説明

毛髪化粧料の塗布方法及び毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ

【課題】複数剤混合式の毛髪化粧料を頭髪に塗布する作業を効率よく行う。
【解決手段】頭部を覆うフィルムを開閉可能なファスナー13が設けられた毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ10を頭部にかぶせ、ファスナー13を引いてフィルムを開くことによりフィルムを前部分と後部分とに分離し、フィルムの前部分におけるファスナー取付部分の左右方向中央部に設けられたループ16を、頭部を挿入する開口の縁部11における正面位置に設けられたフック15に引っ掛ける。この状態で毛髪化粧料を頭髪に塗布した後、ループ16をフック15から外し、ファスナー13を引いてフィルムを閉じた上で、毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ10越しに毛髪化粧料を手で頭髪に揉み込む。これにより、毛髪化粧料が頭髪全体に均一に塗布される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数剤混合式の毛髪化粧料の塗布方法及び毛髪化粧料塗布用ヘアキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、染毛剤や脱色剤といった複数剤混合式の毛髪化粧料を頭髪に塗布する方法として、ヘアキャップを使用する方法が提案されている。
例えば特許文献1には、下部開口部に円形のゴムバンドが設けられるとともに上部開口部近傍の側面に輪ゴムが取り付けられた筒状透明カバーを用いて、染毛剤を塗布する方法が示されている。具体的には、まず、筒状透明カバーを頭部からかぶって首まで降ろした後、染毛剤を頭髪に塗布する。次に、ゴムバンドを上げて下部開口部を頭髪の生え際に密着させ、さらに、上部開口部を頭上まで上げて頭髪を包むように閉じた状態で輪ゴムで止める。この状態でしばらく放置した後、輪ゴムを外して上部開口部を下げた状態で頭髪をすすぎ洗う。
【0003】
なお、複数剤混合式の毛髪化粧料を頭髪に塗布する方法ではないが、ファスナーにより開閉可能なヘアキャップを使用してパーマネントをかける方法も提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】登録実用新案第3044623号公報
【特許文献2】登録実用新案第3086118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した構成では、染毛剤を頭髪全体に均一に塗布してから上部開口部を閉じる必要があるため、染毛作業が煩雑となってしまう。また、染毛剤を塗布する際に染毛剤が周囲に飛び散ってしまうという問題もあった。
【0005】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、複数剤混合式の毛髪化粧料を頭髪に塗布する作業を効率よく行うことのできる毛髪化粧料の塗布方法及び毛髪化粧料塗布用ヘアキャップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の請求項1に記載の毛髪化粧料の塗布方法は、頭部を覆うフィルムを開閉可能な開閉手段が設けられたヘアキャップを頭部にかぶせ、開閉手段によりフィルムを開いた状態で複数剤混合式(2剤混合式、3剤混合式等)の毛髪化粧料を頭髪に塗布し、開閉手段によりフィルムを閉じた状態でヘアキャップ越しに毛髪化粧料を手で頭髪に揉み込むことを特徴とするものである。
【0007】
このような塗布方法によれば、複数剤混合式の毛髪化粧料を頭髪に塗布する作業を効率よく行うことができる。
すなわち、毛髪化粧料を頭髪全体に均一に塗布した後にヘアキャップをかぶせる方法では、ヘアキャップをかぶせる際にその縁部などが汚れやすく、これにより生え際が汚れてしまうという問題がある。これに対し、本発明の塗布方法では、開閉手段が設けられたヘアキャップを使用するため、ヘアキャップを頭部にかぶせた後に毛髪化粧料を頭髪に塗布することができ、上記問題は生じない。
【0008】
しかも、本発明の塗布方法によれば、毛髪化粧料をヘアキャップ越しに手で揉み込むという簡単な作業により、毛髪化粧料を頭髪全体に均一に塗布することができ、毛髪化粧料が周囲に飛び散ることも防ぐことができる。加えて、においの防散効果や保温効果も期待できる。
【0009】
ここで、開閉手段としては、例えば請求項2に記載のようにファスナーとすることが好ましい。ファスナーであれば、輪ゴムで止めるような構成とは異なり、毛髪化粧料を手で揉み込む際にも容易に開いてしまうことがなく、また、毛髪化粧料が外側に漏れ出しにくいという利点がある。
【0010】
次に、請求項3に記載の毛髪化粧料塗布用ヘアキャップは、複数剤混合式の毛髪化粧料を頭髪に塗布する際に使用する毛髪化粧料塗布用ヘアキャップであって、頭部を覆うフィルムを開閉可能な開閉手段が設けられている。
【0011】
このような毛髪化粧料塗布用ヘアキャップによれば、請求項1に記載の毛髪化粧料の塗布方法を実施することができ、その結果、複数剤混合式の毛髪化粧料を頭髪に塗布する作業を効率よく行うことができる。
【0012】
ここで、開閉手段としては、例えば請求項4に記載のようにファスナーとすることが好ましい。ファスナーであれば、輪ゴムで止めるような構成とは異なり、毛髪化粧料を手で揉み込む際にも容易に開いてしまうことがなく、また、毛髪化粧料が外側に漏れ出しにくいという利点がある。
【0013】
また、請求項5に記載の毛髪化粧料塗布用ヘアキャップでは、開閉手段は、フィルムを前頭部を覆う前部分と後頭部を覆う後部分とに分離するものであり、前部分を手前に折り曲げた状態で保持する保持手段が設けられている。
【0014】
