説明

毛髪うねり改善剤

【課題】加齢に伴う毛髪のうねりを、一時的でなく、永続的に改善することができる毛髪うねり改善剤の提供。
【解決手段】ユーカリ属植物の抽出物を有効成分とする毛髪うねり改善剤、及びユーカリ属植物の抽出物の毛髪うねり改善剤としての使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加齢の進行に伴い増加する毛髪のうねりを改善できる毛髪うねり改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢に伴う毛髪の老化現象として、毛髪径の低下や生毛密度の低下によって薄毛が進行したり、白髪が増加したりすることが広く知られている。しかし本発明者らは、加齢に伴う毛髪の老化現象を詳しく調べた結果、加齢に伴って、上記の薄毛の進行、白髪の増加以外に、うねった形状の毛髪(うねり毛)の割合が増加することを見出した。更に、このようなうねり毛においては、直毛と比較して、毛髪内部の細胞構造に差異が生じていることを見出した。このようなうねり毛が増加すると、髪のまとまりが悪化すると同時に、髪の艶が低下し、加齢者の髪悩みにつながっていると考えられる。
【0003】
従来、加齢者が訴える、毛髪径の低下や生毛密度の低下といった髪悩みの対策として、毛髪のハリ・コシを補強する処理(例えば特許文献1)やボリューム感を与える処理(例えば特許文献2)等が提案されているが、これらはいずれも一時的な対処法にすぎなかった。また、うねり毛にストレートパーマ処理することにより直毛化することも、従来広く行われているが、毛髪そのものに対するダメージが避けがたく、十分満足できるものではなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平6-305942号公報
【特許文献2】特開2000-38323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、加齢に伴う毛髪のうねりを、一時的でなく、永続的に改善することができる毛髪うねり改善剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ユーカリ属植物の抽出物(以下ユーカリエキスという)を頭皮に連用することにより、加齢に伴う毛髪のうねりを改善できることを見出した。
【0007】
本発明は、ユーカリエキスを有効成分とする毛髪うねり改善剤、及びユーカリエキスの毛髪うねり改善剤としての使用を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の毛髪うねり改善剤は、頭皮に連用することにより、何らの副作用を伴うことなく、毛髪のうねりを改善し、加齢に伴う髪悩みを軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本明細書において、単に毛髪うねりという場合は、加齢の進行に伴い増加するうねりを意味する。
【0010】
<ユーカリエキス>
本発明の毛髪うねり改善剤の有効成分であるユーカリエキスの原料としては、例えばフトモモ科ユーカリ属植物であるユーカリプタス・グロブラス(Eucalyptus globulus)が挙げられる。ユーカリ属植物は,世界各地の温暖な地域に分布する常緑高木の広葉樹であり、近年は、パルプ用材とすることを目的としてオーストラリア、ニュージーランド等で積極的に植林されている樹種である。パルプ用材や薬用として用いられる以外に、公園樹、庭園樹、建築材、器具材等の広い用途をもつ。
【0011】
本発明の毛髪うねり改善剤の有効成分であるユーカリエキスは、例えば、ユーカリ属植物の葉や枝などから、溶剤抽出によって得ることができる。このユーカリ属植物の枝や葉等は、そのままあるいは乾燥粉砕して溶剤による抽出に用いることができる。
【0012】
抽出用の溶剤としては、極性溶剤が好ましく、水、低級アルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類等が挙げられる。低級アルコール類としては、炭素数1〜6の炭化水素基を有するアルコール類、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられ;グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられ;ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられ;エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸エチル等が挙げられる。これらの溶剤は単独で、若しくは水溶液として用いてもよく、又は任意の2種若しくは3種以上の混合溶剤として用いてもよい。
【0013】
好ましいユーカリエキスは、ユーカリプタス・グロブラス(Eucalyptus globulus)の葉の極性溶剤抽出物であり、市販品をそのまま用いることもできる。市販品としては、ファルコレックス ユーカリB(一丸ファルコス社)、ユーカリエキスTH(長谷川香料社)、ユーカリ抽出液BGF(丸善製薬社)等がある。これらはいずれも、固形分を0.1〜2重量%程度、ブチレングリコール(1,3-ブタンジオール)及び/又はエタノールを40〜90重量%程度含み、残余水のものである。
