説明

殺菌活性化合物の組み合わせ

【課題】植物病原菌に対して、優れた防除効果を有する新規な殺菌活性化合物の組み合わせを提供する。
【解決手段】フルオキサストロビンとメフェノキサム(メタラキシルーM)とを有効成分として含有することを特徴とする農園芸用殺菌剤組成物。フルオキサストロビンとメフェノキサムとの混合比は5:1から1:100で相乗効果を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一に公知のフルオキサストロビン及び第二に別の公知の殺菌活性化合物を含有してなる活性化合物の組み合わせに関する。該組み合わせは、望まれていない植物病原菌を防除するのに非常によく適している。
【背景技術】
【0002】
式(I)
【0003】
【化1】

(フルオキサストロビン)
が殺菌性を有することは、既知である(WO97/27189)。
【0004】
また、多数のトリアゾール誘導体、アニリン誘導体、ジカルボキシイミド類及びその他の複素環化合物が真菌類の防除に使用できることは既知である〔EP−A 0 040 345、DE−A 22 01 063、DE−A 23 24 010、Pesticide Manual、9th Edition(1991)、第249及び827頁、EP−A 0 382 374及びEP−A 0 515 901参照〕。しかし、低施用量では、これらの化合物の活性は必ずしも満足できるとは限らない。
【0005】
さらにまた、1−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−スルホニル)−2−クロロ−6,6−ジフルオロ−[1,3]−ジオキソロ−[4,5f]−ベンゾイミダゾールが殺菌性を有することが既知である(WO97/06171)。
【0006】
最後に、置換ハロピリミジン類が殺菌性を有することも公知である(DE−A1−196 46 407、EP−B−712 396参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第97/27189号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0040345号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2201063号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第2324010号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0382374号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0515901号明細書
【特許文献7】国際公開第97/06171号
【特許文献8】独国特許出願公開第19646407号明細書
【特許文献9】欧州特許第712396号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Pesticide Manual、9th Edition(1991)、第249及び827頁
【発明の概要】
【0009】
本発明者らは、今般、フルオキサストロビン(群1)と、下記の群(2)から(15)から選択される少なくとも1種の活性化合物とを含有してなる殺菌活性化合物の新規な組み合わせが極めて良好な殺菌性を有することを見出した:
群(2)のトリアゾール系殺菌剤:
(2−1)次式のアザコナゾール(DE−A 25 51 560から公知である)
【0010】
【化2】

(2−2)次式のエタコナゾール(DE−A 25 51 560から公知である)
【0011】
【化3】

(2−3)次式のジフェノコナゾール(EP−A 0 112 284から公知である)
【0012】
【化4】


(2−4)次式のブロムコナゾール(EP−A 0 258 161から公知である)
【0013】
【化5】

(2−5)次式のシプロコナゾール(DE−A 34 06 993から公知である)
【0014】
【化6】

(2−6)次式のヘキサコナゾール(DE−A 30 42 303から公知である)
【0015】
【化7】

(2−7)次式のペンコナゾール(DE−A 27 35 872から公知である)
【0016】
【化8】

(2−8)次式のマイクロブタニル(EP−A 0 145 294から公知である)
【0017】
【化9】

(2−9)次式のテトラコナゾール(EP−A 0 234 242から公知である)
【0018】
【化10】

(2−10)次式のフルトリアホール(EP−A 0 015 756から公知である)
【0019】
【化11】

(2−11)次式のフルシラゾール(EP−A 0 068 813から公知である)
【0020】
【化12】

(2−12)次式のシメコナゾール(EP−A 0 537 957から公知である)
【0021】
【化13】

(2−13)次式のフェンブコナゾール(DE−A 37 21 786から公知である)
【0022】
【化14】

(2−14)次式のイプコナゾール(EP−A 0 329 397から公知である)
【0023】
【化15】

(2−15)次式のトリチコナゾール(EP−A 0 378 953から公知である)
【0024】
【化16】

(2−16)次式のキンコナゾール(EP−A 0 183 458から公知である)
【0025】
【化17】

群(3)のカルボキサミド類:
(3−1)次式のボスカリド(DE−A 195 31 813から公知である)
【0026】
【化18】

(3−2)次式のフラメトピル(EP−A 0315 502から公知である)
【0027】
【化19】

(3−3)次式のピコベンズアミド(WO99/42447から公知である)
【0028】
【化20】

(3−4)次式のゾキサミド(EP−A 0 604 019から公知である)
【0029】
【化21】

(3−5)次式のカルボキシン(US3,249,499から公知である)
【0030】
【化22】

(3−6)次式のチアジニル(US6,616,054から公知である)
【0031】
【化23】

(3−7)次式のペンチオピラド(EP−A 0 737 682から公知である)
【0032】
【化24】

(3−8)次式のシルチオファム(WO96/18631から公知である)
【0033】
【化25】

群(4)のジチオカーバメート類:
(4−1)次式のマネブ(US2,504,404から公知である)
【0034】
【化26】

(4−2)亜鉛アンモニアートエチレンビス(ジチオカルバメート)−ポリ(エチレンチウラムジスルフィド)のIUPAC名を有するメチラム(DE−A 10 76 434から公知である)
(4−3)次式のチラム(US 1,972,961から公知である)
【0035】
【化27】