このような毛髪化粧料塗布用ヘアキャップによれば、前部分を手前に折り曲げた状態に保持することで、頭部を覆うフィルムを大きく開いた状態に保つことができる。しかも、フィルムの前部分が顔の前まで垂れ下がることが防止されるため、鏡を見て作業を行う場合にも視界を確保することができるとともに、折り曲げ部が壁となることにより顔面への毛髪化粧料の垂れ落ちを防ぐことができる。この結果、毛髪化粧料を塗布する際の作業性を一層向上させることができる。
【0015】
また、請求項6に記載の毛髪化粧料塗布用ヘアキャップでは、保持手段は、前部分に設けられたループと、頭部を挿入する開口の縁部における正面位置に設けられたフックとからなる。
【0016】
このような毛髪化粧料塗布用ヘアキャップによれば、前部分を前方に引っ張ってループをフックに引っ掛けるだけでよいため、前部分を手前に折り曲げた保持状態を容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.全体構成]
図1は、実施形態の毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ10を示す説明図であり、(a)は閉じた状態を示す斜視図、(b)は開いた状態を示す斜視図である。また、図2は、毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ10を頭部にかぶせた状態を示す側面図である。
【0018】
この毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ10は、透明な合成樹脂製フィルムからなり、頭部にかぶせて頭髪を覆った状態で保持するためにゴムなどの伸縮材で縁部11を縁取りした開口12が形成された袋状のものである。なお、毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ10は、毛髪化粧料の頭髪へのなじみが分かる程度のものであれば、半透明な合成樹脂製フィルムからなるものであってもよい。
【0019】
また、頭部を覆うフィルムの前後方向における中央部には、フィルムを開閉可能なファスナー13が設けられており、ファスナー13の留め金具14を引くことにより、図1(b)に示すように、フィルムが前頭部を覆う前部分と後頭部を覆う後部分とに分離される。
【0020】
そして、開口12の縁部11における正面位置には、先端が太く形成された棒状のフック15が設けられている。また、フィルムの前部分におけるファスナー取付部分の左右方向中央部には、フック15に引っ掛けるためのループ16が設けられている。なお、本実施形態では、ループ16がフィルムの内側面に取り付けられている構成を例示するが、フィルムの外側面に取り付けられた構成であってもよい。
【0021】
[2.毛髪化粧料の塗布方法]
次に、本実施形態の毛髪化粧料塗布用ヘアキャップを用いた毛髪化粧料(本実施形態では2剤混合式の泡状ヘアカラー)の塗布方法について説明する。なお、毛髪化粧料は泡状のものに限定されるものではなく、例えばクリーム状、液状、ジェル状等であってもよい。
【0022】
まず、毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ10を頭部にかぶせる(図2)。
次に、ファスナー13の留め金具14を引いてフィルムを開き、フィルムを前部分と後部分とに分離する(図3)。
【0023】
そして、フィルムの前部分に設けられたループ16を、正面位置に設けられたフック15に引っ掛けることにより、フィルムの前部分を手前に折り曲げた状態で保持する(図4)。
【0024】
この状態で、第1剤及び第2剤を混合した毛髪化粧料を頭髪に塗布する(図5)。このとき、頭髪から垂れ落ちた毛髪化粧料はフィルムにたまることとなり、肩や背中などに垂れ落ちることが防止される。なお、この段階では、毛髪化粧料を頭髪全体に均一に塗布する必要はない。
【0025】
その後、ループ16をフック15から外し、ファスナー13の留め金具14を引いてフィルムを閉じる(図2)。この状態で、毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ10越しに毛髪化粧料を手で頭髪に揉み込み、毛髪化粧料を頭髪全体に均一になじませる。
【0026】
[3.効果]
以上説明したように、本実施形態の毛髪化粧料の塗布方法では、毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ10を頭部にかぶせ、ファスナー13によりフィルムを開いた状態で毛髪化粧料を頭髪に塗布し、ファスナー13によりフィルムを閉じた状態で毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ10越しに毛髪化粧料を手で頭髪に揉み込む。
【0027】
このような塗布方法によれば、毛髪化粧料を毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ10越しに手で揉み込むという簡単な作業により、毛髪化粧料を頭髪全体に均一に塗布することができ、毛髪化粧料が周囲に飛び散ることも防ぐことができる。また、毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ10を頭部にかぶせた後に毛髪化粧料を頭髪に塗布するため、毛髪化粧料を頭髪全体に均一に塗布した後にヘアキャップをかぶせることによる縁部11の汚れや、これに伴う生え際の汚れを防ぐことができる。したがって、毛髪化粧料を頭髪に塗布する作業を効率よく行うことができる。加えて、においの防散効果や、保温効果による染毛効果の向上も期待できる。
【0028】
また、頭部を覆うフィルムをファスナー13で開閉するようにしているため、毛髪化粧料を手で揉み込む際にも容易に開いてしまうことがなく、また、毛髪化粧料が外側に漏れ出しにくいという利点がある。