【0014】
本発明の毛髪うねり改善剤は、水、水/エタノール混合溶剤等を媒体とし、頭皮化粧料や外用医薬品(以下、両者をあわせて単に頭皮外用剤という)に含有させることができる。頭皮外用剤中のユーカリエキスの含有量は、固形分換算で好ましくは0.0001〜0.5重量%、より好ましくは0.0005〜0.1重量%、更に好ましくは0.001〜0.05重量%である。
【0015】
<溶剤>
また、かかる頭皮外用剤には、水のほか、溶剤、あるいは浸透促進剤として、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール等の脂肪族アルコール;2-フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、2-ベンジルオキシエタノール等の芳香族アルコール;トリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類等のアルコール類を用いることができる。
【0016】
これらアルコール類は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができ、またその含有量は、頭皮外用剤中、0.05〜60質量%、更には1〜50質量%、特に5〜40質量%が好ましい。
【0017】
<粘度>
更に、頭皮外用剤の粘度は、適切な量の毛髪うねり改善剤が頭皮上に留まることで十分な効果を期待でき、かつ頭髪上に均一に塗布しやすくする観点から、ブルックフィールド型粘度計による測定値で、1〜90,000mPa・s、更には2〜50,000mPa・s、特に3〜10,000mPa・sの範囲内であることが望ましい。
【0018】
<水溶性高分子>
頭皮外用剤の粘度を所望の範囲にするためには、合成又は天然の水溶性高分子を用いることができる。
【0019】
合成又は天然の水溶性高分子としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(例えば、Nalco社;マーコート100、マーコート550)、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(例えば、ISP社;コポリマー845、コポリマー937、コポリマー958)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(例えば、Noveon社;ペムレンTR-1、TR-2)、塩化o-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(例えば、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー社;ポリマーJR-125、JR-30M、JR-400、ライオン社;レオガードG)、塩化o-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム(例えば、大日本住友製薬社;ラボールガムCG-M、ラボールガムCG-6L、ラボールガムCG-M7、ラボールガムCG-M8M、ローディア社;ジャガーC-13S、ジャガーC-14S、ジャガーC-17、ジャガーC-210、ジャガーC-162、HI-CARE1000)、カチオン化デキストラン、メチルセルロース(例えば、信越化学社;メトローズSM)、エチルセルロース(例えば、Gattefosse社;ブリリアンス515)、ヒドロキシエチルセルロース(例えば、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー社;セロサイズQP4400H、QP52000H、ダイセル化学工業社;SE-600、SE-850)、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、日本曹達社;日曹HPC-H、HPC-M)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、信越化学社;メトローズ60SHシリーズ、メトローズ65SHシリーズ、メトローズ90SHシリーズ)、プルラン(例えば、林原社;プルランPF-20、プルランPI-20)、プルラン脂肪酸エステル、キサンタンガム(例えば、大日本住友製薬社;エコーガム)、ヒドロキシプロピルキサンタンガム(例えば、大日本住友製薬社;ラボールガムEX)等が挙げられる。
【0020】
これら天然高分子及び合成高分子は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができ、またその含有量は、頭皮外用剤中の0.01〜20質量%、更には0.02〜10質量%、特に0.05〜5質量%が好ましい。
【0021】
<界面活性剤>
頭皮外用剤には、油性成分や香料の乳化、分散、可溶化等の目的で、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等の界面活性剤を含有させることができる。