(4−4)次式のジネブ(DE−A 1081 446から公知である)
【0036】
【化28】

(4−5)次式のジラム(US 2,588,428から公知である)
【0037】
【化29】

群(5)のアシルアラミン:
(5−1)次式のベナラキシル(DE−A 29 03 612から公知である)
【0038】
【化30】

(5−2)次式のフララキシル(DE−A 25 13 732から公知である)
【0039】
【化31】

(5−3)次式のメタラキシル−M(WO96/01559から公知である)
【0040】
【化32】

(5−4)次式のベナラキシル−M
【0041】
【化33】

群(6)のベンゾイミダゾール類:
(6−1)次式のベノミル(US3,631,176から公知である)
【0042】
【化34】

(6−2)次式のカルベンダジム(US3,010,968から公知である)
【0043】
【化35】

(6−3)次式のクロルフェナゾール
【0044】
【化36】

(6−4)次式のフベリダゾール(DE−A 12 09 799から公知である)
【0045】
【化37】

(6−5)次式のチアベンダゾール(US3,206,468から公知である)
【0046】
【化38】

群(7)のカーバメート類:
(7−1)次式のプロパモカルブ(US3,513,241から公知である)
【0047】
【化39】

(7−2)次式のプロパモカルブ塩酸塩(US3,513,241から公知である)
【0048】
【化40】

(7−3)次式のプロパモカルブ・ホセチル
【0049】
【化41】

群(8)のジカルボキシイミド類:
(8−1)次式のカプタホール(US3,178,447から公知である)
【0050】
【化42】

(8−2)次式のプロシミドン(DE−A 20 12 656から公知である)
【0051】
【化43】

(8−3)次式のビンクロゾリン(DE−A 22 07 576から公知である)
【0052】
【化44】

群(9)のグアニジン類:
(9−1)次式のドジン(GB 11 03 989から公知である)
【0053】
【化45】

(9−2)グアザチン(GB 11 14 155から公知である)
(9−3)次式のイミノクタジン三酢酸塩(EP−A 0 155 509から公知である)
【0054】
【化46】

である。
【0055】
群(10)のイミダゾール類:
(10−1)次式のシアゾファミド(EP−A 0 298 196から公知である)
【0056】
【化47】

(10−2)次式のプロクロラズ(DE−A 24 29 523から公知である)
【0057】
【化48】

(10−3)次式のトリアゾキシド(DE−A 28 02 488から公知である)
【0058】
【化49】

(10−4)次式のペフラゾエート(EP−A 0 248 086から公知である)
【0059】
【化50】

群(11)のモルホリン類:
(11−1)次式のアルジモルフ(DD 140 041から公知である)
【0060】
【化51】

(11−2)次式のトリデモルフ(GB 988 630から公知である)
【0061】
【化52】

(11−3)次式のドデモルフ(DE−A 25 432 79から公知である)
【0062】
【化53】

(11−4)次式のフェンプロピモルフ(DE−A 26 56 747から公知である)
【0063】
【化54】

群(12)のピロール類:
(12−1)次式のピロールニトリン(JP65−25876から公知である)
【0064】
【化55】

その他の殺菌剤(13)
(13−1)次式のエジフェンホス(DE−A 14 93 736から公知である)
【0065】
【化56】

(13−2)塩基性塩化銅
(13−3)次式のオキサジキシル(DE−A 30 30 026から公知である)
【0066】
【化57】

(13−4)次式のジチアノン(JP−A 44−29464から公知である)
【0067】
【化58】

(13−5)次式のメトラフェノン(EP−A 0 897 904から公知である)
【0068】
【化59】

(13−6)次式のフェナミドン(EP−A 0629 616から公知である)
【0069】
【化60】

(13−7)次式の2,3−ジブチル−6−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)オン(WO99/14202から公知である)
【0070】
【化61】

(13−8)次式のプロベナゾール(US3,629,428から公知である)
【0071】
【化62】

(13−9)次式のイソプロチオラン(US3,856,814から公知である)
【0072】
【化63】

(13−10)次式のカスガマイシン(GB 1 094 567から公知である)
【0073】
【化64】

(13−11)次式のフサライド(JP−A 57−55844から公知である)
【0074】
【化65】

(13−12)次式のフェリムゾン(EP−A 0 019 450から公知である)
【0075】
【化66】

(13−13)次式のトリシクラゾール(DE−A 22 50 077から公知である)
【0076】
【化67】

(13−14)次式のN−({4−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]フェニル}スルホニル)−2−メトキシベンズアミド
【0077】
【化68】

群(14)の(チオ)尿素誘導体:
(14−1)次式のチオファネート・メチル(DE−A 18 06 123から公知である)
【0078】
【化69】

(14−2)次式のチオファネート・エチル(DE−A 18 06 123から公知である)
【0079】
【化70】

及び
群(15)のアミド類:
(15−1)フェノキサニル(EP−A 0 262 393から公知である)
【0080】
【化71】

(15−2)次式のジシクロマット(dicylcomat)(JP−A 7−206608から公知である)
【0081】
【化72】

【0082】
前記の式(I)の活性化合物の他に、本発明の活性化合物の組み合わせは、群(2)から(15)の化合物から選択される少なくとも一つの活性化合物を含有する。また、本発明の活性化合物の組み合わせは、別の殺菌活性混合成分を含有していてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0083】
本発明の活性化合物の組み合わせ中の活性化合物がある一定の重量比で存在する場合には、相乗効果が特に顕著である。しかし、活性化合物の組み合わせ中の活性化合物の重量比は、比較的広い範囲の中で変化させ得る。一般に、本発明の組み合わせは、式(I)の活性化合物と、群(2)から(15)の一つの混合相手とを、以下の表1に典型的な方法で示す混合比で含有する。
【0084】
混合比は重量比に基づく。この比は、式(I)の活性化合物:混合相手を意味すると解釈されるべきである。
【0085】
【表1】

