された試験生地(または代わりとなる器具)が、事前にラベルが貼られリーゼンブイヨンを75mL含む標本カップに、すぐに入れられる。
【0077】
2.5. 調査の実施者は、殺菌された試験生地片を置き棚のラケットボール上にかける。接種された生地を放した後、被験者は、すぐに同じ手袋をはめた手で第2の試験物品をつかむ。被験者は、20秒間ラケットボールと生地とを持ち続ける。
【0078】
2.6. 20秒経過後、被験者はそのボールと生地(または器具)を置き棚に戻す。この手袋はすぐにはずされ、事前にラベルを貼られリーゼンブイヨンを75mL含む標本カップに入れられる。
【0079】
2.7. この第2の試験物品(または器具)は20秒間静置され、そして、事前にラベルを貼られリーゼンブイヨンを75mL含む標本カップに入れられる。
【0080】
2.8. ステップ2.5.から2.7.までは、第3試験生地または器具について繰り返される。
【0081】
2.9. シリーズ順序に従ってステップ2.2.から2.8.までが繰り返される。
【0082】
次の表は、未処理の対照試料との比較において、本発明の有益な効果の説明となる実施例を示す。
【0083】
【表3A】

【0084】
【表3B】

【0085】
【表3C】

【0086】
【表3D】

【0087】
【表3E】

【0088】
【表4A】

【0089】
【表4B】

【0090】
【表4C】

【0091】
【表4D】

【0092】
【表4E】

【0093】
考察
表3Aから3Eのデータは10を底とする対数(すなわち、Log10)で表されている。表3Aから3Eは、処理されていたり未処理であったりするガーメントの様々な組み合わせの間で一連の接触移転を行った後のそれぞれの種類のガーメントから回収されたコロニー形成単位(CFU)を表示する。これらの結果はまた図1に図示されている。図1に示されているように、典型的な3つのガーメントアセンブリのうち1つのガーメントのみが殺菌力を有するように処理されている場合、生存する病原菌の減少は比較的小さい。しかしながら、典型的なアセンブリに対する一連の試験の中で扱われたすべてのガーメントが殺菌力を有するように処理された場合、生存する病原菌の減少は顕著であり、未処理の対照試料および1つだけ処理されたガーメントの実施例と比べると特に顕著である。さらに、典型的なアセンブリに対する一連の試験の中で扱われたすべてのガーメントが殺菌力を有するように処理された場合、病原菌の量(log10(回収されたCFU))は、未処理の対照試料および1つのガーメントだけ処理された実施例と比較して、試験における一連のガーメントにわたって減少している。組み合わさった接種剤において約40秒の接触時間でこの減少が起こるということに気づくことが重要である。
【0094】
表4Aから4Eのデータは、科学的表記法で表されている。表4Aから4Eは、処理されていたり未処理であったりするガーメントの様々な組み合わせの間で一連の接触移転を行った後のそれぞれの種類のガーメントから回収されたコロニー形成単位(CFU)を表示する。表4Aから4Eは、また、試験されたガーメントの指定のシリーズにおけるすべてのガーメントに対すて回収されたコロニー形成単位(CFU)の合計を表示する。これらの結果はまた、図2に図示されている。
【0095】
典型的な3つのガーメントアセンブリのうち1つのガーメントのみが殺菌力を有するように処理されている場合、生存する病原菌の減少は比較的小さい。典型的なアセンブリに対する一連の試験で扱われた最後のガーメントのみ殺菌力を有するように処理されている(すなわち、表4E−ガウンのみ処理の)場合、ガーメント試験の特定のシリーズにおけるすべてのガーメントに対する回収されたコロニー形成単位(CFU)の合計として表された生存する病原菌の減少は、未処理の対照試料と比べてわずかである。組み合わさった接種剤および約40秒の接触時間でこの減少になるということに気づくことが重要である。
【0096】
発明者は特定の作用理論に固執するべきではないが、多数の殺菌力を有するように処理されたガーメント(すなわち、アセンブリの少なくとも2つの処理されたガーメント)が、ガーメント上の病原菌の間接移転を可能にする生存する病原菌の数を減らすことが重要であると考えられる。1つのガーメントを殺菌力のある組成物で処理することでは、病原菌による損傷/接種とたくさんの病原菌の中の効果的な減少との間の時間差を扱い損ねる。複数の殺菌力のあるガーメントからなる1つのアセンブリを提供することによって、これらのガーメントのグループは、病原菌による損傷/接種と多数の病原菌の中における効果的な減少との間の時間差を処理する殺菌力のある表面を有する服装を提供する。たとえ第1ガーメント上の生存する病原菌の減少が相対的に少なくとも、他の殺菌力を有するように処理されたガーメントとの一連の接触において移転できる生存病原菌のレベルは急激に低くなる。このような病原菌のレベルの減少は、他へ間接伝染する病原菌を減らすことにとって、そしてこのような病原菌による伝染病の抑制を改善することにとって重要である。