【0022】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが特に好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、下記一般式で表されるものが好ましい。
【0023】
【化1】

【0024】
〔式中、R1は炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、nは1〜25の数を示す。〕
【0025】
両性界面活性剤としては、イミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系等が挙げられる。特に、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン系界面活性剤がより好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
【0026】
カチオン界面活性剤としては、炭素数16以上のモノ又はジ長鎖アルキル四級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム等が挙げられ、特に塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0027】
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤のアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。
【0028】
これらの界面活性剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができ、全含有量は、良好な感触の観点から、頭皮外用剤中の0.01〜20質量%が好ましく、更には0.05〜15質量%、特に0.1〜10質量%が好ましい。
【0029】
<育毛・養毛成分>
頭皮外用剤は、更に育毛・養毛成分を含有することが好ましい。育毛・養毛成分を加えることにより、毛髪うねり改善効果を向上することができる。このような育毛・養毛成分としては、頭皮の血行を促進して毛髪の成長を促す血行促進剤や、毛包を活性化して毛髪の成長を促す毛包賦活剤に加え、抗男性ホルモン剤、カリウムイオンチャンネルオープナー等が挙げられる。
【0030】
血行促進剤としては、二酸化炭素、アセチルコリン、塩化カルプロニウム、スピロノラクトン、ビタミンB6塩酸塩、γ-オリザノール、サークレチン、クロマカリム、セファランチン、ニコランジル、ビタミンE類(DL-α-トコフェロール、D-α-トコフェロール、酢酸DL-α-トコフェロール、酢酸D-α-トコフェロール等)、ニコチン酸類(ニコチン酸、DL-α-トコフェロールニコチン酸エステル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等)、ピナシジル、ミノキシジル、フタリド類、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、ニンジンエキス、センブリエキス、ヨウ化ニンニクエキス、イチョウエキス、キナエキス、ショウブ根エキス、ソフォラ抽出液、トウヒエキス、当薬エキス、トウガラシチンキ、ユズ抽出液、カンタリスチンキ、ショウキョウチンキ等が挙げられる。これらのうち、ビタミンE類、ニコチン酸類、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、センブリエキス、トウガラシチンキが好ましい。
【0031】
毛包賦活剤としては、フラバノノール類(トランス-3,4'-ジメチルフラバノノール等)、パントテン酸類(パントテン酸、パントテン酸エステル、パンテノール、パントテニルエチルエーテル等)、N-アシルアミノ酸、ペンタデカン酸グリセリド、6-ベンジルアミノプリン、プロシアニジン、アデノシン類(アデノシン、アデノシン5'-リン酸、アデノシン5'-リン酸の塩等)、アスパラギン酸カリウム、感光素301、ビオチン、モノニトログアヤコールナトリウム、N-アセチル-L-メチオニン、タマサキツヅラフジエキス、ニンジンエキス(チクセツニンジンエキス、オタネニンジンエキス等)、ブドウエキス、リンゴエキス、酵母エキス、ニンニク成分、真珠蛋白抽出液、プラセンタエキス、タイソウエキス、ローヤルゼリー等が挙げられる。これらのうち、フラバノノール類、パントテン酸類、N-アシルアミノ酸、ペンタデカン酸グリセリド、6-ベンジルアミノプリン、プロシアニジン、ビオチン、モノニトログアヤコールナトリウム、タマサキツヅラフジエキス、プラセンタエキス、ローヤルゼリーが好ましく、更にはフラバノノール類、パントテン酸類、N-アシルアミノ酸、ペンタデカン酸グリセリド、6-ベンジルアミノプリン、プロシアニジンが好ましく、特にフラバノノール類が好ましい。
【0032】
抗男性ホルモン剤としては、サイプロテロンアセテート、11α-ハイドロキシプロゲステロン、フルタマイド、3-デオキシアデノシン、酢酸クロルマジノン、エチニルエストラジオール、スピロノラクトン、エピテステロン、フィナステライド、アロエ、サンショウ、チョウジエキス、クアチャララーテエキス、オタネニンジン等が挙げられる。
【0033】