【0086】
いずれの場合にも、混合比は、相乗混合物が得られるように選択されることが都合がよい。式(I)の活性化合物と、群(2)から(15)の一つの化合物との混合比は、群の個々の化合物同士の間で変化させてもよい。
【0087】
また、本発明の組み合わせは、極めて良好な殺菌性を有し、植物病原菌、例えばネコブカビ類(Plasmodiophoromycetes)、卵菌類(Oomycetes)、ツボカビ類(Chytridiomycetes)、接合菌類(Zygomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)及び不完全菌類(Deuteromycetes)などを防除するのに使用できる。
【0088】
上記に挙げた一般名に入る真菌性及び細菌性の病害を引き起こす幾つかの病原体を例として挙げ得るが、これらに限定されるものではない:
キサントモナス(Xanthomonas)種、例えばイネ白葉枯病菌(Xanthomonas campestris pv. oryzae);
シュードモナス(Pseudomonas)種、例えばウリ科植物の斑点細菌病菌(Pseudomonas syringae pv. lachrymans);
エルウィニア(Erwinia)種、例えば火傷病菌(Erwinia amylovora);
うどんこ病病原体、例えば、
ブルメリア(Blumeria)種、例えば、うどんこ病菌(Blumeria graminis);
ポドスフェラ(Podosphaera)種、例えばリンゴうどんこ病菌(Podosphaera leucotricha);
スファエロセカ(Sphaerotheca)種、例えばうどんこ病菌(Sphaerotheca fuliginea);
ウンキヌラ(Uncinula)種、例えばブドウうどんこ病菌(Uncinula necator)
によって引き起こされる病気;
さび病病原体、例えば、
ジムノスポランギウム(Gymnosporangium)種、例えば、セイヨウナシ赤星病菌(Gymnosporangium sabinae);
ヘミレイア(Hemileia)種、例えば、さび病菌(Hemileia vastatrix);
ファコプソラ(Phakopsora)種、例えば、ダイズ、葛のさび病菌(Phakopsora pachyrhizi)及びダイズさび病菌(Phakopsorapha meibomiae);
プクキニア(Puccinia)種、例えば、赤さび病(Puccinia recondita);
ウロミケス(Uromyces)種、例えば、マメ類さび病菌(Uromyces appendiculatus)
によって引き起こされる病気;
卵菌類(Oomycetes)の群の病原体、例えば、
ブレミア(Bremia)種、例えばレタスべと病菌(Bremia lactucae);
ツユカビ(Peronospora)種、例えばエンドウべと病菌(Peronospora pisi)又はナタネべと病菌(P. brassicae);
疫病菌(Phytophothora)種、例えばジャガイモ疫病菌(Phytophthora infestans);
タンジクツユカビ(Plasmopara)種、例えばブドウべと病菌(Plasmopara viticola);
ニセツユカビ(Pseudoperonospora)種、例えばホップベト病菌(Pseudoperonospora humuli)又はウリ科植物べと病菌(Pseudoperonospora cubensis);
ピシウム(Pythium)種、例えば苗枯病菌(Pythium ultimum)
によって引き起こされる病気;
例えば、
アルタナリア(Alternaria)種、例えばジャガイモ夏疫病菌(Alternaria solani);
セルコスポラ(Cercospora)種、例えばテンサイ褐斑病菌(Cercospora beticoal);
クラジオスポルム(Cladiosporum)種、例えば黒星病菌(Cladiosporium cucumerinum);
コクリオボルス(Cochliobolus)種、例えばムギ類斑点病菌(Cochliobolus sativus)〔分生胞子体:ドレクスレラ(Drechslera)属菌、syn:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属菌〕;
コレトトリカム(Colletotrichum)種、例えば、インゲン炭素病菌(Colletotrichum lindemuthanium);
シクロコニウム(Cycloconium)種、例えば、オリーブ斑点病菌(Cycloconium oleaginum);
ディアポルテ(Diaporthe)種、例えば、カンキツ黒点病菌(Diaporthe citri);
エルシノエ(Elsinoe)種、例えば、カンキツ瘡痂病菌(Elsinoe fawcettii);
グロエオスポリウム(Gloeosporium)種、例えば、モモ炭疽病菌(Gloeosporium laeticolor);
グロメレア(Glomerella)種、例えば、炭疽病菌(Glomerella cingulata);
グイグナルディア(Guignardia)種、例えば、ブドウ黒腐病菌(Guignardia bidwelli);
レプトスファエリア(Leptosphaeria)種、例えば、キャベツ根朽病菌(Leptosphaeria maculans);
マグナポルテ(Magnaporthe)種、例えば、いもち病菌(Magnaporthe grisea);
マイコスファエレラ(Mycosphaerella)種、例えば、マイコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerelle graminicola);
ファエオスフェエリア(Phaeosphaeria)種、例えば、コムギふ枯病菌(Phaeosphaeria nodorum);
ピレノホーラ(Pyrenophora)種、例えば、オオムギ網斑病(Pyrenophora teres);
ラムラリア(Ramularia)種、例えば、ラムラリア・コロ−シンギ(Ramularia collo−cygni);
リンコスポリウム(Rhynchosporium)種、例えば、ライグラス雲形病菌(Rhynchosporium secalis);
セプトリア(Septoria)種、例えば、セロリー葉枯病(Septoria apii);
チフラ(Typhula)種、例えば、雪腐褐色小粒菌核病菌(Typhula incarnata);
ベンツリア(Venturia)種、例えば、リンゴ黒星病(Venturia inaequalis)
によって引き起こされる葉枯病及び葉萎凋病、
例えば、
担子菌(Corticium)種、例えば、オオムギ株腐病菌(Corticium graminearum);
フザリウム(Fusarium)種、例えばサトイモ乾腐病菌(Fusarium oxysporum);
ゲウマノミセス(Gaeumannomyces)種、例えば、コムギ立枯病(Gaeumannomyces graminis);
リゾクトニア(Rhizoctonia)種、例えば、葉腐病(Rhizoctonia solani);
タペシア(Tapesia)種、例えば、タペシア・アクホルミス(Tapesia acuformis);
ティエラビオプシス(Thielaviopsis)種、例えば、根腐病菌(Thielaviopsis basicola)
によって引き起こされる根及び茎の病気;
例えば、
アルタナリア(Alternaria)種、例えば、アルタナリア(Alternaria)種;
アスペルギルス(Aspergillus)種、例えば、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus);
クラドスポリウム(Cladosporium)種、例えば、クラドスポリウム(Cladsporium)種;
クラビセプス(Claviceps)種、例えば、麦角病菌(Claviceps purpurea);
フザリウム(Fusarium)種、例えば、オオムギ及びコムギの赤かび病菌(Fusarium culmorum);
ギベレラ(Gibberella)種、例えば、赤かび病菌(Gibberella zeae);
モノグラフェラ(Monographella)種、例えば、紅色雪腐病菌(Monographella nivalis);
によって引き起こされる穂及び円錐花序(例えば、トウモロコシ作物)の病気、
黒穂菌、例えば、
スファケロテカ(Sphacelotheca)種、例えば、トウモロコシ糸黒穂病菌(Sphacelotheca reiliana);
チレチア(Tilletia)種、例えば、コムギなまぐさ黒穂病菌(Tilletia caries);
ウロシスティス(Urocystis)種、例えば、ライムギから黒穂病菌(Urocystis occulta);
ウスチラゴ(Ustilago)種、例えば、オオムギ裸黒穂病(Ustilago nuda);
によって引き起こされる病気、
例えば、
アスペルギルス(Aspergillus)種、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus);
ボトリチス(Botrytis)種、例えば灰色かび病菌(Botrytis cinerea);
ペニシリウム(Penicillium)種、例えば、リンゴ青カビ病(Penicillium expansum);
スクレロチニア(Sclerotinia)種、例えば、菌核病菌(Sclerotinia sclerotionun);
バーティシリウム(Verticilium)種、例えば、バーティシリウム萎凋病菌(Verticilium alboatrum)
によって引き起こされる果実腐敗病;
例えば、フザリウム(Fusarium)種、例えば、赤かび病菌(Fusarium culmorum);
疫病菌(Phytophthora)種、例えば、疫病菌(Phytophthora cactorum);
腐敗カビ(Pythium)種、例えば、苗腐病菌(Pythium ultimum);
リゾクトニア(Rhizoctonia)種、例えばリゾクトニア菌(Rhizoctonia solani);
スクレロチウム(Sclerotium)種、例えば、白絹病菌(Sclerotium rolfsii)
によって引き起こされる種子及び土壌起因性腐敗及び萎凋病、並びに苗の病気、
例えば、ネクトリア(Nectria)種、例えば、がんしゅ病菌(Nectria galligena)によって引き起こされるがんしゅ病、こぶ及びてんぐ巣病、
例えば、モニリニア(Monilinia)種、例えば、灰星病(Monilinia laxa)によって引き起こされる萎凋病、
例えば、タフリナ(Taphrina)種、例えば、縮葉病菌(Taphrina deformans)によって引き起こされる葉、花及び果実の奇形、
例えば、エスカ(Esca)種、例えば、ファエモニエラ・クラミドスポラ(Phaemoniella clamydospora)によって引き起こされる木本科植物の変性病;
例えば、ボトリチス(Botrytis)種、例えば、灰色カビ病(Botrytis cinerea)によって引き起こされる花及び種子の病気;
例えば、リゾクトニア(Rhizoctonia)種、例えば、ジャガイモ葉腐病、イネ紋枯病、ダイズリゾクトニア根腐病(Rhizoctonia solani)によって引き起こされる植物塊茎の病気。
【0089】
本発明の活性化合物の組み合わせが植物病害の防除に必要な濃度で植物によって十分に許容されるということは、植物全体(植物の地上部分及び根)、繁殖用ストック及び種子、並びに土壌の処理を可能にする。本発明の活性化合物の組み合わせは、茎葉施用に又は種子粉衣剤として使用することができる。
【0090】
使用することができる組み合わせが植物病害の防除に必要な濃度で植物によって十分に許容されるということは、種子の処理を可能にする。従って、本発明の活性化合物の組み合わせは、種子粉衣剤として使用することができる。
【0091】
植物病原菌によって引き起こされる作物植物に対する被害の大部分は、早ければ種子が貯蔵中に病気に冒される場合に及び種子を土壌に播いた後に、並びに植物の発芽中及び発芽直後に生じる。この段階は、生育中の植物の根及び芽は特に傷つきやすく且つ小規模な被害が植物全体の枯死を招く場合さえあり得るということから特に重要である。従って、種子及び発芽中の植物を適切な組成物を使用することによって保護することは、特に極めて重要である。
【0092】
発芽後の植物に被害を与える植物病原菌の防除は、主として土壌及び植物の地上部分を作物保護剤で処理することによって行われる。環境並びにヒト及び動物の健康に対する作物保護剤の起こり得る影響に関する懸念により、施用する活性化合物の量を減らす努力が存在する。
【0093】
植物の種子の処理による植物病原菌の防除は、長い間知られており、継続して改良の主題である。しかし、種子の処理は、満足のゆく方法で必ずしも解決できない一連の問題を必然的に伴う場合が多い。従って、種子及び発芽植物を保護する方法であって、播種後又は植物の発芽後の作物保護剤の追加施用を省くか又は追加施用を少なくとも減らす種子及び発芽植物を保護する方法を開発することが望ましい。また、植物病原菌による攻撃から種子及び発芽植物に最大限の保護を提供するような方法で、しかし用いられる活性化合物によって植物自体に被害を与えることなく、用いる活性化合物の量を最適化することが望ましい。特に、種子の処理方法はまた、トランスジェニック植物の固有の殺菌性を考慮に入れて、用いられる最小量の作物保護剤による種子及び発芽植物の最適保護を達成するべきである。
【0094】
従って、本発明はまた、特に、本発明の組み合わせを用いて種子処理することによって植物病原菌による攻撃から種子及び発芽植物を保護する方法に関する。
【0095】
本発明は、同様に、種子及び発芽植物を植物病原菌から保護するために種子を処理するための本発明の組み合わせの使用に関する。
【0096】
さらにまた、本発明は、植物病原菌からの保護を提供するように本発明の組み合わせを用いて処理されている種子、特に被覆されている種子に関する。
【0097】
本発明の利点の一つは、本発明の組み合わせの個々の浸透性により、これらの組み合わせを用いる種子の処理は、植物病原菌から種子自体を保護するばかりではなく、発芽後に生じる植物も保護することである。このようにして、播種時又は直後の作物の迅速処理を省くことができる。
【0098】
また、本発明の組み合わせを、特にトランスジェニック種子でも用いることができることも利点であると考えねばならない。
【0099】
本発明の組み合わせは、農業、温室、林業又は園芸で用いられる植物品種の種子の保護に適している。特に、これは、穀類(例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、キビ及びオートムギ)、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、イネ、ジャガイモ、ヒマワリ、マメ類、コーヒー、ビート(例えば、サトウダイコン及び飼料ビート)、落花生、野菜(例えば、トマト、キュウリ、タマネギ及びレタス)、芝生並びに園芸植物の種子の形をとる。穀類(例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ及びオートムギ)、トウモロコシ及びイネの種子の処理が特に重要である。
【0100】