【0097】
本発明は、実施例のつもりで一般的にかつ詳細に記述されてきた。使われた言葉は、限定というより説明の言葉である。当業者は、本発明が特に開示された実施形態に必ずしも限定されず、特許請求の範囲によって定義された本発明およびその均等物の範囲から離れることなく修正形態や変更形態が作られることができ、本発明の範囲内で使われる限りにおいてこの発明の範囲には現在知られているまたは発展される他の均等な構成要素を含むことを理解する。したがって、本発明の範囲から離れた別段の変更がない限り、その変更はここに含まれると解釈されるべきで、付属の特許請求の範囲はここの好適形態の記載に限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】典型的な殺菌力のある表面で覆われた1つのアセンブリの、1つまたは複数のガーメントの殺菌処理の間の典型的な関係を示す図である。
【図2】典型的な殺菌力のある表面で覆われた1つのアセンブリの、1つまたは複数のガーメントの殺菌処理の間の典型的な関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌力のある表面で覆われたアセンブリであって、
着用または覆うために用いられ、汚染された環境での物理的汚染事象によって病原菌に感染し得る少なくとも1つの処理表面を有する少なくとも2つの異なるガーメントを備え、
それぞれの前記処理表面は、物理的汚染事象の後時間の経過によって、前記処理表面の病原菌の数を減少させることができるように適合され、
第1ガーメントの第1処理表面上の第1部位で物理的汚染事象が起こった後少なくとも所定の時間が経過した段階に於いて、当該第1処理表面上の当該第1部位と第2ガーメントの第2処理表面上の第2部位との間の第1の物理的接触があったとき、未処理の対照試料と比べて当該第2処理表面上に生存する病原菌が少なくなり、
前記第1の物理的接触後少なくとも所定の時間が経過した段階に於いて、前記第2処理表面上の前記第2部位と第3ガーメントの第3処理表面上の第3部位との間の第2の物理的接触があったとき、未処理の対照試料と比べて当該第3処理表面上に生存する病原菌が少なくなるようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
前記着用または覆うために用いられるガーメントは、手袋、ガウン、フェイスマスク、ヘッドカバー、靴カバー、外科用ドレープ、外科用開窓若しくはカバー、ドレープ、シート、リネン、またはパッドから選択されることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記アセンブリは、少なくとも3つの異なった着用または覆うために用いられるガーメントを備えることを特徴とする請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ガーメントが医療用ガーメントであることと、前記汚染された環境が臨床環境であることとを特徴とする請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記第3表面上に生存する病原菌の前記減少は、周囲条件で、未処理の対照試料と比べて、少なくとも1log10CFUの生存する病原菌の減少であることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記第3表面上に生存する病原菌の前記減少は、周囲条件で、未処理の対照試料と比べて、少なくとも2log10CFUの生存する病原菌の減少であることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記1log10CFUの生存する病原菌の減少は、前記第2処理表面と前記第3処理表面との間の接触から約60秒以内におこることを特徴とする請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記2log10CFUの生存する病原菌の減少は、前記第2処理表面と前記第3処理表面との間の接触から約10秒以内におこることを特徴とする請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記処理表面が、セカンドビグアニド、塩化ヘキシジン、アレキシジン、およびこれらの適切な塩、第四級アンモニウム化合物、第四級シロキサン、ポリ第四級アミン;金属含有種およびこれらの酸化物、粒子形状か支持マトリックスまたはポリマーに組み込まれているかを問わない;ハロゲン、ハロゲン解除剤、またはハロゲン含有ポリマー、臭素化合物、二酸化塩素、チアゾール、チオシネート、イソチアゾリン、シアノブタン、ジチオカルバメート、チオン、トリクロサン、アルキルスルフォスクシネート、アルキル−アミノ−アルキルグリシン、ジアルキル−ジメチル−ホスホニウム塩、セトリミド、過酸化水素、1−アルキル−1,5−ジアゾペンタン、塩化セチルピリジウム、安定化過酸化物、硫化物、ビスフェノール、ポリフェノール、キトサン、アナタース