カリウムイオンチャンネルオープナーとしては、ミノキシジル、クロマカリム、ジアゾキシド及びその誘導体、ピナシジル等が挙げられる。
【0034】
頭皮外用剤に配合される育毛・養毛成分の含有量は、十分な育毛効果と刺激抑制の観点から、頭皮外用剤中の0.001〜10質量% 、特に0.01〜5質量%が好ましい。
【0035】
<薬効成分>
頭皮外用剤は、上記の育毛・養毛成分以外にも、種々の薬効成分を含むことができる。薬効成分としては、抗菌剤、抗炎症剤、保湿剤、角質溶解剤、抗脂漏剤、局所刺激剤、抗酸化剤、ビタミン類等が挙げられる。
【0036】
抗菌剤としては、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、オクトピロックス、感光色素101、感光色素201、クロルヘキシジン、サリチル酸、ジンクピリチオン、ソルビン酸カリウム、ヒノキチオール、フェノール等が挙げられる。このうち、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、ピロクトンオーラミン、ジンクピリチオン、ヒノキチオールが好ましい。
【0037】
抗炎症剤としては、甘草エキス、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、脂溶性グリチルレチン酸類、アズレン、グアイアズレン、ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤、酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、オウゴンエキス、カミツレエキス、クマザサエキス、シラカバエキス、ゼニアオイエキス、桃葉エキス、セイヨウノコギリソウエキス、キキョウエキス、ビワ葉エキス、ボダイジュエキス等が挙げられる。このうち、甘草エキス、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、アズレン、グアイアズレン、オウゴンエキス、カミツレエキス、クマザサエキス、シラカバエキス、ゼニアオイエキス、桃葉エキス、セイヨウノコギリソウエキスが好ましい。
【0038】
保湿剤としては、オトギリソウエキス、オーツ麦エキス、桔梗エキス、可溶性コラーゲン、グリセリン、コンドロイチン硫酸、チューベロースポリサッカライド、プロピレングリコール、冬虫夏草エキス、延命草エキス、オオムギエキス、オレンジエキス、ブドウエキス、海藻エキス、ボタンピエキス、ジオウエキス、デュークエキス、マイカイ花エキス、ボタンピエキス、ヨクイニンエキス等が挙げられる。このうち、オトギリソウエキス、オーツ麦エキス、グリセリン、チューベロースポリサッカライド、冬虫夏草エキス、延命草エキス、オオムギエキス、ブドウエキス、プロピレングリコール、桔梗エキス、ヨクイニンエキスが好ましい。
【0039】
角質溶解剤としてはアスピリン等が挙げられる。
【0040】
抗脂漏剤としては、イオウ、レシチン、カシュウエキス、チオキソロン等が挙げられる。
【0041】
局所刺激剤としては、カンファー、ノニル酸ワニリルアミド、オランダガラシ、サンショウエキス、ハッカ油、l-メントール、ワサビ大根エキス等が挙げられる。このうち、カンファーが好ましい。
【0042】
抗酸化剤としては、紅茶エキス、茶エキス、エイジツエキス、黄杞エキス、ビタミンC及びその誘導体、エリソルビン酸、没食子酸プロピル、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
【0043】
これら薬効成分の含有量は、合計で頭皮外用剤中の0.001〜20質量%が好ましく、0.01〜8質量%がより好ましい。
【0044】
<コンディショニング成分>
頭皮外用剤は、毛髪への適用に好適なコンディショニング成分を含むことができる。コンディショニング成分は、通常は、頭皮外用剤に溶解又は分散可能なポリマー又はオイル類である。コンディショニング成分を用いる場合、その含有量は、頭皮外用剤中の0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。
【0045】
頭皮外用剤に配合される好適なコンディショニング成分としては、カチオン性ポリマー、シリコーン類、有機コンディショニングオイル等、及びこれらの組み合わせが挙げられる。更には、これら以外に水性界面活性剤中に分散液体粒子を形成するコンディショニング剤が挙げられる。
【0046】
・カチオン性ポリマー
カチオン性ポリマーとは、カチオン基又はカチオン基にイオン化され得る基を有するポリマーをいい、全体としてカチオン性となる両性ポリマーも含まれ、更には、前述の増粘剤として用いられるカチオン性ポリマーも含む。すなわち、カチオン性ポリマーとしては、ポリマー鎖の側鎖にアミノ基又はアンモニウム基を含むか、又はジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む水溶液のもの、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらのうち、特に頭皮外用剤使用時の柔らかさ、滑らかさ及び指の通り易さ、乾燥時のまとまり易さ及び保湿性という効果及び頭皮外用剤の安定性の点から、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含むポリマー、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、カチオン化セルロース誘導体が好ましく、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、カチオン化セルロース誘導体がより好ましい。