本発明に関連して、本発明の組み合わせは、単独で又は適切な製剤で種子に施用される。好ましくは、種子は、処理中の損傷を避けるのに十分に安定である状態で処理される。一般に、種子は収穫と播種の間の任意の時点で処理し得る。常用される種子は、植物から分離され、穂軸、殻、茎、皮、毛又は果実の果肉が取り除かれている。従って、例えば、収穫され、洗浄され、15重量%未満の含水率まで乾燥されている種子を使用することができる。もしくは、乾燥後に、例えば水で処理され、次いで再度乾燥されている種子を使用することもできる。
【0101】
種子を処理する場合には、種子に施用する本発明の組み合わせの量及び/又は別の添加剤の量を、種子の発芽に悪影響を及ぼさないように又は得られる植物を損なわないように選択する注意を払わなければならない。これは、特にある一定の施用量で植物毒性を有し得る活性化合物の場合に心に留めておかなければならない。
【0102】
本発明の組み合わせは、直接に施用することができる、すなわち他の成分を含有することなく及び希釈することなく施用することができる。一般に、組成物を適切な製剤の形で種子に施用することが好ましい。種子の処理に適した製剤及び方法は、当業者には公知であり、例えば次の文献:US4,272,417A、US4,245,432A、US4,808,430A、US5,876,739A、US2003/0176428A1、WO2002/080675A1、WO2002/028186A2に記載されている。
【0103】
本発明の活性化合物の組み合わせはまた、作物の収量を増やすのに適している。さらに、本発明の組み合わせは、低下した毒性を示し、植物によって十分に許容される。
【0104】
本発明に従って、全ての植物及び植物部分を処理することができる。植物とは、本明細書では全ての植物及び植物群、例えば望ましい及び望ましくない野生植物又は作物植物(天然に産する作物植物を含む)を意味すると理解されるべきである。作物植物は、慣用の育種法及び最適化法によって、もしくはバイオテクノロジー法及び遺伝子工学法又はこれらの方法の組み合わせによって得ることができる植物、例えばトランスジェニック植物であることができ、また例えば植物育種家の権利によって保護できる又は保護できない植物栽培品種であることができる。植物部分とは、植物の全ての地上部分及び地下部分並びに器官、例えば新芽、葉、花及び根を意味すると理解されるべきであり、挙げ得る例は、葉、針状葉、茎、幹、花、子実体、果実及び種子並びに根、塊茎及び地下茎である。また、植物部分としては、収穫物並びに栄養及び生殖繁殖材料、例えば苗木、塊茎、地下茎、短匐枝及び種子が挙げられる。
【0105】
活性化合物を用いた本発明による植物及び植物部分の処理は、直接に行うか又は植物及び植物部分の周囲、生育環境又は貯蔵領域に慣用の処理方法に従って、例えば浸漬、噴霧、蒸発、散布、広幅散布、塗布により作用させることによって行い、また繁殖材料の場合、特に種子の場合にはこれを一つ又はそれ以上の層で被覆することによって行う。
【0106】
前記で既に述べたように、全ての植物及びこの部分を本発明に従って処理することができる。好ましい実施形態においては、野生植物種及び植物栽培品種、又は慣用の生物学的育種法、例えば異種交配又はプロトプラスト融合法によって得られる植物種及び植物栽培品種、並びにこれらの部分が処理される。別の好ましい実施形態においては、遺伝子工学法によって、適切ならばこれを慣用の方法と組み合わせることによって得られるトランスジェニック植物及び植物栽培品種(遺伝子組換え生物)、並びにこれらの部分が処理される。「部分」又は「植物の部分」又は「植物部分」という用語は、前記ですでに説明してある。
【0107】
特に好ましくは、いずれの場合にも市販されているか又は使用されている植物栽培品種の植物が、本発明に従って処理される。
【0108】
植物種又は植物栽培品種、この生育場所及び栽培条件(土壌、気候、植物期間、養分)に応じて、本発明の処理はまた、超付加(「相乗」)効果をもたらし得る。従って、例えば、施用量の低減及び/又は活性スペクトルの拡大及び/又は本発明に従って使用することができる物質及び組成物の活性の向上、よりよい植物生長、高温又は低温に対する耐性の向上、干ばつ又は水もしくは土壌塩分に対する耐性の向上、開花成績の向上、収穫のより容易さ、熟成の促進、より高い収穫量、よりよい品質及び/又はより高い栄養価の収穫品、収穫品のよりよい貯蔵安定性及び/又は加工性が可能であり、これらは実際に期待されるべきであった効果を上回る。
【0109】
本発明に従って処理されることが好ましいトランスジェニック植物又は植物栽培品種(すなわち、遺伝子工学法によって得られるトランスジェニック植物又は植物栽培品種)としては、遺伝子組換え法においてこれらの植物に特に都合のよい有用な性質(「形質」)を付与した遺伝子材料を受け入れた植物全てが挙げられる。このような性質の例は、よりより植物生長、高温又は低温に対する耐性の向上、干ばつ又は水もしくは土壌塩分に対する耐性の向上、開花成績の向上、収穫のより容易さ、熟成の促進、より高い収穫量、よりよい品質及び/又はより高い栄養価の収穫品、収穫品のよりよい貯蔵安定性及び/又は加工性である。このような性質の別の例及び特に重視される例は、動物及び微生物害虫、例えば昆虫、ダニ、植物病原性の真菌、細菌及び/又はウイルスに対する植物のよりより防衛能であり、またある種の除草活性化合物に対する植物の高められた抵抗性である。挙げ得るトランスジェニック植物の例は、重要な作物植物、例えば穀類(コムギ、イネ)、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ、アブラナ及び果樹植物(果実を有する、リンゴ、ナシ、柑橘系果物及びブドウ)であり、特に重要なものはトウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ及びアブラナである。重視される形質は、特に植物内で形成される毒素、特にバチルス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)由来の遺伝物質〔例えば、遺伝子CryIA(a)、CryIA(b)、CryIA(c)、CryIIA、CryIIIA、CryIIIB2、Cry9c、Cry2Ab、Cry3Bb及びCryIF並びにこれらの組み合わせ〕によって植物内で形成される毒素による昆虫に対する植物の高められた防衛能である(以下、「Bt植物」という)。また特に重視される形質は、ある種の除草活性化合物、例えばイミダゾリノン類、スルホニルウレア類、グリホセート又はホスフィノトリシンに対する植物の高められた耐性(例えば、「PAT」遺伝子)である。当該所望の形質を付与する遺伝子は、また、トランスジェニック植物内で相互に組み合わせて存在させることができる。挙げ得る「Bt植物」の例は、トウモロコシ変種、ワタ変種、ダイズ変種及びジャガイモ変種であり、これらは商品名YIELD GARD(登録商標)(例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、KnockOut(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bollgard(登録商標)(ワタ)、Nucoton(登録商標)(ワタ)及びNewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)として販売されている。挙げ得る除草剤抵抗性植物の例は、トウモロコシ変種、ワタ変種及びダイズ変種であり、これらは商品名Roundup Ready(登録商標)(グリホセート抵抗性、例えばトウモロコシ、ワタ、ダイズ)、Liberty Link(登録商標)(ホスフィノトリシン抵抗性、例えばアブラナ)、IMI(登録商標)(イミダゾリノン抵抗性)及びSTS(登録商標)(スルホニルウレア抵抗性、例えばトウモロコシ)として販売されている。また、挙げ得る除草剤抵抗性植物(除草剤耐性について慣用の方法で栽培された植物)としては、商品名Clearfield(登録商標)(例えばトウモロコシ)として販売されている変種が挙げられる。勿論、これらの説明は、これらの遺伝形質又はさらに開発されるべき遺伝形質を有する植物栽培品種にも適用され、これらの植物は今後開発され及び/又は市販されるであろう。
【0110】
本発明の活性化合物の組み合わせは、この個々の物理的性質及び/又は化学的性質に応じて、慣用の製剤、例えば液剤、乳剤、懸濁剤、粉末、粉剤、発泡剤、ペースト剤、水溶剤、粒剤、エーロゾル剤、サスポエマルジョン製剤、活性化合物を含浸させた天然及び合成物質、並びに高分子物質及び種子用被覆組成物のマイクロカプセル剤、並びにULV冷却及び加熱煙霧製剤に変えることができる。
【0111】
これらの製剤は、公知の方法で、例えば活性化合物又は活性化合物の組み合わせを増量剤、すなわち液状溶媒、加圧液化ガス及び/又は固形担体と、場合により界面活性剤、すなわちは乳化剤及び/又は分散剤、及び/又は気泡形成剤を用いて混合することにより製造される。
【0112】
使用される増量剤が水である場合には、例えば有機溶媒を補助溶媒として使用することもできる。基本的には、適切な液状溶媒は、芳香族炭化水素、例えばキシレン、トルエン又はアルキルナフタレン類、塩素化芳香族炭化水素又は塩素化脂肪族炭化水素、例えばクロロベンゼン類、クロロエチレン類又は塩化メチレン、脂肪族炭化水素、例えばシクロヘキサン又はパラフィン類、例えば石油留分、鉱油及び植物油、アルコール類、例えばブタノール又はグリコール及びこれらのエーテル類及びエステル類、ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン、強極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシド、もしくは水である。
【0113】
液化ガス状増量剤又は担体とは、標準温度及び大気圧下でガス状である液体、例えばエーロゾル噴射剤、例えばブタン、プロパン、窒素及び二酸化炭素を意味すると理解されるべきである。
【0114】
適切な固形担体は、例えばアンモニウム塩及び粉砕天然鉱物、例えばカオリン、粘土、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト又はケイソウ土、並びに粉砕合成鉱物、例えば微細シリカ、アルミナ及びケイ酸塩である。粒剤に適した固形担体は、例えば破砕及び分別天然石、例えば方解石、大理石、軽石、海泡石及びドロマイトであるか、もしくは無機及び有機粉末の合成顆粒、並びに有機物質 例えばおが屑、ヤシ殻、トウモロコシの穂軸及びタバコの茎の顆粒である。適切な乳化剤及び/又は気泡形成剤は、例えば非イオン性乳化剤及び陰イオン性乳化剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル類、例えばアルキルアリールポリグリコールエーテル類、アルキルスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アリールスルホン酸塩類、又はタンパク質加水分解生成物である。適切な分散剤は、例えばリグノ亜硫酸塩廃液及びメチルセルロースである。
【0115】
粘着付与剤、例えばカルボキシメチルセルロース、粉末状、顆粒状又はラテックス状の天然及び合成重合体、例えばアラビアゴム、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル、もしくは天然リン脂質、例えばセファリン類及びレシチン類並びに合成リン脂質が前記の製剤に使用できる。その他の可能な添加剤は、鉱油及び植物油である。
【0116】
着色剤、例えば無機顔料、例えば酸化鉄、酸化チタン及びプルシアンブルー、並びに有機染料、例えばアリザリン染料、アゾ染料及び金属フタロシアニン染料、並びに微量栄養素、例えば鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデン及び亜鉛の塩を使用できる。
【0117】
市販の製剤から調製される使用形態の活性化合物含有量は、広い範囲の中で変化させ得る。動物害虫、例えば昆虫及びダニを防除するための使用形態の活性化合物の濃度は、活性化合物0.0000001から95重量%、好ましくは0.0001から1重量%である。施用は、使用形態に適した方法である。
【0118】
望まれていない植物病原菌を防除するための製剤は、一般に活性化合物を0.1から95重量%、好ましくは0.5から90重量%含有する。
【0119】
本発明の活性化合物の組み合わせは、このままで使用できるし、この製剤の形態で使用できるし又はこれから調製される使用形態、例えばすぐ使用可能な液剤、乳剤、エマルジョン、懸濁剤、水和剤、水溶剤、粉剤及び粒剤として使用できる。これらは、慣用の方法で、例えば散水(灌注)、液剤散布、噴霧、散布、広幅散布、散粉、発泡、展着により使用され、また乾燥種子処理用粉末、種子処理用溶液、種子処理用水溶剤、スラリー処理用水溶剤として、又は被覆などによって使用される。
【0120】
本発明の活性化合物の組み合わせは、市販の製剤に及びこれらの製剤から調製される使用形態に、その他の活性化合物、例えば殺虫剤、誘引剤、消毒剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、生長調節剤、除草剤又は薬害軽減剤との混合物として存在させることができる。
【0121】
本発明の活性化合物の組み合わせを使用する場合には、施用量は施用の種類に応じて比較的広い範囲の中で変化させることができる。植物の部分の処理においては、活性化合物の組み合わせの施用量は、一般に0.1から10 000g/ha、好ましくは10から1000g/haの間にある。種子の処理においては、活性化合物の組み合わせの施用量は、一般に種子1kg当たり0.001から50g、好ましくは種子1kg当たり0.01から10gの間にある。土壌の処理においては、活性化合物の組み合わせの施用量は、一般に0.1から10 000g/ha、好ましくは1から5000g/haの間にある。
【0122】
化合物(I)と群2から15の少なくとも一つの化合物は、同時に、すなわち一緒に又は別々に、もしくは連続して施用することができ、別々の施用の場合には施用順序は一般に防除結果に何ら影響を及ぼさない。
【0123】
本発明の活性化合物の組み合わせは、このままで、濃厚物の形態で又は一般に慣用される製剤の形態で、例えば粉剤、粒剤、溶液、懸濁剤、エマルジョン又はペースト剤で使用することができる。
【0124】
前述の製剤は、それ自体公知の方法で、例えば、活性化合物を少なくとも1種の溶媒又は希釈剤、乳化剤、分散剤及び/又は結合剤又は定着剤、撥水剤、所望ならば乾燥剤及びUV安定剤、並びに所望ならば着色剤及び顔料及びその他の加工助剤を混合することによって調製することができる。
【0125】
本発明の組み合わせの良好な殺菌作用は、以下の実施例によって実証される。個々の活性化合物がこの殺菌作用において弱さを示すのに対して、前記の組み合わせはそれぞれの作用の単純合計を上回る作用を示すが、本発明に従って使用される薬害軽減剤は一般に殺菌作用を有していない。
【0126】
殺菌剤の相乗効果は、活性化合物の組み合わせの殺菌作用が、個々に施用した場合の活性化合物の作用の合計を上回る場合に常に存在する。
【0127】
2種類の活性化合物の所与の組み合わせについて期待される殺菌作用は、次のように、S.R. Colby(「Calculating Synergistic and Antagonistic Responses of Herbicide Combinations」、Weeds 1967、15、20−22)に従って算出することができる:
Xが、活性化合物Aをm g/haの施用量で用いる場合の効果であり、
Yが、活性化合物Bをn g/haの施用量で用いる場合の効果であり、且つ
Eが、活性化合物Aと活性化合物Bをm g/haの施用量とn g/haの施用量で用いる場合の効果である場合には、
【0128】
【数1】