型二酸化チタン、ヒドロトロープ、カオトロピック剤、並びにこれらの相乗作用のある組み合わせから選択された殺菌剤で処理されることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記有機酸は、酢酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、グルタル酸、マレイン酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、プロピロン酸、およびサルチル酸のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記物理的汚染後の前記所定の時間は少なくとも40秒であることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記物理的汚染後の前記所定の時間は約40秒から60秒であることを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記第1の物理的接触後の前記所定時間が少なくとも40秒であることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
殺菌力のある表面で覆われたアセンブリを提供する方法であって、
着用または覆うために用いられ、汚染された環境での物理的汚染事象によって病原菌に感染し得る少なくとも1つの処理表面を有し、それぞれの処理表面は物理的汚染事象の後時間の経過によって当該処理表面の病原菌の数を減らすことができるように適合されている少なくとも2つの異なるガーメントを提供するステップと、
汚染され得る環境中で少なくとも1人の人に少なくとも1つの着用用のガーメントを着用させるステップと、
汚染され得る環境中で少なくとも1つの表面に少なくとも1つの覆うためのガーメントを覆わせるステップとを含む方法であり、そのため、
第1ガーメントの第1処理表面上の第1部位で物理的汚染事象が起こった後少なくとも所定の時間が経過すると、当該第1処理表面上の当該第1部位と第2ガーメントの第2処理表面上の第2部位との間の第1の物理的接触があったとき、未処理の対照試料と比べて当該第2処理表面上に生存する病原菌が少なくなり、
前記第1の物理的接触後少なくとも所定の時間が経過すると、前記第2処理表面上の前記第2部位と第3ガーメントの第3処理表面上の第3部位との間の第2の物理的接触は、未処理の対照試料と比べて当該第3処理表面上に生存する病原菌が少なくなるようにしたことを特徴とするアセンブリを提供する方法。
【請求項15】
前記着用用のガーメントは、手袋、ガウン、フェイスマスク、ヘッドカバー、および靴カバーから選ばれることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記覆うためのガーメントは、外科用ドレープ、外科用カバー、シート、リネン、およびパッドから選らばれることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
殺菌力のある表面で覆われたアセンブリを提供する方法であって、
着用に用いられ、汚染された環境での物理的汚染事象によって病原菌に感染し得る少なくとも1つの処理表面を有し、それぞれの処理表面は物理的汚染事象の後時間の経過によって当該処理表面の病原菌の数を減らすことができるように適合されている少なくとも2つの異なるガーメントを提供するステップと、
汚染され得る環境中で少なくとも1人の人に2つ以上の着用用のガーメントを着用させるステップとを含む方法であり、そのために、
第1ガーメントの第1処理表面上の第1部位で物理的汚染事象が起こった後少なくとも所定の時間が経過すると、当該第1処理表面上の当該第1部位と第2ガーメントの第2処理表面上の第2部位との間の第1の物理的接触は、未処理の対照試料と比べて当該第2処理表面上に生存する病原菌が少なくなり、
前記第1の物理的接触後少なくとも所定の時間が経過すると、前記第2処理表面上の前記第2部位と第3ガーメントの第3処理表面上の第3部位との間の第2の物理的接触は、未処理の対照試料と比べて当該第3処理表面上に生存する病原菌が少なくなるようにしたことを特徴とするアセンブリを提供する方法。
【請求項18】
前記ガーメントは、手袋、ガウン、フェイスマスク、ヘッドカバー、および靴カバーから選ばれることを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−521611(P2009−521611A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547227(P2008−547227)
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/043006
【国際公開番号】WO2007/078412
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】