【0047】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体の具体例としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリクオタニウム-6、例えばマーコート100;Nalco社)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22、例えばマーコート280、同295;Nalco社)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸アミド共重合体(ポリクオタニウム-7、例えばマーコート550;Nalco社)等が挙げられる。
【0048】
4級化ポリビニルピロリドン誘導体の具体例としては、ビニルピロリドン(VP)とメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体と硫酸ジエチルから得られる4級アンモニウム塩〔ポリクオタニウム-11、例えばガフコート734、同755、同755N(以上、アイエスピー・ジャパン社)〕等が挙げられる。
【0049】
カチオン化セルロース誘導体の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体〔ポリクオタニウム-10、例えばレオガードG、同GP(以上、ライオン社)、ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M(以上、Amerchol社)〕、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体〔ポリクオタニウム-4、例えばセルコートH-100、同L-200(以上、ナショナルスターチアンドケミカル社)〕等が挙げられる。
【0050】
・シリコーン類
シリコーン類としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
(1) ジメチルポリシロキサン
2(CH3)2SiO−[(CH3)2SiO]m−Si(CH3)22
〔式中、R1はメチル基又はヒドロキシ基を示し、mは1〜20,000の数を示す。〕
【0051】
ジメチルポリシロキサンの分散粒子の平均粒径は100μm未満が好ましく、更には50μm以下、特に4μm以下、とりわけ2μm以下であることが好ましい。また、平均粒径は、0.1μm以上であることが、使用感やコンディショニング効果の点で好ましい。
【0052】
このようなジメチルポリシロキサンとしては、例えば、一般式(10)のmが300〜6,500のジメチルポリシロキサン油を60質量%含み、平均粒径が0.8μmである東レ・ダウコーニング社の「シリコーンCF2450」又はmが300〜6,500のジメチルポリシロキサン油を50質量%含み、平均粒径が50μmである東レ・ダウコーニング社の「シリコーンCF2460」として市販されているものを使用することができる。
【0053】
(2) アミノ変性シリコーン
各種のアミノ変性シリコーンが使用できるが、特に平均分子量が約3,000〜100,000の、アモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でCTFA辞典(米国,Cosmetic Ingredient Dictionary)第3版中に記載されているものが好ましい。市販品としては、SM 8704C(東レ・ダウコーニング社)、DC 929(ダウ・コーニング社)、KT 1989(GE東芝シリコーン社)、8500 Conditioning Agent、DOW CORNING TORAY SS-3588、DOW CORNING TORAY SILSTYLE 104(東レ・ダウコーニング社)等が挙げられる。
【0054】
(3) その他のシリコーン類
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0055】
・有機コンディショニングオイル
有機コンディショニングオイルとしては、例えば、炭化水素油、ポリオレフィン、脂肪酸エステルが挙げられる。
【0056】
炭化水素油としては、炭素数10以上の炭化水素油、例えば環状炭化水素や直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)や分枝鎖肪族炭化水素(飽和又は不飽和)が挙げられ、これらのポリマーや混合物も含まれる。直鎖炭化水素油は、好ましくは炭素数12〜19である。分枝鎖炭化水素油は、炭化水素ポリマーを含み、通常炭素数19を超える。
【0057】