である。
【0129】
ここで、効果は%で測定される。0%は対照の効果に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は感染が認められないことを意味する。
【0130】
実際の殺菌作用が計算値を上回る場合には、前記組み合わせの作用は超付加である、すなわち相乗効果が存在する。この場合には、実際に観察された効果は、期待される効果(E)について前記の式を使用して算出される値を上回らなければならない。
【0131】
本発明を以下の実施例により例証する。しかし、本発明は実施例に限定されない。
【0132】
(実施例)
【実施例1】
【0133】
いもち病試験(生体外)/マイクロタイタープレート
マイクロ試験を、マイクロタイタープレート中で液状試験培地としてジャガイモデキストロースブロス(PDB)を使用して行った。活性化合物は、フルオキサストロビンの場合にはアセトンに溶解した工業グレードの有効成分として施用し、シルチオファムの場合には市販の製剤として施用した。接種のために、いもち病菌(Pyricularia oryzae)の胞子懸濁液を使用した。暗中で振盪しながら(10Hrz)3日間培養した後に、マイクロタイタープレートのそれぞれの満たされたウエルの光透過率を分光光度計を使用して測定した。
【0134】
0%は対照における増殖に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は菌の増殖が認められないことを意味する。
【0135】
以下の表は、本発明の活性化合物の組み合わせについて認められた活性は算出された活性よりも大きい、すなわち相乗効果が存在することを示す。
【0136】
【表2】