【0029】
一方、毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ10は、ファスナー13により分離されるフィルムの前部分に設けられたループ16を、頭部を挿入する開口12の縁部11における正面位置に設けられたフック15に引っ掛けることができる。このため、前部分を手前に折り曲げた状態に保持することで、頭部を覆うフィルムを大きく開いた状態に保つことができる。しかも、フィルムの前部分が顔の前まで垂れ下がることが防止されるため、鏡を見て作業を行う場合にも視界を確保することができるとともに、折り曲げ部が壁となることにより顔面への毛髪化粧料の垂れ落ちを防ぐことができる。また、ファスナー13によりフィルムを開いた状態では、フィルムの後部分により後方への毛髪化粧料の垂れ落ちも防ぐことができる。この結果、毛髪化粧料を頭髪に塗布しやすくなり、毛髪化粧料を塗布する際の作業性を一層向上させることができる。しかも、前部分を前方に引っ張ってループ16をフック15に引っ掛けるだけでよいため、前部分を手前に折り曲げた保持状態を容易に実現することができる。
【0030】
[4.他の形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0031】
[4−1.開閉手段]
上記実施形態では、頭部を覆うフィルムを開閉可能な開閉手段としてファスナー13を例示したが、このファスナー13としては、例えば、ウェットスーツ等に使用される防水ファスナーを用いてもよい。また、開閉手段はファスナーに限定されるものではなく、例えば、マジックテープ(登録商標)などの面ファスナー、ジップロック(登録商標)などの線状ファスナー、ボタン、テープ、ひも、クリップなどを用いることができる。
【0032】
[4−2.保持手段]
上記実施形態では、フィルムの前部分を手前に折り曲げた状態で保持する保持手段としてフック15及びループ16を例示したが、これに限定されるものではなく、例えばボタンなどを用いることができる。また、フィルムにワイヤーフレーム(ワイヤーは針金に限らずプラスチック等でもよい。)を設け、前方や後方に壁を作りつつ頭頂部については塗布作業を行いやすいようにしてもよい。なお、保持手段を設けない構成とすることも可能である。
【0033】
[4−3.毛髪化粧料]
上記実施形態では、複数剤混合式の毛髪化粧料として2剤混合式の染毛剤を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、脱色剤のように染毛剤以外の毛髪化粧料であってもよく、また、3剤以上の薬剤を混合する毛髪化粧料であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態の毛髪化粧料塗布用ヘアキャップを示す説明図であり、(a)は閉じた状態を示す斜視図、(b)は開いた状態を示す斜視図である。
【図2】毛髪化粧料塗布用ヘアキャップを頭部にかぶせた状態を示す側面図である。
【図3】頭部にかぶせた毛髪化粧料塗布用ヘアキャップのフィルムを開いた状態を示す側面図である。
【図4】ループをフックに引っ掛けた状態を示す側面図である。
【図5】毛髪化粧料を頭髪に塗布している状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0035】
10…毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ、11…縁部、12…開口、13…ファスナー、14…留め金具、15…フック、16…ループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部を覆うフィルムを開閉可能な開閉手段が設けられたヘアキャップを頭部にかぶせ、前記開閉手段により前記フィルムを開いた状態で複数剤混合式の毛髪化粧料を頭髪に塗布し、前記開閉手段により前記フィルムを閉じた状態で前記ヘアキャップ越しに毛髪化粧料を手で頭髪に揉み込むこと
を特徴とする毛髪化粧料の塗布方法。
【請求項2】
前記開閉手段はファスナーであること
を特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料の塗布方法。
【請求項3】
複数剤混合式の毛髪化粧料を頭髪に塗布する際に使用する毛髪化粧料塗布用ヘアキャップであって、
頭部を覆うフィルムを開閉可能な開閉手段が設けられていること
を特徴とする毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ。
【請求項4】
前記開閉手段はファスナーであること
を特徴とする請求項3に記載の毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ。
【請求項5】
前記開閉手段は、前記フィルムを前頭部を覆う前部分と後頭部を覆う後部分とに分離するものであり、
前記前部分を手前に折り曲げた状態で保持する保持手段が設けられていること
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ。
【請求項6】
前記保持手段は、前記前部分に設けられたループと、頭部を挿入する開口の縁部における正面位置に設けられたフックとからなること
を特徴とする請求項5に記載の毛髪化粧料塗布用ヘアキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−268574(P2009−268574A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119624(P2008−119624)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】