ポリオレフィンとしては、液状ポリオレフィン、更には液状ポリ-α-オレフィン、特に水素化液状ポリ-α-オレフィンが好ましい。ここで用いられるポリオレフィンは、C4〜C14、好ましくはC6〜C12のオレフィンモノマーを重合して調製する。
【0058】
脂肪族エステルとしては、例えば、脂肪酸とアルコールから誘導される炭化水素鎖を有するエステル(例えば、モノエステル、多価アルコールエステル、ジ−及びトリカルボン酸エステル)が挙げられる。これら脂肪族エステルの炭化水素基は、更にアミド基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基等の他の相溶性官能部を有していてもよく、またそれらに共有結合していてもよい。好ましい脂肪族エステルの具体例としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等が挙げられる。
【0059】
<極性油剤>
頭皮外用剤には、上記コンディショニング成分以外に、有効成分を可溶化して頭皮への浸透を促進すると共に、感触と安定性を向上する極性油剤を加えることができる。極性油剤としては、高級アルコール、及び脂肪酸グリセリドが挙げられる。高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられる。脂肪酸グリセリドとしては、炭素数8〜18の脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドが挙げられる。これらのうち、有効成分の結晶化を防ぎ、頭皮の脂質からなる油膜を溶解し、皮膚浸透を促進する観点から、20℃において液体で、かつ100mPa・s以下、特に50mPa・s以下であるものが好ましい。
【0060】
極性油剤の含有量は、有効成分の浸透促進及び感触向上の観点から、頭皮外用剤中の0.01〜5質量%、特に0.1〜2質量%が好ましい。
【0061】
<酸化防止剤>
頭皮外用剤には、更に酸化防止剤を含有させることができる。酸化防止剤としては、ビタミンC及びその誘導体、エリソルビン酸、没食子酸プロピル、BHT(ジ-n-ブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)等が挙げられる。これらは、頭皮外用剤の保存安定性向上に効果的で、特に、高温(例えば50℃)での保存安定性向上に効果がある。酸化防止剤の含有量は、頭皮外用剤中の0.01〜0.5重量%、特に0.05〜0.3重量%が好ましい。
【0062】
<その他任意成分・剤型>
頭皮外用剤には、上記成分以外に、通常の化粧品分野で用いられる成分を、目的に応じて加えることができる。このような任意成分としては、無機アルカリ、油脂、アミノ酸誘導体、タンパク質誘導体、キレート剤、防腐剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、前述の植物抽出物以外の植物抽出物、香料等が挙げられる。
【0063】
頭皮外用剤は、頭皮に効果的に塗布される剤型が好ましく、通常は、液剤を主体とし、ローションやヘアトニックが代表的なものであり、噴射剤と共にエアゾール剤としても使用できる。また、クリーム、ジェル、ワックス、洗い流さないタイプのヘアトリートメント、ヘアフォーム剤、ヘアスプレー剤等の剤型で使用することもできる。
【0064】
<使用方法>
本発明のうねり改善剤は、頭皮に浸透し毛根の完成層(安田利顕監修、須藤武雄・瀬田季茂共著 毛髪科学図説 1978年 P.13)に作用することにより、毛髪うねり改善剤塗布後に生えてくる毛髪のうねりを緩和する。それゆえ、本発明のうねり改善剤を含有する頭皮外用剤の使用方法としては、頭皮に塗布した後、洗い流さず放置することが必要である。
【0065】
十分なうねり緩和効果を得るには、頭皮外用剤を頭皮に塗布した後、少なくとも3時間は洗い流さず放置することが好ましく、更には6時間以上、特に8時間以上放置することが望ましい。一方、頭皮を清潔に保つ観点から、頭皮外用剤を頭皮に塗布した後の放置時間は、72時間以下とすることが好ましく、更には48時間以下、特に24時間以下とすることが好ましい。
【0066】
本発明の毛髪うねり改善剤を含有する頭皮外用剤は、洗髪直後に頭皮に塗布するのが好ましい。洗髪直後の頭皮は湿った状態であるため、洗髪前の乾燥状態の頭皮に比較して、頭皮外用剤が容易に頭皮へ浸透しやすく、その結果、毛髪うねり改善効果が向上する。
【0067】
洗髪後、時間の経過と共に頭皮は徐々に乾燥した状態に戻るため、頭皮外用剤を頭皮に塗布するタイミングは、洗髪後できるだけ早い方が効果的である。具体的には、洗髪後1時間以内、より好ましくは30分以内、更に好ましくは15分以内に頭皮外用剤を頭皮に塗布することが望ましい。
【0068】
本発明においては、洗髪後タオルドライした直後に頭皮外用剤を頭皮に塗布することにより、毛髪うねり改善効果を更に向上することができる。毛髪は束の状態で水に濡れた場合、毛髪自体の重量を超える量の水を保持している。それゆえ、洗髪後タオルドライする前に頭皮外用剤を頭皮に塗布すると、頭皮外用剤の濃度が毛髪の束に保持されている過剰な水で薄まり、頭皮上に残留する頭皮外用剤の量が低下する。洗髪後タオルドライすることにより、毛髪の束に保持されている過剰な水が取り除かれるため、頭皮に塗布した頭皮外用剤は薄まることなく頭皮上に残留し、毛髪うねり改善効果が向上する。