【実施例2】
【0137】
リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)菌試験(生体外)/マイクロタイタープレート
マイクロ試験を、マイクロタイタープレート中で液状試験培地としてジャガイモデキストロースブロス(PDB)を使用して行った。活性化合物は、フルオキサストロビンの場合にはアセトンに溶解した工業グレードの有効成分として施用し、ボスカリドの場合には市販の製剤として施用した。接種のために、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)の菌糸体懸濁液を使用した。暗中で振盪しながら(10Hrz)4日間培養した後に、マイクロタイタープレートのそれぞれの満たされたウエルの光透過率を分光光度計を使用して測定した。
【0138】
0%は対照における増殖に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は菌の増殖が認められないことを意味する。
【0139】
以下の表は、本発明の活性化合物の組み合わせについて認められた活性は算出された活性よりも大きい、すなわち相乗効果が存在することを示す。
【0140】
【表3】

【実施例3】
【0141】
かわらたけ病菌(Coriolus versicolor)試験(生体外)/マイクロタイタープレート
マイクロ試験を、マイクロタイタープレート中で液状試験培地としてジャガイモデキストロースブロス(PDB)を使用して行った。活性化合物は、アセトンに溶解した工業グレードの有効成分として施用した。接種のために、かわらたけ病菌(Coriolus versicolor)の菌糸体懸濁液を使用した。暗中で振盪しながら(10Hrz)4日間培養した後に、マイクロタイタープレートのそれぞれの満たされたウエルの光透過率を分光光度計を使用して測定した。
【0142】
0%は対照における増殖に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は菌の増殖が認められないことを意味する。
【0143】
以下の表は、本発明の活性化合物の組み合わせについて認められた活性は算出された活性よりも大きい、すなわち相乗効果が存在することを示す。
【0144】
【表4】

【実施例4】
【0145】
いもち病試験(生体外)/マイクロタイタープレート
マイクロ試験を、マイクロタイタープレート中で液状試験培地としてジャガイモデキストロースブロス(PDB)を使用して行った。活性化合物は、アセトンに溶解した工業グレードの有効成分として施用した。接種のために、いもち病菌(Pyricularia oryzae)の胞子懸濁液を使用した。暗中で振盪しながら(10Hrz)5日間培養した後に、マイクロタイタープレートのそれぞれの満たされたウエルの光透過率を分光光度計を使用して測定した。
【0146】
0%は対照における増殖に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は菌の増殖が認められないことを意味する。
【0147】
以下の表は、本発明の活性化合物の組み合わせについて認められた活性は算出された活性よりも大きい、すなわち相乗効果が存在することを示す。
【0148】
【表5】

【実施例5】
【0149】
灰色かび病試験(生体外)/マイクロタイタープレート
マイクロ試験を、マイクロタイタープレート中で液状試験培地としてジャガイモデキストロースブロス(PDB)を使用して行った。活性化合物は、フルオキサストロビンの場合にはアセトンに溶解した工業グレードの有効成分として施用し、イプコナゾールの場合には市販の製剤として施用した。接種のために、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の胞子懸濁液を使用した。暗中で振盪しながら(10Hrz)3日間培養した後に、マイクロタイタープレートのそれぞれの満たされたウエルの光透過率を分光光度計を使用して測定した。
【0150】
0%は対照における増殖に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は菌の増殖が認められないことを意味する。
【0151】
以下の表は、本発明の活性化合物の組み合わせについて認められた活性は算出された活性よりも大きい、すなわち相乗効果が存在することを示す。
【0152】
【表6】