【0069】
上記の観点から、洗髪後タオルドライを行うことが好ましいが、頭皮外用剤の頭皮への浸透の観点からは、洗髪後できるだけ早いタイミングで、頭皮が湿っている状態で頭皮外用剤を頭皮に塗布することが望ましい。従って、洗髪・タオルドライ後1時間以内、より好ましくは30分以内、更に好ましくは15分以内に頭皮外用剤を頭皮に塗布することが望ましい。
【0070】
本発明の毛髪うねり改善剤を含有する頭皮外用剤は、頭皮に塗布後、頭皮をマッサージすることにより、毛髪うねり改善効果を向上させることができる。
【0071】
頭皮外用剤を頭皮に塗布した後、頭皮を物理的にマッサージすることにより、塗布された頭皮外用剤が頭皮上で均一にのび拡がると共に、頭皮が物理的に刺激され、頭皮外用剤の頭皮への浸透も促進される。その結果、毛髪うねり改善効果が向上する。
【0072】
頭皮マッサージの具体的な方法としては、頭皮を傷つけない櫛やブラシなどの道具を用いて、頭皮をなでる、こする、たたくなどの方法が挙げられる。また、指で直接、あるいは効率的にマッサージするための手袋などを用いて頭皮をなでる、こする、たたく、もむなどの方法が挙げられる。
【0073】
本発明の毛髪うねり改善剤を含有する頭皮外用剤は、頭皮上に留まり更に頭皮内に浸透することにより、毛髪うねり改善効果が発現する。頭皮上の頭皮外用剤は、頭皮に浸透する以外に皮脂や汗で流されてしまうため、頭皮上に残留する頭皮外用剤の量は経時的に低下する。従って、頭皮外用剤の使用頻度を高くすることにより、継続的な毛髪うねり改善効果を向上させることができる。
【0074】
具体的には、二日に一回以上、より好ましくは一日一回以上、更に好ましくは一日二回、頭皮外用剤を頭皮に塗布することが望ましい。
【0075】
更に、本発明の毛髪うねり改善剤を含有する頭皮外用剤は、毛髪うねり改善剤が頭皮に浸透し毛根の完成層に作用することにより、頭皮外用剤の塗布後に生える毛髪のうねり形状が緩和し、毛髪うねり改善効果が発現する。従って、毛髪うねり改善効果は、毛髪の成長に伴って徐々に認知されるようになる。具体的には、少なくとも2〜3cm毛髪が成長すると、毛髪うねり改善効果が認知され始める。毛髪の成長速度は約0.4mm/日であるため、2ヶ月以上継続処理することにより、毛髪うねり改善効果の認知されやすさを向上することができる。
【実施例】
【0076】
(被験試料)
ユーカリ抽出液BGF(丸善製薬社)を3質量%となるよう水と混合し、被験試料とした。
【0077】
(毛髪処理とサンプリング)
41〜56歳の健康女性10名に、1日2回3gずつ、頭皮全体に被験試料を塗布してもらった。開始時と6ヶ月後に、頭頂部周辺より毛髪を、根元からカットした。サンプリングした毛髪は、頭皮面積にして縦7mm×横7mmの範囲の全ての毛髪であり、1人あたり40〜120本、平均70本前後である。
【0078】
(形状の測定方法)
コンディショニング剤を含まないプレーンなシャンプーで洗髪し、自然乾燥後、サンプリングを行った。カールの形状測定には、半径が1mmずつ異なる同心円(半径1mm〜200mmで、1mm間隔)を描いた透明なフィルムを毛髪上に乗せ、根元から4cm、3cm、2cm及び1cmの部分について、毛髪の曲率半径を読み取り、その逆数(曲率)を求めた。ただし、曲率が0.05(単位:cm-1)より小さい(半径20cmの円に相当する円弧よりも真直ぐ)な場合には、その曲率を0.05と近似した。それぞれの毛髪について上記4部分における曲率の平均値を求め、その逆数をその毛髪のカール半径とした。7mm×7mmの部分からカットしたすべての毛髪について上記部分の曲率を測定し、その平均値を求め、平均値の逆数を平均カール半径とした。
下記式に基づいて、6ヶ月後と開始時の平均カール半径の比を「うねり改善度」として表した。
【0079】
【数1】

【0080】
また、毛髪カール半径が4cmより小さい毛髪をうねり毛と定義し、サンプリングした全毛髪本数に対するうねり毛本数の割合(うねり毛存在比)(単位:%)を調べた。6ヶ月後と開始時のうねり毛存在比の差を「うねり毛減少率」として表した。
【0081】
【数2】

【0082】
結果は表1に示すとおりであり、被験者全員において平均カール半径の増大、すなわちうねりの改善が認められた。また、被験者全員において正のうねり毛減少率、すなわちうねり毛の減少が認められた。
【0083】
【表1】

【比較例】
【0084】
被験試料として、ユーカリ抽出液の入っていない水のみの剤を用い、実施例とは別の41〜56歳の健康女性10名に、実施例と同様の試験を行った。
結果は表2に示すとおりであり、被験者全員において平均カール半径の変化率は±10%の範囲内にあり、うねりの変化は認められなかった。また、被験者全員においてうねり毛減少率は±5%の範囲内にあり、うねり毛の割合の変化は認められなかった。
【0085】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーカリ属植物の抽出物を有効成分とする毛髪うねり改善剤。
【請求項2】
ユーカリ属植物の抽出物の毛髪うねり改善剤としての使用。