【実施例6】
【0153】
いもち病試験(生体外)/マイクロタイタープレート
マイクロ試験を、マイクロタイタープレート中で液状試験培地としてジャガイモデキストロースブロス(PDB)を使用して行った。活性化合物は、アセトンに溶解した工業グレードの有効成分として施用した。接種のために、いもち病菌(Pyricularia oryzae)の胞子懸濁液を使用した。暗中で振盪しながら(10Hrz)4日間培養した後に、マイクロタイタープレートのそれぞれの満たされたウエルの光透過率を分光光度計を使用して測定した。
【0154】
0%は対照における増殖に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は菌の増殖が認められないことを意味する。
【0155】
以下の表は、本発明の活性化合物の組み合わせについて認められた活性は算出された活性よりも大きい、すなわち相乗効果が存在することを示す。
【0156】
【表7】

【実施例7】
【0157】
いもち病試験(生体外)/マイクロタイタープレート
マイクロ試験を、マイクロタイタープレート中で液状試験培地としてジャガイモデキストロースブロス(PDB)を使用して行った。活性化合物は、フルオキサストロビンの場合にはアセトンに溶解した工業グレードの有効成分として施用し、メフェノキサム(メタラキシル−M)の場合には市販の製剤として施用した。接種のために、いもち病菌(Pyricularia oryzae)の胞子懸濁液を使用した。暗中で振盪しながら(10Hrz)4日間培養した後に、マイクロタイタープレートのそれぞれの満たされたウエルの光透過率を分光光度計を使用して測定した。
【0158】
0%は対照における増殖に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は菌の増殖が認められないことを意味する。
【0159】
以下の表は、本発明の活性化合物の組み合わせについて認められた活性は算出された活性よりも大きい、すなわち相乗効果が存在することを示す。
【0160】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌活性化合物の組み合わせであって、フルオキサストロビン(群1)及び、
下記の群(2)から(15):
群(2)のトリアゾール系殺菌剤:
(2−1)アザコナゾール
(2−2)エタコナゾール
(2−3)ジフェノコナゾール
(2−4)ブロムコナゾール
(2−5)シプロコナゾール
(2−6)ヘキサコナゾール
(2−7)ペンコナゾール
(2−8)マイクロブタニル
(2−9)テトラコナゾール
(2−10)フルトリアホール
(2−11)フルシラゾール
(2−12)シメコナゾール
(2−13)フェンブコナゾール
(2−14)イプコナゾール
(2−15)トリチコナゾール
(2−16)キンコナゾール
群(3)のカルボキサミド類:
(3−1)ボスカリド
(3−2)フラメトピル
(3−3)ピコベンズアミド
(3−4)ゾキサミド
(3−5)カルボキシン
(3−6)ジアジニル
(3−7)ペンチオピラド
(3−8)シルチオファム
群(4)のジチオカーバメート類:
(4−1)マネブ
(4−2)メチラム
(4−3)チラム
(4−4)ジネブ
(4−5)ジラム
群(5)のアシルアラミン類:
(5−1)ベナラキシル
(5−2)フララキシル
(5−3)メタラキシル−M
(5−4)ベナラキシル−M
群(6)のベンゾイミダゾール類:
(6−1)ベノミル
(6−2)カルベンダジム
(6−3)クロルフェナゾール
(6−4)フベリダゾール
(6−5)チアベンダゾール
群(7)のカーバメート類:
(7−1)プロパモカルブ
(7−2)プロパモカルブ塩酸塩
(7−3)プロパモカルブ・ホセチル
群(8)のジカルボキシイミド類:
(8−1)カプタホール
(8−2)プロシミドン
(8−3)ビンクロゾリン
群(9)のグアニジン類:
(9−1)ドジン
(9−2)グアザチン
(9−3)イミノクタジン三酢酸塩
群(10)のイミダゾール類;
(10−1)シアゾファミド
(10−2)プロクロラズ
(10−3)トリアゾキシド
(10−4)ペフラゾエート
群(11)のモルホリン類:
(11−1)アルジモルフ
(11−2)トリデモルフ
(11−3)ドデモルフ
(11−4)フェンプロピモルフ
群(12)のピロール類
(12−1)ピロールニトリン
その他の殺菌剤(13):
(13−1)エジフェンホス
(13−2)塩基性塩化銅
(13−3)オキサジキシル
(13−4)ジチアノン
(13−5)メトラフェノン
(13−6)フェナミドン
(13−7)2,3−ジブチル−6−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン
(13−8)プロベナゾール
(13−9)イソプロチオラン
(13−10)カスガマイシン
(13−11)フサライド
(13−12)フェリムゾン
(13−13)トリシクラゾール
(13−14)N−({4−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]フェニル}スルホニル)−2−メトキシベンズアミド;
群(14)の(チオ)尿素誘導体:
(14−1)チオファネート・メチル
(14−2)チオファネート・エチル;
及び
群(15)のアミド類:
(15−1)フェノキサニル
(15−2)ジシクロマット
から選択される少なくとも1種の活性化合物とを含有してなる、活性化合物の組み合わせ。
【請求項2】
望まれていない植物病原菌を防除するための請求項1に記載の活性化合物の組み合わせの使用。
【請求項3】
種子を処理するための請求項1に記載の活性化合物の組み合わせの使用。
【請求項4】
トランスジェニック植物を処理するための請求項1に記載の活性化合物の組み合わせの使用。
【請求項5】
トランスジェニック植物の種子を処理するための請求項1に記載の活性化合物の組み合わせの使用。
【請求項6】
請求項1に記載の活性化合物の組み合わせで被覆されている種子。
【請求項7】
請求項1に記載の活性化合物の組み合わせを、望まれていない植物病原菌及び/又はこの生息環境及び/又は種子に施用することを特徴とする、望まれていない植物病原菌の防除方法。
【請求項8】
請求項1に記載の活性化合物の組み合わせを、増量剤及び/又は界面活性剤と混合することを特徴とする、殺菌剤組成物の製造方法。

【公開番号】特開2012−102119(P2012−102119A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−283681(P2011−283681)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2007−536071(P2007−536071)の分割
【原出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(507203353)バイエル・クロップサイエンス・アーゲー (172)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】